JP2001015061A - 飛行時間型質量分析装置及び飛行時間型質量分析方法 - Google Patents

飛行時間型質量分析装置及び飛行時間型質量分析方法

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JP2001015061A
JP2001015061A JP2000071925A JP2000071925A JP2001015061A JP 2001015061 A JP2001015061 A JP 2001015061A JP 2000071925 A JP2000071925 A JP 2000071925A JP 2000071925 A JP2000071925 A JP 2000071925A JP 2001015061 A JP2001015061 A JP 2001015061A
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    • H01J49/00Particle spectrometers or separator tubes
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    • HELECTRICITY
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  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Electron Tubes For Measurement (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】強力なイオンパルスがMCPに入射して、MC
Pが飽和し、その不感時間に伴うマススペクトルの欠落
とMCP自身の短寿命化とを引き起こしかねない測定条
件に遭遇しても、それらの不都合を回避することのでき
るTOFMSを提供する。 【解決手段】リフレクター型TOFMS分光部の空間収
束点に設けられた中間イオン検出器を用いて、外部イオ
ン源から飛来するイオンパルスの電流値とイオンパルス
飛行開始直後からの経過時間とを測定し、測定された情
報を最終イオン検出器にフィードさせることにより、イ
オンパルスが最終イオン検出器に到達する前に最終イオ
ン検出器のゲインを制御し、最終イオン検出器の飽和を
回避させるように構成した。本発明は、パルスイオン化
方式を用いたTOFMSや静電セクター型のTOFMS
に対しても適用可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、飛行時間型質量分
析装置(TOFMS;Time of Flight Mass Spectromet
er)に関し、特に、イオン検出器の飽和を回避すること
のできるTOFMSに関する。
【0002】
【従来の技術】垂直加速型飛行時間型質量分析装置(O
A−TOFMS;Orthogonal Acceleration Time of Fl
ight Mass Spectrometer)は、連続的にイオンを生成す
るイオン源からのイオンビームをイオン溜に導入し、該
イオンビームの導入方向と交差する方向にパルス的にイ
オン溜中のイオンを加速し、イオンを加速した直後から
加速されたイオンパルスが最終イオン検出器で検出され
るまでの飛行時間を計測して質量分析を行なう装置であ
る。
【0003】図1は、リフレクター型のOA−TOFM
Sの構成を模式的に表わしたものである。図中1は、連
続的に正イオンを生成する電子衝撃(EI)、化学イオ
ン化(CI)、高速原子衝撃(FAB)、エレクトロス
プレイ(ESI)、大気圧化学イオン源(APIC)、
誘導結合プラズマ(ICP)などの外部イオン源であ
る。
【0004】外部イオン源1から正の加速電位V1で出
射されたイオンビームは、正の電位VFが印加された収
束レンズ2でZ方向に収束されて、y0の有効長を持っ
たイオン溜3に導入される。イオン溜3には、Push-out
プレート4が備え付けられている。また、イオン溜3の
Push-outプレート4に対向する位置には、接地電位のイ
オン引き出しグリッド5及び負の電位の出口グリッド6
が設けられていて、イオンビームの導入方向(Y方向)
に対して交差する方向(Z方向)に、イオンを押し出す
ための電界が形成されるようになっている。
【0005】Push-outプレート4に正電圧2VSから成
るPush-outパルス7を印加すると、Push-outプレート
4、イオン引き出しグリッド5、及び出口グリッド6の
間、すなわち2段加速部と呼ばれる領域8に瞬時に電界
勾配が形成される。その結果、イオン溜3のイオンは一
斉にZ方向に加速されてイオンパルスとして排出され、
対向する位置に設けられたミラー部9で反射された後、
マイクロ・チャンネル・プレート(MCP)などで構成
された最終イオン検出器10に向けて飛行する。
【0006】尚、厳密に言えば、イオンはイオン溜3に
導入されたときのY方向の速度を持っているため、Push
-outプレート4、イオン引き出しグリッド5、及び、出
口グリッド6の間、すなわち2段加速部8に発生した電
界によってZ方向の力を受けても、飛行方向はZ方向か
らわずかにY方向にずれたものとなる。
【0007】上記加速を受ける際、イオンにはPush-out
プレート4と出口グリッド6の間の電位差に対応する一
定のエネルギーが等しく与えられるため、加速が終了し
た時には、質量の小さなイオンほど速度が大きく、質量
の大きなイオンほど速度が小さい。このような速度差が
生まれる結果、分光部電源11によって負の電位V2
設定されたリフレクターTOF分光部12をイオンが飛
行する間に、イオンの質量分散が行なわれて、質量に応
じた複数のイオンパルスに展開され、軽いイオンから順
番に最終イオン検出器10に到達し、マススペクトルが
測定される。
【0008】このような構成において、最終イオン検出
器に使用されるMCPは、直径10〜25μm、長さ
0.24〜1.0mmの非常に細い導電性の硝子キャピラ
リーが数百万本束ねられたものであり、その1本1本が
2次電子増倍管として機能する。MCPでの2次電子の
走行距離は1.0mm以下と短いために、パルス入力の
荷電粒子パルスに対しては1ナノ秒(ns)の高速応答
が可能である。それに対して、2次電子の走行距離が数
cm程度の光電子増倍管(フォト・マルチ・プライヤ
ー)や2次電子増倍管(SEM管)を用いると、5ns
前後の応答時間を必要とする。
【0009】TOFMSの質量分解能Rは、一般に
(1)式で与えられる。
【0010】 R = M/ΔM = tTOF/2・Δt・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1) ここで、Mはダルトン、ΔMは質量差、tTOFはイオン
+の飛行時間、Δtはイオンパルス時間幅である。イ
オンパルス幅Δtは、計測する場所に依存し、最終イオ
ン検出器での幅が狭ければ狭いほど、質量分解能Rを高
くすることができる。従って、入射イオンパルスの時間
幅と、最終イオン検出器内における2次電子変換増幅後
の出力信号幅は、同一であることが理想である。しか
し、実際には、最終イオン検出器自身での時間の広がり
は必ず生じ、(1)式の分母のΔtに加算され、分母が
大きくなる。
【0011】通常、高分解能TOFMSでは、最終イオ
ン検出器の入射時点では、Δtは5ns前後である。フ
ォトマルチプライヤーやSEM管を用いたときの時間の
広がりは前述の通り5ns前後なので、高分解能TOF
MSの質量分解能Rには重大な影響を及ぼす。例えば、
最終イオン検出器に入射した時のΔt=5nsが、最終
イオン検出器からの出力時にはΔt≒5+5=10ns
に広がり、TOFMSの質量分解能Rが1/2に低下す
る。このため、特に高分解能TOFMS用最終イオン検
出器には、1ns以下の応答の要求を持つMCPが多用
される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
構成において、MCPを使用した場合の問題点は、その
入出力リニアリティーの範囲が原理上制限されることで
ある。MCPのリニアリティーはMCPが固有に持つス
トリップ電流値で決まり、SEM管の5桁に比べて、M
CPの入出力リニアリティーは3桁と狭い。このストリ
ップ電流はMCPでの発生2次電子の電荷を中和する機
能も果たし、MCPの飽和はMCPの平均出力電流がス
トリップ電流の5〜6%で始まることが知られている。
【0013】当然ながら、MCPゲインを高く設定して
いる場合、MCPの2次電子飽和は生じやすい。この飽
和がいったん生じると、このストリップ電流による中和
に要する時間はマイクロ秒(μs)オーダーとなり、2
次電子の発生量が増大すればするほど長くかかる。この
中和に要する期間においては、MCP自身は不感時間
(Dead time)状態になり、この期間に入射したイオン
のピーク(強度)の出力はゼロとなって、マススペクト
ル上からこれらのイオンのスペクトルの欠落が生じると
いう問題を生じる。更に、度重なるMCPの飽和はMC
P自身の劣化を早め、寿命を短くする。
【0014】ここで、一例として、1μsの不感時間が
生じると、どれくらいの質量範囲のイオンのスペクトル
が欠落するかを考えてみる。質量Mダルトンの1価のイ
オンがVボルトで加速され、自由空間の長さLcmを飛
行する場合の飛行時間(tTO F)は、近似的に下記の
(2)式で与えられる。
【0015】 tTOF ≒ 0.72・L√(M/V)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2) ここで、Lは飛行距離(cm)、Mはイオンの質量(Da
lton)、Vはイオンの加速電圧(ボルト)である。
【0016】例えば、1価のイオンをV=3000ボル
トで加速し、飛行距離をL=100cmとすると、M=
99と100ダルトンのイオンの飛行時間はtTOF≒1
3.08μsと13.14μsで、1ダルトンの飛行時間
差は約60nsである。この質領域では、1μsが約1
6.7ダルトンの質量範囲に相当する。また、同様に、
M=299と300ダルトンのイオンの飛行時間はt
TOF≒22.73μsと22.77μsで、1ダルトンの
時間差は約40nsである。この質領域では、1μsが
約25ダルトンの質量範囲に相当する。従って、MCP
の飽和によるマイクロ秒オーダーの不感時間は、かなり
広い質量範囲のピークの欠落をマススペクトル上に生じ
るという問題があった。
【0017】本発明の目的は、上述した点に鑑み、大強
度のイオンパルスがMCPに入射して、MCPが飽和
し、その不感時間に伴うマススペクトルの欠落とMCP
自身の短寿命化とを引き起こしかねない測定条件に遭遇
しても、それらの不都合を回避することのできるTOF
MSを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明にかかるTOFMSは、イオンパルスが出射
されるイオン源部と、該イオン源部を出射したイオンパ
ルスが飛行する飛行時間型分光部と、所定距離を飛行し
飛行速度に応じて複数のイオンパルスに展開されてイオ
ンが入射する最終イオン検出器と、各展開イオンパルス
についてイオン源部から出射されてから最終イオン検出
器に到達するまでの時間を計測する飛行時間計測部と、
前記飛行時間型分光部に設けられ、展開されたイオンパ
ルスが最終イオン検出器に到達する前に、該イオンパル
スの電流値を検出する中間イオン検出器と、該中間イオ
ン検出器へ到達した展開イオンパルスのイオン源出射後
の経過時間を測定する測定手段と、測定された展開イオ
ンパルス出射後の経過時間に基づいて、各展開イオンパ
ルスが最終イオン検出器に到達する時間を求める予測手
段と、中間イオン検出器により検出された各展開イオン
パルスの電流値と各展開イオンパルスの最終イオン検出
器への予測到達時間とに基づいて、最終イオン検出器の
ゲインを各展開イオンパルスの到達に合わせて制御し、
各展開イオンパルスによる最終イオン検出器の飽和を回
避する飽和回避手段とを備えたことを特徴としている。
【0019】また、前記中間イオン検出器は、飛行時間
型分光部におけるイオンの空間収束点に設けられている
ことを特徴としている。
【0020】また、前記飽和回避手段は、イオンパルス
の電流値に応じて、最終イオン検出器のゲインを複数段
階で制御することを特徴としている。
【0021】また、最終イオン検出器で検出された各イ
オンパルスの検出信号を、検出時のゲインに関する情報
と対応づけて記憶する記憶手段を備えたことを特徴とし
ている。
【0022】また、前記最終イオン検出器の前段で、か
つ、前記中間イオン検出器の後段に、ミラー部を備えた
ことを特徴としている。
【0023】また、前記イオン源部は、連続的にイオン
を出射する外部イオン源と、該外部イオン源から出射さ
れたイオンビームが導入されるイオン溜と、パルス電圧
の印加によって、該イオン溜からイオンビームの導入方
向と交差する方向にイオンビームをパルス的に加速する
イオン加速部とから成る垂直加速型のイオン源部である
ことを特徴としている。
【0024】また、前記外部イオン源は、電子衝撃イオ
ン源(EI)、化学イオン化イオン源(CI)、高速原
子衝撃イオン源(FAB)、エレクトロスプレイイオン
源(ESI)、大気圧化学イオン源(APCI)、また
は誘導結合プラズマイオン源(ICP)のうちのいずれ
かであることを特徴としている。
【0025】また、前記最終イオン検出器は、マイクロ
・チャンネル・プレート(MCP)、またはマイクロ・
スフェア・プレート(MSP)であることを特徴として
いる。
【0026】また、イオンパルスが出射されるイオン源
部と、該イオン源部を出射したイオンパルスが飛行する
飛行時間型分光部と、所定距離を飛行したイオンが入射
する最終イオン検出器とを用いる飛行時間型質量分析方
法であって、前記飛行時間型分光部において、イオン源
部から出射されたイオンパルスが最終イオン検出器に到
達する前に、該イオンパルスの電流値とイオンパルス出
射後の経過時間とを併せて測定し、測定されたイオンパ
ルス出射後の経過時間と測定されたイオンパルスの電流
値とに基づいて、最終イオン検出器のゲインをイオンパ
ルスの到達に合わせて制御することにより、イオンパル
スによる最終イオン検出器の飽和を回避させるようにし
たことを特徴としている。
【0027】また、イオンパルスの電流値とイオンパル
ス出射後の経過時間とを併せて測定するために、飛行時
間型分光部におけるイオンの空間収束点に中間イオン検
出器を設けて用いることを特徴としている。
【0028】また、最終イオン検出器の飽和を回避させ
るために、イオンパルスの電流値に応じて、最終イオン
検出器のゲインを複数段階で制御することを特徴として
いる。
【0029】また、最終イオン検出器で検出された各イ
オンパルスの検出信号を、検出時のゲインに関する情報
と対応づけて記憶する記憶手段を備えたことを特徴とし
ている。
【0030】また、前記最終イオン検出器の前段で、か
つ、前記中間イオン検出器の後段に、ミラー部を備えた
ことを特徴としている。
【0031】また、前記イオン源部は、連続的にイオン
を出射する外部イオン源と、該外部イオン源から出射さ
れたイオンビームが導入されるイオン溜と、パルス電圧
の印加によって、該イオン溜からイオンビームの導入方
向と交差する方向にイオンビームをパルス的に加速する
イオン加速部とから成る垂直加速型のイオン源部である
ことを特徴としている。
【0032】また、前記外部イオン源は、電子衝撃イオ
ン源(EI)、化学イオン化イオン源(CI)、高速原
子衝撃イオン源(FAB)、エレクトロスプレイイオン
源(ESI)、大気圧化学イオン源(APCI)、また
は誘導結合プラズマイオン源(ICP)のうちのいずれ
かであることを特徴としている。
【0033】また、前記最終イオン検出器は、マイクロ
・チャンネル・プレート(MCP)、またはマイクロ・
スフェア・プレート(MSP)であることを特徴として
いる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
実施の形態を説明する。図2は、本発明にかかるリフレ
クター型OA−TOFMSの一実施例を表わしたもので
ある。図中1は、連続的に正イオンを生成する電子衝撃
(EI)、化学イオン化(CI)、高速原子衝撃(FA
B)、エレクトロスプレイ(ESI)、誘導結合プラズ
マ(ICP)などの外部イオン源である。
【0035】外部イオン源1から正の加速電位V1で出
射されたイオンビームは、正の電位VFが印加された収
束レンズ2でZ方向に収束されて、y0の有効長を持っ
たイオン溜3に導入される。イオン溜3には、Push-out
プレート4が備え付けられている。また、イオン溜3の
Push-outプレート4に対向する位置には、接地電位のイ
オン引き出しグリッド5及び負の電位の出口グリッド6
が設けられていて、イオンビームの導入方向(Y方向)
に対して交差する方向(Z方向)に、イオンを押し出す
ための電界が形成されるようになっている。
【0036】Push-outプレート4に正電圧2VSから成
るPush-outパルス7を印加すると、Push-outプレート
4、イオン引き出しグリッド5、及び出口グリッド6の
間、すなわち2段加速部と呼ばれる領域8に瞬時に電界
勾配が形成される。その結果、イオン溜3のイオンは一
斉にZ方向に加速されてイオンパルスとして排出され、
対向する位置に設けられたミラー部9で反射された後、
MCP(マイクロチャンネルプレート)などで構成され
た最終イオン検出器10に向けて飛行する。
【0037】尚、厳密に言えば、イオンはイオン溜3に
導入されたときのY方向の速度を持っているため、Push
-outプレート4、イオン引き出しグリッド5、及び、出
口グリッド6の間、すなわち2段加速部8に発生した電
界によってZ方向の力を受けても、飛行方向はZ方向か
らわずかにY方向にずれたものとなる。
【0038】上記加速を受ける際、イオンにはPush-out
プレート4と出口グリッド6の間の電位差に対応する一
定のエネルギーが等しく与えられるため、加速が終了し
た時には、質量の小さなイオンほど速度が大きく、質量
の大きなイオンほど速度が小さい。このような速度差が
生まれる結果、分光部電源11によって負の電位V2
設定されたリフレクターTOF分光部12をイオンが飛
行する間に、イオンの質量分散が行なわれて、質量に応
じた複数のイオンパルスに展開され、軽いイオンから順
番に最終イオン検出器10に到達し、マススペクトルが
測定される。
【0039】本発明の特徴は、イオン溜3からミラー部
9に向かうイオンパルスの飛跡の途中に存在するイオン
パルスの空間収束点13において、個々のイオンパルス
が時間収束するのを利用して、ここに中間イオン検出器
14を設けたこと、及び、該中間イオン検出器14で測
定された個々のイオンパルスの電流値に基づいて、最終
イオン検出器10のゲインを最適に制御する最終イオン
検出器ゲイン制御回路30を設けたこと、の2点であ
る。
【0040】この中間イオン検出器14の中心部は、矩
形状にカットされていて、空間収束点13に到達した個
々のイオンパルスの大部分のイオンは、この中間イオン
検出器14を通過して、リフレクターTOF分光部12
を無事飛行することができる。すなわち、空間収束点1
3に到達した個々のイオンパルスのごく一部のイオンが
この中間イオン検出器14に入射して検出される。。
【0041】イオンの空間収束点13は、リフレクター
TOF分光部12の対物点に一致させてある。同一質量
で運動エネルギーの異なるイオンは、空間収束点13を
通過後、再び時間分散するが、ミラー部9で反射され、
最終イオン検出器10上で再び時間収束する。この時間
収束したイオンパルスをマススペクトルとして測定す
る。最終イオン検出器10には、通常、2枚のMCPを
重ねたタンデム型MCPが使用される。
【0042】また、イオン溜3の突き当たり部に設けら
れたイオン検出器15は、外部イオン源1でイオン化さ
れてイオン溜3に導入されたイオンの総量をモニターす
るためのイオン検出器である。
【0043】ここで、2段加速部8における第1加速部
(Push-outプレート4とイオン引き出しグリッド5の
間)の距離、第2加速部(イオン引き出しグリッド5と
出口グリッド6の間)の距離、及び2段加速部の終端で
ある出口グリッド6から最終イオン検出器10までの距
離を、それぞれ2S0、D、LXと置くと、2S0の中心
0から最終イオン検出器10までのイオンの飛行時間
TOFは、以下のように計算される。
【0044】すなわち、外部イオン源1からイオン溜3
内をY方向に飛行しているイオンのZ方向の運動エネル
ギーを初期エネルギーUi=mvi 2/2とし、このイオ
ンにイオン押し出しパルス電圧2VSを与えたときの2
段加速部の第1加速部の電位、及び第2加速部の電位を
それぞれEs、及びEdとする。
【0045】すると、2段加速部通過後のイオンの全運
動エネルギーUは、(3)式で与えられる。
【0046】 U = Ui+e・S0・Es+e・D・Ed・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3) 2段加速部における第1加速部の電場Es、及び第2加
速部の電場Edを出たときのイオンの速度をそれぞれ
s、及びvdとすると、vsとvdは(4)式、及び
(5)式のように表わされる。
【0047】 vs = √(2/m)・√(Ui+e・S0・Es)・・・・・・・・・・・・・(4) vd = √(2/m)・√U・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(5) また、加速場Es及びEdを飛行するイオンの飛行時間t
s及びtdは、(6)式及び(7)式で与えられる。
【0048】 ts = m(vs±vi)/e・Es = √(2m)・{√(Ui+e・S0・Es)±√Ui}/e・Es ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(6) td = m(vd−vs)/e・Ed = √(2m)・{√U−√(Ui+e・S0・Es)}/e・Ed ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(7) 次に、イオンが2段加速部8で加速された後の行程は、
以下のように解析される。まず、出口グリッド6と空間
収束点13との間の自由空間距離をL0、空間収束点1
3からリフレクターTOF分光部12を介して最終イオ
ン検出器10に至るまでの飛行時間、及びそのときの計
算上の飛行距離をそれぞれtLx、及びL xとすると、飛
行時間tLxは(8)式で与えられる。
【0049】 tLx = √(2m)・Lx/2√U = √(m/2)・Lx/√(Ui+e・S0・Es+e・D・Ed) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(8) 従って、イオンの全飛行時間tTOFは、イオンが2段加
速部8を飛行している時の飛行時間を表わした(6)式
及び(7)式に、(8)式を加算した(9)式で表わさ
れる。
【0050】 tTOF = ts+td+tLx・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(9) (6)、(7)、及び(8)式は、いずれも飛行イオン
の質量mの平方根√mに比例するので、(9)式は、装
置定数Kxでまとめられて、(10)式で与えられる。
【0051】 tTOF = Kx・√(m/2U)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(10) ここで、空間収束点13に中間イオン検出器14を置い
た場合、Push-outプレート4とイオン引き出しグリッド
5との中間点S0から空間収束点13までのイオンの飛
行時間tF1は、(8)式の自由空間距離Lxを出口グリ
ッド6から空間収束点13までの距離L0で置換して整
理した(11)式により算出できる。
【0052】 tF1 = ts+td+tL0 = K0・√(m/2U)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(11) ここで、tL0は出口グリッド6から空間収束点13まで
のイオンの飛行時間、また、K0は装置定数である。
【0053】(10)式と(11)式から共通項の√
(m/2U)を消去すれば、(12)式が得られる。
【0054】 tTOF = tF1・(Kx/K0)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(12) 以上の結果に基づき、先ずこの空間収束点13に置かれ
た中間イオン検出器14で、飛行してきた個々のイオン
パルスの強度をモニターする。次に、図3に示すような
パルス発生回路と、個々のイオンパルスの到達に伴うパ
ルス発生の時間tF1とに基づいて、中間イオン検出器1
4に到達したイオンの質量mを(11)式で算出する。
次に(10)式を用いて個々のイオンパルスの最終イオ
ン検出器10への到達時間tTOFを計算・予測する。最
後に、個々のイオンパルスが最終イオン検出器10のM
CPに到達する前に、MCPが飽和しないように、MC
Pゲインを設定変更する。
【0055】(10)式と(11)式では、イオンの質
量m以外は既知の装置定数であり、√mさえ迅速に算出
できれば、個々のイオンパルスが最終イオン検出器10
に到達する前に、MCPゲインを高速に設定し直すこと
は可能である。√mの値の計算は、有効数字5桁までで
打ち切り、4桁の精度で√mの値を算出すれば、今回の
目的には充分な精度である。
【0056】また、さらに簡便には、(12)式に基づ
く方法が考えられる。それは、先ず空間収束点13に置
かれた中間イオン検出器14で、飛行してきた個々のイ
オンパルスの強度をモニターする。次に、図3に示すよ
うなパルス発生回路と、個々のイオンパルスの到達に伴
うパルス発生の時間tF1と、(12)式とに基づいて、
個々のイオンパルスの最終イオン検出器10への到達時
間tTOFを計算・予測する。最後に、個々のイオンパル
スが最終イオン検出器10のMCPに到達する前に、M
CPが飽和しないように、MCPゲインを設定変更す
る。(12)式では、時間tF1以外は既知の装置定数で
あり、tF1さえ迅速に測定できれば、イオンパルスが最
終イオン検出器10に到達する前に、MCPゲインを高
速に設定し直すことは可能である。
【0057】図3に、MCPゲイン制御回路のブロック
ダイヤグラムを示す。2段加速部8のPush-outプレート
4にPush-outパルス7(2VS)を印加すると、イオン
溜内のイオンは、Push-outプレート4とイオン引き出し
グリッド5との中間点S0を始点にして出発し、2段加
速部8を飛行した後、空間収束点13に時間収束したイ
オンパルスとなって到達する。そのイオンパルスの一部
のイオンを空間収束点13に設けた中間イオン検出器1
4で検出し、パルス回路16のアンプ17で増幅する。
このアンプ17の出力が、ディスクリミネーター18に
設定されているスレッショルド・レベル以上の値になる
と、ディスクリミネーター18は、反転回路19を介し
て、MCP電源制御回路20に対してパルスを発生す
る。
【0058】最終イオン検出器ゲイン制御回路30は、
Push-outパルス7の発生から、反転回路19でのパルス
発生までの時間tF1を計測する。そして、該最終イオン
検出器ゲイン制御回路30は、その計測結果に基づい
て、イオンパルス群P1、P2、及び、P3となって飛来
したイオンの質量の平方根√mの値をMCP電源制御回
路20で計算し、√mの値を(10)式と(11)式に
代入するか、または、実測された時間tF1の値を直接
(12)式に代入するかして、個々のイオンパルスが最
終イオン検出器10に到達する予測到達時間tTOFを求
める。
【0059】この予測時間に合わせて、MCP電源制御
回路20がMCP電圧用電源21に対してパルス列22
を発生させ、個々のイオンパルスが最終イオン検出器1
0(すなわち、MCP)に到達する直前に、MCP電圧
用電源21の出力電圧を低下させてMCPゲインを下げ
る。そして、個々のイオンパルスの到達時間tTOFが経
過してから所定時間後に、MCP電圧用電源21の出力
電圧を上げて、MCPゲインを元に戻すようにする。M
CPゲイン制御回路がこのように動作することにより、
仮に強力なイオンパルスがイオン源部から飛来しても、
最終イオン検出器10の飽和を未然に防止することがで
きる。MCP電圧用電源21の出力電圧VMCPの時間変
化は23のようになる。
【0060】図4に、各部の動作タイミングを示すタイ
ムチャートを示す。図中、はPush-outパルス(2
S)の印加時間、はイオンパルスの発生時間、は
空間収束点13に設けられた中間イオン検出器14でイ
オンパルス群P1、P2、及びP3が検出されるまでの個
々のイオンパルスの飛行時間tF1、は中間イオン検出
器14で検出されたイオンパルス群P1、P2、及びP3
の信号に基づいて、反転回路19からMCP電源制御回
路20に対して出力されるパルス列のタイミング、は
イオンパルス群P1、P2、及びP3が最終イオン検出器
10に到達するまでの時間tTOF、はMCP電源制御
回路20からMCP電圧用電源21に対して出力され
る、MCP電圧用電源21を制御するためのパルス列2
2のタイミング、はMCP電圧用電源21からの出力
電圧VMCPに基づいて設定される、MCPゲインの時間
変化を示している。
【0061】そして、上記パルス群、P1、P2、及びP
3のうち、P1とP2は最終イオン検出器10のMCPを
飽和させるか否かの分岐点であるスレッショルド・レベ
ルを超えた強力なイオンパルス、一方、P3はスレッシ
ョルド・レベルを超えない微弱なイオンパルスであると
仮定する。すると、中間イオン検出器14から出力され
るパルス信号のうち、P1とP2については、MCPを飽
和させる恐れがあるので、反転回路19からMCP電源
制御回路20に対して、MCPの飽和防止のためのパル
ス信号が出力されるが、P3については、MCPを飽和
させる恐れがないので、反転回路19からのパルス信号
の出力は行なわれない。
【0062】反転回路19からMCP電源制御回路20
を介してMCP電圧用電源21に出力されるパルス列2
2(図4のと同じ)の各パルスのDwell time(tD
は、個々のイオンパルスの飛行時間tTOFを中心に、前
後にtD/2ずつ振り分けられる。tDの時間幅は、仮に
(1)式におけるΔtの5倍程度を取っても50ns以
下である。また、MCP電圧用電源21の高速切り換え
用スイッチの応答時間を考えて、Δtの10倍の100
nsを取ったとしても、このイオンパルスの質量mが数
百ダルトン以下ならば、数ダルトンの範囲のマススペク
トルが欠落する程度、ないしは数ダルトンの範囲のマス
スペクトルが低いゲインで測定される程度の影響に収ま
る。要は、tDの時間幅は、TOFMS装置に応じた最
適値を設定すれば良い。
【0063】また、予め初期設定されたMCPゲインを
A、強力なイオンパルスの入射を予測してMCP電圧
MCPを下げたときのMCPゲインをGB(=k・GA
k≪1)とすると、GBは、イオンパルス入射後、所定
の時間tD/2後に自動的にG Aに戻される。この間のM
CPゲインの低下率k(=GB/GA)は、1/10〜1
/1000の範囲の所定の値に設定しておくと良い。
【0064】MCP検出器10から得られる各イオンパ
ルスの検出信号は、検出時のゲインがGAであるかGB
あるかを区別する信号と共に記憶される。そして、各イ
オンパルスの検出信号強度を認識する際、検出時のゲイ
ンが考慮される。
【0065】また、図3のパルス回路16を並列に複数
セット設け、それぞれのディスクリミネーター18の設
定値を異なる値に設定しておけば、ゲインの低下率kを
複数の段階に分けてステップダウンさせることも可能で
ある。その場合、ステップダウンさせた最終イオン検出
器10のゲインの低下率kを予め設けられた記憶手段に
記憶させておき、記憶されたkの値に基づいて、実測さ
れたマススペクトルの信号強度を補正させるように構成
すれば、最終イオン検出器10のゲインが変化したこと
に由来するマススペクトルの信号強度変化を自動的に補
正することができ、定量性の高い測定結果を得ることが
できる。また、逆に、イオン源部から2段加速部8を経
由して飛来するイオンパルスの強度が非常に弱い場合に
は、ゲインの低下率kの値を1未満の値に設定すること
により、最終イオン検出器10のゲインを逆にステップ
アップさせ、最終イオン検出器10が飽和しない範囲で
イオンの検出感度を上げるように制御することも可能で
ある。
【0066】また、中間イオン検出器14と最終イオン
検出器10に入射するイオン量の比率は、必ずしも固定
的なものではなく、TOFMS装置に応じて、1:10
〜1:100の間の適当な比率に設定すれば良い。
【0067】また、イオンパルスが最終イオン検出器で
あるMCPに入射する時間の前後に、高速かつタイミン
グ良くMCPゲインを低下及び復帰させるためには、高
速高圧の電気回路を要するが、例えば、水銀リレーやQ
スイッチの使用によらず、高耐圧用高速MOSFETス
イッチ等の半導体素子を用いて5nsから10nsの速
度で切り換えさせることにより、MCP電圧を500〜
1kVの幅で高速に変化させることも可能である。
【0068】尚、本実施例では、リフレクター型のOA
−TOFMSを例にとって説明したが、本発明は、リフ
レクター型のOA−TOFMSに限定されるものではな
い。2段加速、または多段加速による空間収束点をTO
FMS分光部の対物点に一致させたタイプに限定される
が、パルスイオン化方式を用いたTOFMSに対しても
適用可能である。また、TOF分光部は、静電セクター
電場型の装置に対しても適用可能である。
【0069】また、最終イオン検出器としては、MCP
以外に、MCPよりも安価で、しかもMCPのような口
径の細い硝子キャピラリーを束ねて用いることなく、多
数の球状粒子の隙間で電子を乱反射させることによって
2次電子を増幅させることができるマイクロ・スフェア
・プレート(MSP)等を用いることもできる。
【0070】
【発明の効果】以上述べたごとく、本発明のOA−TO
FMSによれば、TOFMS分光部の空間収束点に設け
られた中間イオン検出器を用いて、外部イオン源から飛
来するイオンパルスの電流値とイオンパルス飛行開始直
後からの経過時間とを測定し、測定された情報を最終イ
オン検出器にフィードさせることにより、イオンパルス
が最終イオン検出器に到達する前に最終イオン検出器の
ゲインを制御し、最終イオン検出器の飽和を回避させる
ように構成したので、最終イオン検出器の飽和に伴うDe
ad timeに由来するマススペクトルの部分的な欠落を防
止することができると共に、最終イオン検出器自身の短
寿命化を避けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のリフレクター型垂直加速型飛行時間型質
量分析装置を示す図である。
【図2】本発明にかかるリフレクター型垂直加速型飛行
時間型質量分析装置の一実施例を示す図である。
【図3】本発明にかかるリフレクター型垂直加速型飛行
時間型質量分析装置におけるMCPゲイン制御回路のブ
ロックダイヤグラムの一例を示す図である。
【図4】本発明にかかるリフレクター型垂直加速型飛行
時間型質量分析装置におけるMCPゲイン制御回路各部
のタイミングチャートの一例を示す図である。
【符号の説明】 1・・・外部イオン源、2・・・収束レンズ、3・・・イオン
溜、4・・・Push-outプレート、5・・・イオン引き出しグリ
ッド、6・・・出口グリッド、7・・・Push-outパルス、8・・
・2段加速部、9・・・ミラー部、10・・・最終イオン検出
器、11・・・分光部電源、12・・・リフレクターTOF分
光部、13・・・空間収束点、14・・・中間イオン検出器、
15・・・イオン検出器、16・・・パルス回路、17・・・ア
ンプ、18・・・ディスクリミネーター、19・・・反転回
路、20・・・MCP電源制御回路、21・・・MCP電圧用
電源、22・・・パルス列、23・・・MCP電圧、30・・・
最終イオン検出器ゲイン制御回路。

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イオンパルスが出射されるイオン源部と、
    該イオン源部を出射したイオンパルスが飛行する飛行時
    間型分光部と、所定距離を飛行し飛行速度に応じて複数
    のイオンパルスに展開されてイオンが入射する最終イオ
    ン検出器と、各展開イオンパルスについてイオン源部か
    ら出射されてから最終イオン検出器に到達するまでの時
    間を計測する飛行時間計測部と、前記飛行時間型分光部
    に設けられ、展開されたイオンパルスが最終イオン検出
    器に到達する前に、該イオンパルスの電流値を検出する
    中間イオン検出器と、該中間イオン検出器へ到達した展
    開イオンパルスのイオン源出射後の経過時間を測定する
    測定手段と、測定された展開イオンパルス出射後の経過
    時間に基づいて、各展開イオンパルスが最終イオン検出
    器に到達する時間を求める予測手段と、中間イオン検出
    器により検出された各展開イオンパルスの電流値と各展
    開イオンパルスの最終イオン検出器への予測到達時間と
    に基づいて、最終イオン検出器のゲインを各展開イオン
    パルスの到達に合わせて制御し、各展開イオンパルスに
    よる最終イオン検出器の飽和を回避する飽和回避手段と
    を備えたことを特徴とする飛行時間型質量分析装置。
  2. 【請求項2】前記中間イオン検出器は、飛行時間型分光
    部におけるイオンの空間収束点に設けられていることを
    特徴とする請求項1記載の飛行時間型質量分析装置。
  3. 【請求項3】前記飽和回避手段は、イオンパルスの電流
    値に応じて、最終イオン検出器のゲインを複数段階で制
    御することを特徴とする請求項1、または2記載の飛行
    時間型質量分析装置。
  4. 【請求項4】最終イオン検出器で検出された各イオンパ
    ルスの検出信号を、検出時のゲインに関する情報と対応
    づけて記憶する記憶手段を備えたことを特徴とする請求
    項3記載の飛行時間型質量分析装置。
  5. 【請求項5】前記最終イオン検出器の前段で、かつ、前
    記中間イオン検出器の後段に、ミラー部を備えたことを
    特徴とする請求項1、2、3、または4記載の飛行時間
    型質量分析装置。
  6. 【請求項6】前記イオン源部は、連続的にイオンを出射
    する外部イオン源と、該外部イオン源から出射されたイ
    オンビームが導入されるイオン溜と、パルス電圧の印加
    によって、該イオン溜からイオンビームの導入方向と交
    差する方向にイオンビームをパルス的に加速するイオン
    加速部とから成る垂直加速型のイオン源部であることを
    特徴とする請求項1、2、3、4、または5記載の飛行
    時間型質量分析装置。
  7. 【請求項7】前記外部イオン源は、電子衝撃イオン源
    (EI)、化学イオン化イオン源(CI)、高速原子衝
    撃イオン源(FAB)、エレクトロスプレイイオン源
    (ESI)、大気圧化学イオン源(APCI)、または
    誘導結合プラズマイオン源(ICP)のうちのいずれか
    であることを特徴とする請求項6記載の飛行時間型質量
    分析装置。
  8. 【請求項8】前記最終イオン検出器は、マイクロ・チャ
    ンネル・プレート(MCP)、またはマイクロ・スフェ
    ア・プレート(MSP)であることを特徴とする請求項
    1、2、3、4、5、6、または7記載の飛行時間型質
    量分析装置。
  9. 【請求項9】イオンパルスが出射されるイオン源部と、
    該イオン源部を出射したイオンパルスが飛行する飛行時
    間型分光部と、所定距離を飛行したイオンが入射する最
    終イオン検出器とを用いる飛行時間型質量分析方法であ
    って、前記飛行時間型分光部において、イオン源部から
    出射されたイオンパルスが最終イオン検出器に到達する
    前に、該イオンパルスの電流値とイオンパルス出射後の
    経過時間とを併せて測定し、測定されたイオンパルス出
    射後の経過時間と測定されたイオンパルスの電流値とに
    基づいて、最終イオン検出器のゲインをイオンパルスの
    到達に合わせて制御することにより、イオンパルスによ
    る最終イオン検出器の飽和を回避させるようにしたこと
    を特徴とする飛行時間型質量分析方法。
  10. 【請求項10】イオンパルスの電流値とイオンパルス出
    射後の経過時間とを併せて測定するために、飛行時間型
    分光部におけるイオンの空間収束点に中間イオン検出器
    を設けて用いることを特徴とする請求項9記載の飛行時
    間型質量分析方法。
  11. 【請求項11】最終イオン検出器の飽和を回避させるた
    めに、イオンパルスの電流値に応じて、最終イオン検出
    器のゲインを複数段階で制御することを特徴とする請求
    項9、または10記載の飛行時間型質量分析方法。
  12. 【請求項12】最終イオン検出器で検出された各イオン
    パルスの検出信号を、検出時のゲインに関する情報と対
    応づけて記憶する記憶手段を備えたことを特徴とする請
    求項11記載の飛行時間型質量分析方法。
  13. 【請求項13】前記最終イオン検出器の前段で、かつ、
    前記中間イオン検出器の後段に、ミラー部を備えたこと
    を特徴とする請求項9、10、11、または12記載の
    飛行時間型質量分析方法。
  14. 【請求項14】前記イオン源部は、連続的にイオンを出
    射する外部イオン源と、該外部イオン源から出射された
    イオンビームが導入されるイオン溜と、パルス電圧の印
    加によって、該イオン溜からイオンビームの導入方向と
    交差する方向にイオンビームをパルス的に加速するイオ
    ン加速部とから成る垂直加速型のイオン源部であること
    を特徴とする請求項9、10、11、12、または13
    記載の飛行時間型質量分析方法。
  15. 【請求項15】前記外部イオン源は、電子衝撃イオン源
    (EI)、化学イオン化イオン源(CI)、高速原子衝
    撃イオン源(FAB)、エレクトロスプレイイオン源
    (ESI)、大気圧化学イオン源(APCI)、または
    誘導結合プラズマイオン源(ICP)のうちのいずれか
    であることを特徴とする請求項14記載の飛行時間型質
    量分析方法。
  16. 【請求項16】前記最終イオン検出器は、マイクロ・チ
    ャンネル・プレート(MCP)、またはマイクロ・スフ
    ェア・プレート(MSP)であることを特徴とする請求
    項9、10、11、12、13、14、または15記載
    の飛行時間型質量分析方法。
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