【発明の詳細な説明】
移動電気通信ネットワーク用ホーム位置レジスタ
技術分野
本発明は、デジタル移動電気通信ネットワーク用のホーム位置レジスタ(HL
R)に関するものである。
背景技術
従来、HLRは移動通信用交換センターに設置される分散コンフィギュレーシ
ョンを有している。しかし、加入者数の増加によりシステムの規模が巨大化する
につれて、HLRは複雑化し、時には動作不能になった。
このため、HLRを移動通信用交換センターから分離し、より集中化したコン
フィギュレーションを提供しようとする傾向が生じた。一例が、英国特許第GB
2269962号明細書に記載されている。このHLRは、バスに接続された多
数のアクセスプロセッサを有している。各アクセスプロセッサは、全ての永久加
入者データ、及びビジタ位置データのような一時加入者データのサブセットを記
憶している。HLRは、バスを介したアクセス要求のポーリング及び可能な場合
にその転送により、問合わせを割り当てるリンクデバイスを備えている。
このような構成における問題点は、データベースが特定のアクセスプロセッサ
の専用となり、この結果加入者数の直線的な増加がアクセスプロセッサに直接結
びつけられる点である。これは障害許容力の欠如、複雑さ、及び追加の制御機能
の必要性をもたらす虞がある。更にコストも嵩むことになる。
別の問題は、リンクデバイスから発信されたポーリング及び転送信号が著しく
高いバストラヒックをもたらし、応答時間が遅くなり得ることである。
従って、単純かつ柔軟に加入者の増加に適応するように容易に変更可能な「耐
将来性(future proof)」のHLRが必要である。さらに、障害許容力がより高
いHLR、メンテナンスや更新がより簡単なHLRが必要である。
発明の開示
本発明によれば、移動電気通信ネットワークのホーム位置レジスタであって、
高速バスと、
それぞれが加入者データのデータベースに直接接続され、かつ前記バスに接続
された少なくとも2つのデータベースサーバと、
前記バスに接続され、かつ、前記バス及び前記データベースサーバを介してメ
モリデータベース上の加入者データにアクセスするための手段からなる、少なく
とも1つのネットワークアクセスプロセッサと、
オペレータインタフェースを有し、前記バスに接続され、かつ、前記バスと前
記データベースサーバを介してメモリデータベース上の加入者データにアクセス
するための手段からなるメンテナンスプロセッサと、
記憶データベースとを有することを特徴とする移動電気通信ネットワークのホ
ーム位置レジスタが提供される。
この構成により、簡単なアップグレードが可能となり、また誤りの追跡やメン
テナンスが一般に簡単にできるようになる。このアクセスプロセッサ及びデータ
ベースの容量は、個別に高めることができる。さらに、各データベースに対する
一つのチャネル、即ちデータベースサーバを介して、加入者データへのユニバー
サルなアクセスが可能である。これにより、加入者データへのアクセスの効果的
な制御が可能となる。
或る実施例では、ネットワークアクセスプロセッサが、メモリデータベース上
の加入者データの位置を表示するディレクトリサービスを含む。これにより高速
のアクセスが可能となり、またネットワークアクセスプロセッサのポーリングの
必要性が無くなってバストラヒックを最小限にすることができる。好適には、メ
ンテナンスプロセッサは、ディレクトリサービスを更新するための手段を含む。
これは、HLR全体の一貫性を達成する簡単な方法である。
或る実施例では、加入者データの各項目が、一つのメモリデータベース上のア
クティブ位置に格納され、また異なるメモリデータベース上のシャドー位置にも
格納される。好適には、ネットワークアクセスプロセッサのディレクトリサービ
スが、加入者データの各項目に対するアクティブ位置を格納しているメモリデー
タベースへのアクセスを有するデータベースサーバを識別する。別の実施例では
、各データベースサーバが、シャドー位置を、関係するアクティブ位置を更新す
るときに動的に更新するための手段を有する。これらの特徴により、バストラヒ
ックが殆どないシャドーデータベースの簡単なメンテナンスが可能となる。
好ましくは、データベースサーバは、所望の性能及びセキュリティレベルに従
った予め格納された複数のスキームの1つに従って、シャドー位置を更新するた
めの手段を有する。
或る実施例では、ネットワークアクセスプロセッサがトランザクションを終了
するまで更新がデータベースサーバによって行なわれないように、ネットワーク
アクセスプロセッサが、メモリデータベースの更新時にトランザクション向き処
置(transaction-oriented commit)を実行するための手段を有する。
別の実施例では、ネットワークアクセスプロセッサが、バス状態及び誤り信号
をメンテナンスプロセッサにアップロードするための手段を有する。
更に別の実施例では、メンテナンスプロセッサが、データベースサーバの制御
により加入者データをメモリデータベース間で分割するための手段を有する。
別の実施例では、メンテナンスプロセッサが、記憶データベースに直接接続さ
れ、かつデータベースサーバを介してメモリデータベースにアクセスして記憶デ
ータベースを更新するための手段を有する。冗長性のために、メンテナンスプロ
セッサが記憶データベースに加入者データを複製するための手段を備えていても
よい。
或る実施例では、ホーム位置レジスタが更に、バスに接続され、かつ前記バス
及びデータベースサーバを介してメモリデータベース内の加入者データにアクセ
スするための手段からなる補助プロセッサを有する。
或る実施例では、各データベースサーバが、データベースハンドラ(database
handler)に接続されたコア(core)を有し、このデータベースハンドラは更に
、メモリデータベースと、バスに接続された複数の外部ハンドラとに接続されて
いる。
好ましくは、前記コアが、それぞれに一度に一つのトランザクションのコアオ
ペレーションを実行する複数の有限ステートマシンダイアログハンドラを有する
。
別の実施例では、外部ハンドラが、トランザクション要求の受信時にダイアロ
グハンドラを活動化するための手段と、パラメータ値によってトランザクション
及びダイアログハンドラを識別するための手段とを有する。
好ましくは、外部ハンドラ、ダイアログハンドラ、及びデータベースハンドラ
は、識別子及びサーバメモリ位置を有する対象物としてトランザクションにおい
て検索された加入者データを識別するための手段を有する。
或る実施例では、ダイアログハンドラが、一時識別子により特定のトランザク
ション用の外部ハンドラを識別するための手段を有する。
別の実施例では、各データベースサーバが、ダーティ(dirty)加入者データ
項目、即ち記憶データベースにおいて更新されていない加入者データ項目を識別
するための手段を有する。好ましくは、各データベースサーバが、或る任意の項
目が記憶データベースにおいて更新されているか否かを、後続の更新されるべき
項目についてメンテナンスプロセッサから要求を受取った場合に判定する。好ま
しくは、ダーティ加入者データ項目は、各項目内のフラグによって識別される。
後者の実施例においては、各データベースサーバは、好ましくは、前記項目を
メンテナンスプロセッサに転送して記憶データベースを更新した後、即座に前記
フラグをクリーン状態(clean status)に変え、かつ、これをメンテナンスプロ
セッサから否定応答を受取った場合にダーティ状態に再度設定するための手段を
有する。
図面の簡単な説明
本発明は、添付の図面を参照しつつ、以下の単なる例示としての実施例の説明
からより明確に理解されよう。
第1図は、本発明のホーム位置レジスタを組み込んだ移動電気通信システムの
概要を示した図である。
第2図は、本発明のホーム位置レジスタの全体を示す概略図である。
第3図は、前記ホーム位置レジスタのより詳細な図である。
第4図は、前記ホーム位置レジスタのネットワークアクセスプロセッサの概略
図である。
第5図は、ホーム位置レジスタのデータベースサーバの概略図である。
第6(a)図、第6(b)図、及び第6(c)図は、データベースサーバの信号シー
ケンス図である。
発明を実施するための最良の形態
添付図面において、先ず第1図には、ホーム位置レジスタ(HLR)10を組
み込んだ移動電気通信システム1が示されている。このシステム1は2 SS7
型の信号システム2を有する。多数の移動通信用交換センター(MSC)3が、
SS7に接続されており、それぞれに多数のベーストランシーバ局(BTS)4
と結び付けられている。各BTSは、移動加入者(MS)5から信号を受信する
。このレベルにおいては、このようなシステムは従来通りのものである。
ここで第2図〜第6図を参照しつつ、本発明のHLR10について詳細に説明
する。HLR10の心臓部には、高速バス11が存在し、この高速バスは以下の
3つの機能的レイヤに直接接続されている。即ち、
SS7に接続されたネットワークアクセスプロセッサレイヤ12、
データベースサーバレイヤ13、
管理オペレータによりアクセス可能なオペレーション・メンテナンスプロセッ
サレイヤ14である。
高速バス11は、10〜100Mビット/秒で動作し得る、一対のパラレルシ
リアルリンクである。第2のリンクは冗長性を与える。
第2図の概略図から、HLR10の重要な側面は、データベースサーバレイヤ
13がネットワークアクセスプロセッサレイヤ12から分離されている点である
ことが明らかである。また、レイヤ間の全ての信号のルーティングはバス11を
通して行われ、このバスは中央ルータとしての役目を果たしていることが明らか
である。
特に第3図を参照すると、ネットアークアクセスプロセッサレイヤ12は、そ
れぞれがディレクトリサービス21を備えた多数のネットワークアクセスプロセ
ッサ(NAP)20を有している。NAP20はリンク22によってバス11に
接続されている。
データベースサーバレイヤ13は、本実施例においては2つのデータベースサ
ーバ25を有し、両データベースサーバはそれぞれ、アクティブメモリデータベ
ース(DB)26及びシャドーメモリデータベース(DB)27に直接接続され
、リンク28によってバス11に接続されている。重要な点は、メモリデータベ
ースへの全てのアクセスが1つのチャネル、即ち関係するDBSを通して行われ
るという点である。
オペレーション・メンテナンスプロセッサレイヤ14は、加入者ディスクデー
タベース31を備えたオペレーション・メンテナンスプロセッサ(OMP)30
を有する。
最後に、HLR10は補助プロセッサ40を有する。バス11を介した要素間
の相互接続は、例えばUNIX IPCのような標準的なオペレーティングシス
テムIPCの上位にくるプロセス間通信インタフェース(IPCインタフェース)
を通してなされる。
HLR10の構成要素は、リモートに又はローカルに配置され得る。即ち、バ
ス11が必要に応じて設けられる。
DBS25のそれぞれは、全加入者データのサブセット(部分集合)を管理し
、全てのNAP20は全DBS25へのアクセスを有する。NAP20を全体と
してDBS25から独立させるために、NAPはRAMベースのテーブルからな
るディレクトリサービス21を備え、このテーブルには、以下の情報を含む。即
ち、
基本データアクセスキー情報、
加入者データの項目についてアクティブ位置を有するメモリデータベースに関
連するサーバの識別情報、
加入者データの項目についてシャドー位置を有するメモリデータベースに関連
するサーバの識別情報である。
本実施例では、1つのメモリデータベース26のアクティブ位置に対するシャ
ドー位置が、全て同一のシャドーメモリデータベース27上に存在する。OMP
30は、NAP21がトランザクションを実行しようとするときに、その要求を
1回で正しいDBS25にルーティングするように、ディレクトリサービス21
をアクティブ位置データで動的に更新する。これが、バストラヒックを最小化す
ることにより、MSC側から見たHLR10内の高速応答を提供する助けとなる
。関連したアクティブメモリデータベース26とのトランザクションがひとたび
行われると、DBS25はバス11を介してシャドーメモリデータベース27を
自動的に更新する。このトランザクションは、NAP20がトランザクションを
終了するまでDBS25がデータ更新を行なわないようにするトランザクション
向け処置として、NAP20により実行される。これによって複雑なオペレーシ
ョンの際の誤り回復が可能となる。アクティブDBにアクセスできない場合に、
NAP20は代わりにシャドーDBにアクセスするが、これはディレクトリサー
ビス21において示される。
特に第4図を参照すると、各NAP20の構成が示されている。このNAPは
、特定されたSS7スタックを有し、これは移動アプリケーション部分−プロバ
イダ(MAP−P)55に接続され、さらにこれは移動アプリケーション部分−
ユーザ(MAP−ユーザ)60に接続されている。MAP−Pはコア56、携帯
性TCAP27、及びMAPインタフェース58を有する。MAP−ユーザ60
はコア61、確認センタ(AuC)インタフェース62、DBSインタフェース
63、MAPインタフェース64、及び管理インタフェース65を有する。この
ようなモジュラー式の構成により、簡単な変更やアップグレードが可能となり、
さらにオペレーションの単純化が可能となる。NAP20は、バス状態及び誤り
信号をOMP30にアップロードするために管理インタフェース65を用いる。
これは、これによってバス誤りが即座に標識され、かつ必要な誤り回復オペレー
ションが実行されることから、重要である。このことは、リソースやポート/イ
ンタフェースの完全性を監視することにより達成される。各DBS25も、誤り
信号をOMP30にアップロードする。
第5図に示すように、各DBS25はディストリビュータ71、ダイアログハ
ンドラ72、及び閾値ハンドラ73を備えたコア70を有する。これらの構成要
素は、全体として管理74、クライアント75、発信要求76、及びデータベー
ス77の各信号インタフェースを介して各ハンドラと通信する。データベースハ
ンドラ80は、データベース26及び27へのアクセスを提供する。図示するよ
うに、コア70をバス11に接続する一組の外部ハンドラが存在する。この外部
ハンドラには、管理ハンドラ82、クライアントハンドラ83、及び発信要求ハ
ンドラ84が含まれる。DBS25はまた、システムサービス85も備えている
。
DBS25は、機能分解手法及び仕様・記述言語(SDL)を用いて設計され
、ハードウエアからは独立している。本実施例では、DBS25はHP−UXオ
ペレーティングシステム上にある。ダイアログハンドラ72は、ディストリビュ
ータ71によって活動化されるステートマシンとして実現されている。各ダイア
ログハンドラのインスタンスは、一度に一つのトランザクションしか処理せず、
コア70内の全てのハンドラ72によって実行される同時トランザクションの限
界は、閾値ハンドラ73によって監視され、かつ制御される。
管理ハンドラ82により、OMP30及びバス11に接続された他の管理/メ
ンテナンスマシンによるアクセスが可能となる。DBS25が構成され、またス
タート/ストップ信号及びアラーム信号が処理されるのは、このハンドラを通し
てである。
クライアントハンドラ83により、一般にNAP20及びOMP30を含むク
ライアントによるアクセスが可能となる。
発信要求ハンドラ84により、各DBS25がシャドーメモリデータベース(
DB)27にアクセスすることが可能となる。各DBS25に対して、シャドー
DB27は唯一つしか存在しない。
起動時には、DBS25内部で以下の処理シーケンスが起こる。
(a)管理ハンドラ82がデータベースハンドラ80及びクライアントハンド
ラ83をイネーブルにする。クライアントハンドラ83が「OMP同期化」状態
に設定され、この状態においてOMP30からの接続のみを受け付けるようにな
る。
(b)OMP30がENABLEメッセージを管理ハンドラ82を介してコア
70に送信する。
(c)ディストリビュータ71がイネーブルされ、ENABLE−ACK信号
がOMP30に返送される。
(d)OMP30がDBS25に接続し、OMP同期化を開始する。
(e)OMP30がUNLOCKメッセージを管理ハンドラ82を介してコア
70に送信する。
(f)コア70がクライアントハンドラ83をロック解除し、全てのクライア
ント(例えば、NAP20)が接続できるようにする。次に、前記コアはUNL
OCK−ACKを管理ハンドラ82に送信する。
(g)OMP30がPEER−SYNCメッセージを管理ハンドラ82を介し
てコア70に送信する。これは、DBS25に、その特定のシャド−DB27に
同期化することを命令するものである。
(h)コア70が発信要求ハンドラ84をイネーブルし、ピア同期化要求のシ
ャドーDB27への送信を開始する。これが完了したとき、前記コアはPEER
−SYNC−ACK信号を管理ハンドラ82に送信する。
起動後、OMP30は加入者データを、所望の分割ストラテジーに従って、各
DBS25のアクティブDB26に転送する。例えば、このデータは以下の3つ
のDBS25に分割され得る。
パーティションA パーティションB パーティションC
加入者の40% 加入者の40% 加入者の20%パーティション
Cのシャドー パーティションAのシャドー パーティションBのシャドー
DBS25及びDB26、27は、NAP20から独立しており、かつバス1
1を介してOMP30により直接アドレス指定可能であるため、任意の所望の分
割スキームを使用することができる。また、全ての加入者データを1つのDBS
30に入れることも可能である。重要な点は、完全な柔軟性が存在する点である
。
DB26及び27はRAMに入っているが、全てのデータはOMP30に直接
接続されたディスクデータベース31にも格納されており、更なる障害許容力の
ためにOMP上で複製される。データでディスクデータベース31において更新
されていないアクティブDB内のデータは、「ダーティ」(dirty)データと称
さ
れ、その状態を「クリーン」(clean)に変えるべく更新する方法を、以下に説
明する。
外部管理システムが、OMP30に直接又はバス11を介してアクセスし、
(i)HLR管理システムに対するアクセスを得るリモートログインを実行し、
(ii)HLRの管理のための標準的なプロトコルを提供し、又は
(iii)HLRの管理のためのプロプラエタリ即ち独占の制御、例えばオペレー
タ用マンマシン言語(MML)を提供することができる。
補助プロセッサ40は、外部管理システムか又は管理報告プロセッサであり得
る。HLR10の全体的な構成のために、このようなプロセッサは容易に接続さ
れ得る。
第5図を再度参照すると、ディストリビュータ71は、クライアント要求を受
取った際にダイアログハンドラ72を活動化するべく作用し、次いでメッセージ
を、ディストリビュータ71をバイパスして、直接クライアントハンドラ83を
通して転送する。クライアントオペレーションの大部分は、データベーストラン
ザクションを開始させ、また、中にはシャドーDBを更新させるものがある。ダ
イアログハンドラ72は、これらのオペレーションを管理する。ダイアログハン
ドラ72のインスタンスは、このようなトランザクションのために生成され、次
いで全トランザクションを引き受け、トランザクションの終了時に出て行く。
データベースハンドラ80は、コア70とDB26及び27との間をインタフ
ェースし、DB26及び27から抽象化のレベルを供給する携帯用データベース
APIを有する。DB26から検索された実データは、SDLには組み込まれな
いが、代わりにコア70内部のメモリ領域及び識別子を有する対象物と称される
。この領域のアドレスは、データベースハンドラ80に送られ、関係する外部ハ
ンドラによって維持され、かつコア70及びデータベースハンドラ80によって
アクセスされ得る。
データベースハンドラ80及び外部ハンドラ81は、インタフェース74〜7
7によりコア70と通信する。以下の表1は、コア70とデータベースハンドラ
80間のデータベース信号インタフェース77を定義している。トランザクショ
ンは「ダイアログ」または「プロセス」と称される。
表1:データベース信号インタフェース77
信号DB_BEGIN_TRANSは、データベースハンドラ80にダイアロ
グ(トランザクション)の開始を通知する。DB_COMMIT及びDB_AB
ORTは、ダイアログを終了させる。
カーソル要求は、信号DB_READFIRST及びDB_READNEXT
により処理され、応答はDB_DATA信号において到達する。
信号DB_READLOCKを用いることは、信号DB_READの前に信号
DB_LOCKを用いることと等価である。前者の信号が設けられたことにより
、ロック及び読み出しを結合することによって得られる性能の利点が実現され得
る。
ダイアログハンドラ72の新たなインスタンスのそれぞれは、独特の識別子に
よって認識される。データベースハンドラ80は、この識別子を用いて、応答が
正しいコアハンドラ71に確実に向けられるようにする。同様に、データベース
ハンドラ80はトランザクション識別子をコアに供給する。
上述したように、インタフェース77は、実データの構造から独立しており、
対象物は、対象物識別子である型識別子と、対象物を保持するのに十分な大きさ
を有するDBSオペレーティングシステムメモリの領域を指定するポインタとに
よって表現される。
DB_WRITE信号は、実行される書き込みオペレーションの型を特定する
オペレータパラメータを有する。
ディスクデータベース31において更新され得る対象物は、クライアントによ
って設定されたダーティフィールドを有する。DB_CLEAN信号は、このフ
ィールド値をCLEANにリセットする。
ダーティレコードは続けてアクセスされ、ダーティレコード要求におけるシー
ケンスフラグに対する値を特定することが必要である。有効な値はFIRST、
NEXT及びLASTである。
データベースハンドラ80からの応答には、結果フィールドが含まれる。有効
な値はSUCCESS、FAILURE、NOTFOUND及びLOCKEDで
ある。
以下の表2は、クライアント信号インタフェース75を記述したものである。
表2:クライアント信号インタフェース
新たなトランザクションのそれぞれは、独特の識別子により認識される。前記
コアはこの識別子を用いて、応答が正しいクライアントハンドラプロセスに確実
に向けられるようにする。
CL_BEGIN_TRANS信号において使用されるパラメータは、コア7
0に要求を発行したクライアントの種類を報知する。このパラメータにおいて有
効な値は、OMP、Peer及びNetworkである。
発信要求インタフェース76によってピア(シャドー)DB27への複製及び
再スタート時のピアDBからの同期化が可能となる。ピアDB27の識別は上述
したようにOMP30により構成可能であり、その構成は起動時に読み出される
ファイル上に格納される。本発明の重要な側面は、複製の性質が構成可能である
ことであり、そして3つの異なるスキームが第6(a)図、第6(b)図、及び第6
(C)図に示されている。
第6(a)図は、データベースの更新及びクライアントへの肯定応答が、複製が
承認された(肯定応答した)後にのみ起こるスキームを示している。このスキー
ムは最も安全なスキームである。
第6(b)図は、DBS25がメモリDB26への書き込みの前には複製の承認
を待たないようなスキームを示している。このスキームでは、複製の承認が受け
取られるまで、クライアントに対し肯定応答を送らない。この方法により優れた
レベルのセキュリティが提供され、良好な応答時間が得られる。
第6(C)図に示すスキームにおいては、DBS25かデータベースを更新する
か又はクライアントに肯定応答を送信する前には複製の承認を待たない。これに
よって、クライアントに対する非常に早い応答が提供される。
発信要求信号インタフェース76については、SDL信号を用いて以下の表3
のように定義される。
表3:発信要求信号インタフェース76
インタフェース76は、コア70がこのような詳細な点に関係していないこと
から、読み出し又は書き込みが行われる実対象物の構造から独立するように設計
される。従って、対象物は、型識別子(即ち、番号)及びこの対象物を保持する
に十分な大きさを有するメモリ内の位置を指定するポインタによって表されるだ
けである。
管理ハンドラ82は以下の機能を提供する。即ち、
− 他のハンドラ及びコア70の起動及び遮断。
− パラメータ、例えばトランザクションリミット、デバッギングフラグ等の初
期化及びオンラインコンフィギュレーション。
− 統計量の報告。
− OMP30へのアラーム/事象の転送。
インタフェース74はSDL信号を用いて定義される。管理ハンドラ82によ
りコア70に送信される全ての信号は、ディストリビュータ71により処理され
る。
以下は管理信号インタフェース74の説明である。
表4:管理信号インタフェース74
コア70は、プログラミングエラー、輻輳等を表示する、管理ハンドラ82に
送られるべき事象を発生させる。この事象は事象番号及び例えば誤りが回復可能
であるか否かを示す適当なパラメータのリストからなる。
上述したように、ダーティレコードとは、更新され、新たに生成され、又はネ
ットワークから削除されたが、OMP上のディスクデータベースにおいてまだ更
新されていないレコードである。
ダーティレコードには2つの用途がある。
1.OMPディスクデータベース31において更新されなければならないレコー
ドを区別すること。
2.メモリデータベースの同期化を、それが起動時にOMPと同期化された後に
終了させること。
上記利用1.においては、OMPの更新がOMP30上のプロセスの制御の下
で行われる。このプロセスは、ダーティレコードを組み込んだ肯定応答で応答す
る、DBSからのダーティレコードを要求する。前記OMPは、DBSからの肯
定応答からデータを抽出し、ディスクデータベース31を更新し、次いで次のダ
ーティレコードを要求する。
ダーティレコードは、それがOMPディスクデータベース31において首尾よ
く更新された場合には、クリーンになる。この肯定応答は、性能上の理由から、
PrevResultフィールドにおいてOMPからDBSへの次の要求に組み
込まれる。この結果が成功でない場合は、前記レコードはダーティとして標識さ
れたまま維持され、次の要求が処理される。
OMPへの肯定応答が送られた後で、次の(ディスク更新肯定応答を組み込ん
でいる)OMP要求が受け取られる前に、NAPから再度更新されるダーティレ
コードの問題が残っている。DBSには、このようなレコードがこのような状況
の下でクリーンとして標識されるべきではない、ということを知り得るような機
構が必要である。
このことは、OMPからのピギーバック肯定応答を受け取る前にダーティビッ
トをクリアすることにより解決される。OMPからの承認が否定的である場合に
は、ダーティビットをセットすることができ、この結果、再度レコードにダーテ
ィの標識が付される。レコードがネットワーク(NAP)から更新された場合に
は、レコードは通常通りダーティとして標識される。この手法は、通常の条件下
でダーティビットの1回の更新が行われることを意味している。
データ転送速度は、OMPプロセスの制御下にあり、従ってOMP更新は必要
なだけ遅い速度で処理され得る。
OMP更新は、CL_DIRTY_DATA(最後)を受け取った直後にOM
P更新プロセスがCL_DIRTY_REQ(最初)を発行する場合には、継続
的に行われ得る。
上記利用2.について、DBSはOMPディスクデータベースと同期化された
後に、そのピアDBSと同期化されることが必要な場合がある。このことは、D
BSがOMPディスクデータベースと同期化されている間、ピアDBSがクライ
アント要求をサービスしている場合に必要となる。
ここでDBSは、そのデータベースをピアデータベース上のダーティとして標
識付けられた全てのレコードについて、それらはOMPにおいて更新がなされて
おらず、従って、OMPからのダウンロードがなされていないことから、更新し
なければならない。DBSは、ピアデータベースサーバにデータベース内の第1
ダーティレコードを求める要求を送信する。ピアサーバは、これに応じてダーテ
ィレコードデータを送信することになる。次いでデータベースサーバは、次のレ
コードを要求し、これはデータベースを通しての1回のパスが終了するまで継続
する。次いでピアサーバは、ダーティレコードの送信が終了したことを示す通知
を送信する。このオペレーションにおいてダーティレコードシーケンスフラグは
、OMP更新の場合のように使用される。
ピアデータベースサーバは、この手続きの間にダーティレコードの状態を変え
ない。
要するに、メモリデータベースがそれぞれ1つのチャネルのみ(関連するDB
S25)によってアクセスされるという事実のために、アクセスは、制御がより
単純であることから、従来より著しく高い効率で処理される。DBSはバス11
を介して直接アクセスされるため、加入者の膨張がNAP20に直接リンクしな
いので、汎用性が著しく高まる。シャドーDB27における自動更新、OMP3
0を介してディスクデータベース31の更新、及び各DBS25の構成要素の動
作の仕方、これら全てが障害許容力を大いに高めることに繋がる。データを単に
対象物として処理することが、特に誤りが生じないこと及びクライアントに対し
て高速の応答が提供されることを確実にするために効果的であることが分かった
。DBS構造はモジュラー型であり、これも柔軟性を与えている。このことは、
上述した単純なトランザクション、クライアント、及び対象物、及びダイアログ
ハンドラ識別法を用いることにより達成された。
本発明の別の重要な利点は、NAP20がディレクトリサービス21を有して
いることに起因する。これによって、NAP20が関連したDBS25へ即時ア
クセスできるようにすることにより、バストラヒックが確実に最小化される。
HLRのバスが完全に外部にあることを前提として説明してきたが、バスは部
分的にハードウエアシステムの内部に設け得ると考えられる。例えば、NAP2
0及びDBS25が、1つのハードウエアプラットフォーム上に存在でき、この
場合、特定のNAPが内部バスを介してDBSにアクセスすることになる。他の
全てのNAPは、上述したように外部バスを介してそのDBSにアクセスするこ
とになる。重要な点は、各メモリデータベースに対して、唯1つのアクセスルー
ト、即ち、その関係するDBSと、それをHLRにおけるクライアントにリンク
するバスしか存在しないことである。
本発明は、ここに記述した実施例に限定されず、その構成及び詳細を様々に変
更して実施することができる。
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Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
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(72)発明者 ディロン,アイダン
アイルランド国カウンティ・ダブリン,ス
チローガン・グローブ,オアパン・クロー
ズ・7