JP2001046547A - 有機塩素化合物の分解方法 - Google Patents
有機塩素化合物の分解方法Info
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- JP2001046547A JP2001046547A JP22057499A JP22057499A JP2001046547A JP 2001046547 A JP2001046547 A JP 2001046547A JP 22057499 A JP22057499 A JP 22057499A JP 22057499 A JP22057499 A JP 22057499A JP 2001046547 A JP2001046547 A JP 2001046547A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 微生物を用い、有害物質を生成させずにPC
Bなどの有機塩素化合物を分解することができる有機塩
素化合物の分解方法を得る。 【解決手段】 IPA2および水4の存在下でPCB1
に紫外線を照射する紫外線照射工程と、紫外線照射後
の紫外線処理液5から前記IPA2を分離回収する溶
媒回収工程と、溶媒回収後の溶媒回収残液6をこの溶媒
回収残液中の有機塩素化合物を分解し得る微生物の種菌
8で培養処理する微生物処理工程と、培養処理後の培
養液9から菌体を分離回収する菌体回収工程と、回収
された菌体を界面活性剤により溶菌する溶菌工程とを
設ける。溶菌工程で得られた溶菌液14は前記微生
物処理工程に循環することができる。
Bなどの有機塩素化合物を分解することができる有機塩
素化合物の分解方法を得る。 【解決手段】 IPA2および水4の存在下でPCB1
に紫外線を照射する紫外線照射工程と、紫外線照射後
の紫外線処理液5から前記IPA2を分離回収する溶
媒回収工程と、溶媒回収後の溶媒回収残液6をこの溶媒
回収残液中の有機塩素化合物を分解し得る微生物の種菌
8で培養処理する微生物処理工程と、培養処理後の培
養液9から菌体を分離回収する菌体回収工程と、回収
された菌体を界面活性剤により溶菌する溶菌工程とを
設ける。溶菌工程で得られた溶菌液14は前記微生
物処理工程に循環することができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微生物を用い、有
害物質を生成させずにPCBなどの有機塩素化合物を分
解することができる有機塩素化合物の分解方法に関す
る。
害物質を生成させずにPCBなどの有機塩素化合物を分
解することができる有機塩素化合物の分解方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリ塩化ビフェニル(以下、「PCB」
という)や、DDT、ディルドリン、ヘキサクロロシク
ロへキサンなどの有機塩素系農薬は一般に土壌中の微生
物などによって分解され難いため、長期間環境中に残留
する可能性があり問題となっている。また、これらの有
機塩素化合物は低温で燃焼すると有害副生物が生成する
ことも知られている。このため、これらの有機塩素化合
物を含む廃棄物は、特に厳しい汚染規制のもと、専用の
高温焼却炉で焼却処理されている。
という)や、DDT、ディルドリン、ヘキサクロロシク
ロへキサンなどの有機塩素系農薬は一般に土壌中の微生
物などによって分解され難いため、長期間環境中に残留
する可能性があり問題となっている。また、これらの有
機塩素化合物は低温で燃焼すると有害副生物が生成する
ことも知られている。このため、これらの有機塩素化合
物を含む廃棄物は、特に厳しい汚染規制のもと、専用の
高温焼却炉で焼却処理されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記のように、PCB
やある種の有機塩素系農薬などの有機塩素化合物は高温
で燃焼しなければ完全に分解しないので、これらの有機
塩素化合物を含む廃棄物の焼却処理には大規模な有害廃
棄物専用の焼却炉と冷却装置と、更に、前記有害副生物
に対する恒常的な監視体勢とが必要になる。しかしこの
ような処理施設を建設するには莫大な費用がかかるばか
りでなく、建設のための社会的同意を得ることも次第に
困難になりつつある。
やある種の有機塩素系農薬などの有機塩素化合物は高温
で燃焼しなければ完全に分解しないので、これらの有機
塩素化合物を含む廃棄物の焼却処理には大規模な有害廃
棄物専用の焼却炉と冷却装置と、更に、前記有害副生物
に対する恒常的な監視体勢とが必要になる。しかしこの
ような処理施設を建設するには莫大な費用がかかるばか
りでなく、建設のための社会的同意を得ることも次第に
困難になりつつある。
【0004】そこで、燃焼法に代わって有害物質を生成
しない有機塩素化合物の分解処理方法が求められてい
る。この代替処理法においては、対象とする有機塩素化
合物がほぼ完全に分解できることと、処理中または処理
後に生成する可能性のあるすべての物質が把握できると
共にそれらの安全性が確認できることが必要である。す
なわち特異性の高い反応によって対象とする有機塩素化
合物を分解し、無害化できることが必要条件になる。
しない有機塩素化合物の分解処理方法が求められてい
る。この代替処理法においては、対象とする有機塩素化
合物がほぼ完全に分解できることと、処理中または処理
後に生成する可能性のあるすべての物質が把握できると
共にそれらの安全性が確認できることが必要である。す
なわち特異性の高い反応によって対象とする有機塩素化
合物を分解し、無害化できることが必要条件になる。
【0005】上記事情に鑑み、本発明者らは問題とされ
ている有機塩素化合物の代表例であるPCBを分解し無
害化する方法として、紫外線照射後、2群の微生物の混
合培養による分解方法(特開平4−370097号公
報)、および2群の微生物を2段階工程でそれぞれ培養
してPCBを分解する方法(特開平11−114086
号公報)を提案した。これらはいずれも、微生物を用い
て有害物質を生成せずにPCBを許容限界以下の濃度ま
で分解する方法であるが、これらの方法はいずれも処理
時間が長く(通常処理時間は120時間以上を要す
る)、工程が複雑で設備費および運転費が高価になると
いう課題があった。本発明は前記の課題を解決するため
になされたものであって、従ってその目的は、微生物を
用い、有害物質を生成させずにPCBやある種の有機塩
素系農薬をより経済的に分解処理することができる有機
塩素化合物の分解方法を提供することにある。
ている有機塩素化合物の代表例であるPCBを分解し無
害化する方法として、紫外線照射後、2群の微生物の混
合培養による分解方法(特開平4−370097号公
報)、および2群の微生物を2段階工程でそれぞれ培養
してPCBを分解する方法(特開平11−114086
号公報)を提案した。これらはいずれも、微生物を用い
て有害物質を生成せずにPCBを許容限界以下の濃度ま
で分解する方法であるが、これらの方法はいずれも処理
時間が長く(通常処理時間は120時間以上を要す
る)、工程が複雑で設備費および運転費が高価になると
いう課題があった。本発明は前記の課題を解決するため
になされたものであって、従ってその目的は、微生物を
用い、有害物質を生成させずにPCBやある種の有機塩
素系農薬をより経済的に分解処理することができる有機
塩素化合物の分解方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するた
めに本発明は、有機溶媒および水の存在下で有機塩素化
合物に紫外線を照射する紫外線照射工程と、紫外線照射
後の紫外線処理液から前記有機溶媒を分離回収する溶媒
回収工程と、溶媒回収後の溶媒回収残液をこの溶媒回収
残液中の有機塩素化合物を分解し得る微生物で培養処理
する微生物処理工程と、培養処理後の培養液から菌体の
少なくとも一部を分離回収する菌体回収工程と、菌体回
収工程において回収された菌体を界面活性剤により溶菌
する溶菌工程とを含む有機塩素化合物の分解方法を提供
する。
めに本発明は、有機溶媒および水の存在下で有機塩素化
合物に紫外線を照射する紫外線照射工程と、紫外線照射
後の紫外線処理液から前記有機溶媒を分離回収する溶媒
回収工程と、溶媒回収後の溶媒回収残液をこの溶媒回収
残液中の有機塩素化合物を分解し得る微生物で培養処理
する微生物処理工程と、培養処理後の培養液から菌体の
少なくとも一部を分離回収する菌体回収工程と、菌体回
収工程において回収された菌体を界面活性剤により溶菌
する溶菌工程とを含む有機塩素化合物の分解方法を提供
する。
【0007】この有機塩素化合物の分解方法によれば、
先ず紫外線照射工程において、有機塩素化合物は紫外線
の作用により少なくともその一部、多くの場合は大部分
が脱塩素されて、より塩素含量の少ない有機塩素化合物
かまたは塩素を全く含まない有機化合物に転化し、その
結果、紫外線照射後の紫外線処理液中の有機塩素化合物
の濃度は一定水準まで低下する。次の溶媒回収工程では
紫外線照射後の紫外線処理液から有機溶媒が回収され、
分解されずに残った元の有機塩素化合物および一部脱塩
素されて塩素含量が少なくなった有機塩素化合物(これ
らを総称して以下「残存有機塩素化合物」という)は溶
媒回収後の溶媒回収残液中に残留される。微生物処理工
程では、溶媒回収残液中の前記残存有機塩素化合物を分
解し得る微生物で培養処理することにより、培養処理後
の培養液における前記残存有機塩素化合物が、許容限界
以下の濃度となるまで分解される。菌体回収工程では、
培養処理後の菌体の少なくとも一部が前記培養液から分
離回収される。溶菌工程では前記の分離回収された菌体
が界面活性剤の作用により溶菌される。得られた溶菌液
は前記残存有機塩素化合物の分解を促進する作用がある
ので、前記の微生物処理工程に循環使用することができ
る。
先ず紫外線照射工程において、有機塩素化合物は紫外線
の作用により少なくともその一部、多くの場合は大部分
が脱塩素されて、より塩素含量の少ない有機塩素化合物
かまたは塩素を全く含まない有機化合物に転化し、その
結果、紫外線照射後の紫外線処理液中の有機塩素化合物
の濃度は一定水準まで低下する。次の溶媒回収工程では
紫外線照射後の紫外線処理液から有機溶媒が回収され、
分解されずに残った元の有機塩素化合物および一部脱塩
素されて塩素含量が少なくなった有機塩素化合物(これ
らを総称して以下「残存有機塩素化合物」という)は溶
媒回収後の溶媒回収残液中に残留される。微生物処理工
程では、溶媒回収残液中の前記残存有機塩素化合物を分
解し得る微生物で培養処理することにより、培養処理後
の培養液における前記残存有機塩素化合物が、許容限界
以下の濃度となるまで分解される。菌体回収工程では、
培養処理後の菌体の少なくとも一部が前記培養液から分
離回収される。溶菌工程では前記の分離回収された菌体
が界面活性剤の作用により溶菌される。得られた溶菌液
は前記残存有機塩素化合物の分解を促進する作用がある
ので、前記の微生物処理工程に循環使用することができ
る。
【0008】前記において、有機溶媒は2−イソプロパ
ノール(以下「IPA」という)であることが好まし
い。前記溶媒回収工程において回収した前記有機溶媒
は、その少なくとも一部を前記紫外線照射工程に循環し
再利用することが好ましい。前記微生物は、コマモナス
・テストステロニ(Comamonas testosteroni)TK10
2(以下「TK菌」という)であることが好ましい。こ
のTK菌は、本出願人によりすでに工業技術院生命工学
工業技術研究所に寄託されている(受託番号:FER
M,P−14591)。前記溶菌工程で得られた溶菌液
は、前記微生物処理工程に循環することが好ましい。前
記いずれかの有機塩素化合物の分解方法において、対象
となる有機塩素化合物は、PCBおよび有機塩素系農薬
からなる群から選ばれた少なくとも1種であることがで
きる。
ノール(以下「IPA」という)であることが好まし
い。前記溶媒回収工程において回収した前記有機溶媒
は、その少なくとも一部を前記紫外線照射工程に循環し
再利用することが好ましい。前記微生物は、コマモナス
・テストステロニ(Comamonas testosteroni)TK10
2(以下「TK菌」という)であることが好ましい。こ
のTK菌は、本出願人によりすでに工業技術院生命工学
工業技術研究所に寄託されている(受託番号:FER
M,P−14591)。前記溶菌工程で得られた溶菌液
は、前記微生物処理工程に循環することが好ましい。前
記いずれかの有機塩素化合物の分解方法において、対象
となる有機塩素化合物は、PCBおよび有機塩素系農薬
からなる群から選ばれた少なくとも1種であることがで
きる。
【0009】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施形態を図面を用
いて詳しく説明するが、本発明はこの実施形態に限定さ
れるものではない。図1において、この有機塩素化合物
の分解方法は、紫外線照射工程と、溶媒回収工程
と、微生物処理工程と、菌体回収工程と、溶菌工
程とを含んでいる。この実施形態において分解の対象と
なる有機塩素化合物は符号1で示すPCBであるが、特
にこれに限定されるものではない。
いて詳しく説明するが、本発明はこの実施形態に限定さ
れるものではない。図1において、この有機塩素化合物
の分解方法は、紫外線照射工程と、溶媒回収工程
と、微生物処理工程と、菌体回収工程と、溶菌工
程とを含んでいる。この実施形態において分解の対象と
なる有機塩素化合物は符号1で示すPCBであるが、特
にこれに限定されるものではない。
【0010】先ず紫外線照射工程において、PCB1
を有機溶媒であるIPA2、およびNaOH3、水4と
混合し溶解する。PCBは油溶性であるが、水の存在下
でもアルカリ性IPAには最大4000ppm程度溶解
するので、この溶解限度を考慮して、導入されたPCB
1に対するIPA2、NaOH3、および水4の混合割
合を決定する。処理開始当初は、紫外線照射工程に導
入されたPCB1の全量を溶解するに必要な量のIPA
2、NaOH3、および水4を供給するが、その後の処
理回においては、後記するように次段の溶媒回収工程
においてIPA2の少なくとも一部が回収され紫外線
照射工程に循環されるので、IPA2に関しては不足量
のみを新たに補給すればよい。
を有機溶媒であるIPA2、およびNaOH3、水4と
混合し溶解する。PCBは油溶性であるが、水の存在下
でもアルカリ性IPAには最大4000ppm程度溶解
するので、この溶解限度を考慮して、導入されたPCB
1に対するIPA2、NaOH3、および水4の混合割
合を決定する。処理開始当初は、紫外線照射工程に導
入されたPCB1の全量を溶解するに必要な量のIPA
2、NaOH3、および水4を供給するが、その後の処
理回においては、後記するように次段の溶媒回収工程
においてIPA2の少なくとも一部が回収され紫外線
照射工程に循環されるので、IPA2に関しては不足量
のみを新たに補給すればよい。
【0011】前記紫外線照射工程において、有機溶媒
としてはIPAを使用することが好ましい。同じ分極性
有機溶媒であるメタノールやエタノールも使用できる
が、これらは紫外線照射工程においてPCBの脱塩素
反応の進行がIPAより遅く、また後段の微生物処理
工程においてPCB濃度を放流規制値(3ppb)以下
にすることが困難となる。更にメタノールやエタノール
は、微生物処理工程で用いるTK菌に対して生育阻害
作用があるため、溶媒回収工程の溶媒回収残液中のメ
タノールやエタノールの濃度を十分に低くする必要があ
り、このため培地との混合比が大きくなり培養装置が大
規模になる傾向がある。これに対しIPAは、紫外線
照射工程においてPCBの脱塩素反応を促進する作用が
あり(PCBの脱塩素反応速度はメタノールやエタノー
ルの約10倍にも達する)、しかも微生物処理工程で
用いるTK菌に対して生育阻害作用がないため、溶媒回
収残液と培地との混合比を考慮する必要がなく、培養装
置の規模に影響を及ぼさないという利点がある。
としてはIPAを使用することが好ましい。同じ分極性
有機溶媒であるメタノールやエタノールも使用できる
が、これらは紫外線照射工程においてPCBの脱塩素
反応の進行がIPAより遅く、また後段の微生物処理
工程においてPCB濃度を放流規制値(3ppb)以下
にすることが困難となる。更にメタノールやエタノール
は、微生物処理工程で用いるTK菌に対して生育阻害
作用があるため、溶媒回収工程の溶媒回収残液中のメ
タノールやエタノールの濃度を十分に低くする必要があ
り、このため培地との混合比が大きくなり培養装置が大
規模になる傾向がある。これに対しIPAは、紫外線
照射工程においてPCBの脱塩素反応を促進する作用が
あり(PCBの脱塩素反応速度はメタノールやエタノー
ルの約10倍にも達する)、しかも微生物処理工程で
用いるTK菌に対して生育阻害作用がないため、溶媒回
収残液と培地との混合比を考慮する必要がなく、培養装
置の規模に影響を及ぼさないという利点がある。
【0012】前記紫外線照射工程において、NaOH
3は、PCB1に対して一定比率で添加される。その量
は、紫外線の作用で脱離される塩素イオンと当量以上で
あればよい。NaOH3は、PCBから脱離する塩素イ
オンと反応してNaClを生成するが、この反応によっ
てPCBの脱塩素反応が促進される。
3は、PCB1に対して一定比率で添加される。その量
は、紫外線の作用で脱離される塩素イオンと当量以上で
あればよい。NaOH3は、PCBから脱離する塩素イ
オンと反応してNaClを生成するが、この反応によっ
てPCBの脱塩素反応が促進される。
【0013】紫外線照射の方法は特に限定されるもので
はなく、高圧または低圧水銀灯のいずれでもよいが、照
射強度は8kW/m3 以上、照射時間は48時間以上と
することが好ましい。照射強度が前記より低く、また照
射時間が前記より短い場合は、PCBの脱塩素反応が不
十分となり、後段の微生物処理工程において、PCB
濃度を放流規制値(3ppb)以下にするための微生物
への負担が大きくなり、培養時間が大幅に長くなる。こ
のため本発明の方法において、紫外線照射工程での紫
外線照射強度および照射時間は十分にとることが望まし
い。この紫外線照射工程において、PCBは大部分が
脱塩素されて主にビフェニルに転化する。
はなく、高圧または低圧水銀灯のいずれでもよいが、照
射強度は8kW/m3 以上、照射時間は48時間以上と
することが好ましい。照射強度が前記より低く、また照
射時間が前記より短い場合は、PCBの脱塩素反応が不
十分となり、後段の微生物処理工程において、PCB
濃度を放流規制値(3ppb)以下にするための微生物
への負担が大きくなり、培養時間が大幅に長くなる。こ
のため本発明の方法において、紫外線照射工程での紫
外線照射強度および照射時間は十分にとることが望まし
い。この紫外線照射工程において、PCBは大部分が
脱塩素されて主にビフェニルに転化する。
【0014】紫外線照射後の紫外線処理液5は、次段の
溶媒回収工程に送られ、IPAが回収される。IPA
の回収方法としては低温減圧蒸留法が適している。この
低温減圧蒸留法における蒸発圧力は170mmHg、蒸
発温度は44℃、加熱温度は70℃以下とすることが好
ましい。液温を前記より高くすると、有害物質を生成す
る可能性があり好ましくない。また前記低温減圧蒸留法
における濃縮比(紫外線処理液5の量/溶媒回収後の溶
媒回収残液6の量)は、回収IPA2aに残存有機塩素
化合物が同伴するのを防止するために4倍以下とするこ
とが好ましい。
溶媒回収工程に送られ、IPAが回収される。IPA
の回収方法としては低温減圧蒸留法が適している。この
低温減圧蒸留法における蒸発圧力は170mmHg、蒸
発温度は44℃、加熱温度は70℃以下とすることが好
ましい。液温を前記より高くすると、有害物質を生成す
る可能性があり好ましくない。また前記低温減圧蒸留法
における濃縮比(紫外線処理液5の量/溶媒回収後の溶
媒回収残液6の量)は、回収IPA2aに残存有機塩素
化合物が同伴するのを防止するために4倍以下とするこ
とが好ましい。
【0015】溶媒回収工程で蒸発したIPAは、凝縮
器等により液化され、回収IPA2aとして前段の紫
外線照射工程に循環され、PCBの溶解に再利用され
る。これにより、PCB処理量当たりのIPA消費量が
大幅に削減できる。
器等により液化され、回収IPA2aとして前段の紫
外線照射工程に循環され、PCBの溶解に再利用され
る。これにより、PCB処理量当たりのIPA消費量が
大幅に削減できる。
【0016】一方、溶媒回収工程で残留した溶媒回収
残液6は、次段の微生物処理工程に送られ、培地7、
種菌8、および任意的に後述する溶菌液14と混合さ
れ、得られた混合液(以下「培養液」という)は空気の
供給によって好気的に培養処理される。
残液6は、次段の微生物処理工程に送られ、培地7、
種菌8、および任意的に後述する溶菌液14と混合さ
れ、得られた混合液(以下「培養液」という)は空気の
供給によって好気的に培養処理される。
【0017】前記培地7は、好ましくはTK菌の培養に
必要な最少培地(当該細菌が増殖するのに必要な最低限
の栄養素を含む培養液)と、炭素源としてのビフェニル
からなる。その量は、培養前の前記培養液における残存
有機塩素化合物の濃度が200〜300mg/リットル
となるように決めることが好ましい。
必要な最少培地(当該細菌が増殖するのに必要な最低限
の栄養素を含む培養液)と、炭素源としてのビフェニル
からなる。その量は、培養前の前記培養液における残存
有機塩素化合物の濃度が200〜300mg/リットル
となるように決めることが好ましい。
【0018】前記種菌8は、TK菌を予め小規模培養槽
で前培養して増殖させたもので、その量(植菌量)は、
前記培養液の2%以上とすることが好ましい。これより
も少ないと増殖時間が長くなり、前記残存有機塩素化合
物の分解に長時間を要することになる。また前記任意的
に供給される溶菌液14の量は、後段の菌体回収工程
で回収された菌体液11の量によって決まり、通常は前
記培養液量の10〜15%程度である。
で前培養して増殖させたもので、その量(植菌量)は、
前記培養液の2%以上とすることが好ましい。これより
も少ないと増殖時間が長くなり、前記残存有機塩素化合
物の分解に長時間を要することになる。また前記任意的
に供給される溶菌液14の量は、後段の菌体回収工程
で回収された菌体液11の量によって決まり、通常は前
記培養液量の10〜15%程度である。
【0019】微生物処理工程での培養処理温度は30
℃、pHは6〜7となるように調整することが好まし
い。PCB濃度を3ppb以下に微生物分解するための
所要処理時間は、溶菌液14が供給されないときは72
時間程度を要するが、溶菌液14が供給された場合は4
8時間以下に短縮することができる。その理由によって
本発明が制限されるものではないが、溶菌液14には、
PCB分解に寄与する菌体内の誘導酵素が多量に含まれ
ており、TK菌による残存有機塩素化合物の分解を促進
する作用があると考えられる。この微生物処理工程に
おいて、PCBなど残存有機塩素化合物は微生物分解さ
れて炭酸ガスと水になり、無害化される。
℃、pHは6〜7となるように調整することが好まし
い。PCB濃度を3ppb以下に微生物分解するための
所要処理時間は、溶菌液14が供給されないときは72
時間程度を要するが、溶菌液14が供給された場合は4
8時間以下に短縮することができる。その理由によって
本発明が制限されるものではないが、溶菌液14には、
PCB分解に寄与する菌体内の誘導酵素が多量に含まれ
ており、TK菌による残存有機塩素化合物の分解を促進
する作用があると考えられる。この微生物処理工程に
おいて、PCBなど残存有機塩素化合物は微生物分解さ
れて炭酸ガスと水になり、無害化される。
【0020】微生物処理工程における培養処理が終了
すると、処理後の培養液9は次の菌体回収工程に送ら
れる。菌体回収工程では、遠心分離などにより前記培
養液9が菌体液11と菌体回収残液10とに分離され、
菌体液11は次段の溶菌工程に送られ、一方、菌体回
収残液10は廃液として系外に排出される。前記遠心分
離における遠心力は、5000〜10000Gとするこ
とが好ましい。この方法で集菌した菌体液11の量は、
前記のように培養液9の10〜15%程度となる。
すると、処理後の培養液9は次の菌体回収工程に送ら
れる。菌体回収工程では、遠心分離などにより前記培
養液9が菌体液11と菌体回収残液10とに分離され、
菌体液11は次段の溶菌工程に送られ、一方、菌体回
収残液10は廃液として系外に排出される。前記遠心分
離における遠心力は、5000〜10000Gとするこ
とが好ましい。この方法で集菌した菌体液11の量は、
前記のように培養液9の10〜15%程度となる。
【0021】溶菌工程では、界面活性剤12を添加し
て菌体液11中の菌体細胞を溶菌する。界面活性剤12
としては、TK菌の菌体内酵素を失活させないものであ
れば、非イオン性界面活性剤または陰イオン性界面活性
剤のいずれから選んでもよい。使用できる非イオン性界
面活性剤の例としては、例えばポリオキシエチレン(1
0モル)オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレ
ン(23モル)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン
(20モル)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエ
チレン(20モル)ソルビタンモノオレエート、ポリオ
キシエチレン(20モル)ソルビタンモノパルミテー
ト、ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタンモノス
テアレート、ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタ
ントリオレエートなどを挙げることができる。これら非
イオン性界面活性剤において、溶菌に好ましい添加量は
菌体液11に対して0.05〜0.1重量%である。
0.05重量%未満ではTK菌の溶菌が困難になり、
0.1重量%を越えると、溶菌液14を微生物処理工
程に循環する際にTK菌の生育に悪影響を及ぼし好まし
くない。また前記の濃度範囲であれば、微生物処理工
程に循環した際、ビフェニルなど難水溶性物質を分散懸
濁させるのにも好都合である。
て菌体液11中の菌体細胞を溶菌する。界面活性剤12
としては、TK菌の菌体内酵素を失活させないものであ
れば、非イオン性界面活性剤または陰イオン性界面活性
剤のいずれから選んでもよい。使用できる非イオン性界
面活性剤の例としては、例えばポリオキシエチレン(1
0モル)オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレ
ン(23モル)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン
(20モル)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエ
チレン(20モル)ソルビタンモノオレエート、ポリオ
キシエチレン(20モル)ソルビタンモノパルミテー
ト、ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタンモノス
テアレート、ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタ
ントリオレエートなどを挙げることができる。これら非
イオン性界面活性剤において、溶菌に好ましい添加量は
菌体液11に対して0.05〜0.1重量%である。
0.05重量%未満ではTK菌の溶菌が困難になり、
0.1重量%を越えると、溶菌液14を微生物処理工
程に循環する際にTK菌の生育に悪影響を及ぼし好まし
くない。また前記の濃度範囲であれば、微生物処理工
程に循環した際、ビフェニルなど難水溶性物質を分散懸
濁させるのにも好都合である。
【0022】使用できる陰イオン性界面活性剤の例とし
ては、例えばラウリル硫酸ナトリウム、アルキルベンゼ
ンスルフォン酸ナトリウムなどがある。これらの添加量
は菌体液11に対して0.5〜1重量%である。0.5
重量%未満ではTK菌の溶菌が困難になり、1重量%を
越えると溶菌液14を微生物処理工程に循環する際に
TK菌の生育に悪影響を及ぼし好ましくない。
ては、例えばラウリル硫酸ナトリウム、アルキルベンゼ
ンスルフォン酸ナトリウムなどがある。これらの添加量
は菌体液11に対して0.5〜1重量%である。0.5
重量%未満ではTK菌の溶菌が困難になり、1重量%を
越えると溶菌液14を微生物処理工程に循環する際に
TK菌の生育に悪影響を及ぼし好ましくない。
【0023】また、界面活性剤12の添加量を削減した
い場合は、加熱源13により60℃で10分間、または
40℃で30分間程度加温してもよい。これによってT
K菌の溶菌が促進される。加熱温度が40℃未満では溶
菌効果が少なく、60℃を越えると菌体内酵素が失活す
るため、いずれの場合も微生物処理工程に循環するの
に好ましくない。
い場合は、加熱源13により60℃で10分間、または
40℃で30分間程度加温してもよい。これによってT
K菌の溶菌が促進される。加熱温度が40℃未満では溶
菌効果が少なく、60℃を越えると菌体内酵素が失活す
るため、いずれの場合も微生物処理工程に循環するの
に好ましくない。
【0024】溶菌工程で処理された液は、溶菌液14
として微生物処理工程に循環し利用することが好まし
い。このときは、培地7、種菌8および溶媒回収残液6
によって溶菌液14中の界面活性剤12の濃度は約10
倍に希釈され、非イオン性界面活性剤の場合は50〜1
00ppm、陰イオン性界面活性剤の場合は500〜1
000ppmとなる。従って、TK菌に対して悪影響は
及ぼさず、むしろ微生物処理工程で培地7の一部とし
て添加される難水溶性のビフェニルを培養液中に分散懸
濁させるのに好都合となる。
として微生物処理工程に循環し利用することが好まし
い。このときは、培地7、種菌8および溶媒回収残液6
によって溶菌液14中の界面活性剤12の濃度は約10
倍に希釈され、非イオン性界面活性剤の場合は50〜1
00ppm、陰イオン性界面活性剤の場合は500〜1
000ppmとなる。従って、TK菌に対して悪影響は
及ぼさず、むしろ微生物処理工程で培地7の一部とし
て添加される難水溶性のビフェニルを培養液中に分散懸
濁させるのに好都合となる。
【0025】溶菌液14には、前記のようにPCBを含
む残存有機塩素化合物の分解を促進する作用があり、こ
れを微生物処理工程に循環することにより、培養時間
を短縮できるばかりか、溶菌し再利用しなければ廃棄物
となる菌体細胞(懸濁物質;SS)を減らすことができ
るという効果もある。
む残存有機塩素化合物の分解を促進する作用があり、こ
れを微生物処理工程に循環することにより、培養時間
を短縮できるばかりか、溶菌し再利用しなければ廃棄物
となる菌体細胞(懸濁物質;SS)を減らすことができ
るという効果もある。
【0026】
【実施例】以下実施例によって本発明を更に具体的に説
明する。 (実施例)本実施例は、図1に示した実施形態の一例で
ある。 紫外線照射工程:供試するPCB1としては、カネク
ロールKC1000(鐘淵化学工業社製)50gを用い
た。このPCBを、IPA15リットルと水5リットル
とNaOH40gとを混合して調製したアルカリ性IP
A液に溶解した。得られた溶解液のPCB濃度は、ほぼ
2500ppmであった。この溶解液を約20リットル
容量の紫外線照射装置(フナコシ社製NFP−8S)に
入れ、紫外線波長254nm、照射強度8kW/m3 で
約48時間紫外線照射した。紫外線照射後の紫外線処理
液5中のPCB濃度は、8〜14ppmであった。この
PCB濃度は、新規にIPAを用いた場合でも回収IP
Aを繰返し使用した場合でも変わらなかった。
明する。 (実施例)本実施例は、図1に示した実施形態の一例で
ある。 紫外線照射工程:供試するPCB1としては、カネク
ロールKC1000(鐘淵化学工業社製)50gを用い
た。このPCBを、IPA15リットルと水5リットル
とNaOH40gとを混合して調製したアルカリ性IP
A液に溶解した。得られた溶解液のPCB濃度は、ほぼ
2500ppmであった。この溶解液を約20リットル
容量の紫外線照射装置(フナコシ社製NFP−8S)に
入れ、紫外線波長254nm、照射強度8kW/m3 で
約48時間紫外線照射した。紫外線照射後の紫外線処理
液5中のPCB濃度は、8〜14ppmであった。この
PCB濃度は、新規にIPAを用いた場合でも回収IP
Aを繰返し使用した場合でも変わらなかった。
【0027】溶媒回収工程:次に、前記紫外線照射後
の紫外線処理液(PCB濃度8〜14ppm)20リッ
トルを低温減圧条件(液温約44℃、加熱温度約70
℃、真空圧170mmHg)下で約14時間蒸留し、溶
媒回収残液6が5リットルになるまで濃縮した。このと
きの溶媒回収残液6のPCB濃度は32〜56ppmで
あった。回収IPA2a中にPCBは検出されなかっ
た。
の紫外線処理液(PCB濃度8〜14ppm)20リッ
トルを低温減圧条件(液温約44℃、加熱温度約70
℃、真空圧170mmHg)下で約14時間蒸留し、溶
媒回収残液6が5リットルになるまで濃縮した。このと
きの溶媒回収残液6のPCB濃度は32〜56ppmで
あった。回収IPA2a中にPCBは検出されなかっ
た。
【0028】微生物処理工程:前記5リットルの溶媒
回収残液6と、次に示す組成からなる培地7とを、当初
は490リットル(後述する溶菌液約50リットルを加
えるときは440リットル)となるように無菌的に培養
槽に供給した。ここで培地7は、イオン交換水にKH2
PO4(1.3g/リットル)、Na2HPO4(4g/リ
ットル)、(NH4)2SO4(1.0g/リットル)、M
gSO4・7H2O(0.1g/リットル)、FeSO4・
7H2O(5mg/リットル)、CaCl2(10mg/リ
ットル)、ZnSO4・7H2O(1.4mg/リット
ル)、MnSO4・5H2O(1.1mg/リットル)、
CuSO4・5H2O(0.25mg/リットル)、Co
SO4・7H2O(0.28mg/リットル)、H3BO3
(0.06mg/リットル)となるようにそれぞれ溶解
した最少培地に、炭素源としてビフェニル(0.31g
/リットル)を添加して調製した。PCB分解菌として
は、コマモナス・テストステロニ(Comamonas testoste
roni)TK102を用いた。この細菌は、前記のように
本出願人によりすでに工業技術院生命工学工業技術研究
所に寄託されている(受託番号:FERM,P−145
91)。その菌学的特徴は本出願人が先に特許出願した
特開平8−229385号公報の明細書中に記載されて
いる。この細菌を、3倍希釈したLB培地(バクト・ト
リプトン10g/リットル、酵母エキス5g/リットル、
塩化ナトリウム5g/リットル)で予め30℃、2日間
培養して増菌させ、この液10リットルを種菌8として
無菌的に前記培養槽に投入した。この操作によって、培
養液中のPCB濃度は500〜550ppbとなった。
この培養液を、液温30℃、pH6〜7、通気量0.4
VVM、平羽根タービン翼攪拌機の回転数140rpm
で3日間培養した。
回収残液6と、次に示す組成からなる培地7とを、当初
は490リットル(後述する溶菌液約50リットルを加
えるときは440リットル)となるように無菌的に培養
槽に供給した。ここで培地7は、イオン交換水にKH2
PO4(1.3g/リットル)、Na2HPO4(4g/リ
ットル)、(NH4)2SO4(1.0g/リットル)、M
gSO4・7H2O(0.1g/リットル)、FeSO4・
7H2O(5mg/リットル)、CaCl2(10mg/リ
ットル)、ZnSO4・7H2O(1.4mg/リット
ル)、MnSO4・5H2O(1.1mg/リットル)、
CuSO4・5H2O(0.25mg/リットル)、Co
SO4・7H2O(0.28mg/リットル)、H3BO3
(0.06mg/リットル)となるようにそれぞれ溶解
した最少培地に、炭素源としてビフェニル(0.31g
/リットル)を添加して調製した。PCB分解菌として
は、コマモナス・テストステロニ(Comamonas testoste
roni)TK102を用いた。この細菌は、前記のように
本出願人によりすでに工業技術院生命工学工業技術研究
所に寄託されている(受託番号:FERM,P−145
91)。その菌学的特徴は本出願人が先に特許出願した
特開平8−229385号公報の明細書中に記載されて
いる。この細菌を、3倍希釈したLB培地(バクト・ト
リプトン10g/リットル、酵母エキス5g/リットル、
塩化ナトリウム5g/リットル)で予め30℃、2日間
培養して増菌させ、この液10リットルを種菌8として
無菌的に前記培養槽に投入した。この操作によって、培
養液中のPCB濃度は500〜550ppbとなった。
この培養液を、液温30℃、pH6〜7、通気量0.4
VVM、平羽根タービン翼攪拌機の回転数140rpm
で3日間培養した。
【0029】菌体回収工程:次に、この培養処理後の
培養液9を、分離板型遠心分離機(遠心力10000
G、液供給量15リットル/h)で集菌し、約50〜5
5リットルの菌体液を得た。
培養液9を、分離板型遠心分離機(遠心力10000
G、液供給量15リットル/h)で集菌し、約50〜5
5リットルの菌体液を得た。
【0030】溶菌工程:前記菌体液11に、濃度が
0.1重量%となるように非イオン性界面活性剤である
ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル
(実施例1)またはポリオキシエチレン(23)ラウリ
ルエーテル(実施例2)、また濃度が1重量%となるよ
うに陰イオン性界面活性剤であるラウリル硫酸ナトリウ
ム(実施例3)またはアルキルベンゼンスルフォン酸ナ
トリウム(実施例4)を加え、液温をそれぞれ表1、表
2に示す温度に設定して約30分加温して溶菌させた。
0.1重量%となるように非イオン性界面活性剤である
ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル
(実施例1)またはポリオキシエチレン(23)ラウリ
ルエーテル(実施例2)、また濃度が1重量%となるよ
うに陰イオン性界面活性剤であるラウリル硫酸ナトリウ
ム(実施例3)またはアルキルベンゼンスルフォン酸ナ
トリウム(実施例4)を加え、液温をそれぞれ表1、表
2に示す温度に設定して約30分加温して溶菌させた。
【0031】得られた溶菌液14を次回の微生物処理
工程に供給しない場合と1〜3回繰返して循環使用した
場合について、培養時間と共に変化する培養液中のPC
B濃度を測定した。その結果を、実施例1、実施例2に
ついては表1に、また実施例3、実施例4については表
2に示す。
工程に供給しない場合と1〜3回繰返して循環使用した
場合について、培養時間と共に変化する培養液中のPC
B濃度を測定した。その結果を、実施例1、実施例2に
ついては表1に、また実施例3、実施例4については表
2に示す。
【0032】
【表1】
【表2】
【0033】表1および表2から、溶菌液14の循環/
非循環に係わらず、微生物処理工程における培養時間
の経過と共にPCB濃度が急速に低下していることがわ
かる。また溶菌液14を循環する効果については、使用
する界面活性剤の種類に係わらず、循環しない場合に培
養72時間でPCBが不検出となったものが、溶菌液1
4を1回循環した場合は48時間で不検出となり、溶菌
液循環の効果は明きらかである。また、1〜3回の循環
ではPCBの分解・消失速度はほとんど変化しないの
で、循環を繰り返すことにより、廃液量の減少と培地調
製用薬品費の低減とが同時に可能であることがわかる。
非循環に係わらず、微生物処理工程における培養時間
の経過と共にPCB濃度が急速に低下していることがわ
かる。また溶菌液14を循環する効果については、使用
する界面活性剤の種類に係わらず、循環しない場合に培
養72時間でPCBが不検出となったものが、溶菌液1
4を1回循環した場合は48時間で不検出となり、溶菌
液循環の効果は明きらかである。また、1〜3回の循環
ではPCBの分解・消失速度はほとんど変化しないの
で、循環を繰り返すことにより、廃液量の減少と培地調
製用薬品費の低減とが同時に可能であることがわかる。
【0034】
【発明の効果】(1)本発明の有機塩素化合物の分解方
法は、前記紫外線照射工程と溶媒回収工程と微生物処理
工程と菌体回収工程と溶菌工程とを含むものであるの
で、先行技術である2群の有機塩素化合物分解能を有す
る微生物の混合培養、または二段階培養処理よりもプロ
セスが簡単となり、しかも有害物質を生成せず短時間で
効率よくPCBなどの有機塩素化合物を分解処理するこ
とができる。 (2)本発明の有機塩素化合物の分解方法は、廃棄物と
なる菌体を溶菌する溶菌工程を含むので、簡易な設備で
廃棄物量を減少することができると共にこの溶菌液を微
生物処理工程に循環することにより有機塩素化合物の分
解効率を更に向上することができる。 (3)本発明の有機塩素化合物の分解方法においては、
培養液が再利用できるので、廃液量を低減することがで
きるばかりでなく培地に要する薬品費も軽減することが
できる。 (4)本発明の有機塩素化合物の分解方法は、高温・高
圧の操作を要しないため、高温・高圧反応に起因する有
害副成物を生成することがない。 (5)本発明の有機塩素化合物の分解方法は、PCB以
外の有機塩素化合物に対しても、紫外線照射工程と微生
物処理工程とを組合せ、かつ対象とする有機塩素化合物
を分解し得る微生物を選択することにより、短時間で効
率よく分解処理することができる。
法は、前記紫外線照射工程と溶媒回収工程と微生物処理
工程と菌体回収工程と溶菌工程とを含むものであるの
で、先行技術である2群の有機塩素化合物分解能を有す
る微生物の混合培養、または二段階培養処理よりもプロ
セスが簡単となり、しかも有害物質を生成せず短時間で
効率よくPCBなどの有機塩素化合物を分解処理するこ
とができる。 (2)本発明の有機塩素化合物の分解方法は、廃棄物と
なる菌体を溶菌する溶菌工程を含むので、簡易な設備で
廃棄物量を減少することができると共にこの溶菌液を微
生物処理工程に循環することにより有機塩素化合物の分
解効率を更に向上することができる。 (3)本発明の有機塩素化合物の分解方法においては、
培養液が再利用できるので、廃液量を低減することがで
きるばかりでなく培地に要する薬品費も軽減することが
できる。 (4)本発明の有機塩素化合物の分解方法は、高温・高
圧の操作を要しないため、高温・高圧反応に起因する有
害副成物を生成することがない。 (5)本発明の有機塩素化合物の分解方法は、PCB以
外の有機塩素化合物に対しても、紫外線照射工程と微生
物処理工程とを組合せ、かつ対象とする有機塩素化合物
を分解し得る微生物を選択することにより、短時間で効
率よく分解処理することができる。
【図1】 本発明の一実施形態を示すフロー図
1:PCB 2:IPA 2a;回収IPA 3:NaOH 4:水 5:紫外線処理液 6:溶媒回収残液 7:培地 8:種菌 9:培養液 10:菌体回収残液 11:菌体液 12:界面活性剤 13:加熱源 14:溶菌液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 酒井 晃三 東京都千代田区丸の内二丁目5番1号 三 菱重工業株式会社内 (72)発明者 浜田 高義 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内 (72)発明者 神吉 秀起 兵庫県神戸市兵庫区小松通五丁目1番16号 株式会社神菱ハイテック内 (72)発明者 上村 一秀 兵庫県神戸市兵庫区小松通五丁目1番16号 株式会社神菱ハイテック内 (72)発明者 金原 和秀 東京都国分寺市光町二丁目8番地38 財団 法人鉄道総合技術研究所内 (72)発明者 京谷 隆 東京都国分寺市光町二丁目8番地38 財団 法人鉄道総合技術研究所内 Fターム(参考) 2E191 BA12 BA13 BC05 BD17 BD20 4D037 AA11 AB14 BA18 BB08 CA07 4D040 DD01
Claims (6)
- 【請求項1】 有機溶媒および水の存在下で有機塩素化
合物に紫外線を照射する紫外線照射工程と、紫外線照射
後の紫外線処理液から前記有機溶媒を分離回収する溶媒
回収工程と、溶媒回収後の溶媒回収残液をこの溶媒回収
残液中の有機塩素化合物を分解し得る微生物で培養処理
する微生物処理工程と、培養処理後の培養液から菌体の
少なくとも一部を分離回収する菌体回収工程と、菌体回
収工程において回収された菌体を界面活性剤により溶菌
する溶菌工程とを含むことを特徴とする有機塩素化合物
の分解方法。 - 【請求項2】 前記有機溶媒が2−イソプロパノールで
あることを特徴とする請求項1に記載の有機塩素化合物
の分解方法。 - 【請求項3】 前記溶媒回収工程において回収された前
記有機溶媒の少なくとも一部を前記紫外線照射工程に循
環し再利用することを特徴とする請求項1または請求項
2に記載の有機塩素化合物の分解方法。 - 【請求項4】 前記微生物がコマモナス・テストステロ
ニ(Comamonas testosteroni)TK102であることを
特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の有機
塩素化合物の分解方法。 - 【請求項5】 前記溶菌工程で得られた溶菌液を前記微
生物処理工程に循環することを特徴とする請求項1〜請
求項4のいずれかに記載の有機塩素化合物の分解方法。 - 【請求項6】 前記有機塩素化合物がポリ塩化ビフェニ
ル(PCB)および有機塩素系農薬からなる群から選ば
れた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜
請求項5のいずれかに記載の有機塩素化合物の分解方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22057499A JP2001046547A (ja) | 1999-08-03 | 1999-08-03 | 有機塩素化合物の分解方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22057499A JP2001046547A (ja) | 1999-08-03 | 1999-08-03 | 有機塩素化合物の分解方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001046547A true JP2001046547A (ja) | 2001-02-20 |
Family
ID=16753128
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22057499A Withdrawn JP2001046547A (ja) | 1999-08-03 | 1999-08-03 | 有機塩素化合物の分解方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001046547A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013179890A (ja) * | 2012-03-02 | 2013-09-12 | Yamagata Univ | 新規微生物及びこれを用いるポリ塩化ビフェニルの分解方法 |
-
1999
- 1999-08-03 JP JP22057499A patent/JP2001046547A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013179890A (ja) * | 2012-03-02 | 2013-09-12 | Yamagata Univ | 新規微生物及びこれを用いるポリ塩化ビフェニルの分解方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20061003 |