JP2001013148A - 微生物数測定装置および微生物数測定方法 - Google Patents

微生物数測定装置および微生物数測定方法

Info

Publication number
JP2001013148A
JP2001013148A JP11188749A JP18874999A JP2001013148A JP 2001013148 A JP2001013148 A JP 2001013148A JP 11188749 A JP11188749 A JP 11188749A JP 18874999 A JP18874999 A JP 18874999A JP 2001013148 A JP2001013148 A JP 2001013148A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
microorganisms
antigen
antibody
concentration
cell
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP11188749A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3780755B2 (ja
Inventor
Ryuichi Yatsunami
竜一 八浪
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP18874999A priority Critical patent/JP3780755B2/ja
Publication of JP2001013148A publication Critical patent/JP2001013148A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3780755B2 publication Critical patent/JP3780755B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡易な構造でありながら、さまざまな試料中
の特定の微生物の数を高感度に自動で測定できる微生物
数測定装置を提供することを目的とする。 【解決手段】 所定の抗原決定基をもつ微生物を含有し
た試料液と抗原決定基と抗原抗体反応し且つ標識物質を
結合した抗体を含有する検液とを混合して抗原抗体反応
を生じさせるための反応セル3と、試料液を反応セルに
導入する試料液導入部4と、検液を反応セル3に導入す
る検液導入部5と、反応セル3内と連通路6で連通さ
れ、抗原抗体反応した微生物を誘電泳動させて電界集中
部に集めるための泳動電極が設けられた測定セル1と、
泳動電極に交流電圧を印加する泳動電源回路17と、電
界集中部に集められた抗原抗体反応した微生物に結合さ
れた標識物質の濃度を測定する測定部18と、標識物質
の濃度から微生物数または微生物濃度を算出する演算部
19とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶液中の微生物数
または微生物濃度を測定するための微生物数測定装置お
よび微生物数測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、溶液中の微生物数を測定する方法
としては、特開昭57−50652号公報に記載された
もの等、多数の技術が知られている。
【0003】しかし、従来の技術による微生物数の測定
方法は、測定感度は比較的高いが微生物分野及び生化学
分野に関する専門知識が必要であったり、また専用で高
価な大型の測定装置が必要となり、さらには専任者によ
る作業が必要となる等、とても一般的かつ簡易に微生物
数を測定することができるものではなかった。
【0004】そこで、物理的手段のみを使い、薬剤を一
切用いないで、試料系に組み込んでの自動測定が可能で
簡易な小型の微生物数測定装置が例えば特開昭59−9
1900号公報において提案されたが、微生物数が10
の8乗cells/ml(1ml中に微生物数が1億
個)以上にならないと検出できないため、その応用範囲
に著しい制限が加えられていた。また、この小型で簡易
な微生物数測定装置では、試料の中の微生物の数を知る
ことはできるが、どのような種類の微生物がいるかと
か、ある特定の微生物がどの程度の数存在しているかと
いった微生物の種類に関する情報は何も得ることができ
なかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、上記従来
の微生物数測定方法では、専用の測定装置,専門知識を
持った専任者による操作が必要であるという問題点を有
していた。また、上記従来の小型簡易の微生物数測定装
置では、専任者を必要とせず自動測定が可能になるが、
微生物数が非常に多くないと測定が難しく、低感度の測
定性能しか得られず、微生物数を知り得たとしても、特
定の種類の微生物の数についてはわからないという問題
点を有していた。
【0006】この微生物数測定装置および微生物数測定
方法では、簡易な構造でありながら、さまざまな試料中
の特定の微生物の数を高感度に自動で測定できることが
要求されている。
【0007】本発明は、簡易な構造でありながら、さま
ざまな試料中の特定の微生物の数を高感度に自動で測定
できる微生物数測定装置、および、さまざまな試料中の
特定の微生物の数を高感度に自動で測定するための微生
物数測定方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の微生物数測定装置は、所定の抗原決定基をも
つ微生物を含有した試料液と抗原決定基と抗原抗体反応
し且つ標識物質を結合した抗体を含有する検液とを混合
して抗原抗体反応を生じさせるための反応セルと、試料
液を反応セルに導入する試料液導入部と、検液を反応セ
ルに導入する検液導入部と、反応セル内と連通路で連通
され、抗原抗体反応した微生物を誘電泳動させて電界集
中部に集めるための泳動電極が設けられた測定セルと、
泳動電極に交流電圧を印加する泳動電源回路と、電界集
中部に集められた抗原抗体反応した微生物に結合された
標識物質の濃度を測定する測定部と、前記標識物質の濃
度から微生物数または微生物濃度を算出する演算部とを
有する構成を備えている。
【0009】これにより、簡易な構造でありながら、さ
まざまな試料中の特定の微生物の数を高感度に自動で測
定できる微生物数測定装置が得られる。
【0010】上記課題を解決するために本発明の微生物
数測定方法は、抗原決定基を備えた微生物含有の試料液
と抗原決定基と抗原抗体反応し且つ標識物質を結合した
抗体を含有した検液とを混合して抗原抗体反応させる抗
原抗体反応ステップと、抗原抗体反応した微生物を誘電
泳動によって電界集中部に集め、集まった微生物の標識
物質の濃度を測定する濃度測定ステップと、測定した標
識物質の濃度に基づいて微生物数または微生物濃度を算
出する算出ステップとを有する構成を備えている。
【0011】これにより、さまざまな試料中の特定の微
生物の数を高感度に自動で測定するための微生物数測定
方法が得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載された微
生物数測定装置は、所定の抗原決定基をもつ微生物を含
有した試料液と抗原決定基と抗原抗体反応し且つ標識物
質を結合した抗体を含有する検液とを混合して抗原抗体
反応を生じさせるための反応セルと、試料液を反応セル
に導入する試料液導入部と、検液を反応セルに導入する
検液導入部と、反応セル内と連通路で連通され、抗原抗
体反応した微生物を誘電泳動させて電界集中部に集める
ための泳動電極が設けられた測定セルと、泳動電極に交
流電圧を印加する泳動電源回路と、電界集中部に集めら
れた抗原抗体反応した微生物に結合された標識物質の濃
度を測定する測定部と、標識物質の濃度から微生物数ま
たは微生物濃度を算出する演算部とを有することとした
ものである。
【0013】この構成により、抗原抗体反応によって特
定の微生物に特異的に標識を行い、誘電泳動によって試
料中の微生物を電極付近に集中した後、標識した特定微
生物の数だけを測定することができるので、簡易な構造
でありながら試料中の特定種類の微生物の数を高感度に
測定することができるという作用を有する。
【0014】請求項2に記載された微生物数測定装置
は、所定の抗原決定基をもつ微生物を含有した試料液と
抗原決定基と抗原抗体反応し且つ標識物質を結合した抗
体を含有する検液とを混合して抗原抗体反応を生じさせ
るための反応セルと、試料液を反応セルに導入する試料
液導入部と、検液を反応セルに導入する検液導入部と、
反応セル内と連通路で連通され、抗原抗体反応した微生
物を誘電泳動させて電界集中部に集めるための泳動電極
が設けられた測定セルと、測定セルにイオン透過性隔膜
を介して連接され、内部に透析電極を備えた透析セル
と、測定セル内の微生物を誘電泳動するための泳動電源
回路と、透析電極に電圧を印加して測定セル内のイオン
濃度を低下させる透析電源回路と、電界集中部に集めら
れた抗原抗体反応した微生物に結合された標識物質の濃
度を測定する測定部と、標識物質の濃度から微生物数ま
たは微生物濃度を算出する演算部とを有することとした
ものである。
【0015】この構成により、抗原抗体反応時に導入さ
れたイオンを透析によって迅速に測定セルから除くこと
ができ、測定セル中の試料の電気伝導率を低下させるこ
とができるので、イオン濃度が高い抗原抗体反応後の試
料中の微生物であっても、効率よく誘電泳動を行うこと
ができ、高精度で高感度な測定ができるという作用を有
する。
【0016】請求項3に記載された微生物数測定装置
は、所定の抗原決定基をもつ微生物を含有した試料液を
導入する試料液導入部と、抗原決定基と抗原抗体反応し
且つ標識物質を結合した抗体を含有する検液を導入する
検液導入部と、微生物を誘電泳動させて電界集中部に集
めるための泳動電極が設けられた測定セルと、測定セル
にイオン透過性隔膜を介して連接され、測定セル内のイ
オン濃度を低下するための透析セルと、泳動電極に交流
電圧を印加する泳動電源回路と、測定セル内のイオン濃
度を低下させる透析電源回路と、電界集中部に集められ
た抗原抗体反応した微生物に結合された標識物質の濃度
を測定する測定部と、標識物質の濃度から微生物数また
は微生物濃度を算出する演算部とを有することとしたも
のである。
【0017】この構成により、簡易な構造で効率良く抗
原抗体反応と透析を行うことができ、高感度な微生物数
の測定ができるという作用を有する。
【0018】請求項4に記載された微生物数測定装置
は、請求項1ないし3に記載された微生物数測定装置に
おいて、標識物質は蛍光物質であることとしたものであ
る。
【0019】この構成により、測定に感度の高い蛍光法
を用いた微生物数測定ができるといいう作用を有する。
【0020】請求項5に記載された微生物数測定装置
は、請求項1ないし3に記載された微生物数測定装置に
おいて、標識物質は色素であることとしたものである。
【0021】この構成により、測定のための光学系を簡
易なものにすることができるという作用を有する。
【0022】請求項6に記載された微生物数測定装置
は、請求項1ないし3に記載された微生物数測定装置に
おいて、標識物質は酵素であることとしたものである。
【0023】この構成により、測定対象の微生物数が少
なくても酵素反応による増幅効果によって高感度に検出
を行うことができるという作用を有する。
【0024】請求項7に記載された微生物数測定装置
は、請求項1ないし3に記載された微生物数測定装置に
おいて、標識物質は導電性の物質であることとしたもの
である。
【0025】この構成により、光学系を用いない電気的
な測定系のみで簡易な測定装置とすることができるとい
う作用を有する。
【0026】請求項8に記載された微生物数測定装置
は、請求項1ないし3に記載された微生物数測定装置に
おいて、測定部は、電界集中部に光を出射するための光
ファイバと電界集中部からの光を入射するための光ファ
イバとを含む光学系を備えることとしたものである。
【0027】この構成により、簡易な光学系で高感度の
微生物数測定装置を構成することができるという作用を
有する。
【0028】請求項9に記載された微生物数測定方法
は、抗原決定基を備えた微生物含有の試料液と抗原決定
基と抗原抗体反応し且つ標識物質を結合した抗体を含有
した検液とを混合して抗原抗体反応させる抗原抗体反応
ステップと、抗原抗体反応した微生物を誘電泳動によっ
て電界集中部に集め、集まった微生物の標識物質の濃度
を測定する濃度測定ステップと、測定した標識物質の濃
度に基づいて微生物数または微生物濃度を算出する算出
ステップとを有することとしたものである。
【0029】この構成により、抗原抗体反応によって特
定の微生物に特異的に標識を行い、誘電泳動によって試
料中の微生物を電極付近に集中した後、標識した特定微
生物の数だけを測定することができるので、簡易な構造
でありながら試料中の特定種類の微生物の数を高感度に
測定することができるという作用を有する。
【0030】請求項10に記載された微生物数測定方法
は、抗原決定基を備えた微生物含有の試料液と抗原決定
基と抗原抗体反応し且つ標識物質を結合した抗体を含有
した検液を混合して抗原抗体反応させる抗原抗体反応ス
テップと、抗原抗体反応した微生物を含む試料液の導電
率を透析によって低下せしめる透析ステップと、試料液
中の微生物を誘電泳動によって電界集中部に集め、集ま
った微生物の標識物質の濃度を測定する濃度測定ステッ
プと、測定した標識物質の濃度に基づいて微生物数また
は微生物濃度を算出する算出ステップとを有することと
したものである。
【0031】この構成により、抗原抗体反応時に導入さ
れたイオンを透析によって迅速に測定セルから除くこと
ができ、測定セル中の試料の電気伝導率を低下させるこ
とができるので、イオン濃度が高い抗原抗体反応後の試
料中の微生物であっても、効率よく誘電泳動を行うこと
ができ、高精度で高感度な測定ができるという作用を有
する。
【0032】以下、本発明の実施の形態について、図1
〜図8を用いて説明する。
【0033】(実施の形態1)図1は本発明の実施の形
態1による微生物数測定装置を示す構成図であり、図2
(a)、(b)は図1の微生物数測定装置の電極を示す
構成図である。
【0034】図1において、1は測定セル、2は電極基
板、3は反応セル、4は試料系への配管(試料液導入
部)、5は検液導入口(検液導入部)、6は連通路、7
は排出口、8、9、10、11は電磁弁、12は光源側
光ファイバ、13は検出側光ファイバ、14は光源、1
5は検出器、16は制御部、17は泳動電源回路、18
は測定部、19は演算部、20は表示部である。また、
図2(a)において、31は薄膜電極(泳動電極)、3
2は薄膜電極のギャップ、40は光源側光ファイバから
放出された光束の広がる発光範囲、41は検出側光ファ
イバの受光範囲、図2(b)において、33は薄膜電極
間に誘電泳動によって移動した微生物である。
【0035】このように構成された微生物数測定装置に
ついて、その動作等を図3、図4を用いて説明する。図
3は図1の微生物数測定装置の動作を示すフローチャー
トであり、図4は蛍光強度の時間変化を示すグラフであ
る。
【0036】まず、本実施の形態において検出対象とし
ている微生物について説明する。本実施の形態で言う微
生物とは、一般に細菌、真菌、放線菌、リケッチア、マ
イコプラズマ、ウィルスとして分類されているいわゆる
微生物学の対象となっている生物のほかに、原生動物や
原虫のうちの小型のもの、生物体の幼生、生物体の断
片、分離または培養した動植物細胞、精子、花粉、卵、
血球、核酸、蛋白質等も含む広い意味での生体または生
体由来の微粒子である。また本実施の形態では、測定対
象として液体中の微生物を想定している。
【0037】図1、図2に示すように測定セル1内には
誘電泳動によって試料液体中の微生物33を所定位置に
移動させるために、電極基板2上の2つの極からなる薄
膜電極31が微小なギャップ32を介して対向して設け
られている。本実施の形態において薄膜電極31は2つ
の極からなり、図2に示すように、くさび型の電極が対
向して配置されている。図2の電極基板2上の薄膜電極
31が本実施の形態における泳動電極である。また、ギ
ャップ32に近接して光源側光ファイバ12と検出側光
ファイバ13の端面が配置されている。
【0038】泳動電極としての薄膜電極31はスパッタ
リングや蒸着、メッキ等の方法によって電極基板2上に
密着して形成された導電体からなり、2つの極からなる
薄膜電極31の間に構成されるギャップ32付近の電界
がもっとも強くなるため、ギャップ32が本実施の形態
における電界集中部になる。詳細は後述するが、微生物
はもっとも電界が集中するこのギャップ32付近に向か
って泳動される。
【0039】薄膜電極31は、極端に抵抗が高くない限
りどのような材料から構成されてもよいが、液体中での
使用、特に本実施の形態のように水中で使用されること
を想定すると、なるべくイオン化傾向が低い金属が望ま
しい。誘電泳動時には薄膜電極31間に強い電界が生じ
るため、印加する周波数と水中の電解質濃度によっては
電気分解が生じることがある。電気分解が生じるとイオ
ン化傾向の大きな金属から構成された電極では、電極の
溶解が生じ、電極形状の崩れや極端な場合には電極の破
断等が生じてしまうものである。このようなことに鑑
み、本実施の形態では電極の主材料として白金を使用し
ている。
【0040】測定セル1は、蛍光強度測定時の外部から
の迷光の影響を避けるために、全面が遮光されている。
もちろん、これは、蛍光強度検出に迷光の影響がなけれ
ばよいのであって、系全体を遮光したり、測定セル1の
うち測定に関わる一部分を遮光したりしてもよいことは
言うまでもない。
【0041】光源側光ファイバ12は石英ガラスを主材
料とし、コア径50ミクロン、クラッド径125ミクロ
ンで、コアの屈折率に分布を持ち、樹脂製の保護外皮す
なわち絶縁性でかつ疎水性のフッソ系薄膜等の有機高分
子コーティングが施されている。光源側光ファイバ12
は、一方を光源14側に他方をギャップ32に近接して
配置され、両端面は光学的に平坦に研磨されている。ま
た図示しないが、光源14と光源側光ファイバ12との
間にはレンズ等の光学素子が配置され、光源14の光を
光源側光ファイバ12に効率よく入射させている。ま
た、光源14と光源側光ファイバ12との間にはやはり
図示しないが、光源が放出する光の長波長側すなわち測
定対象となる蛍光物質の蛍光スペクトルを含む領域の波
長をカットするフィルタが挿入されている。本実施の形
態では光源14として重水素ランプを用いている。
【0042】光源側光ファイバ12のギャップ32側の
端面からは、光源側光ファイバ12内を伝わってくる光
源14の光が、図2の発光範囲40に示すような範囲に
広がって出射する。本実施の形態においては、この光束
の広がる発光範囲40と少なくとも一方の薄膜電極31
の先端とが互いに重なるように配置されている。言い換
えるなら、薄膜電極31の端部が液中に入射された光の
広がる光学的開口面上またはこの開口面内に配置される
ことになる。なお、本実施の形態では光源側光ファイバ
12として石英ガラスを主成分とする光ファイバを用い
たが、有機高分子を主成分とする光ファイバを用いても
よい。有機高分子を主成分とする光ファイバは、石英ガ
ラスを主成分とする光ファイバと比較して、光の伝播時
の減衰が大きく、また透過できる波長範囲も限られてい
ることが知られているが、本実施の形態のように伝播距
離が通信用途等と比較して極端に短い場合には、大きな
問題は生じない。但し、紫外域の光を用いる場合には、
有機高分子による光の吸収が著しく大きくなるため、石
英ガラスを主成分とする光ファイバを使うことが望まし
い。
【0043】受光側光ファイバ13は光源側光ファイバ
12と同様に、石英ガラスを主材料とし、コア径50ミ
クロン、クラッド径125ミクロンで、コアの屈折率に
分布を持ち、樹脂製の保護外皮すなわち絶縁性でかつ疎
水性のフッソ系薄膜等の有機高分子コーティングが施さ
れている。受光側光ファイバ13は、一方を検出器15
側に他方をギャップ32に近接して配置され、両端面は
光学的に平坦に研磨されている。また図示しないが、検
出器15と受光側光ファイバ13との間にもレンズ等の
光学素子が配置され、受光側光ファイバ13を伝って来
た光が効率よく検出器15で検出される。さらに、受光
側光ファイバ13と検出器15との間には、受光側光フ
ァイバ13を透過してきた光のうち対象となる蛍光物質
の発光スペクトルよりも短波長側をカットするフィルタ
が挿入されている。光源側に挿入されたフィルタが透過
する光の波長域と、受光側に挿入されたフィルタが透過
する光の波長域とは、互いに重なり合わないようになっ
ている。これにより、ギャップ32付近で電極や泳動さ
れた微生物33によって散乱される光源光が直接検出器
15に入ることはなく、蛍光物質からの蛍光のみを高精
度で検出することができる。
【0044】また、受光側光ファイバ13のギャップ3
2側の端面では、図2の受光範囲41の内側から受光側
光ファイバ13に入射した光だけが検出器15で検出さ
れる。受光範囲41以外の範囲から受光側光ファイバ1
3に入射した光は受光側光ファイバ13内の光の伝播条
件を満たすことができず、検出器15に至る以前に減衰
して消滅してしまうものである。受光側光ファイバ13
についても有機高分子を主成分とする光ファイバを用い
ることができる。
【0045】本実施の形態においては、光源側光ファイ
バ12と受光側光ファイバ13とは同一平面内で互いに
135度の角度をもって配置される。この135度とい
うのは望ましい角度の1つであって、後述するような微
生物に付着した抗体上の標識物質からの蛍光を測定する
のが容易な角度であれば他の角度でもよく、例えば90
度付近から170度付近までの角度を採用することがで
きる。さらに、受光範囲41と光束の広がる発光範囲4
0とが、少なくとも一方の薄膜電極31の先端部分と互
いに重なるように配置される。言い換えると、少なくと
も一方の薄膜電極31の端部が光源側と受光側の光学的
開口面上またはこの開口面内に配置されることになる。
【0046】このように光ファイバを含む光学系を構成
することにより、ギャップ32付近の蛍光の強度を効率
よく測定することができる。
【0047】反応セル3は、本実施の形態における試料
液導入部としての試料系配管4と検液導入部としての検
液導入口5とを備え、連通路6を介して測定セル1と連
通している。反応セル3内では、試料系配管4から導入
される微生物33を含んだ試料溶液と、検液導入口5か
ら導入される後述する組成の検液としての抗原抗体反応
試薬とが混合され、抗原抗体反応が進行する。そして、
反応終了後の溶液は連通路6を通って測定セル1内に移
送される。
【0048】試料系配管4、検液導入口5、連通路6、
排出口7はそれぞれ制御部16によって制御される電磁
弁8〜11を備えており、後述する一連の手順に従っ
て、電磁弁を解放して各溶液を導入したり、遮断して反
応セル3または測定セル1を系から独立させたりといっ
た動作を行うことができるようになっている。
【0049】泳動電源回路17は、誘電泳動を起こすた
めの交流電流を電極基板2の薄膜電極31間に供給する
ものである。
【0050】制御部16は、図示しないマイクロプロセ
ッサや、予め設定されたプログラムを保存するためのメ
モリ、タイマ等から構成され、あらかじめ設定されたプ
ログラムにしたがって電磁弁8〜11の開閉を行い、泳
動電源回路17を制御して電極基板2へ特定の周波数と
電圧をもった交流電圧を印加する。さらに制御部16
は、測定部18と演算部19と信号の送受信を行ない適
宜制御を行うことで、測定動作全般の流れを管理する。
【0051】次に測定部18は、図示しないマイクロプ
ロセッサや、光源14を点灯させるためのリレー、検出
器15からの信号を検出する検出回路、制御部16との
間の信号を伝える伝送路等から構成され、詳細は後述す
るが、微生物に付着した抗体に結合された標識物質から
の蛍光強度を測定する。
【0052】また演算部19は、図示しないマイクロプ
ロセッサ、メモリ等から構成され、詳細は後述するが、
測定部18にて測定された結果から、電極基板2の薄膜
電極31間のインピーダンスを解析し、電極基板2の薄
膜電極31間の静電容量を演算する。そして、必要に応
じて、演算結果をメモリに格納したり、予め保存されて
いるデータを読み出して比較を行なう等して、最終的に
試料系配管4に含まれている微生物数を算出し表示部2
0に表示を行うなどする。
【0053】なお、測定部18と演算部19のマイクロ
プロセッサは制御部16のマイクロプロセッサと共用す
ることができる。また、測定部18と演算部19は制御
部16によって制御されており、予め設定されたプログ
ラムに従って一連の測定動作を連携して円滑に進めるこ
とができる。
【0054】また表示部20は、算出された微生物数を
試料1mLあたりの微生物数としてデジタル表示する。
表示部20の表示が本実施の形態における微生物数測定
装置の最終出力となる。本実施の形態では、使用者は測
定された微生物数を試料1mLあたりの微生物数として
直接知ることができるが、表示方法としては、たとえば
多いまたは少ないなど、目的に応じてほかの表示方法で
あっても良い。さらに、試料中の微生物数を調べて殺菌
装置を制御するとか、温度などの培養条件を制御するな
ど、使用者が直接微生物数を知る必要が無く、本微生物
数測定装置を含む任意の装置の制御を行うために微生物
数が明らかであれば良いような場合には、そのまま制御
を行い表示部は特に設ける必要がないのは言うまでもな
い。
【0055】さて、ここで、本実施の形態の主要な内容
である抗原抗体反応と蛍光検出と誘電泳動とについて、
その基本的な内容を説明する。
【0056】まず、抗原抗体反応について簡単に説明す
る。抗原抗体反応は或る特定の抗原に対して特異的に結
合する抗体が存在し、この両者の間で行われる化学反応
のことである。抗原抗体反応は生体内における免疫応答
機構の研究から明らかになったものであり、生体内で
は、たとえば体外から進入した望ましくないウィルスや
細菌と自らを構成する細胞との違いを見いだし、ウィル
スや細菌のみを攻撃するための目印を付ける役目を担っ
ている。
【0057】この特異性を利用して特定物質の検出を行
うことを目的とした生化学の一分野が免疫測定技術分野
であり、免疫クロマト法や、ELISA法は生体関連物
質の検出法として広く利用されている。抗原抗体反応の
特異的な結合作用について、レジオネラ・ニューモフィ
ラ・セログループ1(以下、「レジオネラ菌」という)
を例にして説明するが、以下の説明はレジオネラ菌に限
ったことではなく、微生物全般に共通して言えることで
あることはいうまでもない。
【0058】さて、レジオネラ菌の表面は細胞壁で覆わ
れているが、全面が細胞壁で覆われているわけではな
く、栄養分摂取等の外界との物質授受に作用するタンパ
ク質が細胞壁表面に分散するように露出している。これ
らのタンパク質は、レジオネラ菌以外の細菌やその他の
微生物、動物細胞に至るまで、レジオネラ菌と共通なも
のもあるが、レジオネラ菌だけに特異的なものもある。
この特異的なタンパク質が抗原として利用できる。この
ようなタンパク質の種類はただ一つに限られることはな
く、レジオネラ菌に特異的なタンパク質、すなわち抗原
になりうるタンパク質は複数存在する。
【0059】また、抗原となりうるタンパク質の露出場
所は、レジオネラ菌表面に多数存在し、それぞれが抗体
と結合することができる。従って、抗原抗体反応が進行
するとレジオネラ菌の表面には多量の抗体が結合するこ
とになる。一方、抗体も抗原と同様タンパク質様の物質
から構成され、異なるタンパク質に対して結合する抗体
であってもその基本骨格は同一である。抗体は、その構
造の一部に特定タンパクとうまく嵌合する構造を2カ所
持っている。抗体は、免疫応答機構に従い、生体細胞中
で合成される。そして、合成の際に目標となる抗原に対
して特異的に結合するような構造に作られる。このよう
にして得られた抗体と抗原を生体内に近い特定条件の水
溶液中で混合すると、両者の結合反応が進行する。詳細
は後述するが、本実施の形態では、ドイツPROGEN
社製のマウスIg−G由来のモノクローナル抗体を用い
てレジオネラ菌の検出を行っている。
【0060】抗原と抗体の結合はいわゆる鍵と鍵穴の関
係であると言える。抗原となるタンパク質は、炭素、酸
素、水素、窒素、硫黄等からなるアミノ酸が多数結合し
た巨大な高分子であり、アミノ酸の配列の仕方によって
特徴的な三次元的な高次構造をなす。この高次構造がタ
ンパク質の機能と密接に関係しており、機能が異なるタ
ンパクでは必ず一部の構造が互いに異なっている。抗体
は特定のタンパク質の特徴的な高次構造とうまく嵌合す
るような構造を持つように作られ、官能基の結合位置が
わずかに異なるだけの非常に類似したタンパク質が同時
に存在していても高い特異性を持って特定タンパクだけ
と結合を生じる。
【0061】さらに、前述したように抗体は特定タンパ
ク質の高次構造と嵌合するような構造を2つずつ持って
いる。このような抗体の構造により、抗原−抗体−抗原
−抗体・・・という連鎖を生成することもできる。この
連鎖が生じると、抗原と抗体は凝集塊をつくり、目視で
も確認できるような沈殿を生じる。しかしながら、レジ
オネラ菌の場合には、抗体に比較してレジオネラ菌が大
きいため、巨視的な凝集塊を生じることは少ない。レジ
オネラ菌と抗体の反応の場合には、抗体は2カ所ある結
合構造のうち片方をレジオネラ菌表面の抗原と結合さ
せ、もう一方は何にも結合しないままにしているか、あ
るいは両方を一個のレジオネラ菌上の2カ所の抗原に結
合しているかといった場合が多い。抗体の産生は近年に
おいては、マウスやラットを使うほかに、人工的に培養
した動物細胞を利用して行うことができ、抗原を入手す
ることができれば、それに対して特異的に結合する抗体
を産生することは工業的規模で可能となっている。
【0062】以上、簡単に抗原抗体反応について説明し
たが、さらに詳細な説明は「免疫学イラストレイテッ
ド」(多田富雄監訳、南江堂)等を参照願いたい。
【0063】さて、前述したようにこのような抗原と抗
体の特異的な結合は様々な物質の中から特定の物質を検
出するための手段として応用されている。抗原の検出を
目的として抗原抗体反応を行う際には、先に説明したよ
うな反応に伴う沈殿の生成を観察したり、固定化した抗
体に抗原を反応させ、さらに、詳しくは後述するが検出
時の指標となる何らかの標識物質を結合させた抗体を添
加し、反応前後の標識物質の量を測定するなどして、抗
原の有無や定量を行っている。次に、本実施の形態で用
いている蛍光検出法について説明する。
【0064】本実施の形態では、レジオネラ菌の表面に
特異的に存在する抗原に対し特異的に結合する抗体に蛍
光標識を行い、蛍光によるレジオネラ菌の検出を行う例
を説明している。蛍光標識とは、レジオネラ菌と抗原抗
体反応を行う前に、抗体に対して蛍光物質を化学的に結
合させておくということである。蛍光標識を行った後
に、紫外光もしくは可視光の短波長側の光を励起光とし
て抗体に照射することによって、蛍光物質が励起光より
長波長側の蛍光を放射する。この蛍光の強度を観察する
ことにより抗体の存在量を知ることができる。以下、蛍
光物質を化学的に結合した抗体を「標識抗体」という。
なお、標識抗体の標識物質は蛍光物質に限らないのは当
然のことである。例えば、導電物質で修飾する場合は、
金コロイドなどを用いればよい。導電物質を標識物質と
して用いた場合、次のような特徴がある。実施の形態1
においては光ファイバを含む光学系を用いて蛍光修飾さ
れた抗体から放射される蛍光強度の時間変化を観察して
検出対象微生物であるレジオネラ菌の数を算出している
が、たとえば金コロイドなどの導電性物質を標識に用い
た場合、複雑な光学系を用いなくとも、誘電泳動時に電
極間に流れる電流の変化量を観察することによって、レ
ジオネラ菌の数を測定することができる。それは、特異
的な抗原抗体反応によって反応終了後にはレジオネラ菌
のみに金コロイドによる修飾が行われ、金コロイドに修
飾されたレジオネラ菌が電極間に誘電泳動によって移動
することにより、電極間の電気伝導率は、レジオネラ菌
以外の微生物が泳動されてきたときに比べて、極端に大
きな電流値の変化を示すことになるからである。
【0065】標識抗体を用いてレジオネラ菌と抗原抗体
反応を行うということは、レジオネラ菌表面への抗体の
結合、すなわちレジオネラ菌表面への抗体を介した蛍光
物質の結合を意味し、反応が進行するとレジオネラ菌表
面は多量の蛍光物質によって覆われることになる。通
常、標識抗体は未知量の抗原に対して十分に過剰な量が
添加される。本実施の形態においても、この通例に従っ
ている。十分な量の標識抗体の添加によって、抗原とな
るレジオネラ菌の数に関わらず、十分な量の標識抗体を
レジオネラ菌に結合させることができる。
【0066】さて、このような過程を経ることにより、
レジオネラ菌の表面にだけ特異的に抗体を集め、その結
果レジオネラ菌を蛍光物質で修飾することができるが、
この状態で試料全体に励起光を照射しても、レジオネラ
菌の数を調べることは難しい。それは、抗原抗体反応の
有無に関わらず、試料内の標識抗体の数は変化しないた
め、試料から放射される蛍光の強度に変化がないからで
ある。標識された抗体(標識抗体)は抗原抗体反応によ
って試料中に均一に分散していた状態から、レジオネラ
菌表面に移動したにすぎず、絶対数は変化していない
し、前述したように標識抗体は抗原であるレジオネラ菌
に対して十分に過剰な量が添加されているために、未結
合状態の標識抗体も試料中に多量に存在している。
【0067】たとえば、励起光を照射した状態で蛍光の
発光状態を画像として捕らえ処理を施すことによって、
レジオネラ菌を特に強く発光している輝点として捕らえ
ることは可能であり、この輝点を計数してレジオネラ菌
数(他の微生物に対しても応用できることは言うまでも
ない)を計測する装置も考案されているが、そのような
装置は、高価な光学系と画像処理のための高速なマイク
ロプロセッサとを必要とするなど、非常に大がかりなも
のとなり、本発明の目的とする簡易なものとはとてもい
えなくなってしまうものである。
【0068】本実施の形態においては、詳細は後述する
が、蛍光標識抗体によって修飾されたレジオネラ菌を誘
電泳動を用いた微生物濃縮を用いることによって高精
度、高感度に検出している。
【0069】次に微生物の誘電泳動現象について簡単に
説明するが、必要であれば詳細な説明は文献J.the
or.Biol(1972)vol.37,1−13を
参照されたい。
【0070】電極基板2の薄膜電極31間に高周波の交
流電圧を印加すると、これによって発生する交流電界の
作用で、測定セル1内の微生物33はその誘電的な性質
によって最も電場が強くかつ不均一な部分、すなわち電
界集中部に泳動される。なお、ここで交流電圧というの
は、正弦波のほか、ほぼ一定の周期で流れの向きを変え
る電圧のことであり、かつ両方向の電流の平均値が等し
いものである。この時、微生物の誘電体微粒子としての
双極子モーメントをμとすると、微生物に働く誘電泳動
力Fと電場Eとの間には(数1)関係が成立する。
【0071】
【数1】
【0072】さらに、微生物の細胞質の比誘電率をε
2、微生物を含んでいる液体の比誘電率をε1、微生物
を球体と見なしたときの半径をa、円周率をπとする
と、誘電泳動力Fは(数2)のように書き換えることが
できる。
【0073】
【数2】
【0074】(数2)は誘電泳動による力Fが、電位勾
配、媒質の比誘電率と誘電体微粒子としての微生物の比
誘電率との差などの影響を受けることを示している。
【0075】ところで、本実施の形態では、電極基板2
のギャップ32付近の構成が電界集中部にあたり、中で
も最も電界が集中するのはギャップ32である。従っ
て、ギャップ32部分にもっとも強く微生物33が泳動
される。図2に示すギャップ32はくさび状の薄膜電極
の先端が対向している部分である。
【0076】ギャップ32付近に浮遊する微生物33
は、電極基板2の薄膜電極31間に生じるこのような電
界作用によってギャップ32に引き寄せられ、電気力線
に沿って整列する。この時、ギャップ32付近の微生物
33の移動状態は、試料液体中に存在する微生物数とギ
ャップ32の間隔とに依存するが、十分に微生物数が多
い時にはギャップ32が微生物から構成される鎖によっ
て架橋されるほどになる。この際、当初からギャップ3
2付近に浮遊していた微生物33は直ちにギャップ32
部分へ移動するし、ギャップ32から離れたところに浮
遊していた微生物33は距離に応じて所定時間経過後に
ギャップ32部に至るため、一定時間後にギャップ32
付近の所定領域に集まっている微生物33の数は測定セ
ル1内の微生物数にも比例する。これは、当然のことな
がら、試料系配管4から供給された試料溶液中に存在す
る微生物数に比例するものである。
【0077】ところで、本実施の形態におけるギャップ
32の間隔は100μmに設定されているが、ギャップ
32の間隔は測定対象となる試料溶液中の微生物の濃度
の影響を受けるため必要に応じて調節される。本実施の
形態のように標識された抗体(標識抗体)からの蛍光を
検出して微生物を測定する場合には、誘電泳動によって
移動してきた微生物33はなるべく塊を作らない方がよ
い。なぜなら、ギャップ32付近で微生物33が塊を作
ることにより検出対象の微生物33、すなわち標識され
た抗体が結合した微生物33が塊の中に埋もれてしま
い、励起光があたる可能性が低くなってしまうからであ
る。
【0078】従って、試料溶液中の総微生物濃度が大き
な場合には、ギャップ32の間隔を広くするのがよい。
ギャップ32の間隔が広ければ、試料溶液中に多数の微
生物33が存在していたとしても、電気力線に沿って整
列する十分な隙間を確保できるために塊になることがな
い。こうすることにより、試料中の複数の種類の微生物
33の中から検出対象である微生物33に結合している
抗体の標識物質を効率よく励起することができ、検出対
象の微生物が少ないときでも高感度に測定を行うことが
できる。
【0079】以上のようなことを鑑み、本実施の形態に
おいては、ギャップ32の間隔を100μmとしている
が、この値は試料溶液中の微生物量に合わせて0.2〜
300μmの範囲で適宜調節されることが望ましい。
【0080】(化1)〜(化4)は検液の組成成分を示
す。
【0081】
【化1】
【0082】
【化2】
【0083】
【化3】
【0084】
【化4】
【0085】本実施の形態では、(化1)の組成成分2
0g、(化2)の組成成分2g、(化3)の組成成分8
0g、(化4)の組成成分2gおよびFITC標識抗体
0.1gの試薬を蒸留水1リットル(L)で溶解したも
のを検液とする。
【0086】さて、以下、試料の導入から反応セル3内
での抗原抗体反応、測定セル1内への移送、測定セル1
内の微生物の濃縮、測定、洗浄にいたるまでの一連の流
れを図1〜図4を用いて説明するが、抗原抗体反応に必
要となる反応条件、測定手順を図3に記載する。そし
て、本実施の形態では複数の種類の微生物を含む試料溶
液中からレジオネラ菌を測定対象として検出を行う場合
を例にして説明する。
【0087】初期状態では、電磁弁8、電磁弁10、電
磁弁11は開放状態であり、試料系配管4から流入した
複数の微生物を含む試料液は反応セル3と測定セル1を
自由に通過している。所定のタイミングで、予めプログ
ラムによって設定された測定動作に入ると、制御部16
は、電磁弁8と電磁弁10を閉状態にし、反応セル3を
系から独立させる。本実施の形態では反応セル3内の試
料液量は900マイクロリットルである(S1)。
【0088】次いで制御部16は、電磁弁9を所定時間
解放して、反応セル3内に検液としての抗原抗体反応試
薬を100マイクロリットル導入する(S2)。本実施
の形態においては、検液には、レジオネラ菌の表面タン
パクと特異的に結合する抗体であるドイツPROGEN
社製Anti−Legionella SG1,M−o
use Ig−G,Monoclonal抗体が混入さ
れている。さらに、この抗体には蛍光標識物質としてF
ITC(フルオレッセイン イソチオシアネート)が標
識されている。そして、このとき電磁弁9を解放する時
間によって反応セル3内の試薬の濃度が抗原抗体反応に
最適となるようにあらかじめプログラムがなされてお
り、前述したように、測定するレジオネラ菌の数に比較
して十分過剰な量の標識抗体が添加される。本実施の形
態では、反応セル内の標識抗体数が10の12乗個以上
になるように検液を調製している。反応セル3内では、
検液の導入によって、試料液と検液が混ざり合い、抗原
抗体反応が始まる(S3、抗原抗体反応ステップ)。
【0089】抗原抗体反応は摂氏25度付近の常温でも
十分進行するが、より積極的に反応を進めるために摂氏
37度付近の恒温に保つことも望ましい。さてこのと
き、抗原抗体反応の特異性によって、試料中に複数の種
類の微生物が混在していても、その中にレジオネラ菌が
含まれていれば、標識抗体はレジオネラ菌表面のタンパ
ク質と特異的に結合し、レジオネラ菌表面の標識抗体の
濃度のみが非常に大きくなる。だが、レジオネラ菌が存
在しない場合には、標識抗体はレジオネラ菌以外の微生
物と特異的な結合を作ることはなく、単に微生物表面へ
の少量の物理吸着を行うのみで、大部分の標識抗体は溶
液中にとどまる。
【0090】所定時間の抗原抗体反応が終了すると、制
御部16は、電磁弁10を一時的に解放し、試料液を測
定セル1内に導入する。試料導入後は再び電磁弁10を
閉鎖して、測定セル1を系から独立させ、測定部18に
測定開始の指示を送って測定動作に入る(S4)。測定
部18は、直ちに光源14を点灯させ、検出器15から
の信号の強度、すなわちギャップ32における蛍光の強
度を測定する。光源14である重水素ランプから放出さ
れる光(以下、「励起光」という)のうち485nmよ
りも長波長側は光源14に挿入されたフィルタにて吸収
される。
【0091】光源側光ファイバ12を透過してきた励起
光はギャップ32で光束の広がる発光範囲に存在する蛍
光物質であるフルオレッセインイソチオシアネートを励
起する。フルオレッセインイソチオシアネートは励起に
よって530nm付近にピークを持つ蛍光を発する。受
光側光ファイバ13には、この蛍光と同時に、ギャップ
32付近で散乱された励起光も入射するが、本実施の形
態における検出器15内には500nmより短い波長を
透過しないフィルタが挿入されているために、検出器1
5では蛍光のみが検出されることになる。測定部18
は、得られた値を演算部19に送る。演算部19は、こ
の値を初期値としてメモリに格納し、初期値の測定が終
了したことを信号を送って制御部16に伝える(S
5)。以下、制御部16と測定回路18と演算部19と
は、必要に応じて適宜信号のやり取りを行い、予め設定
されたプログラムに従った円滑な動作を行う。
【0092】次いで制御部16は、泳動電源回路17を
制御して電極基板2の薄膜電極31間に周波数100k
Hzでピーク電圧100Vの正弦波交流電圧を印加さ
せ、誘電泳動による試料中の微生物33の濃縮を開始さ
せる。予め設定された所定時間が経過した後に送出され
る制御部16からの信号により、測定部18は再び、蛍
光強度を測定し、その値を演算部19に送る。演算部1
9は、その値をメモリに格納する。以下、予め設定され
た時間毎に、制御部16と測定部18は連携して、蛍光
強度の測定を繰り返す。演算部19は、測定された蛍光
強度をその都度メモリに格納する(S6、濃度測定ステ
ップ)。このように、誘電泳動による微生物33のギャ
ップ32付近への移動を行ないながら蛍光強度の測定を
繰り返すことによって、蛍光強度の時間変化を調べるこ
とができる。
【0093】誘電泳動のための交流電圧印加開始後予め
プログラムされた所定の回数の蛍光強度の測定を行う
と、演算部19は、メモリに格納されている複数の蛍光
強度測定結果から、その時点までの電極3間の蛍光強度
の時間変化の傾きを計算し、後述する変換式に従って試
料系の微生物数を算出する(S7、算出ステップ)。
【0094】ここで、ギャップ32付近の蛍光強度の時
間変化について図4を用いて説明する。
【0095】まず、初期状態においては、薄膜電極31
に電圧は印加されていないため、測定セル1内の試料液
は均一な状態にある。よって、ギャップ32付近の蛍光
強度は添加される標識抗体の量に応じたバックグラウン
ドの蛍光すなわち図4に初期値として示した値が観察さ
れるのみである。
【0096】前述したように、標識抗体は測定されるレ
ジオネラ菌に比較して十分過剰な量が添加されるため、
バックグラウンドの値は試料中のレジオネラ菌の数に対
して大きな変動をすることはない。また、光ファイバ1
2、13はギャップ32に近接して配置されており、ギ
ャップ32付近の蛍光強度のみを検出できるようになっ
ているので、たまたまギャップ32付近を浮遊している
標識抗体で修飾されたレジオネラ菌をバックグラウンド
として検出する可能性は低い。さらに、より正確な測定
のために、数回のバックグラウンド測定を行うことによ
って、このような確率的な影響は簡単に排除できる物で
あることは言うまでもない。
【0097】薄膜電極31に電圧が印加され誘電泳動に
よる細菌の移動が始まると、ギャップ32の近傍には試
料溶液中の微生物33が集められてくる。誘電泳動によ
る微生物33の移動の際は、微生物の表面に標識抗体が
結合しているか否かには関係がなく、試料溶液中のすべ
ての微生物33が泳動されてくる。このとき、標識抗体
は微生物に比較して非常に小さいために誘電泳動による
力も小さく、電極近傍に泳動されることもない。これは
すでに説明した(数2)からも明らかである。すなわ
ち、誘電泳動力Fは微生物を球体とみなしたときの半径
aの三乗に比例して変化する。つまり、たとえば球体と
みなしたときの見かけの半径が2倍異なる微生物に働く
力の比は、半径の比である1:2の三乗である1:8と
なり、じつに8倍もの力の差となるのである。本実施の
形態で例として説明しているレジオネラ菌と一般的な修
飾を行った抗体とを見かけの半径で比較すると1000
倍程度の差があり、誘電泳動力の差はその三乗であるか
ら、おのおのに働く誘電泳動力の差は非常に大きな物と
なる。さらに、本発明においては微生物を広く生態由来
の微粒子として定義しており、その中にはリケッチアや
ウィルス等も想定しているが、微生物としては非常に小
さなウィルスを比較に出しても、なお抗体との大きさの
差は大きく、おのおのに働く誘電泳動力の差は歴然とし
ている。
【0098】さて、誘電泳動開始後の時間経過に伴うギ
ャップ32付近の蛍光強度の変化は試料溶液中にレジオ
ネラ菌が存在する場合と存在しない場合で大きく異なっ
てくる。まず、試料溶液中にレジオネラ菌が存在しない
場合、既述したように試料溶液中のレジオネラ菌の有無
に関わらず、誘電泳動による微生物の移動は進行する。
しかしながら、ギャップ32付近での蛍光強度すなわち
抗体に結合した標識物質である蛍光物質の濃度はレジオ
ネラ菌以外の微生物の移動と何ら相関しない。なぜな
ら、抗体自身は誘電泳動によってギャップ32近傍に移
動することはなく、またレジオネラ菌以外の微生物に標
識抗体が結合することはほとんどないからである。従っ
て、この場合のギャップ32付近の蛍光強度変化はほと
んどないか、泳動されてくる微生物に物理的に吸着され
た少量の抗体に標識された蛍光物質によるわずかな変化
のみである。
【0099】一方、試料溶液中にレジオネラ菌が存在す
る場合、誘電泳動によってギャップ32近傍に微生物が
集まってくるに従いギャップ32付近の蛍光強度は著し
く増大する。それは、泳動されてくる微生物中のレジオ
ネラ菌だけが測定に先立って行われた抗原抗体反応によ
って、標識抗体による修飾を受けているからである。こ
のとき蛍光強度の変化は、泳動されてくるレジオネラ菌
の数に比例し、図4に示すように試料中のレジオネラ菌
数が多いほど蛍光強度とその時間変化は大きくなる。こ
の蛍光強度変化を演算することによって、複数の微生物
が混在する試料溶液中から、レジオネラ菌の数だけを算
出することが可能になる。
【0100】さて、蛍光強度変化と試料溶液中のレジオ
ネラ菌の数とを関連付けるためには蛍光強度とレジオネ
ラ菌数との間の変換式が必要である。この変換式はレジ
オネラ菌の数が明らかな校正用試料を、本実施の形態で
説明した微生物数測定装置の測定系を用いて予め測定
し、その時のレジオネラ菌の数と蛍光強度との間の相関
関係からばらつきを回帰分析して得られる曲線をあらわ
す関数をもちいる。この変換式を演算部19のメモリに
記憶させ、微生物数が未知の試料を測定する場合には、
所定時間内における蛍光強度変化の値を代入することに
より試料溶液中の微生物数を算出できる。
【0101】ここで、本実施の形態の例としてレジオネ
ラ菌を用いた説明を行ったが、既述したように抗原と抗
体の反応は特異的であり、抗体を産生する事は容易であ
る。よって、レジオネラ菌の代わりに、他の微生物とそ
の微生物に特異的に反応する抗体との組み合わせを用い
ることにより、本実施の形態で説明した方法で特定の微
生物の数を測定することは容易である。例えば、大腸菌
を検出したい場合には抗体として、Anti−E.co
li monoclonal antibody(CH
EMICON International In
c.)などを使えばよく、この抗体に蛍光物質や導電性
物質の標識を行った後に実施の形態1に示した方法によ
って測定を行えば、複数の微生物が混在する試料液の中
から大腸菌の数のみを測定することができる。さらに、
蛍光修飾を行った抗体を用いて測定を行う場合、それぞ
れ異なる微生物と特異的に抗原抗体反応を行うような複
数の種類の抗体を準備し、そのおのおのに互いに異なる
蛍光波長をもった蛍光色素による標識を行うことによっ
て複数の微生物を同時に測定することも可能になる。こ
の場合、励起によって放出される蛍光をプリズムや回折
格子などの分光手段を用いて分光し、互いに異なる蛍光
の波長ごとにその強度の時間変化を追跡すればよい。こ
のような方法によって、実施の形態1で説明した測定方
法を本質的に変更することなくして複数の微生物を同時
に測定することができる微生物数測定装置を構成するこ
ともできる。
【0102】試料溶液中のレジオネラ菌数を算出後、演
算部19は、測定終了の通知を制御部16に送る。これ
を受け、制御部16は、電極基板2への通電を停止する
とともに電磁弁8、10、11を開放して洗浄に入る。
ギャップ32付近に集まった微生物33は、電磁弁8、
10、11の開放により、流入する試料系配管10の液
体によって洗い流され、一連の測定動作が終了する。
【0103】このように本実施の形態では、微生物数測
定に先立って試料液中の特定の微生物を対象とした抗原
抗体反応を行うことにより、簡易な構造でありながら、
複数の微生物が混在する試料から特定の微生物の数のみ
を測定することができ、自動測定も可能で、メンテナン
スフリーの微生物数測定装置を提供することができる。
【0104】(実施の形態2)図5は本発明の実施の形
態2による微生物数測定装置を示す構成図である。本実
施の形態においても、レジオネラ菌検出を例として用い
る。また、実施の形態1の微生物数測定装置と重複する
部分があるため、実施の形態1と異なる部分について詳
細な説明を加える。図6は図5の微生物数測定装置を構
成する測定セルおよびその周辺を示す部分詳細説明図で
ある。
【0105】図5、図6において、測定セル1、電極基
板2、反応セル3、試料系への配管(試料液導入部)
3、検液導入口(検液導入部)5、連通路6、排出口
7、電磁弁8〜11、光源側光ファイバ12、検出側光
ファイバ13、光源14、検出器15、制御部16、泳
動電源回路17、測定部18、演算部19、表示部20
は図1と同様のものなので、同一符号を付し、説明は省
略する。50は透析電源回路、51は陽イオン交換膜
(陽イオン透過性隔膜)、52は第1の透析電極、5
3、55は電磁弁、54は蒸留水導入口、56は陰イオ
ン交換膜(陰イオン透過性隔膜)、57は蒸留水排出
口、58は第1の透析セル、59は第2の透析セル、6
0は蒸留水供給部、61は第2の透析電極、1Aは測定
セル1と第1、第2の透析セル58、59とから成る測
定セル部である。ここで、透析電源回路50は電気透析
を実現するものであればどのようなものでも良く、本実
施の形態では直流電源回路を用いている。透析電源回路
50は電極に電圧を印加する事ができ、制御部16によ
って制御されている。また、後述するように微生物数の
測定前に行われる試料の電気伝導率(導電率)の測定結
果に応じて任意の電圧値を第1の透析電極52を陰極と
して、第2の透析電極61を陽極として印加できるよう
になっている。
【0106】また、実施の形態2における微生物数測定
装置は試料導入部としての試料系への配管4および検液
導入部としての検液導入口5が電磁弁9、10を介して
測定セル1に直接連通している。
【0107】このように構成された微生物数測定装置に
ついて、その動作を図7、図8を用いて説明する。図7
は図5、図6の微生物数測定装置の動作を示すフローチ
ャートであり、図8(a)、(b)は誘電泳動力と周波
数の関係を表すグラフである。試料中のレジオネラ菌数
をパラメータとした蛍光強度の時間変化は、図4に示す
グラフ特性と同様であるので、詳細な説明は実施の形態
1に譲って省略する。
【0108】図7に示すように、本実施の形態では、反
応セル3での抗原抗体反応の後、測定セル1において測
定が行われるのに先立って、電気透析(S15)により
測定セル1内の試料液の導電率(電気伝導率)を低下さ
せる。このように測定に先立って電気透析を行なうこと
により、より効率的に誘電泳動を行うことができ、微生
物測定の精度を向上させることができる点が実施の形態
1と最も異なるところであるので、以下の説明ではこの
最も異なる部分を中心に説明し、実施の形態1と同様の
部分については実施の形態1に説明を譲って割愛する。
【0109】図5、図6に示すように、測定セル部1A
は、陰イオン交換膜56と陽イオン交換膜51を介して
測定セル1に連接された第1の透析セル58と第2の透
析セル59を備えており、第1の透析セル58と第2の
透析セル59にはそれぞれ、第1の透析電極52と第2
の透析電極61がもうけられている。2種類のイオン交
換膜はいずれもイオン交換能をもった厚膜であり陰イオ
ン交換膜56は陰イオンのみを、陽イオン交換膜51は
陽イオンのみをそれぞれ透過することができる。第1の
透析電極52、第2の透析電極61としては、チタンの
棒状電極に白金をコーティングしたものが用いられてい
る。さらに、第1の透析セル58、第2の透析セル59
にはそれぞれ、1カ所の蒸留水導入口54、2カ所の蒸
留水排出口57が設けられている。蒸留水導入口54は
電磁弁53、55を介して蒸留水供給部60に接続され
ている。蒸留水供給部60は、詳細は図示しないが、蒸
留水を一時的に貯留するタンクとポンプおよびそれらを
接続するチューブ類から構成され、制御部16によって
制御されている。
【0110】測定セル1内の電極基板2、光源側光ファ
イバ12、検出側光ファイバ13、薄膜電極31、ギャ
ップ32さらには上記で説明した以外の部分(発光範囲
40、受光範囲41等)については実施の形態1に同じ
であるので、説明を割愛する。
【0111】次に、なぜ測定に先立って透析を行うと測
定精度が向上するのかについて説明する。
【0112】微生物の細胞質の比誘電率をε2、微生物
を含んでいる液体の比誘電率をε1、微生物を球体と見
なしたときの半径をa、円周率をπとすると、誘電泳動
力Fは(数2)のように書き換えることができ、(数
2)は誘電泳動による力Fが電位勾配、媒質と誘電体微
粒子としての微生物との比誘電率の差などの影響を受け
ることを示していることは実施の形態1において既に説
明したとおりである。
【0113】(数2)をさらに詳細に考察すると、誘電
泳動のために印加する交流電圧によって比誘電率εの周
波数依存性の影響がでてくる、たとえばε1に対して交
流に対する応答を考慮したものをε1′とすると、ε
1′は(数3)のようにε1に虚数単位jと電気伝導率
σ1と角周波数ωとを用いた項が付加された形になる。
【0114】
【数3】
【0115】このように、(数3)は媒質の電気伝導率
の項も含むことになる。さて、この媒質の電気伝導率σ
1が誘電泳動力Fに対してどのように作用するのかを説
明する。今、媒質をイオン濃度の低い水とし、微生物と
しての一般的な比誘電率等の値を用いて誘電泳動力Fと
周波数との関係をグラフに表したのが図8(a)であ
る。ところで、媒質である水のイオン濃度を高めて電気
伝導率σ1を高くした状態で再度グラフ化を行ったのが
図8(b)である。水のイオン濃度即ち電気伝導率σ1
を大きくした以外、印加電圧等の各因子の値は図8
(a)のものと同じである。このとき、図8(b)から
明らかなように、媒質である水のイオン濃度を高めて電
気伝導率σ1を高くすると、引力を示す周波数領域は狭
くなり、また引力自体も弱くなっているのがわかる。試
料の電気伝導率σ1が大きくなって、誘電泳動による引
力が弱くなると、電極近傍の限られた範囲に浮遊してい
る微生物しかギャップ32付近に移動させることができ
ず、測定の精度が悪くなってしまうので、効率的に微生
物を移動させ、より精度よく迅速な測定を行うためには
試料の電気伝導率σ1は小さいほうが望ましいことがわ
かる。
【0116】次に、試料の電気伝導率を低下せしめるた
めの電気透析について説明する。
【0117】イオンを含む水溶液に複数の電極を浸し、
電極間に電位差をかけると、溶媒と溶質によって定まる
一定の電位差で電気化学反応が生じ、溶液内をイオンが
移動する。この現象は電気分解として一般に知られてい
る現象である。またこの時、陽極側には負電荷をもった
陰イオンが移動し、陰極側には正電荷をもった陽イオン
が移動してくるのが観察される。電極間の電位差が反転
しないような電圧の印加、たとえば直流の印加を行え
ば、イオンの移動方向は一定となる。
【0118】測定セル部1Aの構造において第1の透析
電極52を陰極とし、第2の透析電極61を陽極とし
て、両電極間に直流電圧を印加する場合について説明す
る。なお、印加される電圧の値は電気分解を起こすに十
分な大きさであることが必要であり、本実施の形態にお
いては10Vが印加されている。
【0119】電圧の印加と同時に電気分解が生じ、測定
セル1内の陰イオンは陽極側へ、そして陽イオンは陰極
側へ移動しようとする。この時、第2の透析電極61は
陽極であり、陰イオン交換膜56は陰イオンを透過する
ことができるので、第2の透析セル59と測定セル1内
の陰イオンは容易に陽極側へ移動することができるが、
陽イオン交換膜51に隔てられた第1の透析セル58内
の陰イオンは陽イオン交換膜51を透過することができ
ないために、第1の透析セル58内にとどまる。同様
に、第1の透析セル58と測定セル1内の陽イオンは容
易に第1の透析電極52側へ移動できるが、第2の透析
セル59内の陽イオンは陰イオン交換膜56を通過でき
ないために、第2の透析セル59内にとどまる。
【0120】このような状況下で電圧の印加を続ける
と、測定セル1内の陽イオン及び陰イオンは測定セル1
からそれぞれのイオン交換膜51、56を通過して第
1、第2の透析セル58、59内へ移動し、測定セル1
内のイオン濃度は低下する。そして、測定セル1内の電
荷のキャリアであるイオン濃度が低下するに従い、系に
流れる電流は次第に減少する。こうして、測定セル1内
のイオン濃度は低下し、測定セル1内の溶液の電気伝導
率も低下する。
【0121】本実施の形態では、第1の透析セル58及
び第2の透析セル59に蒸留水を供給することによっ
て、さらに効率のよい透析が行われるようになってい
る。すなわち、電気透析によって測定セル1外に移動し
た陽及び陰イオンは蒸留水供給部60から次々に供給さ
れ蒸留水排出口57から流れ去る蒸留水に押し流され
て、系外へ運びされられる。こうすることにより、電気
透析終了後もイオン交換膜51と56を介した透析セル
側から測定セル側への拡散によるイオンの移動が生じる
ことがなく、安定した誘電泳動と測定が行われる。
【0122】さて、微生物および抗体は一般的に負に帯
電していることが知られている。したがって、測定セル
1内の微生物と抗体も当然陽極側へ移動しようとする。
しかしながら、抗体は小さいといえどもイオンに比べれ
ば非常に巨大な粒子であり、溶液中での移動速度はイオ
ンに比べて大変遅い。抗体よりも大きな微生物ではさら
にこの傾向は強くなる。したがって、前述したような電
気透析現象によって測定セル1内のイオン濃度を低下さ
せるという目的を達するための時間のスケールでは、微
生物及び抗体の移動というのはほとんど考慮する必要が
無いものである。さらに、イオン交換膜のイオンが透過
する細孔は微生物や抗体に比較して大変小さいものであ
り、もし測定セル1内の微生物が陽極側へ移動しようと
しても陰イオン交換膜に引っかかってしまうものであ
る。したがって、電気透析によって微生物や抗体までが
移動することはなく、測定セル1内のイオン濃度のみを
低下させることができるものである。
【0123】以下、図7を用いて、試料の導入から測定
セル1内の微生物の濃縮、測定、洗浄にいたるまでの一
連の流れを説明する。
【0124】初期状態では電磁弁10、電磁弁11は開
放状態であり、試料系配管4から流入した複数の微生物
を含む試料液は測定セル1を自由に通過している。所定
のタイミングで、予めプログラムによって設定された測
定動作に入ると、制御部16は電磁弁10を閉状態にす
る。電磁弁10が閉状態になると、試料液の供給が絶た
れるために測定セル1内に残っていた試料液が流出した
後に測定セル1は空になる。その後制御部16は、電磁
弁6を所定時間開放して測定セル1内に検液としての抗
原抗体反応試薬を100マイクロリットル導入する(S
11)。次いで制御部16は電磁弁10を開放し、試料
液を900マイクロリットル測定セル1内に導入する
(S12)。試料液の導入によって、測定セル1内にす
でに導入されていた検液としての抗原抗体反応試薬と試
料液は十分に混合され、測定セル1内は満たされる。本
実施の形態においては測定セル1の内容積は1mlであ
る。測定セル1内では試料液と検液の混合によって直ち
に抗原抗体反応が始まる(S13)。所定時間の抗原抗
体反応が終了すると、制御部16は、透析電源回路50
を制御して第1、第2の透析電極間に10Vの直流を印
加するとともに、蒸留水供給部60を制御して第1の透
析セル58と第2の透析セル59にイオン濃度の低い蒸
留水を供給し、電気透析を開始する(S14、透析ステ
ップ)。電気透析の進行過程はすでに説明した通りであ
る。そして、本実施の形態においては、第1、第2の透
析セル58、59に流れ込んだ蒸留水が、透析によって
測定セル1から移動してきたイオンを蒸留水排出口57
から流し去るので、効率のよいイオンの除去を行うこと
ができる。電気透析を行う前の試料溶液の組成は実施の
形態1で説明した物と同じであり、その電気伝導率は8
50mS/m程度であるが、本実施の形態における条件
での10秒間の電気透析によって100分の1以下の1
〜2mS/m程度まで低下する。
【0125】所定時間の電気透析が終了すると、レジオ
ネラ菌数の測定に移る(S15)。ここからの手順も実
施の形態1(図3)で既に説明したものと同じ、すなわ
ち図7のS16、S17は図3のステップ6、7(S
6、S7)に相当するので、その説明は省略する。
【0126】このように本実施の形態では、微生物数測
定に先立って抗原抗体反応を行い、さらに試料液の電気
伝導率を電気透析によって低下させるために、複数の微
生物が混在する試料から特定の微生物の数のみを高精度
に測定することができ、高精度な自動測定も可能で、メ
ンテナンスフリーの微生物数測定装置を提供することが
できる。
【0127】
【発明の効果】以上説明したように本発明の請求項1に
記載された微生物数測定装置によれば、所定の抗原決定
基をもつ微生物を含有した試料液と抗原決定基と抗原抗
体反応し且つ標識物質を結合した抗体を含有する検液と
を混合して抗原抗体反応を生じさせるための反応セル
と、試料液を反応セルに導入する試料液導入部と、検液
を反応セルに導入する検液導入部と、反応セル内と連通
路で連通され、抗原抗体反応した微生物を誘電泳動させ
て電界集中部に集めるための泳動電極が設けられた測定
セルと、泳動電極に交流電圧を印加する泳動電源回路
と、電界集中部に集められた抗原抗体反応した微生物に
結合された標識物質の濃度を測定する測定部と、前記標
識物質の濃度から微生物数または微生物濃度を算出する
演算部とを有することにより、抗原抗体反応によって特
定の微生物に特異的に標識を行い、誘電泳動によって試
料中の微生物を電極付近に集中した後、標識した特定微
生物の数だけを測定することができるので、簡易な構造
でありながら試料中の特定種類の微生物の数を高感度に
測定することができるという有利な効果が得られる。
【0128】請求項2に記載された微生物数測定装置に
よれば、所定の抗原決定基をもつ微生物を含有した試料
液と抗原決定基と抗原抗体反応し且つ標識物質を結合し
た抗体を含有する検液とを混合して抗原抗体反応を生じ
させるための反応セルと、試料液を反応セルに導入する
試料液導入部と、検液を反応セルに導入する検液導入部
と、反応セル内と連通路で連通され、抗原抗体反応した
微生物を誘電泳動させて電界集中部に集めるための泳動
電極が設けられた測定セルと、測定セルにイオン透過性
隔膜を介して連接され、内部に透析電極を備えた透析セ
ルと、測定セル内の微生物を誘電泳動するための泳動電
源回路と、透析電極に電圧を印加して測定セル内のイオ
ン濃度を低下させる透析電源回路と、電界集中部に集め
られた抗原抗体反応した微生物に結合された標識物質の
濃度を測定する測定部と、標識物質の濃度から微生物数
または微生物濃度を算出する演算部とを有することによ
り、抗原抗体反応時に導入されたイオンを透析によって
迅速に測定セルから除くことができ、測定セル中の試料
の電気伝導率を低下させることができるので、イオン濃
度が高い抗原抗体反応後の試料中の微生物であっても、
効率よく誘電泳動を行うことができ、高精度で高感度な
測定ができるという有利な効果が得られる。
【0129】請求項3に記載された微生物数測定装置に
よれば、所定の抗原決定基をもつ微生物を含有した試料
液を導入する試料液導入部と、抗原決定基と抗原抗体反
応し且つ標識物質を結合した抗体を含有する検液を導入
する検液導入部と、微生物を誘電泳動させて電界集中部
に集めるための泳動電極が設けられた測定セルと、測定
セルにイオン透過性隔膜を介して連接され、測定セル内
のイオン濃度を低下するための透析セルと、泳動電極に
交流電圧を印加する泳動電源回路と、測定セル内のイオ
ン濃度を低下させる透析電源回路と、電界集中部に集め
られた抗原抗体反応した微生物に結合された標識物質の
濃度を測定する測定部と、標識物質の濃度から微生物数
または微生物濃度を算出する演算部とを有することによ
り、簡易な構造で効率良く抗原抗体反応と透析を行うこ
とができ、高感度な微生物数の測定ができるという有利
な効果が得られる。
【0130】請求項4に記載された微生物数測定装置に
よれば、請求項1ないし3に記載された微生物数測定装
置において、標識物質は蛍光物質であることにより、測
定に感度の高い蛍光法を用いた微生物数測定ができると
いいう有利な効果が得られる。
【0131】請求項5に記載された微生物数測定装置に
よれば、請求項1ないし3に記載された微生物数測定装
置において、標識物質は色素であることにより、測定の
ための光学系を簡易なものにすることができるという有
利な効果が得られる。
【0132】請求項6に記載された微生物数測定装置に
よれば、請求項1ないし3に記載された微生物数測定装
置において、標識物質は酵素であることにより、測定対
象の微生物数が少なくても酵素反応による増幅効果によ
って高感度に検出を行うことができるという有利な効果
が得られる。
【0133】請求項7に記載された微生物数測定装置に
よれば、請求項1ないし3に記載された微生物数測定装
置において、標識物質は導電性の物質であることによ
り、光学系を用いない電気的な測定系のみで簡易な測定
装置とすることができるという有利な効果が得られる。
【0134】請求項8に記載された微生物数測定装置に
よれば、請求項1ないし3に記載された微生物数測定装
置において、測定部は、電界集中部に光を出射するため
の光ファイバと電界集中部からの光を入射するための光
ファイバとを含む光学系を備えたことにより、簡易な光
学系で高感度の微生物数測定装置を構成することができ
るという有利な効果が得られる。
【0135】請求項9に記載された微生物数測定方法に
よれば、抗原決定基を備えた微生物含有の試料液と抗原
決定基と抗原抗体反応し且つ標識物質を結合した抗体を
含有した検液とを混合して抗原抗体反応させる抗原抗体
反応ステップと、抗原抗体反応した微生物を誘電泳動に
よって電界集中部に集め、集まった微生物の標識物質の
濃度を測定する濃度測定ステップと、測定した標識物質
の濃度に基づいて微生物数または微生物濃度を算出する
算出ステップとを有することにより、抗原抗体反応によ
って特定の微生物に特異的に標識を行い、誘電泳動によ
って試料中の微生物を電極付近に集中した後、標識した
特定微生物の数だけを測定することができるので、簡易
な構造でありながら試料中の特定種類の微生物の数を高
感度に測定することができるという有利な効果が得られ
る。
【0136】請求項10に記載された微生物数測定方法
によれば、抗原決定基を備えた微生物含有の試料液と抗
原決定基と抗原抗体反応し且つ標識物質を結合した抗体
を含有した検液を混合して抗原抗体反応させる抗原抗体
反応ステップと、抗原抗体反応した微生物を含む試料液
の導電率を透析によって低下せしめる透析ステップと、
試料液中の微生物を誘電泳動によって電界集中部に集
め、集まった微生物の標識物質の濃度を測定する濃度測
定ステップと、測定した標識物質の濃度に基づいて微生
物数または微生物濃度を算出する算出ステップとを有す
ることにより、抗原抗体反応時に導入されたイオンを透
析によって迅速に測定セルから除くことができ、測定セ
ル中の試料の電気伝導率を低下させることができるの
で、イオン濃度が高い抗原抗体反応後の試料中の微生物
であっても、効率よく誘電泳動を行うことができ、高精
度で高感度な測定ができるという有利な効果が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1による微生物数測定装置
を示す構成図
【図2】(a)図1の微生物数測定装置の電極を示す構
成図 (b)図1の微生物数測定装置の電極を示す構成図
【図3】図1の微生物数測定装置の動作を示すフローチ
ャート
【図4】蛍光強度の時間変化を示すグラフ
【図5】本発明の実施の形態2による微生物数測定装置
を示す構成図
【図6】図5の微生物数測定装置を構成する測定セルお
よびその周辺を示す部分詳細説明図
【図7】図5、図6の微生物数測定装置の動作を示すフ
ローチャート
【図8】(a)誘電泳動力と周波数の関係を表すグラフ (b)誘電泳動力と周波数の関係を表すグラフ
【符号の説明】
1 測定セル 2 電極基板 3 反応セル 4 試料系配管(試料液導入部) 5 検液導入口(検液導入部) 6 連通路 7 排出口 8、9、10、11、53、55 電磁弁 12 光源側光ファイバ 13 受光側光ファイバ 14 光源 15 検出器 16 制御部 17 泳動電源回路 18 測定部 19 演算部 20 表示部 31 薄膜電極(泳動電極) 32 ギャップ 33 微生物 40 発光範囲 41 受光範囲 50 透析電源回路 51 陽イオン交換膜(陽イオン透過性隔膜) 52 第1の透析電極 54 蒸留水導入口 56 陰イオン交換膜(陰イオン透過性隔膜) 57 蒸留水排出口 58 第1の透析セル 59 第2の透析セル 60 蒸留水供給部 61 第2の透析電極

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の抗原決定基をもつ微生物を含有した
    試料液と前記抗原決定基と抗原抗体反応し且つ標識物質
    を結合した抗体を含有する検液とを混合して抗原抗体反
    応を生じさせるための反応セルと、前記試料液を前記反
    応セルに導入する試料液導入部と、前記検液を前記反応
    セルに導入する検液導入部と、前記反応セル内と連通路
    で連通され、前記抗原抗体反応した微生物を誘電泳動さ
    せて電界集中部に集めるための泳動電極が設けられた測
    定セルと、前記泳動電極に交流電圧を印加する泳動電源
    回路と、前記電界集中部に集められた抗原抗体反応した
    微生物に結合された標識物質の濃度を測定する測定部
    と、前記標識物質の濃度から微生物数または微生物濃度
    を算出する演算部とを有することを特徴とする微生物数
    測定装置。
  2. 【請求項2】所定の抗原決定基をもつ微生物を含有した
    試料液と前記抗原決定基と抗原抗体反応し且つ標識物質
    を結合した抗体を含有する検液とを混合して抗原抗体反
    応を生じさせるための反応セルと、前記試料液を前記反
    応セルに導入する試料液導入部と、前記検液を前記反応
    セルに導入する検液導入部と、前記反応セル内と連通路
    で連通され、前記抗原抗体反応した微生物を誘電泳動さ
    せて電界集中部に集めるための泳動電極が設けられた測
    定セルと、前記測定セルにイオン透過性隔膜を介して連
    接され、内部に透析電極を備えた透析セルと、前記測定
    セル内の微生物を誘電泳動するための泳動電源回路と、
    前記透析電極に電圧を印加して前記測定セル内のイオン
    濃度を低下させる透析電源回路と、前記電界集中部に集
    められた抗原抗体反応した微生物に結合された標識物質
    の濃度を測定する測定部と、前記標識物質の濃度から微
    生物数または微生物濃度を算出する演算部とを有するこ
    とを特徴とする微生物数測定装置。
  3. 【請求項3】所定の抗原決定基をもつ微生物を含有した
    試料液を導入する試料液導入部と、前記抗原決定基と抗
    原抗体反応し且つ標識物質を結合した抗体を含有する検
    液を導入する検液導入部と、微生物を誘電泳動させて電
    界集中部に集めるための泳動電極が設けられた測定セル
    と、前記測定セルにイオン透過性隔膜を介して連接さ
    れ、前記測定セル内のイオン濃度を低下するための透析
    セルと、前記泳動電極に交流電圧を印加する泳動電源回
    路と、前記測定セル内のイオン濃度を低下させる透析電
    源回路と、前記電界集中部に集められた抗原抗体反応し
    た微生物に結合された標識物質の濃度を測定する測定部
    と、前記標識物質の濃度から微生物数または微生物濃度
    を算出する演算部とを有することを特徴とする微生物数
    測定装置。
  4. 【請求項4】前記標識物質は蛍光物質であることを特徴
    とする請求項1ないし3に記載された微生物数測定装
    置。
  5. 【請求項5】前記標識物質は色素であることを特徴とす
    る請求項1ないし3に記載された微生物数測定装置。
  6. 【請求項6】前記標識物質は酵素であることを特徴とす
    る請求項1ないし3に記載された微生物数測定装置。
  7. 【請求項7】前記標識物質は導電性の物質であることを
    特徴とする請求項1ないし3に記載された微生物数測定
    装置。
  8. 【請求項8】前記測定部は、前記電界集中部に光を出射
    するための光ファイバと前記電界集中部からの光を入射
    するための光ファイバとを含む光学系を備えたことを特
    徴とする請求項1ないし3に記載された微生物数測定装
    置。
  9. 【請求項9】抗原決定基を備えた微生物含有の試料液と
    前記抗原決定基と抗原抗体反応し且つ標識物質を結合し
    た抗体を含有した検液とを混合して抗原抗体反応させる
    抗原抗体反応ステップと、前記抗原抗体反応した微生物
    を誘電泳動によって電界集中部に集め、集まった微生物
    の前記標識物質の濃度を測定する濃度測定ステップと、
    前記測定した標識物質の濃度に基づいて微生物数または
    微生物濃度を算出する算出ステップとを有することを特
    徴とする微生物数測定方法。
  10. 【請求項10】抗原決定基を備えた微生物含有の試料液
    と前記抗原決定基と抗原抗体反応し且つ標識物質を結合
    した抗体を含有した検液を混合して抗原抗体反応させる
    抗原抗体反応ステップと、前記抗原抗体反応した微生物
    を含む試料液の導電率を透析によって低下せしめる透析
    ステップと、試料液中の微生物を誘電泳動によって電界
    集中部に集め、集まった微生物の前記標識物質の濃度を
    測定する濃度測定ステップと、前記測定した標識物質の
    濃度に基づいて微生物数または微生物濃度を算出する算
    出ステップとを有することを特徴とする微生物数測定方
    法。
JP18874999A 1999-07-02 1999-07-02 微生物数測定装置および微生物数測定方法 Expired - Fee Related JP3780755B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18874999A JP3780755B2 (ja) 1999-07-02 1999-07-02 微生物数測定装置および微生物数測定方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18874999A JP3780755B2 (ja) 1999-07-02 1999-07-02 微生物数測定装置および微生物数測定方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001013148A true JP2001013148A (ja) 2001-01-19
JP3780755B2 JP3780755B2 (ja) 2006-05-31

Family

ID=16229109

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18874999A Expired - Fee Related JP3780755B2 (ja) 1999-07-02 1999-07-02 微生物数測定装置および微生物数測定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3780755B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002340901A (ja) * 2001-05-10 2002-11-27 Matsushita Seiko Co Ltd 特定微生物計量装置
WO2005088287A1 (en) * 2004-03-17 2005-09-22 National Research Council Of Canada Method and apparatus for the detection of microorganisms
JP2008048736A (ja) * 2006-08-21 2008-03-06 Samsung Electronics Co Ltd 電気透析及び微生物捕獲手段を利用して試料から微生物を分離する方法及びそのための微生物分離装置
KR20160036239A (ko) * 2014-09-25 2016-04-04 엘지전자 주식회사 미생물 측정유닛
WO2021215194A1 (ja) * 2020-04-24 2021-10-28 パナソニックIpマネジメント株式会社 検出方法、検出装置、及び、誘電体粒子

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002340901A (ja) * 2001-05-10 2002-11-27 Matsushita Seiko Co Ltd 特定微生物計量装置
JP4714366B2 (ja) * 2001-05-10 2011-06-29 パナソニックエコシステムズ株式会社 特定微生物計量装置
WO2005088287A1 (en) * 2004-03-17 2005-09-22 National Research Council Of Canada Method and apparatus for the detection of microorganisms
JP2008048736A (ja) * 2006-08-21 2008-03-06 Samsung Electronics Co Ltd 電気透析及び微生物捕獲手段を利用して試料から微生物を分離する方法及びそのための微生物分離装置
KR20160036239A (ko) * 2014-09-25 2016-04-04 엘지전자 주식회사 미생물 측정유닛
KR101667591B1 (ko) * 2014-09-25 2016-10-19 엘지전자 주식회사 미생물 측정유닛
WO2021215194A1 (ja) * 2020-04-24 2021-10-28 パナソニックIpマネジメント株式会社 検出方法、検出装置、及び、誘電体粒子

Also Published As

Publication number Publication date
JP3780755B2 (ja) 2006-05-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Otieno et al. On-line protein capture on magnetic beads for ultrasensitive microfluidic immunoassays of cancer biomarkers
Patel et al. Biosensors in health care: the milestones achieved in their development towards lab-on-chip-analysis
US11933759B2 (en) Apparatus, systems, and methods for capillary electrophoresis
US7141369B2 (en) Measuring cellular metabolism of immobilized cells
CN108593916A (zh) 基于外泌体的癌症检测系统及方法
JP6133780B2 (ja) 汎捕捉性の結合領域を備えている多方向マイクロ流体デバイス、及びその使用方法
US20020019059A1 (en) Devices, systems and methods for time domain multiplexing of reagents
CN108593416B (zh) 微纳粒子检测系统及方法
CN103604775B (zh) 基于微流体芯片的微生物检测仪器及其spr检测方法
CN108593910B (zh) 基于微球载体的粒子检测系统及方法
Yanagisawa et al. Enhancement in the sensitivity of microfluidic enzyme-linked immunosorbent assays through analyte preconcentration
CN106290279A (zh) 一种单细胞蛋白检测系统及其应用
US20100285522A1 (en) Versatile Multichannel Capillary Biosensor System
JP3743619B2 (ja) 微生物数・微生物濃度測定装置および微生物数・微生物濃度測定方法
JP6231655B2 (ja) 生体分子相互作用を調整するための側方流動イムノアッセイにおけるpH/温度/イオン勾配の発生およびその用途
Tani et al. Indirect capillary electrophoresis immunoassay of membrane protein in extracellular vesicles
JP3780755B2 (ja) 微生物数測定装置および微生物数測定方法
JP2003000223A (ja) 微生物測定装置とそのために使用される微生物測定用電極チップ、及び微生物測定方法
JP5395598B2 (ja) 定量分析方法
JP3765464B2 (ja) 微生物キャリア体、微生物数測定装置及び微生物数測定方法
US20200129978A1 (en) Devices and methods for flow control using electro-osmotic flow
US8557609B1 (en) Imaging electrophoresis system
Ruan et al. CdS quantum dots modified photoelectrochemical biosensor for TATA-binding protein probing
KR101248235B1 (ko) 표면 플라즈몬 공명(surface plasmonresonance;SPR) 이미징 시스템을 이용한단백질의 활성형 3차원 구조변화 측정
NL2025067B1 (en) Sensor for single particle detection

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20041224

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050105

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050301

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20050629

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050913

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051025

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051122

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060116

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060214

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060227

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100317

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110317

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110317

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120317

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130317

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130317

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140317

Year of fee payment: 8

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees