JP2000500802A - ビチューメン組成物およびその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明はビチューメン組成物の製造方法を提供し、この方法は少なくとも３００ ｄｍｍ（ＡＳＴＭ Ｄ ５により２５℃にて測定）の針入度を有するビチューメンと全混合物に対し１重量％未満の量にて存在する熱可塑性ゴムとからなる酸素含有ガスとの混合物を吹込むことを特徴とし、さらにこの方法により得られるビチューメン組成物および工業用途におけるこの種のビチューメン組成物の使用をも提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 ビチューメン組成物およびその製造方法 本発明はビチューメン組成物、その製造方法および工業用途（特に屋根ぶき用 途）のためのビチューメンにおけるその使用に関するものである。 ビチューメンは、たとえば建築構造業者からの益々増大する性能要求を満たす よう絶えず開発されている。建築技術における進歩は、極めて高性能の屋根ぶき フェルト系の開発を必要とする。この種の屋根ぶき用フェルト系は全ゆる使用温 度にて充分柔軟性、弾性かつ永久変形に対し耐性として、その防水性能を喪失す ることなく運動を吸収することを必要とする。 ビチューメンの性能を改善する公知技術は、これに高レベルの熱可塑性ゴムを 混入することによりビチューメンを改質することからなっている。このようにし て、一層高度の弾性および向上した耐久性を確立することができる。 他の公知の技術は、ビチューメンを必要に応じビチューメン吹込触媒の存在下 にいわゆる吹込プロセスにかけ、これによりビチューメンの温度感受性を減少さ せることができる。上記技術の組合せがたとえはＵＳ ５，３４２，８６６号に より教示され、ここでは吹込みを緩和な条件下で行う。 実用的に、ビチューメンは必要に応じビチューメン吹込触媒の存在下に酸素含 有ガスと共に所定時間にわたり吹込んで、ビチューメンを予備選択された軟化点 もしくは針入度に至らしめることを必要とする。 吹込法はビチューメン生成物を保護すると共に熱流亡、自然着火、爆発および 火災を防止すべく綿密に制御する必要があるので、短時間にわたり行って予備選 択された軟化点もしくは針入度に至らしめうる吹込法を開発することが極めて有 利であろう。 驚くことに今回、吹込むべきビチューメンが少量の熱可塑性ゴムおよび必要に 応じ少量のビチューメン吹込触媒をさらに含有すれば、慣用の吹込法と比較して 一層短時間または減少した温度で比較的軟質のビチューメンの吹込法を行いうる ことが突き止められた。 したがって本発明は、少なくとも３００ｄｍｍ（ＡＳＴＭ Ｄ５により２５℃ にて測定）の針入度を有するビチューメンと全混合物に対し１重量％未満の量に て存在する熱可塑性ゴムとからなる酸素含有ガスとの混合物を吹込むことを特徴 とするビチューメン生成物の製造方法に関するものである。 好ましくは熱可塑性ゴムを全混合物に対し０．１〜０．５重量％の範囲の量に て存在させる。 本発明により用いられる少量の熱可塑性ゴムはまさに吹込法の反応速度論に顕 著な作用を及ぼすのに対し、その量は上記したようなビチューメンを改質するに は不充分であることに注目することが重要である。 好ましくは、この方法はビチューメン吹込触媒の存在下に行われる。 さらに驚異的な効果は、少量の熱可塑性ゴムの使用が極めて少量のビチューメ ン吹込触媒の使用を可能にすることを見出した点である。好適にはビチューメン 吹込触媒を全混合物に対し１重量％未満の量にて使用する。 より好ましくはビチューメン吹込触媒を全混合物に対し０．７重量％未満の量 、特に好ましくは０．３〜０．５重量％の範囲の量にて使用する。 当業界で全て周知された適するビチューメン吹込触媒は塩化第二鉄、五酸化燐 、塩化アルミニウム、硼酸および燐酸を包含する。好ましくは燐酸が使用される 。 吹込みは、たとえば空気もしくは純粋酸素のような酸素含有ガスにて行われる 。好ましくは空気を使用する。 好適には、本発明による方法は１９０〜３１０℃の範囲の温度で行われる。 本発明による方法は、大気圧または高められた圧力にて行うことができる。し かしながら一般に、大気圧にて行われる。 好適には本発明の方法は、１時間より大、好ましくは２時間より大の時間にわ たり行われる。一般に、この方法は６時間以下の時間にわたり行われる。 混合物は熱可塑性ゴムを含む。この混合物は１種もしくはそれ以上の異なる種 類の熱可塑性ゴムを含むこともできる。 広範囲の熱可塑性ゴムを好適に本発明により使用しうるが、好適熱可塑性ゴム は適宜水素化されたブロックコポリマーを包含し、これらコポリマーは少なくと も２個の末端ポリ（モノビニル芳香族炭化水素）ブロックと少なくとも１個の中 心ポリ（共役ジエン）ブロックとを含む。 好ましくはブロックコポリマーの各成分は式Ａ（ＢＡ）_mもしくは（ＡＢ）_nＸ ［式中、Ａは主としてポリ（モノビニル芳香族炭化水素）のブロックを示し、Ｂ は主としてポリ（共役ジエン）のブロックを示し、Ｘは多価カップリング剤の残 基を示し、ｎは≧１、好ましくは≧２の整数を示し、ｍは≧１の整数を示し、好 ましくはｍは１である］を有するものよりなる群から選択される。 より好ましくはブロックＡは主としてポリ（スチレン）ブロックを示し、Ｂブ ロックは主としてポリ（ブタジエン）もしくはポリ（イソプレン）を示す。使用 すべき多価カップリング剤は当業界で一般的に知られたものを包含する。 「主として」と言う用語は、各ブロックＡおよびＢが主としてモノビニル芳香 族炭化水素モノマーおよび共役ジエンモノマーから誘導しうることを意味し、こ れらモノマーは他の構造上関連する或いは関連しないコモノマー、たとえば主成 分としてのモノビニル芳香族炭化水素モノマーおよび少量（１０％まで）の他の モノマーもしくはブタジエンをイソプレンもしくは少量のスチレンと混合したも のと混合することができる。 より好ましくは、コポリマーは純ポリ（スチレン）、純ポリ（イソプレン）も しくは純ポリ（ブタジエン）ブロックを含有し、そのうちポリ（イソプレン）も しくはポリ（ブタジエン）ブロックは最高２０％、特に好ましくは５％未満の残 留エチレン系不飽和度まで選択的に水素化することができる。特に好ましくは、 用いるブロックコポリマーは構造ＡＢＡ［ここでＡは３０００〜１００，０００ 、好ましくは５，０００〜４０，０００の見掛モル重量を有し、Ｂは１０，００ ０〜２５０，０００、好ましくは４０，０００〜２００，０００の見掛モル重量 を有する。最初に作成されたポリ（共役ジエン）ブロックは一般に、共役ジエン 分子に対し１，２−重合から由来する５〜５０モル％のビニル基、好ましくは１ ０〜２５％のビニル含有量を有する。 本発明により使用すべき完成ブロックコポリマーは一般に１０〜６０重量％、 好ましくは１５〜４５重量％の量にて重合モノビニル芳香族炭化水素モノマーを 含有する。 全ブロックコポリマーの見掛分子量は一般に１５，０００〜３５０，０００の 範囲、好ましくは４０，０００〜２５０，０００の範囲である。 適する純粋ブロックコポリマーの例としてはクラトンＧ−１６５１、クラトン Ｇ−１６５４、クラトンＧ−１６５７、クラトンＧ−１６５０、クラトンＧ−１ ７０１、クラトンＤ−１１０１、クラトンＤ−１１０２、クラトンＤ−１１０７ 、クラトンＤ−１１１１、クラトンＤ−１１１６、クラトンＤ−１１１７、クラ トンＤ−１１１８、クラトンＤ−１１２２、クラトンＤ−１１３５Ｘ、クラトン Ｄ−１１８４、クラトンＤ−１１４４Ｘ、クラトンＤ−１３００Ｘ、クラトンＤ −４１４１およびクラトンＤ−４１５８を挙げることができる（クラトンは商標 である）。 ビチューメンは原油の蒸留から得られる残留物、熱分解残渣、原油を吹込んで 得られる残留物、または原油蒸留の残渣もしくは原油の抽出物、プロパンビチュ ーメン、ブタンビチューメン、ペンタンビチューメンから誘導されるビチューメ ンまたはその混合物とすることができる。好適にはビチューメンは上記ビチュー メンと伸展剤（フラックス）、たとえば石油抽出物（たとえば芳香族抽出物）、 蒸留物もしくは残留物との混合物を包含する。好適にはビチューメンは全ビチュ ーメンに対し５０重量％以下、好ましくは４５重量％以下の伸展剤を含有する。 本発明の方法で用いるビチューメンは少なくとも３００ｄｍｍ（ＡＳＴＭ Ｄ ５により２５℃にて測定）の針入度を有する。しかしながら当業者は一般に、こ の種のビチューメンをその浸透値によってでなく１００℃における粘度（ＡＳＴ Ｍ Ｄ ２１７１により測定）によって特性化する。３００ｄｍｍ（２５℃）の 針入度は約１．５Ｐａ．ｓの粘度（１００℃）に相当する。好ましくはビチュー メンは少なくとも０．０５Ｐａ．ｓ、特に０．１〜１Ｐａ．ｓの上記粘度を有す る。 得られるビチューメン組成物は好適には１００ｄｍｍ未満、好ましくは５０ｄ ｍｍ未満（ＡＳＴＭ Ｄ５により２５℃にて測定）の針入度を有し、さらに６０ 〜１４０℃の範囲、好ましくは８０〜１２０℃の範囲の軟化点（ＡＳＴＭ Ｄ３ ６により測定）を有すると共に、全ビチューメン組成物に対し１重量％未満、好 ましくは０．１〜０．５重量％の任意の上記熱可塑性ゴムを含有する。 たとえばカーボンブラック、シリカおよび炭酸カルシウムのような充填剤、安 定化剤、酸化防止剤、顔料および溶剤がビチューメン組成物にて有用であること も知られ、本発明の組成物中に当業界にて教示された濃度で混入することができ る。 当業者により了解されるように、ビチューメンと熱可塑性ゴムとの混合物は吹 込過程にかける前に予熱される。ビチューメンと熱可塑性ゴムとの混合物は一般 に１６０〜２２０℃の範囲の初期混合物温度を確立するように予熱される。次い で、予熱された混合物を一般に２４０〜２９０℃の範囲の温度にて吹込む。 さらに本発明は、上記した任意の方法により得られるビチューメン組成物をも 提供する。この種のビチューメン組成物は魅力的な酸化特性を有する。 さらに本発明は、工業用途（たとえば屋根ぶき用途）における前記ビチューメ ン組成物の使用にも関するものである。 以下、実施例により本発明をさらに説明する。実施例 例１ ６５重量％の非ナフテン系ショート残留物と３５重量％のパラフィン系蒸留物 との混合物から作成した。このビチューメンは０．１７Ｐａ．ｓの粘度（１００ ℃にてＡＳＴＭ Ｄ ２１７１により測定）を有した。このビチューメンに、全 混合物に対し０．３重量％のブロックコポリマーと０．７重量％の燐酸とを添加 した。使用したブロックコポリマーは３０重量％のスチレン含有量とポリスチレ ン標準を用いるＧＰＣにより測定して１０３，０００の数平均分子量とを有する 水素化ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロックコポリマーとした 。ポリマーのエチレン系不飽和度を水素化により初期不飽和度の１％未満まで減 少させた。 先ず最初に、ビチューメンとブロックコポリマーとを１８０℃の温度にて配合 した。次いで、得られた予熱混合物を空気により吹込容器に２００℃の温度で２ 時間かけて吹込んだ。燐酸を予熱混合物に吹込過程の開始時点で導入した。得ら れた吹込ビチューメン組成物の主たる性質を第１表に示す。例２ 例１に記載したと同様に吹込過程を行ったが、ただし予熱混合物は０．５重量 ％の燐酸を含有した。得られた吹込ビチューメン組成物の主たる性質を第１表に 示す。例３ 例１に記載したと同様に吹込過程を行ったが、ただし予熱混合物は燐酸を含有 しなかった。得られた吹込ビチューメン組成物の主たる性質を第１表に示す。例４ 比較吹込過程を例１に記載したと同様に行ったが、ただし予熱ビチューメンは ブロックコポリマーも燐酸も含有しなかった。得られた吹込ビチューメン組成物 の主たる性質を第１表に示す。例５ 吹込過程を例２に記載したと同様に行ったが、ただしビチューメンは５８重量 ％の非ナフテン系ショート残留物と４２重量％のパラフィン系蒸留物との混合物 から作成すると共に、温度を２５５℃にて４時間２０分にわたり用いた。ビチュ ーメンは０．１４Ｐａ．ｓの粘度（ＡＳＴＭ Ｄ ２１７１により１００℃にて 測定）を有した。例６ 比較吹込過程を例４に記載したと同様に行ったが、ただしビチューメンは４８ 重量％の非ナフテン系ショート残留物と５２重量％のパラフィン系蒸留物との混 合物から作成すると共に、温度を２６５℃にて４時間２０分にわたり用いた。ビ チューメンは０．０８Ｐａ．ｓの粘度（ＡＳＴＭ Ｄ ２１７１により１００℃ にて測定）を有した。 第１表に示した結果から明かなように、本発明による方法（例１、２および３ ）を用いて３〜８の範囲の針入度指数を有するビチューメン組成物を、慣用の吹 込法（例４）と比較して、ずっと短時間で作成することができる。これら例にお いて、４の針入度指数につき時間の増加は用いる吹込触媒の量に応じ２５〜４５ ％の範囲である。 第２表における結果から明らかなように、本発明による方法（例５）を用いて ３〜８の範囲の針入度指数を有するビチューメン組成物を慣用の吹込法（例６） と比較して低温度で作成することができる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，Ｌ Ｕ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ， ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＫＥ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，Ｓ Ｚ，ＵＧ)，ＵＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ， ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，Ｇ Ｅ，ＨＵ，ＩＬ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ， ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，Ｐ Ｌ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＺ，ＶＮ (72)発明者 モリツール，マリー―フランソワーズ フランス国エフ―76530 グラン―クロン ヌ、ルート・ド・カエン、セントレ・ド・ レシエルシエ、シエル・レシエルシエ エ ス．エー．内（番地なし)

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １． 少なくとも３００ｄｍｍ（ＡＳＴＭ Ｄ５により２５℃にて測定）の針入 度を有するビチューメンと、全混合物に対し１重量％未満の量にて存在する熱可 塑性ゴムとからなる酸素含有ガスとの混合物を吹込むことを特徴とするビチュー メン生成物の製造方法。 ２． 熱可塑性ゴムを全混合物に対し０．１〜０．５重量％の量にて存在させる 請求の範囲第１項に記載の方法。 ３． 混合物を空気と共に吹込む請求の範囲第１項または第２項に記載の方法。 ４． 熱可塑性ゴムが、少なくとも２つの末端ポリ（モノビニル芳香族炭化水素 ）ブロックと少なくとも１つの中心ポリ（共役ジエン）ブロックとを含む適宜水 素化されたブロックコポリマーからなる請求項１〜３のいずれか一項に記載の方 法。 ５． ブロックコポリマーが式Ａ（ＢＡ）_mもしくは（ＡＢ）_nＸ［式中、Ａは主 としてポリ（モノビニル芳香族炭化水素）のブロックを示し、Ｂは主としてポリ （共役ジエン）のブロックを示し、Ｘは多価カップリング剤の残基を示し、ｎは ≧１の整数であり、ｍは≧１の整数である］を有する請求の範囲第４項に記載の 方法。 ６． Ａブロックが主としてポリ（スチレン）ブロックであり、Ｂブロックが主 としてポリ（ブタジエン）もしくはポリ（イソプレン）ブロックである請求の範 囲第５項に記載の方法。 ７． ビチューメンが１００℃にて０．１〜１Ｐａ．ｓ（ＡＳＴＭ Ｄ ２１７ １により測定）の粘度を有する請求の範囲第１〜６項のいずれか一項に記載の方 法。 ８． ビチューメン吹込触媒の存在下に行う請求の範囲第１〜７項のいずれか一 項に記載の方法。 ９． ビチューメン吹込触媒を混合物に対し１重量％未満の量にて使用する請求 の範囲第８項に記載の方法。 １０． ビチューメン触媒が燐酸からなる請求の範囲第１〜９項のいずれか一項 に記載の方法。 １１． 請求の範囲第１〜１０項のいずれか一項に記載の方法により得られるビ チューメン組成物。 １２． 工業用途のビチューメンにおける請求の範囲第１１項に記載のビチュー メン組成物の使用。