JP2000339778A - 光ディスク用原盤およびその製造方法、並びに、光ディスク用原盤の製造装置 - Google Patents

光ディスク用原盤およびその製造方法、並びに、光ディスク用原盤の製造装置

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JP2000339778A
JP2000339778A JP11146723A JP14672399A JP2000339778A JP 2000339778 A JP2000339778 A JP 2000339778A JP 11146723 A JP11146723 A JP 11146723A JP 14672399 A JP14672399 A JP 14672399A JP 2000339778 A JP2000339778 A JP 2000339778A
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disk master
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etching
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Minoru Tazoe
稔 田添
Makoto Ito
伊藤  誠
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 光ディスク用原盤の表面形状を、射出成形さ
れる樹脂に、良好に転写できる光ディスク用原盤の製造
方法の提供。 【解決手段】 ハンガー9を洗浄槽1の中に入れ、左右
のノズルから洗浄水が均等に当てる。つぎのアルカリ脱
脂の工程では、光ディスク用原盤8を取り付けたハンガ
ー9を、アルカリ脱脂槽5の液中に漬け、アルカリ剤
は、水酸化ナトリウムの水溶液を用いつぎの洗浄の工程
では、上述した洗浄の工程と同様にした。中和工程で
は、光ディスク用原盤8を取り付けたハンガー9を中和
槽6の液中に漬ける。中和剤は、硫酸の水溶液を用い洗
浄工程では、上述の該工程と同様にした。つぎのエッチ
ングの工程では、光ディスク用原盤8を取り付けたハン
ガー9をエッチング槽7の液中に漬け、光ディスク用原
盤8に形成のニッケルーリン(Ni−P)膜が溶解され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ディスク用原盤
およびその製造方法、並びに、光ディスク用原盤の製造
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】光ディスク、例えば再生専用型のコンパ
クトディスク(CD)の製造過程においては、ニッケル
などからなる光ディスク成形用の原盤(以下、「光ディ
スク用原盤」という。)を射出成形機の金型の中に取り
付け、光ディスク用原盤の表面に形成されているピット
を、ポリカーボネート樹脂(PC)に転写して成形品で
あるディスクを製作している。
【0003】この転写されたピットを持つディスクを、
つぎのアルミ蒸着などの工程に移すために、光ディスク
用原盤から剥がすと、ディスクの表面に剥離模様が発生
する場合がある。この剥離模様を顕微鏡で観察すると、
ディスク側のピットが欠けたようになっており、光ディ
スク用原盤の表面形状を、射出成形される樹脂に、良好
に転写できていないことがわかる。多くの剥離模様と呼
ばれるものは、ディスクと光ディスク用原盤の離型性が
悪い時に発生すると考えられている。
【0004】そこで、ディスクと光ディスク用原盤の離
型性を改善する方法として、従来、光ディスク用原盤の
表面に付着している有機物を有機溶剤で除去したり、光
ディスク用原盤の表面に熱を加えたり、薬液や電解を利
用して光ディスク用原盤の表面を酸化させたりして、光
ディスク用原盤側の密着性を変えていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、光ディ
スク用原盤についての、表面の有機物の除去、表面の加
熱、または表面の酸化といった方法だけでは、光ディス
ク用原盤の表面形状を、射出成形される樹脂に、良好に
転写できない場合があるという問題があった。
【0006】本発明は、このような課題に鑑みてなされ
たものであり、光ディスク用原盤の表面形状を、射出成
形される樹脂に、良好に転写できる光ディスク用原盤お
よびその製造方法、並びに、光ディスク用原盤の製造装
置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の光ディスク用原
盤は、射出成形機の成形用金型の中に取り付けられ、射
出成形される樹脂に、その表面の形状を転写する光ディ
スク用原盤において、光ディスク用原盤の上記表面が、
微少な凹凸を有するものである。
【0008】また、本発明の光ディスク用原盤の製造方
法は、ガラス板に塗布したレジスト膜に、情報を記録す
る第1の工程と、上記レジスト膜に作られた潜像を、現
像により顕在化する第2の工程と、現像された上記レジ
スト膜の表面を導体化する第3の工程と、導体化された
上記表面に電鋳を行う第4の工程と、上記電鋳により形
成された光ディスク用原盤を剥離した後に、上記レジス
トを除去する第5の工程とを含む光ディスク用原盤の製
造方法において、上記第5の工程の後に、光ディスク用
原盤の表面をエッチングする工程を含むものである。
【0009】また、本発明の光ディスク用原盤の製造装
置は、(イ)光ディスク用原盤の表面に付着している汚
れを取るアルカリ脱脂槽と、(ロ)光ディスク用原盤の
表面に残存しているアルカリ性の付着物を中和する中和
槽と、(ハ)光ディスク用原盤の表面をエッチングする
エッチング槽とを含むものである。
【0010】本発明の光ディスク用原盤およびその製造
方法、並びに、光ディスク用原盤の製造装置によれば、
エッチング槽において、光ディスク用原盤の表面をエッ
チングし、光ディスク用原盤の表面に微少な凹凸を形成
することにより、射出成形された樹脂は光ディスク用原
盤から剥離しやすくなる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。まず、光ディスク用原盤の製造装置に係る
発明の実施の形態の一例について図1〜図6を参照しな
がら説明する。
【0012】図1は、本発明に係る光ディスク用原盤の
製造装置における、光ディスク用原盤のエッチングに必
要な設備とハンガーの一例を示した図である。この光デ
ィスク用原盤の製造装置は、洗浄槽1〜4、アルカリ脱
脂槽5、中和槽6、エッチング槽7、およびハンガー9
から構成されている。
【0013】図2は、本発明に係る光ディスク用原盤の
製造装置に用いられる、洗浄槽およびその周辺設備を示
す図である。この洗浄槽およびその周辺設備は、光ディ
スク用原盤の表面に付着した汚れや薬液を、シャワーに
より洗い流す機能を有している。図2からわかるよう
に、洗浄槽およびその周辺設備は、洗浄槽1〜4、シャ
ワーノズル13、配管10、電磁バルブ14、およびペ
ダル15より構成されている。
【0014】洗浄槽1〜4は、開口部を有する箱型の形
状をしている。また、洗浄槽1〜4は、図示していない
排水口を有している。洗浄槽1〜4は、ポリプロピレン
樹脂(PP)からなっている。材質としては、このポリ
プロピレン樹脂に限定されるわけではない。その他、例
えば塩化ビニル(PVC)などを採用することができ
る。また、ガラス繊維強化熱硬化性プラスチック(FR
P)や金属板にゴムライニングしたものなども採用する
ことができる。
【0015】また、この洗浄槽1〜4の中には、シャワ
ーノズル13が取り付けられている。このシャワーノズ
ル13は、配管と、その配管に一定間隔ごとに取り付け
られた複数のノズルからなっている。このノズルは、配
管に設けられたノズル取付け用ねじ穴に取り付けられて
いる。なお、配管はポリプロピレン樹脂からなり、ノズ
ルはステンレスからなっている。
【0016】このシャワーノズル13は、洗浄槽の中の
上下左右の4カ所に、それぞれ1本ずつ合計で4本(3
本は図示していない)配置されている。これらの4本の
シャワーノズル13のうち、2本ずつが、それぞれのノ
ズルの出口を互いに対向させて取り付けられている。
【0017】配管10は、中空パイプの形状をなし、ポ
リプロピレン樹脂からなっている。この配管10は、洗
浄槽の壁を貫通し、さらに4本のシャワーノズル13の
配管に接続している
【0018】配管10の途中には、電磁バルブ14が設
置されている。この電磁バルブ14は、純水に接触する
部分がステンレスから作製されている。電磁バルブ14
は、電流のオンオフにより、純水を流したり止めたりす
る機能を有する。純水の流量は、電磁バルブ14につい
ているストロークねじで調整できる。なお、純水の水圧
は、電磁バルブ14の直前で0.2MPa程度とした。
【0019】電磁バルブ14には、ペダル15が接続さ
れている。このペダル15は、電磁バルブ14のオンオ
フを行う機能を有する。
【0020】上述した洗浄槽およびその周辺設備を稼働
させるためには、つぎのように操作する。まず、ペダル
15を足で踏むと、電磁バルブ14に電流が流れ、電磁
バルブ14がオープンする。つぎに、シャワーノズル1
3から純水が噴出される。つぎに、光ディスク用原盤の
表面を洗浄する。この洗浄後、廃液は集められて排出さ
れる。
【0021】図3は、本発明に係る光ディスク用原盤の
製造装置に用いられる、アルカリ脱脂槽およびその周辺
設備を示す図である。このアルカリ脱脂槽およびその周
辺設備は、光ディスク用原盤の表面に付着している油脂
などの汚れを取る機能を有する。図3からわかるよう
に、このアルカリ脱脂槽およびその周辺設備は、アルカ
リ脱脂槽5、配管10、フィルタ11、およびポンプ1
2より構成されている。
【0022】アルカリ脱脂槽5は、開口部を有する箱型
の形状をしている。また、アルカリ脱脂槽5は、ポリプ
ロピレン樹脂からなっている。なお、アルカリ脱脂槽5
の材質はポリプロピレン樹脂に限定されないことは洗浄
槽1〜4で述べたと同様である。アルカリ脱脂槽5は、
アルカリ液をストックできるようになっており、配管1
0、フィルタ11、およびポンプ12によって接続され
ている。
【0023】配管10は、中空パイプの形状をなし、ポ
リプロピレン樹脂からなっている。配管10の材質は、
ポリプロピレン樹脂に限定されないのは上述したと同様
である。配管10は、ポンプ12、フィルタ11、およ
びアルカリ脱脂槽5をそれぞれ接続し、薬液を循環でき
るようにする機能を有する。
【0024】フィルタ設備11は、円錐台形の形状をな
し、フィルタとフィルタハウジングにより構成されてい
る。また、フィルタ設備11は、ポンプ12の吐出側に
接続されている。また、フィルタ設備11は、ポンプ1
2で送られた薬液を通過させ、薬液中のゴミ等を濾過す
る機能を有する。ここで、フィルタの濾過精度は1μm
程度が好ましい。
【0025】ポンプ12は、円筒形の形状をなし、マグ
ネットポンプからなっている。ポンプ12の接液部は、
ポリプロピレン樹脂からなっている。したがって、接液
部が全て樹脂でできているので、液汚染が少ない。ポン
プ12は、配管10によって、フィルタ設備11とアル
カリ脱脂槽5の間に接続されている。ポンプ12は、ア
ルカリ脱脂槽5に薬液を圧送することにより、アルカリ
脱脂槽5の中の薬液を撹拌する機能を有する。
【0026】図4は、本発明に係る光ディスク用原盤の
製造装置に用いられる、中和槽およびその周辺設備を示
す図である。中和槽およびその周辺設備は、光ディスク
用原盤の表面に残存しているアルカリ性の付着物を中和
する機能を有する。図4からわかるように、中和槽およ
びその周辺設備は、中和槽6、配管10、フィルタ設備
11、およびポンプ12より構成されている。
【0027】中和槽6は、酸性液をストックできるよう
になっている。なお、中和槽6の形状、材質、および周
辺設備との接続については、アルカリ脱脂槽5で説明し
たと同様である。また、周辺設備である、配管10、フ
ィルタ設備11、およびポンプ12は、アルカリ脱脂槽
5の周辺設備で説明したと同様である。
【0028】図5は、本発明に係る光ディスク用原盤の
製造装置に用いられる、エッチング槽およびその周辺設
備を示す図である。エッチング槽およびその周辺設備
は、光ディスク用原盤の表面をエッチングする機能を有
する。すなわち、光ディスク用原盤の表面に形成された
ニッケルーリン(Ni−P)膜を溶解させる機能を有す
る。図5からわかるように、エッチング槽およびその周
辺設備は、エッチング槽7、配管10、フィルタ設備1
1、ポンプ12、およびヒータ16より構成されてい
る。なお、ヒータ16には温度調節器も含まれる。
【0029】エッチング槽7は、酸性液をストックでき
るようになっている。なお、中和槽6の形状、材質、お
よび周辺設備との接続については、アルカリ脱脂槽5で
説明したと同様である。
【0030】ヒータ16は、エッチング槽7の底に固定
されており、その発熱部はセラミックでできている。こ
のヒータ11で暖められた液は、ポンプ12の循環液に
よって撹拌される。なお、ヒータ16は、液の昇温の目
的ならば、ステンレスヒーターでもかまわない。
【0031】なお、この他の周辺設備である、配管1
0、フィルタ設備11、およびポンプ12は、アルカリ
脱脂槽5の周辺設備で説明したと同様である。
【0032】図6は、本発明に係る光ディスク用原盤の
製造方法に用いられるハンガーを示す図である。このハ
ンガー9は、これに光ディスク用原盤を取り付けて、各
槽の中に浸漬するのに用いられる。このハンガー9の材
質は、後述する駒19を除き、ステンレス(SUS)に
テフロンをコーティングしたものである。したがって、
薬液からの腐食に耐えられるようになっている。
【0033】図面上、ハンガー9の上の方には、取っ手
17が取り付けられている。この取っ手17は、作業者
が各槽で光ディスク用原盤の処理するときに、ハンガー
を持つのに掴みやすいようにしてある。また、取っ手1
7にはローレットが刻んであり滑り止めとなっている。
【0034】取っ手17の中央部には、取っ手17の長
手方向の直角方向に、シャフト18が取り付けられてい
る。また図面上、シャフト18の下の方には、駒19の
土台である棒状の部材が2本溶接されている。
【0035】これらの取っ手17、シャフト18、およ
び駒19の土台は、全て円筒形にすることにより、液の
次工程への持ち出しを最小限にしている。なお、洗浄を
長くして液の洗浄を完璧にするならば、シャフトは角棒
でも平板状でもかまわない。
【0036】駒の土台には、それぞれの両端近くに、駒
19が設けられている。この駒19は、ポリプロピレン
樹脂からなっている。それぞれの駒19には溝があり、
この溝に光ディスク用原盤8を置くことができる。これ
により、ハンガー9が前後左右に揺動された際に、光デ
ィスク用原盤が脱落するのを防止できる。なお、図6の
例では、駒19を4カ所設けたが、この数に限定される
わけではない。この他に例えば、左右に2カ所と、その
下に1カ所との合計3カ所でもかまわない。
【0037】つぎに、光ディスク用原盤およびその製造
方法に係る発明の実施の形態について図7および図8を
参照しながら説明する。
【0038】図7は、本発明に係る光ディスク用原盤の
製造方法の工程のうち、ガラス洗浄・研磨の工程からレ
ジスト除去の工程までを示す図である。図7において、
まず、ガラス洗浄・研磨の工程51では、ガラス板20
が洗浄され高精度に研磨される。つぎに、レジスト塗布
・乾燥の工程52では、ガラス板に記録材であるレジス
ト21を塗布し、乾燥を行い膜を安定化させる。つぎ
に、記録(カッティング)の工程53では、レーザビー
ム22を用いて、ガラス板に塗布したレジスト21膜
に、情報を記録(カッティング)する。
【0039】つぎに、現像・導体化前処理の工程54で
は、レジスト膜に作られた潜像を、現像により顕在化す
ることにより、ピット23を形成する。また、つぎの導
体化のための前処理を行う。つぎに、導体化の工程55
では、現像されたレジスト21膜の表面に、無電解メッ
キ法でニッケルーリン(Ni−P)膜を形成することに
より、レジスト膜の表面を導体化する。なお、導体化の
方法は、この方法に限定されるわけではない。例えば、
この他の方法としては、無電解メッキ法(ニッケル、銀
など)と真空中での金属被覆法(蒸着、スパッタリング
など)を採用することができる。
【0040】つぎに、電鋳の工程56では、導体化され
た表面に電鋳を行う。すなわち、レジスト21の上に形
成したニッケルーリン(Ni−P)膜24を陰極とし、
ニッケル(Ni)を陽極側に配して、ニッケルーリン
(Ni−P)膜24の上にニッケル(Ni)を析出させ
る。つぎに、光ディスク用原盤剥離の工程57では、電
鋳により形成された光ディスク用原盤をガラス板20か
ら剥離する。つぎに、光ディスク用原盤レジスト除去の
工程58では、ガラス板20から剥離した光ディスク用
原盤に残っているレジストを除去する。
【0041】図8は、本発明に係る光ディスク用原盤の
製造方法の工程のうち、レジストが除去された光ディス
ク用原盤の洗浄の工程からエッチングされた光ディスク
用原盤の洗浄の工程までを示す図である。
【0042】図8において、最初の洗浄の工程61で
は、まずハンガー9に光ディスク用原盤8を取り付け
る。つぎに、このハンガー9を洗浄槽1の中に入れ、左
右のノズルから洗浄水が均等に当たるようにする。つぎ
に、ペダル15を踏み、洗浄水がノズルから出たら、ハ
ンガー9を円を描くように回し、60秒間純水を当て
る。
【0043】つぎに、アルカリ脱脂の工程62では、光
ディスク用原盤8の洗浄が終了した後に、光ディスク用
原盤8を取り付けたハンガー9を、アルカリ脱脂槽5の
液中に漬ける。つぎに、光ディスク用原盤8を液中に5
分間漬けて、手で揺動する。ここで、アルカリ剤として
は、水酸化ナトリウム(NaOH)の10%水溶液を用
いた。アルカリ剤は、この水酸化ナトリウム(NaO
H)に限定されるわけではない。例えば、水酸化カリウ
ム(KOH)など通常用いられるアルカリ剤を数%の水
溶液として採用することができる。つぎの洗浄の工程6
3では、上述した洗浄の工程61と同様にした。
【0044】つぎに、中和の工程64では、光ディスク
用原盤8の洗浄が終了した後に、光ディスク用原盤8を
取り付けたハンガー9を中和槽6の液中に漬ける。つぎ
に、光ディスク用原盤8を液中に1分間漬けて、手で揺
動する。ここで、中和剤としては、硫酸の数%水溶液を
用いた。中和剤は、この硫酸水溶液に限定されるわけで
はない。例えば、塩酸(HCl)など通常用いられる無
機酸および有機酸を数%の水溶液として採用することが
できる。つぎの洗浄の工程65では、上述した洗浄の工
程61と同様にした。
【0045】なお、上述したアルカリ脱脂の工程62と
中和の工程64の目的は、光ディスク用原盤8の表面の
濡れ性を改善することにある。表面の濡れ性が悪いと、
後に行うエッチング工程で、表面にエッチングされる部
分とされない部分が発生する。したがって、アルカリ脱
脂の工程62と中和の工程64の目的は、光ディスク用
原盤の表面を、均一なエッチングが行える状態にするこ
とにある。
【0046】つぎに、エッチングの工程66では、光デ
ィスク用原盤8の洗浄が終了した後に、光ディスク用原
盤8を取り付けたハンガー9をエッチング槽7の液中に
漬ける。つぎに、光ディスク用原盤8を液中に3分間漬
けて、手で揺動する。これにより、光ディスク用原盤8
に形成されているニッケルーリン(Ni−P)膜が溶解
される。なお、ヒータ16による加熱は行わずに室温で
エッチングした。ここで、エッチング剤としては、過酸
化水素系のソフトエッチング剤を用いた。この過酸化水
素系のソフトエッチング剤は、光ディスク用原盤の表面
に形成されているニッケルーリン(Ni−P)膜のみを
溶解し、光ディスク用原盤の本体であるニッケル(N
i)膜は溶解しない特徴を持っている。
【0047】過酸化水素系のソフトエッチング剤は以下
の組成により調整した。 ニッケル合金剥離溶液 22容積部 (商品名:FN−1001またはFN−1010、 ファシリティー社製) 過酸化水素水(30%) 5容積部 リン酸水溶液(85%) 2容積部 純水 71容積部
【0048】なお、この過酸化水素系のソフトエッチン
グ剤において、ニッケル合金剥離溶液、過酸化水素水、
およびリン酸水溶液の容積部は上述の値に限定されるわ
けではない。例えば、それぞれの値に対して±5%程度
の範囲を採用することができる。また、エッチングの温
度は上述した室温に限定されるわけではない。すなわ
ち、標準温度を45℃とし、20〜60℃の範囲でエッ
チングを行うことができる。
【0049】つぎの洗浄の工程67では、上述した洗浄
の工程61と同様にした。つぎに、洗浄が終了した光デ
ィスク用原盤を、ハンガーに掛けたまま乾燥した。これ
により、光ディスク用原盤の表面のエッチングが終了す
る。
【0050】つぎに、上述の方法により得られた光ディ
スク用原盤を用いて、光ディスク用のディスクを成形し
た。これについて説明する。。上述の方法によりエッチ
ングして得られた光ディスク用原盤を、射出成形機の成
形用金型の中に取り付け、通常の方法を用いてポリカー
ボネート樹脂によりディスクを射出成形した。
【0051】このディスクを、光ディスク用原盤から剥
離すると、ディスクの表面に剥離模様の発生は認められ
なかった。このディスクの表面を顕微鏡で観察しても、
ディスク側のピットの欠けは認められなかった。すなわ
ち、光ディスク用原盤の表面形状を、射出成形される樹
脂に、良好に転写できた。
【0052】ここで、エッチング後の光ディスク用原盤
の表面を、電子顕微鏡(2万倍)で観察した結果、光デ
ィスク用原盤の表面は、微少な凹凸を有することが確認
された。その凹凸の大きさは、8nm程度であった。
【0053】このように、エッチング槽において、光デ
ィスク用原盤の表面をエッチングし、光ディスク用原盤
の表面に微少な凹凸を形成することにより、射出成形さ
れた樹脂は光ディスク用原盤から剥離しやすくなる。す
なわち、光ディスク用原盤の表面状態が改善され、離型
性が向上する。
【0054】上述の例では、光ディスク用原盤の表面の
凹凸は、8nmのオーダであることを説明したが、この
大きさに限定されるわけではない。すなわち、6nm〜
20nmの範囲であればかまわない。6nmより小さい
と、成形樹脂と原盤の密着が強くなり、本発明の効果が
得られないという欠点が生じるからであり、20nmよ
り大きくなると、信号特性が悪化するという欠点が生じ
るからである。
【0055】つぎに、光ディスク用原盤の製造装置に係
る発明の実施の形態の他の例について、図9を参照しな
がら説明する。図9は、本発明に係る光ディスク用原盤
の製造装置における、光ディスク用原盤のエッチングに
必要な設備の他の例を示した図である。上述した図1〜
図6においては、手動で表面処理を行う場合の基本的装
置を説明したが、このような枚葉式は、図9に示すよう
に、自動化することができる。なお、搬送装置26によ
り、図面上、上下および左右に、光ディスク用原盤は移
動される。
【0056】以上のことから、本発明の実施の形態によ
れば、エッチング槽において、光ディスク用原盤の表面
をエッチングし、光ディスク用原盤の表面に微少な凹凸
を形成することにより、光ディスク用原盤の表面形状
を、射出成形される樹脂に、良好に転写できる。すなわ
ち、ニッケルーリン(Ni−P)膜を溶かすことにより
ピットおよびランド部が荒れるので、密着性が改善され
剥離模様が無くなる。また、表層を溶かして落すので、
表面に付着している、不純物(汚れ)が落ち、表面が均
一になるので、エラーが少ない高品質のディスクを作る
ことができる。
【0057】なお、上述の発明の実施の形態では、ニッ
ケルーリン(Ni−P)膜を全部溶解させる例について
説明したが、この方法に限定されるわけではない。すな
わち、ニッケルーリン(Ni−P)膜のうち一部の厚さ
だけを溶解させることによっても、表面に微少な凹凸を
形成することができるので、本発明の目的を達成するこ
とができる。すなわち、エッチング前の表面の凹凸より
も、エッチング後の表面の凹凸の方が大きければよいこ
とになる。
【0058】また、上述の発明の実施の形態では、ニッ
ケル(Ni)膜の上にニッケルーリン(Ni−P)膜を
設けた光ディスク用原盤の例について説明したが、これ
に限定されるわけではない。すなわち、エッチングによ
り微少な凹凸を形成することができる金属の組み合わせ
であれば、その組み合わせの種類を問わない。例えば、
Ni−Ag、Ni−Niなどの組み合わせを採用するこ
とができる。
【0059】また、上述の発明の実施の形態では、過酸
化水素系のソフトエッチング剤を用いて、光ディスク用
原盤をエッチングする例について説明したが、これに限
定されるわけではない。すなわち、エッチングにより微
少な凹凸を形成することができるものであれば、どのよ
うな方法も採用することができる。例えば、スパッタエ
ッチングなどの乾式のエッチング法、または通常の湿式
のエッチングなどを採用することができる。
【0060】また、本発明は上述の実施の形態に限らず
本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採
り得ることはもちろんである。
【0061】
【発明の効果】本発明は、以下に記載されるような効果
を奏する。エッチング槽において、光ディスク用原盤の
表面をエッチングし、光ディスク用原盤の表面に微少な
凹凸を形成することにより、光ディスク用原盤の表面形
状を、射出成形される樹脂に、良好に転写できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光ディスク用原盤の製造装置にお
ける、光ディスク用原盤のエッチングに必要な設備とハ
ンガーの一例を示した図である。
【図2】本発明に係る光ディスク用原盤の製造装置に用
いられる、アルカリ脱脂槽およびその周辺設備を示す図
である。
【図3】本発明に係る光ディスク用原盤の製造装置に用
いられる、中和槽およびその周辺設備を示す図である。
【図4】本発明に係る光ディスク用原盤の製造装置に用
いられる、洗浄槽およびその周辺設備を示す図である。
【図5】本発明に係る光ディスク用原盤の製造装置に用
いられる、エッチング槽およびその周辺設備を示す図で
ある。
【図6】本発明に係る光ディスク用原盤の製造方法に用
いられるハンガーを示す図である。
【図7】本発明に係る光ディスク用原盤の製造方法の工
程を示す図である(その1)。
【図8】本発明に係る光ディスク用原盤の製造方法の工
程を示す図である(その2)。
【図9】本発明に係る光ディスク用原盤の製造装置にお
ける、光ディスク用原盤のエッチングに必要な設備の他
の例を示した図である。
【符号の説明】
1,2,3,4‥‥洗浄槽、5‥‥アルカリ脱脂槽、6
‥‥中和槽、7‥‥エッチング槽、8‥‥光ディスク用
原盤、9‥‥ハンガー、10‥‥配管、11‥‥フィル
タ設備、12‥‥ポンプ、13‥‥シャワーノズル、1
4‥‥電磁バルブ、15‥‥ペダル、16‥‥ヒータ、
17‥‥取っ手、18‥‥シャフト、19‥‥駒、20
‥‥ガラス板、21‥‥レジスト、22‥‥レーザビー
ム、23‥‥ピット、24‥‥Ni−P膜、25‥‥N
i膜、26‥‥運搬装置

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 射出成形機の成形用金型の中に取り付け
    られ、 射出成形される樹脂に、その表面の形状を転写する光デ
    ィスク用原盤において、 光ディスク用原盤の上記表面は、微少な凹凸を有するこ
    とを特徴とする光ディスク用原盤。
  2. 【請求項2】 ガラス板に塗布したレジスト膜に、情報
    を記録する第1の工程と、 上記レジスト膜に作られた潜像を、現像により顕在化す
    る第2の工程と、 現像された上記レジスト膜の表面を導体化する第3の工
    程と、 導体化された上記表面に電鋳を行う第4の工程と、 上記電鋳により形成された光ディスク用原盤を剥離した
    後に、上記レジストを除去する第5の工程とを含む光デ
    ィスク用原盤の製造方法において、 上記第5の工程の後に、光ディスク用原盤の表面をエッ
    チングする工程を含むことを特徴とする光ディスク用原
    盤の製造方法。
  3. 【請求項3】(イ)光ディスク用原盤の表面に付着して
    いる汚れを取るアルカリ脱脂槽と、(ロ)光ディスク用
    原盤の表面に残存しているアルカリ性の付着物を中和す
    る中和槽と、(ハ)光ディスク用原盤の表面をエッチン
    グするエッチング槽とを含むことを特徴とする光ディス
    ク用原盤の製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7294281B2 (en) * 2001-07-02 2007-11-13 Sony Corporation Optical information recording medium, original disc for optical information recording medium, and method of manufacturing the same

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