JP2000505821A - 発光装置およびその中で使用する分子 - Google Patents

発光装置およびその中で使用する分子

Info

Publication number
JP2000505821A
JP2000505821A JP11518742A JP51874299A JP2000505821A JP 2000505821 A JP2000505821 A JP 2000505821A JP 11518742 A JP11518742 A JP 11518742A JP 51874299 A JP51874299 A JP 51874299A JP 2000505821 A JP2000505821 A JP 2000505821A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
entity
molecule
electrode
substrate
tunnel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP11518742A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3341902B2 (ja
Inventor
ギムゼフスキ、ジェームズ、ケイ
ゲレ、ピェール・エル
ラングレ、ヴェロ
シュリットラー、レト・アール
Original Assignee
インターナシヨナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーシヨン
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by インターナシヨナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーシヨン filed Critical インターナシヨナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーシヨン
Publication of JP2000505821A publication Critical patent/JP2000505821A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3341902B2 publication Critical patent/JP3341902B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C13/00Cyclic hydrocarbons containing rings other than, or in addition to, six-membered aromatic rings
    • C07C13/28Polycyclic hydrocarbons or acyclic hydrocarbon derivatives thereof
    • C07C13/32Polycyclic hydrocarbons or acyclic hydrocarbon derivatives thereof with condensed rings
    • C07C13/62Polycyclic hydrocarbons or acyclic hydrocarbon derivatives thereof with condensed rings with more than three condensed rings

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)
  • Led Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 発光を生み出す装置は、第2電極からトンネル距離に位置する第1電極上に位置決めされた、少なくとも1つの分子を含む。この分子は、中央エンティティを第1電極から電気的に切断する少なくとも1つの周辺エンティティに結合された中央エンティティを含む。このことは、中央エンティティが直接第1電極に化学吸着または物理吸着されていないことを意味する。この装置は、トンネル電流がこの分子を流れるように電圧を印加するための電圧印加手段を含む。

Description

【発明の詳細な説明】 発光装置およびその中で使用する分子 本発明は、光を発生する装置、およびその中で使用する分子に関する。さらに 詳細には、本発明は、間に分子を挟んでトンネル距離にある2つの電極を含む装 置に関する。この分子は、中央エンティティ(entity)とも呼ばれる第1エンテ ィティと、その分子の中央エンティティをそれが載る電極から電気的に切断する 、周辺エンティティとも呼ばれる少なくとも1つの第2エンティティとを含む。 「電気的に切断(decouple)する」という用語は、中央エンティティと電極の間 の距離を、分子が電極上に化学吸着または物理吸着された場合より大きく保つ助 けとなる要素として働く作用として理解されたい。換言すれば、ここで述べる意 味で電気的に切断された第1エンティティとその電極との相互作用は、物理吸着 または化学吸着された第1エンティティとその電極との相互作用より小さい。こ の相互作用は、通常は、第1エンティティの軌道と電極の軌道との重なりによっ て定義される。 発明の技術分野および背景 走査トンネル顕微鏡を用いて、トンネル接合の特性が調査されている。 Proc.NATO ARW on Near-Field Optics(SNOM),Besancon,France、1992 年10月26日から28日、333〜340ページの、Gimzewski、Berndt、Sch littler、Kinnon、Wel land、Wong、Dumas、Syrikii、Salvan、およびHallimaouiによる「Optical Spec troscopy and microscopy using scanning tunneling microscopy」と題する刊 行物によれば、金属チップと金属または半導体の試料表面との間のトンネル電流 は、弾性電子トンネル・プロセス、およびチップ試料領域からの光子の放出を引 き起こす非弾性プロセスからなることが分かっている。 チップと金属基板との間のトンネル接合についてのより詳細な情報は、Proc. NATO ARW on Photons and Local Probes、189〜208ページの、Gimzewski による「Photon emission from STM:Concepts」に見ることができる。金属表面 は、一定のトンネル電流に対して、約3.5Vの立ち上がり電圧から始まるいく つかの極大値を有する発光強度分布を示す。 Surface Science、1994年、1033〜1037ページの、Berndt、Gaisc h、Schneider、Gimzewski、Reihl、Schlittler、およびTschudyによる「Sub-nan ometer lateral resolution in photon emission from C60 molecules on Au(11 0)」と題する論文では、走査トンネル顕微鏡のチップを局在電子源として使用し て、Au(110)表面上の整列した単分子層のC60分子のからの光子の放出を 励起している。分子からの光子放出強度は、その下のAu基板から観察された強 度の約3分の1である。チップの試料への近接近は、チップおよび試料によって 形成される空洞中の強い電界を特徴とし、したがってトンネル電子と強く相互作 用する、局在化プラズ モン・モードを誘導する。Au基板からの光子の放出は、C60分子をトンネルす るときに強く抑制される。 発明の目的および利点 請求項1によれば本発明の目的は、従来知られている装置より高い効率で光を 発生することができる装置を提供することである。 得られる発光効率は、OLED、およびポーラスシリコンなどのその他の既知 の発光素子で見られる外部効率より数桁大きい。したがって、これは、多くの光 を必要とし、かつ/またはわずかな電力しか使用することができない、かつ/ま たはわずかな空間しか使用することができないような、広範囲な適用分野を提供 する。 互いに対して相対的に移動できるように周辺エンティティが中央エンティティ に結合されると、分子は、その間にトンネル接合部を有する電極によって構築さ れた空洞に適合することができる。この適合は、放射遷移の周波数スペクトル、 特にΠ−Π*遷移の周波数スペクトルの強度ピークと、チップ誘導プラズモン・ モード(tip-induced plasmon mode)の周波数スペクトルの強度ピークとの間の より良好な合致を生じるものと考えられる。この適合は、滑らかな遷移、および 振動遷移として起こることができる。 分子は、第1電極にピン止めすることができるときには、対応するピンニング 電圧を印加することによって2つの電極 の間に固定することができる。この方法では、ピンニング電圧を印加して、第1 電極上に気相で存在する多数の分子の中のある分子をうまくピン止めする。ピン ニングにより、分子を強制的に発光を生み出すのにより適した立体配座にする。 分子は、第1電極と第2電極の間の空洞のスペクトルの強度ピークの周波数と 少なくともほぼ等しい放射周波数、特にΠ−Π*遷移の周波数を有するときには 、適合を受ける必要はない。 中央エンティティが周辺エンティティと比較して基本的に平面状の立体配座で あるときには、中央エンティティと第1電極の間のただ1つの距離を制御すれば よいので、電気的切断の前提条件はより容易に満たされる。 第1電極が結晶基板を備えるときには、分子が載ることのできる固有結合位置 をこの基板が提供するので、この分子をより容易にピン止めすることができる、 すなわちこの分子はより容易に水平方向に固定された位置に留まる。また、結晶 構造が分子を強制的に回転させ、またはその形状を変化させ、あるいはその両方 を行って、分子が最も効率的に発光するのに必要な立体配座に自動的に等しく、 またはこれに近くなる、最良のエピタキシャル合致条件および/または立体配座 を見い出すことも可能である。 発明の概要 本発明は、互いにトンネル距離にある2つの電極を含む装 置中で、発光体として分子を使用することに関する。このようなトンネル距離は 、ナノメートルの範囲を超えるよりはナノメートル以下の範囲となる方がよく、 電極間でトンネル電流を流すことができる距離である。 分子は、例えば、テトラサイクリンを中央エンティティとし、第3ブチルを中 央エンティティに対して移動可能な周辺エンティティとして、第3ブチルで置換 したテトラサイクリンである。分子は、そのエンティティの状態に依存して、い くつかの安定または準安定の立体配座を有する。これらの状態は、分子の内部結 合力、すなわち周辺エンティティと中央エンティティとの間の結合力、およびエ ンティティと環境との間の結合力によって決定される。分子は、電極の一方とし て働く結晶基板上に位置することが好ましい。したがって、分子の内力および基 板に対する力が立体配座を決定する。第1立体配座では、周辺エンティティは、 中央エンティティと基板との間の力より優勢な基板に対する結合力を有する。換 言すれば、中央エンティティは、それと基板との間の力が基板と周辺エンティテ ィとの間の力より弱くなるほど基板から離れている。ただし、周辺エンティティ と基板との間の結合力は、分子がその水平位置で固定されない程度に十分に弱い 。したがって、分子は、室温で基板表面上を浮動する。 もう1つの立体配座は、中央エンティティと基板との間の力によって支配され る。この場合には、中央エンティティは、結合力が中央エンティティを基板に保 持するのに十分なほど 基板に接近している。この立体配座では、分子はその位置のまま保たれ、したが ってピン止め立体配座とも呼ばれる。この立体配座の周辺エンティティは、何ら かの方法で変形され、または屈曲する、あるいはより一般的にはそれらの平衡位 置すなわちそれらが第1立体配座でとる位置から動かされる。中央エンティティ と基板との間の保持力は、分子を第1立体配座に戻そうとする周辺エンティティ と中央エンティティとの間の結果的に生じる復元力より強い。分子は、基板と中 央エンティティとの間および周辺エンティティと基板との間の合成力によって不 動となる。 分子は、2つの安定した立体配座間で切り替わることができる。この切替は、 電圧によって誘導されるが、機械的エネルギーを介して起こることもできる。こ の切替は可逆である。ただし、選択した分子のタイプによっては不可逆な切替と なる可能性もある。 基板中に電流が流れることができると、発光が起こる。基板は、所定の表面構 造、すなわち結晶基板ではそれに存在する結晶面を有することができる。発光は 、{111}面や{100}面など、様々な面で起こる。銅、金、または銀は、 この効果が見られる例示的な基板材料である。多結晶材料やアモルファス材料な ど、その他の基板材料も同様に働く。 STMのチップは、基板に対して電磁気空洞を構築する。周辺エンティティは 、基板に対する中央エンティティについてのスペーサとして働く。チップの材料 または非導電チップ の被覆として、タングステンその他の金属を選択することができる。発光をさら に促進することができるその他のチップ材料を選択することもできる。 この効果は、電磁気空洞と、対称性などの分子の特性または分子のエネルギー 準位/軌道の配列あるいはその両方との間の相乗プロセスとして理解される。例 示的に使用されるテトラサイクリンなど、適当な分子は、立体配座のフレキシビ リティ(flexibility)を有する。このことは、適当な分子は2つ以上の安定状 態を有する必要がなく、様々な不安定な立体配座を有することができることを意 味する。空洞との相互作用の結果として時とともに立体配座が変化するタイプに することもできる。 基板の電子または結晶あるいはその両方の構造は、発光の色、したがってその 波長または周波数を決定する役割を果たすこともできる。分子が基板上に載って いるときには、その立体配座は少なくとも部分的にはその基板の構造によって決 定される。中央エンティティと基板との間の距離もやはり立体配座によって直接 決定され、したがってその結果生じる分子の電子レベルも決定される。 この考えは、その中央エンティティが基板表面から間隔をあけるように、基板 上のスペーサとして働く周辺エンティティの上に位置する分子を基板上に設け、 電極間を流れる電流を与えることによって発光を生じるものである。この電流は 、少なくとも部分的には分子を通って流れることができる。分 子が固有の立体配座のフレキシビリティを有するときには、発光の強度は増加す る。電流は、好ましくは中央エンティティに近接するトンネル・チップによって 提供される。分子のフレキシビリティは、基板によって影響を受けることがある 。 可能な配列は、その立体配座の一方で結晶基板上に載り、電流を供給されて、 その2つの立体配座の間で交互に切り替わるか、またはほぼ安定した立体配座の 周りで振動する、少なくとも双安定の分子である。圧力、湿度、および温度とい ったパラメータは、それらが任意の通常のトンネル・プロセスを妨げることにな る範囲を除けば重要でないと考えられる。 図面の説明 本発明の例を図面に示し、例示を目的として以下に詳細に記述する。 第1図は、基板上のチップおよび分子の配列を示す図である。 第2図は、第1のタイプの分子を示す図である。 第3図は、第2のタイプの分子を示す図である。 第4図は、1つの分子について、電圧およびトンネル電流の関数として光子強 度を示す図である。 第5図は、発光現象を説明するために使用される図である。 全ての図は、分かりやすくするために実際の寸法では示しておらず、また各寸 法の間の関係も実際の比率では示していない。 発明の詳細な説明 以下に、本発明の様々な例示的な実施形態を記述する。 第1図に、発光を生じさせる配列を示す。導電性基板1の形状をした第1電極 は、単一の分子5を担持する。分子5の上に第2電極6として、動作電圧に応答 してチップ6と基板1の間を電子がトンネル効果で通り抜け、それによりトンネ ル電流Itを発生させることができる距離に、微細な導電性チップ6が配列され る。基板1は、{111}方向に切断した銅結晶などの導電性結晶材料である。 トンネル電流Itが流れているときには、分子5はエネルギーhνの光を放出す る。適当な環境にチップ6を提供する装置として、従来のSTM(走査トンネル 顕微鏡)を使用することができる。チップ6は例えば、タングステンで作成また は被覆することも、その他任意の導電性材料で作成する、または例えば金で被覆 したガラスなどその他任意の導電性材料で被覆することもできる。 第2図に、第1図の分子5をさらに詳細に示す。分子5は、ここでは六角およ び五角の芳香族炭素環からなる、以下では中央エンティティ4と呼ぶ第1エンテ ィティを含む。この図では、炭素原子は黒色の円盤で示す。分かりやすくするた めに末端の水素原子は示していない。中央エンティティ4には、以下ではt−ブ チルまたはt−BU付着物とも呼ぶ第3ブチルが付随したフェニル基からなる、 以下では周辺エンティティ3と呼ぶ4つの第2エンティティが結合される。この 図で は、tブチル付着物は白色の円盤で示す。周辺エンティティ3は、導電性基板1 と接触し、中央エンティティ4を基板1の表面から離して保持することができる 分子5の一部分を表すので、以下では「レッグ(脚;legs)」とも呼ぶ、中央エ ンティティ4は、中央エンティティ4に対して相対的に様々に異なる位置を有す ることができるレッグ3と比較すると、ここでは基本的に平面状の空間構造を有 する。こうした異なる位置は、分子5の立体配座と呼ばれる。したがって分子5 は、ある意味で、可動脚部を有するテーブルにたとえることができる。この分子 5の2つの立体配座の間の変化は、急激なプロセスがなく、環境の影響に依存し た、滑らかな遷移である。 分子5は、ステップのエッジで核形成し、またはテラス土に2次元気体状態相 で存在して、基板1に付着する。この気体状態相を、以下では第1立体配座と定 義する。この第1立体配座で、中央エンティティ4は、中央エンティティ4と基 板1との間の結合力を無視できるほど十分に基板表面から間隔をあけて位置決め される。しかし、レッグ3と基板1との間の結合力は、分子5を基板1に付着し た状態に保つが、これは垂直方向のみである。分子5は水平方向には可動状態の ままとなり、例えば熱励起によって基板表面上で流動する。この状態は、分子5 の2次元気相とも呼ばれる。 第2立体配座は、中央エンティティ4が基板1に十分に接近し、中央エンティ ティ4と基板1の間の結合力が大幅に増 大し、分子5の水平方向の定着をもたらすときの分子5の状態として定義される 。この立体配座は、分子5の「ピン止め状態」とも呼ばれる。しかし、この状態 では、分子5の中央エンティティ4は依然として電気的には基板1から切断され たままであり、これは、そのΠz軌道が基板1のそれぞれのΠz軌道と強く混合し ていないことを意味する。 これと対照的に、分子5の中央エンティティ4は、基板表面に化学吸着または 物理吸着された場合には、基板1に電気的に結合することになる。切断状態の分 子5の中央エンティティ4と基板1との間の距離は、基板1上に化学吸着または 物理吸着された場合より離れている。換言すれば、中央エンティティ4と基板1 との間の相互作用長さは、切断状態の方が短くなる。この相互作用長さは、基板 1の軌道と中央エンティティ4の軌道とが重なる長さである。一般に、分子5の 中央エンティティ4は、基板1上に化学吸着または物理吸着されていないときは 、切断状態にある。中央エンティティ4が切断されていることは、周辺エンティ ティ3も切断されていることを意味するわけではない。周辺エンティティ3は、 例えばそれが基板1で化学吸着および/または物理吸着されることにより、中央 エンティティ4を間接的に基板1に結合する中間要素として機能することができ る。こうして、中央エンティティ4が基板1に直接結合されたわけではないが、 分子5が基板1に電気的に結合されたものと見なすことができる。したがって、 ここで述べる意味では、中央エンティテ ィ4は基板1に直接電気的に結合されず、したがって基板1に直接化学吸着また は物理吸着されない。 2.5Vを超える電圧を、その中の分子5とのトンネル接合部に印加すると、 分子5は第1立体配座からピン止め状態となる。この動作電圧の値は、ピンニン グ電圧と呼ばれる。いくつかの分子5が気相からピン止め状態になると、これら の分子5は、自己集合して基板表面上で2次元アイランドとなる。分子5の中央 エンティティ4はまた、分子5がチップ6から電気的に切断されている距離だけ チップ6から離れている。 分子5は、記述した2つの立体配座以外の立体配座をも有する。具体的に言う と、分子5はいくつかのレッグ3を有するので、これらのレッグ3の異なる位置 がさらに別の立体配座を規定する。これらの立体配座は安定である必要はないが 、何らかの外力の持続的な影響下でしか存在しないタイプであってもよい。さら に、立体配座は離散型である必要はなく、このことはこのような立体配座が数え 切れない数だけ存在してもよいことを意味している。この場合には、分子5は「 フレキシブル」であるとすると最もよく説明することができる、すなわち分子5 を破壊することなくその結合を変形させることができる。 第1立体配座では、分子5の周辺エンティティ3は中央エンティティの平面に 対して垂直に配向され、中央エンティティ4は相互作用力の影響をほとんど受け ないほど十分に基板 表面から離れている。しかし、例えばチップ6によって押し下げられると、中央 エンティティ4は、引力、ここでは接着力によって基板1に向かって非常に強く 引きつけられ、チップ6が取り除かれてもこの第2立体配座のままとなる。これ は分子5を機械的にピン止めする方法である。電気的ピン止めも可能である。 チップ6を介して、所与の動作電圧の値でトンネル電流Itが分子5を通って 流れる。トンネル電流Itは立体配座の変化をもたらす。 分子5は、トンネル電子のエネルギーが光子を放出する遷移に変換されるよう に、トンネル電子によってさらに電子的に励起される。したがって、これは電気 的に励起された発光をもたらす。この分子5が、ピン止めされた後で光子の放出 を開始し、その後この光子の放出が、動作電圧がピンニング電圧より低いレベル に低下しても継続することが観察されている。2.3Vの動作電圧値で最大発光 効率を得ることができる。これは、最初のピン止めの後で、ピンニング電圧より 低い電圧で分子5を励起して発光させることもできることを示す。 この発光効率はC60分子などの既知の分子の場合よりはるかに高いので、第2 の効果も発光に影響を与えている。この第2の効果は、チップ6と基板1との間 の電磁場による発光の増大(enhancement)である。既知の通り、空のトンネル 接合部を通るトンネル電流Itは、強度の極大値およびこの極大 値の周辺での強度の減衰を示す所定の周波数スペクトルを有する、チップ誘導プ ラズモン・モード(局在電磁気モード)を生み出す。チップ6は、すぐ近くで隣 接する基板表面の一部分およびそれとの間の隙間とともに、空洞(cavity)、よ り厳密には電磁気空洞を形成する。 他方、分子5は放射遷移、すなわちここでは分子5およびその実際の立体配座 によって事前に決定される同様の周波数スペクトルを有するΠ−Π*遷移をする 。 これら2つの周波数分布の間の合致は、発光強度にとって重要であると推測さ れる。分子5の立体配座間の遷移が滑らかであるので、その放射遷移の周波数、 ここではΠ−Π*遷移の周波数がチップ誘導プラズモン・モードの周波数スペク トル中の強度のピークと合致するまで分子5がその立体配座を何度も変化させる ことによって、この系の自動適合を行うことができる。こうして、この状態が持 続し、最高の発光効率を生み出すものと考えられる。もう1つの可能性は、この 最適状態の周りで立体配座が安定振動することである。分子5が、その結果生じ る光の強度や色などの特徴が異なることもある複数の発光状態を有することも可 能である。 そのΠ−Π*遷移の周波数など、チップ誘導プラズモン・モードの周波数スペ クトルのピークと合致する放射遷移の周波数を既に有する適当な分子5は、匹敵 する強度の発光を生み出すのに、分子のフレキシビリティも複数の立体配座も必 要としないことが考えられる1つの見解である。 発光の色スペクトルは、この分子では赤色から黄色のスペクトル範囲となり、 単一の分子5から発出された光は、3Vの動作電圧値でわずか2nAのトンネル 電流値で、明るい部屋であっても、肉眼で見ることができる。このことは、6× 10-9Wの入力電力で、肉眼で見える光が生じることを意味する。ただし、分子 5はこのような低い電流または電圧に限定されるわけではない。トンネル電流は 、対応する発光を生じる1μAまで上昇させることができる。これより高い電圧 または電流ももちろん適用可能である。 発光のスペクトルは、分子5が発光する立体配座に依存するものと仮定される 。したがって、発光しながら2つ以上の異なる立体配座の周りで振動する分子5 は、異なる光の波長または色を生み出すことができる。 発光は、室温および10-4HPaより高い圧力で起こる。さらに、発光プロセ スは非常に安定している。少なくとも前述のタイプの分子では、このプロセスは 分子5に損傷を与えない。現在まで、時間に関係した制限は見つかっていない。 500nAのトンネル電流値および2.31Vの動作電圧値で、出力電力を入力 電力で割った光の効率は、約0.4またはそれ以上になると推定されている。 第3図に、やはり中央エンティティ4を含み、6つの周辺エンティティ3また はレッグをさらに含む、もう1つのタイプの分子5を示す。分子5は、ここでは 、t−ブチルで置換したテトラサイクリンである。中央エンティティ4はこの場 合も、五角および六角の炭素環をいくつか含み、レッグ3はsp3混成炭化水素 からなる。 この分子5は、第2図の分子5と同様の方法で基板1に付着する。やはり第1 立体配座として定義される気体状態相を有する。この第1立体配座では、この場 合も中央エンティティ4は、中央エンティティ4と基板1との間の結合力を無視 できるのに十分なほど基板表面から離れて位置決めされる。分子5は水平方向に は可動状態のままとなり、例えば熱励起によって流動する。 第2立体配座は、この場合も、中央エンティティ4が基板1に接近し、中央エ ンティティ4と基板1との間の結合力が大幅に増大し、分子5の水平方向の定着 をもたらすようになることで定義される。これもやはり、分子5の「ピン止め状 態」と呼ばれる。 切断状態の分子5の中央エンティティ4と基板1との間の距離は、基板1上に 化学吸着または物理吸着された場合よりはるかに離れている。環境条件に依存し て、分子5はこれらの立体配座間で切り替わることができる。この特定の分子5 は、電圧が印加されたときに2つの立体配座間で変化する。 第4図に、発光の電圧および電流への依存性を示す。これらの線は、一定強度 のレベルを任意の単位で示している。発光は、発光開始後に、トンネル電流It に線形に依存することが観察され、約2.21Vの印加動作電圧に対して極大値 を呈している。動作電圧への依存性は、第1のピークすなわち 極大値を約3Vに、第2の極大値を約7Vに、第3の極大値を約9Vに示す。清 浄な金属基板表面およびこのチップ6で同等なピーク・スペクトルを観察するこ とができるが、効率は大幅に低下する。 第1の極大値は全体の最大値であり、電界の強さがトンネル接合部で最高とな る状況に対応する。第2および第3の極大値は、電子が放射減衰を経て、最終的 な状態として空のGundlach状態に非弾性的にトンネルし、それにより光 子を放出する状況に対応する。これらのGundlach状態は分子5の分子状 態に混合され、光の強度は清浄な金属基板1より高くなる。発光におけるこうし た共鳴が観察されることは、チップ誘導閉込め電磁気モード、およびそれらとト ンネル電子との結合の機構(scheme)が発生していることを示す。3.5Vから 2.2Vへの極大値のシフト、および著しい強度の増加は、観察された効果が空 洞および分子特性の相乗結合を伴うことの証拠である。 観察された物理的効果は、分子5の中央エンティティ4がそのレッグ3によっ て導電性基板1から電気的に切断されることに基づくものと理解される。「電気 的に切断される」という用語は、ここでは、分子5の中央エンティティ4が基板 1上に物理吸着または化学吸着されていないときの状態として理解される。 分子のフレキシビリティ、またはこれに関していくつかの立体配座が存在する ことは、その立体配座を変化させること によって、分子5をその環境、すなわち空洞およびその周波数スペクトルに適合 させることができる点で寄与している。この適合は、分子5がトンネル電子で励 起されたときに自動的に起こることが示されている。 記載した例の、いくつかの立体配座を有する分子5は、中央エンティティ4と して芳香族共役炭素ベースのsp2非局在化環を、またレッグ3としてsp3混成 炭化水素を含む。 分子5は、それを構成する様々なエンティティの準安定配向および/または位 置を特徴とする様々な立体配座で存在することができる。分子5の様々なエンテ ィティ3、4は、例えば、個々の原子、またはその他のエンティティの原子より 互いの間でより強く結合される原子から構成される分子状のサブエンティティか らなる。各エンティティ3、4の間の接続は、エンティティ3、4の相対的な回 転運動の軸の働きをすることができる単分子結合にすることができる。様々な立 体配座間の切替は、エンティティの回転による再配列、およびその他任意の運動 を含むことができる。 異なるタイプのエンティティ3、4を適当に組み合わせることにより、ある立 体配座における特定の適用のさらに別の要件(ただし別の立体配座では大きく異 なる)を満たすように、分子5を設計することができる。技術的に重要な特性の 中で、このような変化を受けることがあるものとしては、化学活量、導電率、色 、分子の寸法、および基板1への接着の強さがある。逆に、これらの変化を使用 して、様々な識別 (interrogation)技術によって分子5の立体配座を特定することができる。分 子5の様々な立体配座が、その配位座標に関してその系の分子/基板のポテンシ ャル・エネルギーの極小値として定義されているときには、その立体配座は分子 5の安定状態を表す。この場合には、その座標の関数としてプロットしたときに ポテンシャル・エネルギーが少なくとも2つの特徴的な極小値を有するように、 2つの立体配座間の各遷移について適当な配位座標を規定することができる。こ れらの極小値の位置および深さはそれぞれ、これらの立体配座にあるエンティテ ィ3、4の構造配列と、熱励起および/または外部影響に対するそれらの安定性 とを決定する。最も深い極小値は、最も安定した分子の立体配座に対応する。そ の他の立体配座は準安定である。分子5は、対応するエネルギー最小値とその隣 接するエネルギー最小値との間のエネルギー障壁が、室温で25meVになる熱 エネルギーと比較して十分に大きい場合には、準安定の立体配座で無期限に存在 することができる。 切替、より一般的には立体配座の変化を引き起こすことができる外部影響とし ては、例えば、分子5を巨視的なスイッチのように異なる立体配座に急激に変化 (snap)することができる程度まで変形させる機械的力、そこから基底状態また は別の立体配座に減衰することができる励起状態に分子を引き上げる光または電 子の照射、ならびに分子5が熱励起またはトンネル効果によって別の立体配座に 反転する程度まで特 定のエネルギー障壁の高さおよび/または幅を減少させる電界の印加がある。 分子5は、既存の方法を使用して合成することができる。基板1上の分子5の 位置が少なくとも1つの立体配座で固定されたときには、この分子5が基板表面 で不動化されることで、マイクロ/ナノ製作ツールおよび任意選択のさらに別の 処理のための方法を使用することが可能になる。 動作電圧は、直流にも交流にもすることができ、さらに非常に高い周波数まで 上げることができる。ディスプレイなど、多数の分子5が対応する空洞に埋め込 まれたエレクトロルミネセンス素子を実現するために、小さな金属粒子をいくつ かの分子5で覆い、次いでこの覆った粒子を集合させて、ITO(酸化インジウ ムスズ)などの透明な導電性材料中の1部分(body)にすることができる。 この配列を用いると、低重量および低電力要件のディスプレイを実現すること ができる。紙よりも薄いフレキシブル・ディスプレイも可能である。ディスプレ イを眼鏡またはコンタクト・レンズに組み込むことも可能である。これにより、 例えば視力の弱い人のために、画像を網膜上に直接表示する、あるいは写真を拡 大する、または赤外線写真を作成し、これを直接目の中に表示するといった分野 が開かれる。運転者のために地図その他の情報などをヘッドアップ・ディスプレ イに表示することも、このようなコンタクト・レンズまたは眼鏡で可能である。 バーチャル・リアリティの分野全体をこの 眼内ディスプレイで容易に実現することができる。開示の問題なく機密情報を表 示することもできる。光の効率が非常に高いので、極めて低いエネルギーが熱と して放散される。分子5は、例えば内視鏡で、非常に小型かつ低温の光源として 使用することができる。小型バッテリを分子5と組合せ、ナノトーチとして、例 えば医療検査のために飲み込むことができるものも考えられる。 トンネル電流をもたらすために、この装置はここでは、トンネル電流が分子5 を流れるように電圧を印加するための電圧印加手段を含む。トンネル電流をもた らすために、その他任意の手段を使用することもできる。 したがって、本発明は、トンネル電子によって誘導される、新しい形態の分子 5からのエレクトロルミネセンスに関する。以下に、誘導された発光効果を記述 するもう1つの手法を与える。 共鳴電磁気空洞中に閉じ込められると、1つまたは複数の分子5はそれぞれ、 局在励起を介して非常に高い放出効率で可視および赤外範囲の光子を放出する。 発光スペクトル中で観察される微細なフィーチャは、振動励起状態によるものと する。この放出機構は、金属であることが好ましいチップ6と基板表面との間の 局在電磁気モードの非弾性トンネル励起という形で説明することができる。これ らのモードは、分子5において、Frank−Condon遷移によって、電子 を共鳴昇位(resonantly promote)させ、その後、放射減衰 する。その結果、室温での単分子5についての新しい高感度の振動分光法を示し 、またナノメートル・スケールでの通信用導波路としてトンネル空洞を使用する 新しい概念も提供する。 比較のために、ここで既知の機構の概要を示す。貴金属表面(Ag、Au、お よびCu)上にトンネルする走査トンネル顕微鏡(STM)のチップは、トンネ ル電子あたり0.1%までの外部量子効率を有する局所的な光源として働く。A u(110)表面上に吸着したC60上では、光子は、露出した金自体より低い強 度で空間に分離する(spatially resolved)。C60とAuとの電子結合は、最高 被占分子軌道および最低空分子軌道(HOMOおよびLUMO準位)の縮退を大 幅に広げ、上げるのに十分である。これに対して、分子の蛍光は、金属付近の非 放射減衰によって強く消光される。この損失は、金属表面から1nmから3nm 離れた範囲に及ぶ。 本発明は、その構造(architectures)によってトンネル電極6、1から電気 的に切断された一群の分子5からの、トンネル電子によって誘導される効率的な 発光を包含するものである。これらは、サブ単分子膜フィルムでも、電子あたり 40%までの推定外部量子効率で、可視−赤外範囲で発光を生み出すことが観察 されている。励起電圧に依存して赤色、橙色、黄色、緑色、青色となる連続発光 は、周囲が照明されている状態で肉眼でも観察することができる。この効率を比 較してみると、有機発光ダイオード(OLED)の最高の外部 エレクトロルミネセンス効率は、赤範囲で3%、青範囲で2%であり、ポーラス ・シリコンからは、0.1〜0.2%と測定されている。この結果は、特定の分 子構造を有する分子5を、高効率光源として使用することができることを示して いる。この光スペクトルは、Frank−Condon遷移に起因する微細な振 動構造として解釈される、一群の鋭い発光特性を特徴とする。これにより、分光 器と結合したSTMを、室温で、分子の振動状態を局在的に調査するのに使用す ることが可能となる。 発光の観察用に特に設計したSTMを使用して、室温で、また極めて高い真空 状態で実験を行った。スパッタ・アニール・サイクルにより、原子的に清浄なC u(100)およびAg(110)の単結晶の基板を準備した。スパッタリング によって洗浄した電気化学的にエッチングしたタングステン・チップを使用して 、エレクトロルミネセンスを誘導した。後にヘキサブチル・デカシクレンについ て(HB−DC)と呼ぶC5466分子5を、昇華によってKnudsenセルか ら、エピタキシャル成長のために熱拡散を促進するように500Kの温度まで加 熱した金属表面上に付着させた。光スペクトルは、ブレーズ・ホログラフィック 格子および冷却式光学マルチチャネル分析器(cooled optical multichannel an alyzer)を備えた分光計(Jarrel Ash)を使用して記録した。光は、0.1ス テラジアンの立体角から、分光計の入口スリットに取り付けられた光ファイバ・ ケーブル中に光を収束さ せるf=20.5mmのレンズを使用して、STMから集光させた。バックグラ ウンドの減算、ならびにトンネル電流および露出時間に関する正規化の後の、A g(110)上に付着させたHB−DC分子5からの光スペクトルは、Vtに対 して不変の位置となる一群の鋭いピークを呈する。それらの強度比は、印加され るバイアス電圧とともに変化する。清浄な銀の単結晶について得られた光スペク トルと比較すると、そのテールが長波長の範囲中にかなり延びる広いバックグラ ウンドが清浄なAgのそれと類似しているが、鋭いフィーチャは分子の励起状態 に起因していることが明らかに示される。Vtに対するピーク位置の不変性およ び高い量子効率は、共鳴プロセスの特徴を示すものである。Vtの関数としての 各ピークの強度は、波長とは無関係の振動を呈する。ピークは、〜120meV の半値全幅(FWHM)、および〜100meVの一定エネルキー分裂ΔEvib を有する。Frank−Condonの原理を使用して、振動Evibエネルギー はしばしば、単純な分子5に対する調和振動子モデルで近似することができる。 その場合には、Evibは、Evib=hωvib(ν+1/2)で与えられ、ここでωv ib は振動周波数、ν=0、1、2、は、振動量子数である。算出したωvib〜8 00cm-1の振動周波数は、芳香族環の古典振動モードと一致する。 様々なバイアス電圧について波長に関してプロットした、Cu(100)上の 単分子被覆で記録した光子強度は、Ag(110)を基板として得られたスペク トルとは対照的に、 550nm(2.25eV)で鋭い光のカットオフを示す。これは、より高いエ ネルギー・モードの吸収と一致する銅のバンド間遷移、L3(Qt)−>Ef(L ’2)によく対応する。 光子強度についてのVtとItとの間の関係の詳細を得るために、第4図は、光 子強度およびチップの引込み(retraction)のマップを、U=VtおよびItの関 数として示している。このマップは、トンネル電流Itによる光子強度のほぼ線 形な増加を示している。それに対し、Vtに関しては、0.3から30nAの範 囲にわたって一連の節および腹が観察される。こうした強度の振動は、清浄な基 板で記録されたものと特徴が同一であり、以前の清浄な貴金属についての光子放 出の考察で実証した電界放出共鳴によるものである。この場合には、非弾性的な トンネル電子は、電極1と6との間の空洞中に位置する電磁気モードを励起する 。電界放出共鳴は、トンネル電子と共鳴モードとの間の結合効率の変動を反映す る。これらの局在電磁気モードの空間的な広がりは〜5nmとなる。したがって 、接合部付近の分子5の誘電体特性の枠組み内で、モード自体だけでなく、モー ドを励起する電子の非弾性トンネル効果の可能性にも影響を及ぼすことになる。 これらの実験結果は、2つの可能な機構を示す。第1に、接合部中の分子5を 介した2重障壁プロセスにおける直接的な非弾性トンネル効果による分子5の励 起である。この体系では、分子の電子レベルと金属バンドとの特定の整列が前提 とされる。第2に、電極1と6との間の非弾性トンネル効果 が電磁気モードを励起し、これが間接的な分子の励起につながるものである。こ の第2のモデルは、下記の理由からより好ましいと考えられる単一のトンネル障 壁を必要とする。STMのチップ6は金属により接近しており、したがって電磁 気モードの強さは増す。分子5の誘電機能による真空の誘電機能を組み合わせる と、発光は、鋭いスペクトルのフィーチャによって明らかにされるように変化す る。さらに、この単一のトンネル障壁プロセスは、実験で観察されたヒステリシ ス効果と一致する。〜3.5Vのしきい値Vtより上で、その後〜2.5Vまで 下がる強い発光が観察された。このヒステリシスは、非弾性プロセスによる局在 トンネル電子経路中に直接位置する分子5の除去と一致する。それにもかかわら ず、分子5は、チップ6と金属基板1との間に画定された空洞付近に留まり、そ れにより高い電磁場を受ける。 第5図は、電磁気モードと分子の振動との間の共鳴結合を伴う単一のトンネル 障壁に関連して発光現象を説明する、提案された機構を示す概略図である。非弾 性的にトンネルする電子(A)は、空間的に局在する電磁気モードhω、(B) を電極間で励起する。これらのモードの空間的な広がり(〜5nm)は、電極か ら切断されているがトンネル接合部付近に留まっている分子5の、電子励起を促 進する。分子5の電磁気励起は、局在電磁気モードとの共鳴結合を介して起こり 、この場合には、分子5は、LUMOが占有され、HOMOに孔のある状態で励 起状態のまま残される。この励起状態で、 熱振動は減衰し、Frank−Condon遷移(C)を介して放射性放出する 。光子の放出は、両電極およびトンネル障壁領域の両方の誘電特性に依存する。 ここで、電界の強化は金属基板の誘電特性および分子5のトンネル接合部への接 近度によって特徴づけられる。金属表面上の分子5からの蛍光とは対照的に、S TMの金属電極の励起は、バルクおよび表面モードへのエネルキー伝達を介した 消光を防止する。したがって分子5は、トンネル電流が一部しか分子5を流れな いか、または全く分子5を流れないようにして、トンネル電流が分子5のそれぞ れの配列からの発光を誘導するまたはもたらすことのみを利用するように、配列 することができる。通常の場合であれば、分子5は、トンネル接合部付近に、す なわちこれに隣接して位置し、主なトンネル電流がチップ6と基板1との間を直 接流れ、一部の電子のみが分子5を流れるようになっている。 結論として、これらの結果は、電磁気学的分子5が、入力電力をほとんど必要 としない効率的な光源であることを実証している。同様の空間でその他のタイプ の分子5を用いて行った追加の実験では、異なるFrank−Condon特性 を生ずることが観察された。STMを分光計と組み合わせることにより、分子5 の振動分光法の新しい方法が提案される。フラット・ディスプレイ技術や光子の 点光源など潜在的な応用例を越えて、局在電磁気モードの活性化は、画期的かつ 有望なナノメートル・スケールの無線通信の概念を構成する。 励起時に特定の応答を与える複数のタイプの分子5の組み合わせは、局在電磁気 モードを通信媒体として使用した電子信号の入力および出力の新しい方法である と考えることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ラングレ、ヴェロ スイス国リヒタースヴィル、キルヒシュト ラーセ 2 (72)発明者 シュリットラー、レト・アール スイス国シェーネンベルク、ヒュットナー シュトラーセ 7

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.少なくとも1つの分子(5)が、第2電極(6)からトンネル距離に位置す る第1電極(1)上に位置決めされ、前記分子(5)は、少なくとも1つの第2 エンティティ(3)に結合された第1エンティティ(4)を含み、前記第2エン ティティは、前記第1エンティティ(4)が前記第1電極(1)に化学吸着また は物理吸着されないように前記第1エンティティ(4)を前記第1電極(1)か ら切断するものであり、および、前記電極(1、6)間のトンネル電流を介して 発光をもたらすことができる、発光を生じさせる装置。 2.前記分子(5)が、少なくとも部分的にはトンネル電流を受けることができ ることを特徴とする、請求項1に記載の装置。 3.第2エンティティ(3)が第1エンティティ(4)に対して相対的に移動可 能であることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。 4.第1エンティティ(4)を前記第1電極(1)に接近させ、前記分子(5) と前記第1電極(1)との間の結合エネルギーが室温の熱エネルギーより高くな るようにすることによって、分子(5)を第1電極(1)にピン止めすることが できることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の装置。 5.分子(5)が、第1電極(1)と第2電極(6)との間 の空洞の周波数スペクトルの局在的な強度の極大値の周波数と少なくともほぼ等 しいΠ−Π*遷移の周波数などの周波数を有する局在的な強度の極大値を含む放 射遷移の周波数スペクトルを有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれ か一項に記載の装置。 6.第2エンティティ(3)が第1エンティティ(4)の縁に位置することを特 徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の装置。 7.第1エンティティ(4)が、第2エンティティ(3)と比較して基本的に平 面状の立体配座であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載 の装置。 8.第1電極(1)が結晶基板を含むことを特徴とする請求項1ないし7のいず れか一項に記載の装置。 9.第1電極(1)と第2電極(6)との間にトンネル電流をもたらす装置で使 用するための、少なくとも1つの第2エンティティ(3)に結合された第1エン ティティ(4)を含む分子であって、前記第2エンティティ(3)は、前記第1 エンティティ(4)が前記第1電極(1)に化学吸着または物理吸着されないよ うに前記第1エンティティ(4)を前記第1電極(1)から切断することができ る分子。 10.その放射遷移の周波数スペクトルが、第1電極(1)と第2電極(6)の 間の空洞の周波数スペクトルの局在的な強度の極大値の周波数と少なくともほぼ 等しいΠ−Π*遷移の周波数などの周波数を有する局在的な強度の極大値を含む こ とを特徴とする請求項9に記載の分子。 11.第2エンティティ(3)が第1エンティティ(4)の縁に位置することを 特徴とする請求項8ないし10に記載の分子。 12.第1エンティティ(4)が、第2エンティティ(3)と比較して基本的に 平面状の立体配座であることを特徴とする請求項8ないし11のいずれか一項に 記載の分子。 13.第1電極(1)と第2電極(6)との間にまたはこれらと隣接して位置し ている際に、トンネル電流がそれを通ってまたはそれと隣接して流れたときに発 光体として使用される、少なくとも1つの第2エンティティ(3)に結合された 第1エンティティ(4)を含む分子であって、前記第2エンティティ(3)は、 前記第1エンティティ(4)が前記第1電極(1)に化学吸着または物理吸着さ れないように前記第1エンティティ(4)を前記第1電極(1)から切断するこ とができる分子。 14.少なくとも1つの分子(5)が、第2電極(6)からトンネル距離に位置 する第1電極(1)上に位置決めされ、前記分子(5)は、少なくとも1つの第 2エンティティ(3)に付着した第1エンティティ(4)を含み、前記第2エン ティティは、前記第1エンティティ(4)が前記第1電極(1)に化学吸着また は物理吸着されないように前記第1エンティティ(4)を前記第1電極(1)か ら切断するものであり、および、前記電極(1、6)間のトンネル電流を介して 発光 がもたらされる、発光を生じさせる方法。 15.前記分子(5)が、少なくとも部分的にはトンネル電流を受けることを特 徴とする、請求項14に記載の方法。
JP51874299A 1997-09-19 1998-09-18 発光装置およびその中で使用する分子 Expired - Fee Related JP3341902B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/IB1997/001123 WO1999016105A1 (en) 1997-09-19 1997-09-19 Light-emitting apparatus and molecule for use therein
IB97/01123 1997-09-19
PCT/IB1998/001445 WO1999016106A1 (en) 1997-09-19 1998-09-18 Light-emitting apparatus and molecule for use therein

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000505821A true JP2000505821A (ja) 2000-05-16
JP3341902B2 JP3341902B2 (ja) 2002-11-05

Family

ID=11004606

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11518714A Pending JP2000512073A (ja) 1997-09-19 1997-09-19 発光装置およびその中で使用する分子
JP51874299A Expired - Fee Related JP3341902B2 (ja) 1997-09-19 1998-09-18 発光装置およびその中で使用する分子

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11518714A Pending JP2000512073A (ja) 1997-09-19 1997-09-19 発光装置およびその中で使用する分子

Country Status (4)

Country Link
EP (2) EP0939971A1 (ja)
JP (2) JP2000512073A (ja)
DE (1) DE69825968T2 (ja)
WO (2) WO1999016105A1 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008242315A (ja) * 2007-03-28 2008-10-09 Toshiba Corp プラズモン発生素子
WO2010071224A1 (en) * 2008-12-19 2010-06-24 Canon Kabushiki Kaisha DIACENAPHTHO[1,2-b:1',2'-k]CHRYSENE DERIVATIVE

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102008035559A1 (de) 2008-07-30 2010-02-11 Rupert Goihl Elektrolumineszenz oder Photovoltaikquelle

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008242315A (ja) * 2007-03-28 2008-10-09 Toshiba Corp プラズモン発生素子
JP4649434B2 (ja) * 2007-03-28 2011-03-09 株式会社東芝 プラズモン発生素子
WO2010071224A1 (en) * 2008-12-19 2010-06-24 Canon Kabushiki Kaisha DIACENAPHTHO[1,2-b:1',2'-k]CHRYSENE DERIVATIVE
JP2010143879A (ja) * 2008-12-19 2010-07-01 Canon Inc ジアセナフト[1,2−b:1’,2’−k]クリセン誘導体
KR101309339B1 (ko) 2008-12-19 2013-09-17 캐논 가부시끼가이샤 디아세나프토[1,2-b:1',2'-k]크리센 유도체
US8951648B2 (en) 2008-12-19 2015-02-10 Canon Kabushiki Kaisha Diacenaphtho[1,2-b:1′,2′-k]chrysene derivative

Also Published As

Publication number Publication date
DE69825968T2 (de) 2005-09-08
EP0946967B1 (en) 2004-09-01
WO1999016105A1 (en) 1999-04-01
JP3341902B2 (ja) 2002-11-05
JP2000512073A (ja) 2000-09-12
WO1999016106A1 (en) 1999-04-01
DE69825968D1 (de) 2004-10-07
EP0946967A1 (en) 1999-10-06
EP0939971A1 (en) 1999-09-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Krane et al. Electronic structure and luminescence of quasi-freestanding MoS2 nanopatches on Au (111)
Hyun et al. Near-infrared fluorescence imaging with water-soluble lead salt quantum dots
Lenzini et al. Diamond as a platform for integrated quantum photonics
Radtke et al. Nanoscale sensing based on nitrogen vacancy centers in single crystal diamond and nanodiamonds: Achievements and challenges
Uematsu et al. Photoinduced fluorescence enhancement in mono-and multilayer films of CdSe/ZnS quantum dots: dependence on intensity and wavelength of excitation light
Wang et al. Molecular electronic plasmonics
Hua et al. Organically capped silicon nanoparticles with blue photoluminescence prepared by hydrosilylation followed by oxidation
Pennycook et al. Dynamic fluctuations in ultrasmall nanocrystals induce white light emission
Mayne et al. Electronic control of single-molecule dynamics
Wang et al. Highly polarized single photons from strain-induced quasi-1D localized excitons in WSe2
Takata et al. Detailed observation of multiphoton emission enhancement from a single colloidal quantum dot using a silver-coated AFM tip
Noury et al. Controlling carbon nanotube photoluminescence using silicon microring resonators
US20020096633A1 (en) Light-emitting apparatus and molecule for use therein
Li et al. Nonequilibrium self-assembly of π-conjugated oligopeptides in solution
Rai et al. Boosting light emission from single hydrogen phthalocyanine molecules by charging
Abudayyeh et al. Quantum emitters coupled to circular nanoantennas for high-brightness quantum light sources
Forbes What we talk about when we talk about light
Yakushenko et al. On-chip optical stimulation and electrical recording from cells
Balzer et al. Laser-controlled growth of needle-shaped organic nanoaggregates
JP2000505821A (ja) 発光装置およびその中で使用する分子
Zhao et al. Scanning tunneling microscopy investigation of substrate-dependent adsorption and assembly of metallofullerene Gd@ C82 on Cu (111) and Cu (100)
Müllegger et al. Radio-frequency excitation of single molecules by scanning tunnelling microscopy
US10566492B2 (en) Electrically driven light-emitting tunnel junctions
Liang et al. Oxidizing Hexagonal Boron Nitride into Fluorescent Structures by Photodissociated Directional Oxygen Radical
Yamada et al. Multi-pulse modulation method in photothermal atomic force microscopy for variable frequency modulation of incident light

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees