JP2000346663A - ロケータ装置 - Google Patents

ロケータ装置

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JP2000346663A
JP2000346663A JP15437799A JP15437799A JP2000346663A JP 2000346663 A JP2000346663 A JP 2000346663A JP 15437799 A JP15437799 A JP 15437799A JP 15437799 A JP15437799 A JP 15437799A JP 2000346663 A JP2000346663 A JP 2000346663A
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忠富 石上
Yoshihiko Utsui
良彦 宇津井
Ichiro Nakahori
一郎 中堀
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な方法でマップマッチングが行え、安定
に車両の現在位置と進行方位を提供できるロケータ装置
を得る。 【解決手段】 道路ネットワークを記憶した道路網記憶
手段52、道路ネットワークを読み出して管理する道路
網読出し手段53、位置・方位推定手段565で推定し
た現在位置近傍の道路ネットワークに走行道路と現在位
置の候補を設定して管理する走行道路・位置候補管理手
段566、および走行道路と現在位置の候補の中から走
行道路と現在位置を特定する走行道路・位置特定手段5
67を備えて、位置・方位推定手段565の推定した現
在位置と進行方位より、近傍の道路ネットワーク上に車
両の現在位置を特定するマップマッチングを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、GPS(Glo
bal Positioning System)受信
機の観測情報と、自律航法用複合センサの計測情報を用
いて、車両の現在位置を道路ネットワーク上に特定する
マップマッチングを行うロケータ装置に関するものあ
る。
【0002】
【従来の技術】図16は、例えば、特開平10−479
83号公報に示された、従来のロケータ装置の構成を示
すブロック図である。図において、1は車両の移動距離
に応じた信号を出力する距離センサ、2は車両の進行方
位に応じた信号を出力する方位センサであり、3は絶対
位置観測手段としてのGPS受信機およびアンテナであ
る。なお、この距離センサ1および方位センサ2にて、
自律航法用複合センサを形成している。52は道路網記
憶手段(地図専用ディスク)、53は道路網記憶手段
(地図専用ディスク)52に格納されている道路ネット
ワークを取得する道路網読出し手段(CDドライブ)で
あり、54は道路ネットワークと諸処理データのメモリ
への保持を制御するメモリ制御部、55は車両の位置や
方位などの情報の出力を制御する出力制御部である。ま
た、511は距離センサ1の出力信号から車両の移動距
離を演算する距離取得手段、512は方位センサ2の出
力信号から車両の進行方位を演算する方位取得手段、5
13はGPS受信機3で観測した車両の現在位置を受信
する位置取得手段であり、515から517は道路ネッ
トワーク上に車両の現在位置を特定するマップマッチン
グを行うための移動位置算出手段、ルートおよび推定位
置算出手段、表示用現在位置選択手段である。
【0003】次に動作について説明する。ここでは、マ
ップマッチングを行う移動位置算出手段515、ルート
および推定位置算出手段516、表示用現在位置選択手
段517の動作について、図17〜図20を用いて説明
する。ここで、図17は車両の現在位置の移動点の算出
を示す説明図、図18はGPS位置を近傍のリンク上へ
投影した投影点の算出を示す説明図、図19はルートの
算出を示す説明図、図20は現在位置の候補点と移動
点、およびGPS位置の投影点のそれぞれの誤差に基づ
くカルマンフィルタにて現在位置の推定点が決まる様子
を示す説明図である。
【0004】移動位置算出手段515は、メモリ制御部
54が道路網読出し手段(CDドライブ)53から得た
道路ネットワーク上において、車両の現在位置の候補点
を起点として、方位取得手段512から得られる車両の
進行方位に合致する道路に沿って、距離取得手段511
から得られる距離情報分だけ前方に現在位置の移動点を
算出する。図17では、現在位置の候補点Sn-1,i から
移動距離mの地点に位置する2つの現在位置の移動点M
n,i,k (kは1と2)を算出している。
【0005】次に、ルートおよび推定位置算出手段51
6は、位置取得手段513の取得したGPS位置から近
傍の道路ネットワーク上にGPS位置の投影点を設定
し、現在位置の移動点とGPS位置の投影点の組合せか
らなるルートを1つ以上算出する。図18では、GPS
位置gn,i 点に対して、近傍の道路である2つのリンク
の上にGn,i,j 点(jは1と2)を算出している。また
図19は、リンク番号#1、#2、#3のリンクの上に
現在位置の移動点Mn,i,1 、Mn,i,2 、Mn,i,3がそれ
ぞれ位置し、リンク番号#1、#2、#3のリンクから
道路ネットワーク化されているリンク#11、#12の
リンク上にGPS位置gn,i 点の投影点G n,i,1 、G
n,i,2 がそれぞれ位置している状態を示す。この場合、
現在位置の各移動点からGPS位置の各投影点へのルー
トとしては、最大6ルート(例、#1から#11、#1
から#12、#2から#11、…)を求めることができ
る。そして、次に示す式(1)によって、各ルート上の
内分点である位置に現在位置の推定点Sn,i,r を算出す
る。なお、この場合の係数Kは0.5とする。
【0006】 Sn,i,r =(1−K)×Mn,i.k +K×Gn,i,j ・・・(1)
【0007】その結果、最大、現在位置の候補点の数と
ルート数の積で示される個数の現在位置の推定点が算出
される。また式(1)における係数Kは、現在位置の移
動点に係わる誤差EmsとGPS位置に係わる誤差Eg
から構成されるカルマンフィルタにより、次に示す式
(2)にて算出するものである。
【0008】 K=Ems 2 /(Ems 2 +Eg 2) ・・・(2)
【0009】そして、図20に示すように、現在位置の
候補点の誤差Es と距離センサ1に係わる誤差Em から
現在位置の移動点に係わる誤差Emsを次の式(3)にて
算出する。
【0010】 Ems=(Es 2+Em 21/2 ・・・(3)
【0011】その後、表示用現在位置選択手段517
は、これら現在位置の複数の推定点の中から新しい現在
位置を特定して出力する。また、この特定に際しては、
現在位置の各推定点からGPS位置までの距離の評価を
行い、結果が最もよい現在位置の推定点を基準に所定数
の新たな現在位置の候補点を選択する。そして、この新
たな現在位置の候補点からGPS位置への方位による評
価をさらに行い、結果が最もよい現在位置の候補点を現
在位置と特定する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従来のロケータ装置は
以上のように構成されているので、車両の現在位置の特
定は、車両の進行方位に合致する方向に接続されている
道路ネットワークのリンク上で移動距離分だけ前方に算
出した現在位置の移動点とGPS位置をリンク上に投影
した投影点の間に、現在位置の推定点を算出することに
よって行われ、また、この現在位置の特定に際しては、
距離誤差や各種位置の誤差による比をカルマンフィルタ
で算出して、GPS位置による修正量を決めているた
め、GPS受信機3と自律航法用複合センサ(距離セン
サ1と方位センサ2)の両情報に基づいて推定した2つ
の位置情報をマップマッチングで個別に使用し、その処
理が複雑になるという課題があり、また、GPS位置の
分散が大きくなる場合は、GPS位置の投影先となるリ
ンクの履歴が接続関係にないものになったり、同一リン
ク上でGPS位置の投影点が大きく前後に移動したりす
ることがあり、現在位置の特定が不連続または不安定に
なるなどの課題もあった。
【0013】さらに、車両の進行方位については、現在
位置が特定されているリンクのリンク方位が基礎となっ
て更新されるため、誤ったリンク上に現在位置を特定し
た場合には車両の進行方位が不正になり、以後のリンク
上への位置更新が適確に行えなくなるばかりか、その後
にマップマッチングが破綻したことに気付いても、GP
S位置の分散により車両の初期位置が不安定になるとい
った課題もあった。
【0014】この発明は上記のような課題を解決するた
めになされたもので、絶対位置観測手段の観測情報と自
律航法用複合センサの計測情報に基づいて、道路ネット
ワーク上に車両の現在位置を特定するマップマッチング
を、簡単な方法で実現できるロケータ装置を得ることを
目的とする。
【0015】また、この発明は、マップマッチング法に
係わる手段で扱う推定位置を、絶対位置観測手段の観測
情報と自律航法用複合センサの計測情報に基づいて一本
化した車両の推定位置だけとするロケータ装置を得るこ
とを目的とする。
【0016】さらに、この発明は、道路分岐点などで効
率よくマップマッチングを行うことができるロケータ装
置を得ることを目的とする。
【0017】さらに、この発明は、屈曲路などで車両の
現在位置を高精度で特定できるロケータ装置を得ること
を目的とする。
【0018】さらに、この発明は、道路ネットワークが
未整備な箇所を走行した際に、車両の現在位置を連続
的、かつ円滑に推定することができるロケータ装置を得
ることを目的とする。
【0019】さらに、この発明は、絶対位置観測手段の
測位率が低下する場所でも車両の現在位置を高精度で特
定できるロケータ装置を得ることを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】この発明に係るロケータ
装置は、所定領域の道路ネットワークを道路網記憶手段
に記憶しておき、道路網読出し手段にてこの道路網記憶
手段から、位置・方位推定手段で推定した車両の現在位
置が存在する領域と隣接領域の道路ネットワークを読み
出した上で、推定した車両の現在位置の近傍に存在する
道路ネットワークのリンクについて、そのリンクがリン
クの両端を直線で結んだ直線データであれば、交差点
間、一本道、および行き止まり道などの無分岐区間を示
す接続関係にある複数のリンクをそれぞれリンク群とし
てまとめて、また折れ線データであればそのリンクをリ
ンク群として、道路網読出し手段において管理し、さら
に走行道路・位置候補管理手段で、その推定した車両の
現在位置をリンク群に投影した際の構成リンクへの最短
距離が所定値以下で、かつ同一のリンク群および接続関
係にあるリンク群上で位置投影し続けた距離が所定値以
上になる接続関係にある複数のリンク群と当該リンク群
上の投影点を、車両の走行道路と現在位置の候補として
設定して管理し、さらに、走行道路・位置特定手段によ
って、走行道路と現在位置の候補の中から、位置投影し
続けた距離が最長となる走行道路候補を走行道路と判断
して、その走行道路のリンク群上の投影点を車両の現在
位置として特定するようにしたものである。
【0021】この発明に係るロケータ装置は、上記道路
網記憶手段、位置・方位推定手段、道路網読出し手段、
走行道路・位置候補管理手段、および走行道路・位置特
定手段を有したロケータ装置の位置・方位推定手段に
て、自律航法用複合センサにより計測した単位時間当た
りの移動距離と進行方位変化から、自律航法的な位置を
カルマンフィルタ方程式に基づいて推定する一方で、そ
の自律航法的な位置を、絶対位置観測手段で観測した車
両の現在位置の方へ、カルマンゲインで決められた割合
だけ寄せるように計算して、車両の現在位置と進行方位
とを推定するようにしたものである。
【0022】この発明に係るロケータ装置は、上記道路
網記憶手段、位置・方位推定手段、道路網読出し手段、
走行道路・位置候補管理手段、および走行道路・位置特
定手段を有したロケータ装置の走行道路・位置候補管理
手段が、走行道路候補毎に位置・方位推定手段の推定し
た車両の進行方位に合致する方向で、走行道路候補の構
成リンク群に接続可能な複数のリンク群を、所定距離ま
たは所定数だけ先読みして保持しておき、そのリンク群
を位置・方位推定手段で推定した車両の現在位置を投影
する対象として用いるようにしたものである。
【0023】この発明に係るロケータ装置は、上記道路
網記憶手段、位置・方位推定手段、道路網読出し手段、
走行道路・位置候補管理手段、および走行道路・位置特
定手段を有したロケータ装置の走行道路・位置候補管理
手段にて、位置・方位推定手段の推定した車両の現在位
置を中心とする所定範囲内に道路分岐点、あるいは屈曲
路がある場合、推定した車両の現在位置に関する所定距
離または所定時間以上前からの軌跡形状と、道路ネット
ワークで接続関係にあるリンク群の形状または接続関係
を比較して、リンク群への投影点の調整、およびリンク
群の選択を行うようにしたものである。
【0024】この発明に係るロケータ装置は、上記道路
網記憶手段、位置・方位推定手段、道路網読出し手段、
走行道路・位置候補管理手段、および走行道路・位置特
定手段を有したロケータ装置の走行道路・位置候補管理
手段にて、位置・方位推定手段で推定した車両の進行方
位に合致する方向に走行道路候補のリンク群を前方接続
できなくなった時点の投影点と、推定した現在位置の位
置関係に基づいて、以後、所定時間が経過するまで、ま
たは所定距離を走行するまでの間は、投影点の前方に現
在位置の候補を更新し、所定時間が経過した後、または
所定距離を走行した後は、他に走行道路候補があれば当
該走行道路候補を抹消し、また他に走行道路候補がなけ
れば、推定した現在位置の方向へ現在位置の候補を寄せ
るような位置更新を行うようにしたものである。
【0025】この発明に係るロケータ装置は、上記道路
網記憶手段、位置・方位推定手段、道路網読出し手段、
走行道路・位置候補管理手段、および走行道路・位置特
定手段を有したロケータ装置の走行道路・位置特定手段
にて、絶対位置観測手段の所定時間における測位率が所
定値以下になった時には、その状態になる直前に道路ネ
ットワーク上に特定した車両の現在位置を起点にして、
位置・方位推定手段で用いた車両の単位時間毎の移動距
離と進行方位変化をもとに、道路ネットワーク上で現在
位置の更新を行うようにしたものである。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の一形態を
説明する。 実施の形態1.図1はこの発明の実施の形態1によるロ
ケータ装置の構成を示すブロック図である。図におい
て、1は車両の移動距離を検出する距離センサであり、
車両の走行距離に応じてパルス信号を出力する。2aは
車両の方位変化を検出する相対方位センサであり、この
実施の形態1ではジャイロを用いて車両のヨーレートに
応じた電圧を出力する。なお、これらは図16に示した
距離センサ1および方位センサ2に相当するもので、こ
れらによって自律航法用複合センサが形成される。3は
図16に同一符号を付して示したものと同等の、絶対的
位置観測手段としてのGPS受信機であり、衛星からの
電波を受信するGPSアンテナが接続され、このGPS
アンテナによって受信された衛星からの電波より車両の
絶対的な現在位置を観測し、その位置情報(GPS位
置)を出力する。5は予めメモリ(図示省略)に記憶し
た制御プログラムに従って車両の進行方位と現在位置を
演算するコンピュータを含む信号処理器である。
【0027】上記信号処理器5内において、561は距
離センサ1からのパルス信号に基づいて車両の速度と移
動距離を計算する距離・速度計算手段であり、563は
相対方位センサ2aのオフセットを検出するオフセット
検出手段である。564はこのオフセット検出手段56
3からの検出信号と相対方位センサ2aからの車両のヨ
ーレートに応じた電圧とが入力されて、車両の進行方位
変化を計算する方位変化計算手段である。565はこの
距離・速度計算手段561で計算された車両の速度と移
動距離と、方位変化計算手段564で計算された車両の
進行方位変化に基づいて車両の現在位置と進行方位を推
定する位置・方位推定手段である。
【0028】また、52は所定範囲の道路ネットワーク
を記録している道路網記憶手段であり、53はこの道路
網記憶手段52から指定範囲の道路ネットワークを読み
出す道路網読出し手段である。この道路網記憶手段52
および道路網読出し手段53は、図16に示した道路網
記憶手段(地図専用ディスク)52と道路網読出し手段
(CDドライブ)53に相当するものであるが、位置・
方位推定手段565で推定した車両の現在位置近傍の道
路ネットワークのリンクを検索し、当該リンクが直線デ
ータであれば無分岐区間を示す接続関係にあるリンクを
一つのリンク群としてまとめ、折れ線データであればそ
のリンクをリンク群として管理する機能も備えている。
566はこの道路網読出し手段53によって道路網記憶
手段52より読み出された道路ネットワークと、位置・
方位推定手段565にて推定された位置および方位とに
基づいて、車両の走行道路と現在位置の候補を複数個管
理する走行道路・位置候補管理手段であり、567はこ
の走行道路・位置候補管理手段566が管理する車両の
走行道路および現在位置の候補と、位置・方位推定手段
565にて推定された位置および方位から、車両の走行
道路と現在位置を特定する走行道路・位置特定手段であ
る。
【0029】次に動作について説明する。以下、信号処
理器5の各手段の動作について図を用いて説明する。こ
こで、図2はそのメインルーチンの処理内容を示す流れ
図であり、図3は位置・方位推定手段565の処理内容
を示す流れ図、図4はこの位置・方位推定手段565に
よる車両の現在位置の推定例を示す説明図である。図5
は所定時間Δt毎に実行される割込処理1の内容を示す
流れ図、図6は距離センサ1から信号が出力されたとき
に実行される割込処理2の内容を示す流れ図、図7はG
PS受信機3から観測周期毎に出力された観測情報を受
信する割込処理3の内容を示す流れ図である。また、図
8は道路ネットワークのリンクが直線データで示されて
いた場合に、交差点間のリンク、行き止まり道路のリン
ク、あるいは長い1本道におけるリンクのような無分岐
区間の接続関係にある複数のリンクを一つのリンク群と
して道路網読出し手段53が管理する際の状態を示す説
明図、図9は特に一本道において道路網読出し手段53
がリンク群を管理する際の状態を示す説明図、図10は
車両の走行道路と現在位置の候補を走行道路・位置候補
管理手段566が管理する際の状態を示す説明図であ
る。
【0030】図2において、メインルーチンは信号処理
器5の全手段の動作を管理する。まずステップST20
1で全ての処理を初期化する。次のステップST202
では処理開始のタイミングか否かを処理開始フラグを参
照して判断する。その結果、当該処理開始フラグがセッ
トされていれば、処理開始タイミングとしてステップS
T203へ進み、クリアされていれば処理開始タイミン
グでないとして処理開始フラグがセットされるまで待機
する。次にステップST203で次回の処理のために処
理開始フラグをクリアした後、ステップST204に進
む。ステップST204では距離・速度計算手段561
の処理として、所定時間Δt毎に、割込処理2でカウン
トした距離センサ1の出力信号カウント値ΔNi から、
次に示す式(4)によって移動距離Δdi を、式(5)
によって速度VelDRi をそれぞれ計算するとともに、
次回の処理のために出力信号カウント値ΔNi を0にす
る。なお、この式(4)と式(5)におけるSF
SPDjは、距離センサ1の出力信号を距離に変換するスケ
ールファクタである。
【0031】 Δdi =Δdi-1 +ΔNi ×SFSPDi ・・・(4) VelDRj =|ΔNj ×SFSPDj|/ΔTGPS ・・・(5)
【0032】次に、ステップST205においてオフセ
ット検出手段563によるオフセット計算処理が行われ
る。このステップST205では、ステップST204
で計算した速度VelDRi が0(すなわち、停車中)の
時は、停車中における相対方位センサ2aの所定時間分
以上の出力信号SGGYRiを平均したものをオフセットO
GYRiとする。次にステップST206において方位変
化計算手段564による進行方位変化の計算処理が行わ
れる。このステップST206では、次に示す式(6)
を用いて、所定時間Δt毎に計測した相対方位センサ2
aの出力信号SGGYRiから進行方位変化Δθi を計算す
る。なお、この式(6)中のOFGYRiはオフセットであ
り、SFGYRiは出力信号を角速度に変換するスケールフ
ァクタである。
【0033】 Δθi =Δθi-1 +(SGGYRi−OFGYRi)×SFGYRi×Δt ・・・(6)
【0034】次にステップST207において、GPS
受信機3から観測情報の受信を完了したか否かを、GP
S観測情報受信フラグを参照して判断する。その結果、
当該GPS観測情報受信フラグがセットされていれば、
GPS受信機3からの観測情報の受信が完了したとして
ステップST208へ進み、クリアされていればステッ
プST202へ戻る。ステップST208では次回の処
理のためにGPS観測情報受信フラグのクリアを行う。
次に、ステップST209にて位置・方位推定手段56
5による位置・方位の推定処理が行われる。このステッ
プST209では、後述する計算式(カルマンフィル
タ)にて車両の現在位置(λi ,φi )と進行方位θi
推定する。次にステップST210に進み、後述するマ
ップマッチング法にて道路ネットワーク上に車両の現在
位置(λi ,φi )を特定する。次にステップST211
で車両の現在位置(λi ,φi )と進行方位θi および速
度VelDRi を出力する。その後、ステップST212
においてGPS受信機3から観測情報を受信する間の移
動距離Δdi と進行方位変化Δθi を0にしてステップ
ST202へ戻る。
【0035】位置・方位推定手段565は、車両の移動
距離Δdi と進行方位変化Δθi から現在位置(λi
φi )と進行方位θi を、次に示す式(7)〜式(1
2)で計算するシステムモデルと、GPS位置(λGi
φGi)とそのシステムモデルの車両の現在位置(λi ,φ
i )の関係を次の式(13)〜式(14)で表す観測モ
デルとに基づくものである。
【0036】 λi =λi-1 +Δdi ×sin{θi-1 +Δθi }×SFd →λ+δλi ・・・(7) φi =φi-1 +Δdi ×cos{θi-1 +Δθi }×SFd →φ+δφi ・・・(8) δλi ={δΔdi ×sinθi +δΔθi ×Δdi ×cosθi } ×SFd →λ ・・・(9) δφi ={δΔdi ×cosθi −δΔθi ×Δdi ×sinθi } ×SFd →φ ・・・(10) sin{θi-1 +Δθi }=cosθi-1 ・sinΔθi +sinθi-1 ・cosΔθi ・・・(11) cos{θi-1 +Δθi }=cosθi-1 ・cosΔθi −sinθi-1 ・sinΔθi ・・・(12)
【0037】 λGi=λi +δλGi ・・・(13) φGi=φi +δφGi ・・・(14)
【0038】なお、上記式(7)〜式(12)と式(1
3)〜式(14)において、iは離散時刻であり、λ
i-1 とφi-1 は離散時刻i-1における車両の現在位
置の経度と緯度、θi-1 は離散時刻i-1における車両
の進行方位である。SFd →λとSFd →φは移動距離
の単位[m]を経度方向または緯度方向の移動量[″]
へ変換する係数である。またδλi とδφi は車両の現
在位置の経度誤差と緯度誤差、δΔθi とδΔdi は進
行方位変化Δθi と移動距離Δdi の誤差である。また
δλGiとδφGiはGPS位置λGiとφGiの誤差である。
【0039】そして、次の式(15)〜式(19)に示
す状態方程式と式(20)〜式(23)に示す観測方程
式、および式(24)〜式(28)に示すカルマンフィ
ルタ方程式によって、車両の現在位置(λi ,φi )と進
行方位θi を推定する。
【0040】
【数1】
【0041】
【数2】
【0042】 xi|i =xi|i-1 +Ki {yi −(Hxi|i-1 +vi )} ・・・(24) xi+1|i =Fi i|i +Gi i ・・・(25) Ki =Σi|i-1 T [HΣi|i-1 T +Σvi-1 ・・・(26) Σi|i =Σi|i-1 −Ki HΣi|i-1 ・・・(27) Σi+1|i =Fi Σi|i i T+Gi Σwii T ・・・(28)
【0043】なお、上記式(15)〜式(19)および
式(20)〜式(23)において、xi 、Fi 、Gi
i 、yi 、vi は、離散時刻iにおける状態ベトク
ル、状態遷移行列、駆動行列、システム雑音、観測値、
観測雑音であり、Hは観測行列である。また、式(2
4)〜式(28)において、xi|i は離散時刻iにおけ
る状態ベクトルの推定量、xi+1|i は離散時刻iにおけ
る離散時刻i+1の状態ベクトルの予測量、Ki はカル
マンゲイン、Σi|i は離散時刻iにおける状態ベクトル
の共分散行列の推定量、Σi+1|i は離散時刻iにおける
離散時刻i+1の共分散行列の予測量、Σviは観測誤差
の共分散行列、Σwiはシステム誤差の共分散行列である
が、行列の各要素は式の行列式を計算すれば求まるもの
なので、ここでは説明を省略する。
【0044】次に、図3の流れ図に従って、位置・方位
推定手段565の処理内容をより詳細に説明する。ま
ず、ステップST301において、距離・速度計算手段
561で計算した速度VelDRi が0より大きいか否か
を判定し、0ならば停車中と判断して処理を終了し、0
より大きければステップST302へ進む。ステップS
T302では、GPS受信機3が2次元あるいは3次元
測位状態で、かつ前回の処理タイミングでカルマンフィ
ルタにより車両の現在位置と進行方位を推定してから所
定距離以上移動したか否かを判定する。その結果、GP
S受信機3にて2次元あるいは3次元測位状態で、かつ
前回の処理タイミングでカルマンフィルタにより現在位
置と進行方位を推定してから所定距離以上移動した場合
はステップST303へ進み、逆にGPS受信機3にて
非測位状態か、あるいは前回の処理タイミングでカルマ
ンフィルタにより現在位置と進行方位を計算してから所
定距離以上移動していない場合はステップST305へ
進む。
【0045】ステップST303では所定時間における
GPS位置(λGi,φGi)とカルマンフィルタによる現在
位置(λi ,φi )の位置の差分、すなわち緯度差と経度
差についてそれぞれ標準偏差を計算し、その標準偏差を
観測誤差vi とするとともに、観測誤差の共分散行列Σ
viを計算する。次にステップST304において、GP
S速度の積分値と距離センサ1から求めた距離Δdi
差分をシステム誤差の行列要素である距離誤差要素δΔ
i とするとともに、所定距離だけ離れた複数地点での
GPS位置と車両の現在位置の軌跡の両移動方向の方向
差をシステム誤差の行列要素である方位誤差要素δΔθ
i とし、ステップST306に進む。一方、ステップS
T305ではカルマンゲインKi を0にクリアしてステ
ップST306に進む。ステップST306ではGPS
位置を観測値yi とし、式(7)〜式(12)、式(1
3)〜式(14)、および式(15)〜式(19)、式
(20)〜式(23)、式(24)〜式(28)に従っ
て、状態ベクトルの推定量xi|i を計算する。なお、そ
のとき、相対方位センサ2aのオフセット変動量に比例
した値よりカルマンゲインKi の全行列要素が小さくな
るようにカルマンゲインKi の全行列要素を調節して、
状態ベクトルの推定量xi|i を計算する。
【0046】次にステップST307において、式(2
4)〜式(28)を用いて状態ベクトルの予測量xi+|i
を計算する。次にステップST308にてステップST
302と同様に、GPS受信機3で2次元あるいは3次
元測位をしており、かつ前回カルマンフィルタによって
現在位置(λi ,φi )と進行方位θi を推定してから所
定距離以上移動したか否かを判定する。その結果、GP
S受信機3にて2次元あるいは3次元測位をしており、
かつ前回カルマンフィルタにより現在位置(λi ,φi )
と進行方位θi を推定してから所定距離以上移動した場
合にはステップST309へ進み、GPS受信機3にて
非測位か、あるいは前回カルマンフィルタによって現在
位置(λi ,φi )と進行方位θi を計算してから所定距
離以上移動していない場合には処理を終了する。ステッ
プST309では誤差共分散の推定量Σi|i を式(2
4)〜式(28)を用いて計算し、さらに、ステップS
T310では予測量Σi+1|i を、ステップST311で
はカルマンゲインKi を、それぞれ式(24)〜式(2
8)を用いて計算して処理を終了する。
【0047】次に、位置・方位推定手段565における
車両の現在位置の推定動作について図4を用いて説明す
る。まず同図(a)は、車両が直進走行する途中でGP
S位置の分散が大きくなる時に車両の現在位置が推定さ
れる様子を示したもので、この時には、システム誤差の
行列要素である方位誤差要素と距離誤差要素がともに小
さい状態であったことを想定したものである。この場
合、位置・方位推定手段565はGPS位置の分散が大
きくなった区間では、観測誤差であるGPS位置の誤差
が大きくなったことを検出するので、GPS位置の分散
が大きくなった区間のみカルマンゲインを小さく計算す
る。その結果、GPS位置の分散が小さい区間では車両
の現在位置がGPS位置へ寄るように推定するが、GP
S位置の分散が大きい区間では車両の現在位置がGPS
位置へ寄る量を小さく抑えて推定する。
【0048】また図4(b)は、車両が直進走行する途
中で相対方位センサ2aのオフセットがドリフトした時
に車両の現在位置が推定される様子を示したもので、こ
の時には、GPS位置の分散が小さい状態であったこと
を想定したものである。この場合、位置・方位推定手段
565は、GPS位置の分散が小さい一方で、単位時間
毎の進行方位変化が偏った値となって方位誤差が発生し
たことを検出するので、カルマンゲインを大きく計算す
る。その結果、相対方位センサ2aに生じたドリフトの
影響を受けずに車両の現在位置をGPS位置の方向へ寄
せるように推定する。なお、カルマンフィルタを使用し
ない一般的な自律航法の場合には、相対方位センサ2a
に生じたドリフトの影響を受けて、一点鎖線で示すよう
に、車両の現在位置が偏った方向に徐々に旋回してしま
う。
【0049】また図4(c)は、相対方位センサ2aの
スケールファクタが真値より小さ目の時に車両が右折し
た場合の車両の現在位置が推定される様子を示したもの
で、この時には、GPS位置の分散が小さい状態であっ
たことを想定したものである。この場合、位置・方位推
定手段565は、GPS位置の分散が小さい一方で、右
折後に方位誤差が発生したことを検出するので、右折後
にはカルマンゲインをより大きく計算する。その結果、
右折時の旋回角が小さ目になることから推定した進行方
位に誤差が生じるものの、右折後に方位誤差を検出した
以後は車両の現在位置をGPS位置の方向へ寄せるよう
に推定する。なお、カルマンフィルタを使用しない一般
的な自律航法の場合には、一点鎖線で示すように、旋回
角不足のまま車両の現在位置が誤った方向に直進してし
まう。
【0050】次に、割込処理1について説明する。この
割込処理1は所定時間Δt毎に起動され、図5の流れ図
に示すように、そのステップST501において、処理
開始タイミングを示す処理開始フラグをセットして、こ
の割込処理1を終了する。
【0051】次に、割込処理2について説明する。この
割込処理2は距離センサ1から信号が出力されたときに
起動され、図6の流れ図に示すように、そのステップS
T601において車速信号カウンタに1を加算して、こ
の割込処理2を終了する。
【0052】次に、割込処理3について説明する。この
割込処理3はGPS受信機3から観測周期毎に出力され
た観測情報を受信するものであり、図7の流れ図に示す
ように、まずステップST701でGPS受信機3から
出力された観測情報を受信して記憶する。次にステップ
ST702において全ての観測情報の受信を完了したか
否かを判定し、完了していればステップST703へ進
み、完了していなければこの割込処理3を終了する。ス
テップST703では全ての観測情報を受信完了したと
して、GPS観測情報受信フラグをセットする。
【0053】次に、図2のステップST210で行うマ
ップマッチング法について、このマップマッチング法に
係わる道路網読出し手段53の動作から説明する。道路
網読出し手段53は、位置・方位推定手段565で推定
した車両の現在位置と進行方位を受け取り、推定された
現在位置が存在する領域と隣接領域の道路ネットワーク
を道路網記憶手段52から読み出す。そして、読み出し
た道路ネットワークのリンクがその両端のノードを直線
で結ぶ直線データだった場合には、交差点間、一本道、
および行き止まり道などの無分岐区間の接続関係にある
複数のリンクを一つのリンク群として管理する。また、
読み出した道路ネットワークのリンクが折れ線データだ
った場合には、その折れ線データによるリンクをリンク
群として扱う。
【0054】ここで、道路網読出し手段53が、例えば
図8(a)に示すような道路ネットワークを道路網記憶
手段52から読み出した場合には、同図(b)に示すよ
うな、構成リンク、ノード、補間点よりなるリンク群に
編集する。この図8(a)において、○印は道路ネット
ワークのリンクの座標を示すノードであり、○印を直線
で結んだものが直線データによるリンクである。また、
1 からN12はノード番号、L1 からL12はリンク番号
を示す。
【0055】しかしながら、現実にはマップマッチング
の負荷を軽減するために、位置・方位推定手段565で
推定した現在位置を中心とする半径300m程度の範囲
内にあるリンクに対してリンク群の作成を行う。
【0056】また、読み出した道路ネットワークに、例
えば、図9に示すような一本道が含まれていた場合に
は、位置・方位推定手段565で推定した現在位置を中
心とする所定範囲内のリンクに一本道の終端、すなわ
ち、交差点か行き止まりがなければ、上述のように無分
岐区間のリンク群を作成して管理することはできない。
そこで、道路網読出し手段53はリンク群の構成リンク
数に上限を設けたもので、説明上、この図9の場合には
その上限値を4本としている。まず、同図(a)に示し
たt0の時点では、位置・方位推定手段565で推定し
た現在位置PE-t0を中心とする所定範囲RM 内のリンク
1 からL3 およびL8 対して、図中の表に示すリンク
群LS1 からLS3 を作成する。この時、リンク群LS
3 のノードは一本道の終端ではないので暫定的なリンク
群とする。そして、同図(b)に示すt1の時点で、位
置・方位推定手段565で推定した現在位置PE-t1を中
心とする所定範囲RM 内にリンクL4 からL7 が入るよ
うになった時、図中の表に示すように、リンク群LS3
にリンクL4 とL5 のみを接続して、リンクL6 とL7
は新たなリンク群LS4 として暫定的に管理する。
【0057】次に、走行道路・位置候補管理手段566
の動作について、図10を用いて説明する。まず、電源
リセット直後において、走行道路・位置候補管理手段5
66は、位置・方位推定手段565で推定した車両の現
在位置をリンク群に投影した際の、構成リンクへの最短
距離が所定値以下になるものを走行道路の候補とし、投
影点を現在位置の候補とする。その後、車両の移動に伴
って、位置・方位推定手段565で推定した現在位置を
近傍のリンク群に対して次々に投影してゆき、同一のリ
ンク群および接続関係にあるリンク群上で位置投影し続
けることができた距離を走行道路の候補毎に管理する。
例えば、図10(a)は電源リセット直後の時刻t0に
おける走行道路・位置候補管理手段566の状態を示し
ており、以後の車両の移動における時刻t1および時刻
t2における走行道路・位置候補管理手段566の状態
を同図(b)と同図(c)に示している。
【0058】まず、図10(a)に示した電源リセット
直後の時刻t0において、走行道路・位置候補管理手段
566は、位置・方位推定手段565にて推定した現在
位置PE-t0の近傍のリンク群LS2 のみに投影点P
C1-t0 を求めたとする。そして、リンク群LS2 と投影
点PC1-t0 を走行道路の候補RoadC1-t0 と現在位置
の候補PC1-t0 として管理を始める。
【0059】次に、時刻t1における状態を示した同図
(b)では、位置・方位推定手段565で推定した現在
位置PE-t1を中心とする所定範囲RM に含まれたリンク
群LS3 とLS4 が、時刻t0における走行道路の候補
RoadC1-t0 のリンク群LS2 に接続できるので、リ
ンク群LS3 とLS4 上にそれぞれの投影点PC1-t1
C2-t1 を求める。そして、時刻t0における走行道路
候補RoadC1-t0 のリンク群LS2 からリンク群LS
3 に接続するルートを時刻t1における第一の走行道路
の候補RoadC1-t1 とし、投影点PC1-t1 を第一の現
在位置の候補とする。また、時刻t0における走行道路
候補RoadC1-t0 のリンク群LS2 からリンク群LS
4 に接続するルートを時刻t1における第二の走行道路
の候補RoadC2-t1 とし、投影点PC2-t1 を現在位置
の第二の候補とする。ここで、リンク群LS2 からLS
3 へのルートを第一の候補、リンク群LS2 からLS4
へのルートを第二の候補と決めた理由は、位置・方位推
定手段565で推定した現在位置PE-t1と投影点P
C1-t1 の間の距離の方が、現在位置PE-t1と投影点PC2
-t1 の間の距離より短かったためである。
【0060】次に、時刻t2における状態を示した同図
(c)では、位置・方位推定手段565で推定した現在
位置PE-t2を中心とする所定範囲RM に含まれ、かつ投
影点を求め続けることができた走行道路の候補が第一の
候補RoadC1-t2 だけとなるため、同様に現在位置の
第一の候補PC1-t2 のみが存続した状態となる。
【0061】次に、走行道路・位置特定手段567の動
作について、上記図10を用いて説明する。走行道路・
位置特定手段567は位置投影し続けた距離が最長とな
る走行道路候補を走行道路と判断して、その走行道路を
構成するリンク群上の投影点を車両の現在位置として特
定する。例えば、図10(a)に示される時刻t0にお
ける電源リセット直後において、走行道路・位置特定手
段567は、走行道路と現在位置の候補が一つしかない
ため、走行道路の候補RoadC1-t0 と現在位置の候補
C1-t0 を、それぞれ時刻t0における走行道路と現在
位置として特定する。続いて同図(b)に示される時刻
t1の場合には、走行道路と現在位置の候補が二つ存在
するが、両候補とも同時に発生したものとすれば、第一
の走行道路の候補RoadC1-t1 と第一の現在位置の候
補PC1-t1 を優先して時刻t1における走行道路と現在
位置を特定する。続いて同図(c)に示される時刻t2
の場合には、走行道路と現在位置の候補が一つしかない
ため、走行道路の候補RoadC1 -t2 と現在位置の候補
C1-t2 を、それぞれ時刻t2における走行道路と現在
位置として特定する。以後、走行道路と現在位置の候補
が複数存在する場合には、位置投影し続けた距離が最長
となる候補を優先して、走行道路と現在位置として特定
する。
【0062】このように、この実施の形態1によれば、
所定領域の道路ネットワークを記憶した道路網記憶手段
52と、道路ネットワークの読み出しと管理を行う道路
網読出し手段53と、位置・方位推定手段565の推定
した現在位置の近傍に存在する道路ネットワークに走行
道路と現在位置の候補を設定して管理する走行道路・位
置候補管理手段566と、走行道路と現在位置の候補の
中から走行道路と現在位置の候補を特定する走行道路・
位置特定手段567とを設けて、位置・方位推定手段5
65で推定した車両の現在位置と進行方向をもとに、近
傍の道路ネットワーク上に車両の現在位置を特定するマ
ップマッチングを行うようにするとともに、自律航法用
複合センサ(距離センサ1および相対方位センサ2a)
にて計測した単位時間当たりの移動距離と進行方位変化
と、GPS受信機3で観測した車両の現在位置を、カル
マンフィルタで統合処理しているので、以下のような効
果が得られる。すなわち、GPS受信機3の観測情報と
自律航法用複合センサの計測情報に基づく車両の推定位
置が一本化されているので、マップマッチングを簡単に
行うことができる。また、マップマッチングを行って道
路ネットワーク上に車両の現在位置を求めているので、
より正確な車両の現在位置と進行方位を提供することが
できる。さらに、専用のカルマンフィルタを用いてGP
S位置と自律航法用複合センサの計測情報から車両の現
在位置と進行方位を同時に推定しているので、GPS位
置と自律航法用複合センサの計測情報の誤差が変動して
も、車両の現在位置と進行方位を最適に推定することが
可能となって信頼性が向上する。また、GPS受信機3
が非測位状態でも自律航法用複合センサの計測情報から
車両の現在位置と進行方位を推定できるので、トンネル
や高架下の道路などにおいても、安定して車両の現在位
置と進行方位を提供できる。
【0063】実施の形態2.次にこの発明の実施の形態
2について説明する。この実施の形態2によるロケータ
装置は、車両の進行方位に合致する方向にある道路ネッ
トワークのリンク群を先読みして保持するようにしたも
のであり、その構成は図1のブロック図に示した実施の
形態1の場合と同様であるため、その図示および説明は
省略する。
【0064】次に動作について説明する。なお、その動
作についても、基本的には実施の形態1の場合と同様で
あり、道路網読出し手段53と走行道路・位置候補管理
手段566の動作だけが異なるものであるため、その道
路網読出し手段53と走行道路・位置候補管理手段56
6の動作について説明し、その他については説明を省略
する。
【0065】ここで、図11は道路網読出し手段53が
走行道路候補の前方に接続可能なリンク群を先読みする
際の状態を示した説明図である。道路網読出し手段53
は実施の形態1で説明した処理の他に、位置・方位推定
手段565で推定した車両の進行方位に合致する方向
で、走行道路候補を構成するリンク群に接続可能な複数
のリンク群を所定距離または所定数だけ先読みし、この
先読みした前方リンク群の保持も行っている。走行道路
・位置候補管理手段566は、位置・方位推定手段56
5で推定した車両の現在位置を投影する対象にその前方
リンク群も含めて処理を行う。
【0066】例えば、図11に示すように、時刻t2に
おける走行道路の候補がリンク群LS3 を構成リンク群
とするRoadC1-t2 のみであり、時刻t3に位置・方
位推定手段565で推定した車両の現在位置がPE-t3
ったとすると、道路網読出し手段53は時刻t3に位置
・方位推定手段565で推定した車両の進行方位に合致
する方向で、時刻t2における走行道路の候補Road
C1-t2 に接続可能なリンク群から、リンク群LS4 、L
6 、およびLS7 を前方リンク群として設定する。
【0067】このように、この実施の形態2によれば、
走行道路・位置候補管理手段566にて、位置・方位推
定手段565の推定した車両の進行方位に合致する方向
で、走行道路候補の構成リンク群に接続可能なリンク群
を、所定距離または所定数だけ先読みして保持している
ので、車両の前後方向の誤差が推定位置に含まれていて
も、道路ネットワーク上に車両の現在位置を求めること
ができ、また、道路分岐点で車両の現在位置を見失うこ
とがなくなるなどの効果が得られる。
【0068】実施の形態3.次にこの発明の実施の形態
3について説明する。この実施の形態3によるロケータ
装置は、推定した車両の現在位置の軌跡形状と道路ネッ
トワークの形状を比較して、走行道路と現在位置の設
定、管理を行うようにしたものであり、その構成は図1
のブロック図に示した実施の形態1の場合と同様である
ため、その図示および説明は省略する。
【0069】次に動作について説明する。なお、その動
作についても、基本的には実施の形態1の場合と同様で
あり、走行道路・位置候補管理手段566の動作だけが
異なるものであるため、その走行道路・位置候補管理手
段566の動作について説明し、その他については説明
を省略する。
【0070】ここで、図12は屈曲路を車両が通過する
状態を示した説明図で、同図(a)から同図(c)はそ
れぞれ時刻t1から時刻t3における状態を示してい
る。走行道路・位置候補管理手段566は実施の形態1
で説明した処理の他に、位置・方位推定手段565で推
定した車両の現在位置を中心とする所定範囲内に道路分
岐点、あるいは屈曲路がある場合には、推定した車両の
現在位置に関する所定距離または所定時間以上前からの
軌跡形状と、道路ネットワークで接続関係にあるリンク
群の形状または接続関係を比較することにより、リンク
群への投影点の調整および、リンク群の選択も行ってい
る。
【0071】例えば、図12(a)に示すように、時刻
t1において位置・方位推定手段565が推定した車両
の現在位置PE-t1から近傍のリンク群に投影可能な地点
がa点、b点およびc点の3ヵ所あった場合には、走行
道路・位置候補管理手段566は、投影地点が1点のみ
であった時刻t0から位置・方位推定手段565で推定
した車両の現在位置の軌跡形状(PE-t0→PE-t1)と、
道路ネットワークのそれら各点への接続形状(PC-t0
a、PC-t0→b、PC-t0→c)を比較して、時刻t1に
おける投影点はc点(PC-t1)であると決める。同図
(b)と同図(c)に示す場合も同図(a)の場合と同
様に、時刻t2および時刻t3における投影点をそれぞ
れe点(PC-t2)とg点(PC-t3)であると決める。
【0072】このように、この実施の形態3によれば、
走行道路・位置候補管理手段566にて、位置・方位推
定手段565の推定した車両の現在位置の軌跡形状と道
路ネットワークの形状とを比較して、リンク群への投影
点の調整、およびにリンク群の選択を行っているので、
屈曲路を走行した場合でも、安定した車両の現在位置を
提供できるという効果が得られる。
【0073】実施の形態4.次にこの発明の実施の形態
4について説明する。この実施の形態4によるロケータ
装置は、車両の進行方位に合致する方向に道路ネットワ
ークがなくなっても、しばらくの間は車両の現在位置を
求めるようにしたものであり、その構成は図1のブロッ
ク図に示した実施の形態1の場合と同様であるため、そ
の図示および説明は省略する。
【0074】次に動作について説明する。なお、その動
作についても、基本的には実施の形態1の場合と同様で
あり、走行道路・位置候補管理手段566の動作だけが
異なるものであるため、その走行道路・位置候補管理手
段566の動作について説明し、その他については説明
を省略する。
【0075】ここで、図13は位置・方位推定手段56
5が推定した車両の進行方位に合致する方向で走行道路
候補のリンク群を前方接続できなくなったとき以降の状
態を示した説明図で、同図(a)と同図(b)はそれぞ
れ時刻t1と時刻t3における状態を示している。走行
道路・位置候補管理手段566は実施の形態1で説明し
た処理の他に、次の処理も行っている。すなわち、位置
・方位推定手段565が推定した車両の進行方位に合致
する方向で走行道路候補のリンク群を前方接続できなく
なった時点の投影点と、推定した現在位置の位置関係に
基づいて、それ以後、所定時間が経過するまでの間、ま
たは車両が所定距離を走行するまでの間は、投影点の前
方に現在位置の候補を更新する。また、所定時間が経過
した後、または所定距離を走行した後は、他の走行道路
候補があれば当該走行道路候補を抹消し、他の走行道路
候補がなければ、推定した現在位置の方へ現在位置の候
補を寄せるように位置更新する。
【0076】例えば、図13(a)に示すように、時刻
t0に位置・方位推定手段565で推定した車両の現在
位置PE-t0を近傍のリンク群に投影したのを最後に、時
刻t1に位置・方位推定手段565で推定した車両の現
在位置PE-t1を投影する近傍のリンク群がなくなった場
合、時刻t0から位置・方位推定手段565で推定した
車両の現在位置の軌跡形状(PE-t0→PE-t1)と相似な
軌跡が示されるように、時刻t0における投影点PC-t0
と位置・方位推定手段565で推定した現在位置PE-t0
の位置関係(経度差:Δλt0、緯度差Δφt0)に基づい
て、投影点PC- t0の前方に現在位置の候補PC-t1の更新
を行う。また、図13(b)に示す時刻t3の場合に
は、時刻t0から位置・方位推定手段565で推定した
車両の現在位置PE-t0が所定距離ΔdFRE を走行するま
では同図(a)と同様の位置更新を行い、所定距離Δd
FRE に達した時刻t2以降は、位置・方位推定手段56
5で推定した現在位置PE-t3の方向へ現在位置の候補P
C-t3を寄せるように位置更新する。
【0077】このように、この実施の形態4によれば、
走行道路・位置候補管理手段566にて、位置・方位推
定手段565の推定した車両の進行方位に合致する方向
に道路ネットワークがなくなった場合でも、所定時間が
経過、あるいは所定距離を走行するまでの間は、現在位
置の候補を連続性をもたせて継続的に更新しているの
で、道路ネットワーク化されていない新しい道路や農道
などが含まれる経路を走行した場合でも、安定した車両
の現在位置を提供できるという効果が得られる。
【0078】実施の形態5.次にこの発明の実施の形態
5について説明する。この実施の形態5によるロケータ
装置は、GPS受信機の測位率が低下する区間やGPS
位置の分散が大きくなる区間を走行する場合には、車両
の移動ベクトルを用いてマップマッチングを行うように
したものであり、その構成は図1のブロック図に示した
実施の形態1の場合と同様であるため、その図示および
説明は省略する。
【0079】次に動作について説明する。なお、その動
作についても、基本的には実施の形態1の場合と同様で
あり、走行道路・位置特定手段567の動作だけが異な
るものであるため、その走行道路・位置特定手段567
の動作について説明し、その他については説明を省略す
る。
【0080】ここで、図14は車両がトンネルを通過す
る前後の状態を示す説明図である。走行道路・位置特定
手段567は、実施の形態1で説明した処理の他に、G
PS受信機3の所定時間における測位率が所定値以下に
なった場合、またはGPS位置の分散が大きくなった場
合に、車両の現在位置を、当該状態になる直前に道路ネ
ットワーク上に特定した車両の現在位置を起点にして、
以後、位置・方位推定手段565で用いた車両の所定時
間毎の移動距離と進行方位変化で示される分だけ前方に
道路ネットワーク上に位置更新する処理も行っている。
【0081】例えば、図14に示すように、トンネル進
入直前に位置・方位推定手段565で推定した車両の現
在位置PE-t0に対して近傍のリンク群上に現在位置Pt0
を特定したとする。トンネル通過中およびGPS受信機
3の所定時間における測位率が所定値以下になる時刻t
1から時刻t7までの間は、時刻t0で特定した現在位
置Pt0を起点に、位置・方位推定手段565で用いた車
両の所定時間毎の移動距離と進行方位変化、すなわち、
図14中に太線の矢印で示した、所定時間ごとの移動ベ
クトルに示される分だけ、前方に接続されるリンク群上
に位置更新(図中のPt1〜Pt7)する。そして、GPS
受信機3の所定時間における測位率が所定値以上になっ
た時刻t8では、位置・方位推定手段565で推定した
車両の現在位置PE-t8を近傍のリンク群上に投影して現
在位置Pt8を決めてゆく。
【0082】このように、この実施の形態5によれば、
GPS受信機3の所定時間における測位率が所定値以下
になると、走行道路・位置特定手段567にて、その直
前に道路ネットワーク上に特定した車両の現在位置を起
点にして、車両の単位時間毎の移動距離と進行方位変化
をもとに、道路ネットワーク上に現在位置を更新してい
るので、GPS受信機3の測位率が低下する区間やGP
S位置の分散が大きくなる区間の道路を走行した場合で
も、マップマッチングは誤差が累積されない車両の移動
ベクトルを用いて行われるため、安定した車両の現在位
置を提供することができるという効果が得られる。
【0083】実施の形態6.次にこの発明の実施の形態
6について説明する。この実施の形態6によるロケータ
装置は、距離センサ1の代わりに、当該ロケータ装置に
内蔵した加速度センサを用いて自律航法用複合センサを
形成したものであり、図15はそのようなこの発明の実
施の形態6によるロケータ装置の構成を示すブロック図
である。図において、4は距離センサ1の代わりに用い
られて車両の加速度を検出する、当該ロケータ装置内の
加速度センサであり、562は信号処理器5内に設けら
れて、加速度センサ4のオフセットを検出するオフセッ
ト検出手段である。なお、他の部分は、図1に同一符号
を付して示した実施の形態1の各部と同等の部分である
ためその説明は省略する。
【0084】次に動作について説明する。なお、その動
作については、距離・速度計算手段561にて加速度セ
ンサ4の出力信号から移動距離および速度を計算するこ
と以外は、実施の形態1の場合と同様であるため、加速
度センサ4の動作と、オフセット検出手段562による
この加速度センサ4のオフセット検出および距離・速度
計算手段561に係わる、図2のステップST202動
作についての説明を行い、その他については説明を省略
する。
【0085】まず、加速度センサ4の動作について説明
する。加速度センサ4は、加速度aACC が0の時でも出
力信号SGACC が所定の電圧値([mV]、以下、オフ
セットOFACC という)を示すように調整されたもの
で、加速時にはオフセットOFACC より大きな電圧値
が、また減速時にはオフセットOFACC より小さな電圧
値が出力される。加速度センサ4の出力信号SGAC C
ら加速度aACC を求めるには、次の式(29)に示すよ
うに、出力信号SG ACC からオフセットOFACC を減算
した後、電圧値を加速度の単位に変換するためのスケー
ルファクタSFACC ([m/s2 /mV])を乗算すれ
ばよい。
【0086】 aACCi=(SGACCi−OFACCi)×SFACCi×ΔT ・・・(29)
【0087】そして、図2に示すロケータ装置のメイン
ルーチンの処理において、ステップST204で距離・
速度計算手段561の処理として、加速度センサ4の出
力電圧をA/D変換して上記式(29)にて加速度a
ACCiを求めた後、次の式(30)および式(31)を用
いて速度VelDRi と移動距離Δdi を計算する。
【0088】 VelDRi =VelDRi-1 +aACCi×ΔT ・・・(30) Δdi =Δdi-1 +VelDRi ×ΔT+1/2×aACCi×ΔT2 ・・・(31)
【0089】また、ステップST205ではオフセット
検出手段562の処理として、所定時間分の加速度セン
サ4の出力信号の標準偏差を計算し、当該標準偏差が所
定値以下であれば停車状態だと判断し、そうでなけば走
行状態だと判断する。そして、停車状態であると判断し
た場合は、標準偏差を計算した同じ時間帯の出力信号の
平均を計算して、オフセットOFACC として保持する。
【0090】このように、自律航法用複合センサを形成
する距離センサ1を加速度センサ4で代替した場合で
も、簡単にマップマッチングを行うことができ、車両の
現在位置と進行方位をより正確に提供することが可能で
ある。
【0091】実施の形態7.なお、上記実施の形態1に
おいては、道路網読出し手段53は、リンク群の構成リ
ンク数に上限を設けると説明したが、構成リンク数の代
わりに、構成リンクの総リンク長に上限を設けるように
してもよい。
【0092】実施の形態8.また、上記実施の形態5に
おいては、走行道路・位置特定手段567は、GPS受
信機3の所定時間における測位率が所定値以下になった
時、当該状態になる直前に道路ネットワーク上に特定し
た車両の現在位置を起点にして、以後、位置・方位推定
手段565で用いた車両の所定時間毎の移動距離と進行
方位変化で示される分だけ前方に道路ネットワーク上に
位置更新すると説明したが、GPS位置の分散が所定値
以上になる状態が所定時間継続した時にも、同様に位置
更新するようにしてもよい。
【0093】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、GP
S受信機の観測情報と自律航法用複合センサの計測情報
に基づく車両の推定位置が一本化されているので、マッ
プマッチングを簡単に行うことが可能となり、また、マ
ップマッチングを行って道路ネットワーク上に車両の現
在位置を求めているので、より正確な車両の現在位置と
進行方位を提供することができるロケータ装置が得られ
る効果がある。
【0094】この発明によれば、専用のカルマンフィル
タにて、GPS位置と自律航法用複合センサの計測情報
から車両の現在位置と進行方位を同時に推定しているの
で、GPS位置と自律航法用複合センサの計測情報の誤
差が変動しても、車両の現在位置と進行方位を最適に推
定することが可能となって、信頼性の向上がはかれ、ま
た、GPS受信機が非測位状態でも、自律航法用複合セ
ンサの計測情報から車両の現在位置と進行方位を推定で
きるので、トンネルや高架下などの道路を走行中でも、
安定的に車両の現在位置と進行方位を提供できる効果が
ある。
【0095】この発明によれば、車両の進行方位に合致
する方向にある道路ネットワークを先読みして保持して
いるので、車両の前後方向の誤差が推定位置に含まれて
いても、道路ネットワーク上に車両の現在位置を求める
ことが可能となり、また、道路分岐点で車両の現在位置
を見失うことがなくなるなどの効果がある。
【0096】この発明によれば、車両の推定現在位置の
軌跡形状と道路ネットワークの形状を比較して、道路ネ
ットワーク上に車両の現在位置を求めているので、屈曲
路を走行した際にも、安定した車両の現在位置を提供で
きる効果がある。
【0097】この発明によれば、車両の進行方位に合致
する方向に道路ネットワークがなくなっても、以後しば
らくの間は、連続性をもって継続的に車両の現在位置を
求めいてるので、道路ネットワークが未整備経路を走行
した際にも、安定した車両の現在位置を提供できる効果
がある。
【0098】この発明によれば、GPS受信機の測位率
が低下する区間やGPS位置の分散が大きくなる区間の
道路を走行した場合に、マップマッチングを、誤差が累
積される推定位置ではなく、誤差が累積されない車両の
移動ベクトルを用いて行っているので、上記区間の道路
を走行した際にも、安定した車両の現在位置を提供でき
る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1によるロケータ装置
の構成を示すブロック図である。
【図2】 実施の形態1におけるメインルーチンの処理
内容を示す流れ図である。
【図3】 実施の形態1における位置・方位推定手段の
処理内容を示す流れ図である。
【図4】 実施の形態1における位置・方位推定手段に
よる車両の現在位置の推定例を示す説明図である。
【図5】 実施の形態1における所定時間毎に実行され
る割込処理の内容を示す流れ図である。
【図6】 実施の形態1における距離センサから信号が
出力されたときに実行される割込処理の内容を示す流れ
図である。
【図7】 実施の形態1におけるGPS観測周期毎にG
PS受信機から出力された観測情報を受信する割込処理
の内容を示す流れ図である。
【図8】 実施の形態1における道路網読出し手段の、
無分岐区間の接続関係にある複数のリンクを一つのリン
ク群として管理する際の状態を示す説明図である。
【図9】 実施の形態1における道路網読出し手段の、
特に一本道においてリンク群を管理する際の状態を示す
説明図である。
【図10】 実施の形態1における走行道路・位置候補
管理手段の、車両の走行道路と現在位置の候補を管理す
る際の状態を示す説明図である。
【図11】 この発明の実施の形態2によるロケータ装
置における、道路網読出し手段の走行道路候補の前方に
接続可能なリンク群を先読みする際の状態を示す説明図
である。
【図12】 この発明の実施の形態3によるロケータ装
置における、屈曲路を車両が通過する際の状態を示す説
明図である。
【図13】 この発明の実施の形態4によるロケータ装
置における、車両の進行方位に合致する方向で走行道路
候補のリンク群を前方接続できなくなったとき以降の状
態を示す説明図である。
【図14】 この発明の実施の形態5によるロケータ装
置における、車両がトンネルを通過する際の前後の状態
を示す説明図である。
【図15】 この発明の実施の形態6のロケータ装置の
構成を示すブロック図である。
【図16】 従来のロケータ装置の構成例を示すブロッ
ク図である。
【図17】 従来のロケータ装置における車両の現在位
置の移動点の算出を示す説明図である。
【図18】 従来のロケータ装置におけるGPS位置を
近傍のリンク上へ投影した投影点の算出を示す説明図で
ある。
【図19】 従来のロケータ装置におけるルート算出を
示す説明図である。
【図20】 従来のロケータ装置にて、カルマンフィル
タで現在位置の推定点が決まる様子を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1 距離センサ(自律航法用複合センサ)、2a 相対
方位センサ(自律航法用複合センサ)、3 GPS受信
機(絶対位置観測手段)、4 加速度センサ(自律航法
用複合センサ)、52 道路網記憶手段、53 道路網
読出し手段、565 位置・方位推定手段、566 走
行道路・位置候補管理手段、567 走行道路・位置特
定手段。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中堀 一郎 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 Fターム(参考) 2F029 AA02 AB01 AB07 AB09 AC02 AC14 AD01 AD05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 道路ネットワークを記憶した道路網記憶
    手段と、 前記道路網記憶手段より読み出した道路ネットワーク上
    における車両の現在位置と進行方位を、自律航法用複合
    センサの計測情報と絶対位置観測手段の観測情報に基づ
    いて、所定時間毎に推定する位置・方位推定手段と、 前記位置・方位推定手段で推定した車両の現在位置の近
    傍に存在する道路ネットワークのリンクを検索するとと
    もに、当該リンクがリンクの両端を直線で結んだ直線デ
    ータであれば、無分岐区間を示す接続関係にあるリンク
    を一つのリンク群としてまとめ、折れ線データであれば
    当該リンクをリンク群として扱う道路網読出し手段と、 推定した車両の現在位置を前記リンク群に投影した際の
    リンク群への最短距離が所定値以下で、かつ同一のリン
    ク群および接続関係にあるリンク群上で位置投影し続け
    た距離が所定値以上になる接続関係にあるリンク群を車
    両の走行道路の候補として、また当該リンク群上の投影
    点を現在位置の候補として設定し管理する走行道路・位
    置候補管理手段と、 前記位置投影し続けた距離が最長となる走行道路の候補
    を走行道路として特定して、その走行道路のリンク群上
    の投影点を車両の現在位置として特定する走行道路・位
    置特定手段とを備えたロケータ装置。
  2. 【請求項2】 位置・方位推定手段が、自律航法用複合
    センサによって計測された単位時間当たりの移動距離と
    進行方位変化から、車両の現在位置と進行方位を計算す
    るシステムモデルと、絶対位置観測手段で観測した車両
    の現在位置と前記システムモデルにおける現在位置の関
    係を表した観測モデルに基づいて、状態ベクトルの行列
    要素には前記システムモデルにおける現在位置と進行方
    位を設定し、観測値には前記絶対位置観測手段で観測し
    た車両の現在位置を設定したカルマンフィルタにより、
    状態ベクトルの行列要素である車両の現在位置と進行方
    位を推定するものであることを特徴とする請求項1記載
    のロケータ装置。
  3. 【請求項3】 走行道路・位置候補管理手段が、位置・
    方位推定手段で推定した車両の進行方位に合致する方向
    で、走行道路候補の構成リンク群に接続可能な複数のリ
    ンク群を所定距離または所定数だけ先読みして保持して
    おき、この先読みして保持しておいたリンク群を、前記
    位置・方位推定手段で推定した車両の現在位置を投影す
    る対象として用いるものであることを特徴とする請求項
    1記載のロケータ装置。
  4. 【請求項4】 走行道路・位置候補管理手段が、位置・
    方位推定手段の推定した車両の現在位置を中心とした所
    定範囲内に、道路分岐点、あるいは屈曲路がある場合に
    は、所定距離または所定時間以上前から推定した車両の
    現在位置の軌跡形状と、道路ネットワークで接続関係に
    あるリンク群の形状とを比較して、リンク群への投影点
    の調整、およびリンク群の選択を行うものであることを
    特徴とする請求項1記載のロケータ装置。
  5. 【請求項5】 走行道路・位置候補管理手段が、位置・
    方位推定手段の推定した車両の進行方位に合致する方向
    で、走行道路候補の構成リンク群にその他のリンク群を
    前方接続できなくなった場合以降、所定時間が経過する
    まで、または所定距離を走行するまでの間は、前方接続
    できなくなった時点の投影点と推定した現在位置の位置
    関係に基づいて投影点の前方に現在位置の候補を更新
    し、所定時間が経過した後、または所定距離を走行した
    後は、他の走行道路候補があれば当該走行道路候補を抹
    消し、また他の走行道路候補がなければ、推定した現在
    位置の方向へ現在位置の候補を寄せるように位置更新す
    るものであることを特徴とする請求項1記載のロケータ
    装置。
  6. 【請求項6】 走行道路・位置特定手段が、絶対位置観
    測手段の所定時間における測位率が所定値以下になった
    時、あるいは前記絶対位置観測手段で観測した車両の現
    在位置の分散が所定値以上になる状態が所定時間以上続
    いた時に、その状態になる直前に道路ネットワーク上に
    特定した車両の現在位置を起点にして、以後、位置・方
    位推定手段で用いる車両の単位時間毎の移動距離と進行
    方位変化をもとに、道路ネットワーク上で現在位置の位
    置更新をするものであることを特徴とする請求項1記載
    のロケータ装置。
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