【発明の詳細な説明】
血液試料を検査する方法およびシステム発明の分野
本発明は、広くは、ウイルス汚染された提供体(donation)をユニークに識別
すべく、血漿提供体(plasma donation)から採取された試料を作りかつ分析する
システムおよび方法に関し、より詳しくは、提供体内に収容されたものと同じ血
漿を収容するチューブセグメントから、別々にシールされかつ連結された個々の
試料収容袋(sample-containing pouches)を形成する装置および方法に関する。
また、本発明は、袋から最初のスクリーニング検査プールを形成し、ウイルスの
存在についてプールを検査し、次に、汚染された個々の提供体を識別するため選
択されたサブプールのみを検査する方法に関する。発明の背景
血液、血漿および生物学的流体の提供プログラムは、生命の質を高めかつ種々
の負傷状況での救命に使用される医薬品および血液製品の製造における本質的な
第1段階である。血液、血漿および生物学的流体の治療への使用は、これらの物
質の提供体ができる限りウイルス汚染されていないことを必要とする。一般に、
個々の血液、血漿または他の流体提供体からの血清学的検査試料は、C型肝炎ウ
イルス(HCV)および2つの形態のヒト免疫不全ウイルス(HIV−1および
HIV−2)のような特定ウイルスに反応して誘発(elicit)される種々の抗体
が検査される。また、血清学的検査試料は、B型肝炎ウイルス(HBV)等の特
定ウイルスおよびこれらのウイルスに反応して誘発される抗体に指定される抗原
を検査できる。試料が、いずれかの特定抗体または抗原の存在について血清学的
に陽性であるときは、当該提供体はこれ以上の使用から排除される。
これに対し、B型肝炎ウイルスのような或るウイルスについての抗原検査は感
染力との厳格な相互関係を有すると考えられるが、抗体検査はそうではない。或
るウイルスに関する抗体についての血清学的検査が陰性であっても、血漿のドナ
ー(提供者)が、実際に当該ウイルスに感染していることがあることは長い間知
られている。例えば、ドナーがウイルスに感染した時点と、当該ウイルスに反応
して誘発された抗体がドナーの器官系に現れる時点との間にはウインドウ(時間
)が存在する。血液中にウイルスが最初に発生する時点と、当該ウイルスに反応
して誘発される検出可能な抗体が存在する時点との間の時間は、「ウインドウ時
間(window period)」として知られている。HIVの場合には、平均ウインドウ
時間は約22日であり、一方、HCVの場合には、平均ウインドウ時間は約98
日であると見積もられている。従って、抗体の検出を目指す検査が、ウインドウ
時間中(すなわち、ウイルス感染と抗体の発生との間の時間中)に行なわれるな
らば、この検査は、感染ドナーについて誤った表示をするであろう。また、HB
Vについての慣用的検査として、抗体および抗原の両方の検査があるが、より高
感度な方法による検査では、HBV抗原検査において陰性であった試料中にHB
Vウイルスの存在を確認している。
提供体が初期ウイルス汚染されていないことを一層確かなものとするための、
利用可能な抗体および抗原検査を経た提供体を検査する1つの方法として、ポリ
メラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction:PCR)法による提供体検査法
がある。PCRは、ウイルスゲノムを増殖することにより、生物学的物質中の関
心をもつウイルスに関する特定DNA配列またはRNA配列の存在を検出する高
感度な方法である。PCR検査はウイルス自体の本質的成分の存在を検出するこ
とに関するものであるため、ドナーにおけるその存在は殆ど感染の直後であると
考えられる。従って、検査が、感染していないという誤った表示を与えるウイン
ドウ時間は理論上存在しない。米国特許第5,176,995号には、PCR検査の方法
論および実際の適用についての適当な説明がなされており、該米国特許の開示は
本願に援用する。
しかしながら、PCR検査は非常に費用がかかり、かつ一般に、PCR陽性ド
ナー集団は比較的少数であるので、各提供体を個々に検査することはコスト有効
性がなく、すなわち経済的に適したものではない。従って、所定レベル以上にウ
イルス汚染されたユニットをなくすための、多数の血液提供体または血漿提供体
を血漿提供体する効率的かつコスト有効性に優れた方法が要望されている。
多数の血漿提供体を検査する1つの方法は、個々の多数の血漿提供体をプール
することである。次にプールが検査され、プールからなる個々の提供体は、PCR
検査の結果に基づいて保有されるか廃棄される。この方法は、PCR検査の数、
従って検査に付随するコストを減少できるが、ウイルスが存在しない多くの提供
体をも廃棄してしまうことになる。所定レベル以上にウイルス汚染された単一の
提供体のみが、プールをPCR陽性として検査するので、プールに寄与する残余
の個々の提供体は充分にPCR陰性であろう。この結果は、全ドナー集団のうち
PCR陽性ドナーは比較的少数である可能性が高いことを意味する。慣用的なプ
ーリングアプローチでは、プールを構成する全ての提供体(個別的にはPCR陰
性である提供体を含む)がPCR陽性であると判断され易い。
また、血漿提供体は、しばしば、これらが受け入れられた後、直ぐに冷凍され
る。個々の血漿提供体の試料をプールする必要があるときは、各提供体を解凍し
なければならず、次に、提供体から取り出された血液または血漿のアリコートお
よび提供体は保存のために冷凍されなくてはならない。多冷凍−解凍サイクルは
、対象とするRNAまたはDNA並びに血漿内に含まれているタンパク質の回収
に悪影響を与え、従って、PCR検査の一貫性にも悪影響を与える。また、個々
の血漿提供体のアリコートがプールから取り出される度毎に、提供体は、周囲環
境およびアリコートの取出しに使用される装置の両方から汚染を受ける。提供体
がウイルスを含んでいるときは、ウイルスが他の提供体を汚染することがある。
ウイルス汚染されていない提供体中にウイルス汚染物質が導入されることを防止
するためには、試料取出し装置を、使用する度毎に装置を殺菌するか、単一の個
々の提供体から単一アリコートのみを取り出すのに使用するか、新しい試料取出
し装置を使用して連続する個々の提供体からアリコートを取り出さなくてはなら
ない。これらのいずれの方法も、かなり費用が嵩みかつ非常に時間を要する作業
である。
従って、残余の試料を汚染することなく特定試料をプールされるように、個々
の提供体から多数の血液試料または血漿試料を得ることができる方法およびシス
テムが要望されている。また、これらの方法およびシステムが、効率的かつコス
ト有効性をもって血液提供体または血漿提供体を検査して、PCR陽性提供体の
みをユニークに識別できることも要望されている。発明の要約
従って、本発明により、多数の血液または血漿提供体から試料を作りかつ検査
して、ウイルスに感染した提供体をユニークに識別するコスト有効性に優れかつ
効率的な方法、および該方法を実施するシステムおよび装置が提供される。
本発明の方法は、血液または血漿提供体のウイルス汚染を直接容易に検査でき
るため、非常に安全に血液または血漿製品を作ることができる。感染力ウインド
ウ時間を考慮することなく、コスト有効性に優れた高感度検査を直ちに遂行でき
かつ汚染された提供体を識別できる。
本発明の一実施形態では、本発明の方法は、収集容器内の血液または血漿提供
体を用意する段階を有する。収集容器には可撓性中空チューブが連結され、チュ
ーブは容器の内部に開口される。チューブセグメントは収集容器からの血液また
は血漿で充満され、チューブセグメントの一部はその両端部がシールされる。チ
ューブセグメントのシールされた部分は、シールされたチューブセグメント部分
が容器から取り出される前または後に、容器から取り出される。シールされた端
部間のチューブセグメントの長さ方向に沿って互いに間隔を隔てて複数のシール
が設けられる。隣接シール間の間隔をなすセグメント部分は袋を形成し、各袋が
血液または血漿試料を収容し、シール間の間隔は、計画的検査を行なうのに充分
な体積を袋に付与する。
本発明のより詳細な実施形態では、個々の血漿提供体は血漿収集ボトル内に収
集され、血漿収集ボトルは、可撓性中空チューブセグメントにより該ボトルに連
結された検査容器を備えている。ドナーの血漿が充満された後、血漿ボトルを傾
けて、血漿を検査容器および可撓性チューブセグメントに搬送し、これによりチ
ューブセグメントを充満する。チューブセグメントはその長さ方向に沿う所定間
隔でシールされ、シール間のチューブセグメント部分は袋を形成し、各袋は血漿
提供体の試料を収容する。一連の袋に変換されたチューブセグメントは、次に、
血漿収集ボトルから取り外されて、検査を必要とするまで冷凍される。
本発明の他の態様では、血液または血漿提供体が充満されるプラスチックのチ
ューブセグメントの長さ方向に沿って多数の熱シールを設けるための、第1およ
び第2の対向シールプラテンを有する装置が提供される。各シールプラテンには
、該プラテンの長さ方向に沿う複数の互いに間隔を隔てた隆起部と、凹部とが交
互に設けられている。第1プラテンの隆起部および凹部は、第2プラテンの対応
する隆起部および凹部と整合している。対向シールプラテンは、血液または血漿
提供体が充満されるプラスチックのチューブセグメント上で一体化するように移
動され、プラテンの隆起部の間で圧縮されるチューブの部分にシールを形成しか
つ対向する凹部により形成されるチャンバを形成する。熱シールは、これらの間
に複数の個々の連続袋を形成し、閉じられた対をなす凹部により形成される各チ
ャンバが前記袋の1つを収容するように構成されている。
本発明の更に別の態様では、血漿試料を収集しかつ検査のための前記試料を作
るシステムが、血漿収集容器と、該容器に連結された中空プラスチックチューブ
とを有している。これらの各々はプラスチックで形成されかつコード化された標
識がプラスチックに鋳込まれており、コード化された標識は所定間隔で反復し、
チューブセグメントには、その長さ方向に沿って互いに間隔を隔てた複数のシー
ルが設けられ、これにより該シール間に袋が形成されている。標識のコード間隔
は袋の間隔に一致し、これにより各袋は少なくとも1サイクルのコードを有して
いる。
本発明の検査方法を開始するため、第1袋が、複数の別々の血漿提供体に対応
する一群の各チューブセグメントから取り出される。このような各第1袋の内容
物の一部が引き出され、内容物は容器内のプールとして形成される。
本発明の例示の実施形態では、第1プールがウイルス表示(viral indication
)について検査される。第1プールの検査によりウイルス表示が陽性を呈すると
きは、次の(すなわち、第2の)連続袋が、第1プールの形成に使用された各チ
ューブセグメントから取り出される。第2袋は2つのほぼ等しいサブグループに
分割され、サブグループプールの1つの内容物が、特定ウイルスの存在について
検査される。検査されたサブグループがウイルスについて陰性を呈するときは、
更に連続する袋が、未検査のサブグループの形成に使用された対応するチューブ
セグメントから取り出される。袋2つのほぼ等しい次の世代のサブグループに分
割され、サブグループの袋の内容物がプールとして形成される。次の世代のサブ
グ
ループプールの1つは、ウイルス表示について検査される。
検査されたサブグループプールの検査によりこのようなウイルス表示について
陽性を呈するときは、検査されたサブグループの形成に使用された対応するチュ
ーブセグメントから袋が取り出される。このプロセスは、各陽性プールが連続的
に小さくなるサブグループへと更に細分されることにより反復される。連続する
各サブグループは、単一の血漿提供体に一致する最終袋が識別されるまで、先行
の陽性サブグループの微小量の試料を有する。図面の簡単な説明
本発明の上記および他の特徴、長所および利点は、以下に述べる詳細な説明、
請求の範囲の記載および添付図面を参照することにより一層完全に理解されよう
。
第1図は、本発明の実施に有効なチューブセグメントにより取り付けられる血
漿提供体ボトルおよび試料容器の一例を示す概略斜視図である。
第2図は、血漿提供体ボトルと試料容器との間に連結されかつ本発明に従って
袋に分割されたチューブセグメントを示す概略斜視図である。
第3a図は、第2図に示したチューブセグメントの一部を示す平面図であり、
袋を分離するシールの更なる細部を示すものである。
第3b図は、チューブセグメントシールを示す概略断面図である。
第4図は、チューブを個々の袋にシールする本発明の装置を示す概略断面図で
ある。
第5図は、本発明によるサンプリングプレートおよびカバーを示す概略斜視図
である。
第6図は、本発明により得られるサンプリングプレートの試料内に収容された
血漿袋を示す概略部分断面図である。
第7図は、提供体プールからPCR陽性ドナーを決定するための本発明による
検査方法を示すフローチャートである。
第8図は、512個の提供体プールから単一のPCR陽性提供体を識別するた
めの本発明による検査シーケンスを示すフローチャートである。詳細な説明
本発明は、所定レベル以上にウイルス汚染された特定の血液提供体または血漿
提供体を検出するため、血液提供体または血漿提供体を検査するのに有効なシス
テム、方法および装置に関する。この場合、汚染提供体は処分され、これにより
、医薬品用の原料流中への汚染提供体の混入または患者への輸血が防止される。
本発明に従って使用されるウイルス検出検査は、ウイルスに反応して誘発される
抗体の代わりにウイルスを直接検出する任意の検査でよい。これらの検査として
、ポリメラーゼ連鎖反応検査、および多くの提供体からの試料をプールした後で
もウイルスを直接検出することに充分に感応する他の検査がある。
本発明の一実施形態では、複数の別々の血液提供体または血漿提供体が用意さ
れる。血液試料または血漿試料は、各提供体から、対応する可撓性中空チューブ
セグメント内に吸引される。チューブセグメントの長さ方向に沿って、互いに一
定間隔を隔てて複数のシールが設けられ、シール間の間隔内のセグメント部分は
袋を形成し、各袋は、血液試料または血漿試料を収容する。より詳細に後述する
ように、試料がプールに形成された後に袋から血漿試料を検査し、これにより、
ウイルス汚染されたあらゆる血液提供体または血漿提供体を効率的にかつ有効に
検出しかつ隔絶する本発明のユニークな方法が提供される。
第1図には、本発明のサンプリング方法を実施するための、本発明によるシス
テムの例示実施形態が示されている。本発明のシステムは、ポリ塩化ビニル(P
VC)のような非反応性材料で作られた標準血漿提供体容器20を有している。
提供体容器20はキャップ22を有し、該キャップ22は、この頂部に取り付け
られた2つの中空エルボ形フィッティング23、24を有している。フィッティ
ング23、24は、キャップ22に設けられたオリフィスを介して提供体ボトル
の内部と連通している。PVCプラスチックのような生物学的に中性の材料で作
られた可撓性中空フィラーチューブ26は、その一端がエルボフィッティング2
3に連結され、他端が、例えば提供体を採取するためドナーに挿入される針に連
結される。例示の実施形態では、血清学的検査をすべき提供体からの試料を収集
するための検査容器28も設けられている。検査容器28はほぼ検査チューブの
形状を有しかつ生物学的に非反応性の材料で作られている。検査容器28は
一体のキャップ部材30を有し、該キャップ部材30を通って、検査容器28の
内部と連通するためのオリフィスが設けられている。
検査容器28のキャップ部材30と血漿提供体容器のキャップ22の中空エル
ボフィッティング24との間には、生物学的に非反応性のプラスチック材料で作
られた可撓性中空チューブセグメント32が連結されている。チューブセグメン
ト32は、該チューブセグメントを通る流体がキャップ部材30に設けられたオ
リフィスを通って検査容器28に流入するように、キャップ部材30に連結され
る。チューブセグメント32は、前記オリフィス内に摩擦嵌めされるか、超音波
融着されるか、当業者が良く理解できる技術によりオリフィスに対して同心状に
取り付けられる。
キャップ部材30には第2オリフィスを設け、該第2オリフィスには、チュー
ブセグメント32と同様な態様でベントチューブ34が連結されている。一般に
、ベントチューブ34は、1〜2インチ程度の長さを有し、かつ一般に、挿入形
の摩擦嵌めバクテリア排除フィルタ36で終端している。
例示の実施形態では、血液提供体または血液提供体はドナーから吸引されて血
漿提供体容器20内に収集され、必要とされるまで引き続き貯蔵される。血漿提
供体の場合には、一般に血液がドナーから吸引されかつ連続遠心装置に通されて
、ここで赤血球が血漿流体から遠心分離されてドナーに戻される。次に、血漿が
収集される。
ドナーから血漿提供体が取り出されて提供体容器20が充満されると、提供体
容器20を傾斜させ、流体レベルを、チューブセグメント32に連結されたエル
ボフィッティング24より高くする。血漿は、チューブセグメント32に流入し
、チューブセグメントを通って流れかつ検査容器28を充満する。充満中、検査
容器28内に捕捉された空気はベントチューブ34を通って逃散し、検査容器2
8を完全に充満させることができる。バクテリア排除フィルタ36は戻り空気中
のあらゆるバクテリアを濾過し、従って、周囲環境による試料の汚染が防止され
る。検査容器28が充満されると、提供体からの血漿がチューブセグメント32
を充満することができる。
ここで第2図に示すように、提供体からの血漿試料がチューブセグメント32
内に吸引された後、チューブセグメント32は、血漿提供体容器20へのチュー
ブセグメント32の連結部に最も近い位置で、熱融着38または超音波融着等の
他の適当なシール手段によりシールされる。検査容器28へのチューブセグメン
ト32の連結部に最も近い位置で、セグメント32には他の熱シール40が形成
される。かくして、両端が閉じられかつ一定量の血漿提供体を収容した細長い中
空チューブが設けられる。
両シール38、40の中心を通ってチューブセグメント32を切り離すことに
より、チューブセグメント32の充満部分は、血漿提供体容器20および検査容
器28から取り外される。次に、分離された血漿提供体容器20が冷凍および貯
蔵のために取り外され、一方、分離された検査容器28は血清学的検査のために
研究所に送られる。一般に、内容物は、C型肝炎ウイルス(HCV)またはHIV-
1およびHIV−2のような特定ウイルスに反応して誘発された種々の抗体につ
いて検査される。
別のシール42が、チューブセグメント32の長さに沿って互いに間隔を隔て
て設けられ、連続的に独立して連結された袋が形成され、各袋は、中空チューブ
セグメント部分44からなる。各部分44は、特定発生プールを形成する上で必
要とされる特定量を収容する。例えば、PCR検査のために形成すべき袋の場合
には、ホスト提供体から約0.02〜0.5mlの血液または血漿をシールできる。
チューブセグメント32は、5〜15個の個々の連結袋を形成するようにシー
ルされる。袋を形成するためのシーリングは、チューブセグメント32が血漿提
供体容器20と血清学的検査容器28との間から取り外された後に行なうことが
でき、或いはチューブセグメント32が未だ取り付けられている間に行なうこと
もできる。シーリングは、第3a図および第3b図に明瞭に示すように、圧縮さ
れかつシールされた領域の長さが、該シール領域の中央を切断することにより、
相互連結された袋を、該袋の両側で袋の完全性を破壊することなく互いに分離で
きるのに充分な大きさが得られる限り、熱圧縮シーリング(熱シーリング)また
は超音波融着等の任意の既知の方法で行なうことができる。
ここで第3a図および第3b図に示すように、好ましい実施形態では、袋間の
シールが平らなパッド領域46を有し、該パッド領域46は、中央の幅狭部分
47(該幅狭部分47を通って、連結された袋を分離させるべくシールが切断ま
たは引き裂かれる)を備えている。分離された各袋が、分離後に袋の両端の圧縮
タブ部分48でシールされた状態に維持されるように、切断は中央部分47を通
って行なわれる。シールパッドの長さは、選択された分離方法に基づいて、大き
くも小さくもできる。袋の分離は、外科用メス、ギロチンカッタまたは簡単な鋏
を用いて行なうことができる。
第4図には、特別な所望サイズの袋を作るのに有効なシール装置70の例示実
施形態が示されており、該シール装置70は、袋を容易に分離しかつセグメント
に沿う袋の連続個数を識別する手段を有している。シール装置70は互いに対向
する第1および第2プラテン72、74からなり、各プラテンは、その対向面上
で互いに間隔を隔てた関係に配置された、複数の隆起シールヘッド部分78を備
えている。シール装置70は、好ましくは、隆起シールヘッド部分78がそれぞ
れのプラテンに沿って移動し、1つの隆起部分78と他の隆起部分78との間隔
が変えられるように構成するのが好ましい。隆起シールヘッド部分78は、連続
シールヘッド間の距離が徐々に小さくなって、シーリングが、徐々に小さくなる
間隔でチューブセグメント32の長さに沿って遂行されるように、プラテンに沿
って配置される。かくして、対向するシールヘッドをそれぞれのプラテンに沿っ
て所望位置まで移動させることにより、サイズが徐々に小さくなる(従って、内
容物の体積が徐々に小さくなる)試料袋を形成できる。
血液試料または血漿試料が充満されたプラスチックチューブセグメント32の
長さに沿って多数の熱シールを形成するには、チューブセグメント32を、上下
のシーリングプラテン74、72の間でシーリング装置内に置く。対向プラテン
は互いに接近され、これによりチューブセグメントを圧縮しかつシーリングする
。第4図に示すように、各プラテンの長さ方向に沿って間隔を隔てて配置された
複数の隆起シールヘッド部分78は、凹部76と交互に配置されている。隆起シ
ールヘッド部分78同士の間で圧縮された、血液試料または血漿試料が充満され
たプラスチックチューブのこれらの部分に熱シールを形成すべく両対向プラテン
を移動させて一体化すると、対向凹部76によりチャンバが形成される。チャン
バは、圧縮されるべきでなく袋として形成されるべきチューブセグメントの部分
を
収容するために設けられたものである。凹部の各閉鎖対により形成される各チャ
ンバは、袋を収容するように構成されている。
ヒータ82は、シール装置70が閉じられると、対向隆起部分がチューブセグ
メント32に熱シールを形成すべく、プラテンの各シールヘッド部分を加熱する
ように構成されている。ヒータ82は、放射熱ヒータ、誘導ヒータまたは抵抗ヒ
ータ等の良く知られた任意の形式のヒータでよい。ヒータ82は、凹部76を過
度に加熱することがないようにして隆起部分78を加熱すべく、各隆起シールヘ
ッド78に直接連結するのが好ましい。所望ならば、隆起部分と凹部との間の熱
伝達を低減させる断熱材を設けることができる。例示の実施形態では、冷却フィ
ンまたはラジエータフィン、空気流移動装置または冷却フィンガ等の冷却装置8
3をシール装置70に連結することもできる。冷却装置83は、対向凹部が移動
して一体化されるときに形成されるチャンバが低温に維持されるように、各凹部
76に直接連結されている。これにより、シール加工中にチャンバ内で形成され
る袋内に収容された血液試料または血漿試料が、熱シールの高温によってダメー
ジを受けることはない。
シールのほぼ中心を通る幅狭領域(第3a図に参照番号47で示す)は、シー
ルプラテンの突出部分の中央に設けられた細長い隆起部80により形成される。
チューブセグメント32が上下のシールヘッド78の間で押圧されると、隆起部
80がシール部分の上下の面を押圧して凹みを形成する。凹みは、シールの中央
のプラスチック材料を薄くして、プラスチック材料を容易に分離できるようにす
る。
本発明の一実施形態では、隆起部80を鋸歯状にして、チューブセグメントの
主軸線に対して垂直な方向のミシン目が形成されるように構成できる。ミシン目
は、鋭い道具を用いて切断する場合に特有の、試料収容領域まで不意に切断して
しまうことによる袋の完全性を破壊する危険性なくして、連結された個々の袋を
互いに分離すことを可能にする。ミシン目は、シールヘッドに鋸歯を設けること
により、シール加工時に形成するのが好ましい。或いは、ミシン目は、別の穿孔
治具またはダイを使用して、シール加工の直ぐ後に設けることもできる。
両シールプラテンを押し付けて一体化すべくシール装置70を開閉させ、チュ
ーブセグメント32の長さ方向に沿ってシールを形成する手段84も設けられて
いる。このような手段は当該技術分野で良く知られており、一方の支持フレーム
に取り付けられかつ例えばヒンジに対してフレームを移動させるレバーハンドル
のような手動開閉装置で適宜構成することができる。他の適当な構成として、垂
直ガイド、ばねまたは油圧作動ピストンプレスまたは他の一般的な機械的、電気
的または油圧プレスがある。
シーリングの後、チューブセグメント32の少なくとも一端には、元の血漿提
供体に一致するユニークな識別子でラベル表示する。これは、例えばチューブセ
グメント上にラベルを接着するか、チューブ材料にバーコードエンブレムを直接
刻印(imprint)することにより達成できる。試料収容袋を備えたチューブセグメ
ントは、次に、保存のために冷凍される。
第2図に戻って説明すると、個々の血漿提供体を含むシステムの種々の全ての
部分を間違いなく識別できることが重要である。かくして、コード化された筋線
(threads)、ドット、バーコードまたはユニークな識別子でコード化された他の
構造等のユニーク識別子を、血漿収集システムの物理的構造内に配置することが
できる。例えば一実施形態では、コード化された線37が提供体容器20内に鋳
込まれ、コード化された筋線39がボトルキャップ22に沿って鋳込まれ、コー
ド化された筋線41が検査容器28の側面に沿って鋳込まれ、かつコード化され
た筋線43が間隔を隔ててチューブセグメント内に鋳込まれている。チューブセ
グメント32のユニークな識別子は該チューブセグメントの長さ方向に沿って配
置され、コードは、チューブセグメントのセグメント化を可能にすると同時に、
このように反復される各セグメントの識別完全性を維持できるようにするため反
復される。また、提供体システムの各部が同じコードで識別されるため、システ
ムの全ての部分について提供体の同一性が維持される。
ここで第3a図、第3b図および第4図に示すように、アルファベットまたは
数字コードで識別化された、チューブセグメントに沿う個々の各袋を、元のチュ
ーブセグメントの直線長さに沿う袋の位置に等しくすることが望まれている。こ
のようなコードは、例えば、スタンピングダイを用いて、隣接袋間に位置するシ
ールパッド圧縮部分に刻印することができる。このようなスタンピングダイは、
第4図に示すシール装置70の一体部分で形成でき、これにより、種々のサイズ
の袋のシーリング、形成、分離を容易にする幅狭領域または穿孔領域並びに識別
数字の形成の全てを単一の効率的工程で達成できる。或いは、アルファベットま
たは数字の識別子を、穿孔治具またはダイの一部で構成することもできる。アル
ファベット文字または数字を次の連続アルファベット文字または数字に進め、チ
ューブセグメントの各連続袋がアルファベット文字(a、b、c・・・)または
数字(1、2、3・・・)の対応する連続列(sequential string)により識別さ
れるようにする手段を備えたスタンピングダイは知られている。
従って、第1検査プールが、幾つかの提供体からの袋から作られている場合に
は、各チューブセグメントからプールされる全ての袋が同じ位置コード(例えば
数字の1)を有することを確認することによりクオリティコントロールのチェッ
クが行なわれる。同様に、同じ提供体の試料から第2検査プールを作る場合には
、各チューブセグメントからプールされる全ての袋が、例えば、該袋の圧縮部分
の或る位置に刻印された数字2をもつことを確認することによりクオリティコン
トロールのチェックが行なわれる。
提供体の効率的PCR検査に影響を与えるため、検査容器28内の個々の提供
体から取り出された血清学的検査試料が、特定ウイルスを示す種々の既知の抗原
および/または抗体について検査される。試料が1つ以上の既知の抗原または抗
体検査について陽性である場合には、個々の提供体およびその対応チューブセグ
メントは、これ以上検査することから排除され、該提供体およびチューブセグメ
ントの両方とも適当な態様で廃棄される。
残余の血清学的に陰性の提供体に対応するチューブセグメントは識別されたグ
ループ(各グループは選択された数の提供体からなる)に分割される。後で詳述
するように、1グループ当たりの提供体の数は、特定の高感度検査(例えばPCR
検査)の感度、血漿試料の対象とするRNAまたはDNAの予測濃度、および広
いドナー集団内に生じるPCR陽性試料の予測頻度により決定される。例えば、
反復血漿搬出ドナー(repeat plasmapheresis donors)の集団における対象とす
るRNAを含むC型肝炎ウイルスの検出の場合には、100〜700個の個々の
提供体の試料をプールすることが適当である。ウイルス汚染がより頻繁に生じる
集団の場合には、50〜100個のより少数の提供体のプールが適当である。
第5図および第6図を参照して、本発明によるPCR検査プールを作る方法の
一実施形態について以下に説明する。サンプリングプレート50(該サンプリン
グプレートは、滴定プレートとほぼ同様であるが、本発明に従って構成されてい
る)が用意される。サンプリングプレート50には、ほぼ規則的な配列でプレー
トで水平に配置されたほぼ半円筒状の試料凹み52が形成されている。本発明の
方法の実施に使用される適当なサンプリングプレートは、8×8行/列の矩形態
様に配列された64個のこのような凹みを有している。サンプリングプレート5
0とほぼ同じ外形寸法をもつカバープレート54も設けられる。カバープレート
54は、サンプリングプレート50にぴったり嵌入されるようにして、サンプリ
ングプレートの表面を覆うようになっている。カバープレート54には、サンプ
リングプレート50の試料凹み52と同じ配列態様をなして、貫通孔56が設け
られている。カバー54がサンプリングプレート50の表面上に置かれると、貫
通孔56が試料凹み52上に垂直方向に整合され、これにより、貫通孔56を通
って試料凹み52と連通できる。貫通孔56の直径は、検査試料袋の表面領域従
って対応する試料凹み52よりかなり小さい。しかしながら、貫通孔56の直径
は、針または他のカニューレ状物体が貫通孔を通ってこの下の試料凹みに入るこ
とを可能にする充分な大きさを有する。
第6図に示すように、終端袋(「数字1」で示す第1世代の袋)90が、検査
すべき特定PCR群に属するものとして識別された各チューブセグメントから取
り出される。各終端袋90は洗浄されるが開かれることはなく、サンプリングプ
レート50の対応する試料凹み52内に置かれる。カバープレート54がサンプ
リングプレート50の頂部に固定され、サンプリングプレート50、カバープレ
ート54および袋90が適当な温度で解凍される。
約0.002〜0.5mlの間の同体積の提供体が各袋から取り出されかつ検査容器内に
プールされる。針92または他のカニューレ状器具が、カバープレート54の貫
通孔56を通って、この直ぐ下のサンプリングプレートの試料凹み52内に挿入
され、これにより、袋の側壁のチューブ材料を突き刺して袋内の血漿試料にアク
セスされる。例示の実施形態では、針が、連続真空すなわち吸引力を供給する
装置に連結されており、袋内に入れられた血液または血漿の全てを抽出して、流
体が周囲のトレーに漏洩することを最小にする。針は、これが貫通孔56および
試料凹み52内の袋の頂壁を通って移動することを可能にするが、針が袋の底壁
に接触してこれを突き刺すことを防止する装置内に保持することができる。試料
の抽出後にカニューレが引き抜かれるとき、貫通孔56を包囲するカバープレー
ト54の材料94は、第6図に示すように、袋がカニューレと一緒に不意に引き
出されることを防止する。
PCR検査プールを作る方法を、カニューレを個々に各試料凹み内に挿入する
ことにより手で試料を抽出することに関して説明したが、本発明の方法は自動化
された方法で実施することもできる。各凹み内に袋を収容するサンプリングプレ
ート50は、カバープレート54の貫通孔56の配置と同じ態様で配置されたカ
ニューレの配列が、サンプリングプレート50上に押し下げられ、これにより、
全ての試料袋を同時に突き刺しかつ引き抜くことができるように保持できる。或
いは、単一のカニューレまたはカニューレ保持装置を自動化すなわちプログラム
化して、各袋を連続的に突き刺しかつ袋から流体を抽出するように構成できる。
汚染の伝染を防止するため、各プールの試料の抽出には清浄なカニューレが使用
される。
第7図には、最少の個々の検査回数でユニークなPCR陽性提供体の識別を可
能にする本発明によるPCR検査方法のフローチャートが示されている。
本発明の方法は、ブロック100で、適当な最初のプールサイズを定めること
から開始する。最初のプールサイズは、広いドナー集団における対象ウイルスの
発生頻度、およびプール内での稀釈後のDNAまたはRNAの見込み最終濃度等
の種々のファクタに基づいて定められる。
PCR検査は高感度であり、従って汚染された試料中の単一のウイルスを検出
できるけれども、確実な結果を得るには、ウイルスはPCR検査用試料内に必ず
存在しなければならない。例えば、比較的低いウイルス濃度をもつ汚染提供体か
らの試料が多数の非汚染試料と一緒にプールされる場合には、この結果得られる
プール内のウイルス濃度が非常に低くなるため、PCR検査用プールから取り出
された試料中にウイルスが全く存在しないという統計的確率が存在する。このよ
うなプールは、実際に、ウイルス汚染が陰性であると誤って検査される。
例えば、0.02mlの試料が試料1ml当たり500個のウイルスを含む濃度でウイ
ルス汚染された血漿提供体から作られたものである場合には、この0.02mlの試料
は、平均で10個のウイルスを含むものとなるであろう。0.02mlの汚染試料が約
500個のウイルスでプールされたものである場合には、非汚染提供体からの他
の0.02mlの試料(結果として10mlのプールとなる)は、1ml当たり1個のウイ
ルスを含む濃度のウイルスからなる。従って、PCR検査用プールから1mlの試
料を取り出した場合には、このPCR試料がウイルスを全く含んでいないという
高い統計的確率になる。
このような低濃度のウイルス汚染は、血漿から作られる製品について殆ど恐怖
を与えない。なぜならば、このような低濃度の提供体内に存在するウイルスを活
動させないようにする幾つかの方法を利用できるからである。このようなウイル
ス不活性化方法として、溶剤/洗剤の使用または60℃以上の温度での適当時間
の加熱等がある。一般にこれらの方法は、大きい「巾乗(log units)」数で、ウ
イルス濃度を低下できると説明されている。例えば、溶剤洗剤法は、C型肝炎の
ウイルス濃度を、1ml当たりスクラップ107だけ、すなわち「7の巾乗」だけ
低下できる。かくして、ファクタVIII、ファクタIXまたはプロトロンビン複合体
等の血漿製品は、例えば、PCR陰性であると検査された後の溶剤洗剤法により
機械的に処理された血漿提供体から作ることができる。
受容体に直接機械的に輸液される血液製品の場合には、このような提供体がP
CR陰性であると検査された後に、低濃度のウイルス汚染の僅かな危険が残って
いる。
第7図に示す実施形態では、ドナー集団に対象ウイルスが生じる頻度および稀
釈後のウイルスの見込み濃度等の上記ファクタが評価される。適当なサイズの第
1レベルのPCR検査プールは、低濃度で存在するウイルスが検出されなくなる
ことの統計的確率を最低にするように設計されている。このプールは、識別され
たチューブセクションの終端袋の内容物を上記方法でプールすることにより、ブ
ロック101で作られる。ブロック102では、第1レベルのPCRプールでP
CR検査が遂行される。
ブロック103は、本発明の方法での判断点を示し、この判断は、ブロック1
02で遂行されたPCR検査の結果に基づいて行なわれる。検査結果が陰性であ
る場合には、第1レベルのPCRプールを作るのに使用される試料に一致する全
ての提供体が、ウイルス汚染されていないと推定され、医薬品として更に加工す
べく解放される。従って、陰性であるとのPCR検査結果を受けて、この方法は
出口に向かう。
PCR検査が陽性表示に戻ると、これは、元の第1レベルのPCRプールを作
った1つの(または1つ以上の)提供体内にウイルス汚染が存在することを示す
ものである。ブロック104では、付加試料袋(この袋は、最初に取り出された
袋に隣接する袋である)が、元の第1レベルのPCRプールからなる提供体に一
致するチューブセグメントから取り出される。これらの付加試料は、ほぼ等しい
2つのサブグループ(明瞭化のため、AおよびBの符号を付けて示す)に分割さ
れる。
次に、これらのサブグループは、別々の清浄なカニューレを用いて別々にプー
ルされ、上記と同じ方法で各サブグループプールを形成する。これらのサブグル
ーププールのうちの1つのみが、ブロック105で示すようにPCR検査される
。本発明の目的から、2つのサブグループのうちのいずれを検査するかは重要な
ことではない。ブロック105には、検査されるサブグループとしてサブグルー
プAが記載されているが、サブグループBと記載しても本発明の方法を妨げるも
のではない。
ブロック106では、サブグループプールAのPCR検査の結果に基づいて判
断がなされる。サブグループプールAがPCRウイルス表示について陰性の検査
結果を呈する場合には、サブグループAからなる提供体からの試料についてこれ
以上の検査は行なわない。むしろ、ブロック107に示すように、連続する次の
試料袋が、サブグループBからなるチューブセグメントから取り出され、該チュ
ーブセグメントは、次に2つのほぼ等しいサブグループA’、B’に分割される
。このステップでは、各サブグループは、直前のサブグループからなる試料の個
数のほぼ1/2からなる。サブグループの試料袋の内容物が、上記と同様にして
再び別々にプールされる。
サブグループAの検査結果がPCR陽性である場合(その構成提供体の少なく
とも1つがウイルス汚染されていることを示す)には、他方の未検査サブグルー
プ(第7図の例ではサブグループB)がここでPCR検査され(ブロック108
)、サブグループBもPCR陽性ではないことを確認する。ここでサブグループ
Aは、ブロック109で示すように、2つのほぼ等しいサブグループ(A’およ
びB’)に更に細分されたサブグループとなる。
ブロック110では、先行ステップ107または109で定義されたサブグル
ーププール(A’またはB’)の一方のみについてPCR検査が遂行される。本
発明の方法はここで反復されてブロック106に戻り、該ブロック106では、
ブロック110で遂行されたPCR検査の結果に判断ステップが適用される。こ
こでも、PCR検査結果が、検査されたサブグループが陰性であることを証明す
る場合には、未検査のサブグループが2つのほぼ等しいサブグループに更に細分
される。細分された各サブグループは、先行サブグループの試料のほぼ1/2で
ある。検査されたサブグループがPCR陽性の結果に戻された場合には、検査さ
れたサブグループが2つのほぼ等しいサブグループに更に細分される。細分され
た各サブグループは、先行サブグループの試料のほぼ1/2である。この場合、
未検査のサブグループは再びPCR検査され、該サブグループもPCR陽性では
ないことを確認する。
本発明の検査方法は、検査が完了すべきことを判断するまで、ブロック106
からブロック110を通って反復を続ける。検査の完了は、サブグループの分割
により2つのサブグループ(各サブグループは、単一提供体に一致する1つのみ
の試料袋を含んでいる)の創成をもたらしたときに決定される。ブロック110
で一方の試料がPCR検査され、検査結果が陰性である場合には、他方の試料が
ウイルス汚染された血漿提供体に属するものと識別される。検査された試料が陽
性である場合には、残余の試料もPCR検査され、該残余の試料もPCR陽性で
はないことを確認する。
全ての検査が完了すると、本発明の方法はブロック111で終了する。第7図
のフローチャートから、本発明の検査方法は、最初に検査したプールが陽性であ
るときには2つのPCR検査(すなわち、2つのサブグループの一方についての
1つの最初の検査と、対応する最初の未検査プールが実際に陰性であることを確
認する1つの連続検査)を各検査レベルで遂行することのみを必要とすることが
明白である。本発明の検査方法は、最初に検査されたプールが陰性であるとき、
各検査レベルでの単一のPCR検査のみを必要とする。
本発明の試料検査システムおよび方法の適用について、第8図に示すような特
定PCR検査プールサイズに関連して説明する。第8図において、ステップ201
で、512個の個々の提供体の終端袋が、最初のPCR検査プールに形成される
。図示の目的から、512個の試料のうちの1つの試料のみが、対象ウイルスに
より汚染された提供体から取り出されたものと仮定する。第8図に示すチューブ
セグメント(該チューブセグメントは連結された10個の個々の袋を有している
)は、チューブセグメントが最初は汚染された血漿提供体容器に連結されており
かつ該血漿提供体容器から取り出されたものであることを表している。
最初の512個の試料プールがPCR検査され、かつ汚染試料の存在により、
陽性ウイルス表示に戻る。ステップ202では、2つの256個の提供体プール
(256Aおよび256B)が、前の陽性プールを形成したセグメントから取り
出された次の連続袋から作られる。ここでプール256BがPCR検査され、か
つ第8図に示すように陰性ウイルス表示に戻る。かくして、プール256Aが汚
染提供体からの試料を含有していることを表示する。
ステップ203では、プール256Aを形成しているチューブセグメントの次
に連続する袋から、2つの128個の提供体プールが作られる。かくして、本発
明によれば、プール256Aは、PCR検査されることなく細分されたことにな
る。ステップ203では、プール128AがPCR検査される。また、プール1
28Aが陰性ウイルス表示に戻るので、今やプール128Bは汚染提供体からの
試料袋を含んでいることを知らされる。次に、プール128Bは、これらのチュ
ーブセグメント(該セグメントの先行袋がプール128Bを形成する)から、次
に連続する袋を取り出すことにより2つの64個の提供体プール(64Aおよび
64B)に細分される。
次に、プール64BがPCR検査され、第8図の例では、陽性ウイルス表示に
戻る。この場合には、プール64AについてPCR検査が遂行され、プール64A
が本当に陰性であるか否かということ、およびプール64Bの汚染試料より多く
の付加汚染試料は存在しないことが確認される。ステップ205では、先行プー
ル64Bを形成するのに使用されたチューブセグメントから次の連続袋を取り出
すことにより、プール64Bが、2つの32個の提供体プール(32Aおよび3
2B)に更に細分される。プール32BはPCR検査され、図示のように陰性ウ
イルス表示に戻る。従って、プール32Aは2つの16個の提供体プール(16
Aおよび16B)に更に細分される。この場合も、先行陽性プール32Aを形成
するチューブセグメントから次の連続袋を取り出すことにより、16個の提供体
プールが作られる。
ステップ206では、プール16BがPCR検査されかつ陽性ウイルス表示に
戻る。従って、プール16Aは、該プールが陰性であること、および全ての汚染
試料はプール16Bに存在することを確認するためPCR検査される。
ステップ207では、先行プール16Bを形成しているチューブセグメントか
ら次の連続試料袋を取り出すことにより、プール16Bが、2つの8個の提供体
プール(8Aおよび8B)に更に細分される。次にプール8BがPCR検査され
、かつ図示のように陰性ウイルス表示に戻って、プール8Aが汚染提供体からの
試料を含んでいることを表示する。次に、ステップ208で、プール8Aが2つ
の4個の提供体プール(4Aおよび4B)に更に細分される。プール4BにPC
R検査が遂行される。プール4Bは陰性表示に戻って、プール4Aが汚染提供体
からの試料を含んでいることを表示する。次に、ステップ209で、プール4A
が、上記と同様にしてプール(2Aおよび2B)に細分される。PCR検査時に
、プール2Aは陰性ウイルス表示に戻り、グループ2Bからなる2つの試料のう
ちの一方の試料が同じ汚染提供体のチューブセグメントから取り出されたもので
あることを表示する。
ステップ210では、グループ2Bを形成しているチューブセグメントから最
終袋を取り出すことにより個々の提供体が検査される。最終の個々の提供体はP
CR検査されて特定陽性提供体を識別し、該陽性提供体は次に貯蔵体から取り出
されて適宜廃棄される。残余の511個のウイルスが存在しない提供体は、更に
加工されて医薬品となる。
上記例では、元の512個の提供体プールについて主PCR検査を含む13回
のPCR検査のみを遂行することにより、512個の提供体の群から、単一の汚
染提供体がユニークに識別された。本発明の方法は、検査された同一のサブプー
ルが陰性ウイルス表示に戻る限り、特定のサブプールについてのPCR検査を飛
ばすことを可能にする。このように或るPCR検査を飛ばすことにより、本発明
の方法は、PCR検査法の精度を犠牲にすることなく、特定の陽性提供体を識別
するのに遂行しなくてはならないPCR検査の回数を低減させる。本発明の方法
では、全ての陽性提供体が識別されるが、全ての提供体を検査する必要はない。
第8図の例示実施形態から、連続的に少なくなるサブグループのいずれか1つ
がPCR検査されること、および陽性試料の任意の位置が変えられることは明白
である。かくして、陽性提供体からの試料が最初に検査された各サブプールに存
在する場合には、陽性提供体をユニークに識別するのに18回の検査が必要とさ
れる(陽性表示に戻る1つの最初の検査と、対応するサブプールが陰性であるこ
とを確信させる1つの付加検査)。
更に、最初に検査した各サブプールが陰性表示に戻る場合には、陽性提供体を
識別するのに10回の検査が必要になる。実際に、サブプールについての陽性お
よび陰性の検査結果は等しく分散する傾向を有し、従って、512個のユニット
についての最初の提供体プールからユニークな陽性提供体を識別するのに、平均
で14回の検査が必要になる。
従って、以上から明らかなことは、血漿提供体の試料を収容する個々の連結袋
からなるチューブセグメントを使用する本発明のシステムおよび方法は、多数の
PCR検査プールを設ける点で優れていることである。一連の最初の連続プール
が各提供体の単一試料から同時に形成される慣用的なプール製造方法とは異なり
、本発明は検査の直前に検査プールを形成することができる。この「ジャストイ
ンタイム」プール形成法は、必要なときにのみ、個々の袋から検査プールを作る
ことを可能にする。各プールは、シールされた試料袋から異なる時点で作られる
ため、汚染の可能性はなくなる。また、試料袋は、検査プールを作る必要がある
まで、冷凍状態に維持される。対象DNAまたはRNAの回収に悪影響を与える
多冷凍−解凍サイクルが回避され、かくしてPCR検査の完全性が確保される。
従って、本発明は、血液供給およびこれから作られる血液製品または血漿製品
に実施でき、これらはウイルス汚染がないため実質的に安全である。ウイルスの
存在に対するコスト有効性に優れた高感度な検査を容易に遂行できる点で優れて
いる。従って、感染力ウインドウ時間中に抗体検査と通常関連するウイルス汚染
の誤った表示が防止される。また、本発明は、検査試料中の単一のウイルスの存
在を検出できる高感度検査のコスト有効性に優れた使用を可能にし、かくして、
初期ウイルス汚染から確実に血液供給がなされないようにすることを補助する。
当業者ならば、本発明の種々の好ましい実施形態についての上記例および説明
は、本発明の単なる全体的例示であること、および本発明の種々の構成部分の形
状、サイズおよび個数の変更並びに実行される検査の種類の変更は本発明の精神
および範囲内にあることが理解されよう。例えば、当業者には、個々の連結袋の
長さ、従って袋の収容体積は、チューブセグメントの長さに沿って徐々に増大さ
せることができることは明らかである。連続する検査サブプールは非常に少数の
試料から形成されるので、プールからなる血漿の体積は必然的に小さくなる。各
連続サブプール内に充分な体積の血漿を維持するには、連続試料袋が、所望の最
終プール体積を収容するための大きな体積をもつように構成できることは明白で
ある。約1〜10mlのサイズ範囲のプールを収容するためには、連続試料袋の体
積が約0.02mlから約0.5mlまで徐々に増大することは明白であろう。1つの例示
実施形態では、袋体積は、最大プールで使用されるべき第1袋で0.02mlであり、
かつ最終袋で0.2mlである。
また、当業者には、本発明のシステムが例示の血漿収集容器および関連チュー
ブセグメントに限定されないことも明白であろう。血液バッグまたは他の生物学
的流体容器は同じ設備に使用でき、これらの容器には、流体収集前および流体収
集の完了後のいずれの場合にも適当なチューブセグメントを取り付けることがで
きる。要求されることは、生物学的流体の試料がチューブセグメントに搬送され
、次に、該チューブセグメントが本発明に従って袋に形成されることである。
従って、本発明は本願で説明した特定実施形態に限定されるものではなく、そ
の範囲は請求の範囲の記載により定められるものである。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ
,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ,
DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I
S,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LR
,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,
MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,S
D,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR,TT
,UA,UG,US,UZ,VN
(72)発明者 チレボウスキー マイケル イー
アメリカ合衆国 カリフォルニア州
91107 パサディナ ヘリテージ ドライ
ヴ 2773
(72)発明者 ヘルデブラント チャールズ エム
アメリカ合衆国 カリフォルニア州
91006 アーケイディア イングリッシュ
オークス ドライヴ 1030
(72)発明者 マットヴェルド エイチ エドワード
アメリカ合衆国 カリフォルニア州
91602 ノース ハリウッド ムーアパー
ク ストリート 10041