JP2001003963A - 電磁クラッチの制御装置 - Google Patents

電磁クラッチの制御装置

Info

Publication number
JP2001003963A
JP2001003963A JP11176272A JP17627299A JP2001003963A JP 2001003963 A JP2001003963 A JP 2001003963A JP 11176272 A JP11176272 A JP 11176272A JP 17627299 A JP17627299 A JP 17627299A JP 2001003963 A JP2001003963 A JP 2001003963A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
current
electromagnetic clutch
electromagnetic
fastening
engine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11176272A
Other languages
English (en)
Inventor
Hirokazu Konohara
弘和 此原
Haruhiko Nishino
治彦 西野
Keiichi Igura
圭一 井倉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Aisan Industry Co Ltd
Daihatsu Motor Co Ltd
Original Assignee
Aisan Industry Co Ltd
Daihatsu Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Aisan Industry Co Ltd, Daihatsu Motor Co Ltd filed Critical Aisan Industry Co Ltd
Priority to JP11176272A priority Critical patent/JP2001003963A/ja
Publication of JP2001003963A publication Critical patent/JP2001003963A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】電磁クラッチの機械的な個体差や経時変化に拘
わらず、同クラッチに供給される締結電流を必要最小限
の最適電流値に設定すること。 【解決手段】自動車用エンジン1とCVT5との間に設
けられた電磁クラッチ21は、クランクシャフト9に連
結されるヨーク21aと、CVT5の入力軸22に連結
されるロータ21bと、締結電流の供給を受けて電磁力
を発生させる励磁コイル21c等とを含む。回転速度セ
ンサ45は、ヨーク21aの回転速度を検出する。プー
リセンサ49は、ロータ21bの回転速度を検出する。
CVTECU7は、ヨーク21a及びロータ21bを互
いに締結させるために、励磁コイル21cに締結電流が
供給されるとき、両センサ45,49で検出される各回
転速度の間に速度差が生じ始めるまで励磁コイル21c
に供給される締結電流の値を減少補正し、その補正結果
を、次回制御に参照される学習電流値としてエンジン1
の運転状態に対応させて学習する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば、車両用
エンジンのための無段変速機等の動力機構に適用される
電磁クラッチに係る。特に詳しくは、電磁クラッチによ
る締結力を調整するために供給される締結電流を制御す
る電磁クラッチの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、原動機又は駆動機から被動機
への動力伝達を制御するために、原動機と被動機との間
に設けられ、電磁力によりクラッチを作動させる電磁ク
ラッチがある。この種の電磁クラッチは、駆動側部材と
被動側部材とが電磁部材で発生する電磁力により締結さ
れ、或いは、その締結力(電磁力)を調整するために、
電磁部材に供給される締結電流が制御されるようになっ
ている。例えば、この種の電磁クラッチとして、車両用
エンジンのための無段変速機に適用されるものが知られ
ている。
【0003】特開昭62−231822号公報、特開昭
62−231840号公報は、この種の電磁クラッチを
備えた無段変速機のクラッチ制御方式の一例を開示す
る。これらクラッチ制御方式では、電磁クラッチに対す
る各種通電モード、即ち、逆励磁モード、発進モード、
ドラッグモード及び直結モードが予め定められる。これ
ら通電モードが、車両及びエンジンの運転状態に応じて
選択され、選択された通電モードに基づいて電磁クラッ
チに対する通電が制御される。ここで、上記前者の公報
に開示されたクラッチ制御方式では、特に、駆動側部材
(ドライブメンバ)と被動側部材(ドリブンメンバ)と
を直結させる直結モードにおいて、エンジンの減速中に
は、所定車速以下で、車速に比例する低減変化を実現す
るようにクラッチ電流が制御されるようになっている。
この制御は、クラッチが、車両にエンジンブレーキが働
く下限界近くのトルク伝達を行える範囲で実行されるよ
うになっている。一方、上記後者の公報に開示されたク
ラッチ制御方式では、同じく直結モードにおいて、チョ
ーク中には、所定車速以下で、クラッチの滑りを維持す
るような値にクラッチ電流が抑止制御されるようになっ
ている。この制御は、エンジン回転速度が所定値以上に
ならない範囲で実行されるようになっている。
【0004】上記各制御方式では、各種通電モードに対
応した締結電流(クラッチ電流)が、予め作成された関
数データ(データマップ)において一義的に定められて
おり、そのデータマップから運転状態に応じた通電モー
ドの締結電流を選択することにより、電磁クラッチに対
する通電制御が行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記従来の
各クラッチ制御方式では、ドライブメンバとドリブンメ
ンバとを直結させる直結モードにおいて、定常運転時に
は、常に一定の締結電流が電磁クラッチに供給されるよ
うになっている。ここで、一般に、多数製造される同種
の電磁クラッチの間には、多少の製品品質上のばらつき
が存在し、個々の電磁クラッチにおいても、使用中に製
品劣化が生じることがある。従って、個々の電磁クラッ
チを常に一定の締結電流により直結していたのでは、そ
の機械的な個体差や経時変化の程度によっては、必ずし
も最適な電流値にはならないことがある。この結果、電
磁クラッチを最適状態で締結させようとしても、供給さ
れる電流が不足したり、消費電力が無駄になったりする
おそれがある。
【0006】この発明は上記事情に鑑みてなされたもの
であって、その目的は、電磁クラッチの製品品質のばら
つきや使用中の製品劣化に拘わらず、同クラッチを締結
させるために供給される締結電流を必要最小限の値に設
定することを可能にした電磁クラッチの制御装置を提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明は、原動機から被動機への動
力伝達を制御するために、原動機と被動機との間に設け
られる電磁クラッチを制御する電磁クラッチの制御装置
において、電磁クラッチは、原動機に連結される駆動側
部材と、被動機に連結される被動側部材と、駆動側部材
と被動側部材とを互いに締結させるために締結電流の供
給を受けて電磁力を発生させる電磁部材とを含むこと
と、電磁部材に締結電流を供給するための締結電流供給
手段と、駆動側部材の駆動速度を検出するための駆動速
度検出手段と、被動側部材の被動速度を検出するための
被動速度検出手段と、記駆動側部材と被動側部材とを互
いに締結させるために、締結電流供給手段により電磁部
材に締結電流が供給されるとき、検出される駆動速度と
検出される被動速度との間に速度差が生じ始めるまで供
給される締結電流の値を補正するための締結電流補正手
段とを備えたことを趣旨とする。
【0008】上記発明の構成によれば、締結電流供給手
段により電磁クラッチの電磁部材に締結電流が供給され
ることにより、電磁部材に電磁力が発生して、原動機に
連結される駆動側部材と、被動機に連結される被動側部
材とが互いに締結される。このとき、締結された駆動側
部材の駆動と被動側部材の被動とが一体的に行われるこ
とになり、駆動速度検出手段により検出される駆動速度
と、被動速度検出手段により検出される被動速度とが互
いに同じになる。ここで、電磁部材に供給される締結電
流が過剰であれば、駆動側部材と被動側部材との締結状
態、つまりは原動機から被動機への動力伝達の上では問
題ないが、消費電力に無駄が発生する。一方、供給され
る締結電流が不足すれば、消費電力は少なくなるが、駆
動側部材と被動側部材との締結状態、つまりは、原動機
から被動機への動力伝達効率が落ちる。このように、個
々の電磁クラッチにつき、供給される締結電流に過不足
が生じるのは、同じ駆動側部材、被動側部材及び電磁部
材で構成される電磁クラッチであっても、それらに製品
品質のばらつきや使用中の製品劣化があるからである。
この発明では、駆動側部材と被動側部材とを互いに締結
させるために、締結電流供給手段により電磁部材に締結
電流が供給されるとき、検出される駆動速度と検出され
る被動速度との間に速度差が生じ始めるまで、電磁部材
に供給される締結電流の値が締結電流補正手段により補
正される。ここで、駆動速度と被動速度との間に速度差
が生じ始める締結状態とは、原動機から被動機への動力
伝達効率を確保する上で、駆動側部材と被動側部材とが
必要最小限の電磁力によって締結される状態を意味す
る。従って、補正された締結電流の値は、動力伝達効率
を確保する上で過不足のない値となる。
【0009】上記目的を達成するために、請求項2に記
載の発明は、請求項1に記載の発明の構成において、原
動機の運転状態を検出するための運転状態検出手段と、
締結電流補正手段により補正された締結電流の値を、次
回制御に参照される学習電流値として検出される運転状
態に対応させて学習するための締結電流学習手段と、次
回制御において、締結電流供給手段は、学習された学習
電流値に基づいて電磁部材に締結電流を供給することと
を備えたことを趣旨とする。
【0010】上記発明の構成によれば、請求項1の発明
の作用に加え、補正された締結電流の値が、次回制御に
参照される学習電流値として原動機の運転状態に対応さ
せて学習される。そして、次回制御では、学習された学
習電流値に基づいて電磁部材に締結電流が供給される。
従って、次回制御では、検出される運転状態に対応した
学習電流値を選択して参照することにより、その学習電
流値が電磁部材へ供給される締結電流に直ちに反映され
る。
【0011】上記目的を達成するために、請求項3に記
載の発明は、請求項2に記載の発明の構成において、締
結電流の初期値を、検出される運転状態に基づいて算出
するための締結電流算出手段を備えたことを趣旨とす
る。
【0012】上記発明の構成によれば、請求項2の発明
の作用に加え、締結電流の初期値が、駆動源の運転状態
に基づいて算出されることから、最初に電磁部材に供給
される締結電流の値が、原動機から被動機に伝達される
動力に応じたものとなる。
【0013】上記目的を達成するために、請求項4に記
載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の発明の構成
において、締結電流供給手段により電磁部材に供給され
る締結電流の値を所定の安全率に基づいて補完するため
の締結電流補完手段を備えたことを趣旨とする。
【0014】上記発明の構成によれば、請求項2又は請
求項3の発明の作用に加え、電磁部材に供給される締結
電流の値が、所定の安全率に基づいて補完され、電磁ク
ラッチの性能が保証される。ここで、安全率とは、電磁
クラッチの製品品質のばらつきや使用中の製品劣化に備
えて締結電流の値を補完するためのものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の電磁クラッチの制
御装置を具体化した一実施の形態を図面を参照して詳細
に説明する。この実施の形態では、自動車に搭載された
エンジンの無段変速機(CVT)に設けられた電磁クラ
ッチにつき、本発明の制御装置を具体化して説明する。
【0016】図1に本実施の形態における自動車エンジ
ンシステムの概略構成を示す。このエンジンシステム
は、本発明の原動機としてのエンジン1の吸気通路2に
設けられたリンクレスタイプの電子スロットルバルブ3
と、エンジン1の出力(動力)を駆動輪4に対して変速
可能に伝達するための本発明の被動機としての無段変速
機(CVT)5と、電子スロットルバルブ3を含むエン
ジン1の各部を制御するためのエンジン電子制御装置
(エンジンECU)6と、CVT5を制御するためのC
VT電子制御装置(CVTECU)7とを備える。この
エンジンシステムは、エンジンECU6及びCVTEC
U7により、電子スロットルバルブ3とCVT5を統合
的に制御することにより、エンジン1を常に最適燃費率
で運転し、自動車としての燃費向上を図ることを目的と
して構成されたものである。以下にこの統合制御の概要
を説明する。
【0017】この統合制御の狙いは、エンジンの運転特
性上、最も燃費率の良い(低い)領域を使用して自動車
(エンジン)を運転しようとするものである。図2にエ
ンジンの燃費率特性をグラフに示す。この燃費率特性グ
ラフは、横軸にエンジン回転速度を、縦軸にエンジント
ルクを、高さ軸に燃費率をそれぞれ三次元的に示すもの
である。自動車を前進させるために、運転者はアクセル
ペダルを操作することによりエンジンに出力を要求す
る。ここで、エンジン出力は、エンジントルクとエンジ
ン回転速度との積で表される。図2の燃費率特性グラフ
に斜線で示す領域は、最も燃費率が良くなる低燃費率領
域を意味する。
【0018】図2の燃費率特性グラフに「等出力ライ
ン」を重ね合わせると、図3に示すような燃費率−等出
力特性グラフが得られる。この燃費率−等出力特性グラ
フから明らかなように、エンジン出力の全範囲につい
て、最も燃費率の低い領域、即ち低燃費率領域のみでエ
ンジンを運転することは不可能なことが分かる。
【0019】従来の自動車制御では、図3のグラフに示
すように、ドライバーが等出力ライン上で要求出力を得
るためには、変速機で選択された変速比がハイギア(例
えば「5速ギア」)ならば、低回転速度・高トルクの点
で、ロウギア(例えば「3速ギア」)ならば、高回転速
度・低トルクでそれぞれ満足する。ここで、図3のグラ
フにおいて、各等出力ライン上で、最も燃費率の良い点
を見つけ、それらの点を結び合わせることにより、燃費
最適ラインが得られる。この燃費最適ライン上で、常に
自動車を運転することができれば、自動車としての低燃
費化を図ることができる。
【0020】そこで、この燃費最適ライン上で自動車を
制御するために、本エンジンシステムが使用される。即
ち、エンジン回転速度を制御するために、変速比(プー
リ比)を無段階に変更可能に構成したCVTが制御さ
れ、エンジントルクを連続的に制御するために、リンク
レスタイプの電子スロットルバルブが制御され、これら
両制御が統合されるのである。
【0021】次に、図1のエンジンシステムについて詳
しく説明する。エンジン1は周知の構造を有する多気筒
タイプのものである。この実施の形態では、4つの気筒
を有するエンジン1が採用される。エンジン1は、吸気
通路2を通じて供給される燃料及び空気、即ち可燃混合
気を、各気筒の燃焼室で爆発・燃焼させ、その燃焼後の
排気ガスを排気通路8を通じて排出させることにより、
ピストン(図示しない)を駆動させ、クランクシャフト
9を回転させて出力を得るものである。
【0022】吸気通路2に設けられた電子スロットルバ
ルブ3は、同通路2を流れ各燃焼室に吸入される空気量
(吸気量)を調節するために開閉されるものである。こ
の電子スロットルバルブ3は、吸気通路2に配置された
スロットルバルブ10と、そのバルブ10を駆動するた
めのDCモータ11と、スロットルバルブ10の開度
(スロットル開度)TAを検出するためのスロットルセ
ンサ41とを備える。スロットルセンサ41は、スロッ
トル開度TAを検出し、その検出値に応じた電気信号を
出力するものである。この電子スロットルバルブ3は、
自動車の運転席に設けられたアクセルペダル12の操作
(踏み込み)に基づいて作動するものである。アクセル
ペダル12は、エンジン1の加速、減速等を含む運転を
操作するためのものである。アクセルペダル12は、そ
の踏み込みを解除することにより、無操作状態である元
位置に復帰するようになっている。アクセルペダル12
に付随して設けられたアクセルセンサ42は、アクセル
ペダル12の踏み込み量、即ちアクセル開度ACCPを
検出し、その検出値に応じた電気信号を出力するもので
ある。
【0023】吸気通路2に設けられた吸気圧センサ43
は、スロットルバルブ10の下流側の吸気通路2におけ
る圧力(吸気圧)PMをを検出し、その検出値に応じた
電気信号を出力するものである。
【0024】各気筒の吸気ポートに設けられた複数のイ
ンジェクタ13は、各気筒に対応して燃料を噴射供給す
るためのものである。これらインジェクタ13には、燃
料タンク14の中の燃料が、燃料ポンプ15により燃料
フィルタ16等を介して圧送される。
【0025】エンジン1で各気筒に対応して設けられた
複数の点火プラグ17は、ディストリビュータ18から
分配される点火信号を受けて作動する。ディストリビュ
ータ18は、イグナイタ19から出力される高電圧をク
ランクシャフト9の回転角、即ち「クランク角(°C
A)」の変化に対応して各点火プラグ17へ分配するも
のである。各点火プラグ17の作動時期、即ち、点火時
期は、イグナイタ19から出力される高電圧の出力タイ
ミングにより決定される。従って、イグナイタ19を制
御することにより、各気筒での点火プラグ17による点
火時期が制御される。
【0026】排気通路8に設けられた酸素センサ44
は、各気筒から同通路8へ排出される排気ガス中の酸素
濃度Oxを検出し、その検出値に応じた電気信号を出力
するものである。
【0027】ディストリビュータ18に設けられた回転
速度センサ45は、クランクシャフト9の角速度、即
ち、エンジン回転速度NEを検出し、その検出値に応じ
た電気信号を出力するものである。ディストリビュータ
18には、クランクシャフト9の回転に連動して回転す
ると共に外周に複数の歯を有するロータ(図示しない)
が内蔵される。回転速度センサ45は、このロータと、
ロータの外周に対向配置された電磁ピックアップ(図示
しない)とを備える。このロータの回転に伴って電磁ピ
ックアップが各歯の通過を検出する毎に、回転速度セン
サ45からは一つのパルス信号が出力される。この実施
の形態では、クランク角が30°CA進む毎に、回転速
度センサ45から一つのパルス信号が出力される。同じ
く、ディストリビュータ18には、ロータの回転に応じ
てクランク角の変化を所定の割合で検出するための気筒
判別センサ46が設けられる。この実施の形態では、各
気筒の全てが順次に燃焼行程を終了するまでにクランク
シャフト9が2回転するものとして、720°CA毎の
割合で、気筒判別センサ46から基準位置信号GSとし
ての一つのパルス信号が出力されるようになっている。
【0028】エンジン1に設けられ水温センサ47は、
エンジン1の内部を流れる冷却水の温度(冷却水温)T
HWを検出し、その検出値に応じた電気信号を出力する
ものである。
【0029】CVT5は、クランクシャフト9の出力を
変速して各駆動輪4に伝達するためのものである。周知
のように、CVT5は、電磁クラッチ21、入力軸2
2、前進後退切替機23、一次側プーリ24、二次側プ
ーリ25、ベルト26、出力軸27及びプーリ用モータ
28を備える。電磁クラッチ21は、クランクシャフト
9から入力軸22への出力伝達を制御するためのもので
ある。前進後退切替機23は、入力軸22と出力軸27
との間に設けられ、アシストギアを含む複数のギア23
aと、各ギア23aの接続を切り替えるためのアクチュ
エータ23bとを備える。この発進後退切替機23は、
自動車の発進時に、一次側プーリ24と二次側プーリ2
5とをアシストギアにより直結するようになっている。
前進・後退の切り替えは、運転席に設けられたシフトレ
バー20が運転者により操作されることにより選択され
る。シフトレバー20に設けられたシフトポジションセ
ンサ48は、シフトレバー20により選択される前進又
は後退のシフト位置SHPを検出し、その検出位置に応
じた電気信号を出力する。一次側プーリ24は入力軸2
2上に設けられる。二次側プーリ25は出力軸27上に
設けられる。各プーリ24,25は、それぞれ断面V字
状の溝を有する。ベルト26は、両プーリ24,25の
溝に掛装される。プーリ用モータ28は、一次側プーリ
24に対するベルト26の係合径を可変にするために、
一次側プーリ24の溝幅を変えるためのものである。二
次側プーリ25は、バネでベルト26に対して適切な間
隔にセットされる。出力軸27は、デファレンシャルギ
ア29等を介して駆動輪4に連結される。一次側プーリ
24の溝幅が変えられることにより、CVT5の変速比
(プーリ比)が変わる。一次側プーリ24に対応して設
けられたプーリセンサ49は、同プーリ24の回転速度
(一次側回転速度)NP1を検出し、その検出値に応じ
た電気信号を出力するものである。出力軸27に対応し
て設けられた車速センサ50は、出力軸27の回転速度
を、自動車の走行速度(車速)VSとして検出し、その
検出値に応じた電気信号を出力するものである。
【0030】図4に電磁クラッチ21の概略構成を示
す。この電磁クラッチ21は、クランクシャフト9に連
結される駆動側部材(ドライブメンバ:円環状ヨーク)
21aと、入力軸22に連結される被動側部材(ドリブ
ンメンバ:ロータ)21bと、電磁部材としての励磁コ
イル21c及び磁粉21dとを備える。ヨーク21a
は、クランクシャフト9の軸端に固定されたフライホイ
ール21eに設けられる。円環状の励磁コイル21c
は、ヨーク21aの断面における中心部に埋設される。
この励磁コイル21cには、ヨーク21aと共に回転す
るスリップリング21fを介して給電ブラシ(図示略)
から励磁のための締結電流が供給される。ロータ21b
は、ヨーク21aの内側において、ベアリング21gを
介して第1ラビリス部材21hにより回転可能に支持さ
れる。この第1ラビリス部材21hは、ヨーク21aの
一方の端面に固定される。このラビリス部材21hに
は、環状突起21iが固定される。この環状突起21i
は、ヨーク21aの内周面とロータ21bの外周面との
間に形成されたギャップ内に磁気力によって充填される
磁粉21dをシールするためのものである。環状突起2
1iとヨーク21aの他方の端面に設けられた第2ラビ
リス部材21jとにより、略密閉された環状空間が形成
され、磁粉21dの漏出が防止される。励磁コイル21
cは、ヨーク21a及びロータ21bを磁粉21dによ
って互いに締結させるためにCVTECU7から締結電
流の供給を受けて電磁力を発生させるものである。即
ち、励磁コイル21cに供給される締結電流により磁界
が形成されることにより、磁粉21dがヨーク21aと
ロータ21bとの間のギャップ内に充填され、両者21
a,21bが互いに締結され、クランクシャフト9のト
ルクが入力軸22に伝達される。この励磁コイル21c
に供給される締結電流の値を変えることにより、同コイ
ル21cで発生する電磁力の強さが変えられ、ヨーク2
1a及びロータ21bの締結力が変えられる。一方、励
磁コイル21cに対する締結電流の供給を遮断すること
により、ヨーク21a及びロータ21bの締結が解除さ
れ、クランクシャフト9から入力軸22への出力伝達、
ひいてはエンジン1からCVT5への出力伝達が遮断さ
れる。入力軸22は、その軸端においてハブ21kとス
プライン勘合される。ハブ21kは、係合ショックを吸
収するためのダンパ21lを介してロータ21bと連結
される。
【0031】この実施の形態で、上記のスロットルセン
サ41、アクセルセンサ42、吸気圧センサ43、酸素
センサ44、回転速度センサ45、気筒判別センサ4
6、水温センサ47及び車速センサ50等は、エンジン
1の運転状態を検出するための本発明の運転状態検出手
段を構成する。この実施の形態で、回転速度センサ45
は、エンジン回転速度NEを、電磁クラッチ21のヨー
ク21aの駆動速度、即ちドライブメンバ回転速度とし
て検出するための本発明の駆動速度検出手段を構成す
る。一方、プーリセンサ49は、一次側プーリ24の回
転速度を、ロータ21bの被動速度、即ちドリブンメン
バ回転速度として検出するための本発明の被動速度検出
手段を構成する。
【0032】この実施の形態で、エンジンECU6は、
前述したスロットルセンサ41、アクセルセンサ42、
吸気圧センサ43、酸素センサ44、回転速度センサ4
5、気筒判別センサ46、水温センサ47及び車速セン
サ50から出力される各種信号を入力する。エンジンE
CU6は、これら入力信号に基づき、空燃比制御を含む
燃料噴射制御、点火時期制御及び電子スロットルバルブ
制御等を実行するために、各インジェクタ13、イグナ
イタ19及びDCモータ11等をそれぞれ制御する。
【0033】ここで、燃料噴射制御とは、エンジン1の
運転状態に応じて各インジェクタ13から噴射される燃
料量(燃料噴射量)及びその噴射タイミングを制御する
ことである。点火時期制御とは、エンジン1の運転状態
に応じてイグナイタ19を制御することにより、各点火
プラグ17による点火時期を制御することである。電子
スロットルバルブ制御とは、検出されるアクセル開度A
CCP等に基づいて目標開度を算出し、スロットル開度
TAがその目標開度となるようにDCモータ11を制御
することである。
【0034】この実施の形態で、CVTECU7は、前
述したシフトポジションセンサ48及びプーリセンサ4
9から出力される信号をそれぞれ入力する。同じく、C
VTECU7は、エンジンECU6から出力される目標
回転速TNE、車速VS、アクセル開度ACCP及びエ
ンジン回転速度NEに係る各種信号を入力する。CVT
ECU7は、これら入力信号に基づき、クラッチ制御を
含むCVT制御を実行するために、電磁クラッチ21、
前進後退切替機23及びプーリ用モータ28をそれぞれ
制御する。この実施の形態において、CVTECU7
は、本発明における締結電流供給手段、締結電流補正手
段、締結電流学習手段、締結電流算出手段及び締結電流
補完手段を構成する。
【0035】ここで、CVT制御とは、エンジン1を含
む自動車の運転状態、運転者の運転要求に応じて前進後
退切替機23及びプーリ用モータ28を制御することに
より、CVT5の変速比、即ち両プーリ24,25の間
のプーリ比を制御することである。クラッチ制御とは、
エンジン1の運転状態、運転者の運転要求に応じて、電
磁クラッチ21を制御することにより、エンジン1から
CVT5への出力伝達を制御することである。
【0036】周知のように、上記各ECU6,7は、そ
れぞれ中央処理装置(CPU)、読み出し専用メモリ
(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、バッ
クアップRAM、外部入力回路及び外部出力回路等を備
えるものである。各ECU6,7は、CPU、ROM、
RAM及びバックアップRAMと、外部入力回路及び外
出力回路等とをバスにより接続してなる論理演算回路を
構成する。ROMは、上記各種制御に関する所定の制御
プログラムを予め記憶したものである。RAMは、CP
Uの演算結果を一時記憶するものである。バックアップ
RAMは、予め記憶したデータを保存するものである。
CPUは、入力回路を介して入力される各種信号に基づ
き、所定の制御プログラムに従って前述した各種制御等
を実行するものである。
【0037】この実施の形態では、エンジンECU6
が、前述した統合制御の主体をなす。即ち、エンジンE
CU6は、アクセル開度ACCP等に基づきエンジン1
の目標出力を算出する。更に、エンジンECU6は、算
出された目標出力に基づいてエンジン回転速度NEに係
る目標回転速度TNE及びエンジン1の目標トルクの値
をそれぞれ算出する。そして、エンジンECU6は、算
出された目標トルクの値に基づいて電子スロットルバル
ブ3を制御すると共に、算出された目標回転速度TNE
の値をCVTECU7へ送出する。一方、CVTECU
7は、エンジンECU6から送出される目標回転速度T
NEに基づいてプーリ用モータ28を制御することによ
り、一次側プーリ24と二次側プーリ25とのプーリ
比、即ちCVT5の変速比を制御する。
【0038】この実施の形態では、エンジン1等に付随
して、電源装置31が自動車に搭載される。この電源装
置31は、各ECU6,7及び各電装品に駆動用の電力
を供給するためのものである。電源装置31は、蓄電用
のバッテリ32と、エンジン1のクランクシャフト9に
ベルト(図示しない)を介して駆動連結された発電用の
オルタネータ33とを備える。エンジン1の運転に連動
してオルタネータ33が駆動されることにより、必要に
応じてオルタネータ33で発生した電力がバッテリ32
に供給される。自動車の運転時にバッテリ32に加わる
電気負荷が大きくなった場合、バッテリ32の蓄電量を
補給するために、オルタネータ33がエンジン1の動力
を受けて駆動されるようになっている。
【0039】次に、本実施の形態でCVTECU7が実
行するクラッチ制御の処理内容について詳しく説明す
る。図5にクラッチ制御ルーチンをフローチャートに示
す。CVTECU7は、このルーチンを所定時間毎に周
期的に実行する。
【0040】先ずステップ100で、CVTECU7
は、エンジンECU6から送出されるエンジン回転速度
NE及びスロットル開度TAの値をそれぞれ読み込む。
【0041】次いで、ステップ110で、CVTECU
7は、クラッチ制御条件が成立しているか否かを判断す
る。ここで、クラッチ制御条件とは、エンジン1が安定
した定常状態で運転されていることを意味し、具体的に
は、エンジン回転速度NEに所定値以上の変化がなく、
且つ、スロットル開度TAに所定値以上の変化がないこ
とに相当する。
【0042】ステップ110で、クラッチ制御条件が成
立していない場合、CVTECU7は、ステップ200
で、電磁クラッチ21の非締結制御を実行する。即ち、
エンジン1の始動時や加減速時、或いは、自動車のクリ
ープ走行時に合わせて、電磁クラッチ21のヨーク21
a及びロータ21bを互いに分離させたり、両者21
a,21bを互いに弱い力で締結(半締結)させたりす
るために、励磁コイル21cへの通電を制御する。
【0043】一方、ステップ110で、クラッチ制御条
件が成立している場合、クラッチ締結力はエンジン1の
発生トルクに比例することから、CVTECU7は、ス
テップ120で、今回読み込まれたエンジン回転速度N
E及びスロットル開度TAの値に基づいてベース電流値
Ibを算出する。即ち、CVTECU7は、エンジン1
の運転状態に基づき、電磁クラッチ21の励磁コイル2
1cに供給されるべき締結電流の初期値をベース電流値
Ibとして算出するのである。CVTECU7は、この
ベース電流値Ibを、図6に示すように、予め定められ
た関数データ(三次元データマップ)を参照することに
より算出する。このデータマップにおいて、いずれのス
ロットル開度TAにおいても、エンジン回転速度NEが
中程度となるときにベース電流値Ibが相対的に高くな
るように設定される。
【0044】次に、ステップ130で、CVTECU7
は、読み込まれたエンジン回転速度NE及びスロットル
開度TAの値に基づいて、エンジン1の現在の運転状態
が両パラメータNE,TAによって定められる何れの運
転領域にあるか否かを判定する。CVTECU7は、こ
の運転領域を、図7に示すように予め複数の運転領域に
区画されたデータマップを参照することにより判定す
る。
【0045】ステップ140で、CVTECU7は、最
適電流学習実行条件が成立しているか否かを判断する。
ここで、最適電流学習実行条件とは、エンジン1が安定
した定常状態で運転され、且つ、今回の自動車走行が前
回の判断時から数えて複数(例えば「5」)トリップ目
であることを意味する。最適電流学習実行条件が成立し
ていない場合、CVTECU7は、最適電流学習を実行
することなく、処理をそのままステップ180へ移行す
る。最適電流学習実行条件が成立している場合、CVT
ECU7は、最適電流学習を実行するために処理をステ
ップ150へ移行する。
【0046】ステップ150で、CVTECU7は、エ
ンジンECU6から送出されるエンジン回転速度NEの
値をドライブメンバ回転速度の値として読み込む。同時
に、CVTECU7は、プーリセンサ49からの一次側
回転速度NP1の値をドリブンメンバ回転速度の値とし
て読み込む。
【0047】次に、ステップ160で、CVTECU7
は、読み込まれたエンジン回転速度NEの値と、一次側
回転速度NP1の値とが互いに等しいか否かを判断す
る。即ち、CVTECU7は、ドライブメンバ回転速度
(入力回転速度)と、ドリブンメンバ回転速度(出力回
転速度)とが互いに等しいか否かを判断する。
【0048】ステップ160で、両回転速度NE,NP
1の値が互いに等しい場合、CVTECU7は、ステッ
プ165で、補正電流値Icを算出する。即ち、補正電
流値Icに「0.995」という減少係数を乗算し(補
正電流値Icを「0.5%」だけ減じる。)、その乗算
結果を新たな補正電流値Icとするのである。ここで、
最初に減少係数と乗算される補正電流値Icとして、ス
テップ120で算出されたベース電流値Ibが当てはめ
られる。そして、CVTECU7は、両回転速度NE,
NP1の値が互い等しくならなくなるまでステップ16
0,165の処理を繰り返す。即ち、CVTECU7
は、ヨーク21aとロータ21bとを互いに締結させる
ために、励磁コイル21cに締結電流としての補正電流
値Ic(ベース電流値Ib)が供給されるとき、両回転
速度NE,NP1の値の間に速度差が生じ始めるまで、
補正電流値Ic(ベース電流値Ib)を減少補正するの
である。
【0049】ステップ160で、両回転速度NE,NP
1の値が互いに等しくなくなったとき、即ち速度差が生
じ始めたとき、CVTECU7は、ステップ170で、
そのときの補正電流値Icとベース電流値Ibとの比を
最適定数rjとして算出する。
【0050】次いで、ステップ175で、CVTECU
7は、算出された最適定数rjをステップ130で判定
された運転領域に対応してバックアップRAMに格納す
る。即ち、ステップ120〜175で、CVTECU7
は、最終的に補正された補正電流値Icを、次回制御に
参照される学習電流値である最適定数rjとして、検出
されるエンジン1の運転状態、即ち両パラメータNE,
TAに対応させて学習するのである。
【0051】そして、ステップ140又はステップ17
5から移行してステップ180で、CVTECU7は、
最終的に励磁コイル21cに供給されるべき締結電流と
しての最適電流値Iaを、次式(1)に従って算出す
る。 Ia=Ib*rj*fs ・・・(1) ここで、「fs]は安全率を意味し、電磁クラッチ21
の製品品質のばらつき、使用中の製品劣化等に備えて締
結電流の値、即ちベース電流値Ibを補完するためのも
のである。
【0052】その後、ステップ190で、CVTECU
7は、エンジン1からCVT5へ動力を伝達するため
に、算出された最適電流値Iaを締結電流として励磁コ
イル21cへ送出して電磁クラッチ21を締結させ、そ
の後の処理を一旦終了する。
【0053】以上説明したように、この実施の形態にお
ける自動車用エンジン1のためのCVT5に設けられた
電磁クラッチ21の制御装置によれば、CVTECU7
により電磁クラッチ21の励磁コイル21cに締結電流
が供給されることにより、励磁コイル21cに電磁力が
発生する。この電磁力により、エンジン1のクランクシ
ャフト9に連結されるヨーク21aと、CVT5の入力
軸22に連結されるロータ21bとが互いに締結され
る。このとき、締結されたヨーク21a及びロータ21
bの回転は一体的に行われることになり、このとき検出
されるエンジン回転速度NE及び一次側回転速度NP1
の値は互いに同じになる。
【0054】ここで、励磁コイル21cに供給される締
結電流が相対的に強ければ、同コイル21cで発生する
電磁力は強くなり、ヨーク21a及びロータ21bの間
の締結力は強くなる。一方、励磁コイル21cに供給さ
れる締結電流が相対的に弱ければ、同コイル21cで発
生する電磁力は弱くなり、ヨーク21a及びロータ21
bの間の締結力は弱くなる。励磁コイル21cに供給さ
れる締結電流が過剰であれば、ヨーク21a及びロータ
21bの締結状態、つまりは、エンジン1らCVT5へ
の動力伝達の上での問題ないが、消費電力に無駄が発生
する。一方、供給される締結電流が不足すれば、消費電
力は少なくなるが、ヨーク21a及びロータ21bの締
結状態、つまりは、エンジン1からCVT5への動力伝
達効率は落ちる。このように、個々の電磁クラッチ21
につき、供給される締結電流に過不足が生じるのは、同
じヨーク21a、ロータ21b、励磁コイル21c及び
磁粉21dで構成される電磁クラッチ21であっても、
それらに製品品質のばらつきや使用中の製品劣化がある
からである。
【0055】この実施の形態では、電磁クラッチ21の
ヨーク21a及びロータ21bを互いに締結させるため
に、CVTECU7により励磁コイル21cに締結電流
が供給されるとき、検出されるヨーク21a及びロータ
21bの回転速度の間に速度差が生じ始めるまで、励磁
コイル21cに供給される締結電流の値が補正され、補
正電流値Icが算出される。即ち、励磁コイル21cに
供給される補正電流値Icが徐々に減じられ、ヨーク2
1a及びロータ21bの回転速度の間に速度差が生じ始
めたときの補正電流値Icが補正された締結電流の値と
して求められる。ここで、ヨーク21a及びロータ21
bの回転速度の間に速度差が生じ始める締結状態とは、
エンジン1からCVT5への動力伝達効率を確保する上
で、ヨーク21a及びロータ21bが必要最小限の電磁
力によって締結される状態を意味する。従って、上記速
度差が生じ始めたときの補正電流値Icは、電磁クラッ
チ21の動力伝達効率を確保する上で過不足のない値と
なる。このため、電磁クラッチ21の製品品質のばらつ
きや使用中の製品劣化が存在しても、それらに拘わら
ず、同クラッチ21を締結させるために供給される締結
電流を必要最小限の最適電流値Iaに設定することがで
き、電磁クラッチ21のために要する消費電力を必要最
小限に抑えることができる。この実施の形態の制御によ
れば、従来制御に比べ、電磁クラッチ21で消費される
締結電流を約20%ほど削減することができた。この意
味で、自動車で消費される電力を低減させることがで
き、バッテリ32及びオルタネータ33に対する電気的
負荷を少なくすることができ、ひいては、エンジン1に
対するオルタネータ33による負荷を軽減して、自動車
及びエンジン1の燃費率の向上を図ることができる。
【0056】上記電磁クラッチの制御装置の構成によれ
ば、最適電流学習実行条件が成立したときには、補正さ
れた補正電流値Icに係る最適定数rjの値が、次回制
御に参照される学習電流値として、検出されるエンジン
1の運転状態、即ち両パラメータNE,NP1に対応さ
せて学習される。そして、次回制御、即ち最適電流学習
実行条件が成立していないときには、学習された最適定
数rjの値に基づいて最適電流値Iaが算出され、その
最適電流値Iaに基づいて励磁コイル21cに締結電流
が供給される。従って、最適電流学習実行条件が成立し
ていないときには、そのとき検出されるエンジン回転速
度NE及びスロットル開度TAの値に対応した最適定数
rjの値を選択して参照することにより、学習された最
適定数rjの値が励磁コイル21cへ供給される締結電
流としての最適電流値Iaに直ちに反映させることにな
る。このため、最適電流学習を実行しないときでも、検
出される両パラメータNE,TAの値に基づいて必要最
小限の締結電流、即ち最適電流値Iaを直ちに設定する
ことができ、電磁クラッチ21に要する消費電力を更に
抑えることができる。この意味で、上記した自動車(エ
ンジン1)における消費電力低減及び燃費率向上の効果
をより一層高めることができる。
【0057】上記電磁クラッチの制御装置の構成によれ
ば、電磁クラッチ21の励磁コイル21cに供給される
締結電流の初期値、即ちベース電流値Ibが、検出され
るエンジン1の運転状態に基づいて算出される。従っ
て、最初に励磁コイル21cに供給される締結電流の値
が、エンジン1からCVT5に伝達される動力に応じた
ものとなる。一般に、励磁コイル21cに供給されるべ
き締結電流の値は、エンジン1の出力トルク(エンジン
トルク)に比例して必要となることから、エンジン1の
運転状態によって値が異なるものである。ここでは、エ
ンジントルクの違いに応じたベース電流値Ibが得られ
ることになる。このため、最適電流学習を実行する場合
には、そのときのエンジントルクに適したベース電流値
Ibを減じることにより最適定数rjが算出されること
から、最適定数rjの算出時間を短縮することができ
る。即ち、最適定数rjの学習時間を短縮することがで
きる。一方、最適電流学習を実行しない場合には、同じ
くエンジントルクに適したベース電流値Ibに基づいて
締結電流としての最適電流値Iaが算出されることか
ら、過不足の少ない電流値Iaを励磁コイル21cに供
給することができる。即ち、最適定数rjの学習を行わ
ない場合は、過不足の少ない締結電流を励磁コイル21
cに供給することができる。この意味でも、自動車(エ
ンジン1)としての消費電力低減及び燃費率向上の効果
をより一層高めることができる。
【0058】上記電磁クラッチの制御装置の構成によれ
ば、励磁コイル21cに供給される締結電流の値が所定
の安全率fcに基づいて補完され、電磁クラッチ21の
締結性能が保証されることになる。このため、未だ最適
定数rjが算出されていないエンジン1の運転領域にお
いて電磁クラッチ21が制御される場合でも、電磁クラ
ッチ21の製品品質のばらつきや使用中の製品劣化に対
し、ある程度余裕をもった最適電流値Iaを締結電流と
して励磁コイル21cに供給することができ、エンジン
1からCVT5への動力伝達効率を確保することができ
る。
【0059】尚、この発明は前記実施の形態に限定され
るものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲
で以下のように実施することができる。
【0060】(1)前記実施の形態では、原動機を自動
車用エンジン1とし、被動機をるCVT5として、両者
1,5の間に設けられる電磁クラッチに具体化したが、
これに限定されるものではなく、あらゆる種類の原動機
と被動機との間に設けられる電磁クラッチに具体化する
ことができる。
【0061】(2)前記実施の形態では、原動機として
のエンジン1のクランクシャフト9と被動機としてのC
VT5の入力軸22との間に設けられた電磁クラッチ2
1の制御に具体化した。これに対し、原動機に連結され
た駆動機と被動機との間に設けられた電磁クラッチの制
御に具体化することもできる。
【0062】(3)前記実施の形態では、エンジン1の
回転速度センサ45を駆動側速度検出手段として代用し
たが、電磁クラッチ21のヨーク21aの回転速度を検
出するための専用のセンサを設けてもよい。
【0063】(4)前記実施の形態では、最適定数rj
を学習電流値としてメモリに記憶し学習するようにし
た。これに対し、上記学習機能を省略して、ヨーク21
aとロータ21bとを互いに締結させるために励磁コイ
ル21cに締結電流が供給されるとき、エンジン回転速
度NEと一次側回転速度NP1の値の間に速度差が生じ
始めるまで、励磁コイル21cに供給される締結電流の
値を補正することのみを行うようにしてもよい。
【0064】(5)前記実施の形態では、ベース電流値
Ib、エンジン回転速度NE及びスロットル開度TAを
パラメータとして予め定められた関数データ(データマ
ップ)を参照することにより、ベース電流値Ibをエン
ジン1の運転状態に基づいて算出するようにした。これ
に対し、ベース電流値Ibを、エンジン回転速度NE及
びスロットル開度TAを変数とする予め定められた関数
式に従って算出するようにしてもよい。
【0065】(6)前記実施の形態では、ベース電流値
Ibをエンジン1の運転状態に基づいて算出するように
したが、ベース電流値Ibの算出を省略し、その値を所
定の一定値としてもよい。
【0066】(7)前記実施の形態では、最適電流値I
aを算出するために安全率fsを用いたが、この安全率
fsの適用を省略してもよい。
【0067】
【発明の効果】請求項1に記載の発明の構成によれば、
電磁クラッチの製品品質のばらつきや使用中の製品劣化
に拘わらず、同クラッチを締結させるために供給される
締結電流を必要最小限の値に設定することができ、電磁
クラッチに要する消費電力を必要最小限に抑えることが
できるという効果を発揮する。この意味で、電源装置に
対する電気的負荷を少なくし、原動機に対する電源装置
の負荷を軽減して原動機に係る燃費率の向上を図ること
ができる。
【0068】請求項2に記載の発明の構成によれば、請
求項1の発明の効果に加え、検出される原動機の運転状
態に基づいて必要最小限の締結電流を直ちに設定するこ
とができ、電磁クラッチに要する消費電力を更に抑える
ことができるという効果を発揮する。この意味で、原動
機に係る燃費率向上の効果をより一層高めることができ
るという効果を発揮する。
【0069】請求項3に記載の発明の構成によれば、請
求項2の発明の効果に加え、学習電流値の学習を行う場
合には、その学習に要する時間を短縮することができ、
学習を行わない場合には、過不足の少ない締結電流を電
磁部材に供給することができる。この意味で、電磁クラ
ッチに要する消費電力を更に抑えることができ、原動機
に係る燃費率向上の効果をより一層高めることができる
という効果を発揮する。
【0070】請求項4に記載の発明の構成によれば、請
求項2又は請求項3の発明の効果に加え、未だ学習電流
値の学習が行われていない原動機の運転領域において電
磁クラッチが制御される場合でも、電磁クラッチの製品
品質のばらつきや製品劣化に対し、ある程度余裕をもっ
た締結電流を電磁部材に供給することができ、原動機か
ら被動機への動力伝達効率を確保することができるとい
う効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態に係り、自動車エンジンシステム
を示す概略構成図である。
【図2】同じく、エンジンの燃費率特性を示すグラフで
ある。
【図3】同じく、燃費率−等出力特性を示すグラフであ
る。
【図4】同じく、電磁クラッチを示す概略構成図であ
る。
【図5】同じく、クラッチ制御ルーチンを示すフローチ
ャートである。
【図6】同じく、ベース電流値の算出に使用されるデー
タマップを示すグラフである。
【図7】同じく、運転領域を示すグラフである。
【符号の説明】
1 エンジン(原動機) 5 CVT(被動機) 7 CVTECU(締結電流供給手段,締結電流補
正手段,締結電流学習手段,締結電流算出手段,締結電
流補完手段) 21 電磁クラッチ 21a ヨーク(駆動側部材) 21b ロータ(被動側部材) 21c 励磁コイル(電磁部材) 21d 磁粉(電磁部材) 41 スロットルセンサ(運転状態検出手段) 45 回転速度センサ(運転状態検出手段,駆動速度
検出手段) 49 プーリセンサ(被動速度検出手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西野 治彦 大阪府池田市ダイハツ町1番1号 ダイハ ツ工業株式会社内 (72)発明者 井倉 圭一 大阪府池田市ダイハツ町1番1号 ダイハ ツ工業株式会社内 Fターム(参考) 3D041 AA00 AA21 AA57 AB01 AC10 AC20 AD01 AD02 AD04 AD05 AD10 AD14 AD22 AD23 AD51 AE14 AE18 AE20 AE36 AF07 AF09 3J057 AA01 BB08 GA80 GB02 GB04 GB06 GB14 GB36 GE11 GE13 HH01 JJ04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原動機から被動機への動力伝達を制御す
    るために、前記原動機と前記被動機との間に設けられる
    電磁クラッチを制御する電磁クラッチの制御装置におい
    て、 前記電磁クラッチは、前記原動機に連結される駆動側部
    材と、前記被動機に連結される被動側部材と、前記駆動
    側部材と前記被動側部材とを互いに締結させるために締
    結電流の供給を受けて電磁力を発生させる電磁部材とを
    含むことと、 前記電磁部材に前記締結電流を供給するための締結電流
    供給手段と、 前記駆動側部材の駆動速度を検出するための駆動速度検
    出手段と、 前記被動側部材の被動速度を検出するための被動速度検
    出手段と、 前記駆動側部材と前記被動側部材とを互いに締結させる
    ために、前記締結電流供給手段により前記電磁部材に前
    記締結電流が供給されるとき、前記検出される駆動速度
    と前記検出される被動速度との間に速度差が生じ始める
    まで前記供給される締結電流の値を補正するための締結
    電流補正手段とを備えたことを特徴とする電磁クラッチ
    の制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の電磁クラッチの制御装
    置において、 前記原動機の運転状態を検出するための運転状態検出手
    段と、 前記締結電流補正手段により補正された締結電流の値
    を、次回制御に参照される学習電流値として前記検出さ
    れる運転状態に対応させて学習するための締結電流学習
    手段と、 次回制御において、前記締結電流供給手段は、前記学習
    された学習電流値に基づいて前記電磁部材に前記締結電
    流を供給することとを備えたことを特徴とする電磁クラ
    ッチの制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の電磁クラッチの制御装
    置において、 前記締結電流の初期値を、前記検出される運転状態に基
    づいて算出するための締結電流算出手段を備えたことを
    特徴とする電磁クラッチの制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項2又は請求項3に記載の電磁クラ
    ッチの制御装置において、 前記締結電流供給手段により前記電磁部材に供給される
    締結電流の値を所定の安全率に基づいて補完するための
    締結電流補完手段を備えたことを特徴とする電磁クラッ
    チの制御装置。
JP11176272A 1999-06-23 1999-06-23 電磁クラッチの制御装置 Pending JP2001003963A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11176272A JP2001003963A (ja) 1999-06-23 1999-06-23 電磁クラッチの制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11176272A JP2001003963A (ja) 1999-06-23 1999-06-23 電磁クラッチの制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001003963A true JP2001003963A (ja) 2001-01-09

Family

ID=16010684

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11176272A Pending JP2001003963A (ja) 1999-06-23 1999-06-23 電磁クラッチの制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001003963A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009090835A (ja) * 2007-10-10 2009-04-30 Jtekt Corp 駆動力伝達装置及び駆動力伝達装置の調整方法
JP2009127849A (ja) * 2007-11-28 2009-06-11 Toyota Motor Corp 電磁アクチュエータの制御装置
CN108799359A (zh) * 2017-05-02 2018-11-13 通用汽车环球科技运作有限责任公司 用于车辆的车辆推进系统和方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009090835A (ja) * 2007-10-10 2009-04-30 Jtekt Corp 駆動力伝達装置及び駆動力伝達装置の調整方法
JP2009127849A (ja) * 2007-11-28 2009-06-11 Toyota Motor Corp 電磁アクチュエータの制御装置
CN108799359A (zh) * 2017-05-02 2018-11-13 通用汽车环球科技运作有限责任公司 用于车辆的车辆推进系统和方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7520351B2 (en) Power control unit
US6966867B2 (en) Control device for hybrid vehicles
JP3653028B2 (ja) 車両用動力伝達制御装置
US8157035B2 (en) Hybrid vehicle auto start systems and methods
US6090007A (en) Hybrid vehicle drive force control device and control method
JP3214427B2 (ja) ハイブリッド車の駆動制御装置
US8261864B2 (en) Hybrid powertrain auto start control system with engine pulse cancellation
US8020652B2 (en) Generator power-based cold start strategy
US6328671B1 (en) Drive force control device
US7925417B2 (en) Control apparatus and method for internal combustion engine
US20040153231A1 (en) Automatic stop/start controller for engine
CN103511153B (zh) 混合动力应用中冷起动内燃发动机的方法
WO2011042951A1 (ja) 車両用駆動装置の制御装置
JP2004042734A (ja) 車両の制御装置
JP2003041967A (ja) 内燃機関の自動停止制御装置
US11358586B2 (en) Methods and system for launching a hybrid vehicle
JP4122141B2 (ja) ハイブリッド車の駆動制御装置
JP3376999B2 (ja) ハイブリッド車の駆動制御装置
JP4799654B2 (ja) 内燃機関の発電制御装置
JP2001057706A (ja) 車両の駆動装置
JP5655693B2 (ja) ハイブリッド自動車
WO2013190693A1 (ja) 車両の制御装置
JP2001003963A (ja) 電磁クラッチの制御装置
JP2003065106A (ja) 動力出力装置および電気自動車
JP2012167587A (ja) 車両の制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051027

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060307

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060725