JP2000334461A - 貯置型強電解水生成装置およびその受器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 原水と食塩を事前に混合する保存タンクか
ら、通電時開放型電磁弁を介して高電導水を電解槽に供
給することにより、少量の強電解水を得る。 【構成】 保存タンク１には一定組成の塩化アルカリ化
合物を混合した高電導水が保存され、装置は使用可能状
態となる。タンク１から流出する高電導水は水位センサ
３、通電時開型電磁弁４を介して電解槽５に流入し、強
い電気分解を受ける。そして陰極室８および陽極室１０
の吐水口１４および１５から装置内部に載置した受器に
吐水する。１１はドレンコックで、水位センサから通電
時開型電磁弁に至る配管１２、電解槽５の底部配管１３
および、通電時開型電磁弁４の電解槽側端と結ばれ、該
部にある高電導水を排水口１８をもって排水できるもの
である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、使用原水の水質に
影響されない貯置型強電解水生成装置に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】水道水などの原水に食塩などの電解質を
一定の割合で添加して密閉された電解槽に導入し、電解
槽内のイオン浸透性隔膜を介して分離した極室の陰陽極
間に直流電流を通電して、水の電気分解およびイオン浸
透作用を行い、陰極側には陰極水を、陽極側には陽極水
を生成し、陰極水は排水し、陽極水を殺菌性水として使
用する強電解水生成装置がある。

【０００３】強電解水は消毒、殺菌水として効果のある
ことは良く知られている。例えば、特開平６−２９２７
１１号公報において、原水に食塩を添加して生成される
低ｐＨの陽極水は消毒、殺菌水として効果あるものとさ
れている。しかも、この強電解水には有機殺菌液のよう
な殺菌性のある薬剤を投入しないため、有害な物質を含
まず、薬剤の残留性がないため信頼のできる消毒、殺菌
水となっている。

【０００４】このような強電解水を連続的に生成するに
は水道水などの原水に対して電解質、例えば、食塩を常
時補給しなければならず、しかも、原水の性質に合わせ
電解質を一定の割合で添加するなどの複雑な操作を必要
とする。

【０００５】元々、原水の組成は一定ではない。地域
性、つまり該地域の気象条件によって変わるだけではな
く、季節、時間帯によっても刻々変化する。水道水など
の原水の殆どは河川などの地表水に起因するもので、海
水が蒸発して雨水となり地中に浸漬したものである。従
って、蒸発の過程で海水中に含まれている物質が蒸発と
共に、もしくは飛散によって混入して上記原水中に含ま
れる。また、地中で岩石などから溶出した成分も含まれ
る。原水などにはこのような生因の各種イオン、例え
ば、塩素イオンや硫酸イオンなどのアニオンやナトリウ
ムや鉄などのカチオンが含まれている。また、殺菌のた
め塩素を添加することもよく知られている。添加された
塩素の一部は解離し、Ｃｌイオンや次亜塩素酸イオンを
生成する。これらの物質も原水に溶解し、常時その溶解
度は変動している。

【０００６】このような常時変動する原水に対して電解
質を一定の割合で添加しても原水の伝導度は一定に定ま
ることは希で、電解の結果生成する電解吐水も一定の性
状に定まらず絶えず変化する。このため、吐水配管にＯ
ＲＰ計やｐＨ計などの測定器を設けて、マニアルもしく
は制御回路をもって所望する電解度の範囲に制御し、所
定の範囲の吐水を利用に供すると共に、所望する電解度
以外の吐水は排水している。このように、従来の強電解
水生成装置は各種の測定装置を設けているため高価なも
のとなり、家庭用として使用するのには使用し難いもの
であった。

【０００７】他方、家庭において、例えば、まな板や食
器洗浄、布巾の洗浄や手洗い用、うがい用の消毒、殺菌
水などとして、容易に造れながら、薬液をふくまない強
電解水の使用が所望されている。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、原水
の性状を一定にするために、原水と食塩を事前に混合
し、混合した高電導水を収容可能とする保存タンクと、
該タンクから流出する高電導水を感知する水位センサと
未使用時は閉塞し、通電と共に開放する通電時開放型電
磁弁を介して高電導水を電解槽に供給し、強電解水を生
成すると共に、電解槽から吐出する陰陽極水を受ける受
器を載置できる受器載置スペースを該生成装置に設ける
ことにより、家庭に置いて比較的僅かに用いるのに好適
な据置型強電解水生成装置を提供しようとするものであ
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１の貯置
型強電解水生成装置は、原水に塩化アルカリ化合物を混
入して原水の電解度を高めた高電導水を、イオン透過性
隔膜で分割した陰電極を挿入した陰極室と陽電極を挿入
した陽極室との陰陽電極間に直流電圧を印加する電解槽
に導入して電気分解する装置において、上記高電導水は
タンクに保存され、該高電導水は水位センサおよび通電
時開放型電磁弁を介して電解槽に供給されると共に、電
解槽底部および上記水位センサから通電時開放型電磁弁
に到る管路から分岐した夫夫の管路が共通のドレン弁に
配管されていることを特徴とする。

【００１０】本発明の請求項２の貯置型強電解水生成装
置は、前記通電時開放型電磁弁は非通電時は閉塞し、通
電時のみ開放することを特徴とする。

【００１１】本発明の請求項３の貯置型強電解水生成装
置は、請求項１記載の貯置型強電解水生成装置であっ
て、電気分解して得た陰陽極水を受ける受器を載置でき
る受器載置スペースが該生成装置に設けられていること
を特徴とする。

【００１２】本発明の請求項４の貯置型強電解水生成装
置は、タンク内から流出する電解質の量を一定にする水
圧動作型流量制御弁が設けられていることを特徴とす
る。

【００１３】

【発明の実施の形態】本発明では、電解槽に供給される
高電導水は原水に所定の塩化アルカリ化合物を混合する
ことにより、その伝導度がほぼ一定に保持された状態で
保存タンクに保存されている。タンクから電解槽に排出
する高電導水はタンク下方部に配設した水位センサによ
ってその有無が確認され、配管を流れる流量に対応する
電流が電解槽の陰陽極間に印加される。この結果、電解
槽から吐出される電解液の電解度は一定となる。更に、
水位センサと電解槽間に配設された通電時開放型電磁弁
は非通電時や電源切断時は閉塞し、通電時のみ開放する
ことにより、通電時のみタンク内の高電導水が電解槽に
供給され、生成装置に設けた受器載置スペースに載置し
た受器に所定量の電解水を吐出できるものである。

【００１４】

【実施例】図１および図２は本発明に関わる据置強電解
水生成装置の動作説明図および要部斜視図である。

【００１５】１は高電導水の保存タンクで、電解槽に供
給される高電導水は原水に所定の塩化アルカリ化合物を
混合して、その電気伝導度がほぼ一定になるように生成
される。例えば、水道水などの原水に１００〜１，００
０ｐｐｍの食塩を溶解しておく。このような所定の濃度
の高電導水が保存タンクに貯水された状態で装置は使用
可能状態となる。

【００１６】２はストレーナであり、３は水位センサで
ある。水位センサは保存タンクに前記高電導水が存在す
るときのみ機器を作動させるためと、高電導水の伝導度
を計測するためのもので、相臨んだ２枚の金属片から構
成されている。４は通電時開型電磁弁で非通電時は閉塞
し、通電時のみ開放する。５は電解槽でイオン透過性隔
膜６で分割し陰電極７を挿入した陰極室８と陽電極９を
挿入した陽極室１０とをもち、陰陽電極間に直流電圧を
印加して電解槽５に導入した高電導水を電気分解するた
めのものである。１１はドレンコックで、水位センサか
ら通電時開型電磁弁に至る配管１２、電解槽５の底部配
管１３、および、通電時開型電磁弁４の電解槽側端と結
ばれ、該部にある高電導水を排水口１８をもって排水で
きるものである。１４および１５は陰極室８および陽極
室１０の吐水口で、装置内に開口している。１６は制御
回路であり、制御回路１６には前記水位センサ３からの
情報信号を受けると共に、通電時開型電磁弁４、電解槽
５の通電制御を行う。また、少なくとも装置の作動スイ
ッチ、表示ランプなどが付設している。１７は電解槽５
へ電流を印加するための制御システムに電力を供給する
ためのトランスであり、該電源は商業電力をもって供給
される。尚、１９はサイホン作用による電解槽内の吐水
を防ぐガス抜き配管であり、図の構成以外に電解槽自体
から開孔して抜くこともできる。

【００１７】いま、保存タンク１に所定量の高電導水を
保存し、通電時開型電磁弁を開状態、つまり、電解水生
成状態にすると、高電導水は通電時開型電磁弁４を介し
て底部配管１３から電解槽５に流れ陰陽電極間に印加し
た直流電流より電気分解されて、陰極室吐水口から陰極
水が、陽極室吐水口から陽極水が、夫夫の吐水口１４お
よび１５から吐水する。これらは夫夫の受器３１、３２
に受取り使用することができる。

【００１８】この状態で吐出する陽極水は通常ｐＨ２．
８、酸化還元電位（ＯＲＰ）１０５０程度を示し、消
毒、殺菌水として十分に機能する。この際、同時に吐出
する陰極水は容器に受け取った後、排水する場合もある
が、ｐＨ１２以上を確保できるので高ｐＨを要求される
各種用途、例えば、酸の中和剤等として使用できる。本
装置においては、陽極水に混合して排水することによ
り、排水のｐＨを中性とすることができる。

【００１９】高電導水が所定の塩分を含まぬときや電解
槽を空にしたいときにはドレンコックを開にして該高電
導水を排除することができる。

【００２０】ところで、上記高電導水はタンクが満杯の
場合にはその圧力高に相当する水圧をもって、また、タ
ンクが殆ど空の場合には水圧が殆ど懸からぬ状態で高電
導水は電解槽に流入する。このような、タンクが満杯の
場合も、また、タンクが殆ど空の場合も同じ電解度をも
って電解槽を操作するとき、電解槽から吐出する電解水
は初期の目的に反する水となり、殺菌効果のない水が吐
水される虞れがある。

【００２１】このような場合の対策として、同じ出願人
による特願平６−２３０４９６号公報記載のように、タ
ンク外部からタンク内にある高電導水の水位を測定する
ことによって、タンクの水位に併せて最適な電圧を電解
槽に加え、電解槽の電解強度を可変する印加電圧可変手
段をもって、調整することができる。すなわち、高電導
水を保存するタンクの外面に密着するように一対の電極
を設けて、電極間に高周波測定電圧を印加し、タンク内
の高電導水の誘電率の変化によるインピーダンスの変化
の度合いから高電導水の存在量を測定することができ
る。この場合、センサをタンク内部に入れる必要がない
のでセンサの電極は塩水に侵されることがなく、長期に
亘る使用において、常に確実に水位を測定することがで
きる。また、電解槽から吐水される陽極水は衛生的であ
る。

【００２２】これとは別に図３に示した機械的方法をも
ってタンク内から吐出する高電導水を一定にすることが
できる。

【００２３】図３において、保存タンク１−１には水圧
動作型流量制御弁２１が設けられている。該流量制御弁
２１にはその底部に水圧で動作するダイアフラム２２を
もってなるニードル弁２３が発弾性部材２４を介して設
けられている。他方タンク内の底部２５からニードル弁
２３を通過する配管１２−１が設けられ、配管１２−１
を通る電解質溶液は流量調節弁２３の円錐接触面２６で
制御されるものである。なお、２７はパッキング部材で
あり、２８は通気孔である。

【００２４】すなわち、保存タンク１−１に大量の高電
導水が保存されているときには、ダイアフラム２２にそ
の水圧がかかり、発弾性部材２４に抗して、ニードル弁
２３を押し下げる。この結果、円錐接触面２６の隙間が
殆どなくなり、配管１２−１を通過する高電導水の流れ
を抑制する。これに反して、保存タンク１−１の電解質
溶液が殆ど空の場合には、ダイアフラム２２には水圧が
かからず、発弾性部材２４は開放されてニードル弁２３
を押し上げる。この結果、円錐接触面２６の隙間が広が
り、配管１２−１を通過する高電導水の流れは増加す
る。つまり、タンクに保存されている高電導水の量によ
り、自動的に配管１２−１を通過する高電導水を制御す
ることができる。

【００２５】図１および図２に示した装置で生成される
強電解水は開放状態に長時間放置すると次第に効力が低
下する。とりわけ、空気との接触、光の透過、温度には
敏感である。このため、上記装置で生成された強電解水
は生成と共に使いきるか、使う量を生成することが望ま
しい。然し乍ら、余剰の強電解水が生成される可能性が
ある。このような場合は専用の受器をもって保存するこ
とが望ましい。

【００２６】図４はこのような場合に用いる受器を示す
図である。尚、受器は陰極水受器３１、陽極水受器３２
用として共通に使用できるものである。

【００２７】図４において、受器３２はその全体が耐
酸、耐アルカリ性遮光性部材から形成され、受器胴部３
３には開閉自在の蓋３４が形成されている。蓋の中央部
には開口部３５が設けられ、吐水口１４、１５が貫通状
態で吐水可能となっている。また、受器胴部３３には強
電解水の流入によって浮くテフロン中空成形加工などに
よる浮き蓋３６が設けられ、その中央部に開口した透孔
３７から強電解水が流入する。浮き蓋３６は受器胴部３
３の下方部内周面に設けられたストッパー３８まで受器
胴部を強電解水の利用に合わせて自在に上下するもので
ある。また、注ぎ口３９先端部にも開放蓋４０が設けら
れている。

【００２８】このような受器に保存された強電解水は空
気との接触、光の透過を可及的に少なくして、余剰の強
電解水を比較的安定に保存することを可能とする。

【００２９】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、原水と食
塩を事前に混合し、原水の性状を一定にして収容可能と
する保存タンクと、該タンクから流出する高電導水を感
知する水位センサと未使用時は閉塞し、通電と共に開放
する通電時開放型電磁弁を介して高電導水を電解槽に供
給し強電解水を生成すると共に、電解槽から吐出する陰
陽極水を受ける受器を載置できる受器載置スペースを該
生成装置に設けることにより、少量の強電解水が容易
に、しかも、安価に得ることができる。

【００３０】上記構成の装置は部品点数が少なく、長期
に亘って安定して動作するので、装置をメイテナンスフ
リーとして動作させることが可能になる。しかも装置全
体をコンパクトに構成することができ、設置後の維持管
理においても、点検修理等が容易にできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に関わる据置強電解水生成装置の動作説
明図である。

【図２】本発明に関わる据置強電解水生成装置の要部斜
視図である。

【図３】本発明のタンク内から吐出する電解質溶液量を
一定にする水圧動作型流量制御弁を示す図である。

【図４】本発明の受器を示す図である。

【符号の説明】

１ 保存タンク ２ ストレーナ ３ 水位センサ ４ 通電時開型電磁弁 ５ 電解槽 １１ ドレンコック １２ 配管 １３ 底部配管 １４ 陰極室吐水口 １５ 陽極室吐水口 １６ 制御回路 ２１ 水圧動作型流量制御弁 ３２ 受器

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 原水に塩化アルカリ化合物を混入して原
   水の電解度を高めた高電導水を、イオン透過性隔膜で分
   割した陰電極を挿入した陰極室と陽電極を挿入した陽極
   室との陰陽電極間に直流電圧を印加する電解槽に導入し
   て電気分解する装置において、 上記高電導水はタンクに保存され、該高電導水は水位セ
   ンサおよび通電時開放型電磁弁を介して電解槽に供給さ
   れると共に、電解槽底部および上記水位センサから通電
   時開放型電磁弁に到る管路から分岐した夫夫の管路が共
   通のドレン弁に配管されていることを特徴とする貯置型
   強電解水生成装置。
2. 【請求項２】 前記通電時開放型電磁弁は非通電時は閉
   塞し、通電時のみ開放することを特徴とする請求項１記
   載の貯置型強電解水生成装置。
3. 【請求項３】 請求項１記載の貯置型強電解水生成装置
   であって、電気分解して得た陰陽極水を受ける受器を載
   置できる受器載置スペースが該生成装置に設けられてい
   ることを特徴とする貯置型強電解水生成装置。
4. 【請求項４】 請求項１記載の貯置型強電解水生成装置
   であって、タンク内から流出する電解質の量を一定にす
   る水圧動作型流量制御弁が設けられていることを特徴と
   する貯置型強電解水生成装置。