JP2001015296A - レーザプラズマx線発生装置 - Google Patents

レーザプラズマx線発生装置

Info

Publication number
JP2001015296A
JP2001015296A JP2000125427A JP2000125427A JP2001015296A JP 2001015296 A JP2001015296 A JP 2001015296A JP 2000125427 A JP2000125427 A JP 2000125427A JP 2000125427 A JP2000125427 A JP 2000125427A JP 2001015296 A JP2001015296 A JP 2001015296A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cryogenic
rotating body
target
target layer
cryo
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000125427A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4068283B2 (ja
Inventor
Tetsuo Goto
哲男 後藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SAIFASHA YUGEN
Original Assignee
SAIFASHA YUGEN
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by SAIFASHA YUGEN filed Critical SAIFASHA YUGEN
Priority to JP2000125427A priority Critical patent/JP4068283B2/ja
Publication of JP2001015296A publication Critical patent/JP2001015296A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4068283B2 publication Critical patent/JP4068283B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Plasma Technology (AREA)
  • X-Ray Techniques (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ターゲット層に覆われる基板構造体の交換を
不要とし、かつ高尖頭パワーの高繰り返しパルスレーザ
光による集光照射でも連続して安定高平均出力のパルス
X線を発生することができる。 【解決手段】 回転する回転体11を極低温流体21で
冷却し、回転体11の表面に間隙を設けて囲む固定壁5
1を備え、この間隙空間に液化された希ガスなどによる
クライオ材31を供給路33から回転体11の冷却され
た表面に向けて供給し、パルスレーザ光41の集光照射
を受けてプラズマおよびパルスX線を発生するクライオ
ターゲット層34を回転体11の表面上に液体化状態ま
たは固体化状態の厚さほぼ10〜500μmに形成して
いる。集光照射点44は円筒形回転体11の側面でも底
面でもよく、回転軸12は軸方向またはその垂直方向に
往復移動してクライオ材31の供給をクライオターゲッ
ト層34上で移送する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷却して液体化ま
たは固体化した希ガスまたは化学的に不活性で室温では
ガス状のクライオ(低温)材をクライオターゲットとし
このクライオターゲットに高尖頭パワーを有する繰り返
しパルスレーザ光を集光照射して生じた高温高密度プラ
ズマからパルスX線を発生するレーザプラズマX線発生
装置に関し、特に、高尖頭パワーを有する繰り返しパル
スレーザ光の照射でも連続して安定した高い平均出力の
パルスX線を発生することができるレーザプラズマX線
発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】高い尖頭パワーを有するパルスレーザ光
を直径100μm以下の点に集光して、これを固体ター
ゲットに照射することにより高温高密度のレーザプラズ
マが生成され、このレーザプラズマから高い輝度のパル
スX線がレーザプラズマX線として放射されることは1
970年代から知られている。そして、レーザ光のパル
スエネルギーが向上すると共にその物理的特性の調査が
開始された。
【0003】レーザプラズマX線の応用については、1
974年、早くも医療応用として、米国特許明細書
「P.J.Mallozzi etal;U.S.Pa
tent4,058,486号(Nov.15,197
7)」、および文献「Journal of Appl
ied Physics Vol.45,pp.189
1(1974)」に開示または提案されている。また、
1978年にはD.J.NagelのグループがX線リ
ソグラフィー用光源への応用が可能であることを米国特
許明細書「D.J.Nagel etal;U.S.P
atent 4,184,078号(Jan.198
0)」に開示している。その後、レーザ核融合研究の一
部としてレーザプラズマX線は精力的に研究され、X線
のスペクトル強度に対するレーザ波長、強度依存性また
はターゲット元素依存性などが明らかにされた。特に、
入射レーザのエネルギーからX線エネルギーへの全変換
効率は数パーセントから10パーセントと極めて大きい
ことが判明し、数100Hzの高い繰り返し回数が可能
でかつ高エネルギーのパルスYAGレーザの実現など、
レーザ技術の進展に伴い高い繰り返しによる高平均出力
を有するレーザプラズマX線の実用化に対する開発が行
われた。
【0004】入射レーザが集光してプラズマを発生する
ターゲットとしては、米国特許明細書「J.M.For
syth etal;U.S.Patent 4,70
0,371号(Oct.13,1987)」に開示され
る円筒回転ドラムターゲットまたはテープターゲットが
ある。しかし、これらのターゲットはいずれも銅Cu、
アルミニウムAl、金Auなどの金属を主体とする固体
材料であるため,レーザ加熱によって蒸発した集光点近
傍の材料が周囲のチャンバー壁内面や放射されるレーザ
プラズマX線を集める高価なX線鏡の表面に堆積し、か
つ飛散した微粒子がX線鏡の表面に損傷を与えるなどの
問題がある。そのため短時間運転の研究用光源としての
み使用されている。すなわち、X線鏡の表面に堆積付着
したターゲット材の固体材料はX線を強く吸収するた
め、鏡の反射率が減少し、使用できるX線の実効強度が
時間と共に低下するためである。従って、定期的に高価
なX線鏡を交換する必要がある。
【0005】また,ターゲットとして使用される回転ド
ラムまたはテープはそれ自体にレーザ光が繰り返し集光
照射されるため、これらのターゲットはいずれも蒸発磨
耗することにより寿命が短く、頻繁に交換する必要があ
る。
【0006】従来、この種のレーザプラズマX線発生装
置では、上述した問題を解決する方法として,化学的に
不活性で室温ではガス状態の物質、例えば希ガスを冷却
して液体化または固体化したクライオ材をクライオター
ゲット層に形成して用いている。
【0007】例えば、図9に示されるような、冷却して
液体化または固体化したクライオ材によるクライオター
ゲットを連続供給する装置が、特開平1-6349号公
報(特許番号第2614457号)に開示されている。
この装置により、漸く長時間運転の実用に耐えうるレー
ザプラズマX線発生装置の目処がついた。
【0008】すなわち、図9に示されるように、真空チ
ャンバー1110内部には連続移動する回転無端ベルト
1122を有するベルトコンベア1121が備えられ、
液体化または固体化したクライオ材が供給路1131か
ら回転無端ベルト1122の表面上に連続的に供給され
て付着しクライオターゲット層1132を形成する。
【0009】一方、パルスレーザ光1141は、入射口
1142から真空チャンバー1110内に入射し、移動
する回転無端ベルト1122表面上に付着したクライオ
ターゲット層1132に集光照射点1143を形成す
る。従って、集光照射点1143においてクライオター
ゲット層1132のクライオ材がプラズマ化してパルス
X線1145を放射し、パルスX線1145はX線射出
口1144を介して外部に取り出される。
【0010】この集光照射点1143でプラズマ化して
穴をあけたクライオターゲット層1132には移動する
回転無端ベルト1122の表面上にクライオ材の供給路
1131からクライオ材が連続して供給され、クライオ
ターゲット層1132が復旧する。
【0011】また、上述とは別のレーザプラズマX線発
生装置では、例えば、図10に示されるような装置が特
開平9−306693号公報に開示されている。
【0012】すなわち、真空チャンバー1210の内部
には、液体ヘリウムなどの冷却媒体1211により冷却
されたターゲット1232が備えられる一方、希ガスま
たは水などによるプラズマ発生用ガス1231が導入さ
れる。従って、冷却されたターゲット1211の表面に
プラズマ発生用ガス1231が吸着され固体または液体
のガス吸着層1232が形成される。一方、レーザ光1
241は、レーザ光導入窓1242を介してガス吸着層
1232上に集光照射され、ガス吸着層1232はガス
プラズマ1243を形成してX線を発生する。この際、
ターゲット1211上におけるレーザ光1241の集光
照射点は固定されているうえ、ターゲット1211は移
動しないので、レーザ光11241はターゲット121
1の同一点を集光照射し続ける。
【0013】この公開公報では、ガスプラズマ1243
の発生によりガス吸着層1232の表面には穴が生じる
が、ターゲット1211が冷却されているため、プラズ
マ発生用ガス1231がこの穴に吸着されるので、ガス
吸着層1232は常に平面性が保持され、ターゲット1
211には傷は付かない。また、液状のガス吸着層12
32により埋められ平面性を保持することができると記
載されている。更に、上述したレーザプラズマX線発生
装置は、真空チャンバー内のレーザ集光照射点から噴出
したクライオ材またはプラズマ発生用ガスのガス分子は
化学的に不活性であり、また微粒子などのクラスターも
極めて不安定なため、室温に保たれた真空チャンバー内
における内壁面またはX線鏡などのX線光学素子の表面
に堆積することがないと記載されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】上述した回転無端ベル
トを用いてクライオターゲット層をレーザ集光点に運搬
するレーザプラズマX線発生装置では、次のような問題
点がある。
【0015】第1の問題点は、回転無端ベルトは、極低
温の回転体と接する際のみに冷却されるが、極低温にお
いて屈曲と延伸との作用を受けるため、回転無端ベルト
の寿命が短縮されることであり、更に、供給されるクラ
イオ材の付着面の温度を安定した低温に保持することが
困難なことである。
【0016】第2の問題点は、クライオ材の供給路から
供給を受けて回転無端ベルトに付着形成されるクライオ
ターゲット層では表面に沿っての厚さにおいて均一性が
得難いので、クライオターゲット層の表面の法線方向に
対するレーザ光の集光照射点の持つ相対位置が面の場所
により所定の位置から外れることがあり、発生するX線
の強度が安定しないことである。
【0017】第3の問題点は、クライオ材供給路から供
給されるクライオ材が回転無端ベルトに付着する効率が
悪く密度の比較的高いクライオ材ガスがレーザ集光点近
傍にも存在することになるので、発生したX線がクライ
オ材ガス自身に再吸収され、X線の発生効率を低減させ
ることである。
【0018】また、冷却媒体により冷却されたターゲッ
トにプラズマ発生用ガスを吸着させてガス吸着層を形成
するレーザプラズマX線発生装置にも次の問題点があ
る。
【0019】すなわち、第4の問題点として、上記第3
の問題点と同様、真空チャンバー内のプラズマ発生用ガ
スが冷却されたターゲット近辺で、特にレーザ光の集光
照射点近傍に存在することになるので、発生したX線が
プラズマ発生用ガス自身に再吸収され、X線の発生効率
を低減させることである。
【0020】また、第5の問題点として、レーザ光によ
り発生した穴にプラズマ発生用ガスが吸着されることに
よりまたは周囲の液状吸着ガスの流入により、平面性を
修復することができるが、修復には有限の時間がかかる
ため、レーザ光のパルス間隔が10msec以下、すな
わちパルス繰り返し周波数100Hz以上では穴が成長
し、ターゲットの損傷を避けることができないことであ
る。従って、高平均出力動作に対して使用することがで
きないということである。
【0021】一方、修復速度を短縮するためには真空チ
ャンバー内部のプラズマ発生用ガスの圧力(密度)を増
加させればよいが、上記第4の問題点のみならず、入射
レーザ光自身がレーザ光の集光照射点に到達する前に真
空チャンバー内部のプラズマ発生用ガスに吸収されてガ
ス放電を引き起こすため、レーザ光の集光照射点にガス
プラズマを発生することができなくなる。
【0022】更に、第6の問題点として、上記二つのレ
ーザプラズマX線発生装置に共通した問題は、クライオ
ターゲット層またはガス吸着層のレーザ光の集光照射点
からプラズマ発生によって気化されたクライオ材ガスの
量が高繰り返しパルスの動作では無視できない量とな
り、大きな排気量を有する真空ポンプを用いない限り上
記第4の問題を引き起こすことになる。
【0023】本発明の課題は、このような問題点を解決
し、レーザ光の集光照射によりプラズマを発生するクラ
イオターゲット層に覆われる回転無端ベルト、またはガ
ス吸着層に覆われるターゲットの交換を不要とし、かつ
高尖頭パワーを有する繰り返しパルスレーザ光の照射で
も連続して安定した高い平均出力のパルスX線を発生す
ることができるレーザプラズマX線発生装置を提供する
ことである。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明によるレーザプラ
ズマX線発生装置は、冷却して液体化および固体化の少
なくとも一方となった化学的に不活性で室温ではガス状
のクライオ材をクライオターゲットとしこのクライオタ
ーゲットに高尖頭パワーを有する繰り返しパルスレーザ
光を集光照射して生じたプラズマからパルスX線を発生
するレーザプラズマX線発生装置において、回転軸を有
しかつ前記クライオターゲットの表面として熱伝導率の
よい円筒形側面および前記回転軸に垂直面を成す一つの
底面の少なくとも一方を有する回転体と、前記回転軸を
駆動して前記回転体を回転させる回転駆動機構と、前記
回転体の少なくとも前記表面を極低温に冷却する冷却手
段と、前記回転体の前記表面に前記クライオ材を供給し
て所定の厚さのクライオターゲット層を形成するターゲ
ット供給機構とを備えている。
【0025】このように、回転体を回転させることによ
って再生されたクライオターゲット層をパルスレーザ光
の集光照射点へ連続的に供給することができる。従っ
て、熱伝導率のよい回転体を極低温に冷却して回転体表
面にクライオターゲット層を形成する際、回転体の回転
速度、回転体表面の温度、回転体表面に供給するクライ
オ材の供給量などの設定によりクライオターゲット層の
厚さを適切に設定できる。また、回転体の回転によりパ
ルスレーザの集光照射点位置を逐次移動できるので、パ
ルスレーザの集光点に生じるプラズマによる回転体の損
傷を防止することができる。
【0026】また、更に、前記回転軸と前記クライオタ
ーゲットの表面でパルスレーザ光を集光照射する点との
両者を面内に含む平面と前記集光照射する点で前記回転
体の表面に接する接平面との交叉によって交叉個所の軌
跡に形成される直線に平行な方向に前記回転軸を前記回
転体と共に往復移動させる軸駆動機構を備えることによ
り、新に形成されたクライオターゲット層を集光照射点
に常に供給できると共に集光照射点に生じるプラズマに
よる回転体の損傷をより効果的に防止できる。
【0027】一方、更に、間隙をもって前記回転体を囲
み前記間隙に前記クライオ材の注入を受けて閉じ込める
固定壁を備え、前記回転体の速度、周囲温度を含む環境
条件を設定して、回転する前記回転体の円筒形表面に付
着した前記クライオ材をほぼ均一の厚さに形成し前記ク
ライオターゲット層としている。従って、回転体の表面
に液体化状態または固体化状態のクライオターゲット層
を安定に形成することができると共にパルスレーザの集
光照射点にプラズマを常に同様な安定した条件で発生す
ることができる。
【0028】また、上述の冷却手段が回転体の表面温度
をクライオ材の液化点以下に維持する一方、固定壁の温
度を最低でクライオ材の液化点に維持する保温構造を有
することにより、より安定したクライオターゲット層を
形成することができる。
【0029】また、固定壁は入射するパルスレーザ光が
集光するクライオターゲット層の集光照射点近傍では発
生するパルスX線を外部へ放射する開口部を有し、かつ
この開口部は集光照射点の近傍周囲で固定壁内部から気
化したクライオ材の流出を妨げる形状を有しかつクライ
オターゲット層の表面に至る範囲の仕切壁を備えること
により、クライオ材ガスが集光照射点の近傍に拡散する
ことを防ぐので、放射されたX線がクライオ材ガスに再
吸収されることがない。
【0030】また、上述の固定壁に連結しパルスレーザ
光を集光照射する前記クライオターゲットとなる前記回
転体の表面との間で摺動し、前記回転体の表面と前記ク
ライオターゲット層の厚さ分の間隙を調整可能な層厚調
整壁を備えることにより、クライオターゲット層を更に
安定した厚さに形成することができる。
【0031】更に、X線を放射する希ガスなどの原子番
号10以上の重元素によるクライオ材に原子番号10未
満の軽元素を混合してクライオターゲット層を形成する
ことにより、クライオターゲット層を形成するクライオ
材が気化してもX線を主に吸収する重元素の量を減らす
ことになる。一方、軽元素によるX線の吸収は相対的に
小さい。従って、プラズマの発生によって気化したクラ
イオ材ガス自身が、真空排気が不十分なためにX線の放
射経路に残留してX線を減衰させることを防止すること
ができる。
【0032】この場合、軽元素を混合しても、プラズマ
の温度が重元素のみの場合より高温になるため、結果と
して重元素からのX線量は減少せず、X線量は適切な混
合比では重元素のみの場合よりもむしろ増加する。
【0033】また、重元素により構成される材料成分の
モル混合比は軽元素により構成される材料成分の数パー
セントから50パーセントが好ましく、各材料成分の供
給量、周囲温度を含む環境条件の設定に基づいてモル混
合比の値を調整してクライオターゲット層が形成されて
いる。
【0034】また、上述した冷却手段の具体的な構成の
一つは、中空構造を有する前記回転体を冷却槽として前
記回転軸を同軸とする導入管および排気管を備え、前記
冷却槽は前記導入管を介して注入される低温液化ガスを
極低温流体として貯蓄し、前記排気管が前記冷却槽で気
化した低温液化ガスを排気している。また、冷却手段
は、前記導入管に前記冷却槽内の先端にノズルを有し、
前記導入管を介して注入される低温液化ガスが極低温流
体として前記冷却槽内の前記ノズルから放出される際に
断熱膨張して発生する極低温ガス流により冷却槽である
前記回転体の内壁を冷却する一方、前記排気管が気化し
た低温液化ガスを排気することが望ましい。更に、冷却
手段は、前記回転体の下部軸受け側を密閉格納する冷却
槽並びに極低温流体の導入管および排気管を備え、前記
冷却槽は前記導入管を介して注入される低温液化ガスを
極低温流体として貯蓄し、前記排気管が前記冷却槽で気
化した低温液化ガスを排気することでもよい。
【0035】また、前記クライオターゲットを前記回転
軸に垂直面を成す一つの底面とした際には、前記回転体
が円盤形状を有しても同様な効果を得ることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
【0037】図1は本発明の実施の一形態を示す説明用
の縦断面概要図である。
【0038】図1のレーザプラズマX線発生装置では、
真空チャンバー10、円筒形の回転体11、回転体11
の回転軸12,13およびこの回転軸受け14,15、
回転体11の回転および移動を駆動する回転駆動機構1
6および軸方向駆動機構17、回転体11の冷却手段と
して極低温流体21、導入管22および排気管23、タ
ーゲット供給機構30としてターゲット材であるクライ
オ材31、回収槽32、供給路33、クライオターゲッ
ト層34、および排気装置35、並びに、レーザプラズ
マX線を発生する手段としてパルスレーザ光41、レー
ザ集光機構42、レーザ入射口43、集光照射点44、
パルスX線45、X線鏡46、およびX線出射口47が
示されている。
【0039】真空チャンバー10の内部に円筒形表面を
有し中空で冷却槽となる熱導電率のよい回転体11が水
平面に垂直な回転軸12,13を有し、回転軸12,1
3は真空チャンバー10に設けられた回転軸受け14,
15により支持されている。回転軸12,13は熱伝導
係数の小さい材質が好ましく、また回転軸受け14,1
5は磁気軸受けが望ましいが、それらに限定されること
はない。
【0040】上部の回転軸12は、回転軸受け14の先
端部分である真空チャンバー10の外部に、回転体11
を回転させるモータおよび駆動歯車を含む回転駆動機構
16、並びに回転体11を回転軸方向に往復移動させる
モータおよび駆動歯車を含む軸方向駆動機構17それぞ
れにより駆動されている。
【0041】また、回転軸12は、液体窒素、液体アル
ゴンまたは液体ヘリウムなどの低温液化ガスを極低温流
体21として回転体11の中空内部に外部から導入する
導入管22を中心軸位置に、かつ極低温流体21の気化
ガスを排出回収する排気管23を導入管22の周囲に同
軸状にそれぞれ備えている。従って、極低温流体21
は、導入管22により導入されて回転体11内部の中空
内部に液体として蓄積され、回転体11の熱伝導を利用
して回転体11の円筒形表面をクライオターゲットとな
るクライオ材31の液化温度以下に冷却する。極低温流
体21の気化ガスは排気管23により排出される。
【0042】一方、クライオ材31はレーザプラズマを
発生させるレーザ光の集光照射対象であるターゲットの
材料である。クライオ材31は液体化されて回収槽32
に外部から補給されると共に内部に貯蔵され、供給路3
3により冷却された回転体11の表面に供給されて液体
化または固体化の状態でクライオターゲット層34を形
成する。クライオターゲット層34が10μm〜ほぼ5
00μmの厚さに形成されるように、回転体11の回転
速度、円筒形表面の温度、円筒形表面に供給するクライ
オ材31の供給量などの環境条件が設定される。
【0043】また、クライオターゲット層34がプラズ
マ化された際にガス状となったクライオ材31は、排気
装置35により真空チャンバー10の外へ排出回収さ
れ、クライオ材31の回収槽32へ送られ、冷却により
再液体化または再固体化されて引き続き真空チャンバー
10内の回転体11の表面に供給路33を介して再度供
給される。更に、排気装置35は、真空チャンバー10
の内部を133×10 Pa以下の圧力に保持するよ
うに稼動している。
【0044】他方、パルスレーザ光41はレーザ集光機
構42を介して真空チャンバー10のレーザ入射口43
から照射されクライオターゲット層34の集光照射点4
4に到達する。次いで、集光照射点44で発生したプラ
ズマから生じたパルスX線45がX線鏡46によりX線
出射口47から射出される。
【0045】このように、回転体11を回転させること
によってクライオターゲット層34をパルスレーザ光4
1の集光照射点44へ連続的に供給することができ、更
に回転軸12、13を回転体11と共に回転軸と同一方
向に往復移動させることにより、回転体11の円筒形表
面の軸方向に対する往復移動の範囲において新に形成さ
れたクライオターゲット層34を集光照射点44に常に
供給できることになる。従って、熱伝導率のよい回転体
11を極低温に冷却して円筒形表面にクライオターゲッ
ト層34を形成する際、回転体11の回転速度、円筒形
表面の温度、円筒形表面に供給するクライオ材31の供
給量などの設定によりクライオターゲット層34の厚さ
を適切に形成することができる。また、回転体11の回
転および軸方向の往復移動によりパルスレーザ光41の
集光照射点44の位置を逐次移動できるので、パルスレ
ーザ光41の集光照射点44の位置に生じるプラズマに
よる回転体11の損傷を防止することができる。
【0046】次に、図2および図3に図1を併せ参照し
て、クライオターゲット層34を均一の厚さに安定して
形成できる実施の一形態について説明する。
【0047】図2が図1と相違する点は、固定壁51が
設けられたことである。
【0048】固定壁51は、間隙をもって円筒形の回転
体11を囲み、この間隙にクライオ材31の注入を受け
て閉じ込めるものであり、効率のよい円筒形状を有して
いる。また、表面温度をガス液化点以下に冷却された回
転体11の表面上に液体化状態または固体化状態の厚さ
10μm〜500μmのクライオターゲット層34を形
成するため、固定壁51は、クライオ材31の液化点と
ほぼ同じかまたはそれより高い温度に保つ必要がある。
従って、固定壁51は室温である外気に触れている真空
チャンバー10に結合する構造を有しており、必要であ
ればこのような温度を保持するため保温構造として保温
器52が設けられる。上記説明では固定壁を円筒形とし
たが、円筒形に限定されるものではない。
【0049】回転体11の円筒形表面がクライオ材31
を充分に液体化または固体化する温度に冷却された後、
クライオ材31のガスは、供給路36により固定壁51
に開けられた供給口から固定壁51と回転体11の表面
との間の空間に導入供給され、冷却された回転体11の
表面にクライオターゲット層34を10μmから約50
0μmの厚さで形成する。この際、固定壁51内部にお
けるクライオ材31のガスの圧力は、例えば、133×
10−3Pa〜133×10+2Paの範囲に保ちつ
つ、クライオ材31の供給路36の途中に配置されたバ
ルブと回転体11の表面温度との調整により付着速度を
選択する。回転体11の表面に供給するクライオ材31
はガスであると説明したが液体化されていてもよい。
【0050】更に、図2において複数のターゲット供給
機構を設け、ターゲット供給機構それぞれから温度、バ
ルブなどを調整して異なる種類の元素の混合比を調整し
たクライオ材を回転体に供給しクライオターゲット層を
形成することができる。すなわち、X線を放射する希ガ
スなどの原子番号10以上の重元素、例えばアルゴンA
r、クリプトンKr、キセノンXeなどによるクライオ
材に原子番号10未満の軽元素による、例えば水H2
O、炭酸ガスCO2などを混合してクライオターゲット
層を形成することができる。勿論、クライオターゲット
層に用いる元素は例示した上記元素に限定されるもので
はない。
【0051】この構成により、クライオターゲット層を
形成するクライオ材が気化してもX線を主に吸収する重
元素の量を減らすことになる。一方、軽元素によるX線
の吸収は相対的に小さい。従って、プラズマの発生によ
って気化したクライオ材ガス自身が、真空排気が不十分
なためにX線の放射経路に残留してX線を減衰させるこ
とを防止することができる。
【0052】この場合、軽元素を混合しても、クライオ
ターゲット層に用いられる軽元素から発生するX線の放
射量は極めて少量で、その分がプラズマの加熱に有効に
使われる。従って、プラズマの温度が重元素のみの場合
より高温になるため、結果として重元素からのX線量は
減少せず、X線量は適切な混合比では重元素のみの場合
よりもむしろ増加する。
【0053】また、重元素により構成される材料成分の
モル混合比は軽元素により構成される材料成分の数パー
セントから50パーセントが好ましく、各材料成分の供
給量、周囲温度を含む環境条件の設定に基づいてモル混
合比の値を調整してクライオターゲット層が形成されて
いる。
【0054】また、図3に示されるように、パルスレー
ザ光41の集光照射点44近傍では、パルスレーザ光4
1が固定壁51に干渉されずに集光照射点44に到達
し、かつ発生するパルスX線45が固定壁51に妨げら
れることなく外部に放射されるように、固定壁51は、
集光照射点44を中心として0.5cmから5cm以下
の半径を有する開口部53を備え、更に、回転体11の
表面と固定壁51との間に閉じ込めたクライオ材31の
ガスが開口部53から流出しないようにクライオターゲ
ット層34の表面に接する縁を持った仕切壁54を設け
ている。
【0055】クライオターゲット層34へ入射されるパ
ルスレーザ光41の光源は、高い尖頭パワーと高い繰り
返し型のパルスレーザ光源であり、一実施例において
は、レーザ波長1μm、パルスエネルギー0.7J〜1.
0J、 パルス幅15nsec、および繰り返し周波数
300Hz〜3000Hzのパルスレーザ光を放射して
いる。パルスレーザ光41はクライオターゲット層34
の表面に集光照射点44として約100μmの集光径で
集光照射される。この場合、クライオターゲット層34
の表面上でのレーザ強度は約1012W/cmとな
る。
【0056】この光強度ではプラズマ化したクライオ材
からX線が放射され、入射レーザエネルギーから放射X
線エネルギーへの変換効率は波長11nmのX線を強く
放射するキセノンクライオターゲットの場合、A.Sh
imoura、S.Amano、S.Miyamot
o、および T.Mochizukiによる報告書「A
pplied Physics Letters Vo
l.72,pp.164(1998)」に示されるよう
に、約1%/nm/ステラジアンであることが実験的に
見い出されている。従って、1nmの波長幅と3ステラ
ジアンの立体角で放射X線をX線鏡46によってビーム
として取り出せばX線平均出力として9W〜90Wの出
力が得られる。
【0057】パルスレーザを繰り返し周波数300Hz
〜3000Hzで動作させ、安定なパルスX線45を得
るには1パルス毎に新しいクライオターゲット層34の
面を照射する必要がある。
【0058】そのため、クライオターゲット層34の面
上での集光照射点から次の集光照射点までの距離を50
0μmにすると、半径R(cm)を有する回転体11の
回転速度として毎分の回転数が「150/R」回〜「1
500/R」回となる。この半径Rを7.5cmとする
と毎分の回転数は20回〜200回であればよい。
【0059】パルスレーザ光41の集光照射により集光
照射点44を中心にクライオターゲットのクライオ材3
1が気化した後にはクライオターゲット層34にクレー
ター状の痕跡が発生する。この痕跡に再度、または繰り
返してレーザ光を集光照射する場合にはプラズマの生成
が不安定になったり、極端な場合、クライオターゲット
層34の底までクレーターの穴が貫通し、回転体11の
表面を直接、加熱して蒸発させてしまう。
【0060】従って、回転体11を回転軸12,13に
より回転させるだけでなく回転の軸方向へ往復移動させ
ることによってクライオターゲット層34の表面の同じ
場所を短時間内に重複してパルスレーザ光41が照射し
ないようにしている。クレーター状の痕跡には回転中に
固定壁51の内側間隙に存在するクライオ材のガスが直
ちに付着して修復される。
【0061】次に、図4に図2を併せ参照して層厚調整
壁55について説明する。
【0062】層厚調整壁55は、固定壁51に連結し回
転体11の径方向に摺動可能で、回転体11の円筒形表
面とクライオターゲット層34の厚さ分の間隙を有する
ことにより、クライオターゲット層34を更に安定した
厚さに形成する。すなわち、供給路36から回転体11
の表面に供給されたクライオ材31は、厚めの厚さを有
するクライオターゲット層34Aを形成する。このクラ
イオターゲット層34Aは、回転によって移動する際に
層厚調整壁55のエッジにより表面を削り取られて所定
の厚さを有するクライオターゲット層34Bが得られる
ように制御される。
【0063】また、回転体11の回転軸12方向に対す
る層厚調整壁55の長さは、回転体11の長さまであれ
ばよいが、回転体11の軸方向に対する往復移動範囲が
カバーできるだけであってもよい。
【0064】次に、図5に図1を併せ参照して上述とは
別の冷却手段について説明する。
【0065】図1と相違する点は、回転体11の内部空
間である冷却槽において、導入管22の先端にノズル2
4を設け、極低温流体21を放出噴射させることにより
断熱膨張した気化ガスによる極低温ガス流25を発生さ
せていることである。極低温流体21は、液体窒素、液
体アルゴン、または液体ヘリウム等の低温液化ガス、ま
たはこれら元素の低温高圧ガスでもよい。これら低温流
体がノズル24から放出されることにより断熱膨張する
際に発生する極低温ガス流25が回転体11の内壁を冷
却することにより熱伝導を利用して回転体11の表面を
冷却することができる。
【0066】次に、図6に図1を併せ参照して上述とは
別の冷却手段について説明する。
【0067】図6が図1と相違する点は、回転体61が
中空である必要はなく、少なくとも円筒形表面が熱伝導
率のよい材質であればよく、かつ、冷却手段が回転体6
1において回転軸62,63の軸方向である重力方向の
底部側半分以上の表面範囲を冷却していることである。
この結果、回転体61の天井部側の表面部分をクライオ
材71の液化点以下まで極低温化することができる。冷
却手段は、極低温流体81を内部に貯えて内部に浸され
た回転体61を直接冷却する冷却槽82と極低温流体8
1を供給する導入管83および気化ガスを排気回収する
排気管84により構成されている。
【0068】図6においては、真空チャンバー60の内
部で、回転体61の底部側半分以上が冷却槽82の内部
に挿入され、内部に貯蔵されている極低温流体81に直
接浸っている。真空チャンバー60の内部に露出する回
転体61の表面には、クライオ材71が供給されてクラ
イオターゲット層74が形成される。クライオ材71を
供給するターゲット供給機構70およびパルスレーザ光
41が集光照射点44に照射されてプラズマおよびパル
スX線45を発生するレーザプラズマX線発生の機構そ
れぞれについては図1とほぼ同様である。
【0069】クライオターゲット層74が形成される真
空チャンバー60の部分と、極低温流体81を貯蔵する
冷却槽82とはクライオ材71と極低温流体81との混
合を避けるため、隔壁85が設けられている。
【0070】図6では、真空チャンバー内に隔壁をもっ
て冷却槽が備えられるように示されているが、両者が別
個のチャンバーで隔壁により結合される構成でもよい。
また、真空チャンバー内で図2に示したような固定壁を
設けることもできる。
【0071】次に、図7を参照して、パルスレーザ光1
41の集光照射点144が図2とは異なる実施の一形態
について説明する。
【0072】図7に示されるレーザプラズマX線発生装
置のX線連続発生部分では、パルスレーザ光141によ
りレーザプラズマX線を発生する手段、真空チャンバー
110、円筒形の回転体111、回転体111の回転軸
112、回転体111の回転を駆動する回転駆動機構1
16、回転体111の回転軸と垂直方向に回転軸を駆動
する回転軸駆動機構117、回転体111の冷却手段、
クライオターゲット層134となるクライオ材を回転体
111に供給するターゲット供給機構130、並びに固
定壁151が備えられている。
【0073】図7が図2と相違する点は、パルスレーザ
光141の集光照射点144を円筒形の回転体111の
底面表面とし、この集光照射点144の位置に固定壁1
51の開口部を設けていることである。また他の一つの
点は、回転体111を回転させる機構、例えばモータお
よび駆動歯車を含む回転駆動機構116に加えて更に回
転体111を回転軸と垂直方向に往復移動させる回転軸
駆動機構117を設けていることである。この結果、パ
ルスレーザ光141の集光照射点144を円筒形の回転
体111の底面表面で広範囲に移動させることができ
る。この場合の回転軸駆動機構117は、例えばO(オ
ー)リングシールを用いて真空チャンバー110と結合
される。
【0074】このように、回転体111を回転させるこ
とによってクライオターゲット層134をパルスレーザ
光141の集光照射点144に連続的に供給することが
でき、更に回転軸112を回転体111と共に回転軸に
垂直方向に往復移動させることにより、円筒形の回転体
111における底面の往復移動の範囲において表面に新
に形成されたクライオターゲット層134を集光照射点
144に常に供給できることになる。
【0075】従って、熱伝導率のよい回転体111を極
低温に冷却して円筒形表面にクライオターゲット層13
4を形成する際、回転体111の回転速度、円筒形底面
の表面温度、円筒形底面の表面に供給するクライオ材の
供給量などの設定によりクライオターゲット層134の
厚さを適切に形成することができる。また、回転体11
1の回転および回転軸に垂直な方向の往復移動によりパ
ルスレーザ光141の集光照射点144の位置を逐次移
動できるので、集光照射点144に生じるプラズマによ
る回転体111の損傷を防止することができる。
【0076】次に、図8を参照して、図7に円盤状のタ
ーゲット部材を追加した場合の実施の一形態について説
明する。
【0077】図8が図7と相違する点は、円筒形の回転
体211の底面表面に熱伝導率のよい円盤状のターゲッ
ト部材219を密着させて、内部空間を冷却槽とする回
転体211およびターゲット部材219の熱伝導を利用
して回転体211と共にターゲット部材219の表面
を、クライオターゲット層234を形成するクライオ材
の液化温度以下に冷却することである。このため、関連
する固定壁251などの形状が相違している。このよう
な相違点を除き、同一名称で下二桁に同一番号符号を付
与された構成要素の機能については図7を参照した説明
と同一でありその説明は省略する。
【0078】上記説明では、円盤状のターゲット部材は
回転体に密着させて設けるとしたが一体化した一つの内
部空間を有する回転体であってもよい。
【0079】このように、上記記載では、図面それぞれ
を参照し適切な条件を示して説明しているが、図示され
説明された形状大きさおよび相互位置などの構成並びに
組み合わせについては、環境条件と共に相互に関連があ
るが上述した機能を満たす限り自由であり、本発明は上
記記載に限定されるものではない。
【0080】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、極
低温流体などにより冷却された熱伝導効率のよい回転体
の円筒形表面を、側面または裏面を問わずクライオター
ゲット層形成の基板とすると共に、回転体の回転および
回転軸の往復移動によりクライオ材の供給をクライオタ
ーゲット層上で移送するため、回転体の表面を損傷する
ことがなく、従って、回転体の交換は不必要になるとい
う効果がある。
【0081】また、クライオターゲット層の基板となる
回転体表面の温度は回転体表面が極低温流体などにより
直接冷却されるので容易に一定温度にでき、従って、安
定なターゲット層の形成と保持とが可能になるという効
果がある。
【0082】また、固定壁がクライオターゲット層を内
部に閉じ込めることによりクライオターゲットとなるク
ライオ材を極めて効率良くかつ均一に回転体表面に凝縮
付着させることが可能となり、更に仕切壁を持つ開口部
を設けることによってクライオターゲット層を形成しつ
つパルスレーザ光を高い周波数の繰り返しで集光照射で
きるので、レーザパルス光に呼応して半永久的にパルス
X線を準連続的に発生させることができる。また仕切壁
によってクライオ材ガスがパルスレーザ光の集光照射点
近傍または放射されるパルスX線の光路に拡散するのを
防止できるので,発生したパルスX線がクライオ材ガス
自身により再吸収されることにより実効利用できるパル
スX線の強度が低下するということがないという効果を
得ることができる。
【0083】上述の如く,本発明により、安定したクラ
イオターゲット層の形成および移送により、クライオタ
ーゲット層を表面に形成する基板構造体の交換を不要と
し、クライオ材ガス自身によるパルスX線の再吸収の問
題を解決するものであり、高尖頭パワーを有する繰り返
しパルスレーザ光の照射でも連続して安定した高い平均
出力のパルスX線を発生すると共に構造が簡単で半永久
的な寿命を持つ低コストで実用的なレーザプラズマX線
発生装置の提供を可能にしている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す縦断面概要図であ
る。
【図2】図1に固定壁を追加した実施の一形態を示す縦
断面概要図である。
【図3】図2における部分断面概要図である。
【図4】図2に層厚調整壁を追加した実施の一形態を示
す横断面概要図である。
【図5】本発明による図1,2とは別の冷却手段におけ
る実施の一形態を示す縦断面概要図である。
【図6】図5とも別の冷却手段における実施の一形態を
示す縦断面概要図である。
【図7】図1または図2と異なる実施の一形態を示す縦
断面概要図である。
【図8】図7に円盤状のターゲット部材を追加した場合
の実施の一形態を示す縦断面概要図である。
【図9】従来の一例を示す説明図である。
【図10】従来の図9とは別の一例を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
10、60、110、210 真空チャンバー 11、61、111、211 回転体 12、13、62、63、112、212 回転軸 14、15、64、65 回転軸受け 16、116 回転駆動機構 17、117 回転軸駆動機構 21、81 極低温流体 22、83 導入管 23、84 排気管 30、70、130、230 ターゲット供給機構 31、71 クライオ材 32、72 回収槽 33、73 供給路 34、74、134、234 クライオターゲット層 35、135 排気装置 41、141 パルスレーザ光 42 レーザ集光機構 43、143 レーザ入射口 44、144 集光照射点 45 パルスX線 46、146 X線鏡 47、147 X線出射口 51、151、251 固定壁 52 保温器 53、253 開口部 54 仕切壁 55 層厚調整壁 82 冷却槽 85 隔壁

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷却して液体化および固体化の少なくと
    も一方となった化学的に不活性で室温ではガス状のクラ
    イオ材をクライオターゲットとしこのクライオターゲッ
    トに高尖頭パワーを有する繰り返しパルスレーザ光を集
    光照射して生じたプラズマからパルスX線を発生するレ
    ーザプラズマX線発生装置において、回転軸を有しかつ
    前記クライオターゲットの表面として熱伝導率のよい円
    筒形側面および前記回転軸に垂直面を成す一つの底面の
    少なくとも一方を有する回転体と、前記回転軸を駆動し
    て前記回転体を回転させる回転駆動機構と、前記回転体
    の少なくとも前記表面を極低温に冷却する冷却手段と、
    前記回転体の前記表面に前記クライオ材を供給して所定
    の厚さのクライオターゲット層を形成するターゲット供
    給機構とを備えることを特徴とするレーザプラズマX線
    発生装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、更に、前記回転軸と
    前記クライオターゲットの表面でパルスレーザ光を集光
    照射する点との両者を面内に含む平面と前記集光照射す
    る点で前記回転体の表面に接する接平面との交叉によっ
    て交叉個所の軌跡に形成される直線に平行な方向に前記
    回転軸を前記回転体と共に往復移動させる軸駆動機構を
    備えることを特徴とするレーザプラズマX線発生装置。
  3. 【請求項3】 請求項1において、更に、間隙をもって
    前記回転体を囲み前記間隙に前記クライオ材の注入を受
    けて閉じ込める固定壁を備え、前記回転体の速度、周囲
    温度を含む環境条件を設定して、回転する前記回転体の
    円筒形表面に付着した前記クライオ材をほぼ均一の厚さ
    に形成し前記クライオターゲット層とすることを特徴と
    するレーザプラズマX線発生装置。
  4. 【請求項4】 請求項3において、前記冷却手段が前記
    回転体の表面温度を前記クライオ材の液化点以下に維持
    する一方、前記固定壁の温度を最低で前記クライオ材の
    液化点に維持する保温構造を有することを特徴とするレ
    ーザプラズマX線発生装置。
  5. 【請求項5】 請求項3において、固定壁は入射する前
    記パルスレーザ光が集光する前記クライオターゲット層
    の集光照射点の近傍では発生するパルスX線を外部へ放
    射する開口部を有し、かつこの開口部は前記集光照射点
    の近傍周囲で固定壁内部から気化したクライオ材の流出
    を妨げる形状を有しかつ前記クライオターゲット層の表
    面に至る範囲の仕切壁を備えることを特徴とするレーザ
    プラズマX線発生装置。
  6. 【請求項6】 請求項3において、固定壁に連結しパル
    スレーザ光を集光照射する前記クライオターゲットとな
    る前記回転体の表面との間で摺動し、前記回転体の表面
    と前記クライオターゲット層の厚さ分の間隙を調整可能
    な層厚調整壁を備えることを特徴とするレーザプラズマ
    X線発生装置。
  7. 【請求項7】 請求項1において、クライオ材は、2種
    類以上の材料成分を有する混合材であり、材料成分の少
    なくとも一つは原子番号10以上の重い元素であり、他
    の材料成分に少なくとも一つの原子番号10未満の軽い
    元素を更に含む構成を有することを特徴とするレーザプ
    ラズマX線発生装置。
  8. 【請求項8】 請求項7において、重い元素により構成
    される材料成分のモル混合比は、前記軽い元素により構
    成される材料成分の数パーセントから50パーセントで
    あり、各材料成分の供給量、周囲温度を含む環境条件の
    設定に基づいて前記モル混合比の値を調整して前記クラ
    イオターゲット層を形成することを特徴とするレーザプ
    ラズマX線発生装置。
  9. 【請求項9】 請求項1において、回転体は中空構造を
    有し、冷却手段は、前記回転体の中空部分を冷却槽とし
    て前記回転軸を同軸とする導入管および排気管を備え、
    前記冷却槽は前記導入管を介して注入される低温液化ガ
    スを極低温流体として貯蓄し、前記排気管が前記冷却槽
    で気化した低温液化ガスを排気することを特徴とするレ
    ーザプラズマX線発生装置。
  10. 【請求項10】 請求項1において、回転体は中空構造
    を有し、冷却手段は、前記回転体の中空部分を冷却槽と
    して前記回転軸を同軸とする導入管および排気管を備え
    ると共に前記導入管は前記冷却槽内の先端にノズルを有
    し、前記導入管を介して注入される低温液化ガスが極低
    温流体として前記冷却槽内の前記ノズルから放出される
    際に断熱膨張して発生する極低温ガス流が冷却槽である
    前記回転体の内壁を冷却する一方、前記排気管が気化し
    た低温液化ガスを排気することを特徴とするレーザプラ
    ズマX線発生装置。
  11. 【請求項11】 請求項1において、冷却手段は、前記
    回転体の下部軸受け側を密閉格納する冷却槽並びに極低
    温流体の導入管および排気管を備え、前記冷却槽は前記
    導入管を介して注入される低温液化ガスを極低温流体と
    して貯蓄し、前記排気管が前記冷却槽で気化した低温液
    化ガスを排気することを特徴とするレーザプラズマX線
    発生装置。
  12. 【請求項12】 請求項1において、前記クライオター
    ゲットを前記回転軸に垂直面を成す一つの底面とした際
    には、前記回転体が円盤形状を有することを特徴とする
    レーザプラズマX線発生装置。
JP2000125427A 1999-04-30 2000-04-26 レーザプラズマx線発生装置 Expired - Fee Related JP4068283B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000125427A JP4068283B2 (ja) 1999-04-30 2000-04-26 レーザプラズマx線発生装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12493299 1999-04-30
JP11-124932 1999-04-30
JP2000125427A JP4068283B2 (ja) 1999-04-30 2000-04-26 レーザプラズマx線発生装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001015296A true JP2001015296A (ja) 2001-01-19
JP4068283B2 JP4068283B2 (ja) 2008-03-26

Family

ID=26461488

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000125427A Expired - Fee Related JP4068283B2 (ja) 1999-04-30 2000-04-26 レーザプラズマx線発生装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4068283B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004037364A (ja) * 2002-07-05 2004-02-05 Kansai Tlo Kk 極短波長の光を発生させるターゲット、そのターゲットを用いた光発生方法及びそのための装置
US7478473B2 (en) 2002-09-30 2009-01-20 Renesas Technology Corp. Method of manufacturing an IC card
JP2010539637A (ja) * 2007-09-07 2010-12-16 コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ ガス放電光源用の電極デバイス、及びこの電極デバイスをもつガス放電光源を作動させる方法
JP2011529619A (ja) * 2008-07-28 2011-12-08 コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ Euv放射又は軟x線を生成する方法及び装置
JP2020077007A (ja) * 2013-07-22 2020-05-21 ケーエルエー コーポレイション 極紫外光を発生させる装置
US20210310717A1 (en) * 2020-04-07 2021-10-07 Kla Corporation Self-Aligning Vacuum Feed-Through for Liquid Nitrogen

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102023113B (zh) * 2009-09-22 2012-10-31 中国科学院理化技术研究所 一种用于冲击压缩实验的液氦温度低温靶

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004037364A (ja) * 2002-07-05 2004-02-05 Kansai Tlo Kk 極短波長の光を発生させるターゲット、そのターゲットを用いた光発生方法及びそのための装置
US7478473B2 (en) 2002-09-30 2009-01-20 Renesas Technology Corp. Method of manufacturing an IC card
JP2010539637A (ja) * 2007-09-07 2010-12-16 コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ ガス放電光源用の電極デバイス、及びこの電極デバイスをもつガス放電光源を作動させる方法
JP2011529619A (ja) * 2008-07-28 2011-12-08 コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ Euv放射又は軟x線を生成する方法及び装置
JP2020077007A (ja) * 2013-07-22 2020-05-21 ケーエルエー コーポレイション 極紫外光を発生させる装置
JP7022773B2 (ja) 2013-07-22 2022-02-18 ケーエルエー コーポレイション 極紫外光を発生させる装置
US20210310717A1 (en) * 2020-04-07 2021-10-07 Kla Corporation Self-Aligning Vacuum Feed-Through for Liquid Nitrogen
US11879683B2 (en) * 2020-04-07 2024-01-23 Kla Corporation Self-aligning vacuum feed-through for liquid nitrogen

Also Published As

Publication number Publication date
JP4068283B2 (ja) 2008-03-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6647088B1 (en) Production of a dense mist of micrometric droplets in particular for extreme UV lithography
US9686846B2 (en) Extreme UV radiation light source device
US6760406B2 (en) Method and apparatus for generating X-ray or EUV radiation
JP4555679B2 (ja) X線または極紫外線を生じさせる方法およびそれを利用する方法
US6862339B2 (en) EUV, XUV, and X-ray wavelength sources created from laser plasma produced from liquid metal solutions, and nano-size particles in solutions
US5459771A (en) Water laser plasma x-ray point source and apparatus
JP4328784B2 (ja) 極紫外線を発生するための装置および方法
JP5073146B2 (ja) X線発生方法および装置
US6711233B2 (en) Method and apparatus for generating X-ray or EUV radiation
US5577091A (en) Water laser plasma x-ray point sources
US6320937B1 (en) Method and apparatus for continuously generating laser plasma X-rays by the use of a cryogenic target
US20070158594A1 (en) Extreme uv radiation source device
JP2020198306A (ja) 光維持プラズマ形成によって広帯域光を生成する光学システム
Mizoguchi et al. First generation laser-produced plasma source system for HVM EUV lithography
JP2614457B2 (ja) レーザープラズマx線発生装置及びx線射出口開閉機構
JP2010103499A (ja) 極端紫外光源装置および極端紫外光生成方法
TW200808134A (en) Light source device for producing extreme ultraviolet radiation and method of generating extreme ultraviolet radiation
JP4068283B2 (ja) レーザプラズマx線発生装置
JP4406730B2 (ja) 極端紫外光源及び極端紫外光源用ターゲット
WO2001097575A1 (en) Extreme-uv electrical discharge source
JPS6318320B2 (ja)
EP1332649B1 (en) Method and apparatus for generating x-ray or euv radiation
JP2001068296A (ja) レーザー励起x線発生装置及び方法
JP3817634B2 (ja) 極短波長の光を発生させるターゲット、そのターゲットを製造する方法、そのターゲットを用いた光発生方法及びそのための装置
Hoffman et al. High brightness laser/plasma source for high throughput submicron x‐ray lithography

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050323

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050520

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060111

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060313

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20060320

A912 Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20060526

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080110

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110118

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110118

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110118

Year of fee payment: 3

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110118

Year of fee payment: 3

R370 Written measure of declining of transfer procedure

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R370

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120118

Year of fee payment: 4

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120118

Year of fee payment: 4

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130118

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140118

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees