JP2000319518A - フォトクロミック性プラスチック成形体及びその製造方法 - Google Patents

フォトクロミック性プラスチック成形体及びその製造方法

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JP2000319518A
JP2000319518A JP11127159A JP12715999A JP2000319518A JP 2000319518 A JP2000319518 A JP 2000319518A JP 11127159 A JP11127159 A JP 11127159A JP 12715999 A JP12715999 A JP 12715999A JP 2000319518 A JP2000319518 A JP 2000319518A
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dna
plastic molded
photochromic
molded article
organic
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Takeyoshi Kawasaki
剛美 川崎
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Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機フォトクロミック化合物自身に化学的な
変換を施さず、簡便にそのフォトクロミック特性、特に
退色速度を向上させることを可能にし得る成形体とその
製造方法を開発すること。 【解決手段】 重合性単量体中に有機フォトクロミック
化合物及びDNAとカチオン性界面活性剤との脂溶性有
機複合体を溶解分散させ、有機フォトクロミック化合物
をDNA・界面活性剤複合体中のミクロ空間内に取り込
ませる。次いで該溶液を重合硬化させることによって、
退色速度の速いフォトクロミック性プラスチック成形体
を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機フォトクロミ
ック化合物及びデオキシリボ核酸(以下、DNAとも記
す)とカチオン性界面活性剤からなる有機複合体を含む
フォトクロミック性プラスチック成形体及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】有機フォトクロミック化合物は、有機調
光レンズの機能分子として既に実用化されている。調光
レンズとは、野外の紫外線の強い条件下では望むよう調
整した色調に発色し、光線透過率を減ずることでサング
ラスとして使用でき、また室内などでは無色の状態に戻
るレンズのことである。このとき、室内から野外に出た
時の発色、あるいは野外から室内に戻った時の退色の速
度を向上させることが、その機能上必要である。
【0003】また、これら調光レンズは一般に所定の色
調に調製するために、複数種類の有機フォトクロミック
化合物を調合して用いている。この場合、用いる有機フ
ォトクロミック化合物の種類によってその退色速度が大
きく異なるため、レンズの退色の際の色調が完全に発色
した際の色調と変わってしまうことも問題となる。
【0004】有機フォトクロミック化合物の退色速度を
向上させるために、高分子電解質を用いたミセル状のミ
クロ相分離構造を利用して、その内部に有機フォトクロ
ミック化合物を含ませる方法が、特開平7−26027
号公報において提案されている。この方法ではスピロオ
キサジンの退色速度が向上しているが、この方法によれ
ば、有機フォトクロミック化合物を高分子電解質中に共
重合させるために、有機フォトクロミック化合物に重合
性基を化学的に導入しなければならず、形成体を得るた
めに非常に煩瑣な手続きが必要であるとともに、現在存
在する有機フォトクロミック化合物をそのまま用いるこ
とができないという欠点がある。また、有機フォトクロ
ミック化合物によっては重合性基の導入によって、その
性質が変わる可能性もある。
【0005】有機フォトクロミック化合物の退色速度を
向上させる方法としては、他にレンズ基材として柔らか
い高分子体を使用する方法もあるが、この方法ではレン
ズ表面に傷が付きやすくなってしまう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、以上の様
な欠点を克服し、有機フォトクロミック化合物自身に化
学的な変換を施さず、簡便に且つフォトクロミック性プ
ラスチック成形体の硬度を低下させることなく、そのフ
ォトクロミック特性、特に退色速度を向上させることを
可能にし得る成形体とその製造方法を開発することを課
題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、有機媒体
中において高秩序で且つ柔軟な構造を保ち、その内部に
有機フォトクロミック化合物を取り込むことのできる有
機超分子複合体を作り出すことが出来れば、上述の課題
を解決する為の因子として用いることが出来ると考え
た。
【0008】一般的に色素は、その会合状態あるいその
分子的な環境、例えば誘電率等によりその光学的な特性
を大きく変える。フォトロミック化合物も同様のことが
いえるが、特に現在有機フォトクロミックレンズで用い
られている化合物は、コンフィギュレーションの変化つ
まり共有結合の解裂を伴った、π電子共役系の大幅な組
み替えによって発色・退色の状態をスイッチングしてお
り、その分子を取り巻く自由空間の大きさが、発退色速
度あるいは発色濃度の大きさに強く影響すると言われて
いる。現に、レンズ基材の自由空間を大きくするように
重合レンズのモノマー構成を調整することによって、発
退色のスピード、それに伴った発色濃度の制御を行うこ
とも可能である。自由空間を大きくするように設計した
高分子体マトリックスは結果的に硬度が低下するため、
以上のような操作はマトリックス即ち重合体基材を柔ら
かくするとも表現され、分子環境の「硬さ」「柔らか
さ」が、フォトクロミック分子の分子形状変換の起こし
やすさと強く関連づいている、と言われている。
【0009】そこで、基材そのものを変えず、フォトク
ロミック分子が存在する環境を制御することによってそ
のフォトクロミック性色素としての特徴を改良すること
ができれば、レンズとしての性能と、フォトクロミック
材料としての機能を独立に制御、つまりは両方の特性を
向上させることが可能となると期待される。
【0010】以上の目標の為に本発明では、超分子構造
体としてDNAとカチオン性界面活性剤との脂溶性DN
A・界面活性剤複合体(以下、単にDNA・界面活性剤
複合体ともいう)に着目し、検討を行った。この構造体
は既に、特開平8−239398号公報において、水不
溶の透明性フィルムの素材として提案されている。
【0011】ポリリン酸であるDNAはそれ単独では有
機溶媒に不溶である。そこでカウンターカチオンとして
カチオン性界面活性剤を用いる事により、有機溶媒に可
溶の超分子構造体を自発的に形成させる得ること、更に
は、用いる界面活性剤を選択すれば、上述の超分子構造
体であるポリイオンコンプレックスとしてのDNA・界
面活性剤複合体は、DNA由来の高い構造性を有機媒体
中あるいはそれをキャストしてできたフィルム中におい
ても保持し得る事が分かっている(特開平8−2393
98号公報)。この複合体はDNA分子から界面活性剤
の疎水鎖が外に向かって伸びている構造をしていると考
えられており、疎水鎖間のパッキングもX線構造解析の
結果、高秩序状態にあるとされている。
【0012】このDNA・界面活性剤複合体において高
い秩序性をもって配列している疎水鎖空間が、疎媒性相
互作用(有機フォトクロミック化合物の重合性単量体と
DNA・界面活性剤複合体の疎水鎖空間とに対する親和
性の差による相互作用)を通じて有機フォトクロミック
化合物を取り込み、大きな自由空間を与えることによっ
てその色調変化の速度を向上させるのではないかと考
え、前述の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、D
NAとカチオン性界面活性剤とを複合化させたDNA・
界面活性剤複合体が、重合体の硬度を低下させることな
く、重合性単量体溶液中及びそれを重合して形成した重
合体内において、共存する各種の有機フォトクロミック
化合物のフォトクロミック特性、特に退色速度を向上さ
せることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0013】即ち本発明は、高分子体マトリックス中に
有機フォトクロミック化合物及びDNAとカチオン性界
面活性剤との脂溶性DNA・界面活性剤複合体が含まれ
てなることを特徴とするフォトクロミック性プラスチッ
ク成形体であり、他の発明は、有機フォトクロミック化
合物及びDNAとカチオン性界面活性剤との脂溶性DN
A・界面活性剤複合体を、重合性単量体中にそれぞれ均
一に溶解分散させ、次いで重合することを特徴とするフ
ォトクロミック性プラスチック成形体の製造方法であ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】本発明において、高分子体マトリックスと
は熱又は光硬化性樹脂、あるいは熱可塑性樹脂等の有機
高分子体である。光学的に好ましくは、例えばエチレン
グリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメ
タクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレー
ト、テトラエチレングリコールジメタクリレート、エチ
レングリコールビスグリシジルメタクリレート、ビスフ
ェノールAジメタクリレート、2,2−ビス(4−メタ
クリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2
−ビス(3,5−ジブロモー4ーメタクリロイルオキシ
エトキシフェニル)プロパン等の多価アクリル酸及び多
価メタクリル酸エステル化合物;ジアリルフタレート、
ジアリルテレフタレート、ジアリルイソフタレート、酒
石酸ジアリル、エポキシこはく酸ジアリル、ジアリルフ
マレート、クロレンド酸ジアリル、ヘキサフタル酸ジア
リル、ジアリルカーボネート、アリルジグリコールカー
ボネート、トリメチロールプロパントリアリルカーボネ
ート等の多価アリル化合物;1,2−ビス(メタクリロ
イルチオ)エタン、ビス(2−アクリロイルチオエチ
ル)エーテル、1,4−ビス(メタクリロイルチオメチ
ル)ベンゼン等の多価チオアクリル酸及び多価チオメタ
クリル酸エステル化合物;グリシジルアクリレート、グ
リシジルメタクリレート、β−メチルグリシジルメタク
リレート、ビスフェノールA−モノグリシジルエーテル
−メタクリレート、4−グリシジルオキシメタクリレー
ト、3−(グリシジル−2−オキシエトキシ)−2−ヒ
ドロキシプロピルメタクリレート、3−(グリシジルオ
キシ−1−イソプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロ
ピルアクリレート、3−グリシジルオキシ−2−ヒドロ
キシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリ
レート等のアクリル酸エステル化合物及びメタクリル酸
エステル化合物;ジビニルベンゼン等のラジカル重合性
多官能単量体を重合してなる熱又は光硬化性樹脂を挙げ
ることができる。
【0016】また、これらの各単量体とアクリル酸、メ
タクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸;ア
クリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ベ
ンジル、メタクリル酸フェニル、2−ヒドロキシエチル
メタクリレート等のアクリル酸及びメタクリル酸エステ
ル化合物;フマル酸ジエチル、フマル酸ジフェニル等の
フマル酸エステル化合物;メチルチオアクリレート、ベ
ンジルチオアクリレート、ベンジルチオメタクリレート
等のチオアクリル酸及びチオメタクリル酸エステル化合
物;スチレン、クロロスチレン、メチルスチレン、ビニ
ルナフタレン、α−メチルスチレンダイマー、ブロモス
チレン等のビニル化合物等のラジカル重合性単官能単量
体との共重合体が挙げられる。
【0017】さらには、ポリアクリル酸メチル、ポリア
クリル酸エチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタク
リル酸エチル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、
ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリ(2
−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリジメチルシ
ロキサン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂を挙げる
ことができる。
【0018】本発明における有機フォトクロミック化合
物とは、光等により発退色する機能、即ちフォトクロミ
ック性を有する有機染料のことであり、その機能から調
光レンズあるいは光スイッチング等の染料として使用さ
れている。有機フォトクロミック化合物としては、フォ
トクロミック性を有するクロメン化合物、スピロオキサ
ジン化合物、フルギミド化合物等の通常の有機フォトク
ロミック化合物を何ら問題なく使用することが出来る
が、特に比較的退色速度が遅いクロメン化合物が好適に
用いられる。当該フォトクロミック化合物はプラスチッ
ク成形体そのものに対して5mM程度の濃度まで分散可
能であるものが好ましい。また、本発明で用いるDNA
・界面活性剤複合体に選択的に取り込ませる為に、プラ
スチック成形体単独に対して3mMを越える濃度におい
ては、溶解性が低く、例えば何らかの会合あるいは凝集
をするものが望ましい。
【0019】具体的に有機フォトクロミック化合物とし
ては、例えば、スピロ〔ノルボルナン−2,2’−〔2
H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕、スピロ〔ビシクロ〔3.
3.1〕ノナン−9,2’−〔2H〕ベンゾ〔h〕クロ
メン〕、7’−メトキシスピロ〔ビシクロ〔3.3.
1〕ノナン−9,2’−〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメ
ン〕、7’−メトキシスピロ〔ノルボルナン−2,2’
−〔2H〕ベンゾ〔h〕クロメン〕等のクロメン化合
物;1’−メトキシカルボニルメチル−8’’−メトキ
シ−6’’−(4−メチルピペラジノ)ジスピロ〔シク
ロヘキサン−1,3’−(3H)インドール−2’−
(1’H),3’’−(3H)ナフト(3,2−a)
(1,4)オキサジン〕、6’−フルオロ−1’,5’
−ジメチル−6’’−モルホリノジスピロ〔シクロヘキ
サン−1,3’−(3H)インドール−2’−(1’
H),3’’−(3H)ナフト(3,2−a)(1,
4)オキサジン〕等のスピロオキサジン化合物;N−シ
アノメチル−6,7−ジヒドロ−2−(p−メトキシフ
ェニル)−4−メチルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チ
オフェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ
〔3.3.1.1〕デカン)、N−シアノメチル−6,
7−ジヒドロ−4−メチル−2−フェニルスピロ(5,
6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド−7,
2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカン)、6,7−
ジヒドロ−4−メチル−2−(p−メチルフェニル)−
N−ニトロメチルスピロ(5,6−ベンゾ〔b〕チオフ
ェンジカルボキシイミド−7,2−トリシクロ〔3.
3.1.1〕デカン)等のフルギミド化合物等の有機フ
ォトクロミック化合物等を挙げることができる。
【0020】以上の有機フォトクロミック化合物は、一
種あるいは数種を混合して用いても良く、数種を用いる
場合、その配合比は発色色調等の目的に応じて決定すれ
ば良い。
【0021】プラスチック成形体中の有機フォトクロミ
ック化合物の含有量は、特に限定されるものではない
が、有機フォトクロミック化合物の発色効率を考慮し
て、プラスチック成形体中に、0.001重量%から
0.5重量%の範囲である事が望ましい。
【0022】本発明におけるDNA・界面活性剤複合体
は、DNAとカチオン性界面活性剤との脂溶性の複合体
であり、DNAの水溶液とカチオン性界面活性剤の水分
散溶液とを混和して得られる。
【0023】DNA・界面活性剤複合体を得るために用
いられるDNAは、ダブルストランド型であれば天然物
からの抽出物であっても、人工的に合成したものであっ
ても良く、そのリン酸基が塩であっても良い。
【0024】DNAの塩基対数は、透明な成形体を得る
ために数千以下が好ましく用いられ、さらに分散性を良
くするためにより望ましくは数百程度が望ましい。
【0025】また、同じくDNA・界面活性剤複合体を
得るために用いられるカチオン性界面活性剤としては、
公知の界面活性剤、あるいは乳化剤として知られるもの
のうち、カチオン性の親水頭部を持つ両親媒性化合物を
何ら制限なく用いることができる。得られるDNA・界
面活性剤複合体が脂溶性となるために、好ましくは、そ
のCMC(臨界ミセル濃度)が100mMを越えない界
面活性剤が良く。さらにそのもののうち、有意な分散体
を得るために、より好適には5mMを越える濃度で均一
に分散可能な界面活性剤が用いられる。
【0026】該カチオン性界面活性剤を例示すると、そ
れらが持つ親水頭部としては、4級アンモニウム塩、
1、2、3級アミンの塩が挙げられる。カチオン性界面
活性剤の疎水性基としては単純なアルキル基に限定され
ず、分岐を持つもの、あるいはその末端、中間部、アミ
ノ基隣接部位に単独あるいは複数のエーテル結合、エス
テル結合、アミド基あるいはアミノ酸残基等の連結部、
あるいは芳香環、水酸基、アミノ基等の官能基を持って
いるものであってもよい。さらに塩の種類については特
に制限はなく、例えば1、2、3級アミンの塩として
は、酢酸塩、ギ酸塩、塩化水素酸塩、臭化水素酸塩等
が、4級アンモニウム塩としては4級アンモニウムブロ
マイド、4級アンモニウムクロライド、4級アンモニウ
ムアイオダイド等を挙げることができる。アルキル基を
有するカチオン性界面活性剤を具体的に例示すれば、デ
シルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメ
チルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルア
ンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニ
ウムブロミド、オクタデシルトリメチルアンモニウムブ
ロミド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム
ブロミド、ドデシルジメチルヒドロキシエチルアンモニ
ウムブロミド、テトラデシルジメチルヒドロキシエチル
アンモニウムブロミド、ヘキサデシルジメチルヒドロキ
シエチルアンモニウムブロミド、オクタデシルジメチル
ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、デシルメチル
ビス(ヒドロキシエチル)アンモニウムブロミド、ドデ
シルメチルビス(ヒドロキシエチル)アンモニウムブロ
ミド、テトラデシルメチルビス(ヒドロキシエチル)ア
ンモニウムブロミド、ヘキサデシルメチルビス(ヒドロ
キシエチル)アンモニウムブロミド、オクタデシルメチ
ルビス(ヒドロキシエチル)アンモニウムブロミド、デ
シルピリジニウムブロミド、ドデシルピリジニウムブロ
ミド、テトラデシルピリジニウムブロミド、ヘキサデシ
ルピリジニウムブロミド、オクタデシルピリジニウムブ
ロミド、N-デシル-2-ヒドロキシメチルピリジニウムブ
ロミド、N-ドデシル-2-ヒドロキシメチルピリジニウム
ブロミド、N-テトラデシル-2-ヒドロキシメチルピリジ
ニウムブロミド、N-ヘキサデシル-2-ヒドロキシメチル
ピリジニウムブロミド、N-オクタデシル-2-ヒドロキシ
メチルピリジニウムブロミド、N-デシル-2,6−ビス
(ヒドロキシメチル)ピリジニウムブロミド、N-ドデシ
ル-2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジニウムブ
ロミド、N-テトラデシル-2,6−ビス(ヒドロキシメ
チル)ピリジニウムブロミド、N-ヘキサデシル-2,6
−ビス(ヒドロキシメチル)ピリジニウムブロミド、N-
オクタデシル-2,6−ビス(ヒドロキシメチル)ピリ
ジニウムブロミド、ジドデシルジメチルアンモニウムブ
ロミド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムブロミ
ド、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジ
オクタデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジドデシ
ルメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、ジテ
トラデシルメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミ
ド、ジヘキサデシルメチルヒドロキシエチルアンモニウ
ムブロミド、ジオクタデシルメチルヒドロキシエチルア
ンモニウムブロミド、ジドデシルジ(ヒドロキシエチ
ル)アンモニウムブロミド、ジテトラデシルジドデシル
ジ(ヒドロキシエチル)アンモニウムブロミド、ジヘキ
サデシルジドデシルジ(ヒドロキシエチル)アンモニウ
ムブロミド、ジオクタデシルジドデシルジ(ヒドロキシ
エチル)アンモニウムブロミド等を挙げることができ
る。
【0027】また、オリゴエーテル部位を持つ、一本鎖
型カチオン性界面活性剤としては、N,N,N−トリメ
チル−N−(3,6,9,12−テトラオキサドコシ
ル)アンモニウムブロミド、N,N,N−トリメチル−
N−(3,6,9,12−テトラオキサテトラドコニ
ル)アンモニウムブロミド、N,N,N−トリメチル−
N−(3,6,9,12,15,18,21,24−オ
クタオキサテトラトリアコニル)アンモニウムブロミ
ド、N,N,N−トリメチル−N−(3,6,9,1
2,15,18,21,24−オクタオキサヘキサトリ
アコニル)アンモニウムブロミド等、あるいはN,N,
N−トリメチル−N−(5,19−ジカルボニル−6,
9,12,15−テトラオキサヘキサトリアコニル)ア
ンモニウムブロミド等を挙げることが出来る。
【0028】また、アミノ酸残基を持つカチオン性界面
活性剤としては、ジ(3,6,9,12−テトラオキシ
テトラトリアコニル)−N−[ω−(トリメチルアンモ
ニオ)ヘキサノイル]グルタミン酸ブロミド、ジ(3,
6,−ジオキシオクタデシル)−N−[ω−(トリメチ
ルアンモニオ)ヘキサノイル]グルタミン酸ブロミド、
ジ(3,6,−ジオキシドデシル)−N−[ω−(トリ
メチルアンモニオ)ヘキサノイル]グルタミン酸ブロミ
ド、ジ(3,6,9,12−テトラオキシテトラトリア
コニル)グルタミン酸クロリド、ジ(3,6,−ジオキ
シオクタデシル)グルタミン酸クロリド等を挙げること
が出来る。
【0029】次に、本発明で用いるDNA・界面活性剤
複合体の調製方法を説明する。まずDNAの水溶液とカ
チオン性界面活性剤の水分散溶液を用意する。このと
き、用いるDNAが遊離のリン酸型であれば、リン酸残
基に対して等モルの水酸化カリウム、あるいは水酸化ナ
トリウム等の塩基で中和し、リン酸塩型として水に溶解
させる。また、用いるカチオン性界面活性剤の水に対す
る分散性が低く、水単独を分散溶媒に用いるだけでは、
望む濃度の分散溶液が得られない場合には、メチルアル
コールあるいはエチルアルコール等の水溶性有機溶媒を
加えても良い。このとき、DNA・界面活性剤複合体の
超分子複合体としての安定性を考慮して、好ましくはこ
れらの有機溶媒の量は体積比で40%を越えない範囲で
用いるのが良く、さらにDNA・界面活性剤複合体の媒
体に対する溶解性を考慮して、より好ましくは体積比で
20%を超えない範囲で用いる。
【0030】DNA・界面活性剤複合体は、上述の二つ
のリン酸塩型DNA水溶液と、カチオン性界面活性剤の
分散溶液を混和することにより、沈殿として得ることが
出来る。得られた沈殿を濾取し、水で2、3回洗浄し、
減圧乾燥することによりDNA・界面活性剤複合体を固
形物として得ることが出来る。DNA・界面活性剤複合
体は、DNAのリン酸基と界面活性剤がモル比で厳密に
1対1で複合化することが知られており、その組成比に
なるように両溶液を調製することが好ましい。ただし、
DNA、界面活性剤のどちらかが過剰にある場合でも、
過剰成分は沈殿せずに濾過・洗浄操作により取り除かれ
るので厳密に等モルに調製する必要は無い。
【0031】得られたDNA・界面活性剤複合体は、無
色あるいは薄い褐色の粉末、あるいは用いるカチオン性
界面活性剤によっては粘凋な固体で、その構造は図1に
示す様な構造をとっている物と考えられる。この複合体
は、クロロホルム等の有機溶媒には容易に可溶で、水に
は不溶である。
【0032】DNA・界面活性剤複合体のプラスチック
成形体中の含有量は、上限は重合性単量体に対する複合
体の溶解度により決まり、その下限は複合体の、フォト
クロミック特性の改良に対する有効性によって決まるも
のであるが、プラスチック成形体の光学特性、機械特性
等の諸物性やフォトクロミック化合物の退色速度の向上
などの点から、プラスチック成形体中に0.001重量
%から5重量%の範囲であることが望ましい。また、プ
ラスチック成形体中にはフォトクロミック化合物の等倍
から15倍量の範囲のDNA・界面活性剤複合体が含ま
れていることがより好ましい。
【0033】本発明のフォトクロミック性プラスチック
成形体は、有機フォトクロミック化合物とDNA・界面
活性剤複合体を重合性単量体中に溶解分散させ、それを
重合・硬化することで得られる。
【0034】有機フォトクロミック化合物とDNA・界
面活性剤複合体とを高分子体マトリックスに導入する方
法は、重合性単量体に両者を分散溶解させた後、重合す
るだけでよい。有機フォトクロミック化合物、DNA・
界面活性剤複合体、重合性単量体それぞれのぞれぞれに
対する親和性の程度によって、重合性単量体中で自発的
に有機フォトクロミック化合物がDNA・界面活性剤複
合体へ取り込まれる。
【0035】有機フォトクロミック化合物の添加量は、
特に限定されるものではないが、その発色効率を考慮し
て、重合性単量体100重量部に対して0.001重量
部から0.5重量部程度の範囲である事が望ましい。ま
た、DNA・界面活性剤複合体は、重合性単量体100
重量部に対して0.001重量部から5重量部であるこ
とが好ましく、フォトクロミック化合物全量に対して等
倍から15倍量の範囲で加えればよい。
【0036】重合性単量体としては、公知の重合性単量
体を何ら制限無く用いることができるが、有機フォトク
ロミック化合物及びDNA・界面活性剤複合体を容易に
均一に溶解分散させることができることから、好ましく
は低粘度の重合性単量体が用いられる。有機フォトクロ
ミック化合物及びDNA・界面活性剤複合体の溶解性の
バランスを考慮すると、(メタ)アクリル系重合性単量
体を主成分として用いる事が好ましい。
【0037】好ましい重合性単量体を具体的に例示する
と、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル
酸メチル、メタクリル酸エチル、スチレン、α−メチル
スチレン、アクリロニトリル、グリシジルメタクリレー
ト、ヒドロキシエチルメタクリレート等の単官能性重合
性単量体;エチレングリコールジメタクリレート、ジエ
チレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリ
コールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタ
クリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレー
ト、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テト
ラプロピレングリコールジメタクリレート、ジビニルベ
ンゼン等の二官能性重合性単量体;トリメチロールプロ
パントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタ
ントリアクリレート、トリス−2−ヒドロキシエチルイ
ソシアヌレートトリアクリレート等の三官能性重合性単
量体;テトラメチロールメタンテトラアクリレート等の
四官能性重合性単量体が挙げらる。
【0038】上記重合性単量体は、一種類単独で用いて
もよいし、二種類以上の重合性単量体を組み合わせて用
いても良く、複数の重合性単量体を用いる場合には、単
官能性重合性単量体だけを用いても良いし、多官能性重
合性単量体を一種であるいは二種以上を混合して用いて
も良い。架橋性の、2個以上の重合性基を有する多官能
性重合性単量体を単独、もしくは混合して用いると、成
形体の機械的強度を向上させることができる。
【0039】本発明における重合方式は特に限定され
ず、使用する重合開始剤に応じて光重合、熱ラジカル重
合又はこれらの併用による重合の何れをも採用すること
が出来る。溶存酸素による重合阻害が望ましくない場合
には、あらかじめ脱気を行い、その後重合開始剤を投入
し重合をはじめれば良い。また複数の種類の重合性単量
体を用いて共重合する場合には、ブロック共重合であっ
てもランダム共重合であってもよい。
【0040】熱ラジカル重合を行う場合の熱ラジカル重
合開始剤としては、特に限定されず公知のものが使用で
きるが、代表的なものを例示すると、ベンゾイルパーオ
キサイド、p−クロルベンゾイルパーオキサイド、デカ
ノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ア
セチルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;t
−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−
ブチルパーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネ
オデカネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の
パーオキシエステル;ジイソプロピルパーオキシジカー
ボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボ
ネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート
等のパーカーボネート類;アゾビスイソブチロニトリル
等のアゾ化合物である。
【0041】熱ラジカル重合開始剤の使用量は、重合条
件や開始剤の種類、用いる重合性単量体の種類や組成に
よって異なり一概に限定できないが、全重合性単量体1
00重量部に対して、0.01〜10重量部の範囲で用
いるのが好適である。
【0042】熱ラジカル重合の重合条件は特に限定され
ないが、重合温度は得られる成形体の性状に影響を与え
る。好適な重合温度は、重合開始剤の種類や量、さらに
は用いる重合性単量体の種類と構造、それらの組成比や
量によって影響を受けるので、一概には限定できない
が、DNA・界面活性剤複合体と有機フォトクロミック
化合物が安定な分散状態を保ち、かつ重合開始剤が十分
に解裂する温度で重合を行うのが好適である。一般的に
は、30℃〜100℃、より好適には50℃〜95℃、
さらに好適には60℃〜90℃の範囲で重合を行うこと
が望ましい。
【0043】重合時間も各種の要因によって異なるの
で、予めこれらの条件に応じた最適の時間を決定するの
が望ましいが、通常は1〜20時間、またより好適には
5時間〜12時間、さらに好適には7時間〜10時間の
範囲で重合を行えばよい。
【0044】また、光重合を行う場合、DNA・界面活
性剤複合体、有機フォトクロミック化合物の重合性単量
体の溶液に光重合開始剤を加えた後、活性エネルギー線
を照射することにより光重合を行えばよい。
【0045】光重合開始剤としては、特に限定されず公
知のものが使用できる。好適に使用できる代表的な光重
合開始剤を例示すると、1−フェニル−2−ヒドロキシ
−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシク
ロヘキシルフェニルケトン、1−(4−イソプロピルフ
ェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−
オン等のアセトフェノン系光重合開始剤;1,2−ジフ
ェニルエタンジオン、メチルフェニルグリオキシレート
等のα−ジカルボニル系光重合開始剤;2,4,6−ト
リメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、
ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−
トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、ビス(2,
6−ジメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペ
ンチルフォスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリ
メチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチル
フォスフィンオキシド、ビス(2,6−ジクロルベンゾ
イル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィン
オキシド等のフォスフィンオキシド系光重合開始剤等が
挙げられる。
【0046】なお、これらの光重合開始剤は単独または
2種以上を一緒に使用してもよい。光重合開始剤の添加
量は、重合条件や開始剤の種類、重合性単量体の種類、
組成によって異なり、一概には限定できないが、一般的
には、重合体の内部均一性や重合度の観点から、全重合
性単量体100重量部に対して、0.005〜3重量
部、好ましくは0.02〜1重量部の範囲が好適であ
る。
【0047】光重合を行う場合において、活性エネルギ
ー線を照射して重合させる方法は特に限定されず、公知
の重合方法が好適に採用できる。このとき使用する活性
エネルギー線とは、波長が200〜500nmの範囲に
あるエネルギー線である。このような活性エネルギー線
の光源としては、紫外線および可視光線を発するものが
好ましく、例えばメタルハライドランプ、低圧水銀ラン
プ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、殺菌ランプ、
キセノンランプ等が好適に使用される。
【0048】活性エネルギー線を用いて、重合させるた
めの照射時間は、光源の波長、強度、重合体の形状や材
質によって異なるため、一概には決定できないが、通常
2〜30分である。この時温度は室温でよい。また、重
合時に外部から圧力をかけながら重合してもなんら差し
支えない。
【0049】なお、本発明のフォトクロミック性プラス
チック成形体には、本発明の効果を損なわない範囲で、
有機フォトクロミック化合物、DNA・界面活性剤複合
体の他に各種添加剤を配合しても良い。
【0050】各種添加剤としては、紫外線吸収剤、紫外
線安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、帯電防止剤、等の
各種安定剤、添加剤等が挙げられる。これら添加剤の使
用量は、重合条件や開始剤の種類、用いる有機フォトク
ロミック化合物の種類や組成、得られるプラスチック成
形体の使用目的によって異なり一概に限定できないが、
全界面活性剤と全重合性化合物の総和100重量部に対
して、0.001〜10重量部の範囲で用いるのが好適
である。
【0051】本発明のフォトクロミック性プラスチック
成形体中においては、有機フォトクロミック化合物は立
体的にかさ高い構造を持っていることから、DNA・界
面活性剤複合体の核酸塩基対間に挿入を起こすことは無
いと考えられる。有機フォトクロミック化合物の発色体
はその特性上、無色体に比べて平面性が高くなるが、そ
のような状態においてさえ、塩基対間に挿入は起こし得
ないであろうということが、蛍光スペクトル挙動から示
唆されている。しかし、複合体中の界面活性剤部位が形
成するミクロな場に、疎媒的相互作用を通じて取り込ま
れていることが、吸収スペクトル変化等から示唆されて
いる。
【0052】本発明のプラスチック成形体中において、
特に有機フォトクロミック化合物の退色速度が向上する
のは、これまで述べてきたように、分子論的にミクロな
領域に柔軟な構造を持つDNA・界面活性剤複合体内部
に自発的に有機フォトクロミック化合物が取り込まれ、
大きな形状変化を伴う分子変換であるフォトクロミック
性が容易に発現できるようになったためと考えられる。
【0053】本発明の有機フォトクロミック化合物とD
NA・界面活性剤複合体は、図1で示すような構成をし
ていると考えられ、これが形成体において保持されてい
ると考えられる。
【0054】本発明のプラスチック成形体は単に有機フ
ォトクロミック化合物とDNA・界面活性剤複合体を混
ぜ合わせることによって、高分子体マトリックスの機械
的光学的特性を大きく変えることなく、有機フォトクロ
ミック化合物の退色速度を向上させる上、透明で濁りが
ないので、調光レンズとして好適に使用しうる。
【0055】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0056】製造例1 N,N,N−トリメチル−N−(5,19−ジカルボニ
ル−6,9,12,15−テトラオキサヘキサトリアコ
ニル)の製造:ジエチレングリコールオクタデシルエス
テル25gとピリジン5mlのクロロホルム溶液に氷冷
攪拌下5−ブロモペンタン酸クロリド11.10gのク
ロロホルム溶液を滴下し、一晩室温で攪拌した。この溶
液を水で一回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で一回、
飽和塩化ナトリウム溶液で2回洗浄し、分液した有機層
を硫酸マグネシウムで乾燥させた。無機塩を濾別した
後、溶媒を留去し、得られた粘凋な液体をTHFに溶解
し、トリメチルアミンガス3.5gを吹き込んで密栓し
室温で一週間攪拌した。反応溶液からTHFを留去し、
クロロホルムに溶かして活性炭処理を行い、アセトン・
メタノールから再結晶し、目的物を得た。
【0057】製造例2 ジ(3,6,−ジオキシオクタデシル)−N−[ω−
(トリメチルアンモニオ)ヘキサノイル]グルタミン酸
ブロミドの製造:ジエチレングリコール4.53g、L
−グルタミン酸1.22g、p−トルエンスルホン酸1
水和物2.30gの混合物にトルエン200mlを加
え、Dean−Starkトラップにより、トルエンと
共沸してくる水を除きながら8時間還流攪拌した。トル
エンを留去したあとの残渣をクロロホルムに溶解し、水
で洗浄した。分液した有機層をさらに飽和炭酸水素ナト
リウム水溶液で一回、飽和塩化ナトリウム溶液で2回洗
浄し、分液した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ
た。
【0058】無機塩を濾別した後、溶媒を留去し、得ら
れた粘凋な液体とピリジン0.9mlをクロロホルムに
溶かし、これに氷冷攪拌下6−ブロモヘキサン酸クロリ
ド2.01gのクロロホルム溶液を滴下し、一晩室温で
攪拌した。この溶液を水で一回、飽和炭酸水素ナトリウ
ム水溶液で一回、飽和塩化ナトリウム溶液で2回洗浄
し、分液した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。
無機塩を濾別した後、溶媒を留去し、得られた無色粉末
をエタノールから再結晶し、ジ(3,6,−ジオキシオ
クタデシル)−N−[ω−ブロモヘキサノイル]グルタ
ミン酸を得た。これをTHFに溶解し、トリメチルアミ
ンガス1gを吹き込んで密栓し室温で一週間攪拌した。
生じた沈殿をアセトン・メタノールから再結晶し、無色
の目的物を得た。
【0059】実施例1 DNA(Herring sperm由来;東京化成社製)0.31
3gと水酸化ナトリウム0.0414gを秤量し、蒸留
水25mlに攪拌下溶解させた。
【0060】これとは別に、カチオン性界面活性剤とし
て東京化成社製ジテトラデシルジメチルアンモニウムブ
ロミド0.5225gを秤取り、蒸留水30mlにバス
型超音波洗浄器により分散させた。
【0061】上記方法で調製したDNA溶液と、界面活
性剤分散溶液とを混合した。直ちに薄褐色の沈殿が生じ
た。これを濾別し、減圧乾燥した。得られたDNA・界
面活性剤複合体の内0.54gを市販のメタクリル系レ
ンズモノマー(トクヤマ社製TR−150) 60gに
分散させた。DNA・界面活性剤複合体の、このモノマ
ーに対する溶解性はそれほど高くなく、溶解せずに沈殿
しているDNA・界面活性剤複合体を1.0マイクロメ
ートルのフィルターで加圧濾別し、均一モノマー溶液を
得た。フィルター上に残ったDNA・界面活性剤複合体
の量は0.26gであった。即ち、モノマー中には0.
48phmのDNA・界面活性剤複合体が含まれている
ことになる。
【0062】上述のDNA・界面活性剤複合体のモノマ
ー溶液に有機フォトクロミック化合物として、スピロオ
キサジン化合物S1(6’−フルオロ−1’,5’−ジ
メチル−6’’−モルホリノジスピロ〔シクロヘキサン
−1,3’−(3H)インドール−2’−(1’H),
3’’−(3H)ナフト(3,2−a)(1,4)オキ
サジン〕)をモノマーに対して0.05phmになるよ
うに、DNA・界面活性剤複合体モノマー溶液に溶解さ
せた。
【0063】得られた、有機フォトクロミック化合物が
共存したDNA・界面活性剤複合体モノマー溶液10g
に、熱重合開始剤としてパーブチルNDを0.1g加
え、真空ポンプにより溶存酸素を除く目的で3分間脱気
処理した。得られたモノマー溶液をガスケットを装着し
たガラスモールド内に注入し、室温から8時間かけて9
0℃まで加熱し、90℃に1時間保温し熱重合を完了さ
せた。以上により厚さ2mmの透明なフォトクロミック
性プラスチック成形体を得た。
【0064】得られたフォトクロミック性プラスチック
成形体について、大塚電子社製MCPD−200M(測
定光源ユニットは大塚電子社製MC−2530、また励
起用Xe光源電源ユニットは浜松フォトニクス社製C4
338、スターターユニットとしては同社製C4339
を用いた。)により、退色半減期を測定した。フォトク
ロミック性プラスチック成形体の発色のための励起は、
ガラスファイバーで導入したXeランプ光を120秒照
射して行った。照射終了直後からの吸収スペクトルを1
0秒間隔測定し、吸収極大の吸光度の大きさが半分にな
る時間をフォトクロミック性プラスチック成形体の退色
半減期として測定した。
【0065】また、ロックウェル硬度計(Lスケール)
により、得られたフォトクロミック性プラスチック成形
体の硬度を測定した。測定は、(株)アカシ社製Hardne
ss Tester AR-10を用い、2mm厚の成形体について室
温にて行った。これらの結果を表1に示した。
【0066】比較例1 DNA・界面活性剤複合体をモノマー中に溶解させず、
有機フォトクロミック化合物のみをモノマーに溶解した
他は、実施例1と同様の方法でフォトクロミック性プラ
スチック成形体を得た。得られたフォトクロミック性プ
ラスチック成形体について実施例1と同様に退色の半減
期、ロックウェル硬度を測定した。結果を表1に示し
た。
【0067】比較例2 DNA・界面活性剤複合体の代わりにカチオン性界面活
性剤としてジテトラデシルジメチルアンモニウムブロミ
ドのみをモノマーに溶解させた他は、実施例1と同様の
方法でフォトクロミック性プラスチック成形体を得た。
ただし、この界面活性剤のモノマーへの溶解性は高くな
く、溶解した量はモノマーに対して0.29phmであ
った。得られたフォトクロミック性プラスチック成形体
について実施例1と同様に退色半減期、ロックウェル硬
度を測定した。結果を表1に示した。
【0068】比較例3 メタクリル系レンズモノマーの代わりに9PG/TMP
T(70/20)を用いた他は、実施例1と同様の方法でフ
ォトクロミック性プラスチック成形体を得た。得られた
フォトクロミック性プラスチック成形体について実施例
1と同様に退色半減期、ロックウェル硬度を測定した。
結果を表1に示した。
【0069】実施例2 実施例1において用いたジテトラデシルジメチルアンモ
ニウムブロミドの代わりにカチオン性界面活性剤として
製造例1で製造したN,N,N−トリメチル−N−
(5,19−ジカルボニル−6,9,12,15−テト
ラオキサヘキサトリアコニル)アンモニウムブロミドを
用いた他は、実施例1と同様の方法でフォトクロミック
性プラスチック成形体を得た。得られたフォトクロミッ
ク性プラスチック成形体の退色半減期、ロックウェル硬
度を表1に示した。
【0070】実施例3 実施例1において、用いたジテトラデシルジメチルアン
モニウムブロミドの代わりにカチオン性界面活性剤とし
て製造例2で製造したジ(3,6,−ジオキシオクタデ
シル)−N−[ω−(トリメチルアンモニオ)ヘキサノ
イル]グルタミン酸ブロミドを用いた他は、実施例1と
同様の方法でフォトクロミック性プラスチック成形体を
得た。得られたフォトクロミック性プラスチック成形体
の退色半減期、ロックウェル硬度を表1に示した。
【0071】実施例1〜3で得られたフォトクロミック
性プラスチック成形体は、表1から明らかなように、比
較例1、2のものに比べ退色半減期が短くなり退色速度
が向上したにも係わらず、ロックウェル硬度はほとんど
低下していない。使用する重合性単量体を変えて退色速
度の向上を図った比較例3のものは退色半減期が短くな
っているが、フォトクロミック性プラスチック成形体の
ロックウェル硬度も低下している。
【0072】実施例4 有機フォトクロミック化合物として、クロメン化合物C
2(3,3−ビス(3−フルオロ−4−メトキシフェニ
ル)−6モフホリノ〔3H〕ベンゾ〔f〕クロメン)を
用いた他は実施例1と同様の方法でフォトクロミック性
プラスチック成形体を得た。得られたフォトクロミック
性プラスチック成形体の退色半減期、ロックウェル硬度
を表1に示した。
【0073】比較例4 DNA・界面活性剤複合体をモノマー中に溶解させず、
有機フォトクロミック化合物のみをモノマーに溶解した
他は、実施例4と同様の方法でフォトクロミック性プラ
スチック成形体を得た。得られたフォトクロミック性プ
ラスチック成形体の退色半減期、ロックウェル硬度を測
定し、結果を表1に示した。
【0074】比較例5 DNA・界面活性剤複合体の代わりにカチオン性界面活
性剤としてジテトラデシルジメチルアンモニウムブロミ
ドのみをモノマーに溶解させた他は、実施例4と同様の
方法でフォトクロミック性プラスチック成形体を得た。
得られフォトクロミック性プラスチック成形体の退色半
減期、ロックウェル硬度を測定し、結果を表1に示し
た。
【0075】実施例5 カチオン性界面活性剤として製造例1で製造したN,
N,N−トリメチル−N−(5,19−ジカルボニル−
6,9,12,15−テトラオキサヘキサトリアコニ
ル)アンモニウムブロミドを用いた他は、実施例4と同
様の方法でフォトクロミック性プラスチック成形体を得
た。得られたフォトクロミック性プラスチック成形体の
退色半減期、ロックウェル硬度を表1に示した。
【0076】実施例6 カチオン性界面活性剤として製造例2で製造したジ
(3,6,−ジオキシオクタデシル)−N−[ω−(ト
リメチルアンモニオ)ヘキサノイル]グルタミン酸ブロ
ミドを用いた他は、実施例4と同様の方法でフォトクロ
ミック性プラスチック成形体を得た。得られたフォトク
ロミック性プラスチック成形体の退色半減期、ロックウ
ェル硬度を表1に示した。
【0077】表1から明らかなように、実施例4〜6で
得られたフォトクロミック性プラスチック成形体は、比
較例4、5のものに比べ退色半減期が短くなって退色速
度が向上したにも係わらずロックウェル硬度はほとんど
低下していない。特に実施例6で得られたフォトクロミ
ック性プラスチック成形体の退色半減期は比較例4と比
較して1分近く短くなっており、実用上非常に有用な効
果を示している。
【0078】実施例7 カチオン性界面活性剤として製造例2で製造したジ
(3,6,−ジオキシオクタデシル)−N−[ω−(ト
リメチルアンモニオ)ヘキサノイル]グルタミン酸ブロ
ミドを用い、有機フォトクロミック化合物としてフルギ
ミド化合物F1(N−シアノメチル−6,7−ジヒドロ
−2−(p−メトキシフェニル)−4−メチルスピロ
(5,6−ベンゾ〔b〕チオフェンジカルボキシイミド
−7,2−トリシクロ〔3.3.1.1〕デカン))を
用いた他は、実施例1と同様の方法でフォトクロミック
性プラスチック成形体を得た。得られたフォトクロミッ
ク性プラスチック成形体の退色半減期、ロックウェル硬
度を表1に示した。
【0079】比較例6 DNA・界面活性剤複合体をモノマー中に溶解させず、
有機フォトクロミック化合物のみをモノマーに溶解した
他は、実施例7と同様の方法でフォトクロミック性プラ
スチック成形体を得た。得られたフォトクロミック性プ
ラスチック成形体の退色半減期、ロックウェル硬度を測
定し、結果を表1に示した。
【0080】表1から明らかなように、実施例7で得ら
れたフォトクロミック性プラスチック成形体は、比較例
6のものに比べ退色半減期が短くなって退色速度が向上
したにも係わらずロックウェル硬度はほとんど低下して
いない。
【0081】
【表1】
【0082】
【発明の効果】本発明のフォトクロミック性プラスチッ
ク成形体は、DNAの水溶液とカチオン性界面活性剤の
水分散溶液を混和させることによって自発的に形成され
た脂溶性のDNA・界面活性剤複合体と有機フォトクロ
ミック化合物とを重合性モノマーに溶解させてそのまま
重合させて両者を高分子体マトリックス中に共存させる
ことによって、フォトクロミック性プラスチック成形体
の硬度を低下させることなく有機フォトクロミック化合
物の発色状態から無色状態へ移り変わりの速度、即ちの
退色速度を向上せしめるという特徴を有する。このと
き、有機フォトクロミック化合物は自発的にDNA・界
面活性剤複合体に疎水鎖の集積した空間内に取り込ま
れ、その柔軟な空間によって、分子形状の変換が容易に
なったのものと考えられる。本発明は、公知の有機フォ
トクロミック化合物に制限なく適用され、さらに何らの
化学的な処理を行う必要なく、きわめて容易な手法によ
って退色速度の向上が達成される。このため、素早い退
色が必要とされる調光レンズ用のフォトクロミック性プ
ラスチック成形体として好適に使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による分子複合体形成の模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA22 AA33 AA34 AA50 AA67 AC12 AC15 AE09 AE10 AG15 BB01 BB12 4J002 AD032 BC011 BC031 BE021 BF041 BF051 BF061 BG041 BG051 BG061 BG071 BG081 BG101 BG131 BL021 CD191 CG001 CP031 EL096 EU136 EU236 EV306 FB082 FD096 GP01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子体マトリックス中に有機フォトク
    ロミック化合物及びデオキシリボ核酸とカチオン性界面
    活性剤との脂溶性デオキシリボ核酸・界面活性剤複合体
    が含まれてなることを特徴とするフォトクロミック性プ
    ラスチック成形体。
  2. 【請求項2】 有機フォトクロミック化合物及びデオキ
    シリボ核酸とカチオン性界面活性剤との脂溶性デオキシ
    リボ核酸・界面活性剤複合体を、重合性単量体中にそれ
    ぞれ均一に溶解分散させ、次いで重合することを特徴と
    するフォトクロミック性プラスチック成形体の製造方
    法。
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