JP2000506734A - 緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)のシトクロムC▲下551▼をPseudomonas putidaで製造するための組換え法 - Google Patents

緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)のシトクロムC▲下551▼をPseudomonas putidaで製造するための組換え法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、電子伝達能を有し、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)のシトクロムC551の配列を含むヘムタンパク質を製造するための組換え法において、このヘムタンパク質がPseudomonas putidaで産生されることを特徴とする方法に関する。本発明方法によって得られるヘムタンパク質は、天然型のシトクロムC551ならびにシグナル配列の全部または一部、典型的にはN−末端部分の存在を特徴とするその前駆体を含む。本発明のヘムタンパク質は、次の方法で製造できる。すなわち、(a)ヘムタンパク質をコードするDNA配列を含む発現ベクターで形質転換した宿主を該ヘムタンパタ質が発現されるような条件で提供し、(b)該ヘムタンパク質を単離または精製する。従って、本発明のさらに別の目的は、本発明のヘムタンパク質をコードするDNA配列を含む発現ベクター;本発明に係る適切な発現ベクターで形質転換した宿主;および本発明に係るヘムタンパク質をコードする配列を含む、天然または合成起源のDNA分子を含む。本発明に係るヘムタンパク質は、診断分野、例えばペルオキシダーゼの色素産生基質として、または電気化学研究において有用な用途が見いだされ、酸化還元タンパク質と電極との間の電子移動反応の検出、測定および調節に使用される。

Description

【発明の詳細な説明】緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)のシトクロムC551をPseudomonas putidaで製 造するための組換え法 本発明は、Pseudomonas putidaの細菌系において緑膿菌(Pseudomonas aerugin osa)のシトクロムC551を製造するための組換え法に関する。 シトクロムC551は、緑膿菌(Pseudomonas(Ps)aeruginosa)という細菌から抽出 された電子伝達ヘムタンパク質である(Horioら、1960)。その生理学的役割は 、恐らく、亜硝酸をNOに還元する異化型脱窒素の重要な酵素である亜硝酸リダ クターゼに電子を供与することから成るが、Ps.aeruginosaでの同一および恐ら く他の代謝経路にも関与する、銅を含む電子伝達タンパク質であるアズリンと電 子を非常に迅速に交換することもできる。 シトクロムC551は、構造(三次元構造)および機能(小さいレドックス分子 と生理学的巨大分子の相手との電子の伝達)の点から十分解析されており、この ことが、巨大分子を、タンパク質マトリックスが補欠分子ヘム族の反応性ならび に電子伝 達プロセスの速度および方向の制御において果たす役割に関する詳細な研究に最 も適し、また恐らく部位特異的突然変異研究にも適するものにしている。 この目的のためには、天然のシトクロムC551の関係する量を容易に得ること ができ、次いで、部位特異的突然変異体の発現にも使用できる効率的なタンパク 質の発現系が利用できるのが最も有用である。 c型シトクロムの発現には、いくつかの問題がある。すなわち、i)ヘム族は 2個の共有結合によってタンパク質に結合するが、その形成は特定の酵素によっ て触媒される。ii)シトクロムcは特定の細胞室(真核細胞シトクロムの場合は ミトコンドリアの膜間腔、原核細胞の場合は細胞周辺腔)に達した後、ヘムを取 込むが、シトクロムcはそのタンパク質に存在する特徴的なシグナル配列によっ てその方向に転置され、その後、特定のプロテアーゼによって除去される。 今日まで、この種のタンパク質の発現は、次の場合に試みられている。 a)染色体でのコード遺伝子の置換により酵母自体で発現される突然変異体酵母 (Margoliashら、1990)。この方法は、タン パク質自体の機能を許容可能なレベルで維持する酵母シトクロムの突然変異体の みの発現を可能にする。なぜならば、細胞の増殖は、このシトクロムの存在およ び活性に関係するからである。 b)大腸菌(E.coli)でのTh.versutusのシトクロムC550の発現(Ubbinkら、19 92)。この方法は、細菌のシトクロムの妥当な収量での発現を異種系で可能にし たが、大腸菌が十分な量のヘムを産生するためにはほとんど嫌気性の環境を必要 とする。この条件は、実験上、定量的に定義されるものではなく、特に大規模な 培地では、好気性培養条件と比較して、得るのは容易でない。 これらの問題は、Ps.putidaで産生されるPs.aeruginosaのシトクロムC551 の発現に関する本発明によって解決される。この細菌を選択したのは、それが天 然には好気性条件で増殖し、栄養要求が限られており、従って、醗酵槽において 限られたコストでの増殖が可能であるためであり、さらに、それは、通常c型シ トクロムを発現していて、これにより、ヘム取込みの系の存在および効率が確実 であるからである。選択した方法は、天然のものと見分けがつかない特性を有す るシトクロム C551の高められた発現レベルおよび細胞毒性がないことによって、有効である ことが証明され、他の細菌のシトクロムcおよび恐らく真核細胞にも適用できる と考えられる。さらに、シトクロムC551の物理−化学特性により、組換えタン パク質の精製法、特に容易で迅速かつ経済的な精製法の開発が可能になった。 すなわち、本発明の第一の目的は、電子伝達能を有し、緑膿菌(Pseudomonas a eruginosa)のシトクロムC551の配列を含むヘムタンパク質を製造するための組 換え法において、このヘムタンパク質がPseudomonas putidaで産生されることを 特徴とする方法を構成する。述べたように、シトクロムC551は、電子伝達系と して作用するヘモタンパク質であり、従って、診断分野、例えばペルオキシダー ゼ用の色素産生基質として、または電気化学的研究における用途において有用で あり、酸化還元タンパク質と電極との間の電子伝達反応の検出、測定および調節 に使用される。 本発明方法によって得られるヘモタンパク質としては、シトクロムC551の天 然型およびその前駆体が挙げられ、前駆体は、ヘムが取込まれ、タンパク質がそ の機能活性を及ぼす場所であ る細胞室の方にシトクロムを向かわせる機能を有するシグナル配列の全部または 一部(典型的にはN−末端部分)により特徴付けられている。このシグナル配列 は、天然のタンパク質のものであっても、また、外因性のシグナル配列であって もよい。本発明のヘムタンパク質は、次の方法で製造できる。 a)このヘムタンパク質をコードするDNA配列を含む発現ベクターで形質転換 した宿主を、該ヘムタンパク質が発現するような条件で提供し、 b)該ヘムタンパク質を単離または精製する。 これは、本発明の第二の側面を表す。この方法は、典型的には、発現させたい ヘムタンパク質をコードするヌクレオチド配列の構築および組換え宿主生物での ヘムタンパク質の発現に基づく。遺伝的に改変した生物の培養により、生物活性 を付与した所望のタンパク質が産生される。すなわち、本発明のさらに別の目的 はまた、 −本発明に係る適切な発現ベクターで形質転換した宿主、および −本発明に係るヘムタンパク質をコードする配列を含む、天然または合成起源の DNA分子 から構成される。 本発明に従ってヘムタンパク質を発現することができる宿主は、本発明に係る 適合性発現ベクターで宿主を形質転換することにより作製できる。発現ベクター は、 a)本発明のヘムタンパク質をコードするDNA配列を、Ps.aeruginosaのゲノ ムの一部から酵素的に合成し(Silvestriniら、1989)、 b)該DNAを発現ベクター内に挿入する ことにより作製できる。 あるいは、発現ベクターは、 a)Ps.aeruginosaゲノムから、シトクロムC551をコードする遺伝子を単離 し、 b)該遺伝子を発現ベクターに挿入する ことにより作製できる。 従って、本発明に係るヘムタンパク質は、形質転換宿主を提供し、この宿主を 、そのヘムタンパク質が発現できるような条件で培養することにより製造される 。 本発明のヘムタンパク質を組換えDNA技術によって製造するために、該ヘム タンパク質をコードする遺伝子を作製する。 本発明は、本質的に下記配列(配列番号1)から成るDNA分子を含む。 GAA GAC CCC GAA GTG CTG TTC AAG AAC AAG GGC TGC GTG GCC TGC CAT GCC ATC GAC ACC AAG ATG GTC GGC CCG GCC TAC AAG GAC GTC GCC GCC AAG TTC GCC GGC CAG GCC GGC GCG GAA GCG GAA CTC GCG CAG CGG ATC AAG AAC GGC AGC CAG GGC GTC TGG GGC CCG ATC CCG ATG CCG CCG AAC GCG GTC AGC GAC GAC GAG GCG CAG ACC CTG GCG AAG TGG GTC CTG TCG CAG AAA TGA このDNA分子は、その直前に下記: ATG AAA CCG TAC GCA CTG CTT TCG CTG CTC GCC ACC GGC ACC CTG CTC GCC CAG GGC GCC TGG GCC(配列番号2) から成るシグナル配列を置くことができる そのコードするDNA配列は、典型的にはイントロンを含まない。シトクロム C551をコードする遺伝子は、それが天然に存在するオペロンからPCR法(ポ リメラーゼ連鎖反応、MullisおよびFaloona,1987)によって単離できる。 この目的のために、シトクロムC551をコードする遺伝子の5’末端および3 ’末端に相補的なオリゴヌクレオチドを合成し、次いで、そこに存在する制限部 位を利用する発現ベクター中でのクローニングに使用する。典型的には、発現ベ クターとしては、発現したい遺伝子に対するプロモーター、転写終結部 位ならびに翻訳開始および終結コドンなどの適切な転写および翻訳調節因子を含 む。遺伝子は、ベクターに適合する宿主でヘムタンパク質を発現させることがで きるように、正確な構造で提供する。発現ベクターは、典型的には、複製起点お よび恐らく抗生物質耐性を付与する遺伝子などのマーカー遺伝子も含む。 上述したように、発現ベクターを使用して適切な宿主を形質転換し、発現が確 実に生じるような方法で培養する。形質転換宿主は、原核細胞でも真核細胞でも よい。特に、細菌宿主を使用することができる。好ましい細菌宿主はPs.putida である。 発現させたヘムタンパク質は、単離し、精製することができる。上述したよう に、ヘムタンパク質は、輸送シグナル配列を含み得る。輸送配列は、典型的には 、本発明のヘムタンパク質のN−末端に存在する。 本発明に係るヘムタンパク質は、典型的には、診断用に使用できる。特に、研 究活動の熱心な領域の代表は、金属タンパク質電子伝達反応に関する研究である 。これらの研究に対する特定の方法は、電気化学法を使用して、電極と溶液との 間の界面で生じる電子伝達反応を調べることであった。すなわち、各種シトクロ ムと反応可能な電極が発明されており、特に、Ps. aeruginosaのシトクロムC551の電気化学は、多機能性有機分子で改変された 金電極の使用によって研究され、シトクロムC551はこの電極と電子を交換する ことができることが立証されている(H.Allen O.Hillら、J.Elletroanal.Chem .,217(1987):129-140)。 この情報は、シトクロムC551の、この分子に直接関与する酵素反応を検出す ることができるバイオセンサーの構築における使用を示唆している。これらのバ イオセンサーは、酵素および基質の測定のためのアッセイ法または臨床手順にお いて有用であることが分かる。例えば、それらのバイオセンサーは、生物学的流 体、特に糖尿病患者において存在するグルコースの測定(欧州特許出願No.EP12 5137)または能動もしくは受動系での、特にグルコース−オキシダーゼ、オキサ レート−オキシダーゼおよびコレステロール−オキシダーゼなどのレドックス酵 素の活性を調節するための、H22の検出に使用されている(英国特許No.GB22 06414)。 下記実施例で本発明を説明する。添付の図面において、図1(A)は、以前に 解析された(Silvestriniら、1989)Ps.aeruginosaの3.5kbゲノムDNA断片に おけるcit遺伝子 の存在を確認するために使用した2つのオリゴヌクレオチド〔配列番号3および 4〕の配列である。(B)は、オリゴヌクレオチド28〔配列番号3〕および2 9〔配列番号4〕をプライマーとして使用したサンガー法によって得られたDN A配列である。nir遺伝子の末端およびcit遺伝子の始めをコードするゾーンはア ミノ酸に翻訳されている。 図2は、図IAに記載の3.5kbの断片からのcit遺伝子のPCRによる選択的増 幅および続くベクターpNM185(オリゴNM−1〔配列番号5〕およびNM−2〔 配列番号〕)でのクローニングのために使用されるオリゴヌクレオチドである。 図3は、cit遺伝子のPCRによる増幅を確認するためのアガロースゲル(1. 2%)分析を示す。AおよびBはプライマーNM−1およびNM−2で増幅した1 および10ngのpEMBL18NRであり、mは分子量マーカーとしてのHindIIIで消化した λファージであり、矢印は増幅した断片およびそれらのサイズを示す。 図4は、PCRによって増幅した配列を決定するために使用したクローンのマ ップである。インサートcitEの配列は図6に示す。 図5は、PCRによって増幅したPs.putidaでの発現に使用したベクターpNM1 85およびそれから誘導したクローンのマップである。 図6は、Cit C551の遺伝子を含むインサートcitEの配列〔配列番号7〕で ある。リボソーム結合部位RBS(...)、開始コドン(ATG)およびコード配 列の102の位置で検出される唯一のサイレント置換を示す。 図7は、組換えプラスミドPNM-citの単離のためのコロニーハイブリダイゼー ションのオートラジオグラフィーである。 図8は、組換えプラスミドPTZ18-CitE(1)の単離を確認するためのアガロース ゲル(1.2%)分析を示す。 図9は、組換えC551シトクロムの精製した製剤の逆相高圧液体クロマトグラ フィー分析を示す。分離は、水−トリフルオロ酢酸における直線勾配のアセトニ トリルを使用してC18カラム上で行い、220nmの波長で検出した。 図10は、シトクロムC551の精製した調製物の等電点電気泳動分析を示す。 分離はポリアクリルアミドゲル(Immobiline dry Plate)上で行い、pH勾配は4 →7とした。組換えシトクロムC551は、pI=4.9の均一なタンパク質バンドに 収束 した(サンプル1)。等電点は、基準のBioradタンパク質の混合物(サンプル2 )と比較することによって推定した。 図11は、SDS−トリシンでのポリアクリルアミドゲルである。AおよびB は、Ps.aeruginosaからの精製したシトクロムC551の増加量を示し、Cおよび Dは、Ps.putidaからの精製したシトクロムC551の増加量を示し、Mは分子量 マーカー(10〜100kDaの範囲)を示す。 図12は、Ps.putidaからの精製したシトクロムC551の酸化型(破線)およ び還元型(実線)のスペクトルである。 図13は、Ps.putidaからの精製したシトクロムC551の可視スペクトルであ り、還元型のタンパク質を、報告されている3つのpH値で分析した。 図14は、Ps.putidaからの精製したシトクロムC551の円二色性スペクトル であり、酸化されたシトクロムの溶液のスペクトルを示す。 図15は、Ps.putidaからの精製したシトクロムC551の円二色性スペクトル であり、還元されたシトクロムの溶液のスペクトルを示す。 図16は、遠UV領域での円二色性スペクトルであり、酸化 されたシトクロムの溶液のスペクトルを示す。 図17は、組換えシトクロムC551の精製した調製物のマススペクトル分析を 示す。9309.97 Daの質量を有するピークAは、シトクロムC551の計算した質量 に相当する。ピークBは、イオン化条件で生成した付加物シトクロムC551−ナ トリウムイオンに対応する。 実施例1:オペロンにおけるcit遺伝子の同定 最近の文献データ(Nordlingら、1990;Araiら、1990)は、緑膿菌(Ps.aerugino sa)の細菌ゲノムのオペロンにおけるシトクロムC551(cit)をコードする遺伝子 の単離を報告している。この情報から、この遺伝子の存在を、以前に単離され(S ilvestriniら、18989)、亜硝酸リダクターゼ酵素(nir)をコードする遺伝子を含 む、長さ3.5kbのゲノムDNAにおいて調べた。この目的のために、各々、nir遺 伝子の3’端およびcit遺伝子の5’端に相補的である特定のオリゴヌクレオチ ドを合成し(プラスミド28〔配列番号3〕および29〔配列番号4〕と命名し た)、200塩基のセグメントのヌクレオチド配列を決定した。この配列は、文献 で報告されたものと比較して、研究中のゲノムDNA断片にcit遺伝子が存在す ることを示し た。使用したプライマーの配列、以前に解析された断片内でのそれらの位置およ びゲノムDNAのセグメントの配列を図1に示す。使用した方法 特定の文献で明確に示された場合を除いて、本明細書で使用する分子遺伝学の 方法は全て、Sambrookら(1989)に記載されている。 1)配列決定のためのDNAの調製 一本鎖DNA(ssDNA)を、バクテリオファージF1の存在下、プラスミド pEMBL18-NR(Silvestriniら、1989)のDNAをDH5細菌細胞の培養物に感染 させることにより調製する。感染した培養物は、培地中にssDNAを産生する。 これを、PEG/NaClで沈殿させることにより回収し、TBE媒体中、1% アガロースゲルでの電気泳動により調べる。 2)プライマー28および29の構築 プライマー28〔配列番号3〕のヌクレオチド配列は、以前の情報(Silvestr iniら、1989)に基づいて決定したが、プライマー29〔配列番号4〕は、新規 配列の第一セグメントの決定後に設計した。それらの配列を図1に詳細に報告す る。 3)ヌクレオチド配列の決定 配列の決定は、Ps.aeruginosaのDNAのGC含量が高いことから誘導される 圧縮の問題を取り除くために、dGTPおよびdITPの両方を有するSequenas e version2.0試薬(USB)を使用してSangerら(1977)の方法により決定した。配 列決定反応は、6%尿素/ポリアクリルアミドゲルでの電気泳動により解像した 。 実施例2:cit遺伝子の単離およびクローニング cit遺伝子の存在がオペロンにおいていったん同定されると、オペロンの残り の部分からの遺伝子の同定を行った。この操作は、次の理由により必要であると 思われた。すなわち、培地はKNO3などの化合物を豊富にしなければならない が、亜硝酸リダクターゼの過発現の毒性効果の結果としてのバイオマスの収率を 低下させるので、フランキング配列(亜硝酸リダクターゼをコードする配列を含 む)の存在は、形質転換したPs.putida菌株の栄養要求を複雑にし;発現ベクタ ーpNM185のプロモーターPmからの転写効率は、むしろそのプロモーターのすぐ下 流に存在する、nir遺伝子の3’端にあるcit遺伝子の位置により減少し;精製の プロトコールも、亜硝酸リダクター ゼの共発現の結果、複雑になる。 発現を収率良く得るために、また組換えタンパク質の細菌による増殖および精 製のプロトコールを簡単にするために、cit遺伝子を、PCR(ポリメラーゼ連 鎖反応、MullisおよびFaloona,1987)を使用してオペロンの前後関係から単離 した。引き続くベクターpTZ18(ヌクレオチド配列決定用)(Meadら、1986)およびp NM185(Ps.putidaでの発現用)(Mermodら、1986)でのcit遺伝子のクローニン グに適切な合成オリゴヌクレオチド(図2)を設計して合成した。転写開始シグ ナルのみを有するベクターpNM185では、EcoRIによって認識される配列の他に、 翻訳開始に必要なRBS(リポソーム結合部位)もcit遺伝子の合成オリゴヌク レオチドに挿入した。 配列決定ベクターでのクローニングのために、pNM185でのクローニングについ て記載したものと同じオリゴヌクレオチドを使用した。PCR反応の結果、約35 0ヌクレオチドの断片が得られ、次いで精製して、上記したベクターに挿入した 。 組換えプラスミドは、E.coli JM109での形質転換によって挿入し、cit遺伝子 に対応する放射性プローブとのハイブリダイゼーションによって単一コロニーと して単離した。 異なる構築体の制限マップを図4および5に示す。組換えプラスミドは、pTZ1 8-citEおよびPNM-citと命名した。350ヌクレオチドの断片の配列が実際にcit遺 伝子に対応することを確認するために、この断片のヌクレオチド配列を、組換え プラスミド PTZ18-citEから決定した。図6に示す配列〔配列番号7〕は、すで に発表されたもの(Nordlingら、1990;Araiら、1990)と、そのコード配列の102の 位置がTからCに置き換わっていることを除いて、同一である。 次いで、緑膿菌(Ps.aeruginosa)の遺伝子のこのゾーンの配列を、増幅する前 に確認して、増幅中のポリメラーゼのエラーを除いて、その置換が存在していた 。この突然変異は、正しい翻訳に何ら悪影響を及ぼすものではなく、我々がnir およびcit遺伝子の単離のために使用したPs.aeruginosa菌株が、Nordlingら(19 90)およびAraiら(1990)が使用した菌株と異なることを考慮すれば、自然にしば しば現れるサイレント突然変異に基づいて説明することができる。使用した方法 特定の文献で明確に示された場合を除いて、本明細書で使用する分子遺伝学の 方法は全て、Sambrookら(1989)に記載されて いる。 1)PCRによるcit遺伝子の単離 citT遺伝子を単離するために、図2に示すオリゴヌクレオチドを設計した。そ れらのオリゴヌクレオチドの配列をこの図に示し〔配列番号5および6〕、各サ ブ配列の機能を特定する(すなわち、制限酵素、リンカー、リボソーム結合部位 またはRBSの開列部位;シトクロムのコード配列)。 二つのオリゴヌクレオチドは、各々、cit遺伝子の5’−末端および3’−末 端に相補的であり、ベクターpNM185でのクローニングおよび配列決定ベクターpT Z18でのクローニングにも使用した。PCR反応は、二つの特定のプライマーの 各々50pmoleの存在下、1および10ngの組換えプラスミドpEMBL18-NRを使用して 行った。使用したTaqポリメラーゼはAmplitaq(Perkin Elmer Cetus Corp.)であ る。反応条件は以下の通りであった。 a)95℃で5分 b)94℃で1分 c)58℃で1分 d)72℃で2分 b〜d工程は、続けて30サイクル繰り返し、その後、混合物を35℃で15 分間平衡にした。次いで、反応物の10分の1をTBEにおいて1.2%アガロ ースゲルで分析した。図3に示す結果は、約350ヌクレオチドの増幅断片の存在 を示し、この断片をゲルから抽出し、低融点アガロース法を使用して精製した。 2)発現および配列決定ベクターでのクローニング cit遺伝子を含む350ヌクレオチドの断片を、記載した制限部位を使用して、下 記ベクターでクローン化した。 pNM185のEcoRI部位 pTZ18のEcoRI部位 この目的のために、ベクターを、製造者によって提供される取扱説明書に従っ て上記酵素(Biolabs)で消化し、消化は、TBEにおける1%アガロースゲルで 調べた。平行して、EcoRIによる同様の消化を、PCRから得られる断片につい て行った。両方のDNA(ベクターおよびインサート)を低融点アガロース法に よって精製した。組換えプラスミドは、T4DNAリガーゼ(Biolabs)の存在下 、16℃で12時間連結反応を行うことにより得た。次いで、それらの構築体を 、CaCl2処理に よってコンピテントにしたE.coli JM109細胞の形質転換によって挿入した。 組換えプラスミドpNM-citの単離のために、形質転換から得られる約200コロニ ーを、カナマイシン(30g/ml)を含むLBプレートおよびナイロンフィルター(Hybon d N,Amersham)上でレプリカ平板法に付した。コロニーは、37℃で12時間増 殖させた。フィルターを変性溶液で処理してプラスミドDNAを変性させ、単離 してP32−ATPによるランダムプライム法により標識したcit遺伝子とハイ ブリダイズさせた。使用したハイブリダイゼーション条件は、Hybond Nフィルタ ーの製造者Amershamが勧めるものである。 陽性コロニー(図7参照)をレプリカ平板から単離し、これらのコロニーから プラスミドDNAを調製した。350 bpの断片の存在は、EcoRI消化によってさら に確認した。 組換えプラスミド PTZ18-citEの単離のために、プラスミドDNAを、形質転 換から得られるコロニーから直接調製し、インサートの存在を、EcoRI消化によ って確認した(図8参照)。 3)完全遺伝子cit配列の決定 cit遺伝子のヌクレオチド配列は、緑膿菌(Ps.aeruginosa) のDNAのGCが高含量であることから生じる圧縮の問題を取り除くために、Se quenase version2.0(USB)試薬を使用してサンガー法により決定し、配列決定 反応は、dGTPおよび7AZA−dGTPの両方を用いて行った。配列は、6 %尿素/ポリアクリルアミドゲルでの電気泳動によって解像した。 実施例3:Ps.putidaでのcit遺伝子の発現 cit遺伝子は以前に単離されたオペロン(Silvestriniら、1989)に存在してい て、その起源(Ps.aeruginosa)と同様、同じオペロンに存在するnir遺伝子の発 現についてすでに使用された(Silvestriniら、1992)細菌種Ps.putidaが、シ トクロムの発現を行うための基礎となる。この細菌種を選択したのは、天然種と 相関性があるにもかかわらず、それが、好気性条件において増殖し、限られた栄 養要求を示し、限られたコストの醗酵槽での増殖を可能にするからである。さら に、大腸菌におけるc型シトクロムの高レベルの発現は、大規模の増殖への展開 の可能性を制限する、部分的嫌気的増殖条件を使用して、異なるシトクロムcに ついてのみこれまで行われた(Ubbinkら、1992)。 cit遺伝子を含む発現ベクター(プラスミドpNMcit)を、Ps. putida PaW340の菌株への形質転換によって導入した。c型シトクロムの増大は 、溶解した総細胞に対するヘムタンパク質に存在する鉄原子の酸化型と還元型と の間の差スペクトルによって調べた。産生したタンパク質が事実上シトクロムC551 に対応するかどうかを調べるために、見かけ分子量が9-kDa(SDS−PAG E)であり、Ps.aeruginosa由来の天然シトクロムのものと同一の変性条件での 電気泳動移動度を有するタンパク質を精製して均一にした(Parrら、1976)。この タンパク質はさらに、N−末端配列決定により検査した(最初の35残基)。この 配列は、以前に発表された(Ambler,1963)成熟シトクロムC551の配列に完全に 対応した。また、細菌のペリプラズマでのトランスローケーションに必要な22個 のアミノ酸のシグナル配列を有するプレタンパク質として遺伝子レベルでコード されるタンパク質は、Ps.Putidaである異種系でも正しく処理されることが分か る。使用した方法 特定の文献で明確に示された場合を除いて、本明細書で使用する分子遺伝学の 方法は全て、Sambrookら(1989)に記載されている。 1)PaW340のベクターPNMcltによる形質転換 上記したプラスミドPNMcitを、以前に挿入を行ったE.coli JM109のクローン から、アルカリ溶菌法を使用して精製した。こうして得られたDNA(10〜100n g)を、CaCl2およびMgCl2法によってコンピテントにしたPaW340細胞への 形質転換によって導入した(LederbergおよびCohen,1974)。形質転換体は、30g/ mlのカナマイシンを含むLB培地上、30℃で選択した。プラスミドの存在は、 アルカリ溶菌法により、そのDNAを抽出する形質転換体において調べた。組換 えプラスミドを含むクローンは、PaW340-pNMcitと命名した。 2)シトクロム発現の誘導 プラスミド PNMcitは、プロモーターPmの制御下でクローン化したcit遺伝子 を含む。発現は、このプロモーターからの転写を誘導物質m-toluateで刺激する ことにより誘導できる(Mermodら、1986)。誘導は、以下に記載するように行っ た。 固体LB培地+30g/mlのカナマイシン上でクローンPaW340-pNMcitから単離し たコロニーと共に、5mlのプレ培養物を同一の液体培地に接種し、30℃で約6 〜8時間、増殖させた。次いで、そのプレ培養物を100mlのLB培地+30g/mlの カナマイシンで希釈し(1:100)(非誘導の対照)、平行して、0.5nMのm-toluate を含む同一の培地上に置き(誘導サンプル)、培養物を30℃で16〜18時間 増殖させた。同じ誘導アッセイを、プラスミドpNM185のみを含む菌株PaW340(ci t遺伝子は含まない)について行い、対照とした。 3)差スペクトル 上記した誘導実験から誘導される細胞を0.1Mのリン酸緩衝液pH 7.0(4ml/g 細胞)に再懸濁し、氷中で5x1分間音波処理を行った。遠心分離(12000rpmで2 0分間)によって回収した音波処理物の上清に、フェリシアン酸カリウムを添加 して、恐らく存在しているヘムタンパク質の鉄を酸化した。この酸化抽出物を等 量に分けて分光光度計セル(1cm光路)に入れ、400〜500nmでの基線を記録した 。サンプルの一つには、次いでジチオン酸ナトリウム(固体)を添加し、同じ波 長でのスペクトルを記録した。 4)シトクロムの精製 PaW340-pNMcit菌株の細胞を、誘導サンプルに対して上記した方法に従って大 規模に増殖させる。典型的には、1.51の培養物(6×250ml/2l容ビーカー)から、 約10gの湿った細胞を 得る。 精製プロトコールは、セファデックスG-75カラムによるゲル濾過クロマトグラ フィーまではParrら(1976)のプロトコールと同じである。この時点で、遅いクロ マトグラフィー移動度を有する画分(c型シトクロムの存在は、分光光度計によ り確認する)を集めてプールする。これらの画分を、酢酸を添加することにより pH3.9にし、12000rpmで20分間遠心分離して沈殿物を除去する。上清を回収 し、50mMの酢酸アンモニウムpH3.9で平衡にしたCM52イオン交換カラム(W hatman)に充填し、そのカラムを次いで同一の緩衝液で洗浄し、タンパク質を50 mMの酢酸アンモニウムpH 4.45で溶離する。 溶離した画分を、250〜650nmで分光光度計により分析して、得られたサンプル の純度を測定する。一般に、天然のシトクロムの場合、この純度指数は還元型の 吸光度(550〜570nm)と酸化型の吸光度(280nm)との間の比から求める。この比は 、100%純粋なタンパク質の場合は1.14の値を有していなければならない(Parrら 、1976)。 5)N−末端配列の決定 配列の分析を、アミノ酸のフェニルチオヒダントイン誘導体 を測定するためのApplied Biosystems 120A型PTH分析器によって供給される気相 でApplied Biosystems 470A型配列決定装置を使用して行った。サンプルを、製 造者によって提供される取扱説明書に従って、トリフルオロ酢酸で処理したガラ ス繊維フイルターにかけ、ポリプレンで被覆し、予備洗浄した。 実施例4:Ps.putidaPa W340からのシトクロムC551の産生 この実施例は、最適化した醗酵プロトコールを使用して、PaW340において発現 系pNMcitからシトクロムC551を産生するために設定した手順を記載する。続く 精製手順により、高純度のシトクロムC551の調製物がたった2工程で得られる 。菌株PaW340-pNMcitの醗酵プロトコールおよび続く精製は、大規模で適用可能 であり、より高い収率が得られるように最適化した。かなりの量のバイオマスお よび高レベルの特異的発現を得るために、醗酵手順の最適化は、培地の組成物、 温度、グルコース濃度および酸素分圧のパラメータを考慮して、予備実験におい て行った。最適化条件は、後に101容の醗酵槽に適用し、得られた細胞バイオマ スをシトクロムC551の抽出に使用した。精製のために、新規手順を開発した。 それは、工程数が限られ、総収量が高められ、工業的規模での適用が容易である こ とを特徴とする。新規精製手順に従って得られる組換えタンパク質は、物理化学 的観点および機能活性の点で純粋であるという結果が得られた。使用した方法 1)醗酵条件の最適化 菌株PaW340-pNMcitの増殖に対する最良の条件を、バイオマスのレベルおよび 組換えタンパク質の発現に対する増殖条件の効果を評価することにより研究し、 かなりのレベルの容量生産性および特異的発現(mgシトクロムC551/g細胞) の達成が確実になった。 表1に示すように、最良の結果は、試験6の条件で得られたものである。この 場合、約20gの湿ったバイオマス/l醗酵物が、約1mgのシトクロムC551/g細 胞のレベルで回収された。 表1:組換え菌株PaW340-pNMcitの醗酵 産生のために選択した最適化条件は、主に下記パラメーターを特徴とする。 −F120、pH7の培地 −32℃の温度 −2%飽和度で維持されるO2レベル 生産スケールでの適用に対して必須の条件である最適化した醗酵プロトコール の再現性は、10 1容醗酵器(表1の試験7および8)およびより大きい規模で行 った反復実験により確認した。 2.醗酵 a)培地の組成物 LK培地(カナマイシンを含むLuria-Bertani): Bactotryptone 20 g/l 酵母エキス 10 g/l NaCl 10 g/l カナマイシン 50 mg/l 培地F120 : カゼイン加水分解物 18 g/l 酵母エキス 36 g/l KH2PO4 0.58 g/l K2HPO4 3.14 g/l グルコース 4 g/l トルイル酸 0.68 g/l カナマイシン 50 mg/l b)増殖期 250mlのLK培地を含む2つの11容ビーカーに、組換え菌株PaW340-pNMcitの 懸濁物0.5mlを添加し、培養を、160rpmの振動攪拌器上、30℃で16時間行っ た。得られた細菌培養物を、産生期用接種物として使用した。 c)産生期 増殖期の産物を接種した、51のF120培地pH7を含む10 l 容醗酵槽を使用した。醗酵は、攪拌を300rpmに調整し、空気流を0.25l/l培地と して、32.1℃で行った。醗酵中、攪拌は、酸素レベルが2%飽和で維持されるよ うに自動的に調節した。醗酵の産生期は約9時間続け、600nmで測定した光学密 度が約20単位に相当する最終の細胞増殖を得た。醗酵の終わりに遠心分離によっ て集めた細胞は、典型的には、約100gの湿重量に相当する。 3.精製 精製操作は、4℃で行った。 51の醗酵から得たバイオマス(約100gの湿重量)を、1200mlの0.1Mトリス−1 mMフッ化メチルスルホニルフェニル−1mMEDTA緩衝液pH7に再懸濁し、細 胞を約800バールの圧力で機械的ホモゲナイザー(APV-Rainin型)の2回通過に よって分解した。あるいは、細胞破壊は、音波処理によって得ることができる。 細胞ホモジネートは、7000gで30分間遠心分離し、上清を回収して、希酢酸の 添加によりpH4.0とし、再度遠心分離した。桃色の上清に2mlの5%K2Fe(CN )6を添加してシトクロムC551を酸化し、その溶液を20mMの酢酸緩衝液pH4( 緩衝液A)に対して約4時間透析した。透析 した溶液を200mlのCM−セファロース Fast Flow樹脂床(Pharmacia Biotech 社)を含むクロマトグラフィーカラムに充填し、緩衝液Aと予備平衡させた。カ ラムを11の緩衝液Aで洗浄した後、下記条件で溶離した。すなわち、100%の緩 衝液A→35%の緩衝液B(20mMの酢酸ナトリウム−0.5MのNaCl、pH 4.0) の直線勾配で60分間、次いで、65%の緩衝液Aおよび35%の緩衝液Bから成る相 による30分間のイソクラティック溶離、および40%→100%の直線勾配の緩衝液 Bで30分間である。淡桃色を特徴とするシトクロムC551を含む画分を、分光 光度計による分析および逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)で 調べ、分析結果に基づいてプールした。シトクロムC551の調製物を+4℃で保 存し、あるいは、10mMの酢酸アンモニウム緩衝液に対する透析の後に凍結乾燥し て、組換えタンパク質の固体形状の調製物を得た。その精製手順で得られた結果 の典型的な例を下記に示す。 記載した精製プロトコールに従って得られたシトクロムC551の調製物は、逆 相高圧液体クロマトグラフィー(図9)、等電点電気泳動(図10)およびポリ アクリルアミドゲル電気泳動(図11)によって調べると、90%より大きい純度 を示した。 実施例5:組換えシトクロムC551の天然形における解析 実施例4に記載の精製によって得られた組換えシトクロムC551を解析して、 得られたタンパク質が緑膿菌(Ps.aeruginosa)から精製した天然形と事実上同一 であるかどうかを調べた。 このヘムタンパク質の主な特徴のいくつかが、他のc型シトクロムと共通であ る。まず第一に、鉄の原子を含むポルフィリンである、2個のチオエーテルによ ってタンパク質成分に共有的に結合している補欠分子族が、タンパク質の2個の システイン残基(C12およびC15、Ambler,1963)と結合している。これら のヘムとタンパク質との間の特定の共有結合の存在は、他の型のシトクロム(a 、b、dなど)にはなく、本質的に、そのタンパク質によって想定される正しい コンホメーションの特徴である。 さらに、マススペクトル法によって高精度で得られる質量の 実験的測定は、ポリペプチド鎖の完全性ならびにヘムとの共有結合の形成に関し て、組換えシトクロムC551の分子構造を直接確認するものである。正確な三次 元構造は、発色団(ヘム)の分光学的特徴にも影響を及ぼす。それは、実際、ヘ ムのこの部分の光吸収の固有の特性だけでなく、この発色団の周囲の環境、すな わちタンパク質成分との相互作用にも依存する。 また、可視ゾーンでの円二色性実験で得られる情報も、発色団(この場合もヘ ムである)の周りの分子の完全性と相関性があると考えられる。 すなわち、組換えシトクロムの解析は、ゲルによる電気泳動ならびに広範囲に わたる分光学的解析(光学および円二色性)によって行った。下記に関して分析 した。 ・変性条件での電気泳動およびヘム−特異的染色によるタンパク質とヘムとの間 の共有結合の存在; ・酸化型および還元型の組換えシトクロムのスペクトル(図12); ・緑膿菌(Ps.aeruginosa)から精製した天然のシトクロムC551ではすでにかな り解析されている(Silvestriniら、1981)、典型的なpH−依存性分光学的変 動の存在(図13); ・酸化型の組換えシトクロムに対する近および遠UVによる、可視ゾーンでの円 二色性スペクトル(図14および16); ・還元型の組換えシトクロムに対する近UVによる、可視ゾーンでの円二色性ス ペクトル(図15) この解析により、組換えDNAによりPs.putidaで産生されるシトクロムC55 1 が天然形であること、および、我々が分析した分子の特徴に関して、緑膿菌(Ps .aeruginosa)から精製した天然のシトクロムC551と見分けがつかないことが確 認できた。使用した方法 1)電気泳動 組換えシトクロムを、トリシン−SDSでの電気泳動法(SchaggerおよびVon Jagow,1987)に従って、変性条件での電気泳動により分析した。ゲルはクーマ シーブルーおよびベンジジン法によるヘム−特異的染料で染色した(Thomasら、 1976)。 この実験の結果は、組換えシトクロムが、変性条件においてタンパク質から分 離しないので、共有的に結合したヘム族を有することを示している。 2)光学分光法 分光学的分析を、Cary 219二重ビーム分光光度計(Varian)を使用して行った 。組換えシトクロムの0.1M Na/リン酸緩衝液、pH 7.0におけるサンプル を、260〜600nm(酸化型)および380〜600nm(還元型)で分析した。精製により誘 導されるタンパク質は、酸化型で存在し、還元型は、固体のジチオン酸ナトリウ ムの添加により得られる。 図10は、組換えヘムタンパク質の酸化型および還元型のスペクトルを示す。 スペクトルは共に、Ps.aeruginosaから精製した天然のC551に対してすでに記 載されている(Horioら、1960)280、410および530nm(酸化型)ならびに417、5 20および551(還元型)での特徴的な吸収ピークを示す。 Ps.aeruginosaから精製した天然のC551(Silvestiniら、1981)の特徴であ る、551nmでの吸収ピークのpH−依存性分光学的変動の存在も確認された。こ の場合、組換えシトクロムのサンプルは、最初はpH 5.5であったが、4MのN aOHの添加により、pH7.2およびpH 10.0にした。各pH値について、500 〜600n・のスペクトルを記録した。図13は、アルカリ性pHでは、551nmでの吸 収ピークはより長い波長にシ フトし、同時に吸収の最大値が減少することを示している。この特徴的な分光学 的変動(アルカリシフト)は、他のc型シトクロムにはなく、補欠分子族近縁物 における天然のシトクロムC551の残基のイオン化状態の変動と恐らく相関性が あり、これはヘムだけでもみられる。 3)円二色性の分光学 円二色性の実験を、データ分析器を完備したJasco J500分光偏光計(Jascoモデ ルDPS OO N)で行った。これらの実験では、0.1MのNa/リン酸緩衝液、pH 7 .0における組換えシトクロムの溶液を、200〜600nm(酸化型シトクロム)および 380〜600nm(還元型シトクロム)で分析した。この場合も、ヘム鉄の還元は、固 体のジチオン酸ナトリウムの添加によって得られた。シグナルの量を改善するた めに、200〜450nmゾーンのスペクトルは4倍し、450〜600nmゾーンは2倍した。 これらの実験の結果を図14〜16に示すが、それらは、組換えシトクロムが緑 膿菌(Ps.aeruginosa)から精製した天然のC551と同一であることを示している 。この場合も、組換えタンパク質は、天然のC551の特徴を有している。 4)マススペクトルによる分子量の測定 メタノール−水−酢酸(50:50:0.1)に0.2mg/mlの濃度で溶解したシトクロムC5 51 の製剤を、2μl/分の流速で、Hewlett-Packardモデル59987Aエレクトロース プレー界面に接続した単一の四極子Hewlett-Packardモデル5989A マススペクト ロメーターに注入した。分子量の実験値(図17)は9309.97 Daであり、これは 、1Daの変動間隔内で、2つのチオエーテル結合により共有結合したアポタンパ ク質とヘムの分子量を合計し、鉄原子を含んで計算した値に対応する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:385) (C12N 1/21 C12R 1:40) (72)発明者 ゼンチエ,エリザベツタ イタリー国、イ―00100・ローマ、ビア・ インペリア、12 (72)発明者 ビスコ,カルロ イタリー国、イ―20156・ミラノ、ビア・ コンソーレ・マルセロ、1 (72)発明者 デイツシエポーロ,マツシモ イタリー国、イ―20100・ミラノ、ビア・ ジアンベリーノ、34 【要約の続き】 学研究において有用な用途が見いだされ、酸化還元タン パク質と電極との間の電子移動反応の検出、測定および 調節に使用される。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)のシトクロムC551の配列を含み、電子伝 達能を有するヘムタンパク質を製造するための組換え法において、このヘムタン パク質がPseudomonas putidaで産生される方法。 2.ヘムタンパク質が、その機能活性を示す細胞室においてシトクロムC551を 転置させる得るシグナル配列を有する、請求項1に記載の方法。 3.下記配列〔配列番号1〕: GAA GAC CCC GAA GTG CTG TTC AAG AAC AAG GGC TGC GTG GCC TGC CAT GCC ATC GAC ACC AAG ATG GTC GGC CCG GCC TAC AAG GAC GTC GCC GCC AAG TTC GCC GGC CAG GCC GGC GCG GAA GCG GAA CTC GCG CAG CGG ATC AAG AAC GGC AGC CAG GGC GTC TGG GGC CCG ATC CCG ATG CCG CCG AAC GCG GTC AGC GAC GAC GAC GCG CAG ACC CTG GCG AAG TGG GTC CTG TCG CAG AAA TGA を含む、電子伝達能を有するヘムタンパク質をコードするDNA分子。 4.下記シグナル配列〔配列番号2〕: ATG AAA CCG TAC GCA CTG CTT TCG CTG CTC GCC ACC GGC ACC CTG CTC GCC CAG GGC GCC TGG GCC が直前に置かれている、請求項3の配列を含むDNA分子。 5.添付した図面の図6に示すDNA分子。 6.請求項3ないし5のいずれか一項に記載のDNA分子を含むプラスミド発現 ベクター。 7.請求項6に記載のプラスミド発現ベクターによって形質転換した細菌宿主。 8.Pseudomonas putida菌株から成る、請求項7に記載の宿主。
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