JP2000357744A - 配線容量見積もり方法および集積回路設計方法 - Google Patents

配線容量見積もり方法および集積回路設計方法

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JP2000357744A
JP2000357744A JP11169370A JP16937099A JP2000357744A JP 2000357744 A JP2000357744 A JP 2000357744A JP 11169370 A JP11169370 A JP 11169370A JP 16937099 A JP16937099 A JP 16937099A JP 2000357744 A JP2000357744 A JP 2000357744A
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wirings
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terminals
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JP11169370A
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Hirotaka Ito
弘貴 伊藤
Kazuhiro Takahashi
一浩 高橋
Takeshi Kotani
健 小谷
Toshiyuki Sadakane
利行 定兼
Keiichi Suemitsu
啓一 末光
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Renesas Design Corp
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Renesas Design Corp
Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 配線容量の見積もり精度を高める。 【解決手段】 端子の間を接続する実配線の決定に先立
って、仮想配線の経路が、短絡を許した簡便な手法を用
いて見積もられる。仮想配線が存在する小領域A,Bの
各々について、配線混雑度が、グリッドの占有率にもと
づいて見積もられる。さらに、仮想配線が他の配線等に
隣接する比率である隣接率が、配線混雑度に比例した数
値として見積もられる。仮想配線の単位長当たりの隣接
による配線容量の増分と、隣接率と、仮想配線の配線長
とを乗じることにより、各小領域内での隣接による配線
容量の増分が算出される。対基板容量にこの増分を付加
し、さらに、仮想配線が存在するすべての小領域にわた
って、総和を求めることによって、配線の隣接を考慮し
た配線容量の見積もりが達成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、配線容量見積も
り方法および集積回路設計方法に関し、特に、配線容量
の見積もり精度を高めるための改良に関する。
【0002】
【従来の技術】集積回路では、シリコン基板等の半導体
基板にPMOS型/NMOS型トランジスタ等の複数の回路素子
(以下、単に「素子」と記載する)が形成され、これら
素子の間は、ポリシリコンあるいはアルミニウム金属等
の導体を用いた配線によって結線されている。それによ
って、集積回路は、所要の機能(例えば、論理演算機
能)を実現する。配線は、一般にn層(1≦n)にわた
って形成されている。
【0003】集積回路の設計では、ある素子から別の素
子まで、配線や素子を介して信号が伝播するのに要する
遅延時間(すなわち、信号伝播遅延時間。以下、「遅延
時間」と略記する。)が適切な範囲となるように制御し
なくてはならない。例えば、特定の素子の間の遅延時間
が、ある基準値以下となるように制御することがしばし
ば必要となる。
【0004】集積回路の設計は、通常において、所望の
機能を得る為に用いる素子と、これら素子間の接続関係
とを決め(論理設計)、半導体基板上での素子の配置を
決め(配置処理)、素子の間を結ぶ配線を決定する(配
線処理)というステップを踏んで行われる。あるステッ
プで遅延時間の制御に失敗すると、以前のステップに戻
って回路構成を再吟味しなくてはならない。
【0005】このような設計の手戻りは集積回路設計期
間の増大を招く。そのため、各ステップの直後におい
て、できるだけ正確な遅延時間を求め、遅延時間の制御
に成功しているかどうかを確認し、少ない手戻りで集積
回路を実現することが求められる。
【0006】遅延時間は、信号が素子に到達してからこ
の素子を介して配線へ信号を送出するのに要する固定遅
延と、信号が配線を伝搬するのに要する配線遅延とに分
けられる。配線遅延は、配線の寄生容量(すなわち、配
線容量)と寄生抵抗(すなわち、配線抵抗)により求め
られる。従来の集積回路では、配線と基板との間の寄生
容量(すなわち、対基板容量)が、配線容量の主要部を
占めていた。そのため、まず配線の長さ(すなわち、配
線長)を求め、これにあらかじめ求めておいた単位長さ
当たりの配線容量を乗じることにより、配線容量が算出
されていた。
【0007】配線処理が行われた後では、配線が決定さ
れているので、集積回路に対して遅延時間の制御が成功
しているかどうかを確認することが可能である。しか
し、論理設計や配置処理の後では、配線が未決定である
ので、何らかの方法で配線遅延を予測することが行われ
る。例えば、配置処理の後では配線の長さの見積もり値
(すなわち、仮想配線長)を求め、あらかじめ求めてお
いた単位長さ当たりの配線容量を仮想配線長に乗じて配
線容量を見積もり、それによって配線遅延が求められ
る。
【0008】図28は、以上に述べた配線容量を見積も
るための従来の方法の手順を示すフローチャートであ
る。この方法では、まずステップS161において、未
処理のネットが選択される。ここで、「ネット」とは、
共通の配線で接続されるべき一組の端子と、その配線と
に付与された識別名を意味する。互いに接続される一組
の端子と配線とは、共通のネットに属し、互いに接続さ
れない端子および配線は、互いに異なるネットに属す
る。
【0009】つぎにステップS162において、選択さ
れたネットについて仮想配線の経路が見積もられる。こ
こで、「仮想配線」とは、配線処理において決定される
配線(すなわち、実配線)とは異なり、それに先だっ
て、簡便な手法を用いて仮に決定される配線を意味す
る。仮想配線と(実)配線との相違点については、後述
する。仮想配線経路が見積もられるのにともなって、仮
想配線長が求められる。
【0010】つづくステップS163では、求められた
仮想配線長に、配線層毎にあらかじめ決定しておいた配
線の単位長さ当たりの容量を乗じることにより、配線容
量が算出される。その後、ステップS164において、
すべてのネットについて処理が完了したか否かが判定さ
れ、完了していなければ、処理はステップS161へと
戻る。逆に、完了しておれば、処理は終了する。このよ
うにして、すべてのネットに対する処理、すなわち、集
積回路に要求されるすべての結線に対する処理が完了す
るまで、ステップS161〜S163の処理が反復して
実行される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、最近出現し
ている高度に微細化が進んだ集積回路では、半導体基板
と配線との間の寄生容量に対して、近接する配線同士間
の寄生容量(すなわち、配線間容量)の割合が大きくな
っている。このため、配線遅延の中で占める配線間容量
の割合が大きくなっており、正確な配線遅延を求めるた
めには、対基板容量のみだけでなく、配線間容量をも考
慮して配線容量を求めることが必要となっている。すな
わち、配線容量を見積もるための従来の方法では、微細
化された集積回路に対しては、配線容量の精度が悪くな
るという問題点があった。
【0012】図29および図30は、この問題点を説明
するための集積回路の平面図である。図29は、集積回
路における結線要求を模式的に示しており、図30は図
29が示す結線要求を満たすように決定された実配線の
一例を示している。半導体基板10の主面には、素子1
1a〜11gが配置されている。そして、これらの素子
には、端子12a〜12hが備わっている。端子12a
と12eの組、端子12bと12gの組、端子12cと
12fの組、および、端子12dと12hの組は、それ
ぞれ、共通のネットに属しており、接続関係13a〜1
3dが要求されている。
【0013】図30の例では、配線処理後には、接続関
係13aは配線14a、接続関係13bは配線14b、
接続関係13cは配線14c〜14e、接続関係13d
は配線14f〜14hによって、それぞれ達成されてい
る。また、図30の例では、配線14a〜14hは、二
層にわたって配設されている。すなわち、配線14d、
14gは、上層(紙面の手前側)に配設され、残りの配
線は下層(紙面の奥側)に配設されている。また、図2
9および図30において、素子11a〜11gは、半導
体基板10の上に形成される各素子のポリシリコン、金
属導体等の導体要素(主として、主電極、ゲート電極等
の電極)のパターンを表現している。導体要素も、それ
に接続される端子と同一のネットに属する。
【0014】配線14aと配線14bは、配線長が互い
に同一であるので、従来の方法で仮想配線の配線容量が
見積もられた場合には、仮想配線が精度よく実配線に近
いものとして得られたとしても、これらの配線容量は互
いに同一となる。しかしながら、配線14aでは、その
近傍に他の配線が存在しないのに対し、配線14bで
は、配線14eおよび14fが隣接している。このた
め、配線長が同一であっても、配線容量は配線14bの
方が配線14aよりも大きくなる。
【0015】さらに、配線14bには、配線14dが交
差している。また、配線14bには、素子の導体要素1
1dも交差している。これらも、配線14bの配線容量
を高めるべく寄与する。さらに、半導体基板10の主面
内の共通部位の上方に配設された配線の間でも、上層に
配置された配線と下層に配置された配線とでは、対基板
容量が異なるため配線容量は異なる。また、図30には
例示されないが、配線の混雑度が高い配線14bでは、
設計上接続されない(すなわち、他のネットに属する)
配線、端子、および、導体要素との短絡を避けるため
に、迂回して配設される場合がある。配線が迂回して配
設されると、配線長が長くなるために、配線容量が増大
する。
【0016】従来の方法では、以上のような、隣接、交
差、迂回、配線層の相違に由来する配線容量の相違をも
考慮して、配線容量を見積もることができなかった。隣
接、交差、迂回、多層化の比率は、素子の微細化が進む
ほど大きくなる。したがって、上記したように、素子の
微細化にともなって、配線容量を見積もる従来の方法で
は、精度が劣化するという問題点があった。
【0017】この発明は、従来の方法における上記した
問題点を解消するためになされたもので、素子の微細化
にともなう精度の劣化を抑えて配線容量の見積もりを良
好な精度で行うことのできる配線容量見積もり方法、お
よび、この方法を用いることにより、短時間で効率よく
集積回路を設計することのできる集積回路設計方法を提
供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】第1の発明の方法は、基
板の主面の上に配置される複数組の端子間を結ぶ複数の
配線の容量を見積もる配線容量見積もり方法であって、
(a)前記主面を観念上複数の領域に分割する工程と、(b)
前記複数組の端子間を結ぶ前記複数の配線の経路を決定
する工程と、(c)前記複数の領域の中で前記複数の配線
のいずれかが存在するものの各々ごと、および、前記複
数の配線の各々ごとに、当該各々の配線と、前記複数の
配線および前記複数組の端子を含む前記主面の上に形成
される導体部の中で前記各々の配線に接続されない部分
とが、占める比率である配線混雑度を見積もる工程と、
(d)前記複数の領域の中で前記複数の配線のいずれかが
存在するものの各々ごと、および、前記複数の配線の各
々ごとに、当該各々の配線の中で、当該各々の配線に接
続されない他の導体部に隣接する部分の比率である隣接
率を、前記配線混雑度にもとづいて見積もる工程と、
(e)前記複数の配線の各々について、当該各々の配線が
存在する領域ごとの前記隣接率を用いることにより、隣
接による容量の増分を算入した配線容量を見積もる工程
と、を備える。
【0019】第2の発明の方法は、基板の主面の上に配
置される複数組の端子間を結ぶ複数の配線の容量を見積
もる配線容量見積もり方法であって、(a)前記主面を観
念上複数の領域に分割する工程と、(b)前記複数組の端
子間を結ぶ前記複数の配線の経路を決定する工程と、
(c)前記複数の領域の中で前記複数の配線のいずれかが
存在するものの各々ごと、および、前記複数の配線の各
々ごとに、当該各々の配線と、前記複数の配線および前
記複数組の端子を含む前記主面の上に形成される導体部
の中で前記各々の配線に接続されない部分とが、占める
比率である配線混雑度を見積もる工程と、(d)前記複数
の領域の中で前記複数の配線のいずれかが存在するもの
の各々ごと、および、前記複数の配線の各々ごとに、当
該各々の配線の中で、当該各々の配線に接続されない他
の導体部と交差する部分の比率である交差率を、前記配
線混雑度にもとづいて見積もる工程と、(e)前記複数の
配線の各々について、当該各々の配線が存在する領域ご
との前記交差率を用いることにより、交差による容量の
増分を算入した配線容量を見積もる工程と、を備える。
【0020】第3の発明の方法は、基板の主面の上に配
置される複数組の端子間を結ぶ複数の配線の容量を見積
もる配線容量見積もり方法であって、(a)前記主面を観
念上複数の領域に分割する工程と、(b)前記複数組の端
子間を結ぶ前記複数の配線の経路を決定する工程と、
(c)前記複数の領域の中で前記複数の配線のいずれかが
存在するものの各々ごと、および、前記複数の配線の各
々ごとに、当該各々の配線と、前記複数の配線および前
記複数組の端子を含む前記主面の上に形成される導体部
の中で前記各々の配線に接続されない部分とが、占める
比率である配線混雑度を見積もる工程と、(d)前記複数
の領域の中で前記複数の配線のいずれかが存在するもの
の各々ごと、および、前記複数の配線の各々ごとに、当
該各々の配線と接続されない他の導体部との短絡を避け
るべく迂回することによって配線長が拡大する比率であ
る迂回率を、前記配線混雑度にもとづいて見積もる工程
と、(e)前記複数の配線の各々について、当該各々の配
線が存在する領域ごとの前記迂回率を用いることによ
り、迂回後の配線容量を見積もる工程と、を備える。
【0021】第4の発明の方法は、第1ないし第3のい
ずれかの発明の配線容量見積もり方法において、前記工
程(d)で見積もられる比率が、あらかじめ設定した定数
を前記配線混雑度に乗じた数値として得られる。
【0022】第5の発明の方法は、基板の主面の上に配
置される複数組の端子間を結ぶ複数の配線の容量を見積
もる配線容量見積もり方法であって、(a)前記主面を観
念上複数の領域に分割する工程と、(b)前記複数組の端
子間を結ぶ前記複数の配線の経路を決定する工程と、
(c)前記複数の領域の中で前記複数の配線のいずれかが
存在するものの各々ごと、および、前記複数の配線の各
々ごとに、当該各々の配線と、前記複数の配線および前
記複数組の端子を含む前記主面の上に形成される導体部
の中で前記各々の配線に接続されない部分とが、占める
比率である配線混雑度を見積もる工程と、(d)前記複数
の領域の中で前記複数の配線のいずれかが存在するもの
の各々ごと、および、前記複数の配線の各々ごとに、当
該各々の配線が、複数の配線層の各々に配設される比率
である配線層割合を、前記配線混雑度にもとづいて見積
もる工程と、(e)前記複数の配線の各々について、当該
各々の配線が存在する領域ごとの前記配線層割合を用い
ることにより、異なる配線層に配設されることによる容
量の差異を反映した配線容量を見積もる工程と、を備え
る。
【0023】第6の発明の方法は、第1ないし第5のい
ずれかの発明の配線容量見積もり方法において、前記工
程(c)が、(c-1)前記複数の領域の中で前記複数の配線の
いずれかが存在するものの各々ごとに、前記複数組の端
子の中で前記各々の領域に属するものの個数に、あらか
じめ設定した定数を乗じた係数を算出し、当該係数をも
って前記配線混雑度とする工程を、備える。
【0024】第7の発明の方法は、基板の主面の上に配
置される複数組の端子間を結ぶ複数の配線の容量を見積
もる配線容量見積もり方法であって、(a)前記主面を観
念上複数の領域に分割する工程と、(b)前記複数組の端
子間を結ぶ前記複数の配線の経路を、互いに直交する縦
方向と横方向に沿うように決定する工程と、(c)前記複
数の領域の中で前記複数の配線のいずれかが存在するも
のの各々ごと、および、前記複数の配線の各々ごとに、
当該各々の配線の前記横方向に沿った部分と、前記複数
の配線の横方向に沿った部分および前記複数組の端子を
含み前記複数の配線の縦方向に沿った部分を除いて前記
主面の上に形成される導体部の中で前記各々の配線に接
続されない部分とが、占める比率である横方向配線混雑
度を見積もる工程と、(d)前記複数の領域の中で前記複
数の配線のいずれかが存在するものの各々ごと、およ
び、前記複数の配線の各々ごとに、当該各々の配線の前
記縦方向に沿った部分と、前記複数の配線の縦方向に沿
った部分および前記複数組の端子を含み前記複数の配線
の横方向に沿った部分を除いて前記主面の上に形成され
る導体部の中で前記各々の配線に接続されない部分と
が、占める比率である縦方向配線混雑度を見積もる工程
と、(e)前記複数の領域の中で前記複数の配線のいずれ
かが存在するものの各々ごと、および、前記複数の配線
の各々ごとに、当該各々の配線の前記横方向に沿った部
分の中で、前記各々の配線に接続されない他の導体部に
隣接する部分の比率である横方向隣接率を、前記横方向
配線混雑度にもとづいて見積もる工程と、(f)前記複数
の領域の中で前記複数の配線のいずれかが存在するもの
の各々ごと、および、前記複数の配線の各々ごとに、当
該各々の配線の前記縦方向に沿った部分の中で、前記各
々の配線に接続されない他の導体部に隣接する部分の比
率である縦方向隣接率を、前記縦方向配線混雑度にもと
づいて見積もる工程と、(g)前記複数の配線の各々につ
いて、当該各々の配線が存在する領域ごとの前記横方向
隣接率および前記縦方向隣接率を用いることにより、縦
方向に沿った部分と横方向に沿った部分のそれぞれの隣
接による容量の増分を算入した配線容量を見積もる工程
と、を備える。
【0025】第8の発明の方法は、基板の主面の上に配
置される複数組の端子間を結ぶ複数の配線の容量を見積
もる配線容量見積もり方法であって、(a)前記主面を観
念上複数の領域に分割する工程と、(b)前記複数組の端
子間を結ぶ前記複数の配線の経路を、互いに直交する縦
方向と横方向に沿うように決定する工程と、(c)前記複
数の領域の中で前記複数の配線のいずれかが存在するも
のの各々ごと、および、前記複数の配線の各々ごとに、
当該各々の配線の前記横方向に沿った部分と、前記複数
の配線の横方向に沿った部分および前記複数組の端子を
含み前記複数の配線の縦方向に沿った部分を除いて前記
主面の上に形成される導体部の中で前記各々の配線に接
続されない部分とが、占める比率である横方向配線混雑
度を見積もる工程と、(d)前記複数の領域の中で前記複
数の配線のいずれかが存在するものの各々ごと、およ
び、前記複数の配線の各々ごとに、当該各々の配線の前
記縦方向に沿った部分と、前記複数の配線の縦方向に沿
った部分および前記複数組の端子を含み前記複数の配線
の横方向に沿った部分を除いて前記主面の上に形成され
る導体部の中で前記各々の配線に接続されない部分と
が、占める比率である縦方向配線混雑度を見積もる工程
と、(e)前記複数の領域の中で前記複数の配線のいずれ
かが存在するものの各々ごと、および、前記複数の配線
の各々ごとに、当該各々の配線の前記横方向に沿った部
分の中で、前記各々の配線に接続されない他の導体部と
交差する部分の比率である横方向交差率を、前記縦方向
配線混雑度にもとづいて見積もる工程と、(f)前記複数
の領域の中で前記複数の配線のいずれかが存在するもの
の各々ごと、および、前記複数の配線の各々ごとに、当
該各々の配線の前記縦方向に沿った部分の中で、前記各
々の配線に接続されない他の導体部と交差する部分の比
率である縦方向交差率を、前記横方向配線混雑度にもと
づいて見積もる工程と、(g)前記複数の配線の各々につ
いて、当該各々の配線が存在する領域ごとの前記横方向
交差率および前記縦方向交差率を用いることにより、縦
方向に沿った部分と横方向に沿った部分のそれぞれの交
差による容量の増分を算入した配線容量を見積もる工程
と、を備える。
【0026】第9の発明の方法は、第1ないし第8のい
ずれかの発明の配線容量見積もり方法において、前記工
程(b)が、(b-1)前記複数組の端子間を結ぶ複数の配線
を、信号伝搬遅延時間に関して、あらかじめ設定された
基準値以上の精度を要する第1群と、要しない第2群と
に分類する工程と、(b-2)前記第1群に属する配線の各
々の経路を、当該経路と接続されない前記導体部の部分
との短絡を禁止して決定する工程と、(b-3)前記第2群
に属する配線の各々の経路を、当該経路と接続されない
前記導体部の部分との短絡を許して決定する工程と、を
備える。
【0027】第10の発明の方法は、第1ないし第8の
いずれかの発明の配線容量見積もり方法において、前記
工程(b)が、(b-1)前記複数組の端子間を結ぶ複数の配線
を、接続される端子の個数が、あらかじめ設定された基
準値以下である第1群と、前記基準値より大きい第2群
とに分類する工程と、(b-2)前記第1群に属する配線の
経路を、第1の規則にもとづいて決定する工程と、(b-
3)前記第2群に属する配線の経路を、前記第1の規則と
は異なる第2の規則にもとづいて決定する工程と、を備
える。
【0028】第11の発明の方法は、半導体基体に作り
込まれる集積回路を設計する方法であって、(A)前記集
積回路の論理演算機能を実現するように、複数の論理回
路素子とそれらの間の接続関係とを決定する論理設計工
程と、(B)前記工程(A)で決定された前記複数の論理回路
素子の各々の種別を、論理演算機能が等価な複数種類の
中から選定する第1論理合成工程と、(C)前記工程(B)で
選定された前記複数の論理回路素子の前記半導体基体の
主面に沿った配置を決定する第1配置工程と、(D)第1
ないし第10のいずれかの発明の配線容量見積もり方法
を、前記半導体基体を前記基板とし、前記工程(C)で配
置された前記複数の論理回路素子が有する複数の信号入
出力端を前記複数組の端子として、実行する工程と、
(E)前記工程(D)で見積もられた配線容量をテーブルとし
て記憶する工程と、(F)前記テーブルを参照して算出さ
れる信号伝搬遅延が要求通りとなるように、前記複数の
論理回路素子の種別を再選定する第2論理合成工程と、
(G)前記工程(F)で再選定された前記複数の論理回路素子
の前記半導体基体の主面に沿った配置を再決定する第2
配置工程と、(H)前記工程(G)で前記配置が再設定された
前記複数の論理回路素子が有する複数の信号入出力端に
接続される複数の配線の経路を決定する配線工程と、を
備える。
【0029】第12の発明の方法は、半導体基体に作り
込まれる集積回路を設計する方法であって、(A)前記集
積回路の論理演算機能を実現するように、複数の論理回
路素子とそれらの間の接続関係とを決定する論理設計工
程と、(B)前記工程(A)で決定された前記複数の論理回路
素子の前記半導体基体の主面に沿った配置を決定する配
置工程と、(C)第1ないし第10のいずれかの発明の配
線容量見積もり方法を、前記半導体基体を前記基板と
し、前記工程(B)で配置された前記複数の論理回路素子
が有する複数の信号入出力端を前記複数組の端子とし
て、実行する工程と、(D)前記工程で見積もられた配線
容量にもとづいて、前記複数の論理素子の動作のタイミ
ングを検証する工程と、(E)前記工程(D)で検証された前
記タイミングが許容範囲内になければ前記工程(A)また
は前記工程(B)へ戻る工程と、(F)前記工程(E)の後に、
前記複数の論理回路素子が有する複数の信号入出力端に
接続される複数の配線の経路を決定する配線工程と、
(G)前記工程(F)で経路が決定された前記複数の配線の容
量を算出する工程と、(H)前記工程(G)で算出された容量
にもとづいて、前記複数の論理回路素子の動作のタイミ
ングを検証する工程と、(I)前記工程(H)で検証された前
記タイミングが許容範囲内になければ前記工程(A)また
は前記工程(B)へ戻る工程と、を備える。
【0030】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1は、実施の形
態1の配線容量見積もり方法の処理手順を示すフローチ
ャートである。この処理は、通常において、コンピュー
タを備えた装置を用いて実行される。このことは、他の
実施の形態で述べる方法についても同様である。図1の
方法の実行に適した装置の構成については、後述する。
【0031】図1の処理が開始されると、まず、ステッ
プS0において、設計対象とされる集積回路が設計上作
り込まれる半導体基板の主面に、複数の小領域が設定さ
れる。すなわち、半導体基板の主面が、観念上、複数の
小領域に分割される。図2は、図29に示した集積回路
について、設定された小領域を例示している。
【0032】図2が示すように、小領域は、もっとも単
純には、縦方向に等間隔で並ぶ帯状領域M1,M2,・
・・、および、横方向に等間隔で並ぶ帯状領域N1,N
2,・・・の交差部が規定する矩形領域として設定され
る。言い換えると、小領域は、もっとも単純には、互い
に直交する縦方向と横方向とに沿ってマトリクス状に配
列された矩形の領域として設定される。各小領域は、小
さく設定されるほど、配線容量の見積もりの精度が高く
なる。
【0033】つづくステップS1では、未処理のネット
が選択される。その後のステップS2では、選択された
ネットについて、仮想配線経路が見積もられる。ステッ
プS2の仮想配線経路の見積もり処理は、集積回路の設
計において、図1の処理の終了後に行われる配線処理と
は異なる。図3は、これら双方の処理の特徴を対比して
表形式で示す説明図である。
【0034】図3が示すように、双方の処理の特徴的な
相違は、配線処理では、設計対象とされる集積回路の配
線の接続違反、すなわち、設計上電気的に接続されない
(すなわち、異なるネットに属する)配線と配線との
間、配線と端子との間、配線と素子の導体要素との間の
短絡を禁止するように配線の決定がなされるのに対し、
ステップS2の仮想配線経路の見積もり処理では、これ
らの短絡を許して、仮想配線の経路が決定される点にあ
る。このように、配線処理は、設計後のレイアウトで用
いられる最終的な配線の決定を目指して、設計上の要求
を忠実に充足するように行われるのに対し、仮想配線経
路の見積もり処理は、配線容量の見積もりを行うことを
目的としており、設計上の要求を、ある程度に無視して
便宜的に行われる。
【0035】その結果、処理時間は、配線処理に比べて
仮想配線経路の見積もり処理の方が、はるかに短いもの
となる。処理のために採用される手法(規則)の一例と
して、配線処理については周知の「メーズ配線」が挙げ
られ、仮想配線経路の見積もり処理については周知の
「一幹線スタイナ木(一トランクスタイナ木)」が挙げ
られる。
【0036】一幹線スタイナ木は、図4(a)〜(c)に例示
されるように、半導体基板10に配置される複数の端子
が属する同一ネット(図4(a)の4個の黒塗り四角)の
重心付近に位置するように、一本の幹線15が例えば横
方向に引かれ(図4(b))、さらに、この幹線15と各
端子とをつなぐ枝16a〜16dが、縦方向に引かれる
(図4(c))。それによって、同一ネットに属するすべ
ての端子が、仮想配線によって接続される。
【0037】図1に戻って、つぎのステップS3では、
すべてのネットについて処理が完了したか否かが判定さ
れ、完了と判定されると処理はステップS4へ移行し、
逆に、未処理のネットが残っていると判定されると、処
理はステップS1へと戻る。このように、すべてのネッ
トに対してステップS2の処理が完了するまで、ステッ
プS1〜S3のループが反復される。
【0038】処理がステップS4へ移行すると、ステッ
プS1〜S3のループと同様に、新たな処理であるステ
ップS5〜S9の処理がすべてのネットに対して完了す
るまで、ステップS4〜S10のループが反復される。
すなわち、まずステップS4では、未処理のネットが選
択される。
【0039】つづくステップS5では、選択されたネッ
トの(実)配線が通過する可能性の高い小領域が特定さ
れる。ネットの配線が通過する可能性の高い小領域とし
て、図5が例示するように、ステップS2で見積もられ
た仮想配線経路が通過する小領域A,Bが選択される。
図5の例では、同一ネットに属する二つの端子が半導体
基板の上に配置されている。図5において、「素子」
は、図29,図30,および、図2の素子11a〜11
gと同様に、素子に属する導体要素(主として電極)を
表現している。また、図5には、ステップS2で決定さ
れた仮想配線経路が、「端子間をつなぐ配線」として描
かれている。
【0040】図5が例示するように、半導体基板の主面
には、通常において、小領域とは別に、縦方向および横
方向に沿ってマトリクス状に配列する「グリッド」と称
される点集合が設定される。グリッドは、端子および配
線の配置に関して選択し得る最小の空間幅を規定するも
のであり、端子は、このグリッドの上に位置決めされ、
配線はグリッドをつなぐ線として配置される。図5で
は、格子状の点線の交点がグリッドに相当する。仮想配
線経路も、グリッドに沿うように決定される。小領域
は、一般に、グリッドとは無関係に設定することが可能
である。
【0041】つぎにステップS6では、特定されたすべ
ての小領域について、仮想配線混雑度が見積もられる。
図5の例では、小領域A,Bのそれぞれについて、仮想
配線混雑度が見積もられる。仮想配線混雑度とは、各小
領域の中で、注目している(すなわち、ステップS4で
選択された)ネットの仮想配線、および、当該仮想配線
に対して障害物となり得る(すなわち、設計上、電気的
に接続されない)他のネットに属する導体部(仮想配
線、端子、および、素子の導体要素)が占める割合とし
て定義される。グリッドを用いると、仮想配線混雑度P
は、数式1で算出することができる。
【0042】
【数1】
【0043】数式1において、「配線」とは、一つのネ
ットに注目して、当該ネットに属する仮想配線を意味
し、「配線障害物」とは、注目したネットに属する仮想
配線に対して障害物となり得る導体部、すなわち、他の
ネットに属する仮想配線、端子、および、素子の導体要
素を意味している。仮想配線混雑度は、同一の小領域に
対しても、注目するネットによって、一般には異なった
値となる。しかしながら、仮想配線混雑度に対して、ネ
ットに依存しない値を、近似値として代用することも可
能であり、これについては後述する。
【0044】図5には、注目しているネットの仮想配線
の障害物として、他のネットに属する配線のグリッド上
の位置が、「X」で描かれている。したがって、小領域
Aでは、注目しているネットの仮想配線の長さG1、お
よび、障害物が占める面積G2は、それぞれグリッドの
個数で表現すると、G1=2およびG2=6となる。小
領域Aの面積Gをグリッドの個数で表現すると、G=1
2であるから、注目したネットに対する小領域Aの仮想
配線混雑度Pは、P=(2+6)/12となる。同様
に、注目したネットに対する小領域Bの仮想配線混雑度
Pは、P=(4+3)/12と算出される。
【0045】図1に戻って、ステップS7では、ステッ
プS5で特定されたすべての小領域に対して、仮想配線
混雑度にもとづいて、隣接率が予測される。隣接率は、
各小領域の中で、注目している(すなわち、ステップS
4で選択された)ネットの(実)配線の全長の中で、当
該配線に対して障害物となり得る(すなわち、設計上、
電気的に接続されない)他のネットに属する導体部(仮
想配線、端子、および、素子の導体要素)に隣接する部
分の比率として定義される。
【0046】隣接率の予測は、すでに決定されている仮
想配線を、決定がなされていない(実)配線に見立てる
ことによって行われる。そのもっとも便宜的な方法とし
て、予測値としての隣接率Qは、数式2にもとづいて算
出される。すなわち、あらかじめ定められた正の定数q
を、仮想配線混雑度Pに乗じることによって、隣接率Q
が算出される。数式2は、配線が混雑するほど隣接率が
高くなるという経験則にもとづいており、経験則をもっ
とも単純な形式で近似的に表現している。
【0047】
【数2】
【0048】つづくステップS8およびS9を通じて、
ステップS7で算出された小領域毎の隣接率にもとづい
て、注目しているネットの配線の配線容量が、隣接によ
る容量の増分を考慮した量として見積もられる。各小領
域における配線容量CCは、数式3にもとづいて算出す
ることができる。この場合、ステップS8では、算出係
数として、Q・CQが算出され、ステップS9では、C
Cが算出される。定数CQ、CSは、あらかじめ設定さ
れる。また、小領域内の配線の長さLとして、小領域内
での仮想配線経路の長さ(仮想配線長)が用いられる。
【0049】
【数3】
【0050】図5の例では、小領域Aおよび小領域Bの
それぞれについて、数式3を用いて配線容量CCが算出
される。ステップS9では、さらに、算出された配線容
量CCを、すべての小領域にわたって加算することによ
って、注目しているネットの配線の配線容量が、見積り
値として算出される。
【0051】図1に戻って、つぎのステップS10で
は、すべてのネットについてステップS4〜S9の処理
が完了したか否かが判定され、完了と判定されると図1
の処理は完了し、逆に、未処理のネットが残っていると
判定されると、処理はステップS4へと戻る。図1に手
順を示した方法は、以上のように実行されるので、例え
ば図2において、接続関係13bに対応する配線では、
接続関係13aに対応した配線よりも隣接率が高くなる
ことが予測され、後者よりも前者に対して、高い配線容
量が見積もられることとなる。このように、配線の隣接
による増分を考慮した精度の高い配線容量の見積もりが
実現する。
【0052】仮想配線混雑度に対して、例えば、小領域
の中に含まれる端子数に、経験上求められる正の定数を
乗じた値を、近似値として代用することも可能である。
この場合には、仮想配線混雑度はネットに依存せず、こ
れを算出するのに仮想配線経路は決定されている必要が
ない。したがって、図1に示した手順は、例えば、図6
のフローチャートが示す手順へ置き換えることが可能で
ある。さらに、図6において、ステップS6〜S8は、
ステップS0の後でステップS10の戻り先の前におい
て、すべての小領域に対してあらかじめ実行しておくこ
とも可能である。
【0053】図7は、図1または図6の処理手順を実行
するのに適した装置の構成を示すブロック図である。こ
の装置101は、例えば、プログラムを格納したメモリ
と、このプログラムにしたがって処理を実行するCPU
(演算処理装置)とを備えた装置、すなわち、コンピュ
ータを備えた装置によって、等価的に実現される。この
ことは、他の実施の形態の装置についても、同様であ
る。なお、図7(以下の装置のブロック図においても同
様)において、矢印が付された実線および点線は、伝達
される信号の流れを表しており、特に、実線はデータ信
号の流れを示し、点線は制御信号の流れを示している。
【0054】入力部40には、設計対象の集積回路に関
する設計情報が信号として入力される。設計情報には、
素子および端子の配置に関する情報、並びに、ネットに
関する情報が含まれる。入力された設計情報は、配置・
ネット情報記憶部41へ記憶される。ネット選択部42
は、ネット情報にもとづいて、未処理のネットの選択
(ステップS1,S4,S3,S10の処理)を行い、
矢印が付された点線が示すように、選択したネットがい
ずれであるかを指示する制御信号を、必要な各装置部へ
伝達する。
【0055】配線経路見積もり部43は、ネット選択部
42で選択されたネットに対して、設計情報にもとづい
て、仮想配線経路の見積もり(ステップS2の処理)を
実行する。小領域設定部44は、設計情報にもとづいて
小領域の設定(ステップS0の処理)を行うとともに、
選択されたネットの配線が通過する可能性の高い小領域
(仮想配線経路が通過する小領域)の特定(ステップS
5の処理)を行う。
【0056】仮想配線混雑度見積もり部45は、特定さ
れた小領域のすべてについて、選択されたネットの配線
の仮想配線混雑度の見積もり(ステップS6の処理)
を、設計情報にもとづいて行う。隣接率予測部46は、
特定された小領域のすべてについて、仮想配線混雑度に
もとづいて隣接率の予測(ステップS7の処理)を実行
する。算出係数決定部47は、隣接率にもとづいて配線
容量の算出係数の決定(ステップS8の処理)を行う。
配線容量見積もり部48は、小領域毎の算出係数、およ
び、仮想配線長にもとづいて、配線容量の見積もり(ス
テップS9の処理)を行う。出力部49は、見積もられ
た配線容量の値を出力する。
【0057】実施の形態2.配線容量には、半導体基板
の主面に沿った隣接だけでなく、上層と下層との間の交
差も、影響を及ぼす。このため、隣接率と同時に交差率
も考慮した方が、配線容量として、より実配線の容量に
近い値が得られる。本実施の形態では、交差率をも考慮
して配線容量を見積もる方法について説明する。
【0058】図8は、本実施の形態の方法の処理手順を
示すフローチャートである。ステップS0〜S7の処理
は、図1における同一符号の処理とそれぞれ同等であ
る。ステップS7の処理が完了すると、ステップS11
において、ステップS5で特定されたすべての小領域に
対して、仮想配線混雑度にもとづいて、交差率が予測さ
れる。交差率は、各小領域の中で、注目している(すな
わち、ステップS4で選択された)ネットの(実)配線
の全長の中で、当該配線に対して障害物となり得る(す
なわち、設計上、電気的に接続されない)他のネットに
属する導体部(仮想配線、端子、および、素子の導体要
素)と交差する部分の比率として定義される。
【0059】交差率の予測は、隣接率の予測と同様に、
すでに決定されている仮想配線を、決定がなされていな
い(実)配線に見立てることによって行われる。そのも
っとも便宜的な方法として、予測値としての交差率R
は、数式4にもとづいて算出される。すなわち、あらか
じめ定められた正の定数rを、仮想配線混雑度Pに乗じ
ることによって、交差率Rが算出される。数式4は、配
線が混雑するほど交差率が高くなるという経験則にもと
づいており、経験則をもっとも単純な形式で近似的に表
現している。
【0060】
【数4】
【0061】つづくステップS12およびS13を通じ
て、ステップS7およびS11で算出された小領域毎の
隣接率および交差率にもとづいて、注目しているネット
の配線の配線容量が、隣接および交差による容量の増分
を考慮した量として見積もられる。各小領域における配
線容量CCは、数式5にもとづいて算出することができ
る。この場合、ステップS12では、算出係数として、
Q・CQとR・CRとが算出され、ステップS13で
は、CCが算出される。定数CQ、CSと同様に定数C
Rは、あらかじめ設定される。ステップS13では、さ
らに、算出された配線容量CCを、すべての小領域にわ
たって加算することによって、注目しているネットの配
線の配線容量が、見積り値として算出される。
【0062】
【数5】
【0063】ステップS10では、すべてのネットにつ
いてステップS4〜S13の処理が完了したか否かが判
定され、完了と判定されると図8の処理は完了し、逆
に、未処理のネットが残っていると判定されると、処理
はステップS4へと戻る。図8に手順を示した方法は、
以上のように実行されるので、例えば図2において、接
続関係13bに対応する配線では、接続関係13aに対
応した配線よりも隣接率だけでなく、交差率も高くなる
ことが予測され、後者よりも前者に対して、高い配線容
量が見積もられることとなる。このように、配線の隣接
および交差による増分を考慮した精度の高い配線容量の
見積もりが実現する。
【0064】図9は、図8の処理手順を実行するのに適
した装置の構成を示すブロック図である。この装置10
2に備わる装置部の中で、装置部40〜46,49は、
図7に示した同一符号の装置部とそれぞれ同等である。
交差率予測部51は、特定された小領域のすべてについ
て、仮想配線混雑度にもとづいて交差率の予測(ステッ
プS11の処理)を実行する。算出係数決定部52は、
隣接率および交差率にもとづいて配線容量の算出係数の
決定(ステップS12の処理)を行う。配線容量見積も
り部53は、小領域毎の算出係数、および、仮想配線長
にもとづいて、配線容量の見積もり(ステップS13の
処理)を行う。
【0065】なお、隣接率と交差率の双方を考慮して配
線容量を見積もる代わりに、隣接率を考慮せず、交差率
のみを考慮して配線容量を見積もってもよい。このと
き、図8では、ステップS7が省かれ、ステップS12
およびS13では、交差率のみを考慮した演算が行われ
る。また、図9において、隣接率予測部46が省かれ、
算出係数決定部52および配線容量見積もり部53で
は、交差率のみを考慮した演算が行われる。このような
形態では、配線容量の見積もり精度は、図8および図9
の形態よりは劣るが、従来の方法に比べると、なお改善
される。
【0066】また、実施の形態1と同様に、仮想配線混
雑度に対して、例えば、小領域の中に含まれる端子数
に、経験上求められる正の定数を乗じた値を、近似値と
して代用することも可能である。この場合には、図8
は、例えば、図6のフローチャートに準じた形式、すな
わち、図6のステップS8〜S9を、ステップS11〜
13へ置き換えた形式へと、書き換えることが可能であ
る。このとき、さらに、ステップS6〜S11は、ステ
ップS0の後でステップS10の戻り先の前において、
すべての小領域に対してあらかじめ実行しておくことも
可能である。
【0067】実施の形態3.実施例1および2では、配
線容量を見積もる際に、配線の長さLとして、仮想配線
長が用いられた。しかしながら、実配線の処理では配線
が混雑しているときには、配線が迂回する可能性が高
い。したがって、配線混雑度が高い領域内を通過する実
配線の長さは、仮想配線長よりも長くなる傾向にある。
本実施の形態では、迂回率、すなわち迂回の可能性をも
考慮して配線容量を見積もる方法について説明する。
【0068】図10は、本実施の形態の方法の処理手順
を示すフローチャートである。ステップS0〜S11,
S10の処理は、図8における同一符号の処理とそれぞ
れ同等である。ステップS11の処理が完了すると、ス
テップS21において、ステップS5で特定されたすべ
ての小領域に対して、仮想配線混雑度にもとづいて、迂
回率が予測される。迂回率は、各小領域の中で、注目し
ている(すなわち、ステップS4で選択された)ネット
の(実)配線の全長が、他のネットとの短絡を避けるべ
く配線を迂回させることによって拡大する比率として定
義される。
【0069】予測値としての迂回率Uは、例えば、数式
6にもとづいて算出される。すなわち、あらかじめ定め
られた正の定数uを、仮想配線混雑度Pに乗じることに
よって、迂回率Uが算出される。数式6は、配線が混雑
するほど迂回率が高くなるという経験則にもとづいてお
り、経験則をもっとも単純な形式で近似的に表現してい
る。
【0070】
【数6】
【0071】つづくステップS22およびS23を通じ
て、ステップS7,S11,S21で算出された小領域
毎の隣接率、交差率、および、迂回率にもとづいて、注
目しているネットの配線の配線容量が、隣接率、交差、
および、迂回による容量の増分を考慮した量として見積
もられる。迂回を考慮した配線長LLは、数式7にもと
づいて算出することができる。また、各小領域における
配線容量CCは、数式8にもとづいて算出することがで
きる。
【0072】
【数7】
【0073】
【数8】
【0074】この場合、ステップS22では、算出係数
として、LL、Q・CQ、および、R・CRが算出さ
れ、ステップS23では、CCが算出される。定数C
Q、CS、CRと同様に定数ULは、あらかじめ設定さ
れる。ステップS23では、さらに、算出された配線容
量CCを、すべての小領域にわたって加算することによ
って、注目しているネットの配線の配線容量が、見積り
値として算出される。
【0075】ステップS10では、すべてのネットにつ
いてステップS4〜S23の処理が完了したか否かが判
定され、完了と判定されると図10の処理は完了し、逆
に、未処理のネットが残っていると判定されると、処理
はステップS4へと戻る。図10に手順を示した方法
は、以上のように実行されるので、例えば図2におい
て、接続関係13bに対応する配線では、接続関係13
aに対応した配線よりも、隣接率、交差率だけでなく、
迂回率も高くなることが予測され、後者よりも前者に対
して、高い配線容量が見積もられることとなる。このよ
うに、配線の隣接、交差、および、迂回による増分を考
慮した精度の高い配線容量の見積もりが実現する。
【0076】図11は、図10の処理手順を実行するの
に適した装置の構成を示すブロック図である。この装置
103に備わる装置部の中で、装置部40〜46,4
9,51は、図9に示した同一符号の装置部とそれぞれ
同等である。迂回率予測部61は、特定された小領域の
すべてについて、仮想配線混雑度にもとづいて迂回率の
予測(ステップS21の処理)を実行する。算出係数決
定部62は、隣接率、交差率、および、迂回率にもとづ
いて配線容量の算出係数の決定(ステップS22の処
理)を行う。配線容量見積もり部63は、小領域毎の算
出係数にもとづいて、配線容量の見積もり(ステップS
23の処理)を行う。
【0077】なお、隣接率、交差率、および、迂回率を
同時に考慮して配線容量を見積もる代わりに、隣接率お
よび交差率を考慮せず、迂回率のみを考慮して配線容量
を見積もってもよい。このとき、図10では、ステップ
S7,S11が省かれ、ステップS22およびS23で
は、迂回率のみを考慮した演算が行われる。また、図1
1おいて、隣接率予測部46および交差率予測部51が
省かれ、算出係数決定部62および配線容量見積もり部
63では、迂回率のみを考慮した演算が行われる。この
ような形態では、配線容量の見積もり精度は、図10お
よび図11の形態よりは劣るが、従来の方法に比べる
と、なお改善される。
【0078】また、実施の形態1と同様に、仮想配線混
雑度に対して、例えば、小領域の中に含まれる端子数
に、経験上求められる正の定数を乗じた値を、近似値と
して代用することも可能である。この場合には、図10
は、例えば、図6のフローチャートに準じた形式、すな
わち、図6のステップS8〜S9を、ステップS11,
S21〜S23へ置き換えた形式へと、書き換えること
が可能である。このとき、さらに、ステップS6〜S2
1は、ステップS0の後でステップS10の戻り先の前
において、すべての小領域に対してあらかじめ実行して
おくことも可能である。
【0079】実施の形態4.信号の遅延時間は配線容量
が小さいほど短縮されるので、遅延時間を考慮した配線
処理では、配線容量の少ない経路が優先的に選ばれ、こ
れに沿って配線が行われる。一方、集積回路の配線は多
層化されるのが通例であり、配線層によって対基板容量
が異なるために、単位長さあたりの配線容量は、配線層
によって異なる。したがって、配線混雑度が低いときに
は実配線の処理では、配線容量の小さい上層の配線層が
使われる可能性(使用率)が高くなり、配線混雑度が高
ければ、配線容量の大きい下層の配線層が使われる可能
性が高くなる。本実施の形態では、配線層割合、すなわ
ち配線が各配線層に振り分けられる可能性をも考慮して
配線容量を見積もる方法について説明する。
【0080】図12は、本実施の形態の方法の処理手順
を示すフローチャートである。ステップS0〜S21,
S10の処理は、図10における同一符号の処理とそれ
ぞれ同等である。ステップS21の処理が完了すると、
ステップS31において、ステップS5で特定されたす
べての小領域に対して、仮想配線混雑度にもとづいて、
配線層割合が予測される。配線層割合は、各小領域の中
で、注目している(すなわち、ステップS4で選択され
た)ネットの配線が、複数の配線層の各々に配設される
比率として定義される。
【0081】予測値としての配線層割合は、図13が表
形式で示すように、配線混雑度ごとに、また、各配線層
ごとに、あらかじめ定められ、例えば、テーブルとして
記憶される。図13は、配線層が、最下層の第1層から
最上層の第N(≧2)層まで存在することを前提として
いる。また、図13は、配線混雑度が高くなるほど、よ
り下層の配線層の配線層割合が高くなる傾向を、幾分誇
張した数値で例示している。
【0082】ステップS31では、ステップS5で算出
された仮想配線混雑度に対応する配線層割合が、テーブ
ルから抽出される。テーブルを用いる代わりに、あらか
じめ与えられた関数関係を用いて、ステップS5で算出
された仮想配線混雑度に対応する配線層割合が算出され
てもよい。いずれの方法であれ、仮想配線混雑度Pに対
して、第n配線(n=1〜N)の配線層割合Vnが得ら
れる。得られる配線層割合Vnは数式9で表現される。
【0083】
【数9】
【0084】つづくステップS32およびS33を通じ
て、ステップS7,S11,S21,S31で算出され
た小領域毎の隣接率、交差率、迂回率、および、配線層
割合にもとづいて、注目しているネットの配線の配線容
量が、隣接率、交差、および、迂回による容量の増分、
並びに、配線層割合による容量の相違を考慮した量とし
て見積もられる。各小領域における配線容量CCは、数
式10にもとづいて算出することができる。
【0085】
【数10】
【0086】この場合、ステップS32では、算出係数
として、LLn、Qn・CQn、Rn・CRnが算出さ
れ、ステップS33では、CCが算出される。係数Q
n、Rn、LLnは、それぞれ、配線層ごとに、定数
q、r、uをあらかじめ与えることにより、算出され
る。また、係数CSnは、あらかじめ配線層ごとに与え
られる。ステップS33では、さらに、算出された配線
容量CCを、すべての小領域にわたって加算することに
よって、注目しているネットの配線の配線容量が、見積
り値として算出される。
【0087】ステップS10では、すべてのネットにつ
いてステップS4〜S33の処理が完了したか否かが判
定され、完了と判定されると図12の処理は完了し、逆
に、未処理のネットが残っていると判定されると、処理
はステップS4へと戻る。図12に手順を示した方法
は、以上のように実行されるので、例えば図2におい
て、接続関係13bに対応する配線では、接続関係13
aに対応した配線よりも、隣接率、交差率、迂回率が高
くなるだけでなく、より下層の配線層へ配設される可能
性が高くなり、後者よりも前者に対して、高い配線容量
が見積もられることとなる。このように、配線の隣接、
交差、および、迂回による増分、並びに、配線層の相違
にもとづく相違を考慮した精度の高い配線容量の見積も
りが実現する。
【0088】図14は、図12の処理手順を実行するの
に適した装置の構成を示すブロック図である。この装置
104に備わる装置部の中で、装置部40〜46,4
9,51,61は、図11に示した同一符号の装置部と
それぞれ同等である。配線層割合予測部65は、特定さ
れた小領域のすべてについて、仮想配線混雑度にもとづ
いて配線層割合の予測(ステップS31の処理)を実行
する。算出係数決定部66は、隣接率、交差率、迂回
率、および、配線層割合にもとづいて、配線容量の算出
係数の決定(ステップS32の処理)を行う。配線容量
見積もり部67は、小領域毎の算出係数にもとづいて、
配線容量の見積もり(ステップS33の処理)を行う。
【0089】なお、隣接率、交差率、迂回率、および、
配線層割合を同時に考慮して配線容量を見積もる代わり
に、配線層割合のみを考慮して配線容量を見積もっても
よい。このとき、図12では、ステップS7,S11,
S21が省かれ、ステップS32およびS33では、配
線容量のみを考慮した演算が行われる。また、図14に
おいて、隣接率予測部46、交差率予測部51、迂回率
予測部61が省かれ、算出係数決定部66および配線容
量見積もり部67では、配線層割合のみを考慮した演算
が行われる。このような形態では、配線容量の見積もり
精度は、図12および図14の形態よりは劣るが、従来
の方法に比べると、なお改善される。
【0090】また、実施の形態1と同様に、仮想配線混
雑度に対して、例えば、小領域の中に含まれる端子数
に、経験上求められる正の定数を乗じた値を、近似値と
して代用することも可能である。この場合には、図12
は、例えば、図6のフローチャートに準じた形式、すな
わち、図6のステップS8〜S9を、ステップS11,
S21,S31〜S33へ置き換えた形式へと、書き換
えることが可能である。このとき、さらに、ステップS
6〜S31は、ステップS0の後でステップS10の戻
り先の前において、すべての小領域に対してあらかじめ
実行しておくことも可能である。
【0091】実施の形態5.実施の形態1〜4では、小
領域の仮想配線混雑度から、隣接率、その他の比率が見
積もられた。しかしながら、実配線の隣接率では、配線
の横方向部分(横方向に延在する部分)に対する隣接率
と縦方向部分(縦方向に延在する部分)に対する隣接率
は、一般に互いに異なる。したがって、小領域の仮想配
線混雑度を、横方向仮想配線に対する混雑度(横方向仮
想配線混雑度)と縦方向仮想配線に対する混雑度(縦方
向仮想配線混雑度)とに分けて見積もっておき、仮想配
線の中で横方向部分については、横方向配線混雑度にも
とづいて、隣接率を予測し、縦方向部分については、縦
方向配線混雑度にもとづいて、隣接率を予測するなら
ば、より精度の高い配線容量の見積もりが可能になる。
本実施の形態では、このような配線容量見積もり方法に
ついて説明する。
【0092】図15は、本実施の形態の方法の処理手順
を示すフローチャートである。ステップS0〜S5,S
10の処理は、図1における同一符号の処理とそれぞれ
同等である。ステップS5の処理が完了すると、ステッ
プS41の処理が実行される。ステップS41では、特
定されたすべての小領域について、仮想配線混雑度が、
横方向仮想配線混雑度と縦方向仮想配線混雑度とに分け
て、見積もられる。
【0093】横方向仮想配線混雑度は、各小領域の中
で、注目している(すなわち、ステップS4で選択され
た)ネットの仮想配線の中の横方向部分と、当該横方向
部分に対して障害物となり得る(すなわち、設計上、電
気的に接続されない)他のネットに属する導体部(仮想
配線の横方向部分、端子、および、素子の導体要素)の
中で仮想配線の縦方向部分を除いた部分とが、占める割
合として定義される。同様に、縦方向仮想配線混雑度
は、各小領域の中で、注目しているネットの仮想配線の
中の縦方向部分と、当該縦方向部分に対して障害物とな
り得る他のネットに属する導体部の中で仮想配線の横方
向部分を除いた部分とが、占める割合として定義され
る。
【0094】グリッドを用いると、横方向仮想配線混雑
度は、数式1において、配線が占めるグリッド数G1
を、注目しているネットの仮想配線の横方向部分が占め
るグリッド数とし、障害物が占めるグリッド数G2を、
障害物の中から、仮想配線の縦方向部分を除いたグリッ
ド数とすることにより、算出することができる。同様
に、縦方向仮想配線混雑度は、グリッド数G1を、注目
しているネットの仮想配線の縦方向部分が占めるグリッ
ド数とし、グリッド数G2を、障害物の中から、仮想配
線の横方向部分を除いたグリッド数とすることにより、
算出することができる。
【0095】図15に戻って、ステップS42では、ス
テップS5で特定されたすべての小領域に対して、横方
向/縦方向仮想配線混雑度にもとづいて、隣接率が予測
される。隣接率も、横方向隣接率と縦方向隣接率とに分
けて見積もられる。横方向隣接率は、各小領域の中で、
注目している(すなわち、ステップS4で選択された)
ネットの(実)配線の横方向部分の全長の中で、当該横
方向部分に対して障害物となり得る(すなわち、設計
上、電気的に接続されない)他のネットに属する導体部
(仮想配線、端子、および、素子の導体要素)に隣接す
る部分の比率として定義される。同様に、縦方向隣接率
は、各小領域の中で、注目しているネットの(実)配線
の縦方向部分の全長の中で、当該縦方向部分に対して障
害物となり得る(すなわち、設計上、電気的に接続され
ない)他のネットに属する導体部(仮想配線、端子、お
よび、素子の導体要素)に隣接する部分の比率として定
義される。
【0096】横/縦方向隣接率の予測は、すでに決定さ
れている仮想配線を、決定がなされていない(実)配線
に見立てることによって行われる。そのもっとも便宜的
な方法として、予測値としての横方向隣接率Qhおよび
縦方向隣接率Qvは、それぞれ、数式11および数式1
2にもとづいて算出される。すなわち、あらかじめ定め
られた正の定数wを、横方向仮想配線混雑度Phに乗じ
ることによって、横方向隣接率Qhが算出され、縦方向
仮想配線混雑度Pvに乗じることによって、縦方向隣接
率Qvが算出される。数式11および数式12は、数式
2と同様に、配線が混雑するほど隣接率が高くなるとい
う経験則にもとづいており、経験則をもっとも単純な形
式で近似的に表現している。
【0097】
【数11】
【0098】
【数12】
【0099】つづくステップS43およびS44を通じ
て、ステップS42で算出された小領域毎の横/縦方向
隣接率にもとづいて、注目しているネットの配線の配線
容量が、隣接による容量の増分を考慮した量として見積
もられる。各小領域における配線容量CCは、数式13
にもとづいて算出することができる。この場合、ステッ
プS43では、算出係数として、Qh・CQ、および、
Qv・CQが算出され、ステップS44では、CCが算
出される。
【0100】
【数13】
【0101】小領域内の配線の横方向部分の長さLhお
よび縦方向部分の長さLvとして、それぞれ、小領域内
での仮想配線経路の横方向部分および縦方向部分の長さ
が用いられる。ステップS44では、さらに、算出され
た配線容量CCを、すべての小領域にわたって加算する
ことによって、注目しているネットの配線の配線容量
が、見積り値として算出される。
【0102】ステップS10では、すべてのネットにつ
いてステップS4〜S44の処理が完了したか否かが判
定され、完了と判定されると図15の処理は完了し、逆
に、未処理のネットが残っていると判定されると、処理
はステップS4へと戻る。図15に手順を示した方法
は、以上のように、配線を横方向部分と縦方向部分とに
分けて隣接率が評価され、それにもとづいて、配線の隣
接による増分を考慮した配線容量の見積もりが行われる
ので、見積もりの精度がさらに向上する。
【0103】図16は、図15の処理手順を実行するの
に適した装置の構成を示すブロック図である。この装置
105に備わる装置部の中で、装置部40〜44,49
は、図1に示した同一符号の装置部とそれぞれ同等であ
る。仮想配線混雑度見積もり部71は、特定された小領
域のすべてについて、選択されたネットの配線の横/縦
方向仮想配線混雑度の見積もり(ステップS41の処
理)を、設計情報にもとづいて行う。隣接率予測部72
は、特定された小領域のすべてについて、横/縦方向仮
想配線混雑度にもとづいて横/縦方向隣接率の予測(ス
テップS42の処理)を実行する。算出係数決定部73
は、横/縦方向隣接率にもとづいて配線容量の算出係数
の決定(ステップS43の処理)を行う。配線容量見積
もり部74は、小領域毎の算出係数、および、仮想配線
の横/縦方向部分の長さにもとづいて、配線容量の見積
もり(ステップS44の処理)を行う。
【0104】実施の形態6.実施の形態5の方法では、
横方向混雑度と縦方向混雑度とにもとづいて、隣接率を
横方向隣接率と縦方向隣接率とに分けて予測している。
交差率についても同様に、配線の横方向部分に対する交
差率と縦方向部分に対する交差率とに分けて予測するな
らば、配線容量の見積もりをより精度で行うことが可能
となる。本実施の形態では、このような配線容量見積も
り方法について説明する。
【0105】図17は、本実施の形態の方法の処理手順
を示すフローチャートである。ステップS0〜S5,S
41,S10の処理は、図15における同一符号の処理
とそれぞれ同等である。ステップS41の処理が完了す
ると、ステップS51の処理が実行される。ステップS
51では、ステップS5で特定されたすべての小領域に
対して、横方向/縦方向仮想配線混雑度にもとづいて、
交差率が、横方向交差率隣接率と縦方向隣接率とに分け
て予測される。
【0106】横方向交差率は、各小領域の中で、注目し
ている(すなわち、ステップS4で選択された)ネット
の(実)配線の横方向部分の全長の中で、当該横方向部
分に対して障害物となり得る(すなわち、設計上、電気
的に接続されない)他のネットに属する導体部(仮想配
線、端子、および、素子の導体要素)と交差する部分の
比率として定義される。同様に、縦方向交差率は、各小
領域の中で、注目しているネットの(実)配線の縦方向
部分の全長の中で、当該縦方向部分に対して障害物とな
り得る他のネットに属する導体部と交差する部分の比率
として定義される。
【0107】横/縦方向交差率の予測は、すでに決定さ
れている仮想配線を、決定がなされていない(実)配線
に見立てることによって行われる。そのもっとも便宜的
な方法として、予測値としての横方向交差隣接率Rhお
よび縦方向交差率Rvは、それぞれ、数式14および数
式15にもとづいて算出される。すなわち、あらかじめ
定められた正の定数yを、横方向仮想配線混雑度Phに
乗じることによって、横方向交差率Rhが算出され、縦
方向仮想配線混雑度Pvに乗じることによって、縦方向
交差率Rvが算出される。数式14および数式15は、
数式4と同様に、配線が混雑するほど隣接率が高くなる
という経験則にもとづいており、経験則をもっとも単純
な形式で近似的に表現している。
【0108】
【数14】
【0109】
【数15】
【0110】つづくステップS52およびS53を通じ
て、ステップS51で算出された小領域毎の横/縦方向
交差率にもとづいて、注目しているネットの配線の配線
容量が、隣接による容量の増分を考慮した量として見積
もられる。各小領域における配線容量CCは、数式16
にもとづいて算出することができる。この場合、ステッ
プS52では、算出係数として、Rh・CR、および、
Rv・CRが算出され、ステップS53では、CCが算
出される。ステップS53では、さらに、算出された配
線容量CCを、すべての小領域にわたって加算すること
によって、注目しているネットの配線の配線容量が、見
積り値として算出される。
【0111】
【数16】
【0112】ステップS10では、すべてのネットにつ
いてステップS4〜S53の処理が完了したか否かが判
定され、完了と判定されると図17の処理は完了し、逆
に、未処理のネットが残っていると判定されると、処理
はステップS4へと戻る。図17に手順を示した方法
は、以上のように、配線を横方向部分と縦方向部分とに
分けて交差率が評価され、それにもとづいて、配線の交
差による増分を考慮した配線容量の見積もりが行われる
ので、見積もりの精度がさらに向上する。
【0113】図18は、図17の処理手順を実行するの
に適した装置の構成を示すブロック図である。この装置
106に備わる装置部の中で、装置部40〜44,4
9,71は、図16に示した同一符号の装置部とそれぞ
れ同等である。交差率予測部76は、特定された小領域
のすべてについて、横/縦方向仮想配線混雑度にもとづ
いて横/縦方向交差率の予測(ステップS51の処理)
を実行する。算出係数決定部77は、横/縦方向交差率
にもとづいて配線容量の算出係数の決定(ステップS5
2の処理)を行う。配線容量見積もり部78は、小領域
毎の算出係数、および、仮想配線の横/縦方向部分の長
さにもとづいて、配線容量の見積もり(ステップS53
の処理)を行う。
【0114】実施の形態7.集積回路を構成する素子の
間の接続関係には、通例において、タイミングの制約が
厳しいものとそうでないものとが混在している。したが
って、タイミングの制約が厳しい接続関係については、
仮想配線を用いずに、配線処理で用いられるより精度の
高い手法(規則)を用いて配線を決定しても良い。この
場合、実配線の配線経路に対しても、仮想配線に対する
仮想配線混雑度と同様に、配線混雑度を見積もることに
より、隣接率、交差率、その他を考慮した配線容量を見
積もることが可能となる。本実施の形態では、このよう
な配線容量見積もり方法について説明する。
【0115】図19は、本実施の形態の方法の処理手順
を示すフローチャートである。ステップS0,S1,S
3〜S13,S10の処理は、図8における同一符号の
処理とそれぞれ同等である。ステップS1の処理が完了
すると、ステップS61において、配線処理を行うか否
かが判定される。判定は、ステップS1で選択されたネ
ットに関して、信号伝搬遅延時間に対して要求される精
度が、あらかじめ設定された基準値以上であるか否かに
もとづいて行われる。
【0116】要求精度が基準値以上であれば、配線処理
を行うべきと判定され、処理はステップS63へ移行
し、基準値に満たなければ、配線処理は不要と判定さ
れ、処理はステップS62へ移行する。すなわち、ステ
ップS1〜S61の処理は、ネットを、信号伝搬遅延時
間が基準値以上の精度を要する群と、そうでない群とに
振り分けることと等価である。
【0117】ステップS62では、図8等におけるステ
ップS2の処理と同等である。ステップS63では、ス
テップS0で選択されたネットに対して、配線処理が実
行されることにより、配線の経路が決定される。配線処
理には、通例において、その初期段階で概略設計として
行われる周知の「グローバル配線」の手法から、最終段
階で精密に行われる手法まで、様々な段階がある。
【0118】ステップS63では、これらの中のいずれ
の手法が用いられてもよい。求められる精度に応じて使
い分けることも可能である。いずれの手法であっても、
配線処理で用いられる手法であれば、図3に示したよう
に、接続違反を禁止して行われる点で、仮想配線処理と
は区別され、仮想配線経路よりは高い精度で配線経路が
決定される。
【0119】ステップS62またはS63が終了する
と、ステップS3が実行される。ステップS6で決定さ
れる「仮想配線混雑度」は、ステップS63で決定され
た配線経路に対しても、仮想配線経路に対する方法と同
等の方法で見積もりが行われる。すなわち、仮想配線と
配線とを区別することなく、双方に対して実施の形態1
〜4のステップS6と同等の手法で見積もりが行われる
ので、ここでは便宜上、配線経路に対する混雑度も含め
て、「仮想配線混雑度」と称する。
【0120】図19に手順を示した方法は、以上のよう
に、信号伝搬遅延時間に対して要求される精度に応じ
て、仮想配線経路の見積もりと、配線処理による配線経
路の決定とが、選択的に実行されるので、素子の間の接
続関係に、タイミングの制約が厳しいものとそうでない
ものとが混在する集積回路に対して、無駄時間を少な
く、しかも、必要な精度で、配線容量の見積もりを行う
ことが可能となる。
【0121】図20は、図19の処理手順を実行するの
に適した装置の構成を示すブロック図である。この装置
107に備わる装置部の中で、装置部40〜46,4
9,51〜53は、図9に示した同一符号の装置部とそ
れぞれ同等である。配線処理判定部81は、ネット選択
部42が選択したネットに対して配線処理を行うか否か
の判定(ステップS61の処理)を行う。配線処理部8
2は、配線処理を行うべきと判定されたネットに対して
配線処理(ステップS63の処理)を実行する。
【0122】仮想配線混雑度見積もり部45は、選択さ
れたネットの仮想配線または配線に対する混雑度の見積
もり(ステップS6の処理)を行う。配線容量見積もり
部53は、小領域毎の算出係数、および、仮想配線長
(または配線長)にもとづいて、配線容量の見積もり
(ステップS13の処理)を行う。
【0123】実施の形態8.仮想配線混雑度を見積もる
際に、ネットがどのような経路で配線されるかを予測す
る必要があるが、一般には、各ネットに属する端子数に
よって、適した予測手法は異なる。したがって、各ネッ
トに属する端子数によって配線経路の予測の手法を使い
分けて、仮想配線混雑度を算出するならば、配線容量の
見積もり精度を、さらに向上することが出来る。本実施
の形態では、このような配線容量見積もり方法について
説明する。
【0124】図21は、本実施の形態の方法の処理手順
を示すフローチャートである。ステップS0,S1,S
3〜S13,S10の処理は、図8における同一符号の
処理とそれぞれ同等である。ステップS1の処理が完了
すると、ステップS71の処理が実行される。ステップ
S71では、ステップS1で選択されたネットに対し
て、当該ネットに属する端子の個数が、あらかじめ設定
された基準値以下であるか否かが判定される。端子の個
数が基準値以下であれば、処理は、ステップS72へ移
行し、基準値より大きければ、処理はステップS73へ
移行する。すなわち、ステップS1〜S71の処理は、
ネットを、端子の個数が基準値以下である群と、そうで
ない群とに振り分けることと等価である。
【0125】ステップS72では、手法A(第1の規
則)にもとづいた仮想配線経路の見積もりが行われ、ス
テップS73では、手法B(第2の規則)にもとづいた
仮想配線経路の見積もりが行われる。手法Aと手法B
は、互いに異なっており、手法Aとして、接続すべき端
子の個数が少ない仮想配線の経路を決定するのに適した
手法が選択され、手法Bとして、接続すべき端子の個数
が多い仮想配線の経路を決定するのに適した手法が選択
される。
【0126】図22は、手法Aと手法Bとを例示する説
明図である。手法Aの一例として、一幹線スタイナ木を
挙げることができる。一つのネットに属する端子の個数
が大きい図22(a)のような例では、実配線は、図22
(b)のように決定される。このとき、一幹線スタイナ木
を用いて仮想配線経路を決定すると、図22(c)のよう
になる。
【0127】図22(c)の仮想配線経路は、図22(b)の
実配線経路とは大きく異なる。一幹線スタイナ木では、
端子の個数が少ないときには、実配線長に近い仮想配線
長を見積もることができるが、このように、端子の個数
が多くなると、精度が劣化する傾向にある。したがっ
て、図22(b)にもとづいて仮想配線混雑度を見積もる
と、実配線に対する混雑度よりも、大きな値を得ること
となる。端子の個数が大きい場合には、例えば図22
(d)が示すように、同一ネットに属するすべての端子を
囲む最小矩形領域30を設定し、端子の個数に比例した
比率で、仮想配線がこの最小矩形領域30を均等に占有
しているものと設定する手法を、手法Bとして選択する
方が、より適切である。
【0128】ステップS72またはS73の処理が終了
すると、ステップS3が実行される。ステップS6で
は、例えば図22(d)が示した手法Bが選択されたネッ
トに対しては、最小矩形領域30に対する仮想配線が占
める比率と同一の比率で、小領域を仮想配線が占めてい
るものとして、仮想配線混雑度を見積もることができ
る。
【0129】図23は、図21の処理手順を実行するの
に適した装置の構成を示すブロック図である。この装置
108に備わる装置部の中で、装置部40〜46,4
9,51〜53は、図9に示した同一符号の装置部とそ
れぞれ同等である。仮想配線経路見積もり部選択部85
は、ネット選択部42が選択したネットに対して、接続
される端子の個数に応じて、手法Aと手法Bのいずれを
適用すべきかを決定し、決定結果に応じて、第1仮想配
線経路見積もり部86と第2仮想配線経路見積もり部8
7のいずれかを選択的に起動する(ステップS71の処
理)。第1仮想配線経路見積もり部86は、手法Aにも
とづく仮想配線経路の見積もり(ステップS72の処
理)を行い、第2仮想配線経路見積もり部87は、手法
Bにもとづく仮想配線経路の見積もり(ステップS73
の処理)を行う。
【0130】実施の形態9.実施の形態1〜8の各方法
は、集積回路設計の手順の中に組み込んで実行すること
が可能である。ここでは、その例について説明する。図
24は、集積回路設計方法の手順の一例を示すフローチ
ャートである。図24の処理が開始されると、まず、ス
テップS81において論理設計が行われる。論理設計で
は、周知のとおり、設計対象とされる集積回路の論理演
算機能を実現するように、複数の論理回路素子とそれら
の間の接続関係とが決定される。
【0131】つぎにステップS82において、高速論理
合成(仮論理合成)が行われる。論理合成では、各ネッ
トのタイミングを考慮して、複数の論理回路素子の各々
の種別が、論理演算機能が等価な複数種類の中から選定
される。ネットの遅延には、既述のように素子の遅延と
配線の遅延とが含まれるが、ステップS82における論
理合成の段階では、素子の配置も配線も決定されていな
いので、ネットにつながる端子数(ファンアウト数)に
もとづいて、遅延時間が簡便に(したがって高速で)評
価される。論理合成の手法は、周知であるので詳細な説
明は略する。
【0132】つぎにステップS83において、配置処理
が行われる。配置処理も従来周知の工程であり、ステッ
プS82で選定された複数の論理回路素子の半導体基板
の主面に沿った配置が決定される。つづくステップS8
4では、実施の形態1〜8で説明した配線容量見積もり
方法が実行される。それにより、仮想配線に対する配線
容量の見積もり値が得られる。つづくステップS85で
は、ステップS84で得られた見積もり値を記録したテ
ーブルが作成される。
【0133】つぎにステップS86では、ステップS8
5で作成されたテーブルを参照して、改めて論理合成が
行われる。すなわち、テーブルを参照して算出される信
号伝搬遅延時間が要求通りとなるように、複数の論理回
路素子の種別が再選定される。つづくステップS87で
は、再選定された素子の配置が再決定され(すなわち、
配置処理が改めて行われ)、さらに、(実)配線処理が
行われる。ステップS87が終了すると、図24の処理
は完了する。このように、図24の方法では、素子の特
性に応じた配線遅延、すなわちレイアウトがなされたと
きに、端子に接続される配線が混雑する素子と、混雑し
ない素子のそれぞれについて配線遅延を予測することが
でき、それにもとづいて論理合成、配置処理、および、
配線処理が行われるので、レイアウト後のタイミング制
約違反を少なくすることが可能となる。
【0134】図25は、図24の処理手順を実行するの
に適した装置の構成を示すブロック図である。この装置
109aでは、入力部90を通じて設計仕様に関する情
報が信号として入力される。論理設計部91は、設計仕
様にもとづいて、論理設計(ステップS81の処理)を
実行する。仮論理合成部92は、ステップS82の処理
を実行する装置部である。配置部93は、ステップS8
3の処理を実行する。仮想配線容量見積もり部94は、
ステップS84の処理を実行する。仮想配線容量テーブ
ル作成部95は、仮想配線容量テーブルの作成(ステッ
プS85の処理)を実行するとともに、作成したテーブ
ルを仮想配線容量テーブル記憶部96へ格納する。
【0135】本論理合成部97は、仮想配線容量テーブ
ル記憶部96に格納されたテーブルを参照することによ
り、ステップS86の処理を実行する。配置・配線部9
8は、ステップS87の処理を実行する。また、出力部
99は、配置・配線部98で作成された素子の配置、配
線に関するデータを出力する。
【0136】図26は、実施の形態1〜8の各方法が組
み込まれた集積回路設計方法の別の例の手順を示すフロ
ーチャートである。図26の処理が開始されると、ま
ず、ステップS91において論理設計が行われる。この
処理は、図24のステップS81の処理と同等である。
つぎにステップS92において、従来周知の配置処理が
行われる。すなわち、ステップS91で決定された複数
の論理回路素子の半導体基板の主面に沿った配置が決定
される。
【0137】つづくステップS93では、実施の形態1
〜8で説明した配線容量見積もり方法が実行される。そ
れにより、仮想配線に対する配線容量の見積もり値が得
られる。つぎに、ステップS94では、ステップS93
で得られた見積もり値にもとづいて、遅延時間が算出さ
れ、それにより複数の論理回路素子の動作のタイミング
の検証が行われる。ステップS95では、タイミングが
設計上の許容範囲にあるか否かが判定され、許容範囲内
であれば、処理はステップS96へ移行し、許容範囲内
になければ、ステップS91またはS93へ戻る。
【0138】ステップS96では、(実)配線処理が行
われる。つづくステップS97では、実配線に対して、
配線容量の算出が行われる。その後、ステップS98で
は、ステップS97で算出された配線容量にもとづい
て、遅延時間が算出され、それによりそれにより複数の
論理回路素子の動作のタイミングの検証が行われる。ス
テップS94で行われる仮配線経路に関するデータにも
とづくタイミング検証とは異なり、実配線に関するデー
タにもとづいたタイミング検証であるため、より詳細で
精密な検証が行われる。ステップS98では、ステップ
S98で検証されたタイミングが設計上の許容範囲にあ
るか否かが判定され、許容範囲内であれば、図26の処
理は終了し、許容範囲内になければ、ステップS91ま
たはS93へ戻る。
【0139】このように、図26の方法では、タイミン
グ検証を行い、その結果が許容範囲内となるまで、論理
設計または仮想配線容量の見積もりがやり直される。し
たがって、最終的にレイアウト後のタイミング制約違反
のない回路設計を達成することができる。特に、素子の
特性に応じた配線遅延、すなわちレイアウトがなされた
ときに、端子に接続される配線が混雑する素子と、混雑
しない素子のそれぞれについて配線遅延を予測すること
ができ、それにもとづいて、仮のタイミング検証が行わ
れるので、実配線処理のやり直しを少なくすることがで
きる。すなわち、少ない手戻りで、集積回路を設計する
ことが可能となる。
【0140】図27は、図26の処理手順を実行するの
に適した装置の構成を示すブロック図である。この装置
109bの装置部90,91,94,99は、図25に
示した同一符号の装置部とそれぞれ同等である。配置部
121は、ステップS92の処理を実行する。仮想タイ
ミング検証部122は、ステップS94およびS95の
処理を実行する。配線部123は、ステップS96の処
理を実行する。配線容量算出部124は、ステップS9
7の処理を実行する。詳細タイミング検証部125は、
ステップS98およびS99の処理を実行する。
【0141】
【発明の効果】第1の発明の方法では、配線混雑度から
隣接率が見積もられ、それにもとづいて、配線の隣接に
よる増分を考慮した配線容量の見積もりが行われるの
で、レイアウトに用いられる実配線を定める前に、配線
混雑度を見積もることによって、精度の高い配線容量の
予測を行うことができる。
【0142】第2の発明の方法では、配線混雑度から交
差率が見積もられ、それにもとづいて、配線の交差によ
る増分を考慮した配線容量の見積もりが行われるので、
レイアウトに用いられる実配線を定める前に、配線混雑
度を見積もることによって、精度の高い配線容量の予測
を行うことができる。
【0143】第3の発明の方法では、配線混雑度から迂
回率が見積もられ、それにもとづいて、配線の迂回によ
る増分を考慮した配線容量の見積もりが行われるので、
レイアウトに用いられる実配線を定める前に、配線混雑
度を見積もることによって、精度の高い配線容量の予測
を行うことができる。
【0144】第4の発明の方法では、隣接率、交差率、
または、迂回率が、あらかじめ設定した定数を配線混雑
度に乗じた数値として得られるので、これらの比率の算
出が容易である。
【0145】第5の発明の方法では、配線混雑度から配
線層割合が見積もられ、それにもとづいて、配線の各配
線層への配分による相違を考慮した配線容量の見積もり
が行われるので、レイアウトに用いられる実配線を定め
る前に、配線混雑度を見積もることによって、精度の高
い配線容量の予測を行うことができる。
【0146】第6の発明の方法では、配線混雑度が領域
の中に属する端子の個数に、あらかじめ設定した定数を
乗じることによって、配線混雑度が見積もられる。この
ため、領域にのみ依存し、配線に依存しない数値とし
て、配線混雑度を簡便に算出することができる。
【0147】第7の発明の方法では、横方向と縦方向の
それぞれの配線に対する配線混雑度から、隣接率が横方
向と縦方向のそれぞれの配線に対する値として、個別に
見積もられ、それにもとづいて、配線の隣接による増分
を考慮した配線容量の見積もりが行われるので、さらに
精度の高い配線容量の予測を行うことができる。
【0148】第8の発明の方法では、横方向と縦方向の
それぞれの配線に対する配線混雑度から、交差率が横方
向と縦方向のそれぞれの配線に対する値として、個別に
見積もられ、それにもとづいて、配線の交差による増分
を考慮した配線容量の見積もりが行われるので、さらに
精度の高い配線容量の予測を行うことができる。
【0149】第9の発明の方法では、信号伝搬遅延時間
の要求精度に応じて、いわゆる仮配線経路の見積もりと
実配線処理とが選択的に実行され、その結果にもとづい
て、配線混雑度が見積もられるので、回路素子の間の接
続関係に、タイミングの制約が厳しいものとそうでない
ものとが混在する集積回路に対して、無駄時間を少な
く、しかも、必要な精度で、配線容量の見積もりを行う
ことが可能となる。
【0150】第10の発明の方法では、配線に接続され
る端子の個数に応じて、異なる規則にもとづいて配線の
経路が決定されるので、個数に応じた規則を選択するこ
とによって、より精度の高い配線容量の見積もりを行う
ことができる。
【0151】第11の発明の方法では、第1ないし第1
0のいずれかの発明の配線容量見積もり方法を用いて見
積もられた配線容量に関するテーブルを用いて、論理合
成、配置処理、および、配線処理が行われるので、レイ
アウト後のタイミング制約違反を少なくすることが可能
となる。
【0152】第12の発明の方法では、実配線に先立っ
て、第1ないし第10のいずれかの発明の配線容量見積
もり方法を用いて見積もられた配線容量にもとづいて、
タイミング検証が行われ、その結果が許容範囲内となる
まで、論理設計または仮想配線容量の見積もりがやり直
されるので、実配線処理のやり直しを少なくすることが
できる。すなわち、少ない手戻りで、集積回路を設計す
ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1の方法のフローチャートであ
る。
【図2】 実施の形態1の方法の説明図である。
【図3】 実施の形態1の方法の説明図である。
【図4】 実施の形態1の方法の説明図である。
【図5】 実施の形態1の方法の説明図である。
【図6】 実施の形態1の方法の別の例のフローチャー
トである。
【図7】 実施の形態1の方法の実施に適した装置のブ
ロック図である。
【図8】 実施の形態2の方法のフローチャートであ
る。
【図9】 実施の形態2の方法の実施に適した装置のブ
ロック図である。
【図10】 実施の形態3の方法のフローチャートであ
る。
【図11】 実施の形態3の方法の実施に適した装置の
ブロック図である。
【図12】 実施の形態4の方法のフローチャートであ
る。
【図13】 実施の形態4の方法の説明図である。
【図14】 実施の形態4の方法の実施に適した装置の
ブロック図である。
【図15】 実施の形態5の方法のフローチャートであ
る。
【図16】 実施の形態5の方法の実施に適した装置の
ブロック図である。
【図17】 実施の形態6の方法のフローチャートであ
る。
【図18】 実施の形態6の方法の実施に適した装置の
ブロック図である。
【図19】 実施の形態7の方法のフローチャートであ
る。
【図20】 実施の形態7の方法の実施に適した装置の
ブロック図である。
【図21】 実施の形態8の方法のフローチャートであ
る。
【図22】 実施の形態8の方法の説明図である。
【図23】 実施の形態8の方法の実施に適した装置の
ブロック図である。
【図24】 実施の形態9の方法のフローチャートであ
る。
【図25】 図24の方法の実施に適した装置のブロッ
ク図である。
【図26】 実施の形態9の方法の別の例のフローチャ
ートである。
【図27】 図26の方法の実施に適した装置のブロッ
ク図である。
【図28】 従来の方法のフローチャートである。
【図29】 従来の方法の説明図である。
【図30】 従来の方法の説明図である。
フロントページの続き (72)発明者 高橋 一浩 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 小谷 健 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 定兼 利行 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 末光 啓一 兵庫県伊丹市中央3丁目1番17号 三菱電 機システムエル・エス・アイ・デザイン株 式会社内 Fターム(参考) 5B046 AA08 BA06 JA02 5F064 EE08 EE15 EE16 EE22 EE43 EE47 EE57 HH12

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板の主面の上に配置される複数組の端
    子間を結ぶ複数の配線の容量を見積もる配線容量見積も
    り方法であって、 (a)前記主面を観念上複数の領域に分割する工程と、 (b)前記複数組の端子間を結ぶ前記複数の配線の経路を
    決定する工程と、 (c)前記複数の領域の中で前記複数の配線のいずれかが
    存在するものの各々ごと、および、前記複数の配線の各
    々ごとに、当該各々の配線と、前記複数の配線および前
    記複数組の端子を含む前記主面の上に形成される導体部
    の中で前記各々の配線に接続されない部分とが、占める
    比率である配線混雑度を見積もる工程と、 (d)前記複数の領域の中で前記複数の配線のいずれかが
    存在するものの各々ごと、および、前記複数の配線の各
    々ごとに、当該各々の配線の中で、当該各々の配線に接
    続されない他の導体部に隣接する部分の比率である隣接
    率を、前記配線混雑度にもとづいて見積もる工程と、 (e)前記複数の配線の各々について、当該各々の配線が
    存在する領域ごとの前記隣接率を用いることにより、隣
    接による容量の増分を算入した配線容量を見積もる工程
    と、を備える配線容量見積もり方法。
  2. 【請求項2】 基板の主面の上に配置される複数組の端
    子間を結ぶ複数の配線の容量を見積もる配線容量見積も
    り方法であって、 (a)前記主面を観念上複数の領域に分割する工程と、 (b)前記複数組の端子間を結ぶ前記複数の配線の経路を
    決定する工程と、 (c)前記複数の領域の中で前記複数の配線のいずれかが
    存在するものの各々ごと、および、前記複数の配線の各
    々ごとに、当該各々の配線と、前記複数の配線および前
    記複数組の端子を含む前記主面の上に形成される導体部
    の中で前記各々の配線に接続されない部分とが、占める
    比率である配線混雑度を見積もる工程と、 (d)前記複数の領域の中で前記複数の配線のいずれかが
    存在するものの各々ごと、および、前記複数の配線の各
    々ごとに、当該各々の配線の中で、当該各々の配線に接
    続されない他の導体部と交差する部分の比率である交差
    率を、前記配線混雑度にもとづいて見積もる工程と、 (e)前記複数の配線の各々について、当該各々の配線が
    存在する領域ごとの前記交差率を用いることにより、交
    差による容量の増分を算入した配線容量を見積もる工程
    と、を備える配線容量見積もり方法。
  3. 【請求項3】 基板の主面の上に配置される複数組の端
    子間を結ぶ複数の配線の容量を見積もる配線容量見積も
    り方法であって、 (a)前記主面を観念上複数の領域に分割する工程と、 (b)前記複数組の端子間を結ぶ前記複数の配線の経路を
    決定する工程と、 (c)前記複数の領域の中で前記複数の配線のいずれかが
    存在するものの各々ごと、および、前記複数の配線の各
    々ごとに、当該各々の配線と、前記複数の配線および前
    記複数組の端子を含む前記主面の上に形成される導体部
    の中で前記各々の配線に接続されない部分とが、占める
    比率である配線混雑度を見積もる工程と、 (d)前記複数の領域の中で前記複数の配線のいずれかが
    存在するものの各々ごと、および、前記複数の配線の各
    々ごとに、当該各々の配線と接続されない他の導体部と
    の短絡を避けるべく迂回することによって配線長が拡大
    する比率である迂回率を、前記配線混雑度にもとづいて
    見積もる工程と、 (e)前記複数の配線の各々について、当該各々の配線が
    存在する領域ごとの前記迂回率を用いることにより、迂
    回後の配線容量を見積もる工程と、を備える配線容量見
    積もり方法。
  4. 【請求項4】 前記工程(d) で見積もられる比率が、あ
    らかじめ設定した定数を前記配線混雑度に乗じた数値と
    して得られる、請求項1ないし請求項3のいずれかに記
    載の配線容量見積もり方法。
  5. 【請求項5】 基板の主面の上に配置される複数組の端
    子間を結ぶ複数の配線の容量を見積もる配線容量見積も
    り方法であって、 (a)前記主面を観念上複数の領域に分割する工程と、 (b)前記複数組の端子間を結ぶ前記複数の配線の経路を
    決定する工程と、 (c)前記複数の領域の中で前記複数の配線のいずれかが
    存在するものの各々ごと、および、前記複数の配線の各
    々ごとに、当該各々の配線と、前記複数の配線および前
    記複数組の端子を含む前記主面の上に形成される導体部
    の中で前記各々の配線に接続されない部分とが、占める
    比率である配線混雑度を見積もる工程と、 (d)前記複数の領域の中で前記複数の配線のいずれかが
    存在するものの各々ごと、および、前記複数の配線の各
    々ごとに、当該各々の配線が、複数の配線層の各々に配
    設される比率である配線層割合を、前記配線混雑度にも
    とづいて見積もる工程と、 (e)前記複数の配線の各々について、当該各々の配線が
    存在する領域ごとの前記配線層割合を用いることによ
    り、異なる配線層に配設されることによる容量の差異を
    反映した配線容量を見積もる工程と、を備える配線容量
    見積もり方法。
  6. 【請求項6】 前記工程(c)が、 (c-1)前記複数の領域の中で前記複数の配線のいずれか
    が存在するものの各々ごとに、前記複数組の端子の中で
    前記各々の領域に属するものの個数に、あらかじめ設定
    した定数を乗じた係数を算出し、当該係数をもって前記
    配線混雑度とする工程を、備える請求項1ないし請求項
    5のいずれかに記載の配線容量見積もり方法。
  7. 【請求項7】 基板の主面の上に配置される複数組の端
    子間を結ぶ複数の配線の容量を見積もる配線容量見積も
    り方法であって、 (a)前記主面を観念上複数の領域に分割する工程と、 (b)前記複数組の端子間を結ぶ前記複数の配線の経路
    を、互いに直交する縦方向と横方向に沿うように決定す
    る工程と、 (c)前記複数の領域の中で前記複数の配線のいずれかが
    存在するものの各々ごと、および、前記複数の配線の各
    々ごとに、当該各々の配線の前記横方向に沿った部分
    と、前記複数の配線の横方向に沿った部分および前記複
    数組の端子を含み前記複数の配線の縦方向に沿った部分
    を除いて前記主面の上に形成される導体部の中で前記各
    々の配線に接続されない部分とが、占める比率である横
    方向配線混雑度を見積もる工程と、 (d)前記複数の領域の中で前記複数の配線のいずれかが
    存在するものの各々ごと、および、前記複数の配線の各
    々ごとに、当該各々の配線の前記縦方向に沿った部分
    と、前記複数の配線の縦方向に沿った部分および前記複
    数組の端子を含み前記複数の配線の横方向に沿った部分
    を除いて前記主面の上に形成される導体部の中で前記各
    々の配線に接続されない部分とが、占める比率である縦
    方向配線混雑度を見積もる工程と、 (e)前記複数の領域の中で前記複数の配線のいずれかが
    存在するものの各々ごと、および、前記複数の配線の各
    々ごとに、当該各々の配線の前記横方向に沿った部分の
    中で、前記各々の配線に接続されない他の導体部に隣接
    する部分の比率である横方向隣接率を、前記横方向配線
    混雑度にもとづいて見積もる工程と、 (f)前記複数の領域の中で前記複数の配線のいずれかが
    存在するものの各々ごと、および、前記複数の配線の各
    々ごとに、当該各々の配線の前記縦方向に沿った部分の
    中で、前記各々の配線に接続されない他の導体部に隣接
    する部分の比率である縦方向隣接率を、前記縦方向配線
    混雑度にもとづいて見積もる工程と、 (g)前記複数の配線の各々について、当該各々の配線が
    存在する領域ごとの前記横方向隣接率および前記縦方向
    隣接率を用いることにより、縦方向に沿った部分と横方
    向に沿った部分のそれぞれの隣接による容量の増分を算
    入した配線容量を見積もる工程と、を備える配線容量見
    積もり方法。
  8. 【請求項8】 基板の主面の上に配置される複数組の端
    子間を結ぶ複数の配線の容量を見積もる配線容量見積も
    り方法であって、 (a)前記主面を観念上複数の領域に分割する工程と、 (b)前記複数組の端子間を結ぶ前記複数の配線の経路
    を、互いに直交する縦方向と横方向に沿うように決定す
    る工程と、 (c)前記複数の領域の中で前記複数の配線のいずれかが
    存在するものの各々ごと、および、前記複数の配線の各
    々ごとに、当該各々の配線の前記横方向に沿った部分
    と、前記複数の配線の横方向に沿った部分および前記複
    数組の端子を含み前記複数の配線の縦方向に沿った部分
    を除いて前記主面の上に形成される導体部の中で前記各
    々の配線に接続されない部分とが、占める比率である横
    方向配線混雑度を見積もる工程と、 (d)前記複数の領域の中で前記複数の配線のいずれかが
    存在するものの各々ごと、および、前記複数の配線の各
    々ごとに、当該各々の配線の前記縦方向に沿った部分
    と、前記複数の配線の縦方向に沿った部分および前記複
    数組の端子を含み前記複数の配線の横方向に沿った部分
    を除いて前記主面の上に形成される導体部の中で前記各
    々の配線に接続されない部分とが、占める比率である縦
    方向配線混雑度を見積もる工程と、 (e)前記複数の領域の中で前記複数の配線のいずれかが
    存在するものの各々ごと、および、前記複数の配線の各
    々ごとに、当該各々の配線の前記横方向に沿った部分の
    中で、前記各々の配線に接続されない他の導体部と交差
    する部分の比率である横方向交差率を、前記縦方向配線
    混雑度にもとづいて見積もる工程と、 (f)前記複数の領域の中で前記複数の配線のいずれかが
    存在するものの各々ごと、および、前記複数の配線の各
    々ごとに、当該各々の配線の前記縦方向に沿った部分の
    中で、前記各々の配線に接続されない他の導体部と交差
    する部分の比率である縦方向交差率を、前記横方向配線
    混雑度にもとづいて見積もる工程と、 (g)前記複数の配線の各々について、当該各々の配線が
    存在する領域ごとの前記横方向交差率および前記縦方向
    交差率を用いることにより、縦方向に沿った部分と横方
    向に沿った部分のそれぞれの交差による容量の増分を算
    入した配線容量を見積もる工程と、を備える配線容量見
    積もり方法。
  9. 【請求項9】 前記工程(b) が、 (b-1)前記複数組の端子間を結ぶ複数の配線を、信号伝
    搬遅延時間に関して、あらかじめ設定された基準値以上
    の精度を要する第1群と、要しない第2群とに分類する
    工程と、 (b-2)前記第1群に属する配線の各々の経路を、当該経
    路と接続されない前記導体部の部分との短絡を禁止して
    決定する工程と、 (b-3)前記第2群に属する配線の各々の経路を、当該経
    路と接続されない前記導体部の部分との短絡を許して決
    定する工程と、を備える請求項1ないし請求項8のいず
    れかに記載の配線容量見積もり方法。
  10. 【請求項10】 前記工程(b) が、 (b-1)前記複数組の端子間を結ぶ複数の配線を、接続さ
    れる端子の個数が、あらかじめ設定された基準値以下で
    ある第1群と、前記基準値より大きい第2群とに分類す
    る工程と、 (b-2)前記第1群に属する配線の経路を、第1の規則に
    もとづいて決定する工程と、 (b-3)前記第2群に属する配線の経路を、前記第1の規
    則とは異なる第2の規則にもとづいて決定する工程と、
    を備える請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の配
    線容量見積もり方法。
  11. 【請求項11】 半導体基体に作り込まれる集積回路を
    設計する方法であって、 (A)前記集積回路の論理演算機能を実現するように、複
    数の論理回路素子とそれらの間の接続関係とを決定する
    論理設計工程と、 (B)前記工程(A) で決定された前記複数の論理回路素子
    の各々の種別を、論理演算機能が等価な複数種類の中か
    ら選定する第1論理合成工程と、 (C)前記工程(B)で選定された前記複数の論理回路素子の
    前記半導体基体の主面に沿った配置を決定する第1配置
    工程と、 (D)請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の配線
    容量見積もり方法を、前記半導体基体を前記基板とし、
    前記工程(C)で配置された前記複数の論理回路素子が有
    する複数の信号入出力端を前記複数組の端子として、実
    行する工程と、 (E)前記工程(D)で見積もられた配線容量をテーブルとし
    て記憶する工程と、 (F)前記テーブルを参照して算出される信号伝搬遅延が
    要求通りとなるように、前記複数の論理回路素子の種別
    を再選定する第2論理合成工程と、 (G)前記工程(F)で再選定された前記複数の論理回路素子
    の前記半導体基体の主面に沿った配置を再決定する第2
    配置工程と、 (H)前記工程(G)で前記配置が再設定された前記複数の論
    理回路素子が有する複数の信号入出力端に接続される複
    数の配線の経路を決定する配線工程と、を備える集積回
    路設計方法。
  12. 【請求項12】 半導体基体に作り込まれる集積回路を
    設計する方法であって、 (A)前記集積回路の論理演算機能を実現するように、複
    数の論理回路素子とそれらの間の接続関係とを決定する
    論理設計工程と、 (B)前記工程(A)で決定された前記複数の論理回路素子の
    前記半導体基体の主面に沿った配置を決定する配置工程
    と、 (C)請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の配線
    容量見積もり方法を、前記半導体基体を前記基板とし、
    前記工程(B)で配置された前記複数の論理回路素子が有
    する複数の信号入出力端を前記複数組の端子として、実
    行する工程と、 (D)前記工程で見積もられた配線容量にもとづいて、前
    記複数の論理素子の動作のタイミングを検証する工程
    と、 (E)前記工程(D)で検証された前記タイミングが許容範囲
    内になければ前記工程(A)または前記工程(B)へ戻る工程
    と、 (F)前記工程(E)の後に、前記複数の論理回路素子が有す
    る複数の信号入出力端に接続される複数の配線の経路を
    決定する配線工程と、 (G)前記工程(F)で経路が決定された前記複数の配線の容
    量を算出する工程と、 (H)前記工程(G)で算出された容量にもとづいて、前記複
    数の論理回路素子の動作のタイミングを検証する工程
    と、 (I)前記工程(H)で検証された前記タイミングが許容範囲
    内になければ前記工程(A)または前記工程(B)へ戻る工程
    と、を備える集積回路設計方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7600205B2 (en) 2004-06-07 2009-10-06 Fujitsu Limited Net/wiring selection method, net selection method, wiring selection method, and delay improvement method

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