JP2001042757A - 原子線ホログラフィ用のホログラム板およびそれを用いた原子線ホログラフィによるパターン形成方法 - Google Patents

原子線ホログラフィ用のホログラム板およびそれを用いた原子線ホログラフィによるパターン形成方法

Info

Publication number
JP2001042757A
JP2001042757A JP11213579A JP21357999A JP2001042757A JP 2001042757 A JP2001042757 A JP 2001042757A JP 11213579 A JP11213579 A JP 11213579A JP 21357999 A JP21357999 A JP 21357999A JP 2001042757 A JP2001042757 A JP 2001042757A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
membrane
pixel
atomic beam
branch
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP11213579A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3402273B2 (ja
Inventor
Junichi Fujita
淳一 藤田
Fujio Shimizu
富士夫 清水
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NEC Corp
Original Assignee
NEC Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NEC Corp filed Critical NEC Corp
Priority to JP21357999A priority Critical patent/JP3402273B2/ja
Publication of JP2001042757A publication Critical patent/JP2001042757A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3402273B2 publication Critical patent/JP3402273B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Holo Graphy (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】原子線ホログラフィによるパターン形成時にお
ける0次光の消去が可能なホログラム板を提供する。 【解決手段】複素透過関数の実数部の正値および負値に
対応してピクセル107a,108aがホログラム板1
02に設けら、ピクセル107aは2本の分岐電極10
3aaあるいは2本の分岐電極104aaに挟まれ、ピ
クセル108aは分岐電極103aaと分岐電極104
aaとに挟ませれいる。電極103aと電極104bと
の間に所要の電位差を加えて、0次光を消去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子線ホログラフ
ィに用いるホログラム板の構造と、それを用いた原子線
ホログラフィによるパターン形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ホログラフィを利用して微細パターンの
再生像を例えば半導体基板上へ転写する技術が、注目を
浴びつつある。例えば超LSI製造の分野では、ホログ
ラフィによるパターン転写技術は、超微細リソグラフィ
の一手法として位置づけられている。
【0003】従来より超LSI製造に使用されるリソグ
ラフィはステッパ・リソグラフィであり、レジストが塗
布された半導体基板に対して光露光を行なってフォト・
マスクのパターン転写を行なっている。このようなリソ
グラフィでは、その光学系に多くのレンズを用いること
から複雑な調整作業が必要であり、フォト・マスクに付
着した1つの「ゴミ」が転写パターンに「欠陥」を形成
してしまうという致命的な欠点がある。
【0004】これに対してホログラフィによる再生像を
利用したパターン転写では、複雑なレンズ系を必要とせ
ずに実行することが可能である。また、ホログラフィで
は、ホログラム板に通過穴(ピクセル)として記録され
たパターン情報はホログラム板の全面に分散して設けら
れているため、ホログラム板に多少の物理的欠格が発生
しても、再生像に致命的な欠陥を生じることは極めて少
なくなる。すなわち、ホログラフィによるパターン転写
技術は、「欠陥」に強いという特徴を有している。
【0005】さらに、ホログラフィによるパターン転写
技術では、記録した時と同じ光学系を用いて再生像を形
成する場合、収差が無くなる特徴がある。この場合、最
終的なパターンの分解能は波長により決定される。縮小
光学系を用いる現行のステッパ・リソグラフィではレン
ズ収差によりパターンの分解能が決定している。このよ
うなことから、ホログラフィを用いるならば、ステッパ
・リソグラフィに比べて、簡単な光学系を用いて理想的
には波長限界での高分解能のパターン形成が可能にな
る。
【0006】しかしながら、「光」あるいは電子線によ
るホログラフィをリソグラフィに利用する場合、レジス
ト内での散乱等(による分解能の実質的な低下)を回避
することは不可能であり、レンズ収差による影響よりは
低いものの波長限界程度の高分解能は得られにくくな
る。この課題を解決するために、本発明者等は、ネイチ
ャー(Nature),第380巻,691〜694頁
(1996年)、フィジカル・レビュー・レターズ(P
hys.Rev.Lett.),第77巻,第5号,8
02〜805頁(1996年)、または、応用物理誌,
第65巻,第9号,912〜918頁(1996年)に
おいて報告し、さらには、米国特許第5,838,46
8号明細書(1998年,11月,17日)において、
以下の手法を開示した。ここでは、バイナリ・ホログラ
ムン板を用い,(原子のド・ブロイ波である)コヒーレ
ントな原子線を利用したインテンシティ・ホログラフィ
により、基板表面に「原子」を直接の堆積して再生像
(パターン)形成を行なっている(第1の従来技術)。
このような原子線ホログラフィによりパターン形成は、
レジスト・パターンの形成を介せずに行なうことからも
画期的なパターン形成方法であり、単に、半導体装置に
おけるリソグラフィとしてのみ機能するものではなく、
他の産業分野での微細パターンの形成あるいは微細加工
用のパターンの形成などに広く適用できる方法である。
【0007】原子線ホログラフィの概略図である図15
(a)と、Ne原子のエネルギー準位の変化の図である
図15(b)とを参照して、本発明者等による上記報告
類の概要を説明する。
【0008】Ne原子は、放電部分451によるグロー
放電により最低励起状態(1s5 )のNe原子(Ne
* )として放出され、偏向器452によりイオン等が除
去される。これらのNe原子は、ゼーマン減速器453
により第1段の冷却が行なわれる。続いて、1S5 状態
と2p9 状態との間の遷移を利用して、冷却レーザ45
5の照射によるフォトンとの衝突により、Ne* は減速
して第2段の冷却が行なわれる。さらに、磁気光学トラ
ップ454による4重極磁場と上記冷却レーザ455を
含めたこれと同一波長の(4方向からの)トラップレー
ザ456とによりNe* はトランプされる。この状態で
トランスファレーザ457が照射されて、Ne* はトラ
ップ状態から開放されて、重力場を自由落下するNe原
子線になる。このトラップ状態からの開放により、Ne
* は、1s5 状態から2p5 状態に遷移し,さらにフォ
トンの放出して、1s3 状態になる。
【0009】所要の通過穴(ピクセル)が形成されたホ
ログラム板402を通過した原子線Ne* 1s3 は、基
板421に(Ne原子が堆積してなる)再生像421の
パターンを形成する。同時に、(再生像の)虚像422
とホログラム板402の(支持枠に設けられた)窓の形
状に対応したホログラム・シャドー423とが形成され
る。この場合のホログラム・シャドー423は原子線の
非回折光からなり、特に「0次光」と称される。この0
次光であるホログラム・シャドー423は、光軸が基板
と交差する部分を含めてその近傍に形成される。
【0010】ホログラム板402に設けられるピクセル
は、次のようにして設定される。まず、元絵をフーリェ
変換して複素透過関数g(x,y)が得られる。このg
(x,y)の実数部が、g(x,y)とこれの共役複素
透過関数g* (x,y)との和の1/2から得られる。
この実数部におけるしきい値(正数)以上の正値が(1
00%通過と0%通過とに)2値化されて、ホログラム
板402(の窓)に設けられたメンブレンにピクセルと
して設けられる。
【0011】上記方法によるNe原子線の発生時のドブ
ロイ波長は約7nmとなり、基板到達時には加速されて
0.1nmオーダの波長になる。このことから、上記ホ
ログラフィによるパターン形成では、0.1nm程度
(オングストローム・オーダ)の高分解能が得られる。
また、この原子線ホログラフィは、Ne原子線のみに適
用されるものではなく、上記ゼーマン減衰器と磁気光学
トラップとのそれぞれの磁気分布,上記冷却レーザ並び
にトラップ・レーザとトランスファレーザとのそれぞれ
の波数を適宜選択制定することにより、例えばNa,A
l,Si,Ni,Ag等の金属原子、Cl,F等のハロ
ゲン原子、B,P,As等の原子、その他の原子など、
Ne以外の原子の原子線を得ることが可能である。
【0012】さらに本発明者等は、特許公報第2830
849号(1998年9月25日)に上記方法とは相違
した(フェイズ・ホログラフィを利用した)原子線ホロ
グラフィの手法(第2の従来技術)を開示した。この原
子線ホログラフィでは、ホログラム板の表面に1次元も
しくは2次元に規則的にピクセルを配置し、一対の電極
もしくは1本の配線をそれぞれのピクセルに独立に設け
て、(透過関数による情報をピクセル位置に置き換える
のではなく)ホログラム板のそれぞれの電極もしくは配
線に接続さたCPUを元絵にもとずいて駆動して、それ
ぞれのピクセルの位置に対応した電界もしくは磁界を加
えることにより、基板表面に原子線をフォーカスさせて
再生像を形成する。
【0013】この方法は2次のシュタルク(Star
k)効果による電界変調もしくは磁界変調を利用したも
のであり、原子線の位相が電界もしくは磁界の2乗で変
調されて再生像が形成される。この手法を用いるなら
ば、原理的には0次光の形成が回避される。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】インテンシティ・ホロ
グラフィによる上記第1の従来技術は、ホログラム板の
構成自体は簡潔であるが、0次光の発生を回避すること
が不可能である。このため、基板表面における光軸に交
差する近辺への再生像を形成を回避しなければならな
い。しかしながら、通常、基板表面における光軸に交差
する近辺は、最も高精度,高密度のパターンを形成した
い場所である。
【0015】一方、フェイズ・ホログラフィによる上記
第2の従来技術によれば、CPUを介してホログラム板
に伝達する電気情報をさらに加工することにより、0次
光を発生することなく再生像を得ることが原理的には可
能になる。ところが、これに用いるホログラム板では、
個々のスリット・アレイに属する電極対をそれぞれ独立
して設ける必要があることから、ホログラム板の電極の
形成が極めて複雑になる。
【0016】したがって本発明の目的は、(バイナリ・
ホログラフィであり,インテンシティ・ホログラフィで
ある原子線ホログラフィに用いるホログラム板におい
て)0次光の消去が可能な手段を有したホログラム板を
提供し、そのホログラム板を用いた原子線ホログラフィ
によるパターン形成方法を提供することにある。さらに
本発明の目的は、フェイズ・ホログラフィに供するホロ
グラム板より簡単な構造の電極から構成された電界変調
手段を有するホログラム板を提供し、それを用いた原子
線ホログラフィによりパターン形成方法を提供すること
にある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の原子線ホログラ
フィ用のホログラム板の特徴は、支持枠とメンブレンと
から構成されて,コヒーレントな原子線を用いて行なわ
れる原子線ホログラフィ用のホログラム板において、元
絵をフーリェ変換して得られる複素透過関数の実数部に
おける第1のしきい値以上の正値を符号化(エンコー
ド)してなる複数の第1のピクセルと、この実数部にお
ける第2のしきい値以下の負値をエンコードしてなる複
数の第2のピクセルとが、全てのこれらの第1のピクセ
ルを通過する原子線の線量と全てのこれらの第2のピク
セルを通過する原子線の線量とが概ね等しくなるよう
に、上記メンブレンに設けられ、上記メンブレンは上記
第1のピクセルを通過する原子線に対する上記第2のピ
クセルを通過する原子線の位相差がπとなる電界変調手
段を有することにある。
【0018】好ましくは、上記メンブレンの表面が保護
膜により覆われている。あるいは、上記支持枠の底面を
加熱する手段を有している。
【0019】本発明の原子線ホログラフィ用のホログラ
ム板の好ましい第1の態様は、上記電界変調手段が上記
メンブレンの表面および裏面のうちの一方にのみに設け
られており、この電界変調手段が第1の電圧に印加され
た第1の電極と第2の電圧に印加された第2の電極とか
らなり、複数の第1の分岐電極が上記第1の電極に接続
され、複数の第2の分岐電極が上記第2の電極に接続さ
れており、隣接した上記第1の分岐電極と上記第2の分
岐電極と間の間隔が所要の値に設定され、上記第1およ
び第2のピクセルのうちの一方のみが上記第1の分岐電
極と上記第2の分岐電極との間に設けられて、これらの
第1および第2のピクセルのうちの一方には上記第1の
電圧および上記第2の電圧と上記所要の値とで規定され
る電界が上記ホログラム板の表面に平行に加えられ、上
記第1および第2のピクセルのうちの他方には0の値の
電界が加えられている。
【0020】本発明の原子線ホログラフィ用のホログラ
ム板の好ましい第2の態様は、上記メンブレンの膜厚が
所要膜厚からなり、上記電界変調手段が、上記メンブレ
ンの表面および裏面のうちの一方に設けられた第1およ
び第2の電極と、このメンブレンの表面および裏面のう
ちの他方に設けられた1つの第3の電極とからなり、上
記第1,第2および第3の電極はそれぞれ第1,第2お
よび第3の電圧に印加され、複数の第1の分岐電極がこ
の第1の電極に接続され、複数の第2の分岐電極がこの
第2の電極に接続されており、上記第1のピクセルは第
1の短辺および第1の長辺を有した第1の矩形からな
り,これらの第1のピクセルの周辺が上記第1の分岐電
極と上記第3の電極とに取り囲まれて設けられ、上記第
2のピクセルは第2の短辺第2の長辺を有した第2の矩
形からなり,これらの第2のピクセルの周辺が上記第2
の分岐電極とこの第3の電極とに取り囲まれて設けられ
ており、上記第1のピクセルには、上記第1の電圧と第
3の電圧との電位差,上記所要膜厚,上記第1の短辺の
長さおよび上記第1の長辺の長さにより規定される第1
の電界が上記メンブレンの表面に垂直に加えられ、上記
第2のピクセルには、上記第2の電圧と上記第3の電圧
との電位差,上記所要膜厚,上記第2ピクセルの短辺の
長さおよび上記第1の長辺の長さにより規定される第2
の電界が、上記メンブレンの表面に垂直に加えられてい
る。
【0021】本発明の原子線ホログラフィ用のホログラ
ム板の好ましい第3の態様は、上記メンブレンの膜厚が
所要膜厚からなり、上記電界変調手段が、上記メンブレ
ンの表面に設けられた1つの第1の電極と、このメンブ
レンの裏面に設けられた1つの第2の電極とからなり、
上記第1および第2の電極はそれぞれ第1および第2の
電圧に印加されており、上記第1のピクセルは第1の短
辺を有した矩形からなり、上記第2のピクセルは第2の
短辺を有した矩形からなり、上記メンブレンの表面にお
いてこれらの第1および第2のピクセルの周辺は上記第
1の電極に取り囲まれ、このメンブレンの裏面において
これらの第1および第2のピクセルの周辺は上記第2の
電極に取り囲まれており、上記第1のピクセルには、上
記第1の電圧と上記第2の電圧との電位差,上記所要膜
厚,上記第1の短辺の長さおよび上記第1の長辺の長さ
により規定される第1の電界が、上記メンブレンの表面
に垂直に加えられ、上記第2のピクセルには、上記第1
の電圧と上記第2の電圧との電位差,上記所要膜厚,上
記第2の短辺の長さおよび上記第2の長辺の長さにより
規定される第2の電界が、上記メンブレンの表面に垂直
に加えられている。
【0022】本発明の原子線ホログラフィによるパター
ン形成方法の特徴は、放電部分により原子を励起し、ゼ
ーマン減速器と冷却レーザと磁気光学トラップおよびト
ラップレーザとを用いてこの原子を冷却してトラップ
し、さらに、この原子にトランスファレーザを照射して
コヒーレントな原子線を発生し、支持枠およびメンブレ
ンから構成されたホログラム板を通過したこの原子線に
より基板に再生像を形成する原子線ホログラフィによる
パターン形成方法において、元絵をフーリェ変換して得
られる複素透過関数の実数部における第1のしきい値以
上の正値をエンコードしてなる複数の第1のピクセル
と、この実数部における第2のしきい値以下の負値をエ
ンコードしてなる複数の第2のピクセルとを、全てのこ
れらの第1のピクセルを通過する原子線の線量と全ての
これらの第2のピクセルを通過する原子線の線量とが概
ね等しくなるように、メンブレンに形成し、さらに、上
記第1のピクセルを通過する原子線と上記第2のピクセ
ルを通過する原子線との位相差がπとなる電界変調手段
を上記メンブレンに形成し、上記ホログラム板を用い
て、このホログラム板を通過する上記原子線の0次光を
消去する点にある。
【0023】好ましくは、上記メンブレンの表面が保護
膜により覆われたホログラム板が用いられる。あるい
は、上記支持枠の底面を加熱する手段を有したホログラ
ム板が用いられる。
【0024】さらに好ましくは、それぞれの原子の応じ
て、上記ゼーマン減速器と磁気光学トラップとの磁気分
布をそれぞれ設定し、上記冷却レーザ並びにトラップレ
ーザとトランスファレーザとの波長をそれぞれ設定し
て、それぞれの原子線を形成し、それぞれの原子線に応
じて、上記第1のピクセルおよび第2のピクセルに形成
される電界を設定し、同一のホログラム板を用いて、複
数の種類からなる原子線により再生像を形成する。
【0025】本発明の原子線ホログラフィによるパター
ン形成方法の好ましい第1の態様は、上記電界変調手段
が上記メンブレンの表面および裏面のうちの一方にのみ
に形成され、上記電界変調手段により、上記1および第
2のピクセルのうちの一方には、上記メンブレンの面に
平行(横方向)に所定の電界が加えられて、これらの1
および第2のピクセルのうちの一方を通過する上記原子
線の位相がπだけ変調され、さらに、上記電界変調手段
により、上記第1および第2のピクセルのうちの他方に
は、上記メンブレンの面に平行に0の値の電界が加えら
れる。
【0026】上記第1の態様において、好ましくは、上
記電界変調手段が第1および第2の電極から形成され、
この第1の電極には複数の第1の分岐電極が接続され,
第1の電圧に印加され、この第2の電極には複数の第2
の分岐電極が接続され,第2の電圧に印加され、さら
に、隣接したこの第1の分岐電極とこの第2の分岐電極
と間の間隔が所要の値に設定され、さらに、上記1およ
び第2のピクセルのうちの一方が、上記第1の分岐電極
と上記第2の分岐電極との間に形成されて、上記原子線
と上記所要の値とに応じて、上記第1の電圧と上記第2
の電圧との間の電位差が設定されて、上記所定の電界が
決定される。
【0027】本発明の原子線ホログラフィによるパター
ン形成方法の好ましい第2の態様は、上記メンブレンの
膜厚が所要膜厚からなり、上記第1のピクセルが第1の
短辺と第2の長辺とを有した第1の矩形からなり、上記
第2のピクセルが第2の短辺と第2の長辺とを有した第
2の矩形からなり、上記電界変調手段の一部が上記メン
ブレンの表面に形成され、この電界変調手段の残部がこ
のメンブレンの裏面に形成され、上記電界変調手段によ
り、上記1のピクセルには上記メンブレンの表面に垂直
に第1の電界を加え,上記第2のピクセルにはこのメン
ブレンの表面に垂直に第2の電界を加えて、これらの第
1のピクセルと第2のピクセルとを通過するそれぞれの
上記原子線の位相差をπにする。
【0028】上記第2の態様において、好ましくは、上
記電界変調手段が、上記メンブレンの表面および裏面の
うちの一方に設けられた第1および第2の電極とこのメ
ンブレンの表面および裏面のうちの他方に設けられた1
つの第3の電極とからなり、この第1,第2および第3
の電極はそれぞれ第1,第2および第3の電圧に印加さ
れ、複数の第1の分岐電極がこの第1の電極に接続さ
れ、複数の第2の分岐電極がこの第2の電極に接続され
ており、上記第1のピクセルの周辺が上記第1の分岐電
極と上記第3の電極とに取り囲まれ、上記第2のピクセ
ルの周辺が上記第2の分岐電極とこの第3の電極とに取
り囲まれており、上記第1および第2の分岐電極のうち
の一方に取り囲まれたピクセルには、上記第1の電圧と
上記第3の電圧との電位差,上記所要膜厚,上記第1の
短辺の長さおよび上記第1の長辺の長さにより規定され
た第1の電界が上記メンブレンの表面に垂直に加えら
れ、上記第2のピクセルには、上記第2の電圧と上記第
3の電圧との電位差,上記所要膜厚,上記第2の短辺の
長さおよび上記第2の長辺の長さにより規定される第2
の電界が、上記メンブレンの表面に垂直に加えられる。
【0029】上記第2の態様において、さらに好ましく
は、上記電界変調手段が、上記メンブレンの表面に設け
られた1つの第1の電極とこのメンブレンの裏面に設け
られた1つの第2の電極とからなり、この第1および第
2の電極にはそれぞれ第1および第2の電圧に印加さ
れ、上記メンブレンの表面において上記第1および第2
のピクセルの周辺は上記第1の電極に取り囲まれ、この
メンブレンの裏面においてこれらの第1および第2のピ
クセルの周辺は上記第2の電極に取り囲まれており、上
記第1のピクセルには、上記第1の電圧と上記第2の電
圧との電位差,上記所要膜厚,上記第1の短辺の長さお
よび上記第1の長辺の長さにより規定される第1の電界
が、上記メンブレンの凹面に垂直に加えられ、上記第2
のピクセルには、上記第1の電圧と上記第2の電極との
電位差,上記所要膜厚,上記第2の短辺の長さおよび上
記第2の長辺の長さにより規定される第2の電界が、上
記メンブレンの表面に垂直に加えられる。
【0030】
【発明の実施の形態】まず、具体的な本発明の実施の形
態の説明を行なうに先だって、本発明の作用原理を説明
する。
【0031】バイナリ・ホログラム板を用いるインテン
ンシティ・ホログラフィでは、上述したように、複素透
過関数の実数部における(第1の)しきい値(正数)以
上の正値に対応して、ホログラム板の表面に(第1の)
ピクセルが設けられている。この場合、ホログラム板の
表面に位相情報が付加する手段を有しないことから、ホ
ログラム板表面の実平面上に複素透過関数の実数部の負
値に対応する(負の値の振幅を有した透過関数に対応す
る)ピクセルを物理的に表現することは不可能になる。
【0032】上記第1の従来技術において、0次光が発
生する原因は、複素透過関数における上記負値を無視し
てホログラム板表面に(第1の)ピクセルのみを設けた
ためである。0次光は、(第1の)ピクセルを透過する
(正値に対応した)透過原子線の非回折光により形成さ
れる。一方、上記第2の従来技術では、上述した(ピク
セルに対応する)スリット・アレイに付随する電極対等
を利用して、それぞれのスリットを透過するコヒーレン
トな原子線をそれぞれ位相変調することから、本来負値
に対応した非実体的な原子線も位相がπだけ変調されて
実体化された第2の透過原子線に変換することが可能と
なる。結果としてこのような第2の透過原子線が形成さ
れる場合、(正値に対応した)第1の透過原子線の非干
渉光と(上記負値に対応した)第2の透過原子線の非干
渉光とが基板表面において干渉し、0次光が消去さるこ
とになる。
【0033】本発明では、インテンシティ・ホログラフ
ィのホログラム板において、球面収差に対する補正を加
味した複素透過関数の実数部における正数からなるしき
い値(第1のしきい値)以上の正値に対応して、ホログ
ラム板の表面には第1のピクセルが設けられる。さら
に、この実数部における負数からなるしきい値(第2の
しきい値)以下の負値に対応して、ホログラム板の表面
に(2値化された)第2のピクセルが設けられる。この
とき、第1のピクセルの開口面積の和が概ね第2のピク
セルの開口面積の和に等しいように設定される。
【0034】さらに、第1,第2のピクセルにはそれぞ
れ電界変調手段が設けられる。このとき、全ての第1の
ピクセルにおいて変調される位相の値が等しくなり,全
ての第2のピクセルにおいて変調される位相が等しくな
り、さらに、第1のピクセルと第2のピクセルとをそれ
ぞれ通過して変調された第1および第2の透過原子線の
位相差がπになるように、電界変調手段が設定される。
【0035】その結果、第1のピクセルを通過した第1
の透過原子線の非回折光と、第2のピクセルを通過した
第2の透過原子線の非回折光との間の干渉により、透過
原子線の0次光としてのホログラム・シャドーの形成は
回避されることになる。
【0036】次に、図面を参照して本発明を説明する。
【0037】本発明の第1の実施の形態によるホログラ
ム板では、ホログラム板の表面および裏面のうちの一方
に設けられた電界変調手段により、第1のピクセルには
ホログラム板の表面(あるいは裏面)に平行な方向に0
の値の電界が加えられ、第2のピクセルにはホログラム
板の表面(あるいは裏面)に平行な方向に位相変調がπ
になる値の電界が加えられる。電界変調手段は一対の電
極(第1,第2の電極)から構成されており、第1,第
2の電極にはそれぞれ複数の第1,第2の分岐電極が接
続されている。
【0038】まず、ホログラム板の主要部の平面模式図
である図1を参照して、本発明の本第1の実施の形態の
第1の実施例のホログラム板の構成の概要を説明する。
図1において、理解を容易にするために、第2のピクセ
ルには紙面に対して斜め左下りの対角線を記してある。
【0039】本第1の実施例のホログラム板102a
は、シリコン単結晶板が加工されてなる支持枠と、支持
枠の表面に設けられたメンブレン131aとからなる。
メンブレン102aの膜厚は、例えば100nmである
(が、これに限定されるものではない)。このメンブレ
ン102aは、例えば窒化シリコン膜のような絶縁膜、
あるいは例えば酸化シリコン膜/窒化シリコン膜/酸化
シリコン膜のような積層絶縁膜からなる。
【0040】第1の電極103a,第2の電極104a
はそれぞれホログラム板102a(メンブレン131
a)の表面にそれぞれ隔てられてX方向に平行に設けら
れている。ホログラム板102a(メンブレン131
a)の表面にY方向に平行に設けられた例えば複数の第
1の分岐電極103aaは電極103aに櫛形に接続さ
れ、ホログラム板102a(メンブレン131a)の表
面にY方向に平行に設けられた例えば複数の第2の分岐
電極104aaは電極104aに櫛形に接続されてい
る。分岐電極103aaの本数と分岐電極104aaの
本数との差は±1本であり、X方向の端部の一方を除い
て2本の分岐電極103aaと2本の分岐電極104a
aとが交互に配置されている。
【0041】電極103a,電極104a,分岐電極1
03aaおよび分岐電極104aaは、EBリソグラフ
ィを用いたリフトオフにより、例えばそれぞれ白金から
形成されている。なお、本第1の実施例では電極103
a,電極104a,分岐電極103aaおよび分岐電極
104aaをホログラム板102a(メンブレン131
a)の表面に設けたが、これに限定されるものではな
く、電極103a,電極104a,分岐電極103aa
および分岐電極104aaをホログラム板102a(メ
ンブレン131a)の裏面に設けてもよい。
【0042】ピクセル107aは隣接した2本の分岐電
極103aaに挟まれた第1の空隙部と隣接した2本の
分岐電極104aaに挟まれた第2の空隙部とに設けら
れ、ピクセル108aは隣接した分岐電極103aaと
分岐電極104aaとに挟まれた第3の空隙部に設けら
れている。第1の空隙部の個数と第2の空隙部の個数と
の和は、第3の空隙部の個数に等しくなっている。ピク
セル107a,108aは、EBリソグラフィを用いた
メンブレン131aの異方性エッチングにより形成され
る。
【0043】分岐電極103aa,104aaの線幅は
例えば1.0μm程度であり、第1,第2および第3の
空隙部の幅はそれぞれ例えば1.0μm程度(=所要の
値)である。電極103aと電極104aとの間の電位
差が所要の電位差になっている。ピクセル107aに
は、ボログラム板102aの表面に平行に0V/cmの
電界が加えられている。ピクセル108aには、ホログ
ラム板102aの表面(のX方向)に平行に、分岐電極
103aaと分岐電極104aaとの間隔と所要の電位
差とにより決定される所要の値の電界が加えられる。所
要の値は原子線を構成する「原子」に依存し、ピクセル
107aを透過する原子線の位相の電界変動は0であ
り,ピクセル108aを透過する原子線の位相の電界変
動はπになっている。すなわち、本第1の実施例では、
X方向に0,π,0,……,πとなるように空隙部が設
定されている。
【0044】ピクセル107aは、上述した(球面収差
を加味した)複素透過関数の実数部における第1のしき
い値以上の正値に対応した位置と、上記分岐電極103
a,104aにより規定された上記第1,第2の空隙部
による位置の制約との論理積から決定される。したがっ
て、本第1の実施例におけるピクセル107aが設けら
れる個数(あるいはピクセル107aの開口面積の和)
が上記第1の従来技術におけるピクセルの個数(あるい
は開口面積の和)の約1/4程度(の残存率)になる。
同様に、ピクセル108aも、複素透過関数の実数部に
おける第2のしきい値以下の負値に対応した位置と、分
岐電極103a,104aの存在による上記第3の空隙
部による位置の制約との論理積から決定されて、(最大
限の第2のピクセルの)約1/4程度が実体化して設け
られることになる。なお、図1において、ピクセル10
7a,108aを1μm□の正方形として示したが、ピ
クセル107a,108aの形状はこれに限定されるも
のではなく、本第1の実施例では、X方向に短辺が設け
られ、これらの短辺が1μm以下の矩形であればよい。
【0045】次に、元絵の概略図である図2(a)と、
第1,第2のピクセルの配置を示す部分拡大した平面模
式図である図2(b)と、再生像の模式図である図3と
を参照して、本第1の実施例をNe原子線に適用した場
合の適用例による原子線ホログラフィによるパターン形
成方法を説明する。なお、図2(a)において、第1の
電極103a,第2の電極104a,第1の分岐電極1
03aaおよび第2の分岐電極104aaの図示は省略
してあるが、第1の分岐電極,第2の分岐電極の線幅は
1.0μm程度であり、第1の分岐電極同志の間隔,第
2の分岐電極同志の間隔および第1の分岐電極と第2の
分岐電極との間隔はそれぞれ1.0μm程度である。
【0046】「F」と「J」とからなる元絵101aを
含めて512×512に分割し,それに対応した複素透
過関数により形成される上記位置と上記論理積とによ
り、第1のピクセル107a,第2のピクセル108a
が配置される。元絵101aにおける「F」と「J」と
の間の間隔は、1/2次ずれた再生像との間隔に対応し
て配置されている。第1,第2の分岐電極は、それぞれ
129本,128本ずつ設けられている。2本の第1の
分岐電極の間および2本の第2の分岐電極の間に設けら
れた第1のピクセル107aは、一辺が1.0μmの正
方形のものと、X方向に1.0μmの短辺を有した矩形
とからなる。第1の分岐電極と第2の分岐電極との間に
設けられた第2のピクセル108aも、一辺が1.0μ
mの正方形のものと、X方向に1.0μmの短辺を有し
た矩形とからなる〔図2(a),(b)〕。
【0047】第1の分岐電極103aaと第2の分岐電
極104aaとの間の所定の電位差は1.0V程度であ
り、ピクセル108aにはホログラム板102aの表面
のX方向に平行に104 V/cm程度の電界が加えられ
る。その結果、Ne原子線の場合、複素透過関数の実数
部の負値に対応した原子線の位相は変調されずに、複素
透過関数の実数部の負値に対応した原子線の位相のみが
πだけ電界変調されることになる。ホログラム板102
aのピクセル107a,108aの配置に対応して、電
界変調されるNe原子線の位相差は、例えば、(ホログ
ラム板102aの表面のX方向に)……,0,π,0,
π,…,π,……となる〔図2(b)〕。
【0048】ホログラム板402の代りにホログラム板
102aを用いて、上記第1の従来技術と同様の方法に
より、Neの原子線によるパターンが以下のとおりに形
成される。
【0049】Ne原子は、放電部分によるグロー放電に
より最低励起状態(1s5 )のNe原子(Ne* )とし
て放出され、偏向器によりイオン等が除去される。これ
らのNe原子は、ゼーマン減速器により第1段の冷却が
行なわれる。ゼーマン減速器の出口でのNe原子の速度
は数十m/secである。続いて、1S5 状態と2p 9
状態との間の遷移を利用して、冷却レーザの照射による
フォトンとの衝突により、Ne* は減速して第2段の冷
却が行なわれる。さらに、磁気光学トラップによる4重
極磁場と上記冷却レーザを含めたこれと同一波長の(4
方向からの)トラップレーザとによりNe* はトランプ
されて直径50μm以下の原子雲の状態になり、Ne原
子の温度は50μK程度になる。この状態でトランスフ
ァレーザが照射されて、Ne* はトラップ状態から開放
されて、重力場を自由落下するNe原子線になる。上記
冷却レーザおよびトララップレーザは、例えばHe−N
eレーザからなり、波長は620nmである。トランス
ファレーザの波長は598nmである。このトラップ状
態からの開放により、Ne* は、1s5 状態から2p5
状態に遷移し,さらにフォトンの放出して、1s3 状態
になる。
【0050】この状態で自由落下したNe* 原子線はホ
ログラム板102aのピクセル107a,108aを通
過して、基板120aに到達する。これにより、 基板
120aの表面に、Ne* 原子線による1次の再生像1
21aと、±1/4次の再生像121aaと、±1/2
次のホログラム・シャドー123aとが得られる。本第
1の実施例の本適用例では、複素透過関数に球面収差補
正を取り込んでいることから、図示は省略するが、デフ
ォーカスされた虚像が(極めて薄く)形成される。
【0051】この方法によるNe原子線の発生時のドブ
ロイ波長は約7nmとなり、基板120a到達時には加
速されて0.1nmオーダの波長になる。このことか
ら、上記ホログラフィによるパターン形成では、0.1
nm程度(オングストローム・オーダ)の高分解能が得
られる。基板120aには、荷電粒子検出機能が設けら
れている〔図3〕。
【0052】本第1の実施例の適用例では、上記第1の
従来技術において発生した0次のホログラム・シャドー
(0次光)423の発生は回避される。その結果、本適
用例よれば、光軸が基板に直交する部分を含めてその近
傍に再生像を形成するように元絵を設定することが可能
になる。
【0053】0次光の発生が回避されるのは、(複素透
過関数の実数部の負値に対応して横方向に104 V/c
mの電界が加えられた第2のピクセル108aを通過す
ることにより,πだけ位相が変調されて,実体化され
た)第2の透過原子線が存在するためである。この第2
の透過原子線と、位相変調を受けずに第1のピクセル1
07aを透過した第1の透過原子線との干渉により、0
次光が消滅する。明確な姿態を有して上記ホログラム・
シャドー123aが形成されるのは、上記第1,第2,
第3の空隙部の配置が、規則的に行なわれているためで
ある。また、再生像121aaが形成されるのも、第
1,第2,第3の空隙部がそれぞれY方向に平行に規則
的に設けられているためである。
【0054】本第1の実施例の上記適用例は本第1の実
施例をNeの原子線に適用したものであるが、本第1の
実施例はこれに限定されるものではない。本第1の実施
例では、「原子」の種類に応じてゼーマン減速器と磁気
光学トラップとの磁気分布をそれぞれ設定し,冷却レー
ザ並びにトラップレーザとトランスファレーザとの波長
をそれぞれ設定し、さらに、所要の値の電界を設定する
このが容易である。例えば基板をシリコン基板として、
Alによる原子線を採用するならば、オングストローム
・オーダーのギャップを有した極微細パターンからなる
1電子トランジスタ(SET;single−elec
tron−transistor)の形成が容易にな
る。また、Feの原子線によるプラスチック・フィルム
からなる基板の表面へのパターン形成により、超高密度
の磁気記憶装置を形成することもできる。この他、(基
板を適宜選択して)他の金属原子,あるいは非金属原子
によるパターン形成も容易である。さらには、同じホロ
グラム板を採用して、複数種類の原子からなるパターン
形成も可能になる。
【0055】本第1の実施例によるホログラム板102
aを用い,長時間費やしてパターン形成を行なう場合、
「原子」がメンブレン131aの表面に付着し、分岐電
極103aaと分岐電極104aaとの間の短絡,ホロ
グラム板102a表面のチャージ・アップ,分岐電極1
03aa等の腐食などが発生することがある。ホログラ
ム板の断面模式図である図4(a),(b)は、これら
を回避する手段を説明するための図である。
【0056】ホログラム板102aを構成するシリコン
単結晶板からなる支持枠132の底面を例えばヒータ1
33等の加熱手段により加熱しておくならば、(分岐電
極103aa,104aaの表面を含めて)メンブレン
131aの表面に付着する「原子」は、メンブレン13
1aの表面において、(熱伝導による)熱エネルギーを
受けて運動エネルギーが増大され、メンブレン131a
表面からこれらの「原子」が解離されやすくなる〔図4
(a)〕。この加熱手段により、メンブレン131aの
底面を直接に加熱することは、回避することが好まし
い。
【0057】また、分岐電極103aa,104aaの
表面を含めてメンブレン131aの表面を保護膜134
で覆っておくならば、分岐電極103aa,104aa
の短絡等の回避が可能になる〔図4(b)〕。さらに
は、上記加熱手段とこの保護膜134の設置とを併用し
てもよい。
【0058】本第1の実施の形態は上記第1の実施例に
限定されるものではない。上記第1の実施例によるホロ
グラム板では、例えば、第1の空隙部,第3の空隙部,
第2の空隙部…の順に第1〜第3の空隙部が規則的に配
置されていた。本第1の実施の形態の第2の実施例によ
るホログラム板では、第1〜第3の空隙部の配置(第
1,第2の分岐電極の配置)がランダムになっている。
【0059】まず、ホログラム板の主要部の平面模式図
である図5を参照して、本発明の本第1の実施の形態の
第2の実施例のホログラム板の構成の概要を説明する。
図5においても、理解を容易にするために、第2のピク
セルには紙面に対して斜め左下りの対角線を記してあ
る。
【0060】本第2の実施例のホログラム板102b
は、シリコン単結晶板が加工されてなる支持枠と、支持
枠の表面に設けられたメンブレン131bとからなる。
メンブレン102bの膜厚は、例えば100nmである
(が、これに限定されるものではない)。
【0061】第1の電極103b,第2の電極104b
はそれぞれホログラム板102b(メンブレン131
b)の表面にそれぞれ隔てられてX方向に平行に設けら
れている。ホログラム板102b(メンブレン131
b)の表面にY方向に平行に設けられた例えば複数の第
1の分岐電極103baは電極103bに櫛形に接続さ
れ、ホログラム板102b(メンブレン131b)の表
面にY方向に平行に設けられた例えば複数の第2の分岐
電極104baは電極104bに櫛形に接続されてい
る。本第2の実施例では、上記第1の実施例と相違し
て、分岐電極103ba,分岐電極104baの配置が
ランダムである。しかしながら、2本の分岐電極103
baに挟まれた第1の空隙部の個数と2本の分岐電極1
04baに挟まれた第2の空隙部の個数との和は、分岐
電極103baおよび分岐電極104baに挟まれた第
3の空隙部の個数に等しくなっている。ピクセル107
bは第1の空隙部と第2の空隙部とに設けられ、ピクセ
ル108bは第3の空隙部に設けられている。
【0062】なお、本第2の実施例でも電極103b,
電極104b,分岐電極103baおよび分岐電極10
4baをホログラム板102b(メンブレン131b)
の表面に設けたが、これに限定されるものではなく、電
極103b,電極104b,分岐電極103baおよび
分岐電極104baをホログラム板102b(メンブレ
ン131b)の裏面に設けてもよい。
【0063】分岐電極103ba,104baの線幅は
例えば1.0μm程度であり、第1,第2および第3の
空隙部の幅はそれぞれ例えば1.0μm程度(=所要の
値)である。電極103bと電極104bとの間の電位
差が所要の電位差になっている。ピクセル107bに
は、ボログラム板102bの表面に平行に0V/cmの
電界が加えられている。ピクセル108bには、ホログ
ラム板102bの表面(のX方向)に平行に、分岐電極
103baと分岐電極104baとの間隔と所要の電位
差とにより決定される所要の値の電界が加えられる。所
要の値は原子線を構成する「原子」に依存し、ピクセル
107bを透過する原子線の位相の電界変動は0であ
り,ピクセル108bを透過する原子線の位相の電界変
動はπになっている。すなわち、本第2の実施例では、
例えば、X方向に……,π,π,0,π,π,π,π,
0,0,0,0,0,π,π,0,π,0,π,π,…
…となるように空隙部が設定されている。
【0064】ピクセル107bは、上述した(球面収差
を加味した)複素透過関数の実数部における第1のしき
い値以上の正値に対応した位置と、上記分岐電極103
b,104bにより規定された上記第1,第2の空隙部
による位置の制約との論理積から決定される。同様に、
ピクセル108bも、複素透過関数の実数部における第
2のしきい値以下の負値に対応した位置と、分岐電極1
03b,104bの存在による上記第3の空隙部による
位置の制約との論理積から決定される。なお、図5にお
いて、ピクセル107b,108bを1μm□の正方形
として示したが、ピクセル107b,108bの形状も
これに限定されるものではなく、本第2の実施例では、
X方向に短辺が設けられ、これらの短辺が1μm以下の
矩形であればよい。
【0065】本第2の実施例によるホログラム板102
bも、ホログラム板102bを構成するシリコン単結晶
板からなる支持枠の底面に加熱手段を設けることが可能
であり、さらには、分岐電極103ba,104baの
表面を含めてメンブレン131bの表面に保護膜を設け
ておいてもよい。
【0066】次に、元絵の概略図である図6(a)と、
第1,第2のピクセルの配置を示す部分拡大した平面模
式図である図6(b)と、再生像の模式図である図7と
を参照して、本第2の実施例をNe原子線に適用した場
合の適用例による原子線ホログラフィによるパターン形
成方法を説明する。なお、図6(a)において、第1の
電極103b,第2の電極104b,第1の分岐電極1
03baおよび第2の分岐電極104baの図示は省略
してあるが、第1の分岐電極,第2の分岐電極の線幅は
1.0μm程度であり、第1,第2および第3の空隙部
の幅がそれぞれ1.0μm程度である。
【0067】「F」と「J」とからなる元絵101bを
含めて512×512に分割し,それに対応した複素透
過関数により形成される上記位置と上記論理積とによ
り、第1のピクセル107b,第2のピクセル108b
が配置される。元絵101bにおける「F」と「J」と
の間の間隔も、1/2次ずれた再生像との間隔に対応し
て配置されている。第1,第2の空隙部に設けられた第
1のピクセル107bは、一辺が1.0μmの正方形の
ものと、X方向に1.0μmの短辺を有した矩形とから
なる。第3の空隙部に設けられた第2のピクセル108
bも、一辺が1.0μmの正方形のものと、X方向に
1.0μmの短辺を有した矩形とからなる〔図6
(a),(b)〕。
【0068】第1の分岐電極103baと第2の分岐電
極104baとの間の所定の電位差は1.0V程度であ
り、ピクセル108bにはホログラム板102bの表面
のX方向に平行に104 V/cm程度の電界が加えられ
る。その結果、Ne原子線の場合、複素透過関数の実数
部の負値に対応した原子線の位相は変調されずに、複素
透過関数の実数部の負値に対応した原子線の位相のみが
πだけ電界変調されることになる。ホログラム板102
bのピクセル107b,108bの配置に対応して、電
界変調されるNe原子線の位相差は、例えば、(ホログ
ラム板102bの表面のX方向に)π,π,0,π,
π,π,π,0,0,0,0,0,0,π,π,π,
0,π,π,0,π,π,0,0,…となる〔図6
(b)〕。
【0069】ホログラム板402の代りにホログラム板
102bを用いて、上記第1の実施例と同様のパターン
形成方法を用いるならば、基板120bの表面に、Ne
* 原子線による1次の再生像121bと、±1/4次の
再生像121baと、スリット状のホログラム・シャド
ー123bとが得られる。ホログラム・シャドー123
bは、上記第1の実施例における±1/2次のホログラ
ム・シャドー123aが形成された場所に対応した位置
に形成される。ホログラム・シャドー123bの形状が
上記ホログラム・シャドー123aの形状と相違するの
は、本第2の実施例の本適用例ではホログラム板102
bの表面におけるX方向での第1〜第3の空隙部の配置
がランダムになされているためである。再生像121b
aが形成されるのは、Y方向では第1〜第3の空隙部の
配置の規則性が残存しているためである。基板120b
には、荷電粒子検出機能が設けられている〔図7〕。
【0070】本第2の実施例の適用例でも、上記第1の
従来技術において発生した0次のホログラム・シャドー
(0次光)423の発生は回避される。その結果上記第
1の実施例の適用例と同様に、本適用例よれば、光軸が
基板に直交する部分を含めてその近傍に再生像を形成す
るように元絵を設定することが可能になる。
【0071】本第2の実施例の上記適用例は本第2の実
施例をNeの原子線に適用したものであるが、本第2の
実施例もこれに限定されるものではない。本第2の実施
例でも、「原子」の種類に応じてゼーマン減速器と磁気
光学トラップとの磁気分布をそれぞれ設定し,冷却レー
ザ並びにトラップレーザとトランスファレーザとの波長
をそれぞれ設定し、さらに、所要の値の電界を設定する
このが容易である。(基板を適宜選択して)他の金属原
子,あるいは非金属原子によるパターン形成も容易であ
る。さらには、同じホログラム板を採用して、複数種類
の原子からなるパターン形成も可能になる。
【0072】本第1の実施の形態の上記第1,第2の実
施例では、第1および第2の空隙部に第1のピクセルが
設けられている。本第1の実施の形態において、第1の
ピクセルには0の値の電界が加えられることから、第1
のピクセルを第1あるいは第2の空隙部に設ける代り
に、第1のピクセルの周辺を第1あるいは第2の分岐電
極で取り囲んでおいてもよい。
【0073】ホログラム板の平面模式図である図8を参
照すると、本第1の実施の形態における第3の実施例に
よるホログラム板は、上記第1の実施例に対応したもの
であり、以下のとおりになっている。
【0074】本第3の実施例では、上記第1および第2
の空隙部は存在しない。ホログラム板102cの表面に
は第1の電極103c,第2の電極104cが設けられ
ている。第1の電極103cには複数の第1の分岐電極
103caが櫛形に接続され、第2の電極104cには
複数の第2の分岐電極104caが櫛形に接続されてい
る。分岐電極103ca,104caは交互に配置さ
れ、(X方向の端部の一方に位置するものを除いて)分
岐電極103ca,104caの線幅は例えば3.0μ
m程度であり、分岐電極103caと分岐電極104c
aとに挟まれた第3の空隙部の幅は例えば1.0μmで
ある。
【0075】第1のピクセル107caの周囲は、分岐
電極103caもしくは分岐電極104caに取り囲ま
れている。第2のピクセル108caの配置,形状は上
記第1の実施例と同じである。ピクセル107caの寸
法,形状は上記第1の実施例と同じでもよいが第1の実
施例より自由度がある。しかしながら、ピクセル107
caの総面積が概ねピクセル108caの総面積に等し
いという条件は上記第1の実施例と同様である。その他
は、上記第1に実施例と同様であり、本第3の実施例で
は上記第1の実施例の有した効果を有している。
【0076】ホログラム板の平面模式図である図9を参
照すると、本第1の実施の形態における第4の実施例に
よるホログラム板は、上記第2の実施例に対応したもの
であり、以下のとおりになっている。
【0077】本第4の実施例でも、上記第1および第2
の空隙部は存在しない。ホログラム板102dの表面に
は第1の電極103d,第2の電極104dが設けられ
ている。第1の電極103dには複数の第1の分岐電極
103daが櫛形に接続され、第2の電極104dには
複数の第2の分岐電極104daが櫛形に接続されてい
る。分岐電極103da,104daは交互に配置され
ている。分岐電極103da,104daの線幅はそれ
ぞれ複数の種類からなり、それぞれ例えば1.0μmの
奇数倍程度である。分岐電極103daと分岐電極10
4daとに挟まれた第3の空隙部の幅は例えば1.0μ
mである。
【0078】第1のピクセル107daの周囲は、分岐
電極103daもしくは分岐電極104daに取り囲ま
れている。第2のピクセル108daの配置,形状は上
記第2の実施例と同じである。ピクセル107daの寸
法,形状は上記第2の実施例と同じでもよいが第2の実
施例より自由度がある。しかしながら、ピクセル107
daの総面積が概ねピクセル108daの総面積に等し
いという条件は上記第2の実施例と同様である。その他
は、上記第2に実施例と同様であり、本第4の実施例で
は上記第2の実施例の有した効果を有している。
【0079】上記第2,第4の実施例を含めて、上記第
1〜第4の実施例では第1および第2の分岐電極が例え
ばY方向に平行に設けられている。しかしながら本第1
の実施の形態ではこれに限定されるものではない。
【0080】ホログラム板の平面模式図である図10を
参照すると、本第1の実施の形態における第5の実施例
によるホログラム板は、以下のとおりになっている。
【0081】本第5の実施例でも、上記第1および第2
の空隙部は存在しない。ホログラム板102eの表面に
は第1の電極103e,第2の電極104eが設けられ
ている。第1の電極103eには複数の第1の分岐電極
103eaが接続され、第2の電極104eには複数の
第2の分岐電極104eaが接続されている。分岐電極
103ea,104eaは交互に配置されているが、分
岐電極103ea,104eaの形状は(分岐電極10
3da,104da等のように単純な矩形ではなく)複
雑な形状をとり,例えば多角形からなる。分岐電極10
3eaと分岐電極104eaとに挟まれた第3の空隙部
の幅は例えば1.0μmである。
【0082】第1のピクセル107eaの周囲は、分岐
電極103eaもしくは分岐電極104eaに取り囲ま
れている。第2のピクセル108eaの寸法,形状は上
記第4の実施例と同じである。ピクセル107eaの寸
法,形状は上記第4の実施例と同じである。ピクセル1
07eaの総面積が概ねピクセル108eaの総面積に
等しい。その他は、上記第4に実施例と同様であり、本
第4の実施例では上記第2の実施例の有した効果を有し
ている。さらに、本第5の実施例では、第3の空隙部の
配置に不規則性を持たせることが可能であるため、上記
第2,第4の実施例と相違して、±1/2次のホログラ
ム・シャドーに対応したホログラム・シャドーの発生も
極めて稀少になり、±1/4次の再生像も形成されなく
なる。
【0083】なお、上記第1の実施の形態の各実施例の
説明において採用した構成材料,各種寸法は、上述のも
のに限定されるものではない。
【0084】上記第1の実施の形態では、第1のピクセ
ルに加えられる電界は0の値からなり、第2のピクセル
にのみに0でない値の電界が加えらている。第2の実施
の形態の第2のピクセルは第1,第2の分岐電極に挟ま
れた第3の空隙部に設けられていることから、第2のピ
クセルに加えられる電界は3次元的な広がりを考慮せず
にほぼ平行な成分のみで近似することが可能である。こ
れらのことから、第1の実施の形態では、例えば第2の
ピクセルの長辺が第1,第2の分岐電極の長手方向に平
行であるならば、第2のピクセルに加えられる電界の値
は長辺の長さに依存しないことになる。
【0085】本発明は上記第1の実施の形態に限定され
るものではない。上記第1の実施の形態とは相違した電
界変調手段を用いて、ホログラム板の表面に垂直な方向
に、第1,第2のピクセルにそれぞれ第1,第2の電界
を加えることにより、本発明の目的の達成が可能にな
る。
【0086】ホログラム板の平面模式図である図11
と、図11のAA線,BB線での断面模式図である図1
2とを参照すると、本発明の第2の実施の形態の一実施
例によるホログラム板の構成は以下のとおりになる。な
お図11において、理解を容易にするために、第2のピ
クセルには紙面に対して斜め右下りの対角線を記してあ
る。
【0087】ホログラム板202を構成するメンブレン
231の表面には、1つの第1の電極203,1つの第
2の電極204,複数の第1の分岐電極203a,複数
の第2の分岐電極204aが設けられている。メンブレ
ン231の裏面には、第3の電極206が設けられてい
る。分岐電極203aは電極203に接続され、分岐電
極204aは電極204に接続されている。第1のピク
セル209は分岐電極203a,メンブレン231およ
び電極206を貫通した姿態を有して設けられており、
第2のピクセル210は分岐電極204a,メンブレン
231および電極206を貫通した姿態を有して設けら
れている。
【0088】メンブレン231は所要膜厚(=d)を有
している。電極203,204,206,分岐電極20
3a,204aの構成材料は例えばPtである。電極2
03,204,206にはそれぞれ第1の電圧(=V
A ),第2の電圧(=VB ),第3の電圧(VC )が印
加されている。ピクセル209,210は例えばそれぞ
れ一辺が400nmの正方形からなる。本一実施例で
は、複素透過関数の実数部の第1のしきい値以上の正値
(および第2のしきい値以上の負値)に対応してピクセ
ル209(およびピクセル210)をホログラム板20
2の表面に設けるに際して、高密度に存在する部分での
ピクセル209(およびピクセル210)のみを残し,
低密度に存在する部分でのピクセルを消去してある。ピ
クセル209,210の存在に対応して、分岐電極20
3a,204aが設けられている〔図11,図12〕。
【0089】ピクセル209に加えられる第1の電界
(=E1 )は、VA −VC ,d,400nm,400n
mの値から決定される。ピクセル209を通過すること
により原子線が受ける位相差は、E1 2 の(主として垂
直(Z)方向の)積分値に比例する。同様に、ピクセル
210に加えられる第2の電界(=E2 )は、VB −V
C ,d,400nm,400nmの値から決定される。
ピクセル210を通過することにより原子線が受ける位
相差は、E2 2 の(主として垂直(Z)方向の)積分値
に比例する。したがって、原子線を構成する「原子」に
応じて、VA ,V B ,VC を適宜選択することにより、
ピクセル209を通過する原子線とピクセル210を通
過する原子線との位相差をπにすることが可能になる。
【0090】このホログラム板202を用い,上記第1
の実施の形態の上記第1の実施例と同様の方法により、
Ne* 原子線によるパターン形成を行なうならば、0次
光の発生を回避して再生像を得ることができる。さら
に、本一実施例では、ピクセル209,210が、上記
第1の実施の形態の上記第1〜第4の実施例と相違し,
上記第5の実施例と同様に、規則性を有さずに配置する
ことが可能なことから、±1/4次の再生像の発生と±
1/2次のホログラム・シャドーの発生とを抑制するこ
とが容易になる。また、上記第1のの実施の形態の上記
第5の実施例(第2のピクセルを第3の空隙部に配置)
に比べて、本一実施例の第1,第2の分岐電極の配置設
計の自由度は増大する。さらにまた、本一実施例ではピ
クセル209,210の残存率を1/4以上にすること
が可能なことから、上記第1の実施の形態より再生像の
強度が増すことになる。
【0091】本第2の実施の形態は上記一実施例に限定
されるものではない。第1,第2の電極(および第1,
第2の分岐電極)をメンブレンの裏面に設け、第3の電
極をメンブレンの表面に設けてもよい。上記第1の実施
の形態と同様に、ホログラム板を構成する支持枠の底面
に加熱手段を設けることも可能であり、メンブレンの表
面を保護膜で覆うことも可能である。また、本第2の実
施の形態においても、上記第1の実施の形態と同様に、
「原子」の種類に応じて、ゼーマン減速器,磁気光学ト
ランプの磁気分布、冷却レーザ,トラップレーザ,トラ
ンスファレーザの波長、第1の電圧と第3の電圧との電
位差、第2の電圧と第3の電圧との電位差等を適宜選択
することが可能なことから、多種の「原子」の原子線に
よるパターン形成が可能になり、さらに、複数種類の原
子線による同一パターンの形成も可能になる。
【0092】また、本第2の実施の形態における第1,
第2のピクセルの形状は上記一実施例のピクセル20
9,210の形状に限定されるものではない。第1の電
圧(V A )=第3の電圧(VC )の場合を除いて、本第
2の実施の形態では、上記第1の実施の形態と相違し
て、全ての第1のピクセル,全ての第2のピクセルの形
状がそれぞれ同一であることが好ましく、第1のピクセ
ルは第1の短辺と第1の長辺とを有した第1の矩形から
なり、第2のピクセルは第2の短辺と第2の長辺とを有
した第2の矩形からなる。これは第1,第2の電界がホ
ログラム板の表面に垂直方向に加えられているためであ
り、各第1のピクセル,各第2のピクセルに加えられる
第1,第2の電界が同一であることが好ましいためであ
る。
【0093】ただし、第1の電圧(VA )=第3の電圧
(VC )の場合、本第2の実施の形態における第1のピ
クセルの形状に対する制約のみは緩やかになる。しかし
この場合においても、第1のピクセルの総面積が、概
ね、第2のピクセルの総面積に等しいことが好ましい。
【0094】本発明の第3の実施の形態は、上記第2の
実施の形態の技術思想を発展させたものである。上記第
2の実施の形態では、例えば第1,第2の電極は(ホロ
グラム蟠を構成する)メンブレンの表面に設けられ、第
3の電極はメンブレンの裏面に設けられている。本第3
の実施の形態では、第1,第2の電極はメンブレンの表
面,裏面に(それぞれ概ね全面に)設けられているが、
第1,第2の分岐電極は設けられていない。
【0095】元絵の概略図である図13(a)と、部分
拡大したホログラム板の平面模式図である図13(b)
と、再生像の模式図である図14とを参照すると、本第
3の実の形態の一実施例を適用した原子線ホログラフィ
によるパターン形成方法は、以下のとおりになってい
る。
【0096】「F」からなる元絵301を含めた分割に
対応して、さらに、球面収差補正を施して、複素透過関
数が得られる。この複素透過関数の実数部の第1のしき
い値以上の正値と第2のしきい値以下の負値とに対応し
て、第1のピクセル311,第2のピクセル312が、
第1の電圧(=VA )が印加されてメンブレン331の
表面に設けらた第1の電極305と,メンブレン331
と,第2の電圧(=V B )が印加されてメンブレン33
1の裏面に設けられた第2の電極306とを貫通して、
ホログラム板302に設けられる。メンブレン331は
500nm程度の膜厚からなり、ピクセル311は一辺
が160nm程度の正方形からなり、ピクセル312は
80nm×320nm程度の長方形からなる〔図13
(a),(b)〕。
【0097】このホログラム板302を用いて、VA
B =1Vにして、上記第1の実施の形態の上記第1の
実施例と同様の方法によりNe* 原子線を発生させるな
らば、基板320には1次の再生像321が形成され
る。基板320には、荷電粒子検出機能が設けられてい
る。本一実施例では上記第1の実施の形態の上記第5の
実施例,上記第2の実施の形態の上記一実施例と同様
に、0次光,±1/2次のホログラム・シャドーおよび
±1/4次の再生像の発生は抑制される。本一実施例お
いてもデフォーカスされた虚像322も形成されるが、
(多少誇張した表示になってはいるものの)虚像322
の強度は再生像321の強度より極めて低いものである
〔図14〕。
【0098】本一実施例は、上記第2の実施の形態の上
記一実施例より、電極の形成が簡潔になる。また本一実
施例では第1,第2のピクセルがそれぞれ高密度に存在
する部分のみを選択的に残置させる必要がないことか
ら、上記第2の実施の形態の上記一実施例に比べて、第
1,第2のピクセルの残存率が高くなり、再生像の強度
が高くなり、電極形成とともにピクセルの形成も簡潔に
なる。
【0099】本第3の実施の形態の上記一実施例では、
第1のピクセルの面積と第2のピクセルの面積とが等し
くなっていたが、本第3の実施の形態は第1,第2のピ
クセルの形状をも含めてこれに限定されるものではな
い。本第3の実施の形態における第1,第2のピクセル
は、上記第2の実施の形態における第1の電圧が第3の
電圧に等しくない場合と同じであり、全ての第1のピク
セル,全ての第2のピクセルの形状がそれぞれ同一であ
ることが好ましく、第1のピクセルは第1の短辺と第1
の長辺とを有した第1の矩形からなり、第2のピクセル
は第2の短辺と第2の長辺とを有した第2の矩形からな
り、第1のピクセルの総面積と第2のピクセルの総面積
とが概ね等しければよい。
【0100】本第3の実施の形態では、上記第1,第2
の実施の形態と同様に、ホログラム板を構成する支持枠
の底面に加熱手段を設けることも可能であり、メンブレ
ンの表面を保護膜で覆うことも可能である。また、本第
3の実施の形態においても、上記第1,第2の実施の形
態と同様に、「原子」の種類に応じて、ゼーマン減速
器,磁気光学トランプの磁気分布、冷却レーザ,トラッ
プレーザ,トランスファレーザの波長、第1の電圧と第
3の電圧との電位差、第2の電圧と第3の電圧との電位
差等を適宜選択することが可能なことから、多種の「原
子」の原子線によるパターン形成が可能になり、さら
に、複数種類の原子線による同一パターンの形成も可能
になる。
【0101】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によるホロ
グラム板には、元絵をフーリェ変換して得られる複素透
過関数の実数部における第1のしきい値以上の正値をエ
ンコードしてなる複数の第1のピクセルと、この実数部
における第2のしきい値以下の負値をエンコードしてな
る複数の第2のピクセルと、第1のピクセルを通過する
原子線に対する第2のピクセルを通過する原子線の位相
差がπとなる電界変調手段とが設けられている。このた
め、このホログラム板を用いた原子線ホログラフィによ
るパターン形成方法では、0次光の消去が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の第1の実施例のホ
ログラム板の平面模式図である。
【図2】上記第1の実施の形態の上記第1の実施例の適
用例を説明するための図であり、元絵の概略図と部分拡
大したホログラム板の概略平面模式図である。
【図3】上記第1の実施の形態の上記第1の実施例の上
記適用例を説明するための図であり、再生像の模式図で
ある。
【図4】上記第1の実施の形態の第1の実施例のホログ
ラム板の断面模式図である。
【図5】上記第1の実施の形態の第2の実施例のホログ
ラム板の平面模式図である。
【図6】上記第1の実施の形態の上記第2の実施例の適
用例を説明するための図であり、元絵の概略図と部分拡
大したホログラム板の概略平面模式図である。
【図7】上記第1の実施の形態の上記第2の実施例の上
記適用例を説明するための図であり、再生像の模式図で
ある。
【図8】上記第1の実施の形態の第3の実施例のホログ
ラム板の平面模式図である。
【図9】上記第1の実施の形態の第4の実施例のホログ
ラム板の平面模式図である。
【図10】上記第1の実施の形態の第5の実施例のホロ
グラム板の平面模式図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態の一実施例のホロ
グラム板の平面模式図である。
【図12】上記第2の実施の形態の上記一実施例のホロ
グラム板の断面模式図であり、図11のAA線,BB線
での断面模式図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態の一実施例を説明
するための図であり、元絵の概略図と部分拡大したホロ
グラム板の概略平面模式図である。
【図14】上記第3の実施の形態の上記一実施例を説明
するための図であり、再生像の模式図である。
【図15】従来の技術を説明するための図であり、従来
の原子線ホログラフィを説明するための概略図およびN
e原子のエネルギー準位の変化を説明するための図であ
る。
【符号の説明】
101a,101b,301 元絵 102a,102b,102c,102d,102e,
202,302,402 ホログラム板 103a,103b,103c,103d,103e,
104a,104b,104c,104d,104e,
203,204,206,305,306電極 103aa,103ba,103ca,103da,1
03ea,104aa,104ba,104ca,10
4da,104ea,203a,204a分岐電極 107a,107b,107c,107d,107e,
108a,108b,108c,108d,108e,
209,210,311,312 ピクセル120
a,120b,320,420 基板 121a,121aa,121b,121ba,32
1,421 再生像322,422 虚像 123a,123b,423 ホログラム・シャドー 131a,131b,131c,131d,131e,
231,331 メンブレン 132 支持枠 133 ヒータ 134 保護膜 451 放電部分 452 偏向器 453 ゼーマン減速器 454 磁気光学トラップ 455 冷却レーザ 456 トラップレーザ 457 トランスファレーザ

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持枠とメンブレンとから構成されて,
    コヒーレントな原子線を用いて行なわれる原子線ホログ
    ラフィ用のホログラム板において、 元絵をフーリェ変換して得られる複素透過関数の実数部
    における第1のしきい値以上の正値を符号化(エンコー
    ド)してなる複数の第1の通過穴(ピクセル)と、該実
    数部における第2のしきい値以下の負値をエンコードし
    てなる複数の第2のピクセルとが、全ての該第1のピク
    セルを通過する原子線の線量と全ての該第2のピクセル
    を通過する原子線の線量とが概ね等しくなるように、前
    記メンブレンに設けられ、 前記メンブレンは前記第1のピクセルを通過する原子線
    に対する前記第2のピクセルを通過する原子線の位相差
    がπとなる電界変調手段を有することを特徴とする原子
    線ホログラフィ用のホログラム板。
  2. 【請求項2】 前記メンブレンの表面が保護膜により覆
    われていることを特徴とする請求項1記載の原子線ホロ
    グラフィ用のホログラム板。
  3. 【請求項3】 前記支持枠の底面を加熱する手段を有す
    ることを特徴とする請求項1記載の原子線ホログラフィ
    用のホログラム板。
  4. 【請求項4】 前記電界変調手段が前記メンブレンの表
    面および裏面のうちの一方にのみに設けられており、該
    電界変調手段が第1の電圧に印加された第1の電極と第
    2の電圧に印加された第2の電極とからなり、 複数の第1の分岐電極が前記第1の電極に接続され、複
    数の第2の分岐電極が前記第2の電極に接続されてお
    り、 隣接した前記第1の分岐電極と前記第2の分岐電極と間
    の間隔が所要の値に設定され、 前記第1および第2のピクセルのうちの一方のみが前記
    第1の分岐電極と前記第2の分岐電極との間に設けられ
    て、該第1および第2のピクセルのうちの一方には前記
    第1の電圧および前記第2の電圧と前記所要の値とで規
    定される電界が前記ホログラム板の表面に平行に加えら
    れ、 前記第1および第2のピクセルのうちの他方には0の値
    の電界が加えられていることを特徴とする請求項1,請
    求項2もしくは請求項3記載の原子線ホログラフィ用の
    ホログラム板。
  5. 【請求項5】 隣接した2つの前記第1の分岐電極の間
    と間隔と、隣接した2つの前記第2の電極の間の間隔と
    がそれぞれ前記所要の値であり、 前記第1の分岐電極の本数と前記第2の分岐電極の本数
    との差が、1もしくは−1であり、 前記第1および第2のピクセルのうちの他方が、隣接し
    た2つの前記第1の分岐電極の間(第1の空隙部)と、
    隣接した2つの前記第2の分岐電極の間(第2の空隙
    部)とに設けられていることを特徴とする請求項4記載
    の原子線ホログラフィ用のホログラム板。
  6. 【請求項6】 前記第1および第2の分岐電極がそれぞ
    れ一定方向(列方向)に平行に設けられていることを特
    徴とする請求項5記載の原子線ホログラフィ用のホログ
    ラム板。
  7. 【請求項7】 前記第1の分岐電極は該第1の分岐電極
    あるいは前記第2の分岐電極に隣接し、該第2の分岐電
    極は該第1の分岐電極あるいは該第2の分岐電極に隣接
    して配置されていることを特徴とする請求項6記載の原
    子線ホログラフィ用のホログラム板。
  8. 【請求項8】 隣接した一対の前記第1の分岐電極と、
    隣接した一対の前記第2の分岐電極とが交互に配置され
    ていることを特徴とする請求項7記載の原子線ホログラ
    フィ用のホログラム板。
  9. 【請求項9】 前記第1および第2のピクセルのうちの
    他方の一部は周辺が前記第1の分岐電極に取り囲まれて
    設けられ、該第1および第2のピクセルのうちの他方の
    残部は周辺が前記第2の分岐電極に取り囲まれて設けら
    れていることを特徴とする請求項4記載の原子線ホログ
    ラフィ用のホログラム板。
  10. 【請求項10】 前記第1および第2のピクセルは、一
    辺が前記所要の値からなる正方形を含んでなることを特
    徴とする請求項9記載の原子線ホログラフィ用のホログ
    ラム板。
  11. 【請求項11】 前記第1並びに第2のピクセルは、そ
    れぞれ前記正方形と、短辺が前記所要の値からなる長方
    形とからなることを特徴とする請求項10記載の原子線
    ホログラフィ用のホログラム板。
  12. 【請求項12】 前記第1および第2の分岐電極が、そ
    れぞれ一定方向(列方向)に平行に設けられていること
    を特徴とする請求項9,請求項10もしくは請求項11
    記載の原子線ホログラフィ用のホログラム板。
  13. 【請求項13】 前記メンブレンの膜厚が、所要膜厚か
    らなり、 前記電界変調手段が、前記メンブレンの表面および裏面
    のうちの一方に設けられた第1および第2の電極と、該
    メンブレンの表面および裏面のうちの他方に設けられた
    1つの第3の電極とからなり、 前記第1第2および第3の電極はそれぞれ第1,第2お
    よび第3の電圧に印加され、複数の第1の分岐電極が該
    第1の電極に接続され、複数の第2の分岐電極が該第2
    の電極に接続されており、 前記第1のピクセルは第1の短辺および第1の長辺を有
    した第1の矩形からなり,該第1のピクセルの周辺が前
    記第1の分岐電極と前記第3の電極とに取り囲まれて設
    けられ、前記第2のピクセルは第2の短辺および第2の
    長辺を有した第2の矩形からなり,該第2のピクセルの
    周辺が前記第2の分岐電極と該第3の電極とに取り囲ま
    れて設けられており、 前記第1のピクセルには、前記第1の電圧と前記第3の
    電圧との電位差,前記所要膜厚,前記第1の短辺の長さ
    および前記第1の長辺の長さにより規定される第1の電
    界が、前記メンブレンの表面に垂直に加えられ、 前記第2のピクセルには、前記第2の電圧と前記第3の
    電圧との電位差,前記所要膜厚,前記第2の短辺の長さ
    および前記第2の長辺の長さにより規定される第2の電
    界が、前記メンブレンの表面に垂直に加えられることを
    特徴とする請求項1,請求項2もしくは請求項3記載の
    原子線ホログラフィ用のホログラム板。
  14. 【請求項14】 前記第1および第2の矩形の少なくと
    も一方が正方形であることを特徴とする請求項13記載
    の原子線ホログラフィ用のホログラム板。
  15. 【請求項15】 前記メンブレンの膜厚が、所要膜厚か
    らなり、 前記電界変調手段が、前記メンブレンの表面に設けられ
    た1つの第1の電極と、該メンブレンの裏面に設けられ
    た1つの第2の電極とからなり、 前記第1および第2の電極はそれぞれ第1および第2の
    電圧に印加されており、 前記第1のピクセルは第1の短辺および第1の長辺を有
    した第1の矩形からなり、前記第2のピクセルは第2の
    短辺および第2の長辺を有した第2の矩形からなり、前
    記メンブレンの表面において該第1および第2のピクセ
    ルの周辺は前記第1の電極に取り囲まれ、該メンブレン
    の裏面において該第1および第2のピクセルの周辺は前
    記第2の電極に取り囲まれており、 前記第1のピクセルには、前記第1の電圧と前記第2の
    電圧との電位差,前記所要膜厚,前記第1の短辺の長さ
    および前記第1の長辺の長さにより規定される第1の電
    界が、前記メンブレンの表面に垂直に加えられ、 前記第2のピクセルには、前記第1の電圧と前記第2の
    電圧との電位差,前記所要膜厚,前記第2の短辺の長さ
    および前記第2の長辺の長さにより規定される第2の電
    界が、前記メンブレンの表面に垂直に加えられることを
    特徴とする請求項1,請求項2もしくは請求項3記載の
    原子線ホログラフィ用のホログラム板。
  16. 【請求項16】 前記第1および第2の矩形の少なくと
    も一方が正方形であることを特徴とする請求項15記載
    の原子線ホログラフィ用のホログラム板。とする請求項
    16記載の原子線ホログラフィ用のホログラム板。
  17. 【請求項17】 放電部分により原子を励起し、ゼーマ
    ン減速器と冷却レーザと磁気光学トラップおよびトラッ
    プレーザとを用いて該原子を冷却してトラップし、さら
    に、該原子にトランスファレーザを照射してコヒーレン
    トな原子線を発生し、支持枠およびメンブレンから構成
    されたホログラム板を通過した該原子線により基板に再
    生像を形成する原子線ホログラフィによるパターン形成
    方法において、 元絵をフーリェ変換して得られる複素透過関数の実数部
    における第1のしきい値以上の正値をエンコードしてな
    る複数の第1のピクセルと、該実数部における第2のし
    きい値以下の負値をエンコードしてなる複数の第2のピ
    クセルとを、全ての該第1のピクセルを通過する原子線
    の線量と全ての該第2のピクセルを通過する原子線の線
    量とが概ね等しくなるように、メンブレンに形成し、 さらに、前記第1のピクセルを通過する原子線と前記第
    2のピクセルを通過する原子線との位相差がπとなる電
    界変調手段を前記メンブレンに形成し、 前記ホログラム板を用いて、該ホログラム板を通過する
    前記原子線の0次光を消去することを特徴とする原子線
    ホログラフィによるパターン形成方法。
  18. 【請求項18】 前記メンブレンの表面が保護膜により
    覆われたホログラム板を用いることを特徴とする請求項
    17記載の原子線ホログラフィによるパターン形成方
    法。
  19. 【請求項19】 前記支持枠の底面を加熱する手段を有
    したホログラム板を用いることを特徴とする請求項17
    記載の原子線ホログラフィによるパターン形成方法。
  20. 【請求項20】 それぞれの原子の応じて、前記ゼーマ
    ン減速器と磁気光学トラップとの磁気分布をそれぞれ設
    定し、前記冷却レーザ並びにトラップレーザとトランス
    ファレーザとの波長をそれぞれ設定して、それぞれの原
    子線を形成し、 それぞれの原子線に応じて、前記第1のピクセルおよび
    第2のピクセルに形成される電界を設定し、 同一のホログラム板を用いて、複数の種類からなる原子
    線により再生像を形成することを特徴とする請求項1
    7,請求項18もしくは請求項19記載の原子線ホログ
    ラフィによるパターン形成方法。
  21. 【請求項21】 前記電界変調手段が前記メンブレンの
    表面および裏面のうちの一方にのみに形成され、 前記電界変調手段により、前記1および第2のピクセル
    のうちの一方には、前記メンブレンの面に平行(横方
    向)に所定の電界が加えられて、該1および第2のピク
    セルのうちの一方を通過する前記原子線の位相がπだけ
    変調され、 さらに、前記電界変調手段により、前記第1および第2
    のピクセルのうちの他方には、前記メンブレンの面に平
    行に0の値の電界が加えられることを特徴とする請求項
    17,請求項18,請求項19もしくは請求項20記載
    の原子線ホログラフィによるパターン形成方法。
  22. 【請求項22】 前記電界変調手段が第1および第2の
    電極から形成され、該第1の電極には複数の第1の分岐
    電極が接続され,第1の電圧に印加され、該第2の電極
    には複数の第2の分岐電極が接続され,第2の電圧に印
    加され、さらに、隣接した該第1の分岐電極と該第2の
    分岐電極と間の間隔が所要の値に設定され、 さらに、前記1および第2のピクセルのうちの一方が、
    前記第1の分岐電極と前記第2の分岐電極との間に形成
    されて、 前記原子線と前記所要の値とに応じて、前記第1の電圧
    と前記第2の電圧との間の電位差が設定されて、前記所
    定の電界が決定されることを特徴とする請求項21記載
    の原子線ホログラフィによるパターン形成方法。
  23. 【請求項23】 前記第1の分岐電極の本数と前記第2
    の分岐電極の本数との差が、1もしくは−1であり、 前記第1および第2のピクセルのうちの他方の一部が、
    隣接した2つの前記第1の分岐電極の間(第1の空隙
    部)に形成され、 さらに、前記第1および第2のピクセルのうちの他方の
    残部が、隣接した2つの前記第2の分岐電極の間(第2
    の空隙)に形成されていることを特徴とする請求項22
    記載の原子線ホログラフィによるパターン形成方法。
  24. 【請求項24】 前記第1および第2のピクセルのうち
    の他方の一部のピクセルの周辺が、前記第1の分岐電極
    に取り囲まれて形成され、 さらに、前記第1および第2のピクセルのうちの他方の
    残部のピクセルの周辺が、前記第2の分岐電極に取り囲
    まれて形成されていることを特徴とする請求項22記載
    の原子線ホログラフィによるパターン形成方法。
  25. 【請求項25】 前記メンブレンの膜厚が所要膜厚から
    なり、前記第1のピクセルが第1の短辺および第1の長
    辺を有した第1の矩形からなり、前記第2のピクセルが
    第2の短辺および第2の長辺を有した第2の矩形からな
    り、 前記電界変調手段の一部が前記メンブレンの表面に形成
    され、該電界変調手段の残部が該メンブレンの裏面に形
    成され、 前記電界変調手段により、前記1のピクセルには前記メ
    ンブレンの表面に垂直に第1の電界を加え,前記第2の
    ピクセルには該メンブレンの表面に垂直に第2の電界を
    加えて、該第1のピクセルと第2のピクセルとを通過す
    るそれぞれの前記原子線の位相差をπにすることを特徴
    とする請求項17,請求項18,請求項19もしくは請
    求項20記載の原子線ホログラフィによるパターン形成
    方法。
  26. 【請求項26】 前記電界変調手段が、前記メンブレン
    の表面および裏面のうちの一方に設けられた第1および
    第2の電極と該メンブレンの表面および裏面のうちの他
    方に設けられた1つの第3の電極とからなり、該第1,
    第2および第3の電極はそれぞれ第1,第2および第3
    の電圧に印加され、複数の第1の分岐電極が該第1の電
    極に接続され、複数の第2の分岐電極が該第2の電極に
    接続されており、 前記第1のピクセルの周辺が前記第1の分岐電極と前記
    第3の電極とに取り囲まれ、前記第2のピクセルの周辺
    が前記第2の分岐電極と該第3の電極とに取り囲まれて
    おり、 前記第1の電界が、前記第1の電圧と前記第3の電圧と
    の電位差,前記所要膜厚,前記第1の短辺の長さおよび
    前記第1の長辺の長さにより規定され、、 前記第2の電界が、前記第2の電圧と前記第3の電圧と
    の電位差,前記所要膜厚,前記第2の短辺の長さおよび
    前記第2の長辺の長さにより規定されることを特徴とす
    る請求項25記載の原子線ホログラフィによるパターン
    形成方法。
  27. 【請求項27】 前記電界変調手段が、前記メンブレン
    の表面に設けられた1つの第1の電極と該メンブレンの
    裏面に設けられた1つの第2の電極とからなり、該第1
    および第2の電極にはそれぞれ第1および第2の電圧に
    印加され、 前記メンブレンの表面において前記第1および第2のピ
    クセルの周辺は前記第1の電極に取り囲まれ、該メンブ
    レンの裏面において該第1および第2のピクセルの周辺
    は前記第2の電極に取り囲まれており、 第1の電界が、前記第1の電圧と前記第2の電圧との電
    位差,前記所要膜厚,前記第1の短辺の長さおよび前記
    第1の長辺の長さにより規定され、 第2の電界が、前記第1の電圧と前記第2の電圧との電
    位差,前記所要膜厚,前記第2の短辺の長さおよび前記
    第2の長辺の長さにより規定されることを特徴とする請
    求項25記載の原子線ホログラフィによるパターン形成
    方法。
JP21357999A 1999-07-28 1999-07-28 原子線ホログラフィ用のホログラム板およびそれを用いた原子線ホログラフィによるパターン形成方法 Expired - Fee Related JP3402273B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21357999A JP3402273B2 (ja) 1999-07-28 1999-07-28 原子線ホログラフィ用のホログラム板およびそれを用いた原子線ホログラフィによるパターン形成方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21357999A JP3402273B2 (ja) 1999-07-28 1999-07-28 原子線ホログラフィ用のホログラム板およびそれを用いた原子線ホログラフィによるパターン形成方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001042757A true JP2001042757A (ja) 2001-02-16
JP3402273B2 JP3402273B2 (ja) 2003-05-06

Family

ID=16641550

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP21357999A Expired - Fee Related JP3402273B2 (ja) 1999-07-28 1999-07-28 原子線ホログラフィ用のホログラム板およびそれを用いた原子線ホログラフィによるパターン形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3402273B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112534358A (zh) * 2018-08-13 2021-03-19 柏林工业大学 用于基于电子全息术检测测量值的设备和方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112534358A (zh) * 2018-08-13 2021-03-19 柏林工业大学 用于基于电子全息术检测测量值的设备和方法
US12038720B2 (en) 2018-08-13 2024-07-16 Technische Universität Berlin Arrangement and method for detecting a measured value on the basis of electron holography

Also Published As

Publication number Publication date
JP3402273B2 (ja) 2003-05-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100272116B1 (ko) 디바이스 제조 방법
Berger et al. New approach to projection‐electron lithography with demonstrated 0.1 μm linewidth
US6724002B2 (en) Multiple electron beam lithography system with multiple beam modulated laser illumination
US7095037B2 (en) Electron beam lithography system having improved electron gun
JP2008517472A (ja) サンプル上に周期的及び/又は準周期的パターンを生成するためのシステム及び方法
JPH06216011A (ja) リソグラフィプロセスを含むデバイス作製
FR2524198A1 (fr) Appareil d'exposition par faisceau de particules chargees utilisant un balayage par une ligne variable
US7049033B2 (en) EUV lithography reticles fabricated without the use of a patterned absorber
JP2830849B2 (ja) 原子線ホログラフィを用いる原子線パターン形成方法
JP3177961B2 (ja) 原子線ホログラフィによるパターン形成方法及び装置
Fujita et al. Interferometric modulation of an atomic beam by an electric field: A phase hologram for atoms
JP3402273B2 (ja) 原子線ホログラフィ用のホログラム板およびそれを用いた原子線ホログラフィによるパターン形成方法
Ogai et al. Nanofabrication of grating and dot patterns by electron holographic lithography
Mützel et al. Atomic nanofabrication with complex light fields
JP2000242156A (ja) ホログラム記録再生装置及びホログラム記録再生方法
US6730443B2 (en) Patterning methods and systems using reflected interference patterns
FR2548437A1 (fr) Procede et dispositif pour l'irradiation corpusculaire
Shinonaga et al. Fabrication of eight-step diffractive optical element for hologram-ROM
KR20020077962A (ko) 물질의 결정구조를 이용한 패턴 형성 방법 및 장치
US5838468A (en) Method and system for forming fine patterns using hologram
Jacobsen et al. Progress in high-resolution x-ray holographic microscopy
Tanji et al. Differential microscopy by conventional electron off‐axis holography
JP2594319B2 (ja) 画像情報処理装置及び画像情報記録装置
Fujita et al. Atomic beam holography for nanofabrication
Harada et al. Sophisticated Double-Slit Interference Experiments Using Electron Waves

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20030128

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080229

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090228

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100228

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100228

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110228

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110228

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120229

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120229

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130228

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130228

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140228

Year of fee payment: 11

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees