JP2000513203A - ヘリコバクター・ピロリからの新規アドヘシン - Google Patents

ヘリコバクター・ピロリからの新規アドヘシン

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Abstract

(57)【要約】 本発明はヘリコバクター・ピロリからの付着遺伝子alpBおよびこれによりコードされたポリペプチドに関する。この遺伝子はH.ピロリの染色体からトランスポゾンTnMax9−挿入(突然変異誘発)により得られ、これをAlpAの下流に隣接する領域をクローニングおよび配列決定することにより特徴付けした。この2つの付着遺伝子は多分同じオペロンに属し、かつただ1つのプロモーターにより転写されると思われる。

Description

【発明の詳細な説明】 ヘリコバクター・ピロリからの新規アドヘシン 本発明はヘリコバクター・ピロリからの新規付着遺伝子alpBおよびこれに よりコードされたポリペプチドに関する。該遺伝子、ポリペプチドおよびこのポ リペプチドに向けられた抗体はヘリコバクター感染の診断、予防および治療に使 用することができる。 ヒトの胃粘膜中に螺旋状のバクテリアが出現することはすでに長年にわたって 公知である(Bizzozero、1893)。しかしながら、これが病原菌であるという事 実は、胃に潰瘍(胃潰瘍)を有する患者の胃粘膜からマーシャルおよびヴァーレ ン(WarrenおよびMarshall、1983;Marshall等著、1984)により、これらのバク テリアを成功裏に単離および培養することにより初めて実現した。最初の分析が 明らかにしているように、このバクテリアはグラム陰性で螺旋状のバクテリアで あり、著しく高い運動性と強酸性環境(約pH1.5まで)中で生き延びるとい う普通でない能力を有する。最初に、カムピロバクター・ピロリ(Campylobacte r pylori)と命名されたが、この病原菌は最終的には生化学および形態学的特性 により、新たに設けられた属“ヘリコバクター;Helicobacter”にまとめられた (Goodwin等著、1989)。 近年、ヘリコバクター・ピロリ感染の意味およびこの発見の影響が明らかにな った。テイラーおよびブラザー(TaylorおよびBlaser:1991)の疫学的実験は、 このH.ピロリ感染が世界的に広がっており、かつ人口の約50%がこのバクテ リアに感染しており、この際開発途上国中での感染率が、産業化された国におい てより高いことを示した。更に、慢性的なH.ピロリ感染の確率は年を取ると共 に急激に上昇するということが観察された。こうして、H.ピロリ感染はヒトの 最も頻繁にある慢性細菌性感染に数えられる。 今日、この感染がヒトにおいて必然的に細菌性胃炎(B型胃炎)の誘発に導く ことは認識されている。更に、H.ピロリは胃および十二指腸の潰瘍(胃潰瘍お よび十二指腸潰瘍)において、ならびにいくつかの形の胃ガン(腺ガン)におい て、発生の原因となっていることを前提としている(Lee等著、1993;Solnickお よびTompkins、1993)。免疫システムのB−細胞腫瘍の前段階と見なされている 、まれに出現するヒトのMALT(Mucosa Associated Lymphoid Tissue:粘膜関 連リンパ組織)リンパ腫はH.ピロリ感染の結果と想像される。抗菌治療を受け てH.ピロリの根絶(完全除去)に成功した患者は、胃潰瘍の完治および“低度 の”MALTリンパ腫にも導かれる(SipponenおよびHyvaerinen,1993;Isaacso nおよびSpencer,1993;StolteおよびEdit,1993)。 H.ピロリの長期間にわたる感染の結果は、前ガン症状として見なさなければ ならない、萎縮性胃炎、胃上皮の粘液生産細胞、酸生産細胞またはペプシン生産 細胞の変性である。1980年の統計によれば、世界中で最もしばしば生じるガ ン種の二番目に胃ガンはあり、しかしその後は減少傾向にある(Parkin等、1988 )。2つの研究はH.ピロリ感染と発生する胃ガン(腸型)の間の統計学的に明 らかな関連を最近示している;この2つの研究は発生する全ての胃ガンの約60 %がH.ピロリ感染に起因するという、結論に達している(Personnet等著,199 1;Nomura等著,1991)。更に、シッポネン(Sipponen;1992)の研究は、多くの 産業化した国において感染者の20%を越えるヒトが生存している間に胃または 十二指腸の潰瘍にかかり、一方正常な胃粘膜を有するヒトにおいてはこの危険は 無視することができるほど小さい。このことは、これらしばしば発生する胃十二 指腸の疾患は感染疾患として考察することができ、かつ相応して治療されなけれ ばならない(Alper,1993)ということを意味する。すでに存在する慢性H.ピ ロリ感染を除く治療は胃炎、胃潰瘍もしくは十二指腸潰瘍またはMALT−リン パ腫の快方に導く。こうして、H.ピロリ感染を阻止する予防的治療(例えば接 種)、ならびにすでに生じたH.ピロリ感染を除去する治療は、これらのしばし ば起こる胃十二指腸疾患の治療のために使用することがで きる。 いくつかの高度な霊長類と共に、ヒトは従来H.ピロリのための唯一の天然宿 主として知られている。家猫もH.ピロリで感染されていることがあるという比 較的新しい発見は、ヒト器官以外にこれらのバクテリアの感染および可能な貯蔵 の問題に新たに光を投げかけた。時折成功する、感染患者の大便からのH.ピロ リの培養およびこのバクテリアの数ヶ月にわたって水中で生き続ける能力は排泄 物−経口感染の仮説を支持する。直接口−口伝染は家族調査によって公算が大き い。この感染は家族の中で多くの場合は幼少の頃行われ、この際狭い空間の生活 様式および低い衛生状態は感染の頻度と相関する。 経口摂取の後、このバクテリアは最初著しく酸性の胃腔(pH1〜2)に達す る。そこで酵素、ウレアーゼの生産によりこのバクテリアの生存は可能となる、 この際このウレアーゼは存在する尿素を切断し、胃中の酸性pH値を局所的中和 に導く。化学走性配向および鞭毛依存性運動能力により、この病原菌は、その本 来自然における生育地である、胃の洞の重炭酸塩−緩衝粘液層中に移動する。そ こで、この病原菌は酸バリヤーにより僅かな競争相手のバクテリア種のみが到達 する比類のない生態学的ニッチに存在する。多分、この病原菌は上皮に達するた めに、腔(pH1〜2)および上皮細胞表面(pH6〜7)の間のpH−傾斜で 方向付けしていると思われる。その螺旋形、その粘性粘液中での運動性、粘液変 性酵素により、および更に微好気性生活様式により、この菌はこの生育地の生活 条件に最高に適している。 この菌は多くの場合洞領域の深い凹窩中に存在する、この菌はそこで外からの 影響、例えば酸、ペプシン、ならびにこの菌を根絶するための薬剤、例えば抗生 物質から守られている。個体群の一部(約20%)は上皮細胞、特に粘液生産細 胞と密接に結合している。胃異形成、即ち十二指腸中での酸誘発性胃上皮の形成 の前提のもとに、十二指腸中の異形成面へのコロニー化が行われ、これにより十 二指腸−潰瘍(十二指腸潰瘍)の形成の前提が達せられる。付着へのその能力に より、剥がれる粘液と共にヘリコバクターの完全な排出は多分阻止されており、 こうしてこのバクテリアは何年も、何十年も、または生存する限り継続すること ができる(慢性感染)。 H.ピロリの存在および潰瘍疾患に関する意味が判明する前は、この疾患はい わゆる制酸剤、またはH2−レセプター拮抗薬により治療された。この際、これ は胃壁細胞の酸分泌を阻止する物質である。この薬剤の影響により多くの場合潰 瘍の快方に向かうが、この潰瘍の原因の一つ、即ちH.ピロリ感染は除去されて いないので、多くの場合短期間の後に潰瘍が新たに形成される(再発)。 その他の、潰瘍形成の際にしばしば適用される治療はビスマス治療である。種 々のビスマス塩(CBS,BSS)はH.ピロリに対して殺菌効果を有する。し かしながら、この病原菌の完全な根絶は症例の8〜32%に達するにすぎない。 この治療はこの病原菌の一時的な抑制に導くと思われる、しかしながら治療を止 めた後、多くの場合感染は再発する。高投与量での長期間にわたる治療は肝臓、 腎臓中および神経系統へのこの物質の蓄積に導き、著しい神経医学的副作用を有 する(Malfertheiner、1994)。 胃十二指腸潰瘍疾患が感染疾患であるという認識以来、治療の目的は抗生物質 による病原菌の根絶である。しかしながら、種々の抗生物質での単独治療(Amox icillin、Nitrofuran、Furazolidin、Erythromycin等)は十分ではないというこ とが判明した、それというのも症例の0〜15%においてのみ、病原菌を根絶で きたためである。最も効果のあった治療は現在酸ブロッカー(Ompeprazol)と抗 生物質(Amoxicillin)との組合せで達せられ、これは根絶率80%まで導くこ とができる(Malfertheiner,1994)。しかしながら、H.ピロリを除去するた めの抗生物質治療は、抗生物質に対するバクテリアの迅速な耐性形成を考慮しな ければならないために、長期間にわたって有望ではない。 従って、H.ピロリ感染の根絶のための新規な治療 法への要求、特にH.ピロリの発病力ファクターに対して特異的に向けられた接 種物質に対する要求がある。発病力ファクターとは、病原菌の特性を表し、この 特性は宿主の体内に一定の生態学的ニッチをコロニー化し、かつ宿主体の免疫応 答および非特異的な防御機構にもかかわらず、増殖する能力を病原菌に付与する 。こうして、発病力ファクターに関する知識は、感染疾患の進行および機構をよ りよく理解するための助けとなる。従来研究したH.ピロリの最も重要な発病力 ファクターはウレアーゼ、鞭毛、アドヘシン(付着因子;Adhesin)および細胞 毒素の生産である。 この菌の表面上の酵素であるウレアーゼは、2つのサブユニット(UreA、 26kDa、UreB、66kDa)からなり、これは全細菌性蛋白質の5%を しめる。このウレアーゼは胃液中に低濃度で存在する尿素をアンモニアおよび二 酸化炭素に分解する。慣用のモデルの実施によれば、このバクテリアは胃液の酸 の局所的中和に導くアンモニアの雲で自体を取り囲んでいる。このバクテリアの 著しく高い運動性は有極鞭毛の存在に起因し、この鞭毛はこのバクテリアが胃粘 膜の粘性粘液中を移動し、かつこのことにより上皮細胞層に達することを可能に している。ウレアーゼ−遺伝子クラスター(ureA−ureH)も鞭毛形成の ための遺伝子(flaA、flaB)もE.コリ中でクローン化されかつ配列決 定され、イソジーン突然変 異体が製造された。 全ての単離したH.ピロリ菌株の約50〜60%は、いわゆる空胞形成性細胞 毒素である87kDaの蛋白質を生産し、これは試験管内細胞培養において細胞 質空胞の形成に作用する。H.ピロリの細胞毒をコードするvacA−遺伝子も この間クローン化され、遺伝子学的に特徴付けられている。更に、細胞毒生産性 菌株がこの毒素を生産しない菌株より高い発病力を有するということが想像され る。更に、細胞毒素の生産および胃潰瘍の形成の間に関連があることが見いださ れた。 試験管中でのH.ピロリの上皮セルラインへの付着に関する研究は、このバク テリアが異なる組織の多くのセルラインに結合することができることを示す。宿 主体中では、これとは反対にH.ピロリは非常に明確に種および組織選択的付着 性(向性)を示す。こうして、このバクテリアは胃型の上皮細胞に属する上皮細 胞にのみ結合していることを見いだした。この選択性は細菌性アドヘシンおよび 特異的な細胞レセプター間の相互作用により説明することができる。 従来、H.ピロリからの多くの可能なアドヘシンが記載されており、かついわ ゆるN−アセチル−ノイラミニルラクトース(Neuraminyllactose)−結合ヘマ グルチニンをコードする遺伝子(hpaA)が、クローン化され、かつ配列決定 されている(Evans等,1993 )。この際、これは上皮細胞上のシャル酸含有レセプターを認識すべき蛋白質で ある。しかしながら、H.ピロリ感染に関するこのアドヘシンの意味はなお異論 のあるところである。他の可能なアドヘシンはその分子量によりまたはそのレセ プター結合特異性によってのみ特徴付けられている。これには63kDaの蛋白 質が属しており、これはプソイドモナス・アエルギノザ(Pseudomonas aerugino sa)の外酵素S、ADP−リボシルトランスフェラーゼ−活性を有するアドヘシ ンに類似であるように思われる。更に、胃上皮細胞のルイスb−血液型抗原への 特異的な結合を仲介する、なお同定されていないアドヘシンが推測されている( Falk等,1993;Boren等,1993)。 H.ピロリでの感染は胃粘膜の慢性的な炎症反応(胃炎)に導く。更に、H. ピロリ抗原に対する特異的な系統的免疫応答が誘発されるが、胃中での分泌性抗 体(sIgA)の形成はなお明らかに解明されていない。炎症により胃粘膜およ び粘膜下組織中に種々の免疫細胞が生じる、例えば多形核白血球、単核細胞、マ クロファージ、リンパ球および形質球(Blaser,1992)。更に、H.ピロリは試 験管中で好中球も、単核細胞およびマクロファージも活性化する。試験管中では 特異的な抗体および補体での実験は好中球によりH.ピロリの迅速な不活性化を 示す。しかしながら、生体内の状況においてはこの機構は病原菌の不活性化には 導かない。宿主が前記防御機構を活性化しても、H.ピロリは宿主中に長期間に わたって、いかに生き残るかということは明らかではない。 宿主は自然の条件下にH.ピロリ感染を終結することはできない。H.ピロリ の主要な発病力ファクターであるウレアーゼ(前記)がワクチンとしての高い能 力を有している(US−特許出願 USSN07/970996“Urease-based Vaccine against Helicobacter Infection”)ので、このことはますます意外 である。 ヘリコバクター・フェリス/マウスモデル(H.フェリス(felis)は猫の胃 中に天然にコロニーを形成しておりマウスにも感染することのできるヘリコバク ター種である)においては、H.ピロリのウレアーゼもしくは組み換えウレアー ゼBサブユニット(rUreB)が、経口ワクチンにおいて、マウスをH.フェ リス感染から保護することもできるし(予防ワクチン)、すでに罹患している感 染を除去することもできる(Michetti等,1994;Corthesy-Theulaz等,Gastroent erol.印刷物)ということを示すことができた。経口ワクチンにおいて重要であ るのはアジュバント、例えばコレラ毒素の添加であり、このアジュバントは合成 抗体の生産の免疫反応を分泌性抗体に変換するために重要であると思われる。 本発明の課題は、ヘリコバクター・ピロリからの新 規分泌性遺伝子およびこれによりコードされたポリペプチドを製造することであ り、このポリペプチドは接種物質のための候補物質である。 ドイツ特許出願19521312.2中にはヘリコバクター・ピロリからの分 泌性遺伝子を同定するための方法が記載されており、ここではトランスポゾンを 用いてH.ピロリの突然変異体遺伝子バンクを設け、付着挙動、例えばヒトの胃 上皮細胞に対する付着挙動に欠陥を有する突然変異体に関する突然変異体コレク ションを分析している。この方法でalpAと命名されたアドヘシン遺伝子およ びこの遺伝子によりコードされたポリペプチドを同定することができた。 alpAの側面に隣接する下流の領域をクローニングする際に、SEQ ID NO.1中に示されたヌクレオチド配列を有する、H.ピロリからのalpB と命名された新規アドヘシン遺伝子およびSEQ ID NO.1および2中に 示されたアミノ酸配列を有する、この遺伝子によりコードされるポリペプチドを 同定した。 従って、本発明の課題は、 (a)SEQ ID NO.1中に示されたヌクレオチド配列、 (b)遺伝子コードの同義語の範囲において(a)の配列に相当するヌクレオチ ド配列または (c)(a)および/または(b)の配列とストリン ジェントな条件下にハイブリダイズするヌクレオチド配列を包含するDNA−分 子である。 SEQ ID NO.1中に示されたヌクレオチド配列および遺伝子コードの 同義語の範囲においてこの配列に相当するヌクレオチド配列の他に、本発明はこ れらの配列の1つとストリンジェントな条件下にハイブリダイズするDNA−配 列をも包含する。本発明において、概念“ハイブリダイズ”とは、サンブルーク 等(Sambrook;Mokecukar Cloning.A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989),1101-1104)によると同様に使用される。本発明にお いて、1×SSCおよび0.1%SDSで、1時間55℃で、有利に62℃でお よび特に有利に68℃で、更に有利には0.2×SSCおよび0.1%SDS中 で1時間55℃で、有利には62℃でおよび特に有利には68℃で洗浄の後、更 にプラスのハイブリダイズシグナルが観察される場合を、ストリンジェントな条 件下でのハイブリダイゼーションという。SEQ ID NO.1中に示されたヌ クレオチド配列と、または遺伝子コードの同義語の範囲においてこの配列に相当 するヌクレオチド配列と、前記の洗浄条件下にハイブリダイズしたヌクレオチド も本発明に包含される。 有利に、本発明によるDNA−分子はヒト細胞、特にヒト胃上皮細胞に付着す る能力を有するポリペプチドをコードする。更に、本発明によるDNA−分子は ヌクレオチドレベルでSEQIDNO.1に記載されたヌクレオチド配列に少な くとも70%、特に有利に少なくとも80%相同であるのが有利である。更に有 利にはこのDNA−分子がヌクレオチド少なくとも15個、特に有利には少なく とも20個の長さを示す。 SEQ ID NO.1に示されたアドヘシン遺伝子alpBのDNA−配列 はアミノ酸518個のポリペプチドをコードする。AlpBとして示したこれら ポリペプチドのアミノ酸配列をSEQ ID NO.1および2に示した。Al pBのアミノ酸配列のN−末端領域の分析は、このポリペプチドが典型的な原核 生物シグナル配列を有することを、示唆する。AlpBと、SEQ ID NO .3および4にそのアミノ酸配列を示したドイツ特許出願19521312.2 中に記載されたポリペプチドAlpAとの間のアミノ酸レベルでの比較は、この 両方のポリペプチドが全アミノ酸配列にわたって46%の同一性を有することを 示す。C−末端部(アミノ酸341〜518)は66%の同一性を示す。 alpB−遺伝子の異なる2つの位置にトランスポゾンTnMax9を挿入す ることにより製造した、alpB−遺伝子中の欠陥突然変異体は胃上皮細胞の組 織切断片に全く結合を示さない。このalpB−突然変異体中のAlpAの安定 な発現を証明することがで きたので、alpB−遺伝子の欠陥がalpB−突然変異体の付着損失に直接の 原因でなければならない。 AlpAおよびAlpBの間の機能的関連は、AlpAおよびAlpBが複合 体を形成することができるであろうということにある。この複合体はヘテロダイ マーまたは/およびマルチマー集合体として存在し、これは機能的アドヘシンと して有効である。サブユニットの欠損、これはAlpAまたはAlpBと思われ る、はアドヘシン複合体の機能損失および、したがってバクテリアの付着欠陥に 導く。 更に、本発明の課題はalpB−遺伝子およびalpA−遺伝子の配列領域を 相互に融合して包含するDNA−分子である。特にこれは前記の(a)、(b) および(c)に定義された配列が (d)SEQ ID NO.3中に示されたヌクレオチド配列、 (e)遺伝子コードの同義語の範囲において(d)の配列に相当するヌクレオチ ド配列または (f)(d)および/または(e)の配列とストリンジェントな条件下にハイブ リダイズするヌクレオチド配列、 と融合しているDNA−分子である。 このような融合DNA−分子の有利な例は、アドヘシン遺伝子alpB(SE Q ID NO.3)およびalpA(SEQ ID NO.3)からのそれぞ れ1 つまたは複数の切断片を含有する。これらの切断片の長さは有利にヌクレオチド 少なくとも18個、特に有利にヌクレオチド少なくとも30個、および最も有利 にはヌクレオチド少なくとも60個である。 更に本発明の課題は、本発明によるDNA−分子のコピーを少なくとも1つ有 するベクターである。このベクターは任意の原核または真核ベクターであってよ く、本発明によるDNA配列はこのベクター上で有利に発現シグナル(プロモー ター、オペレーター、エンハンサー等)のコントロール下にある。原核ベクター の例は染色体ベクター、例えばバクテリオファージ(例えばバクテリオファージ λ)および染色体外ベクター、例えばプラスミドであり、この際環状プラスミド ベクターは特に有利である。好適な原核ベクターは例えばサンブルーク等(前記 、第1〜4章)により、記載されている。 他方、本発明によるベクターは真核ベクターであってもよく、例えば酵母ベク ターまたは高度な細胞に好適なベクター(例えば、プラスミドベクター、ヴィー ルスベクター、植物ベクター)であってもよい。この種のベクターは前記サンブ ルーク等の第16章に記載されている。 本発明の更なる課題は本発明のベクターで形質転換した細胞である。有利な実 施態様においては、この細胞は原核細胞であり、有利にグラム陰性原核細胞、特 に有利にE.コリ細胞である。他方、本発明による細胞は真核細胞であってよく 、例えば真菌細胞(例えば、酵母)、動物性または植物性細胞であってよい。 本発明は本発明によるDNA−分子によりコードされているポリペプチドにも 関する。有利にこのポリペプチドはヒト細胞に付着する能力を有し、かつ(a) SEQ ID NO.2中に示されたアミノ酸配列、または(b)(a)による 配列と免疫学的に交差反応するアミノ酸配列を包含する。 特に有利であるのは、SEQ ID NO.2中に示したアミノ酸配列と少な くとも80%の相同および最も有利には少なくとも90%の相同を有する。 本発明によるポリペプチドの製造は、有利に細胞を本発明によるDNA−分子 またはベクターで形質転換し、この形質転換した細胞を、このポリペプチドの発 現が行われる条件下に培養し、かつこのポリペプチドを細胞からまたは/および 培養上澄みから単離することにより行われる。この際、本発明によるポリペプチ ドは融合ポリペプチドとしておよび非融合ポリペプチドとして得られる。 本発明の更なる課題は融合ポリペプチドであり、これはそれぞれポリペプチド AlpB(SEQ ID N0.2)およびAlpA(SEQ ID NO.4 )からの1つまたは複数の切断片を含有する。この切断片の長さはアミノ酸少な くとも6個、有利に少なくとも1 0個および特に有利に少なくとも20個である。 このAlpB−蛋白質はDE19521312.2中に開示されたAlpA− 蛋白質と機能的に活性の複合体を形成することができるので、本発明は更にポリ ペプチド複合体にも関し、この複合体は少なくとも2つのポリペプチド成分を含 有し、この際第1の成分はalpB−配列により、またはそれから誘導された配 列によりコードされており、かつこの際第2の成分はalpA−配列またはそれ から誘導された配列、特に(d)SEQ ID NO.3中に示されたヌクレオ チド配列、 (e)遺伝子コードの同義語の範囲において(d)の配列に相当するヌクレオチ ド配列または (f)(d)および/または(e)の配列とストリンジェントな条件下にハイブ リダイズするヌクレオチド配列、を包含するDNA−分子から誘導された配列に よりコードされている。 複合体の第2のポリペプチド、即ちAlpA−成分が、SEQ ID NO. 4中に示されたアミノ酸配列、この配列と少なくとも80%および有利に少なく とも90%相同のアミノ酸配列またはこの配列と免疫学的に交差反応をするアミ ノ酸配列を包含するのが有利である。 本発明によるポリペプチドAlpBまたはその一部を抗体の製造のために免疫 原として使用することがで きる。こうして、本発明は本発明によるポリペプチド、または本発明による複合 体に向けられた抗体にも関する。有利であるのはN−末端、例えばSEQ ID NO.2中に示されたアミノ酸配列の最初の340および特に250アミノ酸 、に対する抗体である。 本発明の更なる課題は医薬組成物に関し、これは作用物質として本発明による DNA−分子、本発明によるポリペプチド、本発明によるポリペプチド複合体ま たは本発明による抗体を、場合により常用の医薬助剤、希釈剤、添加物および担 体と一緒に含有する。 本発明による医薬組成物は一方では、ヘリコバクター・ピロリ感染の診断のた めに使用することができる。核酸レベルでの診断は有利に、本発明によるalp B−遺伝子に特異的なDNA−配列を含有するハイブリダイゼーション−プロー ブの使用により、またはプライマーとして本発明によるDNA−分子の使用下に 増幅することにより行われる。蛋白質レベルにおいては、この診断は有利に本発 明による抗体を用いて行われる。 他方では、この医薬組成物はヘリコバクター・ピロリ感染の予防および治療に も使用される。有利に治療適用のためにはAlpB−ポリペプチドまたはその一 部を場合によりAlpA−ポリペプチドまたはその一部と一緒に活性接種物質の 製造に、または抗体を受動接種物質の製造のために使用する。 更に、本発明を次の実施例および図面により詳細に説明する。 図1 はプラスミドpMu140の制限酵素図を示し、これは制御領域および alpA−遺伝子(SEQ ID NO.3)の5’−末端を含有する。このa lpA−遺伝子はトランスポゾンTnMax9の挿入により不活性化される(説 明文字TnMaxを有する三角を参照)。このプラスミドの発現により、alp A−β−ラクタマーゼ−融合蛋白質が得られる。pMu140は突然変異体遺伝 子バンクからの最初のクローンであり、これから再形質転換および相同組み換え により、付着欠陥H.ピロリ−菌株p1−140が得られた。 図2 はalpA−遺伝子の一部および全alpB−遺伝子(SEQ ID NO.1)を含有するプラスミドpMT5の制限酵素地図を示す。この複製開始 点orifdおよびトランスポゾンTnMax9からのクロラムフェニコール−ト ランスフェラーゼ遺伝子catGCを突然変異したalpA−遺伝子座位および側 面に隣接するalpB−遺伝子領域を選択的バッククローニングに使用した。R esはTnMax9の分解部位を意味し、かつIRはトランスポゾンの逆位反復 を表す。M13−FPおよびM13−RP1はM13−前方(FORWARD)もしく はM13−逆(REVERSE)シークエンシング−プライマーの配列を含有する領域 を意 味する。クローニング位置SacIおよびStuIの間のポリリンカー−領域は プラスミドpBluescriptIIKSから由来する。 図3 はアドヘシンAlpAおよびAlpBのアミノ酸配列比較を示す。(A) 配列比較はGCG−プログラムBESTFITで実施し(Devereux等、1984)、 かつポリペプチドAlpAおよびAlpB全体を包含した。縦線は同一アミノ酸 を意味し;点は保存的アミノ酸交換を示す。2つの配列の類似性および同一性の 程度は配列の最後に記載した。(B)両方のポリペプチドのC−末端領域におい て明らかに高い同一性が確認された(341〜518位)、このことは多分細菌 外膜中の蛋白質の内在に責任を有している。典型的であるのは、フェニルアラニ ン(F)で終了する、C−末端領域の5つのアミノ酸であり、このことはグラム 陰性バクテリアの分泌性蛋白質において外膜中への挿入を示唆する(Struyve等 、1991)。 SEQ ID NO.1はH.ピロリ付着遺伝子alpBのヌクレオチド配列 および相応するアミノ酸配列を示す。 SEQ ID NO.2はH.ピロリからのalpB−付着ポリペプチドのア ミノ酸配列を示す。 SEQ ID NO.3はH.ピロリ付着遺伝子alpAのヌクレオチド配列 および相応するアミノ酸配列を示す。 SEQ ID NO.4はH.ピロリからのAlpA−付着ポリペプチドのア ミノ酸配列を示す。 例1 H.ピロリプラスミド遺伝子バンクの製造 H.ピロリ野生型株69Aの染色体DNAのプラスミド遺伝子バンクを設けた 。このために染色体DNAをLeying等(1992)の方法によりH.ピロリから 単離し、かつ制限エンドヌクレアーゼSau3AIおよびHpaIIでその都度 部分的に切断した。引き続きDNA−フラグメントを分取アガロースゲルで分離 し、かつ3〜6kbのフラグメントをゲルから溶離した。該DNA−フラグメン トを、特別にこのために構成した、制限酵素BglIIおよびClaIで切断し た、プラスミドベクターpMin2に連結し(T4−リガーゼ)、かつこの連結 反応バッチを、E.コリ株E181に、つまり既にトランスポゾンTnMax9 で形質転換されている株HB101(Bayer und Roulland-Dussoix,1969) のリソゲンのλ−ファージλCH616を含有する誘導体に形質転換した。その 際に約2400個の独立した形質転換体が得られた。 最小ベクターpMin2を含有するE.コリ株DH5αは、ドイツ微生物保存 機関(Deutschen Sammlunq von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSM ),Mascheroder Weg lb,D-38124 Braun schweig)に整理番号10007で寄託されている。トランスポゾン誘導体pT nMax9を含有するE.コリ株E181はDSMに整理番号10008で寄託 されている。例2 H.ピロリ突然変異体の単離 トランスポゾンの突然変異誘発を実施するために、その都度10個の形質転換 体を合し、かつ一緒に誘発し、このことにより合計でそれぞれ10〜20個のク ローンのプール190個をさらに処理した。この突然変異誘発体から、独立した 突然変異したH.ピロリ遺伝子を有するアンピシリン耐性E.コリ−プラスミド クローン191個を単離した。この192個のプラスミドをE.コリから単離し 、かつH.ピロリ株69Aの再形質転換のために使用した。これらの192個の 形質転換体から、分泌性タンパク質をコードする遺伝子において変異しているは ずのH.ピロリ突然変異体135個を単離した。次いでH.ピロリ突然変異体コ レクションをスクリーニングアッセイで、KatoIII上皮細胞に付着する能 力を失ったH.ピロリ突然変異体に関してテストした。 このために突然変異体をFITCでマークし、かつ37℃で1時間、上皮細胞 と一緒に培養した。付着に関するテストは直接、蛍光顕微鏡での観察により行っ た。その際に著しく減少した付着を示した2つの突然 変異体が発見された(No.P1−140およびP1−179a)。 どちらの突然変異体もまた第2の付着モデル、つまりヒトの胃の組織切片への 付着を示さなかった。H.ピロリ野性型株ならびに全てのその他の突然変異体は このモデルにおいてもまた強い付着を示した。 突然変異株P1−140の生産のために使用したプラスミドpMu140は図 1に記載されている。突然変異株P1−179aの生産のためにプラスミドpM u179a(図示せず)を使用した。両プラスミドのH.ピロリ69A中での独 立した形質転換は同定された付着性欠陥に導き、このことは2次的な突然変異は 細菌染色体中で発現しているのではなく、クローニングしたアドヘシン遺伝子中 のTnMax9挿入が、観察されたH.ピロリ突然変異体の表現型に導いたこと を裏付けた。トランスポゾンTnMax9により不活性化されたプラスミドクロ ーンpMu140およびpMu179の遺伝子の地図作製および配列決定は、ど ちらのクローンも同一の遺伝子であり、単にトランスポゾンが異なった位置に挿 入されていたことを示していた。コードされたタンパク質はリポタンパク、つま りリピドアンカーで膜に付着しているタンパク質であるので、相応する遺伝子を AlpA(adherence-associated lipoprotein A)と命名する。膜タンパク質お よびタンパク質のC末端における特定の保存 されたタンパク質配列(C末端フェニルアラニン)( 造予測による我々のデータから、グラム陰性菌の外膜に付着した膜内在性タンパ ク質であることがわかる。 例3 alpB付着遺伝子の同定 alpA遺伝子座の遺伝子の特徴付けに従って側方に隣接するゲノムの配列を E.コリ中でクローニングし、かつ配列決定した。下流にあるalpA隣接領域 のクローニングをH.ピロリからの染色体のTnMax9挿入のバッククローニ ングにより行った。突然変異体P1−179aの染色体DNA(例2を参照)を 制限エンドヌクレアーゼSacIおよびStuIで切断し、生じたDNA−フラ グメントをプラスミドpBluescript II KSのポリリンカーから のSacI−HincII−フラグメントと一緒にT4−リガーゼの使用下で環 状化し、かつコンピテントE.コリ E131細胞に形質転換し、その際にクロ ラムフェニコールに対して選択を行った。 得られた形質転換体は全て、突然変異したalpA遺伝子を有し、かつ隣接す る配列を有しているはずである。というのは複製および増殖はTnMax9によ り挿入された染色体の複製の開始点orifdを経由し、かつTnMax9に局在 するクロラムフェニコール耐性遺伝子によってのみ行うことができるからであっ た。得られた組み換えプラスミドpMT5(図2)の1つをさらに分析した。 pMT5の配列決定およびここから製造されたサブクローンはalpA遺伝子 (停止コドンの後の67個のヌクレオチド)に引き続き別の開放読み取り枠の開 始を示し、これは518個のアミノ酸のポリペプチドをコードし、かつalpB と命名した(SEQ ID No.1および2)。遺伝子の構築に基づき、オペ ロンから出発し、かつ恐らくalpAおよびalpBを唯一のプロモーターから 転写することができるであろう(polycystronic mRNA)。 AlpB遺伝子生産物はAlpAとちょうど同じ数のアミノ酸を有する。Al pBポリペプチド配列のN末端領域の分析は、典型的な原核生物シグナル配列の 存在を示しており、これは分泌性ポリペプチドを示す。AlpAおよびAlpB 間のアミノ酸レベルでの比較は全ポリペプチドにわたって46%の同一性を示す 。C末端部(アミノ酸341〜518)は66%の同一性を示す(図3)。 例4 付着遺伝子AlpAおよびAlpBの機能的関係 AlpAおよびAlpBの機能的関係を調査するために2つのTnMax9ト ランスポゾン挿入を異なった位置でalpB遺伝子に導入し(Pos.97およ びPos.1108)、かつ自然な形質転換によりH. ピロリ69aのゲノムに転移させた。トランスポゾンのH.ピロリ染色体への正 確な挿入およびこれによるalpB遺伝子の不活性化をサザン−ブロット−ハイ ブリダイゼーションにより検証した。 生じたalpB欠陥突然変異体を胃上皮細胞への付着能力に関して分析した。 どちらのalpB突然変異体も組織切片からなる胃上皮細胞への付着を示さない ことが判明した。 alpB突然変異体におけるAlpAの安定した発現は免疫ブロットにより検 出することができた。これによりAlpBが直接alpB突然変異体の付着性欠 陥の原因であることが明らかになった。両方のポリペプチドのC末端領域におけ る構造予測および高い相同性に基づいて推測しうることは、AlpBもまた外側 の細菌膜に挿入されて存在し、かつ場合によりAlpAと共に複合体を形成しう ることである。このような複合体はヘテロダイマーの、またはマルティマーの集 合体として機能的アドヘシンとして有効であり得る一方で、サブユニットの損失 は、それがAlpAであろうとAlpBであろうと、既にアドヘシン複合体の機 能損失ひいては場合により細菌の付着性欠陥につながる。 文献
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 39/106 A61K 39/395 R 39/395 C07K 16/12 C07K 16/12 19/00 19/00 C12N 1/15 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 C12P 21/02 C 5/10 21/08 15/02 G01N 33/569 F C12P 21/02 C12N 5/00 A 21/08 B G01N 33/569 15/00 C A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN, CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,G E,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR ,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV, MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,P L,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK ,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ, VN (72)発明者 トーマス エフ マイアー ドイツ連邦共和国 チュービンゲン シュ ペーマンシュトラーセ 30 (72)発明者 アンドレ ブルーム スイス国 ロマンモティエ ヴェルスレ コレジュ(番地なし) (72)発明者 イレーヌ コートシー−トゥラ スイス国 ローザンヌ ルト デュ ジョ ラ 144

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. ヒト細胞への付着能力を有するポリペプチドをコードするDNA−分子に おいて、 (a)SEQ ID NO.1中に示されたヌクレオチド配列、 (b)遺伝子コードの同義語の範囲において(a)の配列に相当するヌクレオ チド配列、または (c)(a)および/または(b)の配列とストリンジェントな条件下にハイ ブリダイズするヌクレオチド配列を包含することを特徴とするDNA−分子。 2. ヌクレオチドレベルにおいて、SEQ ID NO.1中に示されたヌク レオチド配列に少なくとも80%の相同を示す請求項1記載のDNA−分子。 3. ポリペプチドの切断片をコードし、かつ少なくともヌクレオチド15個の 長さを有するが、その際このDNA−分子がヌクレオチド配列EMBL ACU 22062 Pos8813〜8827(GTAGTGGTGGTGGTG)ではない、請求項 1または2記載のDNA−分子。 4.(d)SEQ ID NO.3中に示されたヌクレオチド配列、 (e)遺伝子コードの同義語の範囲において(d)の配列に相当するヌクレオ チド配列、または (f)(d)および/または(e)の配列とストリンジェントな条件下にハイ ブリダイズするヌクレオチド配列、 と融合している請求項1から3までのいずれか1項記載のDNA−分子。 5. 請求項1から4までのいずれか1項記載のDNA−分子のコピーを少なく とも1つ含有することを特徴とするベクター。 6. 請求項5記載のベクターで形質転換していることを特徴とする細胞。 7. 請求項1から4までのいずれか1項記載のDNA−分子によりコードされ ているポリペプチド。 8.(a)SEQ ID NO.2中に示されたアミノ酸配列、 (b)(a)からの配列と少なくとも80%相同であるアミノ酸配列、 (c)(a)および/または(b)による配列と免疫学的に交差反応するア ミノ酸配列を包含する請求項7記載のポリペプチド。 9. ヒト細胞に付着能力を有する請求項7または8記載のポリペプチド。 10.少なくとも2つのポリペプチド成分を含有し、この際第1の成分は請求項1 から3までのいずれか1項記載のDNA−分子によりコードされており、かつこ の際第2の成分は、 (d)SEQ ID NO.3中に示されたヌクレオチド配列、 (e)遺伝子コードの同義語の範囲において(d)の配列に相当するヌクレオ チド配列、または (f)(d)および/または(e)の配列とストリンジェントな条件下にハイ ブリダイズするヌクレオチド配列を包含するDNA−分子によりコードされてい る、ポリペプチド複合体。 11.第2の成分が、 (a)SEQ ID NO.4中に示されたアミノ酸配列、 (b)配列(a)と少なくとも80%相同であるアミノ酸配列、 (c)(a)および/または(b)による配列と免疫学的に交差反応するアミ ノ酸配列を包含する請求項10記載の複合体。 12.細胞が請求項1から4までのいずれか1項記載のDNA−分子で、または請 求項5記載のベクターで形質転換しており、この形質転換した細胞をこのポリペ プチドの発現が行われる条件下で培養し、かつこのポリペプチドを細胞または/ および培養上澄みから単離することを特徴とする請求項7から9までのいずれか 1項記載のポリペプチドの製法。 13.請求項7から9までのいずれか1項記載のポリペプチドの、抗体形成のため の免疫原としての使用。 14.請求項7から9までのいずれか1項記載のポリペプチドまたは請求項10ま たは11項記載の複合体に対する抗体。 15. SEQ ID NO.2に示されたアミノ酸配列のN−末端に対して反応 する請求項14記載の抗体。 16.作用物質として請求項1から4までのいずれか1項記載のDNA−分子、請 求項7から9までのいずれか1項記載のポリペプチド、請求項10または11記 載のポリペプチド複合体、または請求項14または15記載の抗体を、場合によ り常用の医薬助剤、希釈剤、添加剤および担体と一緒に含有することを特徴とす る医薬組成物。 17.請求項16記載の医薬組成物の、ヘリコバクター・ピロリ感染の診断のため の使用。 18.請求項16記載の医薬組成物の、ヘリコバクター・ピロリ感染の予防または 治療のための薬剤を製造するための使用。
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