JP2000506697A - 使い捨て補聴器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 補聴器１０は、円筒状の殻体１４の内部に装着された電子回路アセンブリ１２を有し、前記殻体１４が耳挿入体１６の空洞内に装着されている。前記電子回路アセンブリ１２は、スピーカー２２と、マイクロホン１８と、音を増幅する信号処理回路２０を形成する電子コンポーネントとを有するプリント回路小片２６を備えている。耳挿入体１６は、軟らかい、耐久性のある、耳に馴染む材料からなっており、ユーザーの耳にフィットする。この補聴器１０は、最小限の部品点数を有し、自動的に組み立てるのが容易である。これにより、使い捨てが可能な比較的安価な補聴器１０が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】 使い捨て補聴器 技術分野 本発明は使い捨て補聴器、より詳しくは、使い捨てができるような、小型で極 めて安価な補聴器に関するものである。 背景技術 近年の補聴器は、音を増幅するのに必要な電子回路を収納した耳挿入体を有し ている。そのような電子回路は一般に、音を受けて電気信号に変換するマイクロ ホンと、マイクロホンから出力された信号を処理する電子回路と、増幅された音 を発生するスピーカーと、システム全体を動作させる電池とを有している。前記 耳挿入体は一般に、補聴器を使用する人の耳にフィットするように特別に作られ た硬質プラスチックからできている。耳挿入体は、硬質プラスチックで作られて 、長い寿命を持ち、且つ、定期的に洗浄できるようになっている。上記信号処理 回路は一般に、補聴器を使用する人に特有の聴覚上の要求に合致するように調整 される。このような要求は、まず、補聴器を使用する人の聴力をテストすること によって得られる。このテストから望ましい回路が決定されたのち、その回路が 、使用者の細かい要求に合致するように、聴覚専門家によって最終的に調整され る。補聴器の上記のような構造および製造方法並びにその調整方法は、補聴器を 比較的高価なものにしている。 また、補聴器内の電池は、小型であって、動作寿命が短いために、定期的に交 換する必要がある。さらに、補聴器は、付着した耳垢や他の汚染物質を取り除く ために、定期的に耳から取り外す必要がある。このことが補聴器の使用コストを 増大させるばかりでなく、補聴器は多くの場合高年齢者によって使用されている ために、小さな補聴器の中の小さな電池を交換するのは使用者にとって難しい。 したがって、補聴器の部品 が安価で、製造コストも低く、且つ特に高齢者によって容易に使用できる補聴器 が望まれている。 発明の概要 本発明は、音を受けて増幅する回路と、この回路を覆う殻体とを有している。 軟質で可撓性のある材料からなる耳挿入体が、殼体を覆い、かつ、使用者の耳の 中にフィットするように形成される。 本発明はまた、補聴器の製造方法を提供するものであって、複数の電子部品、 スピーカー、マイクロホンおよび電池が、細長い柔軟な回路小片の上に装着され て、この小片に沿って、複数の補聴器を形成する電子回路アセンブリを形成する 。この柔軟なプリント回路小片が切り離されて、プリント回路上に個々の補聴器 の電子回路のアセンブリを形成する。この個々の電子回路アセンブリが円筒型の 殻体の中に挿入される。電子回路アセンブリを収納した個々の殻体が、柔軟で耐 久性があり、耳との馴染みがよい別体の耳挿入体の空洞に挿入される。 図面の簡単な説明 図１は本発明の一実施形態による補聴器の分解した概略図である。 図２は同実施形態による組み立てられた補聴器を示す断面図である。 図３は同実施形態による補聴器の電子回路を示す概略図である。 図４は同実施形態による補聴器の組立て方法を示すフロー図である。 図５ａおよび図５ｂは同実施形態による補聴器に使用される増幅回路の種々の 応答を示す図である。 発明を実施するための最良の形態 図１および図２において、本発明の一実施形態の補聴器は、符号１０で示す。 補聴器１０は、電子回路アセンブリ１２と、殻体１４と、耳挿入体１６とを有し ている。図３に示すように、電子回路アセンブリ１２ は、音を受けて電気信号に変換するマイクロホン１８を有している。マイクロホ ン１８は信号処理回路２０の入力側に接続される。この信号処理回路２０は、音 を増幅し、不要なバックグラウンドのノイズを低減し、使用者の聴覚上の特定の 要請に従って音を調整する。信号処理回路２０の出力は、スピーカー２２に接続 されて、このスピーカー２２で前記信号処理回路２０の出力信号が音に変換され 、この音を使用者の耳の中へ向けて発生させる。所望の形態を持つ適切な電池２ ４が信号処理回路２０に接続されて、この回路２０を動作させる。 図１および図２に示すように、電子回路１２は、柔軟なプリント回路体２６を 有している。このプリント回路体２６は、ベース２６ａとその両端の直立したア ーム２６ｂおよび２６ｃとを有している。この柔軟なプリント回路体２６はまた 、導電性金属からなる配線（図示せず）を有している。マイクロホン１８はプリ ント回路体２６の一端の直立アーム２６ｂに装着され、スピーカ２２はプリント 回路体２６の他端の直立アーム２６ｃに装着されている。信号処理回路２０の部 品２８と電池２４は、プリント回路体２６の両端の間のベース２６ａに装着され ている。マイクロホン１８は、市販されている小型マイクロホンのどのようなタ イプでも使用することができ、あるいは、ダイヤフラムをシリコンの薄膜とした シリコンマイクロホンを使用することもできる。 信号処理回路２０は、所望の増幅を行うものであればどのようなタイプのもの でも使用できる。３日間のような極めて短期間動作させる補聴器１０の場合、信 号処理回路２０は、固定されたゲインおよび周波数応答で増幅を行うどのような タイプのものでも使用できる。単純な安価なＡ級増幅器も使用できる。３０日間 のような長い期間の使用に耐える補聴器１０の場合、信号処理回路２０としては 、信号圧縮を行う２チャンネル増幅器を含むどのような回路を用いてもよい。そ の場合、一方のチャンネルが低周波領域を処理し、他方のチャンネルが高周波領 域を処理する。電池の寿命を延ばすために、より効率の高いＤ級増幅器を使用す ることもできる。 どのようなタイプの信号処理回路２０についても、所望の信号処理を行う集積 回路を使用するのが望ましく、このような集積回路は容易に作成できる。異なっ た応答性を持たせるために、抵抗体およびキャパシターのような受動素子の特性 値を異ならせて使用することができる。スピーカー２２としては、入手可能な小 型スピーカーのどのようなタイプのものでも使用できる。電池２４としては、信 号処理回路を作動させるに十分な電力を供給できる小型のものであれば、どのよ うなタイプのものでも使用できる。 殻体１４は、電子回路１２を収納して保護するように作られた、柔軟な中空円 筒体である。この殻体１４は、柔軟なプラスチック材料で型成形されたもので、 図２に示すリブ１５のような、殻体１４の中に電子回路１２を方向付けて保持す る手段を有している。殻体１４は、電子回路１２を湿気や機械的な損傷から保護 する材料で形成されている。殻体１４はまた、音の進入および放出を容易にする 音響特性を有しており、耳栓１６の中に殻体１４を保持するのに役立つリブ１７ のような外形構造上の特徴も備えている。 耳挿入体１６は、軟質で耐久性があり、且つ耳と馴染みのよい材料で形成され ている。その材料は、低温硬化メタクリレート（methacrylate）、高温硬化メタ クリレート、高温硬化シリコン、塩化ポリビニル共重合体またはポリエチレン共 重合体を使用できる。耳挿入体１６は、内部に空洞１６ａを有しており、この空 洞１６ａに電子回路１２を収納した殻体１４が挿入されて保持される。耳挿入体 １６の形状や寸法のような外形上の形態は、使用者の耳穴の中に容易に挿入でき るようなものとされており、かつ、耳穴の形状に合うように柔軟に変形する。耳 挿入体１６は耳によく馴染む材料で出来ているので、耳穴の壁に対する耳挿入体 １６の圧力が、音のフィードバックを防止し、且つ耳の中に耳挿入体１０を保持 するのに役立つ適切な係合力を生み出す。軟質の材料からなる 耳挿入体のほうが、固い材料からなる耳挿入体よりも、フィードバック音の減衰 に優れていることが見いだされた。 図４に、本発明の一実施形態の補聴器１０の組立て方法が開示されている。柔 軟な回路体２６がリールから繰り出されて、電子回路１２を構成するマイクロホ ン１８およびスピーカー２２を含む種々のコンポーネント２８とバッテリー２４ とが、組立装置３０に供給される。組立装置３０は、コンポーネントを柔軟な回 路体２６の上に組み上げて、複数の電子回路１２を含む小片を形成する。完成し た電子回路アセンブリは、リールの上に巻き付けられて、回路のリール３２を形 成する。 回路３２の柔軟な回路アセンブリは、殻体１４とともに組立機３４に供給され 、電子回路１２がリールから切り離されて個々の電子回路１２が形成され、殻体 １４の中に挿入される。こうして作られた殻体アセンブリがパッケージ３６に挿 入される。パッケージ３６は密封されて、殻体アッセンブリを外気から保護し、 かつ、外気に触れると活性化する電池を不活性に保つガスを含んでいる。 耳挿入体１６は適切な成形型によって型成形され、密封されたパッケージ３８ 内に包装される。耳挿入体１６は、好ましくは、幾つかの異なるサイズに型成形 されて、適切なサイズのものを補聴器１０の使用者が選択使用できるようにされ る。 電子回路１２の信号処理回路２０は、高周波領域の難聴および周波数に無関係 な全体的な難聴を、僅かな幅から適度な幅にまでわたって調整する。異なる特性 の電子回路１２を作るために、信号処理回路２０が異なる聴覚上の応答性を持つ ように作られる。図５ａおよび５ｂは、本発明の一実施形態にかかる製造工程で 作られる異なる特性の電子回路１２が示す種々の応答を示している。図５ａは、 固定されたゲインおよび周波数応答生を持つ３日用の装置の応答を示し、図５ｂ は、２チャンネル増輻器を持つ３０日用の装置の応答を示している。図５ａおよ び５ｂのそれぞれにおいて、縦の欄は異なる増幅器ゲインを示し、欄Ａは最も小 さいゲインであり、欄Ｃは最も高いゲインである。横の列は、異なる周波数応答 を示し、横列１は周波数によらないフラットな応答を示し、横列２は高周波数領 域で僅かに応答性を高めたものを示し、横列３は高周波数領域で適度に応答性を 高めたものを示している。こうして、信号処理回路２０の製造にあたり、互いに 異なるコンポーネントを使用して、図５ａおよび５ｂに示すような互いに異なる ゲインおよび周波数応答性を有する一定個数の回路を作成する。特性が相異なる 信号処理回路２０には、ゲインおよび周波数応答性に応じて、図５ａおよび図５ ｂの図表にしたがって、Ａ１、Ａ２、Ａ３、Ｂ１等のように印が付される。 本発明の一実施形態の補聴器１０を製造する最後の工程は、使用者の聴力テス トを行い、どのタイプの聴覚上の応答性が要求されているかを判断したのち、聴 覚専門家または医師によってなされる。聴覚専門家または医師は、図５ａおよび 図５ｂに示された図表をチェックして、使用者が要求する聴覚上の応答性を提供 する信号処理回路２０を選択する。聴覚専門家または医師はさらに、所望の電子 回路を内蔵した殻体アセンブリを選択し、使用者にあった適切なサイズの耳挿入 体１６を選ぶ。殼体アセンブリが耳挿入体１６に挿入されて、補聴器１０がユー ザーの耳に挿入可能な状態となる。 本発明の一実施形態の補聴器１０においては、信号処理回路２０は固定された 聴覚特性を持ち、限られた数の異なる音響上の形態、つまり聴覚上の応答性のい ずれかを持つように作られている。また、音響上の形態は、電子回路の製造者に おいてプログラムされるので、回路を調整するためのポテンショメータは不要で ある。さらに、補聴器は電池の寿命の期間だけ使用される。こうして、オン・オ フスイッチは使用されない。従って、この補聴器はコンポーネントの数が最も少 ない単純な設計であり、自動組立機によって容易に組立てできる。信号処理回路 ２０およびこれを含んだ全体の電子回路１２は、多数を一度に容易に製造できる ので、数の効果によって安価になる。電子回路１２は組み付けが容易な 単純な中空状の殻体に収納される。また、耳挿入体１６は、安価となるように、 単純な構造で、軟質で可撓性のある材料で作られている。このように、補聴器全 体１０は最小限の数の安価な部品からなり、組立てが容易であるから、補聴器１ ０は現在使用されている補聴器と比較して、相対的に安価になる。この補聴器１ ０はこのように安価であるから、使い捨てできる。従って、補聴器１０の電池２ ４が消耗したとき、電池２４を取り換える代わりに、補聴器１０の全体が廃棄さ れて、新しい補聴器１０と交換される。こうして、本発明の一実施形態によれば 、使い捨てが可能な製造費の安い補聴器１０が得られる。使い捨てであるにもか かわらず、この補聴器１０は使用者が必要とする聴覚上の特性を全て備えており 、信頼性が高い。さらに、本発明の補聴器は、小型であり、軟らかい可撓性のあ る耳挿入体を有しているから、耳に入れても感じがよい。さらに、使い捨てであ るから、洗浄や調整のためのサービスが必要でない。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 スジャーセン・ウォルター・ピー アメリカ合衆国，ペンシルベニア州 18977，ワシントン クロッシング，バン カーズ ドライブ ６

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．使用者の耳に挿入される補聴器であって、 音を受けて増幅する電子回路と、前記回路を覆う殻体と、 軟質で可撓性のある材料からなり、前記殻体を覆い使用者の耳にフィットして その形に馴染む耳挿入体とを有する補聴器。 ２．請求項１において、前記殻体が前記電子回路を方向付けて保持する手段を内 部に有している補聴器。 ３．請求項１において、前記電子回路がマイクロホン、スピーカー、信号処理回 路および電池を有している補聴器。 ４．請求項３において、前記電子回路は、前記マイクロホン、スピーカー、信号 処理回路および電池が装着されて互いに電気的に接続されるプリント回路基板を 有している補聴器。 ５．請求項３において、前記信号処理回路が増幅器を有している補聴器。 ６．請求項１において、前記補聴器が、低温硬化メタクリレート、高温硬化メタ クリレート、高温硬化シリコン、塩化ポリビニル共重合体およびポリエチレン共 重合体からなる一群から選ばれた軟質で可撓性のある材料からなる補聴器。 ７．補聴器を製造する方法であって、 電子コンポーネント、スピーカー、マイクロホンおよび電池を細長い柔軟な回 路小片上に装着して、この柔軟なプリント回路小片上に複数の補聴器用の電子回 路アセンブリを形成し、 前記柔軟なプリント回路小片を切断してプリント回路上に個々の補聴器用の電 子回路アセンブリを形成し、前記個々の電子回路アセンブリを別の円筒状の殻体 の中に挿入し、 個々のアセンブリを収納した殻体を、軟質で耐久性のある、耳に馴染みの良い 材料からなる耳挿入体の空洞に挿入する補聴器の製造方法。 ８．請求項７において、前記電子コンポーネントが前記柔軟なプリント 回路小片上に装着されたのち、この小片がリールに巻かれる補聴器の製造方法。 ９．請求項８において、前記リール上の柔軟なプリント回路小片が、殻体ととも に組立機に供給されて、この組立機により、前記小片を個々のアセンブリに切断 して分離し、個々のアセンブリを別の殼体の中に挿入する補聴器の製造方法。 １０．請求項９において、前記アセンブリが前記殻体の中に挿入されたのち、前 記アセンブリを収納した殻体がパッケージ内に入れられて、このパッケージが密 封され、前記殻体アセンブリを外気から保護し且つ電池の消耗を防ぐガスが充填 される補聴器の製造方法。 １１．請求項７において、前記電子コンポーネントが、限られた数の異なる音響 上の形態のいずれかに含まれる固定された聴覚特性を有する個々の電子回路を形 成するように組み立てられ、特定のユーザーに適合した音響上の形態を有する電 子回路を備えた殻体が耳挿入体の内部に挿入される補聴器の製造方法。