JP2000506002A - コレラトキシンの免疫原性無毒化変異体 - Google Patents

コレラトキシンの免疫原性無毒化変異体

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JP2000506002A JP9529153A JP52915397A JP2000506002A JP 2000506002 A JP2000506002 A JP 2000506002A JP 9529153 A JP9529153 A JP 9529153A JP 52915397 A JP52915397 A JP 52915397A JP 2000506002 A JP2000506002 A JP 2000506002A
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Abstract

(57)【要約】 少なくとも1つのアミノ酸が別のアミノ酸で置換されているコレラトキシン(CT-A)またはそのフラグメントのサブユニットAのアミノ酸配列を包含し、精製された形態においてその天然に存在する対応物よりも10000倍を超えてより低い残留毒性を示す免疫原性無毒化タンパク質。記載される実施態様において、Pro-106位またはその対応する位置のアミノ酸は、他のアミノ酸で置換される。免疫原性無毒化タンパク質は、Vibrio choleraeのためのワクチンとして有用であり、そして部位特異的変異誘発による組換えDNA手段によって産生される。

Description

【発明の詳細な説明】 コレラトキシンの免疫原性無毒化変異体発明の分野 本発明は、コレラトキシン(CT)の免疫原性無毒化タンパク質に関し、ここで 少なくとも1つのアミノ酸が別のアミノ酸で置換され、その結果、その精製され た形態において免疫原性無毒化タンパク質は、その天然に存在する対応物よりも 10000倍を超えてより低い残留毒性を示す。そして本発明は、コレラの予防また は処置のために有用であり、かつ他の免疫原性タンパク質のための粘膜アジュバ ントとして有用であるワクチンにおけるそれらの使用に関する。無毒化免疫原性 タンパク質は、野生型トキシンをコードするDNAの部位特異的変異誘発による組 換えDNA技術を用いて、適切に産生され得る。発明の背景 コレラは、広く世界中、特に第三世界に蔓延する伝染病であり、ある地域では 、それは風土病である。腸系に生じるこの重い病気は、この疾患の記録されてい るケースの高い割合で致命的であることが示される。 コレラの病因は、グラム陰性微生物Vibrio cholerae(V.cholerae)である。 これは、汚染された食物あるいは水の摂取を介して接触した個体の腸管にコロニ ー化し、そして非常に高密度に繁殖する。基本的な症状は、激しい下痢であり、 その結果患者は、ふん便によって一日あたり10〜15リットルもの液体を損失し得 る。この激しい脱水および電解質の損失の結果、患者は、この感染の50〜60%の ケースにおいて耐えられず、死亡する。V.choleraeにより起きた下痢は、アデニ レートシクラーゼ酵素の活性を刺激することにより作用して細胞レベルで障害を 引き起こす、コレラトキシンCTの分泌による。コレラは、制御された強烈な水分 再吸収(rehydration)により効果的に治癒され得るが、この疾患の完全な制御お よび将来的な絶滅には、ワクチンの普及が望まれる。 現在、死滅細菌の非経口投与からなる、コレラに対するワクチン接種が存在す る。いくつかの国では、この疾患に対するワクチン接種が要求されているが、現 在の細胞性ワクチンは、50%のケースにおいてのみ感染の結果に対して防御し、 そしてその防御はまた6ケ月未満の持続に極度に制限されるので、その真の有用 性が非常に疑わしい。 バングラデシュでは、高度に免疫原性であることが知られる、コレラトキシン のサブユニットBを付加した死滅細菌からなる経口ワクチンの、実験的な試みが 進行中である(1990-92)。この産物は、特別な副作用を伴わず、永続的な防御 を誘導することに成功した(Holmgren J.,Clemens J.,Sack DA.,Sanchez J. およびSvennerholm AM;「コレラに対する経口免疫化」Curr.Top.Microbiol.Im munol.(1988),146,197-204)。 CTトキシンは、トキシンの酵素活性を担う1つのAサブユニット(あるいはプ ロトマーA)(本明細書中ではCT-A)、およびトキシンと腸上皮細胞との結合に 関与する、5つの相同なBサブユニット(あるいはプロトマーB)(本明細書中で はCT-B)を含む。 このAサブユニットは、細胞膜を通過して、酵素活性を制御するGTP結合タンパ ク質のNAD依存ADPリボシル化により、アデニレートシクラーゼの活性化を引き起 こす。これの臨床的な影響は、腸での大量の液体の損失を引き起こすことである 。 かなりの研究が、コレラトキシンについて行われてきた。この配列は公知であ り、そして記載されている(Mekalanos J.J.ら、Nature 306,551頁(1983)) 。 コレラに対するワクチンの可能な臨床上の重要性の観点から、コレラに対して 免疫し得る、無毒化トキシンを生産することにおいて、継続的かつ多大な関心が 存在する。遺伝子工学の技術は、このトキシンをコードする遺伝子への特定の変 異株の導入、ならびに、遺伝子発現およびタンパク質精製の今や従来的な技術に よる、変異トキシンの生産を可能にする。 Kaslow,H.R.ら(第92回General Meeting of the American Society for Micr obiologyの要旨集B291,1992年5月26-30日)には、CT-A中の、Asp-9およびHis-4 4の変異、ならびに、アミノ酸180位以降の切断(truncating)が記載されており、 これらは全て本質的に活性を排除する。Arg-9変異は著しく活性を弱めると言わ れている。その他のアミノ酸部位の変異は、毒性に対してほとんど影響はなかっ た。 Burnette,W.N.ら(Inf.and Immun.59(11),4266-4270,(1991)には、Borde tella pertussisトキシンのAサブユニットの公知の無毒化変異の部位特異的変 異誘発と平行して、Arg-7-Lys変異を産生するCT-Aの部位特異的変異誘発が記載 されている。変異は、検出可能なADPリボシルトランスフェラーゼ活性を完全に 撤廃させた。 国際特許出願WO 92/19265(Burnette,Kaslow and Amgen Inc.)には、Arg-7 、Asp-9、Arg-11,His-44、His-70、およびGlu-112でのCT-Aの変異が記載されて いる。 Glu-110での変異もまた、文献に記載されている(Lobet,Inf.Immun.,2870 ,1991;Lai,Biochem.Biophys.Res.Com.341 1983;Okamoto J.Bacteriol.22 08,1988)。 CTのAサブユニットの毒性の発症は、アミノ酸Arg‐192の周辺でのA1およびA2 サブユニットのタンパク質分解切断を必要とすることが知られている(Grantら 、Inf.&Immum.(1994)62(10)4270-4278)。 コレラトキシンのサブユニットAまたはそのフラグメントのアミノ酸配列を含 む免疫原性無毒化タンパク質(ここで、Val-53、Ser-63、Val-97、Tyr-104、ま たはPro‐106の、またはこれらに対応する位置の1つ以上のアミノ酸が他のアミ ノ酸で置換される)は、WO93/13202に開示される(Bioclne Sclavo SpA)。必要 に応じて、アミノ酸配列は、他の変異(例えば、Arg-7、Asp-9、Arg-11、His-44 、Arg-54、Ser-61、His-70、His-107、Glu-110、Glu-112、Ser-114、Trp-127、A rg-146、またはArg-192の一つ以上での置換)を含み得る。これらの変異は、記 載されるアッセイによって測定されたところ、完全に無毒化されているとして記 載される。 CT-Aまたはそのフラグメントのアミノ酸配列を含む二重変異体は、英国特許出 願第9513371.6号(1995年6月30日提出)に記載される。ここでSer-63およびArg ‐192での、またはその対応する位置のアミノ酸は、別のアミノ酸で置換される 。 百日咳トキシンの無毒化変異体は、直接鼻腔内ワクチン接種のためにおよび他 のワクチンのための粘膜アジュバントとして有用であると報告されている(Robe rtら、Inf.&Immun.(1995)63(6)2100-2108)。公開国際特許出願WO 95/17211( Biocine SpA)は、粘膜アジュバントとしてのCTの無毒化変異体の使用を記載す る。発明の要旨 本発明者らは、残留する低レベルの毒性が、ワクチンおよび/また粘膜アジュ バントにおける使用のための改善され変更されたCTを提供することを発見してい る。 野生型タンパク質よりずっと低い毒性を有するという意味で無毒化されている が、これらのタンパク質は微量の酵素活性を保持する。変異は、少なくとも1000 0倍のインビボでの毒性の減少を生じ、そしてこれにより、タンパク質をヒトに おける使用のために非常に有用なものにする。酵素活性を欠く変異体に典型的な 免疫学的およびアジュバント特性に加えて、変異タンパク質は、驚いたことにア ジュバント活性の増加を示す。 本発明によれば、コレラトキシン(CT-A)またはそのフラグメントのサブユニ ットAのアミノ酸配列を包含する免疫原性無毒化タンパク質が提供される。これ は、少なくとも1つのアミノ酸が別のアミノ酸で置換され、精製された形態にお いて免疫原性無毒化タンパク質は、その天然に存在する対応物よりも10000倍を 超えてより低い残留毒性を示すことを特徴とする。 本発明による免疫原性無毒化タンパク質は、タンパク質の免疫原性および/ま たはアジュバント効果を最大にする一方、免疫される個体によって許容されるよ うな十分に低い毒性を維持する注意深く選択された毒性の均衡を示す。 好ましくは、Pro-106での、またはそれに対応する位置のアミノ酸が、別のア ミノ酸で置換される。 この特定の好ましい実施態様が請求される特徴を示すことは、先行技術(一般 に、毒性の全面的な除去が、変異体トキシンワクチンおよびアジュバントの開発 のためのゴールであることを一般的に教示し、そしてこの特定の変異したトキシ ンが、毒性を有さないことを特に教示する(WO 93/13202を参照のこと))から は予測不可能であった。 本明細書中には、CTに対する参照には、種々の天然に存在する株改変体、なら びに組み立てられたトキソイドの免疫原性に作用しない本明細書中に開示される 配列からの変化を含む他の改変体が含まれる。 CTのアミノ酸配列は、Domenighiniら、Molecular Microbiology(1995)15(6) 1165-1167に決定的に記載される。 野生型アミノ酸を置換するアミノ酸は、天然に存在するアミノ酸であり得るか 、または改変されたアミノ酸または合成アミノ酸であり得る。ただし、変異体が 必要な免疫原性特性を保持し、そして天然に存在する対応物に比較して、10000 倍より大きい毒性の減少を示す。この置換は、1つ以上のアミノ酸の欠失または 付加を含み得る。 両性および親水性を変更するが、置換するアミノ酸の立体的な効果を可能な限 り保持する置換が一般的に好ましい。 本明細書中に用いられる用語「無毒化」は、免疫原性組成物が、天然に存在す るトキシン対応物に比較して10000倍より大きい毒性の減少を示すことを意味す る。毒性の減少は、有意な副作用を引き起こすワクチンとして免疫学的に有効な 量で、免疫原性組成物において使用されるためのタンパク質にとって十分低くあ るべきである。 本明細書中用いられる用語「残留毒性」は、無毒化した免疫原性タンパク質が 、測定可能な毒性を保持することを意味する。より好ましくは、毒性のレベルは 、利益/副作用交換条件において、投与の毒性効果に対して増加した免疫原性/ アジュバント活性を均衡化することによって最適化される。 免疫原性組成物の残留毒性は、天然に存在する対応物に比較して10000倍より 大きく減少され、好ましくは、30000倍より大きく、および最も好ましくは50000 倍より大きい。 毒性は、マウスCHO細胞において測定され得るか、または好ましくはウサギ回 腸(ileal)ループアッセイによるか、またはY1細胞において誘導される形態学 的な変化の評価によって測定され得る。 最も好ましくは、免疫原性組成物の毒性は、その天然に存在する対応物に比較 して、Y1細胞において誘導される形態学的な変化の評価によって測定して約3000 0倍、またはウサギ回腸ループアッセイによって測定して10000倍低減される。 本明細書中で用いられる用語「トキソイド」とは、遺伝子的に無毒化されたト キシンを意味する。 免疫原性タンパク質は、CTサブユニットAトキソイドであり得るが、好ましく は、CTの1つの変異CT-Aサブユニットおよび5つのBサブユニットを含む、組み 立てられた(assembled)トキシン分子である。Bサブユニットは、天然に存在する サブユニットであり得るか、あるいはそれ自身変異され得る。 免疫原性タンパク質は、好ましくは、上記のように適切に改変された、天然に 存在するCT-Aである。しかし、保存的アミノ酸変化が、免疫原性タンパク質の免 疫原性あるいは毒性に影響しないように、そして好ましくは、Bサブユニットタ ンパク質と完全なトキシンを形成する免疫原性タンパク質の能力に影響しないよ うになされ得る。さらに、免疫原性タンパク質は、CT-Aのフラグメントであり得 る。ただし、フラグメントは、免疫原性かつ非毒性であり、そして本発明に従う 変異の1つを含有する、少なくとも1つの保存領域を含有する。 好ましくは、Pro-106はSer-106で置換される。 本発明の第二の局面に従って、本発明の第一の局面の免疫原性無毒化タンパク 質および薬学的に受容可能なキャリアを含有するワクチンとしての使用のための 、免疫原性組成物が提供される。 本発明はまた、本発明の第一の局面に従う免疫原性無毒化タンパク質および薬 学的に受容可能なキャリアを含有するワクチン組成物を提供する。このワクチン 組成物はさらにアジュバントを含有し得る。あるいは、このワクチン組成物は、 別の疾患に対する免疫学的な応答を惹起し得る第二の抗原を含み得る。このよう な変更された組成物において、免疫原性無毒化タンパク質は、粘膜アジュバント として作用する。 本発明の第三の局面に従って、哺乳類に、Vibrio choleraeに対するワクチン 接種を行う方法を提供する。この方法には、本発明の第一の局面に従う免疫原性 無毒化タンパク質を免疫学的に有効な量で投与する工程が包含される。必要に応 じて、本発明の免疫原性無毒化タンパク質は、別々に、連続して、または本発明 の免疫原性無毒化タンパク質とともに投与される第二の免疫原性タンパク質のた めのアジュバントとして作用し得る。 本発明の免疫原性無毒化タンパク質は、従来のペプチド合成手段を用いて化学 的に合成され得るが、好ましくは、組換えDNA手段により生産される。 本発明の第四の局面に従って、本発明の第一の局面に従う免疫原性無毒化タン パク質をコードするDNA配列を提供する。 好ましくは、このDNA配列は、ポリシストロン性ユニット中に、無毒化サブユ ニットAおよびサブユニットBの両方をコードするDNAを包含する、完全なCTをコ ードするDNA配列を含む。あるいは、このDNAは無毒化サブユニットAのみをコー ドし得る。 本発明の第五の局面に従って、本発明の第四の局面に従うDNAを保有するベク ターを提供する。 本発明の第六の局面に従って、本発明の第五の局面に従うベクターで形質転換 された宿主細胞系を提供する。 宿主細胞は、CTを産生し得る任意の宿主であり得るが、所望の免疫原性無毒化 タンパク質を産生するように好適に設計された、好ましくは細菌、最も好ましく はE.coliあるいはV.choleraeである。 本発明の第六の局面のさらなる実施態様では、宿主細胞はそれ自身、防御種(p rotective species)、例えば、野生型CTを欠き、そして本発明の第一の局面の免 疫原性無毒化タンパク質を保有して発現する表現型に変異されたV.cholerae株を 提供し得る。 本発明の第六の局面のさらなる実施態様では、宿主細胞は、本発明の第一の局 面に従う染色体CT-A遺伝子を発現し得る。 本発明の第七の局面に従って、本発明の第一の局面に従う免疫原性無毒化タン パク質の製造するためのプロセスを提供する。この方法には、本発明の第六の局 面に従う宿主細胞を培養する工程が包含される。 本発明の第八の局面に従って、本発明の第四の局面に従うDNAの製造するため のプロセスを提供する。この方法には、CT-AをコードするDNAあるいはそれらの フラグメントを、部位特異的変異誘発に供する工程が包含される。 本発明の第九の局面に従って、本発明の第一の局面に従う免疫原性無毒化タン パク質を、薬学的に受容可能なキャリア、および、必要に応じてアジュバントと 会合させる工程を包含する、ワクチンを調製するためのプロセスを提供する。産業上の利用性 本発明の免疫原性無毒化タンパク質は、コレラ感染の予防および処置に有用な ワクチン組成物の活性成分を構成する。免疫原性無毒化タンパク質はまた、粘膜 アジュバントとしてのワクチン組成物において使用され得る。従って、この組成 物は製薬産業での使用に適用される。発明の実施態様の詳細な説明 本発明の実施は、特に示さない限り、当業者の範囲内にある分子生物学、微生 物学、組換えDNA、および免疫学の従来の技術を使用する。このような技術は、 文献に完全に説明される。例えば、Sambrookら、MOLECULAR CLONING;A LABORAT ORY MANUAL、第2版(1989);DNA CLONING、第I巻および第II巻(D.N Glover編 、1985);OLIGONUCLEOTIDE SYNTHESIS(M.J.Gait編、1984);NUCLEIC ACID H YBRIDIZATION(B.D.HamesおよびS.J.Higgins編、1984);TRANSCLIPTION AND TRANSLATION(B.D.HamesおよびS.J.Higgins編、1984);ANIMAL CELL CULTURE (R.I.Freshney編、1986);IMMOBILIZED CELLS AND ENZYMES(IRL Press,19 86);B.Perbal,A PRACTICAL GUIDE TO MOLECULAR CLONING(1984);シリー ズ,METHODS IN ENZYMOLOGY(Academic Press,Inc.);GENE TRANSFER VECTORS FOR MAMMALIAN CELLS(J.H.MillerおよびM.P.Calos編、1987,Cold Spring Ha rbor Laboratory)、Methods in Enzymology第154巻および第155巻(それぞれ、 WuおよびGrossman編、ならびにWu編)、MayerおよひWalker編(1987)、IMMUNOC HEMICAL METHODS IN CELL AND MOLECULAR BIOLOGY(Academic Press,London), Scopes,(1987)、PROTEIN PURIFICATION:PRINCIPLES AND PRACTICE、第2版( Springer-Verlag,N.Y.)、およびHNDBOOK OF EXPERIMENTAL IMMUNOLOGY、第I〜 IV巻(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編、1986)を参照のこと。 ヌクレオチドおよびアミノ酸の標準的な略語が、本明細書中に使用される。本 明細書中に引用される全ての刊行物、特許、および特許明細書は、参考として援 用される。 特に、以下のアミノ酸の略号が使用される: アラニン A Ala アルギニン R Arg アスパラギン N Asn アスパラギン酸 D Asp システイン C Cys グリシン G Gly グルタミン酸 E Glu グルタミン Q Gln ヒスチジン H His イソロイシン I Ile ロイシン L Leu リジン K Lys メチオニン M Met フェニルアラニン F Phe プロリン P Pro セリン S Ser スレオニン T Thr トリプトファン W Trp チロシン Y Tyr バリン V Val 本発明に使用され得る免疫原性無毒化タンパク質の実施例に挙げた例には、特 に掲載した変異の部位以外で、タンパク質の天然アミノ酸配列から比較的少ない アミノ酸の変異を有するポリペプチドが包含される。 天然源からタンパク質を単離および精製するよりも、組換えDNA技術により免 疫原性無毒化タンパク質を生産する重大な利点は、天然源からタンパク質を単離 するのに必要とされる量よりも少量の開始物質を使用して、同量のタンパク質が 生産され得ることである。組換え技術によるタンパク質の生産はまた、細胞内に 通常存在するある種の分子の非存在下での、タンパク質の単離を可能にする。事 実、どのようなヒトタンパク質夾雑物(contaminants)も完全に含まないタンパク 質組成物が、容易に製造され得る。なぜなら、組換え非ヒト宿主により生産され たヒトタンパク質のみが、問題の組換えタンパク質である。ヒトに対して病原性 の、天然源からの潜在的ウイルス因子およびウイルス成分もまた、排除される。 さらに、遺伝子的に無毒化されたトキシンは、従来の化学的に無毒化されたトキ シンほど毒性が戻らないようである。 薬学的に受容可能なキャリアには、それ自身、その組成物が与えられる個体に 有害な抗体の産生を誘導しない、任意のキャリアが包含される。適切なキャリア は、典型的には大きく、徐々に代謝される高分子、例えば、タンパク質、多糖類 、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマー性アミノ酸、アミノ酸コポリマー、脂 質凝集体(例えば、油滴またはリポソーム)、および不活性化ウイルス粒予であ る。このようなキャリアは、当業者に周知である。さらに、これらのキャリアは 、免疫刺激因子(アジュバント)として機能し得る。 組成物の有効性を増強する好ましいアジュバントには、以下が包含されるが、 限定はされない:水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム などのようなアルミニウム塩(alum)、ムラミルペプチドまたは細菌細胞壁成分 のような他の特定の免疫刺激因子を伴うかまたは伴わない、オイルエマルジョン 処方物、例えば、(1)MF59(公開国際特許出願第WO-A-90/14837号、5%スクアレ て、種々の量のMTP-PE(以下を参照のこと)を含有する);ここでMF59は、Mode l 110Yマイクロフルイダイザー(microfluidizer)(Microfluidics,Newton,M A 02164)のようなマイクロフルイダイザーを用いて、サブミクロン粒子に調製 されている、(2)SAF、すなわち10%スクアレン、0.4%Tween 80、5%プルロニッ クブロックポリマーL121(pluronic-blocked polymer L121)、およびthr-MDP(以 下を参照のこと)を含有する;ここでSAFは、マイクロフルイダイザーでサブミ クロンエマルジョンにするか、または、ボルテックスにかけてより大きな粒子サ イズのエマルジョンにする、および、(3)RIBITMアジュバント系(RAS)(Ri 下からなる群の1つ以上の細胞壁成分を含有する:モノホスホリルリピドA(MPL )、トレハロースジマイコレート(TDM)、および細胞壁骨格(CWS)、好ましく はMPL+CWS(DetoxTM)、ムラミルペプチド(例えば、N-アセチル-ムラミル-L-ス レオニル-D-イソグルタミン(thr-MDP)、N-アセチル-ノルムラミル-L-アラニル -D-イソグルタミン(nor-MDP)、N-アセチルムラミル-L-アラニル-D-イソグルタ ミニル-L-アラニン-2-(1'-2'-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ヒドロキシホスホ リルオキシ)-エチルアミン(MTP-PE)など)、およびサイトカイン(例えば、イ ンターロイキン(IL-l,IL-2など)マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF) 、腫瘍壊死因子(TNF)など)。さらに、StimulonTM(Cambridge Bioscience,Wor cester,MA)のようなサポニンアジュバントが使用され得るか、または、それか らISCOMS(免疫刺激複合体)のような粒子がつくられ得る。さらに、完全フロイ ントアジュバント(CFA)および不完全フロイントアジュバント(IFA)が、使用 され得る。AlumおよびMF59が好ましい。 本発明の免疫原性無毒化タンパク質は、第二の抗原についてのアジュバントと して、ヒトまたは動物の身体の処置またはワクチン接種のための免疫学的に活性 な組成物中に用いられ得る。 免疫原性組成物(例えば、抗原、薬学的に受容可能なキャリアおよびアジュバ ント)は、典型的には、水、生理食塩水、グリセロール、エタノールなどの希釈 剤を含有し得る。さらに、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝化物質などの補助物質は 、このようなビヒクル中に存在し得る。 典型的には、免疫原性組成物は、注射し得るように、溶液または懸濁液のいず れかに調製される;それはまた、注射の前に液体ビヒクル中で、溶液あるいは懸 濁液とするのに適した固形として、調製され得る。処方物もまた、上記のように 、薬学的に受容可能なキャリア下でのアジュバント効果の増強のために、乳化さ れるか、あるいはリポソームにカプセル化され得る。 ワクチンとして使用される免疫原性組成物は、免疫学的に有効な量の抗原ポリ ペプチドに加えて、必要に応じて、任意の他の上記した成分を含有し得る。「免 疫学的に有効な量」により、個体への投与量が、単回投与において、または一連 の一部として、治療または予防に有効であることを意味する。この量は、治療さ れるべき個体の健康状態または生理的状態、治療されるべき個体の分類群(例え ば、ヒト以外の霊長類、霊長類など)、抗体合成に対する個体の免疫系の許容量 、所望の予防の程度、ワクチン処方物、医学上の治療医の見解、およびその他の 関連因子に依存して変化する。その量は、日常試験により決定され得るが、比較 的広範囲であることが予測される。 免疫原性組成物は、非経口的に、例えば、皮下注射または筋肉内注射のいずれ かで、従来より投与されている。その他の投与形態に適した処方物には、経口お よび肺用の処方物、坐薬および経皮塗布が包含される。投与治療は、単回投与ス ケジュールあるいは複数回投与スケジュールであり得る。ワクチンは、その他の 免疫調節剤と組み合わせて投与され得る。 本明細書に使用されている用語「組換えポリヌクレオチド」とは、ゲノム、cD NA、半合成、または合成起源の、以下の起源または操作による、ポリヌクレオチ ドのことを意味する:(1)天然に結合されているポリヌクレオチドの全体または 部分に結合しない、(2)天然に連結されているその他のポリヌクレオチドに結合 する、あるいは(3)天然に存在しない。 本明細書に使用されている用語「ポリヌクレオチド」とは、リボヌクレオチド またはデオキシリボヌクレオチドのいずれかの、任意の長さのポリマー型のヌク レオチドのことである。この用語は、分子の一次構造のみを呼ぶ。従って、この 用語には、二本鎖および一本鎖DNAおよびRNAが包含される。さらに、この用語に は、公知の改変型、例えば、当該分野で公知の標識、メチル化、「キャップ」、 天然に存在するヌクレオチドのアナログとの1つ以上の置換、ヌクレオチド内の 改変(例えば、非帯電結合(例えば、メチルホスフェート、トリエステルホスフ ェート、ホスホアミデート、カルバメートなど)および帯電結合(例えば、ホス ホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)での改変(この場合、ペンダント 部分として、例えば、タンパク質(ヌクレアーゼ、トキシン、抗体、シグナルペ プチド、ポリ-L-リジンなどを包含する)を有する)、挿入剤(例えば、アクリ ジン、ソラレンなど)での改変、キレーター(例えば、金属、放射活性金属、ボ ロン、酸化金属など)を含む改変、アルキル化剤を含む改変、改変結合(例えば 、α-アノマー核酸など)での改変)、および、ポリヌクレオチドの非改変型が 、 包含される。 「レプリコン」は、細胞内のポリヌクレオチド複製の自律ユニットとして挙動 する、すなわち、それ自身の制御下で複製し得る、遺伝要素(例えば、プラスミ ド、染色体、ウイルス、コスミドなど)である。これには、選択可能なマーカー が含まれる。 「ベクター」は、接続されたセグメントの複製および/または発現をもたらす ように、他のポリヌクレオチドセグメントが接続されたレプリコンである。 「制御配列」とは、連結されるコード配列の発現をもたらすのに必要なポリヌ クレオチドのことである。このような制御配列の特性は、宿主生物に依存して異 なる;原核生物では、このような制御配列は一般的に、プロモーター、リボソー ム結合部位、および転写終結配列を含む;原核生物において、このような制御配 列は一般に、プロモーターおよび転写終結配列を含む。用語「制御配列」は、最 少限で、発現に必要な全ての成分を含み、さらに、例えば、リーダー配列および 融合パートナー配列のような、存在すれば好都合である成分も含む。 「作動可能に連結された」とは、記載の成分が意図した様式で機能し得る関係 にある並置のことである。コード配列に「作動可能に結合された」制御配列は、 制御配列と適合する条件下で、コード配列の発現が達成されるように連結される 。 「オープンリーディングフレーム」(ORF)は、ポリペプチドをコードするポ リヌクレオチド配列の領域である;この領域は、コード配列の一部分または全コ ード配列を表し得る。 「コード配列」は、適切な調節配列の制御の下におかれると、通常mRNAを介し てポリペプチドに翻訳され得るポリヌクレオチド配列である。コード配列の境界 は、5'-末端の翻訳開始コドンおよび3'-末端の翻訳終止コドンにより決定される 。コード配列には、cDNAおよび組換えポリヌクレオチド配列が含まれ得るが、限 定はされない。 「PCR」とは、Saikiら、Nature 324:163(1986);およびScharfら、Science(19 86))233:1076-1078;および米国特許第4,683,195号;および米国特許第4,683,20 2号に記載されているポリメラーゼ連鎖反応の技術のことである。 本明細書に使用されているように、xが天然には同一様式でyと関連しない場合 、 xはyに関して「異種」である;すなわち、xが天然にはyに関連しないか、あるい はxが天然に認められるのと同じ様式でyに関連しない場合である。 相同」とは、xとyとの間の類似性の程度のことである。1つの型とその他の 型との配列間の相関は、当該分野に公知の方法により決定される。例えば、これ らは、ポリヌクレオチドの配列情報の直接比較により決定され得る。あるいは、 相同領域間で安定な二重鎖を形成する条件下で、ポリヌクレオチドをハイブリダ イズさせ(例えば、ハイブリダイゼーションはS1消化に先だって用いられる)、 その後、一本鎖特異的ヌクレアーゼにより消化し、次に、消化フラグメントのサ イズを測定することにより、相同が決定され得る。 本明細書に使用されている用語「ポリペプチド」とは、アミノ酸のポリマーの ことであり、特定の長さの産物のことではない;従って、ポリペプチドの定義に は、ペプチド、オリゴペプチド、およびタンパク質が包含される。この用語はま た、ポリペプチドの発現後の改変、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸 化などを意味するのではなく、すなわち除外する。定義に含まれるものは、例え ば、1つ以上のアミノ酸のアナログ(例えば、非天然のアミノ酸を含む)を有す るポリペプチド、置換連結(substituted linkages)、および、当該分野に公知の 他の天然に存在ならびに天然に非存在の両方の、改変を有するポリペプチドであ る。 指定の核酸配列「由来の」ポリペプチドあるいはアミノ酸配列は、その配列中 にコードされたポリペプチドのアミノ酸配列と同じアミノ酸配列を有するポリペ プチド、あるいはその部分のことであり、ここでその部分は、少なくとも3〜5の アミノ酸からなり、さらに好ましくは、少なくとも8〜10のアミノ酸、さらに好 ましくは少なくとも11〜15のアミノ酸からなるか、または、そのペプチドは配列 中にコードされたポリペプチドと免疫学的に同一であると見なし得る。この用語 にはまた、指定の核酸配列から発現されるポリペプチドが包含される。 タンパク質は、そのタンパク質に特異的な、モノクローナルあるいはポリクロ ーナルのいずれかの抗体を産生するのに使用され得る。これらの抗体を産生する 方法は、当該分野に公知である。 「組換え宿主細胞」、「宿主細胞」、「細胞」、「細胞培養物」および、その 他のこのような用語は、例えば、組換えベクターあるいはその他のトランスファ ーDNA用の受容体として使用され得るか、または使用された微生物、昆虫細胞、 および哺乳類細胞を意味し、そして、形質転換された初代細胞の子孫を包含する 。単一の親細胞の子孫は、自然的、偶発的あるいは意図的変異により、形態学あ るいはゲノムDNAまたは全DNA相補鎖において、初代の親のようには必ずしも完全 に同一であり得ないことは理解される。哺乳類宿主細胞の例としては、チャイニ ーズハムスター卵巣(CHO)細胞およびサル腎(COS)細胞が挙げられる。 特に、本明細書に使用されている「細胞株」は、インビトロにおいて増殖およ び分化を継続あるいは延長し得る細胞群のことである。しばしば、細胞株は、単 一の先祖細胞に由来するクローン群である。このようなクローン群の貯蔵あるい は移動の間に、自発変化あるいは誘発変化が核型において生じ得ることがさらに 当該分野で公知である。従って、引用の細胞株由来の細胞は、先祖細胞あるいは 培養物と正確には同一であり得ず、そして引用の細胞株は、そのような変種を含 む。用語「細胞株」はまた、不死化細胞を包含する。好ましくは、細胞株は、非 ハイブリッド細胞株あるいはハイブリドーマの2つの細胞型のみを含む。 本明細書に使用されている用語「微生物」には、細菌および糸状菌のような原 核および真核の微生物種が包含され、細菌には、酵母および糸状菌が包含される 。 本明細書に使用されている「形質転換」とは、例えば、直接取り込み(direct uptake)、トランスダクション、f-メーティング、あるいはエレクトロポレーシ ョンのような、挿入に使用される方法に関係なく、宿主細胞への外因性ポリヌク レオチドの挿入のことである。外因性ポリヌクレオチドは、プラスミドのような 非組込みベクターとして維持され得るか、あるいは宿主ゲノムに組込まれ得る。 「ゲノムの」により、ベクターにクローニングされた制限フラグメントに由来 するDNA分子のコレクションあるいはライブラリーを意味する。これは、生物の 遺伝子物質の全てあるいは部分を包含し得る。 「cDNA」により、DNAの相補鎖にハイブリダイズする、相補DNA配列を意味する 。 「精製された」および「単離された」により、ポリペプチドあるいはヌクレオ チド配列に関する場合には、指示される分子が、それと同じタイプの生物学的高 分子が他に実質的に存在していない状態で、存在することを意味する。本明細書 に使用されている用語「精製された」は、同じタイプの生物学的高分子が、少な くとも75重量%、より好ましくは、少なくとも85重量%、さらにより好ましくは 、少なくとも95重量%、そして最も好ましくは98重量%存在することを意味する (しかし、水、緩衝液、およびその他の低分子、特に、分子量が1000未満の分子 は、存在し得る)。 一旦、適切なコード配列が単離されると、それは種々の異なった発現系におい て発現され得る;例えば、それは、哺乳類細胞、バキュロウイルス、細菌、およ び酵母と共に使用される。 i.哺乳類系 哺乳類発現系は当該分野で公知である。哺乳類プロモーターは、哺乳類RNAポ リメラーゼを結合し、そしてコード配列(例えば、構造遺伝子)のmRNAへの下流 (3')転写を開始し得る任意のDNA配列である。プロモーターは、コード配列の5 '末端近傍に通常位置する転写開始領域、および転写開始部位の25〜30塩基対(b p)上流に通常位置するTATAボックスを有する。TATAボックスは、RNAポリメラー ゼIIを方向づけ、正しい部位でRNA合成を開始すると考えられている。哺乳類プ ロモーターはまた、TATAボックスの100〜200bp上流内に通常位置する上流プロモ ーター要素も含む。上流プロモーター要素は、転写が開始される速度を決定し、 いずれかの方向に作用し得る[Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版 中のSambrookら、(1989)「哺乳類細胞におけるクローン化遺伝子の発現」]。 哺乳類ウイルス遺伝子は、しばしば、非常高度に発現され、そして広い宿主の 範囲を有する。従って、哺乳類ウイルス遺伝子をコードする配列は、特に有用な プロモーター配列を提供する。その例として、SV40初期プロモーター、マウス乳 ガンウイルスLTRプロモーター、アデノウイルス主要後期(major late)プロモー ター(Ad MLP)および単純ヘルペスウイルスプロモーターが挙げられる。さらに 、マウスメタロチオネイン遺伝子などの非ウイルス遺伝子由来の配列もまた、有 用なプロモーター配列を提供する。発現は、プロモーターがホルモン応答性細胞 内のグルココルチコイドで誘導され得るか否かによって、構成的であり得るか、 または調節され得る(誘導可能)。 エンハンサー要素(エンハンサー)が存在すると、これは上記のプロモーター 要素と組合わさって、通常、発現レベルを増加させる。エンハンサーは、相同ま たは異種のプロモーターと連結すると、正常なRNA開始部位での合成開始と共に 転写を1000倍にまで剌激し得る調節DNA配列である。エンハンサーはまた、転写 開始部位から上流または下流に位置しても、正常な方向もしくは逆方向のいずれ の方向でも、またはプロモーターから1000ヌクレオチドより遠く離れた位置にあ っても機能する。[Maniatisら、(1987)Science 236:1237;Albertsら、(1989)Mol ecular Biology of the Cell,第2版]。ウイルス由来のエンハンサー要素は特 に有用であり得る。なぜなら、これらは通常、より広い宿主の範囲を有するため である。その例としては、SV40初期遺伝子エンハンサー[Dijkemaら、(1985)EMBO J.4:761]、ならびにラウス肉腫ウイルスの長末端反復(LTR)[Gormanら、(19 82b)Proc.Natl.Acad.Sci.79:6777]およびヒトサイトメガロウイルス[Bosha rtら、(1985)Cell 41:521]由来のエンハンサー/プロモーターが挙げられる。さ らに、エンハンサーの中には調節可能で、ホルモンまたは金属イオンなどの誘導 物質の存在下でのみ活性となるものがある[Sassone-CorsiおよびBorelli、(1986 )Trends Genet.2:215;Maniatisら、(1987)Science 236:1237]。 哺乳類細胞中では、DNA分子は細胞内で発現し得る。プロモーター配列はDNA分 子と直接連結し得、その場合、組換えタンパク質のN末端の第1アミノ酸は、常 にATG開始コドンによってコードされるメチオニンである。所望なら、臭化シア ンを用いてインビトロでインキュベートすることによって、N末端はタンパク質 から切断され得る。 あるいは、哺乳類細胞内で異種タンパク質の分泌するリーダー配列フラグメン トから構成され、そして融合タンパク質をコードするキメラDNA分子を形成する ことによって、異種タンパク質もまた、細胞から増殖培地へ分泌され得る。リー ダーフラグメントと異種遺伝子との間でコードされ、そしてインビボまたはイン ビトロで切断され得るプロセシング部位があることが好ましい。リーダー配列フ ラグメントは、通常、細胞からタンパク質を分泌させる疎水性アミノ酸で構成さ れるシグナルペプチドをコードする。アデノウイルス3分節系(triparite)リ ーダーは、哺乳類細胞内で異種タンパク質を分泌するリーダー配列の一例である 。 通常、哺乳類細胞で認められる転写終結配列およびポリアデニル化配列は、翻 訳終止コドンから3'側に位置する調節領域であるため、プロモーター要素と共に コード配列に隣接する。成熟mRNAの3'末端は、部位特異的転写後切断およびポリ アデニル化によって形成される[Birnstielら、(1985)Cell 41:349;Transcriptio n and splicing(B.D.HamesおよびD.M.Glover編)中のProudfootおよびWhitelaw 、(1988)「真核生物のRNAの終結および3'末端プロセシング」;Proudfoot、(19 89)Trends Biochem.Sci.14:105]。これらの配列は、DNAによってコードされ るポリペプチドに翻訳され得るmRNAの転写をもたらす。転写ターミネーター/ポ リアデニル化シグナルの例としては、SV40由来のものが挙げられる[Molecular C loning:A Laboratory Manual中のSambrookら、(1989)「培養哺乳類細胞における クローン化遺伝子の発現」]。 イントロン(介在配列とも呼ばれる)が存在すると、いくらかの遺伝子はより 効率的に発現され得る。しかし、いくつかのcDNAは、スプライシングシグナル( スプライス供与およびスプライス受容部位とも呼ばれる)を欠失するベクターか ら効率的に発現された[例えば、GothingおよびSambrook(1981)Nature 293:620 を参照のこと]。イントロンは、スプライス供与部位およびスプライス受容部位 を含むコード配列内の介在非コード配列である。これらは、一次転写産物のポリ アデニル化に続く「スプライシング」と呼ばれる過程によって除去される。[Nev ins(1983)Annu.Rev.Biochem.52:441;Green(1986)Annu.Rev.Genet.20: 671;Padgettら(1986)Annu.Rev.Biochem.55:1119;Transcription and splicin g(B.D.HamesおよびD.M.Glover編)中のKrainerおよひManiatis(1988)による 「RNAスプライシング」]。 通常、上記構成要素は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、および転写 終結配列を包含し、共に発現構築物を形成する。エンハンサー、機能的スプライ ス供与部位および受容部位を有するイントロン、およびリーダー配列もまた、所 望であれば、発現構築物中に含まれ得る。発現構築物は、しばしば、哺乳類細胞 または細菌のような宿主中で安定に維持され得る染色体外要素(例えば、プラス ミド)のようなレプリコン中に維持され得る。哺乳類の複製系は、複製にトラン ス作用因子を必要とする動物ウイルス由来の複製系を含む。例えば、SV40[Gluz man(1981)Cell 23:175]またはポリオーマウイルスのようなパポーバウイルス の複製系を有するプラスミドは、適切なウイルス性T抗原の存在下で、極端に多 いコピー数に至るまで複製する。哺乳類のレプリコンのさらなる例として、ウシ パピローマウイルスおよびエプスタイン−バールウイルス由来のレプリコンが挙 げられる。さらに、このレプリコンは、2種の複製系を有し得るため、レプリコ ンは、例えば、哺乳類細胞中には発現のために、そして原核宿主中にはクローニ ングおよび増幅のために維持され得る。このような哺乳動物-細菌シャトルベク ターの例として、pMT2[Kaufmanら、(1989)Mol.Cell.Biol.9:946]およびp HEBO[Shimizuら、(1986)Mol.Cell.Biol.6:1074]が挙げられる。 使用する形質転換の手順は、形質転換される宿主に依存する。異種ポリヌクレ オチドを哺乳類細胞中へ導入するための方法は、当業者に公知であり、デキスト ラン媒介トランスフェクション、リン酸カルシウム沈降法、ポリブレン媒介トラ ンスフェクション、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リポソーム 中へのポリヌクレオチドのカプセル化、および核中へのDNAの直接的なマイクロ インジェクションを包含する。 発現用の宿主として利用可能な哺乳類細胞株は、当業者に公知であり、そして アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)から入手可能な多くの 不死化細胞株を含み、これらとして、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞 、HeLa細胞、ベビーハムスター腎(BHK)細胞、サル腎培養細胞(COS)、ヒト肝 細胞癌細胞(例えば、Hep G2)、および他の多くの細胞株を挙げることができる が、それらに限定されない。 ii.バキュロウイルス系 タンパク質をコードするポリヌクレオチドもまた、適切な昆虫発現ベクター中 に挿入され得、そしてそのベクター内の制御要素に、作動可能に連結される。ベ クター構築は、当業者に公知の技術を用いる。 一般に、発現系の構成要素は、バキュロウイルスゲノムのフラグメントと異種 遺伝子または発現されるべき遺伝子の挿入に都合のよい制限部位との両方を含み 、そして通常は細菌のプラスミドである転移ベクター;転移ベクター中のバキュ ロ ウイルスに特異的なフラグメントと相同の配列を有する野生型バキュロウイルス (これは、異種遺伝子のバキュロウイルスゲノム中への相同的組換えを考慮に入 れる);および適切な昆虫宿主細胞および増殖培地を有する。 タンパク質をコードするDNA配列を、転移ベクター中に挿入した後、そのベク ターとウイルスゲノムとが再結合することが可能な昆虫宿主細胞中に、そのベク ターおよび野生型ウイルスゲノムをトランスフェクトする。パッケージされた組 換えウイルスを発現し、組換えプラークを同定し、そして精製する。バキュロウ イルス/昆虫細胞発現系の材料および方法は、キットの形状で、特に、Invitro gen、San Diego CA(「マックスバック(MaxBac)」キット)から、市販されて いる。これらの技術は、一般に当業者に公知であり、SummersおよびSmith、Texa s Agricultural Experiment Station Bulletin 1555号(1987)(以後、「Summe rsおよびSmith」と記載)中に完全に記載されている。 バキュロウイルスゲノム中にタンパク質をコードするDNA配列を挿入する前に 、プロモーター、(所望ならば)リーダー、目的とするコード配列、および転写 終結配列を含む上記構成要素を、通常、中間転位(transplacement)構築物(転 移ベクター)に組み立てる。この構築物は、単一の遺伝子、および作動可能に連 結された調節要素;それぞれが作動可能に連結された一連の調節要素を有する同 義遺伝子;または、それと同じ一連の調節要素により調節される同義遺伝子を含 み得る。中間転位構築物は、しばしば、細菌のような宿主中で安定に維持され得 る染色体外要素(例えば、プラスミド)のようなレプリコン中に維持される。こ のレプリコンは、複製系を有するため、レプリコンが、クローニグおよび増幅の ために適切な宿主中に維持され得る。 現在、外来遺伝子をAcNPV中に導入するために、最も一般的に使用される転移 ベクターはpAc373である。当業者に公知の多くの他のベクターもまた、設計され た。これらには、例えば、(ポリヘドリン開始コドンをATGからATTに変換し、そ のATTから32塩基対下流にBamHIクローニング部位を導入する)pVL985が包含され る;LuckowおよびSummers、Virology(1989)17:31を参照のこと。 通常、このプラスミドはまた、ポリヘドリンポリアデニル化シグナル(Miller ら、(1988)Ann.Rev.Microbiol.、42:177)、および、E.coli.中の選択お よび増殖のための原核生物のアンピリシン耐性(amp)遺伝子および複製起点を も含有する。 バキュロウイルス転移ベクターは、通常バキュロウイルスプロモーターを含有 する。バキュロウイルスプロモーターは、バキュロウイルスRNAポリメラーゼを 結合し、そしてコード配列(例えば、構造遺伝子)のmRNAへの下流(5'から3') 転写を開始し得る、あらゆるDNA配列である。プロモーターは、コード配列の5' 末端の付近に通常位置する転写開始領域を有する。この転写開始領域は、RNAポ リメラーゼ結合部位および転写開始部位を通常含有する。バキュロウイルス転写 ベクターはまた、エンハンサーと呼ばれる第2ドメインを有し得、これが存在す る場合、通常、このエンハンサーは構造遺伝子に対して遠位にある。発現は、調 節されるかあるいは構成的(constitutive)である。 ウイルス感染サイクルの終期に大量に転写される構造遺伝子は、特に有用なプ ロモーター配列を提供する。例として、ウイルスポリヘドロンタンパク質をコー ドする遺伝子から得られる配列、The Molecular Biology of Baculoviruses(Wa lter Doerfler編)中のFriesenら、(1986)「バキュロウイルス遺伝子発現の調 節」;欧州特許公開第127839号および第155476号;およびp10タンパク質をコー ドする遺伝子、Vlakら、(1988)、J.Gen.Virol.69:765が挙げられる。 適切なシグナル配列をコードするDNAは、バキュロウイルスポリヘドリン遺伝 子(Carbonellら(1988)Gene、73:409)のような、分泌された昆虫あるいはバ キュロウイルスタンパク質の遺伝子から得られ得る。あるいは、哺乳類細胞の翻 訳後の(シグナルペプチド切断、タンパク質分解性切断、およびリン酸化のよう な)改変に対するシグナルが昆虫細胞に認識されるらしく、また分泌および核蓄 積に必要なシグナルも、無脊椎動物細胞と脊椎動物細胞との間で保存されるらし いので、ヒトα-インターフェロン、Maedaら、(1985)、Nature 315:592;ヒト ガストリン放出ペプチド、Lebacq-Verheydenら、(1988)、Molec.Cell.Biol .8:3129;ヒトIL-2、Smithら、(1985)Proc.Nat'l Acad.Sci.USA、82:8404 ;マウスIL-3、(Miyajimaら、(1987)Gene 58:273;およびヒトグルコセレブ ロシダーゼ、Martinら、(1988)DNA、7:99をコードする遺伝子から得られるリ ーダーのような非昆虫起源のリーダーも、昆虫での分泌を促すために用い得る。 組換えポリペプチドまたはポリタンパク質は、細胞内で発現され得るか、また は適当な調節配列により発現される場合に分泌され得る。非融合外来タンパク質 の良好な細胞内発現は、通常、ATG開始シグナルの前に、適切な翻訳開始シグナ ルを含有する短いリーダー配列を理想的に有する異種遺伝子を必要とする。所望 であれば、N末端のメチオニンを、成熟したタンパク質から、臭化シアンを用い るインビトロのインキュベーションで切断し得る。 あるいは、天然には分泌されない組換えポリタンパク質またはタンパク質は、 昆虫内で、外来タンパク質の分泌を可能にするリーダー配列フラグメントを含む 融合タンパク質をコードするキメラDNA分子を作製することで、昆虫細胞から分 泌され得る。このリーダー配列フラグメントは、通常、タンパク質を小胞体中に 輸送する疎水性アミノ酸を含むシグナルペプチドをコードする。 タンパク質の発現産物前駆体をコードするDNA配列および/または遺伝子の挿 入の後、昆虫細胞宿主を、転移ベクターの異種DNAおよび野生型バキュロウイル スのゲノムDNAを用いて、同時形質転換する−−通常は、同時トランスフェクシ ョンによる。構築物のプロモーターおよび転写終結配列は、通常バキュロウイル スゲノムの2〜5kbの切片を含む。異種DNAをバキュロウイルス中の所望の部位に 導入する方法は、当業者に公知である。(SummersおよびSmith,上記;Juら(19 87);Smithら、Mol.Cell.Biol.(1983)3:2156;およびLuckowおよびSummers (1989)を参照のこと)。例えば、挿入は、相同的二重交差組換え(homologous double crossover recombination)により、ポリヘドリン遺伝子のような遺伝 子中に行われ得る;挿入は、所望のバキュロウイルス遺伝子中に設計される制限 酵素部位中にも行われ得る。Millerら、(1989)、Bioessays 4:91。このDNA配 列は、発現ベクター中のポリヘドリン遺伝子の場所にクローニングされた場合、 5'および3'の両方がポリヘドリン特異的配列により隣接され、ポリヘドリンプロ モーターの下流に位置する。 新しく形成されたバキュロウイルス発現ベクターを、続いて、感染性の組換え バキュロウイルス中にパッケージする。相同的組換えは、低い頻度(約1%と約5% との間)で発生する;そのため、同時トランスフェクションの後に生産されるウ イルスの大半は、まだ野生型ウイルスである。従って、組換えウイルスを同定す る方法が必要である。この発現系の利点は、組換えウイルスの識別を可能にする 視覚スクリーンである。天然のウイルスにより生産されるポリヘドリンタンパク 質は、感染細胞の核中で、ウイルス感染の後遅い時期に、非常に高いレベルで生 産される。蓄積されたポリヘドリンタンパク質は、包埋された粒子もまた含有す る閉塞体(occlusion bodies)を形成する。これらの閉塞体は、サイズが15μm までであり、屈折率が高いので、光学顕微鏡下で容易に可視化される、明るい光 沢のある外観を与えられる。組換えウイルスに感染された細胞は、閉塞体を欠く 。野生型ウイルスから組換えウイルスを識別するために、トランスフェクション 上清液を、当業者に公知の技術を用いて、昆虫細胞の単層上にプラークを形成さ せる。すなわち、プラークを、光学顕微鏡下で閉塞体の存在(野生型ウイルスを 示す)または非存在(組換えウイルスを示す)についてスクリーニングする。「 Current Protocols in Microbiology」第2巻(Ausubelら編)の16.8(10、1990 増補);SummersおよびSmith、上記;Millerら(1989)。 組換えバキュロウイルス発現ベクターが、いくつかの昆虫細胞中へ感染させる ために開発されている。例えば、組換えバキュロウイルスが、とりわけ以下の種 のために開発されている:Aedes aegypti、Autographa californica、Bombyx mo ri、Drosophila melanogaster、Spodoptera frugiperda、およびTrichoplusia n i(PCT公開WO 89/046699号;Carbonellら、(1985)J.Virol.56:153;Wright( 1986)Nature 321:718;Smithら、(1983)Mol.Cell.Biol.3:2156;および一 般的にはFraserら(1989)In Vitro Cell.Dev.Biol.25:225を参照のこと)。 細胞および細胞培地は、バキュロウイルス/発現系での、異種ポリペプチドの 直接発現および融合発現の両方のために、市販され入手可能である;細胞培養技 術は、通常、当業者に公知である。例えば、SummersおよびSmith,上記を参照の こと。 次いで、改変された昆虫細胞を、適切な栄養培地中で増殖させ得、改変された 昆虫宿主中に存在するプラスミドを安定して維持させる。発現産物の遺伝子が、 誘導可能な制御下におかれている場合、宿主は高密度に増殖し得、そして発現を 誘導し得る。または、発現が構成性である場合、生産物は培地中に継続的に発現 させ、そして、目的の生産物を除去して消耗した栄養分を増加させる間、栄養培 地は継続して一部取り換えなければならない。産物は、クロマトグラフィー、例 えば、HPLC、アフィニィティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフ ィーなど;電気泳動;密度勾配遠心分離;溶媒抽出などのような技術により精製 され得る。好適には、この生産物は、必要であれば、培地中に分泌されるか、ま たは昆虫細胞の溶解から生じるいかなる昆虫タンパク質をも実質的に除去するた めに、宿主の細片(例えば、タンパク質、脂質および多糖類)を少なくとも実質 的に含まない産物を提供するために、さらに精製され得る。 タンパク質発現を得るために、形質転換体に由来する組換え宿主細胞を、組換 えタンパク質コード配列を発現させる条件下でインキュベートする。これらの条 件は、選択される宿主細胞に依存して変化し得る。しかしながら、この条件は、 当該分野で周知の技術に基づいて、当業者が容易に確定し得る。 iii.細菌系 細菌発現技術は、当該分野で公知である。細菌プロモーターは、細菌RNAポリ メラーゼを結合し得、コード配列(例えば、構造遺伝子)のmRNAへの順方向(3' ')転写を開始させ得る任意のDNA配列である。プロモーターは、通常コード配列 の5'末端の近位に位置する転写開始領域を有する。この転写開始領域は、通常、 RNAポリメラーゼ結合部位および転写開始部位を含む。細菌プロモーターは、オ ペレーターと呼ばれる第2のドメインもまた含み、これはRNA合成が始まる、隣 接するRNAポリメラーゼ結合部位に重複し得る。遺伝子リプレッサータンパク質 がオペレーターに結合し得、それにより特定の遺伝子の転写を阻害するので、オ ペレーターは、負に調節された(誘導可能)転写を可能にする。構成性発現は、 オペレーターのような負の調節要素の非存在下で起こり得る。さらに、正の調節 は、遺伝子アクチベータータンパク質結合配列により達成され得る。この遺伝子 アクチベータータンパク質結合配列は、存在する場合、通常、RNAポリメラーゼ 結合配列の近位(5')にある。遺伝子アクチベータータンパク質の例には、Esch erichia coli(E.coli)のlacオペロンの転写の開始を助けるカタボライト活性 化タンパク質(CAP)[Ralbaudら(1984)Annu.Rev.Genet.18:173]がある。 従って、調節発現は、正または負のいずれかであり得、それにより、転写を増大 または低下させる。 代謝経路酵素をコードする配列は、特に有用なプロモーター配列を提供する。 例には、ガラクトース、ラクトース(lac)[Changら(1977)Nature 198:1056] およびマルトースのような糖類を代謝する酵素に由来するプロモーター配列が包 含される。さらに、例として、トリプトファン(trp)[Goeddelら(1980)Nuc .Acids Res.8:4057;Yelvertonら(1981)Nucl.Acids Res.9:731;米国特許 第4,738,921号;欧州特許公開第036 776号および第121 775号]のような生合成 酵素に由来するプロモーター配列が挙げられる。g-ラオタマーゼ(bla)プロモ ーター系[Interferon 3(I.Gresser編)中のWeissmann(1981)「インターフ ェロンおよび他の誤り(mistakes)のクローニング」]、バクテリオファージラ ムダPL[Shimatakeら(1981))Nature 292:128]およびT5[米国特許第4,689,40 6号]プロモーター系もまた、有用なプロモーター配列を提供する。 さらに、天然には存在しない合成プロモーターもまた、細菌プロモーターとし て機能する。例えば、ある細菌またはバクテリオファージプロモーターの転写活 性化配列を、他の細菌またはバクテリオファージプロモーターのオペロン配列と 連結し得、合成ハイブリッドプロモーターを生成する[米国特許第4,551,433号 ]。例えば、tacプロモーターは、lacリプレッサーにより調節されるtrpプロモ ーターおよびlacオペロン配列の両方を含むハイブリッドtrp-lacプロモーターで ある[Amannら(1983)Gene 25:167;de Boerら(1983)Proc.Natl.Acad.Sci .80:21]。さらに、細菌プロモーターは、細菌RNAポリメラーゼを結合し、転写 を開始する能力を有する、非細菌起源の天然に存在するプロモーターを含み得る 。非細菌起源の天然に存在するプロモーターはまた、適合するRNAポリメラーゼ と結合し得、原核細胞において、いくつかの遺伝子の高い発現レベルを生じさせ る。バクテリオファージT7のRNAポリメラーゼ/プロモーター系は、結合された プロモーター系の例である[Studierら(1986)J.Mol.Biol.189:113;Tabor ら(1985)Proc Natl.Acad.Sci.82:1074]。さらに、ハイブリッドプロモー ターはまた、バクテリオファージプロモーターおよびE.coliオペレーター領域 から構成され得る(欧州特許公開第267 851号)。 機能しているプロモーター配列に加えて、効果的なリボソーム結合部位もまた 、 原核細胞での外来遺伝子の発現に有用である。E.coliでは、リボソーム結合部 位は、シャイン-ダルガルノ配列(SD)と呼ばれ、開始コドン(ATG)および開始 コドンの3〜11ヌクレオチド上流に位置する3〜9ヌクレオチド長の配列を含む[S hineら(1975)Nature 254:34]。SD配列は、SD配列とE.coli 16S rRNAの3'末 端との間の塩基の対合により、リボソームへのmRNAの結合を促進すると考えられ る[Biological Regulation and Development:Gene Expression(R.F.Goldber ger編)中のSteitzら(1979)「メッセンジャーRNA中の遺伝シグナルおよびヌク レオチド配列」]。弱いリボソーム結合部位で真核遺伝子および原核遺伝子を発 現させること[Molecular Cloning:A Laboratory Manual中のSambrookら(1989 )「Escherichia coli.中でのクローニングされた遺伝子の発現」]。 DNA分子は、細胞内で発現され得る。プロモーター配列は、DNA分子と直接連結 され得、この場合N末端の最初のアミノ酸は、常にメチオニンでありこのメチオ ニンは、ATG開始コドンでコードされる。所望であれば、N-末端のメチオニンは 、臭化シアンを用いるインビトロのインキュベーションにより、または、細菌メ チオニンN末端ペプチダーゼを用いるインビボまたはインビトロでのいずれかの インキュベーションによりタンパク質から切断し得る(欧州特許公開第219 237 )。 融合タンパク質は、直接発現の代わりに用い得る。通常、内在性細菌タンパク 質のN末端部分または他の安定なタンパク質をコードするDNA配列を、異種コード 配列の5'末端に融合する。発現の際に、この構築物は、2種のアミノ酸配列の融 合を提供する。例えば、バクテリオファージラムダ細胞遺伝子は、外来遺伝子の 5'末端に連結され、細菌中で発現され得る。得られる融合タンパク質は、好適に は、プロセシング酵素(因子Xa)に対する部位を保持し、外来遺伝子からのバク テリオファージタンパク質を切断する[Nagaiら(1984)Nature309:810]。融合 タンパク質はまた、lacZ[Jiaら(1987)Gene 60:197)、trpE[Allenら(1987 )J.Biotechnol.5:93;Makoffら(1989)J.Gen.Microbiol.135:11]、およびC hey[欧州特許公開第324 647号]の遺伝子由来の配列を用いても作製され得る。 2つのアミノ酸配列の連結部のDNA配列は、切断部位をコードしても、しなくても よい。他の例は、ユビキチン融合タンパク質である。このような融合タンパク質 は、好適には、外来タンパク質からユビキチンを切断するプロセシング酵 素(例えば、ユビキチン特異的プロセシングプロテアーゼ)に対する部位を保持 するユビキチン領域で作られる。この方法により、天然の外来タンパク質が単離 され得る[Millerら(1989)Bio/Technology 7:698]。 あるいは、外来タンパク質を、細菌中で外来タンパク質を分泌させるシグナル ペプチド配列フラグメントを含む融合タンパク質をコードするキメラDNA分子を 作製することにより細胞から分泌させ得る[米国特許第4,336,336号]。シグナ ル配列フラグメントは、通常、細胞からのタンパク質の分泌を支配する疎水性ア ミノ酸を含むシグナルペプチドをコードする。タンパク質は、増殖培地(グラム 陽性菌)中、または細胞の内膜と外膜との間に位置する細胞周辺腔(グラム陰性 菌)中のいずれかに分泌される。好適には、シグナルペプチドフラグメントと外 来遺伝子との間でコードされた、インビボまたはインビトロで切断され得るプロ セシング部位がある。 適切なシグナル配列をコードするDNAは、E.coli外膜タンパク質遺伝子(ompA )[Experimental Manipulation of Gene Expression中のMasuiら(1983);Ghr ayebら(1984)EMBO J.3:2437]およびE.collアルカリホスファターゼシグナ ル配列(phoA)[Okaら(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.82:7212]のような、 分泌された細菌タンパク質に対する遺伝子に由来する。追加の例として、種々の Baclllus株由来のα-アミラーゼ遺伝子のシグナル配列を、B.subtilis由来の異 種タンパク質を分泌するために使用し得る[Palvaら(1982)Proc.Natl.Acad.Sc i.USA 79:5582;欧州特許公開第244 042号]。 通常、細菌により認識される転写終結配列は、翻訳停止コドンの3'に位置する 調節領域であり、そのため、プロモーターと共に、コード配列の側面に位置する 。これらの配列は、DNAによりコードされるポリペプチドに翻訳され得るmRNAの 転写を支配する。転写終結配列は、しばしば、転写の終了を助けるステムループ 構造(stem loop structures)を形成し得る約50ヌクレオチドのDNA配列を含む 。例としては、E.coliのtrp遺伝子および他の生合成遺伝子のような、強力なプ ロモーターを有する遺伝子由来の転写終結配列が挙げられる。 通常、プロモーター、シグナル配列(所望の場合)、目的のコード配列、およ び転写終結配列を包含する上記構成要素を組立てて、発現構築物を生成する。発 現構築物は、しばしば、細菌のような宿主中に安定して維持され得る染色体外要 素(例えばプラスミド)のようなレプリコン中に維持される。レプリコンは複製 系を有し、そのため、発現またはクローニングおよび増幅のいずれかのために、 原核生物宿主中で維持されることが可能になる。さらに、レプリコンは、高コピ ー数または低コピー数のいずれのプラスミドでもあり得る。高コピー数のプラス ミドは、一般的に約5〜約200、通常は約10〜約150に及ぶコピー数を有する。高 コピー数のプラスミドを含む宿主は、好適には、少なくとも約10、より好適には 少なくとも約20のプラスミドを含有する。高コピー数または低コピー数のいずれ かのベクターを、宿主におけるベクターおよび外来タンパク質の効果に依存して 、選択し得る。 あるいは、発現構築物を、組込みベクターを用いて、細菌ゲノム中に組込み得 る。組込みベクターは、通常、ベクターへの組込みを可能にする細菌染色体に相 同である少なくとも1つの配列を含む。組込みは、ベクター中の相同DNAと細菌 染色体との間の組換えの結果生じると思われる。例えば、種々のBacillus株由来 のDNAを用いて構築される組込みベクターは、Bacillus染色体中に組込む(欧州 特許公開第127 328号)。組込みベクターはまた、バクテリオファージまたはト ランスポゾン配列を含み得る。 通常、染色体外の組込み発現構築物は、選択可能なマーカーを含み得、形質転 換された細菌株の選別を可能にする。選択可能なマーカーは、細菌宿主中で発現 され得、アンピリシン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、カナマイシ ン(ネオマイシン)、およびテトラサイクリンのような薬剤に対する抵抗性を細 菌に与える遺伝子を含み得る[Daviesら(1978)Annu.Rev.Microbiol.32:469 ]。選択可能なマーカーはまた、ヒスチジン、トリプトファン、およびロイシン の生合成経路における遺伝子のような、生合成遺伝子を含み得る。 あるいは、上記構成要素のいくつかを、形質転換ベクター中に組み立て得る。 形質転換ベクターは、通常、上記のように、レプリコン中で維持されるか、また は組込みベクターに発展される選択可能なマーカー(selectable market)を含 む。 染色体外レプリコンまたは組込みベクターの発現および形質転換ベクターが、 多数の細菌への形質転換のために開発されている。例えば、発現ベクターが、と りわけ以下の細菌用に開発されている:Bacillus subtilis[Palvaら(1982)Pr oc.Natl.Acad.Sci.USA 79:5582;欧州特許公開第036 259号および第063 953 号;PCT公開WO 84/04541号]、Escherichia coli[Shimatakeら(1981)Nature 292:128;Amannら(1985)Gene 40:183;Studierら(1986)J.Mol.Biol.189: 113;欧州特許公開第036 776号、第136 829号および第136 907号]、Streptococ cus cremoris[Powellら(1988)Appl.Environ.Microbiol.54:655];Strept ococcus lividans[Powellら(1988)Appl.Environ.Microbiol.54:655]、St reptomyces lividans[米国特許第4,745,056号]。 細菌宿主に外因性DNAを導入する方法は、当該分野で周知であり、通常、CaCl2 処理した細菌の形質転換、または二価のカチオンおよびDMSOのような他の薬剤の いずれかを包含する。DNAはまた、細菌細胞中にエレクトロポーレーションによ っても導入され得る。形質転換手順は、通常、形質転換される細菌の種により異 なる。例えば、以下を参照のこと:[Massonら(1989)FEMS Microbiol.Lett. 60:273;Palvaら(1982)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:5582;欧州特許公開 第036 259号および第063 953号;PCT公開WO 84/04541号、Bacillus]、[Miller ら(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.85:856;Wangら(1990)J.Bacteriol.172 :949、Campylobacter]、[Cohenら(1973)Proc.Natl.Acad.Sci.69:2110; Dowerら(1988)Nucleic Acids Res.16:6127;Genetic Engineering:Proceedin gs of the International Symposium on Genetic Engineering(H.W.Boyerおよ びS.Nicosia編)中のKushner(1978)「ColE1-誘導プラスミドを用いるEscheri chia coliの形質転換の改良法」;Mandelら(1970)J.Mol.Biol.53:159;Tak eto(1988)Biochim.Biophys.Acta 949:318;Escherichia]、[Chassyら(19 87)FEMS Microbiol.Lett.44:173 Lactobacillus];[Fiedlerら(1988)Ana l.Biochem 170:38、Pseudomonas];[Augustinら(1990)FEMS Microbiol.Le tt.66:203、Staphylococcus]、[Baranyら(1980)J.Bacteriol.144:698;S treptococcal Genetics(J.FerrettiおよびR.Curtiss III編)中のHarlander (1987)「エレクトロポーレーションによるStreptococcus lactisの形質転換」 ;Perryら(1981)Infec.Immun.32:1295;Powellら(1988)Appl.Envi ron.Microblol.54:655;Somkutiら(1987)Proc.4th Evr.Cong.Biotechnol ogy 1:412、Streptococcus]。 iv.酵母発現 酵母発現系はまた、当業者には公知である。酵母プロモータ一は、酵母RNAポ リメラーゼを結合し、そしてコード配列(例えば、構造遺伝子)のmRNAへの下流 (3')の転写を開始し得る任意のDNA配列である。プロモーターは、通常、コード 配列の5'末端の近くに位置する転写開始領域を有する。この転写開始領域は、通 常、RNAポリメラーゼ結合部位(「TATAボックス」)および転写開始部位を含む 。酵母プロモーターはまた、上流アクチベーター配列(UAS)と呼ばれる第2ドメ インを有し得、この上流アクチベーター配列は、もし存在するならば、構造遺伝 子の遠方にある。UASは、調節された(誘導可能な)発現が可能である。構成性 発現は、UASが存在しない場合に起こる。調節された発現は正または負のいずれ かであり得、それにより転写を促進するか、または減退するかのいずれかであり 得る。 酵母は、活性な代謝経路を有する発酵生物であり、従って、代謝経路中の酵素 をコードする配列は、特に有用なプロモーター配列を提供する。例としては、ア ルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)(欧州特許公開第284044号)、エノラーゼ、グ ルコキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン 酸デヒドロゲナーゼ(GAPまたはGAPDH)、ヘキソキナーゼ、ホスホフラクトキナー ゼ、3-ホスホグリセレートムターゼ、およびピルビン酸キナーゼ(PyK)(欧州特 許公開第329203号)が挙げられる。酵母PH05遺伝子はまた、酸性ホスファターゼ をコードし、有用なプロモーター配列を提供する(Myanoharaら(1983)Proc.Nat l.Acad.Sci.USA 80:1)。 さらに、天然に存在しない合成プロモーターもまた酵母プロモーターとして機 能する。例えば、ある酵母プロモーターのUAS配列は、別の酵母プロモーターの 転写活性化領域と連結して、合成ハイブリッドプロモーターを創り得る。このよ うなハイブリッドプロモーターの例としては、GAP転写活性化領域に連結したADH 調節配列が挙げられる(米国特許第4,876,197号および第4,880,734号)。ハイブ リッドプロモーターの他の例としては、ADH2、GAL4、GAL10またはPH05遺伝子の いずれかの調節配列からなるプロモーターが挙げられ、これらは、GAPまたはPyK のような解糖酵素遺伝子の転写活性化領域と結合している(欧州特許公開第1645 56号)。さらに、酵母プロモーターは、酵母RNAポリメラーゼと結合して転写を 開始する能力を有する、非酵母起源の天然に存在するプロモーターを包含し得る 。このようなプロモーターの例としては、特に、(Cohenら(1980)Proc.Natl.A cad.Sci.USA 77:1078;Henikoffら(1981)Nature 283:835;Hollenbergら(1981 )Curr.Topics Microbiol.Immunol.96:119;Hollenbergら(1979)Plasmids of Medical,Environmental and Commercial Importance(K>N>TimmisおよびA.Puhl er編)の「酵母Saccharomyces cerevisiae中での細菌抗生物質耐性遺伝子の発現 」;Mercerau-Puigalonら(1980)Gene 11:163;Panthierら(1980)Curr.Genet.2 :109;)が挙げられる。 DNA分子は、酵母の細胞内で発現され得る。プロモーター配列は、DNA分子と直 接連結し得、その場合には、組換えタンパク質のN末端の最初のアミノ酸は常に メチオニンであり、そのメチオニンは、ATG開始コドンによりコードされる。所 望ならば、N末端のメチオニンは、インビトロで臭化シアンとインキュベーショ ンすることによりタンパク質から切り放され得る。 融合タンパク質は、酵母発現系に対して、および哺乳動物、バキュロウイルス および細菌の発現系において、代替物を提供する。通常、内在性酵母タンパク質 、または他の安定タンパク質のN末端部分をコードするDNA配列は、異種コード配 列の5'末端に融合する。発現すると、この構築物は2つのアミノ酸配列の融合を 提供する。例えば、酵母またはヒトのスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)遺伝 子は、外来遺伝子の5'末端で連結され得、そして酵母中で発現し得る。2つのア ミノ酸配列との連結部でのDNA配列は、切断可能な部位をコードし得るか、また はし得ない。例えば、欧州特許公開第196056号を参照のこと。別の例はユビキチ ン融合タンパク質である。そのような融合タンパク質は、外来タンパク質からユ ビキチンを切断するためのプロセシング酵素(例えば、ユビキチン特異的プロセ シングプロテアーゼ)に対する部位を好ましくは保持するユビキチン領域を用い て作られる。従って、この方法により、天然外来タンパク質が単離され得る(例 え ば、PCT公開公報WO88/024066号を参照のこと)。 あるいは、外来タンパク質はまた、外来タンパク質を酵母中で分泌するリーダ ー配列フラグメントを含有する融合タンパク質をコードするキメラDNA分子を創 り出すことにより細胞から増殖培地内へ分泌され得る。好ましくは、インビボま たはインビトロのいずれかで切り離され得る、リーダーフラグメントと外来遺伝 子との間でコードされるプロセシング部位が存在する。リーダー配列フラグメン トは、通常、細胞からのタンパク質の分泌を命令する疎水性アミノ酸を含有する シグナルペプチドをコードする。 適切なシグナル配列をコードするDNAは、分泌された酵母タンパク質の遺伝子 、例えば、酵母インベルターゼ遺伝子(欧州特許公開第012873号;JPO公告公報第 62,096,086号)およびA因子遺伝子(米国特許第4,588,684号)から誘導され得る。 あるいは、酵母中でも分泌する、インターフェロンリーダーのような非酵母起源 のリーダーが存在する(欧州特許公開第060057号)。 好ましいクラスの分泌リーダーは、「プレ」シグナル配列および「プロ」領域 の両方を含む、酵母アルファ因子遺伝子のフラグメントを用いるリーダーである 。用いられ得るアルファ因子フラグメントのタイプは、全長のプレ-プロアルフ ァ因子リーダー(約83個のアミノ酸残基)、および切形型アルファ因子リーダー (通常、約25〜約50個のアミノ酸残基)を包含する(米国特許第4,546,083号お よび4,870,008号;欧州特許公開第324274号)。分泌を行うアルファ因子リーダ ーフラグメントを用いる付加的リーダーは、2番目の酵母アルファ因子からのプ ロ領域ではなくて、1番目の酵母のプレ配列で作られるハイブリッドアルファ因 子リーダーを含有する(例えば、PCT公開公報WO 89/02463号を参照のこと)。 通常、酵母により認識される転写終結配列は、翻訳停止コドンの3'側に位置す る調節領域であり、従って、プロモーターと共にコード配列の側面に位置する。 これらの配列は、DNAによりコードされる、ポリペプチドへ翻訳され得るmRNAの 転写を命令する。転写終結配列、および酵母に認識される他の終結配列の例とし ては、解糖酵素をコードする配列などがある。 通常、上記の成分は、プロモーター、リーダー(所望ならば)、関連したコー ド配列、および転写終結配列を含み、発現構築物へ共に入れられる。発現構築物 は、しばしば、レプリコン、(例えば、酵母または細菌のような宿主内で安定し た維持が可能な染色体外要素(例えば、プラスミド)内に維持される。レプリコン は、2つの複製系を有し得ることにより、例えば、発現のための酵母内で、そし てクローニングおよび増幅のための原核生物宿主内で維持され得る。そのような 酵母-細菌シャトルベクターの例としては、YEp24(Botsteinら(1979)Gene8:17-2 4)、pCl/1(Brakeら(1984)Proc.Natl.Acad.Sci USA 81:4642〜4646)、およ びYRp17(Stinchcombら(1982)J.Mol.Biol.158:157)が挙げられる。さらに、 レプリコンは、高または低コピー数のプラスミドのいずれでもあり得る。高コピ ー数のプラスミドは、一般に、約5〜約200、そして通常は約10〜約150の範囲の コピー数を有する。高コピー数のプラスミドを含有する宿主は、好ましくは、少 なくとも約10、そしてさらに好ましくは少なくとも約20を有する。高または低コ ピー数のベクターを入れることが、宿主上のベクターおよび外来タンパク質の効 果に依存して、選択され得る。例えば、Brakeら上述を参照のこと。 あるいは、発現構築物は、組み込みベクターを用いて酵母ゲノム内へ組み込ま れ得る。組み込みベクターは、通常、ベクターが組み込ませる酵母染色体と相同 な、少なくとも1つの配列を含有し、そして好ましくは、発現構築物の側面に位 置する2つの相同な配列を含有する。ベクター内の相同DNAと酵母染色体との間 の組換えにより、組み込みが生じると考えられる(Orr-Weaverら(1983)Methods in Enzymol.101:228〜245)。組み込みベクターは、ベクター内に含有される適 切な相同配列を選択することにより、酵母内の特異的遺伝子座へ導かれ得る。Or r-Weaverら上述を参照のこと。1つまたはそれ以上の発現構築物が組み込み得、 おそらく産生する組換えタンパク質のレベルに影響する(Rineら(1983)のProc. Natl.Acad.Sci.USA 80:6750)。ベクター内に含有される染色体配列は、ベク ター内の1つのセグメント(ベクター全体の組み込みが生じる)として存在し得 るか、または染色体内の隣接するセグメントと相同であり、ベクター内の発現構 築物の側面に位置する2つのセグメント(発現構築物のみの安定な組み込みが生 じ得る)として存在し得るかのいずれかである。 通常、染色体外および組み込み発現構造物は、形質転換された酵母の菌株の選 択を可能にする選択可能なマーカーを含有し得る。選択可能なマーカーは、酵母 宿主(例えば、酵母細胞内でツニカマイシンおよびG418に対して耐性をそれぞれ 与える、ADE2、HIS4、LEU2、TRP1、およびALG7、ならびにG418耐性遺伝子)内で 発現され得る生合成遺伝子を含有し得る。さらに、適切な選択可能なマーカーは また、金属のような毒性化合物が存在しても増殖する能力を有する酵母を提供し 得る。例えば、CUP1が存在すると、酵母は銅イオンが存在しても増殖し得る(Bu ttら(1987)Microbiol.Rev.51:351)。 あるいは、上記成分のあるものは、形質転換ベクター内に共に入れられ得る。 形質転換ベクターは、通常、上記のように、レプリコン内で維持されるか、また は組込みベクターへと開発される、選択可能なマーカーを含有し得る。 発現および形質転換ベクターは、染色体外レプリコンまたは組み込みベクター のいずれかであり、多くの酵母への形質転換に対して開発された。例えば、発現 ベクターは、特に以下の酵母に対して開発された:Candida albicans(Kurtzら( 1986)Mol.Cell.Biol.6:142)、Candida maltose(Kunzeら(1985)J.Basic Mi crobiol.25:141)、Hansenula polymorpha(Gleesonら(1986)J.Gen.Microbio l.132:3459;Roggenkampら(1986)Mol.Gen.Genet.202:302)、Kluyveromyces fragilis(Dasら(1984)J.Bacteriol.158:1165)、Kluyveromyces lactis(De Louvencourtら(1983)J.Bacteriol.154:737;Van den Bergら(1990)Bio/Technol ogy 8:135)、Pichia guillerimondii(Kunzeら(1985)J.Basic Microbiol.25: 141)、Pichia pastoris(Creggら(1985)Mol.Cell.Biol.5:3376;米国特許第4 ,837,148号および第4,929,555号)、Saccharomyces cerevisiae(Hinnenら(1978 )Proc.Natl.Acad.Sci.USA 75:1929;Itoら(1983)J.Bacteriol.153:163)、 Schizosaccharomyces pombe(BeachおよびNurse(1981)Nature 300:706)、およ びYarrowia lipolytica(Davidowら(1985)Curr.Genet.10:380471;Gaillardin ら(1985)Curr.Genet.10:49)。 外因性DNAを酵母宿主へ導入する方法は、当該分野では周知であり、そして通 常は、スフェロプラストまたはアルカリカチオンで処理した無傷の酵母細胞の形 質転換のいずれかを含有する。形質転換の手順は、通常、形質転換される酵母の 種によりさまざまである。例えば、(Kurtzら(1986)Mol.Cell.Biol.6:142;Ku nzeら(1985)J.Basic Microbiol.25:141;Candida);(Gleesonら(1986)J. Gen.Microbiol.132:3459;Roggenkampら(1986)Mol.Gen.Genet.202:302;Hans enula);(Dasら(1984)J.Bacteriol.158:1165;De Louvencourtら(1983)J.Bac teriol.154:1165;Van den Bergら(1990)Bio/Technology 8:135;Kluyveromyces );(Creggら(1985)Mol.Cell.Biol.5:3376;Kunzeら(1985)J.Basic Microbio l.25:141;米国特許第4,837,148号および4,929,555号;Pichia);(Hinnenら(197 8)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 75:1929;Itoら(1983)J.Bacteriol.153:163;Sa ccharomyces);(BeachおよびNurse(1981)Nature 300:706;Schizosaccharomyces );(Davidowら(1985)Curr.Genet.10:39;Gaillardinら(1985)Curr.Genet.1 0:49;Yarrowia)を参照のこと。 1 CT-S106変異体の調製 1.1 CT DNAの供給源 pJM17プラスミドの1.1kbのXbaI-HindIIIフラグメント(Pearsonら、(1982)PNA S USA 79:2976-2980)(ctxAB遺伝子を含む)を、以下のオリゴヌクレオチドプ ライマーを用いて、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅した: 5'GGCAGATTCTAGACCTCCTGATGAAATAAA3'(ctxA) および 5'TGAAGTTTGGCGAAGCTTCTTAATTTGCCATACTAATTGCG3'(ctxB) (5'XbaI部位は、pJM17における部位に対応し、そして3'HindIII部位は、PCR手 順によって作製した)。増幅されるXbaI-HindIIIフラグメントを、pEMBL19ベク ターにサブクローニングし(Denteら、(1983)NAR 11:1645-1655)、pEMBL19-CT ベクターを生成し、これを部位特異的変異誘発(Zollerら、(1982)NAR 1O:6487 )に用いた。 1.2 変異の方法 部位特異的変異誘発を、Zollerの方法(上記を参照のこと)に従って、pEMBL1 9-CTプラスミドの一本鎖DNAで行った。以下のオリゴヌクレオチドを用いて、: 5'GGCATACAGTAGCCATCCAGA3'(オリゴCT-S106) Pro106のコドンをSerコドンに変異した。 1.3CT-S106変異体の発現および精製 S106変異(Pro106→Ser)を含む変異したXbaI-HindIIIフラグメントをCTプロ モーターの制御下で、pGEM-3ベクター(Promega,Madison,USA)中にサブクロ ーニングし、pGEM/CT-S106ベクターを生成した。V.cholerae 0395-NT株を、エ レクトロポレーション(Sambrookら、(1989)Molecular cloning-A laboratoryma nual.Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY)によ って、pGEM/CT-S106プラスミドで形質転換した。変異タンパク質を、V.cholerae 株の培養上清から精製し、そして精製した。 形質転換したV.choleraeを、Syncase改変培地(Lebensら、(1993)Biotechnolo gy 11:1574-1578)中で培養した後、培養物を遠心分離し、そして分泌した可溶 性CT-S106タンパク質を、2.5g/lヘキサメタリン酸ナトリウム(sodium hexameta phosphate)を添加することにより培養上清から沈殿させ、次いで、濃塩酸でpH4 .5に調整した(Rappaportら、(1974)Infect.Immun.9:294)。遠心分離後、得 られる沈殿を、0.1Mリン酸ナトリウム(pH8)に再溶解させ、10mMリン酸ナトリ ウム(pH7)に対して透析し(Mekalanosら、(1988)Methods Enzymol.165:169-1 75)、そしてCM-Sepharoseカラム(Pharmacia LKB,Uppsala,Sweden)にロード した。カラムを、最初に20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)で溶出し、次い で40mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.5)で溶出した。 2 CT-S106変異体の特性 2.1 毒性 Y1細胞における毒性活性 CTによって生じたY1副腎細胞上の形態学的な変化(Dontaら、(1973)Science18 3:334)を用いて、CT-S106変異体の毒性活性を検出した。25μlの培地(2mMの グルタミン、50mgのゲンタマイシン、1.5%ウマ血清を補充した栄養素混合物Ham 'sF-10)をマイクロタイタープレートの各ウェルに添加した。80pgの野生型CT または18.75μgのCT-S106を含む25μlのタンパク質溶液を、第1のウェルに添 加し、次いで12の連続1:2希釈を作製した(1:4096まで)。50,000の細胞を各 ウェルに添加し(200μl容量)、次いでプレートを95%空気、5%CO2の加湿さ れた雰囲気中で、37℃でインキュベートした。結果は、48時間のインキュベーシ ョン後に、倒立顕微鏡を用いて、ウェルの視覚検査によって記録した。 野生型CTは、1:4希釈まで毒性であり、そして1:8希釈から非毒性であっ た;CT-S106は、1:32希釈まで毒性であり、そして1:64希釈から非毒性であ った。 従って、CTは、10pg/ウェル以上の濃度で毒性であり、そして5pg/ウェル以 下の濃度で非毒性である;CT-S106は、0.6μg/ウェル以上の濃度で毒性であり 、そして0.3μg/ウェル以下の濃度で非毒性である。これは、毒性の30,000倍の 減少を示す。 ウサギ回腸ループアッセイ ニュージーランド成体ウサギ(約2.5kg)を、アッセイに使用した。このウサ ギを、24時間飢餓させた後、試験した。手術の前に、ウサギを麻酔し手術テーブ ル上に固定した。ウサギの腹部をメスで切開し、そして小腸を摘出した。盲腸を 確認し、そして小腸のこの管から(胃に向かって)20〜30cm離れたところで12〜14 ループを胃に近い小腸のおおよその端まで作製した(各々5〜6cmの長さ)。 PBS緩衝液中の野生型CTの5つの1mlサンプルを、1.00、0.50、0.25、0.10、0 .05μg/mlの濃度で調製した。変異体CT-S106を同様に希釈し、750、100、10、1 、0.5μg/mlの濃度の5つの1mlサンプルを得た。このサンプルを別々の回腸ル ープに注入し、コントロールループは1mのPBSを受けた。次いで、腹部を閉じた 。 18〜20時間後、各ループに蓄積した液体の容量を、注射器で測定した。各ルー プの長さを再び測定した。4匹の異なるウサギからの結果(ループの単位長あた りの液体の容量(ml/cm)として表される)を、表1および2に報告する。 これらのデータは、ほんの50ngの野生型CTが、ウサギの回腸ループにおける液 体の蓄積を誘導し得たのに対し、100μgのCT-S106は有意な液体の蓄積を生じず 、750μgのCT-S106が必要だったことを示す。 表1:野生型CTの毒性曲線 トキシンのμg 1.00 0.50 0.25 0.10 0.05 ループ中の液体(ml/cm) 2.0 2.0 2.0 1.8 1.3 表2:変異体CT-S106の毒性曲線 トキシンのμg 750 100 10 1 0.5 ループ中の液体(ml/cm) 1.6 0.1 0.0 0.0 0.0 2.2 免疫原性およびアジュバント活性 CT-S106の粘膜免疫原性およびそのアジュバント活性を、Douceら(PNAS 92,1 644-1648(1995))のプロトコルを用いて試験した。5匹のマウスを1μgのCTま たはCT-S106および10μgの破傷風トキシンのフラグメントCで、鼻腔内に免疫し た。全ての動物を、1日目および22日目に免疫した。応答の後に、0日および 21日に回収したサンプル出血をアッセイした。35日目にマウスを、100×LD50破 傷風トキシンで抗原投与した(破傷風トキシンは完全に活性ではなく、そのため 100×LD50を10×LD50の代わりに用いた)。この結果を、表3および4に示す。 これらのデータは、破傷風トキシンのフラグメントC単独での鼻腔内免疫化が 、後の抗原投与に対して防御できないことを示す。しかし、CT-S106のさらなる 存在は、破傷風トキシンでの致命的な抗原投与に対して防御し、このことは、CT -S106が粘膜アジュバントとして作用することを示す。 CT特異的抗体を、GM1捕獲ELISA(Douceら)を用いて測定した。プレートを、1 00μl/ウェルの1.5μg/ml GM1ガングリオシド溶液(Sigma Chemical Co.,St. Louis,USA)で、4℃で一晩コートした。プレートをPBS/T(PBS+0.05% Tween 20)で3回洗浄した。200μl/ウェルの1%BSAを添加し、そしてプレートを37 ℃で1時間インキュベートした。100μl/ウェルのCTを添加し、そして4℃で一 晩インキュベートした。各マウスからの血清の希釈物(1:50希釈および8連続 1:5希釈)を、ウェルに添加した。次いで、プレートを37℃で2時間インキュ ベートし、上記のように洗浄し、そしてアルカリホスファターゼに結合した抗マ ウス免疫グロブリンG(Sigma)とともにインキュベートした。3回の洗浄の後、 アルカリホスファターゼの基質(pNPP)を添加し、そして405nmでの吸光度を読 んだ。ELISA力価を、OD405=0.3に対応する希釈として任意に決定した。 フラグメントC特異的抗体を、ELISAを用いて測定した。プレートを、50μ/ウ ェルのPBSに希釈した10μg/ml破傷風トキソイドで、4℃で一晩コートした。プ レートを、PBS/Tで3回洗浄した。200μl/ウェルの1%BSAを添加し、そしてプ レートを37℃で1時間インキュベートした。各マウスからの血清の希釈物(1: 50希釈および8連続1:5希釈)を、ウェルに添加した。プレートを37℃で2時 間インキュベートし、上記のように洗浄し、そしてアルカリホスファターゼに結 合した抗マウス免疫グロブリンG(Sigma)とともにインキュベートした。3回の 洗浄の後、アルカリホスファターゼの基質(pNPP)を添加し、そして405nmでの 吸光度を読んだ。ELISA力価を、OD405=0.3に対応する希釈として任意に決定し た。 本発明は、例示の目的のみで上に記載され、改変は本発明の範囲および精神の 範囲内で行われ得ることが理解される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/21 C12N 1/21 5/10 C12P 21/00 C C12P 21/00 C12N 5/00 A (72)発明者 ピッツァ,マリアグラツィア イタリア国 イ―53100 シエナ,ビア フィオレンティーナ 1,イスティトゥテ ィオ リセルシェ イミュノバイオロジシ ェ シエナ内 (72)発明者 ラッポウリ,リノ イタリア国 イ―53100 シエナ,ビア フィオレンティーナ 1,イスティトゥテ ィオ リセルシェ イミュノバイオロジシ ェ シエナ内

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.少なくとも1つのアミノ酸が別のアミノ酸で置換されているコレラトキシン (CT-A)またはそのフラグメントのサブユニットAのアミノ酸配列を包含する免 疫原性無毒化タンパク質であって、精製された形態においてその天然に存在する 対応物よりも10000倍を超えてより低い残留毒性を示すことを特徴とする、免疫 原性無毒化タンパク質。 2.Pro‐106位、またはその対応する位置のアミノ酸が、別のアミノ酸で置換さ れている、請求項1に記載の免疫原性無毒化タンパク質。 3.請求項1または2に記載の免疫原性無毒化タンパク質および薬学的に受容可 能なキャリアを包含する、ワクチン組成物。 4.アジュバントをさらに含む、請求項3に記載のワクチン組成物。 5.第二の免疫原性抗原をさらに含む、請求項3に記載のワクチン組成物。 6.請求項1または2に記載の免疫原性無毒化タンパク質をコードする、DNA配 列。 7.請求項6に記載のDNAを保有する、ベクター。 8.請求項7に記載のベクターで形質転換される、宿主細胞株。 9.請求項8に記載の宿主細胞を培養する工程を包含する、請求項1または2に 記載の免疫原性無毒化タンパク質の産生のためのプロセス。 10.請求項6に記載のDNAの産生のためのプロセスであって、CT-Aまたはその フラグメントをコードするDNAを部位特異的変異誘発に供する工程を包含する、 プロセス。 11.哺乳動物をVibrio choleraeに対してワクチン接種する方法であって、免 疫学的に有効な量の請求項1または2に記載の免疫原性無毒化タンパク質を投与 する工程を包含する、方法。 12.被験体における疾患の予防または処置のための方法であって、免疫学的に 有効な用量の請求項3〜5のいずれかに記載の組成物を該被験体に投与する工程 を包含する、方法。 13.請求項3〜5に記載のワクチン組成物の処方のためのプロセスであって、 請求項1に記載の免疫原性無毒化タンパク質を、薬学的に受容可能なキャリアと 会合させる工程を包含する、プロセス。 14.請求項4に記載のワクチンの処方のためのプロセスであって、請求項1に 記載の免疫原性無毒化タンパク質を、アジュバントと会合させる工程を包含する 、プロセス。 15.請求項5に記載のワクチンの処方のためのプロセスであって、請求項1に 記載の免疫原性無毒化タンパク質を、第二の抗原と会合させる工程を包含する、 プロセス。
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