JP2001008681A - チトクロームp450を安定に発現するヒト細胞株 - Google Patents

チトクロームp450を安定に発現するヒト細胞株

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JP2001008681A JP2000132894A JP2000132894A JP2001008681A JP 2001008681 A JP2001008681 A JP 2001008681A JP 2000132894 A JP2000132894 A JP 2000132894A JP 2000132894 A JP2000132894 A JP 2000132894A JP 2001008681 A JP2001008681 A JP 2001008681A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ヒト肝臓由来の培養細胞株を宿主とし、多数の
ヒト型チトククロームP450を安定に発現している細胞株
を提供する。 【解決手段】ヒト型チトクロームP450を安定に発現する
ヒト肝由来の培養細胞株の提供。 【効果】本発明のヒト肝臓に由来する培養細胞株は、ヒ
ト型チトクロームP450CYP1A1, 1A2, 2A6, 2B6, 2C8, 2C
9, 2C19, 2D6, 2E1, 3A4 を安定に発現するため、生体
異物およびまたは内在性基質代謝に関与する酵素の解析
などに有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、 1. ヒト型チトクロームP450を安定に発現するヒト肝臓
癌細胞由来の細胞株、 2. 該細胞株を用いることを特徴とする(1) 生体異物お
よび/または内在性基質代謝に関与する酵素の解析方
法、(2) 生体異物および/または内在性基質代謝経路の
解析方法、(3)生体異物および/または内在性基質代謝
産物の化学構造の解析方法、(4) 生体異物および/また
は内在性基質代謝産物の調製方法、(5) 生体異物および
/または内在性基質代謝酵素の阻害の解析方法、(6) 生
体異物および/または内在性基質代謝酵素の活性の促進
の解析方法、(7) 生体異物および/または内在性基質代
謝による細胞毒性の発現の解析方法、(8) 生体異物およ
び/または内在性基質代謝による遺伝毒性の発現の解析
方法、(9) 薬物代謝による発ガン性発現の解析方法、(1
0) 生体異物および/または内在性基質代謝のよる変異
原性の解析方法、(11) 生体異物および/または内在性
基質代謝に肝毒性発現の解析方法、(12) 肝に作用する
生体異物および/または内在性基質の解析方法、 3. 該細胞株を用いることを特徴とする(1) 生体異物お
よび/または内在性基質代謝酵素を阻害する物質の探索
方法、(2) 生体異物および/または内在性基質代謝酵素
の活性を促進する物質の探索方法、(3)生体異物および
/または内在性基質代謝により細胞毒性を発現する物質
の探索方法、(4) 生体異物および/または内在性基質代
謝により遺伝毒性を発現する物質の探索方法、(5) 生体
異物および/または内在性基質代謝により発ガン性を発
現する物質の探索方法、(6) 生体異物および/または内
在性基質代謝により変異原性を発現する物質の探索方
法、(7)生体異物および/または内在性基質代謝により
肝毒性発現をする物質の探索方法、(8) 肝に作用する生
体異物および/または内在性基質の探索方法、(9) 生体
異物および/または内在性基質代謝により、新たな生理
活性を獲得あるいはそれ自体のもつ生理活性を増大ある
いは減弱する物質の探索方法、 4. 該探索方法を用いて得られる化合物又はその塩等に
関する。
【0002】
【従来の技術】肝臓細胞は非常に多くの生理的機能を有
しているが、なかでも薬物、食品添加物、環境汚染物質
および化学工業製品などの生体異物および/または内在
性基質の代謝に関して非常に重要な機能を果たしてい
る。この生体異物および/または内在性基質の代謝の機
能は同時に生体異物および/または内在性基質による生
体異物および/または内在性基質代謝酵素の阻害、生体
異物および/または内在性基質代謝酵素の活性の促進、
生体異物および/または内在性基質代謝による細胞毒性
の発現、生体異物および/または内在性基質代謝による
遺伝毒性の発現、生体異物および/または内在性基質代
謝による発ガン性発現、生体異物および/または内在性
基質代謝による変異原性の発現、生体異物および/また
は内在性基質代謝による肝毒性発現などをもたらす場合
があり、非常に広く研究が進められている。ここでいう
生体異物および/または内在性基質の代謝には多くの酵
素が関与していることが知られている。この中にはUD
P−グルクロノシルトランスフェラーゼ、スルフォトラ
ンスフェラーゼ、グルタチオントランスフェラーゼ、エ
ポキシヒドラターゼ、N-アセチルトランスフェラーゼ、
フラビンモノオキシゲーナーゼおよびチトクロームP450
などが含まれる。またチトクロームP450が、その酵素機
能を発現するためにはチトクロームP450還元酵素の存在
が必須である。これら酵素群の中で、生体異物および/
または内在性基質の代謝に関してはチトクロームP450が
最も重要な役割を果たしている。チトクロームP450は、
非常に多くの分子種を含む酵素群の総称であり、ヒトの
肝臓における生体異物および/または内在性基質の代謝
においては、CYP1A1, CYP1A2, CYP2A6, CYP2B6, CYP2C
8, CYP2C9, CYP2C19, CYP2D6, CYP2E1, CYP3A4の10種
が特に重要だとされている。また、これらヒト肝臓に分
布している酵素は個体差が大きいため、ヒトに由来する
肝臓試料は、安定な試験系としては使用できない。一
方、かかる肝臓の代謝機能には生物種により非常に強い
特異性すなわち種差が存在し、ヒトにおける種々の代謝
機能をラットなどの実験動物において予測することは困
難である。しかしながらこれらの検討項目を実際のヒト
で解析することは多くの場合不可能である。このような
理由からヒト培養肝細胞は、実験動物の代替法として迅
速かつ安価かつ安全かつ正確にヒトにおける肝臓の機能
を検討する方法をもたらすものばかりではなく肝臓の機
能を代替するいわゆる人工肝臓作成を可能とするものと
考えられている。しかしながら、生体組織から分離した
ヒト正常肝細胞は継代培養が不可能である。細胞株とし
て樹立することのできる細胞は本来の分化形質を持たな
いことが多く、細胞株が本来属していた組織の機能を正
確に反映するものではない場合が多い。特に肝細胞にお
いて生体異物および/または内在性基質の代謝を行う酵
素群その中でも特にチトクロームP450分子種に属する酵
素群は、初代培養に於いて極めて短時間でその活性を失
い、株化細胞でその性質を十分に保持しているものはこ
れまで見いだされていない(J. Dich et.al., Hepatolog
y, 8,39-45(1988))。このような観点から生体異物およ
び/または内在性基質の代謝能を保持しかつ培養が可能
な肝細胞がこれまで広く求められてきた。しかしながら
現在まで生体異物および/または内在性基質代謝に関与
する機能を肝臓と同様に保持している培養細胞株は現在
まで得られていない。特にチトクロームP450の活性は細
胞の培養化により急速に失われることは広く認知されて
いるため、株化された培養細胞にチトクロームP450を安
定に発現させこれをもって肝臓の代謝機能を代替させよ
うとする試みが従来実施されてきた (M. Sawada et. a
l., Mutation Research 411, 19-43 (1998))。しかしな
がら先に述べた理由からチトクロームP450を発現させる
細胞株はヒト肝細胞由来であることが必須であり、また
チトクロームP450活性発現のためにNADPH チトクローム
P450還元酵素の活性が必要であり、さらに多くの酵素の
発現が必要である。従って、ヒト肝の代謝機能を安定か
つ安全に再現するにはその細胞がチトクロームP450のみ
ならず種々の代謝に関与する酵素の活性を保持している
ヒト培養肝細胞である必要がある。代謝に関与する種々
の酵素活性を保持した細胞にチトクロームP450発現した
例としてはHepG2細胞にワクシニアウイルスを利用してP
450を発現させた例(Methods in Enzymology, T. Aoyama
et. al in Methods in Enzymology 260巻、85-92ペー
ジ M. R. Waterman 監修 Academic Press 1991年)お
よびHepG2細胞にCYP2E1を発現させた例(Y.Dai et al,Bi
ochemistry 32 巻、6928-6937ページ 1993年)があげら
れる。前者は、その取り扱いに注意が必要であり実用上
の障壁となっている。又後者については、単独にCYP2E1
のみについての試みであり、肝に存在する多くのチトク
ロームP450についての試みは現在までにはない。従っ
て、肝における生体異物および/または内在性基質の代
謝に関与する酵素群を保持する培養細胞株を得ることが
できれば、該細胞株を用いて(1) 生体異物および/また
は内在性基質代謝に関与する酵素の解析、(2) 生体異物
および/または内在性基質代謝経路の解析、(3)生体異
物および/または内在性基質代謝産物の化学構造の解
析、(4) 生体異物および/または内在性基質代謝産物の
調製、(5) 生体異物および/または内在性基質代謝酵素
の阻害の解析、(6) 生体異物および/または内在性基質
代謝酵素の活性の促進の解析、(7) 生体異物および/ま
たは内在性基質代謝による細胞毒性の発現の解析、(8)
生体異物および/または内在性基質代謝による遺伝毒性
の発現の解析、(9) 生体異物および/または内在性基質
代謝による発ガン性発現の解析、(10) 生体異物および
/または内在性基質代謝のよる変異原性の解析、(11)
生体異物および/または内在性基質代謝に肝毒性発現の
解析、(12) 肝に作用する生体異物および/または内在
性基質の解析方法等が可能になるばかりではなく、該細
胞株を用いて(1) 生体異物および/または内在性基質代
謝酵素を阻害する物質の探索、(2) 生体異物および/ま
たは内在性基質代謝酵素の活性を促進する物質の探索、
(3)生体異物および/または内在性基質代謝により細胞
毒性を発現する物質の探索、(4) 生体異物および/また
は内在性基質代謝により遺伝毒性を発現する物質の探
索、(5) 生体異物および/または内在性基質代謝により
発ガン性を発現する物質の探索、(6) 生体異物および/
または内在性基質代謝により変異原性を発現する物質の
探索、(7)生体異物および/または内在性基質代謝によ
る肝毒性発現をする物質の探索、(8) 肝に作用する生体
異物および/または内在性基質の探索、(9) 生体異物お
よび/または内在性基質代謝により、新たな生理活性を
獲得あるいはそれ自体のもつ生理活性を増大あるいは減
弱する物質の探索等が可能となり該解析方法および/ま
たは該探索方法を用いて特定の化合物又はその塩等が得
られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ヒト
肝臓に由来する培養細胞株の提供であり、ヒト型チトク
ロームP450 CYP1A1, CYP1A2, CYP2A6, CYP2B6, CYP2C8,
CYP2C9, CYP2C19, CYP2D6, CYP2E1, CYP3A4 を安定に
発現する細胞株を分離製造することにある。これら細胞
は(1) 生体異物および/または内在性基質代謝に関与す
る酵素の解析、(2) 生体異物および/または内在性基質
代謝経路の解析、(3)生体異物および/または内在性基
質代謝産物の化学構造の解析、(4) 生体異物および/ま
たは内在性基質代謝産物の調製、(5) 生体異物および/
または内在性基質代謝酵素の阻害の解析、(6) 生体異物
および/または内在性基質代謝酵素の活性の促進の解
析、(7) 生体異物および/または内在性基質代謝による
細胞毒性の発現の解析、(8) 生体異物および/または内
在性基質代謝による遺伝毒性の発現の解析、(9)生体異
物および/または内在性基質代謝による発ガン性発現の
解析、(10) 生体異物および/または内在性基質代謝の
よる変異原性の解析、(11) 生体異物および/または内
在性基質代謝に肝毒性発現の解析、(12) 肝に作用する
生体異物および/または内在性基質の解析等を可能とす
るばかりではなく、(1)生体異物および/または内在性
基質代謝酵素を阻害する物質の探索、(2)生体異物およ
び/または内在性基質代謝酵素の活性を促進する物質の
探索、(3)生体異物および/または内在性基質代謝によ
り細胞毒性を発現する物質の探索、(4)生体異物および
/または内在性基質代謝による遺伝毒性を発現する物質
の探索、(5)生体異物および/または内在性基質代謝に
より発ガン性を発現する物質の探索、(6)生体異物およ
び/または内在性基質代謝により変異原性を発現する物
質の探索、(7)生体異物および/または内在性基質代謝
により肝毒性発現をする物質の探索、(8)肝に作用する
生体異物および/または内在性基質の探索、(9)生体異
物および/または内在性基質代謝により、新たな生理活
性を獲得あるいはそれ自体のもつ生理活性を増大あるい
は減弱する物質の探索等を可能とし該解析方法および/
または該スクリーニング方法を用いて特定の化合物又は
その塩等が得ることを可能とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、ヒト肝臓癌由来細胞
株において、安定にヒト生体異物およびまたは内在性基
質代謝に関与するチトクロームP450を安定かつ高活性で
発現する安定形質転換株を樹立し、さらに研究を行った
結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明
は、(1)ヒト型チトクロームP450を安定に発現するヒ
ト肝臓癌由来の細胞株、(2)ヒト型チトクロームP450
がCYP1A1、CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、
CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1またはCYP3A4を安定に発現す
る上記(1)記載の細胞株、(3)ヒト肝臓癌細胞がHe
pG2である上記(1)記載の培養細胞株、(4)Hepc/1A
1.4、Hepc/1A2.9、Hepc/2B6.68、Hepc/2C8.46、Hepc/2C
9.1、Hepc/2C19.12、Hepc/2D6.39、Hepc/2E1.3-8または
Hepc/3A4.5である上記(1)記載の細胞株、(5)上記
(1)記載の細胞株を用いることを特徴とする(a)生体
異物および/または内在性基質代謝に関与する酵素、
(b)生体異物および/または内在性基質代謝経路、(c)生
体異物および/または内在性基質代謝産物の化学構造、
(d)生体異物および/または内在性基質代謝酵素の阻
害、(e)生体異物および/または内在性基質代謝酵素の
活性の促進、(f)生体異物および/または内在性基質代
謝による細胞毒性、(g)生体異物および/または内在性
基質代謝による遺伝毒性、(h)生体異物および/または
内在性基質代謝による発ガン性、(i)生体異物および/
または内在性基質代謝のよる変異原性、(j)生体異物お
よび/または内在性基質代謝による肝毒性、または(k)
肝に作用する生体異物および/または内在性基質の解析
方法、(6)上記(1)記載の細胞株を用いることを特
徴とする生体異物および/または内在性基質代謝産物の
調製方法、(7)上記(1)記載の細胞株を用いること
を特徴とする(a)生体異物および/または内在性基質代
謝酵素を阻害する物質、(b)生体異物および/または内
在性基質代謝酵素の活性を促進する物質、(c)生体異物
および/または内在性基質代謝により細胞毒性を発現す
る物質、(d)生体異物およびまたは内在性基質代謝によ
り遺伝毒性を発現する物質、(e)生体異物および/また
は内在性基質代謝により発ガン性を発現する物質、(f)
生体異物および/または内在性基質代謝により変異原性
を発現する物質、(g)生体異物および/または内在性基
質代謝により肝毒性発現をする物質または(h)肝に作用
する生体異物および/または内在性基質、(i)生体異物
および/または内在性基質代謝により、新たな生理活性
を獲得あるいはそれ自体のもつ生理活性を増大あるいは
減弱する物質の探索方法、
【0005】(8)上記(7)記載の方法を用いて得ら
れる化合物またはその塩、(9)上記(8)記載の化合
物またはその塩を含有する医薬組成物、(10)CYP1A
1、CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C1
9、CYP2D6、CYP2E1およびCYP3A4のいずれか1個または
2個以上を安定に発現するヒト肝臓由来の培養細胞株を
2種以上用いることを特徴とする(a)生体異物および/
または内在性基質代謝に関与する酵素、(b)生体異物お
よび/または内在性基質代謝経路、(c)生体異物および
/または内在性基質代謝産物の化学構造、(d)生体異物
および/または内在性基質代謝酵素の阻害、(e)生体異
物および/または内在性基質代謝酵素の活性の促進、
(f)生体異物および/または内在性基質代謝による細胞
毒性、(g)生体異物および/または内在性基質代謝によ
る遺伝毒性、(h)生体異物および/または内在性基質代
謝による発ガン性、(i)生体異物および/または内在性
基質代謝のよる変異原性、(j)生体異物および/または
内在性基質代謝による肝毒性、または(k) 肝に作用する
生体異物および/または内在性基質の解析方法、(1
1)CYP1A1、CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C
9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1およびCYP3A4のいずれか1
個または2個以上を安定に発現するヒト肝臓由来の培養
細胞株を2種以上用いることを特徴とする生体異物およ
び/または内在性基質代謝産物の調製方法、(12)CY
P1A1、CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2
C19、CYP2D6、CYP2E1およびCYP3A4のいずれか1個また
は2個以上を安定に発現するヒト肝臓由来の培養細胞株
を2種以上用いることを特徴とする(a)生体異物および
/または内在性基質代謝酵素を阻害する物質、(b)生体
異物および/または内在性基質代謝酵素の活性を促進す
る物質、(c)生体異物および/または内在性基質代謝に
より細胞毒性を発現する物質、(d)生体異物およびまた
は内在性基質代謝により遺伝毒性を発現する物質、(e)
生体異物および/または内在性基質代謝により発ガン性
を発現する物質、(f)生体異物および/または内在性基
質代謝により変異原性を発現する物質、(g)生体異物お
よび/または内在性基質代謝により肝毒性発現をする物
質または(h)肝に作用する生体異物および/または内在
性基質、(i)生体異物および/または内在性基質代謝に
より、新たな生理活性を獲得あるいはそれ自体のもつ生
理活性を増大あるいは減弱する物質の探索方法、(1
3)上記(12)記載の方法を用いて得られる化合物ま
たはその塩、および(14)上記(13)記載の化合物
またはその塩を含有する医薬組成物などに関する。
【0006】
【発明の実施の形態】本明細書中、生体異物とは、例え
ば薬物、食品添加物、環境汚染物質、化学製品全般など
を意味し、内在性基質とは生体の中に存在するあらゆる
物質を意味する。中でも薬物を中心とする生体異物の代
謝に対しては薬物代謝などが好ましく用いられる。用い
られるヒト肝臓癌細胞は、ヒト肝臓癌に由来する培養細
胞株(好ましくは、HepG2)をヒト肝臓癌より分離
して得ることができる。ここに、別途分離した種々のチ
トクロームP450をコードする遺伝子を安定に発現せしめ
る。チトクロームP450をコードするDNA断片を安定に発
現せしめるには、例えば個々のチトクロームP450をコー
ドするDNA断片を得、それを外来性のプロモーターの支
配下に置き発現せしめる。チトクロームP450をコードす
るDNA断片の塩基配列は、公開されているデータベース
より得ることができる。この塩基配列をもとによりPCR
法、ハイブリダイゼーションスクリーニング法などの公
知の方法によりチトクロームP450をコードDNA断片を分
離することが可能である。このようにして得られたDNA
断片は、哺乳類の培養細胞において安定に外来遺伝子を
発現する形質転換株をもたらすベクターに導入し、形質
転換用ベクターを作成する。作製したベクターは、公知
の方法により肝癌細胞に導入される。形質転換株は、そ
のものに導入されたチトクロームP450の発現によりもた
らされる酵素活性を検討することにより選択し、すぐれ
たクローンを選択する。さらに得られたクローンは、凍
結保存の繰り返しによりその性質の安定性を確認でき
る。外来性のプロモーターとしては、例えば、SRαプ
ロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモータ
ー、CMVプロモーター、HSV-TKプロモーターな
どがあげられる。
【0007】「ヒト型チトクロームP450を安定に発現す
る」とは、ヒト型チトクロームP450の発現が一過性では
ないこと、具体的には、細胞の培養化(継代)により、
チトクロームP450の活性が失われることがないことを意
味する。また、ヒト型チトクロームP450を発現する細胞
がチトクロームP450のみならず種々の代謝に関与する酵
素(具体的には、UDP−グルクロノシルトランスフェ
ラーゼ、スルフォトランスフェラーゼ、グルタチオント
ランスフェラーゼ、エポキシヒドラターゼ、N-アセチル
トランスフェラーゼ、フラビンモノオキシゲーナーゼ
等)が機能している細胞が好ましい。肝の生体異物およ
びまたは内在性基質代謝に関与するチトクロームP450分
子種としてはCYP1A1, CYP1A2, CYP2A6, CYP2B6, CYP2C
8, CYP2C9, CYP2C19, CYP2D6,CYP2E1, CYP3A4などがあ
げることができる。これらの酵素は、生体異物およびま
たは内在性基質の代謝反応を行うばかりではなくその代
謝産物の性状により生体異物および/または内在性基質
代謝酵素の阻害、生体異物および/または内在性基質代
謝酵素の活性の促進、生体異物および/または内在性基
質代謝による細胞毒性の発現、生体異物および/または
内在性基質代謝による遺伝毒性の発現、生体異物および
/または内在性基質代謝による発ガン性発現、生体異物
および/または内在性基質代謝のよる変異原性発現、生
体異物および/または内在性基質代謝による肝毒性発現
等を生じせしめる。しかしながら、肝の生体異物および
または内在性基質代謝に関与する機能は、単にチトクロ
ームP450のみにより実施されるのではなくUDP−グル
クロノシルトランスフェラーゼ、スルフォトランスフェ
ラーゼ、グルタチオントランスフェラーゼ、エポキシヒ
ドラターゼ、N-アセチルトランスフェラーゼ、フラビン
モノオキシゲーナーゼおよびチトクロームP450還元酵素
などの種々の酵素の共同の働きに依存する。従って、チ
トクロームP450の発現により肝の機能を再現せしめるた
めにはその細胞はヒト由来の少なくともUDP−グルク
ロノシルトランスフェラーゼ、スルフォトランスフェラ
ーゼ、グルタチオントランスフェラーゼ、エポキシヒド
ラターゼ、N-アセチルトランスフェラーゼ、フラビンモ
ノオキシゲーナーゼが機能している細胞でなくてはなら
ない。このような細胞の一つとしてヒト肝臓癌由来の培
養細胞HepG2があげられる。HepG2細胞は、UDP−グル
クロノシルトランスフェラーゼ、スルフォトランスフェ
ラーゼ、グルタチオントランスフェラーゼ、エポキシヒ
ドラターゼ、N-アセチルトランスフェラーゼ、フラビン
モノオキシゲーナーゼおよびNADPH P450還元酵素が機能
していることが知られている(J. Rueffet. al., Mutati
on Research, 353, 151-176 (1996)。以上の観点から、
本発明者らはHepG2においてチトクロームP450を安定
に発現せしめることにより迅速かつ安価かつ安全かつ正
確にヒト肝臓の機能を再現せしめることに成功した。な
かでも、 Hepc/3A4.5、Hepc/2E1.3-8、 Hepc/2C9.1、 H
epc/2C8.46、 Hepc/1A2.9、 Hepc/1A1.4、Hepc/2B6.6
8、 Hepc/2D6.39、Hepc/2A6L.9、Hepc/2C19.12などが好
ましく用いられる。Hepc/3A4.5はCYP3A4の高活性発現細
胞であり、Hepc/2E1.3-8はCYP2E1の高活性発現細胞であ
り、Hepc/2C9.1はCYP2C9の高活性発現細胞であり、Hepc
/2C8.46はCYP2C8の高活性発現細胞であり、Hepc/1A2.9
はCYP1A2の高活性発現細胞であり、Hepc/1A1.4はCYP1A1
の高活性発現細胞であり、Hepc/2B6.68はCYP2B6の高活
性発現細胞であり、Hepc/2D6.39はCYP2D6の高活性発現
細胞であり、Hepc/2A6L.9はCYP2A6の高活性発現細胞で
あり、Hepc/2C19.12はCYP2C19の高活性発現細胞であ
る。さらに本発明は、上記のヒト型チトクロームp45
0を安定に発現するヒト肝臓癌由来の培養細胞株を用い
ることを特徴とする(a) 生体異物および/または内在性
基質代謝に関与する酵素の解析方法、(b) 生体異物およ
び/または内在性基質代謝経路の解析方法、(c)生体異
物および/または内在性基質代謝産物の化学構造の解析
方法、(d) 生体異物および/または内在性基質代謝産物
の調製方法、(e) 生体異物および/または内在性基質代
謝酵素の阻害の解析方法、(f) 生体異物および/または
内在性基質代謝酵素の活性の促進の解析方法、(g) 生体
異物および/または内在性基質代謝による細胞毒性の発
現の解析方法、(h) 生体異物および/または内在性基質
代謝による遺伝毒性の発現の解析方法、(i) 生体異物お
よび/または内在性基質代謝による発ガン性発現の解析
方法、(j) 生体異物および/または内在性基質代謝のよ
る変異原性の解析方法、(k) 生体異物および/または内
在性基質代謝に肝毒性発現の解析方法または(l) 肝に作
用する生体異物および/または内在性基質の解析方法な
どに関する。
【0008】以下に上記(a)〜(l)記載の各方法について
説明する。 (a) 生体異物および/または内在性基質代謝に関与す
る酵素の解析方法:たとえば、被検物質のチトクローム
p450を安定に発現するヒト肝臓癌由来の培養細胞株
への暴露による生体異物および/または内在性基質の構
造の変化を解析することにより生体異物および/または
内在性基質代謝に関与する酵素の解析が可能である(J.
L. .Napoli ほか Methods in Enzymology vol. 206 p
p.491-501 Ed. by M.R. WatermanほかAcademic Press
1991、H. K. Kroemer ほか Methods in Enzymology vo
l. 272 pp.99-198 Ed. by M.R. WatermanほかAcademic
Press 1996)。具体的には、被検物質のチトクロームp
450を安定に発現するヒト肝臓癌由来の培養細胞株へ
の暴露による生体異物および/または内在性基質の構造
の変化を解析することによる生体異物および/または内
在性基質代謝に関与する酵素の同定、被検物質の細胞へ
の暴露による生体異物および/または内在性基質の構造
の変化を解析することによる酵素反応機構の解析、基質
特異性の解析などをあげることができる。被検物質とし
ては、例えば、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合
物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出
液、動物組織抽出液、血漿などがあげられ、これら化合
物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であ
ってもよい。 (b) 生体異物および/または内在性基質代謝経路の解
析方法:たとえば、被検物質のチトクロームP450を
安定に発現するヒト肝臓癌由来の培養細胞株への暴露に
よる生体異物および/または内在性基質の構造の変化を
解析することにより生体異物および/または内在性基質
の代謝経路の解析が可能である(J.L. Napoli ほか Met
hods in Enzymology vol. 206 pp.491-501 Ed. by M.
R. WatermanほかAcademic Press 1991、H. K. Kroemer
ほか Methods inEnzymology vol. 272 pp.99-198 Ed.
by M.R. WatermanほかAcademic Press 1996)。被検物
質としては、上記と同様のものなどが用いられる。
【0009】(c) 生体異物および/または内在性基質
代謝産物の化学構造の解析方法:たとえば、被検物質の
チトクロームP450を安定に発現するヒト肝臓癌由来
の培養細胞株への暴露により生じた生体異物および/ま
たは内在性基質の構造の変化を解析することにより生体
異物および/または内在性基質の代謝産物の化学構造の
解析が可能である(J. L. Napoli ほか Methods in Enzy
mology vol. 206pp.491-501 Ed. by M.R. Watermanほ
かAcademic Press 1991、H. K. Kroemerほか Methods
in Enzymology vol. 272 pp.99-198 Ed. by M.R. Wate
rmanほかAcademic Press 1996)。被検物質としては、上
記と同様のものなどが用いられる。 (d) 生体異物および/または内在性基質代謝産物の調
製方法:たとえば、被検物質をチトクロームP450を
安定に発現するヒト肝臓癌由来の培養細胞株に暴露せし
めた結果生じた生体異物および/または内在性基質の変
換物質(いわゆる代謝産物)を採取し適切な方法で精製
分離することにより生体異物および/または内在性基質
の代謝産物の調製が可能である(J.L. Napoli ほか Met
hods in Enzymology vol. 206 pp.491-501 Ed. by M.
R. WatermanほかAcademic Press 1991)。被検物質とし
ては、上記と同様のものなどが用いられる。 (e) 生体異物および/または内在性基質代謝酵素の阻
害の解析方法たとえば、被検物質をチトクロームP45
0を安定に発現するヒト肝臓癌由来の培養細胞株へ暴露
することにより生体異物および/または内在性基質代謝
酵素の活性の阻害の解析が可能である(J.L. Napoli ほ
か Methods in Enzymology vol. 206 pp.491-501 Ed.
by M.R. WatermanほかAcademic Press 1991)。具体的
には、チトクロームP450酵素活性の阻害、タンパク量の
減少、mRNAの減少などにより検出することが可能であ
る。検出方法としては、各種P450に対応する酵素活性の
測定、各種P450蛋白質に対応するウエスタンブロティン
グ、各種P450 mRNAに対応するノザンハイブリダイゼー
ションあるいはRT-PCR法など公知の手法を使用すること
ができる。被検物質としては、上記と同様のものなどが
用いられる。
【0010】(f) 生体異物および/または内在性基質
代謝酵素の活性の促進の解析方法:たとえば、被検物質
をチトクロームP450を安定に発現するヒト肝臓癌由
来の培養細胞株へ暴露し、生体異物および/または内在
性基質代謝の酵素活性の上昇、酵素量の増加または酵素
をコードする遺伝子の転写量の上昇などを検出すること
により生体異物および/または内在性基質代謝酵素の活
性の促進の解析が可能である(J. Rueff ほかMutation R
esearch 353(1996) 151-176)。具体的には、チトクロー
ムP450酵素活性の上昇、タンパク量の増加、mRNAの増加
を検出することで可能である。検出方法としては、各種
P450に対応する酵素活性の測定、各種P450蛋白質に対応
するウエスタンブロティング、各種P450 mRNAに対応す
るノザンハイブリダイゼーションあるいはRT-PCR法など
公知の手法を使用することができる。被検物質として
は、上記と同様のものなどが用いられる。 (g) 生体異物および/または内在性基質代謝による細
胞毒性の解析方法:たとえば、被検物質のチトクローム
P450を安定に発現するヒト肝臓癌由来の培養細胞株
への暴露により生体異物および/または内在性基質の代
謝による細胞毒性の解析が可能である。具体的には、被
検物質の暴露による細胞の形態の変化、MTTアッセイや
トリパンブルー染色あるいはクリスタルバイオレット染
色など公知の方法による生細胞数の変動、乳酸脱水素酵
素などの細胞内酵素の漏出、細胞表層構造の変化あるい
は細胞内酵素の変動などを観察することにより解析され
る(D. Wu ほか Journal of Biological Chemistry, 27
1, (1996) 23914-23919)。被検物質としては、上記と同
様のものなどが用いられる。
【0011】(h) 生体異物および/または内在性基質
代謝による遺伝毒性の解析方法:たとえば、被検物質を
チトクロームP450を安定に発現するヒト肝臓癌由来
の培養細胞株に暴露し、細胞を染色体異常試験、小核試
験などに付すことより生体異物および/または内在性基
質代謝による遺伝毒性の解析が可能である。またさら
に、被検物質をチトクロームP450を安定に発現する
ヒト肝臓癌由来の培養細胞株に暴露したのち、細胞によ
り変化した被検物質を適切な評価系で評価することによ
り染色体異常試験、小核試験、復帰突然変異試験などに
付すことにより解析が可能である(J. Rueff ほかMutati
on Research 353(1996) 151-176, M.E. McManus ほか
Methods in Enzymology vol. 206 pp.501-508 Ed. by
M.R.WatermanほかAcademic Press 1991))。被検物質と
しては、上記と同様のものなどが用いられる。 (i) 生体異物および/または内在性基質代謝による発
ガン性の解析方法:たとえば、被検物質をチトクローム
P450を安定に発現するヒト肝臓癌由来の培養細胞株
に暴露し、細胞を染色体異常試験、DNAの修飾などに付
すことにより生体異物および/または内在性基質代謝に
よる発ガン性の解析が可能である。またさらに、被検物
質をチトクロームP450を安定に発現するヒト肝臓癌
由来の培養細胞株に暴露したのち、細胞により変化した
被検物質を適切な化学物質による発ガン評価系で評価す
ることにより解析が可能である(J. Rueff ほかMutation
Research 353(1996) 151-176, K. Kawajiri ほかCytoc
hromes P450 metabolic and toxicological aspects pp
77-98 ed. by C. Ioannides CRC press (1996))。被検
物質としては、上記と同様のものなどが用いられる。 (j) 生体異物および/または内在性基質代謝のよる変
異原性の解析方法:たとえば、被検物質をチトクローム
P450を安定に発現するヒト肝臓癌由来の培養細胞株
に暴露し、細胞を染色体異常試験、小核試験などに付す
ことにより生体異物および/または内在性基質代謝のよ
る変異原性の解析が可能である。またさらに、被検物質
をチトクロームP450を安定に発現するヒト肝臓癌由
来の培養細胞株に暴露したのち、細胞により変化した被
検物質を適切な評価系で評価することにより染色体異常
試験、小核試験、復帰突然変異試験などに付すことによ
り解析が可能である(J. Rueff ほかMutation Research
353(1996) 151-176)。被検物質としては、上記と同様の
ものなどが用いられる。
【0012】(k) 生体異物および/または内在性基質
代謝による肝毒性の解析方法:たとえば、被検物質をチ
トクロームP450を安定に発現するヒト肝臓癌由来の
培養細胞株に暴露し、細胞毒性の発現を観察することに
より、あるいは、被検物質をチトクロームP450を安
定に発現するヒト肝臓癌由来の培養細胞株に暴露したの
ち、細胞により変化した被検物質を他の肝細胞、肝切
片、摘出肝または、実験動物へ投与しそれによる細胞、
組織、生体の変化を観察することにより生体異物および
/または内在性基質代謝による肝毒性を解析することが
可能である。被検物質としては、上記と同様のものなど
が用いられる。 (l) 肝に作用する生体異物および/または内在性基質
の解析方法:たとえば、被検物質のチトクロームP45
0を安定に発現するヒト肝臓癌由来の培養細胞株への暴
露による細胞の変化の発現を観察することにより、ある
いは、被検物質をチトクロームP450を安定に発現す
るヒト肝臓癌由来の培養細胞株に暴露したのち、細胞に
より変化した被検物質を他の肝細胞、肝切片、摘出肝ま
たは、実験動物へ投与しそれによる細胞、組織、生体の
変化を観察することにより肝への作用の発現を解析する
ことが可能である。被検物質としては、上記と同様のも
のなどが用いられる。さらに本発明は、上記のヒト型チ
トクロームp450を安定に発現するヒト肝臓癌由来の
培養細胞株を用いることを特徴とする(A)生体異物およ
び/または内在性基質代謝酵素を阻害する物質、(B)生
体異物および/または内在性基質代謝酵素の活性を促進
する物質、(C)生体異物および/または内在性基質代謝
により細胞毒性を発現する物質、(D)生体異物およびま
たは内在性基質代謝により遺伝毒性を発現する物質、
(E)生体異物および/または内在性基質代謝により発ガ
ン性を発現する物質、(F)生体異物および/または内在
性基質代謝により変異原性を発現する物質、(G)生体異
物および/または内在性基質代謝により肝毒性発現をす
る物質または(H)肝に作用する生体異物および/または
内在性基質、(I)生体異物および/または内在性基質代
謝により、新たな生理活性を獲得あるいはそれ自体のも
つ生理活性を増大あるいは減弱する物質の探索方法およ
びこれらの探索方法によって得られる化合物またはその
塩を提供する。 (A)生体異物および/または内在性基質代謝酵素を阻害
する物質の探索方法としては、上記(e)に記載の生体異
物および/または内在性基質代謝酵素の阻害の解析方法
に従って解析し、例えば、チトクロームP450酵素活性の
阻害、タンパク量の減少、mRNAの減少などをもたらす被
検物質を生体異物および/または内在性基質代謝酵素を
阻害する物質として選択することが可能である。
【0013】(B)生体異物および/または内在性基質代
謝酵素の活性を促進する物質の探索方法としては、上記
(f)に記載の生体異物および/または内在性基質代謝酵
素の活性の促進の解析方法に従って解析し、例えば、チ
トクロームP450酵素活性の促進、タンパク量の増加、mR
NAの増加などをもたらす被検物質を生体異物および/ま
たは内在性基質代謝酵素を阻害する物質として選択する
ことが可能である。 (C)生体異物および/または内在性基質代謝により細胞
毒性を発現する物質の探索方法としては、上記(g)に記
載の生体異物および/または内在性基質代謝による細胞
毒性の解析方法に従って解析し、例えば、被検物質の暴
露による細胞の形態の変化、生細胞数の変動、細胞内酵
素の漏出、細胞表層構造の変化あるいは細胞内酵素の変
動などをもたらす被検物質を生体異物および/または内
在性基質代謝により細胞毒性を発現する物質として選択
することが可能である。 (D)生体異物およびまたは内在性基質代謝により遺伝毒
性を発現する物質の探索方法としては、上記(h)に記載
の生体異物および/または内在性基質代謝による遺伝毒
性の解析方法に従って解析し、例えば、染色体異常試
験、小核試験などに付すことより生体異物および/また
は内在性基質代謝による遺伝毒性をもたらす被検物質を
生体異物およびまたは内在性基質代謝により遺伝毒性を
発現する物質として選択することが可能である。 (E)生体異物および/または内在性基質代謝により発ガ
ン性を発現する物質の探索方法としては、上記(i)に記
載の生体異物および/または内在性基質代謝による発ガ
ン性の解析方法の従って解析し、例えば染色体異常試
験、DNAの修飾などに付すことにより生体異物および/
または内在性基質代謝による発ガン性をもたらす被験物
質を生体異物および/または内在性基質代謝により発ガ
ン性を発現する物質として選択することが可能である。 (F)生体異物および/または内在性基質代謝により変異
原性を発現する物質の探索方法としては、上記(j)に記
載の生体異物および/または内在性基質代謝のよる変異
原性の解析方法に従って解析し、例えば染色体異常試
験、小核試験などに付すことにより生体異物および/ま
たは内在性基質代謝のよる変異原性をもたらす被験物質
を生体異物および/または内在性基質代謝により変異原
性を発現する物質として選択することが可能である。 (G)生体異物および/または内在性基質代謝により肝毒
性発現をする物質の探索方法としては、上記(k)に記載
の生体異物および/または内在性基質代謝による肝毒性
の解析方法に従って解析し、例えば、被検物質を細胞に
暴露したのち、細胞により変化した被検物質を他の肝細
胞、肝切片、摘出肝または、実験動物へ投与しそれによ
る細胞、組織、生体の変化を観察することにより生体異
物および/または内在性基質代謝による肝毒性をもたら
す被験物質を生体異物および/または内在性基質代謝に
より肝毒性発現をする物質として選択することが可能で
ある。 (H)肝に作用する生体異物および/または内在性基質の
探索方法としては、上記(l)に記載の肝に作用する生体
異物および/または内在性基質の解析方法に従がって解
析し、例えば、被検物質を細胞に暴露したのち、細胞に
より変化した被検物質を他の肝細胞、肝切片、摘出肝ま
たは、実験動物へ投与しそれによる細胞、組織、生体の
変化を観察することにより肝に作用する生体異物および
/または内在性基質を探索することが可能である。
【0014】(I)生体異物および/または内在性基質代
謝により、新たな生理活性を獲得あるいはそれ自体のも
つ生理活性を増大あるいは減弱する物質(いわゆるプロ
ドラッグを含む)の探索方法としては、上記(c)に記載
の生体異物および/または内在性基質代謝産物の化学構
造の解析方法に従がって解析し、該代謝産物の生理活性
を観察することにより探索することが可能である。上記
(A)〜(I)の探索方法により得られる化合物またはそ
の塩は、上記した作用・性質などをもたらす被験物質か
ら選ばれた化合物またはその塩であり、肝臓の生体異物
の代謝異常に係る疾患(例えば、肝機能不全症など)に
対して治療・予防効果を有するので、該疾患に対する安
全で低毒性な治療・予防剤などの医薬組成物として使用
することができる。該探索方法で得られた化合物は塩を
形成していてもよく、該化合物の塩としては、生理学的
に許容される酸(例、無機酸、有機酸)や塩基(例アル
カリ金属)などとの塩が用いられ、とりわけ生理学的に
許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、
例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、
硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、
プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石
酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスル
ホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩などが用いられ
る。該探索方法で得られた化合物またはその塩を含有す
る医薬は、公知の製造法またはそれに準じた方法で製造
することができる。このようにして得られる製剤は、安
全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは哺乳動物
(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツ
ジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対し
て投与することができる。
【0015】該化合物またはその塩の投与量は、対象疾
患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例
えば、肝機能不全症の治療目的で該化合物を経口投与す
る場合、一般的に成人(体重60kgとして)において
は、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ま
しくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜
20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合
物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異
なるが、例えば、肝機能不全症の治療目的で該化合物を
注射剤の形で通常成人(60kgとして)に投与する場
合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、
好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約
0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好
都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算
した量を投与することができる。上記の製剤の剤形とし
ての具体例としては、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコ
ーティング錠を含む)、丸剤、カプセル剤(マイクロカ
プセルを含む)、顆粒剤、細粒剤、散剤、シロップ剤、
乳剤、懸濁剤、注射剤、吸入剤、軟膏などが用いられ
る。これらの製剤は常法(例えば日本薬局方記載の方法
など)に従って調製される。該製剤において、上記のス
クリーニング方法で得られた化合物またはその塩の含有
量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に
対して0.01ないし100重量%、好ましくは0.1
ないし50重量%、さらに好ましくは0.5ないし20
重量%程度である。具体的には、錠剤の製造法は、医薬
品をそのまま、賦形剤、結合剤、崩壊剤もしくはそのほ
かの適当な添加剤を加えて均等に混和したものを、適当
な方法で顆粒とした後、滑沢剤などを加え、圧縮成型す
るかまたは、医薬品をそのまま、または賦形剤、結合
剤、崩壊剤もしくはそのほかの適当な添加剤を加えて均
等に混和したものを、直接圧縮成型して製するか、また
はあらかじめ製した顆粒をそのまま、もしくは適当な添
加剤を加えて均等に混合した後、圧縮成型しても製造す
ることもできる。また、本剤は、必要に応じて着色剤、
矯味剤などを加えることができる。さらに、本剤は、適
当なコーティング剤で剤皮を施すこともできる。注射剤
の製造法は、医薬品の一定量を、水性溶剤の場合は注射
用水、生理食塩水、リンゲル液など、非水性溶剤の場合
は通常植物油などに溶解、懸濁もしくは乳化して一定量
とするか、または医薬品の一定量をとり注射用の容器に
密封して製することができる。経口用製剤担体として
は、例えばデンプン、マンニット、結晶セルロース、カ
ルボキシメチルセルロースナトリウムなどの製剤分野に
おいて常用されている物質が用いられる。注射用担体と
しては、例えば蒸留水、生理食塩水、グルコース溶液、
輸液剤などが用いられる。その他、製剤一般に用いられ
る添加剤を適宜添加することもできる。
【0016】さらに本発明は、 CYP1A1、CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C
9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1およびCYP3A4のいずれか1
個または2個以上を安定に発現するヒト肝臓由来の培養
細胞株を2種以上用いることを特徴とする(a)生体異物
および/または内在性基質代謝に関与する酵素、(b)生
体異物および/または内在性基質代謝経路、(c)生体異
物および/または内在性基質代謝産物の化学構造、(d)
生体異物および/または内在性基質代謝酵素の阻害、
(e)生体異物および/または内在性基質代謝酵素の活性
の促進、(f)生体異物および/または内在性基質代謝に
よる細胞毒性、(g)生体異物および/または内在性基質
代謝による遺伝毒性、(h)生体異物および/または内在
性基質代謝による発ガン性、(i)生体異物および/また
は内在性基質代謝のよる変異原性、(j)生体異物および
/または内在性基質代謝による肝毒性、または(k) 肝に
作用する生体異物および/または内在性基質の解析方
法、 CYP1A1、CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C
9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1およびCYP3A4のいずれか1
個または2個以上を安定に発現するヒト肝臓由来の培養
細胞株を2種以上用いることを特徴とする生体異物およ
び/または内在性基質代謝産物の調製方法、 CYP1A1、CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C
9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1およびCYP3A4のいずれか1
個または2個以上を安定に発現するヒト肝臓由来の培養
細胞株を2種以上用いることを特徴とする(a)生体異物
および/または内在性基質代謝酵素を阻害する物質、
(b)生体異物および/または内在性基質代謝酵素の活性
を促進する物質、(c)生体異物および/または内在性基
質代謝により細胞毒性を発現する物質、(d)生体異物お
よびまたは内在性基質代謝により遺伝毒性を発現する物
質、(e)生体異物および/または内在性基質代謝により
発ガン性を発現する物質、(f)生体異物および/または
内在性基質代謝により変異原性を発現する物質、(g)生
体異物および/または内在性基質代謝により肝毒性発現
をする物質、(h)肝に作用する生体異物および/または
内在性基質または(i)生体異物および/または内在性基
質代謝により、新たな生理活性を獲得あるいはそれ自体
のもつ生理活性を増大あるいは減弱する物質の探索方
法、 上記記載の方法を用いて得られる化合物またはそ
の塩(医薬組成物)なども提供する。
【0017】「(a)生体異物および/または内在性基質
代謝に関与する酵素、(b)生体異物および/または内在
性基質代謝経路、(c)生体異物および/または内在性基
質代謝産物の化学構造、(d)生体異物および/または内
在性基質代謝酵素の阻害、(e)生体異物および/または
内在性基質代謝酵素の活性の促進、(f)生体異物および
/または内在性基質代謝による細胞毒性、(g)生体異物
および/または内在性基質代謝による遺伝毒性、(h)生
体異物および/または内在性基質代謝による発ガン性、
(i)生体異物および/または内在性基質代謝のよる変異
原性、(j)生体異物および/または内在性基質代謝によ
る肝毒性、または(k) 肝に作用する生体異物および/ま
たは内在性基質の解析方法」、「生体異物および/また
は内在性基質代謝産物の調製方法」、「(a)生体異物お
よび/または内在性基質代謝酵素を阻害する物質、(b)
生体異物および/または内在性基質代謝酵素の活性を促
進する物質、(c)生体異物および/または内在性基質代
謝により細胞毒性を発現する物質、(d)生体異物および
または内在性基質代謝により遺伝毒性を発現する物質、
(e)生体異物および/または内在性基質代謝により発ガ
ン性を発現する物質、(f)生体異物および/または内在
性基質代謝により変異原性を発現する物質、(g)生体異
物および/または内在性基質代謝により肝毒性発現をす
る物質、(h)肝に作用する生体異物および/または内在
性基質または(i)生体異物および/または内在性基質代
謝により、新たな生理活性を獲得あるいはそれ自体のも
つ生理活性を増大あるいは減弱する物質の探索方法」お
よび「(a)生体異物および/または内在性基質代謝酵素
を阻害する物質、(b)生体異物および/または内在性基
質代謝酵素の活性を促進する物質、(c)生体異物および
/または内在性基質代謝により細胞毒性を発現する物
質、(d)生体異物およびまたは内在性基質代謝により遺
伝毒性を発現する物質、(e)生体異物および/または内
在性基質代謝により発ガン性を発現する物質、(f)生体
異物および/または内在性基質代謝により変異原性を発
現する物質、(g)生体異物および/または内在性基質代
謝により肝毒性発現をする物質、(h)肝に作用する生体
異物および/または内在性基質または(i)生体異物およ
び/または内在性基質代謝により、新たな生理活性を獲
得あるいはそれ自体のもつ生理活性を増大あるいは減弱
する物質の探索方法によって得られる化合物またはその
塩(医薬組成物)」とは上記と同様の意味で用いられ
る。「CYP1A1、CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2
C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1およびCYP3A4のいずれか
1個または2個以上を安定に発現するヒト肝臓由来の培
養細胞株を2種以上用いる」ことを特徴とする上記の解
析方法、調製方法、探索方法は、 CYP1A1、CYP1A2、CYP
2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2
E1およびCYP3A4の内のいずれか単独の酵素を発現する細
胞株を用いる場合に比べ、より生体内に近い状態での解
析、調製、探索を可能とする。また、該細胞株を2種以
上用いる場合には、それぞれの細胞株を同時に用いても
よいし、別々に用いて、それぞれの解析、調製、探索結
果を比較してもよい。
【0018】後述の実施例で得られた細胞株はHepc/3A
4.5, Hepc/2E1.3-8, Hepc/2C9.1, Hepc/2C8.46, Hepc/1
A2.9, Hepc/1A1.4は1999年2月10日から大阪府大
阪市淀川区十三本町2−17−85、財団法人・発酵研
究所(IFO)において、それぞれ寄託番号IFO 50502, 5050
3, 50504, 50505, 50506, 50507として、2000年4
月12日から茨城県つくば市東1−1−3、通商産業省
工業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH)に寄託
番号FERM BP-7120, FERM BP-7121, FERM BP-7122, FERM
BP-7123, FERM BP-7124, FERM BP-7125として寄託され
ている。Hepc/2B6.68, Hepc/2D6.39はそれぞれ平成19
99年2月15日から大阪府大阪市淀川区十三本町2−
17−85、財団法人・発酵研究所(IFO)において寄託
番号IFO 50508, 50509として、2000年4月12日か
ら茨城県つくば市東1−1−3、通商産業省工業技術院
生命工学工業技術研究所(NIBH)にそれぞれ寄託番
号FERM BP-7126, FERM BP-7127として寄託されている。
また、Hepc/2A6L.9, Hepc/2C19.12はそれぞれ1999
年2月15日から大阪府大阪市淀川区十三本町2−17
−85、財団法人・発酵研究所(IFO)において寄託番号I
FO 50511, 50512として、2000年4月12日から茨
城県つくば市東1−1−3、通商産業省工業技術院生命
工学工業技術研究所(NIBH)にそれぞれ寄託番号FE
RM BP-7128, FERM BP-7129として寄託されている。
【0019】
【実施例】以下本発明の実施例について詳細に説明する
が、本発明はそれに限定されるものではない。また、遺
伝子操作の手法は特に断りのない限りサムブルーク(Sam
brook)らのマニュアル(Molecular Cloning:A Laborator
y Manual)、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラ
トリー・プレス)などによる一般的な方法を用いた。
【0020】実施例1 チトクロームP450をコードする
DNA断片のクローン化および発現ベクターの作成 ヒトチトクロームP450をコードするDNA断片のクローン
化はヒト成人肝臓に由来する相補DNA(cDNA)ライブ
ラリーから、確立された方法であるpolymerasechain re
action (以下PCR)法によりクローン化した。クローン化
するヒトチトクロームP450のcDNA配列はジーンバンク(G
eneBank)のデータベースから入手可能である。GeneBank
における受け入れ番号はCYP1A1はK03191、 CYP1A2はM55
053あるいはM38504、 CYP2A6はM33318あるいはM33316、
CYP2B6はM29874あるいはJ02864、CYP2C8はM17397あるい
はJ03472、CYP2C9はM61857あるいは J05326、CYP2C19は
M61854あるいはJ05326、CYP2D6はX08006あるいはY0030
0、CYP2E1はJ02625、 CYP3A4はJ04449となっている。ク
ローン化した個々のcDNAは、pcDNA3.1(+)ベクター(Invt
rogen Co.) CMV (サイトメガロウイルス)のエンハン
サー・プロモーターの下流にプロモーターの機能する方
向に合わせて導入しCYP1A1を導入した1A1/pcDNA3.1
(+)、 CYP1A2を導入した1A2/pcDNA3.1(+)、 CYP2A6を導
入した2A6/pcDNA3.1(+)、CYP2B6を導入した2B6/pcDNA3.
1(+)、CYP2C8を導入した2C8/pcDNA3.1(+)、CYP2C9を導
入した2C9/pcDNA3.1(+)、CYP2C19を導入した2C19/pcDNA
3.1(+)、CYP2D6を導入した2D6/pcDNA3.1(+)、CYP2E1を
導入した2E1/pcDNA3.1(+)、 CYP3A4を導入した3A4/pcDN
A3.1(+)を得た。
【0021】実施例2 チトクロームP450高活性発現細
胞の選択 HepG2 は、10% FCS(牛胎児血清 fetal calf serum)
(Bio Whittaker)を含むDMEM(Dulbecco's Modofied Eag
le's medium)培地で維持した。HepG2 を60mmディッシ
ュに播種し、50〜60%コンフルエントになるまでCO2
ンキュベーター内で培養した後、リポフェクタミン試薬
(GIBCO BRL) を用いて2μgの1A1/pcDNA3.1(+)、 1A2/p
cDNA3.1(+)、 2A6/pcDNA3.1(+)、2B6/pcDNA3.1(+)、2C8
/pcDNA3.1(+)、2C9/pcDNA3.1(+)、2C19/pcDNA3.1(+)、2
D6/pcDNA3.1(+)、2E1/pcDNA3.1(+)、 あるいは3A4/pcDN
A3.1(+)をトランスフェクトした。2日間10% FCSを含む
DMEM培地で培養後、500μg/ml G418 (GIBCO BRL)、10%
FCSを含むDMEM培地に置換し、3〜4日毎に新しい培地
に交換し、G418耐性株をクローニングした。得られたG4
18耐性株は200μg/ml G418 (GIBCO BRL)、10% FCSを含
むDMEM培地で維持した。得られたG418耐性株のおのおの
のチトクロームP450活性を以下に記載の方法で測定し活
性の高い細胞株を測定し、高活性発現細胞を選択した。
【0022】(1)CYP1A1およびCYP1A2発現細胞の活性の
測定と高活性発現細胞の選択 エトキシレゾルフィン(Molecular Probes)はDMSO(di
methyl sulfoxideジメチルスルフォキサイド)(和光純
薬)で2mM になるように希釈した。次に、これを2% FCS
(Bio Whittaker) を含むフェノールレッド不含DMEM培
地 (GIBCO BRL)で500μM になるように希釈した。CYP1A
1 あるいは CYP1A2発現細胞を12ウェルプレート (Falco
n) に播種し、コンフルエントになるまで CO2インキュ
ベーター内で培養した。培養後、培地を吸引し、フェノ
ールレッド不含DMEM培地でプレートに付着した細胞を洗
浄した後、上記で希釈した500μMエトキシレゾルフィン
を500μl/ウェル添加した。暗所で37℃で反応させた
後、各ウェルから反応液を回収した。反応液300μlにメ
タノール(和光純薬)1800μlを添加し、不溶性物質等
を遠心除去した後、分光蛍光光度計にて、励起波長550n
m 蛍光波長586nmの蛍光強度を測定し、生成したレゾル
フィンを定量した。レゾルフィン(Molecular Probes)
の標準物質は、Molecular Probesより購入したものを用
いた。得られたCYP1A1あるいはCYP1A2活性発現株のなか
からCYP1A1高発現株としてHepc/1A1.4株を、CYP1A2高発
現株としてHepc/1A2.9株を各々得た。
【0023】(2)CYP2A6 発現細胞の活性の測定と高活性
発現細胞の選択 クマリン(和光純薬)はメタノール(和光純薬)で50mM
になるように希釈した。次に、これを2% FCS (Bio Whit
taker)を含むフェノールレッド不含DMEM培地 (GIBCO BR
L)で500μMになるように希釈した。CYP2A6発現細胞を12
ウェルプレート (Falcon)に播種し、コンフルエントに
なるまで CO2 インキュベーター内で培養した。培養
後、培地を吸引し、フェノールレッド不含DMEM培地でプ
レートに付着した細胞を洗浄した後、上記で希釈した50
0μMクマリンを500μl/ウェル添加した。37℃で反応さ
せた後、各ウェルから反応液を回収した。反応液を0.1M
Tris-HCl (pH 7.4)で10倍に希釈し、分光蛍光光度計に
て、励起波長390nm 蛍光波長440nmの蛍光強度を測定
し、生成した7-ヒドロキシクマリンを定量した。7-ヒド
ロキシクマリンの標準物質は、Extrasyntheseより購入
したものを用いた。得られたCYP2A6活性発現株のなかか
らCYP2A6高発現株としてHepc/2A6L.9株を得た。
【0024】(3)CYP2B6発現細胞の活性の測定と高活性
発現細胞の選択 7-エトキシクマリン(Molecular Probes)はDMSO(和光
純薬)で10mM になるように希釈した。次に、これを2%
FCS (Bio Whittaker) を含むフェノールレッド不含DMEM
培地 (GIBCO BRL)で500μM になるように希釈した。CYP
2B6発現細胞を12ウェルプレート (Falcon) に播種し、
コンフルエントになるまで CO2 インキュベーター内で
培養した。培養後、培地を吸引し、フェノールレッド不
含DMEM培地でプレートに付着した細胞を洗浄した後、上
記で希釈した500μM 7-エトキシクマリンを500μl/ウェ
ル添加した。37℃で反応させた後、各ウェルから反応液
を回収した。反応液を0.1M Tris-HCl (pH 7.4)で10倍に
希釈し、分光蛍光光度計(日立分光蛍光光度計 F-200
0)にて、励起波長390nm 蛍光波長440nmの蛍光強度を
測定し、生成した7-ヒドロキシクマリンを定量した。7-
ヒドロキシクマリンの標準物質は、Extrasyntheseより
購入したものを用いた。得られたCYP2B6活性発現株のな
かからCYP2B6高発現株としてHepc/2B6.68株を得た。
【0025】(4)CYP2C8発現細胞の活性の測定と高活性
発現細胞の選択 タキソール(ULTRAFINE chemicals)はメタノール(和
光純薬)で10mM になるように希釈した。次に、これを2
% FCS (Bio Whittaker) を含むフェノールレッド不含DM
EM培地 (GIBCO BRL)で30μM になるように希釈した。CY
P2C8発現細胞を12ウェルプレート(Falcon)に播種し、コ
ンフルエントになるまで CO2 インキュベーター内で培
養した。培養後、培地を吸引し、フェノールレッド不含
DMEM培地でプレートに付着した細胞を洗浄した後、上記
で希釈した30μMタキソールを500μl/ウェル添加して37
℃で反応させた。各ウェルから反応液を回収し、等量の
アセトニトリル(和光純薬)を添加・混合後、不溶性物
質を遠心除去した。これを、HPLCにて反応液中に生じた
6α-ヒドロキシパクリタキセルを定量した。カラムは、
Capcell Pak C18 AG120 (5μm、4.6mmφx 250mm、資生
堂)を用いた。移動相としては、40%アセトニトリル(HP
LC用試薬、和光純薬)を用いた。反応液 40μl をイン
ジェクションし、流速1.0ml/mim、カラム温度40℃で先
に示した移動相を用いて溶出させた。タキソール およ
び 6α-ヒドロキシパクリタキセルは、230nm(吸光度)
で検出した。標準物質として、10μMタキソール および
5μM 6α-ヒドロキシパクリタキセル (Gentest)40μl
をインジェクションした。得られたCYP2C8活性発現株の
なかからCYP2C8高発現株としてHepc/2C8.46株を得た。
【0026】(5)CYP2C9発現細胞の活性の測定と高活性
発現細胞の選択 トルブタミド(Research Biochemicals Internationa
l)はメタノール(和光純薬)で50mM になるように希釈
した。次に、これを2% FCS (Bio Whittaker) を含むフ
ェノールレッド不含DMEM培地 (GIBCO BRL)で500μMにな
るように希釈した。CYP2C9発現細胞を12ウェルプレート
(Falcon)に播種し、コンフルエントになるまで CO2
ンキュベーター内で培養した。培養後、培地を吸引し、
フェノールレッド不含DMEM培地でプレートに付着した細
胞を洗浄した後、上記で希釈した500μMトルブタミドを
500μl/ウェル添加して37℃で反応させた。各ウェルか
ら反応液を回収し、等量のアセトニトリル(和光純薬)
を添加・混合後、不溶性物質を遠心除去した。反応液中
に生じたヒドロキシトルブタミドをHPLCにて定量した。
カラムは、Inertsil ODS-2 (5μm、4.6mmφx 150mm、GL
Science)を用いた。移動相としては、10mM Acetate Bu
ffer (pH4.3) とアセトニトリル(HPLC用試薬、和光純
薬)を72:28 v/vで混合したものを用いた。反応液40μl
をインジェクションし、流速1.0ml/mim、カラム温度40
℃で先に示した移動相を用いて溶出させた。トルブタミ
ドおよびヒドロキシトルブタミドは、230nm(吸光度)
で検出した。標準物質として、100μMトルブタミド お
よび10μMヒドロキシトルブタミド(住化分析センタ
ー)40μl をインジェクションした。得られたCYP2C9活
性発現株のなかからCYP2C9高発現株としてHepc/2C9.1株
を得た。
【0027】(6)CYP2C19発現細胞の活性の測定と高活性
発現細胞の選択 (S)メフェニトイン(住化分析センター)はメタノール
(和光純薬)で10mM になるように希釈した。次に、こ
れを2%FCS(Bio Whittaker) を含むフェノールレッド不
含DMEM培地 (GIBCO BRL) で100μMになるように希釈し
た。CYP2C19発現細胞を12ウェルプレート(Falcon)に播
種し、コンフルエントになるまでCO2インキュベーター
内で培養した。培養後、培地を吸引し、フェノールレッ
ド不含DMEM培地でプレートに付着した細胞を洗浄した
後、上記で希釈した100μM(S)メフェニトインを500μl/
ウェル添加して37℃で反応させた。各ウェルから反応液
を回収し、等量のアセトニトリル(和光純薬)を添加・
混合後、不溶性物質を遠心除去した。これを、HPLCにて
反応液中に生じた4'-ヒドロキシメフェニトインを定量
した。カラムは、Capcell Pak C18 AG120 (5μm、4.6mm
φx 250mm、資生堂)を用いた。移動相としては、0.05M
KH2PO4 (pH4.0)とアセトニトリル(HPLC用試薬、和光純
薬)を74:26 v/vで混合したものを用いた。反応液 40μ
l をインジェクションし、流速0.8ml/mim、カラム温度4
0℃で先に示した移動相を用いて溶出させた。(S)メフェ
ニトインおよび4'-ヒドロキシメフェニトインは、204nm
(吸光度)で検出した。標準物質として、50μM (S)メ
フェニトイン および 5μM 4'-ヒドロキシメフェニト
イン (住化分析センター)40μl をインジェクション
した。得られたCYP2C19活性発現株のなかからCYP2C19高
発現株としてHepc/2C19.12株を得た。
【0028】(7)CYP2D6発現細胞の活性の測定と高活性
発現細胞の選択 ブフラロール(住化分析センター)は蒸留水で20mMにな
るように希釈した。次に、これを2% FCS (Bio Whittake
r) を含むフェノールレッド不含DMEM培地 (GIBCO BRL)
で200μM になるように希釈した。CYP2D6発現細胞を12
ウェルプレート(Falcon)に播種し、コンフルエントにな
るまで CO2 インキュベーター内で培養した。培養後、
培地を吸引し、フェノールレッド不含DMEM培地でプレー
トに付着した細胞を洗浄した後、上記で希釈した200μM
ブフラロールを500μl/ウェル添加して37℃で反応させ
た。各ウェルから反応液を回収し、HPLCにて反応液中に
生じた1'-ヒドロキシブフラロールを定量した。カラム
は、Inertsil ODS(5μm、4.6mmφx 250mm、GL Science)
を用いた。移動相としては、1mM過塩素酸(和光純薬)
を含む30%アセトニトリル溶液(HPLC用試薬、和光純
薬)を用いた。反応液を蒸留水で100倍に希釈し、その
うちの 40μlをインジェクションし、流速1.0 ml/mim、
カラム温度50℃で先に示した移動相を用いて溶出させ
た。ブフラロール および ヒドロキシブフラロールは、
励起波長252nm 蛍光波長302nmで検出した。標準物質と
して、100pMブフラロールおよび10pM 1'-ヒドロキシブ
フラロール(住化分析センター)40μl をインジェクシ
ョンした。得られたCYP2D6活性発現株のなかからCYP2D6
高発現株としてHepc/2D6.39株を得た。
【0029】(8)CYP2E1発現細胞 の活性の測定と高活性
発現細胞の選択 パラニトロフェノール(和光純薬)はDMSO(和光純薬)
で2mM になるように希釈した。次に、これを2% FCS (Bi
o Whittaker) を含むフェノールレッド不含DMEM培地 (G
IBCO BRL)で500μM になるように希釈した。2E1発現細
胞を12ウェルプレート (Falcon) に播種し、コンフルエ
ントになるまで CO2 インキュベーター内で培養した。
培養後、培地を吸引し、フェノールレッド不含DMEM培地
でプレートに付着した細胞を洗浄した後、上記で希釈し
た500μMパラニトロフェノールを500μl/ウェル添加し
た。37℃で反応させた後、各ウェルから反応液を回収し
た。反応液100μlに2N NaOH(和光純薬)50μlを添加
し、不溶性物質等を遠心除去した後、540nm〜620nmの吸
収を測定し、生成した4-ニトロカテコールを定量した。
4-ニトロカテコールの標準物質は、和光純薬より購入し
たものを用いた。得られたCYP2E1活性発現株のなかから
CYP2E1高発現株としてHepc/2E1.3-8株を得た。
【0030】(9)CYP3A4発現細胞 の活性の測定と高活性
発現細胞の選択 テストステロン(和光純薬)はメタノール(和光純薬)
で10mM になるように希釈した。次に、これを2% FCS (B
io Whittaker) を含む、フェノールレッド不含DMEM培地
(GIBCO BRL)で100μM になるように希釈した。CYP3A4
発現細胞を12ウェルプレート (Falcon) に播種し、コン
フルエントになるまで CO2 インキュベーター内で培養
した。培養後、培地を吸引し、フェノールレッド不含DM
EM培地でプレートに付着した細胞を洗浄した後、上記で
希釈した100μM テストステロンを500μl/ウェル添加し
て37℃で反応させた。各ウェルから反応液を回収し、等
量のアセトニトリル(和光純薬)を添加・混合後、不溶
性物質を遠心除去した。これを、HPLCにて反応液中に生
じた6β-ヒドロキシテストステロンを定量した。カラム
は、Capcell Pak C18 AG120 (5μm、4.6mmφ x 250mm、
資生堂) を用いた。A液として、40% メタノール(HPLC
用試薬、和光純薬)、3.5% アセトニトリル溶液(HPLC
用試薬、和光純薬)を、B液として40% メタノール、20%
アセトニトリル溶液を用いた。0〜20分まではB液の0〜
100% の直線的なグラディエント、20〜30分はB液100%、
それ以後はA液100%となるようなプログラムを作成し
た。反応液 40μl をインジェクションし、流速1.0ml/m
im、カラム温度40℃で先に示した移動相を用いて溶出さ
せた。テストステロン および 6β-ヒドロキシテストス
テロンは、254nm(吸光度)で検出した。標準物質とし
て、50μM テストステロン および 5μM 6β-ヒドロキ
シテストステロン(住化分析センター) 40μl をイン
ジェクションした。得られたCYP3A4活性発現株のなかか
らCYP3A4高発現株としてHepc/3A4.5株を得た。
【0031】実施例3 チトクロームP450高発現株の速
度論的解析 実施例2で得られた各チトクロームP450高活性発現株
に、種々の濃度の基質を実施例2記載の酵素活性測定法
に従って反応させた。ラインウェーバー・バークプロッ
トをとり、そのX軸 および Y軸切片から、Km値 およ
び Vmax値を求めた。結果を表1に示した。
【表1】
【0032】実施例4 アセトアミノフェンのCYP2E1発
現細胞による代謝活性化と細胞毒性の発現 実験方法 1.MTTアッセイ HepG2 あるいはCYP2E1発現細胞(Hepc/2E1.3-8)細胞
(4 x105cells/ml)は、5% FCS を含むDMEM培地で所定
の濃度に希釈したアセトアミノフェン(和光純薬)とと
もにCO2 インキュベーター内で培養した。グルタチオン
抱合を停止させる実験では、ここにL-Buthionine [S,R]
-Sulfoximine (BSO、Sigma)を最終濃度100μM になる
ように添加した。4日間培養した後、各ウェルにPBS (Fl
ow) で1mg/mlに調製した 3-(4,5-Dimethyl-2-thiazoly
l)-2,5-diphenyl-2H-tetrazolium bromide (MTT、Sigm
a)溶液 20μl を添加して37℃で3時間インキュベート
した。次いで、各ウェルに10% SDS、0.01N HCl 溶液 10
0μl を添加して37℃で一晩インキュベートした後、 59
0nm の吸収を測定した。結果を図1に示す。 2. LDH(lactate dehydrogenase 乳酸脱水素酵素)漏
出の測定MTTアッセイ実施時と同じプレートデザインで
2枚ずつプレートを用意した(培養上清中のLDH活性測
定用と培養上清中のLDH活性 + 細胞中のLDH活性 測定
用)。3日間CO2インキュベーター内で培養後、1枚の
プレート(培養上清中のLDH活性測定用)の各ウェルか
ら10μlの培養上清を採取して別の96ウェルプレートに
添加し、さらに蒸留水40μlを添加した。一方、他方の
プレート(培養上清中のLDH活性 + 細胞中のLDH活性測
定用)の 各ウェルに10μlの10%Triton X100 (和光純
薬)を添加・撹拌し、37℃で45分インキュベートした。
1500 rpm 5分間遠心後、各ウェルから10μlの培養上清
を採取して別の96ウェルプレートに添加し、さらに蒸留
水40μlを添加した。これらのプレートの各ウェルのLDH
活性をCytotox 96 Non-Radioactive Cytotoxicity Assa
y Kit (Promega) にて測定した。吸光度の測定には、
マルチスキャンMS-UVを用いた。培養上清中のLDH活性 /
(培養上清中のLDH活性 + 細胞中のLDH活性) をLDH漏出
率とした。結果を図2に示す。 結果(図1、図2) アセトアミノフェンが大量に存在すると、硫酸抱合の律
速因子である活性硫酸の枯渇が起こる。グルクロン酸抱
合は用量が大きいが反応速度に限界があるため、P450に
よってN水酸化がおこる。N水酸化体から生成する活性
中間体 Nアセチルベンゾキノンイミンは、通常グルタ
チオン抱合により解毒される。しかし、グルタチオンが
枯渇すると、この活性中間体が肝臓の高分子と共有結合
して肝細胞の壊死をおこすことが知られている(M.J.J.
Ronis ほか Cytochromes P450 Metabolic and Toxicolo
gical Aspects 211-240ページ、監修C. Ioannides ほか
CRC Press 1996年)。アセトアミノフェンは、HepG2 お
よび Hepc/2E1.3-8細胞からLDHをわずかに漏出させた。
ここにBSOを共存させて細胞内のグルタチオンを枯渇さ
せると、Hepc/2E1.3-8細胞においてはアセトアミノフェ
ンに対する感受性が約4倍増加して、より低濃度で濃度
依存的にLDHを漏出させた。HepG2 ではBSOの共存効果は
認められなかった(図2)。一方、MTT法でもアセトア
ミノフェンはHepG2 および Hepc/2E1.3-8細胞のMTT活性
をわずかに減少させた。ここにBSOを共存させると、Hep
c/2E1.3-8細胞においてアセトアミノフェンに対する感
受性が増加して、より低濃度で濃度依存的なMTT 活性の
減少が認められた(図1)。Hepc/2E1.3-8細胞が発現し
ているCYP2E1 活性によってアセトアミノフェンは代謝
されるが、代謝産物はグルタチオン抱合によって解毒さ
れる。ところが、BSO を作用させてグルタチオンを枯渇
させると、生じた代謝中間体によって細胞毒性が発揮さ
れたと考えられる。Hepc/2E1.3-8細胞はCYP2E1 活性を
持っているだけでなく、グルタチオントランスフェラー
ゼ活性も有していることが示される。
【0033】実施例5 ベンズアントラセンのCYP1A1発
現細胞による代謝活性化と細胞毒性の発現 実験方法 CYP1A1発現細胞(Hepc/1A1.4)(4 x105cells/ml)は、
5% FCS を含むDMEM培地で所定の濃度に希釈したベンズ
アントラセン (Sigma)とともに5% FCS を含むDMEM培地
でCO2 インキュベーター内で培養した。4日間培養した
後、各ウェルにPBS (Flow) で1mg/mlに調製した MTT (S
igma)溶液 20μl を添加して37℃で3時間インキュベー
トした。次いで、各ウェルに10% SDS、0.01N HCl 溶液
100μl を添加して37℃で一晩インキュベートした後、
590nm の吸収を測定した。結果を図3に示す。 結果(図3) ベンズアントラセンは、CYP1A1 活性によって代謝さ
れ、生じた代謝中間体によって細胞毒性、発ガン性、突
然変異誘発が生じることが知られている( K. Kawajiri
ほか Cytochromes P450 Metabolic and Toxicological
Aspects 77-97ページ、監修C. Ioannides ほか CRC P
ress 1996年)。HepG2に比べてHepc/1A1.4細胞において
ベンズアントラセンの濃度依存的に強いMTT 活性の減少
が認められた。Hepc/1A1.4細胞が発現しているCYP1A1
活性によってベンズアントラセンが代謝され、生じた代
謝中間体によって細胞毒性が発揮されたことを示す。
【0034】実施例6 シクロフォスファミドのCYP2B6
発現細胞による代謝活性化と細胞毒性の発現 実験方法 1.MTTアッセイ CYP2B6発現細胞(Hepc/2B6.68)(4 x105cells/ml)
は、5% FCS を含むDMEM培地で所定の濃度に希釈したシ
クロフォスファミド (Sigma)とともに5% FCSを含むDMEM
培地でCO2 インキュベーター内で培養した。5日間培養
した後、各ウェルにPBS (Flow) で1mg/mlに調製した MT
T (Sigma)溶液 20μl を添加して37℃で3時間インキュ
ベートした。次いで、各ウェルに10% SDS、0.01N HCl
溶液 100μlを添加して37℃で一晩インキュベートした
後、 590nm の吸収を測定した。結果を図4に示す。 2.LDH 漏出の測定 MTTアッセイ実施時と同じプレートデザインで2枚ずつプ
レートを用意した(培養上清中のLDH活性測定用と培養
上清中のLDH活性 + 細胞中のLDH活性測定用)。4日間C
O2 インキュベーター内で培養後、1枚のプレート(培
養上清中のLDH活性測定用)の各ウェルから10 μlの培
養上清を採取して別の96ウェルプレートに添加し、さら
に蒸留水40 μlを添加した。一方、他方のプレート(培
養上清中のLDH活性 + 細胞中のLDH活性測定用)の各ウ
ェルに10 μlの10% Triton X100 を添加・撹拌し、37℃
で45分インキュベートした。1500rpm 5分間遠心後、各
ウェルから10 μlの培養上清を採取して別の96ウェルプ
レートに添加し、さらに蒸留水40 μlを添加した。これ
らのプレートの各ウェルのLDH活性をCytotox 96 Non-Ra
dioactive Cytotoxicity Assay Kit (Promega) にて測
定した。吸光度の測定には、マルチスキャンMS-UVを用
いた。培養上清中のLDH活性 / (培養上清中のLDH活性 +
細胞中のLDH活性) をLDH漏出率とした。結果を図5に
示す。 結果(図4、5) シクロフォスファミドは4位が水酸化された後、非酵素
的な分解によって生成したホスホラミドやアクロレイン
がアルキル化剤として作用し、肝細胞内の高分子成分と
共有結合が引き金となって肝細胞傷害を引き起こすと考
えられている(K.H.Thomas ほかCancer. research 53巻
5629-5637ページ1993年)。シクロフォスファミド
は、Hepc/2B6.68細胞において2mMまでの濃度で濃度依存
的にLDHを漏出させ、それ以後の濃度でプラトーに達し
た。シクロフォスファミドはHepG2においても若干の細
胞毒性が認めらた(図4)。一方、MTT法でもHepc/2B6.
68細胞においてシクロフォスファミドの濃度依存的にMT
T 活性の減少が認められた(図5)。Hepc/2B6.68細胞
が発現しているCYP2B6 活性によってシクロフォスファ
ミドが代謝され、生じた代謝中間体による細胞毒性が示
された。
【0035】実施例7 CYP3A4活性の阻害の解析 実験方法 12 穴マイクロプレートに Hepc/3A4.5 細胞を播種し、
コンフルエントになるまで培養した。フェノールレッド
不含 DMEM 培地で2 回洗浄後、500 μl の 2%FCS を含
むフェノールレッド不含 DMEM 培地で希釈した種々の濃
度のケトコナゾール (Biomol Research Lab. )を添加
して 37℃ で4 時間インキュベーションした。フェノー
ルレッド不含 DMEM 培地で 2 回洗浄後、500μl の 2%
FCS を含むフェノールレッド不含 DMEM 培地で希釈し
た最終濃度 100 μM のテストステロンを添加した。37
℃ で 1 時間インキュベーションし、上清 を回収し
た。等量のアセトニトリルを添加・混合後、不溶性物質
を遠心除去したものを試料とした。得られた試料は、実
施例2の(9)に示した方法でHPLC を用いて 6β-ヒドロ
キシテストステロンを定量した。実験結果は薬物無添加
時の 6β-ヒドロキシテストステロン生成量を 100% と
した相対値で示した(図6)。ケトコナゾールは、強い
CYP3A4阻害剤として知られている( S.J. Baldwin ほか
Xenobiotica 25巻 261-270ページ1995年)。ケトコナ
ゾールの濃度に依存して Hepc/3A4.5 細胞におけるCYP3
A4 活性(テストステロン 6β- 水酸化活性)は阻害さ
れた (図6)。ケトコナゾールの IC50 は、0.3 μM 以
下であった。
【0036】実施例8 CYP2E1活性誘導の解析 実験方法 Hepc/2E1.3-8細胞(5 x105cells/ml)は、5% FCS を含
むDMEM培地で所定の濃度に希釈したエタノール、DMSO
(ジメチルスルフォキシド)(和光純薬)とともに12穴
マイクロプレートに播種し、CO2 インキュベーター内で
3日間培養した。培地を吸引し、フェノールレッド不含D
MEM培地でプレートに付着した細胞を洗浄した後、500μ
Mパラニトロフェノールを500μl/ウェル添加した。37℃
で反応させた後、各ウェルから反応液を回収した。反応
液100μlに2N NaOH(和光純薬)50μlを添加し、不溶性
物質等を遠心除去した後、マルチスキャンMS-UV(ラボ
システムズ)にて、540nm〜620nmの吸収を測定し、生成
した4-ニトロカテコールを定量した。 実験結果(図7) エタノール、DMSO(ジメチルスルフォキシド)添加によ
りにより酵素活性が上昇し細胞内CYP2E1が誘導を受ける
ことが示されており(M.J.J. Ronis ほか Cytochromes P
450 Metabolic and Toxicological Aspects 211-239ペ
ージ、監修C. Ioannides ほか CRC Press 1996年 )、
本実施例においてもこのことが示された。
【0037】
【発明の効果】本発明のヒト型チトクロームP450を安定
に発現するヒト肝臓癌由来の培養細胞株は、(a)生体異
物および/または内在性基質代謝に関与する酵素、(b)
生体異物および/または内在性基質代謝経路、(c)生体
異物および/または内在性基質代謝産物の化学構造、
(d)生体異物および/または内在性基質代謝酵素の阻
害、(e)生体異物および/または内在性基質代謝酵素の
活性の促進、(f)生体異物および/または内在性基質代
謝による細胞毒性、(g)生体異物および/または内在性
基質代謝による遺伝毒性、(h)生体異物および/または
内在性基質代謝による発ガン性、(i)生体異物および/
または内在性基質代謝のよる変異原性、(j)生体異物お
よび/または内在性基質代謝による肝毒性、または(k)
肝に作用する生体異物および/または内在性基質の解
析、生体異物および/または内在性基質代謝産物の調製
などのために有用である。
【0038】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4で示されたアセトアミノフェンの細胞
毒性発現に関するMTT試験の結果を示す。図中、−○−
はHepG2を、−△−はHepc/2E1.3-8を、−●−はHepG2+
100μM BSOを、−▲−はHepc/2E1.3-8+100μM BSOを示
す。
【図2】実施例4で示されたアセトアミノフェンの細胞
毒性発現に関するLDH漏出試験の結果を示す。図中、−
○−はHepG2を、−△−はHepc/2E1.3-8を、−●−はHep
G2+100μM BSOを、−▲−はHepc/2E1.3-8+100μM BSO
を示す。
【図3】実施例5で示されたベンズアントラセンの細胞
毒性発現に関する試験の結果を示す。図中、−○−はHe
pG2を、−●−はHepc/1A1.4を示す。
【図4】実施例6で示されたシクロフォスファミドの細
胞毒性発現に関するMTT試験の結果を示す。図中、−○
−はHepG2を、−●−はHepc/2B6.68を示す。
【図5】実施例6で示されたシクロフォスファミドの細
胞毒性発現に関するLDH漏出試験の結果を示す。図中、
−○−はHepG2を、−●−はHepc/2B6.68を示す。
【図6】実施例7で示されたケトコナゾールのCYP3A4活
性阻害に関する試験の結果を示す。図中、−□−はケト
コナゾールを示す。
【図7】実施例8で示されたCYP2E1活性誘導に関する試
験の結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/10 C12P 21/02 C C12P 21/02 C12Q 1/02 C12Q 1/02 C12N 5/00 B //(C12N 5/10 C12R 1:91) (72)発明者 吉富 純枝 大阪府大阪市旭区太子橋1丁目27番4号 (72)発明者 池本 慶子 兵庫県宝塚市山本丸橋2丁目11番地の5

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒト型チトクロームP450を安定に発現する
    ヒト肝臓癌細胞由来の培養細胞株。
  2. 【請求項2】ヒト型チトクロームP450がCYP1A1、CYP1A
    2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D
    6、CYP2E1またはCYP3A4を安定に発現する請求項1記載
    の細胞株。
  3. 【請求項3】ヒト肝臓癌細胞がHepG2である請求項1記
    載の細胞株。
  4. 【請求項4】Hepc/1A1.4、Hepc/1A2.9、Hepc/2B6.68、H
    epc/2C8.46、Hepc/2C9.1、Hepc/2C19.12、Hepc/2D6.3
    9、Hepc/2E1.3-8またはHepc/3A4.5である請求項1記載
    の細胞株。
  5. 【請求項5】請求項1記載の細胞株を用いることを特徴
    とする(a)生体異物および/または内在性基質代謝に関
    与する酵素、(b)生体異物および/または内在性基質代
    謝経路、(c)生体異物および/または内在性基質代謝産
    物の化学構造、(d)生体異物および/または内在性基質
    代謝酵素の阻害、(e)生体異物および/または内在性基
    質代謝酵素の活性の促進、(f)生体異物および/または
    内在性基質代謝による細胞毒性、(g)生体異物および/
    または内在性基質代謝による遺伝毒性、(h)生体異物お
    よび/または内在性基質代謝による発ガン性、(i)生体
    異物および/または内在性基質代謝のよる変異原性、
    (j)生体異物および/または内在性基質代謝による肝毒
    性、または(k) 肝に作用する生体異物および/または内
    在性基質の解析方法。
  6. 【請求項6】請求項1記載の細胞株を用いることを特徴
    とする生体異物および/または内在性基質代謝産物の調
    製方法。
  7. 【請求項7】請求項1記載の細胞株を用いることを特徴
    とする(a)生体異物および/または内在性基質代謝酵素
    を阻害する物質、(b)生体異物および/または内在性基
    質代謝酵素の活性を促進する物質、(c)生体異物および
    /または内在性基質代謝により細胞毒性を発現する物
    質、(d)生体異物およびまたは内在性基質代謝により遺
    伝毒性を発現する物質、(e)生体異物および/または内
    在性基質代謝により発ガン性を発現する物質、(f)生体
    異物および/または内在性基質代謝により変異原性を発
    現する物質、(g)生体異物および/または内在性基質代
    謝により肝毒性発現をする物質、(h)肝に作用する生体
    異物および/または内在性基質または(i)生体異物およ
    び/または内在性基質代謝により、新たな生理活性を獲
    得あるいはそれ自体のもつ生理活性を増大あるいは減弱
    する物質の探索方法。
  8. 【請求項8】請求項7記載の方法を用いて得られる化合
    物またはその塩。
  9. 【請求項9】請求項8記載の化合物またはその塩を含有
    する医薬組成物。
  10. 【請求項10】CYP1A1、CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2
    C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1およびCYP3A4の
    いずれか1個または2個以上を安定に発現するヒト肝臓
    由来の培養細胞株を2種以上用いることを特徴とする
    (a)生体異物および/または内在性基質代謝に関与する
    酵素、(b)生体異物および/または内在性基質代謝経
    路、(c)生体異物および/または内在性基質代謝産物の
    化学構造、(d)生体異物および/または内在性基質代謝
    酵素の阻害、(e)生体異物および/または内在性基質代
    謝酵素の活性の促進、(f)生体異物および/または内在
    性基質代謝による細胞毒性、(g)生体異物および/また
    は内在性基質代謝による遺伝毒性、(h)生体異物および
    /または内在性基質代謝による発ガン性、(i)生体異物
    および/または内在性基質代謝のよる変異原性、(j)生
    体異物および/または内在性基質代謝による肝毒性、ま
    たは(k) 肝に作用する生体異物および/または内在性基
    質の解析方法。
  11. 【請求項11】CYP1A1、CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2
    C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1およびCYP3A4の
    いずれか1個または2個以上を安定に発現するヒト肝臓
    由来の培養細胞株を2種以上用いることを特徴とする生
    体異物および/または内在性基質代謝産物の調製方法。
  12. 【請求項12】CYP1A1、CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2
    C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1およびCYP3A4の
    いずれか1個または2個以上を安定に発現するヒト肝臓
    由来の培養細胞株を2種以上用いることを特徴とする
    (a)生体異物および/または内在性基質代謝酵素を阻害
    する物質、(b)生体異物および/または内在性基質代謝
    酵素の活性を促進する物質、(c)生体異物および/また
    は内在性基質代謝により細胞毒性を発現する物質、(d)
    生体異物およびまたは内在性基質代謝により遺伝毒性を
    発現する物質、(e)生体異物および/または内在性基質
    代謝により発ガン性を発現する物質、(f)生体異物およ
    び/または内在性基質代謝により変異原性を発現する物
    質、(g)生体異物および/または内在性基質代謝により
    肝毒性発現をする物質、(h)肝に作用する生体異物およ
    び/または内在性基質または(i)生体異物および/また
    は内在性基質代謝により、新たな生理活性を獲得あるい
    はそれ自体のもつ生理活性を増大あるいは減弱する物質
    の探索方法。
  13. 【請求項13】請求項12記載の方法を用いて得られる
    化合物またはその塩。
  14. 【請求項14】請求項12記載の化合物またはその塩を
    含有する医薬組成物。
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