JP2000336519A - 銅アンモニアレーヨン製造方法と繊維シート製造方法及び装置 - Google Patents

銅アンモニアレーヨン製造方法と繊維シート製造方法及び装置

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JP2000336519A
JP2000336519A JP11146409A JP14640999A JP2000336519A JP 2000336519 A JP2000336519 A JP 2000336519A JP 11146409 A JP11146409 A JP 11146409A JP 14640999 A JP14640999 A JP 14640999A JP 2000336519 A JP2000336519 A JP 2000336519A
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spinning
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Fumiyoshi Yokoyama
文義 横山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 銅アンモニアセルロース溶液から銅アンモ
ニアレーヨンへの凝固工程を希硫酸を使用することな
く、1工程によって行うことができる銅アンモニアレー
ヨンの製造方法を提供することを第一の課題とする。紡
糸工程と繊維間の溶着又は融着工程とを一度に行うこと
ができると共に、繊維密度や厚みを自由に変化させるこ
とができ、さらに繊維に自在に延伸を加えることができ
る、連続繊維を用いた不織布の製造方法及び装置を提供
することを第二の課題とする。 【解決手段】第一の本発明は、銅アンモニアレーヨンの
製造方法であって、銅アンモニアセルロース溶液を、銅
イオンと錯体を形成する錯体形成物質を含む凝固液と接
触させ凝固させることを特徴とする、方法である。第二
の本発明は、繊維が集合したシートの製造方法であっ
て、紡糸原液を連続的に吐出し、該紡糸原液を固化させ
る固化手段によって、該吐出された紡糸原液を半固化状
態にし、該半固化状態の紡糸をローラーに巻き取るもの
である、製造方法及びその装置である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、銅アンモニアレー
ヨン製造方法に関する。本発明の銅アンモニアレーヨン
製造方法(以下、「本レーヨン製造方法」という。)
は、銅アンモニアセルロース溶液から従来使用していた
硫酸を用いることなく脱アンモニアと脱銅をすることで
レーヨンを製造することを特徴とするものであり、その
ため設備の腐食対策を簡素化することができると共に安
全にレーヨンを製造することができるので、極めて有用
である。また、本発明は、繊維シートの製造方法及びそ
の方法に用いられる装置に関する。本発明の繊維シート
製造方法(以下、「本シート製造方法」という。)及び
製造装置(以下、「本シート製造装置」という。)によ
れば、簡単な設備及び操作によって繊維が集合した不織
布様のシートを繊維密度及び厚さを自由に変えて製造す
ることができるので、種々の不織布様のシートの製造に
極めて有用である。
【0002】
【従来の技術】銅アンモニアレーヨンは、銅アンモニア
法により製造された再生繊維たる再生セルロースであ
り、キュプラとも呼ばれる。これはコットンリンターや
パルプ等のようなセルロースを含むものを原料として、
アンモニア及び塩基性硫酸銅で、次に水酸化ナトリウム
で処理し可溶化する。このセルロースの銅アンモニア錯
体を含む溶液(一般的に、「銅アンモニアセルロース溶
液」と呼ばれる。)は紡糸口を通して押し出される。該
溶液を凝固させて再生セルロース繊維を得るためには該
溶液中に含まれるアンモニアと銅とを除去する必要があ
り、このため従来は、押し出された該溶液を紡水と接触
させることによって脱アンモニアし青糸とし、さらに青
糸を硫酸水溶液(希硫酸)と接触させることで脱銅し再
生セルロース繊維を製造していた。即ち、銅アンモニア
セルロース溶液から銅アンモニアレーヨンを得るには、
従来では、紡水による脱アンモニア工程と希硫酸による
脱銅工程との二段階工程による凝固工程を要していた。
【0003】一方、不織布は、衛生材料、工業用品、家
庭用品等に幅広く使用されており、その製造方法は様々
なものが知られている。例えば、揺動運動をするノズル
群より紡糸原液を射出し、走行するコンベア上にジグザ
グ模様を描いて配列させ、その上から凝固液を噴霧して
凝固溶着させることによるもの(以下、「コンベア法」
という。)や、紡糸直後の膨潤度の高い未再生糸を所定
長さに切断し、この切断された糸を用いて長網抄紙機に
よってウエブを形成させることによるもの(以下、「抄
紙法」という。)等があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た銅アンモニアレーヨンの従来の製造方法では、希硫酸
(通常、3.5〜7.5%程度の濃度)を用いるため、
製造設備のうちこの希硫酸と接触する部分は希硫酸に対
する十分な耐食性を有する必要があった。このため希硫
酸と接触する製造設備の部分は、通常、チタン等の耐食
金属で形成されたり、フッ素樹脂や鉛等のような希硫酸
に対して耐食性のもので被覆されたりする必要があっ
た。これは銅アンモニアレーヨンの製造設備の建設費用
及び保守費用を増加させる問題があった。また、皮膚等
を侵す希硫酸を取り扱うため、銅アンモニアレーヨンの
製造作業員に薬傷等の危険性があるという問題もあっ
た。加えて、銅アンモニアセルロース溶液から銅アンモ
ニアレーヨンへの凝固工程は、従来、紡水による脱アン
モニア工程と希硫酸による脱銅工程との2工程を要して
いたので、工程及び設備の複雑化をもたらすという問題
もあった。そこで第一の本発明は、銅アンモニアセルロ
ース溶液から銅アンモニアレーヨンへの凝固工程を希硫
酸を使用することなく、1工程によって行うことができ
る銅アンモニアレーヨンの製造方法を提供することを課
題(第一の課題)とする。
【0005】一方、不織布の従来の製造方法のうち、コ
ンベア法では不織布を構成する繊維を紡糸しつつ該繊維
間を溶着させるので紡糸工程と繊維間の溶着工程とを一
度に行うことができ便利であるが、製造する不織布の繊
維密度や厚みを変化させる場合には紡糸原液を射出する
前記ノズルの数を増減させること等を必要とするので種
々の不織布様のシートを製造する際には製造工程の切替
に手間がかかる等の問題があった。また、コンベア法で
は不織布を構成する繊維の延伸を自由に行うことができ
ないという問題もあった。そして、抄紙法では、紡糸工
程と繊維間の溶着工程とを別々に行うことが必要である
ため、工程が複雑になるという問題があった。また、不
織布を構成する繊維は切断されたものであり短いため、
不織布の強度が低下するという問題もあった。そこで第
二の本発明は、紡糸工程と繊維間の溶着又は融着工程と
を一度に行うことができると共に、繊維密度や厚みを自
由に変化させることができ、さらに繊維に自在に延伸を
加えることができる、連続繊維を用いた不織布の製造方
法及び装置を提供することを課題(第二の課題)とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記第一
の課題を解決すべく鋭意検討を重ねていたところ、銅ア
ンモニアレーヨンの中間原料となる銅アンモニアセルロ
ース溶液(紡糸原液)を、紡糸口金から吐出後、銅イオ
ンと錯体を形成する錯体形成物質を含む凝固液と接触さ
せることで、該紡糸原液を効率よく脱銅及び脱アンモニ
アし凝固させることができることを見いだし、本発明を
完成するに至った。即ち、第一の本発明は、銅アンモニ
アレーヨンの製造方法であって、銅アンモニアセルロー
ス溶液を、銅イオンと錯体を形成する錯体形成物質を含
む凝固液と接触させ凝固させることを特徴とする、方法
であり、従来使用していた希硫酸を用いることなく、該
錯体形成物質を含む凝固液を用いて銅アンモニアセルロ
ース溶液を脱銅及び脱アンモニアし凝固させ銅アンモニ
アレーヨンを製造することができる。本方法では、銅ア
ンモニアセルロース溶液を該凝固液に接触させるのみで
脱銅及び脱アンモニアすることができるので、銅アンモ
ニアセルロース溶液から銅アンモニアレーヨンへの凝固
工程を1工程によって行うことができる。
【0007】第一の本発明の製造方法には次のような態
様が含まれる。即ち、前記錯体形成物質が、エチレンジ
アミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、酢酸、シュウ酸、酒石
酸、クエン酸及びそれらの塩よりなる群より選択される
いずれか少なくとも1種とする、上記製造方法。
【0008】さらに、本発明者らは、上記第二の課題を
解決すべく鋭意検討を重ねていたところ、吐出された紡
糸原液の固化が始まり完全に固化する前、即ち、半固化
状態の紡糸をローラーに巻き取ることで、該ローラー外
周上で半固化状態の紡糸が重なり合い、重なり合った部
分が互いに溶着又は融着することで繊維が集合した不織
布様のシートができることを見いだし、本発明を完成す
るに至った。即ち、第二の本発明は、繊維が集合したシ
ートの製造方法であって、紡糸原液を連続的に吐出し、
該紡糸原液を固化させる固化手段によって、該吐出され
た紡糸原液を半固化状態にし、該半固化状態の紡糸をロ
ーラーに巻き取るものである、製造方法である。従っ
て、第二の本発明は、紡糸工程と繊維間の溶着工程とを
一度に行うことができること、ローラーに紡糸を巻き取
る量に応じて、製造されるシートの繊維密度や厚みを自
由に変化させることができること、そしてローラーの回
転速度や該吐出される紡糸原液の吐出速度を変化させる
ことで繊維に自在に延伸を加えることができること、と
いう特徴を有する、連続繊維を用いた不織布様の繊維集
合シートの製造方法である。なお、第二の本発明にいう
「半固化状態」とは、該固化手段により該紡糸原液が固
化しつつも完全に固化していない状態をいう。かかる半
固化状態の紡糸は、互いに接触することにより、又、必
要に応じて該固化手段の作用により、お互いに溶着又は
融着することができる。
【0009】第二の本発明の製造方法には次のような態
様が含まれる。 (1)前記ローラーに巻き取られた前記半固化状態の紡
糸を、さらに前記固化手段により固化するものである、
上記製造方法。 (2)前記固化手段が前記ローラーの外周面の少なくと
も一部に接触するものである、上記製造方法。 (3)前記繊維が銅アンモニアレーヨンであり、前記紡
糸原液が銅アンモニアセルロース溶液である、上記製造
方法。また、その場合に、前記固化手段が、銅イオンと
錯体を形成する錯体形成物質を含むものである、製造方
法。さらに、この場合に、前記錯体形成物質が、エチレ
ンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、酢酸、シュウ酸、
酒石酸、クエン酸及びそれらの塩よりなる群より選択さ
れるいずれか少なくとも1種である、製造方法。 (4)前記ローラーによって巻き取られる線速度が、前
記紡糸原液が吐出される線速度よりも大きいものであ
る、上記製造方法。
【0010】また、本発明は上記第二の本発明の製造方
法に用いられる製造装置(第二の本発明の製造装置)で
あり、該装置は、前記固化手段として、前記吐出された
紡糸原液を導入して固化する固化槽を有し、該固化槽の
内部に前記ローラーを備えたものであってもよい。
【0011】なお、本明細書及び図面において、特に断
りがない限り、「%」は重量%をいうものとする。
【0012】
【発明の実施の形態】(第一の本発明)第一の本発明
は、銅アンモニアセルロース溶液を、従来の紡水及び希
硫酸と接触させ凝固させるのではなく、銅イオンと錯体
を形成する錯体形成物質を含む凝固液と接触させ凝固さ
せる点が従来の銅アンモニアレーヨンの製造とは異なる
のみで、その他の点は同じである。従って、第一の本発
明に用いる銅アンモニアセルロース溶液は、銅アンモニ
アレーヨンを製造する際に従来から使用されていたもの
と同様の、セルロースの銅アンモニア錯体を含む溶液を
使用すればよく、例えば、水酸化銅とアンモニア水と蒸
留水との混合物にコットンリンター等のセルロースを含
むものを溶解させることによって調製することができ
る。
【0013】また、凝固液に含有される、銅イオンと錯
体を形成する錯体形成物質の濃度は、用いる錯体形成物
質の脱銅能力や該凝固液と銅アンモニアセルロース溶液
との接触時間等に応じて適宜決定されればよい。錯体形
成物質は、銅イオンと錯体を形成するものであれば特に
制限なく使用することができ、具体的には、エチレンジ
アミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、酢酸、シュウ酸、酒石
酸、クエン酸を例示することができる。これらは一種単
独で用いても2種以上を任意に組み合わせて用いてもよ
い。これらのものが銅イオンと錯体を形成することにつ
いては、「A.E.Martell and R.M.
Smith,”Critical Stability
Constants Vol.1,”Prenum
Press,New York,1974」(以下「文
献1」という。)、「A.E.Martell and
R.M.Smith,”Critical Stab
ility Constants Vol.2,”Pr
enum Press,New York,1975」
(以下「文献2」という。)、「上野影平著、”キレー
ト滴定”、南江堂(1989)」(以下「文献3」とい
う。)、「日本化学会編、”化学便覧 基礎編II”、
丸善(1993)、第329頁」(以下「文献4」とい
う。)等に記載されている。具体的には、文献1及び2
には、銅と各物質との錯体安定度定数が記載されてお
り、銅とエチレンジアミン四酢酸との錯体安定度定数は
文献1第207頁に、銅とニトリロ三酢酸との錯体安定
度定数は文献1第141及び142頁に、銅と酢酸との
錯体安定度定数は文献2第5頁に、銅とシュウ酸との錯
体安定度定数は文献2第94頁に、銅とD−酒石酸との
錯体安定度定数は文献2第128頁に、銅とクエン酸と
の錯体安定度定数は文献2第163頁に、それぞれ記載
されている。文献3には、有機酸と銅との錯体形成につ
いて詳述されている。文献4には、クエン酸、酢酸、シ
ュウ酸と銅との錯体形成反応定数が記載されている。錯
体形成物質のうち、とりわけエチレンジアミン四酢酸は
脱銅する能力が高く、脱銅時間を短縮したり、製造され
る銅アンモニアレーヨン中の残存銅を減少させることが
できる。また、酢酸は、工業的に安価に大量生産され入
手が容易であるので第一の本発明を安価かつ容易に実施
することが出きると共に、毒性が少ないので安全に銅ア
ンモニアレーヨンを製造することができる。なお、エチ
レンジアミン四酢酸(以下、「EDTA」という。)そ
れ自身は難水溶性であるため、水溶性のエチレンジアミ
ン四酢酸二水素二ナトリウム二水和物(以下、「EDT
A−2Na」という)等の塩を用いてもよい。同様に、
ニトリロ三酢酸(以下、「NTA」という)も難水溶性
のため、水溶性のニトリロ三酢酸二ナトリウム(以下、
「NTA−2Na」という)等の塩を用いてもよい。即
ち、本発明において用いる錯体形成物質には、銅イオン
と錯体を形成する、「エチレンジアミン四酢酸、ニトリ
ロ三酢酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、及びクエン酸」の
塩を用いてもよい。
【0014】(第二の本発明)第二の本発明の方法及び
装置は、吐出された紡糸原液の固化が始まり完全に固化
する前、即ち、半固化状態の紡糸をローラーに巻き取っ
て、該ローラー外周上で半固化状態の紡糸が先に巻き取
られていた紡糸と重なり合い、重なり合った部分が互い
に溶着又は融着することで繊維を集合させて不織布様の
シートを製造するものである。紡糸原液は、吐出され完
全に固化する前のいずれかの段階で、互いに接触するこ
とにより、又、必要に応じて該固化手段の作用により、
お互いに溶着又は融着するものであればよい。従って、
第二の本発明の方法及び装置に用いられる紡糸原液は、
紡糸原料を加熱溶融させ紡糸融液としこれをノズル等か
ら押し出し冷却して紡糸する溶融紡糸法で用いられる該
紡糸融液であっても、紡糸原料を揮発性の溶剤に溶解さ
せ紡糸溶液としこれをノズル等から押し出し該溶剤を留
去して紡糸する乾式紡糸法で用いられる該紡糸溶液であ
っても、そして紡糸原料を溶剤に溶解させ紡糸溶液とし
該紡糸溶液をノズル等から押し出しこれを凝固させる凝
固液と接触させて紡糸する湿式紡糸法で用いられる該紡
糸溶液であってもよい。また、紡糸原液は連続的に吐出
されるが、ここにいう「連続的に吐出」とは、ローラー
に紡糸が少なくとも重なって巻き取られる程度に連続し
て吐出されればよく、必ずしも繊維が集合したシートの
製造開始から製造完了まで連続している必要はない。
【0015】第二の本発明の固化手段は、吐出された紡
糸原液を固化させることができるものであれば特に限定
されず、紡糸原液に応じて従来のように適宜選択されれ
ばよい。例えば、上記のように、紡糸原液が溶融紡糸法
の紡糸融液であれば、固化手段として、吐出された紡糸
原液の温度を低下させるものを好適に用いることがで
き、吐出された紡糸原液に接触する冷却水、冷却気体
(冷却空気、冷却窒素等)、冷却油、冷却ローラー等を
例示的に列挙することができる。紡糸原液が乾式紡糸法
の紡糸溶液であれば、固化手段として、吐出された紡糸
原液の表面における前記揮発性溶剤の蒸発をおこすもの
であれば好適に用いることができ、該表面を流通してい
るガス(例えば、パージ空気やパージ窒素等)、吐出し
た紡糸原液を減圧下に置くための減圧容器等を例示的に
列挙することができる。紡糸原液が湿式紡糸法の紡糸溶
液であれば、固化手段として、吐出された紡糸原液に接
触して凝固させる凝固液を用いることができる。なお、
固化手段は、吐出された紡糸原液を完全に固化させるこ
とができるものである必要は必ずしもなく、半固化状態
にすることができるものであれば足る。
【0016】第二の本発明のローラーは、固化手段によ
って半固化状態にされた紡糸を重ねて巻き取ることがで
きるものであれば特に制限なく用いることができ、その
形状も特に限定されるものではないが、円柱形状、楕円
柱形状、三角柱、四角柱、五角柱、六角柱、七角柱、八
角柱等の多角柱形状等を例示することができる。また、
ローラーの外周長さ(ローラー1回転で巻き取る長さ)
を変えることによって、得られるシートの長さ(略繊維
方向への長さ)を変えることができる。さらに、ローラ
ーの幅(ローラー巻き取り面の、ローラー回転軸に対し
て平行方向への長さ)を変えることによって、得られる
シートの幅(繊維方向に対して略垂直方向への長さ)を
変えることができる。このため所望のシート寸法に合致
する外周長さ及び幅を有するローラーを適宜選択して用
いればよい。なお、紡糸原液の吐出は、ローラーに対し
て同じ位置から行う場合でも、またローラーに対してロ
ーラーの幅方向(ローラー回転軸に対して平行方向)に
吐出位置を相対的に移動させつつ行う場合でも、いずれ
であってもかまわない。前者であれば、紡糸の巻き取り
位置が該幅方向に自然に移動することによって巻き取る
紡糸がローラーの幅方向に分散することを利用するの
で、吐出位置を移動させるための移動機構を要さず設備
構成を簡単にすることができるが、巻き取られる紡糸の
繊維密度がローラーの幅方向で不均一になりやすい。こ
の不均一を減少させるには、例えば、該幅方向に複数の
吐出位置を設けるようにしてもよい。一方、後者であれ
ば、吐出位置を移動させるための移動機構を要するので
設備構成が複雑になるが、巻き取られる紡糸の繊維密度
がローラーの幅方向で均一になりやすい。ローラーに対
してローラーの幅方向に吐出位置を相対的に移動させる
には、ローラーと吐出位置とのいずれか一方を移動させ
ても又は両方を移動させてもよい。
【0017】第二の本発明では、吐出された紡糸原液の
固化が始まり完全に固化する前、即ち、半固化状態で安
定して紡糸をローラーに巻き取ることが重要であり、そ
のためには紡糸原液の吐出速度、吐出された紡糸原液の
固化速度、ローラーの巻き取り速度等の条件がうまくバ
ランスされていなければならない。これらは人が管理し
てもよいが、これらの中で該吐出速度と該巻き取り速度
は、人が管理するのみでは変動して半固化状態の紡糸を
安定してローラーに巻き取ることができるような適切な
範囲から逸脱しやすいので、該範囲に自動制御されるこ
とが好ましい。
【0018】ローラーに巻き取られた紡糸は半固化状態
であり、他の紡糸と必要な溶着又は融着をした後は完全
に固化される必要がある。この半固化から完全固化まで
の工程(以下、「後固化工程」という。)はいかなる方
法で行われてもよく、例えば、紡糸が集合して形成され
たシートをローラーから取り外して別途行ってもよい
が、工程又は設備を簡単にすることからは、前記ローラ
ーに巻き取られた前記半固化状態の紡糸を、さらに前記
固化手段により固化するようにしてもよい。こうすれば
後固化工程を別途行う必要がなく、後固化工程のための
設備や作業を要さないので好ましい。このためには、例
えば、第二の本発明の製造装置が、前記固化手段とし
て、前記吐出された紡糸原液を導入して固化する固化槽
を有し、該固化槽の内部に前記ローラーを備えたもので
あってもよく、さらに具体的には、乾式紡糸法の紡糸溶
液を紡糸原液とする場合、半固化状態の紡糸を巻き取り
つつあるローラーを、該固化槽たる減圧容器中に配置し
てもよい。また、前記ローラーに巻き取られた前記半固
化状態の紡糸を、さらに前記固化手段により固化するに
は、前記固化手段が前記ローラーの外周面の少なくとも
一部に接触するようにしてもよい。具体的には、例え
ば、乾式紡糸法の紡糸溶液を紡糸原液とする場合、半固
化状態の紡糸を巻き取りつつあるローラーを固化手段た
る流通ガス(例えば、パージ空気やパージ窒素等)中に
配置し、流通ガスがローラーの外周面に接触する方法を
挙げることができる。
【0019】第二の本発明の製造方法又は装置によって
製造されるシートを構成する繊維は、前記ローラーの外
周上に半固化状態で巻き取られることで繊維間に溶着又
は融着を起こすものであればよく特に限定されない。例
えば、該繊維は、溶融紡糸法であればポリエチレン繊
維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、ポリエステ
ル繊維等を例示的に列挙することができ、乾式紡糸法で
あればアセテート繊維、アクリル繊維、ポリビニルアル
コール繊維等を例示的に列挙することができ、湿式紡糸
法であればアクリル繊維、ポリビニルアルコール繊維、
ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン等を例示的
に列挙することができる。
【0020】この中でも、銅アンモニアレーヨンをシー
トを構成する繊維とすれば、該シートはバインダー等の
不純物を含まないセルロースのみから構成することがで
きるので、使用時には吸水性、吸湿性、保水性、耐熱
性、耐有機薬品性に富み、衛生的である上に、使用後に
は容易に焼却可能でかつ細菌によって分解可能であると
いう優れたシートにすることができ、好ましい。前記繊
維を銅アンモニアレーヨンとするためには、前記紡糸原
液を銅アンモニアセルロース溶液とすればよい。前記紡
糸原液を銅アンモニアセルロース溶液とした場合には、
前記固化手段は従来から使用の紡水及び硫酸水溶液(希
硫酸)を用いることもできるが、銅イオンと錯体を形成
する錯体形成物質を含む凝固液を用いることもできる。
銅アンモニアセルロース溶液を、銅イオンと錯体を形成
する錯体形成物質を含む凝固液と接触させることで、希
硫酸を用いることなく、銅アンモニアセルロース溶液を
効率よく脱銅及び脱アンモニアし凝固させることができ
る。このため希硫酸を用いる場合には、希硫酸と接触す
る製造設備の部分に十分な耐腐食対策を要するため銅ア
ンモニアレーヨンの製造設備の建設費用及び保守費用を
増加させる問題が発生したり、皮膚等を侵す希硫酸を取
り扱う危険性の問題が発生することがあるが、これらの
問題を回避することができる。また、銅アンモニアセル
ロース溶液を該凝固液に接触させるのみで脱銅及び脱ア
ンモニアすることができるので、銅アンモニアセルロー
ス溶液から銅アンモニアレーヨンへの凝固工程を1工程
によって行うことができ、工程の簡素化に資することが
できる。
【0021】凝固液に含有される、銅イオンと錯体を形
成する錯体形成物質の濃度は、用いる錯体形成物質の脱
銅能力や該凝固液と銅アンモニアセルロース溶液との接
触時間等に応じて適宜決定されればよい。錯体形成物質
は、銅イオンと錯体を形成するものであれば特に制限な
く使用することができ、具体的には、エチレンジアミン
四酢酸、ニトリロ三酢酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、ク
エン酸を例示することができる。これらは一種単独で用
いても2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。こ
れらのものが銅イオンと錯体を形成することについて
は、前述のように文献1乃至4に詳述されている。とり
わけエチレンジアミン四酢酸は脱銅する能力が高く、脱
銅時間を短縮したり、製造される銅アンモニアレーヨン
中の残存銅を減少させることができる。また、酢酸は、
工業的に安価に大量生産され入手が容易であるので第一
の本発明を安価かつ容易に実施することが出きると共
に、毒性が少ないので安全に銅アンモニアレーヨンを製
造することができる。なお、エチレンジアミン四酢酸
(以下、「EDTA」という。)それ自身は難水溶性で
あるため、水溶性のエチレンジアミン四酢酸二水素二ナ
トリウム二水和物(以下、「EDTA−2Na」とい
う)等の塩を用いてもよい。同様に、ニトリロ三酢酸
(以下、「NTA」という)も難水溶性のため、水溶性
のニトリロ三酢酸二ナトリウム(以下、「NTA−2N
a」という)等の塩を用いてもよい。即ち、本発明にお
いて用いる錯体形成物質には、銅イオンと錯体を形成す
る、「エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、酢
酸、シュウ酸、酒石酸、及びクエン酸」の塩を用いても
よい。
【0022】第二の本発明では、前記ローラーによって
巻き取られる線速度が、前記紡糸原液が吐出される線速
度よりも大きくしてもよい。こうすることでシートを構
成する繊維が延伸されるので該繊維の強度が向上し、そ
れによって構成されるシートの強度も向上させることが
できる。前記ローラーによって巻き取られる線速度を前
記紡糸原液が吐出される線速度によって除した値として
定義される延伸比は、前記繊維の種類や紡糸方法等によ
って従来のように適宜決定されればよい。
【0023】
【実施例】以下、本発明を具体的に説明するために、実
施例及び試験例を挙げる。しかしながら、本発明は、か
かる実施例等によって何ら制限されるものではない。
【0024】(実施例1) (銅アンモニアセルロース溶液の調製)遮光のために外
面全てにアルミ箔を貼着した100ml三角フラスコ
に、水酸化銅(関東化学製、特級)2.73gと、28
重量%アンモニア水14.92gと、蒸留水27.89
gと、を順に入れた。該三角フラスコを氷水の入った水
浴で冷却しつつ、撹拌器(マグネチックスターラーを使
用した)によって1時間十分撹拌した。次に、該三角フ
ラスコにセルロースパウダー(コットンリンター、Fl
uka製、acid washed)4.48gを数回
に分割して徐々に加えた後、上記と同様に該三角フラス
コを冷却しつつ、6時間十分に撹拌した。以上のように
して、銅3.55%、アンモニア8.35%、セルロー
ス8.95%を含む銅アンモニアセルロース溶液(以
下、「CCS」という。)を得た。なお、このCCSの
調製法は従来から知られたものである。
【0025】(錯体形成物質による凝固並びに紡糸実
験)図1は、錯体形成物質による凝固実験に用いた装置
の模式図である。図1を参照して、錯体形成物質による
凝固実験の方法について説明する。100mlのビーカ
ー101には錯体形成物質の水溶液103が40ml入
れられている。ビーカー101内部には撹拌羽根105
が挿入されており、撹拌羽根105は駆動棒107によ
って、モーターとその回転数を制御する制御器と減速器
とを含む駆動器109へと連結されている。該制御器
は、撹拌羽根105が毎分1780回転で回転するよう
に調節されている。なお、図2は、撹拌羽根105を図
1中矢印Fの方向から見たところを示しており、撹拌羽
根105は、羽根先が略40mm直径の円に内接する3
枚羽根のスクリュー形状をしている。
【0026】錯体形成物質としては、EDTA−2N
a、NTA−2Na、酢酸、シュウ酸、酒石酸、クエン
酸を用い、比較例として希硫酸を用いた。それぞれ濃度
は0.005、0.01、0.03及び0.05の各モ
ル濃度(mol/L)で実験を行った(錯体形成物質に
よっては、これらのモル濃度のうち実施しなかったもの
(表1中、「−」で示した。)があったり、モル濃度
0.1(mol/L)で実験したものがある。)。な
お、EDTA−2Na及びNTA−2Naとしてはいず
れもナカライテクス製特級試薬を用い、酢酸は石津製薬
製特級試薬を用い、シュウ酸は関東化学製特級試薬のシ
ュウ酸二水和物を用い、酒石酸は関東化学製特級試薬の
DL−酒石酸(分子中の2つのキラル中心炭素が共にS
配置である(S,S)−酒石酸と、分子中の2つのキラ
ル中心炭素が共にR配置である(R,R)−酒石酸と、
の等モル混合物たるラセミ体)を用い、クエン酸は関東
化学製特級試薬のクエン酸一水和物を用い、硫酸は石津
薬品製特級試薬(97%)を用いた。また、これらの物
質を溶解させて水溶液にする際に使用する水は全て蒸留
水を用いた。
【0027】このような錯体形成物質の水溶液103が
入れられたビーカー101の内部に、上述のようにして
調製されたCCSを注射器111を用いて0.4ml線
状に注入し、注入後3分経過後、内部の固形物を引き上
げて脱銅及び形状について観察した。脱銅の具合は、該
固形物における、銅イオンが呈する青色の濃さから判断
した。なお、本実験を通じて錯体形成物質の水溶液10
3の温度はほぼ20℃であった。結果を表1に示す。な
お、表1中の脱銅の欄においては、前記固形物が全体的
に青色の場合には××とし、該固形物にわずかに青色が
抜けた部分が認められる場合には×とし、該固形物のあ
る程度の範囲に青色が認められる場合には△とし、該固
形物の中心部にわずかに青色が認められる場合あるいは
該固形物に全く青色が認められない場合には○とした。
また、表1中の形状の欄において、「糸状」とは数十m
m以上の長さの繊維であり綿ひげがほとんど認められな
いものをいい(通常、銅が抜けていない部分に多く認め
られる。)、「綿状」とは中心の長い繊維のまわりに綿
ひげが多く認められるものをいい、「塊状」とは凝固が
速いため曳糸性がなく、撹拌羽根105にかからず、糸
あるいは綿の形態をとらないものをいう。
【0028】
【表1】 表1 錯体形成物質による脱銅実験の結果 脱銅剤 濃 度 形 状 脱 銅 (mol/L) (実施例) EDTA−2Na 0.005 糸 状 ×× 0.01 糸状と綿状 × 0.03 糸状と綿状 ○ 0.05 綿 状 ○ NTA−2Na 0.005 − − 0.01 糸状 × 0.03 糸状と綿状 △ 0.05 綿状 △ 酢酸 0.005 − − 0.01 糸状 ×× 0.03 糸状と綿状 × 0.05 綿状 △ 0.1 綿状 ○ シュウ酸 0.005 − − 0.01 綿状 ○ 0.03 綿状 ○ 0.05 塊状 ○ 酒石酸 0.005 − − 0.01 綿状 ○ 0.03 綿状 ○ 0.05 塊状 ○ クエン酸 0.005 糸状と綿状 △ 0.01 糸状と綿状 ○ 0.03 綿状 ○ 0.05 塊状 ○ (比較例) 希硫酸 0.005 − − 0.01 糸状 ×× 0.03 糸状 × 0.05 糸状と綿状 × 0.1 綿状 ○
【0029】表1の結果から、従来脱銅に用いられてい
る希硫酸に比して、EDTA−2Na、NTA−2N
a、酢酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸のいずれもが脱
銅能力が高いことが明らかになった。とりわけEDTA
−2Na、酢酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸の脱銅能
力は極めて高いことが明らかになった。従って、従来脱
銅に用いられてきた希硫酸に替えて、EDTA−2N
a、NTA−2Na、酢酸、シュウ酸、酒石酸、クエン
酸を用いることが可能であることが示された。さらに、
ナトリウム置換のないEDTAについても実験を行っ
た。500mlのビーカーに約20℃の蒸留水100m
lを入れ、粉末のEDTA(ナカライテクス製特級試
薬)0.887gを加え(蒸留水100mlに完全に溶
解すれば0.03mol/Lに相当する。)、上記と同
じ撹拌羽根105(毎分1780回転)によって撹拌し
た。EDTAは難水溶性であるため、EDTAの粉末が
水中に浮遊した状態になった後、撹拌状態のまま、該ビ
ーカー内部に、上述のようにして調製されたCCSを注
射器111を用いて1.0ml線状にゆっくり注入し
た。CCS注入直後から、ビーカー内部の水溶液全体が
青色を呈し、銅が水溶液側に移行していることが示唆さ
れた。CCS注入後、5分間撹拌し、さらにCCSを注
射器111を用いて1.0ml線状にゆっくり注入し
た。その注入後、5分間撹拌し、ビーカー内部に存する
固形物を引き上げ脱銅及び形状について観察した。形状
は綿状と塊状とが認められ、脱銅は、該固形物に全く青
色が認められなかったので上記評価では○であった。な
お、このEDTAの実験を通じて、ビーカー中の水溶液
の温度はほぼ20℃であった。このことから従来脱銅に
用いられてきた希硫酸に替えて、ナトリウム置換のない
EDTAを用いることも可能であることが示された。
【0030】(実施例2) (繊維が集合したシートの製造実験)図3は一実施例の
本シート製造装置11の正面図であり、図4は図3に示
された本シート製造装置11の右側面図(図3中、矢印
A方向から見たもの)であり、図5は図3のX−X断面
図であり、そして図6は図4のY−Y断面図である。図
3乃至図6を参照して、本シート製造装置11について
説明する。
【0031】本シート製造装置11は、繊維が集合した
シートの製造装置であって、後述のように吐出された紡
糸原液を導入して固化する固化槽としての容器13と、
容器13の内部に紡糸原液(ここではCCS)を連続的
に吐出する吐出手段たる注射器15と、容器13の内部
に回転自在に軸支され、該紡糸原液を巻き取るローラー
17と、ローラー17を回転させるための駆動手段たる
駆動器19と、ローラー17の外周面の少なくとも一部
に接触するように(本実施例では、該外周面の全部に接
触するようになっている)容器13内部に存在する、該
紡糸原液を固化(凝固)させる固化手段たる凝固液21
と、該紡糸原液が半固化状態でローラー17に巻き取ら
れるように、ローラー17の回転速度を調節する調節手
段たる調節器23と、を有する。なお、本実施例では駆
動器19と調節器23とは同じケーシング内に収容され
ているが、調節器23は、駆動器19のケーシングの外
部に独立別個に設けて両者をケーブル等によって接続し
てもよい。
【0032】容器13は、円筒部分と該円筒の両開口を
塞ぐための2枚の円盤部分とを有し、該円筒部分と該2
枚の円盤部分とによって円柱状の内部空間(内径66m
m)が形成されている。容器13は、該円筒部分の上部
に液入口13aと該円筒部分の下部に液出口13bとを
有する。液入口13aと液出口13bとはいずれも該円
筒の内部と外部とを連通させるようになっており、いず
れもノズル状に形成されている。後述のように、固化手
段たる凝固液21が液入口13aから該内部空間へと注
入され、液出口13bから排出される。なお、図示して
いないが、容器13の最上部には空気抜き孔(直径1.
5mmの円形の開口)が設けられており、凝固液21に
よって容器13の内部空間が完全に満たされるようにな
っている。なお、容器13を形成する材料は凝固液21
に対して安定なものを使用することが好ましく、ここで
はアクリル樹脂を用いた。また、図示していないが、容
器13を構成する前記円筒部分と前記2枚の円盤部分と
は別体であり、前記円筒部分と前記2枚の円盤部分とは
ねじ止めによって固定されているので、ねじをゆるめた
り締めたりすることで容器13を自由に分解したり組み
立てることができる。このためローター17の取り替え
や修理等を簡単に行うことができる。
【0033】注射器15(ポリエチレン製)は、その内
部(注射器15のシリンダーとピストンとによって形成
されている)に上記のCCSが満たされると共に、それ
に装着された注射針15a(ステンレス鋼製)は容器1
3の壁を貫通し注射針15aの先端は容器13の前記内
部空間に位置している。このため注射器15のピストン
をシリンダーに押し込むと、CCSが注射針15aを通
って容器13の前記内部空間へと注入され、容器13の
内部に紡糸原液を連続的に吐出することができる。な
お、注射針15aの先端は、注射針15aの長手方向に
対して垂直な面によって切断されており、注射針15a
の先端内周の全ての位置において同じ状態でCCSが吐
出されるようになっているさらに、注射針15aの内径
は0.84mmのものを使用し、注射針15a先端から
の吐出方向は鉛直方向下向きとし、該吐出方向の延長線
がローラー17のローラー本体部17a(後述する)の
外周面へ略接するようにした。このとき該延長線と該外
周面との接点と注射針15a先端との距離は15mmで
あった。また、注射針15aが容器13の壁を貫通して
いる部分は、注射針15aと容器13の壁との間から凝
固液21が漏出しないように液密的に構成されている。
【0034】ローラー17は、円柱形状のローラー本体
部17aと、ローラー本体部17aの円柱軸方向の両端
に取り付けられたローラー円盤部17bと、からなる。
2枚のローラー円盤部17bの中心がローラー本体部1
7aの中心軸上に位置するようにローラー円盤部17b
とローラー本体部17aとは取り付けられている。ロー
ラー円盤部17bの直径(図5中、C:ほぼ60mm)
は、ローラー本体部17aの直径(図5中、B:ほぼ5
2mm、なお円柱軸方向の長さは28mm)よりも大き
いので、ローラー円盤部17bの縁部がローラー本体部
17aの外周面よりも突出しており、紡糸をローラー1
7が巻き取る際に紡糸がローラー本体部17aから外れ
ることを該縁部が防止する。なお、ローラー本体部17
aとローラー円盤部17bとのいずれもポリ塩化ビニル
樹脂によって形成されている。一方、ローラー17の中
心には、ローラー本体部17aの中心軸とその軸を一致
させるように円柱形の貫通孔17dが形成されている。
貫通孔17dには、ステンレス鋼製円柱棒状の駆動軸2
5が遊嵌されており、駆動軸25の所定部分に形成され
た雄ねじ(図示せず)と螺合したナット17p、17q
によってローラー17を両側から締め付けることで駆動
軸25に対してローラー17を固定している。従って、
駆動軸25を回転させることでローラー17を回転させ
ることができる。
【0035】駆動軸25は、容器13の壁に取り付けら
れた液密的な軸受け(図示せず)によって軸支され該壁
を貫通している。従って、ローラー17は駆動軸25に
よって容器13の内部に回転自在に軸支されている。駆
動軸25の、容器13の外側に存在する端部には、ロー
ラー17を回転させるための駆動器19(駆動手段)が
連結されている。本実施例では、図示しないが、駆動器
19は、モーターと、モーターの回転速度を減速するた
めの減速器と、を有するが、ローラー17の必要回転数
とモーター回転速度との関係によっては減速器を介さず
にモーターの回転軸にローラー17を直結してもよいこ
とはいうまでもない。以上のように、駆動器19が回転
すると、駆動軸25を介してローラー17が回転する
(ローラー17の回転方向は、図6中、反時計回りの方
向である。)。そして駆動器19(該モーター)は、ロ
ーラー17の回転速度を調節する調節器23(調節手
段)に接続されている。調節器23は駆動器19と一緒
のケーシングに収容されている(調節器23は、駆動器
19のケーシングの外部に独立別個に設けて両者をケー
ブル等によって接続してもよいことは前述の通りであ
る)。調節器23の具体的構成は種々のものが既知であ
るのでここでは説明を省略する。調節器23によって駆
動器19の回転数が一定に保たれ、ローラー17の回転
数も一定に保たれることから、注射器15によって吐出
された紡糸原液が安定して半固化状態でローラー17に
巻き取られるようにすることができる。なお、ここでは
調節器23はローラー17の回転数を一定に保つのみで
あるが、吐出手段たる注射器15の吐出量(単位時間当
たりの吐出量)も一定に保つようにしてもよい。注射器
から定量吐出を保つための装置及び方法は様々なものが
知られており、適宜これらから選択して使用すればよ
い。
【0036】吐出手段たる注射器15から吐出された紡
糸原液を固化させる固化手段たる凝固液21として、E
DTA−2Naを蒸留水に溶解させて調製した0.03
mol/LのEDTA−2Na水溶液を用いた。凝固液
21は、液入口13aから容器13の内部空間へと注入
され液出口13bから排出されるようになっており、注
入された状態ではローラー17等を除いた該内部空間を
満たす。従って、凝固液21は、ローラー17の外周面
の全部に接触するようになっており、注射器15(注射
針15a先端)から吐出されローラー17に至るまでの
紡糸原液(CCS)を固化(凝固)させ半固化状態にす
ると共に、ローラー17に巻き取られた半固化状態の紡
糸をさらに固化させる。
【0037】次に、本シート製造装置11の使用方法、
即ち本シート製造方法について説明する。まず第一に、
液出口13bをゴム栓(図示せず)によって閉鎖し、凝
固液21(0.03mol/L、EDTA−2Na水溶
液)を液入口13aから容器13の内部空間へと略10
0ml注入し、該内部空間を凝固液21により満たし
た。次いで第二に、駆動器19を起動し、調節器23を
調節してローラー17の回転速度を所定回転速度にし
た。ここでは該所定回転速度は、75回転/分、150
回転/分、300回転/分、600回転/分、1200
回転/分の5種類とした。そして第三に、前記所定回転
速度でローラー17を回転させた状態で、注射器15か
ら1mlのCCSを所定吐出速度で吐出した。該所定吐
出速度は、注射針15a先端からの吐出速度が線速度と
して2.2mm/秒と8.7mm/秒との2種類であっ
た。従って、ローラー17によって巻き取られる線速度
は、CCS(紡糸原液)が吐出される線速度よりも常に
大きくなっている(ローラー17によって巻き取られる
最小の線速度はローラー回転数75回転/分のときのほ
ぼ204mm/秒であり、CCSが吐出される最大の線
速度8.7mm/秒よりも大きい。)。注射針15a先
端から吐出されたCCSは、半固化状態でローラー17
のローラー本体部17aの外周面に巻き付き、該外周面
に次第に重なって巻き取られていった。半固化状態のC
CSの紡糸は、ローラー17への巻き取り位置がローラ
ー17の幅方向に自然に移動しながら巻き取られてゆ
き、CCSの吐出が完了した際には、ローラー本体部1
7aの外周面全体がほぼ均一な紡糸によって覆われてい
た。さらに第四に、CCSの吐出完了後、前記所定回転
速度のままローラー17を5分間回転させた後、液出口
13bを閉鎖しているゴム栓(図示せず)を取り外し凝
固液21を容器13の内部空間から排出した。そして液
出口13bをゴム栓(図示せず)によって再び閉鎖し、
新しい凝固液21(0.03mol/L、EDTA−2
Na水溶液)を液入口13aから容器13の内部空間へ
略100ml注入した。新しい凝固液21によって容器
13の内部空間を満たした状態で、前記所定回転速度で
ローラー17を5分間回転させた後、液出口13bを閉
鎖しているゴム栓(図示せず)を取り外し凝固液21を
容器13の内部空間から排出した。なお、注射器15か
らCCSを吐出開始から該新しい凝固液21を容器13
から排出するまで、凝固液21の温度はほぼ20℃であ
った。そして第五に水洗を行った。水洗は、液出口13
bをゴム栓(図示せず)によって再び閉鎖し、蒸留水を
液入口13aから容器13の内部空間へ略100ml注
入し、蒸留水によって容器13の内部空間を満たした状
態で、前記所定回転速度でローラー17を5分間回転さ
せた後、液出口13bを閉鎖しているゴム栓(図示せ
ず)を取り外し洗浄水を容器13の内部空間から排出す
ることにより行った。この水洗操作を3回行った後、ロ
ーラー17に巻着した生成物をそのままの状態で室温下
2日間風乾した。得られた生成物は、上記いずれの条件
においても銅アンモニアレーヨンの繊維同士が溶着した
不織布様の、繊維が集合したシートであった。なお、ロ
ーラー17の回転速度が150回転/分以上の場合に
は、ローラー17の回転軸方向に沿って非常にうまく繊
維が均一に分布していたので、ローラー17の回転速度
を150回転/分以上にすることが好ましいことも明ら
かになった。なお、図示しないが得られたシート中の繊
維組織を走査型電子顕微鏡で観察したところ、繊維同士
がところどころで溶着した構造をとっており、バインダ
ー等を用いることなく繊維が強靱に集合した構造になっ
ていた。このことより本シート製造装置11及び本シー
ト製造方法によって、不織布様の、繊維集合シートを形
成できることが示された。さらに、凝固液21として、
NTA−2Na(0.03mol/L水溶液)、酢酸
(0.1mol/L水溶液)、クエン酸(0.03mo
l/L水溶液)、酒石酸(0.03mol/L水溶
液)、シュウ酸(0.03mol/L水溶液)、硫酸
(0.01及び0.03mol/Lの両濃度の水溶液)
を用いてそれぞれ同様に実験したが、いずれも0.03
mol/L、EDTA−2Na水溶液を用いたのと同
様、銅アンモニアレーヨンの繊維同士が溶着した不織布
様の、繊維が集合したシートを得ることができた。な
お、これら凝固液21を調製するための試薬や水等は、
錯体形成物質による凝固並びに紡糸実験と同じものを用
いた。
【0038】得られた繊維集合シートを構成する繊維の
分子配向の程度を評価するために複屈折率の測定を行っ
た。複屈折率は、試料の光学異方性の度合いを表す尺度
であり、繊維中の高分子の配向が繊維軸に平行になるほ
ど、即ち高配向になるほど大きくなる。まず、得られた
繊維集合シート(凝固液21として0.03mol/
L、EDTA−2Na水溶液を用いたもの)は円筒状で
あるため、該円筒の中心軸と平行に該シートを切開し
た。この切開されたシートの略中央部分を切り出し試料
とした。屈折率測定において光の散乱や形態複屈折を減
少させるため、セルロースの屈折率(1.54)に近い
屈折率(1.538)を有するベンジルアルコールに試
料を浸漬し、その状態でコンペンセータ(オリンパス光
学工業社製、Berek型)を用いて測定した。結果を
図7に示す。図7は、横軸に延伸比(即ち、ローラー1
7によって巻き取られる線速度を注射針15aからCC
Sが吐出される線速度によって除した値)を、縦軸に複
屈折率(×100)(無次元)をとったもので、白丸の
プロットは注射針15aからCCSが吐出される線速度
8.7mm/秒のものをそして黒丸のプロットは該線速
度2.2mm/秒のものを示している。図7は、延伸比
が増加するにつれて、複屈折率も増加することを示して
おり、延伸比増加によって繊維中の分子配向が高まり、
繊維強度が高まりさらにシート強度も向上することを示
唆している。
【0039】得られた繊維集合シートに残存する銅を定
量するため、シートから切り出した試料50mgを10
0mlビーカーに入れ、ホットプレート上で蒸留水約
2.5mlと61%硝酸約5mlと61%過塩素酸約
2.5mlとを順次加えた。その後、ほぼ乾固する直前
まで加熱分解させ、36%塩酸と蒸留水とを体積比で
1:1に混合調製したものを2ml加え、銅を塩化物に
した。その溶液を50mlになるように蒸留水によって
希釈し、高周波誘導結合プラズマ発光装置(ICP、セ
イコー電子工業社製、型番SPS1200VR)を用い
て定量した。種々の凝固液21を用いて得られたシート
について含まれる銅を定量した。分析結果を表2に示
す。なお、表2の分析に用いた繊維集合シートは、全て
が注射針15a先端からのCCS吐出速度(線速度)が
8.7mm/秒によって製造されたものを用いた。な
お、表2中のpHは、20℃におけるものを示した。
【0040】
【表2】 表2 繊維集合シート中の銅濃度測定結果 凝固液 濃 度 pH ローラー回転速度 銅濃度 (mol/L) (回転/分) (ppm) EDTA−2Na 0.03 4.6 150 34 600 14 1200 18 NTA−2Na 0.03 6.9 600 10 酢酸 0.1 2.7 600 63 クエン酸 0.03 2.3 600 37 酒石酸 0.03 2.3 600 35 シュウ酸 0.03 1.7 600 120 希硫酸 0.01 1.8 600 310 0.03 1.4 600 100
【0041】表2より、従来使用の凝固液である硫酸の
水溶液(0.03mol/L)に比して、EDTA−2
Na(0.03mol/L水溶液)、NTA−2Na
(0.03mol/L水溶液)、酢酸(0.1mol/
L水溶液)、クエン酸(0.03mol/L水溶液)及
び酒石酸(0.03mol/L水溶液)のいずれも極め
て高い脱銅能力を有することが、そしてシュウ酸(0.
03mol/L水溶液)は硫酸の水溶液(0.03mo
l/L)と略同等の脱銅能力を有することが明らかにな
った。このことから銅アンモニアレーヨンを製造する際
の凝固液として、従来使用の希硫酸に替えて、EDTA
−2Na、NTA−2Na、酢酸、クエン酸及び酒石
酸、シュウ酸を用いることができることが示された。こ
のことは表1の結果と同様である。なお、ここでは示し
ていないが、用いる凝固液のpHは中性域以下である方
が効果的に脱銅可能であることも明らかになった。即
ち、凝固液のpHは、好ましくは9以下であり、より好
ましくは8以下であり、最も好ましくは7.5以下であ
る。
【0042】得られた繊維集合シートのうち、凝固液と
してEDTA−2Na(0.03mol/L水溶液)、
クエン酸(0.03mol/L水溶液)及び酒石酸
(0.03mol/L水溶液)を用いたもの(注射針1
5a先端からのCCS吐出速度(線速度)が8.7mm
/秒で、ローラー17の回転速度600回転/分のもの
を用いた)3種類について広角X線回折写真を撮影し
た。得られた繊維集合シートをその繊維方向がほぼ平行
になるように束ねたものを用いた。なお、広角X線回折
写真は、Niで濾波したCuKα線(波長:0.154
18nm)によって平板カメラによって撮影された。回
折点の格子面間隔を算出するための内部標準としてシリ
コン結晶粉末を用いた。なお、シリコン結晶粉末を内部
標準とした手順は、まず、シリコン結晶粉末がそれに対
して貧溶媒であるアセトンに懸濁され、その懸濁液がス
ポイトによって繊維集合シートに適量滴下され、その
後、アセトンが蒸発した後に該繊維集合シートが広角X
線回折写真撮影に供されることによった。上記3種類の
凝固液を用いて得られた繊維集合シート3種類全てにつ
いて次のことが認められた。広角X線回折写真の回折図
形に認められる赤道反射には、2θ=12.0度、1
9.7度、21.6度(ただし、θはブラッグ角を示
す。)のものがあった。ここにセルロース繊維は、c軸
を繊維軸として格子定数a=0.801nm、b=0.
904nm、c=1.036nm、γ=117.1度の
単斜結晶系空間格子であるセルロースII結晶(Kol
packらによる、F.J.Kolpack and
J.Blackwell,Macromolecule
s,9,273(1976))を通常形成するが、上記
2θが12.0度のものはセルロースII結晶のミラー
指数(1 −1 0)に(ミラー指数が負の場合は、通
常その数字上部に線引きして表すが、上線付けが困難で
あるため「−1」とした)、19.7度のものはミラー
指数(110)に、21.6度のものはミラー指数(0
20)に、それぞれ指数付けすることができた。このこ
とから得られた繊維集合シートはセルロース繊維によっ
て形成されていることが確認された。また、撮影された
広角X線回折写真からは、延伸比の増加に従って結晶の
配向度も上昇する傾向が見られた(例えば、最も内側に
観察される前述の2θ=12.0度の赤道反射の強度分
布が、延伸比の増加に伴って次第に繊維軸に対して垂直
な方向に集中してくること等が認められた。)。
【図面の簡単な説明】
【図1】錯体形成物質による凝固実験に用いた装置の模
式図である。
【図2】図1に示した装置に用いた撹拌羽根を図1中矢
印Fの方向から見たところを示す底面図である。
【図3】一実施例の本シート製造装置の正面図である。
【図4】図3に示された本シート製造装置の右側面図で
ある。
【図5】図3のX−X断面図である。
【図6】図4のY−Y断面図である。
【図7】延伸比と複屈折率との関係を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
11 本シート製造装置 13 容器(固化槽) 13a 液入口 13b 液出口 15 注射器 15a 注射針 17 ローラー 17a ローラー本体部 17b ローラー円盤部 17d 貫通孔 17p、17q ナット 19 駆動器 21 凝固液(固化手段) 23 調節器 25 駆動軸 101 ビーカー 103 錯体形成物質の水溶液 105 撹拌羽根 107 駆動棒 109 駆動器 111 注射器

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】銅アンモニアレーヨンの製造方法であっ
    て、 銅アンモニアセルロース溶液を、銅イオンと錯体を形成
    する錯体形成物質を含む凝固液と接触させ凝固させるこ
    とを特徴とする、方法。
  2. 【請求項2】前記錯体形成物質が、エチレンジアミン四
    酢酸、ニトリロ三酢酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、クエ
    ン酸及びそれらの塩よりなる群より選択されるいずれか
    少なくとも1種である、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】繊維が集合したシートの製造方法であっ
    て、 紡糸原液を連続的に吐出し、 該紡糸原液を固化させる固化手段によって、該吐出され
    た紡糸原液を半固化状態にし、 該半固化状態の紡糸をローラーに巻き取るものである、
    方法。
  4. 【請求項4】前記ローラーに巻き取られた前記半固化状
    態の紡糸を、さらに前記固化手段により固化する、請求
    項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】前記固化手段が前記ローラーの外周面の少
    なくとも一部に接触するものである、請求項3又は4に
    記載の方法。
  6. 【請求項6】前記繊維が銅アンモニアレーヨンであり、
    前記紡糸原液が銅アンモニアセルロース溶液である、請
    求項3乃至5のいずれかに記載の方法。
  7. 【請求項7】前記固化手段が、銅イオンと錯体を形成す
    る錯体形成物質を含むものである、請求項6に記載の方
    法。
  8. 【請求項8】前記錯体形成物質が、エチレンジアミン四
    酢酸、ニトリロ三酢酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、クエ
    ン酸及びそれらの塩よりなる群より選択されるいずれか
    少なくとも1種である、請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】前記ローラーによって巻き取られる線速度
    が、前記紡糸原液が吐出される線速度よりも大きいもの
    である、請求項3乃至8のいずれかに記載の方法。
  10. 【請求項10】請求項3乃至9のいずれかに記載の方法
    に用いられる、繊維が集合したシートの製造装置。
  11. 【請求項11】前記固化手段として、前記吐出された紡
    糸原液を導入して固化する固化槽を有し、 該固化槽の内部に前記ローラーを備えるものである、請
    求項10に記載の装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009011804A (ja) * 2007-07-06 2009-01-22 Korea Inst Of Science & Technology 人工血管用二重膜構造のチューブ型多孔性スキャフォールド及びその製造方法

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JP4499143B2 (ja) * 2007-07-06 2010-07-07 コリア インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー 人工血管用二重膜構造のチューブ型多孔性スキャフォールド及びその製造方法

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