JP2000354293A - スピーカー用部材 - Google Patents

スピーカー用部材

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JP2000354293A JP11163551A JP16355199A JP2000354293A JP 2000354293 A JP2000354293 A JP 2000354293A JP 11163551 A JP11163551 A JP 11163551A JP 16355199 A JP16355199 A JP 16355199A JP 2000354293 A JP2000354293 A JP 2000354293A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐衝撃性、リサイクル性および内部ロスに優
れ、かつ安価なスピーカー用部材を提供すること。 【解決手段】 本発明のスピーカー用部材は、脂肪族ポ
リケトンを主成分として含有する熱可塑性樹脂組成物か
ら形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スピーカー用部材
に関する。より詳細には、本発明は、耐衝撃性、リサイ
クル性および内部ロスに優れ、かつ安価なスピーカー用
部材に関する。
【0002】
【従来の技術】スピーカー用部材の1つであるフレーム
には、用途に応じて種々の材料(例えば、冷延鋼板、熱
可塑性樹脂)が用いられる。例えば、車載用スピーカに
おいては、軽量化および形状の自由度の観点から、熱可
塑性樹脂が用いられることが多い。このような熱可塑性
樹脂としては、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン
・スチレンポリマー)、PC(ポリカーボネート)、P
PO(ポリフェニレンエーテル)またはこれらのアロイ
が挙げられる。
【0003】しかし、上記アロイおよびABS樹脂(タ
ーポリマー)は、リサイクル時の汎用性が不十分であ
る。一方、ABS樹脂以外の上記熱可塑性樹脂は、単独
では耐衝撃性が不十分であり、実用に耐えることができ
ない。
【0004】また、別のスピーカー用部材の代表例であ
る振動板についても、用途に応じて種々の材料が用いら
れる。例えば、携帯電話または携帯用小型玩具のスピー
カーの振動板について説明する。
【0005】このようなスピーカーは、軽量かつ薄型で
あることが要求される。そのため、ダイナミック型また
は圧電型のスピーカーが代表的に用いられ、中でも、音
質を考慮すると、浅いコーン型振動板を有するダイナミ
ック型スピーカーが代表的に用いられる。携帯用途にお
いては機器が屋外で使用されることが多いので、スピー
カーに用いられる振動板には耐水性が要求される。耐水
性の観点から、このような振動板には、PET(ポリエ
チレンテレフタレート)樹脂、PEI(ポリエーテルイ
ミド)樹脂などが用いられる。
【0006】しかし、これらの材料は弾性率が大きいこ
とに起因して内部ロスが小さいので、音質が不十分であ
る(例えば、携帯電話においては、会話が聞き取りにく
いという重大な問題がある)。
【0007】以上のように、耐衝撃性、リサイクル性お
よび内部ロスに優れるスピーカー用部材が強く望まれて
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
課題を解決するためになされたものであり、その目的と
するところは、耐衝撃性、リサイクル性および内部ロス
に優れ、しかも安価なスピーカー用部材を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、スピーカ
ー用部材の材料に関して種々の用途について鋭意検討し
た結果、脂肪族ポリケトンが安価に入手可能であり、か
つ、この材料を用いることにより、耐衝撃性、リサイク
ル性および内部ロスに優れるスピーカー用部材が得られ
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】本発明のスピーカー用部材は、脂肪族ポリ
ケトンを主成分として含有する熱可塑性樹脂組成物から
形成されている。
【0011】好ましい実施態様においては、上記熱可塑
性樹脂組成物は、上記脂肪族ポリケトン100重量部に
対して微粉末マイカ5〜20重量部をさらに含有する。
【0012】好ましい実施態様においては、上記スピー
カー用部材は、フレームとして用いられる。
【0013】好ましい実施態様においては、上記スピー
カー用部材は、振動板として用いられる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明のスピーカー用部材は、脂
肪族ポリケトンを主成分として含有する熱可塑性樹脂組
成物から形成されている。
【0015】脂肪族ポリケトンは、下記化学式で表され
る。
【0016】
【化1】
【0017】ここで、RおよびRは、それぞれ独立
して、水素または1〜4個の炭素原子を有する直鎖状ま
たは分岐状アルキル基であり、好ましくは、水素、メチ
ル基、エチル基、n-プロピル基またはn-ブチル基であ
り、さらに好ましくは、水素またはメチル基であり、最
も好ましくは、Rが水素、Rがメチル基である。
【0018】本発明に用いられる熱可塑性樹脂組成物
は、上記脂肪族ポリケトンを主成分として含有する。本
明細書において、「主成分」とは、組成物中に50重量
%以上含有される成分を意味する。従って、本明細書に
おいて、熱可塑性樹脂組成物というときは、脂肪族ポリ
ケトンを50重量%以上含有する組成物だけでなく脂肪
族ポリケトン自身をも包含する。
【0019】熱可塑性樹脂組成物は、脂肪族ポリケトン
100重量部に対して、好ましくは5〜20重量部、さ
らに好ましくは15〜20重量部の微粉末マイカをさら
に含有し得る。微粉末マイカを含有することにより、ヤ
ング率、比弾性率および内部損失がさらに改善され得
る。しかも、脂肪族ポリケトンを用いる場合には、他の
樹脂を用いる場合に比べて微粉末マイカによる改善効果
が大きいことが確認されている。さらに、熱可塑性樹脂
組成物は、目的に応じて、任意の適切な添加剤(例え
ば、着色剤、酸化防止剤、離型剤、老化防止剤、光安定
剤)を含有し得る。
【0020】本発明のスピーカー用部材は、任意の適切
な用途に用いられ得るが、特に、フレームおよび振動板
として好適に用いられる。
【0021】本発明のスピーカー用部材は、上記熱可塑
性樹脂組成物を任意の適切な方法で成形することにより
得られる。例えば、本発明をフレームに適用する場合に
は、上記熱可塑性樹脂組成物を所定の形状に射出成形す
ればよい。また例えば、本発明を振動板に適用する場合
には、上記熱可塑性樹脂組成物をTダイ押出法でフィル
ム成形した後、熱プレス成形すればよい。
【0022】以下、本発明の作用について説明する。本
発明によれば、脂肪族ポリケトンを主成分として含有す
る熱可塑性樹脂組成物を用いることにより、耐衝撃性、
リサイクル性および内部ロスに優れるスピーカー用部材
が得られる。脂肪族ポリケトンは、直鎖状で、かつ、繰
り返し単位中にカルボニル基を有するので、非常に極性
が高い。その結果、脂肪族ポリケトンは、ポリオレフィ
ン等に比べて分子間力が格段に大きくなるので、エンジ
ニアリングプラスチックと同等の性能(例えば、弾性
率、耐衝撃性)を有する。特に、汎用樹脂に比べて、内
部ロスが大きいことが確認されている。さらに、脂肪族
ポリケトンは、構造的にホモポリマーに近似したコポリ
マーであるので、リサイクル時の汎用性にも優れる。し
かも、脂肪族ポリケトンは、安価で容易に入手可能であ
るので、コスト面においても有利である。好ましい実施
態様においては、上記熱可塑性樹脂組成物は、微粉末マ
イカをさらに含有する。脂肪族ポリケトンと微粉末マイ
カとを組み合わせて用いることにより、ヤング率、比弾
性率および内部ロスが顕著に改善される。脂肪族ポリケ
トンを用いる場合には、他の樹脂を用いる場合に比べ
て、微粉末マイカによる改善効果が格段に大きい。これ
は、上記のように、脂肪族ポリケトンが直鎖状でかつ強
い極性を有することに由来すると考えられる。
【0023】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例には限定されない。なお、
特に示さない限り、実施例中の部およびパーセントは重
量基準である。
【0024】(実施例1)脂肪族ポリケトン樹脂組成物
(シェルケミカル社製、CARILON;D26HM100(ナチュラ
ル))を用いて、通常の条件および手順で射出成形を行
い、口径16cm用スピーカーフレームを成形した。
【0025】得られたフレームを、以下の〜の評価
に供した。評価結果を、後述の実施例2および比較例1
〜4の結果と併せて下記の表1に示す。 耐衝撃性(圧縮破壊強度) 得られたフレームの振動板面を下にしてプレート取付面
から鉄製円盤で圧縮し、フレームが破壊したときの強度
と、その際の変位率(初期フレーム高さに対する破壊時
の変形量)を測定した。 耐溶剤性 得られたフレームをガソリンに6時間浸漬し、重量変化
がない場合を「良」、重量変化がある場合を「不良」と
して評価した。 リサイクル性 得られたフレームを粉砕してペレット化し、このペレッ
トから同一形状のフレームを成形した。得られた再成形
フレームの圧縮強度をと同様の手順で測定した。さら
に、同様の手順を繰り返して、再成形フレームから再々
成形フレームを成形し、圧縮強度を測定した。再成形フ
レームおよび再々成形フレームの強度保持率を、リサイ
クル性の指標とした。
【0026】
【表1】
【0027】(実施例2)脂肪族ポリケトン樹脂組成物
(シェルケミカル社製、CARILON;D86FIG30(繊維強化
型、ガラス繊維30%含有))を用いて、通常の条件およ
び手順で射出成形を行い、口径16cm用スピーカーフ
レームを成形した。得られたフレームを実施例1と同様
の評価に供した。結果を上記表1に示す。
【0028】(比較例1)ポリカーボネート樹脂組成物
(帝人化成社製、パンライト;L-1250(ナチュラル))
を用いて、通常の条件および手順で射出成形を行い、口
径16cm用スピーカーフレームを成形した。得られた
フレームを実施例1と同様の評価に供した。結果を上記
表1に示す。
【0029】(比較例2)ポリカーボネート樹脂組成物
(帝人化成社製、パンライト;G-3130(繊維強化型、ガ
ラス繊維30%含有))を用いて、通常の条件および手順
で射出成形を行い、口径16cm用スピーカーフレーム
を成形した。得られたフレームを実施例1と同様の評価
に供した。結果を上記表1に示す。
【0030】(比較例3)ABS樹脂組成物(電気化学
社製、デンカABS;GR-3000S(ナチュラル))を用い
て、通常の条件および手順で射出成形を行い、口径16
cm用スピーカーフレームを成形した。得られたフレー
ムを実施例1と同様の評価に供した。結果を上記表1に
示す。
【0031】(比較例4)ABS樹脂組成物(電気化学
社製、デンカABS;GR-1000(繊維強化型、ガラス繊維30
%含有))を用いて、通常の条件および手順で射出成形
を行い、口径16cm用スピーカーフレームを成形し
た。得られたフレームを実施例1と同様の評価に供し
た。結果を上記表1に示す。
【0032】表1から明らかなように、本発明のスピー
カーフレームは、圧縮強度および変位率が大きく、耐衝
撃性および靭性に優れている。また、本発明のフレーム
は、耐溶剤性も良好である。さらに、本発明のフレーム
は、同グレードの比較例と比較すると明らかなように、
成形を繰り返した後の強度保持率が高く、リサイクル性
に優れている。
【0033】一方、比較例においては、ABS樹脂は、
ガラス繊維強化グレードの圧縮強度が優れているが、耐
溶剤性は、強化グレードおよび通常グレードのいずれに
おいても劣悪であり、特に車載用スピーカーフレームと
しては重大な問題を有している。ポリカーボネート樹脂
は、良好な変位率を有するが、ABS樹脂と同様に耐溶
剤性が劣悪である。加えて、リサイクル性について同グ
レードで比較すると、比較例はいずれも本発明のフレー
ムに比べて強度保持率が低く、リサイクル性が不十分で
ある(特に、ターポリマーであるABS樹脂のリサイク
ル性が劣悪である)。
【0034】(実施例3)脂肪族ポリケトン樹脂組成物
(シェルケミカル社製、CARILON;D26HM100(ナチュラ
ル))を用いて、Tダイによる押出成形によって、厚さ
50μmのフィルムを作製した。得られたフィルムを、
マッチドダイ金型(ドーム形状、金型温度160℃)で
約30秒間熱プレス成形し、ドーム型振動板(φ25)
を得た。得られた振動板について、通常の方法で、ヤン
グ率、密度、比弾性率および内部損失を測定した。結果
を、後述の実施例4〜5および比較例5〜8の結果と併
せて下記の表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】(実施例4)脂肪族ポリケトン樹脂100
重量部に対してマイカ微粉末(コープケミカル社製;ミ
クロマイカ MK100DS(平均粒径4μm))を10重量部
添加したこと以外は実施例3と同様にして、ドーム型振
動板(φ25)を得た。得られた振動板を、実施例3と
同様の評価に供した。結果を上記表2に示す。
【0037】(実施例5)脂肪族ポリケトン樹脂100
重量部に対してマイカ微粉末(コープケミカル社製;ミ
クロマイカ MK100DS(平均粒径4μm))を20重量部
添加したこと以外は実施例3と同様にして、ドーム型振
動板(φ25)を得た。得られた振動板を、実施例3と
同様の評価に供した。結果を上記表2に示す。
【0038】(比較例5)PET樹脂を用いたこと以外
は実施例3と同様にして、ドーム型振動板(φ25)を
得た。得られた振動板を、実施例3と同様の評価に供し
た。結果を上記表2に示す。
【0039】(比較例6)PET樹脂100重量部に対
してマイカ微粉末(コープケミカル社製;ミクロマイカ
MK100DS(平均粒径4μm))を20重量部添加したこ
と以外は比較例5と同様にして、ドーム型振動板(φ2
5)を得た。得られた振動板を、実施例3と同様の評価
に供した。結果を上記表2に示す。
【0040】(比較例7)PEI樹脂を用いたこと以外
は実施例3と同様にして、ドーム型振動板(φ25)を
得た。得られた振動板を、実施例3と同様の評価に供し
た。結果を上記表2に示す。
【0041】(比較例8)PEI樹脂100重量部に対
してマイカ微粉末(コープケミカル社製;ミクロマイカ
MK100DS(平均粒径4μm))を20重量部添加したこ
と以外は比較例7と同様にして、ドーム型振動板(φ2
5)を得た。得られた振動板を、実施例3と同様の評価
に供した。結果を上記表2に示す。
【0042】表2を参照すると、本発明の振動板は、比
較例に比べて内部ロスが大きく、音質が良好であること
がわかる。マイカを添加すると、本発明の振動板の優れ
た内部ロスがさらに顕著になることがわかる。しかも、
脂肪族ポリケトンを用いる本発明の振動板は、比較例に
比べて微粉末マイカによる改善効果が大きいことがわか
る。
【0043】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、脂肪族
ポリケトンを用いることにより、安価で、かつ、耐衝撃
性、リサイクル性および内部ロスに優れるスピーカー用
部材が得られる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂肪族ポリケトンを主成分として含有す
    る熱可塑性樹脂組成物から形成された、スピーカー用部
    材。
  2. 【請求項2】 前記熱可塑性樹脂組成物が、前記脂肪族
    ポリケトン100重量部に対して微粉末マイカ5〜20
    重量部をさらに含有する、請求項1に記載のスピーカー
    用部材。
  3. 【請求項3】 フレームとして用いられる、請求項1に
    記載のスピーカー用部材。
  4. 【請求項4】 振動板として用いられる、請求項1に記
    載のスピーカー用部材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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