【発明の詳細な説明】
多重化システムにおける多重化された符号器の符号化
パラメータをダイナミックに制御する方法及び機器本発明の背景
本発明は、一般的には複数チャネルからのデータを1つのデータストリームに
多重化するデータ符号化及び伝送のシステムに関係し、さらに詳しく云えば各複
数チャネルのための符号器の符号化パラメータを制御器によりダイナミックに制
御するような種類のシステムに関する。本発明に一般的に関係する発明は、同時
に出願中の1994年3月17日に出願した米国特許出願第08/214,910号、発明の名称
“An encoder buffer having an effective size which varies automatically
with bit rate”に開示されている。本発明の出願人を同じく出願人とする該出
願の開示を茲に参照文献とする。
多重化データ伝送システムにおいては、複数の異なるデータ源又はデータ・チ
ャネルからのデータは先端の装置において、導線、光ファイバ又は無線リンクの
ような伝送リンク上に、多重化されたデータストリームから分離又は復号化され
意図した受信者に供給する末端の装置へ伝送のための、単一データストリームに
結合又は多重化される。
茲で特別に興味のある典型的なシステムでは、異なるテレビジョン・ネットワ
ーク、異なるテレビジョン局その他の映像源(video sources)からのような、異
なる映像源からの複数の映像信号(video signals)が、各消費者の家庭に設置の
各テレビ受像機(セットトップ・ボックス)への直接放送として衛星リンク上に
伝送される。典型的な衛星リンクは、24メガビット/秒(Mbps)伝送が可能なディ
ジタル伝送経路(digital transmission path)を所有する。データ伝送能率及び
上記リンク利用度を最大にするために(即ち、利用可能な帯域幅を最大に利用す
るために)、数個の映像信号(例えば、6映像信号チャネル)が(単一の多重化
されたデータストリームやビットストリームを伝送するため)該リンクを共用す
る必要がある。
典型的な多重化映像信号伝送システムでは、異なる信号源からの映像信号は各
並列の可変ビットレート(VBR)映像符号器により連続するフイールド又はフレー
ム(「画像」“pictures”)として符号化され、映像符号器による符号化映像信
号出力は多重化装置により共通チャネル(即ち、直接放送衛星(DBS)リンク)上
への伝送のために単一ディジタル映像ビットストリームに結合される。一般的に
、与えられた品質の画像を符号化するのに必要なビット数は該画像の空間的及び
時間的複雑度と共に増加する。このように、空間的に複雑な場面や動きのある場
面に対応する画像は、動きの少ない空間的に単純な場面より符号化に一層多くの
ビットを必要とする。この観点から、複雑度の異なる画像の品質は、画像の複雑
度に機能的に関連する幾つかの数のビットを使用して画像を符号化することによ
り平均化できる。
統計的に、並列映像符号器の全てからの平均結合ビットレートは、例えいずれ
の時点においても(映像信号の単一チャネルに対する)単一映像符号器が伝送の
バーストで多くのビットを与えることがあっても、伝送プロトコルにより許され
る共通伝送チャネルの最大ビットレートより少ないであろう。この理由により、
その種の機器は通常「統計的多重化装置」と呼ばれる。
しかし、チャネルの全てからの瞬間的な結合されたビットレート(即ち、平行
映像符号器による符号化映像信号出力の結合されたビットレート)が共通の伝送
チャネルの最大許容ビットレートを凌駕し、結果的に末端の端末(即ち、消費者
のテレビ受像機)においてデータ(画像情報)の損失となる有限の確率がある。
その種の事態の発生を最小にするため、符号器バッファと復号器バッファが使用
される。この視点から、大部分の映像符号化標準(即ち、MPEG)は復号器バッフ
ァ容量を規定している。しかし、符号器バッファ又は復号器バッファ若しくは双
方がオーバフロウ(又はアンダフロウ)して、結果的に末端の端末でデータの損
失となる有限の確率がまだ存在する。
一般的に、復号器バッファは消費者セットトップ・ボックスのコスト中の重要
な要素であるので、システム設計者の重要な目標は復号器バッファに要求される
規模を(画像品質と不当に妥協しないで)少なくすることにある。一方、符号器
バッファのコストは先端の装置の全コスト中では相対的に重要な要素でないので
、
符号器バッファの容量はシステム設計上での重要な制約ではない。
受け入れ可能な画像品質を保ち、ディジタル映像データ符号化、伝送及び復号
プロトコル(即ち、MPEGプロトコル)への適合を保証しながら、共通伝送チャネ
ルの帯域幅の利用を最大にする各種のシステムが提案されてきた。背景として、
これら提案されたシステムのいくつかを以下に議論する。
Paikその他の名で1992年12月10日に公表のヨーロッパ特許出願第92121030.8号
は、各映像符号器による符号化画像出力の品質を決定する共通で包括的な制御パ
ラメータを使用する統計的多重化装置を開示している。しかし、Paikその他は映
像符号器間のビットレート配分に対する回答は用意していない。従って、各映像
源からの画像の複雑度は配慮されていないので、異なる映像符号化装置からの符
号化画像出力の品質は広範囲に、即ち、画像の複雑度に応じて貧弱な品質から優
れた品質まで、変化する。
1992年5月にHangに与えられた米国特許5,115,309号は、単一画像の符号化の
ための複数並列映像符号器間のダイナミックなチャネル帯域幅分配のための方法
と機器を開示している。しかし、Hangにより開示された方法と機器は並列符号化
複数画像には適用できない。
IEEE Transactions on Consumer Electronics誌1994年8月号所載のGuha及
びReininger による“Multichannel Joint Rate Control of VBR MPEG Encoded
Video for DBS Applications”という論文は、大きい映像符号器バッファを使用
した多重化されたシステムを開示している。各映像符号器により作成された符号
化画像ビットストリームは関連する大容量符号器バッファに蓄積され、該符号化
画像ビットストリームを伝送するのに要求される平均チャネルレートが計算され
る。もし、要求される平均チャネルレートが規定の最大チャネルレートを超過す
れば、平均チャネルレートを適当な量だけ減少させるような方法で映像データは
再度符号化される。
1995年9月号の SMPTE Journal誌にPerkins 及びArnsteinが発表した論文“St
atistical Multiplexing of Multiple MPEG-2 Video Programs in a Single Ch
annel”は、全てのチャネルに現在伝送中の画像の複雑度を基本に異なるチャネ
ル(即ち、異なる並列映像符号器)にビットレートをダイナミックに割り当てる
多
重化されたシステムを開示している。しかし、該開示システムは、各符号器バッ
ファは符号器の最大及び最小チャネルレートの比に等しい因数で対応する映像復
号器バッファより小さいことが要求される。これは、要求される復号器バッファ
容量と符号化画像との間で望ましくないトレードオフを示す。さらに特記すれば
、符号器バッファにより符号化された画像の品質は該バッファの容量に依存する
。符号器バッファは上記制約に準拠する対応する復号器バッファより小さくなけ
ればならないから、復号器バッファに要求される容量の減少はまた符号器バッフ
ァの容量縮小となり、画像品質の劣化となる。
これの関連で、前述のように、大部分の映像符号化標準(例えばMPEG)は最小
復号器バッファ容量を規定している。MPEG-2 MP@MLシステムに対し、映像復号バ
ッファ容量は 1,835,008ビットと規定されている。もし符号器が1.5Mbps ないし
15Mbpsのビットレート幅の中で動作すれば、上記バッファ容量制約に準拠の復号
器バッファの容量は183,500ビットでなければならない。もしビットレート幅が1
.5Mbps ないし6Mbps であれば、復号器バッファの容量は 458,752ビット以上で
なければならない。いずれの場合も、映像品質は顕著に妥協されることになる。
第2の場合、最高動作速度も減少される。
Ozkanその他の名で1995年11月2日に公表されたPCT特許出願WO 95/29559 号も
又、現在全てのチャネルに伝送中の画像の複雑度を基本に異なるチャネル(即ち
、異なる並列映像符号器)にビットレートをダイナミックに割り当てる多重化さ
れたシステムを開示している。全てのチャネルに現在伝送中の画像の複雑度が評
価され、伝送リンクの全ビットレートを分割し、チャネルの現在の画像の複雑度
と全てのチャネル上の画像の総合的な複雑度との関係に何らかの方法で対応して
各チャネルに配分されるので、どの時間帯においても全てのチャネルの符号化画
像の品質は、ほぼ均一である。このようにして、一定期間高度に複雑な画像を伝
送しているチャネルはその期間中高速ビットレートをダイナミックに配分される
が、画像の複雑度が低下すれば、そのチャネルに配分されたビットレートは低減
され、高度に複雑な像を送信中の他のチャネルに再配分される。
上記 Ozkanその他の多重化システムは、画像品質と復号器バッファ容量との間
の要求されるトレードオフについてPerkins 及びArnsteinのシステムとの関連で
論じたのと同じ不利を被る。この点に関し、許容できる品質の画像に対する Ozk
anその他の多重化されたシステムにおける復号器バッファに要求される容量は非
常に大きく、消費者及び他の応用には復号器バッファは禁止的コストになり、事
実、MPEG復号器バッファ容量要求に多分合致できないほどの大容量になるであろ
う。
さらに、Ozkan その他の多重化システムは、相次ぐ符号化期間の間に可能な最
大ビットの変化を不必要に制限している。この制約は、劇的な場面変化に対応し
て配分されたビットレートを劇的に変更することができず、その結果、劇的な場
面変化に対応する画像に対し貧弱な画像品質になってしまう。
上に述べたところに基づき、多重化されたシステムにおける複数符号器の符号
化パラメータをダイナミックに制御するために、上に論じた不都合と短所とを克
服する方法及び機器の当該分野における必要性が、現在存在していると認識する
ことができる。本発明の概要
本発明は、全ての符号器の符号化データ出力の品質を最大且つ平均化させる方
法により多重化システムの共通伝送チャネルの利用可能な帯域幅を複数の符号器
間にダイナミックに配分する一方、該共通伝送チャネルの各終端に存在する符号
器又は復号器のアンダフロウ(underflow)又はオーバフロウ(overflow)を防止し
、さらに該システムに使用されたデータ符号化および伝送プロトコルに適合(即
ち、違反すること無しに)することを保証する方法及び機器を含んでいる。さら
に、該共通伝送チャネルの帯域幅は、例え復号器のバッファ容量が、該共通伝送
チャネル上の符号化データの伝送に使用されたデータ伝送プロトコルにより規定
されても、符号化データの符号器又は復号器のバッファ容量にいかなる制約も課
さないアルゴリズムを使用して配分される。
複数の発生源からの映像信号が符号化される本発明の現在の好ましい実施例に
おいて、各符号器の出力チャネルレート(ビットレート)及び各符号器により符
号化される各画像に対する目標ビット数(target number of bits)の両者は、全
ての符号器により符号化された画像出力の品質が均一化及び最大化され、符号化
及び復号化バッファのアンダフロウもオーバフロウも発生せず、且つ該システム
に使用されたデータ符号化及び伝送プロトコルが乱されないアルゴリズムに合致
する制御器により制御される。さらに、該制御器に使用された該アルゴリズムは
、出来れば符号器又は復号器バッファの容量又は相対容量にいかなる制約も課さ
ない。その上、該制御器に使用された制御アルゴリズムは、速度配分過程での柔
軟性を増加させるため、全ての符号器バッファを出来る限り空き状態に保つ。
一つの態様として、本発明は、複数のデータ信号のそれぞれの1つ、1個の制
御入力及び1個の符号器出力に結合したデータ入力をそれぞれ持つ複数の符号器
、該符号器出力のそれぞれの1つに結合した複数のマルチプレクサ入力及びデー
タ伝送チャネルの送信端に結合したマルチプレクサ出力を持つマルチプレクサ、
並びに該符号器の符号化パラメータのうち最初のものは各符号器の出力ビットレ
ートである該符号器の少なくとも2個の符号化パラメータをダイナミックに制御
するために制御信号がそれぞれの符号器の制御入力に結合している制御アルゴリ
ズムに準拠の制御信号を作り出すための1個の制御器、を所有する多重化された
伝送システムを含む。該マルチプレクサは、該符号器出力を多重化し、単一の多
重化され符号化されたデータストリームを規定された最大伝送チャネル・ビット
レートと同等又はそれ以下である伝送チャネル・ビットレートでデータ伝送チャ
ネル上に出力するように動作する。該伝送チャネル・ビットレートは全ての符号
器の出力ビットレートの和に等しい。
符号化パラメータの第2のものは、データ信号のそれぞれに含まれる複数の規
定されたブロックのそれぞれを符号化するために、各符号器により使用される目
標ビット数である。
制御アルゴリズムは、全ての該符号器出力により実現される符号化データの品
質が、上記システムが使用している符号化及び伝送プロトコル、即ち、MPEGプロ
トコルを乱すこと無く実質的に平均化されることを保証する。制御アルゴリズム
は、データ伝送チャネルの両端に存在する符号器又は復号器バッファの許容容量
又は相対容量に制約を課さない。制御アルゴリズムは又各符号器バッファに蓄積
されるビット数を最小にする。更に、制御アルゴリズムは、符号器バッファにも
復号器バッファにもアンダフロウもオーバフロウも発生しないことを保証する。
本発明の現在の好適実施例において、データ信号は複数の異なる映像源からの
映像信号であり、データの規定のブロックは映像信号のそれぞれに含まれる連続
する画像を含んでいる。ビットの目標値は、現在符号化されつつある画像の複雑
度の度合いに比例するビットの目標値が全ての符号器に割り当てられる方法の制
御アルゴリズムに準拠して上記制御器によりダイナミックに配分される。制御ア
ルゴリズムは、各画像の符号化において各符号器により使用される実際のビット
数がダイナミックに配分された最大ビット数より多くなく、且つダイナミックに
配分された最小ビット数より少なくないような追加の制約を課す。
制御器は、制御アルゴリズムに準拠して、規定されたビットレート変化間隔で
各符号器の出力ビットレートを同時にダイナミックに変更し、又制御アルゴリズ
ムに準拠して、画像毎に各符号器で使用される目標ビット数を変更する。
各符号器は、符号化された各画像の符号化に使用した実際のビット数及び符号
化した各画像の複雑度の度合いを制御器に知らせる。この点に関し、上記制御器
は、制御アルゴリズムに準拠して、各符号器の出力ビットレートを同時に各1/F
秒毎にダイナミックに変化させる。但し、F は映像信号の何れかの最大フレーム
レートである。
本発明はまた、上述の本発明の装置に一般的に対応する方法をも含む。図面の簡単な説明
これら並びに本発明のそれ以外の対象物、特徴及び長所は、付属の図面との関
連においての下記の詳細説明により明らかになるであろう。図面のうちで:
図1は、本発明の現時点での好ましい実施例に準拠して構成された多重化シス
テムのブロックダイアグラムを示す図であり;
図2は、本発明の現時点での好ましい実施例の多重化装置システムの制御器に
より発生される制御信号CSi を導き出すのに使用されるエンド−エンド・システ
ムの単純なモデルのブロックダイアグラムを示す図であり;
図3は、本発明の現時点での好ましい実施例の多重化装置システムの異なる符
号化チャネルに対する速度事象及び符号化事象のタイミングをグラフで表現する
ダイアグラムを示す図であり;
図4は、本発明の現時点での好ましい実施例の多重化装置システムの符号器i
のビットレートの変化をグラフで表現するダイアグラムを示す図である。本発明の詳細説明
本発明はその現時点での好ましい実施例で以下に記述されるが、本発明はこの
特定の実施例又はここで説明の本発明の基本概念の実現に、広い意味において、
限定されないことを明確に理解されるべきである。例えば、本発明はここにおい
ては映像信号処理の多重化システムの表現で記述されているが、ここに開示の発
明の基本概念は映像信号の処理に限定されず、むしろ符号化され伝送され続いて
復号化される他のいかなる種類のデータにも、例えば、データのオーディオ,テ
キスト,音声,ファックスその他の形態及び種類の処理に等しく適用できる。
図1を参照して、本発明の現時点での好ましい実施例に準拠して構成された多
重化システム20のブロックダイアグラムを見ることが出来る。図から判明するよ
うに、複数の異なる信号源(例えば、異なるテレビジョン放送局や映像供給源な
ど)からの映像信号Viは並列映像符号器22のそれぞれの映像入力端子Vに加えら
れ、それらのそれぞれのチャネル出力は多重化装置24により単一伝送チャネル26
(即ちDBSダウンリンク)を経て受信端末28(即ち、個別消費者の家庭に設置
のセットトップ・ボックス)への伝送のための単一符号化ビットストリームに結
合される。該受信端末28は、典型的な場合、後刻各映像復号器に供給される符号
化映像データの構成チャネルへビットストリームを分離するためのビットストリ
ームの多重化を復元する(demultiplexing)ためのデマルチプレクサを含んでいる
。後刻一層詳細に説明されるように、各映像符号器及び映像復号器はそれぞれ符
号化及び復号化映像データを蓄積するための関連バッファ(図2参照)を含む。
本発明は、異なる信号源からの映像信号はMPEG-2 T-STD又はVBV 若しくはその双
方のモデルに準拠して符号化され、送信されて復号化されるDBS システムに特定
の用途を見出すことを現在意図している。勿論、この特定の応用は本発明を制限
するものではない。
本発明によれば、多重化システム20は制御器30(即ち、マイクロプロセッサ、
マイクロコントローラ又は他の適当なディジタル信号処理機器)を含み、その制
御器は全ての映像符号器22による符号化画像出力の品質が平均化且つ最大化され
、符号器又は復号器バッファのアンダフロウ又はオーバフロウが発生せず、並び
に該システムに使用のデータ符号化及び伝送プロトコルが乱されることが無いこ
と
を保証する制御アルゴリズムに準拠して、伝送チャネル26の利用可能な帯域幅を
複数映像符号器22に配分するようにプログラムされている。この点に関し、各符
号器22に対するチャネル出力速度(即ち、ビットレート)は、例え該制御器30の
障害(又は、他のシステム「障害モード」)により符号器22のビットレートがダ
イナミックに制御されなくなっても、各符号器22は復号器又は符号器バッファの
オーバフロウを発生させずに動作を継続できる方法で、制御アルゴリズムに準拠
して、該制御器により選択される。該符号器22のビットレートは、該符号器22が
符号化データを該多重化装置24に「押し込む」(“push”)ことにより速度を制御
するか、若しくは該多重化装置24が該符号器22から符号化データを「引き出す」
(“pull”)ことにより効果的に変更できることは関連する当業者により理解され
るであろう。
更に、該制御器30に使用された制御アルゴリズムは符号器又は復号器バッファ
の容量又は相対容量にどのような制約も課さない。その上、該制御器30に使用さ
れた制御アルゴリズムは、速度配分過程での柔軟性を増加させるため、全ての符
号器バッファを出来る限り空き状態に保つが、全ては今後一層明確になる。
更に特別に、制御器30は、各符号器22のチャネル出力速度(即ち、ビットレー
ト)及び各画像(入力映像信号Viのフイールド又はフレーム)の符号化において
各符号器22により使用される目標ビット数、の双方を制御するために、並列映像
符号器22のそれぞれの制御信号入力端子Cに供給する制御信号CSi を発生する。
従来実施されてきた単一パラメータ(即ち、ビットレート)のみの簡単な制御に
較べて、本発明は各映像符号器の2個の異なる符号化パラメータを個別に制御す
ることは、関連する当業者のたやすく理解するところであろう。今後完全に明確
になるが、この2個の異なる符号化パラメータの分離制御が本発明の上記目標達
成を可能にする。
次いで図2を参照すれば、制御器30により代表的な映像符号器22i に送出され
る制御信号CSi の供給に使用されるエンド−エンドのシステム構成の簡単なモデ
ルのブロックダイアグラムが示されている。本モデルは映像符号器22i 及び制御
器30が独立して取り扱われる具体的な仕様の詳細を可能にするために使用されて
いる。図示のように、送信端の映像符号器22i は事前処理ユニット23、圧縮エン
ジン25及び論理バッファ27を含み、受信端の映像復号器33i はバッファ37、逆圧
縮エンジン39及び事後処理ユニット41を含む。更に、該映像符号器22i の符号化
出力は多重化装置24′の入力に加えられ、伝送チャネル26を経て伝送される多重
化され符号化されたビットストリームは、出力が映像復号器33i の入力に結合さ
れているデマルチプレクサ43の入力に加えられる。
事前処理ユニット23に加えられた入力映像信号Vi及び事後処理ユニット41から
の出力映像信号vout′はインタレースされているかプログレシブかの何れかであ
り、双方の信号は適当なフレーム速度、即ち、25,29.97又は30フレーム/秒によ
り作り出される。入力映像信号Viに続くインデックスjを付された画像(フィー
ルド又はフレーム)は、それぞれの符号化時刻tc(i,j)に該映像符号器22iの圧
縮エンジン25に入る。該入力映像信号Viの各画像jは瞬時的に圧縮され、画像j
を構成する全ての圧縮されたデータは、時刻tc(i,j)に該符号器22iの論理バッ
ファ27に瞬時的に入力される。関連する当業者によりが理解されるであろうよう
に、図2に示す論理バッファ27は一層大型の符号器22の物理的バッファでは無い
。
符号化映像データ(即ち、圧縮されたり符号化された画像)が映像符号器22i
から時刻tに出力する速度をRi(t)で定義する。更に、ネットワークチャネル
や伝送チャネル26′には遅延が無いものと想定し、時刻tにデマルチプレックス
された符号化映像データは、データが映像符号器22i の論理バッファ27から出力
するのと同じ速度Rj(t)で映像復号器33i のバッファ37に入る。次いで、画像
jを構成する全ての圧縮されたデータは、逆圧縮エンジン39により逆圧縮される
ため、該画像の復号タイムスタンプ(DTS)により定義された時刻td(i,j)に映
像復号器33i のバッファ37から出力する。
図2に示すモデルを単純化する目的で、制御器30から送出される制御信号CSi
の供給を示すために、下記の仮定を行う:
(a)MPEG-2システムの場合、映像符号器22i の論理バッファ27には基本的なス
トリーム・データのみが存在する、即ち、このバッファにはPESヘッダデータは
存在しない;
(b) td(i,j)=Δi,但しΔiはエンド−エンドのバッファ遅延で各符号器22
iに対して一定値と仮定、実際のバッファ遅延は通常異なる符号器22i では異な
ると想定されている;
(c)映像符号器22i の論理バッファ27とマルチプレクサ24′間の時刻tのおけ
るデータ・トランスファは、それぞれの部分に関して(piecewise)一定の関数と
想定されるバッファ・トランスファ速度Ri(t)による;
(d)図2に示すモデルからのデビエーションは、符号器22i 又は多重化装置24
′若しくは双方で内部的に処理される。
図2に図示のモデルからの幾つかのデビエーションは、現在の符号化システムに
存在し以下を含む:
(a)符号器22i は画像jを構成する全てのデータをその論理バッファ27に瞬時
的には挿入しない;
(b)符号器22i の論理バッファ27から多重化装置24′へ移送されるデータはパ
ケット化オーバヘッド(即ち、厳格なペイロード・データとは反対に、プロトコ
ルにより要求されるオーバヘッド・データ)を含んでいる;
(c)符号器22i が(入力映像データViに“three-two pulldown”手順を実行す
るため)“repeat first field”機能を如何に取り扱うかにより、エンド−エン
ドのバッファ遅延は一定ではない。関連する当業者が直ちに理解するように、図
2に記載の図示モデルからのこれら及び他の可能性のある逸脱は符号器22i又は
多重化装置24′若しくは双方の内部で処理される。
以下に一層詳細に記述される本発明の現在の好ましい実施例において、制御器30
に内在するソフトウエアに組み込まれた制御アルゴリズムは次の内容を保証する
ように設計されている:
(i) 各映像符号器22により作られる符号化ビットストリームは、MPEG-2 T-ST
D及びVBV モデルに適合する;
(ii)各映像符号器22のためのバッファ27は、アンダフロウ又はオーバフロウを
しない;
(iii)各映像復号器33のためのバッファ33は、アンダフロウ又はオーバフロウ
をしない;
(iv)全ての符号器22の出力速度(ビットレート)の合計は、最大許容チャネル
速度(即ち、伝送チャネル26の最大ビットレート)より大きくない;
(v) 全てのチャネルにわたって画像の感知する品質は均等である(且つ、最
適化されている)。
本発明の現在の好適実施例(及び請求項)の一層詳細な記述を確実にする目的
で、以下の表記を使用する:
(i) i=1ないしL,即ち、合計L個の映像符号器22が多重化されたシステ
ム20に含まれる;
(ii) 対応する符号器22i により発生されるデータを受信する復号器33iのバッ
ファ37の容量はBd,iである;
(iii)符号器22i のバッファ27の容量はBe,iである;
(iv) 時刻tにおいてバッファ27に含まれるビット数はEi(t)である;
(v) 対応する符号器22i により作成されたデータを受信する復号器33i のバ
ッファ37に含まれるビット数はDi(t)である;
(vi) 符号器22i により符号化されるj番目の画像の符号化に使用されるビット
数はb(i,j)である;
(vii)符号器22i の出力速度(ビットレート)はRi(t)であり、この速度は時
間と共に変化するがそれぞれの部分に関しては一定である;
(viii) 符号器22i とそれに対応する復号器33i のエンド−エンドのバッファ
遅延はΔiである;
(ix) 符号器22i により符号化されるべき次のI画像を符号化するために配分
された目標ビット数はTIi(t)であるって、目標ビット数TIi(t)も時間と共に変
化する、従って、もし次のI画像が時刻τにおいて符号化されれば、次のI(I
タイプ)画像を符号化するために配分された目標ビット数はTIi(τ)である;
(x) 符号器22i により符号化されるべき次のP(Pタイプ)画像を符号化するた
めに配分された目標ビット数はTPi(t)である;
(xi) 符号器22i により符号化されるべき次のB(Bタイプ)画像を符号化するた
めに配分された目標ビット数はTBi(t)である;
(xii)符号器22i により符号化されつつある映像シーケンスの次のI(Iタイプ)
画像の複雑度の時刻tにおける推定値はXIi(t)である。映像シーケンスの複雑
度も又時間と共に変化する。本発明の実用面で使用される複雑度の実際の尺度は
厳格でもなければ、制限されたものでもない。唯一の要件は、異なる符号器22に
より符号化されつつある画像の相対的な複雑度に意味のある尺度を与えるために
、映像シーケンスを通じてこれらの尺度を比較することが意味のある性格を持っ
た複雑度の尺度を使用することである;
(xiii) 符号器22i により符号化されつつある映像シーケンスの次のP(Pタイ
プ)画像の複雑度の時刻tにおける推定値はXPi(t)である;
(xiv)符号器22iにより符号化されつつある映像シーケンスの次のB(Bタイプ)
画像の複雑度の時刻tにおける推定値はXBi(t)である。3個のパラメータXIi(
t)、XPi(t)及びXBi(t)の数値は時間と共に変化はするが、入力映像信号の場面
の変化の時にのみ実質的に変化する;
(xv) 各符号器22i に対するGOP(画像群)のサイズはNi(t)である。このパラメ
ータの値は時間と共に変化する;
(xvi)符号器22i のパラメータはMi(t)である。このパラメータの値は時間と
共に変化する;
(xvii) 符号器22i に対する時刻tにおける画像速度はFi(t)である。符号器
の画像速度はフイルムモードガ変わる度に変化する;
(xviii)伝送チャネル26上の許容最大ビットレートはRcである。
全ての符号器22間で同等の映像品質を維持するために、各画像に対する目標ビ
ット数は、比例度(proportionality)パラメータC(t)により映像の複雑度に直接
比例するものとして規定される。本制約は次式(1-a)ないし(1-c)により定義され
る:
(1-a) TIi(t)=C(t)×XIi(t);
(1-b) TPi(t)=C(t)×XPi(t);
(1-c) TBi(t)=C(t)×XBi(t),
但し、C(t)はiに無関係である。C(t)は時間と共に変化し入力映像信号Viには無
関係である。時刻tにおける符号器22i に対する評価された符号化速度ERi(t)
は、次式(2)に準拠して計算できる:
(2) ERi(t)=C(t)x[XIi(t)+(Ni(t)/Mi(t)-1)xXPi(t)+(Ni(t)-Ni(t)/Mi(t)
)xXBi(t)]xFi(t)/Ni(t)
1個のカウンタ(これは図示されていない)がRc Z(但し、Zは規定され
た時間定数である、例えば10秒)の値に初期化され、各1/RC秒毎に1が加算さ
れる。L個の映像符号器22の内の何れか1個が画像の符号化を開始する時刻te
から開始し、カウンタは該画像の符号化に使用の目標ビット数により減算される
。該画像の符号化が終了した時、もし本画像の符号化の目標ビットと実際に使用
のビット間に不一致が存在すれば、該カウンタは調整される。時刻tにおけるカ
ウンタの数値はcount(t)で表現される。下記の式(3)で定義される制約がERi(t)
上に課せられる:
数式(2)及び(3) はC(t)の値を計算するのに使用され、そのC(t)の値は数式(1)を
使用してTIi(t)、TPi(t)及びTBi(t)を計算するのに使用される。
復号器バッファのアンダフロウ及びオーバフロウを防止するため、次の式(4)
は、tおよびiの全ての値に対し満足されねばならない: 本発明の現在の好ましい実施例において、制御器は、L個の映像符号器22のそ
れぞれに対しバッファのアンダフロウ及びオーバフロウを防止する方法で制御ア
ルゴリズムに準拠して、映像符号器22のそれぞれの符号化パラメータを制御する
。特に、L個の映像符号器22は同期することを要求されることは無い。
制御アルゴリズムに準拠して、制御器30は、それぞれの制御信号線(即ち、双
方向性制御信号バス50)を経由して供給される制御信号CSi を発生する。これら
の制御信号CSi は、符号器22により符号化される各画像の符号化のための目標ビ
ット数、符号器22により符号化される各画像の符号化のための最小及び最大ビッ
ト数、及び各符号器22に対するビットレート(チャネル出力速度)Riを含む制
御器30によりダイナミックに制御される符号化パラメータの数値を所有している
。
この関連において、制御器30により符号器22に通知される目標ビット数は推奨
(目標)値であり、絶対的な要求では無い。画像を符号化するために符号器22i
で使用される実際のビット数は、該画像に対して制御器30により指定された目標
のビット数から、該画像に対して制御器30により同様に指定された最小及び最大
ビット数の間の範囲内で変化する。画像の符号化に実際に使用されたビット数が
、この指定された範囲内であれば、対応する復号器33i のバッファ37からのアン
ダフロウ又はオーバフロウは発生しないことが保証される。
各符号器22i のバッファ27は、制御器30からのそれぞれの制御信号CSi により
指定されたビットレートRiにより、新しいビットレートRiにより引き続き空に
されるビットレートRiの変更まで空にされる。L個の映像符号器22の全てのビ
ットレートRiは制御器30によって制御信号CSi の手段により出来れば同時に変
更されることが望ましい。
次に図3を参照して、本発明の一層の詳細な説明に対する必要な背景を提供す
るため、符号化事象及び速度事象を論議する。一般に、もし符号器22i の何れか
がその時点で1つの画像を符号化するとすれば、符号化事象は時刻τで発生する
。もし符号器22i のビット(出力)レートRiの変化がその時点で行われるよう
にスケジュールが組まれていれば、速度事象は時刻τで発生する。
これらの概念は図3に示され、符号器「1」が画像8,9,10,11,12をそれぞれ符
号化する時刻te(1,8),te(1,9),te(1,10),te(1,11),te(1,12)に対応する
符号化事象;符号器「i」が画像78,79,80,81,82をそれぞれ符号化する時刻te(
i,78),te(i,79),te(i,80),te(i,81),te(i,82)に対応する符号化事象;
及び、符号器「L」が画像217,218,219,220をそれぞれ符号化する時刻te(L,217
),te(L,218),te(L,219),te(L,220)に対応する符号化事象;を図3は示し、ま
た時刻t1及びt2における速度事象を示す。符号器「L」の場合に該当するよう
に、符号化時刻は周期的でなくてもよく、即ち“reverse three-two pulldown”
手順を実行した画像の場合は符号化時刻は周期的でない。非周期的符号化時刻は
また散在するフレーム構造やフィールド構造(interspersed fram
次に図3を参照して、本発明の一層の詳細な説明に対する必要な背景を提供す
るため、符号化事象及び速度事象を論議する。一般に、もし符号器22i の何れか
がその時点で1つの画像を符号化するとすれば、符号化事象は時刻τで発生する
。もし符号器22i のビット(出力)レートRiの変化がその時点で行われるよう
にスケジュールが組まれていれば、速度事象は時刻τで発生する。
これらの概念は図3に示され、符号器「1」が画像8,9,10,11,12をそれぞれ符
号化する時刻te(1,8),te(1,9),te(1,10),te(1,11),te(1,12)に対応する
符号化事象;符号器「i」が画像78,79,80,81,82をそれぞれ符号化する時刻te(
i,78),te(i,79),te(i,80),te(i,81),te(i,82)に対応する符号化事象;
及び、符号器「L」が画像217,218,219,220をそれぞれ符号化する時刻te(L,217
),te(L,218),te(L,219),te(L,220)に対応する符号化事象;を図3は示し、ま
た時刻t1及びt2における速度事象を示す。符号器「L」の場合に該当するよう
に、符号化時刻は周期的でなくてもよく、即ち“reverse three-two pulldown”
手順を実行した画像の場合は符号化時刻は周期的でない。非周期的符号化時刻は
また散在するフレーム構造やフィールド構造(interspersed frame and/or field
structure)を持つ画像の場合にも発生する。
関連する当業者は、同時に1以上の符号化事象が発生すること、更に1又はそ
れ以上の符号化事象と速度事象が同時に発生することがあることを容易に理解す
るであろう。
次に、多重符号器22の符号化パラメータの制御において、制御器30により使用
される制御パラメータの一層詳細な説明に進むこととする。記述予定の制御アル
ゴリズムの第1の特徴は、多重化システム20の立ち上げ時に実行される初期化手
順である。記述予定の制御アルゴリズムの第2の特徴は、符号化事象の場合に実
行される処理である。記述予定の制御アルゴリズムの第3の特徴は、速度事象の
場合に実行される処理である。
システム立ち上げ時においては、L個の全ての符号器22は、そこで符号化され
るべき次のI,P,及びB画像のそれぞれの複雑度の評価に対し、不履行値XIi
(0),XPi(0),及びXBi(0)が与えられる。符号器22のそれぞれに対する初期ビッ
トレートRi(0)が該システム20の(図示されていない)監視制御器により制御
器30及び符号器22に与えられるか、又は全てを同一の不履行値:
Ri(0)=RC/L
にセットするかである。勿論、不履行値XIi(0),XPi(0),及びXBi(0);チャネ
ル速度RC;並びに符号器の数Lは、制御器30に入力されるとか又はそれへのプ
ログラムの事前組み込みにより与えられねばならない。
次の事象が符号化事象の時は、制御アルゴリズムは該符号化事象に対応する次
の画像を符号化しようとしている符号器22により使用される目標ビット数を決定
しなければならない。その次の事象が、L個の符号器22のうちの1個より多い(
例えば2個)符号器がそれぞれ異なる画像を符号化しようとする1個より多い同
時符号化事象を構成する、という場合(例えば、図3における時刻te(1,9)及
びte(L,219)のような場合)は、制御アルゴリズムは先ず最初に、処理中の映
像信号Viに含まれる次の画像を符号化するため符号器の1個により使用される目
標ビット数を計算し、次いで、処理中の映像信号Viに含まれる次の画像を符号化
するための別の1個の符号器で使用される目標ビット数を計算する。下記に一層
明確になるように、若し速度事象が符号化事象と同時に発生すれば、制御アルゴ
リズムは、新規(更新された)符号器ビットレートの計算に先行して、全ての符
号器に対する目標ビット数の値を優先的に計算する。
上記を説明するために次の例を用意した。即ち、次の符号化事象は符号器22i
による時刻τにおける次の画像の符号化であると想定する。符号化されるべき対
象とする次の画像の符号化に先立って、符号化すべき対象とする次の画像に対し
、状況に応じて、目標ビット数TIi(t),TPi(t),又はTBi(t)が制御器30により
制御信号CSi により符号器22i に通知される。該制御器30は、これらの数値を式
(1),式(2),式(3),並びにXIi(t),XPi(t),XBi(t)に対する現在の値を、
式(4)も満足させるという制約の下で、計算する。若し式(4)が満足できなければ
、目標ビット数は、この制約を満足する最近の値にクリップされる(切り揃えら
れる)。下記の論議において、式(4)を満足させるのに必要な制約について充分
に取り上げる。
論議を確実にするため、符号器22i により符号化された最後の画像の符号化時
刻をte(i,k)で示し、次の画像の符号化時刻をte(i,k+1)で示し、また、そ
れに続く画像の符号化時刻はte(i,k+2)で示す。次の画像は符号器22i により
時刻τにおいて符号化されるため、τ=te(i,k+1)となる。現在の論議の目的
のため、若し符号器22i が画像jを時刻te(i,j)に符号化すると想定すれば、
符号化された画像j を構成する全てのデータは時刻te(i,j)に符号器バッファ
へ挿入される。
若し画像jを符号化するのに使用されたビット数がb(i,j)であれば、符号器バ
ッファステータスは、Ei(te(i,j))=Ei(t+ e(i,j))として定義される。時間
間隔τ(但し、τ=te(i,k+1)≦t<te(i,k+2))の間、符号器バッファステ
ータスは、時刻τにおける初期バッファステータス、時刻τにおいて符号化され
る画像を符号化するのに使用されるビット数、及び、その時間間隔中に符号器バ
ッファからデータが取り除かれる速度に依存する。
本発明の現在の好ましい実施例において、下に示す式(5)及び式(6)に基づく計
算は、時刻tとτの間で何らかの事象の発生を最小にするために、可能な最も早
い時刻に実行される。例えば、図3に示された例を参照し、若し、τがte(1,1
0)に対応すれば、式(5)及び式(6)に基づく計算は、時刻τ以前の最後の速度変
化である時刻tI後,可能な限り速やかに実行される。
満足されねばならない制約は、数式(4)により与えられ、Ri(t)は検討下の
時間間隔中は一定でRi(τ)に等しいとする想定を使用して計算される。しか
し、制御器30はビットレートRi(t)を変更する毎に、制御アリゴリズムに準拠
して新たに選択されたRi(t)が制御アリゴリズムにより課せられた全ての制約
を満足することを自動的に検証するので、Ri(t)が実際にこの時間間隔中一定
値に止まる必要は無い。これらの制約の1つは、時間間隔:
τ=te(i,k+1)≦t<te(i,k+2)
に対して式(4)は:
(5) Ri(γ)xΔi−B1li≦Ei(γ)≦RixΔi
という式(5)を満足することが要求される。それは
だからである。但し茲で、b(i,k+1)は、時刻te(i,k+1)において符号化される
画像の符号化に符号器iにより使用されるビット数である。また、b(i,k+1)に対
する制約は:
及び、
という2個の式である。但し荘で、Ei(t+ e(i,j))は、k番目の画像に対応す
る全てのデータをそこへ蓄積直後の符号器iのバッファ中のビット数である。
式(7)により与えられる制約を満足させることは、復号器バッファのオーバフ
ロウが発生しないことを保証し、式(8)により与えられる制約を満足させること
は、復号器バッファのアンダフロウが発生しないことを保証する。
符号器バッファのアンダフロウとオーバフロウの防止は、下記の方法で実現で
きる。一層特別には、もしk番目の画像が符号器iにより符号化された最後の画
像であれば、時間間隔τ=te(i,k+1)≦t<te(i,k+2)に対する符号器バッ
ファステータスは:
という式(9)により与えられる。上記の式(9)では、符号器バッファを空にする速
度は検討中の期間にわたって一定と仮定する。符号器バッファのアンダフロウを
防止するために、b(i,k+1)に対する制約は次の式である:
符号器バッファのオーバフロウを防止するために、b(i,k+1)に対する制約は次の
式である:
若し、式(l)ないし式(3)を使用して計算した目標ビット数TIi(t),Tpi(t)及び
TBi(t)が、式(7)及び式(8)により与えられる制約を満足しなければ、式(7)及び
式(8)により与えられる制約を満足させる目標値に最も近い数値が選択される。
本数値は式(8)により与えられる上限、若しくは式(9)により与えられる下限であ
る。式(8)により与えられる上限はTIi(t),TPi(t)及びTBi(t)に対する最大値
を定め、式(9)により与えられる下限はTIi(t),TPi(t)及びTBi(t)に対する最
小値を定め、これにより、与えられた画像の符号化に使用される実際のビット数
の範囲を確定する。前述の通り、制御器30により発生される制御信号CSi は、符
号器22により符号化される各画像の符号化のための最小及び最大ビット数を含む
、制御器30によりダイナミックに制御される符号化パラメータを所持している。
このようにして、本情報は制御器30により符号器22に伝達される。
さらに、式(10)及び式(11)により与えられる制約は、符号器バッファのアンダ
フロウ又はオーバフロウが発生しないことを保証するために、満足されねばなら
ない。これらの計算は、本発明に制限を課すことにはならないが、符号器自体で
実施されるのが好都合である。もし希望すれば、空になった帯域幅を1又は複数
の他の符号器にダイナミックに再配分することが可能であるから、符号器バッフ
ァにアンダフロウを許すことも出来る。しかし、これは次の予定されたビットレ
ート変化がアンダフロウが発生しそうな時刻以前に発生する場合に限り可能であ
る。従って、もし次の予定されたビットレート変化が時刻が/τ及び/τ<te(i,
k+2)を満足するτであれば、式(10)は/τをte(i,k+2)で置換することにより解
ける。
以前に議論したように、L個の映像符号器22の何れかが1個の画像を符号化す
る時刻teiから開始し、計数器は該画像を符号化するのに使用された目標ビッ
ト数を減少させる。該画像の符号化が終了した時、該画像の符号化に使用した実
際のビット数と目標数の間に差異があった場合は、計数器は調整される。一層明
確にすると、count(t)は該画像の符号化に使用した実際のビット数と目標数の間
に差異に対して調整される。これに関連して、各符号器22は、双方向バス50を経
由して、各画像の符号化に使用した実際のビット数を制御器30に伝達する。さら
に、各符号器22は、各画像の複雑度XIi(t),XPi(t),又はXBi(t)の評価及び画
像タイプ(I,P又はB)を決定次第、それらを双方向バス50を経由して、制御
器30に伝達する。この情報は制御器30により式(1)及び式(2)の解の最新化に使用
される。一般的に、各符号器は本発明の現在の好ましい実施例に使用される制御
アルゴリズムに準拠して、少なくとも下記の情報を伝達するようにプログラムさ
れている:
a)Di(t)の数値;
b)符号化すべき次の2個の画像に対する符号化時刻te.i;
c)フレームレート;
d)最終画像の符号化に使用された実際のビット数;
e)最終画像に対する複雑度XIi(t),XPi(t),又はXBi(t)の評価;
f)Ni(t)の現在の数値;
g)Mi(t)の現在の数値。
各符号器バッファが空きにされるビットレートRi(t)は、全ての符号器ビッ
トレートが同時に調整されるのに合わせて、周期的に調整される。ビットレート
調整周期は、L個の符号器22の何れかへの入力映像Viの最大フレームレートをF
とした時に、各1/F秒毎である。ビットレート調整の実施前に、本発明の現在
の好ましい実施例の制御アルゴリズムに準拠して、制御器30によって下記の手順
と計算が実行される。
さらに特別に、L個の符号器22の何れもが、各画像の符号化終了時に、そのバ
ッファステータスEi(t)を制御器30に伝達する。該制御器30は符号器22の各i
番目のもの(符号器i)に対するバッファステータス情報をΔi秒間蓄積する。
図4は符号器iの出力速度又はビットレートRi(t)の変化を示す。点線は次の
事象が速度事象(ビット変化)である時刻を示し、τは速度事象が発生すると予
定されている時刻である。図4に示すように、符号器iのビットレートRi(t)
は、速度変化時刻τにおいて、制御器30によりRi(τ+)に変更される。図4は
又、k番目の画像は図示された速度事象の前に符号器iによって符号化された最
後の画像であり、(k+1)番目の画像はビットレート変更が実施された後で符号器
iにより符号化される次の画像である、該符号器iに対する一連の事前ビットレ
ート変更を示す。
式(4)の下の方の不等部を満足させることを保証するため、次の式(12)により
示される制約が満足されねばならない:
tをte(i,j)≦t<te(i,j+1)とする。若しtが式(12)を満足する範囲内にあ
れば、図4に記述の例に対し、jは(k−3)からkの数値を取る。符号器バッファ
ステータスは次の式(13)により与えられる:
復号器バッファのアンダフロウが発生しないことを保証するために、新規(更
新された)速度Ri(τ+)は:
という式(14)を満足させるという制約が課される。ここで、jが
τ−Δi<te(i,j)≦τ
の範囲で、jの全ての数値の最大化が行われる。図4に示された例では、jのこ
れらの数値は(k−2),(k−1),及びkである。もし、式(14)の式の分子が負数で
あれば、式の残りは計算する必要が無いことを注記する。また、jのある数値に
対し分子が負数であれば、この式が将来もっと先の速度変化に対し計算される時
に、これらのjの数値は考慮しなくてよい。もし、分子が或るτとjに対し負数
であれば、jのその数値及びτの全てのそれより大きい数値に対し負数である。
式(14)で与えられる制約は、符号器iに対する新規(調整された)ビットレート
の下方限界を与える。もしビットレートが何れかの下方限界にあれば、復号器バ
ッファがアンダフロウする危険がある。
復号器バッファがオーバフロウを発生させないことを保証するために、下記の
式(15)と(16)が満足されねばならない制約が設けられる:
但しここで:
(1) te(i,j)≦τ,及び
(2) te(i,j)>τ−Δi
の両方の条件をjが満足させる範囲内で、最小化関数はjの全ての数値に対して
適用される。図4に示された例において、これは(k−3)からkの範囲のjの数値
に対応する。
従って、符号器iに対する新規(調整された)ビットレートRi(τ+)を決定
するに当たり、式(14)及び式(15)から与えられる制約を満足させれば、復号器バ
ッファ・アンダフロウ又はオーバフロウが発生しないことを保証する。
時刻τ(次の予定されたビットレート変更の時刻)から時刻/τまでの符号器
バッファステートは次の式(17)により与えられる:
ここで、u(t)はステップ関数で、t≧0のときに値1を取り、t<0のときに値0
を取る。
符号器バッファのオーバフロウが発生しないことを保証するために、次の式(1
8)を満足させる制約が設けられる:
但しここで、n≧0及びte(i,k+n)≦/τにおける全てのnに対し最小化が行わ
れる。若しte(i,k+n+1)≧/τあれば、式(18)のte(i,k+n+1)は/τで置換
される。若し式(18)が満足されれば、時刻/τ以前に符号器バッファ・アンダフ
ロウが発生しないことが保証される。時刻/τ以降に符号器バッファ・アンダフ
ロウが発生する可能性は、時刻/τにおいて符号器バッファ・アンダフロウを防
止するような方法にビット速度を変化させることにより処理される。
式(17)は符号器バッファ・オーバフロウを防止するための制約として課せられ
る下記の式(19)を導くのに使用される:但しここで、nは正の整数でte(i,k+n)≦/τを満足するようにして、nの全
ての数値にわたって最大化が実施される。若し式(19)が満足されれば、符号器バ
ッファ・オーバフロウは時刻/τ以前には発生しないことが保証される。時刻/τ
以降に符号器バッファ・オーバフロウが発生する可能性は、時刻/τにおいて符
号器バッファ・オーバフロウを防止するような方法にビット速度を変化させるこ
とにより処理される。
符号器ビットレート(出力速度)Ri(t)は、下記のアルゴリズムに準拠して
制御器30により計算される。即ち、式(14)は、復号器バッファ・アンダフロウを
防止するために各符号器22に要求される最小ビットレートRmin.d(i)の計算に
使用される。式(16)は復号器バッファ・オーバフロウを防止するのに要求される
各符号器22のための最大ビットレートRmax.d(i)の計算に使用される。式(18)
は、符号器バッファ・アンダフロウを防止するために各符号器22に要求される最
大ビットレートRmax.e(i)の計算に使用される。式(19)は、符号器バッファ・
アンダフロウを防止するのに要求される各符号器22に対する最小ビットレートRmin.e
(i)の計算に使用される。
本発明の現在の好ましい実施例に準拠して、制御器30に使用される制御アルゴ
リズムは、速度配分手順への増加した柔軟性を与え、且つ速度配分手順を最適化
するため、全ての符号器バッファ22を出来る限り空に保つ。
符号器バッファ22を出来る限り空に保つ問題は、下記の方法で表現できる。
云い替えるならば、i=1ないしi=Lに対するRi(τ+)を:
(20-a) Ri(τ+)≧Rmin.d(i),
(20-b) Ri(τ+)≧Rmin.e(i),
(20-c) Ri(τ+)≦Rmax.d(i),
(20-d) Ri(τ+)≦Rmax.e(i),
(20-e) Max[Ei(/τ)]を最小化する。
のように決定する。下記のアルゴリズムは、この問題に対する最適解を提供する
ものである。
ステップ1:
ステップ2:
ステップ3: 本発明は上記に詳細に記述されたが、関連する当業者にとって明白であるここ
に教示の基本的発明の概念の多くの変形や修正は、請求の範囲に定義されるよう
に、本発明の精神及び範疇に入ることを明確に理解されるべきである。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
H04N 7/24
【要約の続き】
るデータ符号化及び送出プロトコルが乱されないことを
保証する制御アルゴリズムに従って制御器により制御さ
れる。更に、該制御器に使用される制御アルゴリズム
は、符号器又は復号器バッファのサイズ又は相対的なサ
イズに如何なる制約も課さない。その上、制御器により
使用される制御アルゴリズムは、速度配分手順に増加し
た柔軟性を与えるために、全ての符号器バッファを出来
る限り空きに保つ。