JP2000328913A - 筒内噴射式2サイクルエンジン - Google Patents
筒内噴射式2サイクルエンジンInfo
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Abstract
摩耗やスカッフィングの発生を効果的に防ぐことができ
る筒内噴射式2サイクルエンジンを提供する。 【解決手段】 筒内噴射式2サイクルエンジン(6)
は、内部に燃料が直接噴射されるシリンダ(12)と、
このシリンダに形成されている掃気ポート(22a,2
3a,24a)および排気ポート(25a)と、前記シ
リンダ内を摺動するピストン(13)と、このピストン
の外周面に嵌められているトップリング(62)および
セカンドリング(63)とを備えている。そして、セカ
ンドリングの外周面には、潤滑オイル通路(64)とし
て切欠き(64a,71)又は凹溝(64b,64c)
が複数形成されており、この潤滑オイル通路を通って潤
滑オイルがピストンの摺動方向に流れる。
Description
にトップリングおよびセカンドリングが嵌められている
筒内噴射式2サイクルエンジンに関する。
従来の2サイクルエンジンにおいては、潤滑オイル(以
下、オイルと呼ぶ)が燃料と共にクランク室内に導入さ
れるため、オイルが燃料で希釈されて粘度が低くなり、
エンジンの各部に十分行き渡って各摺動部を円滑に潤滑
している。
内噴射式2サイクルエンジンにおいては、燃焼室以外は
生オイルと空気による潤滑となるため、オイルの粘度が
高くなり、オイルの流動性不足による潤滑不良が発生し
易い。そして、図10に示すようにクランク室側からの
オイルが、ピストン113のセカンドリング163によ
って遮られてトップリング162側へ十分に供給され
ず、トップリング162の摩耗やスカッフィングおよ
び、シリンダ112のスカッフィングが生じ易いという
問題があった。
ンジンと同様に2サイクルエンジンにオイルパンを設け
てクランク室内を積極的に潤滑する提案がなされている
が、これによればシステムが複雑化及び大型化し、4サ
イクルエンジンと同様に高コスト化を免れないという問
題が発生する。
管内に供給する方式も提案されているが、この方式によ
っても低・中速域においてオイルの流動性不足による潤
滑不良が発生し、ピストンのトップリングの摩耗やスカ
ッフィングが生じ易いという問題があった。
めのもので、簡単な構成でピストンのトップリングの摩
耗やスカッフィングの発生を効果的に防ぐことができる
筒内噴射式2サイクルエンジンを提供することを目的と
する。
イクルエンジン(6)は、内部に燃料が直接噴射される
シリンダ(12)と、このシリンダに形成されている掃
気ポート(22a,23a,24a)および排気ポート
(25a)と、前記シリンダ内を摺動するピストン(1
3)と、このピストンの外周面に嵌められているトップ
リング(62)およびセカンドリング(63)とを備え
ている。そして、前記課題を解決するために、セカンド
リングの外周面には、潤滑オイル通路(64)として切
欠き(64a,71)又は凹溝(64b,64c)が複
数形成されており、この潤滑オイル通路を通って潤滑オ
イルがトップリングに供給されることを特徴としてい
る。
2)でピストンに対して回転不能に支持されているとと
もに、排気ポートに対向する部位およびその略180°
反対側の部位に前記潤滑オイル通路が形成されている場
合がある。さらに、シリンダの軸線が、略水平に配置、
または、水平線との角度が鉛直線との角度よりも小さく
なるように傾斜しており、潤滑オイル通路は、少なくと
もセカンドリングの上側の外周面に複数形成されている
場合がある。そして、シリンダの軸線が略水平に配置さ
れ、かつ、クランク軸が略鉛直に配置され、前記潤滑オ
イル通路が、セカンドリングの全周に略等間隔に配置さ
れている場合がある。
状が、外側に凸に湾曲している場合がある。さらに、潤
滑オイル通路の周方向の配置位置が、掃気ポートおよび
排気ポートのサイドエッジ(e)の配置位置とはズレて
いる場合がある。
2サイクルエンジンの実施の一形態を図1ないし図9を
用いて説明する。図1は本発明の実施の形態の筒内噴射
式2サイクルエンジンを搭載した船外機の基本構成を示
す模式的構成図である。図2は図1の船外機の断面図で
ある。図3は本発明の実施の形態の筒内噴射式2サイク
ルエンジン要部の断面図である。図4は図3のA−A線
断面図である。図5は図3のB部拡大断面図である。図
6はセカンドリングの平面図である。図7は図6のC部
拡大図で、(a)が実施の形態の図、(b)が第1変形
例の図、(c)が第2変形例の図である。図8はセカン
ドリングの第3変形例の要部拡大図で、(a)が平面
図、(b)が図6の VIII-VIII断面図である。図9はセ
カンドリングの取付状態を示す図である。なお、図9に
おいて、ピストンの図示は省略されている。また、図9
は燃焼室S側から見た図面である。
エキゾーストガイド3、アッパーケース4及びロアーケ
ース5で構成されるハウジングを有しており、トップカ
ウル2内には筒内噴射式2サイクルエンジン6が収納さ
れている。尚、2サイクルエンジン6の上下方向(すな
わち、略鉛直方向)に配されたクランク軸7には、エキ
ゾーストガイド3、アッパーケース4及びロアーケース
5内に縦設された不図示のドライブ軸が連結されてお
り、該ドライブ軸の下端は前後進切換機構を介してプロ
ペラ軸(共に不図示)が連結されている。そして、プロ
ペラ軸のロアーケース5外へ延出する後端部にはプロペ
ラ8が取り付けられている。
気筒エンジンであり、図2に示すように、シリンダボデ
ィ9には6つの気筒10a〜l0fが、平面視略V形を
成して横置き状態で上下方向に並設されており、シリン
ダボディ9の後端部にはシリンダヘッド11が被着され
ている(図1及び図3参照)。
リンダボディ9の各気筒10a〜10fの内面には、鉄
製のシリンダースリーブ12aが圧入されて、シリンダ
12が形成されている。このシリンダ12は、その軸線
が略水平であるとともに、各々ピストン13が摺動自在
に嵌装されており、該ピストン13はピストンピンPお
よびコンロッド14を介して前記クランク軸7(図1参
照)に連結されている。ピストンピンPは略鉛直方向に
延在している。
0a〜10fには燃焼室Sがそれぞれ形成されており、
シリンダヘッド11には、電極部が燃焼室Sに臨む点火
プラグ15と、燃料噴射口が燃焼室Sに開口するインジ
ェクタ16とが各気筒10a〜10f毎にそれぞれ螺着
されている。
9の後部にはクランクケース17が取り付けられてお
り、このクランクケース17内のクランク室には吸気マ
ニホールドの吸気管18が接続されており、この吸気管
18のクランク室への接続部には逆流防止用のリード弁
19が設けられ、このリード弁19の上流側には吸気量
を制御するためのスロットル弁20が配設されている。
そして、吸気管18内のスロットル弁20の下流側には
オイルポンプ21によって潤滑オイルが噴射される。
ディ9には、クランク室と各気筒10a〜10fのシリ
ンダ12内とを連通させる掃気通路22,23,24
と、排気通路25とが各気筒10a〜10f毎に各々形
成されている。この掃気通路22,23,24の先端の
掃気ポート22a,23a,24a、及び、排気通路2
5の先端の排気ポート25aは、シリンダ12内に各々
開口している。この排気ポート25aは、ピストンピン
Pを避けた位置に開口している。
に、左右の各バンク毎に集合されて排気通路26a,2
6bを形成しており、これらの排気通路26a,26b
は前記エキゾーストガイド3に形成された排気通路27
a,27bを介して前記アッパーケース4内に収納され
た排気管28a,28bにそれぞれ接続されている。
ース4内に収納されたマフラー29内の隔壁30によっ
て左右に区画された膨張室29a,29bにそれぞれ開
口している。そして、マフラー29は前記ロアーケース
5に形成された排気通路31に接続されている。
る。図1に示す主燃料タンク32内の燃料は、第1の低
圧燃料ポンプ33によってフィルタ34を経て第2の低
圧燃料ポンプ35に送られる。この第2の低圧燃料ポン
プ35はエンジン6のクランク室のパルス圧によって駆
動されるダイヤフラム式ポンプであって、これは燃料を
気液分離装置であるベーパーセパレータタンク36に送
る。
電動モータによって駆動される燃料予圧ポンプ37が配
設されており、燃料はこの燃料予圧ポンプ37によって
加圧されて予圧配管38を通って高圧燃料ポンプ39に
送られる。ここで、高圧燃料ポンプ39の吐出側は各気
筒10a〜10fに沿って縦方向に配設された燃料供給
レール40に接続されるとともに、燃料戻し配管41を
介してベーパーセパレ一タタンク36に接続されてい
る。尚、燃料戻し配管41の途中には高圧調整弁42及
び燃料冷却器43が設けられている。又、予圧配管38
とベーパーセパレータタンク36との間には予圧調整弁
44が設けられている。
の燃料は燃料予圧ポンプ37によって例えば3〜10k
g/cm2 程度に予圧され、予圧された燃料は高圧燃料
ポンプ39によって50〜100kg/cm2 程度に加
圧されて燃料供給レール40から各インンジェクタ16
に供給され、各インジェクタ16によって適当なタイミ
ングで各気筒10a〜10fのシリンダ12内に直接噴
射される。尚、噴射されないで余った余剰燃料は高圧調
整弁42及び燃料冷却器43を通過して燃料戻し配管4
1からベーパーセパレータタンク36に戻される。
オイルポンプ21及び燃料予圧ポンプ37はエンジン制
御装置(ECU)45によって制御されるが、エンジン
制御装置45には、エンジン6の運転状態および、船外
機1や船体の状態を示す各種センサからの検出信号が入
力される。
ク軸7の回転数を検出する回転センサ46、特定気筒を
判別する気筒判別センサ47、吸気管18内の温度を検
出する吸気温センサ48、シリンダボディ9の温度を検
出するエンジン温度センサ49、各気筒10a〜10f
の背圧を検出する背圧センサ50、スロットル弁20の
開度を検出するスロットル開度センサ51、冷却水の温
度を検出する冷却水温度センサ52、エンジン6の振動
を検出するエンジン振動センサ53、エンジン6のマウ
ント高さを検出するエンジンマウント高さ検出センサ5
4、船外機1のニュートラル状態を検出するニュートラ
ルセンサ55、船外機1の傾動位置を検出するトリム角
検出センサ56、船速を検出する船速センサ57、船体
の姿勢を検出する姿勢センサ58、大気圧を検出する大
気圧センサ59、混合気の空燃比を検出する空燃比セン
サ60及び燃料圧を検出する圧力センサ61などからの
検出信号がそれぞれ入力される。
13の外周にはリング溝13a,13bが全周に亘って
形成されている。このリング溝13a,13bは、ピス
トン13の摺動方向に2段に形成されており、各リング
溝13a,13bにはピストンリング62,63が嵌め
込まれている。すなわち、燃焼室S側(図5の上側)の
リング溝13aには、トップリング62が嵌合され、他
方(すなわちクランク室側)のリング溝13bには、セ
カンドリング63が嵌め込まれている。このピストンリ
ング62,63は、バレルフェースタイプであり、外周
面の横断面形状が外側に凸に湾曲しているとともに、図
6の平面図示において(すなわち、燃焼室S側から見
て)一部が切断された略円形リング状をしており、この
切断部分が切れ目63aとなっている。
方向に滑らかな円弧を描いており、略全周にわたってシ
リンダ12の内面に接触しながら沿って摺動することが
できる。一方、セカンドリング63は、外周面が周方向
に間欠的に(たとえば、約30°毎に)潤滑オイル通路
64が11個形成されている。この潤滑オイル通路64
を通って、潤滑オイルはセカンドリング63に対して、
セカンドリング63の厚み方向すなわち摺動方向に流れ
ることができる。そのため、セカンドリング63がシリ
ンダ12の内面に接触しながら沿って摺動すると、潤滑
オイル通路64以外の部分では、セカンドリング63の
外周面がシリンダ12に接触しており、シリンダ12に
付着している潤滑オイルは掻き落とされるが、潤滑オイ
ル通路64の部分では、セカンドリング63の外周面が
シリンダ12に接触しておらず、シリンダ12に付着し
ている潤滑オイルは残留し、トップリング62に供給さ
れる。潤滑オイル通路64は、図7(a)に図示する様
に、セカンドリング63の円弧状の外周面を直線的(す
なわち弦に沿って)に切り欠いた切欠き64aで構成さ
れている。また、前述のセカンドリング63の切れ目6
3aも、潤滑オイル通路64として機能し、この切れ目
63aも含めると潤滑オイル通路64は総計12個形成
されている。そして、潤滑オイル通路64の第1変形と
して、図7(b)に図示する様に、セカンドリング63
の外周面にV字状の凹溝64bを形成することも可能で
ある。さらに、潤滑オイル通路64の第2変形として、
図7(c)に図示する様に、セカンドリング63の外周
面にU字状の凹溝64cを形成することも可能である。
これらの切欠き64aや凹溝64b,64cは、セカン
ドリング63の燃焼室S側の面から反対側の面(すなわ
ちクランク室側の面)に達するまで形成されている。こ
の様に、潤滑オイル通路64は切欠き64aや凹溝64
b,64cで構成されており、加工が極めて容易であ
る。
63aを含めて、セカンドリング63の周方向に略等間
隔に配置されているが、ピストン13の摺動途中におい
て、掃気ポート22a,23a,24aおよび排気ポー
ト25aの配置位置と重なる場合がある。この様な場合
には、ピストン13の摺動時に、潤滑オイル通路64の
端部の角部がシリンダ12に強く接触して面圧が高くな
ったり、上記ポート22a,23a,24a,25aに
引っ掛かったりすることがある。そして、セカンドリン
グ63の摩耗が増大したり、セカンドリング63が折れ
たりするので、潤滑オイル通路64は、上記ポート22
a,23a,24a,25aと重ならない様に周方向の
配置位置をズラすことが好ましい。特に、掃気ポート2
2a,23a,24aおよび排気ポート25aのサイド
エッジeの配置位置とはズレていることが好ましい。
の変形例を図6および図8で説明する。このセカンドリ
ング63は、クランク室側の面66がシリンダ軸線に略
垂直に形成され、一方、反対側の燃焼室S側の面67は
クランク室側の面66の中心側に行くほど、クランク室
側の面66に近接するように、シリンダ軸線に垂直な面
に対して小さな角度で傾斜している。また、セカンドリ
ング63は、バレルフェースタイプであり、外周面68
の横断面形状が外側に凸に湾曲しているとともに、外周
面68と、面66,67との境目の角部は面取り69が
されている。また、潤滑オイル通路64としての切欠き
71は、セカンドリング63の外周面68に略等間隔に
形成されているとともに、セカンドリング63の中心に
向かって凸に湾曲した形状に切り欠かれている。
は切れ目63aが、左側でかつ、斜め上側に配置され、
回り止め部材としての回り止めピン72で位置決めされ
ている。ところで、この図9においては、排気ポート2
5aは、右側に配置されている。この様に、排気ポート
25aはシリンダ12の右または左の一方の側に配置さ
れ、切れ目63aは右または左の他方の側に配置されて
いる。そして、回り止めピン72はピストン13に圧入
されて固定されている。さらに、73の矢印は、トップ
リング62の切れ目の位置(すなわち、左側で、かつ、
下側)を示している。トップリング62も、切れ目の部
分が、セカンドリング63と同様に回り止めピンで位置
決めされている。
クルエンジンの作用を説明する。筒内噴射式2サイクル
エンジン6が始動され、各気筒10a〜10fにおいて
ピストン13がシリンダ12内を下死点(BDC)から
上死点(TDC)に向かって摺動する圧縮行程において
は、クランク室内に発生する負圧に引かれて空気(新
気)が吸気管18内に吸引され、この空気はスロットル
弁20を通過した後、オイルポンプ21によって吸気管
18内に噴射されるオイルと共にリード弁19を通過し
てクランク室内に流入する。そして、クランク室内に流
入した空気とオイルはその後の膨張行程において上死点
から下死点に向かって摺動するピストン13によって一
次圧縮される。クランク室内のオイルは各部に供給され
て各摺動部の潤滑に供される。そして、図5に示すよう
に、シリンダ12に供給されたオイルは、セカンドリン
グ63の潤滑オイル通路64を通って、トップリング6
2に円滑に達することができ、セカンドリング63およ
びトップリング62を円滑に潤滑することができる。こ
の様にして、トップリング62周辺の潤滑が従来に比し
て飛躍的に向上し、トップリング62の摩耗やスカッフ
ィングの発生を極力防止することができる。また、両ピ
ストンリング62,63が、バレルフェースタイプであ
るので、面圧が高くなることを防止することができると
ともに、ピストン13の熱を効率よくシリンダ12に逃
がすことができる。なお、トップリング62には、切れ
目は形成されているが、切欠きや凹溝からなる潤滑オイ
ル通路64は形成されていないので、トップリング62
から燃焼室S内に向かってオイルが供給されることは少
なくなっている。
って摺動して先ず排気ポート25aが開き始めると、燃
焼室Sでの混合気の燃焼によって発生した高温・高圧の
排気ガスが排気ポート25aから排気通路25へと排出
される排気ブローダウンが開始され、その後、掃気ポー
ト22a〜24aが開くと、前のサイクルで一次圧縮さ
れたクランク室内の空気が図4に矢印にて示すようにオ
イルと共に掃気通路22〜24を通って掃気ポート22
a〜24aからシリンダ12内に流入し、シリンダ12
内の排気ガスを排気ポート25aから排気通路25へと
押し出す掃気作用を行う。
によって掃気ポート22a〜24aが閉じられ、続いて
排気ポート25aが閉じられると、シリンダ12内の空
気は圧縮され、この空気にインジェクタ16から適当な
タイミングで適量の燃料が噴射されて所要の空燃比の混
合気が形成される。そして、この混合気はピストン13
によって更に圧縮され、ピストン13が上死点近傍に達
した時点或は上死点を過ぎた直後の適当なタイミングで
点火プラグ15によって着火されて燃焼せしめられる。
て発生した高温・高圧の排気ガスは前述のように排気行
程において排気ポート25aを通って排気通路25へと
排出される。以後、上記と同様の作用が繰り返されて当
該2サイクルエンジン6が連続して運転される。
膨張した際には、排気ポート25aに対向する部位およ
びその略180°反対側部位で、ピストン13とシリン
ダ12内面とのクリアランスが小さくなる。しかしなが
ら、この実施の形態では、セカンドリング63は、排気
ポート25aに対向する部位およびその略180°反対
側部位に潤滑オイル通路64が形成されているので、摩
耗やスカッフィングを極力防止することができる。
本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、
特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、
種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例を
下記に例示する。
射式2サイクルエンジン6は、船外機に搭載されている
が、他の用途、たとえば、発電機や自動二輪車などに使
用することも可能である。また、気筒数や気筒の配置な
どは適宜変更可能である。特に、スクータのエンジンに
採用することが可能で、その場合には、通常の使用状態
で、シリンダの軸線を、水平線との角度が鉛直線との角
度よりも小さくなるように傾斜(すなわち、シリンダの
軸線と水平線とのなす角度が45°以下)して配置され
ることが好ましい。 (2)潤滑オイル通路64は、クランク室内のオイルを
トップリング62に向かって流すことができるならば、
構造や形状などは適宜変更可能である。また、潤滑オイ
ル通路64の数量は、複数であれば適宜選択可能である
が、4ないし12個程度が好ましい。ただし、排気ポー
ト25aに対向する部位およびその略180°反対側部
位に潤滑オイル通路64が形成されていることが好まし
い。また、潤滑オイルは重力により下側に落ちる傾向が
あるので、潤滑オイル通路64は、少なくともセカンド
リング63の上側の外周面に複数形成されていることが
好ましい。なお、セカンドリング63の上側とは、セカ
ンドリング63を上下に半分に分割した際の上半分の部
分である。 (3)ピストンリング62,63はバレルフェースタイ
プが好ましいが、他の形式であることも可能である。
面には、潤滑オイル通路として切欠き又は凹溝が複数形
成されているので、この潤滑オイル通路を通って潤滑オ
イルがトップリングに十分に供給される。したがって、
ピストンのトップリングの摩耗やスカッフィングを極力
防止することができる。
ストンに対して回転不能に支持されているとともに、排
気ポートに対向する部位およびその略180°反対側の
部位に前記潤滑オイル通路が形成されている場合には、
排気熱によるピストンの熱膨張によって、排気ポートに
対向する部位およびその略180°反対側の部位でピス
トンリングとシリンダ内面とのクリアランスが小さくな
るが、その部位に潤滑オイル通路が形成されているの
で、摩耗やスカッフィングを極力防止することができ
る。
置、または、水平線との角度が鉛直線との角度よりも小
さくなるように傾斜している場合には、潤滑オイルは重
力で下側に落ちる傾向があり、セカンドリングの上側の
箇所において潤滑オイルが減少する。しかしながら、潤
滑オイル通路が、少なくともセカンドリングの上側の外
周面に複数形成されているので、潤滑オイルが減少する
箇所に、潤滑オイルが円滑に供給され、摩耗やスカッフ
ィングを極力防止することができる。
れ、かつ、クランク軸が略鉛直に配置されている場合、
特に多気筒直列エンジンでは、排気ポートがシリンダ壁
面の左右何れかに位置することが多いとともに、潤滑オ
イルが重力で上側から下側に流れるため、潤滑が不均一
になりやすい。しかしながら、潤滑オイル通路が、セカ
ンドリングの全周に略等間隔に配置されているので、摩
耗やスカッフィングを極力防止することができる。
状が、外側に凸に湾曲している場合には、セカンドリン
グのシリンダに対する面圧が大きくなることを防止する
ことができる。その結果、セカンドリングやシリンダの
摩耗を極力防止することができるとともに、ピストンの
熱をシリンダに効率よく逃がすことができる。
置が、掃気ポートおよび排気ポートのサイドエッジの配
置位置とはズレている場合には、潤滑オイル通路が掃気
ポートおよび排気ポートのサイドエッジに引っ掛かるこ
とがなくなるとともに、潤滑オイル通路の端部の角部
が、シリンダに対して大きな面圧で接触することを防止
することができる。
クルエンジンを搭載した船外機の基本構成を示す模式的
構成図である。
クルエンジン要部の断面図である。
態の図、(b)が第1変形例の図、(c)が第2変形例
の図である。
図で、(a)が平面図、(b)が図6の VIII-VIII断面
図である。
る。
ンのピストンリング部分の断面図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 内部に燃料が直接噴射されるシリンダ
と、このシリンダに形成されている掃気ポートおよび排
気ポートと、前記シリンダ内を摺動するピストンと、こ
のピストンの外周面に嵌められているトップリングおよ
びセカンドリングとを備えている筒内噴射式2サイクル
エンジンにおいて、 前記セカンドリングの外周面には、潤滑オイル通路とし
て切欠き又は凹溝が複数形成されており、この潤滑オイ
ル通路を通って潤滑オイルがトップリングに供給される
ことを特徴とする筒内噴射式2サイクルエンジン。 - 【請求項2】 前記セカンドリングは回り止め部材でピ
ストンに対して回転不能に支持されているとともに、排
気ポートに対向する部位およびその略180°反対側の
部位に前記潤滑オイル通路が形成されていることを特徴
とする請求項1記載の筒内噴射式2サイクルエンジン。 - 【請求項3】 前記シリンダの軸線が、略水平に配置、
または、水平線との角度が鉛直線との角度よりも小さく
なるように傾斜しており、 前記潤滑オイル通路は、少なくともセカンドリングの上
側の外周面に複数形成されていることを特徴とする請求
項1または2記載の筒内噴射式2サイクルエンジン。 - 【請求項4】 前記シリンダの軸線が略水平に配置さ
れ、かつ、クランク軸が略鉛直に配置され、 前記潤滑オイル通路が、セカンドリングの全周に略等間
隔に配置されていることを特徴とする請求項1記載の筒
内噴射式2サイクルエンジン。 - 【請求項5】 前記セカンドリングの外周面の横断面形
状が、外側に凸に湾曲していることを特徴とする請求項
1,2,3または4記載の筒内噴射式2サイクルエンジ
ン。 - 【請求項6】 前記潤滑オイル通路の周方向の配置位置
が、掃気ポートおよび排気ポートのサイドエッジの配置
位置とはズレていることを特徴とする請求項1,2,
3,4または5記載の筒内噴射式2サイクルエンジン。
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---|---|---|---|
JP2000064448A JP4334720B2 (ja) | 1999-03-17 | 2000-03-09 | 筒内噴射式2サイクルエンジン |
Applications Claiming Priority (3)
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JP11-72799 | 1999-03-17 | ||
JP7279999 | 1999-03-17 | ||
JP2000064448A JP4334720B2 (ja) | 1999-03-17 | 2000-03-09 | 筒内噴射式2サイクルエンジン |
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---|---|
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Family Applications (1)
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---|---|---|---|
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---|---|
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010055611A1 (ja) * | 2008-11-12 | 2010-05-20 | 坂東機工株式会社 | 往復動エンジン |
-
2000
- 2000-03-09 JP JP2000064448A patent/JP4334720B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010055611A1 (ja) * | 2008-11-12 | 2010-05-20 | 坂東機工株式会社 | 往復動エンジン |
JP2010116832A (ja) * | 2008-11-12 | 2010-05-27 | Bando Kiko Co Ltd | 往復動エンジン |
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JP4334720B2 (ja) | 2009-09-30 |
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