JP2000328959A - オルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置 - Google Patents

オルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置

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JP2000328959A
JP2000328959A JP11139126A JP13912699A JP2000328959A JP 2000328959 A JP2000328959 A JP 2000328959A JP 11139126 A JP11139126 A JP 11139126A JP 13912699 A JP13912699 A JP 13912699A JP 2000328959 A JP2000328959 A JP 2000328959A
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way clutch
sleeve
driven pulley
peripheral surface
inner ring
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JP11139126A
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Hideo Ouchi
英男 大内
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NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 引き抜き加工等により形成したローラクラッ
チ用内輪15を、スリーブ8の外周面に締り嵌めにより
外嵌固定した場合にも、この嵌合部にクリープが発生し
ない構造を実現する。 【解決手段】 ローラクラッチ10のロック状態で、上
記ローラクラッチ用内輪15の中心軸O15からローラ1
9とカム面16との当接部であるA点までの距離をR1
とする。又、このA点に対応する部分での上記ローラク
ラッチ用内輪15の直径方向の厚さ寸法をt1 とし、上
記ローラ19の外径をDとする。この場合に、上記厚さ
寸法t1 を、t1 <{0.41−0.59(D/R
1 )}R1 を満足する大きさに規制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明のオルタネータ用一方
向クラッチ内蔵型プーリ装置は、自動車用の発電機であ
るオルタネータの回転軸の端部に固定し、エンジンのク
ランクシャフトの端部に固定した駆動プーリとの間に無
端ベルトを掛け渡す事により、上記オルタネータを駆動
する為に利用する。
【0002】
【従来の技術】自動車の走行用エンジンを駆動源とし
て、自動車に必要な発電を行なうオルタネータの構造
が、例えば特開平7−139550号公報に記載されて
いる。図7は、この公報に記載されたオルタネータ1を
示している。ハウジング2の内側に回転軸3を、1対の
転がり軸受4、4により、回転自在に支持している。こ
の回転軸3の中間部には、ロータ5と整流子6とを設け
ている。又、この回転軸3の一端部(図7の右端部)で
上記ハウジング2外に突出した部分には、従動プーリ7
を固定している。エンジンへの組み付け状態では、この
従動プーリ7に無端ベルトを掛け渡し、エンジンのクラ
ンクシャフトにより、上記回転軸3を回転駆動自在とす
る。
【0003】上記従動プーリ7として従来一般的には、
単に上記回転軸3に固定しただけのものを使用してい
た。これに対して近年、無端ベルトの走行速度が一定若
しくは上昇傾向にある場合には、無端ベルトから回転軸
への動力の伝達を自在とし、無端ベルトの走行速度が低
下傾向にある場合には、従動プーリと回転軸との相対回
転を自在とする、オルタネータ用一方向クラッチ内蔵型
プーリ装置が各種提案され、一部で使用されている。例
えば、特開昭56−101353号公報、特開平7−3
17807号公報、同8−61443号公報、同8−2
26462号公報、特公平7−72585号公報、フラ
ンス特許公報FR2726059A1等に、上述の様な
機能を有するオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プー
リ装置が記載されている。
【0004】これら各文献に記載された一方向クラッチ
内蔵型プーリ装置は、オルタネータ1の回転軸3(図
7)に外嵌固定自在なスリーブを有し、このスリーブの
周囲に、円筒状の内周面を有する従動プーリを、このス
リーブと同心に配置している。そして、これらスリーブ
の外周面と従動プーリの内周面との間に、1対のサポー
ト軸受と一方向クラッチとを設けている。このうちのサ
ポート軸受は、上記従動プーリに加わるラジアル荷重を
支承しつつ、これらスリーブと従動プーリとの相対回転
を自在とする。又、上記一方向クラッチは、上記従動プ
ーリがスリーブに対して所定方向に回転する場合にの
み、この従動プーリからスリーブへの回転力の伝達を自
在とする。
【0005】上述の様なオルネータ用一方向クラッチ内
蔵型プーリ装置を使用する理由は、次の通りである。例
えば、前記駆動用エンジンがディーゼルエンジンであっ
た場合、アイドリング時等の低回転時には、クランクシ
ャフトの回転角速度の変動が大きくなる。この結果、上
記クランクシャフトの端部に固定した駆動プーリに掛け
渡した図示しない無端ベルトの走行速度も細かく変動す
る事になる。一方、この無端ベルトにより従動プーリを
介して回転駆動されるオルタネータ1の回転軸3は、こ
の回転軸3並びにこの回転軸3に固定したロータ5及び
整流子6(図7)等の慣性質量に基づき、それ程急激に
は変動しない。従って、上記従動プーリを回転軸3に対
し単に固定した場合には、クランクシャフトの回転角速
度の変動に伴い、上記無端ベルトと従動プーリとが両方
向に擦れ合う傾向となる。この結果、この従動プーリと
擦れ合う無端ベルトに、繰り返し異なる方向の応力が作
用して、この無端ベルトと従動プーリとの間に滑りが発
生し易くなったり、或はこの無端ベルトの寿命が短くな
ったりする原因となる。尚、この様な従動プーリの外周
面と無端ベルトの内周面との摩擦に基づく無端ベルトの
寿命低下は、走行時に加減速を繰り返す等によっても生
じる。
【0006】そこで、上述の様な従動プーリとして、上
記オルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置を使
用する事により、上記無端ベルトの走行速度が一定若し
くは上昇傾向にある場合には、上記従動プーリから回転
軸3への回転力の伝達を自在とし、反対に上記無端ベル
トの走行速度が低下傾向にある場合には、これら従動プ
ーリと回転軸3との相対回転を自在とする。即ち、上記
無端ベルトの走行速度が低下傾向にある場合には、上記
従動プーリの回転角速度を上記回転軸3の回転角速度よ
りも遅くして、上記無端ベルトと従動プーリとの当接部
が強く擦れ合う事を防止する。この様にして、従動プー
リと無端ベルトとの擦れ合い部に作用する応力の方向を
一定にし、この無端ベルトと従動プーリとの間に滑りが
発生したり、或はこの無端ベルトの寿命が低下する事を
防止する。
【0007】ところで、上述の様なオルタネータ用一方
向クラッチ内蔵型プーリ装置に組み込む一方向クラッチ
を構成する為、前記スリーブの外周面には、その外周面
をカム面(一方向クラッチがローラクラッチである場
合)、或は円筒面(一方向クラッチがスプラグ式のもの
である場合)とした、一方向クラッチ用内輪を外嵌固定
する。この様な一方向クラッチ用内輪は、鋼板等の金属
板にプレス加工を施す事により、或は、鋼材等の金属材
料に引き抜き加工や鍛造加工を施す等により造るが、プ
ーリ装置の構造や周辺に組み付ける部材との関係で、こ
の一方向クラッチ用内輪の直径方向の厚さ寸法を大きく
する場合には、特に、上記引き抜き加工や鍛造加工を採
用して造るのが簡単である。又、この様な引き抜き加工
や鍛造加工を採用して造った一方向クラッチ用内輪の場
合には、心部まで焼き入れ硬化させる事ができ、一方向
クラッチがロックした際に発生する大きな内部応力に耐
えられる様に設計する事が容易である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記一方向クラッチ用
内輪を上記スリーブの外周面に嵌合固定する作業は、こ
の一方向クラッチをこのスリーブの外周面に圧入する事
により行なうのが簡単である。この場合、この一方向ク
ラッチ用内輪は、上記スリーブの外周面に締り嵌めによ
り外嵌固定した状態となる。一方、上述した様に引き抜
き加工や鍛造加工を採用すれば、上記一方向クラッチ用
内輪の厚さ寸法をいくらでも大きくできるが、この様な
一方向クラッチ用内輪を上記スリーブの外周面に締り嵌
めにより外嵌固定した場合、この一方向クラッチ用内輪
の直径方向の厚さ寸法が或る値よりも大きくなると、運
転時(特に、トルクの伝達時)に、この一方向クラッチ
用内輪と上記スリーブとの嵌合部にクリープ(相対回
転)が発生し、前記従動プーリと上記スリーブとの間で
トルクの伝達を行なえなくなる事が、本発明者の考察に
より判明した。本発明は、この様な本発明者の考察に基
づき、運転時にも、引き抜き加工や鍛造加工を施して造
った一方向クラッチ用内輪と上記スリーブとの嵌合部
に、上記クリープが発生しない構造を実現すべく発明し
たものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明のオルタネータ用
一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、従来から知られて
いるオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置と
同様に、オルタネータの回転軸に外嵌固定自在なスリー
ブと、このスリーブの周囲にこのスリーブと同心に配置
した従動プーリと、これらスリーブの外周面の軸方向中
間部と従動プーリの内周面の軸方向中間部との間に設
け、この従動プーリが上記スリーブに対し所定方向に相
対回転する傾向となる場合にのみこれら従動プーリとス
リーブとの間での回転力の伝達を自在とする一方向クラ
ッチと、この一方向クラッチを軸方向両側から挟む状態
で、上記スリーブの外周面と従動プーリの内周面との間
に設け、この従動プーリに加わるラジアル荷重を支承し
つつこれらスリーブと従動プーリとの相対回転を自在と
するサポート軸受とを備える。
【0010】又、本発明のうち、請求項1に記載したオ
ルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合、
上記一方向クラッチは、上記従動プーリの内周面若しく
はこの従動プーリに内嵌した他の部材の内周面に設けた
円筒面と、上記スリーブの外周面の軸方向中間部に締り
嵌めにより外嵌固定した一方向クラッチ用内輪と、この
一方向クラッチ用内輪の外周面に形成したカム面と、こ
のカム面と上記円筒面との間に設けた複数個のローラと
を備えたものであり、更に、このうちの一方向クラッチ
用内輪を、円筒状の金属素材に引き抜き加工を施す事に
より、或は金属材料に鍛造加工を施す事により形成して
いる。特に、本発明のうちの請求項1に記載したオルタ
ネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合、上記
各ローラが上記円筒面と上記カム面との間の幅の狭い部
分に食い込むロック状態で、上記一方向クラッチ用内輪
の中心軸から上記各ローラと上記カム面との当接部まで
の直径方向に亙る寸法をR1 とし、この当接部に対応す
る部分での上記一方向クラッチ用内輪の直径方向の厚さ
寸法をt1 とし、上記各ローラの外径をDとした場合
に、上記厚さ寸法t1 を、t1 <{0.41−0.59
(D/R1 )}R1 を満足する大きさに規制している。
尚、この様な関係式を満たす寸法規制を行なう理由は、
後述する本発明の実施の形態の第1例で説明する。
【0011】又、本発明のうち、請求項2に記載したオ
ルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合、
上記一方向クラッチは、上記従動プーリの内周面若しく
はこの従動プーリに内嵌した他の部材の内周面に設けた
外径側円筒面と、上記スリーブの外周面に締り嵌めによ
り外嵌固定した一方向クラッチ用内輪と、この一方向ク
ラッチ用内輪の外周面に形成した内径側円筒面と、この
内径側円筒面と上記外径側円筒面との間に設けた断面形
状が非円形の複数個のスプラグとを備えたものであり、
更に、このうちの一方向クラッチ用内輪を、円筒状の金
属素材に引き抜き加工を施す事により、或は金属材料に
鍛造加工を施す事により形成している。特に、本発明の
うち請求項2に記載したオルタネータ用一方向クラッチ
内蔵型プーリ装置の場合、上記内径側円筒面の曲率半径
をR2 とし、上記一方向クラッチ用内輪の直径方向の厚
さ寸法をt2 とした場合に、この厚さ寸法t2 を、t2
<0.41R2 を満足する大きさに規制している。この
様な関係式を満たす寸法規制を行なう理由は、後述する
本発明の実施の形態の第2例で説明する。
【0012】
【作用】上述の様に構成する本発明のオルタネータ用一
方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合、一方向クラッチ
用内輪は、円筒状の金属素材に引き抜き加工を施す事に
より、或は金属材料に鍛造加工を施す事により形成して
いる。この為、この一方向クラッチ用内輪の直径方向の
厚さ寸法を大きくして、この一方向クラッチ用内輪の負
荷能力を高くする事が容易である。又、この一方向クラ
ッチ用内輪の直径方向の厚さ寸法を適正な値に規制して
いる。この為、この一方向クラッチ用内輪をスリーブの
外周面に対し、締り嵌めで外嵌固定した場合でも、運転
時(特に、トルクの伝達時)に、これら一方向クラッチ
用内輪とスリーブとの嵌合部でクリープが発生する事は
ない。この為、一方向クラッチ用内輪をスリーブの外周
面に外嵌固定する際に、組み付け作業の容易な締り嵌め
を採用した場合でも、信頼性の高い製品を提供できる。
【0013】
【発明の実施の形態】図1〜3は、請求項1に対応す
る、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例の
オルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、オ
ルタネータ1の回転軸3(図7参照)に外嵌固定自在な
スリーブ8を有する。そして、このスリーブ8の周囲に
従動プーリ7aを、このスリーブ8と同心に配置してい
る。そして、これらスリーブ8の外周面と従動プーリ7
aの内周面との間に、1対のサポート軸受9、9と、一
方向クラッチであるローラクラッチ10とを設けてい
る。このうちのサポート軸受9、9は、上記従動プーリ
7aに加わるラジアル荷重を支承しつつ、上記スリーブ
8と従動プーリ7aとの相対回転を自在とする。又、上
記ローラクラッチ10は、上記従動プーリ7aが上記ス
リーブ8に対して所定方向に相対回転する傾向となる場
合にのみ、この従動プーリ7aからスリーブ8への回転
力の伝達を自在とする。
【0014】即ち、上述の様な本例のオルタネータ用一
方向クラッチ内蔵型プーリ装置のうち、上記スリーブ8
は、全体を円筒状に形成しており、上記オルタネータ1
の回転軸3の端部に外嵌固定して、この回転軸3と共に
回転自在である。この為に図示の例では、上記スリーブ
8の中間部内周面に雌スプライン部11を形成し、この
雌スプライン部11と上記回転軸3の端部外周面に形成
した雄スプライン部とを係合自在としている。尚、上記
回転軸3とスリーブ8との相対回転を防止する為の構造
は、スプラインに代えて、ねじ、或は非円筒面同士の嵌
合、キー係合等としても良い。ねじとする場合には、上
記スリーブ8の先端部(図1の左端部)内周面の断面形
状を六角形として、この部分に六角レンチ等の工具の先
端部を係止自在とする。
【0015】一方、上記従動プーリ7aの外周面は、幅
方向に亙る断面形状を波形として、ポリVベルトと呼ば
れる無端ベルトの一部を掛け渡し自在としている。又、
この従動プーリ7aの内周面は、全長に亙り単なる円筒
面状に形成している。そして、上記スリーブ8の外周面
と上記従動プーリ7aの内周面との間に存在する空間の
軸方向中間部に、上記ローラクラッチ10を、同じくこ
の空間の軸方向両端部でこのローラクラッチ10を軸方
向両側から挟む位置に、上記1対のサポート軸受9、9
を、それぞれ配置している。
【0016】図示の例では、上述の様なローラクラッチ
10を構成する為、上記従動プーリ7aの内周面に、こ
のローラクラッチ10の外輪となる外径側スリーブ12
を内嵌固定している。この様な外径側スリーブ12は、
軸受鋼等の硬質金属製で全体を円筒状に形成している。
そして、この外径側スリーブ12の内周面の軸方向中間
部に、全周に亙り直径方向内方に突出する突出部13を
形成し、この突出部13の内周面を円筒面14としてい
る。又、少なくともこの円筒面14を焼き入れ硬化させ
ている。
【0017】又、上記スリーブ8の外周面の軸方向中間
部には、一方向クラッチ用内輪であるローラクラッチ用
内輪15を、締り嵌めにより外嵌固定している。このロ
ーラクラッチ用内輪15は、軸受鋼等の硬質金属製の円
筒状の素材に引き抜き加工を施す事により、全体を円筒
状に形成している。又、これにより、このローラクラッ
チ用内輪15の外周面にカム面16を形成し、更に、こ
のカム面16を焼き入れ硬化させている。即ち、図2に
示す様に、上記ローラクラッチ用内輪15の外周面に、
円周方向に亙って複数(図示の例では8個)の平坦面1
7、17を形成する事により、この外周面を上記カム面
16としている。又、上記ローラクラッチ用内輪15の
内周面は、単なる円筒面としている。尚、上述の様なロ
ーラクラッチ用内輪15は、軸受鋼等の硬質金属製の円
柱状の素材に鍛造加工を施す事により、或は、焼結鍛造
法を用いる事により形成する事もできる。又、上記円筒
面14と上記カム面16との間に存在する隙間の直径方
向に関する幅寸法は、図3に示す様に、上記平坦面17
の円周方向中間部に対応する部分で次述するローラ19
の外径よりも大きく、上記平坦部17の円周方向両端部
に対応する部分でこのローラ19の外径よりも小さくし
ている。
【0018】又、上記円筒面14と上記カム面16との
間には、合成樹脂により籠型円筒状に形成したクラッチ
用保持器18と、それぞれが複数ずつのローラ19及び
図示しないばねとを設けている。上記クラッチ用保持器
18は、その内周面の形状を上記カム面16の形状と合
致する形状にする等により、このローラクラッチ用内輪
15に対する相対回転を阻止している。又、上記各ロー
ラ19は、上記クラッチ用保持器18により、転動及び
円周方向に亙る若干の変位自在に保持している。そし
て、このクラッチ用保持器18に設けた柱部と上記各ロ
ーラ19との間に上記ばねを設ける事により、これら各
ローラ19を、円周方向に関して同方向に弾性的に押圧
している。
【0019】上記各ローラ19は、上記従動プーリ7a
と上記スリーブ8とが所定方向に相対回転する場合に
は、図3に示す様に、上記円筒面14と上記カム面16
との間の幅の狭い部分に食い込み(ロック状態とな
り)、上記従動プーリ7aと上記スリーブ8との間でト
ルクの伝達を行なわせる。これに対して、上記従動プー
リ7aと上記スリーブ8とが逆方向に相対回転する傾向
となった場合に上記各ローラ19は、上記円筒面14と
上記カム面16との幅の広い部分に退避し(オーバラン
状態となり)、上記従動プーリ7aと上記スリーブ8と
の間でトルクの伝達を行なわせない。尚、この様なロー
ラクラッチ10の構造及び作用は、従来から周知である
ので、これ以上の詳しい説明は省略する。
【0020】一方、図示の例では、前記1対のサポート
軸受9、9として、深溝型の玉軸受を使用している。即
ち、これら各サポート軸受9、9は、それぞれ内周面に
深溝型の外輪軌道21、21を有する外輪22、22
と、それぞれの外周面に深溝型の内輪軌道23、23を
有する内輪24、24と、上記外輪軌道21、21と内
輪軌道23、23との間にそれぞれ複数個ずつ転動自在
に設けた転動体(玉)25、25とから成る。この様な
各サポート軸受9、9は、それぞれの外輪22、22を
前記外径側スリーブ12の内周面両端部に締り嵌めによ
り内嵌固定し、それぞれの内輪24、24を上記スリー
ブ8の外周面両端部に締り嵌めにより外嵌固定する事に
より、上記スリーブ8の外周面両端部と前記従動プーリ
7aの内周面両端部との間に設けている。又、図示の例
では、上記各サポート軸受9、9を構成する外輪22、
22の一端面を、上記外径側スリーブ12の中間部内周
面に設けた突出部13の軸方向端面に、同じく内輪2
4、24の一端面を上記ローラクラッチ用内輪15の軸
方向端面に、それぞれ突き当てて、これら各サポート軸
受9、9の軸方向の位置決めを図っている。
【0021】又、図示の例では、上記ローラクラッチ用
内輪15の外周面のうちの少なくとも上記各平坦面1
7、17の一部(円周方向中間部)、並びに上記クラッ
チ用保持器18の内周面の一部を、上記各サポート軸受
9、9を構成する内輪24、24の外周面よりも、少し
だけ直径方向内方に位置させている。そして、上記クラ
ッチ用保持器18の一部でこの様に直径方向内方に位置
させた部分の側面を、上記各内輪24、24の一端面に
近接対向させる事により、このクラッチ用保持器18が
軸方向に変位するのを阻止している。更に、図示の例で
は、上記クラッチ用保持器18の外径を、上記各サポー
ト軸受9、9を構成する外輪22、22の内径よりも少
しだけ小さくしている。従って、上記クラッチ用保持器
18の軸方向片側面の内径寄り部分が、何れかのサポー
ト軸受9を構成する内輪24の一端面に突き当たった場
合でも、上記クラッチ用保持器18の軸方向片側面の外
径寄り部分が、上記何れかのサポート軸受9を構成する
外輪22の一端面に接触する事はない。この為、上記ク
ラッチ用保持器18が、相対回転する外輪22と内輪2
4とに掛け渡される様に擦れ合って、当該サポート軸受
9、9の回転抵抗を増大させる事はない。
【0022】特に、本例の場合、上記従動プーリ7aと
上記スリーブ8との間でトルクの伝達を行なわせる際に
も、このスリーブ8と上記ローラクラッチ用内輪15と
の嵌合部にクリープが発生しない様に考慮している。即
ち、図3に示す様なロック状態で、上記ローラクラッチ
用内輪15の中心軸O15から上記ローラ19の転動面と
上記カム面16との当接部であるA点までの寸法をR1
とし、このA点に於ける上記ローラクラッチ用内輪15
の直径方向の厚さ寸法をt1 とし、上記ローラ19の外
径をDとした場合に、この厚さ寸法t1 を、t1
{0.41−0.59(D/R1 )}R1 となる様に規
制している。この理由に就いて、図3を参照しつつ、以
下に説明する。
【0023】先ず、この図3に示したロック状態で、前
記カム面16を構成する平坦面17のうち、上記ローラ
19との当接部であるA点に、このローラ19から接触
荷重Qが作用する。この際、このローラ19の回転中心
19と上記A点とを通る直線(このA点に於ける上記平
坦面17の法線)に対する上記荷重Qのベクトルの傾斜
角度(即ち、上記平坦面17に対する上記ローラ19の
接触角)を、αとする。又、上記ローラクラッチ用内輪
15の中心軸O15と上記A点とを結ぶ直線と、上記荷重
Qのベクトルとの交角を、βとする。又、前記突出部1
3の内周面に設けた円筒面14の曲率半径をR0 とし、
更に、上記ローラ19の総数をZとする。この場合に、
前記外径側スリーブ12からこれら各ローラ19を介し
て、上記ローラクラッチ用内輪15に伝達されるトルク
Tは、 T=Z・R1 ・Q・sin β −−−(1) となる。ここで、上記ローラ19と上記円筒面14との
当接部であるB点と上記A点と上記ローラクラッチ用内
輪15の中心軸O15とを頂点とする、三角形ABO15
正弦定理を適用すると、 sin α/R1 =sin β/R0 ≒sin β/(R1 +D・cos α) −−−(2) となるので、この(2)式を上記(1)式に代入する
と、上記ローラクラッチ用内輪15に伝達されるトルク
Tは、 T=Z・Q・(R1 +D・cos α)sin α −−−(3) となる。
【0024】又、上述したローラクラッチ用内輪15の
厚さ寸法t1 は、このローラクラッチ用内輪15の曲げ
剛性は無視できる程度に小さい為、上記平坦面17のA
点に作用する荷重Qは、分散されて上記スリーブ8に負
荷されると考える事ができる。従って、これらローラク
ラッチ用内輪15とスリーブ8との嵌合面に作用する面
圧Pは、初期面圧Pi (このローラクラッチ用内輪15
をこのスリーブ8の外周面に締り嵌めで外嵌固定した事
により発生する面圧)と、負荷面圧PQ (上記各ローラ
19から上記各平坦面17に荷重Qが負荷した事により
発生する面圧)との和(P=Pi +PQ )となる。又、
上述した様にローラクラッチ用内輪15の曲げ剛性は無
視でき、上記荷重Qの垂直成分と負荷面圧PQ に基づく
力とは釣り合うので、 ΣPQ ・S=Z・(Q・cos β) −−−(4) となる。ここで、Sは、上記負荷面圧PQ が分布してい
る部分の面積である。尚、上記ローラクラッチ用内輪1
5の曲率を考慮すると、上記荷重Qが作用するA点から
円周方向に離れた所では余弦誤差が生じるが、上記負荷
面圧PQ は、上記嵌合面のうち上記A点の内径側部分に
集中するので、余弦誤差は無視できる。
【0025】又、上記ローラクラッチ用内輪15と上記
スリーブ8との嵌合面に作用する面圧Pの総和に、この
嵌合面の静止摩擦係数μを掛けたものが、この嵌合面に
於ける静止摩擦力となる。更に、この静止摩擦力に上記
嵌合面の半径(R1 −t1 )を掛けたものが、この嵌合
面でクリープが生じる事なく、上記ローラクラッチ用内
輪15から上記スリーブ8に伝達できる最大のトルクT
max となる。即ち、 Tmax =μ・ΣPQ ・S・(R1 −t1 ) +μ・2π(R1 −t1 )・L・Pi ・(R1 −t1 ) =μ・(R1 −t1 )・Z・Q・cos β +μ・2π(R1 −t12 ・L・Pi −−−(5) となる。ここで、Lは、上記嵌合面の軸方向長さであ
る。従って、上記ローラクラッチ用内輪15から上記ス
リーブ8に伝達されるトルクTが、 T<Tmax −−−(6) の条件を満たせば、上記嵌合面にクリープが発生する事
はない。
【0026】ところで、上記ローラクラッチ用内輪15
を上記スリーブ8の外周面に圧入する際に、この外周面
をかじらない様にする為には、上記初期面圧Pi を最大
でも15kgf/mm2 程度に抑える必要がある。但し、この
場合、上記ローラクラッチ用内輪15とスリーブ8との
嵌合面の直径寸法の加工のばらつきを考慮すると、上記
初期面圧Pi の最小値が5kgf/mm2 程度になってしま
う。即ち、上記(5)式に示した摩擦力のうち、右辺第
2項に示した初期面圧Pi による摩擦力は小さなものと
なる。この為、安全を考慮した設計を行なう為には、上
記(5)式に示した摩擦力のうち、右辺第1項に示した
負荷面圧PQ による摩擦力だけで、伝達すべきトルクよ
りも大きくなる様にする必要がある。又、上記嵌合面の
静止摩擦係数μは、0.15〜0.2程度であるので、
ここでも安全を考慮した設計を行う為に、μ=0.15
とする。又、前記(接触角)αは、前記ローラクラッチ
10が確実にロック状態となる様にし、更にこのローラ
クラッチ10のトルク容量を十分に確保する為、4〜5
度程度にしている。ここでも、安全を考慮した設計を行
なう為に、α=5度とする。更に、cos α≒1、cos β
≒1と近似すると、上記(3)式、(5)式、及び
(6)式より、 t1 <{0.41−0.59(D/R1 )}R1 −−−(7) の関係式が導き出される。即ち、この(7)式の条件が
満たされる場合には、前述した様に、トルクの伝達時に
上記ローラクラッチ用内輪15とスリーブ8との嵌合面
にクリープが発生するのを防止できる。例えば、D=
4.0mm、R0 =39mm、R1 =15.516mm、t1
=3.5mmとすれば、上記(7)式の右辺が4.002
(>3.5)となり、上記クリープの発生防止を図れ
る。
【0027】上述の様に構成する本例のオルタネータ用
一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、上記ロー
ラクラッチ10の働きにより、無端ベルトを掛け渡した
前記従動プーリ7aの回転速度が、オルタネータ1の回
転軸3(図7)に固定したスリーブ8の回転速度以上の
場合にのみ、上記従動プーリ7aからこの回転軸3にト
ルクを伝達する。逆に言えば、上記従動プーリ7aの回
転速度が上記スリーブ8の回転速度未満の場合には、こ
れら従動プーリ7aとスリーブ8との接続を断ち、上記
無端ベルトに無理な(制動方向の)力が加わる事を防止
する。
【0028】特に、本発明のオルタネータ用一方向クラ
ッチ内蔵型プーリ装置の場合には、ローラクラッチ用内
輪15は、軸受鋼等の硬質金属製で円筒状の素材に引き
抜き加工を施す等により形成している。この為、このロ
ーラクラッチ用内輪15の直径方向の厚さ寸法を大きく
して、上記ローラクラッチ用内輪15の負荷能力を確保
する事が容易である。又、このローラクラッチ用内輪1
5の直径方向の厚さ寸法を適正な値に規制している。こ
の為、このローラクラッチ用内輪15を上記スリーブ8
の外周面に対し、締り嵌めで外嵌固定した場合でも、ト
ルクの伝達時にこれらローラクラッチ用内輪15とスリ
ーブ8との嵌合部でクリープが発生する事はない。この
為、上記ローラクラッチ用内輪15を上記スリーブ8の
外周面に外嵌固定する際に、組み付け作業の容易な締り
嵌めを採用した場合でも、信頼性の高い製品を提供でき
る。
【0029】尚、ローラクラッチ用内輪の別構造とし
て、図4に示す様なものも広く知られている。この別構
造のローラクラッチ用内輪15aの場合、外周面に設け
るカム面16aを、この外周面にランプ部と呼ばれる複
数の凹部26を、円周方向に亙り等間隔で設ける事によ
り形成している。この様なローラクラッチ用内輪15a
を備えたオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装
置の場合も、前記(7)式による寸法規制を行なえば、
上述した第1例と同様の効果が得られる。尚、前述した
(4)式の導出に際してローラクラッチ用内輪15の曲
げ剛性を無視したが、この曲げ剛性を考慮すると、実際
の負荷面圧PQ は前記(4)式による計算値よりも小さ
くなる。従って、前記(7)式で計算される右辺の値
(許容値)は、実際の許容値よりも少し大きな値にな
る。この為、実際の設計では余裕を見て、上記ローラク
ラッチ用内輪15の厚さ寸法の許容値として、上記
(7)式の右辺で計算される値よりも少し小さめの値を
採用するのが好ましい。
【0030】次に、図5〜6は、請求項2に対応する、
本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場
合、1対のサポート軸受9、9の間部分に設ける一方向
クラッチは、スプラグ式の一方向クラッチ27としてい
る。即ち、この様な一方向クラッチ27を構成する複数
のロック部材として、それぞれ断面形状が非円形である
スプラグ28を使用している。これに伴い、本例の場合
には、スリーブ8の軸方向中央部に締り嵌めで外嵌固定
した一方向クラッチ用内輪29の外周面は、単なる円筒
面(内径側円筒面)としている。本例の場合も、この様
な一方向クラッチ用内輪29は、軸受鋼等の硬質金属製
の円筒状の素材に引き抜き加工を施す事により、或はこ
の硬質金属に鍛造加工を施す等により形成している。
又、この一方向クラッチ用内輪29の表面に熱処理を施
す事により、この表面の固さを、HRC60〜64程度
にしている。
【0031】一方、本例の場合、従動プーリ7bの内周
面には、第1例の様な外径側スリーブ12(図1、3)
を設けず、上記各スプラグ28を上記従動プーリ7bの
内周面に直接当接若しくは摺接させる様にしている。こ
の為、本例の場合には、上記従動プーリ7bを軸受鋼等
の硬質金属により形成し、この従動プーリ7bの内周面
を円筒面(外径側円筒面)としている。更に、この従動
プーリ7bの内周面を焼き入れ硬化させている。そし
て、この従動プーリの内周面軸方向中央部と上記一方向
クラッチ用内輪29の外周面との間に、上記複数個のス
プラグ27を、合成樹脂製のクラッチ用保持器18aに
より保持した状態で設けている。本例の場合、このクラ
ッチ用保持器18aの軸方向両端部の外径側部分は、上
記各サポート軸受9、9を構成する外輪22、22の端
面に当接若しくは近接させて、軸方向に亙るずれ止めを
図っている。
【0032】又、上記複数個のスプラグ27には、弾性
リング20等の弾性材により、上記従動プーリ7bの内
周面と上記一方向クラッチ用内輪29の外周面とに押し
付ける方向の弾性を付与している。上記各スプラグ27
は、上記従動プーリ7bと上記スリーブ8とが所定方向
に相対回転する場合には、図6に示す様に、この従動プ
ーリ7bの内周面と上記一方向クラッチ用内輪29の外
周面との間で突っ張り(ロック状態となり)、この従動
プーリ7bと上記スリーブ8との間でトルクの伝達を行
なわせる。これに対して、上記従動プーリ7bと上記ス
リーブ8とが逆方向に相対回転する傾向となった場合に
上記各スプラグ27は、この従動プーリ7bの内周面と
上記一方向クラッチ用内輪29に対して滑り(オーバラ
ン状態となり)、この従動プーリ7bと上記スリーブ8
との間でトルクの伝達を行なわせない。尚、この様なス
プラグ型の一方向クラッチ27の構造及び作用は、従来
から周知であるので、これ以上の詳しい説明は省略す
る。又、上記各スプラグ27の形状は、伝達すべきトル
クの大きさ等に応じて各種の形状を採用できる。
【0033】特に、本例の場合、上記従動プーリ7bと
上記スリーブ8との間でトルクの伝達を行なわせる際に
も、このスリーブ8と上記一方向クラッチ用内輪29と
の嵌合部にクリープが発生しない様に考慮している。即
ち、上記一方向クラッチ用内輪29の外周面の曲率半径
をR2 とし、この一方向クラッチ用内輪29の直径方向
の厚さ寸法をt2 とした場合に、この厚さ寸法t2 を、
2 <0.41R2 となる様に規制している。この理由
に就いて、図6を参照しつつ、以下に説明する。
【0034】先ず、この図6に示したロック状態で、上
記一方向クラッチ用内輪29の外周面のうち、上記スプ
ラグ27との当接部であるA点に、このスプラグ27か
ら接触荷重Qが作用する。この際、直径方向に対するこ
の荷重Qのベクトルの傾斜角度(上記一方向クラッチ用
内輪29の外周面に対する上記スプラグ27の接触角)
を、αとする。又、上記スプラグ27の総数をZとす
る。この場合に、上記従動プーリ7bからこれら各スプ
ラグ27を介して、上記一方向クラッチ用内輪29に伝
達されるトルクTは、 T=Z・R2 ・Q・sin α −−−(8) となる。
【0035】又、前述した第1例の場合と同様に、上記
一方向クラッチ用内輪29の曲げ剛性は無視できる為、
この一方向クラッチ用内輪29と上記スリーブ8との嵌
合面に作用する面圧Pは、初期面圧Pi (この一方向ク
ラッチ用内輪29をこのスリーブ8の外周面に締り嵌め
で外嵌固定した事により発生する面圧)と、負荷面圧P
Q (上記各スプラグ27から上記A点に荷重Qが負荷し
た事により発生する面圧)との和(P=Pi +PQ )と
なる。又、上記負荷面圧PQ は、上記嵌合面のうち上記
A点の内径側部分に集中し、上記荷重Qの垂直成分と負
荷面圧PQ とは釣り合うので、 ΣPQ ・S=Z・(Q・cos α) −−−(9) が成立する。ここで、Sは、上記負荷面圧PQ が分布し
ている部分の面積である。
【0036】更に、前述した第1例の場合と同様、上記
一方向クラッチ用内輪29と上記スリーブ8との嵌合面
でクリープが生じる事なく、上記従動プーリ7bから上
記一方向クラッチ用内輪29に伝達できる最大のトルク
max は、 Tmax =μ・(R2 −t2 )・Z・Q・cos α +μ・2π(R2 −t22 ・L・Pi −−−(10) となる。尚、Lは、上記嵌合面の軸方向長さである。従
って、上記従動プーリ7bから上記一方向クラッチ用内
輪29に伝達されるトルクTが、 T<Tmax −−−(11) の条件を満たせば、上記嵌合面にクリープが発生する事
はない。
【0037】又、前述した第1例の場合と同様、安全を
考慮した設計を行なう為、上記(5)式に示した摩擦力
のうち、右辺第1項に示した負荷面圧PQ による摩擦力
だけで伝達すべきトルクよりも大きくなる様にする事を
考え、更に、上記嵌合面の静止摩擦係数μを、μ=0.
15とし、前記(接触角)αを、α=5度とすると、上
記(8)式、(10)式、及び(11)式より、 t2 <0.41R2 −−−(12) の関係式が導き出される。即ち、この(12)式の条件
が満たされる場合には、前述した様に、トルクの伝達時
に上記一方向クラッチ用内輪29と上記スリーブ8との
嵌合面にクリープが発生するのを防止できる。例えば、
2 =15mm、t 2 =5mmとすれば、上記(12)式を
満たして、上記クリープの発生防止を図れる。尚、本例
の場合も前記(9)式を導出する際に、一方向クラッチ
用内輪29の曲げ剛性を無視した為、実際の負荷面圧P
Q は前記(9)式による計算値よりも小さくなる。従っ
て、本例の場合も上述した第1例の場合と同様に、実際
の設計では余裕を見て、上記一方向クラッチ用内輪29
の厚さ寸法の許容値として、上記(9)式の右辺で計算
される値よりも少し小さめの値を採用するのが好まし
い。
【0038】上述の様に構成する本例のオルタネータ用
一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合も、上記一方向
クラッチ用内輪29の直径方向の厚さ寸法を適正な値に
規制している。この為、この一方向クラッチ用内輪29
を上記スリーブ8の外周面に対し、締り嵌めで外嵌固定
した場合でも、トルクの伝達時にこれら一方向クラッチ
用内輪29とスリーブ8との嵌合部でクリープが発生す
る事はない。従って、本例の場合も、上記一方向クラッ
チ用内輪29を上記スリーブ8の外周面に外嵌固定する
際に、組み付け作業の容易な締り嵌めを採用した場合で
も、信頼性の高い製品を提供できる。
【0039】
【発明の効果】本発明のオルタネータ用一方向クラッチ
内蔵型プーリ装置は、以上に述べた通り構成され作用す
るので、組み付け作業の容易化を図りつつ、信頼性の高
い構造を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す半部断面
図。
【図2】ローラクラッチ用内輪の側面図。
【図3】一部を省略して示す、図1のX−X断面図。
【図4】ローラクラッチの別例を示す、図3と同様の
図。
【図5】本発明の実施の形態の第2例を示す半部断面
図。
【図6】一部を省略して示す、図5のY−Y断面図。
【図7】従来から知られているオルタネータの1例を示
す断面図。
【符号の説明】
1 オルタネータ 2 ハウジング 3 回転軸 4 転がり軸受 5 ロータ 6 整流子 7、7a、7b 従動プーリ 8 スリーブ 9 サポート軸受 10 ローラクラッチ 11 雌スプライン部 12 外径側スリーブ 13 突出部 14 円筒面 15、15a ローラクラッチ用内輪 16、16a カム面 17 平坦面 18、18a クラッチ用保持器 19 ローラ 20 弾性リング 21 外輪軌道 22 外輪 23 内輪軌道 24 内輪 25 転動体 26 凹部 27 一方向クラッチ 28 スプラグ 29 一方向クラッチ用内輪
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H02K 7/10 H02K 7/108 7/108 7/18 B 7/18 F16D 41/07 Z

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オルタネータの回転軸に外嵌固定自在な
    スリーブと、このスリーブの周囲にこのスリーブと同心
    に配置した従動プーリと、これらスリーブの外周面の軸
    方向中間部と従動プーリの内周面の軸方向中間部との間
    に設け、この従動プーリが上記スリーブに対し所定方向
    に相対回転する傾向となる場合にのみこれら従動プーリ
    とスリーブとの間での回転力の伝達を自在とする一方向
    クラッチと、この一方向クラッチを軸方向両側から挟む
    状態で、上記スリーブの外周面と従動プーリの内周面と
    の間に設け、この従動プーリに加わるラジアル荷重を支
    承しつつこれらスリーブと従動プーリとの相対回転を自
    在とするサポート軸受とを備え、上記一方向クラッチ
    は、上記従動プーリの内周面若しくはこの従動プーリに
    内嵌した他の部材の内周面に設けた円筒面と、上記スリ
    ーブの外周面の軸方向中間部に締り嵌めにより外嵌固定
    した一方向クラッチ用内輪と、この一方向クラッチ用内
    輪の外周面に形成したカム面と、このカム面と上記円筒
    面との間に設けた複数個のローラとを備えたものであ
    り、このうちの一方向クラッチ用内輪を、円筒状の金属
    素材に引き抜き加工を施す事により、或は金属材料に鍛
    造加工を施す事により形成しているオルタネータ用一方
    向クラッチ内蔵型プーリ装置に於いて、上記各ローラが
    上記円筒面と上記カム面との間の幅の狭い部分に食い込
    むロック状態で、上記一方向クラッチ用内輪の中心軸か
    ら上記各ローラと上記カム面との当接部までの直径方向
    に亙る寸法をR1 とし、この当接部に対応する部分での
    上記一方向クラッチ用内輪の直径方向の厚さ寸法をt1
    とし、上記各ローラの外径をDとした場合に、この厚さ
    寸法t1 を、t1 <{0.41−0.59(D/R
    1 )}R1 を満足する大きさに規制している事を特徴と
    するオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置。
  2. 【請求項2】 オルタネータの回転軸に外嵌固定自在な
    スリーブと、このスリーブの周囲にこのスリーブと同心
    に配置した従動プーリと、これらスリーブの外周面の軸
    方向中間部と従動プーリの内周面の軸方向中間部との間
    に設け、この従動プーリが上記スリーブに対し所定方向
    に相対回転する傾向となる場合にのみこれら従動プーリ
    とスリーブとの間での回転力の伝達を自在とする一方向
    クラッチと、この一方向クラッチを軸方向両側から挟む
    状態で、上記スリーブの外周面と従動プーリの内周面と
    の間に設け、この従動プーリに加わるラジアル荷重を支
    承しつつこれらスリーブと従動プーリとの相対回転を自
    在とするサポート軸受とを備え、上記一方向クラッチ
    は、上記従動プーリの内周面若しくはこの従動プーリに
    内嵌した他の部材の内周面に設けた外径側円筒面と、上
    記スリーブの外周面の軸方向中間部に締り嵌めにより外
    嵌固定した一方向クラッチ用内輪と、この一方向クラッ
    チ用内輪の外周面に形成した内径側円筒面と、この内径
    側円筒面と上記外径側円筒面との間に設けた断面形状が
    非円形である複数個のスプラグとを備えたものであり、
    このうちの一方向クラッチ用内輪を、円筒状の金属素材
    に引き抜き加工を施す事により、或は金属材料に鍛造加
    工を施す事により形成しているオルタネータ用一方向ク
    ラッチ内蔵型プーリ装置に於いて、上記内径側円筒面の
    曲率半径をR2 とし、上記一方向クラッチ用内輪の直径
    方向の厚さ寸法をt2 とした場合に、この厚さ寸法t2
    を、t2 <0.41R2 を満足する大きさに規制してい
    る事を特徴とするオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型
    プーリ装置。
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