JP2001033639A - 長周期ファイバグレーティング素子およびその製造方法 - Google Patents

長周期ファイバグレーティング素子およびその製造方法

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JP2001033639A
JP2001033639A JP11210703A JP21070399A JP2001033639A JP 2001033639 A JP2001033639 A JP 2001033639A JP 11210703 A JP11210703 A JP 11210703A JP 21070399 A JP21070399 A JP 21070399A JP 2001033639 A JP2001033639 A JP 2001033639A
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fiber grating
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JP11210703A
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English (en)
Inventor
Shinji Ishikawa
真二 石川
Tadashi Enomoto
正 榎本
Masaichi Mobara
政一 茂原
Michiko Harumoto
道子 春本
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)
  • Diffracting Gratings Or Hologram Optical Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定した特性を有する長周期ファイバグレー
ティング素子およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 光ファイバ10は、シリカガラスを主成
分として、GeO2が添加されたコア部11と、このコ
ア部11の周囲のクラッド部12とを含む。コア部11
に形成されたグレーティング20は、高屈折率部21と
低屈折率部22とが交互に存在して、その屈折率率変調
の周期が数百μm程度の長周期のものである。長周期フ
ァイバグレーティング素子1は、グレーティング20が
形成されているコア部11の周囲のクラッド部12の表
面近傍12Aに水酸基および水分子の双方または何れか
一方が拡散浸透されている。クラッド部12の表面近傍
12Aに拡散浸透されている水酸基または水分子の全濃
度は100ppm以上であるのが好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバのコア
部に長周期のグレーティングが形成された長周期ファイ
バグレーティング素子、および、その製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】長周期ファイバグレーティング素子は、
光ファイバのコア部に長周期(数百μm程度)のグレー
ティングが形成された素子であって、特定波長のコア伝
搬光をクラッド伝搬光に結合させることにより該特定波
長の光を遮断することができることから光フィルタ等と
して用いられる。このような長周期ファイバグレーティ
ング素子は以下のようにして製造される。すなわち、コ
ア部にGe元素が添加された石英系の光ファイバを用意
し、この光ファイバに対して空間的に強度変調された紫
外光を照射する。Ge元素が添加されたコア部のうち紫
外光が照射された部分はGe欠陥が生じて屈折率上昇が
誘起されて、これによりコア部の長手方向に屈折率変調
すなわちグレーティングが形成される。
【0003】また、このような長周期ファイバグレーテ
ィング素子は、時間の経過とともにGe欠陥が変化する
熱劣化に因り、特性が経時的に変化することが知られて
いる。このような問題点に対処すべく、製造直後に加速
エージングを行うことにより、コア部に形成されたグレ
ーティングを安定させて、市場における作動時の長周期
ファイバグレーティング素子の特性の経時劣化を小さく
する技術が提案されている(例えば特開平11−148
40号公報を参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、製造直
後の加速エージングを行うのみでは、長周期ファイバグ
レーティング素子の特性の経時劣化の抑制が充分ではな
いことを、本願発明者は見出した。すなわち、コア部に
形成されたグレーティングが加速エージングにより安定
化されたとしても、クラッド部の屈折率が何等かの原因
により変化すれば、コア伝搬光とクラッド伝搬光との結
合を利用する長周期ファイバグレーティング素子の特性
は変化する。特に、長周期ファイバグレーティング素子
が高温・高湿の環境下で使用される場合には、クラッド
部の表面近傍が水蒸気と反応して水酸基が形成され、こ
れに伴いクラッド部の表面近傍の屈折率が低下する。そ
して、クラッド部の表面近傍の屈折率が低下すると、長
周期ファイバグレーティング素子の特性は変化する。
【0005】本発明は、本願発明者による上記知見に基
づいて、上記問題点を解消する為になされたものであ
り、安定した特性を有する長周期ファイバグレーティン
グ素子、および、このような長周期ファイバグレーティ
ング素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る長周期ファ
イバグレーティング素子は、光ファイバのコア部に長周
期のグレーティングが形成された長周期ファイバグレー
ティング素子であって、グレーティングが形成されてい
る領域のコア部の周囲のクラッド部の表面近傍に水酸基
および水分子の双方または何れか一方が拡散浸透されて
いることを特徴とする。
【0007】この長周期ファイバグレーティング素子
は、クラッド部の表面近傍に水酸基および水分子の双方
または何れか一方が既に拡散浸透されていることによ
り、高温・高湿の環境下で使用される場合であっても、
クラッド部の表面近傍に更に水酸基が形成されることが
なく、クラッド部の表面近傍の屈折率が低下するもな
い。したがって、この長周期ファイバグレーティング素
子の特性は長期に亘り安定なものとなる。
【0008】また、本発明に係る長周期ファイバグレー
ティング素子は、クラッド部に拡散浸透されている水酸
基または水分子の全濃度が100ppm以上であること
を特徴とする。この場合には、高温・高湿の環境下で使
用される場合にクラッド部の表面近傍に更に水酸基が形
成されることが殆どないので、この長周期ファイバグレ
ーティング素子の特性は長期に亘り更に安定なものとな
る。
【0009】本発明に係る第1の長周期ファイバグレー
ティング素子製造方法は、光ファイバのコア部に長周期
のグレーティングが形成された長周期ファイバグレーテ
ィング素子の製造方法であって、(1) 光ファイバのコア
部にグレーティングを形成するグレーティング形成工程
と、(2) 光ファイバを水蒸気含有雰囲気で加熱処理し
て、グレーティング形成工程によりグレーティングが形
成された領域のコア部の周囲のクラッド部の表面近傍に
水酸基および水分子の双方または何れか一方を拡散浸透
させる拡散浸透工程と、を備えることを特徴とする。
【0010】この第1の周期ファイバグレーティング素
子製造方法によれば、グレーティング形成工程により光
ファイバのコア部にグレーティングが形成され、その後
に、拡散浸透工程により、その光ファイバが水蒸気含有
雰囲気で加熱処理されてクラッド部の表面近傍に水酸基
および水分子の双方または何れか一方が拡散浸透され
て、上記の本発明に係る長周期ファイバグレーティング
素子が製造される。このようにグレーティング形成工程
の後に拡散浸透工程を行うことで、グレーティング形成
後の屈折率の熱安定化処理を拡散浸透工程において同時
に行うことができるので、製造時間が短縮される点で好
適である。
【0011】本発明に係る第2の長周期ファイバグレー
ティング素子製造方法は、光ファイバのコア部に長周期
のグレーティングが形成された長周期ファイバグレーテ
ィング素子の製造方法であって、(1) 光ファイバを水蒸
気含有雰囲気で加熱処理して、ファイバのクラッド部の
表面近傍に水酸基および水分子の双方または何れか一方
を拡散浸透させる拡散浸透工程と、(2) 拡散浸透工程に
より水酸基および水分子の双方または何れか一方が拡散
浸透されたクラッドの内側のコア部にグレーティングを
形成するグレーティング形成工程と、を備えることを特
徴とする。
【0012】この第2の周期ファイバグレーティング素
子製造方法によれば、拡散浸透工程により、光ファイバ
が水蒸気含有雰囲気で加熱処理されてクラッド部の表面
近傍に水酸基および水分子の双方または何れか一方が拡
散浸透され、その後に、グレーティング形成工程によ
り、その光ファイバのコア部にグレーティングが形成さ
れて、上記の本発明に係る長周期ファイバグレーティン
グ素子が製造される。このように拡散浸透工程の後にグ
レーティング形成工程を行うことで、グレーティング形
成の際には既に光ファイバのクラッドの屈折率構造が決
定されているので、所望の特性を有する長周期ファイバ
グレーティング素子を高い歩留まりで製造することがで
きる点で好適である。
【0013】また、本発明に係る第2の周期ファイバグ
レーティング素子製造方法では、光ファイバの線引工程
の直後に拡散浸透工程を行うことを特徴とする。この場
合には、線引工程の直後に拡散浸透工程を行うことで、
製造時間が短縮されるだけでなく、熱効率が優れる点で
も好適である。
【0014】また、本発明に係る第1および第2の周期
ファイバグレーティング素子製造方法それぞれでは、拡
散浸透工程は、光ファイバを水蒸気含有雰囲気で温度1
00℃以上で加熱処理することを特徴とするのが好適で
あり、光ファイバを水蒸気分圧0.5気圧以上で加熱処
理することを特徴とするのが好適であり、また、全濃度
100ppm以上の水酸基または水分子をクラッド部に
拡散浸透させることを特徴とするのが好適である。これ
ら何れの場合にも、長期に亘り安定した特性を有する長
周期ファイバグレーティング素子を製造することができ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明にお
いて同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を
省略する。
【0016】(長周期ファイバグレーティング素子の実
施形態)先ず、本発明に係る長周期ファイバグレーティ
ング素子の実施形態について説明する。本実施形態に係
る長周期ファイバグレーティング素子1は、石英系の光
ファイバ10に長周期のグレーティング20が形成され
たものである。図1は、本実施形態に係る長周期ファイ
バグレーティング素子1の説明図であり、光ファイバ1
0の光軸を含む面で切断したときの断面を示している。
【0017】光ファイバ10は、シリカガラスを主成分
として、GeO2が添加されたコア部11と、このコア
部11の周囲のクラッド部12とを含む。コア部11に
形成されたグレーティング20は、高屈折率部21と低
屈折率部22とが交互に存在して、その屈折率率変調の
周期が数百μm程度の長周期のものである。そして、本
実施形態に係る長周期ファイバグレーティング素子1
は、グレーティング20が形成されているコア部11の
周囲のクラッド部12の表面近傍12Aに水酸基および
水分子の双方または何れか一方が拡散浸透されている。
クラッド部12の表面近傍12Aに拡散浸透されている
水酸基または水分子の全濃度は100ppm以上である
のが好適である。
【0018】この長周期ファイバグレーティング素子1
は、コア部11を導波してきてグレーティング20に到
達したコア伝搬光のうち結合条件を満たす特定波長のも
のをクラッド伝搬光に変換し、これにより該特定波長の
コア伝搬光を遮断する。結合条件は、コア伝搬光の波数
をβcoreとし、クラッド伝搬光の波数をβcladとし、グ
レーティング20における屈折率変調周期をΛとする
と、 βcore−βclad=2π/Λ …(1) なる関係式で表される。図2は、長周期ファイバグレー
ティング素子1の透過特性を示すグラフである。長周期
ファイバグレーティング素子1は、遮断中心波長(図2
では1532nm付近)で透過率が小さく、すなわち遮
断率が大きく、この遮断中心波長で結合条件が満たされ
ている。
【0019】コア伝搬光の波数βcoreは、コア部11の
屈折率および外径ならびにクラッド部12(特にコア部
11との境界の近傍)の屈折率に依存するものである
が、加速エージングを行うことにより安定化される。こ
れに対して、クラッド伝搬光の波数βcladは、コア部1
1の屈折率および外径ならびにクラッド部12全体の屈
折率および外径に依存するものである。しかし、本実施
形態では、グレーティング20が形成されているコア部
11の周囲のクラッド部12の表面近傍12Aに水酸基
および水分子の双方または何れか一方が製造の際に既に
拡散浸透されているので、長周期ファイバグレーティン
グ素子1が高温・高湿の環境下で使用される場合であっ
ても、クラッド部12の表面近傍12Aに更に水酸基が
形成されることがなく、クラッド部12の表面近傍12
Aの屈折率が低下するもない。特に、クラッド部12の
表面近傍12Aに拡散浸透されている水酸基または水分
子の全濃度が100ppm以上であれば、高温・高湿の
環境下で使用される場合にクラッド部12の表面近傍1
2Aに更に水酸基が形成されることが殆どない。したが
って、本実施形態に係る長周期ファイバグレーティング
素子1の特性は長期に亘り安定なものである。
【0020】(製造方法の第1の実施形態)次に、本発
明に係る長周期ファイバグレーティング素子製造方法の
第1の実施形態について説明する。図3は、第1の実施
形態に係る長周期ファイバグレーティング素子製造方法
の工程図である。第1の実施形態に係る長周期ファイバ
グレーティング素子製造方法は、コア部11にGe元素
が添加された石英系の光ファイバ10を用意して、グレ
ーティング形成工程および拡散浸透工程を順次に経て、
上記の長周期ファイバグレーティング素子1を製造する
方法である。
【0021】グレーティング形成工程では、石英系の光
ファイバ10のコア部11にグレーティング20を形成
する。具体的には、図4に示すように、透過領域と遮断
領域とが交互に設けられた強度変調マスク30を用い
て、空間的に強度変調された紫外光(UV光)を光ファ
イバ10に照射して、コア部11に屈折率変調すなわち
グレーティング20を形成する。
【0022】グレーティング形成工程に続く拡散浸透工
程では、光ファイバ10を水蒸気含有雰囲気で加熱処理
して、グレーティング20が形成されたコア部11の周
囲のクラッド部12の表面近傍12Aに水酸基および水
分子の双方または何れか一方を拡散浸透させる。具体的
には、図5に示すように、グレーティング20が形成さ
れた光ファイバ10の部分とヒータ42とを反応容器4
1内に置き、この反応容器41に純水を供給する。この
純水は反応容器41内でヒータ42により加熱されて水
蒸気とされ、これにより、グレーティング20が形成さ
れたコア部11の周囲のクラッド部12の表面近傍12
Aに水酸基または水分子が拡散浸透される。水蒸気温度
は100℃以上であるのが好適であり、また、水蒸気分
圧は0.5気圧以上であるのが好適である。
【0023】この第1の実施形態に係る長周期ファイバ
グレーティング素子製造方法によれば、グレーティング
形成工程の後に拡散浸透工程を行うことで、グレーティ
ング形成後の屈折率の熱安定化処理を拡散浸透工程にお
いて同時に行うことができる。したがって、製造時間が
短縮される点で好適である。
【0024】次に、第1の実施形態に係る長周期ファイ
バグレーティング素子製造方法の実施例について説明す
る。この第1実施例のグレーティング形成工程では、A
rイオンレーザ光源から出力された2倍波レーザ光を強
度変調マスク30を介して、感光性向上の為に水素浸透
処理して被覆除去した光ファイバ10に照射して、グレ
ーティング20を形成した。比較例としたサンプルAに
ついては、グレーティング20が形成された光ファイバ
10を140℃の大気中で12時間に亘り加熱処理し
た。本実施例としたサンプルBについては、グレーティ
ング20が形成された光ファイバ10を上記図5で説明
した拡散浸透工程により12時間に亘り水蒸気含有雰囲
気で加熱処理した。このようにして長周期ファイバグレ
ーティング素子を製造した。そして、これらサンプルA
およびBそれぞれをガラスケースに樹脂で固定して、劣
化試験を行った。劣化試験として、120℃3気圧の加
圧水蒸気処理と、85℃95%の高湿処理とを行った。
【0025】図6は、第1実施例における120℃3気
圧の加圧水蒸気処理による遮断中心波長の経時変化の様
子を示すグラフである。このグラフから判るように、拡
散浸透工程を行っていない比較例であるサンプルAで
は、100時間当たり1nmの割合で遮断中心波長が変
化した。これに対して、拡散浸透工程を行った本実施例
であるサンプルBでは、200時間に亘る遮断中心波長
の変動は0.2nm未満であって、測定誤差の範囲にお
さまった。
【0026】図7は、第1実施例における85℃95%
の高湿処理による遮断中心波長の経時変化の様子を示す
グラフである。このグラフから判るように、拡散浸透工
程を行っていない比較例であるサンプルAでは、100
0時間当たり0.1nmの割合で遮断中心波長が変化し
た。これに対して、拡散浸透工程を行った本実施例であ
るサンプルBでは、2000時間に亘る遮断中心波長の
変動は0.02nm未満であって、測定誤差の範囲にお
さまった。
【0027】(製造方法の第2の実施形態)次に、本発
明に係る長周期ファイバグレーティング素子製造方法の
第2の実施形態について説明する。図8は、第2の実施
形態に係る長周期ファイバグレーティング素子製造方法
の工程図である。第2の実施形態に係る長周期ファイバ
グレーティング素子製造方法は、コア部11にGe元素
が添加された石英系の光ファイバ10を用意して、第1
の実施形態の場合とは逆に拡散浸透工程およびグレーテ
ィング形成工程を順次に経て、上記の長周期ファイバグ
レーティング素子1を製造する方法である。
【0028】拡散浸透工程では、石英系の光ファイバ1
0を水蒸気含有雰囲気で加熱処理して、グレーティング
20が形成されるべきコア部11の周囲のクラッド部1
2の表面近傍12Aに水酸基および水分子の双方または
何れか一方を拡散浸透させる。具体的には、図5で説明
した方法と同様である。本実施形態でも、水蒸気温度は
100℃以上であるのが好適であり、また、水蒸気分圧
は0.5気圧以上であるのが好適である。拡散浸透工程
に続くグレーティング形成工程では、光ファイバ10の
コア部11にグレーティング20を形成する。具体的に
は、図4で説明した方法と同様である。
【0029】この第2の実施形態に係る長周期ファイバ
グレーティング素子製造方法によれば、拡散浸透工程の
後にグレーティング形成工程を行うことで、グレーティ
ング形成の際には既に光ファイバ10のクラッド12の
屈折率構造が決定されている。したがって、所望の特性
を有する長周期ファイバグレーティング素子を高い歩留
まりで製造することができる点で好適である。
【0030】次に、第2の実施形態に係る長周期ファイ
バグレーティング素子製造方法の実施例について説明す
る。この第2実施例の拡散浸透工程では、サンプルCに
ついては光ファイバ10を24時間に亘り水蒸気含有雰
囲気で温度80℃で加熱処理し、サンプルDについては
光ファイバ10を24時間に亘り水蒸気含有雰囲気で温
度110℃で加熱処理し、また、サンプルEについては
光ファイバ10を24時間に亘り水蒸気含有雰囲気で温
度140℃で加熱処理した。そして、サンプルC〜Eそ
れぞれについて、水素浸透処理および被覆除去を行った
後にグレーティング形成工程により、第1実施例の場合
と同様にして光ファイバ10にグレーティング20を形
成した。このようにして長周期ファイバグレーティング
素子を製造した。これらサンプルC〜Eそれぞれを、2
4時間に亘り温度140℃で加熱安定化処理を行い、ガ
ラスケースに樹脂で固定して、劣化試験を行った。劣化
試験として120℃3気圧の加圧水蒸気処理を行った。
【0031】図9は、第2実施例における120℃3気
圧の加圧水蒸気処理による遮断中心波長の経時変化の様
子を示すグラフである。このグラフから判るように、拡
散浸透工程における加熱温度が80℃であったサンプル
Cでは、第1実施例の場合の比較例であるサンプルAと
同程度の遮断中心波長の経時変化を示し、100時間当
たり1nmの割合で遮断中心波長が変化した。拡散浸透
工程における加熱温度が110℃であったサンプルDで
は、遮断中心波長の変化は100時間当たり0.2nm
の割合に留まった。拡散浸透工程における加熱温度が1
40℃であったサンプルEでは、200時間に亘る遮断
中心波長の変動は0.2nm未満であって、測定誤差の
範囲におさまった。このことから、遮断中心波長の経時
変化の程度を小さくする為には、拡散浸透工程における
加熱温度は高いほど好ましく、100℃程度以上であれ
ば好適であることが判る。
【0032】(製造方法の第3の実施形態)次に、本発
明に係る長周期ファイバグレーティング素子製造方法の
第3の実施形態について説明する。図10は、第3の実
施形態に係る長周期ファイバグレーティング素子製造方
法の工程図である。第3の実施形態に係る長周期ファイ
バグレーティング素子製造方法は、コア部11にGe元
素が添加された石英系の光ファイバ10を線引した直後
に拡散浸透工程を行い、次いでレーティング形成工程を
行って、上記の長周期ファイバグレーティング素子1を
製造する方法である。
【0033】図11は、第3の実施形態に係る長周期フ
ァイバグレーティング素子製造方法を実現する為の製造
装置の要部の構成図である。プリフォーム10Aから光
ファイバ10を線引する線引炉51の直下に、この光フ
ァイバ10に対して拡散浸透工程を行う為の反応容器6
1が設けられる。プリフォーム10Aは、加熱炉51内
のヒータ52により下端部が加熱溶融されて、下方に向
かう張力により線引されて光ファイバ10とされ、この
光ファイバ10は反応容器61内を通過する。反応容器
61は、加熱された水蒸気が下部の水蒸気供給口より内
部に供給され、上部の排気口より排気される。また、反
応容器61はヒータ62により加熱される。すなわち、
反応容器61内にある光ファイバ10の部分は、水蒸気
含有雰囲気で加熱処理されて、クラッド部12の表面近
傍に水酸基および水分子の双方または何れか一方が拡散
浸透される。
【0034】この第3の実施形態に係る長周期ファイバ
グレーティング素子製造方法によれば、線引工程の直後
に拡散浸透工程を行うことで、製造時間が短縮されるだ
けでなく、熱効率が優れる点でも好適である。また、第
2の実施形態の場合と同様に、拡散浸透工程の後にグレ
ーティング形成工程を行うことで、グレーティング形成
の際には既に光ファイバ10のクラッド12の屈折率構
造が決定されている。したがって、所望の特性を有する
長周期ファイバグレーティング素子を高い歩留まりで製
造することができる点で好適である。
【0035】次に、第3の実施形態に係る長周期ファイ
バグレーティング素子製造方法の実施例について説明す
る。この第3実施例の線引工程では、比屈折率差1%の
プリフォーム10Aから光ファイバ10を線引した。拡
散浸透工程では、蒸留水を煮沸して発生させた水蒸気
を、120℃に加熱した水蒸気供給管を経て、ヒータ6
2により温度300℃に加熱した反応容器61内部に供
給した。このようにして拡散浸透工程を経た光ファイバ
10を、実施例であるサンプルFとした。一方、同一の
プリフォーム10Aから線引した光ファイバ10であっ
て、水蒸気を反応容器61内部に供給しなかった場合の
ものを、比較例であるサンプルGとした。そして、サン
プルFおよびGそれぞれについて、水素浸透処理および
被覆除去を行った後にグレーティング形成工程により、
第1実施例の場合と同様にして光ファイバ10にグレー
ティング20を形成した。このようにして長周期ファイ
バグレーティング素子を製造した。これらサンプルFお
よびGそれぞれを、24時間に亘り温度140℃で加熱
安定化処理を行い、ガラスケースに樹脂で固定して、劣
化試験を行った。劣化試験として120℃3気圧の加圧
水蒸気処理を行った。
【0036】図12は、第3実施例における120℃3
気圧の加圧水蒸気処理による遮断中心波長の経時変化の
様子を示すグラフである。このグラフから判るように、
拡散浸透工程を行っていない比較例であるサンプルGで
は、第1実施例の場合の比較例であるサンプルAと同程
度の遮断中心波長の経時変化を示し、100時間当たり
1nmの割合で遮断中心波長が変化した。これに対し
て、拡散浸透工程を行った本実施例であるサンプルFで
は、第1実施例であるサンプルBと同程度の遮断中心波
長の経時変化を示し、200時間に亘る遮断中心波長の
変動は0.2nm未満であって、測定誤差の範囲におさ
まった。
【0037】(第1〜第3実施例のまとめ)次に、上記
の第1〜第3実施例で示したサンプルA〜Gそれぞれに
おける水酸基および水分子の含有量についてまとめる。
図13は、サンプルA〜Gそれぞれにおける水酸基およ
び水分子の含有量についてまとめた図表である。水酸基
および水分子それぞれの含有量は、3400〜3700
cm-1付近のSiOH,H2Oに起因する反射量を赤外
反射法により求め、この反射量から算出した。
【0038】この表から判るように、拡散浸透工程を行
わず比較例としたサンプルAおよびG、ならびに、拡散
浸透工程における加熱温度が80℃であったサンプルC
それぞれでは、クラッド部12に拡散浸透されている水
酸基または水分子の全濃度が小さい。これらと比較する
と、遮断中心波長の変動が僅かであって特性が安定して
いた他のサンプルB,D,EおよびFそれぞれでは、ク
ラッド部12に拡散浸透されている水酸基または水分子
の全濃度が大きい。このことから、遮断中心波長の変動
が僅かであって特性が安定している長周期ファイバグレ
ーティング素子を得るには、クラッド部12に拡散浸透
されている水酸基または水分子の全濃度が100ppm
以上であるのが好適であることが判る。
【0039】
【発明の効果】以上、詳細に説明したとおり、本発明に
係る長周期ファイバグレーティング素子は、クラッド部
の表面近傍に水酸基および水分子の双方または何れか一
方が既に拡散浸透されていることにより、高温・高湿の
環境下で使用される場合であっても、クラッド部の表面
近傍に更に水酸基が形成されることがなく、クラッド部
の表面近傍の屈折率が低下するもない。したがって、こ
の長周期ファイバグレーティング素子の特性は長期に亘
り安定なものとなる。特にクラッド部に拡散浸透されて
いる水酸基または水分子の全濃度が100ppm以上で
ある場合には、高温・高湿の環境下で使用される場合に
クラッド部の表面近傍に更に水酸基が形成されることが
殆どないので、この長周期ファイバグレーティング素子
の特性は長期に亘り更に安定なものとなる。
【0040】本発明に係る第1の周期ファイバグレーテ
ィング素子製造方法によれば、グレーティング形成工程
により光ファイバのコア部にグレーティングが形成さ
れ、その後に、拡散浸透工程により、その光ファイバが
水蒸気含有雰囲気で加熱処理されてクラッド部の表面近
傍に水酸基および水分子の双方または何れか一方が拡散
浸透されて、上記の本発明に係る長周期ファイバグレー
ティング素子が製造される。このようにグレーティング
形成工程の後に拡散浸透工程を行うことで、グレーティ
ング形成後の屈折率の熱安定化処理を拡散浸透工程にお
いて同時に行うことができるので、製造時間が短縮され
る点で好適である。
【0041】本発明に係る第2の長周期ファイバグレー
ティング素子製造方法によれば、拡散浸透工程により、
光ファイバが水蒸気含有雰囲気で加熱処理されてクラッ
ド部の表面近傍に水酸基および水分子の双方または何れ
か一方が拡散浸透され、その後に、グレーティング形成
工程により、その光ファイバのコア部にグレーティング
が形成されて、上記の本発明に係る長周期ファイバグレ
ーティング素子が製造される。このように拡散浸透工程
の後にグレーティング形成工程を行うことで、グレーテ
ィング形成の際には既に光ファイバのクラッドの屈折率
構造が決定されているので、所望の特性を有する長周期
ファイバグレーティング素子を高い歩留まりで製造する
ことができる点で好適である。また、線引工程の直後に
拡散浸透工程を行う場合には、製造時間が短縮されるだ
けでなく、熱効率が優れる点でも好適である。
【0042】また、拡散浸透工程は、光ファイバを水蒸
気含有雰囲気で温度100℃以上で加熱処理することを
特徴とするのが好適であり、光ファイバを水蒸気分圧
0.5気圧以上で加熱処理することを特徴とするのが好
適であり、また、全濃度100ppm以上の水酸基また
は水分子をクラッド部に拡散浸透させることを特徴とす
るのが好適である。これら何れの場合にも、長期に亘り
安定した特性を有する長周期ファイバグレーティング素
子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る長周期ファイバグレーティン
グ素子の説明図である。
【図2】長周期ファイバグレーティング素子の透過特性
を示すグラフである。
【図3】第1の実施形態に係る長周期ファイバグレーテ
ィング素子製造方法の工程図である。
【図4】グレーティング形成工程の説明図である。
【図5】拡散浸透工程の説明図である。
【図6】第1実施例における120℃3気圧の加圧水蒸
気処理による遮断中心波長の経時変化の様子を示すグラ
フである。
【図7】第1実施例における85℃95%の高湿処理に
よる遮断中心波長の経時変化の様子を示すグラフであ
る。
【図8】第2の実施形態に係る長周期ファイバグレーテ
ィング素子製造方法の工程図である。
【図9】第2実施例における120℃3気圧の加圧水蒸
気処理による遮断中心波長の経時変化の様子を示すグラ
フである。
【図10】第3の実施形態に係る長周期ファイバグレー
ティング素子製造方法の工程図である。
【図11】第3の実施形態に係る長周期ファイバグレー
ティング素子製造方法を実現する為の製造装置の要部の
構成図である。
【図12】第3実施例における120℃3気圧の加圧水
蒸気処理による遮断中心波長の経時変化の様子を示すグ
ラフである。
【図13】サンプルA〜Gそれぞれにおける水酸基およ
び水分子の含有量についてまとめた図表である。
【符号の説明】
1…長周期ファイバグレーティング素子、10…光ファ
イバ、11…コア部、12…クラッド部、20…グレー
ティング、21…高屈折率部、22…低屈折率部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 茂原 政一 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友電 気工業株式会社横浜製作所内 (72)発明者 春本 道子 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友電 気工業株式会社横浜製作所内 Fターム(参考) 2H049 AA02 AA33 AA43 AA59 AA62 2H050 AB05X AB14Y AC03 AC82 AC84 AD00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光ファイバのコア部に長周期のグレーテ
    ィングが形成された長周期ファイバグレーティング素子
    であって、グレーティングが形成されている領域の前記
    コア部の周囲のクラッド部の表面近傍に水酸基および水
    分子の双方または何れか一方が拡散浸透されていること
    を特徴とする長周期ファイバグレーティング素子。
  2. 【請求項2】 前記クラッド部に拡散浸透されている水
    酸基または水分子の全濃度が100ppm以上であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の長周期ファイバグレーテ
    ィング素子。
  3. 【請求項3】 光ファイバのコア部に長周期のグレーテ
    ィングが形成された長周期ファイバグレーティング素子
    の製造方法であって、 前記光ファイバの前記コア部にグレーティングを形成す
    るグレーティング形成工程と、 前記光ファイバを水蒸気含有雰囲気で加熱処理して、前
    記グレーティング形成工程によりグレーティングが形成
    された領域の前記コア部の周囲のクラッド部の表面近傍
    に水酸基および水分子の双方または何れか一方を拡散浸
    透させる拡散浸透工程と、 を備えることを特徴とする周期ファイバグレーティング
    素子製造方法。
  4. 【請求項4】 光ファイバのコア部に長周期のグレーテ
    ィングが形成された長周期ファイバグレーティング素子
    の製造方法であって、 前記光ファイバを水蒸気含有雰囲気で加熱処理して、前
    記ファイバのクラッド部の表面近傍に水酸基および水分
    子の双方または何れか一方を拡散浸透させる拡散浸透工
    程と、 前記拡散浸透工程により水酸基および水分子の双方また
    は何れか一方が拡散浸透された前記クラッドの内側の前
    記コア部にグレーティングを形成するグレーティング形
    成工程と、 を備えることを特徴とする長周期ファイバグレーティン
    グ素子製造方法。
  5. 【請求項5】 前記光ファイバの線引工程の直後に前記
    拡散浸透工程を行うことを特徴とする請求項4記載の長
    周期ファイバグレーティング素子製造方法。
  6. 【請求項6】 前記拡散浸透工程は前記光ファイバを水
    蒸気含有雰囲気で温度100℃以上で加熱処理すること
    を特徴とする請求項3または4に記載の長周期ファイバ
    グレーティング素子製造方法。
  7. 【請求項7】 前記拡散浸透工程は前記光ファイバを水
    蒸気分圧0.5気圧以上で加熱処理することを特徴とす
    る請求項3または4に記載の長周期ファイバグレーティ
    ング素子製造方法。
  8. 【請求項8】 前記拡散浸透工程は全濃度100ppm
    以上の水酸基または水分子を前記クラッド部に拡散浸透
    させることを特徴とする請求項3または4に記載の長周
    期ファイバグレーティング素子製造方法。
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