JP2000506378A - アナライトの直接的発色検出用のポリマーフィルム、アッセイおよび方法 - Google Patents

アナライトの直接的発色検出用のポリマーフィルム、アッセイおよび方法

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Abstract

(57)【要約】 単分子フィルム内での観察可能なスペクトル変化を用いてアナライトを直接検出するための重合化フィルム、アッセイ、および方法であって、該スペクトル変化は、該アナライトが該フィルムに選択的に結合する際に生じるものである。

Description

【発明の詳細な説明】 アナライトの直接的発色検出用のポリマーフィルム、アッセイおよび方法 発明の背景 発明の分野 本発明は、小さな分子、生体分子および検出可能なアナライトを直接検出する ためのアッセイおよび方法において有用なポリマーフィルムに関する。該方法お よびアッセイは、単分子ポリマーフィルム内で観察可能なスペクトル変化を利用 するものであり、該変化は、分子、生体分子またはアナライトが該ポリマーフィ ルムに選択的に結合した際に生じるものである。該ポリマーフィルムはアナライ トに対して特異的な親和性リガンドを有する脂質二重層を含み、該層は、該アナ ライトと該リガンドとの結合に対して、吸光スペクトルの変化によって応答する 。この変化は定性的および定量的に検出可能である。背景および関連技術 多くの化学的および生物学的分子および/またはアナライトを検出するため の分析化学法は、該アナライトの特性が調製および分析工程の間に破壊されてし まうため、そして、典型的には該アナライトが試験サンプル中に少量しか存在し ていないために、実際には利用不可能である。 分析化学法は、それ自体の価値によって有用であるが、評価に費用がかかるで あろう多くの生物学的物質に限定されているか、もしくは実際には利用不可能で ある。費用がかかり、しかも重くて扱いにくいガスクロマトグラフィー法を用い ない限り、検出を達成するのに大量のアナライトが一般に必要とされる。しばし ば、定量の結果は制限されるか、さもなくば得ることができない。 種々の細胞染色を用いる直接顕微鏡観察および古典的病理学技術を含む医学− 生物学系分析にも制限がある。これらの技術を拡張するために、培養、コロニー 特性付け、ならびに代謝および栄養制限の観察などの十分に開発された微生物学 的技術が用いられる。培養および直接組織観察技術は、多年にわたって医学的 検出方法の防波堤として役立ってきたが、それらにも相当な制限がある。疾病の 進行段階を決定するための患者の組織の病理学的分析、および原因となる病原体 の同定は、一般に、健康な組織を侵す手法が必要とされる。一方、種々の体液ま たは他のサンプルからの病原体の培養は時間も費用もかかるものである。 イムノアッセイ法の発展に伴って、医薬品の飛躍的な進歩がもたらされた。こ れらの方法では、対象とする標的に特異的に結合する抗体が開発される。動物由 来の抗体は、それらの開発にも製造にも費用がかかるが、典型的には、従来では 研究および臨床的状況において実際に評価不可能であった多数のアナライトの非 常に正確な分析を可能にする。 イムノアッセイにおける重要な技術的利点は、モノクローナル抗体の開発であ った。該抗体はそれ自体小さな分子なので、結合事象が検出できるような特定の 方法で標識されることが好ましい。これは、色素標識、蛍光標識、放射線標識、 または他の標識を用いて達成しうる。逆に、既知量の導入された標識アナライト と分析すべき物質との間で結合の阻害が起る場合、シグナルの減少によって試験 アナライトの存在が示される。抗体粒子の凝集が十分な体積および密度である場 合には、沈殿剤(precipitant)の形成もアナライトの存在をシグナル化するのに 役立ち得る。 近年、研究界および医学界は、生物学的物質を検出および定量するのにイムノ アッセイ技術に大きく依存するようになっている。多くの点についてうまくいっ ているにもかかわらず、イムノアッセイの間接的な特質およびそれらの抗体物質 への依存性は、種々の煩雑さ、問題およびアッセイの制限をもたらしている。抗 体の開発および製造は依然として費用がかかるものであり、これらの分子は環境 的変化の影響を受けやすい。さらに、これらの系では、抗体を産生し得る物質し か検出できない。 多くの小さな生物学的分子は、それらが自らの特異的特性を喪失することなし に許容し得る環境的範囲が厳しく制限されるために、直接的な様式でアッセイす ることが困難であることは周知である。これらの分子では、イムノアッセイに大 きく頼ってきた。抗体は可能性のある標的の各々に対して開発および製造されね ばならないという要件は、デザイナー薬剤開発(designer drug development) およびスクリーニングのような用途におけるイムノアッセイの有効性を制限する 。 イムノアッセイ系の欠点は、急速に進化する病原体(例えば、インフルエンザ ウイルス)において容易に明らかになる。この場合、通常は免疫反応に利用可能 な病原体の外被コート(external coat)は、その抗体認識エレメントを絶えず変 えているため、免疫学的に認識不可能になっている。 分析化学技術の或る特定の種類は、反応における1以上の成分を固定化するこ とによって最適化された。例えば、試験すべき物質が試験サンプル中に少量でし か存在しない場合、検出可能なアナライトは、任意の通常のアッセイ系の検出能 力を越えるような低い濃度で存在し得る。これらの例では、固定系は有利である ことが判明している。 セファデックス(Sephadex)カラムのような多くの固定化物質が利用可能である 。これらの物質についての要件は、それらの特異的結合特性、他の物質に対する それらの比較的不活性な反応(そのため、それら固定化物質自体は、試験反応に おいて相互作用しないか、もしくは固定化のためのアッセイを妨害しない)、お よび試験状況における予想可能性をもたらすそれらの構造規則性である。 従来、固定化は、カラム、リポソームまたは他の表面上で達成されてきた。そ のような物質の使用によって、アッセイ系に対する多くの利点がもたらされる。 例えば、これらの物質は、他のサンプル成分からの反応体(reactants)の容易な 凝離(segregation)を可能にする。 典型的な固定化スキームにおいて、アナライトは、それが特異的な親和性を有 する固定化物質への付着によって濃縮される。次いで、最初のサンプル液の緩和 された三次元的配列内においてではなく、固定化された表面に限定された領域表 面上で試験が行われる。結果は小さな領域に集中し、より検出され易くなる。 固定化マトリックスを付与するために、表面に配置される二重層フィルムが用 いられてきた。新規物質を開発する試みにおいて、有機単分子フィルムによるこ れらの表面の化学的改変が近年用いられている。十分に明確化された、分子の準 二次元配列(quasi two-dimensional array)で表面をコーティングするために、L angmuir ,3,932(1987)に記載されているような分子自己アセンブリ(moceluca r-self assembly)の技術が用いられる。これらの二重層フィルムは、分析反応の ための固定化用支持体として有用になった。これらのフィルムをベースとするバ イオセンサーは、例えば,Thin Solid Films,180:65(1989)および210:443(1992) に記載されているように、グルコースおよび尿素などの診断上重要な分子を検出 できる。これらの場合、試験結果の読取りの改善、もしくは試験手法の簡易化お よび試験手法の検出能力の改善の目的で、古典的分析化学系がフィルムに固定化 される。 同様に、受容体−リガンド相互作用の検出は、固相酵素結合免疫検定のような 間接的アッセイによって達成される。遺伝子工学的官能化フィルムは境界面にお ける分子認識を導いてきたが、分子認識事象を測定可能なシグナルに変換すると いう問題は、本発明が登場するまでは依然として未解決のままであった。 固相化反応生成物の検出は、一般に、固定化マトリックスを二次的装置(例え ば、光ファイバー[Colloid Interface Sci.124:146(1988)]、石英発振器[Thin Solid Films ,210:471(1992)]または電極表面[Chemical Letters,627(1990)] )に結合させることによって行われる。 固相化マトリックスに結合したアナライトの幾つかは、蛍光標識によって検出 可能であり、この場合、蛍光発光またはその消光状態は、結合事象が起っている ことを示している。固相化マトリックスは、さらに、脂質二重層(bi-lipid laye r)から製造可能であり、この場合、検出物質は、支持している脂質二重層の表面 に埋め込まれている[Auyaned Materrials,3:532(1991)]。 ポリジアセチレンフィルムは、温度上昇またはpH変化に伴って、コンジュゲー ト化された主鎖のコンフォメーション変化により、青から赤へ色変化することが 知られている[Langmuir,8:594(1992)]。この特性を結合事象の検出において活用 することが研究界の最終目的であったが、研究者達は、実用的用途において、こ の現象を用いた方法を開発しなければならない。 したがって、微量で存在する非常に小さな化学的および生物学的分子を検出す るための直接的検出方法が提供できたならば、非常に望ましいであろう。結合事 象によって、支持物質内で容易に観察可能な直接検出し得る変化が生じるように 、単分子フィルム支持体の技術を簡易で独特な方法で開発することは、理想的 には有利であろう。 したがって、主な目的は、アナライトを直接発色検出(colorimetric detectio n)するための新規なポリマーフィルムを用いて、微量の種々の化学的および生物 学的アナライトを検出するための、簡易かつ信頼性のあるアッセイを提供するこ とである。 発明の概要 本発明の1つの目的は、微量の化学的または生物学的アナライトを検出するた めのアッセイにおいて有用なポリマーフィルム;ならびに種々のアナライトの小 さな分子を直接発色検出するための方法およびアッセイであって、該分子がフィ ルムポリマー二重層のリガンドに結合する際に生ずる単分子ポリマーフィルム内 での観察可能な色変化を用いることを特徴とする上記方法およびアッセイを提供 することである。 本発明のもう1つの目的は、アナライトがポリマー二重層のリガンドに特異的 に結合する際の結合事象を直接検出することによる、微量の化学的または生物学 的分子の存在を検出するのに好適なアッセイを提供することである。 本発明のさらにもう1つの目的は、ウイルス、細菌、寄生生物および他の病原 体、または薬剤、ホルモン、細胞壁断片、酵素およびそれらの相互作用、ならび に他の生物学的に関連する物質を直接検出するための方法およびアッセイを提供 することである。 本発明のもう1つの目的は、ポリマーフィルム表面の或る部分または全部と試 験される生体分子の天然の生物活性リガンドとの競合的結合または自然の結合事 象の阻害の観察による、薬剤の開発および薬剤活性の改善のための方法およびア ッセイを提供することである。 本発明のさらにもう1つの目的は、本発明のポリマーフィルムの脂質二重層内 での目に見える色の変化または発色検出(その色の変化は、該生体分子と該二重 層との特異的結合によって生じるものである)を用いて、生体分子の存在を検出 することである。 本発明のさらなる目的は、微量の小さな分子を定性的および定量的に検出す るための、使用が簡易で、安価で、信頼性のあるアッセイおよび試験キットを提 供することであり、アナライトを多くの他の物質と混合した場合、該アッセイは 、広範囲の環境条件および実験室条件において安定である。 本発明のさらにもう1つの目的は、 (a)アナライトに対して直接的親和性を有するか、もしくは該アナライ トに対する競合的バインダーとして機能するリガンド、 (b)2つの末端を有する線状構造リンカー(但し、該リンカーは、その 第1の末端において上記リガンドに結合している)、 (c)上記構造リンカーがその第2の末端において結合しているコンジュ ゲート化ポリマー主鎖、 (d)上記コンジュゲート化ポリマー主鎖の表面に、上記構造リンカーに よって占領されていない位置において結合している配向性ヘッド基 、 および (e)支持構造体 を含んでなる、アナライトの存在を直接検出するための重合化二重層フィルムで あって、標的アナライトとリガンド部分との結合の際に検出可能なスペクトル改 変を受けることを特徴とする上記重合化二重層フィルムを提供することである。 図面の簡単な説明 図1は、本発明の1つの実施態様の概略図である。 図2は、本発明のポリマーフィルムの中の一つについての光学顕微鏡写真であ り(図2A)、この光学顕微鏡写真は、インフルエンザウイルスに対する発色応答 を例示するものである(図2B)。 図3は、競合的阻害実験で試験したフィルム形成に用いた化合物の構造を示す ものである。 図4は、ウイルスとのインキュベート前後の可視吸収スペクトルを定量化した ものを図示するものである。 図5は、インフルエンザウイルスの濃度上昇に対してシアロシド(sialoside) 二重層フィルムの発色応答をプロットしたものである。 図6は、結合阻害物質の存在下または不存在下における発色応答を検出するこ とによるインフルエンザウイルスの検出に対する本発明の有用性を説明するもの である。 定義 本明細書で使用する場合: 「アナライト」とは、本発明のポリマーフィルムのリガンドに対して特異的に 結合し、該ポリマーフィルムのスペクトル特性を変化させることによって検出す ることができる、検出可能な化学分子、生体分子またはその一部分を意味する。 「リガンド」とは、試験されるアナライトが特異的認識および検出部位に結合 する親水性脂質モノマーまたはその誘導体であって、リガンドを結合アームを介 して重合化二重層フィルムに結合させることにより重合体になることができるも のを意昧する。リガンドは、典型的には、個々のアナライトまたはアナライトの 基に特異的である。リガンドは、ポリマーフィルムの検出ヘッドの一部を形成す る。リガンドは、スペーサーまたはリンカー分子の1つの末端に結合しており、 疎水性マトリックス脂質モノマーと混合した状態で重合される。リガンドは、1 価でも多価でもよい。 「リンカー」または「スペーサー」とは、1つの末端を介してリガンドに結合 し、第2の末端を介して基材フィルムに結合した線状構造分子を意味する。具体 的には、リンカーは重合して色検出エレメントを形成したいくつかのモノマーの 一つに結合している。構造リンカーは、アナライト上の多数の部位を結合させる のに十分な長さおよび適合性(conformability)を有する。リンカーは、例えば、 テトラエチレングリコールであり得る。 「コンジュゲート化ポリマー」、「ポリマー主鎖」、「コンジュゲート化ポリマー 主鎖」は、フィルムの表面で生ずる結合を色変化によりシグナル化ができる、重 合化したリガンドとマトリックスモノマーとの二重層アセンブリの層を意味する 。ポリマー主鎖は、例えば、ポリジアセチレンであり得る。ポリマー主鎖は、構 造リンカーに結合している。 「ポリマー二重層」は、重合性リガンドおよびマトリックス脂質モノマーから 形成され、重合して色検出エレメントになっている。ポリマー主鎖に結合したリ ガンドにアナライトが結合すると、その二重層内に応力が生じ、ポリマー主鎖の 有効結合長さを変化させる。重合に適したマトリックス脂質モノマーは脂質モノ マーである。そのような部分としては、アセチレン、ジアセチレン、アルケン、 チオフェン、イミド、アクリルアミド、メタクリレート、ビニルエーテル、無水 リンゴ酸、ウレタン、アリルアミン、シロキサンまたはビニルピリジニウムなど が挙げられる。これらの基を含む脂質は、ホモポリマーになっても混合ポリマー になってもよい。本発明で使用するのに好ましい基はジアセチレンであり、ポリ ジアセチレンの重合形態の独特の光学特性によるものである。しかしながら、結 合が起こった際に特性に観察可能な変化を生じさせる場合には、その他の重合性 基が使用できるであろう。 「リガンド脂質モノマー」は、炭水化物類、アミノ酸類およびカルボキシル基 を有するその他の分子である。 「脂質モノマー」は、紫外線照射またはポリマー主鎖生成のためのその他の手 段によって速やかに重合してポリマーフィルムになるものである。最も好ましい モノマーは、ポリジアセチレンおよびオクタジシルトリクロロシラン(octadicyl trichlorosilane)などのジアセチレンモノマーである。 「脂質配向性ヘッド基」とは、ポリマー二重層を形成し、安定化し、そして構 造的に配向させて、アナライトの結合が妨害するまで色安定性を促進するような 脂質を意味する。 「脂質尾部」とは、重合化フィルムを支持体表面にしっかりと固定するのに役 立つ部分を意味する。 発明の詳細な説明 本発明は、新規ポリマー薄膜構築物を用いる、受容体リガンド様相互作用で結 合している小さな分子、生体分子およびアナライトの直接発色検出のためのアッ セイおよび方法に関する。さらに、本発明は、そのポリマー薄膜、ならびに種々 のアナライトをリガンドに対する結合によって特異的に検出するための該ポリマ ーフィルムを製造する方法に関し、ここで、リガンドまたはその誘導体は、該リ ガンドの、結合アームによる重合化二重層薄膜への重合結合によって重合体にな っている。 アナライトがリガンドに対して結合することによって検出される調査対象のア ナライトの存在は、ポリマーフィルムのスペクトル特性における変化により観察 される。ポリマー−リガンドアセンブリは、特異的な分子認識および検出部位を 含み、すべてが一つの分子アセンブリ中に含まれている。 本発明は、第1に、病原体および薬剤などの小さな化学分子および生体分子を 、単分子フィルムにおける観察可能なスペクトル変化を用いて直接検出すること ができる。したがって、本発明は、小さな分子、生体分子およびアナライトを、 これらの物質が標的分子に特異的に結合する場合に変化が生じる単分子フィルム における色の変化を用いて直接検出するための、全く新規なアプローチを示すも のである。 本発明は、小さな、さもなければ検出不可能な化学分子、生体分子および/ま たは同定可能なアナライトを、簡単で、迅速で実際的な方法で定性的かつ定量的 に検出することができるので、本発明は、化学系およびイムノアッセイ系の両方 に劇的な進歩を示すものである。本発明は、イムノアッセイと化学分析の両方の 利点を一つの系に組み合わせるものである。 さらに、本発明のアッセイは、種々のアナライトを、それらの最も都合のよい 環境条件で、非常に狭い環境範囲においてさえ可能である正確で直接的な分析に よって検出することによる環境試験に有用である。本発明の色変化指標の速さと 簡易性は、本発明の特徴的な利点である。 一般に、本発明には予備分析の精製工程が不要である。結果は訓練されていな い観察者にも簡単に理解され、試験は周囲条件で行うことができる。非常に穏や かな試験条件は、天然に近い状態で小さな生体分子を検出することを可能にし、 それらの相互作用に関する情報を得ることができ、アナライトの修飾または分解 の危険を回避することができる。本発明のかかる特徴は、検出用フィルムに含ま れるリガンドの特異性の高さによるものである。さらに、本発明の直接アッセイ 系は、現在利用可能な間接系に固有の費用、複雑さ、および大きな誤差を回避す るものである。 I.重合二重層フィルム 本発明による重合フィルムは、色スペクトル基準の変化による広範なアナライ トの存在の直接分析を可能にする多層集合である。 A.ポリマーフィルムの調製 本発明のポリマー検出フィルムは、単純かつ容易に調製される。 簡単に言うと、炭水化物類、アミノ酸類などの、親水性基(この基は、生体物 質に結合することができる)を有するモノマー脂質を、これらの物質の検出用リ ガンドとして用いる。疎水性基を有するモノマーマトリックス脂質を、フィルム の構築および配向に用いる。両方の脂質を、クロロホルム、ベンゼン、ヘキサン 、キシレンその他の有機溶媒、またはクロロホルム/メタノールの混合物などの 有機溶媒と水性溶媒との混合物(好ましくは約9:1)中に、約5〜40%のリガ ンド/マトリックス脂質の割合で混合する。リガンド/マトリックス脂質を溶媒 に溶かした溶液を、水の表面に、ゆっくりと、典型的には少量ずつ滴下すること により加える。ここで、親水性基は水に結合し、疎水性基は水の外側に突き出る ことによって溶液は自ら配向する。かかる工程中、有機溶媒は蒸発するか、また は水の表面に配置された流動性フィルムとして脂質から分離されて除去される。 より良好なフィルム形成および性能を得るために、脂質を、狭い範囲の水に高濃 度で加えるか、または典型的には脂質フィルムの両側に遮断層を配置することに よってサンドイッチのような様式で圧縮する。次いで、脂質モノマーを、例えば 、UV光線にさらすことによって重合させて、裸眼で青色に見える浮動性ポリマ ーを形成させる。続いて、このポリマーを、例えば、ガラス、顕微鏡ガラス、セ ルロイドなどの別個に調製した支持構造体、またはオクタジシルシロキサンもし くはヘキサメチルジシロキサンその他の固定用疎水性界面活性剤(ここで、シロ キサン基が固定を行う)で被覆され得るその他のあらゆるフィルム支持構造体に 載せるか、付着させる。最終アセンブリは青色である。 本発明の、化合物1(図1)などのジアセチレン脂質モノマーは、紫外線照射 によって速やかに単分子層状態で重合して、標準技術方法(Colloid Polymer Sci ence ,255:36(1977),およびJ.of Polymer Science Letters to the Editor,16:20 5(1978))を用いてエニン(eneyne)基を1つ置きに有するコンジュゲート化ポリジ アセチレン主鎖を形成する。本発明の1つの実施態様では、熱変色性ポリジアセ チレン二重層を支持体上にアセンブリし、次いで検出手順に使用する。ポリジ アセチレン層は、検出される標的分子に対する受容体特異的リガンドで官能化(f unctionalized)される。標的物質の存在に関する定性的および定量的結果を、本 発明の種々の実施態様を用いて得ることができる。 本発明の1つの実施態様においては、二重層は、オクタデシルトリクロロシラ ンの自己集合単分子層と、ポリジアセチレンのラングミュア−ブロジェット単分 子層(Langmuir-Blodgett Film,Roberts,Ed.,Wiley New York,(1966))から構成さ れる。この場合のポリジアセチレン層は、シアル酸の類似体で官能化されている 。シアル酸は、インフルエンザウイルス血球凝集素ならびにその他の病原体に対 する受容体特異的リガンドである。シアル酸リガンドは、分子認識エレメントと して働く。 この発色技術は、種々の小さな有機分子を結合するようにその化学特性を調整 することができる物質と組み合わされる。多くの有機ホストは、双極プロトン性 および非プロトン性化合物と包接化合物を形成する。反応スキーム1に示した化 合物1および化合物2などの或る特定の包接化合物またはクラスレートは、有機 溶媒蒸気に対する高度に選択的な吸着剤であることがわかっている(Atgew.Chem .Int.Ed.Eng1 .32:110(1993))。例えば、化合物1は、ジオキサンに対しては著 しい親和性を示し、ブタノール、アセトン、メタノール、2-プロパノール、シク ロヘキサン、トルエンおよび水に対してはほとんど親和性がない。シクロヘキサ ンに対する親和性の欠如は、化学構造における特に顕著な所与の類似性である。 他方では、化合物2は、同類の溶媒以外の1-ブタノールに対して著しい親和性を 示す。このことを発色検出と組み合わせて解明すれば、表面に固定される化学的 に高感度な物質の新たなクラスが得られる。単一の超分子アセンブリに組み込ま れた、クレスレート化(clathration)エレメントおよび検出エレメントの両方を 有する表面は、広範な環境汚染物の新規な直接検出方法を示すものである。 ポリジアセチレンポリマーに結合したクラスレート形成性化合物は、化学的に 高感度で、頑丈で、独特の光学特性を有する物質の新たなクラスを形成する。こ れらの物質によれば、攻撃性の化合物(offending compound)の結合によりフィル ムに生じる色の変化を監視することによって、有機溶媒の存在を検出するための 新規であるが、単純な方法が提供される。そのような検出器を使用するための技 術的な専門知識は要求されず、したがって、ほとんどまたは全く技術的な経験を 持たない人による現場の分析に適している。所与の構造のクラスレート形成性化 合物が所与の試験分子と複合体を形成する理由を分子レベルで理解することによ り、広範な種類のクラスレート形成性重合薄膜が得られる。これらの全ては本発 明の範囲内である。 B.ポリマーフィルムの組成物 本発明のアッセイフィルムは、基材ポリマー二重層フィルムからなり、その表 面は配向および検出ヘッド基を含む。検出ヘッド基は、問題のアナライトに特異 的なリガンドからなり、線状構造リンカーの1つの末端に結合している。また、 このリンカーは、その第2の末端によって基材フィルムに結合している。基材フ ィルム表面は脂質配向ヘッド基も有している。 本発明の1つの実施態様の概略図を図1に示す。 本質的に親水性である受容体結合性脂質リガンド(1)は、そのリンカーまたは スペーサー分子(3)の末端を介して、本質的に疎水性であるポリマーフィルムの 第2の脂質マトリックスモノマーに結合していることがわかっている。リガンド とマトリックス脂質の双方は重合して発色検出エレメント(5)になっている。発 色検出エレメント(5)は、その疎水性側によって、同様に疎水性である単分子層 支持層(7)に結合しており、その単分子層支持層(7)は顕微鏡スライドガラス(9) などの支持構造体に結合している。また、エレメント(7)および(9)の代わりに、 疎水性検出エレメント(5)を収容する表面を用いることもできる。例えば、プラ スチック表面をそれらのエレメントの代わりに用いることができる。 ポリマーフィルムは、リガンド脂質モノマー、場合によってはリンカーまたは スペーサーとして用いられる化合物、およびマトリックス脂質を含み、重合して 検出および配向ヘッド基を有する検出ポリマーフィルムになっており、該フィル ムは支持体系に載せられる。 1.リガンド基 リガンドまたはその誘導体は、試験されるアナライトが特異的認識および検出 部位に結合する親水性脂質モノマーであり、リンカーまたはスペーサーの結合ア ームによって該リガンドを重合二重層薄膜に結合することによって重合体になる ことができる。リガンドは、典型的には、個々のアナライトまたはアナライトの 基に特異的である。リガンドは、ポリマーフィルムの検出ヘッドの一部を形成し ており、1価でも多価でもよい。 本発明のリガンド基は、図1(1)に示されているが、広範な種類の物質から選 択される。かかる選択の主な基準は、リガンドがアナライトに対して選り抜きの 親和性と特異性を有するということである。リガンドは、一つの物質に、または 物質のクラスがアッセイされる場合などには広範な物質に特異的であり得る。適 切なリガンドとしては、ペプチド類、炭水化物類、核酸類または受容体に結合す るあらゆる有機分子が挙げられる。例えば、全てのインフルエンザ種は、ホスト 受容体分子に結合する場合、同じ結合部位を用いる。したがって、ホスト受容体 分子は、未だ特性付けられていないものを含む全てのインフルエンザ種のスクリ ーニングに都合よく使用される。 また、リガンドは、例えば、受容体分子の存在について試験される試験物質と ともに病原体が導入される場合などの、リガンドがアナライトに対する競合的バ インダーとして作用する場合も、本発明において都合よく使用される。受容体分 子が存在しない場合、病原体がアッセイ二重層に結合し、色を生じさせる。病原 体表面が試験物質に導入された受容体分子に結合する程度まで、この結合は低下 する。このようにして、受容体分子の存在が検出され、定量される。 2.リンカー リンカーまたはスペーサーは、1つの末端を介してリガンドに結合し、第2の 末端によって基材フィルムまたはリガンドもしくはマトリックスの一部に結合し た独立の線状構造分子であり得る。特に、リンカーは、重合して発色検出エレメ ントになったいくつかのモノマーの一つに結合している。構造リンカーは、アナ ライト上の複数の部位の結合を可能にするのに十分な長さおよび適合性を有する 。 3.ポリマー主鎖 ポリマー主鎖は、青色から赤色への色の変化として目に見える発色変化によっ てフィルムの表面に生じている結合をシグナル化できる重合化二重層アセンブリ の層である。ポリマー主鎖は、例えば、ポリ ジアセチレンであり得る。ポリマー主鎖は、ポリマー二重層に結合している。 ポリマー二重層は、重合して発色検出エレメントになる重合性モノマー、好ま しくはリガンド/マトリックス脂質から製造される。ポリマー主鎖に結合したリ ガンドに対してアナライトが結合すると、二重層内に応力が生じてポリマー主鎖 の有効結合長さを変化させる。 重合に適したモノマーは、脂質モノマーである。マトリックス脂質モノマーは 、アセチレン、ジアセチレン、アルケン、チオフェン、イミド、アクリルアミド 、メタクリレート、ビニルエーテル、無水リンゴ酸、ウレタン、アリルアミン、 シロキサンまたはビニルピリジニウムなどの部分がある。このような基を含む脂 質は、ホモポリマーまたは混合ポリマーになり得る。本発明の使用に好ましい基 は、ジアセチレン基であり、その理由は、その重合形態であるポリジアセチレン の独特の光学特性によるものである。最も好ましいマトリックスモノマーは、ポ リジアセチレンおよびオクタジシルトリクロロシランなどのジアセチレンモノマ ーであるが、その他の重合性基も、それらが結合した際に特性に観察可能な変化 を生じさせる場合、使用することができる。二重層の第2の成分は、上記のリガ ンドである。 脂質モノマーは、紫外線照射またはその他の手段によって容易に重合して単分 子層になる。 4.脂質検出および配向性基 脂質は、アナライトの結合により検出可能な色の変化が生じるようにフィルム の二重層を形成し、構造的に配向させるのに重要である。検出は、分子認識リガ ンド基に対するアナライトの結合が発生するまで色を安定化させるために、二重 層の物理的構造を適切に安定化させる配向基の組織化作用(structuring effect) に基づくものである。結合により、色の変化を生じさせるのに十分な立体摂動ま たは構造の応力が生じる。配向脂質によって生じた安定性および相対剛性は二重 層を結束させるので、1つの領域における立体変化が、表面に全体とし て容易に観察することができるより大きな効果を生じさせることになる。 観察されたスペクトル変化は、ポリマー主鎖の有効コンジュゲーション長を変 化させる結合によって誘発される応力によるものである。 本発明のリガンド検出器として適当な物質は、-CH2OH、-CH2OCONHPh、-CH2OCO NHEt、-CH2CH(Et)OCONHPh、-(CH2)9OH、-CH2OCOPh、-CH2OCONHMe、-CH2OTs、-CH (OH)Me、 -CH2OCOR2(式中、R2は、n-C5H11、n-C7H15、n-C9H19、n-C11H23、n-C13H27、n -C15H31、n-C17H35、Ph、PhO、またはo-(HO2C)C6H4である)、 -SO2R2(式中、R2は、Ph、p-MeC6H4、p-FC6H4、p-ClC6H4、p-BrC6H4、p-MeOC6H4 、m-CF3C6H4、2-C10H7、またはMeである)、 および-CO2M(式中、MはK、HNA、またはBa/2である)を含む親水性脂質であ る。 本発明のヘッド基として用いることができる好ましい物質は、-CH2OCONHR2ま たは-CH2CONHR2(式中、R2は、Et、n-Bu、n-C6H13、n-C8H17、n-C12H25、シクロ -C6H11、Ph、p-MeC6H4、m-MeC6H4、o-ClC6H4、m-ClC6H4、P-ClC6H4、0-MeOC6H4 、3-チエニル、Me、Et、Ph、1-C10H7、Et、Ph、EtOCOCH2、BuOC0CH2、Me、Et、i -Pr、n-C6H13、EtOC0CH2、BuOCOCH2、Ph、または2,4(NO2)2C6H3OCH2、CH2CH2OH である)である。 最も好ましい検出基は、-CH2COX(式中、Xは、OH、MeOまたはその塩である) である。 マトリックスは配向基としての使用に適した物質は、フィルムを構築し、配向 させるのに用いた疎水性脂質である。脂質の尾部を含む基は多種多様である。重 合フィルムを支持体表面に固定するのに役立つような部分としては、下記のもの はどれでも使用することができる: CH3-、CH3O-、neo-C5H11O-、シクロ-C6H13O-、PhCH2O-、P-AcC6H4O-、p-BZC6H4O -、P-BrC6H4COCH2O-、p-(PhCH=CHCO)C6H4O-、p-(PhCOCH=CH)C6H4O-、o-BZC6H4NH -、p-BZC6H4NH-、MeOCH2CH2NH-、n-C6H13NH-、EtO-。 本発明において好ましい基は、メチル基である。 5.フイルム支持体 フィルムが付着する支持構造体(9)は、種々の材料であり得る。実施例1など の本発明のある一定の実施態様において用いられる材料は、オクタデシルトリク ロロシランなどの適当な界面活性剤で処理することにより疎水性にされた顕微鏡 スライドガラスである。プラスチック、雲母、金属、セラミックまたはその他の 比較的均一な重合表面などの多少疎水性の材料を使用することができる。ガラス は、その透明性により色の変化の観察が容易になるので、本発明の好ましい転写 支持体(transferrant support)である。しかしながら、反射率型測定を用いれば 非透明材料を用いることができる。 B.リガンドとして用いられる受容体結合分子 受容体結合分子は、病原体が感染事象の前兆として付着する宿主細胞の表面に ある物質である。本発明のリガンド基のような分子を選択すると、これらの分子 は、病原体生存に対して明らかな臨界(crlticality)を有する病原体に高度に遺 伝的に保存される傾向にあるので、これらの病原体に対する特異的認識部位が得 られる。本発明におけるリガンド基などの分子を選択する場合、一般的に、同じ 病原体の中で種が異なっても誤った陰性の結果は得られない。受容体分子は小さ くて複合体になりにくい傾向にあり、疎水性が低い場合が多い。 上記のような受容体結合分子は、その受容体分子の数が増えれば、多数の病原 体に対して認識され、同定され、単離され、合成されるので、本発明により検出 可能である。これらの受容体の多くは、種々の分析系および処理系の使用のため に改良されている。 本発明の有用性についての良好な例は、インフルエンザまたはマラリアの検出 に用いられるシアル酸誘導体である。幾つかの病原体に対する受容体の例を表1 の用途に示す。これらの全てならびに本発明の範囲内のあらゆるその他のリガン ドは、本発明の範囲内である。 実施例1は、受容体結合分子の使用についての1つの好ましい実施態様として 、シアル酸誘導体の1つの例示的な使用を記載するもので ある。 II.アッセイ試験条件 本発明のアッセイは、試験されるアナライトに対して感度の高い穏やかな試験 条件下で行う。本発明のポリマー薄膜構築物は、特に、限られたin vitro内また は狭い範囲の環境条件内で安定であるか、または適切な結合特性を有するリガン ドおよびアナライトを使用する。本発明は、そのような狭い範囲の条件内でさえ も、厳しい制約を満足する。このことによって、例えば、試験手順の間、感度の 高い生化学的物質および生体分子の三次元コンホメーションを維持することがで きる。 試験は、試験されるアナライトまたは分子を本発明のポリマーフィルムに接触 させ、色の変化およびその強度を観察し、定量のために測定するという非常に簡 単なものである。典型的には、このプロセスはわずか約30分間で終わる。 本発明は、極度に限定された条件においてさえ、良好に機能する。pH、塩度、 および温度などのアッセイ条件は、フィードバック制御、滴定およびその他の技 術によって、分析の精度または感度を妨げることなく注意深く制御することがで きる。 本発明は広い実験範囲の利点を有するので、無傷細胞または感受性細胞下封入 体は、それらの構造保全性を妨げることなくアッセイされる。マラリア感染の種 々の段階など、精妙な細胞発達段階を監視することができる。さらに、相互作用 過程の間でさえ、本発明の方法を用いて種々の要因間の関係を試験または監視す ることができる。 本発明のフィルムおよび方法は、抗体を産生させることができない非常に小さ い生体分子またはその他の分子のアッセイに適している。これらの標的物質とし ては、有機溶媒または極度に低レベルで存在する汚染物質が挙げられる。法医学 および臨床用途における薬剤スクリーニングに対して特別の機会が本発明によリ 得られた進歩によって利用可能になった。本発明に適用された阻害技術によって 、微小サイズの物質または小さい番号もしくは1価の物質を試験することができ る。 本発明によって得られた予想外のスペクトル信号は、例えば、ウイルスおよび 細胞膜断片などの多価物質が結合した結果として生じる二重層の物理的摂動によ るものであり、次いで、この摂動は本発明の方法を用いて検出される。したがっ て、多価物質は、一般的に、構造の物理的再編成(reconfiguration)を引き起こ す結合の結果として二分子脂質層に誘導されるコンホメーションの変化により、 アッセイ系において特に強い応答を誘発する。 より小さな、1価のアナライト物質の担体への予備結合が、本発明の効力を増 大させるのに都合がよいことも証明され得る。例えば、アナライトはポリマーま たはリポソームの表面に結合し得る。このことによって、本発明の二分子脂質表 面における結合が、特定の点に集中し、各接触点でスペクトルの変化が増大され る。さらに、アナライトが結合するリポソームの曲面は、二分子脂質層から離れ て周辺に結合したアナライトをタグ付けし、リポソーム上の中心に位置したアナ ライトを二分子脂質表面に強くおしやるのに有用である。この予備結合工程によ って、二重層表面における捻れ、摂動および信号発生が増大する。 本発明のアッセイは、弱結合アナライトの検出ならびに多価アナライトの検出 に適している。本発明のポリマー一結合リガンドの多価特性により、天然で多価 のアナライトの場合に結合能力が高められる。本発明のかかる利点を限られた原 子価のアナライトに与えるために、その限られた原子価のアナライトに試験手順 前に多価性を付与することもできる。本発明の多価性の活用によって、特異的で あるが弱い相互作用を大いに増幅することができる。 十分な長さと適合性を有する構造リンカーは、アナライト上の複数の部位が曲 面上でコンホメーション的に分離されている場合でさえ、その複数の部位の結合 を促進する。これらの特別な特徴の結果、本発明は、以前はアッセイ評価に適さ なかった多くのリガンドを検出することができる。 アナライトの存在を効果的に表示するための主な基準は、表示する二重層の表 面が、必要なスペクトル変化を生じるように十分に摂動されるということである 。固定化粒子へのアナライトの結合はこの目的に有用である。というのは、固定 化粒子へのアナライトの結合は、小さな領域にアナライトを集中させ、さらに、 小さなアナライトにさえ比較的大きな領域にわたって三次元性状を付与するから で ある。 本発明では、多種多様のリガンドが使用可能であり、多価試験標的の検出が非 常に融通のきくものになる。リガンド選択は、試験系の適応というよりはむしろ 最も都合のよい結合と立体特性に基づくものである。したがって、最も都合のよ いリガンドは、疎水性および親水性、大きさ、結合部位の位置、ならびに検出さ れるアナライトに関して相反する親和性などの要因に基づいて選択される。本発 明で都合よく用いられるリガンドとしては、炭水化物類、ペプチド類、ヌクレオ チド類、複素環式化合物、およびその他の有機分子が挙げられる。 本発明の重合二重層アセンブリのフィルム構造および形態学を、重合二重層ア センブリの概略図として図1に示す。底部の単分子層のシロキサン結合は示して いない。図2(A)には、交差偏光器(crossed polarizer)間のシアロシド二重層ア センブリの光学顕微鏡写真を示す。150μM以下の大きなドメインが観察される 。スケール:1cm=20μM。 最初の調査は、発色検出のモデル系として、シアル酸へのインフルエンザウイ ルスの結合に焦点を合わせた。この調査は実施例1に報告する。脂質モノマーは 、ウイルスレクチンである赤血球凝集素に対する分子認識部位を与える炭素結合 シアル酸ヘッド基を含む。図3には、LBフィルム形成に用いられるマトリック ス脂質(11)、シアロシド脂質(13)およびラクトース脂質(15)、ならびに実施例4 に記載したような競合的阻害実験に用いられる化合物α−NeuAc(17)、β-O-NeuA c(19)およびグルコース(21)を示す。化合物(13)の合成は、J.of The American C hemistry Societ y,115:1146(1993)に報告されている。炭素グリコシドは、ノイ ラミニダーゼ(ウイルスの表面にも存在する)による加水分解を防止するために 天然酸素グリコシドの代わりに用いられた。 III.標的物質 本発明の利点の一つは、広範な標的物質、結合事象、および本発明の技術を用 いる分析に敏感に反応する生化学反応の検出に有用であるということである。こ れらの物質の多くは、以前は、利用可能なアッセイを用いて検出することができ なかった。本発明は、免疫グロブリン産生という複雑化の要因を伴うこと無く特 異的結合を利用するものである。 本発明のアッセイ系の厳密さおよびすぐれた利点によって、従来技術の方法の 制約のために、以前は行われていなかった物質の検出および定量的評価が可能に なる。本発明は、実施例9で記載したようなマラリア寄生性感染の正確な検出の ための独特のアッセイ方法においてすでに試験されている。移行期(transient s tages)のマラリアに有効なアッセイの開発により、免疫学的アッセイまたは分析 化学的技術方法では手に負えなかった難題が今や証明された。 IV.定性的および定量的評価 本発明およびアッセイにおいて、二重層に対する種々のスペクトル変化を利用 して、標的物質の存在または不存在を検出する。重合化二重層アセンブリー中の 複合化ポリマー主鎖は、フィルムの表面での結合を色彩変化によって知らせる。 色の変化またはその他のスペクトル変化は、青色から赤色への色の変化として肉 眼で容易に観測され、可視吸収スペクトルにより定量することができる。 二重層の表面で生じる受容体-リガンド相互作用だけに基づいて青色から赤色 へ色が変化するようにフィルムをデザインした。分子認識部位および検出要素の 両方を二重層アセンブリーに組込んだ。色に基づいたこの簡単なセンサーを用い ると、フィルムの目視観測により結合を迅速かつ定性的に検出できるようになる か、または可視吸収分光法により結合を定量的に検出できるようになる。 先に示したように、化学的に官能基化された本発明の薄フィルムは、簡単な比 色バイオセンサーとして働く。これらのフィルムは、ウイルスなどの生物体に特 異的に結合する炭水化物型リガンドを用いて誘導される。複合化ポリマーフィル ムは、最初は青色をしている。ウイルスまたは他のアナライトが、誘導ポリマー に結合すると、フィルムの色が青色から赤色へ変化する。得られた赤色の強度は 、ウイルスの量にほぼ対応する。定量のためにスペクトルシグナルを増幅する手 段は、当該技術分野で周知であり、例えば、シンチレーターを利用できるが、こ うした手段は、低レベルのアナライトが存在する場合に有利に利用できる。シグ ナルの経験的な性質を利用して、本発明のアッセイ系の読込みを自動化できる可 能性はかなりある。 本発明の1実施態様において、青色シフトは、検査員により視覚的に観測され る。反応が簡単であるため、このような観測は、訓練を受けていない者でも容易 に行うことができ、従って、このアッセイは、例えば、家庭向けの検査としても 好適であろう。この他、当該技術分野で周知の分光学的試験装置を利用すること により、簡単な目視検査では検出できない分光学的な色の変化(例えば、特定の 照明光に対する光学濃度)を測定することが可能である。 人間の肉眼では識別できないスペクトル変化でも、種々の分光分析計(例えば 、光度計)を使用することにより、または種々の変換装置(例えば、赤外および 紫外検出器)を利用して技術者が表面の観測を行うことにより、本発明において 効果的に利用することが可能である。 定量のためにスペクトルシグナルを増幅する手段は、当該技術分野で周知であ り、例えば、シンチレーターを利用できるが、こうした手段は、低レベルのアナ ライトが存在する場合に有利に利用できる。シグナルの経験的性質を利用して、 本発明のアッセイ系の読込みを自動化できる可能性はかなりある。 更に精密な定量測定を行うためには、可視吸収分光計を用いてフィルムをスキ ャンする。こうすると、図4(表2)に示されているように、620nm(青色)お よび550nm(赤色)における強度の相対的変化を容易に評価できる。色応答の度 合いは、アナライトの濃度に正比例する。この例の場合には、本発明の技術は、 生体診断の領域から、小さな有機分子を結合する先例が存在する新しいクラスの リガンドを探索することにより、環境診断の領域へ、発展する。これらのリガン ドについても、同様に、ポリアセチレン主鎖に結合させれば、比色検出ができる ようになる。 有用性 本発明は、多種多様なアナライトを検出するために、広範に応用できる。こう した用途としては、小さい生体分子、結合および他の化学的イベントの観測、な らびに痕跡量の多数の物質の検出が挙げられる。 応用範囲が非常に広いので、これまで、従来技術では検出が困難かまたは不可 能であるとみなされてきた重要なクラスのアナライトが、本発明により検出可能 である。多くのウイルス、細菌、およびそれらに関連した、またはそれらによっ て引き起こされる感染症に関連したタンパク質、を検出することができる。これ らの例としては、特に、インフルエンザ、HIV、およびマラリアなどの病原体が 挙げられる。本発明のポリマーフィルムによる直接的比色検出により、診断用途 の新たな可能性、更には、新しい薬剤候補化合物または結合リガンドのスクリー ニングの新たな可能性が生まれる。 本発明は、デザイナー(designer)薬剤の開発およびスクリーニングに有用であ る。現在、薬物受容体分子の競合阻害を評価するために、典型的には、放射性標 識物質が使用される。しかしながら、この方法は時間がかかるうえに、放射性標 識物質の入手および取扱いが必要である。蛍光消光などの他の手法は、各試験が 自蔵的であるという点で制約があり、従って、大量のスクリーニングを行うと、 極端に時間がかかり、しかも費用もかさむ。 遺伝的に保存される宿主認識部位を本発明の実施態様により標的にすると、多 くの利点が得られる。例えば、患者のインフルエンザ感染を調べる場合、インフ ルエンザ病原体受容体リガンドへの結合を検出すれば、明瞭で、特定の菌株に制 限されることもないだろう。また、本発明のこうした利点により、臨床医が単一 のアッセイで信頼のある結果を得るべく、多数の免疫学的試験を行う必要性はな くなる。この他、新たに発生した特徴付けのなされていないインフルエンザ菌株 さえも検出可能であり、更に、偽陰性試験も避けられる。 イムノアッセイの同様な制約は、マラリア原虫などのよく解明された病原体に も見られる。これらの生物体において、免疫応答を可能にする生活環の段階は、 時期的にかなり限られているため、免疫応答が得られないこともある。 本発明では、遺伝的に保存される宿主結合部位を利用して病原体の同定を行う 。比較的大きな寄生体の場合ですら、宿主結合部位は、病原体の発生期間を通し て一定に保たれる傾向がある。この他、寄生体は、通常、多数の様々な生活段階 の形態で体内に存在する。よく解明された寄生体において、免疫応答部位は、段 階ごとに大きく変化することが多く、従って、宿主生物体が寄生体の定着を防ぐ のに十分な速さで免疫応答を開始することができないことが多い。 本発明のこうした特定の用途において、薬剤の様々な繰返し実験を行って、病 原体の結合による感染を妨害する薬剤を迅速にスクリーニングすることができる 。表1には、感染症を引き起こすのに必要な病原体結合部位を提供する宿主受容 体分子の多数の例が挙げられている。これらの例のすべてを多数の他の例と合わ せて、本発明で利用することにより、薬剤開発および最適化を行うことができる 。単一の二重層シート上に設けることのできる複数のウエルを利用すれば、試験 対象となる薬剤候補化合物を多数の繰返し実験にかけることができる。例えば、 種々のレベルでpH滴定を行うことができる。本発明を薬剤試験に使用することに より、各サンプルに対して高価な個別試験を行う薬剤研究が現在抱えるマイナス 要因を取り除くことができるだろう。 安価な大量スクリーニングが利用できれば、薬剤開発のスピードが劇的に増大 するであろう。この目的のために、天然に産するフィルム貫通受容体(TMR)を 脂質二重層中で再構成する。ただし、この脂質層は、重合性モノマーから組立て る。これは、鎖中に2つの三重結合を有する本発明の化合物に適用するのに特に 適している。脂質中に受容体を組込んだ後、脂質を照射して重合し、TMRを所定 の位置に固定する。TMR中の結合部位に小分子が結合すると、TMRの立体配座が変 化し、脂質がこの影響を受けて色の変化を起こす。 多種多様なTMRを単離した。ホルモン、神経伝達物質、その他の生理学的調節 受容体などのTMRは、本発明を用いた薬剤の改良および開発に特に有用である。 本発明で天然に産するTMRを使用することは、特に、薬剤のスクリーニングのた めに役立つ。本発明は、生物学的作用がフィルム結合受容体への結合に依存する 新薬の開発に直ちに適用できる。例えば、ドーパミン受容体は、天然化合物のド ーパミンと結合する。本発明を利用して、ドーパミンと類似した挙動をする(す なわち、ドーパミン受容体に結合する)新しい化合物を開発するためには、ドー パミン受容体をリガンドとして使用し、試験される新しいドーパミン様薬剤と接 触させる。薬剤試験を行う手法については、本発明のポリマーフィルムの実用的 な1実施態様および応用として実施例6に記載されている。 本発明を使用したスクリーニングは容易に利用できるので、候補の薬剤構造に 小さな変更を数多く施して、直ちに分析することができ、その結果として、薬剤 の開発および最適化のスピードおよび柔軟性を大幅に向上させることができる。 有効性を最も大きく変化させる修飾領域を見出すことにより、薬剤の決定的構造 を迅速に同定することができる。このため、薬剤の修飾を集中的に行うことがで き、薬剤開発のスピードが大幅に増大するであろう。 薬剤の相互作用、最適化、および新薬の開発の基礎研究も、本発明により実用 性が向上する。既存の薬剤を分析することにより、どの構造が治療効果に対して 最も重要であるかを決定することができる。次に、これらの構造を最適化し、生 物学的により許容しうる、より小さい、またはより安価な非活性構造上に移行す ることができる。血液脳関門を通り抜ける能力などの特性を付与することができ る。 1つの疾患の治療に対して2つの異なる薬剤が利用できる場合、本発明の技術 を使用して、それらの構造の活性に関する分析を行うことができる。次に、それ らの活性部位を単一の薬剤に導入することができる。この他、活性を最適化する 追加構造を新しいハイブリッド薬剤上に適切に配置することもできる。高価で時 間のかかる動物または人体実験に移る前に、活性を妨害するいかなる要因をも特 定し、こうした妨害の軽減もしくは除去を行うことができる。 本発明および方法のもう1つの重要な用途は、感染状態およびその他の医学的 症状の安価で正確なアッセイを行うことである。例えば、特定の病原体に対する 抗体のレベルは、解析用溶液中に入れられた所定量の病原体物質の競争阻害を介 して容易にかつ安価にモニターすることができる。この他、本発明のフィルムへ の直接的かつ特異的結合を介して、特定の抗体を検出することができる。 本発明を使用した定性的および定量的分析のいずれによっても、多種多様な生 物学的関連物質を有利に調べることができる。種々の病原体による感染症を、臨 床的徴候が現れるかなり前に試験することができる。これは、新生児、化学療法 患者、ドナー器官のレシピエント、AIDS被害者などの免疫力の低下した患者にと って特に臨床面での利点となる。 妊娠を調べる試験では、本発明を用いてヒト絨毛フィルム性成長ホルモンのア ッセイを行う。黄体形成ホルモンの増加により排卵の開始が誘発されるが、これ を妊娠を成立させるために使用したり、自然産児制限法で使用したりする。 読み取りが簡単であるため、本発明は、家庭で使用するのに大変好適である。 例えば、本発明を使用すれば、自然産児制限法に必要な複数の試験、または受精 能を評価して妊娠成立の機会を最適化するための複数試験、を低コストで行うこ とが可能となる。 単一の二重層シート上に複数のウェルを設けることによって本発明により複数 の試験を安価に行うことが可能となるが、これは、妊娠を極めて早い時期に検出 するための優れた誘因となる。月経停止前に妊娠を検出することは、妊娠初期の 数日間において、最終分娩に決定的な影響を与える危険な要因に晒されるのを防 ぐうえで重要である。また、母親に臨床的な症状の現れるのが遅いかまたは現れ ないが、母親の孕んでいる成長胎児に重大な損傷を与える恐れのある疾患を妊婦 が患っている場合にも、このことが重要となる。これらの疾患としては、風疹、 トキソプラスマ症、および他の病原体によるものが挙げられる。本発明を利用す れば、このような疾患に対する簡単で安価なスクリーニングが可能となる。 本発明のもう1つの重要な用途は、糖尿病などの慢性疾患を患った患者をモニ ターすることである。例えば、本発明を使用すれば、インシュリン血液レベルを 家庭で定期的にモニターすることができる。また、インフルエンザなどの過渡的 な疾患による初期症状と、インシュリンレベルの異常な変化と、を迅速に区別す ることも可能になる。 また、本発明を用いれば、コレステロールレベルを簡単に家庭で調べることが できるようになり、従って、患者は各家庭においてプライバシーの保護された状 態で各自のコレステロールレベルを測定できるようになる。更に、各自のコレス テロールレベルを調べ、こうした臨床情報を頻繁に知ることができるように奨励 することができる。既知の高コレステロール血症の患者に対して、本発明は、治 療の待期的効果を精密にモニターするための理想的な手段を提供する。本発明に より実用的なものとなった複数ウェル型試験キットは、これらのレベルを毎週ま たは更には毎日モニターするうえで特に有用である。 薬剤および薬剤レベルをモニターすることは、本発明の実り多い利用分野であ る。患者は、典型的には、広範な代謝レベルおよび肝機能を呈する。このことは 、特に、病院にいる患者の場合に当てはまる。血液薬剤レベルを容易に測定する ことができないため、臨床医は、投薬レベルを高めることによる恩恵が得られる 可 能性のある患者に対して、投薬不足を強いられることが多い。残念ながら、医師 は、毒性レベルに達する可能性をなくすために、安全側に偏って治療しなければ ならない。本発明により、薬剤投与量をより正確に決めることができるので、痛 みの軽減およびその他の薬剤効果をより高めることができる。 本発明は、薬剤乱用を避けるうえでも重要な用途がある。患者に過量投与の恐 れがある場合、本発明を使用すれば、薬剤の実際の血液レベルの評価および薬剤 の同定を迅速に行うことができる。こうした情報が得られれば、実際に過量投与 された物質の場合と同じ症状を呈する薬剤の過量投与により有害な治療が行われ る危険性を防止することができる。この他、本発明を使用して、推定されたより も低い薬剤レベルが検出された場合、解毒対策はそれ程厳格にしないでも済む。 これとは逆に、臨床医が実際に危険レベルと判断するような症状を患者が示さな い場合でさえも、毒性レベルを検出することができる。 本発明は更に、広範な工業用途においても有用である。例えば、工業用酵素の 結合強度および媒体中における該酵素の存在をモニターすることができる。流出 液中における該酵素の損失をモニターしたり、供給原料および媒体中における該 酵素の適切な分散をモニターすることができる。 本発明は、任意の特定の基質上での酵素活性に対する最適条件を決定するのに 非常に有用である。この他、例えば、特定の用途または作業環境に向くように、 酵素の最適化を行うことも容易にできる。こうした最適化は、他のところで説明 したデザイナー薬剤の評価の場合と同じような方法で行うことができる。従って 、工業用酵素および他の活性物質に対して、極端なpH環境、濃縮供給原料、低温 および高温、他の妨害物質、に対する耐性、ならびに他の望ましい耐性、を付与 するように開発を行うことができる。TMRを使用して小分子を検出する本発明の フィルムの能力について、薬剤開発に関する上記の節で記載したが、こうした能 力はまた、工業用途および環境用途でも優れた成果をもたらす。この目的のため に使用されるTMRのうちで特筆すべきものは、嗅覚TMRである。これらのTMRは、 小さな発香分子を結合することができ、特に、環境用センサーとして重要な用途 がある。 環境分析などにおいて、警告システムや安全性システムのために、アナライト の濃度を測定する生産工程管理用の化学センサーに対する必要性は大きい。ガス クロマトグラフィーマススペクトロメトリーなどの古典的な化学分析は、現場分 析の役には立たない。なぜなら、分析所要時間、高いコスト、現場での使用に向 かない装置、および技術的熟練者の必要性、が問題となるからである。従って、 現場分析に有用なセンサーでは、化学的感度を有し、かつ問題のアナライトに特 異的に結合できる物質が必要であるとともに、アナライトがいつ結合を起こした かを検出するための簡単で使い易い方法が必要である。公共用水(たと水泳用プ ール、飲料水、排水流など)中の汚染物質をインライン方式でモニターする方法 を開発することができる。 実施例1 インフルエンザウイルスを検出するためのポリマーフィルムの調製 この実施例では、インフルエンザウイルスの検出に好適なポリマーフィルムを 調製するために使用される手順について説明する。 図1に示された重合化二重層アセンブリーを調製した。このアセンブリーは、 オクタデシルトリクロロシラン(OTS)の自己集合単分子層と官能基化ポリジアセ チレンの単分子層とから成る。 炭水化物リガンド検出基を二重層の表面に配置する改良型LB法によりフィルム を調製した。図3に示された2%〜5%の糖脂質モノマー(13)とマトリックス脂質 モノマー(11)との混合物を、標準的なLBトロフの表面上に展開した。 マトリックス脂質に、ウイルスの最適結合を可能にするシアロシド脂質を均一 に分散した。シアロシド脂質が1%〜5%のときに、重合されたリポソームに対す るウイルスの結合が最大になった。ラングミュア等温式の解析にり、2つの成分 の理想混合を決定した。種々の比のモノマー(11)および(13)に対して等温式が得 られるが、その限界領域および崩壊圧力は、相容性に対して期待されるように、 (2)のモル分率に正比例して変化する。混合された単分子層を、水面上で圧縮お よび重合した。 垂直接触法により、浮遊する重合フィルムを持ち上げて、予めOTSの自己集合 単分子層で被覆されたガラススライド上にのせた。得られた二重層アセンブリー は、表面に炭水化物リガンドの配列を呈した。シアロシド脂質( 13)中のテトラ エチ レングリコールスペーサーは、マトリックス脂質(11)のカルボン酸先端基よりも 先まで炭水化物リガンドを延在させる働きをする。 こうして調製されたフィルムは、偏光子を交差させて使用した光学顕微鏡によ る観測から明らかなように、顕微鏡領域(50μM〜150μM)にわたり、かなり の規則性を呈した。これについては、図2に示されている。更に、角度分解X線 光電子分光法(XPS)およびエリプソメトリーにより、フィルムの特性決定を行っ た。XPSの結果から、アミド窒素原子および先端基のカルボニル炭素原子は、脂 質鎖のメチレン炭素と比べて、表面に局在していることが分かる。このことは、 シアロシド検出基がフィルムの表面に存在することを示している。HF処理シリコ ン上に被覆されたポリジアセチレン単分子層のエリプソメトリー分析から、フィ ルムの厚さは〜40Aであることが示されたが、これは分子モデリングに基づく期 待値と一致した。二重層アセンブリーは、620nmに可視吸収極大を示し、青色の フィルムの外観を呈した。 実施例2 インフルエンザウイルス結合の定性的検出 この実施例では、実施例1のポリマーフィルムへのインフルエンザウイルスの 結合の検出について説明する。 実施例1で得られたフィルムを、pH7.41のリン酸緩衝食塩水(PBS)の緩衝溶液 中でX31インフルエンザAウイルスと共にインキュベートした場合、表面上のシ アル酸へのウイルス血球凝集素の結合により、青色から赤色への色の変化を生じ た。 図(2)Bは、顕微鏡用ガラススライド上に支持されたフィルムの比色応答を示し ているが、肉眼で容易に識別できるので、ウイルスの存在の定性的評価が可能で あることが分かる。フィルムの左側(青色)は、PBSのブランク溶液に接触させ た。フィルムの右側(赤色)は、100HAUのウイルスに接触させた(CR〜77%)。〜 15%の比色応答が目視観測された。青色のフィルムをPBS緩衝液のブランク溶液 でインキュベートした場合、色の変化は観測されなかった。この結果から、熱的 アニーリング(サーモクロミズム)ではなく、アフィニティ結合(アフィニティ クロミズム)によって、ポリアセチレンの色の変化を生じたことが分かる。 これまでの研究から、脂質(1)を含むLBフィルムは、反応スキーム1に示され ているように、70℃で加熱した場合、青色から赤色への色の変化を生じ、これは 脂質鎖の溶融に伴う吸熱的転移に対応することが示された。脂質鎖の不秩序化お よびからみ合いが起こると、ポリアセチレン主鎖の有効共役長が減少する。同様 に、フーリエ変換赤外およびラマン分光法ならびにX線のデータから、赤色型の ポリマーの脂質鎖のパッキングが青色型のものと異なることが分かる。従って、 脂質鎖の立体配置の変化は、ポリマー主鎖の光学的性質に影響を与える。シアロ シド二重層アセンブリーへのウイルス血球凝集素の結合は、熱的アニーリングの 場合と同様に、脂質鎖の立体配置に影響を与えるものと思われる。 実施例3 インフルエンザウイルス結合の定量的検出 この実施例では、本発明のポリマーフィルムへのインフルエンザウイルスの結 合の定量的検出について説明する。 目視検査による定性的な評価の他に、色の変化の度合いは、標準的な可視吸収 分光法によって容易に定量化される。ウイルスのインキュベーションを行う前( 実線)および後(点線)における二重層アセンブリーの可視吸収スペクトルが、 図4に示されている。PBS緩衝液(pH7.4)の入った石英セル中に二重層アセンブリ ーを挿入し、吸収スペクトルを測定した。PBS緩衝液(pH7.4)中にインフルエンザ ウイルスを添加したところ、30分間のインキュベーションで色の変化を生じた。 フィルムの色の変化は、ウイルスに接触させた後、数秒以内に開始されたが、非 攪拌溶液中でCRが平坦領域値に達するのに要する平均の時間は、30分であること が分かった。これらのスペクトルは、50%のCRを呈する。 ウイルスに接触させる前の青色着色フィルム(実線)は、620nmに強い吸収極 大を示すとともに、550nmにより弱い吸収を示した。インフルエンザウイルスと 共にインキュベーションを行った後(点線)、可視吸収スペクトルに劇的な変化が 起こった。550nmの極大が増大すると同時に、620nmの極大が低下し、その結果、 赤色着色フィルムが得られた。 所定量のウイルスに対するフィルムの応答を定量化するために、ウイルスに接 触させる前のフィルムの可視スペクトルを次式で解析した。 1. Bo=I620/(I550+I620) ただし、Boは、620nmにおける吸収強度を、550nmおよび620nmにおける吸収強度 の和で割った値として定義される。インフルエンザウイルスに接触させた後につ いては、次式を使用した。 2. Bv=I620/(I550+I620) ただし、Bvは、ウイルスと共にインキュベートした後の吸収強度の新しい比を表 している。フィルムの比色応答(CR)は、ウイルスとの接触によるBの変化パーセ ントとして定義される。 3. CR=[(Bo-Bv)/Bo)]・100% 比色応答は、血球凝集単位(HAU)で測定されたインフルエンザウイルスの量に 正比例した。ただし、1 HAUは、標準の赤血球懸濁液を完全に凝集させるストッ クウイルスの最大希釈度として定義される。 図5は、インフルエンザウイルスの逐次添加に対してシアロシド二重層アセン ブリーの比色応答をプロットしたものである。2%のシアロシド脂質13(図3)と98 %のマトリックス脂質(11)とを含有した青色フィルムを、PBS緩衝液中で30分間 プレインキュベートした後、X31インフルエンザAウイルスのアリコートを逐次 添加した。ウイルスをそれぞれ添加した後で、フィルムを30分間インキュベート し、可視吸収スペクトルを記録した。CRは、式3に従って計算した。最初の6つ のデータ点に対して線形回帰分析を行い、傾き0.93%(R2=0.985)を得た。 比色応答の飽和は、〜80HAUで生じる。緩衝液ブランク(ウイルスなし)で赤 色フィルムを1時間インキュベートしたところ、青色への戻りは見られなかった 。従って、色の変化を引き起こす構造変化は、これらの条件下では非可逆的であ ることが分かる。 実施例4 インフルエンザウイルスの特異的検出に対する競合阻害アッセイ この実施例では、競合阻害アッセイにおける本発明の有用性について説明する 。 インフルエンザウイルスとシアロシドフィルム表面との相互作用の特異的性質 を、競合阻害アッセイにより確認した。図6は、ウイルス血球凝集素に結合する 化合物により、フィルムのCRを抑制できることを示している。32HAUのインフ ルエンザウイルスと共にシアロシド二重層アセンブリーをインキュベートしたと ころ、22.6%の比色応答を示した。しかしながら、同じ濃度のウイルスでも、濃 度17.3mMの化合物17(Kd=2mM)(図6、コラム4)の存在下では、競合阻害によりCRが 0.5%未満まで完全に抑制された。ウイルス血球凝集素への結合と競合しない濃 度17.3mMの化合物19(Kd>50mM)(図6、コラム5)または化合物21(図6、コラム6) の存在下では、CRは低下しなかった。図3に示された化合物17は、インフルエン ザ血球凝集素の既知の阻害剤であり、標準的な血球凝集阻害アッセイ(HAI)に より測定した場合、解離定数Kdは2mMである。既知の結合阻害剤17の存在下でイ ンフルエンザウイルスと共にシアロシド二重層アセンブリーをインキュベートし たところ、CRは得られず(CR<0.5%)、フィルムは青色のままであった。この結 果から、この阻害剤は、ウイルスに結合するためのシアロシド表面と効果的に競 合したことが分かる。青色フィルムを、非阻害剤(図3、化合物19、Kd>50mM、 またはグルコース、化合物21)の存在下で同量のインフルエンザウイルスに接触 させた場合、色の変化は、インフルエンザウイルス単独に接触させた場合と同じ であった。 阻害剤のKd値を予測するフィルムの能力を試験するために、一連の阻害剤濃度 に対して、CRを測定した。CRは、阻害剤17の濃度の低下と共に、直線的に増加し た(r2=0.995)。このプロットをCR=0%まで外挿すると、表面へのウイルスの結 合を完全に阻害する阻害剤濃度が得られる。この値は、シアロシド表面と効果的 に競合するのに必要な最小阻害剤濃度を表している。得られた値、すなわち、4H AUのウイルスに対する値2.5±0.83mM、は、標準的なHAIアッセイにより得られた 値2±1.1mMおよび核磁気共鳴分光法により得られた値2.8±0.30mMと一致する。 本明細書中に記載の本発明の阻害アッセイは、直接的で、容易に実施できる。 この手法では、標準的なHAIアッセイで使用される赤血球が必要でない。更に、 標準的なHAIアッセイにおけるマイクロリットルプレートの読取り時に生じる主 観性は、定量的な分光測光法により取り除かれる。この手法は、新しい薬剤候補 化合物または結合リガンドのスクリーニングに応用することが可能である。 実施例5 非特異的接着 この実施例では、本発明のアッセイを妨害する非特異的接着が存在しないこと について説明する。 非特異的接着がCRに及ぼす影響を評価するために、2つの実験を行った。第1 の実験では、ラクトース脂質(15)(図3)を含んでなるフィルムを、インフルエン ザウイルスと共にインキュベートした。ラクトースは、血球凝集素レクチンに対 するリガンドではなかった。シアロシドフィルムにおける最大応答に相当する濃 度である100HAUのウイルスと共にインキュベートすると、僅かに少しの影響が現 れるにすぎない(2%〜4%のCR)。第2の実験では、シアロシド脂質13を含んでな るフィルムを、ウシ血清アルブミンの濃厚溶液に接触させた。この場合にも、同 じように僅かのCRが観測された。これらの結果から、フィルム表面へのウイルス またはタンパク質の非特異的接着は、特異的な受容体-リガンド結合の場合に見 られる劇的な色の変化を起こさないことが分かる。 実施例6 薬剤開発 この実施例では、薬剤開発に対する本発明の有用性について説明する。 対象とする生理学的調節に関与することが周知である受容体およびその相反的 結合相手(受容体結合分子)を選択した。実施例1に記載の本発明のフィルムの 中に結合相手を組込んだ。 神経伝達物質および神経系薬剤の開発の場合には、例えば、ドーパミン受容体 を利用した。インフルエンザウイルスなどの病原体に対する薬剤開発の場合には 、例えば、ウイルス血球凝集素受容体を利用した。フィルム中に組込まれた結合 相手は、それぞれ、ドーパミンもしくはドーパミン類似体、またはシアル酸もし くはシアル酸類似体であった。アッセイの目的は、結合部位と相互作用すること により生理学的機能を示すような薬剤を選択することである。 記載の受容体が存在した場合、結合相手が組込まれてなる本発明のフィルムへ の結合が許容されたときに色の変化を生じた。 次に、候補薬剤を系に導入した。薬剤が受容体に結合した場合、または結合相 手の結合能力を変化させた場合、競合阻害により、本発明のフィルムは、それに 付随した色の変化量の低下を示した。候補薬剤が結合に影響を及ぼす能力は、対 照と比較してシグナルの低下の度合いを観測することにより定量化した。 上記の系に変更を加えると、異なる系に適合するようにできる。場合によって は、受容体を大きな集合体中に組織化する必要がある。例えば、場合によっては 、ポリマー、リポソーム、またはフィルムの中に組込む必要がある。この配置で は、受容体が結合すると、フィルムの変化が増幅される。しかしながら、上記の 受容体に結合する候補薬剤が導入された場合、それに付随して、観測される色の 変化量が減少する。 本発明に適用可能なもう1つの系では、受容体部分をフィルムに結合させる必 要がある。既知の受容体を1つ以上の箇所でフィルムに共有結合させる。これは 、受容体をモノマーに結合させた後でフィルムを重合するか(結合相手に関する 先の実施例の場合と同じ)、またはフィルム形成後にフィルムの表面を修飾する ことにより、行うことができる。次に、結合相手が、不動化された受容体と相互 作用し、フィルムが変形すると、その結果として色の変化が起こる。このように すると、先の系の場合のように色の変化がなくなるのではなく、陽性のフィルム 応答を呈する受容体を用いて試験候補化合物を直接的にスクリーニングすること ができる。 実施例7 汎用的手法 この実施例では、本発明の汎用的な利用について説明する。 結合相手を一定に保ち、しかも補助的な新規結合相手を収容するように中間連 結部分を変化させる汎用フィルムを作製する。 表面にビオチンを有するフィルムは、タンパク質ストレプトアビジンに結合す る。このタンパク質は四価であり、従って、結合状態においても依然として、ビ オチンとの結合に利用可能な1つ以上の部位を有する。新規結合相手をビオチン を用いて誘導し、ストレプトアビジンタンパク質を仲介させて、フィルムの表面 に付着させる。一層だけのビオチニル化フィルムを調製し、その上に、ストレプ トアビジン、ビオチニル化された試験結合相手をサンドイッチ構成で付着させる 。このアセンブリーを試験受容体に接触させると、所望の色の変化が起こる。先 の 実施例の場合と同じように、競合アッセイを行うと、新しい薬剤候補化合物を同 定できる。 実施例8 小さい有機分子の取込みおよび検出 この実施例では、小さい有機分子を特異的に取込み、しかも視覚的に検出可能 な比色変化により取込みイベントを知らせる新しいクラスの機能性物質の開発に ついて示す。これらの物質は、色に基づく簡単なセンサーデバイスとして働き、 空気中または水流中の溶剤またはその他の有毒汚染物質などの化合物の存在を検 出する。 第1の工程では、第2のメチル基を配向基中に導入することにより、反応スキ ーム1に示された化合物1および2の脂質ジアセチレン類似体を合成する。ペン タコサジイン酸3(PDA)の鏡像異性的に純粋なエステルを、過酸化モリブデン 酸化を介して、ヒドロキシル化することにより、アルコール4を合成する。ジア ステレオマーを分離し、エステルを加水分解することにより、キラルラクテート 類似体5および6を得る。エチルエステルを形成し、グリニャール試薬を用いて 処理することにより、所望のキラル脂質類似体7および8を得る。R基を変化さ せると、特異的な取込み能力の更新された多種多様な新しい物質が得られる。 ラングミュア-ブロジェットフィルム装置を使用し、水面上で、モノマー-脂質 クラスレートの配列および圧縮を行う。UV照射により単分子層を重合し、先に記 載の青色着色物質を得る。これを持ち上げて、疎水化された顕微鏡用スライド上 に付着させる。ジオキサンおよび1-ブタノールを取込んで所定の色の変化を起こ す7および8のフィルムの能力を試験した。この技術は汎用化できるので、1お よび2の適切な誘導体を選んで、特定の小さい分子を特異的に検出するように化 学的側面を調整する。現在までのところ、物質1および2が、それぞれジオキサ ンおよび1-ブタノールに対してなぜ高い選択性を示すかはほとんど知られていな い。一連の化合物を調べることによって、比色検出技法を使用して様々な溶剤を スクリーニングにかけ、どの溶剤が最も好適なゲスト化合物を形成するかを決定 した。コンピュータモデリングを使用することによって、分析対象分子に結合す るための特異的なサイズおよび形状をとるように空隙を設定した。様々な標準 的な表面技法を使用して、複合体を形成してしないフィルムおよび複合体を形成 したフィルムの完全な特性決定を行った。こうした技法としては、XPS、オージ エ、Leed、エリプソメトリー、ラマン分光法、およびSTMが挙げられる。これら の技法をすべて利用することにより、、特異的な包接特性を有する新しい物質を 合理的に設計するために必要なクラスレートの構造上の要件を決定した。 実施例9 マラリアメロゾイトの検出 この実施例では、マラリアメロゾイトの検出に使用されるフィルムおよび条件 について説明する。 フィルムにはシアル酸が含まれていた。このフィルムは、実施例1で記載した もの同じようにして調製した。赤血球を含有したマラリアメロゾイトの溶液にフ ィルムを接触させた。病原体に一晩接触させた後、フィルムはピンク色に変わっ た。色応答(CR)は、各場合ともほぼ100%であった。 表1病原体 受容体分子 HIV D414 血管作用性小腸ペプチド7、ペプチ ドT8、シアル酸12 ワクシニア 表皮成長因子1 狂犬病 アセチルコリン受容体2 エプスタインバー 補体受容体3、4 レオ βアドレナリン作用性受容体5 ライノウイルス ICAM-16、10、11、N-CAM、ミエリン関連糖タ ンパク質Mab13 ポリオウイルス ポリオウイルス受容体9 インフルエンザ シアル酸15 サイトメガロウイルス 糖タンパク質(シアル酸ではない)16、17、 18 コロナウイルス 9-OACシアル酸およびシアル酸 脳脊髄炎 9-OACシアル酸 麻疹ウイルス 糖タンパク質(シアル酸ではない)20、21、 22、23 ヘルペス オリゴ糖糖タンパク質24、25、26 クラミジア シアル酸27、28、29、30 ライノウイルス グリコシル化タンパク質31、32 ロタウイルス 9-OACシアル酸 ポリオーマウイルス シアル酸 レオウイルス シアル酸 連鎖球菌Suls シアル酸2→3ポリ-N-アセチルラクトー スアミン サルモネラ シアル酸 Typhimuriumパラミクソウイルス センダイウイルス シアル酸 ムンプスウイルス シアル酸 ニューカッスル病ウイルス シアル酸 Hy*oviruse シアル酸 Becherichla Coli オリゴマンノース、ガラクトース1→4ガ ラクトース、 シアル酸2→3ガラクトース 脳心筋ウイルス シアル酸 コレラトキシン G(ガングリオシアルシアル酸の、ガラク トース、 グルコース、N-アセチ ルガラクトース、) 髄フィルム炎 シアル酸 l. 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Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.(a)アナライトへの直接的親和性またはアナライトへの競合的バインダー としての機能を有する検出用の基を含むリガンド、 (b)2つの末端を有する線状構造リンカー(但し、該リンカーは、その 第1の末端において該リガンドに結合している)、 (c)該構造リンカーがその第2の末端において結合している複合化ポリ マー主鎖、 (d)該複合化ポリマー主鎖の表面に、該構造リンカーによって占領され ていない位置において結合している配向性基、および (e)支持構造体 を含んでなる、アナライトの存在を直接検出するための重合化二重層フィル ムであって、標的アナライトが該リガンドに結合した場合に、検出可能なス ペクトルの改変を受けることを特徴とする前記重合化二重層フィルム。 2.前記アナライトが生物医学的物質、病原体、薬剤または工業的物質である請 求項1記載のフィルム。 3.前記生物医学的物質が、病原体およびそれらに感染した細胞、薬剤、ホルモ ン、血液成分、疾病指示物質、細胞成分、抗体、レクチン、酵素、遺伝物質 、およびそれらの代謝誘導体からなる群から選ばれる請求項2記載のフィル ム。 4.前記病原体が、ウイルス、細菌、寄生生物および他の病原体からなる群から 選ばれる請求項2のフィルム。 5.前記ウイルスが、インフルエンザ、感冒、風疹、水痘、A型肝炎、B型肝炎 、単純ヘルペス、ポリオ、痘瘡、プラーク、HIV、痘疹、狂犬病、エプス タインバー(Epstein Barr)、レオウイルス、ライノウイルス、およびそれら の突然変異体、細胞株および/またはリガンド認識可能部分からなる群から 選ばれる請求項4記載のフィルム。 6.前記細菌が、大腸菌(E.coli)、ツベロクローシス(結核菌)、サルモネラ、ス トレプトコッカス、およびそれらの突然変異体、細胞株および分解部分から なる群から選ばれる請求項4記載のフィルム。 7.前記の寄生生物および他の病原体が、マラリア、睡眠病、眼オンコセルカ症 、 およびトキソプラスマ症からなる群から選ばれる請求項4記載のフィルム 。 8.前記リガンドが病原体アナライトの検出用に提供される請求項1記載のフィ ルム。 9.前記アナライトがウイルスである請求項8記載のフィルム。 10.前記リガンドが、ワクシニア・アナライトに対する上皮増殖因子、狂犬病ア ナライトに対するアセチルコリン受容体、エプスタインバー(Epstein Barr) アナライトに対する補体受容体、レオウイルス・アナライトに対するβ-ア ドレナリン受容体、ライノウイルス・アナライトに対するICAM-1、ポリオウ イルス・アナライトに対するポリオウイルス受容体、コレラ毒素アナライト に対するトリサッカライド・アナライト、好中球アナライトに対するテトラ サッカライド、およびアナライトとの結合能を有するそれらの誘導体および 類似体からなる群から選ばれる請求項8記載のフィルム。 11.前記リガンドが、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、脳脊髄炎ウイ ルス、クラミジア、センダイウイルス、ムンプスウイルス、ニューカッスル 病病原体、ミクソウイルス、脳心筋炎ウイルス、髄膜炎ウイルスまたはマラ リアウイルスに結合するシアル酸ならびにその誘導体および類似体である請 求項8記載のフィルム。 12.リガンドとアナライトとの対が、テトラサッカライドと好中球、細胞接着ペ プチドと標的細胞、トリサッカライドと細菌毒素、または膜貫通受容体とホ ルモンである請求項8記載のフィルム。 13.HIVアナライトを検出するために提供されるリガンドが、CD4、sCD4、CD 26、バソアクティブインテスティナルペプチド、ペプチドT、およびシアル 酸、ならびにHIVとの結合能を有するそれらの誘導体および類似体からなる 群から選ばれる請求項8記載のフィルム。 14.前記ポリマーが重合性脂質モノマーを含む請求項1記載のフィルム。 15.前記モノマーが、アセチレン、ジアセチレン、アルケン、チオフェン、イミ ド、アクリルアミド、メタクリレート、ビニルエーテル、無水リンゴ酸、ウ レタン、アリルアミン、シロキサン、アニリン、ピロールおよびビニルピリ ジニウムからなる群から選ばれる請求項14記載のフィルム。 16.前記ポリマー主鎖がジアセチレンモノマーから構成される請求項15記載の フィルム。 17.前記配向性ヘッド基が親水性であり、互いに水素結合を形成する能力を有す る請求項1記載のフィルム。 18.前記配向性ヘッド基が、-CH2OH、-CH2OCONHPh、-CH2OCONHEt、-CH 2CH(Et)OCONHPh、-(CH2)9OH、-CH2OCOPh、-CH2OCONHMe、-CH2O Ts、-CH(OH)Me、 -CH2OCOR2(式中、R2はn-C5H11、n-C7H15、n-C9H19、n-C11H23、n-C13 H27、n-C15H31、n-C17H35、Ph、PhO、またはo-(HO2C)C6H4である)、 -OSO2R2(式中、R2はPh、p-MeC6H4、p-FC6H4、p-ClC6H4、p-BrC6H4、 p-MeOC6H4、m-CF3C6H4、2-C10H7、またはMeである)、 -CO2M(式中、MはK、HNA、またはBa/2である)、または -CH2OCONHR2または-CH2CONHR2(式中、R2はEt、n-Bu,n-C6H13、 n-C8H17、n-C12H25、シクロ-C6H11、Ph、p-MeC6H4、m-MeC6H4、o-Cl C6H4、m-ClC6H4、P-ClC6H4、o-MeC6H4、3-チエニル、Me,Et、Ph、1 -C10H7、Et、Ph、EtOCOCH2、BuOCOCH2、Me、Et、i-Pr、n-C6H13、E tOCOCH2、BuOCOCH2、Ph、2,4(NO2)2C6H3OCH2、またはCH2CH2OHで ある)からなる群から選ばれる請求項17記載のフィルム。 19.前記配向性ヘッド基がカルボン酸である請求項17記載のフィルム。 20.前記モノマーの配向性基が、CH3-、CH3O-、ネオ-C5H11O-、シクロ-C6H11O- 、 PhCH2O-、p-AcC6H4O-、P-BzC6H4O-、p-BrC6H4COCH2O-、p-(PhCH= CHCO)C6H4O-、p-(PhCOCH=CH)C6H4O-、o-BzC6H4NH-、P-BzC6H4N H-、MeOCH2CH2NH-、n-C6H13NH-、またはEtO-からなる群から選ばれる 請求項1記載のフィルム。 21.末端がメチル基である請求項20記載のフイルム。 22.さらに支持体と共に提供される請求項1記載のフィルム。 23.前記支持体が、プラスチック、雲母、金属、セラミック、ガラスおよび他の ポリマーの表面、ならびにそれらの疎水性誘導体からなる群から選ばれる請 求項22記載のフィルム。 24.前記支持体が疎水性化したスライドガラスである請求項23記載のフィルム。 25.請求項1記載のフィルムが組込まれている容器を含んでなる試験キット。 26.アナライト液に対して非透過性であるウェル構造を付与するために、オリフ ィスを備える固体構造体が前記フィルム表面に取付けられている請求項25記 載の試験キット。 27.キットの容器に試験手順の実行についての指示書も組込まれている請求項25 記載の試験キット。 28.請求項1記載のフィルムが組込まれている分析用装置。 29.自動化クロマトグラフィー読取り部材が装備されている請求項28記載の分析 用装置。 30.サンプルの流れまたは一連のサンプルの連続的読取りを可能にするための自 動化サンプル搬送部材が装備されている請求項29記載の分析用装置。 31.請求項1記載の重合化二重層アッセイフィルムの製造方法であって、 (a)受容体結合性リガンドを、線状構造単位の第1の末端に結合する 工程、 (b)該線状構造単位の第2の末端にモノマーを結合させて、モノマー −線状構造単位−リガンド部分を製造する工程、 (c)配向性ヘッド基をモノマーに結合させて、配向性ヘッド基−モノ マー部分を製造する工程、 (d)該モノマー線状構造単位−リガンド部分と複数の配向性ヘッド基 −モノマー部分とを混合する工程、 (e)工程(d)の混合物を表面に広げる工程、そして (f)広げた混合物を重合する工程 を含んでなる前記方法。 32.さらに、重合した混合物を支持体に移す工程を含む請求項31記載の方法。 33.前記工程(e)の後で、塗布した混合物を圧縮する請求項31記載の方法。 34.前記工程(d)の後で、前記混合物を水表面に広げる請求項31記載の方法。 35.アナライトを直接検出するための方法であって、 (a)請求項1記載の重合化二重層アッセイフィルムを、アナライト含 有サンプルと接触させる工程、そして (b)該フィルムを、その光学的特性の変化について評価する工程 を含んでなる前記方法。 36.観察される光学的特性が色の変化である請求項35記載の方法。 37.前記色の変化が青から赤である請求項36記載の方法。 38.前記色の変化が620nm〜550nmの波長で検出可能である請求項37記載の方法。
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