JP2000512626A - 細胞分裂阻止性ステロール - Google Patents

細胞分裂阻止性ステロール

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JP2000512626A JP09542238A JP54223897A JP2000512626A JP 2000512626 A JP2000512626 A JP 2000512626A JP 09542238 A JP09542238 A JP 09542238A JP 54223897 A JP54223897 A JP 54223897A JP 2000512626 A JP2000512626 A JP 2000512626A
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Abstract

(57)【要約】 式(I)(式中、Xは直鎖または分岐鎖のヒドロキシ置換C1−C15炭化水素鎖である)で示される化合物は、急速に増殖する細胞および黒色腫などの癌に付随する状態の治療において有用性を有する。

Description

【発明の詳細な説明】 細胞分裂阻止性ステロール 本発明は、ステロイド核中のオキソ基および共役二重結合および側鎖中のヒド ロキシル基を有するコレステロール誘導体の細胞増殖のインヒビターおよび/ま たは異常細胞の死亡のインデューサーとしての使用に関する。 国際特許出願第WO96/28175号には、化合物27ヒドロキシコレステ ロール: の抗癌剤、とりわけ転移性の肝臓癌、結腸癌および乳癌に対する抗癌剤としての 使用が記載されている。この化合物は、天然のコレステロールと同様にΔ5、す なわちステロイドB環の5位炭素と6位炭素との間に不飽和結合を有する。しか しながら、ザンダー(Zander)らはJ.Chem.Research(S)1977 219にお いて、対応の25−ヒドロキシル化Δ5類似体が肝細胞アッセイにおいて細胞分 裂阻止活性を有しないことを示唆している。WO96/28175号は25、2 6または27アミノコレステロールなどの該化合物のある種の類似体を広く示唆 しているが、Δ4誘導体、すなわちステロイドA環中の4位炭素と5位炭素との 間の不飽和結合を有する化合物は開示していない。 細胞分裂阻止活性を有する他のΔ5コレステロールとしては、式: で示される7β−ヒドロキシコレステロールが挙げられ、これはクウォク−ピン ・チャン(Kwok−Ping Cheng)ら(J.Chem.Research(S)1977、217) およびヒエッター(Hietter)ら(Cancer Biochem Biophys 1986 vol.9、 75〜83頁)により記載されているように漢方薬ボンビックス・クム・ボトラ イト(Bombyx cum botryte)、蚕の真菌侵入(fungal infestation of silk wor m)、の一成分として最初に記載された。国際特許出願第WO91 11452号 にはかかる化合物の3β−ヒドロキシでのグリコシル化が記載されており、ロン グ(Rong)ら(Acad.Sc.パリ1985、300シリーズIII、89〜94)は対 応するビス−ヘミサクシネートを記載している。 ムーグ(Moog)ら(Biochimie 1991 73(10)1321〜6頁)は、 種々の刺激に対するリンパ球の応答を強く抑制するΔ5化合物7,25−ジヒドロ キシコレステロール: の免疫抑制効果を探求している。活性はプロテインキナーゼCおよび細胞膜中へ のジヒドロキシコレステロールの導入に関係していると思われる。明らかに遊離 のΔ5オキシステロールは生きた動物において腫瘍増殖を抑制しないが、ムーグ ら(Anticancer Res 13(4)953〜8(1993))およびジ・ムーグ(J i,Moog)ら(Canc.Biochem.Biophys.11(1)45〜47(1990))は ピリミジンヌクレオシドを有する7β,25−ジヒドロキシコレステロールのリ ン酸ジエステルが細胞分裂阻止に有用であると報告している。しかしながら、類 似のヌクレオシド−コレステロールエステルが 核酸合成レベルで働くとのジの観察は、ステロイド対(viz a viz)ヌクレオシ ドによる細胞毒性への貢献を決定するのを困難にしている。 分岐不飽和側鎖を有するΔ5化合物7β−ヒドロキシコレステロールの類似体 は、7−ヒドロキシ基を欠くΔ5類似体におけるある種のヒドロキシル化不飽和 側鎖がそうであるように、ナガノ(Nagano)らにより(J.Chem.Res.(S)19 77、218)高濃度(33μg/ml)でのラット肝細胞毒性が示唆されてい る。この著作にはまたΔ4化合物: (二重結合はステロールの異なる環中に存在する)が33μg/mlの比較的高 濃度で穏やかな細胞分裂阻止活性を有することも記載されている。 本発明者らは、ヒドロキシル化側鎖とともに3−ケト基およびΔ4に共役二重 結合を有する化合物が、従来の化合物に比べて何倍も効力の高い細胞分裂阻止活 性を有することを見出した。 本発明の第一の側面によれば、式I: (式中、Xは直鎖または分岐鎖のヒドロキシ置換C1−C15炭化水素鎖である) で示される化合物が医薬に使用するために提供される。 本発明の範囲内の好ましい化合物は、式IA: (式中、R'およびR"の一方はOHであり、他方はHである)を有する。式Iの 特に好ましい化合物としては、7β,25−ジヒドロキシ−4−コレステン−3 −オン、7α,25−ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オンおよび7β,27 −ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オンが挙げられる。 エナンシオマー7β,25−ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オンはこれ まで文献に記載されておらず、それゆえ、本発明のさらなる側面は該化合物を好 ましくは実質的に純粋な形態、たとえば>75%、好ましくは>90%および最 も好ましくは>95%の鏡像体純度で提供する。 本発明はさらに、好ましくは式IAの本発明の化合物を生理学的に許容しうる 希釈剤または薬理学的担体とともに含む医薬組成物を提供する。 本発明の有利な側面には、種々の癌やウイルスによりトランスフォーメーショ ンした哺乳動物細胞などの急速に増殖する細胞に関連すろ状態を治療するための 医薬を調製するために上記一群の化合物を使用することが含まれる。代表的な癌 (ウイルスによりトランスフォーメーションされるものでもされないものであっ てもよい)としては、軟組織肉腫などの肉腫、白血病などの骨髄増殖性の腫瘍、 神経膠芽細胞腫、膵臓癌、卵巣癌および腺細胞癌が挙げられる。他の応用分野は 、乾癬、正常な表皮代謝回転の制御不能の疾患である。表皮細胞の有糸分裂の増 加は、表皮の肥大および不完全なケラチン痂(keratin scales)となる。 それゆえ、本発明はまた、式Iまたはより好ましくは式IAの化合物の有効量 をそれを必要とするヒトまたは動物に投与することを含む、急速に増殖 する細胞に関連する状態の治療方法をも提供する。 本発明の好ましい側面は、上記化合物の医薬の調製またはヒトもしくは動物に おける乳癌または結腸癌の治療方法への使用を提供する。本発明の特に好ましい 側面は、上記一群の化合物の医薬の調製または悪性黒色腫細胞の治療方法への使 用を提供する。 本発明の化合物には、ステロイドの技術分野で知られている対応する薬理学的 に許容しうる誘導体も含まれ、該誘導体はインビボで式Iの各化合物を放出する 。適当な誘導体としては、ヒドロキシ基のエーテルおよびエステルおよび/また はオキソ基の誘導体が挙げられる。代表的なエステルおよびエーテルとしては、 たとえば上記WO91 11452号に記載されているようなグリコシド、およ びビス−ヘミスクシネート、リン酸エステル、グリコシドリン酸エステル、シリ ルエーテル、酢酸エステル、ギ酸エステルおよび他の脂肪酸エステル、たとえば オレイン酸エステル、グルクロニド、ホスホジエステル、シクロデキストリン、 たとえば2−ヒドロキシ−β−シクロデキストリンなどステロイドの技術分野で 知られているものが挙げられる。他の誘導体としては、対応オキシムおよび薬理 学的に許容しうる塩が挙げられる。 以下に一層詳細に示すように、本発明の化合物は細胞内代謝に供され、かかる 活性な代謝産物もまた本発明の範囲に含まれる。たとえば、7,25−ジヒドロ キシコレスト−4−エン−3−オンは対応するコレステン酸(cholestenoic aci d)に代謝される。それゆえ、上記特定の適応症のためにかかる活性な代謝産物 をヒトを含む哺乳動物に投与することは本発明の一つの側面とみなされる。 本発明の医薬製剤の性質は処置しようとする疾患に依存し、下記実施例は限定 を意図するものではない。 本発明の化合物は、経口投与のためにはカプセル剤、丸剤、錠剤、トローチ剤 、散剤、液剤、懸濁剤または乳剤などの固形または液体の剤型に製剤化 される。 本発明の化合物は、非経口投与のためには、薬理学的担体(水、アルコール、 油および他の許容しうる有機溶媒などの滅菌液体であってよい)を含む生理学的 に許容しうる希釈剤中の該化合物の溶液、懸濁液または乳濁液に界面活性剤およ び他の薬理学的に許容しうるアジュバントを添加してまたは添加せずに注射用投 与剤として投与してよい。 本発明の化合物はまた、活性成分の除放を可能にする仕方で製剤化しうるデポ 注射剤またはインプラント製剤の形態でも投与しうる。 局所投与のためには本発明の化合物は軟膏(unguent)、クリーム、軟膏(oin tment)またはローションの形態で投与しうる。 つぎに本発明を一例として図面を参照しながら以下にさらに記載する。 図1は、LDL(低密度リポタンパク質)コレステロールおよび線維芽細胞の 主要な自己酸化生成物の代謝および強力なHMG−CoAレダクターゼサプレッ サーの生成の簡略スキームの概要である。ステロイドの名称は表Iに掲げてある 。加水分解およびエステル化(示していない)に加えて、ステロールの主要な反 応は、I、27−ヒドロキシル化、II、7α−ヒドロキシル化;III、5−二重 結合の異性化を伴う3−酸化;およびIV、27−カルボキシ基への酸化である。 加水分解したLDLコレステロールはこれら反応を介して代謝される(黒塗りの 矢印)。7β−ヒドロキシ基のケトンへの酸化(V)もまた観察される。マイナ ーな反応は破線の矢印で示す。ステロールの25−ヒドロキシル化による7α, 25−ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オンの生成(示していない)は特定 の条件下で観察された。反応I、IIおよびIIIはウイルスによりトランスフォー メーションした線維芽細胞において妨害され、LDLコレステロールおよびコレ ステロールの自己酸化生成物によるHMG−CoAレダクターゼの不完全な抑制 を示した。トランスフォーメーションした細胞においても見かけ上正常な抑制作 用を有するステロー ル代謝産物は枠内に示してある。 図2は、トランスフォーメーションした線維芽細胞においてもHMG−CoA レダクターゼの強力なサプレッサーである3つの天然に存在するコレステロール 誘導体の構造を示す。ステロール、7α,27−ジヒドロキシ−4−コレステン −3−オン(I)、7α,25−ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オン(II )、および27−ヒドロキシ−7−オキソコレステロール(III)は、ヒト線維 芽細胞においてHMG−CoAレダクターゼを抑制するのにさらなる代謝を必要 とするとは思われなかった。これらステロールに共通するのは、ステロイド核中 の共役二重結合とともにオキソ基および側鎖中の遠位ヒドロキシル基の存在であ る。これらステロールは、その見かけ上の構造的類似性が対比されるような仕方 で描いてある。比較のために27−ヒドロキシル化3β−ヒドロキシ−5α−コ レスト−8(14)−エン−15−オン(IV)も示してある。 図3は、正常線維芽細胞をリポタンパク質とともにインキュベートした後に培 地から単離した中性オキシステロールのガスクロマトグラフィー−マススペクト ルGC/MS分析を示す。正常ヒト線維芽細胞(タンパク質含量1.1mg、皿 サイズ:143cm2)を10%FCS(ウシ胎仔血清)(コレステロール濃度 :1.2mM)を含有する10mlの培地とともに24時間インキュベートし、 ついでGC/MSによる分析のため培地を採取した。オキシステロールのトリメ チルシリルエーテルのフラグメントイオン流クロマトグラム特性を、分析の間に 2時間毎に採取したマススペクトルからコンピューターにより構築し、図示の目 的のためにイオンの強度(m/z)を適当な約数で乗じた。数字で示した主要な ステロールは表Iに掲げてある。等量の培地約0.2mlを、メチルシリコーン (methyl silicone)をコーティングした25m−ヒューズド(fused)シリカカ ラムを収容したフィニガン(Finnigan)SSQ710装置に注入し、オーブンの 温度を185℃から280℃ま で5℃×分-1の速度でプログラムした。 図4は、正常ヒト線維芽細胞の培地から単離した3H−標識した7α,27−ジ ヒドロキシ−4−コレステン−3−オンおよび7α−ヒドロキシ−3−オキソ− 4−コレステン酸のHPLC分析に関する。細胞を[3H]オレイン酸コレステ リルで標識したLDL(4%FCS)とともに68時間インキュベートし、つい で培地をHPLCによる分析のために採取した。実験の詳細については以下の「 一般的方法」および表IVを参照のこと。注入後、HPLCカラム溶出液の画分を シンチレーションバイアル中に15〜60分間隔で回収し、ついで放射能を決定 した。図示の目的のため、非標識7α,27−ジヒドロキシ−4−コレステン− 3−オン(上端のクロマトグラムに示す結果)または7α−ヒドロキシ−3−オ キソ−4−コレステン酸(メチルエステル誘導体として、下端のクロマトグラム )を生成物とともに注入したところ、これら化合物のピークはUVクロマトグラ ムにおいて認められる。UV検出器に連結したシリカ(リクロスパー(LiChrosp er))のカラムを移動相としてのヘキサン/イソプロピルアルコール(90:1 0)とともに用い、流速は1.0ml×分-1であった。 図5は、正常ヒト線維芽細胞(○)およびウイルスによりトランスフォーメー ションしたヒト線維芽細胞(●)におけるHMG−CoAレダクターゼに対する LDLの作用を示す。線維芽細胞中のHMG−CoAレダクターゼの活性は、種 々の濃度のFCSを含有する培地とともに24時間インキュベートした後に決定 した。FCSの不在下では培地は10%LDS(リポタンパク質欠失血清)を含 有していた。細胞はすべて10%LDSを含有する培地で24時間プレインキュ ベートした。FCSおよびLDS中のコレステロール濃度は、それぞれ1.2m Mおよび0.1mMであった。正常細胞およびトランスフォーメーションした細 胞でのHMG−CoAレダクターゼの対照活性は、それぞれ72%および101 ピコモル/分/mgタンパク質であっ た。 図6は、正常ヒト線維芽細胞における7α,27−ジヒドロキシ−4−コレス テン−3−オン(▲)、27−ヒドロキシ−7−オキソコレステロール(●)お よび7α,25−ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オン(■)のLDL誘発 産生、並びにHMG−CoAレダクターゼの抑制(○)の時間応答曲線を示す。 細胞(タンパク質含量:1.7mg、皿サイズ:143cm2)を10%FCSを 含有する培地(15ml)とともにインキュベートし、所定の時間に回収した。 FCS中のコレステロール濃度は1.2mMであった。細胞はすべて10%LD Sを含量する培地中で24時間プレインキュベートした(表IIIをも参照)。比 較のため、27−ヒドロキシコレステロールの産生(△)をも示す。 つぎに、本発明を以下の限定されない実施例により説明する。一般的方法 使用したステロイドは以下のようにして入手した:ジオスゲニン(Diosgenin) ((25R)−5−スピロステン−3β−オール)はシグマ(米国)から入手し 、27−酸素化ステロイドの合成の出発物質として用いた(アルナチャラム(Ar unachalam)ら(1981)J.Org.Chem.vol.46、2966〜2968;フィー ザー(Fieser)ら(1967)有機合成の試薬、1059頁、ジョン・ウイリー ・アンド・サンズ、ニューヨーク;ショーダ(Shoda)ら(1993)Steroids 、vol.58、119〜125)。さらに、対応27−ヒドロキシステロイドにつ いて記載されているように(上記ショーダら)、5−コレステン−3β,7α,2 5−トリオールを25−ヒドロキシコレステロールの3−酢酸エステル、25− トリメチルシリルエーテル誘導体から加水分解後に調製し、このステロイドをさ らに7α,25−ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オンに酸化した。他のス テロイドは以前の研究(アクセルソン(Axelson)ら(1995)J.Lipid Res.v ol.36、29 0〜298)に用いられたものであり、本発明者らはこの文献をこれら化合物を いかにして得たかの開示として言及する。 正常ヒト線維芽細胞(細胞株GM08333)はNiGMS、コリエル・イン スティチュート・フォア・メディカル・リサーチ(Corriel Institute for Medi cal Research)(カムデン、ニュージャージー)から入手し、SV40でトラン スフォーメーションしたヒト線維芽細胞90−VAIVはスタイン(Stein)博 士(ユニバーシティー・オブ・コロラド、ブールダー、コロラド)の好意により 贈呈されたものであった。ヒト結腸癌(WiDr)、乳癌(MDA231)、お よび悪性黒色腫(SK−MEL−2)細胞株はアメリカン・タイプ・カルチャー ・コレクションから入手した。 細胞株の増殖は、湿潤インキュベーター中に37℃にて95%空気、5%CO2 雰囲気に保持した組織培養フラスコ中、単層で行わせ、必須および非必須アミ ノ酸および10%FCS(v/v)を添加したダルベッコ変性イーグル培地(M DA213)かまたは最小イーグル培地(他の細胞)のいずれかで培養した。実 験目的のため、細胞を皿中で培養した。細胞を5,000細胞/cm2の密度で植 え込んだ。実験を48〜72時間後に開始し、この時点で細胞密度は約20,0 00/cm2に達していた。コレステロールまたはオキシステロールの代謝を調 べる場合、正常またはウイルスによりトランスフォーメーションした線維芽細胞 (57〜143cm2の皿中の細胞数3〜6×106)をまず10%LDSを含有 する培地中で24時間プレインキュベートし、ついで4〜10%FCS(3H− 標識したコレステロールまたはオレイン酸コレステリルとともにまたはなしで) を含有する7〜10mlの培地とともに3〜68時間インキュベートするか、ま たは10%LDS中のオキシステロールとともに24〜48時間インキュベート した。対照の細胞も同様にしてインキュベートしたが、15分間のみであった。 正常およびトランスフォーメーションした線維芽細胞に対するシクロスポリンA (CsA)、ケトコナ ゾール、およびオキシステロールの作用を、0〜10%FCSおよび10〜0% LDSを含有する細胞培地中、それぞれ10〜30μM、30μMおよび0.1 2μMの濃度で試験した。これら物質を新たに調製したエタノール溶液中にてイ ンキュベーション培地に加えると培地のエタノール濃度は0.1〜0.5%となっ た。対照の細胞も同様にしてインキュベートしたが、CsA、ケトコナゾール、 またはオキシステロールなしで行った。HMG−CoAレダクターゼ活性を決定 するときの皿のサイズおよび容量は、それぞれ20cm2および5mlであり、 インキュベーションは3〜24時間、2回ずつ行った。各ステロールを2〜5の 別々の実験にて試験した。ついでHMG−CoAレダクターゼ活性の決定をすで に記載されたようにして行った(アクセルソンら(1995)J.Biol.Chem.27 、15102、カベニー(Cavenee)ら(1981)、J.Biol.Chem.256、 2675およびエドワーズ(Edwards,P.A.)ら(1979)J.Lipids Res.20 、40)。 インキュベーション培地および細胞中に存在するオキシステロールの抽出およ び精製手順は、本質的に以前に記載されたものと同じであった(アクセルソン1 995上掲)。親油性アニオン交換樹脂から中性オキシステロール画分を回収し た後、より強い酸(硫酸ステロイドを含む)を含む画分を72%水性メタノール 中の0.5M酢酸カリウム/水酸化カリウム、見かけのpH10.0で溶出する前 に、遊離のカルボキシル基を有するステロイドを含む画分を95%水性メタノー ル中の0.15M酢酸で溶出した(アクセルソンら、J.Biol.Chem.(1991)266 、17770)。 オキシステロールのトリメチルシリルエーテルおよびステロイド酸のメチルエ ステルトリメチルシリルエーテル誘導体を、アクセルソン1995上掲の記載に 従ってガスクロマトグラフィーマススペクトル分析(GC/MS)により分析し た。 上記グループ分画および精製の前または後に、3H−標識コレステロール、 オレイン酸コレステリルおよび25−ヒドロキシコレステロールおよび/または その放射性代謝産物をHPLCにより分析した。3H−標識したコレステロール およびコレステリルエステルを、ヘキサン/イソプロピルアルコール、98:2 (v/v)を移動相として用いた直相(straight−phase)HPLCにより分離 する前に、インキュベーション培地とイソプロピルアルコールおよびヘキサンの 混合物の小さなアリコートから、または細胞とエタノールおよび水の混合物から 抽出した(アクセルソン1995上掲)。HPLC溶離液から適当な画分をバイ アル中に回収し、ついでシンチレーションカウンティングにより放射能を決定し た。[3H]コレステロールまたは[3H]オレイン酸コレステリルの放射性の中 性または酸性代謝産物を上記と同様にして培地および細胞から単離し、ついでH PLCにより特徴付けした:この目的のため、3つのHPLCシステムを以下の 順序で用いた。逆相HPLCを、ポンプ(コンスタメトリック(Constametric) III)および220nmまたは240nmにセットした可変波長検出器(LDC /ミントン・ロイ(LDC/Minton Roy)、リビエラビーチ、フロリダからのス ペクトラモニター(Spectra Monitor)D)および100μlループを有するレ オダイン(Rheodyne)モデル7125インジェクターを用いたリクロスファーの カラム(250×4mm、ハイバー(Hibar)、100RP−18、5μm、メ ルク、ダルムシュタット ドイツ)にて行った。中性の代謝産物に用いた移動相 はメタノール/エタノール/水、80:20:10(容量ベース、流速1ml× 分-1)の混合物であり、0分と11分との間(画分1;極性の代謝産物、たとえ ば7α,27−ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オンを含有、保持時間約4. 5分)および11分と14分の間(画分2;7α−ヒドロキシ−4−コレステン −3−オンおよび27−ヒドロキシコレステロールを含有、保持時間それぞれ1 1.5分および12.5分)に画分を回収した。ついで、画分1中のステロールの 分離のためまたはステロイド酸(メチルエステル誘 導体として)の分離のために移動相を85%水性メタノール(流速1ml×分-1 )に変えた。前者の場合、7α,27−ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オ ン(保持時間約8.5分)を含有する溶離液の画分が8.0分と9.0分との間に 回収され、後者の場合、7α−ヒドロキシ−3−オキソ−4−コレステン酸(保 持時間約12分)を含有する溶離液の画分が11.0分と13.0分との間に回収 された。ついで、これら画分および画分2(7α−ヒドロキシ−4−コレステン −3−オンおよび27−ヒドロキシコレステロールを含有)を直相HPLCによ り再分析した。後者のHPLCは上記と同様の装置を用いて行ったが、リビエラ ビーチ(ハイバー、Si100、5μM、メルク)のカラム(250×4mm) を用いた。移動相は、画分2(7α−ヒドロキシ−4−コレステン−3−オンお よび27−ヒドロキシコレステロールの保持時間は、それぞれ約8分および9分 )を分析するときはヘキサン/イソプロピルアルコール、94:6(v/v)で あり、7α,27−ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オンまたは7α−ヒド ロキシ−3−オキソ−4−コレステン酸メチルエステルを含有する画分を分析す るときは同90:10(v/v)であった。流速はすべての場合に1.0ml× 分-1であった。後者の分析におけるHPLC溶離液をシンチレーションバイアル 中に15〜60分間隔で回収し、シンチレーション液を加えた後に放射能を決定 した。 培地および細胞中の25−[3H]ヒドロキシコレステロールを抽出後にHP LCにより分析した。培地をエタノールで抽出し、遠心分離および上澄み液の除 去後、ペレットをエタノール/イソプロピルアルコール、1:1(v/v)で再 抽出した。抽出物を混合し、ついで溶媒を蒸発させた。非極性化合物をヘキサン 中に溶解し、除去後、固体残渣を60%水性メタノール中に溶解し、これをオク タデシルシラン結合シリカ(プレパラティブC18:ウォルターズ・アソシエーツ (Walters Associates Inc.)、ミルフォード、マサチューセッツ)のカラム( 1.5×0.8cm)に通し、回収した。つい で、溶出液中のメタノールを真空除去し、水性溶液を同じカラム上で再抽出した 。カラムを水洗した後、吸着したステロイド(極性代謝産物)をメタノール/ク ロロホルム、1:1(v/v)で溶出し、ヘキサン画分中に存在する非極性代謝 産物と混合した。ついで、この混合抽出物を、逆相HPLC(移動相;メタノー ル/エタノール/水、80:20:10(v/v))または直相HPLC(移動 相:ヘキサン/イソプロピルアルコール、97:3(v/v))による分析に供 する前に、蒸発乾固し、メタノールまたはヘキサン/イソプロピルアルコール、 90:10(v/v)中に溶解した。実施例1 ヒト線維芽細胞での酸素化コレステロール誘導体の生成 表Iは、正常ヒト線維芽細胞とともにインキュベートした後の培地(10%F CSを含有)から中性および酸性画分において同定された酸素化コレステロール 誘導体およびそれぞれトリメチルシリルエーテルおよびメチルエステルトリメチ ルシリルエーテル誘導体としてのガスクロマトグラフィー/マススペクトル分析 特性を示す。 aC、コレステロール;CA、コレスタノエート(cholestanoate);上付き文字 は二重結合の位置を示す;ギリシャ文字はヒドロキシル基の立体配置を示す。b RI、保持係数(Retention Index)、コバッツ(Kovats)、架橋メチルシリコ ーンでコーティングしたヒューズドシリカキャピラリーカラム上。c m/z値が200〜300を越える荷電イオンの強度は一層軽いフラグメント のものに比べて上昇した;ベースピークをイタリックで示す;m/z、質量/荷 電。d 仮の表示、入手できない参照化合物。e 図3に列挙したピーク。 表IIは、リポタンパク質とともにインキュベートしたときの正常ヒト線維芽細 胞およびウイルスでトランスフォーメーションしたヒト線維芽細胞でのオキシス テロールの産生を示す。中性および酸性の酸素化コレステロール誘導体の量は、 線維芽細胞とともに48時間インキュベートした後に10%FCS(コレステロ ール濃度1.2mM)を含有する培地(10ml)中で決定した。0.25時間イ ンキュベートした細胞は対照とした。 a略語およびステロイド名については表Iを参照。b 中央値:範囲として表示、<=検出限界またはそれ以下の量c 正常線維芽細胞およびウイルスでトランスフォーメーションした線維芽細胞の タンパク質含量はそれぞれ0.6mgおよび1.4mgであった。インキュベーシ ョン皿のサイズは57cm2であった。細胞はすべて10%LDSを含有する培 地中で24時間プレインキュベートした。d n=インキュベーションの回数e インキュベーションの間または試料精製の間のコレステロールの自己酸化によ っても生成しうる。 図3は、正常線維芽細胞をリポタンパク質とともにインキュベートした後に培 地から単離した中性C27−ステロイドのGC/MS分析を示す。 表Iからわかるように、正常線維芽細胞をリポタンパク質(10%FCSを含 有する培地)とともに28〜48時間インキュベートしたときに13の中性C27 ステロイドおよび5の酸性C27ステロイドが培地中に認められた。 同定は誘導体のGC保持係数およびマススペクトルに基づいて行い、これを真 性のステロイドのものと比較した。これらステロイドのほとんどは、C−7およ び側鎖の両方にさらに酸素基を有していた。細胞抽出物中にはこれ以上ステロイ ドは同定されず、コレステロールの自己酸化産物(上記参照)を例外として細胞 抽出物中のオキシステロイドの量は低くほんとんど検出不能(培地中のものの< 10〜20%)であった。このため、細胞中のオキシステロールは他に断らない 限り通常、分析しなかった。 正常な線維芽細胞およびトランスフォーメーションした線維芽細胞をリポタン パク質とともにインキュベートした後の定量的な結果は表IIに認めることができ る。LDLコレステロールから生成される27−ヒドロキシコレステロール(ア クセルソン)に加えて、3つの他の27−ヒドロキシル化ステロールの量もまた 正常線維芽細胞とともにインキュベートしたときに10〜 20倍増加した。これらステロールは、7α,27−ジヒドロキシ−4−コレス テン−3−オン、27−ヒドロキシ−7−オキソコレステロールおよび7β,2 7−ジヒドロキシコレステロールであった。実際、これらのうちの前者は生成さ れた主要なオキシステロールであった。対応のC27−酸の量もまた増加した(約 5〜10倍)。また、25−ヒドロキシコレステロールおよび7α,25−ジヒ ドロキシ−4−コレステン−3−オンも増加したが、前者の量はかなり変動し、 このステロールの一部はコレステロールの自己酸化により生成されることを示し ていた。7α−ヒドロキシコレステロールの量の減少も認められ、インキュベー ションの間にこのステロールが消費されることを示していた。その他のステロイ ドの量は対照の量と同等であり、FCSを培地に加えたときにFCS中に存在す ることを示唆していた。 トランスフォーメーションした線維芽細胞では遥かに少量のオキシステロール が生成された(表II)。たとえば、27−ヒドロキシコレステロールの量は約2 倍しか増加せず、他の27−ヒドロキシル化ステロールは培地中で殆ど検出され なかった。7α−ヒドロキシ−4−コレステン−3−オンの量のみが有意に増加 したが(このことは正常な線維芽細胞には当てはまらなかった)、これはその潜 在的な前駆体である7α−ヒドロキシコレステロールの量の減少と関連している かもしれない。これらの結果は、トランスフォーメーションした線維芽細胞では ステロールの27−ヒドロキシル化が妨害されていることを示している。 表IIIに示すように、オキシステロールをその細胞産生の経時変化についても 調べた。表IIIは正常線維芽細胞をリポタンパク質とともにインキュベートした ときのオキシステロールの産生の時間−応答を示す。中性の酸素化コレステロー ル誘導体の量を、正常ヒト線維芽細胞(タンパク質含量1.7mg、皿サイズ1 43cm2)とともに0.25時間インキュベートした後に10%FCS(コレス テロール濃度1.2mM)を含有する培地(15ml)中で決 定した。細胞はすべて10%LDSを含有する培地で24時間プレインキュベー トした。 a略語およびステロイド名については表Iを参照。b インキュベーションの間または試料精製の間のコレステロールの自己酸化によ っても生成しうる。 表IIIに示すように、正常ヒト線維芽細胞の種々の長さの時間のインキュベー ションは27−ヒドロキシル化ステロールの生成がリポタンパク質への暴露から 3〜8時間後に開始されることを示した。25−ヒドロキシル化ステロールの産 生は最初の24時間以内には観察されなかった。7α−ヒドロキシコレステロー ルの量の減少がインキュベーションの8時間後に認められた。実施例2 LDLコレステロールおよび7−酸素化ステロールの正常線維芽細胞での代謝 細胞株、細胞培養の条件、オキシステロールおよびステロイド酸の分析および HPLC手順は実施例1と同様であった。 7α−ヒドロキシコレステロール、7β−ヒドロキシコレステロールおよび7 −オキソコレステロールの代謝を、これらステロール(5ナノモル)を10%L DSを含有する培地(10ml)中で正常ヒト線維芽細胞(タンパク質含量約0 .5mg、皿サイズ57cm2)とともに24時間または48時間インキュベート することにより調べた。パーセント表示した値は観察された代謝産物の分布を示 す。 7α−ヒドロキシコレステロールをインキュベートすると(24時間)、認め られた主要な代謝産物は7α−ヒドロキシ−4−コレステン−3−オン(57% )および7α,27−ヒドロキシ−4−コレステン−3−オン(43%)であっ た(酸は分析されなかった)。7α,27−ヒドロキシコレステロールは少量し か認められず(0.5%)、7α−ヒドロキシコレステロールの7α−ヒドロキ シ−4−コレステン−3−オンへの酸化/異性化が27−ヒドロキシル化に先行 することを示唆していた。対応する酵素活性が線維芽細胞において以前に認めら れている(スクリード(Skrede)ら(1986)J.Clin.Invest.78、729) 。7α−ヒドロキシ−4−コレステン−3−オンを線維芽細胞とともに48時間 インキュベートすると、ステロイドは7α,27−ジヒドロキシ−4−コレステ ン−3−オン(37%)および7α−ヒドロキシ−3−オキソ−4−コレステン 酸(63%)に広範に変換された。少量の25−ヒドロキシル化7α−ヒドロキ シ−4−コレステン−3−オン(0.5%)もまた認められた。これら結果は、 7α−ヒドロキシコレステロールが正常線維芽細胞により7α−ヒドロキシ−4 −コレステン−5− オン、7α,27−ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オンおよび7α−ヒド ロキシ−3−オキソ−4−コレステン酸に変換されうることを示しており、この ことがFCSとともにインキュベートする間の培地中でのこれら代謝産物の出現 および7α−ヒドロキシコレステロールの消失を説明できた(表II)。 7β−ヒドロキシコレステロールの代謝は7α−ヒドロキシコレステロールの 代謝とは異なっていた。このステロールを正常線維芽細胞とともに24時間イン キュベートしたとき、主要な代謝産物は7β,27−ジヒドロキシコレステロー ル(1%)および3β,7β−ジヒドロキシ−5−コレステン酸(62%)であ った。さらに、7β−ヒドロキシコレステロールのかなりの部分(約1/3)が 7−オキソコレステロール(20%)、27−ヒドロキシ−7−オキソコレステ ロール(1%)および3β−ヒドロキシ−7−オキソ−5−コレステン酸(14 %)に変換された。7β−ヒドロキシ基の酸化はまた7β,27−ジヒドロキシ コレステロールをインキュベートしたときにも起こった。 驚くべきことに、7β−ヒドロキシコレステロールの対応3−オキソ−Δ4誘 導体への変換は観察されなかったが、これはFCSとともに線維芽細胞をインキ ュベートした後の培地中の7β−ヒドロキシル化3−オキソ−Δ4ステロイドの 不在と一致していた(表I)。このことは、従来の7β−ヒドロキシコレステロ ール誘導体がインビボで本発明の化合物の効果を模倣することができないことを 示唆している。 7−オキソコレステロールを正常線維芽細胞とともにインキュベートすると2 7−ヒドロキシ−7−オキソコレステロール(55%)および対応C27−酸(3 5%)の生成という結果となった。少量が7β−ヒドロキシコレステロールに変 換されたが(10%)、7α−ヒドロキシル産物への変換は観察されなかった。 それゆえ、7−位と27−位の両方に酸素基を有するC27 −ステロイドの正常線維芽細胞による生成は、コレステロールの自己酸化生成物 の培地中の存在によるものであり得た。しかしながら、このことは7α,27− ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オンおよび7α−ヒドロキシ−3−オキソ −4−コレステン酸が27−ヒドロキシコレステロールにも由来する可能性を排 除するものではなかった。ヒト線維芽細胞による27−ヒドロキシコレステロー ルの7α−ヒドロキシル化は本願出願人によって最初に認められ(アクセルソン ら(1995)J.Lipid Res.36、290)、その後、これら細胞において一般 的に起こることがわかった(ツァング(Zhang)ら(1995)Biochem.Biophys .Acta.1256、353)。生成物7α,27−ジヒドロキシコレステロールは 細胞中で7α,27−ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オンおよび対応酸に 広範に変換される。 LDLコレステロールが(27−ヒドロキシコレステロールを経て)7α,2 7−ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オンおよびその酸に変換され得るか否 かを決定するため、7α−ヒドロキシコレステロール(これは培地がリポタンパ ク質を含有する場合に常に存在する)の貢献を考慮する必要があった。このこと は以下の実験により可能となった。FCS中のLDLおよび他のリポタンパク質 をまずオレイン酸[3H]コレステリルで標識し、ついでステロール27−ヒド ロキシラーゼの選択的インヒビターであるシクロスポリンA(CsA)の存在下 および不在下で正常線維芽細胞とともにインキュベートした(アクセルソン19 95上掲、プリンスン(Princen)ら(1991)Biochem.J.275、501、 ダルベック−シェーベルク(Dalback−Sjaberg)ら(1993)Biochem.J.29 、203)。このようにしてリポタンパク質を標識したとき、オレイン酸[3 H]コレステリルの細胞による取り込みがLLD受容体−依存プロセス(すなわ ち、LDLの生理学的取り込み(アクセルソン1995上掲))にのみ基づくも のである。インキュベーション後、放射性27−ヒドロキシコレステロール、7 α,27−ジヒ ドロキシ−4−コレステン−3−オンおよび7α−ヒドロキシ−3−オキソ−4 −コレステン酸をHPLCにより分析した。7α−ヒドロキシコレステロールの 直接の代謝産物である3H−標識7α−ヒドロキシ−4−コレステン−3−オン もまた決定した。3H−標識7α−ヒドロキシコレステロール(遊離またはエス テル化された)が培地中に存在すると、CsAの存在下ではCsAがさらなる代 謝を妨害するのでその3−酸化代謝産物が蓄積することが予想された(上記参照 )。CsAの不在下では代謝産物の量は7α−ヒドロキシコレステロールから7 α,27−ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オンおよびその酸への貢献を反 映するであろう。明らかに、CsAの存在下では27−ヒドロキシル化された化 合物の生成は本質的に予想されなかった(図1をも参照)。比較のため、線維芽 細胞はまた、細胞による取り込みがLDL受容体に全く依存しない[3H]コレ ステロールで標識したリポタンパク質とともにインキュベートした。 これらインキュベーションの結果を表IVにまとめて掲げてある。表IVは正常線 維芽細胞でのオレイン酸[3H]コレステリルからの放射性代謝産物の生成を示 している。3H−標識した27−ヒドロキシコレステロール、7α,27−ジヒド ロキシ−4−コレステン−3−オンおよび7α−ヒドロキシ−3−オキソ−4− コレステン酸の量を、オレイン酸[3H]コレステリルかまたは[3H]コレステ ロールで標識したLDL(4%FCS;コレステロール濃度、1.2mM)を含 有する培地(10ml)とともに正常線維芽細胞(タンパク質含量、0.7mg ;皿サイズ、57cm2)を68時間インキュベートした後の培地および細胞中 で決定した。ステロールの27−ヒドロキシル化をシクロスポリンA(CsA、 10μM)により妨害したときに、3H−標識7α−ヒドロキシ−4−コレステ ン−3−オンの蓄積はインキュベーションの間に培地中で自己酸化された[3H ]コレステロールまたはオレイン酸[3H]コレステリル(すなわち、遊離また はエステル化された7α−ヒドロキ シコレステロール)の存在を示していた。 a略語およびステロイド名については表Iを参照。b 値は培地および細胞中に認められた量の合計である;<=検出レベルの量また はそれ以下。c FCSをオレイン酸[3H]コレステリル(48×106dpm)または[3H] コレステロール(49×106dpm)とともにプレインキュベートした。細胞 はすべて10%LDSを含有する培地中で24時間プレインキュベートした。 オレイン酸[3H]コレステリルとともにインキュベートした後に、27−ヒ ドロキシコレステロールに加えて7α,27−ジヒドロキシ−4−コレステン− 3−オンおよび7α−3−オキソ−4−コレステン酸が3H−標識化合物として 認められた。これら代謝産物のHPLC分析を示す(図4)。CsAを用いた対 応インキュベーションにおいて放射性7α−ヒドロキシ−4−コレステン−3− オンの蓄積は観察されなかったので(表IV)、オレイン酸[3H]コレステリル の自己酸化(7α−ヒドロキシル化)はインキュベーションの間に生じなかった 。[3H]コレステロールを用いたインキュベーションでは、27−ヒドロキシ コレステロールの量はオレイン酸[3H]コレステリ ルよりも低かったが、大量の7α,27−ジヒドロキシ−4−コレステン−3− オンおよび対応酸が認められた。しかしながら、[3H]コレステロールおよび CsAとともにインキュベートすると3H−標識7α−ヒドロキシ−4−コレス テン−3−オンの有意の蓄積となり、27−酸素化代謝産物の大部分が自己酸化 された[3H]コレステロール(7α−ヒドロキシコレステロール)から生成さ れたものであることを示唆していた。オレイン酸[3H]コレステリルと[3H] コレステロールとにおける酸素に対する化学的安定性の差異は驚くべきであるが 、それらを水/メタノール環境下の空気および熱に24時間暴露することにより 確認した。オレイン酸[3H]コレステリルの自己酸化産物は検出されなかった が(<0.1%)、[3H]コレステロールの約2%が自己酸化された。それゆえ 、これら結果は、正常ヒト線維芽細胞においてLDLコレステリルエステルが加 水分解され、27−ヒドロキシコレステロールに変換され、ついでこれが7α− ヒドロキシル化され7α,27−ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オンおよ び7α−ヒドロキシ−3−オキソ−4−コレステン酸に酸化されることを示して いる。後者は、線維芽細胞におけるこの拡張されたLDL経路の主要な最終代謝 産物であると思われる。実施例3 トランスフォーメーションした線維芽細胞でのLDLコレステロールおよび側鎖 ヒドロキシル化ステロールの代謝 細胞株、細胞培養の条件、オキシステロールおよびステロイド酸の分析および HPLC手順は実施例1と同様であった。 正常線維芽細胞とは対照的に、トランスフォーメーションしたヒト線維芽細胞 をリポタンパク質とともにインキュベートした後に少量の27−酸素化ステロー ルしか培地中に検出されなかった(表II)。7α−ヒドロキシ−4−コレステン −3−オンの量の増大はステロールの27−ヒドロキシル化がこれら細胞で妨害 されることを示しうるが(上記参照)、培地中の27−ヒ ドロキシル化ステロールの欠如はまたLDLの細胞による取り込みの減少あるい は結合体(たとえば、脂肪酸エステルまたは硫酸エステル)の生成の増大にも基 づきうる。 表Vは、正常線維芽細胞およびトランスフォーメーションした線維芽細胞を放 射性コレステロールまたはオレイン酸コレステリルで標識したリポタンパク質と ともに48時間インキュベートした後の3H−標識コレステロールおよびコレス テリルエステルの分布を示す。正常線維芽細胞およびウイルスによりトランスフ ォーメーションした線維芽細胞を[3H]コレステロールまたはオレイン酸[3H ]コレステリルで標識したリポタンパク質(10%FCS)を含有する培地中で 48時間インキュベートした後の放射能の分布。FCS中の非標識コレステロー ルの全濃度は1.2mMであった。0.25時間のインキュベーションは対照とし た。 a正常線維芽細胞およびウイルスによりトランスフォーメーションした線維芽細 胞のタンパク質含量は、それぞれ0.6mgおよび1.4mgであった。インキュ ベーション皿のサイズは57cm2であった。細胞はすべて10%LDSを含有 する培地中で24時間プレインキュベートした。これらインキュベーションの結 果はまた表IIにも示してある。b インキュベーション培地への添加:培地に添加した[3H]コレステロールおよ びオレイン酸[3H]コレステリルの量は、それぞれ22.8×106dpmおよ び18.9×106dpmであった。ステロールをFCSとともに20℃で16時 間プレインキュベートした。c 回収した放射能のパーセント。添加した放射能の回収合計は>90%であっ た。d C/FCS:FCS中の[3H]コレステロール、CO/FCS:FCS中のオ レイン酸[3H]コレステリル。 同じインキュベーションからのオキシステロール産生の結果は表IIに示してあ る。表Vからわかるように、正常線維芽細胞およびトランスフォーメーションし た線維芽細胞での[3H]コレステロールの細胞による取り込みおよび保持(細 胞含量)は、それぞれ約16%および22%であった。約4%が両細胞型により エステル化された。オレイン酸[3H]コレステリルとともにインキュベートし た後、大部分は細胞内で加水分解されたが、該化合物の保持は正常細胞では約1 1%、トランスフォーメーションした細胞では15%であった。細胞からの加水 分解されたLDLコレステロールの流出のため、それぞれ約9%および35%の 加水分解[3H]コレステロールもまた正常線維芽細胞の培地およびトランスフ ォーメーションした線維芽細胞の培地中に存在した(アクセルソン1995上掲 、フィールディング(Fielding)ら、1995、J.Lipid Res.36、211〜2 28)。正常線維芽細胞およびトランスフォーメーションした細胞でのオレイン 酸[3H]コレステリルとのインキュベーションにおける細胞含量およびコレス テロールの流出は、それぞれ19%(32%/mgタンパク質)および50%( 36%/mgタンパク質)であった。これらの結果は、細胞のタンパク質含量を 考慮に入れた場合にもLDLの取り込み(オレイン酸[3H]コレステリルの取 り込みにより反映される)はトランスフォーメーションした細胞において減少せ ずおそらく増加していることを示している。それゆえ、トランスフォーメーショ ンした線維芽細胞による27−ヒドロキシル化ステロールの生成の減少(表II) はLDLの取り込みの減少によるものではなかった。 トランスフォーメーションした線維芽細胞の培地での27−ヒドロキシコレス テロールおよび他の27−ヒドロキシル化ステロールの欠乏が代謝また は結合体形成(conjugation)の増大(C27−酸の生成以外)によるものかどう かを決定するため、25−ヒドロキシコレステロールの代謝を調べた。このステ ロールを27−ヒドロキシコレステロールの代わりに選択した主な理由は、25 −ヒドロキシコレステロールが3H−標識形で入手でき、それゆえ主要な代謝産 物および結合体を追跡でき検出を免れることがないからであった。これらステロ ールの構造上の類似性のため(ともに3β−ヒドロキシ−Δ5構造および側鎖中 の一つのヒドロキシル基を有する)、その細胞での取り扱いは同様であると予想 された(25−ヒドロキシ基はカルボン酸に酸化されえないことを除いて)。表 VIは正常線維芽細胞およびトランスフォーメーションした線維芽細胞での25− [3H]ヒドロキシコレステロールの代謝を示す。とりわけ、表VIは、3H−標識 および非標識25−ヒドロキシコレステロールおよびLDS(コレステロール濃 度0.1mM)を含有する培地で正常線維芽細胞およびトランスフォーメーショ ンした線維芽細胞を48時間インキュベートした後に回収された放射能の分布を 示す。0.25時間のインキュベーションは対照とした。 a培地(10%LDSを含有する10ml)に添加した3H−標識および非標識2 5−ヒドロキシコレステロールの量は、それぞれ1.4×106dpmおよび1. 2ナノモルであった。正常線維芽細胞およびウイルスによりトランスフォーメー ションした線維芽細胞のタンパク質含量は、それぞれ0.6mgおよび1.4mg であった。インキュベーシヨン皿のサイズは57cm2であった。細胞はすべて 10%LDSを含有する培地中で24時間プレインキュベートした。b 数字は回収した放射能の%を示す。全回収は添加した放射能の約90%であっ た。c 移動相としてヘキサン/イソプロピルアルコール(97:3)および1ml× 分-1の流速を用いた直相HPLCでの保持時間は3.5〜4.0分であった。 脂肪酸でエステル化した25−ヒドロキシコレステロールとして仮に同定した。d 移動相としてメタノール/エタノール/水(80:20:10)および1ml ×分-1の流速を用いた逆相HPLCでの保持時間は3.0〜4.5分であった。こ の画分において、7α,25−ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オンをガス クロマトグラフィー−マススペクトルにより同定し、その量は放射能から計算し たものと同様であった。e 他の放射性化合物をも含むが、それぞれ全回収の1%未満である。 25−[3H]ヒドロキシコレステロールに加えて、2つの主要な放射性代謝 産物、すなわち極性のもの一つと非極性のもの一つがHPLCにより認められた 。他の代謝産物はそれぞれ回収した放射能の1%未満を構成した。7α−ヒドロ キシ基を有しない酸化された25−[3H]ヒドロキシコレステロール(すなわ ち、25−ヒドロキシ−4−コレステン−3−オン、下記参照)に対応する放射 能は観察されなかった。本発明者らはまた、弱酸(たとえば、遊離カルボキシル 基を有するもの)または強酸(たとえば、グルクロニドまたはモノ硫酸またはジ 硫酸エステル)(陰イオン交換クロマトグラフィーによる抽出物から単離された )を含有する画分中に放射能を検出しなかった(<1%)。極性代謝産物および 誘導体を含有するHPLC溶離液の画分を回収後、GC/MSにより7α,25 −ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オンと同定した(ツァング上掲)。非極 性代謝産物は直相HPLCにより25−ヒドロキシコレステロールの3−酢酸誘 導体の保持時間(保持時間4.9分)と同様の保持時間(3.7分)を有していた (遊離の25−ヒドロキシコレステロールの保持時間は11.8分であった)。 それゆえ、25−[3H]ヒドロキシコレステロールの脂肪酸エステルとして仮 に特徴付けた。このことは、該非極性代謝産物をメタノール溶液中の穏やかなア ルカリで処理した後に遊離の25−[3H]ヒドロキシコレステロールを回収す ることに より支持された。明らかに表VIは、これら2つの細胞株の間で25−[3H]ヒ ドロキシコレステロールの取り扱いに大きな差異があることを明らかにしている 。完全な25−[3H]ヒドロキシコレステロールは主として細胞中で認められ た(正常細胞では32%、トランスフォーメーションした細胞では50%)。2 5−[3H]ヒドロキシコレステロールの大部分(約43%;71%/mgタン パク質)は正常細胞(62)により7α,25−ジヒドロキシ−4−コレステン −3−オンに変換されたが、トランスフォーメーションした細胞では遥かに低か った(約3%;2%/mgタンパク質)。このステロールは主として培地中で回 収された。一方、25−[3H]ヒドロキシコレステロールのエステル化は、エ ステル量は比較的小さかったが(約7%)トランスフォーメーションした細胞に おいてのみ認められた。これら結果は、25−ヒドロキシコレステロールは正常 細胞およびトランスフォーメーションした細胞の両者により容易に取り込まれる が、正常細胞では該ステロールが広範に7α−ヒドロキシル化されるのに対し、 この反応はトランスフォーメーションした細胞では妨害されることを示している 。これら結果はまた、トランスフォーメーションした細胞での27−ヒドロキシ コレステロールの見かけの欠乏が結合体生成の低下によるよりもむしろ生成の低 下によるものであることを示唆していた。なぜなら、わずかに少量の類似ステロ ール、25−ヒドロキシコレステロールしかエステル化されず、他のいずれの結 合体も認められなかったからである、 これらの観察の後、正常細胞およびトランスフォーメーションした細胞での3 β,7α−ジヒドロキシ−Δ5ステロイドの3−オキソ−Δ4ステロイドへの酸化 /異性化の割合をも調べた。それゆえ、7α,27−ジヒドロキシコレステロー ル(1.2ナノモル)を10%LDSを含有する培地(10ml)中で正常線維 芽細胞およびトランスフォーメーションした線維芽細胞(タンパク質含量はそれ ぞれ0.4mgおよび1.1mg、皿のサイズは57cm2)と ともに48時間インキュベートし、ついで代謝産物をGC/MSにより分析した 。15分間のインキュベーションは対照とした。この分析は、このステロールが 細胞により容易に取り込まれることを示した。なぜなら約1%しか培地中に残留 しなかったからである。正常細胞の培地では、それぞれ約26%および39%が 7α,27−ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オンおよび7α−ヒドロキシ −3−オキソ−4−コレステン酸として回収された。トランスフォーメーション した細胞での対応する値は、28%および19%であった。トランスフォーメー ションした細胞では痕跡量(約1%)が3β,7α−ジヒドロキシ−5−コレス テン酸に変換された。7−オキソ−、7β−ヒドロキシ−、または他の代謝産物 は認められなかった。それゆえ、ほとんど同量の7α,27−ジヒドロキシコレ ステロールが正常線維芽細胞およびトランスフォーメーションした線維芽細胞に より酸化された。しかしながら、インキュベートした細胞数(細胞のタンパク質 含量)を考慮に入れると、トランスフォーメーションした細胞における酸化の割 合は正常細胞の約25%と計算された。これら研究は、27−および7α−ヒド ロキシル化酵素の見かけの活性が正常線維芽細胞に比べてトランスフォーメーシ ョンした線維芽細胞において遥かに低いが(細胞のタンパク質含量またはLDL の取り込みに対して補正したときに正常活性の<2%と評価される)、3β−ヒ ドロキシ−Δ5ステロールの酸化を触媒する酵素はあまり影響を受けないことを 示している。実施例4正常ヒト線維芽細胞およびトランスフォーメーションしたヒト線維芽細胞でのH MG−CoAレダクターゼに対するLDLおよびオキシステロールの作用 NiGMS、コリエル・インスティチュート・フォア・メディカル・リサーチ からの正常ヒト線維芽細胞(細胞株GM08333)およびSV−40 ウイルスによりトランスフォーメーションしたヒト線維芽細胞(90−VAVI )(スタイン博士(ユニバーシティー・オブ・コロラド、ブールダー、コロラド )の好意により贈呈された)を、湿潤インキュベーター中に95%空気/5%C O2雰囲気で37℃に保持した組織培養フラスコ中で単層で増殖させた。細胞を 必須アミノ酸および非必須アミノ酸および10%ウシ胎仔血清(FCS、ライフ ・テクノロジーズ、ストックホルム、スウェーデンから)を添加したダルベッコ 最小イーグル培地で培養した。ついで、細胞を皿(20cm2)に5,000細胞 /cm2の密度で植え込み、培地(5ml)は10%FCSを含有していた。実 験を48〜72時間後に開始し、この時点で約20,000/cm2の細胞密度が 達成された(細胞はまたインキュベーションの終了時点でほぼ集密的(subconfl uent)であった)。ついで、LDL(0.5〜8%FCS;コレステロール濃度 、1.2mM)およびオキシステロール(0.12μMの濃度にて試験)をイン キュベーション培地に添加する前に(後者は新たに調製したエタノール溶液中) すべての細胞をFCSをCab−O−Silで処理することにより調製した(ウ ェインスタイン(Weinstein)(1979)Circulation 54、補遺II59) 10%リポタンパク質欠失血清を含有する培地(5ml)で24時間インキュベ ートした。ついで培地のエタノール濃度は0.2%となった。対照の細胞は同様 にインキュベートしたがステロールなしで行った。24時間のインキュベーショ ンの後、細胞をリン酸緩衝食塩水で2回濯ぎ、カバンス(Cavance)ら、198 1、J.Biol.Chem.256、2675に記載されているように細胞のHMG−Co Aレダクターゼ活性のアッセイのために回収した。簡単に説明すると、細胞溶解 液を200mMリン酸カリウム、20mMジチオトレイトール、40mMグルコ ース−6−リン酸、5mM NADPHおよび5単位/mlのグルコース−6− リン酸デヒドロゲナーゼ中でインキュベートした。37℃で15分間プレインキ ュベーションした後、0.9ナノモル/L[14C]HMG −CoA(57mCi/ミリモル)および非標識HMG−CoA(HMG−Co Aの最終濃度は100μMであった)を37℃での60分間のインキュベーショ ンのために加えた。各試料の最終反応容量は60μLであった。5μLの5MH Cl(これはまた生成したメバロン酸をラクトン化させる)を加えて反応を停止 させた。既知量の[3H]メバロノラクトン(内部標準)を添加した後、一つの アリコートをイオン交換クロマトグラフィーにより[14C]HMG−CoAか ら[14C]メバロノラクトンを分離するために用い(エドワーズ(Edwards) ら、1977、J.Lipid Res.20、40)、一つのアリコートをタンパク質含量 の分光光度的決定のために用いた。[3H]−および[14C]−放射能を、ク エンチング(quenching)およびスピルオーバー(spill−over)のための自動補 正プログラムを備えたシンチレーションカウンター(ベックマンLS5000T A)により分析した。 表VIIは、正常線維芽細胞およびトランスフォーメーションした線維芽細胞で のHMG−CoAレダクターゼに対するLDLおよびオキシステロールの作用を 示す。とりわけ、表VIIは、正常ヒト線維芽細胞およびウイルスによりトランス フォーメーションしたヒト線維芽細胞でのHMG−CoAレダクターゼに対する LDL(0.5〜8%FCS;コレステロール濃度1.2mM)およびオキシステ ロール(10%LDSを含有する培地中に0.12μM)の作用を示す。HMG −CoAレダクターゼの活性は、線維芽細胞を24時間インキュベートした後に 決定した。細胞はすべて10%LDSを含有する培地中で24時間プレインキュ ベートした。 a略語およびステロイド名については表Iを参照。b 正常ヒト線維芽細胞で観察された代謝。27−ヒドロキシル化、7α−ヒドロ キシル化およびステロールの5−二重結合の異性化を伴う3−酸化を触媒する酵 素の活性は、腫瘍−トランスフォーメーションした線維芽細胞で低下することが 示された。c 対照の%。正常線維芽細胞およびトランスフォーメーションした線維芽細胞 でのHMG−CoAレダクターゼの活性は、それぞれ58および96ピコモル/ 分/mgタンパク質であった。d LDLおよびオキシステロールにより誘発されたHMG−CoAレダクターゼ の抑制の度合いの正常線維芽細胞とトランスフォーメーションした線維芽細胞と での差異 種々のオキシステロールの細胞内産生を正常線維芽細胞およびトランスフォー メーションした線維芽細胞で観察されたHMG−CoAレダクターゼの抑制と関 連付けることにより、およびステロールを代謝する酵素のインヒビターを用いる ことにより、以下のことが明らかとなった: 1.LDLコレステロールおよび多くのオキシステロール(27−ヒドロキシ コレステロール、3β−ヒドロキシ−5α−コレスト−8(14)−エン−15 −オン、およびコレステロールの自己酸化産物である25−ヒドロキシコレステ ロール、7−オキソーコレステロール、7α−ヒドロキシコレステロールおよび 7β−ヒドロキシコレステロールを含む)(HMG−CoAレダクターゼの強力 なサプレッサーと考えられてきた)はすべて、生物学的に活性になる前に代謝さ れなければならないと思われる。 2.対照的に、これらの代謝産物である7α,27−ジヒドロキシ−4−コレ ステン−3−オン、3β,27−ジヒドロキシ−5−コレステン−7−オンおよ び7α,25−ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オン(および、おそらく3 β,27−ジヒドロキシ−5α−コレスト−8(14)−エン−15−オン)は 活性となるためにさらなる代謝を必要としない、すなわちHMG−CoAレダク ターゼの真のサプレッサーであると思われる。 3.上記化合物のうち、一つはHMG−CoAレダクターゼの抑制が顕著に一 層強力であった。それゆえ、本発明の他の側面は、化合物3β,27−ジヒドロ キシ−5−コレステン−7−オンを好ましくは実質的に純粋な形態、たとえば> 75%、好ましくは>90%の純度およびさらに好ましくは>9 5%の鏡像体的純度にて提供することにある。本発明のこの側面はまた、該化合 物および/またはコレステノエート(cholestenoate)などのその活性代謝産物 の医薬における用途をも提供する。好ましい用途は、細胞またはヒトを含む哺乳 動物でのHMG−CoAレダクターゼ活性を抑制するための医薬の製造における ものである。本発明のこの側面の代表例としては、血清コレステロールおよび/ またはコレステロールの生合成を低減させるためにヒトまたは哺乳動物に該化合 物を投与することが挙げられる。 4.これら構造を有するある種のステロールもまた、乳癌、結腸癌および悪性 黒色腫細胞を含む他のヒト新生物細胞(これらはすべてLDLに対する制御応答 が欠損している)においてHMG−CoAレダクターゼの抑制を示す。このこと は実施例5に示す。実施例5ヒト悪性細胞でのHMG−CoAレダクターゼに対するLDLおよびオキシステ ロールの作用 アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、米国からのヒト乳癌(MD A231)、結腸癌(WiDr)および悪性黒色腫(SK−MEL−2)細胞株 を、湿潤インキュベーター中に95%空気/5%CO2雰囲気で37℃に保持し た組織培養フラスコ中で単層で増殖させ、必須アミノ酸および非必須アミノ酸お よび10%ウシ胎仔血清(FCS、ライフ・テクノロジーズ、ストックホルム、 スウェーデンから)を添加したダルベッコ変性イーグル培地(MDA231)か または最小イーグル培地(他の細胞)のいずれかで培養した。ついで、細胞を皿 (20cm2)に5,000細胞/cm2の密度で植え込み、培地(5ml)は1 0%FCSを含有していた。実験を48〜72時間後に開始し、この時点で約2 0,000/cm2の細胞密度が達成された(細胞はまたインキュベーションの終 了時点でほぼ集密的であった)。ついで、LDL(2%FCS;コレステロール 濃度、1.2mM)およびオキ システロール(0.12μMの濃度にて試験)をインキュベーション培地に添加 する前に(後者は新たに調製したエタノール溶液中)すべての細胞をFCSをC ab−O−Silで処理することにより調製した(ウェインスタイン上掲)10 %リポタンパク質欠失血清を含有する培地(5ml)で24時間インキュベート した。ついで培地のエタノール濃度は0.2%となった。対照の細胞は同様にイ ンキュベートしたがステロールなしで行った。24時間のインキュベーションの 後、細胞をリン酸緩衝食塩水で2回濯ぎ、記載されているように(カベネル(Ca venel)上掲)細胞のHMG−CoAレダクターゼ活性のアッセイのために回収 した。簡単に説明すると、細胞溶解液を200mMリン酸カリウム、20mMジ チオトレイトール、40mMグルコース−6−リン酸、5mM NADPHおよ び5単位/mlのグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ中でインキュベート した。37℃で15分間プレインキュベーションした後、0.9ナノモル/L[ 14C]HMG−CoA(57mCi/ミリモル)および非標識HMG−CoA (HMG−CoAの最終濃度は100μMであった)を37℃での60分間のイ ンキュベーションのために加えた。各試料の最終反応容量は60μLであった。 5μLの5M HCl(これはまた生成したメバロン酸をラクトン化させる)を 加えて反応を停止させた。既知量の[3H]メバロノラクトン(内部標準)を添 加した後、一つのアリコートをイオン交換クロマトグラフィーにより[14C] HMG−CoAから[14C]メバロノラクトンを分離するために用い(エドワ ーズ上掲)、一つのアリコートをタンパク質含量の分光光度的決定のために用い た。[3H]−および[14C]−放射能を、クエンチングおよびスピルオーバ ーのための自動補正プログラムを備えたシンチレーションカウンター(ベックマ ンLS5000TA)により分析した。 表VIIIは、ヒト悪性細胞でのHMG−CoAレダクターゼに対するLDLおよ びオキシステロールの作用を示す。とりわけ、表VIIIは、24時間インキュ ベートした後の乳癌および結腸癌細胞株および悪性黒色腫細胞でのHMG−Co Aレダクターゼに対するLDL(2%FCS;コレステロール濃度1.2mM) および選択されたオキシステロール(10%LDSを含有する培地中に0.12 μM)の作用を示す。細胞はすべて10%LDSを含有する培地中で24時間プ レインキュベートした。比較のため、トランスフォーメーションしたヒト線維芽 細胞に対する対応する値もまた示した。 aC、コレスタン;上つき数字は二重結合の位置を示す;ギリシャ文字はヒドロ キシル基の立体配置を示す。b 比較のため、腫瘍トランスフォーメーションしたヒト線維芽細胞の値をも示す (実施例4参照)。正常線維芽細胞の対応する値は18〜38%であった。c 乳癌細胞、結腸癌細胞、悪性黒色腫細胞およびトランスフォーメーションし た線維芽細胞でのHMG−CoAレダクターゼの活性は、それぞれ59、120 、137および86ピコモル/分/mgタンパク質であった。d 試験せず これら結果は、このタイプの化合物がステロール代謝酵素の低い活性を有する ものを含む、種々の異なる細胞においてコレステロール産生の強力なサプレッサ ーであることを示している。このことは、HMG−CoAレダクターゼサプレッ サーとして用いられてきた他のほとんどのオキシステロールとは対照的である。 腫瘍細胞と同様、マクロファージなどの正常細胞は、コレステロールや側鎖のヒ ドロキシル化された3β−ヒドロキシ−5−ステロールからのHMG−CoAレ ダクターゼサプレッサーの生成に必要な7α−ヒドロキシル化酵素を明らかに欠 いている。これら細胞は血管壁に置かれたときにアテローム性動脈硬化症斑の発 生において重要な役割を果たしていると思われる。アテローム性動脈硬化症の発 生のメカニズムの詳細は明らかではないが、エステル化されたコレステロールの 血管壁細胞中の過剰な蓄積が特に重要であると思われている。このことと関連し て本発明者らはこの一群のステロールが細胞でのコレステロールのエステル化( 側鎖がヒドロキシル化された3β−ヒドロキシ−Δ5−ステロール(たとえば、 25−ヒドロキシコレステロール)により駆動されると思われる反応)を刺激す るとの証拠を見出していない。さらに、HMG−CoAレダクターゼの競合阻害 剤(コンパクチンやロバスタチン(メビノリン))を用いた高コレステロール血 症やアテローム性動脈硬化症の従来の薬理学的治療とは対照的に、上記ステロー ルは細胞表面上のLDL受容体の数を抑制することによりLDL−コレステロー ルの細胞による取り込みをも低減させる。このことは実施例6に示す。実施例6正常ヒト線維芽細胞のLDL受容体に対するオキシステロールの作用 NiGMS、コリエル・インスティチュート・フォア・メディカル・リサ ーチ(カムデン、ニュージャージー)からの正常ヒト線維芽細胞(細胞株GM0 8333)を、湿潤インキュベーター中に95%空気/5%CO2雰囲気で37 ℃に保持した組織培養フラスコ中で単層で増殖させた。細胞を必須アミノ酸およ び非必須アミノ酸および10%ウシ胎仔血清(FCS、ライフ・テクノロジーズ 、ストックホルム、スウェーデンから)を添加したダルベッコ最小イーグル培地 で培養した。ついで、細胞を同培地中、50cm2皿に6,000細胞/cm2の 密度で植え込んだ。実験を96時間後に開始し、この時点で約20,000/c m2の細胞密度が達成された(細胞はまたインキュベーションの終了時点でほぼ 集密的であった)。ついで、細胞のLDL受容体活性に対するステロールの作用 (高親和性の割合=LDLの受容体を介した分解)を試験した。細胞をリン酸緩 衝食塩水で2回洗浄し、FCSをCab−O−Silで処理することにより調製 した(ウェインスタイン上掲)10%リポタンパク質欠失血清(LDS)(この 血清を用いた場合には細胞増殖はマイナスの影響を受けなかった)を含有する培 地(5ml)でインキュベートした。ついで、ステロール24−ヒドロキシ−4 −コレステン−3−オン、25−ヒドロキシ−4−コレステン−3−オンおよび 27−ヒドロキシ−4−コレステン−3−オンを新たに調製したエタノール溶液 中のインキュベーション培地に加え(濃度1.1μM)、ついで培地のエタノー ル濃度は0.2%となった。対照の細胞には同量のエタノールを加えたが、ステ ロールは加えなかった。19時間のインキュベーションの後、50μgの125 I−標識LDL(比活性150〜380cpm/ngタンパク質、ランガー(La nger)らの記載(1972、J.Clin.Invest.51、1528)に従ってNa125 I(アマーシャム(Amersham)から、比活性>350Ci/モル)から調製、遊 離のヨウ化物として1%未満の放射能を含有)を培地に加え、インキュベーショ ンをさらに4時間続けた。ついで、125I−標識LDLの細胞による分解をイン キュベーション培地での酸可溶性放射能の生成から 決定した(ビトール(Vitols)ら、1984、Blood 63、1186)。インキ ュベーションはすべて2回行った。対照細胞での125I−標識LDLの分解は 105〜109ng/時×mg細胞タンパク質であることがわかった。24−ヒ ドロキシ−4−コレステン−3−オン、25−ヒドロキシ−4−コレステン−3 −オンおよび27−ヒドロキシ−4−コレステン−3−オンで処理した細胞の対 応する値は、それぞれ40〜41、58〜59および62〜69ng/時×mg 細胞タンパク質であった。このことは、これらステロールが使用した条件下で細 胞のLDL−受容体活性を約50%低減させたことを示している。 細胞増殖はメバロン酸エステルの産生に依存することが知られているので、強 力なHMG−CoAレダクターゼサプレッサーの「新規な」一群を含む種々のオ キシステロールの正常ヒト線維芽細胞および腫瘍トランスフォーメーションした ヒト線維芽細胞の増殖および生存性に対する作用をも試験した。上記実施例に記 載のステロールに加えて7β−ヒドロキシ基を有する幾つかのステロールも試験 に含めた。これらステロールはコレステロールの潜在的な代謝産物であるが、こ れらの多くは線維芽細胞で検出可能な量では産生されなかった(たとえば、7β −ヒドロキシ−3−オキソ−Δ4構造を有するステロール)。しかしながら、本 発明者らは以前に、単離したヒト肝臓ミトコンドリアとともにインキュベートし たときに対応する7α−ヒドロキシステロールから7β−ヒドロキシステロール が生成しうることを示している(ショーダ(Shoda)(1993)Hepatology 、395)。 ヒト線維芽細胞の増殖および生存性に対するオキシステロールの作用を実施例 7に示す。使用したオキシステロールの濃度は、オキシステロールの細胞増殖抑 制または毒性の他のほとんどの研究(スミス(Smith)ら(1989)Free Radi cal Biology & Medicine、、285)において用いられているものに比べて 意識的にかなり低くした(1/5〜1/10)。これ は、本発明者らが細胞膜に非特異的な障害を起こして(セバニアン(Sevanian) (1986)Fd.Chem.Toxic.24、1103)(オキシステロールは膜中のコレ ステロールと置き換わりうる)細胞死に至らしめることを望まなかったからであ った。実際、使用した1.25μMという濃度は細胞上のLDL−受容体の抑制 に必要なものと同様であった(実施例3参照)。実施例7正常ヒト線維芽細胞および腫瘍トランスフォーメーションしたヒト線維芽細胞の 増殖および生存性に対するオキシステロールの作用 正常ヒト線維芽細胞(細胞株GM08333)およびSV−40ウイルスによ りトランスフォーメーションしたヒト線維芽細胞(90−VA VI)を、湿潤 インキュベーター中に95%空気/5%CO2雰囲気で37℃に保持した組織培 養フラスコ中で単層で増殖させ、必須アミノ酸および非必須アミノ酸および10 %ウシ胎仔血清(FCS)を添加したダルベッコ最小イーグル培地で培養した。 ついで、細胞を植え込んだ24〜48時間後に実験を開始し、この時点で約10 ,000/cm2の細胞密度が達成された(細胞はまたインキュベーションの終了 時点でほぼ集密的であった)。ついで、オキシステロール(1.25μMおよび 2.5μMの濃度にて試験)を新たに調製したエタノール溶液中のインキュベー ション培地に添加する前に、すべての細胞を血清を欠く培地で24時間インキュ ベートした。ついで培地のエタノール濃度は0.5〜1.0%となった。対照の細 胞は同量のエタノールでインキュベートしたがステロールなしで行った。48時 間(ステロール濃度2.5μM)または72時間(ステロール濃度1.25μM) インキュベートした後に皿の所定範囲の細胞数を光学顕微鏡でカウントすること により細胞の増殖を記録し、細胞死は単層培養中の細胞の剥離または溶解として 顕微鏡により認めた。 aC、コレスタン;上つきの数字は二重結合の位置を示す;ギリシャ文字はヒド ロキシル基の立体配置を示す。b 培地中のステロールの濃度c インキュベーション時間d 実験開始時の細胞数との関連での生存細胞数(%にて)e トランスフォーメーションした線維芽細胞に対するステロールの一貫しない作 用(他の実験で認められた) 上記から以下のことが明らかである: 1.腫瘍トランスフォーメーションした線維芽細胞は正常細胞に比べてオキシ ステロールにより選択的に影響を受け、その結果、前者の細胞の細胞増殖の停止 のみならず細胞死をも招いた。正常細胞に対する影響は比較的小さかった。 2.7−ヒドロキシル化ステロールは、この位置にヒドロキシル基を有しない かまたはオキソ基を有するステロールよりも効力が大きかった。驚くべきことに 、後者のグループには強力なHMG−CoAレダクターゼサプレッサーである2 5−ヒドロキシ−4−コレステン−3−オン、27−ヒドロキシ−4−コレステ ン−3−オンおよび3β,27−ジヒドロキシ−5−コレステン−7−オンも含 まれており、細胞死がHMG−CoAレダクターゼの抑制を主たる要因として誘 発されるものではないことを示唆していた。 3.側鎖にヒドロキシ基を有するステロールは、かかる基を有しない対応ステ ロールよりも効力が大きかった。 4.トランスフォーメーションした細胞での細胞死の非常に強力なインデュー サーは、側鎖にヒドロキシル基を有する7−ヒドロキシ−Δ4−ステロール(す なわち、7α,25−ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オン、7β,25−ジ ヒドロキシ−4−コレステン−3−オンおよび7β,27−ジヒドロキシ−4− コレステン−3−オン)であった。このグループに属するステロ ールの一つである7α,27−ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オンは他のス テロールに比べて本アッセイにおいて効力が小さかった。おそらく、これはトラ ンスフォーメーションした線維芽細胞による一層速やかな代謝(対応C27−酸 に変換された)によるものであった。 5.側鎖にヒドロキシル基を有する7−ヒドロキシ−Δ4−ステロールの強い 致死作用は、腫瘍トランスフォーメーションした線維芽細胞に限られず、実施例 8に示すように他のヒト悪性細胞においても認められた(7β,27−ジヒドロ キシ−4−コレステン−3−オンについて試験した)。実施例8ヒト悪性細胞の増殖および生存性に対する7β,27−ジヒドロキシ−4−コレ ステン−3−オンの作用 アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、米国からのヒト結腸癌(W iDr)および悪性黒色腫(SKMEL−2)細胞株およびSV−40ウイルス によりトランスフォーメーションしたヒト線維芽細胞(90−VAVI)(スタ イン博士(ユニバーシティー・オブ・コロラド、ブールダー、コロラド、米国) の好意により贈呈されたもの)を、湿潤インキュベーター中に95%空気/5% CO2雰囲気で37℃に保持した組織培養フラスコ中で単層で増殖させ、必須ア ミノ酸および非必須アミノ酸および10%ウシ胎仔血清(FCS、ライフ・テク ノロジーズ、ストックホルム、スウェーデンから)を添加したダルベッコ最小イ ーグル培地で培養した。細胞を、10%FCsを含有する培地(2ml)中、9 cm2皿に5,000細胞/cm2の密度で植え込んだ。24〜48時間後に実験 を開始し、この時点で約10,000/cm2の細胞密度が達成された(細胞はま たインキュベーションの終了時点でほぼ集密的であった)。ついで、7β,27 −ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オン(および比較のため5−コレステン −3β,7β,27−トリオール)(2.5μMの濃度にて試験)を新たに調製し たエタノール溶液中のイ ンキュベーション培地に添加する前に、すべての細胞を血清を欠く培地(2ml )で24時間インキュベートした。ついで培地のエタノール濃度は1.0%とな った。対照の細胞は同容量のエタノールを用いてインキュベートしたがステロー ルなしで行った。24時間および48時間インキュベートした後、皿の所定範囲 中の細胞数を光学顕微鏡でカウントすることにより細胞の増殖を記録し、細胞死 は単層培養での細胞の剥離または溶解として顕微鏡にて認識した。 aC、コレスタン;上つきの数字は二重結合の位置を示す;ギリシャ文字はヒド ロキシル基の立体配置を示す。b インキュベーション時間c 実験開始時の細胞数との関連での生存細胞数(%にて) 上記結果は、本発明の化合物がヒト結腸細胞および悪性黒色腫細胞の両者にお いて細胞死の強力なインデューサーであることを明らかに示している。ここで悪 性黒色腫が化学療法に極めて耐性の癌の一種であることに注意すべきである。 これらステロールの高い効力および毒性の選択性のため、これらステロールは 上記で試験したものに加えて種々の癌疾患の治療に非常に有用であることが期待 できる。 さらに、これらステロールの細胞増殖に対する作用のため、特にこれらステロ ールを局所投与しうる場合に、異常に急速に増殖する非腫瘍性の細胞により引き 起こされる疾患および乾癬の治療にも有用であるに違いないことが期待できる。実施例9 7β,25−ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オンおよび7α,25−ジヒド ロキシ−4−コレステン−3−オンの合成 (a)酢酸25−ヒドロキシコレステロールの調製 この酢酸エステルは、超音波処理の前にピリジン(0.5ml)を加えた2m gの市販の乾燥25−ヒドロキシコレステロール(シグマ)から調製する。0. 5mlの無水酢酸を加え、得られた混合物を再度超音波処理に供する。反応混合 物を室温で2.5時間静置し、5mlのH2Oで反応停止させ、15分間静置する 。3mlの酢酸エチルを加え、混合物を撹拌し、超音波処理に供し、ついで数分 遠心分離にかける。水性相(底部の相)を新たな容器に移し、取って置く。酢酸 エチル相に3mlのH2Oを加え、混合物を振盪/超音波処理/遠心分離し、容 器にデカントする。この手順を繰り返して水性相3×3mlを得る。 (b)トリメチルシリル化 得られた酢酸エチル相を少量の酢酸エチルで新たな容器中に濯ぎ、吹き付け乾 燥する。生成物を0.5mlのピリジン/ヘキサメチルジシラン/トリメチルク ロロシラザン、3:2:1に供し、これを60℃で30分間反応させることによ り25ヒドロキシ基のトリメチルシリルエーテル(TMS)を調製する。生成物 を吹き付け乾燥し、ヘキサン中に溶解し、超音波処理し、少量のヘキサンととも に25ml容のフローレンスフラスコに移す。 (c)TBB酸化 得られた生成物を以下のようにしてTBB酸化に供する: ヘキサン相を吹き付け乾燥し、1.5mlの濃酢酸に溶解し、超音波処理する 。1.5mgの臭化銅II、10μlのTBB(過安息香酸t−ブチル)および撹 拌ビーズを加え、N2下、100℃で5分間反応させた。生成物を冷却し、分別 漏斗に移した。フラスコを5mlのH2O、ついで40mlのヘキサンで漏斗中 に濯ぐ。混合物を撹拌し、水性相を廃棄する。5mlの5%NaHCO3を加え 、生成物を撹拌しながら気体を蒸発させる。重炭酸相を廃棄する。後者の工程を 繰り返す。生成物を5mlのH2Oで2回洗浄する。pHは中性でなければなら ない。ヘキサン相をフローレンスフラスコに移し、吹き付け乾燥する。 (d)加水分解 得られた生成物を以下のようにして加水分解する: メタノール中の5%KOH(5ml)を加え、超音波処理し、混合物を水浴中 、50℃で穏やかに撹拌しながら1時間インキュベートする。5mlのH2Oを 混合して反応を停止させ、生成物を濃酢酸でpH約7に中和する。生成物を10 mlのH2Oで濯いだC18カラム(ODSシリカ)(1.5×0.8cm)に供 する。生成物を8mlのメタノールで溶出し、蒸発させ、1mlのメタノール中 に溶解する。10μlをGLCのために保持する。 (e)精製 得られた生成物を蒸発させ、3mlのヘキサン/酢酸エチル1:1に溶解した 後、ユニシル(Unisil)カラム(クラークソン・ケム(Clarkson Chem Co.)、 ウィリアムスポート、ペンシルベニア、米国)(メッシュ200〜325、3× 0.8cm、ヘキサン中に充填、5mlのヘキサン/酢酸エチル1:1で洗浄) で精製する。以下の11の画分を回収する: 1 生成物(3mlのヘキサン/酢酸エチル1:1)&さらに3mlのヘキ サン/酢酸エチル1:1 2,3 2×3mlのヘキサン/酢酸エチル 40:60 4,5 2×3mlのヘキサン/酢酸エチル 30:70 6,7 2×3mlのヘキサン/酢酸エチル 20:80 8,9 2×3mlのヘキサン/酢酸エチル 10:90 10 6mlの酢酸エチル 11 6mlのメタノール フラスコをすべての画分で濯ぎ、画分を蒸発させ、0.5mlのメタノールに 溶解する。20μlをGLCのために保持する。残りをGLC分析まで−70℃ で貯蔵する。画分4および5は5−コレステン−3β,7β,25トリオールを含 有する。画分6、7および8は5−コレステン−3β,7α,25トリオールを含 有する。 (f)コレステロールオキシダーゼによる酸化 コレステロールオキシダーゼ(C−1512、シグマ)を用いて以下のように して3β−ヒドロキシ基を酸化し、5−二重結合を異性化する。画分4および5 を0.5mlのイソプロパノールに溶解する。6mlの0.5Mリン酸緩衝液、p H7.0および5単位のコレステロールオキシダーゼを加える。混合物を37℃ で穏やかに撹拌しながら3時間インキュベートする。ついで、9mlのメタノー ルで反応を停止させ、C18カラム(1.5×0.8cm)に供する。溶出液をプ ールし、H2O(約6ml)が残留するまで蒸発させる。1mlのメタノールを 加え、混合後、生成物を同C18カラムに再度供する。生成物が通過し終わった ら、カラムを10mlのH2O(2+2+6)で濯ぎ、8mlのメタノールでフ ラスコに直接溶出した。生成物を蒸発させ、メタノールを用いて試験管に移し、 蒸発させ、0.5mlのエタノールに溶解する。20μlをGLCおよびGS/ MSのために保持する。 (g)HPLC精製 ついで、得られた7α,25−ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オンおよ び7β,25−ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オンを、85%メタノ ール、240nmのUV検出器、7βアノマーについての保持時間7.3分およ び7αアノマーについての保持時間7.8分での逆相HPLC(カラム:リクロ スパー、250×4mm、ハイバー、100RP−18、5μ、メルク)により 精製する。溶離液をフローレンスフラスコに回収し、蒸発させ、メタノールを用 いて試験管に移し、蒸発させ、0.5mlのエタノールに溶解する。20μlを GLCおよびGC/MSのために保持する。実施例10 7β,27−ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オンの調製 A.27−ヒドロキシコレステロールの調製 (a)ジオスゲニンのクレメンゼン還元を、60gの亜鉛粉末(filings)、4. 5gの塩化水銀II、3.0mlの濃HClおよび75mlのH2Oから調製したば かりの亜鉛アマルガムを用いて行う。混合物をマルチネック丸底フラスコ中で5 分間撹拌し、デカントする。200mlのエタノールおよび1.2gのジオスゲ ニン(シグマ)を加え、還流する。45分間かけて60mlの濃HClを滴下し 、ついで15分間還流を続ける。混合物を静置して室温に冷却する。1.5Lの 氷冷水を滴下し、反応液を冷蔵下に約1時間静置する。ついで水を濾去し、乾燥 塊をフローレンスフラスコに移す。30mlのジエチルエーテルを加え、反応液 を室温で10分間撹拌する。エーテルを濾去し、塊を小さな蒸発フラスコに移し 、少量の温水を用いて最少量の酢酸エチルに溶解する。結晶化をまず室温で開始 し、後に冷室で一夜行ってテトラヒドロジオスゲニン(16β,27−ジヒドロ キシコレステロール)を得る。 (b)クロム酸化 生成物を4バッチにて以下のようにして酸化する。22.5mlの氷酢酸中の 125mgのテトラヒドロジオスゲニンおよび0.62gのNaAcの撹拌混合 物に、0.1mlのH2Oおよび0.2mlの酢酸中の20mgの三酸化クロムを 滴下する。反応を25℃で18時間続ける。ついで、数滴のメタノー ルを加えて過剰の試薬を破壊する。混合物を25mlの冷水で希釈し、40ml のMeCl2で抽出する。塩化メチレン相を約10mlのH2Oで濯ぎ、ついでp H紙で中性になるまで5%重炭酸ナトリウムおよびH2Oで濯ぐ。MeCl2をス プーン1杯の水不含Na2SO4で乾燥させ、MeCl2相をフローレンスフラス コに濾取し、蒸発させる。GLC試料を保持する。残留する生成物を1/5のア リコートにて30%酢酸エチル/TMP(トリメチルペンタン)中のシリコンカ ラム8×0.8cmに供する。画分は以下のものを含む: 5×10ml 30%酢酸エチル/TMP 10×5ml 40%酢酸エチル/TMP 各画分の約0.1%をGLCによりアッセイし、16−ケト−27−ヒドロキ シコレステロールを含有する画分をプールする(一般に40%混合物の画分3〜 6)。 (c)16−ケト−27−ヒドロキシコレステロールの還元 工程(b)で得られた生成物(170mg)を小さなフローレンスフラスコに 移し、3.5mlのトリエチレングリコール中の0.11gのKOH、0.1ml のヒドラジンおよび数個の撹拌ビーズを加える。混合物を15分間還流し、つい で1時間冷蔵する。混合物を15mlの0.5M HClに滴下し、濾過し、氷 冷水で濯ぐ。乾燥物質を小さな蒸発フラスコに移し、酢酸エチルで再結晶する。 純度をGLC&GC/MSによりアッセイする。収量:75mgの27−ヒドロ キシコレステロール、結晶として45mg。 B.7β,27−ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オンの調製 (a)工程Aの酢酸エステルを、5mlのH2Oで反応を停止させる他は実施例 9の工程(a)と同様にして調製する。実施例9のTMS工程(b)は省略する 。 (b)得られた酢酸エチル相を吹き付け乾燥し、500μlの濃酢酸および 200μlのNa2CrO4を添加することによりNa2CrO4酸化に供する。こ の反応をマグネチックスターラーを用いて室温で一夜行う。換気フード中の氷浴 中に置いた反応容器に3mlのH2Oを注意深く加えることにより酸化を停止さ せる。混合物を15分間静置し、1M NaOHを用いてpH7の中性にする。 (c)得られた生成物を吹き付け乾燥し、1mlの乾燥エタノール(新しく開封 した瓶から)中に溶解した後に3mgのNaBH4で還元する。反応を超音波浴 中で30分間行い、ついで室温で約1.5時間行う。100mlのアセトンおよび 3mlのH2Oで反応を停止させる。生成物を5mlのH2Oで濯いだC18カラ ムに供する。生成物を8mlのメタノール(2+2+4ml)でフローレンスフ ラスコ中に溶出する。50μlをTMSおよびGLCによりアッセイする。 (d)得られた生成物を蒸発乾固し、0.3mlのイソプロパノールを加えるこ とにより加水分解し、超音波処理し、ついで3mlのメタノールを加える。25 9mlの12.5M NaOHを加え、混合し、超音波処理する。生成物を水浴中 、50℃で2時間インキュベートする。6mlのH2Oと混合することにより反 応を停止させる。生成物を濃酢酸でpH7の中性にし、ついで濯いだC18カラ ムに供する。4つの画分は以下のものを含む: 1 生成物 2 丸底フラスコ&超音波処理による10mlのH2O(2+2+6ml) 3 5mlの30%メタノール(do.) 4 生成物を10mlのメタノールで溶出(do.) 50μlをTMSおよびGLCによりアッセイする。 (e)生成物の残りを実施例8工程dの記載と同様にしてユニシルカラムで精製 し、その際、50μlのチェック試料をTMS処理後のGLCによりアッセイす る。画分6は5−コレステン−3β,7β,27トリオールを含有し、 画分8は5−コレステン−3β,7α,27トリオールを含有する。 (e)工程(d)からの画分6を実施例9工程(e)の記載と同様にしてコレス テロールオキシダーゼにより酸化し、得られた7β,27−ジヒドロキシ−4− コレステン−3−オンを実施例9の記載と同様にしてHPLCにより精製する。 保持時間は8.7分である。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】平成9年12月5日(1997.12.5) 【補正内容】 請求の範囲 1.式I: (式中、Xは直鎖または分岐鎖のヒドロキシ置換C1−C15炭化水素鎖である) で示される、医薬に使用するための化合物。 2.式IA: (式中、R'およびR"の一方はOHで他方はHである)で示される、医薬に使用 するための化合物。 3.7β,25−ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オンである、請求項2 に記載の医薬に使用するための化合物。 4.7α,25−ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オンである、請求項2 に記載の医薬に使用するための化合物。 5.7β,27−ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オンである、請求項2 に記載の医薬に使用するための化合物。 6.癌、ウイルスによりトランスフォーメーションした哺乳動物細胞または乾 癬などの急速に増殖する細胞に付随する状態の治療用医薬の製造における請求項 2に記載の化合物の使用。 7.該癌が、軟組織肉腫などの肉腫、白血病などの骨髄増殖性の腫瘍、神 経膠芽細胞腫、膵臓癌、卵巣癌、腺細胞癌、結腸癌または乳癌を含む、請求項6 に記載の使用。 8.該癌が黒色腫を含む請求項6に記載の使用。 9.癌、ウイルスによりトランスフォーメーションした哺乳動物細胞または乾 癖などの急速に増殖する細胞に付随する状態の治療用医薬の製造における請求項 3に記載の化合物の使用。 10.該癌が、軟組織肉腫などの肉腫、白血病などの骨髄増殖性の腫瘍、神経 膠芽細胞腫、膵臓癌、卵巣癌、腺細胞癌、結腸癌または乳癌を含む、請求項9に 記載の使用。 11.該癌が黒色腫を含む請求項9に記載の使用。 12.癌、ウイルスによりトランスフォーメーションした哺乳動物細胞または 乾癬などの急速に増殖する細胞に付随する状態の治療用医薬の製造における請求 項4に記載の化合物の使用。 13.該癌が、軟組織肉腫などの肉腫、白血病などの骨髄増殖性の腫瘍、神経 膠芽細胞腫、膵臓癌、卵巣癌、腺細胞癌、結腸癌または乳癌を含む、請求項12 に記載の使用。 14.該癌が黒色腫を含む請求項12に記載の使用。 【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】平成10年6月19日(1998.6.19) 【補正内容】 経膠芽細胞腫、膵臓癌、卵巣癌、腺細胞癌、結腸癌または乳癌を含む、請求項6 に記載の使用。 8.該癌が黒色腫を含む請求項6に記載の使用。 9.癌、ウイルスによりトランスフォーメーションした哺乳動物細胞または乾 癬などの急速に増殖する細胞に付随する状態の治療用医薬の製造における請求項 3に記載の化合物の使用。 10.該癌が、軟組織肉腫などの肉腫、白血病などの骨髄増殖性の腫瘍、神経 膠芽細胞腫、膵臓癌、卵巣癌、腺細胞癌、結腸癌または乳癌を含む、請求項9に 記載の使用。 11.該癌が黒色腫を含む請求項9に記載の使用。 12,癌、ウイルスによりトランスフォーメーションした哺乳動物細胞または 乾癬などの急速に増殖する細胞に付随する状態の治療用医薬の製造における請求 項4に記載の化合物の使用。 13.該癌が、軟組織肉腫などの肉腫、白血病などの骨髄増殖性の腫瘍、神経 膠芽細胞腫、膵臓癌、卵巣癌、腺細胞癌、結腸癌または乳癌を含む、請求項12 に記載の使用。 14.該癌が黒色腫を含む請求項12に記載の使用。 15.癌、ウイルスによりトランスフォーメーションし哺噛乳動物細胞または 乾癬などの急速に増殖する細胞に付随する状態の治療用医薬の製造における請求 項5に記載の化合物の使用。 16.該癌が、軟組織肉腫などの肉腫、白血病などの骨髄増殖性の腫瘍、神経 膠芽細胞腫、膵臓癌、卵巣癌、腺細胞癌、結腸癌または乳癌を含む、請求項15 に記載の使用。 17.該癌が黒色腫を含む請求項15に記載の使用。 18.75%を越える鏡像体的純度の形態のエナンシオマー7β,25−ジヒ ドロキシ−4−コレステン−3−オン。 19.生理学的に許容しうる希釈剤または薬理学的担体とともに請求項2から 5のいずれか1に記載の化合物を含む、癌、ウイルスによりトランスフォーメー ションした哺乳動物細胞または乾癬などの急速に増殖する細胞に付随する状態の 治療用医薬組成物。 20.該癌が、軟組織肉腫などの肉腫、白血病などの骨髄増殖性の腫瘍、神経 膠芽細胞腫、膵臓癌、卵巣癌、腺細胞癌、結腸癌または乳癌を含む、請求項19 に記載の医薬組成物。 21.該癌が黒色腫を含む請求項19に記載の医薬組成物。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU ,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH, CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,G B,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE,KG ,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT, LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,N O,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG ,SI,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UG, US,UZ,VN,YU

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  1. 【特許請求の範囲】 1.式I: (式中、Xは直鎖または分岐鎖のヒドロキシ置換C1−C15炭化水素鎖である) で示される、医薬に使用するための化合物。 2.式IA: (式中、R'およびR"の一方はOHで他方はHである)で示される、医薬に使用 するための化合物。 3.7β,25−ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オンである、請求項2 に記載の医薬に使用するための化合物。 4.7α,25−ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オンである、請求項2 に記載の医薬に使用するための化合物。 5.7β,27−ジヒドロキシ−4−コレステン−3−オンである、請求項2 に記載の医薬に使用するための化合物。 6.癌、ウイルスによりトランスフォーメーションした哺乳動物細胞または乾 癬などの急速に増殖する細胞に付随する状態の治療用医薬の製造における請求項 1から5のいずれか一つに記載の化合物の使用。 7.該癌が、軟組織肉腫などの肉腫、白血病などの骨髄増殖性の腫瘍、神 経膠芽細胞腫、膵臓癌、卵巣癌、腺細胞癌、結腸癌または乳癌を含む、請求項6 に記載の使用。 8.該癌が黒色腫を含む請求項6に記載の使用。 9.実質的に純粋な形態のエナンシオマー7β,25−ジヒドロキシ−4−コ レステン−3−オン。 10.生理学的に許容しうる希釈剤または薬理学的担体とともに請求項1から 5のいずれか一つに記載の化合物を含む、癌、ウイルスによりトランスフォーメ ーションした哺乳動物細胞または乾癬などの急速に増殖する細胞に付随する状態 の治療用医薬組成物。 11.該癌が、軟組織肉腫などの肉腫、白血病などの骨髄増殖性の腫瘍、神経 膠芽細胞腫、膵臓癌、卵巣癌、腺細胞癌、結腸癌または乳癌を含む、請求項9に 記載の医薬組成物。 12.該癌が黒色腫を含む請求項9に記載の医薬組成物。
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