JP2001042141A - ファイバグレーティングの作製方法 - Google Patents

ファイバグレーティングの作製方法

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JP2001042141A
JP2001042141A JP11220818A JP22081899A JP2001042141A JP 2001042141 A JP2001042141 A JP 2001042141A JP 11220818 A JP11220818 A JP 11220818A JP 22081899 A JP22081899 A JP 22081899A JP 2001042141 A JP2001042141 A JP 2001042141A
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temperature
region
fiber
grating
refractive index
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JP11220818A
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English (en)
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Katsumi Morishita
克己 森下
Kazuo Imamura
一雄 今村
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Mitsubishi Cable Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Cable Industries Ltd
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  • Diffracting Gratings Or Hologram Optical Elements (AREA)
  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期信頼性に優れたファイバグレーティング
を作製する比較的簡便な方法を提供する。 【解決手段】 コアおよびクラッドを有するファイバ素
線10を用意する工程と、ファイバ素線10の第1領域
10aを選択的に、ガラス転移温度領域以上の第1の温
度に加熱する工程と、第1の温度に加熱されたファイバ
素線の第1領域をガラス転移温度領域未満の第2の温度
に冷却し、ファイバ素線の第1領域の密度を選択的に低
下させることによって、第1領域の屈折率を他の領域の
屈折率よりも低くする工程と、を包含し、第1領域が周
期的に複数形成されたファイバグレーティングを作製す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバのコア
に対し縞状に屈折率に差をつけた回折格子(グレーティ
ング)を書き込み、このグレーティングによってそのグ
レーティングピッチに対応した波長特性の光を反射もし
くは透過させるフィルタ等として用いられるファイバグ
レーティングの作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ファイバグレーティングは、光ファイバ
のコアに対しファイバ軸方向に所定のグレーティングピ
ッチ(周期)で屈折率変調縞が形成されたものである。
このようなファイバグレーティングとしては、グレーテ
ィングピッチが約1μm以下の短周期グレーティング
(ファイバブラッググレーティング:FBGとも称され
る。)およびグレーティングピッチが数百μm程度の長
周期グレーティングがある。
【0003】ファイバグレーティングを作製する方法と
して、ゲルマニウム(Ge)をドープした石英ガラス
(コア)に対しコヒーレントな紫外レーザ光を照射する
ことにより該当個所に光誘起屈折率変化を起こし、屈折
率変調縞を形成する方法が知られている(例えば、特開
平6−235808号公報、特開平7−140311号
公報、および特許第2521708号参照)。
【0004】また、コアとクラッドとを異なるガラス材
料を用いて形成したファイバ素線を用い、コアに印加さ
れる残留応力の大きさに応じて屈折率が変化する現象を
利用する方法が検討されている(例えば、信学技報OP
E97−154、第61〜65頁、1998−02)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来のファイバグレーティングの作製方法には以下の問
題がある。
【0006】まず、ゲルマニウム等の不純物をドープし
たガラスの光誘起屈折率変化を利用する方法は、十分な
屈折率差を得るために長時間の水素処理工程が必要であ
ること、ファイバ素線の材料の選択の範囲が狭いこと、
加熱によって屈折率差が減少するので長期信頼性に欠け
ることなどの問題点を有している。
【0007】また、コアに印加される残留応力の大きさ
を制御する方法によれば、不純物をドープする必要はな
いものの、コアとクラッドとの界面における残留応力は
不安定なので長期信頼性が十分に得られない可能性があ
る。
【0008】本発明は、上記の問題を解決するためにな
されたものであり、その目的とするところは、長期信頼
性に優れたファイバグレーティングを作製する比較的簡
便な方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のファイバグレー
ティングの作製方法は、コアおよびクラッドを有するフ
ァイバ素線を用意する工程と、前記ファイバ素線の第1
領域を選択的に、ガラス転移温度領域以上の第1の温度
に加熱する工程と、前記第1の温度に加熱された前記フ
ァイバ素線の前記第1領域をガラス転移温度領域未満の
第2の温度に冷却し、前記ファイバ素線の前記第1領域
の密度を選択的に低下させることによって、前記第1領
域の屈折率を他の領域の屈折率よりも低くする工程とを
包含し、前記第1領域が周期的に複数形成されたファイ
バグレーティングを作製するので、上記目的が達成され
る。
【0010】前記加熱工程の前に熱処理工程を含み、前
記熱処理工程は、前記第1領域が複数形成される、前記
ファイバ素線のグレーティング形成領域の密度を上昇さ
せることによって、前記グレーティング形成領域の屈折
率を上昇させる工程であることが好ましい。
【0011】前記熱処理工程は、前記ファイバ素線の前
記グレーティング形成領域をガラス転移温度領域以上の
第3の温度に加熱する工程と、前記第3の温度に加熱さ
れた前記ファイバ素線をガラス転移温度領域未満の第4
の温度まで徐冷する工程とを包含してもよい。
【0012】前記熱処理工程は、前記ファイバ素線の前
記グレーティング形成領域をガラス転移温度領域の温度
に所定時間維持する工程を包含してもよい。
【0013】前記第1の温度に加熱する工程は、放電に
よって実施されてもよいし、レーザ光を照射することに
よって実施されてもよい。
【0014】本発明のファイバグレーティングの作製方
法は、ファイバ素線を局所的に熱処理することによっ
て、ファイバ素線の密度を局所的に他の領域よりも低下
させ、そのことによって、グレーティングとして機能す
る屈折率分布を有する領域を形成する。
【0015】また、屈折率低下のための上記熱処理の前
処理として、ファイバ素線のグレーティングを形成する
領域全体の密度を高め、一旦屈折率を増大させた後に、
局所的に屈折率を低下させることによって、屈折率差を
さらに大きくすることができる。屈折率を上昇させるた
めの熱処理方法には、ガラス転移温度領域以上の温度か
らガラスが緩和できる(密度が上昇できる)速度で冷却
する方法と、十分な緩和(密度上昇)が得られる時間、
ガラス転移温度領域の温度に維持する方法とがある。勿
論、これら2つの方法を組み合わせることもできる。フ
ァイバ素線を局所的に加熱する方法として、放電現象を
利用する方法またはレーザ光を照射する方法を用いるこ
とによって、効率よく、位置の制御性よく加熱すること
ができる。
【0016】光の吸収効率を高めるために、ファイバ素
線に不純物をドープしてもよい。このドーパントは屈折
率には直接影響しないので、長期信頼性には悪影響を及
ぼさない。
【0017】本発明によると、実質的に熱処理工程だけ
でファイバグレーティングを作製することができる。ま
た、本発明に従って作製されたファイバグレーティング
における屈折率分布は、熱処理工程において形成された
密度分布に起因しているので、ガラス転移温度領域未満
の温度では安定であり、従来のファイバグレーティング
に比べて長期信頼性に優れる。
【0018】なお、ファイバグレーティングにおいて、
屈折率分布を有する領域はファイバ素線のコアに形成さ
れるのが一般的であるが、これに限らない。クラッドと
コアとの屈折率差がファイバの軸方向に沿った分布を有
していれば、グレーティングとして機能する。したがっ
て、上述した本発明の方法によって、屈折率分布を有す
る領域をコアまたはクラッドの一方に形成してもよい
し、コアとクラッドとの両方に形成してもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照しながら説明する。
【0020】本発明のファイバグレーティングの作製方
法は、ガラスから形成されているファイバ素線に熱処理
を施すことによってガラスの密度(体積)を変化させ、
密度変化に伴う屈折率変化を利用している。まず、図1
を参照しながら、熱処理とガラスの密度との関係を説明
する。
【0021】図1は、ガラスの温度と体積(比容:密度
の逆数)との関係を模式的に示す状態図である。図1に
示したように、ガラスの体積は温度の上昇とともに増大
する(熱膨張)。曲線の傾きが熱膨張率を示している。
ガラスの熱膨張率は、ある温度(ガラス転移温度:T
g)を境に不連続に変化する(ガラス転移)。図1中は
模式図であり、実際にはガラス転移温度付近の体積変化
は緩やかである。ガラスをさらに加熱し、ある温度(屈
伏温度:Ts)になるとガラスの膨張が止まり、さらに
昇温するとガラスは軟化し流動する。
【0022】ガラス転移は緩和現象と深く関わってお
り、同じ組成のガラスであっても、昇温速度や熱履歴に
よって、異なったガラス転移温度Tgを示す。その転移
温度を示す範囲を転移温度領域という。昇温速度が速い
とTgは高く、遅いと低くなる。図1中に示した、曲線
BおよびFは、それぞれバルク状ガラス(例えば、ガラ
ス板)およびファイバ状ガラス(例えば、ファイバ素
線)の温度−体積曲線であり、曲線Eは平衡曲線を示
す。平衡曲線は、温度とその温度における熱平衡状態に
達したガラスが示す体積との関係を示している。
【0023】図1では製造時における降温速度と同じ大
きさで昇温している場合を示している。ファイバ素線な
どのファイバ状ガラスのガラス転移温度Tg(F)は、
降温(昇温)速度が速いためにガラス板などのバルク状
ガラスのTg(B)よりも高い温度を示す。転移温度領
域の高温域にTg(F)があり、低温域にTg(B)が
ある。
【0024】ガラス転移温度領域よりも十分に高い温度
(ガラスを構成する原子が十分短い時間で緩和し熱平衡
状態の配列をとり得る温度)から冷却すると、ガラスの
温度(構成原子の平均運動エネルギー)が低下する速度
と、再配列に要する時間(緩和時間)とが拮抗し始め
る。降温速度が緩和時間に比較して速くなると、構成原
子の再配列が阻害され、より高い温度における配列が凍
結される。構成原子の配列が凍結される温度は、降温速
度が遅いほど低くなる。
【0025】ガラス板などのバルク状のガラスは、その
製造工程において比較的遅い速度で冷却されるので、比
較的低い温度まで構成原子の配列が凍結されず再配列が
進行するので、比容が比較的小さい状態となる(図1中
の曲線B)。一方、一般に市販されているファイバ素線
は、その製造工程において急冷されるので、比較的高い
温度で構成原子の配列が凍結され、比容が比較的大きい
状態となる(図1中の曲線F)。
【0026】本発明のファイバグレーティングの作製方
法は、上述したガラスの体積が熱履歴に応じて変化する
現象を利用する。すなわち、ファイバ素線に局所的に異
なる熱処理を周期的に施すことによって、屈折率の異な
る領域を周期的にファイバ素線に形成し、実質的に熱処
理だけでファイバグレーティングを作製する。
【0027】本発明によるファイバグレーティングの作
製方法を図2のフローチャートを参照しながら説明す
る。
【0028】まず、工程S10でコアとクラッドとを有
するファイバ素線を用意する。ファイバ素線の材料に特
に制限は無い。ただし、コアとクラッドのガラスの密度
はできるだけ高い(比容が小さい)ものが好ましい。密
度が高いガラスは、後の熱処理(S20およびS30)
による密度(屈折率)の低下が大きくなるので好まし
い。すなわち、十分に高い密度のファイバ素線を用意し
た場合には、以下の工程S15(S15aおよびS15
b)を省略し、工程S20に進むことができる。
【0029】しかしながら、上述したように一般に市販
されているファイバ素線は、急冷工程を伴う製造プロセ
スで製造されているので、密度が比較的小さい。そこ
で、工程S15において、ファイバ素線の密度を上昇す
るための熱処理を行う。この熱処理工程は、密度の小さ
なファイバ素線のガラスを構成する原子の再配列が進行
するように熱処理を施し、ガラスの密度を上昇させる工
程である。このように、ガラスの状態を熱平衡状態に近
づけるために行う熱処理を「アニール」と呼ぶ。勿論、
この熱処理はファイバ素線のうちのグレーティングを形
成する領域(以下、「グレーティング形成領域」と呼
ぶ。)にのみ行ってもよい。この熱処理工程S15は、
具体的には、2つの方法(工程S15aまたは工程S1
5b)で実施することができる。
【0030】工程S15aを図3を参照しながら説明す
る。図3は、工程S15aにおけるガラスの状態図を模
式的に示す。工程S15aは、ファイバ素線のグレーテ
ィング形成領域をガラス転移温度Tg(F)以上の温度
T1に加熱する工程と、温度T1に加熱されたファイバ
素線をガラス転移温度Tg(F)未満の温度T2まで徐
冷する工程とを含んでいる。
【0031】図3に示したように、室温(r.t.)に
あるファイバ素線をガラス転移温度Tg(F)以上の温
度T1まで加熱する(図3中のP0→P0’→P1)。
ファイバ素線のガラスは、ガラス転移温度Tg(F)に
達する(P0’)と速やかに熱平衡状態になり、ガラス
の体積は平衡曲線Eに沿って膨張する(P1)。 次
に、ガラス転移温度Tg(F)未満の温度T2まで徐冷
する(P1→P2)。ここで、「徐冷」とは、温度T1
からT2への冷却工程においては、少なくとも温度T2
(P2)においてガラスが熱平衡状態になるように冷却
することを意味する。ガラス転移温度Tg(F)よりも
低い温度T2で熱平衡状態に到達することによって、ガ
ラスの密度が増加する。その後、温度T2から室温へ冷
却する(P2→P3)。なお、本願明細書中の「室温」
は、得られたファイバ素線を取り扱う周囲の温度を表し
ており、特定の温度を指すものではない。ファイバ素線
がハンドリングに耐える十分な機械的特性を有する温度
であれば特に制限は無い。
【0032】この一連の熱処理によって、室温における
ガラスの密度が低いP0の状態にあったファイバ素線
は、ガラスの密度が上昇したP3の状態となる。この工
程においては、Tg(F)以下の温度におけるガラスの
状態を決定するP2(熱平衡状態からずれ始める点、ガ
ラスの状態が凍結される点)の制御が重要である。現実
の工程でP2を再現性よく制御するためには、上述した
ように少なくとも温度T2において熱平衡状態が得られ
るように徐冷することが好ましい。すなわち、例えば、
ガラス転移温度Tg(F)以上の温度T1から温度T2
まで熱平衡状態を保ったまま降温するか、あるいは温度
T1から熱平衡状態を保てない速度で温度T2まで降温
した後、温度T2で熱平衡状態が得られるまで保持する
ことが好ましい。
【0033】しかしながら、経験的に所望のP2を決定
できる場合には、温度T1からの室温までの降温速度に
制限はない。すなわち、ガラス転移温度Tg(F)以上
の温度T1からの室温までの降温工程(P2を含む)に
おいて、熱平衡状態が得られない速度で降温してもよ
い。例えば、ファイバ素線の温度をT1に制御した後、
ファイバ素線をTg(F)未満の例えば室温まで急冷す
る方法において、所望のP3が得られる急冷条件を経験
的に見いだせば、ガラスの状態が凍結される温度T2を
直接的に制御しなくても、間接的に温度T2を制御して
いることになる。
【0034】次に、工程15bを図4を参照しながら説
明する。図4は、工程S15bにおけるガラスの状態図
を模式的に示す。工程15bは、ファイバ素線をガラス
転移温度領域の温度T2’に所定時間維持する工程を含
んでいる。以下の説明では、温度T2’はガラス転移温
度Tg(F)未満の温度とする。温度T2’がTg
(F)以上の場合は、上記の工程15aと実質的に同じ
である。
【0035】室温にあるファイバ素線(P0)をTg
(F)以下で転移温度領域にある温度T2’まで加熱
し、この温度T2’で一定時間保持する。ガラス転移温
度領域未満の温度にあるガラスは、実際には体積(及び
/または物性)の変化がわからない程度の非常に遅い速
度で緩和している。このような状態にあるガラスをガラ
ス転移温度領域の温度に加熱すると、構成原子の平均運
動エネルギーに対して緩和時間が短くなるので、構成原
子の再配列(緩和)が進行する。従って、十分な時間が
経過すると、実際に密度の増大(体積の減少)が認めら
れるようになる(図4中のP1’→P2’)。温度T
2’で熱平衡状態に達したファイバ素線を室温まで冷却
すると、P2’の状態が凍結された状態P3’のファイ
バ素線が得られる。
【0036】この工程で再現性よくP2’を制御するた
めには、温度T2’で熱平衡状態が得られるまで(P
2’が平衡曲線E上にくるまで)ファイバ素線を加熱し
続けることが好ましい。しかしながら、温度T2’と温
度T2’に維持する時間だけを制御すれば、経験的に所
望のP2’を決定することもできる。この場合には、P
2’は、P1’から曲線E上のP2’に至る線上のどこ
かに位置し、平衡曲線E上には無い。
【0037】このようにして、ファイバ素線を熱処理す
ることによって密度を上昇させた後、図2の工程S20
および工程S30に進む。工程S20において、ファイ
バ素線に局所的に熱処理することによってグレーティン
グを書き込む。
【0038】図5を参照しながら、工程S20および工
程S30を含む、グレーティング書き込みプロセスを説
明する。図5は、工程S20および工程S30において
局所的に熱処理が施されたガラスの状態図を模式的に示
す。
【0039】工程S20は、ファイバ素線の特定の領域
を選択的にガラス転移温度領域以上の温度に加熱する工
程であり、工程S30は、転移温度領域以上の温度に加
熱された特定の領域をガラス転移温度領域未満の温度に
冷却する工程である。これらの工程S20およびS30
によって、ファイバ素線の特定の領域の密度を選択的に
低下させることによって、この特定の領域の屈折率を他
の領域の屈折率よりも低下させる。
【0040】まず、工程S20において、室温にあるフ
ァイバ素線をガラス転移温度領域を越える温度T3まで
加熱する(図5中のP4→P6)。Tg(F)を越える
温度T3で熱平衡状態になればよく、昇温速度に特に制
限はない。また、図5に示したように(P5→P6)、
Tg(F’)以上の温度で熱平衡状態を維持しながら昇
温される必要は無い。ただし、工程S20は、ガラスに
局所的な密度の差(周期的な屈折率の分布)を形成する
ことが目的なので、昇温速度が遅く加熱時間が長いと温
度分布が平均化され、その結果屈折率分布も平均化され
てしまう。また、加熱温度が高いほど熱平衡状態に短時
間でなるので、加熱温度は高いほど良いが、あまり高す
ぎると粘性が小さくなり形状が保てなくなる。従って、
形成するグレーティングに要求される屈折率分布が得ら
れるように、昇温速度と加熱温度を決定すればよい。
【0041】この後、工程S30において、温度T3に
あるファイバ素線をガラス転移温度領域未満の温度、例
えば室温まで冷却する(P6→P8)。この冷却過程の
ある温度T4でガラスの状態(P7)が凍結される。凍
結される状態(P7)の密度が低いほど、すなわち温度
T4が高いほど、この熱処理が施された領域のガラスの
屈折率は低下する。降温速度が速いほどより高い温度
(T4)でガラスの状態が凍結される。従って、温度T
3と降温速度とを制御することによって、必要な屈折率
(P8の状態)を得ることができる。この工程S30
は、急冷工程で且つ局所的な熱処理工程なので、図5に
示したように、温度T3からT4まで熱平衡状態を保ち
ながら降温し、ガラスの状態が凍結される温度T4を直
接的に制御することは困難である。従って、実際には、
温度T4よりも低い温度(例えば室温)を設定し、降温
過程の温度勾配(T3から室温)を制御することによっ
て、経験的に所望の屈折率を得ることができる。
【0042】上記の工程S20およびS30の局所的な
熱処理をファイバ素線の複数の領域に施すことによっ
て、工程S40においてファイバグレーティングが得ら
れる。周期的に屈折率が低下した領域を複数形成する方
法は、工程S20およびS30を繰り返して行ってもよ
いし、同時に複数の領域に工程S20およびS30を行
ってもよい。
【0043】上述したように、実質的にファイバ素線に
熱処理を施すだけで、グレーティングを書き込むことが
できる。また、熱処理によって形成された低屈折率領域
は、そのガラスの転移温度領域未満の温度まで安定であ
り、従来の方法で作製されたファイバグレーティングよ
りも長期安定性に優れている。
【0044】(実施形態1)コアおよびクラッドいずれ
も光学ガラスからなるファイバ素線を用いて、ファイバ
グレーティングを作製する方法を図6および図7を参照
しながら説明する。
【0045】図6(a)〜(c)は、ファイバグレーテ
ィングの作製方法の各工程におけるファイバ素線の屈折
率を模式的に表す図である。図6(d)は得られたファ
イバグレーティングのコアの屈折率分布を模式的に示す
図である。
【0046】まず、図6(a)に示すように、屈折率n
aのコアと屈折率nbのクラッドからなるファイバ素線
を用意する(図2の工程S10)。ここでは、コア材と
してBaCED4(Hoya(株)社製、Tg=645
℃、na=1.596(波長1.3μm))を、クラッ
ド材としてF11((株)オハラ社製、Tg=590
℃、nb=1.587(波長1.3μm))を用いる。
なお、ガラス転移温度Tgは、昇温速度4℃/分で測定
した線熱膨張率に基づいて得られた数値である。
【0047】次に、図2の工程S15(S15aまたは
S15b)によって、ファイバ素線の密度を上昇させる
と、図6(b)に示したように、コアおよびクラッドの
屈折率が上昇し、それぞれ、BaCED4のバルク状態
の屈折率1.601に近い値na1およびF11のバル
ク状態の屈折率1.598に近い値nb1となる。例え
ば、昇温速度約1600℃/時間、540℃で9時間維
持、降温速度50℃/時間で熱処理を施すと、F11か
らなるクラッドの屈折率だけが上昇し、そのバルク状態
の屈折率に近づく。この様に、工程S15において、コ
アおよびクラッドのいずれか一方の密度を増大させても
よいし、両方の密度を増大させてもよい。なお、コアお
よびクラッドの材料(Tg)の組み合わせによっては、
ある熱処理工程が、一方にとっては工程S15aに対応
し、他方にとっては工程15bに対応することもある。
工程S15において本質的に重要なことは、ガラスの緩
和を進行させることによって密度(屈折率)を増大させ
ることであり、その過程が工程S15aおよび工程S1
5bのいずれで(または両方で)進行するかは重要では
ない。
【0048】得られたファイバ素線に、図2の工程S2
0およびS30によってグレーティングを形成する領域
内のファイバ素線の密度を選択的に低下させることによ
って、屈折率が低下した領域を形成する。選択的にガラ
ス転移温度領域以上に加熱され、急冷された領域の屈折
率は、それぞれna2(<na)、nb2(<nb)に
減少する。例えば、上述のようにクラッドの屈折率が工
程S15によって増大させられている場合、コアに形成
される屈折率差よりもクラッドに形成された屈折率差の
方が大きくなる。
【0049】工程S20およびS30は、例えば、市販
の放電融着器(例えば、Fiberline社製MS−
2)を用いて実施することができる。放電時間と電流値
を制御することによって、熱処理条件(特に工程S20
の最高到達温度と昇温速度)を変化させることができ
る。また、ファイバ素線の放電処理される領域を含む領
域を冷却しながら、放電処理を施すことによって、特に
工程S30における冷却速度をさらに速くすることがで
きる。なお、工程S20およびS30のプロファイル
は、ファイバ素線の温度(環境温度)、ファイバ素線の
熱容量(比熱および体積)、ファイバ素線に与えられる
熱量および熱量を与える速度に依存するので、厳密には
これらを考慮して総合的に設定される。
【0050】例示した、BaCED4/F11ファイバ
を用いた場合、図7に示したように、ファイバ素線の選
択的に加熱される領域10aの放電前の直径d=125
μm(図7(a))が、1回の放電を受けることによっ
て、直径dG(最大値)=130.1μmに増大した
(図7(b))。体積が増大した領域の幅は、約100
μmであった。これは、体積が約12%上昇(密度が約
10.7%減少)したことに相当する。放電を2回以上
繰り返しても、直径の変化はほとんど認められなかっ
た。放電条件は、放電電流約10mA、放電時間0.5
秒、最高到達温度695℃以上とした。
【0051】電気エネルギーを選択的にファイバ素線に
印加する放電処理に代えて、光エネルギーを用いること
もできる。例えばCO2レーザを用いて、工程S16を
実施することができる。CO2レーザを用いると、ビー
ム径を10μm程度とすることによって、放電処理より
も狭い領域の密度を選択的に低下することができる。ま
た、光エネルギーを介してファイバ素線を加熱する方法
を用いる場合には、光エネルギーをより効率的に熱エネ
ルギーに変化するために、ファイバ素線に光を吸収しや
すい不純物をドープしてもよい。
【0052】上述の工程S16を複数の領域に対して同
時に行うか、または連続的に行うことによって、図6
(d)に示したように、選択的に密度が低下した複数の
領域が規則的に配置されたグレーティングが得られる
(図2の工程S40)。例えば、上述のようにクラッド
の屈折率が工程S15によって増大させられている場
合、コアに形成される屈折率分布よりもクラッドに形成
された屈折率分布の方が屈折率の値の変化が大きくなる
ので、主にクラッドに形成された屈折率分布によってグ
レーティンが形成される。
【0053】上記のようにして形成された低屈折率領域
は、ガラス転移温度領域以下では、熱的に安定であるの
で、従来のファイバグレーティングに比較し、優れた長
期信頼性を有する。
【0054】また、本発明のファイバグレーティングの
作製方法は、従来の作製方法よりも材料に対する制限が
少なく、多種の材料を用いることができる。例えば、フ
ァイバ素線として、主成分であるSiO2にGeO2等の
酸化物を添加することによって、コアの屈折率naおよ
びクラッドの屈折率nbとを調整した石英系ファイバ素
線を用いることができる。
【0055】上記の実施形態においては、熱処理だけで
ファイバ素線に屈折率分布を形成したが、従来の石英系
ファイバ素線の光誘起屈折率変化を用いた方法と併用し
てもよい。本発明の製造方法を併用することによって、
例えば、光誘起屈折率変化を増大するために後処理とし
て行われていた高圧水素処理を省略したり、あるいは光
誘起屈折率変化を増大するために添加してたGeやSn
等の不純物の添加量を減らしたりすることができる。従
って、従来のファイバグレーティングの長期信頼性を向
上することができる。
【0056】なお、本発明のグレーティングの書き込み
方法をファイバ以外の光学素子にグレーティングを形成
する方法にも応用することができる。例えば、ガラス基
板に形成された導波路中の特定の領域にグレーティング
を書き込むことができる。基板中または基板上に形成さ
れた導波路にグレーティングを書き込む方法としては、
CO2レーザ等の光エネルギーを選択的に印加する方法
が好ましい。
【0057】
【発明の効果】本発明によると、ファイバ素線に実質的
に熱処理を施すだけで、グレーティングを形成している
ので、従来のファイバグレーティングに比較し、優れた
長期信頼性を有するファイバグレーティングを作製する
ことができる。また、従来の作製方法よりも材料に対す
る制限が少ないので、多様な材料を用いてファイバグレ
ーティングを作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガラスの温度と体積との関係を模式的に示す状
態図である。
【図2】本発明のファイバグレーティングの製造工程を
示すフローチャートである。
【図3】本発明のファイバグレーティングの製造方法の
密度上昇のための前処理工程におけるガラスの状態変化
を模式的に示す状態図である。
【図4】本発明のファイバグレーティングの製造方法の
密度上昇のための他の前処理工程におけるガラスの状態
変化を模式的に示す状態図である。
【図5】本発明のファイバグレーティングの製造方法の
グレーティング書き込み工程におけるガラスの状態変化
を模式的に示す状態図である。
【図6】本発明のファイバグレーティングの製造方法の
各製造工程においける屈折率分を模式的に示す図であ
る。
【図7】本発明のファイバグレーティングの製造方法の
グレーティング書き込み工程におけるガラスの体積変化
を模式的に示す図である。
【符号の説明】
10 ファイバ素線(光ファイバ) 12 コア 14 クラッド 10a 選択加熱領域

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コアおよびクラッドを有するファイバ素
    線を用意する工程と、 前記ファイバ素線の第1領域を選択的に、ガラス転移温
    度領域以上の第1の温度に加熱する工程と、 前記第1の温度に加熱された前記ファイバ素線の前記第
    1領域をガラス転移温度領域未満の第2の温度に冷却
    し、前記ファイバ素線の前記第1領域の密度を選択的に
    低下させることによって、前記第1領域の屈折率を他の
    領域の屈折率よりも低くする工程と、を包含し、 前記第1領域が周期的に複数形成されたファイバグレー
    ティングの作製方法。
  2. 【請求項2】 前記加熱工程の前に熱処理工程を含み、
    前記熱処理工程は、前記第1領域が複数形成される、前
    記ファイバ素線のグレーティング形成領域の密度を上昇
    させることによって、前記グレーティング形成領域の屈
    折率を上昇させる工程である請求項1に記載のファイバ
    グレーティングの作製方法。
  3. 【請求項3】 前記熱処理工程は、前記ファイバ素線の
    前記グレーティング形成領域をガラス転移温度領域以上
    の第3の温度に加熱する工程と、 前記第3の温度に加熱された前記ファイバ素線をガラス
    転移温度領域未満の第4の温度まで徐冷する工程と、 を包含する請求項2に記載のファイバグレーティングの
    作製方法。
  4. 【請求項4】 前記熱処理工程は、前記ファイバ素線の
    前記グレーティング形成領域をガラス転移温度領域の温
    度に所定時間維持する工程を包含する請求項2に記載の
    ファイバグレーティングの作製方法。
  5. 【請求項5】 前記第1の温度に加熱する工程は、放電
    によって実施される請求項1から4のいずれかに記載の
    ファイバグレーティングの作製方法。
  6. 【請求項6】 前記第1の温度に加熱する工程は、レー
    ザ光を照射することによって実施される請求項1から4
    のいずれかに記載のファイバグレーティングの作製方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004027941A1 (en) * 2002-09-20 2004-04-01 Southampton Photonics Limited Optical fibre with lenghtwise refractive index profile variation for brillouin scattering reduction
JP2019517134A (ja) * 2016-04-29 2019-06-20 ヌブル インク モノリシック可視波長ファイバーレーザー

Cited By (3)

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