JP2000515917A - 少くとも三つの金属を含む混合有機金属組成物、及び燃料添加剤としてのその使用法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 この組成物は少くとも三つの金属（Ｍ₁，Ｍ₂とＭ₃）を含み、第一の金属（Ｍ₁）は少くとも鉄グループ又はマンガングループに属する金属、好ましくは鉄、マンガン、コバルト又はニッケルから選ばれる金属からなり、第二の金属（Ｍ₂）は少くとも希土類グループに属する金属、好ましくはセリウム、ランタン、ネオジム又はプラセオジムから選ばれる金属からなり、第三の金属（Ｍ₃）はアルカリ又はアルカリ土類グループから選ばれ、好ましくはバリウム、ストロンチウム、カルシウム又はリチウムから選ばれる金属である。金属Ｍ₃／Ｍ₂の質量含有量の比（Ｒ）は０．１５以上、好ましくは１．５以上である。

Description

【発明の詳細な説明】 少くとも三つの金属を含む混合有機金属組成物、 及び燃料添加剤としてのその使用法 本発明は夫々マンガン又は鉄グループ、希土類グループ、及びアルカリ又はア ルカリ土類グループに属する少くとも三つの金属を含む混合有機金属組成物に関 する。本発明はまた重油（fioul）又は軽油（gazole）の如き液体炭化水素燃料 の燃焼添加剤としてこれら有機金属組成物を使用することに関する。 例えば燃料の燃焼を容易にしたり改良するために液体炭化水素燃料の燃焼用添 加剤として有機金属又は有機メタロイド錯塩を用いることは公知である。かかる 添加剤は例えば有機酸（炭素原子７以上を有する脂肪酸）と鉄（ＦＲ−Ａ−２１ ７２７９７参照）、又はマンガン（ＦＲ−Ａ−２４８６０８３参照）、又は希土 類、特にセリウム（ＦＲ−Ａ−２３５９１９２参照）から得られる錯塩からなる ものである。出願人は鉄とセリウムからなる混合燃焼添加剤を提案した（ＥＰ− Ａ−１１２２１９参照）。 特に重油の燃焼におけるこれらの添加剤の作用機構は比較的よく知られている ようである。添加剤中に含まれる金属酸化物は重油中に常に存在するアスファル テン上に吸着され、金属酸化物はアスファルテンの燃焼に触媒効果を有しており 、かくて燃焼の間に発生する固体不燃物の量を減少させる。 希土類元素をベースとする化合物の利用はやはりこれら化合物の希少なるが故 に高価である。これらの費用を軽減するために置換された多数の有機金属化合物 が出願人によって研究、実験されたが大きな成功には至らなかった。 しかしながら、全く驚くべきことに、アルカリ又はアルカリ土類の型の第三の 金属を付加させることによって希土類元素の含量をかなり減少させるばかりでな く、添加剤の質をかなり改良しうることが見出された。 かくて出願人は驚くべき方法で鉄とセリウムの側に第三の元素を付加すること によって環境、特に都市の環境に関する燃焼の質（この燃焼の質は益々厳しい規 制を受けている）を改良するばかりでなく、添加剤の費用を軽減し得ることを確 立した。 かくて本発明は少くとも３つの金属を含む混合有機金属組成物を提供すること を目的とするものであり、その燃焼を補助する有効性は同種金属の全含有量に対 する鉄と希土類元素の塩の混合物に少くとも等しく、その費用は希土類元素の含 量の低下の故に同種の塩に比してかなり減少させることができる。 本発明はかくて少くとも３つの金属Ｍ₁，Ｍ₂とＭ₃の有機酸の塩を含み、 −第一の金属、Ｍ₁、は鉄グループか又はマンガングループに属する少くとも １つの金属、好ましくは鉄、マンガン、コバルト又はニッケルの間から選ばれる 金属からなり、 −第二の金属、Ｍ₂、は希土類グループに属する少くとも１つの金属、好まし くはセリウム、ランタン、ネオジム又はプラセオジムの間から選ばれる金属から なり、 −第三の金属、Ｍ₃、はアルカリ又はアルカリ土類グループから選ばれ、好ま しくは、バリウム、ストロンチウム、カルシウム又はリチウムの間から選ばれる 金属であり、 そして金属Ｍ₃／Ｍ₂の質量含有量の比Ｒが０．１５以上、好ましくは１．５以 上であることを特徴とする、混合有機金属組成物を提供することを目的とするも のである。 実際、アルカリ又はアルカリ土類グループに属する第三の元素を組成物に加え ることにより、意外にも、一方では添加剤中の希土類元素の含有量を、他方では 前記組成物を添加剤として含む重油の燃焼中に生ずる固体不燃物の量のレベルを 減少させうることが確認された。更に、組成物中の同種金属の全含有量に対して 、この組成物中にカルシウムを用いることにより、必要な希土類元素の量をそれ だけ減少せしめ、かくして添加剤の費用を低下させることができる。 本発明の目的を定義するに関連して、鉄又はマンガングループの中から選ばれ る金属Ｍ₁としてはその費用が高くない理由で鉄が好ましい。これは単独で、又 はマンガン、コバルト又はニッケルと混合して用いられる。 同様に、希土類グループの金属Ｍ₂は好ましくはセリウムである。これは単独 で、又はランタン、ネオジム又はプラセオジムと混合して用いられる。 アルカリ又はアルカリ土類グループに属する金属Ｍ₃として好ましい元素はカ ルシウムであり、これは単独で、又はリチウム、ストロンチウム又はバリウムと 混合して用いられる。 鉄又はマンガングループと希土類グループの有機金属誘導体は従来技術に記載 された方法によって、特に出願人の名において出願された欧州特許ＥＰ−Ｂ−１ １２２１９に記載された方法によって調製することができ、かくして非常に強く 金属が濃縮され、非常に大きく通常の化学量論的値を超える溶液を得ることがで きる。 カルシウムを含む溶液は酸化物又は水酸化物と、好ましくは炭素原子７以上を 含む脂肪酸の水溶性塩から得られる。他の有機酸は例えば、アルキル−、アリー ル−、又はアルキルアリールスルホン酸と好ましくは８以上の炭素原子を含むア ルキルアリール鎖を有するカルボン酸として用いることができる。 それから最終組成物は、好ましくは、有機芳香族溶媒、そしてその芳香族化合 物の含量が５０％以上、好ましくは８０％以上である有機溶媒中の特に鉄、セリ ウム及びカルシウムの溶液の混合によって得ることができる。得られる生成物は 室温で安定で流動性であり、非常に容易に用いることができる。 本発明による組成物は、好ましくは、金属の全重量に対して３０重量％又はそ れ以上の含有量の鉄、又はマンガングループの金属Ｍ₁と１０重量％又はそれ以 上の含有量の希土類元素Ｍ₂を含んでいる。アルカリ又はアルカリ土類グループ に属する金属Ｍ₃の含有量は、０．１５以上、好ましくは１．５以上でなくては ならない金属Ｍ₃とＭ₂の質量含有量の比Ｒによる希土類Ｍ₂の含有量に直接依存 する。 これらの組成物は炭化水素に可溶性であり、その結果、重質、軽質又は国内重 油残渣や軽油などの液状炭化水素燃料中に、この燃料が添加金属１０〜１００ｐ ｐｍ、好ましくは、４０〜１００ｐｐｍ含有するように、適当な割合で添加され る。 かかる添加剤を上記の量で燃料中に使用することによって固体不燃物の発生を 減少させ、そしてパワーの規制を守ることができる。同様にこの添加剤は従来の 条件下よりも少ない過剰量の空気で加熱設備の機能を与えることができ、かくて 三元金属添加剤は窒素酸化物の発生を間接的に減少させることができる。 燃焼装置の能率は、 −より少ない過剰量の空気の機能、 −固体不燃物による煙による損失の減少、 −交換表面のすすの少ないこと、 によって改善される。 最後に開発の費用は、煙突掃除、機械掃除の作業、特に、例えば塵埃除去によ って集められた煤の排出の作業の間隔を長くすることによって、少くなるであろ う。 以下の例は本発明を説明するものであるが、これに限定しようとするものでは ない。 この例においては添付図面が参照される。第１図と第２図はこの例に記載され る条件で実施されるテストの結果を示すグラフである。例 同じ液体燃料を次々にボイラーに供給する。最初のテスト（テストＡ）では添 加剤なしで行ない、次いで出願人の名前で出願されたＥＰ−Ｂ−１１２２１９に 記載された如き少くとも二つの金属（鉄とセリウム）を含む組成物を添加して行 ない（テストＢ）、最後に本発明による三元金属添加剤を添加して行なう（テス トＣ）。 液体燃料中への添加剤の注入は加熱器のレベルにあるポンプを介して行なわれ る。燃料中に導入される添加剤の量は燃料中の添加剤によって供給された金属の 全含有量が（燃料と添加剤の合計重量に対して表わして）４０ｐｐｍになるよう なものである。 各テストは煙中の酸素、約３％〜約１．５％で変動する三つの水準の過剰量の 空気の下で行なわれる。 ボイラーは煙−熱水の管のタイプのものであり、以下の特性を有している。 −公称出力：７０００ｔｈ／ｈ −炉の直径：１２００ｍｍ −炉の長さ：４９２０ｍｍ −バーナー：公称燃料の流量５５０ｋｇ／ｈ、拡散角度７０℃、空気によって 実施される噴霧６×１０⁵Ｐａ（６バール）。 各テストで用いられた液体燃料は重質重油であり、その主な物理・化学的特性 を第１表に示す。この表において、％はすべて質量で表わされる。第１表 重油の特性 操作条件は三つのテストでほぼ同一であり、第２表に示される。第２表 操作条件 各テスト毎にまた各燃焼空気過剰の三つの価の毎に、燃焼の間に生成する固体 不燃物の重量測定と等動力学的照合、並びに燃焼ガスの分析を行なう。測定の必 要のため、不燃物は、約５ｍの高さの安定化された排出領域内の煙突で採取され る。 これらの測定又は分析は二つの添加剤各々の注入開始後少くとも１時間実施さ れる。ボイラーは各テストの間添加剤なしで少くとも１時間燃料が供給される。 測定と分析の結果を第３表に示す。第３表 不燃物の測定と燃焼ガスの分析 添付図面の第１図は各三つのテストの時に生成する固体不燃物の量（３％のＯ₂ におけるｍｇ／Ｎｍ³）の変動を燃料の酸素含有量（％）の関数として示すグラ フである。 同様に第２図は測定された窒素酸化物（３％のＯ₂におけるｍｇ／Ｎｍ³）の変 動を燃焼の間に生成する不燃物の関数として示すグラフである。 第１図において、一定の酸素含有量の下では燃料の重油中の添加剤の存在は燃 焼の間に生成する不燃物の量をかなり減少させることがみられる。 ４０ｐｐｍの含有量で重油中に存在する、本発明の目的たる三元金属添加剤（ テストＣ）は、 −煙中の酸素含有量が１．５％〜３．０％とかなり変動するとき、不燃物の量 を添加剤のない（テストＡ）同じ重油のときに比べて約３０％乃至約３５％減少 させることができる。この不燃物の減少は二元金属添加剤（テストＢ）のときは 約２０％である。 −その組成がＥＰ−Ｂ−１１２２１９中に記載されている二元金属添加剤で得 られた性能を約５０％改良することができる。 更に、第１図において固体不燃物の量の目標が同じとき、三元金属添加剤を存 在させることによりボイラーの機能をより少ない過剰量の空気で可能ならしめる ことができることがみられる。 燃焼の時に生ずる窒素酸化物の量はその燃焼の空気の過剰量に比例するが、本 発明の目的たる三元金属添加剤は本発明の目的たる組成物が添加された重油の燃 焼の時に発生する窒素酸化物の量を間接的に減少させる。 これは第２図からみられる。第２図は固体不燃物の含量が同じとき、三元金属 添加剤を使う（テストＣ）と添加剤を用いない同じ重油の燃焼の場合に比して窒 素酸化物の発生が約１０％減少させ得ることを示している。 更に、三元金属添加剤は高価な手段や複雑な掃除機にたよることなく不燃物の 発生をごく低い値（３％のＯ₂において５０〜１００ｍｇ／Ｎｍ³）に制限するこ とができる。 本発明の目的たる三元金属添加剤の使用は固体不燃物の発生と窒素酸化物の発 生の間によりよい妥協をもたらすことができる。 かくして燃焼設備の効率が、 −過剰空気の減少、従って燃焼中に生ずる窒素酸化物の減少、 −固体不燃物の減少による煙による損失の減少、 −交換表面のすすによる汚染の減少 によって改善される。 更に同様に開発の費用は、煙突掃除、機械掃除の作業、例えば塵埃除去によっ て集められた煤の排出の作業の数の減少によって減少するであろう。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジャン、ペイロ フランス国ル、アーブル、リュ、デ、ゴブ ラン、25 (72)発明者 ギ、ブリセ フランス国サン―ジュスト、リュ、デ、シ テル、16 (72)発明者 ジェラール、ブリアール フランス国ベルノン、アブニュ、モンゴメ リ、25

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １． 少くとも三つの金属Ｍ₁、Ｍ₂とＭ₃の有機酸の塩を含み、 −第一の金属、Ｍ₁、は少くとも鉄グループ又はマンガングループに属する金 属、好ましくは鉄、マンガン、コバルト又はニッケルの間から選ばれる金属から なり、 −第二の金属、Ｍ₂、は少くとも希土類グループに属する金属、好ましくはセ リウム、ランタン、ネオジム又はプラセオジムの間から選ばれる金属からなり、 −第三の金属、Ｍ₃、はアルカリ又はアルカリ土類グループの間で選ばれ、好 ましくはバリウム、ストロンチウム、カルシウム又はリチウムの間から選ばれる 金属であり、 そして金属Ｍ₃／Ｍ₂の質量含有量の比Ｒが０．１５以上、好ましくは１．５以 上であることを特徴とする混合有機金属組成物。 ２． 元素Ｍ₁は鉄であることを特徴とする請求項１記載の組成物。 ３． 元素Ｍ₂はセリウムであることを特徴とする請求項１又は２記載の組成 物。 ４． 元素Ｍ₃はカルシウムであることを特徴とする請求項１〜３のいずれか に記載の組成物。 ５． 金属の全重量に対して、少くとも３０重量％の金属Ｍ₁と少くとも１０ 重量％の金属Ｍ₂を含むことを特徴とする請求項１〜４のいずれかに記載の組成 物。 ６． 有機酸は炭素原子７以上を有する脂肪酸からなるグループから選ばれる ことを特徴とする請求項１〜５のいずれかに記載の組成物。 ７． 前記有機酸の塩は、アルキル、アリール、又はアルキルアリールスルホ ン酸の塩又は炭素原子８以上のアルキルアリール鎖を有するカルボン酸の塩であ ることを特徴とする請求項６記載の組成物。 ８． 前記有機酸の塩は、好ましくは芳香族型の、有機溶媒に希釈されること を特徴とする請求項１〜７のいずれかに記載の組成物。 ９． 有機溶媒の芳香族分子の含有量は５０重量％以上、好ましくは８０重量 ％以上であることを特徴とする、請求項８に記載の組成物。 １０． 炭化水素燃料の添加剤としての、請求項１〜９記載のいずれかの組成 物の使用法。 １１． 組成物は、炭化水素燃料中で１０ｐｐｍ以上、好ましくは４０ｐｐｍ 以上の、添加される全金属濃度で、用いられることを特徴とする請求項１０記載 の使用法。