JP2001006570A - 電子銃構体およびこの電子銃構体を用いた陰極線管 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】特に、厚さの薄いビーディングガラスへの埋設
でも電極支持体やヒータ支持体のビーディングガラスへ
の埋設端部でのガタの発生を抑制して高信頼性をもつ電
子銃構体を得る。 【解決手段】カソード１３から放射する電子ビームを集
束し加速する電子レンズを構成する複数の格子電極１〜
８、およびカソード１３とヒータ１４の引出し端部を固
定する電極支持体１５〜２３、ヒータ支持体１０から管
軸と直角方向に突出して設けた埋設部の端部を、軟化さ
せた少なくとも１対のビーディングガラス１２に埋設固
定してなり、上記支持体のビーディングガラスに埋設さ
れる一部または全部の埋設部の幅を当該ビーディングガ
ラスから露呈する部分よりも大とした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、陰極線管に係り、
特にその電子銃を構成するカソードや格子電極、その他
の電極等が、これらを固定するビーディングガラスとの
埋設部分で外部からの衝撃や振動、あるいは熱膨張と収
縮に対してガタが生じない固定構造を有する電子銃構体
とこの電子銃構体を用いた陰極線管に関する。

【０００２】

【従来の技術】映像や画像を表示するための陰極線管
は、一端に画面を構成するパネル部を持ち、他端に電子
銃構体を収容するネック部を有する概略漏斗形状の真空
外囲器からなる。

【０００３】そして、ネック部とパネル部との間の円錐
あるいは角錐領域に偏向ヨークを外装して、当該電子銃
から出射する電子ビームでパネル部の内面に塗布された
蛍光体を励起して発光させることにより、可視画像を再
生する。

【０００４】上記ネック部に収容される電子銃構体は、
モノクーム陰極線管、あるいは所謂投射型陰極線管では
単一の電子ビームを出射し、カラー陰極線管では複数の
電子ビームを蛍光体に向けて発射する。

【０００５】電子銃構体は、電子を放射するカソード、
カソードから放射する電子ビームを集束し加速する電子
レンズを構成する複数の格子電極、および前記カソード
を構成するヒータの引出し端部を固定するヒータ支持体
とを少なくとも有し、これらをビーディングガラスに埋
設して所定の位置関係と間隔で固定して構成される。

【０００６】図７は従来の電子銃構体の構成例を説明す
るための模式図である。この電子銃構体は、第１格子電
極１、第２格子電極２、第３格子電極３、第４格子電極
４、および第５格子電極５、６、７、第６格子電極８か
らなる集束および加速電極を有している。

【０００７】これらの各格子電極には板状の電極支持体
１５、１６、１７、１８、１９、２０、２１、２２が突
設されている。なお、第２格子電極２、第３格子電極
３、第４格子電極４、第５格子電極６の場合は、格子電
極の端部自体が電極支持体１６、１７、１８、２０とな
っている。

【０００８】そして、第１格子電極１に近接してカソー
ド保持体９に保持されたカソード１３が配置されてい
る。カソード保持体９にも前記各格子電極と同様の電極
支持体２３が突設されている。

【０００９】各格子電極およびカソード（カソード保持
体、以下単にカソードとも言う）は、その各電極支持体
１５〜２３と共に軟化したビーディングガラス１２に埋
設して所定の順序と所定の間隔で固定される。

【００１０】また、カソード１３の頂部にはアルカリ土
類金属炭酸塩からなる電子放出物質１３ａが塗布され、
内部にはヒータ１４が設置されており、その引出し線１
４ａがヒータ支持体１０に引き出されて溶接されてい
る。ヒータ支持体１０はビーディングガラス１２に一端
を埋設し、その他端に引出し線１４ａを溶接してある。

【００１１】なお、カソード１３の電子放出物質の頂面
と第１格子電極１との間の間隔が所定値となるようにし
てカソード保持体９に溶接される。

【００１２】電子銃支持体１１には、電子銃構体をネッ
ク部内の所定の位置に保持するための図示しない保持部
材が溶接される。

【００１３】上記の電子銃構体の組立ては組立治具を用
いて行われ、この電子銃構体では各格子電極、カソード
を組立治具で所定の位置関係に配置し、その側面から軟
化させた２本のビーディングガラス１２を押圧して、上
記電極支持体１５〜２３および１０、１１の端部を埋設
し、ビーディングガラス１２が冷却して固化した後、組
立治具から取り外す。

【００１４】図８は図７における電極支持体とビーディ
ングガラスとの埋設状態を説明する要部断面図であり、
ここではヒータ支持体１０の埋設状態を示しているが、
他の電極支持体についても同様である。

【００１５】ヒータ支持体も他の電極支持体も、そのビ
ーディングガラス１２への埋設端には同図（ａ）に示し
たような切欠き、あるいは同図（ｃ）に示したような開
口が形成されていて、ビーディングガラス１２を加熱軟
化して埋設する際に、当該切欠きや開口にガラスが入り
込んで抜け難いようにしてある。

【００１６】ビーディングガラス１２の材料には陰極線
管の電極支持体等の埋設作業における急加熱と急冷に耐
えるように、２〜３×１０^-6ｃｍ／ｃｍ／°Ｃ程度の低
い熱膨張係数をもち、かつ高耐電圧性のあるホウ珪酸ガ
ラス粉末の焼結成形体（所謂、マルチフォームガラス）
が一般的に用いられる。

【００１７】また、電極支持体やヒータ支持体の材料に
は、陰極線管の電極部品と同様の、主に非磁性のステン
レス鋼を使用し、その熱膨張係数は１５〜１７×１０^-6
ｃｍ／ｃｍ／°Ｃ位であり、ビーディングガラスの熱膨
張係数に比較して非常に大きい。

【００１８】

【発明が解決しようとする課題】電子銃構体の組立作業
に際しては、約１０００°Ｃに加熱したビーディングガ
ラス１２に電極支持体１５〜２３およびヒータ支持体１
０、電子銃支持体１１の端部を押し込んで埋設する。こ
の端部の熱容量は小さいので、その部分の温度はビーデ
ィングガラス１２の加熱温度近くまで急上昇する。一
方、ビーディングガラス１２は上記電極支持体１５〜２
３およびヒータ支持体１０、電子銃支持体１１の端部に
熱を奪われて温度が下降するが、ビーディングガラスに
は尚流動性があるため、ビーディングガラス１２は当該
支持体の端部に形成されている切欠き、あるいは開口に
も入り込み、かつビーディングガラス１２と上記端部と
は、その押し込み直後の高温状態では、一旦密着状態に
なる。

【００１９】しかし、ビーディングガラス１２や電極支
持体１５〜２３およびヒータ支持体１０、電子銃支持体
１１の温度が低下するのに伴って、両者の熱膨張係数の
差のため、電極支持体１５〜２３およびヒータ支持体１
０、電子銃支持体１１の埋設された端部の外側とビーデ
ィングガラス１２との間に隙間１２’が生じる。この隙
間は板状の端部の厚さ方向にも生じる。

【００２０】その結果、ビーディングガラス１２の冷却
後も電極支持体１５〜２３およびヒータ支持体１０、電
子銃支持体１１の埋設端部が当該ビーディングガラス１
２と比較的よく密着しているのは切欠き、あるいは開口
の内側の一部だけとなる。

【００２１】したがって、従来の埋設構造では、その電
極支持体１５〜２３およびヒータ支持体１０、電子銃支
持体１１とビーディングガラス１２との間でガタが発生
し易く、ネック部に組み込んだ完成管では外部からの振
動や衝撃によって電子銃の電極部品が偏位し、所要の性
能を発揮できなくなる。

【００２２】特に、第１格子電極１とカソード１３との
間の間隙が変化すると、画像の明るさの変化が生じた
り、チラツキが発生する。また、陰極線管の輸送中など
でヒータ支持体１０にガタが発生すると、ヒータ１４や
その引出し線１４ａに断線が発生する等の重大な問題が
あった。

【００２３】さらに、近年の消費電力低減の社会的な要
求で、ネック部の外径を従来一般的であった２９．１ｍ
ｍから２４．３ｍｍに縮小した陰極線管では、ビーディ
ングガラスの厚みも制限されて薄くなり、電極支持体や
ヒータ支持体のビーディングガラスへの埋設深さを浅く
する必要があり、上記の問題は一層深刻なものとなって
いる。

【００２４】本発明の目的は、上記従来技術の問題点を
解消し、特に厚さの薄いビーディングガラスへの埋設で
も電極支持体やヒータ支持体のビーディングガラスへの
埋設端部でのガタの発生を抑制して高信頼性をもつ電子
銃構体とこの電子銃構体を用いた陰極線管を提供するこ
とにある。

【００２５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、下記に記述した構成とした点に特徴を有
する。すなわち、（１）カソードと、このカソードから
放射する電子ビームを集束し加速する電子レンズを構成
する複数の格子電極を固定する電極支持体、および前記
カソードを構成するヒータの引出し端部を固定するヒー
タ支持体を有し、前記カソード、複数の格子電極および
ヒータ支持体から管軸と直角方向に突出して設けた埋設
部を、軟化させた少なくとも１対のビーディングガラス
に埋設固定してなる電子銃構体であって、前記各支持体
の一部または全部の前記ビーディングガラスに埋設され
る埋設部の幅を当該ビーディングガラスから露呈する部
分よりも大とした。

【００２６】この構成により、上記埋設部から上記露呈
部にかけて軟化したビーディングガラスが流動して当該
埋設部を覆うため、支持体にガタが発生することが防止
される。また、隣接する埋設部との間隔が小さい場合に
は、両埋設部の間のビーディングガラスの盛り上がりが
大きくなり、さらに強固な埋設がなされる。

【００２７】（２）（１）における前記各支持体の熱膨
張係数が前記ビーディングガラスよりも大である材料で
構成した。

【００２８】支持体の熱膨張係数が大きくても、埋設部
の露呈部側段差（肩部）にビーディングガラスが回り込
み、冷却時にアンカー作用で当該埋設部を抑え込み、ガ
タの発生が防止される。この支持体の材料としては、陰
極線管を構成する電極、例えば電子銃構体を構成する格
子電極と同様の非磁性のステンレス鋼でよいし、他の金
属あるいは非金属であってもよい。

【００２９】（３）一端に画面を構成するパネル部を持
ち、他端に電子銃を収容するネック部を有する真空外囲
器からなる陰極線管であって、前記電子銃はカソードお
よび複数の格子電極、ヒータ支持体から構成され、これ
らカソード、複数の格子電極およびヒータ支持体から外
方の突設した支持体の埋設部を、軟化させたビーディン
グガラスに埋設して管軸方向に所定の間隔、かつ互いに
絶縁して配列固定してなり、前記各支持体を前記ビーデ
ィングガラスよりも大きな熱膨張係数をもつ材料で構成
すると共に、前記ビーディングガラスに埋設される一部
または全部の埋設部の幅を当該ビーディングガラスから
露呈する部分よりも大とした。

【００３０】この構成とした陰極線管は、特に、その電
子銃構体を構成する第１格子電極とカソードとの間の間
隙が変化せず、画像の明るさの変化が生じたり、チラツ
キが発生しない。また、陰極線管の輸送中などでヒータ
支持体１０にガタが発生することもなく、ヒータやその
引出し線に断線が発生する等の問題を解消できる。

【００３１】さらに、ネック部の外径を２４．３ｍｍに
縮小した陰極線管のビーディングガラスの厚みの制限に
対して、電極支持体やヒータ支持体のビーディングガラ
スへの埋設深さを浅くしても十分な固定ができ、信頼性
が向上する。

【００３２】なお、本発明は、上記の構成に限定される
ものではなく、本発明の技術思想を逸脱することなく、
種々の変更が可能である。

【００３３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、実施例の図面を参照して詳細に説明する。

【００３４】図１は本発明による電子銃構体の１実施例
を説明するための模式図である。この電子銃構体は、前
記図７で説明したものと同様に、第１格子電極１、第２
格子電極２、第３格子電極３、第４格子電極４、および
第５格子電極５、６、７、第６格子電極８からなる集束
および加速電極を有している。

【００３５】そして、これらの各格子電極には板状の電
極支持体１５、１６、１７、１８、１９、２０、２１、
２２が突設されている。なお、第２格子電極２、第３格
子電極３、第４格子電極４、第５格子電極６の場合は、
格子電極の端部自体が電極支持体となっている。

【００３６】第１格子電極１に近接してカソード保持体
１４に保持されたカソード１３が配置されている。カソ
ード保持体９にも前記各格子電極と同様の電極支持体２
３が突設されている。

【００３７】各格子電極およびカソード（カソード保持
体）は、その各電極支持体１５〜２３と共にビーディン
グガラス１２に埋設して所定の順序と所定の間隔で固定
される。

【００３８】また、カソード１３の頂部にはアルカリ土
類金属炭酸塩からなる電子放出物質１３ａが塗布され、
内部にはヒータ１４が設置されており、その引出し線１
４ａがヒータ支持体１０に引き出されて溶接されてい
る。ヒータ支持体１０はビーディングガラス１２に一端
を埋設し、その他端に引出し線１４ａを溶接してある。

【００３９】カソード１３の電子放出物質の頂面と第１
格子電極１との間の間隔が所定値となるようにしてカソ
ード保持体９に溶接される。

【００４０】電子銃支持体１１には、電子銃構体をネッ
ク部内の所定の位置に保持するための図示しないステム
から延びる保持部材が溶接されている。

【００４１】電極支持体１５〜２３およびヒータ支持体
１０のビーディングガラス１２への埋設端部は露呈部よ
りも幅が大きく形成されていて、軟化したビーディング
ガラスに上記埋設端部を押し込む際に、当該埋設端部で
排除されたガラスの一部が上記幅が狭い露呈部方向に流
動し、ビーディングガラス１２が埋設部の周りに盛り上
がって形成されることになる。

【００４２】図２はビーディングガラスに埋設された電
極支持体やヒータ支持体の埋設端部の形状の一例を説明
する要部断面図である。この例では、ヒータ支持体１０
について説明してあるが、他の電極支持体でも同様であ
る。

【００４３】同図に示したヒータ支持体１０の埋設端部
は、ビーディングガラス１２に埋設される部分の幅ａが
露呈部の幅ｂより大で、かつ露呈部から埋設端部にかけ
て徐々に幅広となる傾斜した肩形状（傾斜肩）に形成さ
れている。この埋設端部を軟化させたビーディングガラ
ス１２に押し込む際に、当該埋設端部で排除されたガラ
スが上記傾斜肩部分に流動する。

【００４４】ビーディングガラス１２が冷却した状態で
は、この傾斜肩部分および埋設端部に形成された切欠き
部分とがアンカーとなり、埋設深さが多少浅くてもヒー
タ支持体１０にガタが生じたり、抜けたりすることが阻
止される。

【００４５】図３はビーディングガラスに埋設された電
極支持体やヒータ支持体の埋設端部の形状の他例を説明
する要部断面図である。この例でも、ヒータ支持体１０
について説明しているが、他の電極支持体でも同様であ
る。

【００４６】図３に示したヒータ支持体１０の埋設端部
は、ビーディングガラス１２に埋設される部分の幅ａが
露呈部の幅ｂより大である点は図２と同様である。この
例では、露呈部は埋設端部から略々直角に幅広となる肩
形状（傾斜肩）に形成されている。この埋設端部を軟化
させたビーディングガラス１２に押し込む際に、当該埋
設端部で排除されたガラスが上記直角肩に流動する。

【００４７】ビーディングガラス１２が冷却した状態で
は、この直角肩部分および埋設端部に形成された切欠き
部分とがアンカーとなり、埋設深さが多少浅くてもヒー
タ支持体１０にガタが生じたり、抜けたりすることが阻
止される。

【００４８】図４は本発明による電子銃構体の他の実施
例を説明するための要部模式図である。この実施例は、
特にネック外径が２４．３ｍｍの、所謂細ネック管用の
電子銃構体に採用される厚さＤが従来のものより薄いビ
ーディングガラス１２を用いる場合に好適である。

【００４９】前記実施例と同様に、電極支持体やカソー
ド支持体のビーディングガラス１２への埋設端部の幅ａ
はビーディングガラス１２から露呈している部分の幅ｂ
より大きくなっており、軟化したビーディングガラス１
２に押し込む際に排除されたガラスが傾斜肩部分あるい
は直角肩部分に流動してビーディングガラス１２が冷却
されて固化した場合にガタの防止や抜け防止のためのア
ンカーとなる。

【００５０】そして、特に支持体の間の間隔ｓが狭い
（例えば、１．５ｍｍ以下）第１格子電極１の電極支持
体１５とカソード支持体２３の埋設間隔は小さく、両者
の押し込み時に当該電極支持体１５とカソード支持体２
３の埋設部周囲にガラスの盛り上がりが生じる。このガ
ラスの盛り上がりは電極支持体１５とカソード支持体２
３を強固に固定して両電極の間隔の変化が抑制される。

【００５１】また、この実施例では、電子銃支持体１１
がビーディングガラス１２の横方向に埋設する形状とし
たものを示している。このような形状の電子銃支持体１
１も、その埋設端部が他の電極支持体等と同様に形成さ
れている。

【００５２】図５は図４における電子銃支持体の埋設状
態を説明する要部断面図であり、ビーディングガラスを
横方向に切断して示したものである。この電子銃支持体
１１のビーディングガラス１２への埋設部ａは露呈部ｂ
より大であり、軟化したビーディングガラス１２に埋設
端部を押し込んだ際にガラスが埋設部の肩方向に流動し
て当該肩の上に流れ、ビーディングガラス１２が冷却し
て固化した時に、アンカーとして作用し、ガタや抜けの
発生を阻止する効果をもつ。

【００５３】図６は本発明による陰極線管の一例として
のシャドウマスク型カラー陰極線管の構造を説明する断
面模式図である。このカラー陰極線管は、画面を構成す
るパネル部３０と漏斗状のファンネル部３１および細管
状のネック部３２で構成される真空外囲器からなる。

【００５４】パネル部３０の内面には３色の蛍光体を塗
り分けた蛍光面３３を有し、この蛍光面３３に近接して
色選択電極であるシャドウマスク３４が設置されてい
る。このシャドウマスク３４はマスクフレーム３５に取
り付けられ、マスクフレーム３５の側面をスプリング機
構３６を介してパネル部３０の側内壁に懸架されてい
る。なお、マスクフレーム３５の蛍光面とは反対側に地
磁気等の外部磁気を遮断するための磁気シールド３７が
取り付けてある。

【００５５】ファンネル部３１の内面には、所謂内装導
電膜３８が塗布されており、ファンネル部の側面に設け
た図示しないアノードボタンから印加される高電圧を電
子銃に導入する。ネック部３２の内部には３本の電子ビ
ーム（センタービームＢｃ、サイドビームＢｓ×２）を
発射するインライン型電子銃４０が収容され、ステムピ
ン４３を介して外部回路から所要の信号および制御電圧
が供給される。

【００５６】なお、符号４１は電子ビームのセンタリン
グ補正や色純度補正を行うための外部補正磁気装置であ
る。そして、電子銃４０の端部にはゲッター３９が取り
付けてある。しかし、ゲッターはこの場所に限るもので
はなく、ファンネル部３１の内壁に近接して設置したも
のもある。符号４４は、所謂補強バンドを示す。

【００５７】ネック部３２とファンネル部の遷移領域に
は偏向ヨーク４２が外装されており、電子銃４０から出
射される電子ビームを水平と垂直の２方向に偏向して蛍
光面３３に２次元の画像を再生する。

【００５８】このような構成のカラー陰極線管の電子銃
４０として、前記実施例で説明した各種電極支持体ある
いはヒータ支持体をビーディングガラスへの固定構造を
有するものを使用してある。

【００５９】このカラー陰極線管によれば、外部からの
振動や衝撃によって電子銃の電極部品が偏位して所要の
性能を発揮できなくなることが回避され、特に、電子銃
を構成する第１格子電極とカソードとの間の間隙に変化
がなく、画像の明るさに変化が生じたり、チラツキが発
生することがない。

【００６０】また、陰極線管の輸送中などでヒータ支持
体にガタが発生せず、ヒータやその引出し線への断線の
発生が回避される。

【００６１】さらに、薄いビーディングガラスを用いて
電極支持体やヒータ支持体のビーディングガラスへの埋
設深さを浅くしても、十分な固定が可能となる。

【００６２】なお、本発明は上記のようなカラー陰極線
管にのみ適用できるものではなく、他の形式のモノクロ
陰極線管、カラー陰極線管あるいは投写型陰極線管、そ
の他の陰極線管に用いる各種電子銃の構成にも同様に適
用可能である。

【００６３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ビーディングガラスへの埋設端部を簡単な構造としただ
けで十分な強度で格子電極の支持体やヒータ支持体、そ
の他の電極支持体にガタや抜けが発生することが防止さ
れる。この電子銃構体を用いることで、信頼性の高い陰
極線管を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による電子銃構体の１実施例を説明する
ための模式図である。

【図２】ビーディングガラスに埋設された電極支持体や
ヒータ支持体の埋設端部の形状の一例を説明する要部断
面図である。

【図３】ビーディングガラスに埋設された電極支持体や
ヒータ支持体の埋設端部の形状の他例を説明する要部断
面図である。

【図４】本発明による電子銃構体の他の実施例を説明す
るための要部模式図である。

【図５】図４における電子銃支持体の埋設状態を説明す
る要部断面図である。

【図６】本発明による陰極線管の一例としてのシャドウ
マスク型カラー陰極線管の構造を説明する断面模式図で
ある。

【図７】従来の電子銃構体の構成例を説明するための模
式図である。

【図８】図７における電極支持体とビーディングガラス
との埋設状態を説明する要部断面図である。

【符号の説明】

１ 第１格子電極 ２ 第２格子電極 ３ 第３格子電極 ４ 第４格子電極 ５，６，７ 第５格子電極 ８ 第６格子電極 ９ カソード保持体 １０ ヒータ支持体 １１ 電子銃支持体 １２ ビーディングガラス １３ カソード １４ ヒータ １５、１６、１７、１８、１９、２０、２１、２２、２
３ 電極支持体 ３０ パネル ３１ ファンネル ３２ ネック ３３ 蛍光面 ３４ シャドウマスク ３５ マスクフレーム ３６ スプリング ３７ 磁気シールド ３８ 内装導電膜 ３９ ゲッター ４０ 電子銃 ４１ 外部補正磁気装置 ４２ 偏向ヨーク ４３ ステムピン ４４ 補強バンド。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】カソードを固定すれるカソード支持体と、
   このカソードから放射する電子ビームを集束し加速する
   電子レンズを構成する複数の格子電極を固定する電極支
   持体、および前記カソードを構成するヒータの引出し端
   部を固定するヒータ支持体を有し、前記カソード、複数
   の格子電極およびヒータ支持体から管軸と直角方向に突
   出して設けた埋設部を、軟化させた少なくとも１対のビ
   ーディングガラスに埋設固定してなる電子銃構体であっ
   て、 前記各支持体の前記ビーディングガラスに埋設される一
   部または全部の埋設部の幅が当該ビーディングガラスか
   ら露呈する部分よりも大であることを特徴とする電子銃
   構体。
2. 【請求項２】前記各支持体の熱膨張係数が前記ビーディ
   ングガラスよりも大である材料で構成したことを特徴と
   する請求項１に記載の電子銃構体。
3. 【請求項３】一端に画面を構成するパネル部を持ち、他
   端に電子銃を収容するネック部を有する真空外囲器から
   なる陰極線管であって、 前記電子銃はカソードおよび複数の格子電極から構成さ
   れ、これらカソードおよび複数の格子電極から外方の突
   設した電極支持体およびヒータ支持体の埋設部を、軟化
   させたビーディングガラスに埋設して管軸方向に所定の
   間隔、かつ互いに絶縁して配列固定してなり、 前記各支持体を前記ビーディングガラスよりも大きな熱
   膨張係数をもつ材料で構成すると共に、前記ビーディン
   グガラスに埋設される一部または全部の埋設部の幅が当
   該ビーディングガラスから露呈する部分よりも大である
   ことを特徴とする陰極線管。