JP2001010246A - 直描型平版印刷用原版及び平版印刷版の作成方法 - Google Patents

直描型平版印刷用原版及び平版印刷版の作成方法

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JP2001010246A
JP2001010246A JP18181999A JP18181999A JP2001010246A JP 2001010246 A JP2001010246 A JP 2001010246A JP 18181999 A JP18181999 A JP 18181999A JP 18181999 A JP18181999 A JP 18181999A JP 2001010246 A JP2001010246 A JP 2001010246A
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JP18181999A
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Hiroshi Tashiro
宏 田代
Eiichi Kato
栄一 加藤
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 地汚れがなく、画像の欠落・歪み等のない鮮
明な画像の印刷物を多数枚印刷可能とする直描型平版印
刷用原版、特に油性インク利用の静電吐出型インクジェ
ット式製版用の直描型平版印刷用原版を得る。 【解決手段】 耐水性支持体上に、平均粒子径が1〜6
μmのシリカ粒子と平均粒子径が5〜50nmの無機顔
料超微粒子とを重量比で40〜70対60〜30の割合
で含有する無機顔料と、カルボキシル基、スルホ基及び
ホスホノ基から選ばれる少なくとも1種の極性官能基で
変性された親水性樹脂とを含有する画像受理層を設けて
直描型平版印刷用原版とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、直描型平版印刷用
原版に関し、更に詳しくは軽印刷用に好適な直描型平版
印刷用原版に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、軽印刷分野で使用されている平版
印刷用原版には、(1)耐水性支持体上に、親水性の画
像受理層を設けた直描型の原版、(2)耐水性支持体上
に、光導電性酸化亜鉛を含む光導電層を設けた電子写真
感材を原版とし、画像形成後に非画像部を、不感脂化処
理して印刷版とするもの、(3)耐水性支持体上に、ハ
ロゲン化銀乳剤層を設けた銀塩写真型の原版等が挙げら
れる。
【0003】最近の事務機器の発達とOA化の進展に伴
い、軽印刷分野において、上記(1)の直描型平版印刷
用原版に電子写真式プリンター、感熱転写プリンター、
インクジェットプリンター等の種々の方法で製版(即ち
画像形成)を行い印刷版とするための特定の処理をする
ことなく直接に印刷版を作成するオフセット平版印刷方
式が望まれている。
【0004】従来の直描型平版印刷用原版は、紙等の支
持体の両面に裏面層及び中間層を介して画像受理層とな
る表面層が設けられていた。裏面層又は中間層はPVA
や澱粉等の水溶性樹脂及び合成樹脂エマルジョン等の水
分散性樹脂と顔料で構成されている。画像受理層は、無
機顔料、水溶性樹脂及び耐水化剤で構成される。
【0005】従来、無機顔料としては、カオリン、クレ
ー、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン、酸
化亜鉛、硫酸バリウム、アルミナ等が挙げられる。水溶
性樹脂としては、ポリビニルアルコール(PVA)、カ
ルボキシPVAのような変性PVA、澱粉及びその誘導
体、カルボキシメチルセルローズ、ヒドロキシエチルセ
ルロースのようなセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチ
ン、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル〜クロトン酸共
重合体、スチレン〜マレイン酸共重合体等の水溶性樹脂
が挙げられている。
【0006】また、耐水化剤としてはグリオキザール、
メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド
樹脂等のアミノブラストの初期縮合物、メチロール化ポ
リアミド樹脂のような変性ポリアミド樹脂、ポリアミド
・ポリアミン・エピクロルヒドリン付加物、ポリアミド
エピクロルヒドリン樹脂、変性ポリアミドポリイミド樹
脂等が挙げられている。その他、更には、塩化アンモニ
ウム、シランカップリング剤の架橋触媒等が併用できる
ことも知られている。
【0007】最近の各種プリンターによる製版において
は、この原版の画像受理層には、平版印刷版として印刷
インキ付着汚れを生じさせない親水性と同時に耐水性、
更には、形成された親油性画像層との密着性が重要な点
として要求され、従来種々の提案がなされている。
【0008】例えば、無機顔料として、酸化亜鉛、カオ
リンナイト及びアルミナを用い、さらに水溶性樹脂と耐
水化剤及び酢酸を共存させて分散し、その間に酢酸と酸
化亜鉛を反応させて酢酸亜鉛に代えた分散物を塗布して
形成された画像受理層を用いることによって、親水性と
画像密着性の向上(特開昭63−54288号)が、前
記において、アルミナの代わりにタルクあるいはシリカ
を用い且つ耐水化剤として、アルミニウム、ジルコニウ
ム、チタン系の金属化合物を使用した画像受理層によっ
て、親水性と耐水性の向上(特開昭63−166590
号、同63−166591号)が可能となると提案され
ている。
【0009】また、乾式トナーを利用した電子写真式プ
リンター(PPC複写機)で製版した場合は、製版され
た版の非画像部にトナーの付着が生じ、これが印刷版と
して印刷すると印刷物上に、地汚れとなるという問題の
対策として、例えば、平均粒径5〜20μmのシリカ等
の無機顔料を用いて画像受理層の表面粗さを特定の粗さ
に調整する方法(特公平6−96353号)、無機顔料
として各々の平均粒径が5〜20μmのシリカとアルミ
ナゾルを併用する方法(特開昭62−157058号)
等が開示されている。
【0010】更にPPC複写機とともに、感熱転写型プ
リンターでの製版における、非画像部のインク付着汚れ
・インク画像の密着性不足を改良する技術として、粒子
径が20nm以下のコロイド性シリカと重炭酸カルシウ
ム等の顔料及びポリエチレンワックスエマルジョン等の
滑剤を組み合わせて用いる方法(特開平6−18316
4号)、粒子径20μm以下の合成シリカ粉末と粒子径
が50μm以下のコロイド状シリカ及びポリビニルアル
コールの親水性樹脂を併用する方法(特公平5−178
71号)等が開示されている。
【0011】一方、前記の様に、最近の各種OA機器、
各種コンピューター及びその周辺機器の普及、そして技
術の進展により、パソコンあるいはワークステーション
を用いて、編集等を行ない作成した画像を、デジタル出
力信号と対応可能な各種プリンターから、直接、平版印
刷版上に製版する方式が可能となった。また、デジタル
信号対応可能で、従来よりも高精細な画像形成が可能と
なったプリンターとして、粒径7〜8μmの乾式トナー
を用いたレーザープリンター、油性インクを、静電界下
に吐出させて画像形成する静電吐出型インクジェットプ
リンター等が開発されてきた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】これらによって、地汚
れのない、高精細な画像の印刷物を多数枚印刷可能な直
描型平版印刷用原版が上記した様なシステムで望まれて
いる。しかし、前記した従来技術で作成される原版で
は、地汚れ、高精細な画像の再現性、画像部の耐久性
(即ち耐刷性)等が、未だ不充分であった。
【0013】本発明の目的は、地汚れがなく、画像の欠
落・歪み等のない鮮明な画像の印刷物を多数枚印刷可能
とする直描型平版印刷用原版を提供することである。本
発明の他の目的は、地汚れがなく画像滲みのない鮮明な
画像の印刷物を多数枚印刷可能とする油性インク利用の
静電吐出型インクジェット式製版用の直描型平版印刷用
原版を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的は、以下の
(1)〜(7)の本発明により達成される。 (1)耐水性支持体上に、無機顔料及び親水性結着樹脂
を主成分とする画像受理層を設けて成る直描型平版印刷
用原版において、該無機顔料として、平均粒子径が1〜
6μmのシリカ粒子と平均粒子径が5〜50nmの無機
顔料超微粒子とを重量比で40〜70対60〜30の割
合で含有し、該親水性樹脂として、カルボキシル基、ス
ルホ基及びホスホノ基から選ばれる少なくとも1種の極
性官能基で変性された親水性樹脂を含有することを特徴
とする直描型平版印刷用原版。
【0015】(2)前記画像受理層が、親水性樹脂とし
て、下記一般式(I)で示されるシリル官能基で変性さ
れた親水性樹脂を更に含有することを特徴とする上記
(1)記載の直描型平版印刷用原版。 一般式(I) −Si(R)n(OX)3-n 〔式(I)中、Rは水素原子又は炭素数1〜12の炭化
水素基を表す。Xは炭素数1〜8の脂肪族基を表す。n
は0、1又は2を表す。〕
【0016】(3)前記画像受理層が、親水性樹脂とし
てゼラチン及びゼラチン硬化性化合物を更に含有するこ
とを特徴とする上記(1)又は(2)記載の直描型平版
印刷用原版。
【0017】(4)前記画像受理層に含有されるゼラチ
ン硬化性化合物が、下記一般式(II)で示される二重結
合基を分子中に2個以上含有する化合物である上記
(3)記載の直描型平版印刷用原版。 一般式(II) CH2=CH−W− 式(II)中、Wは、−OSO2−、−SO2−、−CON
1−又は−SO2NR1−を表す(但し、R1は水素原子
又は炭素数1〜8の脂肪族基を表す)。
【0018】(5)前記画像受理層に含有される平均粒
径5〜50nmのコロイド状無機顔料超微粒子が、コロ
イダルシリカ、チタニアゾル及びアルミナゾルから選択
される少なくとも1種である上記(1)〜(4)のいず
れかに記載の直描型平版印刷用原版。
【0019】(6)前記画像受理層表面の平滑性がベッ
ク平滑度で30(秒/10cc)以上であることを特徴
とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の直描型平
版印刷用原版。
【0020】(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記
載の直描型平版印刷用原版に、電気抵抗109Ω・cm
以上且つ誘電率3.5以下の非水溶媒中に、少なくとも
常温で固体かつ疎水性の荷電を有する樹脂粒子を分散し
た油性インクを、静電界を利用して吐出させてインクジ
ェット方式で画像を形成することを特徴とする平版印刷
版の作成方法。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明の耐水性支持体上に設けられ
た画像受理層は、特定の無機顔料と特定の官能基で変性
された親水性樹脂とを主成分として含有する。
【0022】無機顔料としては、平均粒径1〜6μmの
シリカ粒子と平均粒径5〜50nmの無機顔料超微粒子
を用いる。
【0023】本発明に供されるシリカ粒子は、好ましく
は平均粒径1.0〜4.5μmである。シリカ粒子は、
二酸化ケイ素を主成分(99%以上)とする、結晶構造
を持たない無定形のシリカ合成シリカ微粉末である。具
体的には、加賀美敏郎、林瑛監修「高純度シリカの応用
技術」第4章及び第5章、(株)シーエムシー(199
1年)等に記載されている。
【0024】本発明の合成シリカ微粉末は、多孔性で細
孔容積が調整された平均粒子径1〜6μmのサイズのも
のであるが、細孔径及び細孔容積、更には、吸油量、表
面シラノール基密度等は特に限定されるものではない。
これらの合成シリカ微粉末は、市販品として、容易に入
手できる。
【0025】平均粒子径5〜50nmの無機顔料超微粒
子として従来公知の化合物が挙げられる。好ましくはシ
リカゾル、チタニアゾル、アルミナゾル、酸化チタン、
含水酸化チタン、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウ
ム、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化ジルコニウム等であ
る。より好ましくは、シリカゾル、チタニアゾル及びア
ルミナゾルのうちの少なくとも1種である。
【0026】シリカゾルは、表面に多くの水酸基を持
ち、内部はシロキサン配合(−Si−O−Si)を構成
している、粒子径1〜100nmのシリカ超微粒子が、
水又は極性溶媒中に分散したものであり、コロイダルシ
リカとも称されているものである。具体的には、前記の
成書「高純度シリカの応用技術」第3章に記載されてい
る。アルミナゾルは、5nm〜200nmのコロイドの
大きさをもつアルミナ水和物(ベーマイト系)で、水中
の陰イオン(例えばフッ素イオン、塩素イオン等のハロ
ゲン原子イオン、酢酸イオン等のカルボン酸アニオン
等)を安定剤として分散されたものである。チタニアゾ
ルは5nm〜500nmのコロイドの大きさをもつTi
2 もしくはTi(O)(OH)2またはこの混合物を称す
るものを表す。
【0027】上記コロイド状微粒子で平均粒径が5〜5
0nmのものが本発明に好ましく用いられる。好ましく
は平均粒径が5〜40nmのものである。これら無機顔
料超微粒子は、いずれも市販品として容易に入手でき
る。
【0028】また本発明において、シリカ粒子と無機顔
料超微粒子の存在割合は40〜70対60〜30の重量
比であり、好ましくは45〜60対55〜40重量比で
ある。
【0029】本発明の無機顔料として用いるシリカ粒子
及び無機顔料超微粒子の各々の粒径及び使用割合が前記
範囲内において、画像受理層の膜強度が充分に保持さ
れ、各種プリンターで製版し画像形成した場合に、非画
像部へのトナー又はインクの付着汚れが実用上問題とな
らない程に抑制され、且つ細線、細文字、微小な網点等
の高精細な画像が、欠落・歪み・滲み等のない鮮明なも
のとなる。更に、印刷版として印刷すると、非画像部は
印刷インクの付着汚れが生じない極めて親水性に優れた
ものであり、同時に画像部はトナー又はインクとの密着
性が良好で、多数枚印刷しても画像の欠落を生じないと
いう優れた効果を発現する。
【0030】本発明の親水性樹脂は、カルボキシル基、
スルホ基及びホスホノ基(−PO32基)から選ばれる
少なくとも1種の極性官能基で変性された親水性樹脂を
少なくとも含有する。これらの極性官能基は、塩を形成
してもよい。本発明の「極性官能基」で変性された親水
性樹脂は、水酸基を有する親水性樹脂を、常法により変
性させて、「極性官能基」を導入することにより容易に
得られる。
【0031】前記極性官能基を含有する親水性樹脂とし
ては、天然水溶性高分子、半合成水溶性高分子、合成高
分子のいずれでもよく、具体的には経営開発センター出
版部刊(1981年);長友新治「新・水溶性ポリマーの応
用と市場」(株)シーエムシー刊(1988年);「機能性
セルロースの開発」(株)シーエムシー刊(1985年)小
竹無二雄監修「大有機化学第19巻:天然高分子化合物
I」朝倉書店(1960年)等に記載のものが挙げられる。
【0032】例えば、天然及び半合成の高分子として
は、セルロース、セルロース誘導体(セルロースエステ
ル類;硝酸セルロース、硫酸セルロース、酢酸セルロー
ス、プロピオン酸セルロース、コハク酸セルロース、酪
酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、酢酸酪酸セル
ロース、酢酸フタル酸セルロース等、セルロースエーテ
ル類;メチルセルロース、エチルセルロース、シアノエ
チルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロ
キシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシ
エチルセルロース等)、デンプン、デンプン誘導体(酸
化デンプン、エステル化デンプン類;硝酸、硫酸、リン
酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸等のエステル
化体、エーテル化デンプン類;メチル化、エチル化、シ
アノエチル化、ヒドロキシアルキル化、カルボキシメチ
ル化等の誘導体)、アルギン酸、ペクチン、カラギーナ
ン、タマリンドガム、天然ガム類(アラビアガム、グア
ーガム、ローカストビーンガム、トランガントガム、キ
サンタンガム等)、プルラン、デキストラン、カゼイ
ン、ゼラチン、キチン、キトサン等が挙げられる。
【0033】合成高分子としては、例えばポリビニルア
ルコール、ポリアルキレングリコール〔ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、(エチレングリ
コール/プロピレングリコール)共重合体等〕、アリル
アルコール共重合体、アクリル酸共重合体、メタクリル
酸共重合体、水酸基を少なくとも1種含有するアクリル
酸エステルもしくはメタクリル酸エステルの重合体また
は共重合体〔エステル置換基として、例えば2−ヒドロ
キシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジ
ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシ−2−ヒドロキ
シメチル−2−メチルプロピル基、3−ヒドロキシ−
2,2−ジ(ヒドロキシメチル)プロピル基、ポリオキ
シエチレン基、ポリオキシプロピレン基等〕、アクリル
アミドもしくはメタクリルアミドのN−置換体の重合体
又は共重合体〔N−置換基として、例えばモノメチロー
ル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピ
ル基、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル基、
2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシペンチル基等〕
等が挙げられる。但し、合成高分子としては、繰り返し
単位の側鎖置換基中に少なくとも1個の水酸基を含有す
るものであれば、特に限定されるものではない。
【0034】これら親水性樹脂の分子量は、好ましくは
103〜106、より好ましくは5×103〜4×105
ある。本発明の上記極性官能基の含有量は特に限定的で
ないが、0.5〜50重量%であることが好ましい。
【0035】また、本発明の上記極性官能基変性親水性
樹脂は、画像受理層中の全親水性樹脂の好ましくは3〜
95重量%、より好ましくは10〜80重量%、さらに
好ましくは20〜50重量%含有することで、更に良好
な版材性能を発現する。この範囲内において、画像受理
層表面が良好な親水性を示し、印刷時に該画像受理層表
面の非画像部に充分な水を保持し、インキ反発性を高
め、地汚れのない良好な印刷物を得ることができる。
【0036】更に本発明の親水性樹脂は、前記一般式
(I)で示されるシリル官能基で変性された親水性樹脂
を少なくとも含有することが好ましい。本発明の「シリ
ル官能基」で変性された親水性樹脂は、水酸基を有する
親水性樹脂を、常法により変性させて、「シリル官能
基」を導入することにより容易に得られる。
【0037】式(I)においてRが示す好ましい炭化水
素基としては、炭素数1〜12の置換されてもよいアル
キル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチ
ル基、ヘプチル基、ヘキシル基、ペンチル基、オクチル
基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、2−ヒドロキシ
エチル基、2−メトキシエチル基、2−シアノエチル
基、2−エトキシエチル基、3,6−ジオキサペプチル
基、3−スルホプロピル基、2−カルボキシエチル基、
2−メトキシカルボニルエチル基、3−クロロプロピル
基、3−ブロモプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロ
ピル基、トリフロロエチル基等)、炭素数3〜12の置
換されてもよいアルケニル基(例えばプロペニル基、ブ
テニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル
基、オクテニル基、ノニル基、デセニル基等)、炭素数
7〜12の置換されてもよいアラルキル基(例えば、ベ
ンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ク
ロロベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル
基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチル
ベンジル基、ジメトキシベンジル基、カルボキシベンジ
ル基等)、
【0038】炭素数5〜8の置換されてもよい脂環式基
(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−シ
クロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル基
等)、炭素数6〜12の置換されてもよい芳香族基(例
えばフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、
プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェ
ニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル基、エ
トキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デシルオキシ
フェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、
ブロモフェニル基、シアノフェニル基、アセチルフェニ
ル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボ
ニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル基、アセ
トアミドフェニル基、プロピオアミドフェニル基、カル
ボキシフェニル基、スルホフェニル基、カルボキシメチ
ルフェニル基等)等が挙げられる。
【0039】式(I)におけるXは、炭素数1〜8の脂
肪族基を表す。好ましくは炭素数1〜8の置換されても
よいアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、
オクテル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチ
ル基、3−メトキシプロピル基、3,6−ジオキサペプ
チル基、2−オキソブチル基等)、炭素数3〜8の置換
されてもよいアルケニル基(例えばプロピル基、ブテニ
ル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オ
クテニル基等)、炭素数7〜12の置換されてもよいア
ラルキル基(例えばベンジル基、フェネチル基、3−フ
ェニルプロピル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル
基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベ
ンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベンジル基
等)、炭素数5〜8の置換されてもよい脂環式基(例え
ばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチ
ル基、シクロオクチル基等)が挙げられる。Xのより好
ましい脂肪族基としては、炭素数1〜4の置換されても
よいアルキル基が挙げられる。
【0040】nは0、1又は2を表す。好ましくは0又
は1を表す。
【0041】以上の様な一般式(I)で示されるシリル
官能基を含有する親水性樹脂としては、天然水溶性高分
子、半合成水溶性高分子、合成高分子のいずれでもよ
く、具体的には経営開発センター出版部刊(1981年);
長友新治「新・水溶性ポリマーの応用と市場」(株)シ
ーエムシー刊(1988年);「機能性セルロースの開発」
(株)シーエムシー刊(1985年)小竹無二雄監修「大有
機化学第19巻:天然高分子化合物I」朝倉書店(1960
年)等に記載のものが挙げられる。
【0042】例えば、天然及び半合成の高分子として
は、セルロース、セルロース誘導体(セルロースエステ
ル類;硝酸セルロース、硫酸セルロース、酢酸セルロー
ス、プロピオン酸セルロース、コハク酸セルロース、酪
酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、酢酸酪酸セル
ロース、酢酸フタル酸セルロース等、セルロースエーテ
ル類;メチルセルロース、エチルセルロース、シアノエ
チルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロ
キシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシ
エチルセルロース等)、デンプン、デンプン誘導体(酸
化デンプン、エステル化デンプン類;硝酸、硫酸、リン
酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸等のエステル
化体、エーテル化デンプン類;メチル化、エチル化、シ
アノエチル化、ヒドロキシアルキル化、カルボキシメチ
ル化等の誘導体)、アルギン酸、ペクチン、カラギーナ
ン、タマリンドガム、天然ガム類(アラビアガム、グア
ーガム、ローカストビーンガム、トランガントガム、キ
サンタンガム等)、プルラン、デキストラン、カゼイ
ン、ゼラチン、キチン、キトサン等が挙げられる。
【0043】合成高分子としては、例えばポリビニルア
ルコール、ポリアルキレングリコール〔ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、(エチレングリ
コール/プロピレングリコール)共重合体等〕、アリル
アルコール共重合体、アクリル酸共重合体、メタクリル
酸共重合体、水酸基を少なくとも1種含有するアクリル
酸エステルもしくはメタクリル酸エステルの重合体また
は共重合体〔エステル置換基として、例えば2−ヒドロ
キシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジ
ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシ−2−ヒドロキ
シメチル−2−メチルプロピル基、3−ヒドロキシ−
2,2−ジ(ヒドロキシメチル)プロピル基、ポリオキ
シエチレン基、ポリオキシプロピレン基等〕、アクリル
アミドもしくはメタクリルアミドのN−置換体の重合体
又は共重合体〔N−置換基として、例えばモノメチロー
ル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピ
ル基、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル基、
2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシペンチル基等〕
等が挙げられる。但し、合成高分子としては、繰り返し
単位の側鎖置換基中に少なくとも1個の水酸基を含有す
るものであれば、特に限定されるものではない。
【0044】これら親水性樹脂の分子量は、好ましくは
103〜106、より好ましくは5×103〜4×105
ある。本発明のシリル官能基の含有量は特に限定的でな
いが、0.5〜40重量%であることが好ましい。
【0045】該官能基は、重合体の繰り返し単位中の側
鎖または重合体主鎖の末端に直接結合してもよいし、連
結基を介して結合してもよい。かかる連結基としては、
いずれの結合基でもよいが、例えば具体的に挙げるとす
れば、−O−、−CR2122−〔ここで、R21及びR22
は同じでも異ってもよく、各々水素原子、ハロゲン原子
(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、−OH基、シ
アノ基、アルキル基(メチル基、エチル基、2−クロロ
エチル基、2−ヒドロキシエチル基、プロピル基、ブチ
ル基、等)、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基
等)、フェニル基等を表す〕、−S−、−NR23−〔こ
こでR23は水素原子又は炭化水素基{炭化水素基として
具体的には炭素数1〜8の炭化水素基(例えばメチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、2
−メトキシエチル基、2−クロロエチル基、2−シアノ
エチル基、ベンジル基、メチルベンジル基、フェネチル
基、フェニル基、トリル基、クロロフェニル基、メトキ
シフェニル基等)が挙げられる}を表す〕、−CO−、
−COO−、−OCO−、−CONR23−、−SO2
23−、−SO2−、−NHCONH−、−NHCOO
−、−NHSO2−、−CONHCOO−、−CONH
CONH−、等の結合基の単独又はこれらの2以上の組
合せにより構成された連結基等が挙げられる。
【0046】本発明に供される上記の一般式(I)で示
されるシリル官能基を含有する親水性樹脂は、単独で用
いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの親
水性樹脂は、塗膜を形成後の加熱乾燥の工程で[−Si
(R)n(OX)3-n ]基の縮合反応により容易に式
(I′)
【0047】
【化1】
【0048】で示されるシロキサン結合を形成し樹脂間
の橋架けが起こり、膜を硬化して画像受理層の膜強度が
充分に保持される。詳細は不明だが、本発明の画像受理
層の表面は充分に親水性であると同時に、画像の密着性
が極めて良好で、印刷版として、耐刷性が飛躍的に向上
する。
【0049】更に、本発明の画像受理層は、前記した組
成物とともに更に親水性樹脂としてゼラチン及びゼラチ
ン硬化性化合物を含有した分散物を成膜して成ることが
好ましい。
【0050】本発明に供されるゼラチンとは、誘導タン
パク質の一種であり、コラーゲンから製造されるゼラチ
ンと称されるものであれば特に限定されるものではな
い。好ましくは、淡色、透明、無味、無臭の外観を示す
ものである。更には、写真乳剤用ゼラチンが、水溶液と
した場合の粘度、ゲルのゼリー強度等の物性が一定の範
囲内にあることからより好ましい。
【0051】本発明の画像受理層の結着樹脂として、ゼ
ラチンを併用することにより、画像受理層用分散混合物
の分散が容易となり、無機粒子の均一な分散がより促進
され、膜の強度が向上し、且つ、膜表面の平滑性が微細
な凹凸の形状に制御され、画像部の密着向上及び非画像
部の親水性向上が更に図られる。
【0052】また、本発明の画像受理層は、ゼラチン硬
化性化合物を併用し、該層を硬化して、耐水性良好なも
のとする。
【0053】ゼラチン硬化性化合物としては、従来公知
の化合物を用いることができる。例えば、T. H. James
「The theory of the Photographic Process」第2章
セクション III、Macmillan Publishing Co. Inc.(1977
年刊)、リサーチ・ディスクロージャー誌 No.17643, P
26 (1970年12月発行)等に記載されている。好ましく
は、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジポ
アルデヒドのジアルデヒド類、ジケトン類(例えば、
2,3−ブタンジオン、2,5−ヘキサンジオン、3−
ヘキセン−2,5−ジオン、1,2−シクロペンタンジ
オン等)、電子吸引基を隣接結合した二重結合を2個以
上有する活性オレフィン化合物等が挙げられる。
【0054】ゼラチン硬化性化合物は更に好ましくは、
前記一般式(II)で示される二重結合基を分子中に2個
以上含有する化合物である。式(II)において、好まし
くはR1は、水素原子又は炭素数1〜6の置換されても
よいアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、メチロール基、2−クロロエチル基、2
−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2
−カルボキシエチル基、3−メトキシプロピル基等)を
表す。式(II)中のWは、好ましくは−SO2−を表
す。
【0055】具体的には、例えば、レゾルシノールビス
(ビニルスルホナート)、4,6−ビス(ビニルスルホ
ニル)−m−キシレン、ビス(ビニルスルホニルアルキ
ル)エーテルあるいはアミン、1,3,5−トリス(ビ
ニルスルホニル)ヘキサヒドロ−s−トリアジン、1,
3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジ
93、ジアクリルアミド、1,3−ビス(アクリロイ
ル)尿素、N,N′−ビスマレイイミド類等が挙げられ
る。
【0056】ゼラチン硬化性化合物は、ゼラチン100
重量部に対して、0.5〜20重量部が好ましい。より
好ましくは、0.8〜10重量部である。この範囲内に
おいて、得られた画像受理層は膜強度が保持され、優れ
た耐水性を示すと同時に、画像の受理層の親水性を疎害
しない。
【0057】本発明の画像受理層は、上記無機顔料と親
水性樹脂との使用割合は、85〜50対15〜50重量
比が好ましく、より好ましくは15〜40対85〜60
重量比である。この範囲内において、前記した同様に、
膜の強度、非画像部の印刷インク付着防止、画像部との
密着性向上(耐刷性)等の効果が得られる。
【0058】本発明の画像受理層には、上記した成分と
ともに、他の構成成分を含有させてもよい。含有されて
いてもよい他の成分として、本発明に供されるシリカ及
びコロイド状粒子以外の無機顔料が挙げられ、このよう
な無機顔料としては、例えば、カオリン、クレー、炭酸
カルシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリ
ウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタ
ン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物等が挙
げられる。これらの他の無機顔料を併用する場合は、本
発明のシリカ粒子に対して、20重量%を越えない範囲
で用いることができる。
【0059】本発明の画像受理層には、画像受理層塗布
分散物の塗布性を良好とするために、界面調節剤(整面
剤)、滑泡剤、膜pHを調整するための緩衝剤等の各種
添加剤を併用してもよい。
【0060】本発明における画像受理層の厚さは、1m
2 当りの画像受理組成物の塗布量(乾燥後)で示して3
〜30g程度とすることが好ましい。
【0061】本発明の画像受理層は、その表面の平滑性
がベック平滑度で30(秒/10cc)以上が好ましい。例
えば製版で用いる感熱プリンター、インクジェットプリ
ンター、電子写真式プリンターにおいてそれぞれ良好な
範囲が挙げられる。用いるトナーが乾式トナーか液体ト
ナーでもそれぞれ適切な範囲が挙げられる。
【0062】乾式トナーを用いる電子写真式プリンター
あるいは感熱プリンターでは、本発明の原版の画像受理
層表面は、30〜200(秒/10cc)が好ましく、より
好ましくは50〜150(秒/10cc)である。この範囲
において、トナー画像を原版に転写し定着するプロセス
において、飛散トナーの非画像部への付着(即ち、地汚
れ)及び画像部のトナー付着が均一且つ充分になされ、
細線・細文字の再現性やベタ画像部の均一性が良好とな
る。
【0063】他方、液体トナーを用いる電子写真式プリ
ンターもしくは感熱プリンターまたはインクジェットプ
リンターの場合では、画像受理層表面は30(秒/10c
c)以上で、より高い程よく、100〜3000(秒/1
0cc)、より好ましくは120〜2500(秒/10cc)
である。この範囲において細線・細文字、網画像等の高
精細な画像部が忠実に画像受理層上に形成され且つ画像
受理層表面と画像部の密着も充分になされ、画像部強度
が保持できる。更に、非画像部分表面の微細な凹凸状態
により印刷時の湿し水が表面に保持され易くなり、印刷
汚れ発生を抑制することが可能となる。
【0064】本発明におけるベック平滑度は、ベック平
滑度試験機により測定することができ、高度に平滑に仕
上げられた中央に穴のある円形のガラス板上に、試験片
を一定圧力(1kg/cm2)で押しつけ、減圧下で一定量
(10cc)の空気が、ガラス面と試験片との間を通過する
のに要する時間を測定するものである。
【0065】更に好ましくは、本発明の画像受理層表面
の形状を凹凸の形成が高く且つ間隔が密な状態とする。
具体的には、ISO−468で定義される表面中心平均
粗さSRaが1.3〜3.5μmの範囲で且つ表面粗さ
の密度を表示する平均波長Sλaが50μm以下の範囲
であることが好ましい。より好ましくは、SRaが1.
35〜2.5μm、Sλaが45μm以下の範囲であ
る。この事により、電子写真製版後の非画像部への飛散
トナーの付着及び付着トナーの定着時の太りが抑制され
るものと推定される。
【0066】本発明の画像受理層は耐水性支持体上に設
けられる。耐水性支持体としては、耐水化処理を施した
紙、プラスチックフィルムまたは金属箔をラミネートし
た紙もしくはプラスチックフィルム等を用いることがで
きる。
【0067】本発明に供せられる支持体は、画像受理層
に隣接する側の表面の平滑性が、ベック平滑度で300
(秒/10cc)以上、好ましくは900〜3000(秒
/10cc)に調整されていることが好ましく、より好ま
しくは1000〜3000(秒/10cc)であることが
好ましい。
【0068】支持体の画像受理層に隣接する側の表面の
平滑性を上記値に規制することによって、画像再現性及
び耐刷性を更に向上させることができる。かかる効果
は、画像受理層自体の表面の平滑性が同じであっても得
られるものであり、支持体表面の平滑性が増すことで画
像部の画像受理層への密着性が更に向上するためと考え
られる。
【0069】このように規制された耐水性支持体の高平
滑な表面とは、画像受理層が直接塗布される面のことを
いい、例えば支持体上に導電性層、アンダー層、オーバ
ーコート層を設ける場合には、導電性層、アンダー層、
オーバーコート層の表面のことをいう。これにより支持
体の表面の凹凸を受けることなく上記のように表面状態
が調整された画像受理層が充分に保持され、より一層の
画質向上が可能となる。
【0070】上記平滑度の範囲に設定する方法として
は、従来公知の種々の方法を用いることができる。具体
的には、基体表面を樹脂により溶融接着する方法、高平
滑の熱ローラーによるカレンダー強化法等の方法によ
り、支持体の表面のベック平滑度を調整する方法等を挙
げることができる。
【0071】更に本発明の直描型平版印刷用原版は、耐
水性支持体上に設けられた画像受理層に、電子写真記録
方式でトナー画像を形成するか、あるいは静電誘引を利
用して油性インクを吐出する静電吐出型インクジェット
法で画像を形成するために用いられる平版印刷用原版と
しても好ましく用いることができ、得られた平版印刷版
は、鮮明な画像を多数枚印刷することが可能である。
【0072】電子写真記録方式による画像形成は、通常
電子写真プロセスで、被転写材上へのトナー画像の転写
は、静電転写により行なわれている。印刷原版としての
耐水性支持体の体積固有抵抗値が104 〜1013Ω・cm
が好ましく、より好ましくは107 〜1012Ω・cmであ
る。これにより転写画像の滲み・歪みや非画像部へのト
ナー付着汚れ等が実用上問題のない良好な画像が得られ
る。
【0073】また、静電吸引式インクジェット記録方式
による画像形成でも、上記耐水性支持体は、導電性を有
するものであることが好ましく、少なくともその画像受
理層の直下の部分が1010Ω・cm以下の固有電気抵抗値
を有するものであることが好ましく、該耐水性支持体全
体が1010Ω・cm以下であることがより好ましい。上記
の固有電気抵抗値は、更に好ましくは、108 Ω・cm以
下であり、その値は、限りなく零であってもよい。
【0074】支持体の画像受理層の直下の部分に上記の
ような導電性を持たせるには、紙、フィルム等の基体上
に、カーボンブラック等の導電性フィラーと結着剤から
なる層を塗布したり、金属箔を貼り付けたり、金属を蒸
着したりする方法が挙げられる。また、支持体全体が導
電性を有するものとしては、塩化ナトリウムなどを含浸
させた導電性紙、カーボンブラック等の導電性フィラー
を混入させたプラスチックフィルム、アルミニウムなど
の金属板等が挙げられる。
【0075】導電性が上記の範囲であれば、帯電したイ
ンク滴が画像受理層上に付着した際に該インク滴の電荷
が速やかに接地面を通して消失するために、乱れを生じ
ない鮮明な画像が形成される。なお、固有電気抵抗値
(体積固有電気抵抗値または比電気抵抗値とも呼ばれ
る)の測定はJIS K-6911 に基づきガード電極を設けた
3端子法で行った。
【0076】さらに、本発明に好ましく用いられる導電
性を有する耐水性支持体について詳述する。支持体全体
が導電性を有するものは、例えば基体に塩化ナトリウム
などを含浸させた導電性原紙を用い、その画面に耐水性
を有する導電性層を設けることにより得られる。本発明
において、基体として用いられる原紙としては、例えば
木材パルプ紙、合成パルプ紙、木材パルプ紙と合成パル
プ紙の混抄紙をそのまま用いることができる。また、原
紙の厚さとしては80μm〜200μmが好ましい。
【0077】次に導電性層について説明する。導電性層
の形成は、導電性フィラーと結着剤を含む層を上記導電
性紙の両面に塗布することにより達成される。塗布され
る導電性層の厚さは、5μm〜20μmが好ましい。導
電性フィラーとしては、粒子状のカーボンブラック、グ
ラファイト、例えば、銀、銅、ニッケル、真鍮、アルミ
ニウム、鋼、ステンレスなどの金属粉、酸化スズ粉末、
フレーク状のアルミニウムまたはニッケル、繊維状の炭
素などがあげられる。
【0078】結着剤として使用される樹脂としては、各
種の樹脂が適宜選択して用いられる。具体的には、疎水
性樹脂としては、例えばアクリル系樹脂、塩化ビニル系
樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、
スチレン−アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニ
リデン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等が挙げられ、親水性
樹脂としては例えばポリビニルアルコール系樹脂、セル
ロース系誘導体、でんぷんおよびその誘導体、ポリアク
リルアミド系樹脂、スチレン無水マレイン酸系共重合体
等が挙げられる。
【0079】導電性層を形成する他の方法として、導電
性の薄膜をラミネートすることが挙げられる。導電性薄
膜としては、例えば金属箔、導電性プラスチックフィル
ムなどを用いることができる。さらに具体的には、金属
箔ラミネート材としてアルミ箔、導電性プラスチックフ
ィルムのラミネート材としては、カーボンブラックを混
入したポリエチレン樹脂などが挙げられる。アルミ箔と
しては、硬質および軟質のどちらでも良く、厚みは5μ
m〜20μmが好ましい。
【0080】カーボンブラックを浸入したポリエチレン
樹脂のラミネートは押し出しラミネート法が好ましい。
押し出しラミネート法とは、ポリオレフィンを熱溶融
し、これをフィルムにしてから直ちに原紙に圧着後、冷
却してラミネートする方法であり、種々の装置が知られ
ている。ラミネート層の厚みは、10μm〜30μmが
好ましい。
【0081】支持体全体が導電性を有するものとして、
基体として導電性を有するプラスチックフィルムや金属
板を用いる場合は、耐水性が満たされていればそのまま
で使用できる。導電性を有するプラスチックフィルムと
しては、例えば炭素繊維やカーボンブラック等の導電性
フィラーを混入させたポリプロピレン、ポリエステルフ
ィルムなどが、また金属板としては、アルミニウムなど
が使用できる。基体の厚みは80μm〜200μmが好
ましい。80μm未満では印刷版としての強度が不足
し、200μを超えると描画装置内での搬送性などのハ
ンドリング性が低下する。
【0082】導電性層を有する層を設ける場合におい
て、耐水性基体として、厚みが80μ〜200μの耐水
性処理を施した紙、プラスチックフィルム、あるいは金
属箔をラミネートした紙またはプラスチックフィルム等
を用いることができる。
【0083】該基体上に導電性層を形成する方法として
は、上記の支持体全体が導電性を有する場合で述べた方
法が使用できる。すなわち該基体の一つの面に導電性フ
ィラーと結着剤を含む層を厚さ5μm〜20μmで塗布
する。あるいは金属箔または導電性を有するプラスチッ
クフィルムをラミネートすることにより得られる。上記
以外の方法としては、例えばプラスチックフィルムにア
ルミニウム、スズ、パラジウム、金などの金属蒸着膜を
設けても良い。以上のようにして固有電気抵抗値が10
10Ω・cm以下の導電性を有する耐水性支持体を得ること
ができる。
【0084】また、本発明では上記のように画像受理層
とは反対の支持体面にカール防止を目的としてバックコ
ート層(裏面層)を設けることができるが、バックコー
ト層は、その平滑度が150〜700(秒/10cc)の
範囲であることが好ましい。これにより、印刷版をオフ
セット印刷機に給版する場合に、ズレやスベリを生じる
ことなく印刷版が正確に印刷機にセットされる。更に好
ましくは、アンダー層もしくはバックコート層を設けた
耐水性支持体の膜厚としては、90〜130μmの範
囲、好ましくは100〜120μmの範囲である。
【0085】本発明では、以上の様な平版印刷用原版上
に、感熱プリンター、電子写真記録方式又はインクジェ
ット記録方式で画像形成を行ない製版とする。
【0086】電子写真記録方法としては、従来公知の記
録方式のいずれをも用いることができる。例えば電子写
真学会編「電子写真技術の技術の基礎と応用」(株)コ
ロナ社刊、(1988年)、江田研一、電子写真学会誌
27、113(1988)、川本晃生、同33、149
(1994)、川本晃生、同32、196(1993)
等に記載の方法あるいは上市のPPC複写機等が挙げら
れる。
【0087】デジタル情報に基づいて露光するレーザー
光によるスキャニング露光方式及び液体現像剤を用いる
現像方式の組合せが、高精細な画像を形成できることか
ら有効なプロセスである。その一例を以下に示す。
【0088】まず、感光材料をフラットベット上にレジ
スターピン方式による位置決めを行った後背面よりエア
ーサクションにより吸引して固定する。次いで、例えば
上記「電子写真技術の基礎と応用」212頁以降に記載
の帯電デバイスにより感光材料を帯電する。コロトロン
又はスコトロン方式が一般的である。この時感光材料の
帯電電位検出手段からの情報に基づき、常に所定の範囲
の表面電位となるようフィードバックをかけ、帯電条件
をコントロールすることも好ましい。その後例えば同じ
く上記引用資料の254頁以降に記載の方式を用いてレ
ーザー光源による走査露光を行う。
【0089】次いで液体現像剤を用いてトナー画像の形
成を行う。フラットベット上で帯電、露光した感光材料
は、そこからはずして同上引用資料の275頁以降に示
された湿式現像法を用いることができる。この時の露光
モードは、トナー画像現像モードに対応して行われ、例
えば反転現像の場合はネガ画像、即ち画像部にレーザー
光を照射し、感光材料を帯電した時の電荷極性と同じ電
荷極性を持つトナーを用い、現像バイアス電圧を印加し
て露光部にトナーが電着するようにする。原理の詳細は
同上引用資料の157頁以降に説明がある。
【0090】現像後に余剰の現像液を除くために、同資
料283頁に示されるようなゴムローラ、ギャップロー
ラ、リバースローラ等のスクイーズ、コロナスクイー
ズ、エアスクイーズ等のスクイーズを行う。スクイーズ
前に現像剤の担体液体のみでリンスをすることも好まし
い。次に感光体上に上記の様にして形成されたトナー画
像層を被転写材である平版印刷用原版上に転写・定着す
るもしくは中間転写体を経由して被転写体上に転写・定
着するものである。
【0091】インクジェット記録方法としては、従来公
知の記録方式のいずれでもよいが、インク画像の乾燥・
定着性、インクのつまり難さ等から油性インクが好まし
く、更に画像滲みを生じ難い静電吸引型インクジェット
方式またはホットメルトインクを用いたソリッドジェッ
ト方式が好ましい方式として挙げられる。
【0092】静電吸引式インクジェット記録は、国際特
許WO93/11866号、同97/27058号、同
97/27060号等の明細書記載の記録装置が挙げら
れる。用いる油性インクは、好ましくは電気抵抗109
Ω・cm以上かつ誘電率3.5以下の非水溶媒を分散媒と
し、少なくとも常温(15℃〜35℃)で固体かつ疎水
性の樹脂粒子が分散されたものである。このような分散
媒を用いることによって、油性インクの電気抵抗が適正
に制御されて電界によるインクの吐出が適正となり画質
が向上する。また、上記のような樹脂を用いることによ
って画像受理層との親和性が増し、良好な画質が得られ
るとともに耐刷性が向上する。具体的には、特願9−1
48624号、同9−154509号、同9−3515
63号、同9−21011号、同9−21017号、同
9−148623号等に記載のものが挙げられる。
【0093】またソリッドジェット記録方式としては、
Solid Inkjet Platemaker SJ02A (日立工機(株)
製)、MP-1200Pro(Dynic (株)製)等の上市されたプ
リントシステムが挙げられる。
【0094】インクジェット記録方法を用いた方法を図
1〜図3を用いて更に具体的に説明する。図1に示す装
置系は油性インクを使用するインクジェット記録装置1
を有するものである。
【0095】図1のように、まず、マスター2に形成す
べき画像(図形や文章)のパターン情報を、コンピュー
タ3のような情報供給源から、バス4のような伝達手段
を通し、油性インクを使用するインクジェット記録装置
1に供給する。記録装置1のインクジェット記録用ヘッ
ド10は、その内部に油性インクを貯え、記録装置1内
にマスター2が通過すると、前記情報に従い、インクの
微小な液滴をマスター2に吹き付ける。これにより、マ
スター2に前記パターンでインクが付着する。こうして
マスター2に画像を形成し終え、平版印刷版を得る。
【0096】図1の装置系におけるようなインクジェッ
ト記録装置の構成例を図2および図3に示す。図2およ
び図3では図1と共通する部材は共通の符号を用いて示
している。図2はこのようなインクジェット記録装置の
要部を示す概略構成図であり、図3はヘッドの部分断面
図である。
【0097】インクジェット記録装置に備えられている
ヘッド10は、図2、図3に示されるように、上部ユニ
ット101と下部ユニット102とで挟まれたスリット
を有し、その先端は吐出スリット10aとなっており、
スリット内には吐出電極10bが配置され、スリット内
には油性インク11が満たされた状態になっている。
【0098】ヘッド10では、画像のパターン情報のデ
ジタル信号に従って、吐出電極10bに電圧が印加され
る。図2に示されるように、吐出電極10bに対向する
形で対向電極10cが設置されており、対向電極10c
上にはマスター2が設けられている。電圧の印加によ
り、吐出電極10bと、対向電極10cとの間には回路
が形成され、ヘッド10の吐出スリット10aから油性
インク11が吐出され対向電極10cに設けられたマス
ター2上に画像が形成される。
【0099】吐出電極10bの幅は、高画質の画像形
成、例えば印字を行うためにその先端はできるだけ狭い
ことが好ましい。例えば油性インクを図3のヘッド10
に満たし、先端が20μm 幅の吐出電極10bを用い、
吐出電極10bと対向電極10cの間隔を1.5mmとし
て、この電極間に3KVの電圧を0.1ミリ秒印加する
ことで40μm のドットの印字をマスター2上に形成す
ることができる。
【0100】以上のようにして、平版印刷用原版上に、
油性インクを使用したインクジェット方式で画像形成し
て得られた製版マスターを不感脂化処理液で表面処理し
て非画像部を不感脂化して印刷版を作成することができ
る。
【0101】
【実施例】以下本発明を実施例により例証するが、本発
明はこれらにより限定されるものではない。
【0102】実施例1及び比較例A〜F <平版印刷用原版の作成>下記内容の組成物を、ガラス
ビーズとともに、ペイントシェーカー(東洋精機(株)
製)に入れ、60分間分散した後、ガラスビーズを濾別
し、分散物を得た。
【0103】 シリカ:サイリシア430 26g (富士シリシア化学(株)製)平均粒径2.5μm コロイダルシリカ20%溶液:スノーテックC 70g (日産化学工業(株)製)平均粒径:10〜20nm ゼラチン10%水溶液 44g スルホン酸変性ポリビニルアルコール10%水溶液:SK-5102 40g ((株)クラレ製) トリアルコキシ変性ポリビニルアルコール10%水酸液:R-1130 33g ((株)クラレ製) フッ化アルキルエステルFC430(3M社製) 0.24g 硬化性化合物(K−1) 1.20g CH2=CHSO2CH2CONH(CH2)3NHCOCH2SO2CH=CH2 水 106g
【0104】軽印刷用電子写真式平版印刷原版として用
いられているELP−2型マスター(富士写真フィルム
(株)製商品名)の支持体(アンダー片側のベック平滑
度:1000(秒/10cc)以上)を用い、この上に上
記組成物をワイヤーパーを用いて塗布し、100℃で1
0分間乾燥して、塗布量8g/m2 の画像受理層を形成
し、平版印刷用原版を得た(実施例1)。
【0105】比較例A 上記実施例1の画像受理層の組成物において、サイリシ
ア430及びスノーテックCの代わりに、サイリシア4
30のみ33.9gを用いた他は実施例1とほぼ同様に
して、平版印刷用原版を作成した。
【0106】比較例B 上記実施例1の画像受理層組成物において、サイリシア
430及びスノーテックCの代わりに、スノーテックC
のみ33.9g(固形分量として)用いた他は実施例1
と同様にして、平版印刷用原版を作成した。
【0107】比較例C 上記実施例1の画像受理層組成物において、スルホン酸
変性ポリビニルアルコールSK-5102及びトリアルコキシ
変性ポリビニルアルコールR-1130((株)クラレ製)の
代わりにトリアルコキシ変性ポリビニルアルコールR-11
30を73g用いた他は実施例1と同様にして、平版印刷
用原版を作成した。
【0108】比較例D 上記実施例1の画像受理層組成物において、サイリシア
430及びスノーテックCの代わりに、シリカ:サイシ
リア700(富士シリシア化学(株)製、平均粒径8.
0μm)26g及びコロイダルシリカ20%水溶液:ス
ノーテックZL(日産化学工業(株)製、平均粒径70
〜100nm)70g(固形分量として)用いた他は実
施例1と同様にして、平版印刷用原版を作成した。
【0109】比較例E 上記実施例1の画像受理層組成物において、サイリシア
430及びスノーテックCの使用量を(35/65)重
量比に代えて、即ち、サイリシア430を14g及びス
ノーテックC(20%水溶液)を130g用いた他は実
施例1と同様にして、平版印刷用原版を作成した。
【0110】比較例F 上記実施例1の画像受理層組成物において、サイリシア
430及びスノーテックCの使用量を(70/30)重
量比に代えて、即ち、サイリシア430を28g及びス
ノーテックC(20%水溶液)を60g用いた他は実施
例1と同様にして、平版印刷用原版を作成した。
【0111】これらの直描型平版印刷用原版の皮膜性
(表面の平滑度)、表面濡れ性(水との接触角)、膜強
度及び製版性を調べた。更に、これらの製版した版をオ
フセット印刷版として用いた時の印刷性(地汚れ、耐刷
性等)を調べた。以上の結果を表−Aに示す。
【0112】
【表1】
【0113】
【表2】
【0114】表−Aに示した評価項目は以下の通りであ
る。 注1)画像受理層の平滑度:平版印刷用原版をベック平
滑度試験機(熊谷理工(株)製)を用い、空気容量10
ccの条件にてその平滑度(秒/10cc)を測定した。
【0115】注2)表面濡れ性:平版印刷用原版の表面
に蒸留水2μlを乗せ、30秒後の表面接触角(度)を
表面接触計(CA−D、協和界面科学(株)製、商品
名)を用いて測定した。本値が小さい程、水への濡れ性
がよく、親水的であることを示す。
【0116】注3)表面層の機械的強度:平版印刷用原
版表面をヘイドン−14型表面性試験材(新東化学
(株)製)を用いて荷重70g/cm2 のものでエメリ
ー紙(#1000)で1000回繰り返し擦り摩耗粉を
取り除き表面層の重量減少から残膜率(%)を求め機械
的強度とした。
【0117】注4)製版画質:平版印刷用原版を、AM−
Straight Imaging System として市販されている:乾式
トナーを用いたレーザープリンター(AMSIS ・1200−J P
late Setter−商品名−)を通して得られた製版物の複
写画像について20倍のルーペを用いて目視評価した。
【0118】注5)印刷画質:平版印刷用原版を、注
4)と同一の操作で製版した後、全自動印刷機(AM−
2850、エーエム社(株)製、商品名)を用いて、湿
し水として、PS版用処理剤:EU−3(富士写真フイ
ルム(株)製)を蒸留水で50倍に希釈した溶液を、湿
し水受皿部に入れ、オフセット印刷用墨インキを用い、
印刷機に製版物を通して印刷を行なった。印刷10枚目
の印刷物の印刷画像(地カブリ、画像部のベタ均一性)
を20倍のルーペを用いて目視評価した。
【0119】注6)耐刷性:平版印刷版を注4)と同一
の操作で製版した後、上記注5)ど同様の印刷機、浸し
水、インキを用い、印刷機に製版物を通して上記注5)
の場合より浸し水の印刷版への送り量を30%減らして
印刷を行い、印刷物の地汚れもしくは画像の欠落が目視
で判別できる間の印刷枚数を調べた。
【0120】表−Aに示す様に、同一支持体上に設けた
各原版の画像受理層は、実施例1、比較例A及びCの各
版では、ほぼ同一の平滑性となり、コロイダルシリカの
みを顔料として用いた比較例Bは、高平滑性の版となっ
た。表面層の濡れ性を水との接触角で測定した所、いず
れの版も値が低く、親水性が高かった。
【0121】また表面層の膜強度を調べた所、実施例1
と比較例Cは高い値を示し、良好となった。しかし、無
機顔料として、合成シリカ粉末のみを用いた比較例A
も、膜強度の低下が著しく、コロイダルシリカのみの比
較例Bは更に劣化した。
【0122】次に、各原版を実際に製版し、その製版画
質を目視観察で調べた所、本発明の原版及び比較例Cの
版が、製版画質及び印刷画質ともに良好であった。即
ち、レーザープリンターからの乾式トナー転写により得
られた本発明の製版物は、細線、細文字の欠落がなく、
ベタ部も均一で、トナー転写のムラは全く認められず、
且つ非画像部も、トナー飛散による地カブリも微かで実
用上問題のない良好なものであった。これに対して、比
較例Aは、細線・細文字の欠落やベタ部に白抜けのムラ
が見られ、比較例Bは、細線・細文字の一部に画線の太
りがあり、そして、非画像部は、著しいトナー付着によ
るカブリが見られた。
【0123】次に、製版物を不感脂化処理して印刷版と
し、その性能を得られた印刷物で評価した所、本発明に
よる印刷物のみが、細線、細文字の欠落及びベタ部のム
ラのない画像を有し、非画像部のインキ汚れも実用上問
題のない良好な印刷物を7千枚提供した。他方、比較例
Aは、刷り出しから製版画質と同様で、非画像部の印刷
インク付着による地汚れが、更に悪化した。比較例B
は、刷り出しから画質低下・地汚れ発生が生じ更に、刷
り出し100枚程で膜強度不足による画像受理層の欠落
が見られた。比較例Cは、刷り出しから非画像部で地汚
れが発生した。
【0124】これらの結果、無機粒子として用いた合成
シリカ粒子及びコロイダルシリカ超微粒子を各々単独で
用いた膜では、膜強度が不足し、表面の水との接触角
は、ほぼ同じだが、実際の印刷物では、印刷インク付着
汚れを生じ易く、親水性が不充分となった。結着樹脂と
して、従来公知のPVAを用いた場合は、印刷汚れ性が
本発明のものに及ばない。また、トナー画像の画像受理
層への密着性が充分でなく印刷3500枚程で、画像部
の欠落を生じてしまった。
【0125】更に、実施例1と比較例D〜Fとの結果を
比較しても、無機粒子として用いた合成シリカ粒子及び
コロイダルシリカ超微粒子が、本発明で規定する平均粒
径及び使用割合の範囲外である場合にも、膜強度が不足
したり、印刷インク付着汚れが生じ易かったり、耐刷性
が不十分となった。これらのことから、本発明の原版の
みが良好な印刷物を多数枚得ることができることがわか
る。
【0126】実施例2 <平版印刷用原版の作成>下記内容の組成物を、ガラス
ビーズとともに、ペイントシェーカーに入れ、60分間
分散した後、ガラスビーズを濾別し、分散物を得た。
【0127】 シリカ:サイリシア310(富士シリシア化学(株)製) 28g コロイダルシリカ20%溶液:スノーテックCR503 60g (日産化学工業(株)製) ゼラチン10%水溶液 40g カルボン酸ナトリウム変性ポリビニルアルコール10%水溶液 40g :KL-118((株)クラレ製) トリエトキシシリル変性でんぷん 10g PENON ・Amycol No.3L(日澱化学(株)製でんぷん)をトリ エトキシクロロシラン(処理量5wt%)で変性した混合物 ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.5g 硬化性化合物(K−2) 1.5g CH2=CHSO2NH(CH2)3NHSO2CH=CH2 水 170g
【0128】実施例1で用いたELP−2型マスターの
支持体上に、上記組成物をワイヤーバーを用いて塗布
し、100℃で10分間乾燥して、塗布量8g/m2
画像受理層を形成し、平版印刷用原版を得た。得られた
画像受理層の表面平滑性は、その平滑度(sec/10cc)を
測定しベック平滑度350(sec/10cc)、水との接触角
は0度であった。
【0129】以上のように作成した平版印刷用原版を用
いて、パソコン出力を描画できるグラフテック社製サー
ボ・プロターDA8400を改造し、ペン・プロッター
部に図3に示したインク吐出ヘッドを装着し、1.5m
mの間隔をおいた対向電極上に設置された平版印刷版用
原版に下記内容の油性インク(IK−1)を用いて印字
を行ない製版した。製版に際しては、各印刷用原版サン
プルの画像受理層直下に設けられたアンダー層と対向電
極を、銀ペーストを用いて電気的に接続した。
【0130】<油性インク(IK−1)の作成>下記構
造の分散安定用樹脂10g及びアイソパーG290gの
混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温度70℃に加温し
た。これにメチルアクリレート65g、メチルメタクリ
レート30g、アクリル酸5g及び2,2′−アゾビス
イソバレロニトリル(A.I.V.N)1.5gの混合
物を滴下時間60分間で滴下し、そのまま更に2時間反
応した。A.I.V.N 1.0gを加えて温度75℃
に設定して2時間、更に2,2′−アゾビスイソブチロ
ニトリル 0.8gを加えて、温度80℃に設定して3
時間反応を行なった。次に染料(ビクトリアブルーB)
5gを加えて温度90℃で4時間加熱して粒子を染色し
た。冷却後200メッシュのナイロン布を通して得られ
た青色分散物は、重合率99.5%で平均粒径0.38
μmの単分散性良好なラテックスであった。
【0131】
【化2】
【0132】上記青色分散物60g(固形分量として)
及びオクタデシルビニルエーテル半マレイン酸ヘキサデ
シルアミド共重合体0.06gをアイソパーG1リット
ルに希釈することで青色油性インク(IK−1)を作成
した。
【0133】上記の様にして得られた製版画像を光学顕
微鏡により200倍の倍率で観察した所、描画されたイ
ンクのドットの形状も真円状で歪み・滲み等も認められ
ず、細線・細文字も良好に印字された。
【0134】次に、上記のように製版した後、印刷機と
して、オリバー94型((株)桜井製作所製)を用い、
湿し水として、SLM−OD(三菱製紙(株)製)を蒸
留水で100倍に希釈した溶液を、湿し水受皿部に入
れ、オフセット印刷用墨インキを用い、印刷紙に製版物
を通して印刷を行なった。得られた印刷物は、画像物の
欠落及び非画像部の汚れのない印刷物が8千枚得られ
た。
【0135】実施例3〜5 実施例2において、平版印刷用原版の画像受理層用カル
ボン酸ナトリウム変性ポリビニルアルコール10gの代
わりに、下記表−Bの変性親水性樹脂を各々10g用い
た他は、実施例2と同様にして平版印刷版を作成した。
【0136】
【表3】
【0137】各原版の表面平滑性は、ベック平滑度25
0〜300(秒/10cc)、表面の水との接触角は、0
度であった。上記各原版を、実施例2と同様にして製版
し印刷した。各版とも印刷画質・非画像部の地汚れとも
に、実施例2と同様に良好な印刷物が7千枚以上得られ
た。
【0138】実施例6〜10 実施例1において、ゼラチン硬化性化合物(K−1)の
代わりに、下記表−Cの化合物を用いた他は、実施例1
と同様にして、平版印刷用原版を作成した。得られた各
版の表面のベック平滑度は、200〜250(秒/10
cc)の範囲であった。表面の水との接触角はいずれも0
度であった。
【0139】
【表4】
【0140】実施例1と同様にして、得られた各原版を
用いて製版・印刷した所実施例1と同様に良好な印刷物
が7千枚以上得られた。
【0141】実施例11 <平版印刷用原版の作成>下記内容の組成物を、ガラス
ビーズとともに、ペイントシェーカーに入れ、60分間
分散した後、ガラスビーズを濾別し、分散物を得た。
【0142】 シリカ:サイリシア310(富士シリシア化学(株)製) 28g コロイダルシリカ20%溶液:スノーテックCR503 60g クレー 2g ゼラチン10%水溶液 40g スルホン酸変性PVA:SK-5102((株)クラレ製) 70g ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.5g 硬化性化合物(K−2) 1.5g CH2=CHSO2NH(CH2)3NHSO2CH=CH2 水 110g
【0143】実施例1で用いたELP−2型マスターの
支持体上に、上記組成物をワイヤーバーを用いて塗布
し、100℃で10分間乾燥して、塗布量8g/m2
画像受理層を形成し、平版印刷用原版を得た。得られた
画像受理層の表面平滑性はベック平滑度220(sec/10
cc)、水との接触角は0度であった。得られた原版を用
いて、実施例2と同様にして製版も印刷したところ、画
像部が鮮明で非画像部に地汚れのない印刷物が9千枚以
上得られた。
【0144】実施例12 実施例1で用いた平版印刷用原版を感熱プリンターMP-1
200Pro((株)ムラシ製)を用いて製版した。得られた
製版物は、文字・細線の欠落のない良好なものであっ
た。次に実施例1と同様にして印刷した所、得られた印
刷物は、地汚れのない鮮明な画質の印刷物を5千枚以上
得られた。
【0145】実施例13〜14 実施例1において、コロイダルシリカの代わりにアルミ
ナゾル520(平均粒径20nm;日産化学(株)製)
(実施例13)またはチタニアゾルSTS02(平均粒
径5〜10nm石原産業(株)製)(実施例14)を用
いた他は、実施例1と同様にして平版印刷用原版を各々
作成した。各版を用いて実施例1と同様にして製版し印
刷した所、実施例1と同様に画像の欠落及び非画像部の
汚れが実用上問題のない印刷物がそれぞれ7.5千枚得
られた。
【0146】
【発明の効果】本発明によれば、地汚れがなく、画像の
欠落・歪み等のない鮮明な画像の印刷物を多数枚印刷可
能とする直描型平版印刷用原版が得られる。更に、地汚
れがなく画像滲みのない鮮明な画像の印刷物を多数枚印
刷可能とする油性インク利用の静電吐出型インクジェッ
ト式製版用の直描型平版印刷用原版が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる装置系の一例を示す概略構成図
である。
【図2】本発明に用いるインクジェット記録装置の要部
を示す概略構成図である。
【図3】本発明に用いるインクジェット記録装置のヘッ
ドの部分断面図である。
【符号の説明】
1 インクジェット記録装置 2 マスター 3 コンピューター 4 バス 10 ヘッド 10a 吐出スリット 10b 吐出電極 10c 対向電極 11 油性インク 101 上部ユニット 102 下部ユニット
フロントページの続き Fターム(参考) 2H070 FF12 FF41 2H084 CC05 2H114 AA14 BA10 DA15 DA27 DA35 DA44 DA75 FA04 FA16

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐水性支持体上に、無機顔料及び親水性
    結着樹脂を主成分とする画像受理層を設けて成る直描型
    平版印刷用原版において、該無機顔料として、平均粒子
    径が1〜6μmのシリカ粒子と平均粒子径が5〜50n
    mの無機顔料超微粒子とを重量比で40〜70対60〜
    30の割合で含有し、該親水性樹脂として、カルボキシ
    ル基、スルホ基及びホスホノ基から選ばれる少なくとも
    1種の極性官能基で変性された親水性樹脂を含有するこ
    とを特徴とする直描型平版印刷用原版。
  2. 【請求項2】 前記画像受理層が、親水性樹脂として、
    下記一般式(I)で示されるシリル官能基で変性された
    親水性樹脂を更に含有することを特徴とする請求項1記
    載の直描型平版印刷用原版。 一般式(I) −Si(R)n(OX)3-n 〔式(I)中、Rは水素原子又は炭素数1〜12の炭化
    水素基を表す。Xは炭素数1〜8の脂肪族基を表す。n
    は0、1又は2を表す。〕
  3. 【請求項3】 前記画像受理層が、親水性樹脂としてゼ
    ラチン及びゼラチン硬化性化合物を更に含有することを
    特徴とする請求項1又は2記載の直描型平版印刷用原
    版。
  4. 【請求項4】 前記画像受理層に含有されるゼラチン硬
    化性化合物が、下記一般式(II)で示される二重結合基
    を分子中に2個以上含有する化合物である請求項3記載
    の直描型平版印刷用原版。 一般式(II) CH2=CH−W− 式(II)中、Wは、−OSO2−、−SO2−、−CON
    1−又は−SO2NR1−を表す(但し、R1は水素原子
    又は炭素数1〜8の脂肪族基を表す)。
  5. 【請求項5】 前記画像受理層に含有される平均粒径5
    〜50nmのコロイド状無機顔料超微粒子が、コロイダ
    ルシリカ、チタニアゾル及びアルミナゾルから選択され
    る少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載
    の直描型平版印刷用原版。
  6. 【請求項6】 前記画像受理層表面の平滑性がベック平
    滑度で30(秒/10cc)以上であることを特徴とす
    る請求項1〜5のいずれかに記載の直描型平版印刷用原
    版。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の直描型
    平版印刷用原版に、電気抵抗109Ω・cm以上且つ誘
    電率3.5以下の非水溶媒中に、少なくとも常温で固体
    かつ疎水性の荷電を有する樹脂粒子を分散した油性イン
    クを、静電界を利用して吐出させてインクジェット方式
    で画像を形成することを特徴とする平版印刷版の作成方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008133268A1 (ja) * 2007-04-24 2008-11-06 Oji Paper Co., Ltd. 平版印刷用版材料及び平版印刷版の製版方法

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