JP2000318339A - 平版印刷版用版下シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 印刷の前後における版胴への平版印刷版用版
下シートの着脱作業の良好な作業性を確保しつつ、版胴
上における平版印刷版の位置ずれを防止する。 【解決手段】 各版下シート３１の支持体３１ａ表面に
それぞれ、平版印刷版３０の裏面に圧接されることによ
り、平版印刷版３０の裏面を凹ませる所要形状の凹凸３
２を設ける。また、各版下シート３１の支持体３１ａ裏
面にそれぞれ、版胴１８に剥離可能に接着する接着層３
３を設ける。更に、接着層３３における版胴１８との接
着面に、離形用シート３６を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、版胴及び平版印刷
版間に介在され、版胴上における平版印刷版の位置ずれ
を防止する平版印刷版用版下シートに関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、平版印刷用印刷機においては、
平版印刷版を版胴に巻き付けて機械的に固定し、印刷を
行う。従来、平版印刷版の支持体としては、金属、プラ
スチックフィルム、紙等の材料からなるものが用いられ
ている。金属以外の材料を支持体とする平版印刷版は、
金属を支持体とする平版印刷版に比較して、取り扱い適
性に優れる反面、寸法安定性に欠ける。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】平版印刷用印刷機にお
いて、金属以外の材料を支持体とする平版印刷版を用い
る場合、例えば印刷中における版胴との摩擦によって、
部分的に歪みを生じてしまい、用紙に対する位置精度の
低下を招くという問題があった。したがって、金属以外
の材料を支持体とする平版印刷版は、印刷物の見当精度
が低くても問題を生じない少数枚の印刷に限って用いら
れ、多色で精巧な印刷や大型印刷機を用いた多数枚の印
刷では、色ずれが起きることがある。

【０００４】一方、近年普及してきたＣＴＰ（Computer
to Plate）による製版、印刷方法は、従来のコンベン
ショナルな製版、印刷方法（版材の露光行程がリスフィ
ルムを使用した密着露光による）に比べて、版材に対す
る画像（露光）の寸法、位置制度が良好で、多色印刷に
おける見当合わせが容易であるという長所を有してい
る。

【０００５】しかしながら、前記のようなプラスチック
フィルム、紙等の金属以外の材料を支持体とする平版印
刷版の場合には、前記のような問題を有するため、ＣＴ
Ｐの多色印刷における見当合わせが容易であるという長
所を生かせていない。

【０００６】本発明の目的は、版胴上における平版印刷
版の位置ずれを防止することができるとともに、印刷の
前後における版胴への平版印刷版用版下シートの着脱作
業の良好な良好な作業性を確保することができる平版印
刷版用版下シートを提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、版
胴及び平版印刷版間に介在される平版印刷版用版下シー
トにおいて、表面に、平版印刷版の裏面に圧接されるこ
とにより、平版印刷版の裏面を凹ませる所要形状の凹凸
を設けられ、かつ、裏面に、版胴に剥離可能に接着する
接着層を設けられたことを特徴とする平版印刷版用版下
シートにより達成される。

【０００８】本発明において、前記接着層の上面に、離
形層が設けられることが好ましい。

【０００９】

【作用】本発明に係る平版印刷版用版下シートにおいて
は、裏面に設けられた接着層が、版胴に接着された状態
で、表面に設けられた所要形状の凹凸が、平版印刷版の
裏面に圧接されることにより、平版印刷版の裏面を凹ま
せる。したがって、印刷機による印刷に際して、平版印
刷版が例えば印刷時に作用する圧力によって、版胴上で
位置ずれを生じることが確実に防止される。

【００１０】また印刷機による印刷後、平版印刷版用版
下シートは、接着層と版胴との接着を容易に外され、版
胴から容易に剥離される。

【００１１】また、本発明に係る平版印刷版用版下シー
トにおいては、前記接着層における版胴との接着面に、
離形層が設けられることにより、印刷機による印刷前、
平版印刷版用版下シートは、接着層における版胴との接
着面から離形用シートを外され、版胴に容易に接着され
る。

【００１２】また、表面に設けられた所要形状の凹凸
が、平版印刷版の裏面に圧接されることにより、平版印
刷版の裏面を凹ませる。したがって、印刷機による印刷
に際して、平版印刷版が例えば印刷時に作用する圧力に
よって、版胴上で位置ずれを生じることが確実に防止さ
れる。

【００１３】本発明において、平版印刷版の裏面が凹む
のは、平版印刷版と版下シートとを版胴に巻き込みなが
ら、平版印刷版と版胴との間に版下シートを挟む工程中
であってもよく、また平版印刷版と版胴との間に版下シ
ートを挟む工程では凹まず、挟んだ後に印圧をかけたと
き初めて平版印刷版の裏面が凹んでもよい。本発明にお
いて用いられる平版印刷版の種類は特に限定されず、平
版印刷版としては、銀拡散性感光層を有するもの等が挙
げられる。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下図示実施形態により、本発明
を説明する。図１は、本発明の一実施形態である平版印
刷版用版下シートを適用した多色平版印刷用印刷機を示
す概略側面図であり、図２は、図１の多色平版印刷用印
刷機の版胴及び平版印刷版用版下シートを示す概略斜視
図である。また図３は、平版印刷版用版下シートの離形
層を一部剥離させた状態を示す概略斜視図であり、図４
は、平版印刷版用版下シートの表面の凹凸を拡大して誇
張し、かつ、一部断面とした要部概略斜視図である。

【００１５】図１を参照すると、多色平版印刷用印刷機
１０においては、給紙部１１のパレット１２上に積み重
ねられた用紙１３が、一枚ずつ印刷部１４に供給され、
印刷部１４において多色平版印刷が施される。印刷済の
用紙１３は、排紙部１５に搬送される。

【００１６】印刷部１４には、印刷ユニット１６が、ブ
ラック、シアン、イエロー及びマゼンタの各色毎に設け
られる。各印刷ユニット１６はそれぞれ、複数の紙渡し
胴１７によって順次各印刷ユニット１６に搬送される用
紙１３に、版胴１８に装着された平版印刷版３０によっ
て順次各色の印刷を施す。

【００１７】すなわち、各印刷ユニット１６においては
それぞれ、版胴１８にそれぞれ装着された各平版印刷版
３０に、インキ供給部１９から多数のインキローラ２０
を介して所定色のインキが供給され、各平版印刷版３０
の画線上に付着される。また各平版印刷版３０には、湿
し水部２１から湿し水ローラ２２を介して水が供給さ
れ、各平版印刷版３０の非画線部に塗布される。この状
態で、各平版印刷版３０はそれぞれ、画線上に付着され
たインキをゴム胴２３に転写し、ゴム胴２３と圧胴２４
との間に供給された用紙１３に、ゴム胴２３を介して所
定色の印刷を施す。

【００１８】図１及び図２を参照すると、各平版印刷版
３０はそれぞれ、先端及び後端を版胴１８に設けられた
爪部２５に係止されることにより、各印刷ユニット１６
の版胴１８上に、平版印刷版用版下シート３１（以下、
版下シート３１という）を介して装着される。すなわ
ち、各平版印刷版３０の裏面と版胴１８の外周面との間
にはそれぞれ、印圧調整用の版下シート３１が介在され
る。

【００１９】図１〜図４を参照すると、各版下シート３
１はそれぞれ、支持体３１ａの表面に、所要形状の凹凸
３２を設けられるとともに、支持体３１ａの裏面に、版
胴１８に剥離可能に接着する接着層３３を設けられ、更
に接着層３３における版胴１８との接着面に、離形層３
６（以下、離形用シート３６という）が設けられる。

【００２０】各版下シート３１はそれぞれ、平版印刷版
３０の裏面に圧接されることにより、表面の凹凸３２を
平版印刷版３０の裏面に食い込ませて凹ませ、この状態
で版胴１８上の所定の位置に、裏面の接着層３３を離形
用シート３６を剥がして接着される。これにより各版下
シート３１はそれぞれ、ゴム胴２３及び圧胴２４による
印圧を調整するとともに、加圧に伴う平版印刷版３０の
版胴１８上における位置ずれを防止する。

【００２１】版下シート３１の凹凸３２による平版印刷
版３０の裏面の凹み深さは、３〜５μｍであることが好
ましい。凹み深さが３μｍ未満であると、平版印刷版３
０を版胴１８上の所定の位置に保持する力が小さく、十
分な位置ずれ防止効果が得られない。一方、凹み深さが
５μｍを超えると、平版印刷版３０の表面側に悪影響を
与え、印刷物に非画像部の点状汚れ等の欠陥を生じる恐
れがある。

【００２２】版下シート３１の支持体３１ａ表面への凹
凸３２の形成方法としては、図４に示すように、平版印
刷版３０の支持体より硬いガラス等の微小粒子３４を支
持体３１ａの表面に固定して凹凸３２を形成する方法、
又は版下シート３１の支持体３１ａとして平版印刷版３
０の支持体より硬い材料を採用し、その表面を直接加工
して凹凸３２を形成する方法が挙げられる。

【００２３】支持体３１ａ表面に微小粒子３４を固定し
て凹凸３２を形成する方法の具体例としては、微小粒子
３４をバインダー３５に分散させた液を塗布乾燥させる
方法、バインダーフィルム形成後に微小粒子３４を機械
的圧力でバインダーフィルム中に押し込む方法、バイン
ダーフィルム形成後に微小粒子３４を電着する方法が挙
げられる。

【００２４】支持体３１ａ表面を直接加工して凹凸３２
を形成する方法の具体例としては、ブラスト処理による
方法、金属溶射による方法、放電又はレーザ加工による
方法、外周面に微小突起の形成された圧延ローラにより
圧延する方法が挙げられる。また、フォトレジストを塗
布し、微小突起パターンを露光した後、現像によってレ
ジスト除去を行い、エッチングする方法が挙げられる。

【００２５】版下シート３１の支持体３１ａとしては、
版胴１８とのフィット性に優れるものであればよい。す
なわち例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロ
ピレン、ポリエチレン等のプラスチック、又はアルミニ
ウム、ＳＵＳ等の金属、又は紙、合成紙、布等が挙げら
れる。

【００２６】版下シート３１の接着層３３は、例えばエ
ラストマーを主要成分とする粘着剤、又はスプレー糊、
両面テープ等の接着剤で形成される。粘着剤の主要成分
であるエラストマーは、常温でゴム状弾性を有し、凝集
性を与える高分子材料である。具体的には、ポリイソブ
レン（天然及び合成）、スチレンブタジエンゴム（ＳＢ
Ｒ）、サーモプラスチックラバー（ＳＢＳ、ＳＩＳ）、
ブチルゴム、ポリイソブチレン、クロロブレンゴム、シ
リコーンゴム、再生ゴム、種々のポリアクリル酸エステ
ル、ポリビニルエーテル等のポリマーが好適に用いられ
る。

【００２７】なお、版下シート３１を版胴１８に固定す
る方法として、上記接着層３３による接着に加えて、版
下シート３１の先端及び後端を版胴１８に設けた爪部２
５による係止を組み合わせることもできる。

【００２８】版下シート３１の離形用シート３６は、シ
ート状の支持体上に、剥離剤を０．０４〜０．１ｇ／ｍ
² 、厚さ数μｍ程度塗布して形成される。剥離剤として
は、長鎖アルキル基を有する共重合体、天然又は合成ポ
リマーの長鎖アルキル化、パーフルオロアルキル基含有
化合物、珪素その他の金属含有物、長鎖アルキル基を含
まない低接着性ポリマー等が挙げられる。これらのもの
が、単独で、又は混合され、若しくはバインダーとして
のポリマー中に混合され、支持体上に塗布される。

【００２９】本実施形態の作用を説明する。平版印刷用
印刷機１０による印刷時、各平版印刷版３０はそれぞ
れ、各印刷ユニット１６の版胴１８上に、版下シート３
１を介して装着される。この際、各版下シート３１はそ
れぞれ、平版印刷版３０の裏面に圧接されることによ
り、支持体３１ａ表面の凹凸３２を平版印刷版３０の裏
面に食い込ませて凹ませる。これにより各版下シート３
１はそれぞれ、ゴム胴２３及び圧胴２４による印圧を調
整するとともに、加圧に伴う平版印刷版３０の版胴１８
上における位置ずれを防止する。

【００３０】また、平版印刷用印刷機１０による印刷前
において、各版下シート３１はそれぞれ、支持体３１ａ
裏面にそれぞれ設けられた接着層３３における版胴１８
との接着面から離形用シート３６を外され、接着層３３
によって版胴１８に剥離可能に容易に接着される。更
に、平版印刷用印刷機１０による印刷後において、各版
下シート３１はそれぞれ、支持体３１ａ裏面の接着層３
３と版胴１８との接着を容易に外され、版胴１８から容
易に剥離される。

【００３１】以上のように上記実施形態によれば、各版
下シート３１の支持体３１ａ表面にそれぞれ、平版印刷
版３０の裏面に圧接されることにより、平版印刷版３０
の裏面を凹ませる所要形状の凹凸３２を設けられる。し
たがって、平版印刷用印刷機１０の版胴１８上における
平版印刷版３０の位置ずれを確実に防止することができ
る。これにより、金属以外の材料を支持体とする平版印
刷版３０を、多色で精巧な印刷や大型印刷機を用いた多
数枚の印刷にも適用可能とすることができる。

【００３２】また、各版下シート３１の支持体３１ａ裏
面にそれぞれ、版胴１８に剥離可能に接着する接着層３
３を設けられるとともに、接着層３３における版胴１８
との接着面に、離形用シート３６を設けられる。したが
って、印刷機１０による印刷の前後における版胴１８へ
の版下シート３１の着脱作業の良好な作業性を確保する
ことができる。

【００３３】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、表面に、
平版印刷版の裏面に圧接されることにより、平版印刷版
の裏面を凹ませる所要形状の凹凸を設けられるので、印
刷機の版胴上における平版印刷版の位置ずれを確実に防
止することができる。これにより、例えば金属以外の材
料を支持体とする平版印刷版を、多色又は多数枚の印刷
にも適用可能とすることができる。

【００３４】また裏面に、版胴に剥離可能に接着する接
着層を設けられるので、印刷の前後における印刷機の版
胴への平版印刷版用版下シートの着脱作業の良好な作業
性を確保することができる。

【００３５】また裏面に、版胴に剥離可能に接着する接
着層を設けられるとともに、接着層における版胴との接
着面に、離形層を設けられることにより、印刷の前後に
おける印刷機の版胴への平版印刷版用版下シートの着脱
作業の良好な作業性を確保することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態である平版印刷版用版下シ
ートを適用した多色平版印刷用印刷機を示す概略側面図
である。

【図２】図１の多色平版印刷用印刷機の版胴及び平版印
刷版用版下シートを示す概略斜視図である。

【図３】平版印刷版用版下シートの離形層を一部剥離さ
せた状態を示す概略斜視図である。

【図４】平版印刷版用版下シートの表面の凹凸を拡大し
て誇張し、かつ、一部断面とした要部概略斜視図であ
る。

【符号の説明】

１０ 平版印刷用印刷機 １３ 用紙 １４ 印刷部 １６ 印刷ユニット １８ 版胴 １９ インキ供給部 ２３ ゴム胴 ２４ 圧胴 ３０ 平版印刷版 ３１ 版下シート ３１ａ 支持体 ３２ 凹凸 ３３ 接着層 ３４ ガラス粒子 ３５ バインダー ３６ 離形層（離形用シート）

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 版胴及び平版印刷版間に介在される平版
   印刷版用版下シートにおいて、 表面に、平版印刷版の裏面に圧接されることにより、平
   版印刷版の裏面を凹ませる所要形状の凹凸を設けられ、
   かつ、 裏面に、版胴に剥離可能に接着する接着層を設けられた
   ことを特徴とする平版印刷版用版下シート。
2. 【請求項２】 前記接着層の上面に、離形層が設けられ
   たことを特徴とする請求項１記載の平版印刷版用版下シ
   ート。