JP2000333289A - 音響制御方法 - Google Patents

音響制御方法

Info

Publication number
JP2000333289A
JP2000333289A JP11138256A JP13825699A JP2000333289A JP 2000333289 A JP2000333289 A JP 2000333289A JP 11138256 A JP11138256 A JP 11138256A JP 13825699 A JP13825699 A JP 13825699A JP 2000333289 A JP2000333289 A JP 2000333289A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phase
power
target
control method
frequency
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11138256A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Noto
広之 野戸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Oki Electric Industry Co Ltd
Original Assignee
Oki Electric Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oki Electric Industry Co Ltd filed Critical Oki Electric Industry Co Ltd
Priority to JP11138256A priority Critical patent/JP2000333289A/ja
Publication of JP2000333289A publication Critical patent/JP2000333289A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Soundproofing, Sound Blocking, And Sound Damping (AREA)
  • Circuit For Audible Band Transducer (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 音響制御を開始する前に予めスピーカから目
標とする空間座標までの伝達関数を同定しておく必要が
なく、スピーカの出力が発散することはない音響制御方
法を提供する。 【解決手段】 複数のスピーカから目標とする空間座標
までの伝達特性の周波数ごとの位相成分を、伝達関数の
候補を作成して適用して伝達関数の候補の性能を評価し
採用又は不採用を決定し、適応的に伝達関数を逐次同定
し、位相成分を補償制御し、複数のスピーカから目標と
する空間座標までの伝達特性の周波数ごとの電力成分
を、伝達関数の候補を作成して適用して伝達関数の候補
の性能を評価し採用又は不採用を決定し、適応的に伝達
関数を逐次同定し、電力成分を補償制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は音響制御方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来の音響制御方法には、複数のスピー
カから目標とする空間座標までの伝達特性を同定し、電
力位相成分を補償制御することによって、目標とする空
間座標における音圧を制御するものがあった。
【0003】次に、この従来の音響制御方法について説
明する。従来の音響制御方法は、予めスピーカから目標
とする空間座標までの伝達関数を同定しておく。実際に
音響制御する際には、目標とする信号に、この同定した
伝達関数に対する逆伝達関数をかけてスピーカを駆動す
る信号とすることで、目標の空間座標における観測信号
を目標信号に近いものとするものであった。また、能動
騒音制御に用いられる音響制御方法では、スピーカから
目標とする空間座標までの伝達関数を適応的に同定し、
この適応的に同定した伝達関数にもとづいて目標の空間
座標における観測信号を目標信号である無音に近いもの
とするものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の音響制御方法においては、以下の様な問題
点があった。従来の音響制御方法では、実際に音響制御
を開始する前に、予めスピーカから目標とする空間座標
までの伝達関数を同定しておく必要があり、また、この
間題を回避する方法としてスピーカから目標とする空間
座標までの伝達関数を適応的に同定する方式があるが、
この適応的な同定方式を用いた場合には、目標とする空
間座標における観測信号が目標信号に近づくならば、各
スピーカの出力の周波数成分はどんなものであっても良
いため、スピーカの出力が発散してしまうという問題点
があった。
【0005】また、スピーカの出力の発散を防止するた
めに出力電力を制限しても、一般に目標とする空間座標
における各スピーカの音響寄与率が各周波数ごとに異な
るため、個々のスピーカの各周波数ごとの出力が互いに
大きく異なってしまい、特に目標とする空間座標以外の
空間座標において音質と聴感が悪化するという問題点が
あった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る音響制御方
法は、複数のスピーカからの音響出力によって目標とす
る空間座標における観測信号を目標信号に近づける音響
制御方法において、目標とする空間座標における観測信
号を目標信号に近づける際、複数のスピーカの周波数ご
との出力の電力成分と位相成分を互いに独立して制御
し、目標とする空間座標に、出力信号を観測するための
マイクロホンを配置し、複数のスピーカから目標とする
空間座標までの伝達特性の周波数ごとの位相成分を、伝
達関数の候補を作成して適用して伝達関数の候補の性能
を評価し採用又は不採用を決定し、適応的に伝達関数を
逐次同定し、位相成分を補償制御し、複数のスピーカか
ら目標とする空間座標までの伝達特性の周波数ごとの電
力成分を、伝達関数の候補を作成して適用して伝達関数
の候補の性能を評価し採用又は不採用を決定し、適応的
に伝達関数を逐次同定し、電力成分を補償制御するもの
である。
【0007】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1は本発明の一
実施の形態に係る音響制御方法の周波数領域における伝
達系を示すブロック図である。ここでは、複数のスピー
カによって目標の空間座標における音圧を上昇させ、な
おかつその周波数特性を平坦にする、空間指向性スピー
カとして応用する例について説明する。
【0008】図1において、100は目標とする空間座
標に提示したい音源信号X、105は目標とする空間座
標における電力成分を補償制御する電力制御HP 、11
0は位相特性の基準となるスピーカ0に対する遅延を行
うことによりスピーカ1以降のスピーカの位相制御に対
応した遅延を与えるための単純遅延Hθ0、115は位
相特性の基準となるスピーカ0の伝達特性KL0、120
は位相特性の基準となるスピーカ0から目標とする空間
座標までの伝達系0KT0、125は目標とする空間座標
における波形加算、130は目標とする空間座標におけ
る観測信号E、135は観測信号Eを元に目標とする空
間座標における電力周波数特性を所望の特性に電力制御
するための補償制御量を算出する電力適応化である。
【0009】140は位相制御の対象となる第1番目の
スピーカ1に対する位相制御を行う位相制御1Hθ1
145は位相制御の対象となる第1番目のスピーカ1の
伝達特性KL1、150は位相制御の対象となる第1番目
のスピーカ1から目標とする空間座標までの伝達系1K
T1、155は観測信号Eを元に目標とする空間座標にお
ける電力特性が最大となるようにスピーカ1を位相制御
するための補償制御量を算出する位相適応化1である。
【0010】160は第1番目のスピーカ145と共に
位相制御の対象となる第2番目のスピーカ2に対する位
相制御を行う位相制御2Hθ2、165は位相制御の対
象となる第2番目のスピーカ2の伝達特性KL2、170
は位相制御の対象となる第2番目のスピーカ2から目標
とする空間座標までの伝達系2KT2、175は観測信号
Eをもとに目標とする空間座標における電力特性が最大
となるようにスピーカ2を位相制御するための補償制御
量を算出する位相適応化2である。
【0011】次に、この実施の形態の音響制御方法の動
作手順について、周波数領域における表現を用いた式で
説明する。まず、予め設定された長さNサンプルの、あ
るn番目の時間区間[n]における音源信号のスペクトル
がX[n](ω)であるとする。ここで、[n]はn番目の時
間区間を表し、(ω)は離散周波数ωを表す。以下、ある
特定の離散周波数ωf における音響制御方法について説
明し、後にすべての離散周波数ωにおける音響制御方法
に拡張する。
【0012】まず、離散周波数ωf において周波数スペ
クトル領域で下式が成り立つ。
【0013】
【数1】
【0014】ここで、Sはスピーカの個数、電力制御H
P は電力のみを制御する位相角0のスペクトルであり、
つまり、
【0015】
【数2】∠HP =0 … (2) とする。また、位相制御は位相のみを制御する電力1の
スペクトルであり、つまり、
【0016】
【数3】|Hθs|=1 … (3) とする。
【0017】ここで、まず、位相制御1 140及び位
相制御2 160を最適化する、位相適応化1 155
及び位相適応化2 175の動作について説明する。第
1例における空間指向性スピーカの目標は、入力の音源
信号|X|に対する|E|を最大とすることである。こ
のためには、上記(1)式における括弧の中、つまり、
下式を最大とするようにHθsを位相制御すれば良い。
【0018】
【数4】
【0019】つまり、上記(4)式の全ての項の位相角
を一致させることにより、|E|は最大となる。また、
位相角は互いに相対的なものであるから、位相角の基準
を第0番目の伝達系である下式の位相角に取り、第1番
目の系以降第(s−1)番目の系までの位相角をすべて
この位相角にそろえることが位相適応化の目標となる。
【0020】
【数5】Hθ0L0T0 … (5) これを式で表すと、すべてのsにおいて、下式となるよ
うに∠Hθsを制御すればよい。
【0021】
【数6】 ∠Hθ0L0T0=∠HθsLsTs … (6)
【0022】この実施の形態では、∠Hθsを位相適応
化するために、第1以降のスピーカの伝達特性の位相を
補正する位相制御の候補をモンテカルロ法によって作成
し、その性能を評価して改善が見られる場合にはその候
補を採用して位相制御を行っている。また、この位相制
御の候補によって性能の改善が見られない場合には位相
制御の候補とは逆の方向に位相角を修正して採用すると
いう方法をとる。
【0023】以下、これを式にして説明する。まず、第
n番目の時間区間[n]における第s番目のスピーカに着
目する。このスピーカのための位相制御∠Hθs[n]
を、一つ前の時間区間[n−1]における位相制御∠H
θs[n−1]に微少でランダムな位相角δを加えて時間
区間[n]における位相制御の候補とする。つまり、下式
のような関係となる。
【0024】
【数7】 ∠H′θs[n]=∠Hθs[n−1]+δ[n] … (7) ここで、∠H′θs[n]は時間区間[n]における位相制
御の候補、δ[n]は微少でランダムな位相角である。ま
た、δ[n]は各時間区間ごとにランダムに違う値を用い
る。
【0025】そして、この位相制御の候補を用いて実際
の伝達系に適用し、時間区間[n]における観測信号Eを
評価し、時間区間[n]における空間指向性スピーカの性
能を評価する。性能の評価値は目標とする空間座標にお
ける観測信号の絶対値|E|と音源信号の絶対値|X|
の比であるから、下式の関係を満たすならば性能の改善
であると評価して、この位相制御の候補を採用し、
【0026】
【数8】
【0027】
【数9】 ∠Hθs[n]=∠Hθs[n−1]+δ[n] …(9) とする。
【0028】一方で逆に、下式の関係を満たすならば性
能の悪化であると評価して、この位相制御の候補とは逆
方向に位相角を修正して採用し、
【0029】
【数10】
【0030】
【数11】 ∠Hθs[n]=∠Hθs[n−1]−δ[n] … (11) とする。
【0031】このように、各時間区間で位相制御の候補
を作成し、評価と採用を時間区間[n]についてくり返す
ことにより、最終的には最適な位相制御を得ることがで
きる。このような位相適応化は離散的周波数ωの全ての
帯域におけるそれぞれのωfについて同時に行うことが
できる。また、各スピーカの位相適応化を順番に行うこ
とにより、最終的には任意の個数のスピーカを用いた最
適な位相制御を行うことができる。なお、ここでδ[n]
は微少な値であるため、下式が成り立つ。
【0032】
【数12】
【0033】すなわち、位相制御の候補を用いて評価を
しているときの音質の変化は非常に少なく、滑らかに変
化するため、位相適応化が収束すると同時に最適な空間
指向性スピーカシステムとして機能することになる。
【0034】次に、この実施の形態における電力制御1
05を最適化する電力適応化135の動作について説明
する。この実施の形態における空間指向性スピーカの目
標は、入力の音源信号|X|に対する|E|の周波数特
性を平坦にすることである。このためには、下式に示す
観測している見かけの利得が離散的周波数ωに対して平
坦になるようにHP を電力制御すれば良い。
【0035】
【数13】
【0036】つまり、見かけの利得の目標を全周波数帯
域の平均値にとることにする。この平均値は下式で表す
ことができる。
【0037】
【数14】 ここで、Fは離散周波数の個数である。
【0038】この実施の形態では、電力制御HP を電力
適応化するために、電力制御の候補をモンテカルロ法に
よって作成し、その性能を評価して改善が見られる場合
にはその候補を採用して電力制御を行う。この電力制御
の候補によって性能の改善が見られない場合には電力制
御の候補とは逆の方向に電力制御の絶対値を修正して採
用するという方法をとる。
【0039】以下、これを式にして説明する。まず、第
n番目の時間区間[n]における電力制御HP[n]を、一
つ前の時間区間[n−1]における電力制御HP[n−1]
に微少でランダムな利得εを加えて時間区間[n]におけ
る電力制御の候補とする。つまり、下式のような関係と
なる。
【0040】
【数15】H′P[n]=HP[n−1]+ε[n] … (15) ここで、H′P[n]は時間区間[n]における電力制御の
候補、ε[n]は微少でランダムな利得である。ε[n]は
各時間区間ごとにランダムに違う値を用いる。
【0041】そして、この電力制御の候補を用いて実際
の伝達系に適用し、時間区間[n]における観測信号Eを
評価し、時間区間[n]における空間指向性スピーカの性
能を評価する。性能の評価値は、目標とする空間座標に
おける見かけの利得と見かけの利得の目標との差の絶対
値であるから、下式の関係を満たすならば性能の改善で
あると評価して、この電力制御の候補を採用し、
【0042】
【数16】
【0043】
【数17】HP[n]=HP[n−1]+ε[n] … (17) とする。
【0044】一方で逆に、下式の関係を満たすならば性
能の悪化であると評価して、この電力制御の候補とは逆
の方向に利得を修正して採用し、
【0045】
【数18】
【0046】
【数19】HP[n]=HP[n−1]−ε[n] … (19) とする。
【0047】このように、各時間区間で電力制御の候補
を作成し、評価と採用を時間区間[n]についてくり返す
ことにより、最終的には最適な電力制御を得ることがで
きる。このような電力適応化は離散的周波数ωの全ての
帯域におけるそれぞれのω f について同時に行うことが
できる。また、各スピーカの位相適応化とこの電力適応
化を順番に行うことにより、最終的には任意の個数のス
ピーカを用いた最適な位相制御と電力適応化を同時に行
うことができる。なお、ここでε[n]は微少な値である
ため、下式が成り立つ。
【0048】
【数20】
【0049】すなわち、電力制御の候補を用いて評価を
しているときの音質の変化は非常に少なく、滑らかに変
化するため、電力適応化が収束すると同時に最適な空間
指向性スピーカシステムとして機能することになる。
【0050】この実施の形態では、音響制御を行ってい
る際の信号を用いてスピーカから目標とする空間座標ま
での伝達関数を適応的に同定するため、音響制御を開始
する前に予めスピーカから目標とする空間座標までの伝
達関数を同定しておく必要がなく、目標とする空間座標
における観測信号が目標信号になるように、各スピーカ
の出力の位相成分を適応的に補償するため、スピーカの
出力が発散することはない。また、目標とする空間座標
における各スピーカの音響寄与率が各周波数ごとに異な
っていても、各周波数ごとの出力電力はすべてのスピー
カで共通に制御するため、目標とする空間座標以外の空
間座標でも音質と聴感が悪化せず、良好な音質を保持で
きる。
【0051】さらに、この実施の形態では、実際に使用
している音響空間における伝達特性の変化に適応して各
周波数の伝達特性に応じた位相成分と電力成分を制御す
るため、目標とする空間座標を移動させるような場合で
も観測用マイクロホンを移動させるだけで、容易に対処
でき、第1のスピーカの出力による観測信号を基準とし
て、他のスピーカの出力を制御し、観測信号の位相成分
を用いずに電力の増減で評価しているため、観測信号の
入力とスピーカ出力の間の時間量子化において位相成分
を観測するための厳密な時間的な同期を必要としない。
【0052】実施の形態2.この実施の形態は、本発明
の音響制御方法を、目標の空間座標における特定の騒音
源によって生ずる音圧を単一のスピーカの出力によって
低下させる能動騒音抑圧として応用したものである。図
2は、本発明の他の実施の形態に係る音響制御方法の周
波数領域における伝達系を示すブロック図である。
【0053】図2において、200は騒音抑圧の対象と
する騒音源の音源信号X、205は目標とする空間座標
における電力成分を補償制御する電力制御HP 、220
は騒音源の音源信号Xから目標とする空間座標までの未
知伝達系KT0、225は目標とする空間座標における波
形加算、230は目標とする空間座標における観測信号
E、235は観測信号Eをもとに目標とする空間座標に
おける電力を抑圧するための補償制御量を算出する電力
適応化である。
【0054】240は位相制御の対象となるスピーカに
対する位相制御を行う位相制御Hθ 1、245は位相制
御の対象となるスピーカの伝達特性KL1、250は位相
制御の対象となるスピーカから目標とする空間座標まで
の伝達系KT1、255は観測信号Eをもとに目標とする
空間座標における電力特性が最小となるようにスピーカ
を位相制御するための補償制御量を算出する位相適応化
である。
【0055】次に、この実施の形態における音響制御方
法の動作手順について、周波数領域における表現を用い
た式で説明する。まず、予め設定された長さNサンプル
の、あるn番目の時間区間[n]における音源信号のスペ
クトルがX[n](ω)であるとする。ここで、[n]はn番
目の時間区間を表し、(ω)は離散周波数ωを表す。以
下、ある特定の離散周波数ωf における音響制御方式に
ついて説明し、後にすべての離散周波数ωにおける音響
制御方法に拡張する。
【0056】まず、離散周波数ωfにおいて周波数スペ
クトル領域で下式が成り立つ。
【0057】
【数21】 E=X(KT0+HPθ1L1T1) … (21) ここで、電力制御HP は電力のみを制御する位相角0の
スペクトルであり、つまり、
【0058】
【数22】∠Hp =0 … (22) とする。また、位相制御は位相のみを制御する電力1の
スペクトルであり、つまり、
【0059】
【数23】|Hθ1|=1 … (23) とする。
【0060】ここで、まず、位相制御240を最適化す
る、位相適応化255の動作について説明する。この実
施の形態における能動騒音抑圧の目標は、入力の音源信
号|X|に対する|E|を最小とすることである。この
ためには、上記(21)式における括弧の中、つまり下
式を最小とするようにHθ1を位相制御すれば良い。
【0061】
【数24】KT0+HPθ1L1T1 … (24)
【0062】つまり、上記(24)式の項の位相角を互
いに逆にすることにより、|E|は最小となる。これを
式で表すと、HP の位相角が0であることを考えあわせ
て、下式となるように∠Hθ1を制御すればよい。
【0063】
【数25】∠KT0=−∠Hθ1L1T1 … (25)
【0064】この実施の形態では、∠Hθ1を位相適応
化するために、伝達特性の位相を補正する位相制御の候
補をモンテカルロ法によって作成し、その性能を評価し
て改善が見られる場合にはその候補を採用して位相制御
を行っている。また、この位相制御の候補によって性能
の改善が見られない場合には位相制御の候補とは逆の方
向に位相角を修正して採用するという方法をとる。
【0065】以下、これを式にして説明する。まず、第
n番目の時間区間[n]における位相制御∠Hθ1[n]
を、一つ前の時間区間[n−1]における位相制御∠H
θ1[n−1]に微少でランダムな位相角δを加えて時間
区間[n]における位相制御の候補とする。つまり、、下
式のような関係となる。
【0066】
【数26】 ∠H′θ1[n]=∠Hθ1[n−1]+δ[n] … (26) ここで、∠H′θ1[n]は時間区間[n]における位相制
御の候補、δ[n]は微少でランダムな位相角である。ま
た、δ[n]は各時間区間ごとにランダムに違う値を用い
る。
【0067】そして、この位相制御の候補を用いて実際
の伝達系に適用し、時間区間[n]における観測信号Eを
評価し、時間区間[n]における能動騒音抑圧の性能を評
価する。性能の評価値は目標とする空間座標における観
測信号の絶対値|E|と音源信号の絶対値|X|の比で
あるから、下式の関係を満たすならば性能の改善である
と評価して、この位相制御の候補を採用し、
【0068】
【数27】
【0069】
【数28】 ∠Hθ1[n]=∠Hθ1[n−1]+δ[n] … (28) とする。
【0070】一方で逆に、下式の関係を満たすならば性
能の悪化であると評価して、この位相制御の候補とは逆
方向に位相角を修正して採用し、
【0071】
【数29】
【0072】
【数30】 ∠Hθ1[n]=∠Hθ1[n−1]−δ[n] … (30) とする。
【0073】このように、各時間区間で位相制御の候補
を作成し、評価と採用を時間区間[n]についてくり返す
ことにより、最終的には最適な位相制御を得ることがで
きる。このような位相適応化は離散的周波数ωの全ての
帯域におけるそれぞれのωfについて同時に行うことが
できる。なお、ここでδ[n]は微少な値であるため、下
式が成り立つ。
【0074】
【数31】
【0075】すなわち、位相制御の候補を用いて評価を
しているときの音質の変化は非常に少なく、滑らかに変
化するため、位相適応化が収束すると同時に最適な能動
騒音抑圧として機能することになる。
【0076】次に、この実施の形態における電力制御2
05を最適化する、電力適応化235の動作について説
明する。この実施の形態における能動騒音抑圧の目標
は、入力の音源信号|X|に対する|E|の電力を最小
にすることである。このためには、下式に示す観測して
いる見かけの利得が全ての離散的周波数ωに対して最小
になるようにHPを電力制御すれば良い。
【0077】
【数32】 つまり、見かけの利得の目標を0にとることにする。
【0078】この実施の形態では、電力制御HP を電力
適応化するために、電力制御の候補をモンテカルロ法に
よって作成し、その性能を評価して改善が見られる場合
にはその候補を採用して電力制御を行う。この電力制御
の候補によって性能の改善が見られない場合には電力制
御の候補とは逆の方向に電力制御の絶対値を修正して採
用するという方法をとる。
【0079】以下、これを式にして説明する。まず、第
n番目の時間区間[n]における電力制御HP[n]を、一
つ前の時間区間[n−1]における電力制御HP[n−1]
に微少でランダムな利得εを加えて時間区間[n]におけ
る電力制御の候補とする。つまり、下式のような関係と
なる。
【0080】
【数33】H′P[n]=HP[n−1]+ε[n] … (33) ここで、H′P[n]は時間区間[n]における電力制御の
候補、ε[n]は微少でランダムな利得である。ε[n]は
各時間区間ごとにランダムに違う値を用いる。
【0081】そして、この電力制御の候補を用いて実際
の伝達系に適用し、時間区間[n]における観測信号Eを
評価し、時間区間[n]における能動騒音抑圧の性能を評
価する。性能の評価値は、目標とする空間座標における
見かけの利得であるから、下式の関係を満たすならば性
能の改善であると評価して、この電力制御の候補を採用
し、
【0082】
【数34】
【0083】
【数35】HP[n]=HP[n−1]+ε[n] … (35) とする。
【0084】一方で逆に、下式の関係を満たすならば性
能の悪化であると評価して、この電力制御の候補とは逆
の方向に利得を修正して採用し、
【0085】
【数36】
【0086】
【数37】HP[n]=HP[n−1]−ε[n] … (37) とする。
【0087】このように、各時間区間で電力制御の候補
を作成し、評価と採用を時間区間[n]についてくり返す
ことにより、最終的には最適な電力制御を得ることがで
きる。このような電力適応化は離散的周波数ωの全ての
帯域におけるそれぞれのω f について同時に行うことが
できる。また、位相適応化とこの電力適応化を順番に行
うことにより、最適な位相制御と電力適応化を同時に行
うことができる。なお、ここでε[n]は微少な値である
ため、下式が成り立つ。
【0088】
【数38】
【0089】すなわち、電力制御の候補を用いて評価を
しているときの音質の変化は非常に少なく、滑らかに変
化するため、電力適応化が収束すると同時に最適な能動
騒音抑圧として機能することになる。
【0090】この実施の形態では、スピーカから目標と
する空間座標までの伝達関数を求めず、伝達関数の候補
にもとづいて制御を行ってその性能を評価するという方
法によるため、音響制御を開始する前に予めスピーカか
ら目標とする空間座標までの伝達関数を同定しておく必
要がなく、目標とする空間座標における観測信号が最小
になるように、スピーカの出力の位相成分を補償し、さ
らにスピーカの電力成分をランダムな変動範囲の累積値
の中で制御するため、スピーカの出力が発散することは
ない。
【0091】実施の形態1、2では、周波数領域におけ
る表現を用いた式で説明したが、実施にあたってはフー
リエ変換を用いて時間領域における処理に置き換えるこ
とが必要であることは自明である。また、伝達関数の候
補を設定する方法として、ランダムに設定するモンテカ
ルロ法をあげたが、これ以外の方法で伝達関数の候補を
設定してもよい。例えば、観測信号の誤差を用いて次の
伝達関数の候補を設定するようにしてもよい。
【0092】また、実施の形態2では目標とする空間座
標における全周波数の観測信号が最小になるように電力
成分を制御したが、所望の周波数領域での騒音抑圧を目
的として、目標とする空間座標における所望の周波数成
分を制御するようにしてもよく、また、能動騒音抑圧の
ためのスピーカの数が1個であるとしたが、実施の形態
1のように複数のスピーカを用いて抑圧するようにして
もよい。そしてこの場合には、各周波数ごとの出力電力
はすべてのスピーカで共通に制御するため、スピーカ同
士で互いの出力を抑圧するためにスピーカの出力が発散
するような現象はおこらず、安定した能動騒音抑圧が実
現できる。
【0093】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、目標とす
る空間座標における観測信号を目標信号に近づける際、
複数のスピーカの周波数ごとの出力の電力成分と位相成
分を互いに独立して制御し、目標とする空間座標に、出
力信号を観測するためのマイクロホンを配置し、複数の
スピーカから目標とする空間座標までの伝達特性の周波
数ごとの位相成分を、伝達関数の候補を作成して適用し
て伝達関数の候補の性能を評価し採用又は不採用を決定
し、適応的に伝達関数を逐次同定し、位相成分を補償制
御し、複数のスピーカから目標とする空間座標までの伝
達特性の周波数ごとの電力成分を、伝達関数の候補を作
成して適用して伝達関数の候補の性能を評価し採用又は
不採用を決定し、適応的に伝達関数を逐次同定し、電力
成分を補償制御するようにしたので、音響制御を開始す
る前に予めスピーカから目標とする空間座標までの伝達
関数を同定しておく必要がなく、目標とする空間座標に
おける観測信号が目標信号になるように、各スピーカの
出力の位相成分を適応的に補償するため、スピーカの出
力が発散することはないという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る音響制御方法の周
波数領域における伝達系を示すブロック図である。
【図2】本発明の他の実施の形態に係る音響制御方法の
周波数領域における伝達系を示すのブロック図である。
【符号の説明】
100 音源信号X 105 電力制御HP 110 単純遅延Hθ0 115 伝達特性KL0 120 伝達系0KT0 125 波形加算 130 観測信号E 135 電力適応化 140 位相制御1Hθ1 145 伝達特性KL1 150 伝達系1KT1 155 位相適応化1 160 位相制御2Hθ2 165 伝達特性KL2 170 伝達系2KT2 175 位相適応化2 200 音源信号X 205 電力制御HP 220 未知伝達系KT0 225 波形加算 230 観測信号E 235 電力適応化 240 位相制御Hθ1 245 伝達特性KL1 250 伝達系KT1 255 位相適応化

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のスピーカからの音響出力によって
    目標とする空間座標における観測信号を目標信号に近づ
    ける音響制御方法において、 目標とする空間座標における観測信号を目標信号に近づ
    ける際、前記複数のスピーカの周波数ごとの出力の電力
    成分と位相成分を互いに独立して制御することを特徴と
    する音響制御方法。
  2. 【請求項2】 前記複数のスピーカの内、1つのスピー
    カの出力の位相成分の制御を行わないことを特徴とする
    請求項1記載の音響制御方法。
  3. 【請求項3】 目標とする空間座標に、出力信号を観測
    するためのマイクロホンを配置し、前記複数のスピーカ
    から目標とする空間座標までの伝達特性の周波数ごとの
    位相成分を、伝達関数の候補を作成して適用して前記伝
    達関数の候補の性能を評価し採用又は不採用を決定し、
    適応的に前記伝達関数を逐次同定し、位相成分を補償制
    御することを特徴とする請求項1又は2項記載の音響制
    御方法。
  4. 【請求項4】 目標とする空間座標に、出力信号を観測
    するためのマイクロホンを配置し、前記複数のスピーカ
    から目標とする空間座標までの伝達特性の周波数ごとの
    電力成分を、伝達関数の候補を作成して適用して前記伝
    達関数の候補の性能を評価し採用又は不採用を決定し、
    適応的に前記伝達関数を逐次同定し、電力成分を補償制
    御することを特徴とする請求項1、2又は3記載の音響
    制御方法。
  5. 【請求項5】 前記伝達関数の候補をモンテカルロ法を
    用いて生成することを特徴とする請求項3又は4記載の
    音響制御方法。
  6. 【請求項6】 複数のスピーカから目標とする空間座標
    までの伝達特性の周波数ごとの電力成分を同定し、各ス
    ピーカの電力成分を補償制御して、目標とする空間座標
    における観測信号を所望の電力周波数特性に制御するこ
    とを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の音響
    制御方法。
  7. 【請求項7】 単一のスピーカの出力によって目標の空
    間座標における特定の騒音源によって生ずる音圧を低下
    させる音響制御方法において、 目標の空間座標における特定の騒音源によって生ずる音
    圧を低下させる際、前記単一のスピーカの周波数ごとの
    出力の電力成分と位相成分を互いに独立して制御するこ
    とを特徴とする音響制御方法。
JP11138256A 1999-05-19 1999-05-19 音響制御方法 Pending JP2000333289A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11138256A JP2000333289A (ja) 1999-05-19 1999-05-19 音響制御方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11138256A JP2000333289A (ja) 1999-05-19 1999-05-19 音響制御方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000333289A true JP2000333289A (ja) 2000-11-30

Family

ID=15217707

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11138256A Pending JP2000333289A (ja) 1999-05-19 1999-05-19 音響制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000333289A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009096657A1 (en) * 2008-01-29 2009-08-06 Korea Advanced Institute Of Science And Technology Sound system, sound reproducing apparatus, sound reproducing method, monitor with speakers, mobile phone with speakers

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009096657A1 (en) * 2008-01-29 2009-08-06 Korea Advanced Institute Of Science And Technology Sound system, sound reproducing apparatus, sound reproducing method, monitor with speakers, mobile phone with speakers
US8369536B2 (en) 2008-01-29 2013-02-05 Korea Advanced Institute Of Science And Technology Sound system, sound reproducing apparatus, sound reproducing method, monitor with speakers, mobile phone with speakers

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1637007B1 (en) Method and system for calibrating microphones
US9055367B2 (en) Integrated psychoacoustic bass enhancement (PBE) for improved audio
JP4372232B2 (ja) 複数ソースを伴うオーディオ処理装置
US6983055B2 (en) Method and apparatus for an adaptive binaural beamforming system
JP3955265B2 (ja) 指向性コントローラおよび補聴器を制御する方法
CN1750573B (zh) 采用组合的噪声减少和回波补偿的语音信号处理
CN101273663B (zh) 助听器和在助听器中处理输入信号的方法
KR102346935B1 (ko) 매칭되지 않은 트랜스오럴 라우드스피커 시스템용 강화된 가상 스테레오 재생
JP2002374589A (ja) 雑音低減のための方法
US9454956B2 (en) Sound processing device
JPH11220430A (ja) ダイバシチ通信装置及びダイバシチ受信方法
EP4203450A1 (en) Apparatus, methods and computer programs for reducing echo
JP2014022959A (ja) 信号処理装置、信号処理方法、プログラムおよびスピーカシステム
JP4738213B2 (ja) 利得調整方法及び利得調整装置
US9247371B2 (en) Sound processing apparatus
TW201916006A (zh) 音訊處理裝置及方法
US8804981B2 (en) Processing audio signals
JP2000333289A (ja) 音響制御方法
KR20040039480A (ko) 원하지 않는 확성기 신호들을 제거하는 방법
KR101418023B1 (ko) 위상정보를 이용한 자동 이득 조절 장치 및 방법
US10887709B1 (en) Aligned beam merger
US10805726B1 (en) Audio system equalization
WO2014141333A1 (ja) 通信装置及びその歪み抑制方法
JP5430220B2 (ja) 多点適応等化制御方法および多点適応等化制御システム
WO2022137593A1 (ja) 信号処理装置、信号処理方法及び非一時的なコンピュータ可読媒体