JP2000316573A - ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンのαサブユニットに対するモノクローナル抗体産生細胞株を用いる腹水作製方法、およびそれにより得られる腹水 - Google Patents

ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンのαサブユニットに対するモノクローナル抗体産生細胞株を用いる腹水作製方法、およびそれにより得られる腹水

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JP2000316573A
JP2000316573A JP13067999A JP13067999A JP2000316573A JP 2000316573 A JP2000316573 A JP 2000316573A JP 13067999 A JP13067999 A JP 13067999A JP 13067999 A JP13067999 A JP 13067999A JP 2000316573 A JP2000316573 A JP 2000316573A
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Masato Hirai
真人 平井
Osayuki Shigefuji
修行 重藤
Kimimasa Miyazaki
仁誠 宮▲崎▼
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒト由来の絨毛性性腺刺激ホルモンのαサブ
ユニット(hCG−α)に対するモノクローナル抗体を
産生する工業技術院生命工学工業技術研究所受託番号F
ERM BP6104号のモノクローナル抗体産生細胞
ラインを用いる、効率の良い腹水作製方法を提供するこ
と。 【解決手段】 腹水の作製方法であって、(a)実験動
物の腹腔内にプリスタンを投与する工程;(b)プリス
タンの投与後に、hCG−αに特異的に結合するモノク
ローナル抗体を産生する細胞ラインFERM BP61
04号を、実験動物の腹腔内に移植する工程;および
(c)腹腔内に腹水が蓄積して、実験動物が弱り死亡す
る直前に腹水を採取する工程;を含む、方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒト由来の絨毛性
性腺刺激ホルモンのαサブユニット(hCG−α)に対
するモノクローナル抗体を、大量に効率的に産生させる
ための腹水作製方法に関する。本方法を用いることによ
り、抗hCG−αモノクローナル抗体を高濃度に含有す
る腹水を得ることが出来る。この抗体は、妊娠時に体液
中に分泌されるhCGの検出に利用することができるの
で、特に医療の分野に有効である。
【0002】
【従来の技術】従来、モノクローナル抗体を作製するた
めに、大きく分けて2種類の方法が用いられてきた。一
つは、モノクローナル抗体産生細胞ラインをインビトロ
で培養する方法である。もう一つは、モノクローナル抗
体産生細胞ラインをインビボで培養する方法である。
【0003】一つ目の方法では、モノクローナル抗体産
生細胞ラインを培養液中で培養する。細胞ラインから、
モノクローナル抗体が培養上清中に分泌され、この培養
上清を精製して、モノクローナル抗体を採取することが
できる。
【0004】しかし、インビトロでの培養方法には、い
くつかの欠点がある。まず、培養上清中に分泌されるモ
ノクローナル抗体の濃度は、一般に、高くても約100
μg/ml程度である。そのため、モノクローナル抗体
を大量に作製するためには、大量の培地で繰り返し細胞
を培養するか、または培地を少しずつ入れ替えて培養
(つまり灌流培養)する必要がある。
【0005】低濃度の抗体を培養上清から精製すること
は、非常に手間およびコストがかかる。特に、モノクロ
ーナル抗体産生細胞の培養に用いられる培地は、一般に
血清を含むため、血清由来の不純イムノグロブリンが培
養上清に混入し得る。この不純イムノグロブリンを精製
によって完全に除去することは、きわめて困難である。
【0006】不純イムノグロブリンの混入を防ぐため
に、無血清培地などを用いる培養方法もある。しかし、
モノクローナル抗体産生細胞を、抗体産生能を落とさず
に、そのような特殊な培地に慣れさせることは、やはり
困難を伴う。従って、多量の抗体を得るためには良い方
法とはいえない。
【0007】灌流培養を行う場合、必要な培養装置が高
価であるという問題がある。さらに、培養系に雑菌が混
入しやすいため、無菌状態で長期間培養を継続すること
が困難であるという問題もある。
【0008】二つ目の、インビボでの培養方法では、実
験動物の体内、例えば腹腔内にモノクローナル抗体産生
細胞ラインを導入する。導入され、増殖した細胞ライン
により、モノクローナル抗体が、例えば腹水中に分泌さ
れる。腹水を精製して、モノクローナル抗体を採取する
ことが出来る。
【0009】抗体産生細胞のインビボでの培養方法によ
れば、腹水中に大量の抗体が産生される可能性がある。
しかし、各モノクローナル抗体産生細胞ラインごとに細
胞の性質は異なる。そのため、一般的に用いられるイン
ビボでの培養条件を任意に選択しても、適切でない場合
がある。
【0010】例えば、実験動物に形質細胞腫(抗体を産
生する細胞腫)を誘発するための誘導剤として、種々の
薬剤(例えば、プリスタン、不完全フロイントアジュバ
ントなど)が知られている。しかし、使用するモノクロ
ーナル抗体産生細胞ラインによって、適切な誘導剤のタ
イプおよび量は変動し得る。また、誘導剤で処理された
実験動物の腹腔内に抗体産生細胞を注射しても、細胞の
移植が成立しない場合がある。移植が成立しても、移植
された抗体産生細胞が固形ガンとなって増殖するため
に、腹水内に分泌される抗体の量が少ない場合もある。
従って、大量のモノクローナル抗体を産生させるために
は、実験動物の種類、移植される抗体産生細胞の数など
を含む種々の条件を、使用する各モノクローナル抗体産
生細胞について、個別にかつ広範に検討する必要があ
る。
【0011】ヒト由来の絨毛性性腺刺激ホルモンのαサ
ブユニット(human chorionic gonadotropinαsubuni
t;hCG−α)に対するモノクローナル抗体を産生す
る細胞ラインとして、工業技術院生命工学工業技術研究
所受託番号FERM BP6104号(受託日平成9年
9月17日)が付与されたモノクローナル抗体産生細胞
ラインがある。この特定の細胞ラインについて、効率の
良い腹水作製方法を提供することが望まれていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
の解決を意図するものであり、モノクローナル抗体産生
細胞ラインFERM BP6104号を用いてhCG−
αに対するモノクローナル抗体を大量に作製するために
最適化された、効率の良い腹水作製方法を提供すること
を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、hCG−
αに対するモノクローナル抗体を産生する細胞ラインF
ERM BP6104号に対して、腹水作製条件の最適
化を試みた。その結果、作製が容易で、コストが安く、
かつその後の精製操作が容易である、腹水作製方法を見
い出した。
【0014】本発明の腹水の作製方法は、(a)実験動
物の腹腔内にプリスタンを投与する工程;(b)プリス
タンの投与後に、ヒト由来の絨毛性性腺刺激ホルモンの
αサブユニット(hCG−α)に特異的に結合するモノ
クローナル抗体を産生する、工業技術院生命工学工業技
術研究所受託番号FERM BP6104号の細胞ライ
ンを、該実験動物の腹腔内に移植する工程;および
(c)該腹腔内に腹水が蓄積して、該実験動物が弱り死
亡する直前に該腹水を採取する工程;を包含する。
【0015】一つの実施態様では、上記動物はマウスで
あり、プリスタンの投与量は約0.5〜約1.0mlで
あり、そして上記細胞ラインはプリスタン投与後3〜1
0日目に約1×106〜約1×107個移植される。
【0016】好ましい実施態様では、プリスタンの投与
量は約1.0mlであり、上記細胞ラインはプリスタン
投与後3日目に約1×107個移植される。
【0017】別の好ましい実施態様では、プリスタンの
投与量は約1.0mlであり、上記細胞ラインはプリス
タン投与後5日目に約1×107個移植される。
【0018】さらに別の好ましい実施態様では、プリス
タンの投与量は約1.0mlであり、上記細胞ラインは
プリスタン投与後10日目に約1×107個移植され
る。
【0019】さらに別の好ましい実施態様では、プリス
タンの投与量は約0.5mlであり、上記細胞ラインは
プリスタン投与後7日目に約1×106個移植される。
【0020】本発明の腹水は、上記のいずれかの腹水作
製方法によって作製される。この腹水は、上記モノクロ
ーナル抗体を産生する細胞ラインFERM BP610
4号により産生される抗hCG−αモノクローナル抗体
を含有する。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0022】本発明においては、特に指示のない限り、
当該分野で公知である、タンパク質の分離および分析
法、ならびに免疫学的手法が採用され得る。これらの手
法は、市販の酵素、キット、抗体、標識物質などを使用
して行い得る。
【0023】本明細書において、「実験動物」とは、そ
の腹腔内にモノクローナル抗体産生細胞ラインが適切に
注入されたとき、その移植が成立し得、腹水中にモノク
ローナル抗体が分泌され得る動物をいう。実験動物は、
代表的には哺乳動物である。哺乳動物の例として、マウ
ス、ラット、ウサギが挙げられる。好ましい哺乳動物の
例は、マウスである。マウスの例として、BALB/C
系統、SJL系統、NZB系統、A/J系統、C57B
L/6系統、C3H/He系統、CBA/JNCrj系
統、DBA/2系統のマウスが挙げられる。より好まし
いマウスの例は、BALB/C系統のマウスである。実
験動物の齢は特に限定されないが、代表的には6週齢以
上であり、好ましくは15週齢以上の大型のマウスであ
る。
【0024】本明細書において、「実験動物が弱り死亡
する直前」とは、実験動物が、その腹腔に腹水が著しく
たまることにより衰弱し、実験動物の心臓は動いている
が、自力で動くのが困難な状態にあることをいう。
【0025】大量の抗体を効率よく得るための腹水の作
製方法を、以下に実験の流れに沿って説明する。実験条
件は、細胞ラインFERM BP6104号からの抗体
産生のために最適化されている。
【0026】1.プリスタンの投与 まず実験動物の腹腔内にプリスタンを投与する。プリス
タンの投与は、当該分野で周知の方法に従って行われる
が、通常は腹腔内注射により行われる。
【0027】「プリスタン」とは、2,6,10,14−テトラ
メチルペンタデカンである。プリスタンは、一般にマウ
スに形質細胞腫を誘発するため、および誘発された形質
細胞腫の増殖を促進させるために用いられる誘導剤であ
る。
【0028】プリスタンの投与量は、実験動物の種、
齢、性別、および後に移植する抗体産生細胞の性状に依
存して変化し得る。実験動物がマウスである場合、プリ
スタンの投与量は、マウス1匹当たり、約0.3〜約
2.0mlであり得、好ましくは約0.5〜約1.0m
lであり、さらにより好ましくは約1.0mlである。
【0029】2.抗体産生細胞の移植 プリスタン投与の後、モノクローナル抗体産生細胞を実
験動物の腹腔内に移植する。細胞の移植は、当該分野で
周知の方法に従って行われる。例えば、モノクローナル
抗体産生細胞の浮遊液を、実験動物の腹腔内に注射する
ことにより、移植が行われる。
【0030】抗体産生細胞の移植は、好ましくはプリス
タンの投与後3日目〜10日目に、より好ましくは3日
目、5日目、7日目、または10日目に、さらにより好
ましくは5日目に行われる。
【0031】本発明に用いられるモノクローナル抗体産
生細胞ラインは、工業技術院生命工学工業技術研究所に
寄託された、受託番号FERM BP6104号の細胞
ラインである。この細胞ラインは、ヒト由来の絨毛性性
腺刺激ホルモンのαサブユニット(hCG−α)で免疫
したBALB/Cマウスの脾臓細胞を、P3X63−A
g8.653というマウス由来のミエローマ細胞と細胞
融合することにより得られた。この細胞ラインは、hC
GおよびhCG−αに特異的に結合するモノクローナル
抗体を産生する。このモノクローナル抗体のサブクラス
は、IgG1である。
【0032】モノクローナル抗体産生細胞は、通常溶液
に懸濁した状態、つまり細胞浮遊液の状態で移植する。
細胞を懸濁させる溶液の例としては、無菌PBS(リン
酸緩衝溶液)が挙げられ得る。
【0033】実験動物の腹腔内に移植する抗体産生細胞
の数は、代表的には約1×105〜約1×108個であ
り、好ましくは約5×105〜約5×107個であり、よ
り好ましくは約1×106〜約1×107個であり、さら
により好ましくは約1×10 7個である。
【0034】3.腹水の採取 モノクローナル抗体産生細胞の移植から1〜2週間後、
実験動物の腹部が肥大し始めたら毎日観察を続ける。実
験動物の腹部が、妊娠した雌性実験動物の出産間際の頃
の膨らみ具合と同程度まで顕著に肥大し、実験動物が著
しく衰弱した時点で、腹腔内から腹水を採取することが
好ましい。腹部に蓄積される腹水量は少ないが、腹水中
のモノクローナル抗体の濃度が濃い場合もある。このよ
うな場合は、実験動物の衰弱の程度により判断し、適切
な時点で腹水を採取する。腹水は、モノクローナル抗体
産生細胞の移植後、代表的には約7〜約20日目、好ま
しくは約8〜約18日目、より好ましくは約9〜約14
日目に採取される。
【0035】本発明の方法に従って腹水を作製すれば、
実験途中で実験動物が死亡する確率、および移植が成立
しない確率が非常に低い。また、移植が成立した実験動
物における固形ガンの発症頻度も非常に低い。従って、
多量のモノクローナル抗体を含有する腹水を、再現性良
く作製し得る。
【0036】実験動物からの腹水の採取は、当該分野で
周知の方法に従って行われる。例えば、実験動物をエー
テルで軽く麻酔し、麻酔した実験動物をビーカーの上に
保持し、針を用いて腹部の皮膚と腹壁に穴をあける。こ
の穴から、腹水をビーカーに滴下することにより、腹水
を採取し得る。あるいは、麻酔した実験動物を仰向けに
置き、実験動物の左側から腹腔に針を挿入する。挿入し
た針の先端が脾臓横の上部にくるようにした状態で、腹
水を注射筒にゆっくりと吸引することによって、腹水を
採取し得る。
【0037】採取した腹水に含まれるモノクローナル抗
体の濃度は、通常は抗体を精製した後に、当該分野で周
知の方法で測定し得る。モノクローナル抗体の濃度の測
定方法の例としては、吸光光度法、酵素免疫測定法、蛍
光抗体法などが挙げられる。吸光光度法では、例えばモ
ノクローナル抗体を含む溶液の280nmの吸光度を測
定して、吸光係数から換算することにより濃度を測定す
る。さらに、抗体濃度および腹水量から、腹水中のモノ
クローナル抗体の全量が算出される。
【0038】本発明の方法に従って作製された腹水か
ら、当該分野で周知の方法で、モノクローナル抗体を精
製し得る。精製のためには、例えばプロテインAを用い
る精製方法、DEAE陰イオン交換クロマトグラフィー
による精製方法、アフィニティークロマトグラフィーに
よる精製方法、硫安分画法、PEG分画法、エタノール
分画法が適宜組み合わせて用いられる。
【0039】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0040】各実施例は、表1を参照しながら説明す
る。
【0041】
【表1】
【0042】使用した抗体産生細胞は、すべて受託番号
FERM BP6104号のモノクローナル抗体産生細
胞ラインのものである。使用したマウスは、すべて雌の
BALB/C系統(15週齢)である。
【0043】採取された腹水に含まれる、hCG−αに
対して特異的な抗体は、以下の方法で精製した後に、そ
の濃度を決定した。
【0044】まず、プロテインA(Protein A Sepharos
e 4 Fast Flow;Pharmacia社製)を充填したカラムを、
結合緩衝液(1.5M グリシン・3M NaCl、p
H8.9)で平衡化する。マウスから得られた腹水を、
結合緩衝液で3倍に希釈した後、平衡化したカラムにア
プライする。カラムからの溶出液を280nmでモニタ
ーしながら、不純物の溶出が終了するまでカラムを結合
緩衝液で洗浄する。洗浄後、溶出緩衝液1(100mM
クエン酸、pH6)、溶出緩衝液2(100mM ク
エン酸、pH5)、および溶出緩衝液3(100mM
クエン酸、pH4)を順次カラムにアプライ(線流速:
約5〜20cm/h)し、IgG含有溶出液を回収す
る。
【0045】回収したIgG含有画分について、吸光光
度計で280nmの吸光度を測定した。測定された吸光
度を吸光係数で換算することにより、抗体の濃度を決定
した。なお、この方法により回収されたIgG含有画分
について、常法に従ってSDS電気泳動により純度を確
認したところ、不純物の混入は検出限界以下であった。
【0046】(実施例1)5匹のマウスの腹腔内に、1
mlのプリスタンを注射した。
【0047】プリスタン投与の3日後、無菌PBS中に
抗体産生細胞を懸濁して、1×10 8個/mlの細胞浮
遊液を調製した。細胞浮遊液100μl(0.1ml)
を、腹腔内に注射した。これにより、1×107個の細
胞がマウスの腹腔内に移植された。
【0048】細胞移植後9日目に、マウスの腹部が顕著
に肥大した。そこで、腹腔内から腹水を採取した。腹部
の膨らみのやや少ないマウスはさらに1日状態を観察
し、10日目に腹腔内から腹水を採取した。
【0049】抗体産生細胞を移植したマウスでは、いず
れも移植が成立した。実験途中に死亡したマウスは1匹
存在したが、固形ガンを発症したマウスは存在しなかっ
た。
【0050】表1に示すように、採取された腹水量は、
マウス1匹当たり平均1.3mlであった。腹水中の抗
体濃度は、平均1.5mg/mlであった。従って、マ
ウス1匹当たり平均1.95mgの抗体が得られた。
【0051】(実施例2)5匹のマウスの腹腔内に、1
mlのプリスタンを注射した。
【0052】プリスタン投与の5日後、無菌PBS中に
抗体産生細胞を懸濁して、1×10 8個/mlの細胞浮
遊液を調製した。細胞浮遊液100μl(0.1ml)
を、腹腔内に注射した。これにより、1×107個の細
胞がマウスの腹腔内に移植された。
【0053】細胞移植後9日目に、マウスの腹部が顕著
に肥大した。そこで、腹腔内から腹水を採取した。腹部
の膨らみのやや少ないマウスはさらに1日状態を観察
し、10日目に腹腔内から腹水を採取した。
【0054】抗体産生細胞を移植したマウスでは、いず
れも移植が成立した。実験途中に死亡したマウスは1匹
存在したが、固形ガンを発症したマウスは存在しなかっ
た。
【0055】表1に示すように、採取された腹水量は、
マウス1匹当たり平均1.8mlであった。腹水中の抗
体濃度は、平均1.7mg/mlであった。従って、マ
ウス1匹当たり平均3.06mgの抗体が得られた。
【0056】(実施例3)5匹のマウスの腹腔内に、1
mlのプリスタンを注射した。
【0057】プリスタン投与の10日後、無菌PBS中
に抗体産生細胞を懸濁して、1×108個/mlの細胞
浮遊液を調製した。細胞浮遊液100μl(0.1m
l)を、腹腔内に注射した。これにより、1×107
の細胞がマウスの腹腔内に移植された。
【0058】細胞移植後9日目に、マウスの腹部が顕著
に肥大し始めた。そこで、腹部の肥大が顕著なマウスの
腹腔内から腹水を採取した。腹部の膨らみのやや少ない
マウスはさらに状態を観察し、10日目および11日目
に腹腔内から腹水を採取した。
【0059】抗体産生細胞を移植したマウスでは、移植
が成立しなかったマウスが1匹存在した。実験途中に死
亡したマウスは1匹存在した。固形ガンを発症したマウ
スは存在しなかった。
【0060】表1に示すように、採取された腹水量は、
マウス1匹当たり平均1.0mlであった。腹水中の抗
体濃度は、平均1.1mg/mlであった。従って、マ
ウス1匹当たり平均1.10mgの抗体が得られた。
【0061】(実施例4)5匹のマウスの腹腔内に、
0.5mlのプリスタンを注射した。
【0062】プリスタン投与の7日後、無菌PBS中に
抗体産生細胞を懸濁して、1×10 7個/mlの細胞浮
遊液を調製した。細胞浮遊液100μl(0.1ml)
を、腹腔内に注射した。これにより、1×106個の細
胞がマウスの腹腔内に移植された。
【0063】細胞移植後11日目に、マウスの腹部が顕
著に肥大し始めた。そこで、腹部の肥大が顕著なマウス
の腹腔内から腹水を採取した。腹部の膨らみのやや少な
いマウスはさらに状態を観察し、14日目までに腹腔内
から腹水を採取した。
【0064】抗体産生細胞を移植したマウスでは、いず
れも移植が成立した。実験途中に死亡したマウスは1匹
存在したが、固形ガンを発症したマウスは存在しなかっ
た。
【0065】表1に示すように、採取された腹水量は、
マウス1匹当たり平均1.1mlであった。腹水中の抗
体濃度は、平均2.3mg/mlであった。従って、マ
ウス1匹当たり平均2.53mgの抗体が得られた。
【0066】以上のように、本実施例の方法によって、
マウス1匹当たり1.1mgから3.06mgのモノク
ローナル抗体を含む腹水が得られた。
【0067】
【発明の効果】本発明によれば、工業技術院生命工学工
業技術研究所 受託番号FERM BP6104号のモ
ノクローナル抗体産生細胞ラインを用いる、効率的な腹
水作製方法が提供される。さらに、腹水の作製が容易で
あり、コストが低く、かつ腹水からの抗体の精製が容易
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮▲崎▼ 仁誠 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA44 BA61 HA03 HA20 4B064 AG27 CA10 CA20 CC24 DA13

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 腹水の作製方法であって、 (a)実験動物の腹腔内にプリスタンを投与する工程; (b)プリスタンの投与後に、ヒト由来の絨毛性性腺刺
    激ホルモンのαサブユニット(hCG−α)に特異的に
    結合するモノクローナル抗体を産生する、工業技術院生
    命工学工業技術研究所受託番号FERM BP6104
    号の細胞ラインを、該実験動物の腹腔内に移植する工
    程;および (c)該腹腔内に腹水が蓄積して、該実験動物が弱り死
    亡する直前に該腹水を採取する工程;を包含する方法。
  2. 【請求項2】 前記実験動物がマウスであり、プリスタ
    ンの投与量が約0.5〜約1.0mlであり、そして前
    記細胞ラインがプリスタン投与後3〜10日目に約1×
    106〜約1×107個移植される、請求項1に記載の腹
    水作製方法。
  3. 【請求項3】 プリスタンの投与量が約1.0mlであ
    り、そして前記細胞ラインがプリスタン投与後3日目に
    約1×107個移植される、請求項2に記載の腹水作製
    方法。
  4. 【請求項4】 プリスタンの投与量が約1.0mlであ
    り、そして前記細胞ラインがプリスタン投与後5日目に
    約1×107個移植される、請求項2に記載の腹水作製
    方法。
  5. 【請求項5】 プリスタンの投与量が約1.0mlであ
    り、そして前記細胞ラインがプリスタン投与後10日目
    に約1×107個移植される、請求項2に記載の腹水作
    製方法。
  6. 【請求項6】 プリスタンの投与量が約0.5mlであ
    り、そして前記細胞ラインがプリスタン投与後7日目に
    約1×106個移植される、請求項2に記載の腹水作製
    方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の腹
    水作製方法によって作製された腹水。
JP13067999A 1999-05-11 1999-05-11 ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンのαサブユニットに対するモノクローナル抗体産生細胞株を用いる腹水作製方法、およびそれにより得られる腹水 Withdrawn JP2000316573A (ja)

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