JP2000510846A - 抗血栓症物質および方法 - Google Patents

抗血栓症物質および方法

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Abstract

(57)【要約】 治療的に有効量のBPIタンパク質産物が投与される、血栓症疾患の治療のための抗血栓症物質と方法が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】 抗血栓症物質および方法 発明の背景 本願発明は、一般に、殺菌/浸透性増強(BPI)タンパク質産物を利用した、血 栓症疾患を処置するための、治療用組成物と処置方法に関する。 凝血または血塊形成は、損傷を受けた血管からの出血を止める正常な止血性、 および血管内の血液の循環を阻害する不正常な血栓症に関与している。正常な止 血作用が機能している間は、損傷した血管に血小板が接着し、そして、一次止血 栓を形成するために凝固する。次に、この血小板は、血漿凝固因子の一部を刺激 し、血小板の凝固を促すフィブリンの凝固体が生成される。後に、傷の治癒が進 むにつれて、血小板が凝固し、また、特に活性化されたプロテイナーゼによって フィブリンの凝固体が分解される。血栓症の治療プロセスの間に、同一の作用機 構によって、血管を閉塞する血小板/フィブリンの凝固体が生成する。動脈血栓 症は、動脈によって維持されている組織の虚血性壊死、例えば、冠状動脈の血栓 症が原因の心筋梗塞や、脳動脈の血栓症が原因の脳卒中を招く。静脈血栓症は、 静脈に血液を排出する組織に浮腫や炎症を招き、また、深静脈の血栓症は肺塞栓 症を引き起こす。 外科的外傷、数多くの炎症疾患、悪性腫瘍、妊娠、肥満、血管疾患、そして、 長期運動抑制などの症状において、血栓症の発生傾向が高くなっている。非常に 希ではあるが、遺伝性の血栓症の症例も増えてきており、これには、タンパク質 C−プロテインSシステムの欠如、抗トロンビンIII(ATIII)の欠如、 線維素生成不全、およびフィブリノーゲン分解システムでの他の疾患などがある 。過剰凝固の危険性の評価には、血栓塞栓症の家族歴と(長期運動抑制、妊娠ま たは悪性腫瘍などの)血管の一部での血行停止に関連する他の全身系体質的疾患 や病態の確認、そして、血小板増加症、血液または血漿の粘度の増大、および凝 固因子やフィブリン分解産物の血漿レベルの増大のような、実験室的に可能な不 正常性の評価がある。かような不正常性による過剰凝固を、血行停止や局部損傷 のような因子と比較することは通常行わないものの、ATIILプロテインC、また はプロテインSのレベルも測定される。 凝固プロセスで認められる幾つかの障害には、散在性の血管内凝血(DIC)や、 微小循環系でのフィブリン微小血栓の緩慢な形成を特徴とした症候群、そして、 同時に発生するフィブリン溶解の進行などがある。これらプロセスの結果、血栓 形成プロセスでの血小板と凝固因子の消費と、フィブリン溶解プロセスによる幾 つかの凝固因子のタンパク質分解性の消化を招き、患者の血液での凝固性が低減 するに至る。DICは初期症状としては発症せず、通常は、二次症状や他の疾患と なって表れる。これら初期症状は3つの主要なカテゴリーに分類される。すなわ ち、(1)羊水塞栓症、胎盤早期剥離、ある種のヘビ咬傷や、様々な悪性腫瘍にて 見られる、凝血促進物質の血中への遊離、(2)広範囲の火傷、感染症、熱射病、 臓器移植や、体外循環中にて見られる、損傷した表面あるいは不正常な表面への 血液の接触、そして(3)赤血球や白血球の細胞膜または血小板膜が損傷を受け、 そして、血栓形成物質が遊離した場合、例えば、白血病治療、溶血性輸血反応や 、微小血管での溶血性貧血にて見られる、血中での凝血促進促進活性物質の発生 である。グラム陰性細菌に関する細菌内毒素、グラム陰性細菌に関連した細 菌内毒素、またはグラム陰性細菌から放出された細菌内毒素も、凝固を促す血栓 形成様特性を有している。 血管内凝固は、ショック、敗血症、癌、産科的合併症、火傷、および肝臓病な どで最も頻繁に発症する。DICに独特の特異的な症状や兆候は無い。しかしなが ら、血栓症より出血の方がより明確な特徴的症状である。凝固因子の活性化と消 費の速度と程度、天然阻害剤の濃度、そして、フィブリン溶解活性のレベルで、 出血の程度が決定される。ある患者では、出血または血栓症の臨床的兆候が見ら れず、不正常血液凝固試験の結果からのみその症状が明らかになる場合がある。 大抵の患者では、わずかな点状出血と斑状出血の箇所が見られ、静脈穿刺部位か ら通常よりもやや多い出血が見られるに過ぎない。広汎性の血管内凝固が顕著に なると、胃腸や泌尿器での出血が大きくなる。症例によっては、出血死に至る場 合もある。特に、DIC症候群によって引き起こされた出血は、産科的合併症や外 科的症状に関連して致命傷に至る場合がある。 凝固プロセスの終着点は、強力なセリンプロテアーゼであるトロンビンの生成 であって、このトロンビンは、フィブリン鎖の不溶性網を形成し、安定な凝血体 を形成するために赤血球細胞や血小板をその網目に絡ませるべく、可溶性の血漿 タンパク質であるフィブリノーゲンを分解する。この凝固プロセスは、血管に損 傷を与えることによって始まり、そして、最初の数分子を活性化することで適切 な大きさの十分に成長した凝血体にまで増幅する、20種以上の凝固因子と他のタ ンパク質が関与する迅速で高度に制御された相互作用に関連している。凝固タン パク質のほとんどは、高い均質性を有するセリンプロテアーゼ(因子II、VII、I XおよびX)であり、その他に酵素活性を持たない共同因子(因子VとVIII)があ る。これらタンパク質 は、血液凝固に必要な量を遙かに上回る量が、不活性のチモーゲンとして循環す る。損傷を受けた血管の管壁と血小板の凝固体の双方が、凝固反応が行われ、ま た触媒する特殊な表面をもたらす。 二つの異なる活性経路を経ることで、この凝固カスケードを開始することがで きる。すなわち、損傷を受けた組織や他の表面への接触に関与する内因性経路と 、損傷を受けた組織または炎症を起こした組織にて発現した組織因子に関与する 外因性経路である。血小板表面にて因子Xが活性化された場合に、両経路共に共 通した経路に集束する。[例えば、Cecil's Essentials of Medicine,3rd ed. ,WB Saunders Co.,Pennsylvania(1983);Goodman & Gilman,The Pharma-colo gical Basis of Therapeutics,9th ed.,McGraw-Hill,NY(1996)を参照のこと 。]変性または損傷を受けた血管表面や、ガラス管のような負に帯電した表面に 接触せしめることによって、因子XIIを因子XIIaに活性化することで、内因性経 路が開始される。因子XIIの活性化の共同因子またはプロモーターとして、プレ カリクレイン、高分子量キニノーゲン、および因子XIがある。そして、活性化さ れた因子XIIaは、複合体が結合した因子XIをその活性形態であるXIaに転換し、 また、プレカリクレインをもその活性形態であるカリクレインに転換し、さらに 、このカリクレインは、ブラディキニンを形成すべく高分子量キニノーゲンを開 裂せしめる。また、因子XIaは、因子IXをIXaに活性化する際に、カルシウムイオ ン(Ca2+)を必要とする。同様に、因子XIaも、因子VIIを(外因性経路にて)活性 化する。活性化した因子XIaも、血液凝固を抑制するフィブリノーゲン分解機構 に関与する主要なプロテアーゼであるプラスミンを形成するために、プラスミノ ーゲンを開裂する。 カルシウムイオンとリン脂質の存在下にて、因子IXaは、因子XをXaに活性化 する。この活性化は共通の経路での第一工程である。因子Xの活性化は、通常、 刺激された血小板の血漿膜でなされるが、血管内皮でも活性化されることがある 。 外因性経路にあっては、損傷を受けた組織からの組織因子の遊離は、因子VII を因子VIIaに直接的に活性化する。組織因子は、活性化した内皮や単球、ならび に、脳、血管外膜、皮膚および粘膜にも存在する。そして、因子VIIaは、カルシ ウムイオンの存在下で、因子Xを因子Xaに活性化する。さらに、組織因子、因子 VIIとカルシウムイオンは、因子IXを(内因性経路にて)活性化できる複合体を 形成する。 そして、活性化した因子Xa(共通経路での第一工程)は、プロテアーゼトロン ビンを生成するために、プロトロンビン(因子II)を活性化する。活性化した血 小板表面での血漿プロトロンビナーゼ複合体は、因子Vと他の共同因子の存在下 で、血小板表面でのプロトロンビンからトロンビンへの活性化効率を高める。三 対のポリペプチド鎖、Aα、Bβおよびγからなり、約340kDの分子量を有する 、大きな、不斉の、可溶性タンパク質であるフィブリノーゲンを、トロンビンは 開裂する。トロンビンは、まず、フィブリノーゲンのAα鎖から小さなペプチド を除去して、端と端を接合して重合するフィブリンIを形成し;Bβ鎖から小さ なペプチドをトロンビンでさらに開裂して、側部と側部を接合して重合するフィ ブリンII分子を形成し、そして、不溶性のフィブリン凝固体を形成するために、 血漿グルタミナーゼ(因子XIII)によって、γサブユニットを介して、架橋され る。 トロンビンは、フィブリノーゲンからフィブリンへの開裂の他に、凝固期間中 に、様々な重大な作用を呈する。トロンビ ンは、血小板を活性化して、凝血促進活性を発現し(例えば、プロトロンビナー ゼ複合体のための結合部位)、そして、トロンボキサン、カルシウムイオン、AD P、フォン ウィルブランド因子、フィブロネクチン、およびトロンボスポンデ ィンのような血小板を凝固する物質を遊離する。トロンビンは、因子VIIIとVaを 開裂することで凝固カスケードを増大せしめ、また、フィブリンを架橋して、フ ィブリン凝固体を安定化ならしめる酵素である血漿グルタミナーゼも開裂する。 因子VaとVIIIaの強力な不活性化剤であり、またフィブリン溶解を刺激する、タ ンパク質Cを活性化するための表面タンパク質であるトロンボモジュリンに結合 することで、トロンビンは、内皮に関して作用する。トロンビンは、内皮細胞の 萎縮も引き起こす。換言すれば、内皮には、トロンビンが結合でき、また、内皮 は、トロンビンを不活性化し、そして、ある事例においては、内皮は、トロンビ ンに応答して血管拡張物質であるプロスタサイクリンを生成することができる。 よって、トロンビンによる活性化は、凝固の制限ならびに開始に寄与するのであ る。 血液の凝固性を測定するために汎用されている二つの方法がある。すなわち、 活性化したトロンボプラスティン部分時間(APTTまたはPTT)とプロトロンビン 時間(PT)である。血液をガラス管内に置いた場合、血液はin vitroにて、徐々に 、4〜8分以内に凝固する。エチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはクエン酸塩の ようなキレート剤をカルシウムイオンに結合するように添加することで、凝固は 防止される。再石灰化した血漿、すなわち、カルシウムイオンを改めて飽和せし めた血漿は、2〜4分間で凝固する。負に帯電したリン脂質と、カオリン(珪酸 アルミニウム)のような特定の物質を添加することで、再石灰化後の凝固時間は 26〜33秒だけ短縮され、そして、 この再石灰化後の凝固時間がAPTTである。あるいは、組織因子とリン脂質を含ん だ、脳を生理食塩水で抽出して得た「トロンボプラスティン」を添加して12〜14 秒後に、再石灰化した血漿は凝固し、そして、この再石灰化後の凝固時間がPTで ある。 APTT試験での全成分(カオリン以外)は血漿に対して内因性であるので、APTT が大きく、PTが通常値である患者は、内因性の凝固経路に欠陥があるものと考え られる。また、トロンボプラスティンが血漿に対して外因性であるので、APTTが 通常値で、PTが大きい患者は、外因性の凝固経路に欠陥があるものと考えられる 。APTTとPTの双方が大きい患者は、共通経路に欠陥があるものと思われる。 血液凝固経路は、セリンプロテアーゼであるチモーゲンの一連の酵素活性に関 与するものの、血液凝固の下方調整作用は、抗トロンビンIII(ATIII)、タンパク 質C−プロテインSシステムの欠如、フィブリン溶解を含む、多様な天然の抗凝 固機構による影響を受ける。正常な血管内皮は、ATIII活性を高めるヘパリン様 物質の供給源、トロンボモジュリンの供給源、タンパク質Cの活性化での共同因 子、そして、フィブリン溶解を開始する組織プラスミノーゲンアクチベーターの 供給源として機能することで、これら抗凝固機構の活性化を促す。 抗凝固剤ATIIIは、血塊を溶解する酵素であるプラスミンに特異的な血漿プロ テアーゼ阻害剤である。ATIIIは、すべてのセリンプロテアーゼ凝血促進性タン パク質(因子Xaならびにトロンビン)にも結合する。ATIIIとプロテアーゼの複 合体は、肝臓と網内皮系によって迅速に消失する。 ATIIIの活性は、ヘパリン またはヘパリン様物質によって高められる。凝固プロセスの進行を抑制する役割 を果たす他の酵素として、トロンビンとプラスミンをはじめとするいかなるセリ ンプロテ アーゼをも迅速に不活性化する、非特異的な血漿プロテアーゼ阻害剤である、α1 -抗トリプシン、α2-プラスミン阻害剤、およびα2-マクログロブリンがある。 この凝固プロセスの最終段階は、フィブリン溶解または血塊の溶解である。フ ィブリン溶解システムの終着点は、フィブリンを消化することによって血管内の 血塊を溶解する酵素プラスミンの生成である。フィブリン溶解は、トロンビンの 作用を受けて凝固が進行している間に始まる。内皮細胞にてトロンボモジュリン に複合すれば、トロンビンは、血管壁からの組織プラスミノーゲンアクチベータ ー(tpA)の遊離を開始せしめるタンパク質Cを活性化する。タンパク質Cならび に共同因子タンパク質Sも、因子VaとVIIIaを不活性化し、そして、凝固カスケ ードの活性を落とす。そして、このtPAは、循環プロ酵素であるプラスミノーゲ ンを開裂し、フィブリンを消化する活性プロテアーゼであるプラスミンを生成す る。プラスミンは比較的に非特異的なプロテアーゼであって、これはフィブリン 凝固体を消化するのみならず、いくつかの凝固因子も含めた他の血漿タンパク質 も消化する。 フィブリン溶解システムは、不要なフィブリントロンビンが除去され、一方で 、傷口にあるフィブリンは止血に向けて機能し続けるように制御されている。血 管の閉塞によって生じる血行停止を含めた様々な兆候に反応して、内皮細胞から tPAは放出される。tPAは、血中から急速に消失し、また、循環阻害剤である、プ ラスミノーゲンアクチベーター阻害剤−1およびプラスミノーゲンアクチベータ ー阻害剤−2によって阻害されるので、この放出されたtPAは、循環プラスミノ ーゲンに対してはほとんど効果を呈さない。プラスミノーゲンも、そのアクチベ ーターtPAも、フィブリンに結合する。tPAの活性は、 フィブリンへ結合することによって確かに向上し、これによって、血塊に近接す るようにしてプラスミンが生成する。さらに、フィブリンが結合したプラスミン は、阻害作用から保護される。 血栓症を予防または処置するための4つの主要な治療剤、すなわち、抗血小板 剤、抗凝固剤(ヘパリン)、ビタミンK拮抗剤(クマリン誘導体)および血栓融解 剤が用いられている。これら薬剤のいずれもが、凝固経路上の異なる部位にて形 成を干渉する[総論として、Goodman & Gilman,The Pharma-cological Basis of Therapeutics,9th ed.,McGraw-Hill,NY(1996)を参照のこと]。ジピリダモー ルは、血栓症を予防または処置するために時々使用される薬剤であって、これは 血管拡張剤であり、ワルファリン(クマリン誘導体)を併用することで人工心臓 弁の塞栓の形成を阻害し、また、アスピリンを併用することで、血栓症患者の血 栓の形成を阻害する。 抗血小板剤には、アスピリン、そして、イブプロフェンのような非ステロイド 系の抗炎症剤があり、これらはいずれも経口的に投与される。アスピリンは、血 小板シクロオキシゲナーゼを不可逆的に阻害し、そして、血小板凝固の誘導物質 であり、また強力な血管収縮剤であるトロンボキサンA2の生成をブロックするよ うに作用する。一般に、血小板は、静脈トロンビンよりも動脈トロンビンの発生 時において重要であるため、抗血小板剤は、動脈血栓症の予防剤として使用され る。抗血小板剤による治療は、伏在静脈バイパス移植管が閉塞する危険性も低減 せしめる。 抗凝固剤には、トロンビンの発生期にATIIIの活性を高め、そして、トロンビ ンに拮抗的作用する、ヘパリンやその誘導体などがある。ダルテパリンやエノキ サパリンのようなヘパリ ンの低分子量調製物も、抗凝固作用を呈する。 ヘパリンは、触媒鋳型として機 能することで、トロンビン−抗トロンビン反応の速度を、少なくとも1000倍、速 める。ヘパリンは、非経口的にのみ投与でき、そして、即座に抗凝固作用を呈す る。動脈血栓症および静脈血栓症の予防または処置、ならびに、腎臓血液透析の ような体外循環や心肺バイパスを循環中の血流の維持、そして、カテーテルをい れた患者の血管の通りを維持するために、ヘパリンは用いられる。ヘパリン療法 は、経皮的内腔冠状血管形成の処置を受けている患者に用いる標準手段でもある 。 出血は、ヘパリンによる一次的な副作用である。様々な形でヘパリン療法を受 けた患者の1〜33%にて大きな出血が認められている。紫斑病、斑状出血、血腫 、胃腸出血、血尿および腹膜後部の出血も、通常は、ヘパリン療法による合併症 とされている。侵襲的手法を適用した部位に、頻繁な出血が最もよく認められる 。出血が著しい場合には、ヘパリン100単位ごとに、1mgの硫酸プロタミンを投 与することでヘパリンの効果を中和する。他の副作用である血小板減少症も、ヘ パリンの投与を受けた患者の1〜5%に認められるが、ヘパリンの投与を止める ことで症状はおさまる。 ビタミンK拮抗剤(クマリン誘導体)は、実際には直接的に凝固カスケードを 阻害しないにもかかわらず、時として、経口用抗凝固剤と称されている。これら 薬剤として、4-ハイドロキシクマリン、ワルファリンナトリウム、ジクマロール 、フェンプロクモン、インダン-1,3-ジオン、アセノクマロール、およびアニシ ンジオンがある。これらは、いずれも凝固プロセスに関与する、因子II、VII、I XおよびXならびにタンパク質CとSのヘパリン合成に干渉し、それ故、抗凝固 効果がゆっく りと表れ、これは数日にも及ぶ。これら薬剤は経口的に投与され、各患者の投与 用量が一旦決まれば、安定して抗凝固効果レベルが維持できる。ビタミンK拮抗 剤は、動脈血栓症および静脈血栓症の双方の防止および処置のために使用される 。 出血は、ビタミンK拮抗剤による主要な副作用である。特に重大な症状は、生 体構成組織(例えば、頭蓋骨、心臓、神経鞘または脊髄)の圧迫や、迅速な診断 が下せない(例えば、胃腸、腹膜内部、腹膜後部での)多量の失血などの結果生 じた不可逆的な損傷を受けた部位に認められる。長期間にわたって経口的に抗凝 固剤の投与をうけている50才を超える患者での脳内または硬膜下血腫の危険性は 、10倍ほど高まるであろう。出血が続いたり、出血がひどい場合には、ビタミン K1(フィトナジオン)は有効な解毒剤となる。ビタミンK1による抗凝固性の回復に は完全にカルボキシル化した凝固タンパク質の合成を必要とするので、投与経路 にかかわらず、数時間にわたって顕著な止血効果は認められず、最大の効果が認 められるまでには24時間またはそれ以上の時間を必要とする。ワルファリンは、 胎盤関門を通って、胎児に致命的な出血を引き起こすので、妊娠中または妊娠予 定の女性への投与は禁ずる。妊娠期間中にワルファリンで処置すると、自然発生 的な流産、死産および先天的欠損症を招くことがある。 血栓融解剤には、tPA、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、プロウロキナー ゼ、アニソール化したプラスミノーゲンストレプトキナーゼ活性複合体(APSAC) 、および動物唾液腺プラスミノーゲンアクティベーターなどがあり、これらはい ずれもフィブリン溶解を促進せしめる。血栓融解薬は、新たに生成した動脈トロ ンビンと静脈トロンビンを分解するために用いられるものであるが、これらは、 数時間以上にわたってすでに存在し ているトロンビンの溶解には効き目がない。これら薬剤の静脈投与は、深層血管 の血栓症、肺塞栓症、急性心筋梗塞、および末梢動脈血栓塞栓症の処置のための 治療において有用的に利用されている。 すべての血栓融解剤の主要な毒性は、2つの因子による出血である。血栓融解 剤を用いた治療では、血管の損傷部位にある病理学的なトロンビンとフィブリン 沈殿物の双方を溶解しようとする。さらに、全体的な細胞溶解状態は、フィブリ ノーゲン分解と他の凝固因子の破壊を招くプラスミンが形成された結果によるも のである。フィブリン溶解が大規模に発生し、そして、このプロセスの阻害制御 が抗しがたくなる。血栓融解剤によって引き起こされたフィブリノーゲンの全体 的消失と血小板の機能不全も、出血を招きやすくする。よって、出血が認められ たり、大出血の危険性がある場合での血栓融解剤の使用は禁じられている。 ヘパリンと、ストレプトキナーゼまたはtPAのいずれかを同時に使用した場合 に、患者の2〜4%に重大な出血が認められている。頭蓋骨内での出血がはるか に重大な問題であり、症例の約1%にて認められており、また、3つの血栓融解 剤でのその発生頻度も同じである。後腹膜の出血もまた重大な問題である。心筋 梗塞を処置するために血栓融解剤を用いた場合、肺塞栓症や静脈血栓症を処置し た時と比較して出血の頻度は小さく、この差異は、治療期間によるものと思われ る(心筋梗塞の治療時間が1〜3時間であるのに対して、肺塞栓症と静脈血栓症 の治療時間は12〜72時間であった)。 一般に、静脈血栓症と致命傷にもなりかねない肺塞栓症は、ヘパリンまたはワ ルファリンで予防または処置されている。外科患者での静脈血栓症に対する予防 のために低用量のヘパリ ンが皮下的に用いられているが、例えば、腰部骨折後などの最も危険性の高い患 者については効果は期待できない。ワルファリンは、肺塞栓症による死亡率を低 減せしめ、また、低用量養生法または段階的養生法にて、固定された患者や手術 後の患者に対して、より安全に与えることができる。しかしながら、静脈血栓症 が一旦進行すると、血塊の成長および/または肺塞栓症の進行を防止するために 、4〜5日間のワルファリンによる全用量処置と重複した5〜10日間のヘパリン による全用量処置が必要となる。肺塞栓症と深層の静脈血栓症を処置するために 血栓融解剤が用いられているが、死亡率低減に結びつく効果に乏しい。静脈血栓 塞栓症の処置におけるアスピリンの実質的な効果は認められなかった。 急性動脈血栓症にあっては、一般に、血栓溶解療法は処置手段の一つになって いる。血栓溶解療法の目標は、血栓が生成した血管の再灌流を迅速に実現し、ま た、血管の開存性を維持することにあり、これら目的は、血流の回復が迅速にな されて維持されれば、関連した合併症の発症が少なくなるという考え方に基づい たものである。しかしながら、通常、血栓溶解療法を行った後に、血管の再閉塞 という症状が幾つも発現している。血栓溶解療法での補助剤として広く利用され ているものの、ヘパリンは、血栓溶解を促進するものでもなく、また、血管の再 閉塞を防ぐものでもない。[Klement et al.,Throm-bosis Haemostasis,68:64- 68(1992)]。冠状血栓症を新たに患った患者に血管内血栓溶解療法を適用すると 、血栓が生成した冠状動脈の再灌流が迅速に実現でき、そして、症状の発症から 数時間以内に血栓溶解剤を投与すれば、心臓の機能を維持することも、また、死 亡率の低減も図れることになる。急性血栓症の発症から数時間以内に血栓溶解剤 を投与すれば、血栓 が生成した末梢動脈に開存性を与えることもできる。ある症例、例えば、冠状動 脈血栓症にあっては、関係する血管にカテーテル挿入を行うことで、血栓溶解剤 が局所的に投与される。局所的ではなく全身的に投与した場合、トロンビン時間 が通常の2倍以上であることが治療効果の証しになる。一般に、かような処置は 、ヘパリン処置の後に行うべきであって、その後に、血塊がさらに出現または再 形成されないように、抗凝固剤を経口的に用いる。血栓溶解療法の後であって、 かつトロンビン時間が通常値に戻る以前に、一般に、5〜10日間、ヘパリンを患 者に与えることで、完全な抗凝固処置を施す。患者の疾患の治療において長期的 な抗凝固処置を必要とする場合には、ヘパリンの投与を止める以前に、ワルファ リンの投与を開始する。アスピリンに速効性は期待できないが、動脈血栓症に対 する長期的な予防措置への利用にあっては有用である。最近の研究によれば、低 用量のアスピリンの同時投与が、血栓融解治療または心筋梗塞に対する効果を改 善することが示唆されている。卒中の兆候がみられる患者は、ヘパリンで急性的 に抗凝固処置し、次いで、無期限的にワルファリンで処置する。アスピリンは、 頸部雑音、無症候性の頸動脈狭窄症、あるいは一過性の虚血性発作または軽度の 卒中の病歴を有する卒中患者向けの予防薬での使用が推奨されている。 DICでのヘパリンの使用を巡って、長年にわたって論争が繰り広げられている 。100mg/ml以下のフィブリノーゲンレベルで大量の脱繊維素を生成し、かつ代替 療法によっても出血が制御できないような、劇症で激発性の広汎性血管内凝血に 、通常、ヘパリンは関与する。このような症例の場合、10〜15単位/kg/時間の 速度で、静脈から連続的に注入して投与される。出血が原因で患者が死に直面し ている場合には、5000〜10,000 単位のヘパリンを丸剤として静脈から投与し、次いで、1000単位/時間の速度で ヘパリンの注入を継続する。 不安定な狭心症の処置や、2日以上にわたる心房細動の処置のための電気的除 細動を受けた患者においても、ヘパリンは有用である。ワルファリンとアスピリ ンは、脳塞栓症、特に、心房細動による危険性のある患者向けの予防薬として有 用である。脳塞栓症患者の50%以上に、心房細動が認められている。抗凝固性が 認められるにもかかわらず塞栓症の発生率が2〜6%/患者/年である人工心臓 弁を装着した患者、血栓塞栓症の発生率が1.5〜4.7%/年であるリウマチ性僧帽 弁疾患の患者、および血栓塞栓症の病歴のある患者の処置におけるワルファリン の使用が推奨されている。僧帽弁脱出症の患者へのアスピリンの使用が推奨され ている。 体外循環装置での詰まりを防ぐために、日常的に、抗血栓症剤も使用されてい る。すなわち、血管内カニューレ(ヘパリン)、血液透析患者での血管接続用シャ ント(アスピリン)、血液透析器(ヘパリン)、および心肺バイパス器(ヘパリン) である。加えて、ある種の腎臓病(ヘパリン/ワルファリン)や小細胞肺癌(ワ ルファリン)の処置にも、これらは利用されてきた。 BPIは、微生物の侵入に対する防御に必須の血液細胞である哺乳動物の多形核 白血球(PMNまたは好中球)の顆粒から単離されたタンパク質である。ヒトBPIタン パク質は、イオン交換クロマトグラフィー[Elsbach,J.Biol.Chem.,254:110 00(1979)]または大腸菌アフィニティークロマトグラフィー[Weiss,et al.,B lood,69:652(1987)]のいずれかと、酸抽出とを併用して、PMNから単離されて いた。このようにして得られたBPIを本明細書では天然型BPIと称するが、これは 、 広範なグラム陰性細菌に対する強力な殺菌活性を有することが示されている。ヒ トBPIの分子量はおよそ55,000ダルトン(55kD)である。ヒトBPIタンパク質全体の アミノ酸配列、及び該タンパク質をコードするDNAの核酸配列は、本明細書に参 考までに採り入れた、Glay et al.,J.Biol.Chem.,264:9505(1989)の図1に 報告されている。Grayらのアミノ酸配列は、本明細書において配列番号:1とし て記載した。米国特許第5,198,541号は、BPIホロタンパク質やBPIの断片を含め たBPIタンパク質の発現をコードする組換え遺伝子とそのタンパク質の発現方法 を開示している。 BPIは、強い陽イオン性のタンパク質である。BPIのN末端半分は、高い実効電 荷の原因となり、一方、この分子のC末端半分は、-3の実効電荷を有する。[Els bachとWeiss(1981)、前出]。BPIのタンパク質分解による約25kDの分子量のN末 端断片は、天然に由来する55kDのヒトBPIホロタンパク質の抗細菌効果を保有し ている。[Ooi et al.,JBiol.Chem.,262:14891〜14894頁、(1987)]。N末端部 分とは対照的に、単離されたヒトBPIタンパク質のC末端領域は、グラム陰性生 物に対してほんのわずかに検出可能な抗細菌活性を呈するに過ぎない。[Ooi et al.,J.Exp.Med.,174:649(1991)]。「rBPI23」と称する、およそ23kD(7)N末 端BPI断片が、組換法により製造されており、これもグラム陰性生物に対する抗 細菌活性ならびに内毒素中和活性を保持する。[Gazzano-Santoroet al.,Infect .Immun.60,4754〜4761(1992)]。 BPIの殺菌活性が、グラム陰性種に対して大きな特異性を呈することが、例え ば、Elsbach and Weiss,Inflammaion:Basic Princip1es and Clinical Correla tes,eds.Gallin et al.,Chapter 30,Raven Press Ltd.(1992)にて報告され てい る。BPIがグラム陰性細菌を殺菌する詳細なメカニズムは未だ完全に解明されて いないが、BPIは、まず、カチオン性のBPIタンパク質と負に帯電したLPSの部位 との間の静電気的作用および疎水性作用によって、細菌の表面に結合しなければ ならないと考えられている。感受性のグラム陰性細菌にあっては、BPIの結合に よって、LPSの構造を攪乱し、リン脂質やペプチドグリカンを分解する細菌酵素 の活性化を招き、細胞の外層膜の透過性を変化せしめ、そして、最終的には細胞 死に導く現象が始動することになる。[Elsbach and Weiss(1992)、前出]。LPSが 刺激する強い炎症性応答、すなわち、最終的には不可逆的な内毒素ショックをも たらす炎症性の宿主細胞による媒介物の放出が理由で、LPSは「内毒素」と呼ば れてきた。BPIは、最大の毒性を有し、また最大の生物学的に活性なLPSの成分で あるリピドAに結合し、そして中和する。 BPIの殺菌活性と内毒素結合/中和活性に加えて、BPIはヘパリンに結合し、そ して中和することも示されている。共有に係る米国特許No.5,348,942は、1994 年9月20日に発行されており、BPIタンパク質産物を用いたヘパリンの抗凝血効 果(すなわち、その凝血促進活性)を中和する方法が特許請求されている。抗凝 血剤または抗血栓剤としてのBPTの示唆も使用も記載されておらず、また、血栓 症疾患の予防または治療のためのその使用についても何ら示唆されていない。 当該技術分野にあっては、有害な副作用を伴わずに、抗凝血効果と血栓融解効 果を発揮することができる方法と組成物、および、従来の抗凝血剤や血栓融解剤 の治療効果を改善し、かつ理想的には、これら薬剤の必要用量を低減できるよう な方法と組成物が求められている。発明の要旨 本発明は、BPIタンパク質産物を用いて、血塊の形成を緩慢にし、そして、血 塊の溶解を促進する新規の方法と、さらに、治療的に有効量のBPIタンパク質産 物の投与による血栓症疾患の治療方法を提供する。 本発明によると、予防処置および治療処置を含む疾患を処置する上で有効量の rBPI21のようなBPIタンパク質産物が、血栓症疾患を患った患者に投与される。B PIタンパク質産物は、血塊の形成を緩慢または遅延せしめる活性(すなわち、抗 凝血活性)または血塊の溶解を改善、促進または増大せしめる活性(すなわち、 血栓融解活性)によって、血栓症疾患の有害作用を抑制する。 本発明の他の態様では、BPIタンパク質産物と、血栓融解剤、すなわち、tPA、 ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、プロウトキナーゼ、APSAC、動物唾液腺プ ラスミノーゲンアクティベーター、他のプラスミノーゲンアクティベーター、お よびこれらプラスミノーゲンアクティベーターの誘導体を含む血栓融解剤との同 時投与による血栓症疾患の治療のための方法が提供される。本発明のこの態様に よれば、血栓融解剤は血塊を溶解し、一方で、BPIタンパク質産物は血栓融解剤 の溶解活性を高め、および/または、血塊形成を遅延ならしめ、これによって、 血栓症の再発を遅延、減少または防止する。このBPIタンパク質産物は、プラス ミノーゲンアクティベーターのような血栓融解剤の内因性レベルおよび治療レベ ルの双方において効果的に機能する。 本発明のこの態様は、血塊を溶解するなどの目的のために、BPIタンパク質産 物と血栓融解剤の同時投与によって、患者に所望の予防または治療効果を与える に必要な血栓融解剤の用量 を低減する方法も提供する。 本発明は、さらに、BPIタンパク質産物と血栓融解剤の同時投与によって、血 栓融解剤、例えば、tPAで処置した患者での再灌流を促し、および/または、再 閉塞を遅延または防止するための方法を提供する。 さらに、血栓症疾患の治療のための薬剤の調製、または血中の血塊の形成を緩 慢にするための薬剤、または血中の血塊の溶解を高めるための薬剤の調製におけ るBPIタンパク質産物の使用も意図している。血栓症疾患の治療において血栓融 解剤と同時投与する薬剤の調製、ならびに、血栓融解剤で処置した患者の再灌流 を促すための薬剤の調製、または、再閉塞の発生を少なくするための薬剤の調製 におけるBPIタンパク質産物の使用も意図している。 以下の詳細な説明から理解される通り、本発明の方法は、従来の治療法からし て、より安全で、かつ効果的な血栓症の治療法を提供する。所望の治療効果を得 るために必要な抗血栓症剤の用量を低減することによって、これら薬剤の抗血栓 症活性に影響を及ぼさずに、従来の抗血栓症剤を用いた治療でよく認められた重 大な副作用を軽減または解消することができる。重要なことに、これらBPIタン パク質産物の使用により、血塊の形成が緩慢になり、または、血塊の溶解が促さ れて、これら薬剤の抗血栓症活性を高めることができる。 本発明の無数の他の態様と利点は、本発明の実施態様を記載した以下の本発明 の詳細な説明を考慮すれば、当業者に対して明らかになるであろう。発明の詳細な説明 血栓症疾患、すなわち、心筋梗塞のような急性血管疾患、脳卒中、末梢動脈閉 塞、深静脈血栓症、肺塞栓症、および他の血液系血栓症を含む血栓症疾患は、主 要な健康上の危険因子である。このような疾患は、フィブリンと血小板の凝集体 からなる血餅による血管の部分的または全体的な閉塞によって生じる。血塊の形 成を防止または遅延せしめる薬剤(すなわち、抗凝血剤)または血塊の溶解を改 善、促進または増大せしめる薬剤(すなわち、血栓融解剤)を用いた治療は、無 数の制限、合併症、危険性および副作用を伴う。治療用量のこれら薬剤の使用に よる出血の副作用と、血栓症と閉塞症が再発した後の再灌流による合併症の問題 が最も懸念されている。そして、予想外にも、BPIタンパク質産物の投与が、血 塊の形成を効果的に緩慢ならしめ、そして、血塊の溶解を向上させることが発見 されたのである。血塊を形成中の血液中に存在する投与したBPIタンパク質産物 は、凝血時間を長期化せしめ、および/または、形成される血塊を遊離した安定 性の乏しい血塊へと変質させる。 BPIタンパク質産物を、単独、あるいは他の抗血栓症剤(抗凝血剤または血栓 融解剤)と共に同時に投与することも意図している。抗凝血剤とは、血塊の形成 を緩慢ならしめる薬理効果を呈する薬剤であって、ダルテパリンやエノキサパリ ン、ワルファリンのようなクマリン誘導体経口抗凝血剤、およびアスピリンなど がある。血栓融解剤とは、血塊の溶解性を高める薬理効果を呈する薬剤であって 、tPA、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、プロウトキナーゼ、APSAC、動物唾 液腺プラスミノーゲンアクティベーター、および、これらの誘導体などのプラス ミノーゲンアクティベーターを含む。 本発明の方法に従って使用したBPIタンパク質産物は、tPAのようなプラスミノ ーゲンアクティベーターの内因性レベルまたは添加レベルのいずれかで、血塊を 溶解または分解しやすくする性質を有している。tPAが血塊の形成前または形成 後のいずれに存在しても、BPIタンパク質産物は、血塊の溶解性を高めて、例え ば、血塊の溶解または分解を促し、あるいは、より完全な血塊の溶解物または分 解物をもたらす。このように、BPIタンパク質産物は、血栓症疾患を治療する方 法、血栓症患者の血塊を分解または溶解する方法、硬質の血塊の形成を遅延また は阻害する方法、あるいは血栓症患者の血栓融解治療に組み入れる上で有用であ る。 殺菌活性、内毒素結合活性および内毒素中和活性、ヘパリン結合活性およびヘ パリン中和活性を含む、先述したBPIタンパク質産物の生物学的活性は、BPIタン パク質産物の抗凝血活性または血栓融解活性、そして、予期しえなかったこれら 未発見の活性に基づく治療用途を示唆するものでも、また、かような活性に係る ヒントを与えるものでもない。特に、BPIタンパク質産物がヘパリンに結合し、 そして中和するといった、すでに知見された活性(共同譲渡された米国特許No. 5,348,942を参照されたい)に鑑みれば、血栓症疾患の治療用薬剤としてのBPIタ ンパク質産物の活性は非常に驚くべきことである。 本明細書で使用した「処置」の語は、血栓症疾患の予防と治療のための処置の 双方を包含する。 本明細書で使用した「血栓症疾患」の語は、血栓症疾患または血栓症疾患に至 る傾向に関連した、またはそれらに基づいた状態を包含する。これら状態には、 冠状動脈血栓症のような動脈血栓症とその結果生じる心筋梗塞、脳動脈血栓症ま たは(例えば、心房細動による)心内血栓症とその結果生じる脳卒中、 そして、他の末梢動脈血栓症と閉塞症に関連する状態;深静脈血栓症や肺塞栓症 のような静脈血栓症に関連する状態;疾患のある心臓弁、人工心臓弁、移植血管 、および、他の体外用器具、すなわち、血管内カニューレや、血液透析患者、血 液透析器および心肺バイパス器での血管接続用シャントのような体外用器具を含 む、患者の血液による外来の組織表面または損傷した組織表面への曝露に関連す る状態;および、内毒素で開始した凝血多段によるものでない、過剰凝血性や散 在性の血管内凝血異常のような凝血異常に関連する状態が含まれる。 本明細書で使用した「同時投与」または「共同投与」あるいは「共同処置」と は、薬剤を、共同して、または組み合わせて、一緒に、または互いに相前後して 投与することを含む。BPIタンパク質産物と(抗凝血剤または血栓融解剤を含む )他の抗血栓症剤を、異なる経路で投与することができる。例えば、BPIタンパ ク質産物を静脈から投与する一方で、抗血栓症剤を筋肉内投与、静脈投与、皮下 投与または経口投与する。あるいは、BPIタンパク質産物を、例えば、エアゾー ルまたは霧状の形態で投与する一方で、抗血栓症剤を、例えば、静脈投与する。 BPIタンパク質産物と抗血栓症剤は、これらを同じ静脈から、もしくは間に洗い を行った後に、または異なる静脈から連続して投与する場合には、好ましくは、 BPIタンパク質産物と抗血栓症剤の双方を静脈から投与する。BPIタンパク質産物 と抗血栓症剤は、双方の薬剤が効果的な濃度で血栓症の部位に到達できるに十分 な方法で与えられる限りにおいては、これらを同時または連続的に投与する。BP Iタンパク質産物と抗血栓症剤を連続的に投与する期間内において、薬剤の投与 間隔を、分〜時間単位で設定した時間間隔を設けることも意図している。 従来の抗血栓症剤は、通常の臨床処置に従って定めた用量と投与経路によって 投与される。これら抗凝血剤と血栓融解剤のいくつかに関する、単一療法として 投与する場合の、一般的な用量と投与規制を、以下に記した。当然のことではあ るが、医療処置の良し悪しや、患者個人の臨床状態によって、これら用量も変化 する。 ワルファリンの用量は、プロトロンビン時間(PT)比率に関する効果によって示 された、この薬剤に対する患者の感受性によって個別に決定されなければならな い。摂取用量は、通常、2〜5mg/日であり、大抵の患者は2〜10mg/日の用量 で良好に状態が維持される。一般に、ワルファリンは経口的に与えられるが、患 者が経口的に薬剤を摂取できない場合には、静脈から投与することもできる。 ウロキナーゼは、急性肺塞栓症および冠状動脈塞栓症の消散のために処方され ており、また、血管内カニューレやカテーテルの開存性を得るために用いられる 。一般に、この薬剤は、10分問にわたって開始用量である2,000単位/ポンドが 投与され、次いで、12時間にわたって2,000単位/ポンド/時間の割合で連続注 入した。ウロキナーゼの合計用量は、患者の体重にも依るが、225万〜625万単位 の範囲の中にある。血管内カニューレやカテーテルを清澄するためにこの薬剤を 使用する場合、ウロキナーゼは、1ml量の一回の注射で5,000単位を使用する。 ストレプトキナーゼは、急性心筋梗塞の処置や、冠内血栓症、動脈血栓症また は動脈塞栓症、深静脈血栓症、肺塞栓症の消散、そして、管内をブロックしてい るカニューレやカテーテルの清澄のために用いられている。急性心筋梗塞の処置 にあっては、150万単位が、60分間にわたって静脈から注入される。ある いは、冠内に、20,000単位の丸塊を注入し、次いで、60分間にわたって、2,000 単位/分の割合で注入する。急性心筋梗塞以外の症状については、25万単位の用 量を、30分間にわたって静脈から注入することが、大多数の患者に対する適切な 処置になっている。 アニストレプラーゼ(ASPACとしても知られている)は、一般的には、30単位 の単一用量が、2〜5分間にわたって静脈から注入される。この薬剤は、急性心 筋梗塞の処置や、冠状動脈血栓症の消散のために用いられている。 薬剤tPAは、100mgを超えない範囲内で、患者の体重に基づいて用量が定められ る。67kgを超える体重の患者において推奨される用量は、まず、15mgの丸塊を静 脈に注入し、次いで、30分間にわたって15mgを連続注入し、そして、さらに60 分間にわたって35mgを注入する。67kgまたはそれ以下の体重の患者において推奨 される用量は、まず、15mgの丸塊を静脈に注入し、次いで、30分間にわたって0. 75mg/kg(50mgを超えない範囲内で)の濃度で、そして、さらに60分間にわたっ て0.5mg/kg(35mgを超えない範囲内で)の濃度で注入する。 BPIタンパク質産物を含む治療用組成物は、関連する血管から、全身的または 局所的に投与される。全身的投与経路として、経口投与、静脈投与、筋肉内注射 または皮下注射(長期徐放性のデポー剤を含む)、眼内および眼球後投与、鞘内投 与、腹膜組織内投与(例えば、腹膜内洗浄による)、エアゾールまたは霧状薬剤 を用いて肺内投与、あるいは経皮的投与がある。好ましい全身的投与経路は、静 脈投与である。ある症例、例えば、冠状動脈または末梢動脈血栓症にあっては、 関係する血管へ選択的カテーテル法を適用することで、局所的にBPIタンパク質 産物を投与することが好ましい。非経口的に投与する 場合、BPIタンパク質産物は、通常、1日当たり1μg/kg〜100mg/kgの範囲の用 量、好ましくは、1日当たり0.1mg/kg〜20mg/kgの範囲の用量、そして、より好 ましくは、1日当たり1mg/kg〜20mg/kgの範囲の用量で注射投与される。この処 置を、処置医者の判断に従い、1日当たりの用量を一定にし、あるいは減少また は増大せしめて、これを連続注入あるいは間欠的な注射または注入によって継続 する。当業者であれば、適正な臨床処置と患者個人の病状に基づいて、BPIタン パク質産物、および/または、他の抗血栓症剤のための最適な有効用量と、単一 療法または同時投与に向けた最適な投与規制を容易に設定することができる。 BPIタンパク質産物を抗血栓症剤と同時に投与する場合、BPIタンパク質産物と 抗血栓症剤は、単一療法効果を得るに十分な用量、または単一療法での用量より 少ない用量で投与される。BPIタンパク質産物は、従来の抗凝血剤または血栓融 解剤の治療効果を改善し、また、所望の抗凝血効果または血栓融解効果を得るに 必要な用量の低減が期待できる。換言すれば、このことは、血栓融解剤の使用に 起因する有害な副作用、例えば、望ましくない内出血や外出血の危険性を低減す るのである。 BPIタンパク質産物は、様々な面で、他の抗血栓症剤の治療効果を改善するで あろう。例えば、治療効果を得るに必要な抗凝血剤の用量を少なくすることで、 処置に伴う毒性および/または経費が小さくなり、これによって、抗凝血剤の多 用途化が図れる。さらに、同時投与を行うことで、いずれかの薬剤の単独投与に よった場合よりも、より迅速に、またはほぼ最大限に、向上した抗凝血効果また は血栓融解効果が得られる。 さらに、BPIタンパク質産物の組成物が、カニューレやカテーテルの開存性を 回復または維持し、また、凝固した血液また はフィブリンによる詰まりを除き、そして、例えば、輸血バッグ中の血液の抗凝 固性を維持し、さらに、例えば、血液透析および体外循環や、それに、例えば、 心臓弁や補綴物のような移植片の周りの血流を維持する上で、in vitroまたはin vivoにて有用であることも、本発明では意図している。 本明細書で使用する「BPIタンパク質産物」とは、天然および組換え生成したB PIタンパク質;天然、合成および組換えによる、生物学的に活性な、BPIタンパ ク質のポリペプチド断片;ハイブリッド融合タンパク質および二量体を含む、BP Iタンパク質の生物学的に活性なポリペプチド変異体あるいはその断片;システ イン置換した類似体を含む、BPIタンパク質の生物学的に活性なポリペプチド類 似体あるいはその断片あるいはその変異体;および、BPI-誘導ペプチドを包含す る。本発明に従って投与されるBPIタンパク質産物は、当該技術分野で公知のい かなる手段によっても生成および/または単離される。本明細書に参考までに取 り込んだ、米国特許第5,198,541号は、rBPI50と称する組換えBPIホロタンパク質 とBPIの組換え断片を含むBPIタンパク質の発現のための方法とそれをコードする 組換え遺伝子を開示している。本明細書に参考までに取り込んだ、共同所有に係 る、係属中の米国特許出願No.07/885,501とその一部継続出願である、1993年5 月19日出願の米国特許出願No.08/072,063と、1993年5月19日に出願された対応 国際出願No.93/04752は、培地中の遺伝子操作により形質転換した哺乳類宿主細 胞にて発現し、そこから分泌された組換えBPIタンパク質産物の新規の精製方法 、および、安定で、均質な薬剤調製物への導入に好適な組換えBPI産物の大量調 製の方法を開示している。 生物学的に活性なBPIの断片(BPI断片)は、断片分子が、ホ ロタンパク質のアミノ末端アミノ酸、内部アミノ酸、および/またはカルボキシ 末端アミノ酸を欠いていることを除けば、天然ヒトBPIホロタンパク質と同じあ るいは同様のアミノ酸配列を有する生物学的に活性な分子を含む。かような断片 の例として、Ooi et al.,J.Exp.Med.,174:649(1991)に記載の約25kDの天然 ヒトBPIのN末端断片、およびGazzano-Santoro et al.,Infect.Immun.60:475 4-4761(1992)に記載の、rBPI23と称する、天然ヒトBPIのN末端アミノ酸の1位 から約193あるいは199位をコードするDNAの組換え発現産物がある。この文献 では、発現ベクターを、第151位のバリンがGTCではなくGTGでコードされ、そし て、第185位が(AAGで特定された)リジンでなく(GAGで特定された)グルタミン酸 であることを除けば、前出のGray et al.,の図1に記載の成熟したヒトBPIのN 末端の31残基のシグナル配列および最初の199個のアミノ酸を有する組換え発現 産物(rBPI23)をコードするDNAの源として使用している。組換えホロタンパク 質(rBPI)は、rBPI23に関して述べた例外点ならびに第417位が(GTTで特定された) バリンでなく(GCTで特定された)アラニンであることを除けば、前出のGray et a l.,の図1に記載の配列(配列番号:1および2)を有する状態で生成する。他 の例としては、本明細書に参考までに取り込んだ、共同所有に係る、係属中の、 1994年3月11日に出願の米国特許出願No.08/212,132および対応するPCT出願No .PCT/US95/03125に記載されたBPI断片の二量体がある。好ましい二量体産物に は、単量体がBPIホロタンパク質の約1〜175位あるいは約1〜199位のN末端残 基を有するアミノ末端BPI断片である二量体のBPIタンパク質産物がある。特に好 ましい二量体産物として、rBPI42二量体と称する、1〜193位のN末端残基を有 するBPI断片の二量体がある。 BPIの生物学的に活性な変異体(BPI変異体)は、BPIホロタンパク質あるいはそ の生物学的に活性な断片、および少なくとも一つの他のポリペプチドの一部を含 む組換えハイブリッド融合タンパク質、ならびにBPI変異体の二量体を含むが、 これらに限定されない。かようなハイブリッド融合タンパク質および二量体の例 が、本明細書に参考までに取り込んだ、セオファンらによる、共同所有に係る、 係属中の米国特許出願No.07/885,911とその一部継続出願である、1993年5月19 日に出願された米国特許出願No.08/064,693と、1993年5月19日に出願された対 応のPCT出願No.US93/04754に記載されており、アミノ末端に、BPIタンパク質あ るいはその生物学的に活性な断片、そして、カルボキシ末端に、免疫グロブリン H鎖の少なくとも一つの定常領域とその対立変異体を含むハイブリッド融合タン パク質などがある。リポ多糖結合タンパク質(LBP)の一部または全部を含む、同 様にして形成されたハイブリッド融合タンパク質も、本願発明での使用を意図し ている。 BPIの生物学的に活性な類似体(BPI類似体)は、一つ以上のアミノ酸残基が他の アミノ酸で置換されたBPIタンパク質産物を含むが、これに限定されない。例え ば、本明細書に参考までに取り込んだ、共同所有に係る、係属中の、1993年2月 2日に出願された米国特許出願No.08/013,801および1994年2月2日に出願され た対応するPCT出願No.US94/01235は、システイン残基が異なるアミノ酸で置換 されたBPIとBPI断片のポリペプチド類似体を開示している。本願出願に記載の好 ましいBPIタンパク質産物は、BPIホロタンパク質のN末端アミノ酸の第1位から 約193あるいは199位のアミノ酸であって、その第132位のシステイン残基がアラ ニンで置換され、かつrBPI21ΔcysまたはrBPI21と命名されたアミノ酸をコード するDNAの 発現生成物である。他の例として、例えば、本明細書に参考までに取り込んだ、 共同所有に係る、係属中の、1994年3月11日に出願された米国特許出願No.08/21 2,132および対応するPCT出願No.PCT/US95/03125に記載されたBPI類似体の二量体 がある。 本発明の方法において有用な他のBPIタンパク質産物は、組換えもしくは合成 手段で生成したBPIから誘導したペプチド(BPI誘導ペプチド)または当該BPIに 基づくペプチドであり、かようなペプチドとして、本明細書に参考までに取り込 んだ、共同所有に係る、係属中の、1995年7月20日に出願された米国特許出願No .08/504,841、および1994年9月15日に出願された米国特許出願No.08/306,473 に対応する、共同所有に係る、係属中の、PCT出願No.PCT/US94/10427、ならび に、1993年3月12日に出願された米国特許出願No.08/030,644の一部継続出願で ある、(対応する国際出願が、1994年3月11日に出願されたPCT出願No.US94/02 401である)1993年7月15日に出願された米国特許出願No.08/093,202の一部継 続出願である、1994年1月14日に出願された米国特許出願No.08/183,222の一部 継続出願である、1994年3月11日に出願された米国特許出願No.08/209,762に対 応する1994年3月11日に出願された国際出願No.US94/02465に記載されたものが ある。 目下のところ好ましいBPIタンパク質産物には、組換え的に生成したBPIのN末 端断片、特に、rBPI23あるいはrBPI21のような約21〜25kDの分子量を有するもの 、あるいはこれらN末端断片の二量体(例えば、rBPI42二量体)がある。さらに 、好ましいBPIタンパク質産物として、rBPI50およびBPI-誘導ペプチドがある。 BPIタンパク質産物の投与は、好ましくは、BPIタンパク質産 物、および薬学的に許容される希釈剤、賦形剤あるいは担体を含む薬学的組成物 として投与される。BPIタンパク質産物は、BPIタンパク質産物単独、あるいは公 知の界面活性剤、他の化学療法薬、あるいは他の公知の抗微生物薬剤と組み合わ せて投与される。BPIタンパク質産物(例えば、rBPI50、rBPI23)を含む薬学的 組成物は、0.1重量%のポロキサマー188(Pluronic F-68、BASFワィアドッテ、パ ルシパニィー、ニュージャージー州)と0.002重量%のポリソルベート80(Tween 8 0、ICIアメリカズ社、ウィルミントン、デラウェア州)を含んだクエン酸塩で緩 衝処理した生理食塩水(5または20mMクエン酸塩、150mM塩化ナトリウム、pH 5.0 )にて、1mg/mgの濃度でBPIタンパク質産物を含む。BPIタンパク質産物(例えば 、rBPI21)を含む他の薬学的組成物は、5mMクエン酸塩、150mM塩化ナトリウム 、0.2%のポロキサマー188、および0.002%のポリソルベート80を含んだ生理食 塩水にて、2mg/mgの濃度でBPIタンパク質産物を含む。このような組み合わせは 、本明細書に参考までに取り込んだ、1994年2月2日に出願された米国特許出願 No.08/190,869と1993年2月2日に出願された米国特許出願No.08/012,360に対応 する、共同所有に係る、係属中の、1994年2月2日に出願されたPCT出願No.US9 4/01239に記載されている。 本発明の他の態様と利点は、以下の実施例の開示を考慮すればさらに理解が深 まるであろう。実施例1は、様々な条件下で実施した試験管アッセイでの血塊形 成および血塊分解/溶解に関するBPIタンパク質産物の効果を記している。実施 例2は、様々な条件下で実施したマイクロ滴定プレートアッセイでの、濁度訃測 によってモニターした、血塊形成および血塊分解/溶解に関するBPIタンパク質 産物の効果を記している。実施例3は、ラットの血栓症モデルにおける、tPAの 同時投与に よる、in vivoでの、BPTタンパク質産物の効果を記している。 実施例1 血塊形成および血塊分解/溶解 に関するBPIタンパク質産物の効果 血塊形成および血塊分解または溶解に関するBPIタンパク質産物の効果を決定 するために、ヒトの血漿試料を用いて、様々な試験条件下で、試験管アッセイを 行った。特に断りの無い限り、この試験管アッセイで用いたヒトの血漿は、様々 な給血者から得たヒトの血液をACD Vacutainer(登録商標)試験管(ベクトン デ ィッキンソン、マウンテインビュー、カリフォルニア州)に入れて準備し、そし て、−70℃で冷凍して保存した。血小板が豊富な血漿(PRP)の調製にあっては、 抗凝血性の血液を、約180×gで、5分間、遠心分離し、そして、この低速度遠 心分離に続いて血漿を除去した。血小板が欠乏した血漿(PPP)の調製にあっては 、抗凝血性の血液を、約460×gで、10分間、遠心分離し、そして、この高速度 遠心分離に続いて血漿を除去した。 BPIタンパク質産物の血漿タンパク質への作用性を決定するための最初の実験 にあっては、二人の給血者から得たACD血漿を、臭化シアンを介してセファロー スに結合したrBPI23を含むカラムに通した。約40mlの血漿を、血漿成分が結合で きるように、rBPI23-セファロースカラムに通した。このカラムを、洗液のOD280 が<0.02になるまで、リン酸塩で緩衝処理した生理食塩水(10mMリン酸塩、0.15M 塩化ナトリウム、pH 7.2)で洗浄した。結合した血漿成分を高濃度の塩(1.5M塩化 ナトリウム)で溶出し、そして、溶出したタンパク質をSDS-PAGEで分析した。い くつかのタンパク質バンドに関するアミノ酸配列の 解析によると、プロトロンビンとフィブリノーゲンがrBPI23によって結合してい たことが認められた。 例示的に用いたBPIタンパク質産物による、血塊の形成を遅延せしめる活性( すなわち、抗凝血活性)および/または血塊の溶解を高める活性(すなわち、血 栓融解活性)を測定した。 このような抗凝血活性や血栓融解活性は、血栓症疾患を患った患者での疾患の 治療のためのBPIタンパク質産物の有用性を実証するものである。BPIタンパク質 産物の効果を、PPPおよびPRP試料に関して、様々な試験条件下で、以下のように して、試験を行った。 A.表面条件の相違による影響 血塊の形成性および血塊の溶解性を、rBPI21の共存下または非共存下で、ポリ プロピレンまたはガラス製試験管を用いて評価した。本実施例および後続の実施 例でのすべての試験において、rBPI21は、5mMクエン酸塩、150mM塩化ナトリウ ム、0.2%のポロキサマー188(Pluronic F-68、BASFワィアドッテ、パルシパニィ ー、ニュージャージー州)および0.002%のポリソルベート80(Tween 80、ICIア メリカズ社、ウィルミントン、デラウェア州)を含む生理食塩水にて、2mg/mgの 濃度で調製した。本実施例で使用した他のBPIタンパク質産物は、1mg/mgの濃度 で同様に調製した。ここで用いた0.1%HSA-TBSとは、Trisで緩衝処理した生理食 塩水(TBS)[0.02MTris、0.15M塩化ナトリウム、pH 7.4]における0.1%のヒト血 清アルブミン(HSA)[アルファ セラペウティクス社、ロスアンジェルス、カリフ ォルニア州]である。血塊形成を観るための実験にあっては、以下の試薬を、記 載した順に混合していった。すなわち、(1)160μlのPPP(給血者RL);(2)40μl のrBPI21(0.1 %HSA-TBSにて10または250μg/mlのいずれかの濃度);および(3)TBS、pH 7.8 における40mM塩化カルシウムの200μlである。 試験管を室温下に放置し、そして、1分ごとに、試験管をゆっくりと傾けて、 そして、血塊の形成を目視で検査して確認した。塩化カルシウムの添加から血塊 形成に要する時間(分)を測定した。 血塊の形成は、ポリプロピレン製の試験管よりも、ガラス製の試験管において 早く認められた。しかしながら、rBPI21は、ポリプロピレン製とガラス製の双方 の試験管において、凝血時間を長期化した。rBPI21の濃度が高濃度(25μg/ml )になるほど、凝血時間は長くなっていた。 血塊溶解を観るための実験にあっては、塩化カルシウムを添加して33分後に、 tPAの最終濃度が60単位/ml(または100ng/ml)になるように、各試験管に44μlの tPA[カルバイオケム、サンジエゴ、カリフォルニア州](600単位/mlまたは1μ g/ml)を加えた。この数値は、ある生理学的状態/条件で認められるtPAの内因 性濃度よりも高い値域にある[例えば、von der Mohlen et al.,Blood,85:3437 -3443(1995);Suffradini et al.,New Engl.J.Med.,320:1165-1172(1989)を 参照されたい]。これら試験管を、室温下で、10分間インキュベーションし、そ して、37℃の水浴上に置いた。目視によって、各試験管での血塊の溶解/分解に ついて確認を行った。 5分後に、ガラス製試験管内にてrBPI21で処置した血塊は管壁から分離してい たが、他のすべての血塊は管壁に付着したままであった。3時間半後に、25μg /mlのrBPI21を加えたポリプロピレン製の試験管では血塊は小さくなっており、 それは、1μg/mlのrBPI21を加えたポリプロピレン製の試験管および対照のポ リプロピレン製の試験管での血塊の約1/3の大きさであった。 血塊の溶解/分 解は、ポリプロピレン製の試験管よりも、ガラス製の試験管において早く認めら れた。25μg/mlのrBPI21を共存せしめたことで、血塊の溶解作用は促進した。 後続のすべての試験において、ガラスのタンパク質吸着効果を最小ならしめるた めに、ポリプロピレン製の試験管を用いた。 B.カルシウムイオン濃度による影響 至適カルシウム濃度を決定するために、血塊の形成性および血塊の溶解性を、 rBPI21の共存下または非共存下で、カルシウム濃度(10、15、20mM)を変化させ て評価した。血塊形成を観るための実験にあっては、ポリプロピレン製の試験管 内で、以下の試薬を記載した順に混合していった。すなわち、(1)60μlの0.1% HSA-TBS;(2)100μlのPPP(給血者PC);(3)40μlのrBPI21(O.1%HSA-TBSにて10 または250μg/mlのいずれかの濃度);および(3)TBS、pH 7.8における20、30ま たは40mMの塩化カルシウムの200μlである。 試験管を室温下に放置し、そして、1分ごとに、ゲル状の血塊の形成を目視で 検査して確認した。試験したすべての塩化カルシウムの濃度において、rBPI21の 濃度の増大に伴って血塊形成に要する時間が長くなっていた。rBPI21の濃度が高 濃度になればなるほど、血塊形成に要する時間が長くなっていた。 血塊溶解を観るための実験にあっては、塩化カルシウムを添 加して35分後に、tPAの最終濃度が60単位/mlまたは100ng/mlになるように、各試 験管に44μlのtPA(600単位/mlまたは1μg/ml)を加えた。これら試験管を、37 ℃の水浴上でインキュベーションし、そして、約20分ごとに、目視によって、血 塊の溶解/分解について確認を行った。 rBPI21は、血塊の溶解を促進した。そして、ここでもrBPI21の濃度が25μg/m lの時に特にその効果は顕著であった。血塊の形成と血塊の溶解は、10mMのカル シウムを用いた時に最も顕著であった。後続のすべての実験において、血塊の形 成と溶解を開始するために、10mMの塩化カルシウムを用いた。 C.血塊形成前および血塊形成後のtPAの添加による影響 血塊の形成性および血塊の溶解性を、rBPI21の共存下または非共存下で、血塊 形成前または血塊形成後にtPAを添加することで評価した。血塊形成を観るため の実験にあっては、ポリプロピレン製の試験管内で、以下の試薬を記載した順に 混合していった。すなわち、(1)60μlの0.1%HSA-TBS;(2)100μlのPPP(給血 者PC);(3)40μlのrBPI21(0.1%HSA-TBSにて10または250μg/mlのいずれかの 濃度);(4)血塊形成前試験区にあっては、44μlのtPA(600単位/mlまたは1μ g/ml);および(5)TBS、pH 7.8における20mMの塩化カルシウムの200μlである 。 試験管を室温下に放置し、そして、1分ごとに、ゲル状の血塊の形成を目視で 検査して確認した。塩化カルシウム添加してから血塊が形成されるに至る時間を 測定した。血塊形成前にtPAを添加した場合、25μg/mlのrBPI21を添加した試験 時にのみ血塊形成の遅延が認められた。 血塊溶解を観るための実験にあっては、塩化カルシウムを添加して35分後に、 44μlのtPA(600単位/mlまたは1μg/ml)を 血塊形成後試験区の試験管に加えた。これら試験管すべてを、37℃の水浴上でイ ンキュベーションし、そして、約20分ごとに、目視によって、血塊の溶解/分解 について確認を行った。血塊の溶解に要する時間数(hours)(血塊形成後にtPAを 添加する場合)と、分数(minutes)(血塊形成前にtPAを添加する場合)を測定した 。この実験にあっては、血塊形成前にtPAを添加した場合、血塊形成後にtPAを添 加した時よりも、少なくとも6倍の速さで血塊を溶解した。25μg/mlのrBPI21 によって、血塊の溶解時間は短縮されていた。血塊形成前のtPA添加条件下での 予想外に急速な血塊の溶解がために、この実験にあっては、血塊の溶解に要する 正確な時間は測定していなかった。これら結果は、血塊形成後よりもむしろ、血 塊形成前にtPAを添加することで、血塊の溶解が劇的に促されることを実証する ものであった。 D.様々な濃度のtPAの血塊形成前添加による効果 血塊の形成性および血塊の溶解性を、rBPI21の共存下または非共存下で、最終 濃度が0、6または60単位/mlになるように、tPAを血塊形成前に添加すること で評価した。 血塊形成を観るための実験の最終段階にあっては、ポリプロピレ ン製の試験管内で、以下の試薬を記載した順に混合していった。すなわち、(1)6 0μlの0.1%HSA-TBS;(2)100μlのPPP(給血者RL);(3)40μlのrBPI21(0.1 %HSA-TBSにて10または250μg/mlのいずれかの濃度);(4)44μlのtPA(600単位 /mlまたは1O0ng/ml)または緩衝液(0.1%HSA-TBS)を用いた対照;および(5)TBS、 pH 7.8における20mMの塩化カルシウムの2OOμlである。 試験管を室温下に放置し、そして、1分ごとに、ゲル状の血塊の形成を目視で 検査して確認した。塩化カルシウム添加し てから血塊が形成されるに至る時間(分)を測定した。tPAの添加量(0、6、6 0単位/ml)を増大しても、対照区と比較しても、血塊の形成に至る時間につい ては大差は認められなかった。 血塊溶解を観るための実験にあっては、塩化カルシウムを添加して53分後に、 すべての試験管を、37℃の水浴上でインキュベーションし、そして、目視によっ て、血塊の溶解/分解について確認を行った。血塊の溶解に要する時間数(hours )と分数(minutes)を測定した。tPAが無添加の場合、血塊の溶解は認められなか った。tPA用量作用効果が認められ、高濃度のtPA(60単位/ml)において血塊の溶 解が最も迅速であった。この給血者の血漿を利用した条件下では、rBPI21は、最 小限の血塊溶解作用を維持する一方で、非常に大きな血塊形成の遅延効果を呈し た。血漿提供者によって、(上記A〜C節での結果の比較から)凝血時間ならび に溶解時間において相当の差が生じることは明らかである。このような差異は、 各提供者の血漿での凝血決定因子の濃度の違いによるものであろう。 E.活性化前および活性化後にrBPI21とtPAを添加した時の効果 カルシウム添加前(活性化前またはカルシウム処理前)およびカルシウムを添 加して4分後(活性化後またはカルシウム処 理後)に、rBPI21とtPAの双方を添加した時の血塊の形成性および血塊の溶解性 を評価した。ポリプロピレン製の試験管内で、以下の試薬を記載した順に混合し ていった。すなわち、(1)60μlの0.1%HSA-TBS;(2)100μlのPPP(給血者PC); (3)84μlのrBPI21(5、25または125μg/mlのいずれか)とtPA(300単位/mlま たは50ng/ml)、あるいは緩衝液(0.1%HSA-TBS)を用いた対照;および(5)TBS、pH 7.8における20mMの塩化カルシウムの20Oμlである。 試験管を室温下に放置し、そして、1分ごとに、ゲル状の血塊の形成を目視で 検査して確認した。塩化カルシウム添加してから血塊が形成されるに至る時間( 分)を測定した。 この実験では、25μg/mlのrBPI21をカルシウム添加前に用いた場合にのみ血 塊の形成の遅延が認められた。カルシウムを添加して4分後にrBPI21を添加した 場合でもい、血塊の形成速度に大差は認められなかった。 血塊溶解を観るための実験にあっては、塩化カルシウムを添加して15分後に、 すべての試験管を、37℃の水浴上でインキュベーションし、そして、ほぼ1分毎 に、目視によって、血塊の溶解/分解について確認を行った。血塊の溶解に要す る分数(minutes)を測定した。 カルシウム添加後にrBPI21とtPAを添加した方が、カルシウム添加前と比較し て、血塊の溶解が迅速であった。カルシウム添加前グループとカルシウム添加後 グループの双方のグループにおいて、血塊の溶解性に関して、若干のrBPI21用量 作用効果が認められた。これら結果は、カルシウム添加(血塊形成の活性化)の 時期と、tPAとrBPI21の添加の時期との関係が、血塊の形成性と血塊の溶解性に 影響を与えることを示唆している。 高濃度の血漿を用いた他の実験において、カルシウム添加前およびカルシウム を添加して3分後に、rBPI21とtPAを添加した時の血塊の形成性および血塊の溶 解性を評価した。ポリプロピレン製の試験管内で、以下の試薬を記載した順に混 合していった。すなわち、(1)160μlののPPP(給血者PC);(2)84μlのrBPI21( 5、25または125μg/mlのいずれか)とtPA(300単位/mlまたは50ng/ml)、また は緩衝液(O.1%HSA-TBS)を用いた対照;および(3)TBS、pH 7.8における20mMの塩 化カルシウムの200μlである。 試験管を室温下に放置し、そして、1分ごとに、ゲル状の血塊の形成を目視で 検査して確認した。塩化カルシウムを添加してから血塊が形成されるに至る時間 (分)を測定した。この実験では、25μl/mlのrBPI21をカルシウム添加前に用 いた場合に血塊の形成の遅延(〜50%の延長)が認められた。カル シウムを添加して3分後に25μg/mlのrBPI21を添加した場合、血塊の形成に関 してわずかな効果(〜22%の延長)が認められた。 血塊溶解を観るための実験にあっては、塩化カルシウムを添加して15分後に、 すべての試験管を、37℃の水浴上でインキュベーションし、そして、目視によっ て、血塊の溶解/分解について確認を行った。血塊の溶解に要する分数(minutes )を測定した。カルシウム添加前グループとカルシウム添加後グループの双方の グループにおいて、血塊の溶解性に関して、若干のrBPI21用量作用効果が再度認 められた。カルシウム添加前のrBPI21とtPAの添加と、カルシウム添加後のrBPI2 1 とtPAの添加では、血塊の溶解性においてのみ、微小の差異が認められた。先の 実験においては、カルシウム添加前グループとカルシウム添加後グループとの間 には血塊の溶解性に関して大きな差異が認められたが、かような結果は、使用し た血漿の濃度の相違によるものであろう。これら結果は、カルシウム添加(血塊 形成の活性化)の時期ならびに血漿濃度と、tPAとrBPI21の添加の時期との関係 が、血塊の形成性と血塊の溶解性に影響を与えるとする先の実験結果を確認する ものであった。 F.凝血温度の効果 幾つかの凝血温度での血塊の形成性および血塊の溶解性を評価した。血塊形成 を観るための実験にあっては、ポリプロピレン製の試験管内で、以下の試薬を記 載した順に混合していった。すなわち、(1)60μlの0.1%HSA-TBS;(2)100μl のPPP(給血者PC);(3)40μlのrBPI21(10、50または250μg/mlのいずれか)あ るいは緩衝液を用いた対照;(4)44μlのtPA(600単位/mlまたは100ng/ml)、また は緩衝液(0.1%HSA-TBS)を用 いた対照;および(5)TBS、pH 7.8における20mMの塩化カルシウムの200μlであ る。 試験管を室温(R.T.)下または37℃の温度下に放置し、そして、1分ごとに、ゲ ル状の血塊の形成を目視で検査して確認した。塩化カルシウム添加してから血塊 が形成されるに至る時間(分)を測定した。 血塊の形成は、室温下よりも、37℃の温度条件下で迅速に進行した。しかしな がら、25μg/mlのrBPI21では、いずれの温度条件下でも血塊の形成を遅延せし めた。本実験で試験した条件下では、低濃度のrBPI21では、血塊の形成速度に影 響を与えないようであった。 血塊溶解を観るための実験にあっては、塩化カルシウムを添加して15分後に、 tPAの最終濃度が60単位/ml(または100ng/ml)になるように、血塊形成後試料用の 試験管に44μlのtPA(600単位/mlまたは1μg/ml)を加えた。これら試験管を、 37℃の水浴上に置き、そして、目視によって、血塊の溶解/分解について確認を 行った。血塊の溶解に要する時間数(hours)(血塊 形成後のtPAの添加)と、分数(minutes)(血塊形成前のtPAの添加)を測定した。 #-7時間経過時点での血塊の大きさに基づいて判断した時間 血塊形成前にtPAを添加した方が、血塊形成後の添加と比較して、血塊の溶解 が非常に迅速であった。血塊形成前のtPAの添加にあっては、血塊を室温で形成 する場合と比較して、37℃で血塊を形成した時の方が(〜3%対〜35%の比率で )溶解時間の顕著な短縮化が図れた。後続のすべての実験は、37℃で実施した。 G.rBPI21 、rBPI50およびrLBPの効果 rBPI21、rBPI50およびrLBPを用いて、血塊の形成性および血塊の溶解性を評価 した。ポリプロピレン製の試験管内で、以下の試薬を記載した順に混合していっ た。すなわち、(1)60μlの0.1%HSA-TBS;(2)100μlのPPP(給血者PC);(3)40 μlのrBPI21、rBPI50またはrLBP(10、50または250μg/mlのいずれか)あるい は緩衝液を用いた対照;(4)TBS、pH 7.8における20mM の塩化カルシウムの200μlである。 試験管を37℃の水浴でインキュベーションし、そして、1分ごとに、ゲル状の 血塊の形成を目視で検査して確認した。塩化カルシウム添加してから血塊が形成 されるに至る時間(分)を測定した。 25μg/mlのrBPI21では、血塊形成の速度は減速したが、rBPI50とrLBPの血塊 の形成速度は、対照のそれと同等であった。 血塊溶解を観るための実験にあっては、塩化カルシウムを添加して15分後に、 tPAの最終濃度が60単位/ml(100ng/ml)になるように、すべての試験管に44μlの tPA(600単位/mlまたは1μg/ml)を加えた。次に、これら試験管を、37℃の水 浴上に置き、そして、目視によって、血塊の溶解/分解について確認を行つた。 血塊の溶解に要する分数(minutes)を測定した。 #-11時間時点での血塊の大きさに基づいて判断した時間 試験したすべての濃度にて、rBPI21は、血塊溶解に至る時間を約50%短縮した 。rBPI50は、血塊溶解に至る時間を、1μg/mlにて約29%、5μg/mlにて約19 %、そして、25μg/mlにて約50%短縮した。rLBPは、血塊溶解に至る時間を、 5μg/mlにて約57%、そして、25μg/mlにて約29%短縮したが、1μg/mlで は目に見える効果は認められなかった。これら結果は、血塊溶解に関するtPAの 効果を高める上で、rBPI21が、質量ベースで、rBPI50やrLBPよりも優れているこ とを示唆している。 H.血小板が豊富な新しい血漿(PRP)と 血小板が欠乏した新しい血漿(PPP)の効果 血塊の形成性および血塊の溶解性を、rBPI21の共存下または非共存下で、同じ 提供者から新たに採取した、血小板が豊富な血漿(PRP)と血小板が欠乏した血漿( PPP)を用いて評価した。ポリプロピレン製の試験管内で、以下の試薬を記載した 順に混合していった。すなわち、(1)120μlの新しいPRPまたはPPP(給血者EL); (2)80μlのrBPI21(5、25または125μg/mlのいずれかの濃度)あるいは対照(0. 1%HSA-TBS)およびtPA(300単位/ml);および(3)TBS、pH 7.8における20mMの塩化 カルシウムの 200μlである。 試験管を37℃の水浴でインキュベーションし、そして、1分ごとに、ゲル状の 血塊の形成を目視で検査して確認した。塩化カルシウム添加してから血塊が形成 されるに至る時間(分)を測定した。 PPPとPRPの双方について、血塊の形成速度に関するrBPI21用量直接作用効果が 認められ、高濃度のrBPI21は、血塊形成時間を長期化ならしめた。この実験で試 験したすべての条件にて、PRPは、PPPよりも短い凝血時間を示した。 血塊溶解を観るための実験にあっては、試薬を一切補充添加せずに、37℃でイ ンキュベーションを継続した。血塊の溶解に要する分数(minutes)を測定した。 試験したすべての条件にて、血塊溶解に至る時間は、新しいPPPよりも、新し いPRPの方が長かった。いずれの血漿タイプ(PRPまたはPPP)であっても、rBPI21 の濃度が1μg/mlの時に、血塊の溶解が最も迅速に進行した。血塊の形成から 血塊の溶解に至る時間を算出し、以下にまとめた。 この実験において、血塊形成に関する用量作用効果が認められ、rBPI21の濃度 が増大することで、PRPとPPPの双方において、凝血時間が長くなった。しかしな がら、血塊溶解に関するrBPI21の用量作用効果は明確に認められなかった。全体 として、1μg/mlのrBPI21にて血塊溶解時間の短縮化が認められた。しかしな がら、血塊形成から血塊溶解に至る時間を測定するのであれば、血塊溶解に至る 時間の差異のみが明らかとなる。これら結果から、低濃度のrBPI21において、血 塊形成よりもむしろ血塊溶解に関する顕著な効果が認められた。rBPI21濃度の増 大に伴い、血塊溶解よりもむしろ血塊形成に関する顕著な効果が認められた。 I.新たに採取した血液に関するrBPI21の効果 血塊の形成性を、rBPI21と新たに採取した血液を用いて評価 した。この実験において、50、 100、200μg/mlのいずれかの濃度のrBPI21また は対照の緩衝液が入った、4つのシリコン製の3ml容のVacutainer(登録商標)試 験管に血液を入れた。採血後に試験管を数回倒立反転させ、そして、すべての試 験管に血液が入れられるまで氷上に置く。(各試験管での採血時間は30秒以内で ある。) すべての試験管を37℃の水浴上に置き、そして、1分ごとに、試験管をゆっく りと傾けて、そして、血塊の形成を目視で検査して確認した。 rBPI21の濃度を大きくすることで、用量依存的に血塊の形成速度は減速するが 、血塊の形成を完全に止めるものではなかった。 実施例2 マイクロ滴定プレートアッセイにおける血塊形成 および血塊分解に関するBPIタンパク質産物の効果 様々な条件下で、ヒトの血漿試料を用いて、血塊形成に関するBPIタンパク質 産物の効果を評価するために96-ウェルマイクロ滴定プレートアッセイを用いた 。これらアッセイは、実施例1に記載の試験管アッセイの結果を確認するもので あった。これらアッセイのために、ヒトの血漿、PRPまたはPPPのいずれかを、実 施例1に記載の通りにして調製した。 このプレートを用いたアッセイにあっては、すべての実験を37℃で実施し、ま た、各ウェルでの総量は、血塊形成前の添加とする時は、tPAの共存下または非 共存下にて200μl以下の量とし、あるいは、血塊形成後の200μlが入ったウェ ルに、tPA(50μl)を添加する場合には250μl以下の量とする。 A.血塊形成前のtPAの添加とBPTタンパク質産物 による効果:新しいPRPおよびPPP カルシウム添加に先行して、新しいPRPおよびPPPに対してrBPI21とtPAを添加 した時の血塊の形成性を評価した。96-ウェルマイクロ滴定プレート(例えば、 ダイナテック、チャンティリィー、バージニア州、コスター、ケンブリッジ、マ サチューセッツ州)の各ウェルに、以下の試薬を記載した順に混合していった。 すなわち、(1)60μlの0.1%HSA-TBS;(2)50μlの新しいPRPまたはPPP(給血者P M);(3)20μlのrBPI21(1000、250、50、10または2μg/ml);(4)20μlのtPA( 600単位/mlまたは100ng/ml);および(5)TBS、pH 7.4における20mMの塩化カルシ ウムの50μlである。 塩化カルシウムを添加して直後に、自動プレート読取機(Vmax Plate Reader 、モレキュラーデバイス社、メンローパーク、カリフォルニア州)を用いて、様 々な時点(本実験の場合、2分間隔で2時間)にて、405nmでの光学密度(OD405) としてウェルの濁度を測定した。プレート全体を、5秒以内で分析を行った。2 分間隔で2時間にわたって得たデータを、405nmでの光学密度と時問との関係で グラフに表した。血塊形成速度を、時間経過に伴う405nmでの光学密度の変化と して、すなわち、血塊の形成に伴う405nmでの光学密度の増大として測定した。4 05nmでの光学密度が最大値に達した後に、血塊 形成前にtPAを添加したことで、時間経過に伴う405nmでの光学密度の減少が測定 されて、血塊が溶解することとなった。 この実験にあっては、rBPI21は、5、25および100μg/mlの濃度にて、PRPお よびPPP双方での血塊の形成を完全に防止した。1μg/mlにて、rBPI21は、凝血 に至る時間を効果的に長期化せしめ、405nmでの光学密度が最大レベルに達する に至る時間[凝血時間]の長期化と、405nmでの光学密度が最大レベルの大きさ [血塊密度]の減少が測定された。0.2μg/mlにて、rBPI21による血塊形成時間 は、対照での血塊形成時間と同等であった。 B.血塊形成前のtPAの添加と様々なBPIタンパク質産物と 対照タンパク質による効果:凍結したPPP カルシウム添加に先行して、PPPに対してrBPI21、rBPI50、rBPI42、LBPおよび タウマチン(rBPI21と同様の大きさと電荷を持った対照のカチオン性のタンパク 質)ならびにtPAを添加した時の血塊の形成性を評価した。96-ウェルマイクロ滴 定プレートの各ウェルに、以下の試薬を記載した順に混合していった。すなわち 、(1)60μlの0.1%HSA-TBS;(2)50μlの−70℃で凍結したPPP(給血者PM);(3) 20μlのタンパク質産物(1000、250、50、10または2μg/mlの各濃度のrBPI21 、rBPI50、rBPI42、LBPおよびタウマチン);(4)20μlのtPA(600単位/mlまたは1 00ng/m);および(5)TBS、pH 7.4における20mMの塩化カルシウムの50μlである 。 塩化カルシウムを添加して直後に、上節A.に記載したようにして、様々な時 点にて、405nmでの光学密度としてウェルの濁度を測定した。この実験において は、405nmでの光学密度がピーク値に到達した時の時間を測定することで、血塊 形成に至る時間が、血塊形成に至る分数(minutes)として決定される。 †--対照からして実質的に(例えば、3〜4倍)減少したピーク値 *--クエン酸塩の有効濃度を大きくした対照の緩衝液 100μg /mlの濃度にて、rBPI21、rBPI50、rBPI42は、血塊の形成を完全に防 止し(2時間にわたる動力学的プレート読取機による分析にて405nmでの光学密度 の増大は認められなかった)、また、25μg/mlの濃度にて、これらBPIタンパク 質産物は実質的に血塊の形成を防止した(2時間にわたる分析にて405nmでの光学 密度はわずかに増大した)。5μg/mlの濃度にて、rBPI21とrBPI50は、血塊の形 成に至る時間を効果的に遅延せしめ、また、405nmでの光学密度が最大値に至る までの所要時間が長くなっていた。この実験では、LBPとタウマチンによる、血 塊形成時間への影響は認められなかった。カチオン性の対照のタンパク質である タウマチンにて効果が認められないことは、BPIタンパク質産物による血塊形成 時間の長期化が、単に、それらのカチオン性特性に基づく電荷効果によるもので ないことを示唆するものであった。 C.血塊形成前の様々なプラスミノーゲン活性化因子の添加と BPI タンパク質産物による効果:凍結したPPP カルシウム添加に先行して、PPPに対してプラスミノーゲン活性化因子(tpA、 ウロキナーゼまたはストレプトキナーゼ)とrBPI21を添加した時の血塊の形成性 を評価した。96-ウェルマイクロ滴定プレートの各ウェルに、以下の試薬を記載 した順に混合していった。すなわち、(1)60μlの0.1%HSA-TBS;(2)50μlの− 70℃で凍結したPPP(給血者PM);(3)20μlのrBPI21(1000、250、50、10または2 μg/ml);(4)20μlのPA(tPA、1000ng/ml;ウロキナーゼ、100およびl000ng/ml ;ストレプトキナーゼ、100および1000ng/ml);および(5)TBS、pH 7.4における2 0mMの塩化カルシウムの50μlである。 塩化カルシウムを添加して直後に、上節A.に記載したようにして、405nmで の光学密度としてウェルの濁度を測定した。この実験において、100μg/mlの濃 度にて、rBPI21は、血塊の形成を完全に防止し(2時間にわたる動力学的プレー ト読取機による分析にて405nmでの光学密度の増大は認められなかった)、また、 25μg/mlの濃度にて、rBPI21は、tPA、ウロキナーゼまたはストレプトキナーゼ が血塊形成前の混合物中に存在している条件下で、実質的に血塊の形成を防止し た。5μg/mlの濃度のrBPI21にて、血塊形成の抑止効果が認められた。1およ び0.2μg/mlの濃度のrBPI21での血塊形成時間は、対照のそれと同等であった 。試験したウロキナーゼの濃度(10および100ng/ml)にて、100ng/mlのtPAと100ng /ml(10ng/mlでは不可)のストレプトキナーゼで認められた、血塊の形成に続く 血塊の溶解は起こらなかった。 D.様々な提供者から得た血漿に関する BPI タンパク質産物による効果:新しいPPP カルシウム添加に先行して、新しいPPPに対して(tpAではなく)BPI21を添加し た時の血塊の形成性を評価した。96-ウェルマイクロ滴定プレートの各ウェルに 、以下の試薬を記載した順に混合していった。すなわち、(1)80μlの0.1%HSA- TBS;(2)50μlの新しいPPP(給血者MW、RDおよびRL);(3)20μlのrBPI21(1000 、250、50、10または2μg/ml);および(4)TBS、pH 7.4における20mMの塩化カ ルシウムの50μlである。 塩化カルシウムを添加して直後に、上節A.に記載したようにして、405nmで の光学密度としてウェルの濁度を測定した。この実験において、様々な濃度のrB PI21が、血塊の形成を遅延または防止した。同時に試験を行った3人の提供者か ら得た血漿試料での反応性において個人差が認められた。3人の提供者から得た 全試料に関して、25または100μg/mlのrBPI21は、新しいPPPの血塊の形成を完 全に防止した。5μg/mlの濃度のrBPI21も、1名の提供者(RL)から得たPPPの血 塊の形成を完全に防止し、また、他の2名の提供者(MWとRD)から得たPPPの血塊 の形成を実質的に防止した。1μg/mlの濃度のrBPI21は、1名の提供者(RL)か ら得たPPPの凝血を実質的に防止し、また、他の2名の提供者(MWとRD)から得たP PPの凝血を抑制した。1名の提供者から得た血漿に対しては0.2μg/mlの濃度の rBPI21でもわずかな効果が認められたが、一般的に、0.2μg/mlの濃度のrBPI21 での血塊の形成は、対照のそれと同等であった。 E.血塊形成後のtPAの添加とトロンビンによる血塊形成後の 様々なBPIタンパク質産物による効果:新しいPPP 新しいPPPに対して、0.125単位/mlのトロンビンとカルシウ ムと共に、tPAとrBPI21を添加した時の血塊の溶解性を評価した。96-ウェルマイ クロ滴定プレートの各ウェルに、以下の試薬を記載した順に混合していった。す なわち、(1)80μlの0.1%HSA-TBS;(2)50μlの−70℃で凍結されたPPP(給血者 PM);(3)20μlのrBPI21またはrBPI42(50、10または2μg/ml);および(4)0.5 単位/mlのトロンビンを含んだ、TBS、pH 7.4における20mMの塩化カルシウムの5 0μlである。 トロンビンと塩化カルシウムを添加した後に、血塊を形成せしめ、そして、0. 5単位/mlのヘパリンを含んだ、TBS、pH 7.4における50μlのtPA(300単位/ml 500ng/ml)を添加した。血塊が形成した後にtPAを添加して、405nmでの光学密度 としてウエルの濁度を測定した。トロンビンによる血塊形成を利用したこの最初 の実験にあっては、血塊形成後にtPAを添加し、かつrBPI21またはrBPI42を用い ることで、時間経過に伴う405nmでの光学密度の減少が認められ、血塊が溶解し ていた。tPAの濃度を一定(100ng/ml)にしつつ、rBPI21またはrBPI42の濃度を高 める(0.2、1および5μg/ml)ことで、血塊の溶解性が高まっていた(すなわち 、405nmでの光学密度の減少速度が、2以下〜4倍速くなっていた)。 実施例3 ラットの血栓症モデルでのtPAで誘発した 血塊溶解性に関するBPIタンパク質産物の効果 血塊の融解性と血栓融解治療後の再閉塞に関する、BPIタンパク質産物(rBPI21 )と血栓融解剤(tpA)の効果を決定するために、ラットの血栓症モデルを使用した 。5mMクエン酸塩、150mM塩化ナトリウム、0.2%のポロキサマー188、および0.0 02%のポリソルベート80を含んだ生理食塩水でのBPIタンパク質 産物による、in vivoでの、tPAで誘発した血塊の溶解性に関する効果を決定する ために、本明細書にて記載したようにして、Klement et al.,Thrombosis Haemo stasis, 68:64-68(1992)の方法を変更した。この実験において、二つのラット のグループ(賦形剤で処置した5匹のグループおよびrBPI21で処置した5匹のグ ループ)を、ケタミン/ロンパム(Rompum)で麻酔をかけ、そして、治療剤の投与 のために両方の頸静脈にカテーテルを入れた。血圧と心拍数を測定するために、 右頸動脈にカニューレを入れた。結合組織が無く、また大静脈と、可能であれば 主要な静脈からも分離された、大動脈の末端と腸骨管を露出するために下腹部を 中央切開した。肉眼で確認できた大動脈から分離した無数の細管すべてを、約1 cmの長さの管の切片を単離するために結紮した。左側の腸骨動脈に、ゴム製の隔 膜でシールした20ゲージの短針を入れた。流量計[Crystal Biotech、ホリストン 、マサチューセッツ州]を用いて血流を測定するために、右側の腸骨動脈の周辺 に、超音波伝達用のトランスデューサー加圧帯を置いた。流量信号を、チャート 記録計で記録した。 大動脈に傷をつけて、その表面に血塊を形成すべく、以下の手順を実施した。 20ゲージの針を大動脈内に入れ、そして、管壁に沿って1〜1.5cmの距離だけゆ っくりと移動させた。これを8回繰り返した。この針を抜き取り、そして、この 大動脈の同じ箇所を滑らかな鉗子で4回摘んだ。次に、大動脈の2箇所を絹糸で 緩く縛ることによって、大動脈の末端に狭窄症を形成せしめた。この時に、右側 の腸骨の血流を測定し、そして、これを「閉塞前」レベルと命名した。 この時点にて、rBPI21で処置したラットには、5mMクエン酸塩、0.2%のポロ キサマー188、150mM塩化ナトリウム(Pluronic F-68、BASFワィアドッテ、パルシパニィー、ニュージャージー州)および0.002% のポリソルベート80(Tween 80、ICIアメリカズ社、ウィルミントン、デラウェア 州)、pH5、にて2mg/mgの濃度のrBPI21を、一方の頸静脈に丸剤として30秒間に わたって投与(4ml/kg)し、次いで、実験が終了するまで、20mg/kg/hrの速度でr BPI21を連続注入した。賦形剤で処置したラットには同量の賦形剤溶液、すなわ ち、5mMクエン酸塩、150mM塩化ナトリウム、0.2%のポロキサマー188(Pluronic F-68、BASFワィアドッテ、パルシパニィー、ニュージャージー州)および0.002% のポリソルベート80(Tween 80、ICIアメリカズ社、ウィルミントン、デラウェア 州)、pH5、を投与した。次に、右側の腸骨近くにある大動脈を、血流加圧帯の 上端近傍の位置にて小さな金属製クリップで閉塞した。左側の腸骨近くにある大 動脈はすでにニードルカテーテルによって塞がれているので、この閉塞部の上流 から血液を回収した。最後に、損傷部位の上流側で大動脈を閉塞し、血行が停止 した狭窄部分を形成せしめた。この閉塞状態を30分間維持し、その後、これを解 除した。血塊形成の確認は、右側の腸骨近くにある大動脈での血行の停止を見て 行った。 閉塞状態を解除して5分後に、tPAを(rBPI21が投与されていない)他方の頸 静脈に1mg/kgの丸剤として投与し、次いで、1時間にわたって、1mg/kgの連続 注入を行った。1時間後に、tPAとrBPI21(または賦形剤)の双方の注入を停止 して、実験を終了した。右側の腸骨近くにある大動脈にて閉塞前レベルの50%の 血流の回復が認められることが、血塊の溶解であると定義した。血塊の溶解に至 るまでの時間を記録し、また、初めて血塊が溶解して後に最初の再閉塞に至るま での時間も記録した。1時間のtPA処置期間中に発生した再閉塞の回数も 記録した。閉塞前レベルの10%にまで血流が低減したことを、再閉塞であると定 義した。緩衝剤で処置したグループとrBPI21で処置したグループとの間の統計学 的な比較も、スチューデントT検定によって行った。主に大動脈の閉塞によって 生じた血圧の上昇以外は、tPAとrBPI21のいずれも、全身に及ぶ有害作用は呈さ なかった。 これら結果は、すなわち、緩衝剤で処置したグループでの血塊の溶解に至る平 均時間が14.5±5.1分であり、また、rBPI21で処置したグループでの血塊の溶解 に至る平均時間が16.1±4.2分とする結果は、血塊の溶解に至る平均時間には大 差が見られないことを示している。多発性の再閉塞の症状が、すべてのラットで 認められた。これら二つのグループの間で、最初の再閉塞に至る時間には大差が 見られなかった。しかしながら、再閉塞の数は、rBPI21で処置したグループにお いて、統計学的に有意(p<0.05)に低減していた。すなわち、rBPI21で処置し たラットの平均値は、4±1.6回の再閉塞の発症であったのに対して、緩衝剤で 処置したラットの平均値は、9±1.7回の再閉塞の発症であった。 当業者からすれば、上記発明の無数の修正と変更を想到できるものと考えられ る。よって、添付した請求の範囲に記載された制限のみが、本発明に対して課さ れるべきである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU ,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH, CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,G B,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE,KG ,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT, LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,N O,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG ,SI,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UG, US,UZ,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.血中での血塊の形成を緩慢にするための方法であって、患者に、血中での血 塊の形成を遅延または防止するに有効な量のBPIタンパク質産物を投与すること を含む方法。 2.血中での血塊の溶解を促進するための方法であって、患者に、血中での血塊 の溶解を促すに有効な量のBPIタンパク質産物を投与することを含む方法。 3.血栓症疾患、すなわち、動脈血栓症、冠状動脈血栓症、心筋梗塞、脳動脈血 栓症、脳卒中、心臓内血栓症、末梢動脈血栓症および閉塞症、静脈血栓症、肺塞 栓症、外来の組織表面または損傷した組織表面への血液の曝露に関連する血栓症 、過剰凝血性、内毒素が関連しない凝血異常、および内毒素が関連しない散在性 の血管内凝血異常からなるグループから選択された血栓症疾患の処置方法であっ て、血栓症疾患を患った患者に、薬学的に有効量のBPIタンパク質産物を投与す ることを含む方法。 4.血栓症疾患、すなわち、動脈血栓症、冠状動脈血栓症、心筋梗塞、脳動脈血 栓症、脳卒中、心臓内血栓症、末梢動脈血栓症および閉塞症、静脈血栓症、肺塞 栓症、外来の組織表面または損傷した組織表面への血液の曝露に関連する血栓症 、過剰凝血性、内毒素が関連しない凝血異常、および内毒素が関連しない散在性 の血管内凝血異常からなるグループから選択された血栓症疾患の処置方法であっ て、血栓症疾患を患った患者に、薬学的に有効量のBPIタンパク質産物と血栓融 解 剤を共同投与することを含む方法。 5.前記血栓融解剤の量が、単一療法として血栓融解剤を投与する場合に所望の 薬学的効果を得るに必要な血栓融解剤の量よりも少ない請求の範囲第4項に記載 の方法。 6.血栓融解剤で処置した患者での再灌流を促し、または閉塞の再発を抑えるた めの方法であって、薬学的に有効量のBPIタンパク質産物と血栓融解剤を共同投 与することを含む方法。 7.患者での再灌流を達成し、または閉塞の再発を抑えるために必要な血栓融解 剤の用量を減少させるための方法であって、BPIタンパク質産物と血栓融解剤を 共同投与することを含み、該血栓融解剤の用量が、単一療法として血栓融解剤を 投与する場合に所望の薬学的効果を得るに必要な血栓融解剤の用量よりも少ない 用量である、血栓融解剤の用量を減少させるための方法。 8.血中での血塊の形成を緩慢にするための方法であって、血中での血塊の形成 を遅延または防止するに有効な量のBPIタンパク質産物と血液とを接触すること を含む方法。 9.血中での血塊の溶解を促進するための方法であって、血塊を溶解または分解 するに有効な量のBPIタンパク質産物と血を接触することを含む方法。 10.前記BPIタンパク質産物が、約21kD〜25kDの分子量を有する、BPIタンパク質 のアミノ末端断片である請求の範囲第1、2、3、4、5、6、7、8または9 項に記載の方法。 11.前記BPIタンパク質産物が、rBPI23またはその二量体の形態である請求の範 囲第1、2、3、4、5、6、7、8または9項に記載の方法。 12.前記BPIタンパク質産物が、rBPI21である請求の範囲第1、2、3、4、5 、6、7、8または9項に記載の方法。 13.血栓症疾患、すなわち、動脈血栓症、冠状動脈血栓症、心筋梗塞、脳動脈血 栓症、脳卒中、心臓内血栓症、末梢動脈血栓症および閉塞症、静脈血栓症、肺塞 栓症、外来の組織表面または損傷した組織表面への血液の曝露に関連する血栓症 、過剰凝血性、内毒素が関連しない凝血異常、および内毒素が関連しない散在性 の血管内凝血異常からなるグループから選択された血栓症疾患を処置するための 薬剤の調製におけるBPIタンパク質産物の使用。 14.血栓症疾患、すなわち、動脈血栓症、冠状動脈血栓症、心筋梗塞、脳動脈血 栓症、脳卒中、心臓内血栓症、末梢動脈血栓症および閉塞症、静脈血栓症、肺塞 栓症、外来の組織表面または損傷した組織表面への血液の曝露に関連する血栓症 、過剰凝血性、内毒素が関連しない凝血異常、および内毒素が関連しない散在性 の血管内凝血異常からなるグループから選択された血栓症疾患を処置するための 、血栓融解剤との共同投与に用いる薬剤の調製におけるBPIタンパク質産物の使 用。 15.血栓融解剤で処置した患者での再灌流を促し、または閉塞の再発を抑えるた めの薬剤の調製におけるBPIタンパク質産物の使用。 16.血中での血塊の形成を緩慢にするための薬剤の調製におけるBPIタンパク質 産物の使用。 17.血中での血塊の溶解を促進するための薬剤の調製におけるBPIタンパク質産 物の使用。 18.前記BPIタンパク質産物が、約21kD〜25kDの分子量を有する、BPIタンパク質 のアミノ末端断片、rBPI23またはその二量体およびrBPI21からなるグループから 選択される請求の範囲第13〜17項のいずれかに記載のBPIタンパク質産物の使用 。
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