JP2000355628A - 炭化物含有ポリマー及びその製造法 - Google Patents

炭化物含有ポリマー及びその製造法

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JP2000355628A
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Hiroshi Ichikawa
博 市川
Masayuki Kiuchi
政行 木内
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Ube Corp
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Ube Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】炭化物が均一に分散された炭化物含有ポリマー
及び炭化物含有ポリマー製造の際、炭化物の浮遊による
作業環境の汚染が無い製造法の提供。 【解決手段】ポリマーを高電圧電極間で放電加工処理し
て得られる炭化物とポリマーとを含む炭化物含有ポリマ
ー。この炭化物含有ポリマーは、ポリマーを印加電圧1
〜200kV、電極間距離が0より長く、20cmより
短い条件で放電加工処理し、溶融混練することにより製
造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリマーと炭化物と
を含む炭化物含有ポリマー及びその製造法に関する。詳
しくは、ポリマーに含有される炭化物がポリマーを高電
圧電極間で放電加工処理して得られる炭化物である炭化
物含有ポリマーに関する。この炭化物含有ポリマーは帯
電防止性や導電性を有し、電磁波シールド材、包装材、
ケーブル被覆材などに使用される。
【0002】
【従来の技術】ポリマーの帯電防止性、導電性、耐候性
などの改良を目的に、ポリマーにカーボンブラックなど
の炭化物を添加混合することは良く知られている。通
常、ポリマーとカーボンブラックなどの炭化物からなる
混合物は、溶融混練機、バンバリーミキサー、ロールミ
キサー又はニーダー等の混練機を使用して、製造され
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一般に、カーボンブラ
ックなどの炭化物は粒子間の凝集力が強く、通常の混練
方法や混練条件でポリマー中に均一に混合、分散させる
ことは難しいことが知られている。そのため、ポリマー
中にカーボンブラックなどを均一分散させる方法が研究
され、種々の混合方法や炭化物をカップリング剤などで
表面処理する方法が提案されている。しかし、これらの
方法はカップリング剤処理などの工程が必要となり、製
造工程数が多くなったり、カップリング剤処理自体が技
術的に難しいなどの問題点があった。又、炭化物を表面
処理しても、ポリマー中にカーボンブラックの凝集物が
存在することがあり、炭化物を均一分散させることは十
分とは言えなかった。
【0004】又、カーボンブラックは嵩密度が低く、飛
散しやすいため、ポリマーと混練する際、カーボンブラ
ックが作業場に浮遊して、作業環境を汚染したり、又、
導電性を有しているため、ポリマーとカーボンブラック
を混合する装置の電気機器類をショートさせるなど、作
業環境や電気的安全性の面で改善が求められていた。
【0005】一方、ポリマーを放電加工処理する技術と
しては、接着性賦与などポリマーの表面特性改良を目的
に、ポリマーをコロナ放電処理する方法が知られてい
る。コロナ放電処理はポリマー表面の改質に有効であ
る。しかし、コロナ放電処理により、ポリマーから炭化
物を得ることは非常に難しい。
【0006】本発明の課題は、炭化物が均一に分散され
た炭化物含有ポリマー及びその炭化化物含有ポリマーを
製造する際、炭化物の飛散・浮遊による作業環境の汚染
が無い製造法の提供にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の課題解決を目的
に種々検討した結果、ポリマーを特定条件下で放電加工
処理することにより、ポリマー中に炭化物が生成するこ
と及び生成した炭化物は、カップリング剤などで表面処
理をしなくても、公知の混練方法で、容易に、ポリマー
中に均一分散することを見出し、本発明に到達した。
【0008】即ち、本発明は、ポリマーを高電圧電極間
で放電加工処理して得られる炭化物を含む炭化物含有ポ
リマーである。
【0009】又、本発明の別の発明は、溶融状態又は固
体状態のポリマーを高電圧電極間で、印加電圧1〜20
0kV、電極間が0より長く、20cmより短い距離で
放電加工処理する炭化物含有ポリマーの製造法である。
【0010】本発明の炭化物は、放電加工処理によりポ
リマー中に生成する。本発明の炭化物はポリマーに混合
する際、飛散や浮遊する心配がほとんど無いため、作業
環境汚染や電気的危険性はほとんど見られない。又、こ
の炭化物は表面処理剤で処理されていなくても、ポリマ
ー中に均一分散される。本発明の炭化物がポリマー中に
均一に分散される理由は明らかでないが、本発明のポリ
マーを放電加工処理して得られた炭化物は、赤外吸光ス
ペクトル分析の結果、炭化物が部分的にポリマー残鎖を
含んだ構造を有すると推定される。このため、ポリマー
と炭化物との親和性が良好となり、分散性が良くなると
考えている。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明で放電加工に使用されるポリマーは、分子鎖骨格
中に炭素原子を有するポリマーであれば、全てのポリマ
ーが使用できる。ポリマーの具体例を挙げれば、ポリエ
チレン、ポリプロピレンやこれらの共重合体などのポリ
オレフィン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、
ABS樹脂、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリア
ミド、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレートやポリ
ブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリカー
ボネート、フェノール樹脂、ポリウレタンなどがある。
これらの中では、ポリエチレン、ポリイミド、フェノー
ル樹脂などが好ましいポリマーである。
【0012】本発明でポリマーを放電加工させる方法
は、上記のポリマーを高電圧電極に接触させ、高電圧を
印加させる通電法、火花放電法、アーク放電法などの高
電圧放電加工法などがある。電源は直流でも、交流で
も、また、インパルスであっても良い。
【0013】放電加工の際の印加電圧は、1〜200k
V、好ましくは2〜100kVである。印加電圧が1k
V未満の場合、放電による炭化物の生成効率が悪くな
り、一方、200kVを越えた場合、電圧をこれより高
くしても、炭化物の生成量はそれほど高くならず、かえ
って、過大な電源設備が必要となったり、安全性の面な
どで問題となることがある。又、電極間距離は0より長
く、20cmより短い距離、好ましくは、0.001〜
10cmの距離である。電極間距離が0の場合、ポリマ
ーを炭化させることができず、一方、20cmを超える
と炭化させるために、過大の印加電圧が必要となり、実
用的でなくなる。
【0014】使用される電極の形状は針状電極、錐状電
極、棒状電極、球状電極、平板状電極など公知の形状の
ものは全て利用できる。電極は対で使用され、それは同
一形状のものを対として使用しても良いし、異なる形状
のものを対として使用しても良い。これら電極の中で
は、針状電極や錐状電極は先端での電界集中効果があ
り、放電電圧が低くても炭化物生成効果が高いため、好
ましく使用できる。又、放電加工処理の際、電極はポリ
マー中に1対設置しても良く、又、2対以上を設置して
も良い。
【0015】本発明の放電加工処理はポリマーの温度や
ポリマーに加えられる圧力に何らの制約を受けない。放
電加工処理をするポリマーは溶融状態であっても、未溶
融の固体状態であっても良い。溶融状態のポリマーを放
電加工する場合、放電路を確保するため、電極間にガス
を圧入することが好ましい。圧入するガスは酸素、空気
などの酸化性ガス、アルゴン、窒素などの不活性ガス、
還元性ガスのいずれか一つ又はこれらの混合物であって
も良い。コスト、安全性の観点から窒素、空気が好まし
い。
【0016】溶融状態のポリマーを放電加工する場合、
通常、溶融混練機、バンバリーミキサー、ロールミキサ
ー又はニーダー等の公知の混練機を使用する方法が適用
される。溶融混練機内で放電加工処理する方法は、炭化
物の生成と同時に、又は、生成に引き続き、炭化物をポ
リマー中に混合・分散させることができ、効率的な方法
である。この方法は、炭化物の混合時に浮遊などによる
環境汚染がなく、又、電気的にも安全などの利点があ
り、本発明の好ましい実施方法の一つである。
【0017】溶融状態で放電加工する場合、作業性、生
産性の面から一軸、二軸又は多軸の溶融混練機が、特
に、好ましく使用できる。これら溶融混練機を使用する
場合、溶融混練機に一対又は二対以上の電極を設置して
も良いし、又、溶融混練機の一部、例えば、押出機のス
クリューを一方の電極とし、混練機内のスクリューとは
別の場所に他の電極を設け、この電極間に高電圧を印加
することもできる。
【0018】又、固体状態のポリマーを放電加工処理し
た場合、生成した炭化物を含むポリマーは、そのまま炭
化物含有ポリマーとして使用することが出来るし、ま
た、放電加工処理後、溶融混練機などにより混練してか
ら使用することも出来る。
【0019】本発明の炭化物含有ポリマーは、放電加工
処理で生成した炭化物をポリマーから分離し、分離した
炭化物とポリマーとを溶融混練機などで混練して、得る
こともできる。この場合に混練するポリマーは、放電加
工処理したポリマーと同一であっても良いし、他の種類
のポリマーであつても良い。分離した炭化物は表面処理
や特殊な混練操作をしなくても、ポリマー中に炭化物を
容易に均一分散させることができるだけでなく、混練作
業時に炭化物が浮遊することなく、作業環境の汚染が起
らない、又、電気面の安全性も高いなどの利点がある。
【0020】放電加工により生成する炭化物の量は、ポ
リマーの種類、放電電圧や放電時間などによって異なる
が、ポリマーの状態が溶融状態であっても、固体状態で
あっても、大きな差異は見られない。本発明では、ポリ
マー100重量部を放電加工処理した場合、その0.0
01〜70重量部を炭化物にすることが可能である。
【0021】本発明の炭化物含有ポリマーが含有する炭
化物の量は、ポリマー100重量部に対して0.01〜
10重量部、好ましくは、0.1〜8重量部である。含
有量が0.01重量部未満では帯電防止性や導電性など
の改良効果が小さい。又、10重量部を超えると成形性
や耐衝撃性が低下するようになる。
【0022】本発明の炭化物含有ポリマーは、放電加工
条件を調節し、炭化物生成量が0.001〜10重量部
となるポリマーを製造するか、又は、炭化物生成量10
重量部以上を含有するポリマーを製造し、得られた炭化
物含有ポリマーをマスターバッチとして、別に準備した
ポリマーと溶融混練するなどの方法で製造される。この
別に準備したポリマーは、放電加工したポリマーと同一
であっても良く、又、他の種類のポリマーであっても良
い。
【0023】本発明の炭化物含有ポリマーは、本発明の
目的を阻害しない範囲で各種の他の成分を含有していて
も良い。そのような他の成分としては、公知の添加剤、
酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電
防止剤、分散剤、塩素補足剤、難燃剤、結晶化核剤、ブ
ロッキング防止剤、スリップ剤、離型剤、顔料、有機物
充填材、無機物充填材、滑剤、汚染防止材、抗菌剤やそ
の他のポリマー、熱可塑性エラストマーなどがある。
【0024】これら添加剤の例を挙げると、酸化防止剤
としては2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノー
ル、2,6−ジシクロヘキシル−4−エチルフェノール
などのフェノール系酸化防止剤、トリオクチルホスファ
イト、トリストリデシルホスファイトなどの有機ホスフ
ァイト系酸化防止剤、ジラウリルチオジプロピオネー
ト、ペンタエリスリトールテトララウリルチオプロピオ
ネートなどの硫黄系酸化防止剤がある。光安定剤として
はビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ン)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラ
メチル−4−ピペリジン)−1,2,3,4−ブタンテ
トラカルボキシレートなどのヒンダードアミン系安定剤
がある。紫外線吸収剤としては2,4−ジヒドロキシベ
ンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフ
ェノンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2,2’
−メチレン−ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチ
ルブチル)−6−[(2H−ベンゾトリアゾール−2−
イル)フェノール]],2−(3−t−ブチル−5−メ
チル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾト
リアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤な
どがある。
【0025】帯電防止剤としてはポリ(オキシエチレ
ン)アルキルアミン、ポリ(オキシエチレン)アルキル
アミドなどのノニオン系帯電防止剤、第4級アンモニウ
ムクロライド、第4級アンモニウムサルフェートなどの
カチオン系帯電防止剤、アルキルスルホネート、アルキ
ルベンゼンスルホネートなどのアニオン系帯電防止剤が
ある。分散剤としてはエチレンビスオレイン酸アミド、
エチレンビスステアリン酸アミドなどのビスアミド系
分散剤、マイクロクリスタリンワックスなどのワックス
系分散剤、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシ
ウム、ステアリン酸亜鉛などの有機金属塩系分散剤があ
る。
【0026】難燃剤としてはトリクレジルホスフェー
ト、リン酸アンモニウムなどのリン酸系難燃剤、三酸化
アンチモン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウ
ム、赤リン等が挙げられる。ブロッキング防止剤として
は、シリカ、天然ゼオライト、合成ゼオライト、カオリ
ン、タルク、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、溶融シ
リカ、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ハドロタルサイト
系等の微粒子が挙げられる。スリップ剤としては、ラウ
リン酸アミド、オレイン酸アミドのどの高級脂肪酸アミ
ドが好適である。
【0027】添加できるその他のポリマーとしては、高
密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、メタロセン触
媒により得られるポリエチレン、エチレン−アクリル酸
エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合
体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンワッ
クスなどや、また、石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン
−インデン樹脂、ロジン系樹脂やこれらの水素添加誘導
体などがある。熱可塑性エラストマーとしては、スチレ
ン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン
−イソプレン−スチレンブロック共重合体と、これらの
水添物であるスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン
ブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−
スチレンブロック共重合体などがある。
【0028】また、無機、有機の充填剤の具体例として
は、ガラス繊維、炭素繊維、シリカ繊維、アルミナ繊
維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素繊維、ステンレスやチ
タンなどの金属繊維、ヒュームドシリカ、ケイ酸アルミ
ニウム、酸化チタン、カーボンブラック、炭酸カルシウ
ムなどがある。
【0029】本発明の炭化物含有ポリマーは、射出成形
法、押出成形法、圧縮成形法、真空成形法などの公知の
成形法により、各種成形品、フィルム、シート、繊維な
どの形状にして利用される。主な用途として、電磁波シ
ールド材、包装材、ケーブル被覆材などが挙げられる。
【0030】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を具体
的に説明する。なお、実施例及び比較例中に記載した特
性の測定は下記の方法で行った。
【0031】(1)ポリエチレン中の炭化物含有量の測
定 キシレン800mlを入れた攪拌機及び冷却管付コルベ
ンに、放電加工処理したポリエチレン40gを入れ、キ
シレンを沸騰させて、ポリエチレンを完全に溶解させ
た。その後、キシレンの温度が冷えないようにして、熱
キシレン不溶物を、濾過分離した。さらに、この熱キシ
レン不溶物を清浄な熱キシレン250mlで、5回洗浄
し、残存ポリエチレンを除去した。次いで、熱キシレン
不溶物を50℃で、12時間減圧乾燥した後、重量を測
定した。なお、熱キシレン不溶物の同定にはX線回折装
置を使用した。
【0032】(2)炭化物の体積固有抵抗率の測定 放電加工処理後、ブラベンダー型ミキサーから取出した
ポリマー塊から上記(1)の方法に準じ、炭化物を分離
した。この炭化物を用い、縦2mm×横2mm×厚さ2
mmの炭化物ブロックを作成し、対向する2面にドータ
イトにより電極を接続した。測定器はデジタル・マルチ
メータ((株)アドバンテスト製、R6581型)を使
用し、4探針法により体積固有抵抗率を測定した。
【0033】(3)ポリマー中の炭化物の分散性測定 約3gの炭化物含有ポリマーをホットプレス装置
((株)神藤金属工業所製、F−37型、型締力37
t)を用い、温度180℃、圧力50kgf/cm
2G、予熱時間3分、加圧時間1分の条件で、加熱圧縮
して、厚さ約100μmのフィルムを作成した。このフ
ィルムを光学顕微鏡を用い、倍率400倍の視野範囲で
異なる10視野を観察し、分散している炭化物粒子の
内、粒径の大きな物から順番に20個を選び、それぞれ
の粒子径を計測し、その平均粒子径を求めた。この平均
粒子径が小さいほど、分散性が良いと判定した。
【0034】実施例1 ポリエチレン(宇部興産(株)製、商品名:UBEポリ
エチレン J5019、密度 0.919g/cm3
40gを、ブラベンダー型ミキサー(内容量60cc、
ローターの回転比 1:1.5)に供給し、ローターの
回転数50rpm、ヒーター温度180℃で、約10分
間、加熱混合し、溶融状態にした。ブラベンダー型ミキ
サーの開口部より直径1.6mmの針状高電圧電極を溶
融ポリエチレン中に挿入した。電極間距離は1mmとし
た。次いで、この針状高電圧電極先端部の側にガス導入
管を配置した。ガス導入管より窒素ガスを吹込みならが
ら、高電圧電源に交流で、電圧30kVをかけ、60分
間、アーク放電により、放電加工を行った。針状高電圧
電極を取出した後、回転数50rpm、ヒーター温度1
80℃で、約 5分間、ポリエチレンを混合してから、
ローターの回転を止め、放電加工処理された溶融状態の
ポリエチレンをブラベンダー型ミキサーから取出し、空
気中で冷却した。このポリエチレン中の熱キシレン不溶
物はX線回折装置で測定の結果、炭化物であることが確
認された。このポリエチレン中の炭化物含有量は0.2
重量部であり、得られた炭化物の体積固有抵抗率は、2
×103Ω・cmであった。また、分散性測定の結果、
平均粒子径は15μmであった。
【0035】比較例1 放電加工を行わない以外は、実施例1と同様に実施し
た。ブラベンダー型ミキサーから取出したポリエチレン
から炭化物は検出されなかった。又、このポリエチレン
の体積固有抵抗率は、1×1015Ω・cmであった。
【0036】比較例2 印加電圧を0.8kVとして放電形態をコロナ放電とし
た以外は、実施例1と同様にして実施した。この処理を
受けたポリエチレンから炭素物は検出されなかった。
【0037】比較例3 ポリエチレン(宇部興産(株)製、商品名:UBEポリ
エチレン J5019、密度 0.919g/cm3
100重量部とカーボンブラック(キャボット社製、商
品名 バルカン9A−32)0.2重量部を、実施例1
と同一のブラベンダー型ミキサー(内容量 60cc、
ローターの回転比 1:1.5)に供給し、実施例1と
同様の条件で混練し、この混練物から約100μmのフ
ィルムを作成した。このフィルム中の炭化物の分散性を
測定した結果、平均粒子径は236μmであった。
【0038】実施例2 ポリエチレン(宇部興産(株)製、商品名:UBEポリ
エチレン UBEC6061N、密度 0.922g/
cm3)のペレットを、スターラーチップが入っている
ビーカーに約4cmの高さまで入れ、室温でスターラー
チップを回転させて、このポリエチレンを攪拌し、この
ポリエチレンの中へ直径1.6mmの針状高電圧電極を
に挿入した。電極間距離は1cmとした。高電圧電源に
は電圧30kVの交流を使用した。高電圧電極間でアー
ク放電を発生させ、60分間、放電加工を行った。この
後、放電加工処理の終了したポリエチレンを実施例1と
同様のブラベンダー型ミキサーに供給し、回転数50r
pm、ヒーター温度180℃で、約5分間加熱溶融混練
した。ポリエチレン中の炭化物含有量は0.5重量部、
得られた炭化物の体積固有抵抗値は5×103Ω・cm
であった。炭化物の分散性を測定した結果、平均粒子径
は18μmであった。
【0039】実施例3 ポリイミドフィルム(宇部興産(株)製、商品名ユーピ
レックスR、厚さ約100μm)を、3mm角にカット
し、スターラーチップが入っているビーカーに約2cm
の高さまで入れた。室温でスターラチップを回転させ
て、ポリイミドを攪拌し、その中へ直径1.6mmの針
状高電圧電極を挿入した。電極間距離は5mmとした。
高電圧電源は30kVの交流を使用し、アーク放電を発
生させ、60分間、放電加工を行った。ポリイミドフィ
ルム中に炭化物生成が確認された。フィルム中の炭化物
の分散性を測定した結果、平均粒子径は5μmであっ
た。
【0040】
【発明の効果】本発明の炭化物含有ポリマーは、高電圧
電極間、印加電圧1〜200kVで放電加工されたポリ
マーから得られる炭化物が、ポリマー中に分散したもの
である。この炭化物含有ポリマーは、炭化物が均一に分
散しており、製造時は、炭化物浮遊等の作業環境汚染や
電気的危険性が少ない。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F070 AA13 AA55 HA06 HB04 HB07 4F071 AA15 AA60 AF37 AG16 AH04 BB06 BC01 4J002 BB031 BB121 BC031 BG061 BL011 BN151 CC031 CF061 CF071 CG011 CK011 CL001 CM041 DA016 GG02 GQ02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリマーを高電圧電極間で放電加工処理し
    て得られる炭化物を含むことを特徴とする炭化物含有ポ
    リマー。
  2. 【請求項2】ポリマーを高電圧電極間で、印加電圧1〜
    200kV、電極間が0より長く、20cmより短い距
    離で放電加工処理して得られる炭化物を含むことを特徴
    とする請求項1記載の炭化物含有ポリマー。
  3. 【請求項3】ポリマー100重量部及び請求項1又は2
    記載の炭化物0.01〜10重量部を含むことを特徴と
    する請求項1記載の炭化物含有ポリマー。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載のポリマー
    がポリエチレン、ポリイミドから選ばれた一種類である
    ことを特徴とする請求項1記載の炭化物含有ポリマー。
  5. 【請求項5】溶融状態又は溶融混練状態のポリマーを高
    電圧電極間で、印加電圧1〜200kV、電極間が0よ
    り長く、20cmより短い距離で放電加工処理すること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の炭化物含
    有ポリマーの製造法。
  6. 【請求項6】固体状態のポリマーを高電圧電極間で、印
    加電圧1〜200kV、電極間が0より長く、20cm
    より短い距離で放電加工処理することを特徴とする請求
    項1〜4のいずれかに記載の炭化物含有ポリマーの製造
    法。
  7. 【請求項7】固体状態のポリマーを高電圧電極間で、印
    加電圧1〜200kV、電極間が0より長く、20cm
    より短い距離で放電加工処理した後、溶融混練すること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の炭化物含
    有ポリマーの製造法。
  8. 【請求項8】請求項1〜4のいずれかに記載の炭化物含
    有ポリマーから得られる成形品。
JP2000059828A 1999-04-12 2000-03-06 炭化物含有ポリマー及びその製造法 Pending JP2000355628A (ja)

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