JP2001011926A - 下水圧送管中の硫化水素発生抑制方法及びそのための酸素発生装置 - Google Patents

下水圧送管中の硫化水素発生抑制方法及びそのための酸素発生装置

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JP2001011926A
JP2001011926A JP2000061908A JP2000061908A JP2001011926A JP 2001011926 A JP2001011926 A JP 2001011926A JP 2000061908 A JP2000061908 A JP 2000061908A JP 2000061908 A JP2000061908 A JP 2000061908A JP 2001011926 A JP2001011926 A JP 2001011926A
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oxygen gas
oxygen
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JP2000061908A
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Yoshinori Hamaya
芳則 浜谷
Yoshimichi Kinoshita
善道 木下
Yasutoshi Kawamura
康利 河村
Atsushi Tamura
篤 田村
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Chugai Ro Co Ltd
Original Assignee
Chugai Ro Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧送ポンプの停止時間が長くても下水の嫌気
化を回避し圧送下水量の変動に拘わらず常に硫化水素濃
度を一定水準以下に抑制する一方、酸素発生装置の設置
スペースの削減と消費電力を抑制する。 【解決手段】 圧送ポンプの稼動に連動して圧送下の下
水中に酸素ガスを注入し下水圧送管内での硫化水素の発
生を抑制する方法において、1日を1サイクルとする圧
送ポンプの稼働率変動パターンに基づいて基準稼働率及
び圧送ポンプの稼働率が前記基準稼働率よりも上昇し始
める稼働率上昇時刻と前記基準稼働率よりも低下し始め
る稼働率低下時刻を設定する一方、前記稼働率低下時刻
よりも所定時間前の時刻を過剰酸素供給開始時刻として
設定し、時刻が過剰酸素供給開始時刻に達してから稼働
率上昇時刻に達するまでの時間帯は圧送下水量に対応す
る一定量の酸素ガスよりも過剰に酸素ガスを下水中に注
入する。下水圧送管への所要酸素注入量に応じて一方の
制御系を選択して前記吸着槽ユニットの全部又は一部を
選択的に稼働させると共に、前記所要酸素注入量に応じ
た所要圧縮空気量を供給する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は下水圧送管中の硫化
水素発生抑制方法、具体的には、下水を圧送ポンプで圧
送する下水圧送システムにおいて、圧送ポンプの停止に
より圧送管中に下水が長時間滞留した場合に圧送管内で
硫化水素が発生するのを抑制する方法及びその実施に使
用する酸素発生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】下水処理場への下水の搬送方式として
は、水勾配を設けた下水路で自然流下させる自然流下方
式と、下水処理場までの間に複数の中継所を設け、各中
継所に設けた圧送ポンプで下流側の中継所に順次圧送す
るポンプ圧送方式が知られているが、人口の希薄な地域
では効率的な下水処理のためにポンプ圧送方式が採用さ
れている。
【0003】前記ポンプ圧送方式は、自然流下方式と比
較して掘削深度が浅く、また下水圧送管の管径が小さく
て良いため、工事規模を大幅に軽減できる利点がある
が、下水圧送管が道路の起伏に沿って埋設され下水自体
が空気(特に、酸素ガス)と接触せず、しかも、中継所
での下水の貯留量が変動するため圧送ポンプが間欠運転
となり、圧送ポンプが停止している間は下水が圧送管中
に滞留することになる。その結果、下水圧送管内の下水
が嫌気状態となって下水中に含まれる硫黄や硫黄化合物
が生物学的に還元されて硫化水素ガスが発生する。圧送
管内の下水中の硫化水素濃度が十数ppm以上になると施
設が腐食するという問題があり、また、悪臭の原因とな
る。
【0004】前記硫化水素の生成は、下水中に含まれる
有機物、硫化塩濃度及び溶存酸素ガス、並びに下水のp
H、温度及び滞留時間等の環境条件によって左右される
が、その生成には下水中に浮遊する同化細菌或いは蛋白
質分解細菌や硫黄塩還元細菌などの細菌類及び管壁に付
着した生物膜が関与することが知られている。
【0005】他方、この硫化水素の生成を抑制する主な
方法として、薬品添加法、空気注入法及び酸素ガス注入
法が知られているが、これらのうち薬品添加法は維持費
が高くなるという問題があり、空気注入法は下水圧送管
中に注入量の約79%のガス(窒素)が残存するため下
水圧送管中で圧力損失の増加を生じたり下水圧送管がガ
ス(窒素)により閉塞するという問題がある。
【0006】これに対して、酸素ガス注入法は、圧力変
動式空気吸着分離装置などの酸素発生装置、例えば、図
5に示すように空気圧縮機17a、除湿機17b、複数
の吸着槽ユニットPSA1〜PSAn及び酸素ガス貯留タ
ンク19で構成される酸素発生装置を酸素ガス供給源と
して使用し、空気圧縮機で空気を圧縮し、その圧縮空気
を除湿器で除湿した後、複数の吸着槽ユニットPSAに
分配供給して吸着槽内の吸着剤(合成ゼオライト)に窒
素分を吸着させ、分離された高純度(90%以上)の酸
素ガスを酸素ガス貯留タンク19で圧力調整した後、酸
素ガスを下水圧送管中に注入して嫌気性菌の繁殖を抑制
するため、薬品添加法に比べて安価であり、また、前記
空気注入法に於ける残留窒素ガスによる圧力損失の増加
や下水圧送管の閉塞などの問題を解決できる利点を有し
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、酸素ガ
ス注入法では、中継所の貯留槽に流入する下水量は経時
的に変化し、貯留槽内の水位の変動に応じて圧送ポンプ
は絶えず運転と停止とを繰り返すことになる。そのた
め、貯留槽への流入量が少ない時間帯には圧送ポンプの
停止時間が長くなり、酸素ガス注入法であっても定常運
転時を想定した酸素ガス供給量では下水の嫌気化を回避
することができず、硫化水素等のガスが発生するという
問題がある。
【0008】また、下水圧送管の全長が長いため、酸素
ガス注入法では下水圧送管の出口で硫化水素濃度を検出
し、これを下水圧送管の上流側の酸素発生装置にフィー
ドバックしてその酸素ガス供給量を制御することができ
ないことから、通常は定常運転時(即ち、圧送ポンプの
定格量)に合わせて常に一定量の酸素ガスを注入するこ
とが行われている。そのため、前記酸素発生装置の酸素
ガス吐出口側に酸素ガス貯留タンクを設置し、酸素ガス
消費量に応じて酸素発生装置を起動・停止することによ
り効率的な運転を可能にしているが、酸素ガス貯留タン
クを設置する分だけ所要スペースが大きくなり、必然的
に設備費が増大するという問題がある。
【0009】この問題は酸素ガス貯留タンクを省略した
構造にすることにより解決できるが、従来と同様の制御
装置では、所要酸素量が少なくなった場合、例えば、酸
素発生装置能力の50%に低下した場合でも、原料圧縮
空気を全吸着槽ユニットに送給して酸素ガスを生成させ
ることになるため、所要酸素量の変動を酸素発生装置内
で吸収させることができず、必然的に余剰(50%)の
酸素を吸着槽ユニットから窒素分と共に大気中に排出し
なければならず、空気圧縮機などの消費電力を低減でき
ないという問題がある。
【0010】従って、本発明は、酸素ガス注入法におい
て圧送ポンプの停止時間が長くなっても下水の嫌気化を
防止することができ、圧送ポンプの停止時間の変動に拘
わらず常に下水中の硫化水素濃度を一定水準以下に抑制
できるようにすることを第一の課題とし、酸素発生装置
の設置スペースの削減と酸素発生装置に於ける空気圧縮
機の供給量を所要酸素量の変動に応じて変更できるよう
にすることを第二の課題とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明等は、前記課題を
解決するため、1日を1サイクルとして貯留槽内の水位
の変動に応じて変動する圧送ポンプの稼働率をパターン
化し、その圧送ポンプの稼働率変動パターンに基づいて
圧送ポンプが予め定めた基準稼働率以上の稼働率で稼働
する時間帯(以下、高稼働率時間帯という。)と圧送ポ
ンプが予め定めた基準稼働率未満の稼働率で稼働する時
間帯(以下、低稼働率時間帯という。)とに分け、高稼
働率時間帯には圧送下水量に対応する一定量の酸素ガス
を圧送下の下水中に注入し、低稼働率時間帯には過剰の
酸素ガスを供給することを試みたところ、高稼働率時間
帯から低稼働率時間帯に移行する時点で過剰に酸素ガス
を注入するようにしても、それ以前に圧送管内に送り込
まれた下水が下流側中継所の貯留槽に到達する前に上流
側中継所の貯留槽の水位が低下して圧送ポンプが停止す
るため、高稼働率時間帯に一定量の酸素ガスを注入され
た下水が圧送管内に長時間滞留し、必然的に圧送管内の
下水が再嫌気化するという問題が残ることが明らかとな
った。
【0012】本発明は、この問題をも解決するため、圧
送ポンプの稼働率が予め定めた基準稼働率まで低下する
時刻以前に圧送された下水が圧送管内に滞留することと
なる時間だけ遡った時刻から圧送ポンプの稼働率が再び
基準稼働率以上になる時刻までの時間帯に過剰の酸素ガ
スを下水に注入し、その他の時間帯は圧送下水量に対応
する一定量の酸素ガスを供給するようにしたものであ
る。
【0013】即ち、本発明は、圧送ポンプの稼動に連動
して圧送下の下水中に酸素ガスを注入し下水圧送管内で
の硫化水素の発生を抑制する方法において、1日を1サ
イクルとする圧送ポンプの稼働率変動パターンに基づい
て基準稼働率及び圧送ポンプの稼働率が前記基準稼働率
よりも上昇し始める稼働率上昇時刻と前記基準稼働率よ
りも低下し始める稼働率低下時刻を設定する一方、前記
稼働率低下時刻よりも所定時間前の時刻を過剰酸素供給
開始時刻として設定し、時刻が過剰酸素供給開始時刻に
達してから稼働率上昇時刻に達するまでの時間帯は圧送
下水量に対応する一定量の酸素ガスよりも過剰に酸素ガ
スを下水中に注入するようにしたものである。
【0014】また、本発明は前記第二の課題を解決する
ため、空気圧縮機及び複数の吸着槽ユニットを備え、前
記空気圧縮機で圧縮した空気を複数の吸着槽ユニットに
分配供給して当該吸着槽ユニット内で窒素分を吸着除去
させて酸素ガスを発生させる酸素発生装置において、前
記複数の吸着槽ユニットを並列接続する一方、当該吸着
槽ユニットの制御系を少なくとも二系統に分け、当該二
系統の制御系により所要酸素量に応じて前記吸着槽ユニ
ットの全部又は一部を選択的に稼働させるようにしたも
のである。
【0015】より具体的には、本発明は、空気圧縮機、
並列接続された複数の吸着槽ユニット及び前記吸着槽ユ
ニットの全部又は一部を一群として制御する少なくとも
二系統の制御系とを備え、下水圧送管への所要酸素注入
量に応じて一方の制御系を選択して前記吸着槽ユニット
の全部又は一部を選択的に稼働させると共に、前記所要
酸素注入量に応じた所要圧縮空気量を供給することから
なる酸素発生装置を提供するものである。
【0016】好ましい実施態様においては、前記圧送ポ
ンプの稼働率変動パターンは、下水圧送システムを1日
稼働させて単位時間毎の圧送ポンプの圧送下水量を測定
して単位時間毎の圧送ポンプ能力に対する圧送下水量の
比、即ち、圧送ポンプの稼働率を求め、各時間毎の圧送
ポンプの稼働率をプロットすることにより設定される。
例えば、1日を24分割して下水圧送システムにおける
圧送ポンプの1時間毎に圧送される下水量を測定して圧
送ポンプの稼働率を求め、当該単位時間毎の稼働率を図
表にプロットしてグラフ化することにより求められる。
この場合、単位時間毎の稼働率は、週、月、四季又は年
間その他所定の期間内に於ける各時間毎の稼働率の平均
値を求め、この平均値をプロットして圧送ポンプの稼働
率パターンを決定しても良い。
【0017】また、前記稼働率上昇時刻及び稼働率低下
時刻は、1日を1サイクルとする圧送ポンプの稼働率変
動パターンを表す曲線と適宜設定された圧送ポンプの基
準稼働率(通常、0.5〜0.7の範囲内の値に設定され
る)を表す直線との交点によりそれぞれ設定される。
【0018】また、前記稼働率低下時刻よりも所定時間
前の時刻、即ち、過剰酸素供給開始時刻は、前記下水圧
送システムの圧送管容量V(m3)及び圧送ポンプ能力Q
(m3/Hr)等によって変動するが、圧送ポンプの基準稼
働率Kを0.5〜0.7の範囲内の値に設定し、圧送管内
での下水の滞留時間(t)を式:t=V/(Q×K)に
より求め、稼働率低下時刻よりもその時間だけ前の時刻
若しくはそれに近い時刻に設定するのが好ましい。
【0019】前記酸素ガスの供給量の制御は、例えば、
酸素ガス供給源から下水圧送管に酸素ガスを供給する酸
素ガス供給ラインを主分岐ラインと副分岐ラインとの二
系統に分岐させる一方、当該主副両分岐ラインを1日を
1サイクルとする圧送ポンプの稼働率変動パターンに基
づいて制御装置でそれぞれ開閉することにより行うこと
ができる。
【0020】前記制御装置は、時刻計測を行い予め設定
された時刻に信号を出力するタイマーと、貯留槽の下水
の水位を計測する下水量計測手段と、前記タイマー及び
下水量計測手段からの信号に基づいて主分岐ライン及び
副分岐ラインに配設された制御弁を開閉する信号を出力
する制御部とで構成される。1日を1サイクルとする圧
送ポンプの稼働率変動パターンに基づいて稼働率上昇時
刻(例えば、午前7時と午後6時)及び稼働率低下時刻
(例えば、午前1時と午後3時)よりも所定時間(例え
ば、1時間20分)前の時刻、即ち、過剰酸素供給開始
時刻をタイマーに設定し、時刻が稼働率上昇時刻に達し
た時にタイマーからの信号を受けて制御部により主分岐
ラインの制御弁を開放させて圧送下水量に対応する一定
量の酸素ガスの注入を開始し、その時刻から過剰酸素供
給開始時刻に達するまでの時間帯(以下、通常稼働時間
帯という。)には前記下水量計測手段からの信号に応じ
て制御部により主分岐ライン又は主副両分岐ラインの制
御弁を開放させて圧送下水量に対応する一定量の酸素ガ
スの注入を行う。その後、前記タイマーの時刻が過剰酸
素供給開始時刻に達した時に当該タイマーからの信号を
受けて制御部により主副両分岐ラインの制御弁を開放さ
せて圧送下水量に対応する一定量の酸素ガスよりも過剰
の酸素ガスの注入を開始し、その過剰酸素供給開始時刻
から次の稼働率上昇時刻に達するまでの時間帯(以下、
長間欠稼働時間帯という)は過剰に酸素ガスを注入する
ことにより行うことができる。
【0021】また、前記酸素ガス供給ラインを主分岐ラ
インと副分岐ラインとの二系統に分岐させる代わりに、
圧力変動式空気吸着分離装置などの酸素ガス供給源を複
数台で構成し、酸素ガス供給量に応じて複数台の酸素供
給源を選択的にオン−オフ制御して酸素ガス供給量を制
御するようにしても良い。
【0022】他の実施態様においては、硫化水素の発生
が水温によっても影響を受けることを考慮して、上流側
貯留槽内の下水の温度を計測し、圧送水量と水温とによ
って通常稼働時間帯の酸素ガス供給量を決定し、これに
基づいて酸素ガス供給量を制御することが行われる。
【0023】いずれの実施態様においても、通常稼働時
間帯の前記下水への酸素ガス供給量Qcは、Boonの
式と経験により与えられる汚水中の浮遊微生物の消費す
る酸素ガス量Rr(mg/リットル・Hr)と管壁に付着し
た微生物による消費量Re(g/m2・Hr)の和、即ち、
Qc=Rr・V+Re・S(但し、Rr=6×1.0
(T-15 )、Re=0.7×1.07(T-15)、Tは水温
(℃)、Vは水量(m3)、Sは管表面積(m2)である。)以
上の値に設定するのが好ましい。また、長間欠稼働時間
帯に下水中に供給する酸素ガス供給量は、通常稼働時間
帯における酸素ガス供給量、即ち、圧送下水量に対応す
る一定量の酸素ガス供給量Qcの1.3倍以上、好ましく
は、1.5倍〜3倍に設定するのが好適である。
【0024】
【発明の実施の形態】図1は本発明方法を下水発生源か
ら下水処理場までの間に複数の中継所1A,1Bを設け
た下水圧送システムに適用した一例を示す。この下水圧
送システムは、下水発生源から下水処理場までの間に複
数の中継所1A,1Bを設け、上流側中継所1Aから下
流側中継所1Bに圧送ポンプ3a,3bにより下水圧送
管を介して順次圧送するようにしたものである。各中継
所1A,1Bには、貯留槽2と、二台の圧送ポンプ3
a,3bと、当該貯留槽2の貯水状態に応じて圧送ポン
プ3a,3b及び酸素発生装置7の動作を制御する制御
装置4を備え、上流側中継所1Aの貯留槽2内の下水は
圧送ポンプ3a,3bにより下水圧送管5を介して下流
側中継所1Bに圧送される。
【0025】前記下水圧送管5は上流側中継所1A側に
酸素ガス注入孔を形成され、当該酸素ガス注入孔には酸
素ガス供給源として酸素ガス供給ライン6を介して圧力
変動式空気吸着分離装置などの酸素発生装置7が接続さ
れている。前記酸素発生装置7は、コンプレッサ(空気
圧縮機)17a及び脱湿機17bを含む空気圧縮部17
と、後述の一対の窒素吸着槽からなる吸着槽ユニットを
複数対含む酸素発生部18からなり、空気を空気圧縮機
17aで圧縮して脱湿機17bで除湿した後、酸素ガス
発生部18へ送り、そこで窒素を吸着分離して高濃度
(90%以上)の酸素ガスを発生させ、これを均圧槽と
しての酸素ガス貯留タンク19に送り一定圧の酸素ガス
を酸素ガス供給ライン6に供給するようにしてある。参
照番号20は圧力計、21はドレンラインである。
【0026】前記酸素ガス供給ライン6は、その一部を
2系統、即ち、主分岐ライン8aと副分岐ライン8bと
に分岐され、主副両分岐ライン8a,8bにはそれぞれ
電磁弁9a,9bが配設されている。また、各電磁弁9
a,9bの前後には弁10a,10bが配設され、主副
両分岐ライン8a,8bの合流した出口側の酸素ガス供
給ライン6には逆止弁10cが配設されている。
【0027】前記制御装置4は、現在時刻を計測し予め
設定された稼働率上昇時刻及び過剰酸素供給開始時刻に
信号を出力するタイマー11と、前記上流側中継所1A
の貯留槽2にその深さ方向に沿って所定間隔をおいて配
設され貯留槽2内の水位を検知する複数の水位センサー
12a,12b,12c,12dと、圧送ポンプ3a,
3bを駆動する駆動回路13a,13bと、前記タイマ
ー11及び水位センサー12a,12b,12c,12
dからの信号に基づいて圧送ポンプ3a,3bの運転及
び停止、並びに電磁弁9a,9bを開閉する信号を出力
する制御部15とを備えている。なお、水位センサー1
2aは圧送ポンプ3bの運転、水位センサー12bは圧
送ポンプ3aの運転、水位センサー12cは圧送ポンプ
3bの停止、水位センサー12dは圧送ポンプ3aの停
止の信号を出力する。
【0028】また、副分岐ラインに配設された電磁弁9
bは、スイッチ16を介して他方の圧送ポンプ3aの駆
動回路13aに接続されている。なお、本システムでは
定量ポンプを圧送ポンプ3a,3bとして採用している
ため、下水圧送管5内の圧送下の下水に供給する酸素ガ
ス量は電磁弁9の一次側に挿入された弁10a,10b
により設定するようにしてある。
【0029】前記構成において、圧送ポンプ3a,3b
は制御装置4により基本的には以下のように制御され
る。即ち、上流側貯留槽2Aが空に近い状態にあるとす
ると、下水の流入により上流側貯留槽2A内の液面レベ
ルが徐々に上昇し、上流側貯留槽2A内の液面レベルが
L2に達すると、水位センサー12bからの信号を受け
て制御装置4が駆動回路13aを介して圧送ポンプ3a
を作動させて下流側貯留槽2Bへの下水の圧送を開始
し、それに連動して電磁弁9aが開放され、酸素発生装
置7から圧力ポンプ3aの下水圧送量に対応する一定量
の酸素ガスが電磁弁9aを経て下水圧送管5内の下水に
注入される。なお、この時点ではスイッチ16はオフで
あるので、電磁弁9bは閉状態に維持される。
【0030】上流側貯留槽2Aへの流入量が下流側への
圧送量よりも多くなると上流側貯留槽2A内の液面レベ
ルが更に上昇してL1に達すると、水位センサー12a
からの信号を受けて制御装置4が駆動回路13bを介し
て圧送ポンプ3bを運転させる。それと同時に電磁弁9
bが開放され、電磁弁9aを介して供給される酸素ガス
に加えて、電磁弁9bを介して圧送ポンプ3bの下水圧
送量に対応する酸素ガスが供給される。
【0031】一方、上流側貯留槽2Aへの流入量が当該
貯留槽2Aから下流側への圧送量よりも少なくなると、
貯留槽2A内の液面レベルが徐々に低下し、液面レベル
がL3より低くなると、水位センサー12cからの信号
を受けて制御装置4が駆動回路13bを介して圧送ポン
プ3bを停止させると同時に電磁弁9bを閉鎖し、圧送
ポンプ3aのみによる圧送が行われると共に、電磁弁9
aを介して酸素ガスが注入される。貯留槽2A内の液面
レベルが更に低下してL4より低くなると、水位センサ
ー12dからの信号を受けて制御装置4が駆動回路13
aを介して圧送ポンプ3aを停止させると共に、電磁弁
9aを閉鎖する。
【0032】その後、上流側貯留槽2Aへの下水の流入
により貯留槽2内の液面レベルが再びL2に達すると、
それを検出した水位センサー12bからの信号を受けて
制御装置4により圧送ポンプ3aが運転し、以後は上流
側貯留槽2Aの液面レベルの変動に応じて前記圧送ポン
プ3a,3bの基本的制御を繰り返す。
【0033】前記下水圧送システムでの圧送ポンプ3
a,3bの稼働率は、図2に示すように時間の経過と共
に変動し、上流側貯留槽2Aへの流入量が多い時間帯に
は圧送ポンプ3a,3bの停止時間は短いが、流入量が
少ない時間帯では停止時間が長くなり硫化水素が発生す
ることから、圧送ポンプ3a,3bの稼働率変動パター
ンから圧送ポンプの基準稼働率K(通常、0.5〜0.7
の範囲内の値に設定される。)が設定され、それに基づ
いて稼働率上昇時刻、稼働率低下時刻及び過剰酸素供給
開始時刻が設定される。
【0034】前記稼働率上昇時刻及び稼働率低下時刻
は、1日を1サイクルとする圧送ポンプの稼働率変動パ
ターンにより設定される。この圧送ポンプの稼働率変動
パターンは、1日を24分割して下水圧送システムにお
ける圧送ポンプの1時間毎当たりに圧送される下水量を
測定し、圧送ポンプ能力に対する単位時間毎の圧送下水
量の比、即ち、圧送ポンプ稼働率を求め、当該単位時間
毎の稼働率を図表にプロットしてグラフ化することによ
り求められる。なお、前記圧送ポンプの稼働率変動パタ
ーンは、週、月、四季又は年間その他任意の期間内に於
ける各時間毎の平均値を求め、これに基づいて決定して
も良い。
【0035】前記稼働率上昇時刻及び稼働率低下時刻
は、前記グラフの稼働率変動パターンを示す曲線が時間
の経過に伴い基準稼働率を示す直線を下側から上側に突
き抜ける交点での時刻及び時間の経過に伴い稼働率基準
線を上側から下側に突き抜ける交点での時刻をそれぞれ
求めて設定される。
【0036】また、前記過剰酸素供給開始時刻は、圧送
管内での下水の滞留時間を求め、前記稼働率低下時刻か
ら滞留時間を引して求められる。この圧送管内での滞留
時間(t)は、前記下水圧送システムの圧送管容量V
(m3)、圧送ポンプ能力Q(m3/Hr)及び圧送ポンプの
基準稼働率Kに基づいて、式:t=V/(Q×K)によ
り与えられる。例えば、ポンプの圧送能力を160m3/
時、基準稼働率Kを0.55とし、250mmφの下水圧
送管を用いて日平均2500m3/日で下水を2425m
下流に圧送するとすれば、圧送管容量V=118.98
m3であるので、滞留時間t=118.98/(160×
0.55)=1.35hrとなるので、過剰酸素供給開始
時刻は稼働率低下時刻から1時間20分前の時刻に設定
される。
【0037】前記圧送ポンプ3a,3bの稼働率は、図
2に示すように、時間の経過と共に変動し、貯留槽2へ
の流入量が多い時間帯には圧送ポンプ3a,3bの停止
時間は短いが、流入量が少ない場合には停止時間が長く
なるため、時刻が過剰酸素供給開始時刻(前記例では、
稼働率低下時刻が午後3時であるので、その時刻よりほ
ぼ圧送管内での下水の滞留時間である1時間20分だけ
早い午後1時40分)になると、タイマー11からの信
号を受けて電磁弁9bが開放され、酸素ガス供給ライン
6へは、電磁弁9aを介して供給される酸素ガスに加え
て電磁弁9bを介して酸素ガスが供給され、定常運転時
よりも過剰な酸素ガスの供給が開始される。この過剰な
酸素ガス供給状態は、過剰酸素供給開始時刻から稼働率
上昇時刻(前記例では、午後6時)に達するまで、即
ち、長間欠稼働時間帯の間維持される。
【0038】通常稼働時間帯から長間欠稼働時間帯に移
行した後、時刻が稼働率低下時刻に達したときには、過
剰な酸素ガスを注入された下水が圧送管から下流側中継
所1Bの貯留槽に流出し始めるのとほぼ同じであるの
で、その後に圧送ポンプが長時間停止しても、圧送管内
は過剰な酸素ガスを注入された下水が滞留することにな
り下水が嫌気状態になるのが阻止され、硫化水素の発生
が抑制される。
【0039】他方、時刻が稼働率上昇時刻に達すると、
タイマー11からの信号を受けて電磁弁9bが閉じられ
通常運転に入り、以後は、時刻が過剰酸素供給開始時刻
に再び達するまで、貯留槽2A内の液面レベルの変動に
より圧送ポンプ3a,bが制御され、時刻が第二の過剰
酸素供給開始時刻(前記例では、稼働率低下時刻が午前
1時であるため、それより圧送管内での下水の滞留時間
である1時間20分だけ早い時刻、午後11時40分)
になると、前述のようにタイマー11からの信号を受け
て電磁弁9bが開放される。従って、下水圧送管5には
電磁弁9a及び電磁弁9bを介して酸素ガスが注入さ
れ、通常運転時の酸素ガス供給量よりも電磁弁9bを介
して供給される量だけ過剰となり、これにより下水圧送
管5内の下水が嫌気状態になるのが阻止され、硫化水素
の発生が抑制される。
【0040】図4は本発明の他の実施の形態に於ける酸
素発生装置を示し、当該酸素発生装置は、複数の吸着槽
ユニットを並列接続する一方、当該吸着槽ユニットの制
御系を少なくとも二系統に分け、当該二系統の制御系に
より所要酸素量に応じて前記吸着槽ユニットの全部又は
一部を選択的に稼働させることにより、酸素ガス貯留タ
ンクを省略可能とし酸素発生装置の設置スペースを低減
させると同時に、省エネルギーを図ったものである。
【0041】前記酸素発生装置は、図4に示すように、
空気圧縮部17、酸素ガス発生部18及び制御装置4a
を含み、当該制御装置4aは制御部15aを備え、後述
の電磁弁26a、26b、27a、27bを開閉する駆
動部22a、22bが設けられている。前記空気圧縮部
17は空気圧縮機17a及び脱湿機17bで構成されて
いる。なお、前記空気圧縮機17aは複数台で構成され
ている。また、前記酸素ガス発生部18は並列接続され
た複数の吸着槽ユニットPSA1〜PSAnを含み、各吸
着槽ユニットPSA1〜PSAnはそれぞれ一対の窒素吸
着槽23a、23bで構成されている。各窒素吸着槽の
一次側は電磁弁26a、27aを介して圧縮空気供給ラ
イン24に、電磁弁26b、27bを介して排ガスライ
ン26にそれぞれ接続され、他端の二次側は逆止弁28
a,28bを介して酸素吐出ライン25に接続されてい
る。また、対の窒素吸着槽23a、23bはその二次側
が弁30を介して接続されている。
【0042】前記吸着槽ユニットPSA1〜PSAnは、
制御装置4により二系統の動作系に分けられ全吸着槽ユ
ニットPSA1〜PSAn又は一部の吸着槽ユニットPS
n- 1〜PSAnが一群として選択的に稼働させられる。
即ち、制御装置4の駆動部22aは全吸着槽ユニットP
SA1〜PSAnの電磁弁26a、26b、27a、27
bに接続され、他の駆動部22bは一部の吸着槽ユニッ
トPSAn-1〜PSAnの電磁弁26a、26b、27
a、27bに接続されている。
【0043】前記各吸着槽ユニットPSA1〜PSAn
動作について説明すると、対の窒素吸着槽23a、23
bのうちの一方、例えば、窒素吸着槽23aを稼働させ
る場合、制御部15aの信号を受けて駆動部22a又は
22bにより電磁弁26a、27bが開かれると同時に
電磁弁26b、27aが閉じられ、窒素吸着槽23aに
圧縮空気供給ライン24から所要の圧縮空気が供給され
る。窒素吸着槽23aではその内部の吸着剤(例えば、
合成ゼオライト)で二酸化炭素、水分及び窒素等が吸着
され、高濃度(90%以上)の酸素ガスが酸素吐出ライ
ン25へ吐出される。他方の窒素吸着槽23bでは内部
圧力が常圧に戻され吸着剤に吸着されている窒素ガス等
が排ガスライン26に放出され、吸着剤が再生される。
この時、酸素ガスの一部を電磁弁30を介して他方の窒
素吸着槽23bにパージさせて再生を促進している。所
定時間経過すると、制御部15aの信号を受けて電磁弁
26a、27bが閉じられると同時に電磁弁26b、2
7aが開かれ、窒素吸着槽23bに圧縮空気が供給され
当該窒素吸着槽23bから酸素ガスが酸素吐出ライン2
5に吐出され、前の窒素吸着槽23aは排ガスライン2
6に窒素等を放出して再生される。以後は前記動作を所
定周期で交互に繰り返すことにより酸素ガスが連続的に
酸素吐出ライン25へ吐出され、当該酸素吐出ライン2
5を介して高濃度の酸素ガスが前記下水圧送管内に注入
される。
【0044】所要酸素ガス量が最大になった時、即ち、
現在時刻が過剰酸素供給開始時刻に達すると、タイマー
からの信号を受けた制御部15aにより前記所要酸素ガ
ス量に対応する所要圧縮空気を供給するに必要な空気圧
縮機17aが駆動されると同時に、駆動部22aにより
全吸着槽ユニットPSA1〜PSAnが前記動作を開始し
て最大量の酸素が下水圧送管に注入され、現在時刻が稼
働率上昇時刻に達するまで過剰な酸素ガス注入が持続さ
れる。他方、現在時刻が稼働率上昇時刻に達すると、タ
イマーからの信号を受けて制御部15aが駆動部22a
を停止させて吸着槽ユニットPSA1〜PSAn-2の全電
磁弁を閉鎖させると同時に、駆動部22bを作動させて
一部の吸着槽ユニットPSAn-1〜PSAnの電磁弁26
a、27bを開、電磁弁26b、27aを閉として前記
動作を行い、所定量((稼働吸着槽ユニット数/全吸着
槽ユニット数)*100%)の酸素を連続的に酸素吐出
ライン25へ吐出し、当該酸素吐出ライン25を介して
一定量の酸素ガスが前記下水圧送管内に注入される。ま
た、制御部15aが駆動部22a、22bを切り替える
と同時に、一定量の酸素ガスに対応する所要圧縮空気を
供給するに必要な空気圧縮機17aが駆動される。
【0045】前記実施態様においては、空気圧縮機を複
数台で構成して稼動台数を選択することにより所要圧縮
空気を得るようにしているが、最大の所要圧縮空気を得
るに十分な1台の空気圧縮機で構成し、インバータによ
る回転数制御によって所要の圧縮空気を得るようにして
も良い。
【0046】
【実施例】図1に示す下水圧送システムを用い、上流側
中継所1Aから250mmφの下水圧送管で2425m下
流の中継所1Bに160m3/時の圧送能力を有する圧送
ポンプにより、平均2500m3/日で圧送するに当た
り、スイッチ16を稼働率低下時刻の午前1時及び午後
3時よりそれぞれ1時間20分早い午後11時40分か
ら7時までの時間帯及び午後1時40分から午後6時ま
での時間帯にオンするようにセットし、通常稼働時間帯
での酸素ガス供給量をそれぞれ酸素ガス供給濃度が1
8.5mg/リットル、11.9mg/リットル、8.5mg/リッ
トルになるように調整する一方、長間欠稼働時間帯の酸
素ガス供給量を通常稼働時間帯の酸素ガス供給量の1.
5倍に調整して下水圧送システムを稼働させた。システ
ムの稼働中、上流側中継所1Aでの所定時間毎の圧送下
水量を測定すると同時に、下流側中継所1Bへの入口で
の硫化水素濃度を所定時間毎にそれぞれ測定した。その
結果を図2に示す。
【0047】
【比較例】実施例で用いた下水圧送システムにおいて、
スイッチ16を外し、長間欠稼働時間帯での副系統ライ
ンからの酸素ガス供給量が零になるようにした以外は同
じ条件で下水圧送システムを稼働させ、上流側中継所1
Aでの所定時間毎の圧送下水量を測定すると同時に、圧
送下水中に酸素ガスを供給しない場合、及び圧送下の下
水に酸素ガス供給量をそれぞれ酸素ガス供給濃度が1
8.5mg/リットル、11.9mg/リットル、8.5mg/リッ
トルになるように調整して供給した場合について下流側
中継所1Bでの硫化水素濃度を所定時間毎に測定した。
その結果を表1及び図3に示す。図3では、圧送下水量
を上流側中継所1Aでの平均水量104m3/時(250
0m3/日÷24時/日)に対する測定水量の比を対平均水
量比として示す。
【0048】
【表1】 酸素ガス供給濃度 H2S濃度(ppm) 抑制率 (mg/リットル) 最高濃度 最低濃度 平均濃度 (%) 0 60 20 49.8 − 18.5 11.5 - 1.0 98 11.9 30 - 6.5 87 8.5 40 - 12.1 75
【0049】表1及び図3から明らかなように、圧送下
水中に酸素ガスを供給しない状態では時間帯によって変
動する圧送下水量にに対応して下流側中継所1Bでの硫
化水素濃度も60ppm〜20ppmと大きく変動する。これ
に対して、上流側中継所1Aから中継所1Bへの下水圧
送管5内の下水中に酸素ガスを一定量で注入すると、酸
素ガス供給濃度の増加に応じて硫化水素濃度は著しく低
下するが、午前1時から7時までの時間帯及び午後3時
から午後6時までの時間帯では硫化水素が発生し、酸素
ガス供給濃度が18.5mg/リットルでも硫化水素濃度が
10ppmを越える場合があることが分かる。
【0050】これに対して、本発明の方法によれば、図
2に示す結果から明らかなように、通常稼働時間帯での
酸素ガス供給量を8.5mg/リットルの低濃度で注入した
場合でも、圧送水量の少ない長間欠稼働時間帯(午前3
時から6時までの時間帯及び14時から18時までの時
間帯)を含む24時間の全時間帯に渡って硫化水素濃度
を10ppm以下に抑制することができる。
【0051】前記実施態様においては、前記圧送下水量
及び硫化水素濃度の1日の変動パターンが年間を通じて
ほぼ一定であることに着目して、圧送下水量の変動パタ
ーンに応じて供給すべき酸素ガス量を予め設定し、長間
欠稼動となる時間帯に通常稼働時間帯での酸素ガス供給
量の1.5倍の酸素ガスを圧送下の下水に注入するよう
にしているが、定量ポンプの代わりに可変ポンプを用い
た下水圧送システムにあっては、電磁弁9の代わりに流
量制御弁を用い、下水圧水量を計測し、その計測量に対
応した酸素ガスを供給するようにしても良い。
【0052】また、実施例の下水圧送システムにおい
て、酸素ガス貯留タンク19(容量8m3)を有する図5
に示す酸素発生装置を採用した場合(実施例)と、酸素
ガス貯留タンクの無い図4に示す酸素発生装置を採用し
た場合(改良例)の設置スペース及び消費電力の比較結
果を下表に示す。なお、日平均下水量11000m3
日、下水圧送管口径400mmφ、下水圧送距離2.5k
m、下水の連続圧送時の酸素ガス注入量を12 m3N/h、
注入時間を20時間とし、下水の間欠圧送時の酸素ガス
注入量を16.8 m3N/h、注入時間を2時間とし、空気
圧縮機の定格消費電力を23.35kwとして求めた。
【0053】
【表2】 実施例 改良例 設置スペース 長さ 6.2 m 3.7 m 幅 3.0 m 3.0 m 面積 18.6 m2 11.1 m2 消費電力 513.7 kwh 380.3 kwh 実施例における消費電力 23.35x(20+2)=513.7 比較例における消費電力 23.35x (12/16.8)x20 + 23.35x2 =380.3
【0054】表2に示す結果から明らかなように、改良
例では設置スペースが実施例の59.7%(11.1/18.6)
で約40%の削減でき、消費電力も74%(380.3/513.
7)で約26%低減できる。
【0055】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
は、圧送ポンプの稼動に連動して圧送下の下水中に酸素
ガスを供給し下水圧送管中での硫化水素の発生を抑制す
る方法において、圧送ポンプの稼働率が基準稼働率以下
に低下する時刻より所定時間前の時刻に圧送下水量に対
応する一定量の酸素ガスよりも過剰な酸素ガスの注入を
開始しているため、時刻が稼働率低下時刻に達したとき
には圧送管内の下水が過剰な酸素ガスを注入されている
結果、その後に圧送ポンプが長時間停止しても下水が嫌
気状態になるのを阻止することができ、硫化水素の発生
が抑制される。また、圧送下水量の変動に拘わらず常に
硫化水素濃度を10ppm以下に抑制できるので、下水圧
送システムの腐食を防止できる。また、酸素発生装置に
於ける窒素吸着槽を少なくとも2系統に分けて稼働させ
るようにすることにより、酸素ガス貯留タンクが不要と
なり設置スペースを著しく削減できると同時に、圧縮機
の消費電力を激減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明方法に実施に使用する下水圧送システ
ムの構成図
【図2】 本発明方法による硫化水素発生の抑制効果を
示すグラフ
【図3】 従来法による硫化水素発生の抑制効果を示す
グラフ
【図4】 本発明に係る酸素発生装置の説明図
【図5】 図1に於ける酸素発生装置の説明図
【符号の説明】
1…中継所 2…貯留槽 3…圧送ポンプ 4…制御装置 5…下水圧送管 6…酸素ガス供給ライン 7…酸素ガス供給源 8…分岐ライン 9…電磁弁 10…弁 11…タイマー 12…水位センサー 13…駆動回路 15…制御部 16…スイッチ 17…空気圧縮機 18…酸素ガス発生部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河村 康利 大阪府大阪市西区京町堀2丁目4番7号 中外炉工業株式会社内 (72)発明者 田村 篤 大阪府大阪市西区京町堀2丁目4番7号 中外炉工業株式会社内 Fターム(参考) 2D063 AA07 BA00 DC00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧送ポンプの稼動に連動して圧送下の下
    水中に酸素ガスを注入し下水圧送管内での硫化水素の発
    生を抑制する方法において、1日を1サイクルとする圧
    送ポンプの稼働率変動パターンに基づいて基準稼働率及
    び圧送ポンプの稼働率が前記基準稼働率よりも上昇し始
    める稼働率上昇時刻と前記基準稼働率よりも低下し始め
    る稼働率低下時刻を設定する一方、前記稼働率低下時刻
    よりも所定時間前の時刻を過剰酸素供給開始時刻として
    設定し、時刻が過剰酸素供給開始時刻に達してから稼働
    率上昇時刻に達するまでの時間帯は圧送下水量に対応す
    る一定量の酸素ガスよりも過剰に酸素ガスを下水中に注
    入することを特徴とする下水圧送管中の硫化水素発生抑
    制方法。
  2. 【請求項2】 空気圧縮機、並列接続された複数の吸着
    槽ユニット及び前記吸着槽ユニットの全部又は一部を一
    群として制御する少なくとも二系統の制御系を含む制御
    装置を備え、下水圧送管への所要酸素注入量に応じて一
    方の制御系を選択して前記吸着槽ユニットの全部又は一
    部を選択的に稼働させると共に、前記所要酸素注入量に
    応じた所要圧縮空気量を供給することを特徴とする酸素
    発生装置。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014098282A (ja) * 2012-11-15 2014-05-29 Ebara Corp 真空ポンプユニット、及び真空ステーション
JP2014098283A (ja) * 2012-11-15 2014-05-29 Ebara Corp 真空ポンプユニット、及び真空ステーション
JP2014098284A (ja) * 2012-11-15 2014-05-29 Ebara Corp 真空ステーション
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WO2019093283A1 (ja) * 2017-11-07 2019-05-16 王子ホールディングス株式会社 混合装置、水処理装置および水処理方法
JP2019085771A (ja) * 2017-11-07 2019-06-06 王子ホールディングス株式会社 水処理装置および水処理方法

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