JP2001037885A - 自己膨張ステントデリバリー装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ステントをカテーテルの遠位端に搭載し、ス
テントがカテーテルの中で嵌まり込むのを防ぐ自己膨張
ステントデリバリーシステムを提供する。 【解決手段】 本発明によれば、自己膨張ステントデリ
バリー装置１が提供される。この装置１は、遠位端と近
位端を有する長形チューブ状部材から製造される外側鞘
４０を含む。この装置１は、さらに、搭載エリアに沿っ
て鞘４０の遠位端４４内に位置する自己膨張ステント５
０を含む。ステントは鞘４０の内層と摩擦接触する。最
後に、この装置１は、搭載エリアの少なくとも一部に沿
って外側鞘４０に沿って位置する容易に取り外せる部材
又は保持具６０を含む。この部材６０は、ステントを運
搬する前に、搭載エリアに沿って外側鞘４０が膨張する
のを防ぐのに十分な程剛い。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は自己膨張ステント
デリバリー装置に関し、特に、疾病により狭くなった又
は閉塞した血管を修復するのに特別に有用な、体の路又
は管内に使用する、自己膨張管腔内移植片（ステント）
に関する。また、本発明はこのようなステントのデリバ
リーシステムに関する。

【０００２】

【従来の技術および発明が解決しようとする課題】経皮
経管的冠動脈形成術（ＰＴＣＡ）は、冠動脈を通る血流
を増加させるために用いられる医学的治療方法であり、
しばしば冠動脈バイパス手術の代替として用いられる。
この方法では、管の壁成分を剪断、分裂して管腔を拡大
させるために、血管形成バルーンを狭窄血管又は体路内
で膨張させる。狭窄動脈障害に関しては、比較的圧縮不
能なプラークは変わらず残り、体路の弾力ある内外層は
プラークの周りで延びる。この方法により、体路の壁層
が切開又は分裂、破断し、動脈又は体路の脈管内膜又は
内面が裂ける。この切開が下にある組織の「垂下物（フ
ラップ）」を形成し、管腔を通る血流を減らし、又は管
腔を塞ぐ可能性がある。一般に、体路内で広がる管腔内
圧力により、裂けた層又はフラップを所定の位置に保持
できる。バルーン膨張方法により形成された脈管内膜フ
ラップが拡大した脈管内膜に対して所定の位置に維持さ
れないと、脈管内膜フラップが管腔内へ入って塞ぐ恐れ
があり、又は分離して体路に入る恐れすらある。脈管内
膜フラップが体路を塞いだら、この問題に対処するため
に、緊急手術が必要となる。

【０００３】近年、医療分野において、血管、胆管又は
他の同様の生体器管内への植え込みのために、経管的プ
ロテーゼが広く用いられている。このプロテーゼは一般
にステントとして知られ、チューブ状構造体を維持、開
き又は膨張させるために使用される。通常使用されてい
るステントの例は、１９８５年１１月７日発行のPalmaz
の米国特許第４，７３３，６６５号に示される（この特
許は、参考としてここに取り込む）。このようなステン
トをしばしばバルーン膨張可能ステントと呼ぶ。典型的
に、ステントはステンレス鋼の剛いチューブから製造さ
れる。その後、一連の切り込みをステントの壁に入れ
る。ステントは、ステントをバルーンカテーテルに収縮
させてヒトの脈管を通して運搬するのを可能にする、第
１の小さな直径を有する。また、ステントは、使用時に
おいて、バルーンカテーテルにより、チューブ状部材の
内部から放射状に外側に延びた、第２の膨張した直径を
有する。

【０００４】しかし、このようなステントはしばしば頸
動脈等の幾つかの管に使用するには実用的でない。頸動
脈はヒトの体の外部から容易に接近可能であり、しばし
ば首から見える。頸動脈にステンレス鋼等から製造した
バルーン膨張可能ステントがある患者は、毎日の活動で
重大な障害を受けやすい可能性がある。転倒等により患
者の首に大きな力がかかると、ステントが潰れ、患者を
傷付ける恐れがある。このような事態を防ぎ、さらに、
バルーン膨張可能ステントの他の欠点を解消するため
に、自己膨張ステントが開発された。自己膨張ステント
はスプリングの様に作動し、潰れた後でも膨張した又は
植え込まれた形状に戻る。

【０００５】自己膨張ステントの一タイプは米国特許第
４，６６５，７７１号に示されており、このステント
は、半径方向及び軸方向に曲がることができる弾性チュ
ーブ状本体を有し、この本体は、本体の端が互いに軸方
向に動くと変化する所定の直径を有する。また、この本
体は、個々では剛いが、可撓性で弾性の複数の糸状部材
が半径方向に自己膨張するらせんを形成して構成され
る。このタイプのステントはこの技術分野で「編組ステ
ント」として知られ、本明細書でもそのように呼ぶ。遠
位端にステントを保持する外側カテーテルと配置後にス
テントを前方に押し出す内側ピストンからなる器具を用
いて、このようなステントを体管に配置できる。

【０００６】他のタイプの自己膨張ステントではニチノ
ール（Ｎｉ−Ｔｉ合金）等の合金を用い、この合金は、
患者の体に挿入するようにデザインされた医療器具にお
いて形状記憶及び／又は超弾性特性を有する。形状記憶
特性により、器具は変形し体管腔又は腔内への挿入が容
易となり、その後体内で加熱して元の形状に戻る。一
方、超弾性特性により、一般に、変形条件で金属が変形
し抑制され、このような変形が相転移を引き起こし、こ
の金属を含む医療器具を患者の体内へ挿入するのが容易
になる。体管腔内で超弾性部材にかかる抑制が除かれる
と、応力が減り、転移が元の相に戻ることにより超弾性
部材は元の変形していない形状へ戻ることができる。

【０００７】形状記憶／超弾性特性を有する合金は一般
に少なくとも２相を有する。これらの相は、比較的引張
り強度が低く比較的低温で安定なマルテンサイト相と、
比較的引張り強度が高くマルテンサイト相より高温で安
定なオースティナイト相である。

【０００８】その温度より高いとオースティナイト相が
安定である温度（即ち、マルテンサイト相からオーステ
ィナイト相への相転移が完了する温度）で超弾性特性を
示すニチノール等の金属試料に応力をかけると、合金が
オースティナイト相からマルテンサイト相へ応力誘起相
転移する特定の応力レベルに達するまで、試料は弾性変
形する。相転移が進行すると、合金はひずみがかなり増
すが、それに対応する応力の増加は全くないかほとんど
ない。オースティナイト相からマルテンサイト相への転
移が完了するまで、ひずみは増加するが応力は本質的に
一定にとどまる。その後は、さらに変形するためには、
応力がさらに増えることが必要である。応力がさらにか
かると、マルテンサイト金属は始め弾性変形し、次に永
久変形が残る塑性変形する。

【０００９】永久変形が生じる前に試料から負荷を除く
と、マルテンサイト試料は弾性的に回復し、オースティ
ナイト相へ転移する（戻る）。応力が減ると始めはひず
みが減る。応力の減少がマルテンサイト相がオースティ
ナイト相へ転移するレベルに達すると、オースティナイ
ト相への転移が完了するまで、試料の応力レベルは本質
的に一定にとどまる（しかし、オースティナイト相から
マルテンサイト相へ転移する一定応力レベルよりもかな
り小さい）。即ち、対応する応力がごくわずかでも減る
と、ひずみは大きく回復する。オースティナイト相への
転移が完了した後、さらに応力が減ると、弾性ひずみが
減る。負荷をかけると比較的一定な応力で大きなひずみ
が生じ、負荷を除くと変形から回復する能力を、通常、
超弾性又は擬弾性という。チューブカット自己膨張ステ
ントの製造においてこの物質が有用となるのはこの性質
のためである。患者の体に挿入し又は他の方法で用いる
ことが意図された医療器具において超弾性特性を有する
金属合金を使用することについて、従来技術を参照でき
る。例えば、米国特許第４，６６５，９０５号（Jervi
s）および同第４，９２５，４４５号（サカモト等）を
参照されたい。

【００１０】自己膨張ステントを運搬するデリバリーシ
ステムをデザインすることが困難であることが判明して
いる。従来技術の自己膨張ステントデリバリーシステム
の一例に、１９８６年４月８日発行のGianturco の米国
特許第４，５８０，５６８号がある。この文献は、カテ
ーテル等の中空鞘を用いるデリバリー装置を開示してい
る。鞘を体管に挿入して操縦し遠位端がターゲット部位
の隣りにくるようにする。次に、ステントを小さな直径
まで圧縮し、鞘の近位端で鞘の中へ入れる。鞘の内径と
ほぼ等しい直径を有し、端が平らな円柱形プッシャを、
ステントの後に鞘の中へ挿入する。次に、プッシャでス
テントを鞘の近位端から鞘の遠位端へ押し進める。ステ
ントが鞘の遠位端に達したら、プッシャを静止したまま
鞘を引き戻し、ステントを露出させて管内で膨張させ
る。

【００１１】しかし、ステントをカテーテルの全長を通
して運搬すると、運搬する途中で管又はステントを傷つ
ける等多くの問題が生じる可能性がある。さらに、プッ
シャにカテーテルを通して操縦するのに十分な可撓性を
もたせ、さらにカテーテルからステントを押し出すのに
十分な剛性をもたせるように、プッシャをデザインする
ことはしばしば困難である。従って、ステントをカテー
テルの遠位端に予め搭載し、その後カテーテルを管に通
してターゲット部位へ運搬するのがより好ましい方法で
あることが見出された。確実にステントをカテーテル内
に適切配置するためには、ステントを製造部所で予め搭
載することがしばしば好ましい。このことを除いても幾
つかの問題がある。カテーテルは自己膨張ステントに大
きな力をかけているので、ステントがカテーテルの内壁
に嵌まり込みやすい。嵌まり込むと、運搬する間、カテ
ーテルがステントの上をスライドするのが困難になる。
この状況の結果、ステントがカテーテルの内側に付着
し、又は運搬する間ステントが傷つく恐れがある。カテ
ーテルがステントに十分な力をかけないと、ステントが
外側鞘を外側に膨らませ、これがまた運搬の問題をもた
らす恐れがある。ステントを束縛するために、より強い
物質を使用できるが、このような解決方法は、デザイン
する際の主な考慮事項であるデリバリーシステムの可撓
性を妨げる。

【００１２】従って、従来技術のデリバリーシステムに
関する上記の問題を解決する自己膨張ステントデリバリ
ーシステムが必要とされている。特に、ステントがカテ
ーテルの遠位端に搭載され、ステントがカテーテルの中
に嵌まり込むのを効果的に防ぐ自己膨張ステントデリバ
リーシステムが必要とされている。本発明はかかる装置
を提供する。

【００１３】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、自己膨
張ステントデリバリー装置が提供される。この装置は、
遠位端と近位端を有する長形チューブ状部材から製造さ
れる外側鞘を含む。この装置は、さらに、搭載エリアに
沿って鞘の遠位端内に位置する自己膨張ステントを含
む。ステントは鞘の内層と摩擦接触する。最後に、この
装置は、搭載エリアの少なくとも一部に沿って外側鞘に
沿って位置する容易に取り外せる部材又は保持具を含
む。この部材は、ステントを運搬する前に、搭載エリア
に沿って外側鞘が膨張するのを防ぐのに十分な程剛い。

【００１４】

【発明の実施の形態】本発明の前述の特徴及び他の特徴
は、図面と共に詳細な説明を参照すると、最も良く理解
できるであろう。

【００１５】全ての図を通して、同一の番号は同一の部
材を示す。図１，図２は本発明による自己膨張ステント
デリバリー装置１を示す図である。装置１は、同一人に
譲渡された、１９９８年３月１８日出願の米国特許出願
第０９／０４２，２７６号及び１９９９年２月３日出願
の米国特許出願第０９／２４３，７５０号に示されるス
テントデリバリー装置と類似する（両方の出願の開示は
参考としてここに取り込む）。装置１は、内側同軸チュ
ーブ及び外側同軸チューブを有する。内側チューブを軸
１０と呼び、外側チューブを鞘４０と呼ぶ。軸１０は遠
位端１４と近位端１２を有する。軸の近位端１２には、
近位端に取り付けられたルア（luer）ロックハブ５があ
る。軸１０の近位部分は、好ましくは、ステンレス鋼又
はニチノール等の比較的剛い物質から製造し、遠位部分
は、好ましくは、ポリマー等のより柔軟な物質から製造
する。

【００１６】軸１０の遠位部分１４には、遠位部分１４
に取り付けられた遠位チップ２０がある。遠位チップ２
０は、ポリアミド、ポリウレタン、ポリテトラフルオロ
エチレン及びポリエチレン等のこの技術分野で知られて
いる多数の物質から製造でき、多層構造又は単一層構造
でもよい。遠位チップ２０の近位端３４の直径は鞘４０
の外径と実質的に同じである。遠位チップは、その近位
端３４から遠位端３６へ、直径が小さくなるようにテー
パしており、遠位チップの遠位端３６の直径は鞘の内径
より小さい。チップ２０は、装置１を体の血管を通して
操縦するとき、血液が鞘４０の中へ入るのを防ぐ。後述
するが、ストップ部材が軸１０の遠位部分１４に取り付
けられ、ストップ部材は遠位チップ２０とステント５０
の近位にある。好ましくは、ストップ部材の直径は、外
側鞘４０の内層と摩擦接触することなくステント５０
（図４）と十分に接触できるように大きい。後述する
が、ストップ部材は、ステントを展開するために鞘４０
が後退する間にステントが鞘４０内で近位方向に動くこ
とを防ぐことにより、展開時にステントを鞘の外へ押し
出すのを助ける。展開時に、外側鞘４０は静止している
内側軸１０に対し近位方向へ動く。

【００１７】鞘４０は、好ましくは、ポリマーカテーテ
ルであり、その近位端４２はルアハブ５２で終わる。鞘
４０の遠位端４４は、図示するように、ステント５０が
十分な非展開位置にあるとき、軸１０の遠位チップ２０
の近位端３４で終わる。好ましくは、鞘４０は、外側ポ
リマー（好ましくは、ナイロン）層と内側ポリマー（好
ましくは、ポリテトラフルオロエチレン）層を有する。
内側層及び外側層に適する他のポリマーの例には、ポリ
エチレン又はポリアミド等の、当業者に知られている任
意の適当な物質がある。内側層と外側層の間にはワイヤ
補強層があり、これは、好ましくは、編組ワイヤであ
る。編組補強層７０は、好ましくは、ステンレス鋼から
製造する。編組補強層を他のタイプの医療器具に使用す
ることは、１９７１年６月２２日発行のStevens の米国
特許第３，５８５，７０７号、１９９１年９月３日発行
のCastillo等の米国特許第５，０４５，０７２号及び１
９９３年１０月１９日発行のSoltesz の米国特許第５，
２５４，１０７号に示されている（これらの特許は全て
ここに参考として取り込む）。

【００１８】図２及び図４に示すように、装置は、さら
に、自己膨張ステント５０を有し、自己膨張ステント５
０は搭載エリア５５と呼ばれる部分に沿って鞘の遠位端
内にある。ステント５０は搭載エリア５５に沿って鞘の
内層と摩擦接触する。自己膨張ステント５０は当業者に
知られている多数のデザインのいずれでもよく、これら
デザインの幾つかは上述した。図４に示すように、ステ
ント５０は、好ましくは、レーザーカッティングで形成
したスロット又は同様の切り込みのあるチューブから製
造する。ステント５０は、図示するように、血管に挿入
するための第１の小さな直径と、血管で展開するための
第２の大きな直径（図示せず）を有する。このチューブ
状部材には前端と後端の間に延びる複数の隣り合う輪が
ある。輪は複数の長手方向に延びる支柱と隣り合う支柱
を結合する複数のループから形成される。この部材は、
さらに、隣り合う輪を互いに結合する複数のブリッジも
有する。

【００１９】さらに、ステント５０は、好ましくは、約
５０．５％（ここで使用する％は原子％である）から約
６０％のＮｉ、最も好ましくは約５５％のＮｉと残りが
Ｔｉの合金から製造される。好ましくは、ステントは体
温で超弾性であり、好ましくは、約２４℃乃至約３７℃
の範囲でＡｆを有する。ステントを超弾性に設計するこ
とにより、ステントが衝撃回復性となり、上述したよう
に、異なる用途の多数の管器具のための、ステント又は
フレームとして使用できる。

【００２０】本発明によれば、装置１は、さらに、容易
に取り外せる剛い部材又は保持具６０を有する。部材６
０は、搭載エリア５５の少なくとも一部に沿った外側鞘
に沿って配置される。この部材は、ステントを運搬する
前に、外側鞘が搭載エリアに沿って膨張するのを防ぐの
に十分な剛性および耐クリープ性を有する。部材６０
は、高密度ポリエチレン、ニチノール、ステンレス鋼、
ＰＥＴ等の当業者に知られている多数の物質から製造で
きる。

【００２１】部材６０は、鞘４０が、ステント５０によ
り外側に向く力がかかる搭載エリア５５に沿って膨張す
るのを防ぐ。前述したように、鞘が膨張しすぎると、外
径が大きくなって所定のより小さな管に挿入するのに使
用できなくなる。さらに、部材６０は、ステント５０が
鞘４０の内面に嵌まり込まないように維持するのを助け
る。即ち、鞘４０は部材６０により膨張するのを制約さ
れているので、それ自体でより剛くなり、従って、ステ
ント５０が鞘に嵌まり込むのを防ぐ。ステントがデリバ
リーシステムに嵌まり込むのは、２つの因子、すなわち
膨らみ（又はたるみ）と窪みによる。窪みは、ステント
の支柱がデリバリーシステム材の中へ入り、その外面と
両側面がデリバリーシステム材により少なくとも一部囲
まれる所である。膨らみは、ステントの外側に向く力に
より、デリバリーシステム材が隣り合うステント支柱の
間の中へ入る所である。この膨らみ効果はより柔軟で剛
性が小さい材料である程大きくなる。部材６０は、デリ
バリー器具の遠位端部を効果的に剛くしステントが外側
に動く余地を減らすことにより、膨らみ効果を減少させ
る。さらに、部材６０が剛いので、鞘４０をより柔らか
い物質から製造できる。鞘４０が柔らかい程、路を良く
たどれる。さらに、鞘を薄く製造できれば、輪郭又は外
径サイズが小さくなる。外側鞘の輪郭を小さくすると、
小さな管に達することができるので、器具を展開できる
管の数が増える。

【００２２】図３に示すように、好ましくは、部材６０
は外側鞘４０から容易に取り外せる。図３に示す実施形
態では、患者内で装置を展開する前に、部材６０を手動
で簡単にスライドして外せる。部材を容易に外すため
に、当業者に知られている他の多くの方法も使用でき
る。例えば、部材を剥がすために、１以上の刻み目ライ
ンを部材６０の長さの下方に設ける。また、部材を鞘の
外側の周りを巻く螺旋状ラップにして、ほどいて外すよ
うにできる。

【００２３】図１乃至図４はこの部材６０をチューブ状
部材として示すが、他の多くの実施形態が可能である。
図５，図６および図７は異なる形の部材の異なる断面図
を示す図である。図５はＣ形部材１６０を、図６はＵ形
部材２６０を、図７はブロックＣ形部材３６０を示す図
である。他の好ましい実施形態を図８に示す。この図で
は、部材４６０は実際にパッケージ４００の一部に取り
込まれている。パッケージ４００は、厚紙又はプラスチ
ック等の長く薄いシートでよく、装置４０１がその上に
取り付けられている。部材４６０がこのパッケージに付
着又は一体化しており、装置４０１のパッケージ４００
への取り付けを助けている。次に、パッケージ４００と
装置４０１を透明なポリマー等でカバーしてもよい。

【００２４】図９は、本発明により製造した別の実施形
態の装置５０１の断面図である。装置５０１は装置１と
非常に似ている。装置は外側鞘５４０を有する。外側鞘
５４０の遠位端の隣りに拡大セクション５４２がある。
拡大セクション５４２の内径及び外径は、拡大セクショ
ンよりも近位にある鞘５４０の内径及び外径より大き
い。また、この装置は、外側鞘内に同軸に位置する内側
軸５１０を有する。さらに、この装置は、外側鞘の拡大
セクション内にある自己膨張ステント５５０を有する。
拡大セクション５４２よりも近位にある鞘５４０の外径
のサイズが小さいことにより、デリバリー器具とガイド
カテーテルの間の隙間が増え、このタイプの装置の運搬
を助ける。外科医は、内側に装置５０１があるガイドカ
テーテルを通して放射線不透過性溶液を注入して、ステ
ントの展開前後に、管内のターゲット部位の像を蛍光顕
微鏡を用いて見る。セクション５４２よりも近位にある
鞘の外径をテーパさせるか、減らすかして、外側鞘５４
０とガイドカテーテルの隙間を増やすと、注入速度が高
まり、外科医にとってターゲット部位のより良い像が得
られる。鞘５４０をテーパさせると、ステントの展開前
後両方において、放射線不透過性流体の注入速度が速く
なる。

【００２５】また、図９は軸５１０上にあるストップ部
材５２０を示す図である。軸５１０のストップ部材は前
述のストップ部材と同様であるが、前述のストップ部材
は先の図面に示されていない。ステントが展開している
間、鞘と軸はTuohy Borstバルブによりそれらの近位端
で一緒にロックされる。このことが、ステントの不十分
な展開又は部分的展開の原因となる、軸と鞘の間のスラ
イドを防ぐ。ステントがターゲット部位に達して展開準
備ができたら、Tuohy Borstバルブを開けて、鞘と軸の
ロックを解除する。次に、鞘を後方へスライドさせて
（又は軸を前方へ押して）プッシャ５２０をステント５
５０に十分に接触させ、鞘を後方へ引くと、ステントが
露出して膨張し、ターゲット管を満たしターゲット管と
接触する。

【００２６】本発明の特別の実施形態を示して説明して
きたが、本発明の精神と範囲から離れることなく、器具
及び／又は方法を変更できる。本発明を説明するのに使
用した用語は説明の意味で使用され限定の意味ではな
い。

【００２７】好適な実施態様を以下に示す。 （１）前記容易に取り外せる部材が前記鞘の上をスライ
ドできるチューブ形部材を含む請求項１に記載の装置。 （２）前記容易に取り外せる部材が、前記鞘の上をスラ
イドしかつ外れることができる、断面Ｃ形である半チュ
ーブ形部材を含む請求項１に記載の装置。 （３）前記容易に取り外せる部材が、前記鞘の上をスラ
イドしかつ外れることができる、断面Ｕ形である半チュ
ーブ形部材を含む請求項１に記載の装置。 （４）前記容易に取り外せる部材が、ポリエチレン、ニ
ッケル−チタン合金、ステンレス鋼を含む群から選択さ
れる物質から製造される請求項１に記載の装置。 （５）さらに、前記装置を貯蔵及び出荷するために前記
装置を包むパッケージを有し、前記容易に取り外せる部
材が前記パッケージに取り付けられた請求項１に記載の
装置。

【００２８】（６）前記ステントが超弾性ニッケル−チ
タン合金から製造される請求項１に記載の装置。 （７）前記容易に取り外せる部材が前記鞘の上をスライ
ドできるチューブ形部材を含む請求項２に記載の装置。 （８）前記容易に取り外せる部材が、前記鞘の上をスラ
イドしかつ外れることができる、断面Ｃ形である半チュ
ーブ形部材を含む請求項２に記載の装置。 （９）前記容易に取り外せる部材が、前記鞘の上をスラ
イドしかつ外れることができる、断面Ｕ形である半チュ
ーブ形部材を含む請求項２に記載の装置。 （１０）前記容易に取り外せる部材が、ポリエチレン、
ニッケル−チタン合金、ステンレス鋼を含む群から選択
される物質から製造される請求項２に記載の装置。

【００２９】（１１）さらに、前記装置を貯蔵及び出荷
するために前記装置を包むパッケージを有し、前記容易
に取り外せる部材が前記パッケージに取り付けられた請
求項２に記載の装置。 （１２）前記ステントが超弾性ニッケル−チタン合金か
ら製造される請求項２に記載の装置。 （１３）前記容易に取り外せる部材が前記鞘の上をスラ
イドできるチューブ形部材を含む請求項３に記載の装
置。 （１４）前記容易に取り外せる部材が、前記鞘の上をス
ライドしかつ外れることができる、断面Ｃ形である半チ
ューブ形部材を含む請求項３に記載の装置。 （１５）前記容易に取り外せる部材が、前記鞘の上をス
ライドしかつ外れることができる、断面Ｕ形である半チ
ューブ形部材を含む請求項３に記載の装置。

【００３０】（１６）前記容易に取り外せる部材が、ポ
リエチレン、ニッケル−チタン合金、ステンレス鋼を含
む群から選択される物質から製造される請求項３に記載
の装置。 （１７）さらに、前記装置を貯蔵及び出荷するために前
記装置を包むパッケージを有し、前記容易に取り外せる
部材が前記パッケージに取り付けられた請求項３に記載
の装置。 （１８）前記ステントが超弾性ニッケル−チタン合金か
ら製造される請求項３に記載の装置。

【００３１】

【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、ス
テントをカテーテルの遠位端に搭載し、ステントがカテ
ーテルの中で嵌まり込むのを防ぐ自己膨張ステントデリ
バリーシステムを提供できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明により製造されたステントデリバリー装
置の斜視図である。

【図２】ライン２−２に沿った図１の装置の断面図であ
る。

【図３】本発明により製造された器具の斜視図であり、
容易に取り外せる部材又はステント保持具が鞘の遠位端
から取り外される状態を示す図である。

【図４】図１に示す装置の遠位端の簡略図であり、異な
る層を切り取って装置の異なる部材を示している図であ
る。

【図５】本発明により製造されたステント保持具の他の
実施形態の断面図である。

【図６】本発明により製造されたステント保持具の他の
実施形態の断面図である。

【図７】本発明により製造されたステント保持具の他の
実施形態の断面図である。

【図８】本発明による他の実施形態の簡略斜視図であ
る。

【図９】本発明によるさらに他の実施形態の簡略断面図
である。

【符号の説明】

１，４０１ 自己膨張ステントデリバリー装置 １０，５１０ 内側軸 １２ 内側軸の近位端 １４ 内側軸の遠位端 ４０，５４０ 外側鞘 ４２ 外側鞘の近位端 ４４ 外側鞘の遠位端 ５０，５５０ 自己膨張ステント ５５ 搭載エリア ６０，１６０，２６０，３６０，４６０ 容易に取り外
せる部材（保持具） ５２０ ストップ部材 ５４２ 拡大セクション

フロントページの続き (71)出願人 500304486 47533 Ｗｅｓｔｉｎｇｈｏｕｓｅ Ｄｒ ｉｖｅ， Ｆｒｅｍｏｎｔ， Ｃａｌｉｆ ｏｒｎｉａ 94539， Ｕ．Ｓ．Ａ. (72)発明者 トーマス・ダブリュ・デュエリグ アメリカ合衆国、94539 カリフォルニア 州、フレモント、バーガス・ロード 41790 (72)発明者 ディーター・ストッケル アメリカ合衆国、94024 カリフォルニア 州、ロス・アルトス、ブラック・マウンテ ン・コート 960

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ａ）遠位端と近位端を有する長形チュー
   ブ状部材を含む外側鞘、 ｂ）前記外側鞘の前記遠位端内に搭載エリアに沿って位
   置し、前記外側鞘の内層と摩擦接触する自己膨張ステン
   ト、及び、 ｃ）前記搭載エリアの少なくとも一部に沿って前記外側
   鞘に沿って位置し、前記ステントを運搬する前に前記外
   側鞘が前記搭載エリアに沿って膨張するのを実質的に防
   ぐのに十分な剛性である容易に取り外せる部材を有する
   自己膨張ステントデリバリー装置。
2. 【請求項２】 ａ）遠位端と近位端を有する長形チュー
   ブ状部材を含む外側鞘、 ｂ）前記外側鞘内に位置し、搭載エリアに沿って前記外
   側鞘の内層と摩擦接触する自己膨張ステント、及び、 ｃ）前記搭載エリアの少なくとも一部に沿って前記外側
   鞘に沿って位置する容易に取り外せる部材を有し、 前記外側鞘内には内側軸が同軸に位置し、前記内側軸
   が、前記外側鞘の前記遠位端の遠位に延びる遠位端と、
   前記外側鞘の前記近位端よりも近位に延びる近位端を有
   し、前記内側軸が、さらに、前記内側軸に取り付けられ
   たストップ部材を有し、前記ストップ部材が前記外側鞘
   の前記遠位端よりも近位にあり、 前記搭載エリアは前記ストップ部材と前記外側鞘の前記
   遠位端の間にあって、前記内側軸の一部が前記ステント
   の管腔内に同軸に位置し、 前記容易に取り外せる部材は、前記ステントを運搬する
   前に前記外側鞘が前記搭載エリアに沿って膨張するのを
   実質的に防ぐのに十分な剛性である自己膨張ステントデ
   リバリー装置。
3. 【請求項３】 ａ）遠位端と近位端及び内径と外径を有
   する長形チューブ状部材を含み、前記遠位端に拡大セク
   ションを有する外側鞘、 ｂ）前記外側鞘内に同軸に位置し、遠位端と近位端を有
   する内側軸、 ｃ）前記外側鞘の前記拡大セクション内に位置し、搭載
   エリアに沿って前記外側鞘と摩擦接触する自己膨張ステ
   ント、及び、 ｄ）前記搭載エリアの少なくとも一部に沿って前記外側
   鞘に沿って位置する容易に取り外せる部材を有し、 前記拡大セクションの内径と外径は前記拡大セクション
   よりも近位にある前記外側鞘の前記内径と外径より大き
   く、 前記内側軸は、さらに、そこに取り付けられたストップ
   部材を含み、前記ストップ部材は前記外側鞘の前記遠位
   端よりも近位にあり、 前記内側軸は前記ステントの管腔内に同軸に位置し、 前記容易に取り外せる部材は、前記ステントを運搬する
   前に前記外側鞘が前記搭載エリアに沿って膨張するのを
   実質的に防ぐのに十分な剛性である自己膨張ステントデ
   リバリー装置。