JP2001019894A - 光触媒機能を有する樹脂塗料組成物 - Google Patents

光触媒機能を有する樹脂塗料組成物

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JP2001019894A
JP2001019894A JP11224402A JP22440299A JP2001019894A JP 2001019894 A JP2001019894 A JP 2001019894A JP 11224402 A JP11224402 A JP 11224402A JP 22440299 A JP22440299 A JP 22440299A JP 2001019894 A JP2001019894 A JP 2001019894A
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aqueous
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Reiko Udagawa
礼子 宇田川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性、耐候性、低温造膜性、塗膜強度、耐
汚染性および基材密着性に優れ、NOx、ホルムアルデ
ヒド、アセトアルデヒド、アンモニア等の有害化学物質
を光分解する機能を有した塗膜を提供することができる
常温硬化性水性含ハロゲン樹脂塗料組成物およびそれら
を用いた塗装物品を提供する。 【解決手段】 含ハロゲンポリマーディスパージョン、
式 【化1】 (式中、RはCF、C、Cからなる群よ
り選択される)で表される架橋剤、架橋触媒として脂肪
族第一級ジアミン化合物および光触媒として酸化チタン
複合活性炭、鉄酸化物、MgO、CaO等のアルカリ性
物質よりなる常温硬化性水性含ハロゲン樹脂塗料組成
物。また、含ハロゲン樹脂としては、クロロトリフルオ
ロエチレン/フッ化ビニリデン/シクロヘキシルビニー
ルエーテル共重合体が用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は含塩素オレフィン、
含フッ素オレフィンおよびオレフィン性不飽和単量体を
共重合して調製した水性分散液に、架橋剤として含フッ
素ジチオール化合物、架橋触媒として脂肪族第一級ジア
ミン化合物および光触媒として酸化チタンを含有する事
を特徴とする常温硬化性水性含ハロゲン樹脂塗料組成物
およびそれらを含有した水性塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】光エネルギーを化学エネルギーに変換す
る光触媒の原理は、東京大学の藤島教授等により発見さ
れた。光触媒材料としては、酸化第二錫、硫化亜鉛、タ
ンタル酸カリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、チタン酸ス
トロンチウム、酸化ニオブ等が知られているが、酸化チ
タンが最も多く使われている。酸化チタンにはアナター
ゼ型、ルチル型、イタチタン石型の三つの結晶形態があ
るが、一般的にはアナターゼ型が最も光活性が大きいと
言われている。酸化チタン粉末としては、従来からDe
gussa社のP−25が光触媒の研究に用いられてき
たが、国内ではSTシリーズ(石原産業)、PCシリー
ズ(チタン工業)、SSPシリーズ(堺化学)等が知ら
れている。生活空間に存在する微弱な紫外光でも十分に
光触媒反応が進行する事がわかり、光触媒が環境の浄化
に利用されるようになった。対象となるのは、有害化学
物質の濃度がppmあるいはppbと言った極微量であ
る。
【0003】建材に光触媒を固定し、脱臭、抗菌、防汚
機能を持たせる研究が行われて来た。脱臭には、拡散プ
ロセスが関与するが、抗菌、防汚では固体表面に存在す
る物質の分解反応を利用するため、建材に抗菌、防汚機
能を付与する場合、光触媒反応が固体表面反応であるの
が利点である。東陶機器(TOTO)では、タイルや衛
生陶器表面に酸化チタン薄膜を焼成し、銀化合物や銅化
合物を塗布した抗菌タイルや抗菌衛生陶器を開発した。
[触媒、36(7)524(1994)]このほかに
も、トンネル内照明のカバーガラス(東芝ライティ
ク)、屋外設置用フッ素樹脂テント(日東電工)、和紙
などの表面に酸化チタンを塗布し、防汚機能を持たせた
ものが開発されている。[現代化学8、23(199
6)]
【0004】大気中に含まれている有害化学物質、悪臭
物質を光触媒を用いて酸化分解して除去しようとする研
究が近年盛んに行われている。指宿博士等は、大気中の
窒素酸化物を光触媒酸化チタンを用いて酸化分解を行っ
ている。[セラミックス、31(10)829(199
6)]酸化チタン単独ではNOの酸化チタンに対する
吸着力が小さいので、吸着剤として活性炭と混合してN
の硝酸への酸化を行っている。表面積が300m
/gを超える酸化チタンを用い、NOxとの親和性が良
い鉄酸化物やNOxの湿式吸収に使用されるアルカリ性
物質を添加することにより、NOxの除去量および硝酸
の回収量は著しく向上する。結合剤としてフッ素樹脂粉
末(0.3μm)を用い、超微粒子酸化チタンと活性炭
を機械的に混合して、シート状に成形して固定化してい
る。空気中の悪臭物質の分解にも応用されており、豊田
中央研究所では、ハニカム構造の活性炭に酸化チタンを
担持した車載用の空気清浄機の研究を行っている。[表
面化学16(3)206(1995)]また、三菱化学
では数十nmの酸化チタンを活性炭粒中に複合化した酸
化チタン複合活性炭を開発した。[European
Carbon Conference “Carbon
96”Newcastle UK July、297
(1996)]
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐熱性、耐
候性、低温造膜性、塗膜強度、耐汚染性および基材密着
性に優れ、NOx、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒ
ド、アンモニア等の有害化学物質を光分解する機能を有
した含ハロゲン共重合体水性分散液組成物およびそれら
を用いた水性塗料を提供する事を目的とする。
【0006】本発明者は、含塩素オレフィン、含フッ素
オレフィンおよびオレフィン性不飽和単量体を共重合し
て調製した水性分散液に、酸化チタン複合活性炭、鉄酸
化物、アルカリ性物質を添加し,架橋剤として式(I)
あるいは式(II)で示される含フッ素ジチオール化合
物を用い、架橋触媒として脂肪族第一級ジアミン化合物
を用いることにより、上記の目的を達成できる事を見出
し本発明を完成するに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は,含塩素オレフ
ィンおよび含フッ素オレフィンと共重合可能なオレフィ
ン性不飽和単量体を水性媒体中で乳化重合して、平均粒
子径が0.05〜3μmのディスパージョンを製造し、
酸化チタン複合活性炭、鉄酸化物およびアルカリ性物質
からなる光触媒を混合し、架橋剤として含フッ素ジチオ
ール化合物を用い、架橋触媒として脂肪族第一級ジアミ
ン化合物を用いることを特徴とする光触媒を含有した常
温硬化性の水性含ハロゲン樹脂塗料組成物である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の含フッ素オレフィンとし
ては、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレ
ン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニール、フッ
化ビニリデン等が挙げられる。含塩素オレフィンとして
は、クロロトリフルオロエチレン、オレフィン性不飽和
単量体としては、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリ
ル酸シクロヘキシル、シクロヘキシルビニールエーテル
等が挙げられる。これらの中で特に、フッ化ビニリデン
/クロロトリフルオロエチレン/シクロヘキシルビニー
ルエーテル共重合体が望ましく、フッ化ビニリデン55
〜75モル%、クロロトリフルオロエチレン5〜25モ
ル%およびシクロヘキシルビニールエーテル10〜20
モル%からなる共重合体が好ましい。酸化チタン光触媒
としては、酸化チタン複合活性炭、酸化第二鉄および酸
化マグネシウムの混合粉体が好ましい。酸化チタン複合
活性炭の粒子径は5〜20nm、酸化第二鉄の粒子径は
10〜50nm、酸化マグネシウムの粒子径は10〜5
0nmが好ましい。
【0009】含フッ素共重合体において、フッ化ビニリ
デンが55モル%以上になると、ディスパージョンを乾
燥させて造膜したフイルムの鉛筆硬度などの機械特性に
優れた塗膜が作製できる。また、クロロトリフルオロエ
チレンが5モル%以下になると塗膜の架橋密度が低下
し、光沢や密着が悪くなる。シクロヘキシルビニールエ
ーテルが10モル%以上になると密着性が向上する。含
フッ素共重合体分散液の平均粒子径は、0.05〜0.
5μmが好ましく、0.1〜0.2μmが更に好まし
い。また、濃度は35重量%以上が好ましく、40重量
%以上が更に好ましい。
【0010】含フッ素共重合体水性分散液は、通常の乳
化重合によって製造できる。例えば親水性部位を有する
フッ素系反応性乳化剤を水に、0.01〜1.0重量%
およびフッ素系乳化剤を0.1〜1.0重量%をそれぞ
れ共存させてフルオロオレフィンを含む単量体混合物を
乳化重合させることにより調製することができる。ま
た、水に対して1.0重量%以下、好ましくは0.2重
量%以下のフッ素系界面活性剤と0.01〜0.05重
量%のノニオン系非フッ素界面活性剤の共存下に、フル
オロオレフィンを含む単量体混合物を乳化重合させるこ
とにより調製することができる。これらの方法で調製し
た含フッ素共重合体分散液は、平均粒子径が0.2μm
以下の粒子を30〜50重量%の高濃度で安定に含むこ
とができる。
【0011】親水性部位を有するフッ素系反応性乳化剤
としては、CH=CFCFO[CF(CF)CF
O]nCF(CF)COOH(n=0〜2の整数)
が用いられる。重合温度は30〜70℃が好ましく、2
0℃より低いと生成したラテックスの安定性が悪くな
り、120℃より高いと連鎖移動により重合速度が失速
しやすくなる。重合は、通常1.0〜50kg/cm
の加圧下で5〜100時間加熱して行われる。前記フッ
素系乳化剤としては、パーフルオロオクタン酸アンモニ
ウム塩、パーフルオロノナン酸アンモニウム塩等が用い
られる。
【0012】ノニオン系非フッ素界面活性剤としては、
ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチ
レンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエ
ーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、
ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等が挙げ
られる。特にポリオキシエチレンラウリルエーテル(E
O:5〜20、EOはエチレンオキシドユニット数を示
す)が好ましい。
【0013】重合開始剤は、水性媒体中でフリーラジカ
ルを20〜90℃の間で発生するものであればよく、還
元剤と合わせて用いることもできる。水溶性の重合開始
剤としては、過硫酸塩、過酸化水素、還元剤としては、
ピロ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、L−
アスコルビン酸ナトリウム等を挙げる事ができる。重合
開始剤の使用量は、単量体の合計100重量部あたり、
0.05〜2.0重量部である。重合温度は30〜70
℃が好ましい。
【0014】溶剤としては、作業性、安全性、環境衛生
等に悪影響を与えない程度の少量のアセトン、メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル等を
使用することができる。
【0015】このようにして、本発明の含フッ素共重合
体水性分散液が調製できるが、本発明の目的である造膜
性、密着性の向上という点から−35℃〜25℃の任意
のTg(ガラス転移温度)を有する含フッ素共重合体粒
子を含む水性分散液が調製できる。粒子のTgの選択に
よって0〜70℃の範囲で造膜温度を任意に設定するこ
とができる。
【0016】本発明の水性分散液の粒子の平均粒径は
0.1〜0.2μmが好ましい。平均粒径が0.05μ
m未満では、水性分散液の粘度が上昇し、高濃度の水性
分散液ができない。また、3μmを超えると水性分散液
を保存中に、粒子が沈降し、凝固してしまい塗膜に光沢
がでないこともある。
【0017】以上の説明のとおり、含フッ素共重合体水
性分散液に、2個のメルカプト基を含有する含フッ素ジ
チオール化合物を架橋剤として、共重合体水性分散液1
00重量部に対して、1〜15重量部を添加するのが望
ましい。また、架橋触媒として脂肪族第一級ジアミン化
合物を、0.1〜10重量部添加するのが望ましい。前
記含フッ素ジチオール化合物の量が1重量部より少ない
とキャストフイルムの架橋密度が低くなり、15重量部
を超えると未反応のジチオール化合物が塗膜中に残存
し、塗膜の光沢が低下する場合がある。酸化チタン光触
媒の酸化チタン複合活性炭は5〜20重量部、酸化第二
鉄は2〜5重量部、酸化マグネシウムまたは酸化カルシ
ウムは2〜10重量部添加するのが望ましい。
【0018】含フッ素ジチオール化合物の中で特に重要
なのは、パーフルオロヘキサメチレンジチオール HS
(CFSHおよびビスチオフェノールAF
【0019】本発明の架橋剤の一つであるパーフルオロ
ヘキサメチレンジチオールあるいはビスチオフェノール
AFは、例えば次式に示すスキームにしたがって合成す
る事ができる。本発明による架橋剤として使用される他
のジチオール化合物も、同様のスキームにしたがって合
成することができる。
【0020】
【化2】パーフルオロヘキサメチレンジチオールの合成
法:
【化3】ビスチオフェノールAFの合成法:
【0021】前記架橋触媒として用いる脂肪族第一級ジ
アミン化合物としては、エチレンジアミン、テトラメチ
レンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が好ましい。
ポットライフの非常に長い塗料を調製するには、含フッ
素共重合体水性分散液、ジチオール化合物、酸化チタン
光触媒、造膜助剤、分散剤、増粘剤、消泡剤および凍結
防止剤等の混合液に、使用直前に脂肪族第一級ジアミン
化合物を添加して塗料とするのが望ましい。
【0022】本発明の含フッ素共重合体水性分散液とし
ては、含フッ素共重合体がフッ化ビニリデン/クロロト
リフルオロエチレン/シクロヘキシルビニールエーテル
共重合体であり、架橋剤がビスチオフェノールAFある
いはパーフルオロヘキサメチレンジチオールであり、脂
肪族第一級ジアミン化合物が、エチレンジアミンあるい
はヘキサメチレンジアミンであるのが望ましい。
【0023】本発明の含フッ素共重合体水性分散液に、
酸化チタン光触媒、造膜助剤、顔料、増粘剤、分散剤、
消泡剤および凍結防止剤などの水性ディスパージョン塗
料に用いられている添加剤を配合して用いることができ
る。
【0024】本発明の含フッ素共重合体水性分散液組成
物は、建築物、構造物の外装および内装用水性塗料とし
て用いることができる。本発明の水性塗料は、ロールコ
ーター、エアスプレー等を使用して任意の方法で塗装す
る事が出きる。本発明の水性塗料は、金属に限らず、ガ
ラス、セメント等の無機材料、樹脂、木材、繊維などの
さまざまな基材に使用できる。塗膜は架橋剤、架橋触媒
の種類によって、塗装後室温で一日から一週間乾燥させ
て硬化させる事ができる。塗膜の厚さは20〜50μm
が好ましい。
【0025】このようにして作製した塗装物は、有機物
分解性、抗菌性、NOx分解性、耐候性、耐熱性,耐薬
品性,密着性などに非常に優れている。電気製品(空気
清浄機、ルームエアコン)、事務機器(複写機,ファク
シミリ)の内外装用,自動車の塗装用,建築物の屋外・
屋内の塗装用など非常に幅広い用途に用いることができ
る。以下に本発明を実施例によりより具体的に説明する
が,本発明はこれらの実施例によって限定されるもので
はない。
【0026】
【実施例】パーフルオロヘキサメチレンジチオールの合
成:内容積500mlの四つ口フラスコ(攪拌機,温度
計,還流冷却器および滴下ロート付き)に,蒸留水10
0ml,エチルアルコール100mlおよび硫化水素カ
リウム14.5g(0.20モル)を仕込み,25℃の
温度で攪拌しながら,55.3g(0.10モル)のド
デカフルオロ−1,6−ジイオドヘキサン(東京化成
製)を30分かけてゆっくり滴下し,一時間還流後室温
まで冷却し,100mlのジクロロメタンで三回抽出
し,有機層を分離して,100mlの水で洗浄後,有機
層に10gの硫酸マグネシウムを加えて一昼夜乾燥後,
硫酸マグネシウムを濾別し,有機層を500mlのフラ
スコに移してジクロロメタンを留去し,分別蒸留により
沸点が120〜122℃の留分を採取したところ,2
7.5g(収率75%)の液状物質が得られた。ガス質
量分析計(日機装社製MILI−MASS MA−20
0)で分子量を測定したところ366であった。日本ア
ナリスト社製の炭素・硫黄分析装置CS−200型で炭
素および硫黄の含有量を分析したところ,C 19.6
7%,S 17.46%であり,得られた生成物はパー
フルオロヘキサメチレンジチオールである事が確認され
た。
【0027】ビスチオフェノールAFの合成:内容積5
00mlのステンレス製容器(プラスチック製攪拌機,
プラスチック製温度計、プラスチック製還流冷却器およ
びプラスチック製滴下ロート付き)に,200gの5%
ヘキサフルオロアセトン・酢酸エチル溶液(東京化成
製)および13.3g(0.12モル)のチオフェノー
ル(東京化成製)を仕込み,5℃に冷却しながら5ml
のフッ化水素酸(セントラル硝子社製HF−001C)
を30分間かけてゆっくり滴下し,5℃で三時間反応さ
せた。20%の水酸化ナトリウム水溶液62.5gを添
加して中和後,100mlのジクロロメタンで三回抽出
し,有機層を集めて100mlの水で洗浄し,有機層を
10gの硫酸マグネシウムで一昼夜乾燥し,硫酸マグネ
シウムを濾別後,ジクロロメタン層を500mlのフラ
スコに移し,ジクロロメタンを留去したところ,20g
の固体状物質が得られた。エタノールから再結晶したと
ころ針状晶の白色物質が17.7g(収率80%)得ら
れた。島津製作所製の質量分析計で分子量を測定したと
ころ368であり,炭素・硫黄分析装置(日本アナリス
ト社製CS−200型)で炭素および硫黄の含有量を測
定したところ,C 48.86%,S 17.41%で
あり,この生成物は,2,2−ビス(4−メルカプトフ
ェニル)ヘキサフルオロプロパン(チオビスフェノール
AF)である事が確認された。融点は146℃であっ
た。
【0028】実施例1 蒸留水500ml、パーフルオロオクタン酸アンモニウ
ム塩0.5gおよびCH2=CFCFOCF(C
)CFOCF(CF)COOHで示される反応
性乳化剤0.5gを内容積11のオートクレーブ(攪拌
機付き)に仕込み,窒素ガスを圧入して脱気する。この
加圧脱気を繰り返した後,溶存空気を除去し,フッ化ビ
ニリデン/クロロトリフルオロエチレン/シクロヘキシ
ルビニールエーテルの74/14/12モル%比の単量
体混合物を,60℃で10kg/cmまで加圧した。
次に酢酸エチル1.5gを圧入し,過硫酸アンモニウム
0.2gを仕込み,容器内圧力が10kg/cmとな
るように本混合モノマーを連続して供給し,50時間反
応を行った後,容器内を常温,常圧まで戻して反応を完
了させた。この水性分散液(ディスパージョン)の固形
分濃度を測定したところ,47重量%であった。レーザ
ー光散乱粒径測定装置を用いて平均粒子径を測定したと
ころ,0.16μmであった。
【0029】前記の乳化重合により調製した水性分散液
の固形分100重量部に対して,ビスチオフェノールA
F10部,エチレンジアミン5部,光触媒として,酸化
チタン複合活性炭(三菱化学社製、平均粒径20nm)
50部,酸化第二鉄(東京化成製)10部、酸化マグネ
シウム(東京化成製)10部、分散剤としてノブコスバ
ースSN5027(サンノブコ社製)2部、凍結防止剤
としてエチレングリコール1部,消泡剤としてFSアン
チフォーム013Bを0.5部,増粘剤としてUH42
0を0.5部,造膜助剤としてダワノールDPnB(ダ
ウ・ケミカル社製ジプロピレングリコール−n−ブチル
エーテル)10部および含フッ素系界面活性剤を1部添
加して,攪拌機で3000rpmの速度で30分間混合
して塗料を調製した。
【0030】フロートガラス板上に前記で調製した塗料
をロールコーターを用いて、塗膜の厚さが50μmにな
るように塗布し,室温下に24時間放置して硬化させ
た。塗膜の鉛筆硬度および密着性をJIS−K5400
に準拠して測定した。一次密着性は試験板に幅24mm
のセロハンテープを密着させ,上方に一気に引き剥がし
て表面状態を観察した。耐沸水二次密着性は,沸騰水中
に二時間浸漬した試験板の密着性を同様に試験した。試
験の結果を表1に示す。 抗菌性試験:約10個を含む菌液をガラス板に塗布
し,フイルムを密着させて1000ルクスの白色蛍光灯
を照射しながら35℃に24時間放置した。その後菌液
を洗い流して検体上の生菌数を測定した。その結果を図
1に示す。 NOx酸化分解性:120×140mmのガラス板上に
前記で調製した塗料をロールコーターを用いて、塗膜の
厚さが50μmになるように塗布し,室温下に24時間
放置して硬化させた。このガラス板を21の容器に入
れ,5ppmのNOxガスを連続的に通し,濃度が安定
した事を確認した後,ブラックライトを用いて0.5m
W/cmの紫外光を照射した。その結果を図2に示す
が,30分間照射する事によりNOxの濃度は100分
の1以下に酸化分解される事が確認された。 アルデヒド分解試験:NOx酸化分解性の試験で作製し
た試料を,3.51の容器に設置し,容器中のアセトア
ルデヒドの濃度が200ppmになるように調整した
後,ブラックライトを用いて0.5mW/cmの紫外
光を照射した。その結果を図3に示すが,100分間紫
外光を照射する事により,アセトアルデヒドが全て分解
した。 アンモニア分解試験:NOxの酸化分解性の試験で作製
した試料を3.51の容器に設置し,容器中のアンモニ
アの濃度が50ppmになるように調整した後,ブラッ
クライトを用いて0.5mW/cmの紫外光を照射し
た。その結果を図4に示すが,30分間紫外光を照射す
る事により,アンモニアの全てが分解した。
【0031】比較例1 光触媒として石原産業社製の酸化チタン(ST−01平
均粒径7nm)を50部添加した以外は実施例1と同様
に塗料を調製し,塗膜の特性試験,抗菌性試験,NOx
酸化分解試験,アセトアルデヒド分解試験およびアンモ
ニア分解試験を行った。それらの結果を,表1,図1,
図2,図3および図4に示す。
【0032】比較例2 光触媒を全く添加しない以外は実施例1と同様に塗料を
調製し,塗膜の特性試験,抗菌性試験,NOx酸化分解
性試験,アルデヒド分解試験およびアンモニア分解試験
を行った。それらの結果を表1,図1,図2,図3およ
び図4に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】本発明の含フッ素共重合体水性分解液お
よび酸化チタン光触媒を含有する水性塗料を用いる事に
より,耐熱性,耐候性、低温造膜性,塗膜強度,耐汚染
性および基材密着性に優れ、NOx,ホルムアルデヒ
ド,アセトアルデヒド,アンモニア等の有害化学物質を
光分解する機能を有した塗膜および塗装物品を作製する
ことができ,幅広い用途に用いることができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年9月16日(1999.9.1
6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】 抗菌性試験(大腸菌)における酸化チタン付
着量と減菌率の関係を示す説明図である。
【図2】 NOx酸化分解性試験における光照射時間と
NOx濃度の関係を示す説明図である。
【図3】 アルデヒド分解試験における光照射時間とア
セトアルデヒド濃度の関係を示す説明図である。
【図4】 アンモニア分解試験における光照射時間とア
ンモニア濃度の関係を示す説明図である。
【符号の説明】 1. 〇 実施例1 2. △ 比較例1 3. □ 比較例2

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 含ハロゲンポリマーディスパージョン、
    式 【化1】 (式中、Rは、CF、C、Cからなる群
    より選択される)で表される架橋剤、架橋触媒として脂
    肪族第一級ジアミン化合物および酸化チタン複合活性
    炭、鉄酸化物、アルカリ性物質よりなる常温硬化性水性
    含ハロゲン樹脂塗料組成物。
  2. 【請求項2】 含ハロゲンポリマーが、フッ化ビニリデ
    ン、クロロトリフルオロエチレンおよびシクロヘキシル
    ビニールエーテル共重合体である請求項1に記載の常温
    硬化性水性含ハロゲン樹脂塗料組成物。
  3. 【請求項3】 テトラアルコキシチタンからゾル・ゲル
    法で合成した高分子酸化チタンを含有した請求項1〜請
    求項2のいずれかに記載の常温硬化性水性含ハロゲン樹
    脂塗料組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の
    組成物を含有した水性塗料。
  5. 【請求項5】 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の
    組成物を含有した建築物または構造物の外装および内装
    用水性塗料。
  6. 【請求項6】 請求項1〜請求項3に記載の水性塗料を
    塗装して作製した光触媒機能を有する塗装物品。
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