JP2000517225A - 多層創傷包帯剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 創傷滲出液を吸収するための繊維吸収層、バリアー層および臭吸着層からなり、前記バリアー層が吸収層と臭吸着層との間に位置している多層包帯剤。

Description

【発明の詳細な説明】 多層創傷包帯剤 〔技術分野〕 本発明は、多層創傷包帯剤、特に、限定するものではないが、感染創傷、そし て特に例えば感染潰瘍のような悪臭を伴う創傷に対する包帯剤（ｄｒｅｓｓｉｎ ｇ）として使用するための該包帯剤に関する。 〔背景技術〕 アルギン酸繊維は木炭クロスと組み合わせて悪臭を伴う創傷のための創傷包帯 剤に使用されていて、このような市販の包帯剤の例は、商品名ＫＡＬＴＯＣＡＲ Ｂ、ＡＣＴＩＳＯＲＢ ＰＬＵＳおよびＬＹＯＦＯＡＭ Ｃで販売されているも のてある。商品名ＫＡＬＴＯＣＡＲＢで入手し得る包帯剤は、ポリアミドネット に一緒に融着された不織アルギン酸パッドおよび木炭クロスからなり；商品名Ａ ＣＴＩＳＯＲＢ ＰＬＵＳで入手可能な包帯剤は、ナイロンスリーブ内に密封し た銀を伴う木炭クロス（そしてさらに吸収剤層を一層または二層以上を包含して いてもよい）；商品名ＬＹＯＦＯＡＭ Ｃで入手可能な包帯剤は、ポリウレタン フォームの層で封入した活性炭で処理した粘稠性繊維を包含している。 ＥＰ００９９７５８には、木炭クロースと組み合わせて使用されるアルギン酸 繊維を包含し得る複合創傷包帯剤が記載されている。この創傷包帯剤は、アルギ ン酸塩を包含していてもよい半透膜、例えば木炭クロスのような支持層および例 えはアルギン酸ナトリウム−カルシウムのような生分解性組織界面からなってい る。支持層は半透膜と生分解性組織界面との間に位置している。 ＥＰ００２６５７２は、多層創傷包帯剤に関し、この包帯剤は、水溶性または 膨潤可能なヒドロコロイドの一種または二種以上と層が創傷と接触している結合 剤との配合物、脱臭物質の中間層および包帯剤を身体に確保する空気およびガス の通気可能な層を包含している。治効、吸収性物質は創傷からガスの通過を妨害 しないように穴をパンチしている均質な凝集性素材である。例えば不織布のよう な液体不透過性材が創傷接触層と脱臭層との間で包帯剤中に包含されていてもよ い。 木炭クロスを使用する既知の多層包帯剤に伴う問題は、包帯剤が比較的硬質の 構造体である点にある。これは悪臭を伴う創傷が高度に快適な包帯を必要とする 例えは頸部または腋下部のような領域に位置している傾向があるので不利な点と なる。さらに、創傷接触層は若干硬くなる傾向があり、これによって患者に対し て特に包帯剤交換時に不快感を生じ得るものである。 さらにまた、悪臭を伴う創傷は高レベルの滲出液を生じる創傷であることが多 い。これにより、創傷滲出液の漏出の問題だけではなく、飽和に因り木炭の悪臭 を吸収する能力を制限すると考えられている。 〔発明の開示〕 本発明者等は、上述した問題を軽減する多層創傷包帯剤を開発し、それで、本 発明によれば、創傷滲出液を吸収するための繊維吸収層、バリヤー層および臭吸 着層からなり、前記バリヤー層が吸収層と臭吸着層との間に位置している多層包 帯剤が提供される。 用時包帯剤は吸収層が創傷に最も接近しているように、そして好ましくは吸収 層が創傷および周囲の皮膚に接触するように配向させることができる。 吸収層は繊維状であり、いずれの生分解性ファイバーを包含することができる 。本発明の吸収層で使用するのに好ましいファイバーは、アルギン酸塩、ビスコ ース、変性セルロース、セルロース、ポリエステル、ポリプロピレンおよびその コポリマー、ペクチン、キトサンファイバー、ヒアルロン酸ファイバーまたはゴ ムから誘導されたその他の多糖繊維もしくはファイバーのファイバーを包含する 。最も好ましいのは、例えばＥＰ０２６９３９３に記載のＯＡＳＩＳ（登録商標 ）ファイバー、Ｃｏｕｒｔａｕｌｄｓ ＰｌｃのＷＯ９３／１２２７５に記載の 変性セルロースファイバーまたはＣｏｕｒｔａｕｌｄｓ ＰｌｃのＧＢ９３０１ ２５８に記載の変性セルロースファイバーおよびＥ．Ｒ．Ｓｑｕｉｂｂ ＆ Ｓ ｏｎｓのＷＯ９４／１７２２７に記載のアルギン酸ファイバーのような吸収性の 高いファイバーである。ファイバーに関して「吸収性が高い」（ｈｉｇｈｌｙ ａｂｓｏｒｂｅｎｔ）とは、これらのファイバーが少なくとも２５ｇ／ｇの脱イ オン水を吸収し得ることを意味する。最も適切には、ファイバーは自らの重量の 少 なくとも６０倍、さらに適切には少なくとも８０倍、例えば８０〜２８０倍、さ らに適切には自らの重量の少なくとも９０〜１５０倍、例えば約１２０倍の脱イ オン水を吸収することができる。吸収層で使用するためのファイバーは混和また は配合して複合層を形成してもよく、または上述の成分のいずれの混合物から製 造されたファイバーであってもよい。 バリアー層は滲出液が臭吸着層に移動するのを妨げ、一方では臭が臭吸着層に 移動するのを可能とするものである。バリアー層によって与えられる滲出液の移 動の遅延により、包帯剤が臭を吸着し得る時間が増加し、また吸着される臭の量 が増大する。バリアーは「ワンウエー吸上」（ｏｎｅ ｗａｙ ｗｉｃｋｉｎｇ ）として知られているタイプのものであってもよい。このタイプの材は、小さい 円錐またはマイクロ漏斗上に真空穿孔され、その結果小さい穴が形成され、この 穴が臭の移動を可能とするが、滲出液が吸収層から移動するのを妨げる。好まし い例はＦＬＥＸＩＦＩＬＭ，Ｔｒｅｄｅｇｅｒから市販されているタイプのエチ レン酢酸ビニルフィルムである。これらのフィルムは一群のポリマー、例えば高 密度ポリエチレン、ポリプロピレン、中密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル およびエチレン酢酸メチルから製造することができる。好ましいのは、５０％Ｅ ＭＡ、４３％ＥＶＡおよび残り白色着色剤から製造されたフィルムである。 あるいはまた、バリアー層は液体に対して不透過性であるがガス透過性である 不織クロスであってもよい。吸収層に滲出液を残留させかつ臭吸着層に滲出液が 迅速に移動するのを妨げる利点は臭吸着のための最大自由表面積が保持され、そ のために包帯剤がより長い間その臭吸着性を維持することにあるものと考えられ る。 臭吸着層は好ましくは木炭クロス例えば１２０ｇｓｍでＣｈａｒｃｏａｌ Ｃ ｌｏｔｈ Ｃｏｍｐａｎｙ製造のクロスである。臭吸着層はまた木炭コーティン グされた材例えばＬａｎｔｏｒ製造のものであってもよい。 〔図面の簡単な説明〕 本発明の好ましい実施態様を添付図面を参照して実施例によって記述する。図 面において： 図１は本発明による多層創傷包帯剤の概略図であり； 図２は線Ａ−Ａに沿ってみた図１の包帯剤の横断面図であり； 図３は本発明による代わりの態様の多層創傷包帯剤の概略図であり；そして 図４は線Ｂ−Ｂに沿ってみた図３の包帯剤の横断面図である。 図面の図１を参照すると、多層創傷包帯剤は吸収層（２）、バリアー層（４） および臭吸着層（６）からなる。吸収層は、ＣＶ Ｌａｂｏｒａｔｏｒｉｅｓ ＬｔｄのＥＰ４３３５４またはＥＰ４７６７５６に記載されたタイプであって、 製品ＫＡＬＴＯＳＴＡＴ（ＣｏｎｖａＴｅｃから販売）で繊維状包帯剤として市 販されているカルシウム／ナトリウム アルギン酸塩ファイバーの７０／３０ブ レンドおよびＣｏｕｒｔａｕｌｄｓのＷＯ９３／１２２７５に記載されたタイプ であって、製品ＡＱＵＡＣＥＬ（ＣｏｎｖａＴｅｃから販売）で繊維状包帯剤と して市販されているセルロースファイバーから製造される。バリアー層は創傷か ら滲出液を移動し去るのを防止するように配向されているワンウエー吸上を有す るエチレン酢酸ビニルフィルム（ＦＬＥＸＩＦＩＬＭ，Ｔｒｅｄｅｇａｒから販 売）である。臭吸着層は木炭クロス（Ｃｈａｒｃｏａｌ Ｃｌｏｔｈ Ｃｏｍｐ ａｎｙから販売）である。 図３は本発明の代わりの実施態様を示し、この態様では、包帯剤は図１に記載 の如く吸収層（２）、バリアー層（４）および臭吸着層（６）からなり、そして カムフラージ層（８）〔８８．６％ビスコースおよび１１．４％Ｄａｎａｋｌｏ ｎのミックス中のＤＡＮＡＫＬＯＮ−ＰＨＩＬ（登録商標）とビスコースとのブ レンドから製造され、そして緩衝性を付与し、また包帯剤で目に見える木炭クロ スの黒さを防止する〕およびそれ以上のバリアー層（１０）〔低い方のバリアー 層（４）が防止し損ねたときの滲出液の滲み通りを防止する〕を伴っている。 包帯剤を創傷例えは潰瘍上にのせて、吸収層を創傷と接触させる。 本発明による創傷包帯剤ば既知の包帯剤よりもさらに吸収性であり、さらに快 適であり、またさらに長い使用時間を提供する。 本発明の好ましい実施態様を以下の実施例で説明する。 実施例１ 本発明による多層包帯剤（包帯剤Ａ）は、種々の層を互いの上部に図３に示し た本発明の実施態様に記載した如く配置し、そしてこれらを一緒にシールするこ とによって製造した。第二の包帯剤（包帯剤Ｂ）をバリアー層を逆にする以外は 包帯剤Ａと同様にして製造した。両者の包帯剤の１０ｃｍ×１０ｃｍ寸法のサン プルを、吸収層を吸収材（ＬＹＯＦＯＡＭ）と接触するように配置し、吸収材そ れ自体は流速３０．４ｍｌ／時まで補充している溶液Ａ（１４２ミリモル／ＬＮ ａイオンおよび２．５ミリモル／Ｌ Ｃａイオンの溶液）の溜めと接触している ことによる促進試験で評価した。各々の包帯剤に２．７２ｋｇの荷重をかけて、 イン・ビボでの加圧条件にシミュレーションさせた。滲出液の包帯剤の上方の表 面への滲み通りの時間および包帯剤の五つのサンプルの各々の液体吸収量を測定 した。 これらの結果から、バリアー層のワンウエー吸上もしくは「方向性」（ｄｉｒ ｅｃｔｉｏｎａｌｉｔｙ）が実証される。包帯剤Ａの液体吸収量がより大きいこ とは、吸収に当たってのバリアー層の有効な使用による利点を示している。 実施例２ 本発明による包帯剤の臭吸着性を、実施例１からの包帯剤Ａ、悪臭を伴う創傷 に使用するための市販の包帯剤ＡＣＴＩＳＯＲＢおよび比較対照を標準の臭源と 接触させ、そして包帯剤を透過する臭のレベルを主観的に評価することによって 評価した。これは足の潰瘍からスワブを採取し、そしてセラミックビーズに採集 した細菌を増殖させることによって行った。セラミックビーズの一個を蒸煮肉ブ イヨンに入れてさらなる増殖を促進させ、そしてビーズの残りはさらなる培養物 を生成させるためにとっておいた。次に、ブロスの標準容量をジャー（Ｐａｙｎ ｅ Ｃｕｐタイプ）に入れ、その開口部を包帯剤Ａ、ＡＣＴＩＳＯＲＢまたは臭 吸着層を有していない包帯剤Ａのサンプルで閉じ、そして各々のサンプルをブロ スから最も隔たった側でＯＰＳＩＴＥ（ビニルエーテル接着剤の層でコーティン グしたポリウレタンフィルム包帯剤、Ｓｍｉｔｈ ａｎｄ Ｎｅｐｈｅｗから販 売）の層で被覆してジャーの反転の間ブロスが漏出するのを防止した。これはサ ンプルの上にかけたＯ−リングで確実なものとした。次に、７人〜１１名の試験 者のパネルが各ジャーを臭をかいで、時間零（Ｔ₀）について０（低）と５（高 ）との間の臭レベルのスコアを主観で付与した。次に、ジャーを反転し、そして 臭をかぐ試験を５時間の間１時間毎に、そして２４時間で繰り返して行った。次 に、各サンプルのスコアを平均した。試験を数日後に繰り返して行った。 これらの結果から、本発明による包帯剤Ａは比較対照または悪臭を伴う創傷で 使用することが企図されている市販の包帯剤よりもさらに臭を一貫して吸着する ことが示されている。 実施例３ 本発明による包帯剤に使用するための吸収層はファイバーを約５０ｍｍのステ ープル長さに切断することによって製造した。アルギン酸ファイバーはＣＶ Ｌ ａｂｏｒａｔｏｒｉｅｓ ＬｔｄのＥＰ４３３５４またはＥＰ４７６７５６に記 載され、かつ製品ＫＡＬＴＯＳＴＡＴｅｘ ＣｏｎｖａＴｅｃで繊維包帯剤とし て販売されているタイプであり、またセルロースファイバーはＣｏｕｒｔａｕｌ ｄｓのＷＯ９３／１２２７５に記載され、かつ製品ＡＱＶＡＣＥＬ（Ｃｏｎｖａ Ｔｅｃから販売）で繊維包帯剤として販売されているタイプであった。次に、フ ァイバーを別個に秤量し、クリンプ加工した。次に、ファイバーを開放材中に７ ０％アルギン酸ファイバー対３０％変性セルロースの比率で供給して開放混合フ ァイバーを製造した。次に、混合物をカーディング材に送出するようにセットさ れた送出装置のホッパーに混合物を供給して、その結果として混合物から７０〜 ２４０ｇｓｍの密度範囲でカーディングされたウェブが生成した。カーディング 材からファィバーウェブを取り出し、そして、ニードルパンチし、巻取する前に 、クロス下巻きした。得られた製品は感触がソフトであって、良好な保全性を有 するファイバーの均質なブレンドであった。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ビショップ，ステフェン エム イギリス国 フリントシャー シーエイチ ５ ４ジーティ ジーサイド コナース クエイ トレオス クロス ７

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．創傷滲出液を吸収するための繊維吸収層、バリアー層および臭吸着層からな り、前記バリアー層が吸収層と臭吸着層との間に位置している多層包帯剤。 ２．バリアー層が液体に対して実質的に不透過性であるが、ガス通過性である請 求の範囲１項記載の多層包帯剤。 ３．バリアー層が、滲出液が臭吸着層へ移動するのを妨げるように配向された真 空穿孔フィルムである請求の範囲１または２項記載の多層包帯剤。 ４．繊維層が生分解性ファイバーからなる請求の範囲１〜３項のいずれかの項記 載の多層包帯剤。 ５．繊維層がアルギン酸塩、ビスコース、変性セルロース、セルロース、ポリエ ステル、ポリプロピレンおよびそのコポリマー、ペクチン、キトサンファイバー 、ヒアルロン酸ファイバーまたはその他の多糖ファイバーもしくはゴムから誘導 されたファイバーからなる群から選択されるファイバーからなる請求の範囲１〜 ４項のいずれかの項記載の多層包帯剤。 ６．繊維層が吸収性の高いファイバーからなる請求の範囲１〜５項のいずれかの 項記載の多層包帯剤。 ７．創傷滲出液を吸収するための繊維吸収剤、バリアー層および臭吸着層からな り、前記バリアー層が吸収層と臭吸着層との間に位置し、そして真空穿孔された ポリマーフィルムである多層包帯剤。 ８．繊維層が変性セルロースファイバーとアルギン酸ファイバーとのブレンドか らなり、前記ファイバーがファイバーｇ当り水少なくとも２５ｇの吸収性を有す る請求の範囲１〜７項のいずれかの項記載の多層包帯剤。 ９．包帯剤を創傷と直接接触するように配置することによる創傷治療のための請 求の範囲１〜８項のいずれかの項記載の多層包帯剤の使用。