JP2000309562A - ジヒドロジャスモン酸エステルおよびその製造方法 - Google Patents

ジヒドロジャスモン酸エステルおよびその製造方法

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JP2000309562A JP11121351A JP12135199A JP2000309562A JP 2000309562 A JP2000309562 A JP 2000309562A JP 11121351 A JP11121351 A JP 11121351A JP 12135199 A JP12135199 A JP 12135199A JP 2000309562 A JP2000309562 A JP 2000309562A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 不純物の含有量が極めて少ない高純度のジヒ
ドロジャスモン酸エステルおよびその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 メチルジヒドロジャスモネートと炭素数
2〜5のアルコールを塩基性触媒の存在下、100℃以
下でエステル交換反応させて得られる粗生成物を中和す
ることなく200℃以下で蒸留することにより、純度が
99.5重量%以上で、含有される不純物のいずれもが
0.1重量%未満である式(1)のジヒドロジャスモン
酸エステルが得られる。 (一般式(1)のRは、炭素数2〜5の炭化水素基を示
す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はジヒドロジャスモン
酸エステルに関し、さらに詳しくは、不純物の含有量を
低減せしめたジヒドロジャスモン酸エステルおよびその
改良された製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ジヒドロジャスモン酸エステルの植物に
対する多様な生理作用が報告されている(ケミカルアブ
ストラクツ誌103巻33499t、107巻9191
0p)。また最近では、n−プロピルジヒドロジャスモ
ネートの植物生長促進剤としての用途が注目され、その
研究開発が進められている(USP5776860、U
SP5814581)。
【0003】ところで、近年、殺虫剤や除草剤のような
農薬ならびに農薬中の不純物による環境汚染が世界的に
問題視されている。それ故、農薬原体を製造する際に
は、原体化合物の安全性、均一性などの点において、す
ぐれた品質や純度規格が要求される。また、農薬原体自
体の安全性が各種の毒性試験において実証されたとして
も、該原体中に一定量以上の不純物が含まれるときは、
その不純物についても毒性試験が要求される場合があ
る。このように農薬原体を工業的に高純度で製造する方
法は必要不可欠な状況にある。
【0004】従来、ジヒドロジャスモン酸エステルは、
2−n−ペンチルシクロペンテノンとマロン酸ジメチル
とをマイケル付加させた後、脱炭酸させることにより得
られるメチルジヒドロジャスモネートを主原料として、
対応するアルコールとエステル交換することにより製造
されていた。このエステル交換は、ナトリウムメトキシ
ドのメタノール溶液などの塩基性触媒を用いて、副生す
るメタノールを系外に抜出しながら、110〜130℃
で数時間加熱する反応条件が採用されていた。また反応
終了後は、粗生成物中に含まれる塩基性触媒を希塩酸で
中和処理し、次いで重曹水による逆中和処理を兼ねた洗
浄を行い、そして精留することによりジヒドロジャスモ
ン酸エステルが製造されていた。
【0005】このような従来の方法をn−プロピルジヒ
ドロジャスモネートの製造に適用して得られる生成物
を、ガスクロマトグラフィー(以下、GCという。)で
分析すると、主原料であるメチルジヒドロジャスモネー
ト中には検出されず、エステル交換反応、中和洗浄工程
または精留の段階で副生すると推定される2種類の不純
物A(構造未知)と不純物B(構造未知)が、それぞれ
0.3重量%以上、0.4重量%以上かならず含まれて
いた。また、GC分析によると不純物Aと不純物Bの保
持時間(ピーク位置)は、目的物であるn−プロピルジ
ヒドロジャスモネートのトランス体とシス体の中間の値
(中間のピーク位置)であった。さらに、GC−質量分
析法による推定分子量は、不純物A、Bともに254で
あり、n−プロピルジヒドロジャスモネートの分子量2
54と同一であった。
【0006】このように従来の製造方法においては、前
記不純物Aと不純物Bに代表されるような不純物の副生
は不可避であった。また、それらは通常の精製手段で除
去できず、高純度なジヒドロジャスモン酸エステルを得
るのは極めて困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来技術の上記のよう
な問題点に鑑み、本発明の目的は、不純物の含有量を低
減せしめた高純度なジヒドロジャスモン酸エステルとそ
の製造方法を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、先に述べた
社会的な要請を背景として、従来技術がもつ前記課題を
解決すべく鋭意検討を加えたところ、特定なプロセスに
基づいてエステル交換反応と後処理および蒸留精製を行
なうことによって、極めて高純度なジヒドロジャスモン
酸エステルが得られることを見出し、本発明を完成する
に到った。
【0009】かくして、本発明によれば、純度が99.
5重量%以上の下記一般式(1)で表わされるジヒドロ
ジャスモン酸エステルであって、含有される不純物のい
ずれもが0.1重量%未満であるジヒドロジャスモン酸
エステルが提供される。
【0010】
【化2】 (一般式(1)のRは、炭素数2〜5の炭化水素基を示
す。)
【0011】そしてまた、本発明によると、メチルジヒ
ドロジャスモネートと炭素数2〜5のアルコールを塩基
性触媒の存在下にエステル交換させてジヒドロジャスモ
ン酸エステルを製造する方法において、エステル交換反
応を100℃以下で行い、かつ、得られる粗生成物を中
和することなく200℃以下で蒸留することを特徴とす
る前記ジヒドロジャスモン酸エステルの製造方法が提供
される。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の前記一般式(1)で表わ
されるジヒドロジャスモン酸エステルのR基は、炭素数
2〜5の炭化水素基である。好ましくは炭素数3〜4で
あり、より好ましくは炭素数3の炭化水素基である。前
記炭化水素基は、飽和体でも不飽和体でもよく、鎖状で
あっても環状であってもよいが、鎖状の飽和体が好まし
い。
【0013】ジヒドロジャスモン酸エステルの具体例と
しては、エチルジヒドロジャスモネート、n−プロピル
ジヒドロジャスモネート、イソプロピルジヒドロジャス
モネート、アリルジヒドロジャスモネート、プロパギル
ジヒドロジャスモネート、n−ブチルジヒドロジャスモ
ネート、イソブチルジヒドロジャスモネート、sec−
ブチルジヒドロジャスモネート、t−ブチルジヒドロジ
ャスモネート、シス−2−ブテニルジヒドロジャスモネ
ート、トランス−2−ブテニルジヒドロジャスモネー
ト、2−ブチニルジヒドロジャスモネート、n−ペンチ
ルジヒドロジャスモネート、イソペンチルジヒドロジャ
スモネート、sec−ペンチルジヒドロジャスモネー
ト、t−ペンチルジヒドロジャスモネート、シクロペン
チルジヒドロジャスモネート、シス−2−ペンテニルジ
ヒドロジャスモネート、トランス−2−ペンテニルジヒ
ドロジャスモネート、2−ペンチニルジヒドロジャスモ
ネートなどが挙げられる。
【0014】好ましくは、n−プロピルジヒドロジャス
モネート、イソプロピルジヒドロジャスモネート、n−
ブチルジヒドロジャスモネート、イソブチルジヒドロジ
ャスモネート、sec−ブチルジヒドロジャスモネー
ト、t−ブチルジヒドロジャスモネートである。より好
ましくは、n−プロピルジヒドロジャスモネート、イソ
プロピルジヒドロジャスモネートであり、n−プロピル
ジヒドロジャスモネートが最も好ましい。なお、これら
のジヒドロジャスモン酸エステルは、シクロペンタノン
環上に2つの置換基があるため幾何異性体(トランス体
とシス体(エピ体))が存在する。
【0015】本発明のジヒドロジャスモン酸エステルの
純度は99.5重量%以上であり、好ましくは99.7
重量%以上、さらに好ましくは99.8重量%以上であ
る。この重量基準の純度とは、通常のGC分析(内部標
準物質法)により求めた前記トランス体とシス体の合計
量を指すが、化学的に信頼性があるその他の分析手段で
求めた数値であってもよい。GC分析における内部標準
物質としては、n−デカン、n−ドデカンなどの炭化水
素が推奨される。
【0016】本発明のジヒドロジャスモン酸エステルは
不純物を含有していてもよいが、含有される不純物のい
ずれもが0.1重量%未満であることが必須であり、好
ましくは0.08重量%未満である。含有される不純物
の化学構造は特に限定さず、化学構造が未知のものであ
ってもよい。ジヒドロジャスモン酸エステルがn−プロ
ピルジヒドロジャスモネートである場合の不純物の具体
例としては、前記した不純物A、不純物Bのような分子
量が同一の異性体と推定される化合物、反応原料である
メチルジヒドロジャスモネート、その原料中に含まれる
プロピル−3−ペンチル−4−オキソシクロペンチル−
1−アセテート、n−プロピル−3−(2−オキソシク
ロペンチル)ヘプタノエート、原料または目的物のエス
テル部が加水分解して副生するジヒドロジャスモネート
などが挙げられる。
【0017】本発明のジヒドロジャスモン酸エステルの
製造方法において用いられる原料のメチルジヒドロジャ
スモネートは、公知の方法で合成できる。例えば、シク
ロペンタノンを出発原料として、数工程を経て2位にn
−ペンチル基を導入した2−n−ペンチル−2−シクロ
ペンテノンに変換する。次いで、これにマロン酸ジメチ
ルを反応させて得られるマイケル付加体を、水と加熱し
て脱炭酸することによりメチルジヒドロジャスモネート
を得ることができる。
【0018】原料であるメチルジヒドロジャスモネート
の純度は、特に限定されない。しかし、本発明の製造方
法を有利に実施するには、メチルジヒドロジャスモネー
トの純度は、通常99.5重量%以上で含有される不純
物のいずれもが0.1重量%未満である。好ましくは9
9.7重量%以上で含有される不純物のいずれもが0.
1重量%未満、より好ましくは99.9重量%以上で、
含有される不純物のいずれもが0.05重量%未満であ
る。
【0019】本発明の製造方法の別の原料である炭素数
2〜5のアルコールは、工業的に生産されるものを適宜
使用すればよい。アルコールの具体例としては、エタノ
ール、n−プロパノール、イソプロパノール、アリルア
ルコール、プロパギルアルコール、n−ブタノール、イ
ソブタノール、sec−ブチルアルコール、t−ブチル
アルコール、シス−2−ブテノール、トランス−2−ブ
テノール、2−ブチノール、n−ペンタノール、イソペ
ンタノール、sec−ペンチルアルコール、t−ペンチ
ルアルコール、シクロペンタノール、シス−2−ペンテ
ノール、トランス−2−ペンテノール、2−ペンチノー
ルなどが挙げられる。
【0020】好ましくは、n−プロパノール、イソプロ
パノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−
ブチルアルコール、t−ブチルアルコールである。より
好ましくは、n−プロパノール、イソプロパノールであ
り、n−プロパノールが最も好ましい。
【0021】メチルジヒドロジャスモネートと前記アル
コールとのエステル交換反応においては、メチルジヒド
ロジャスモネート1モルに対して、アルコールを通常1
〜6モル、好ましくは2〜5モル、さらに好ましくは3
〜4モル使用する。
【0022】エステル交換反応の触媒としては、通常エ
ステル交換反応の触媒として使用される塩基性触媒であ
れば特に制限はないが、例えば、アルカリ金属またはア
ルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素酸塩;ア
ルカリ金属のアルコラート;塩基性イオン交換樹脂など
が使用される。
【0023】アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水
酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウ
ムなどが挙げられる。アルカリ金属またはアルカリ土類
金属の炭酸塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウ
ム、炭酸バリウムなどが挙げられる。アルカリ金属また
はアルカリ土類金属の炭酸水素酸塩としては、炭酸水素
リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭
酸水素カルシウムなどが挙げられる。
【0024】アルカリ金属のアルコラートの具体例とし
ては、ナトリウムメトキサイド、ナトリウムエトキサイ
ド、ナトリウム−n−プロポキサイド、ナトリウム−n
−イソプロポキサイド、ナトリウム−t−ブトキサイ
ド、カリウムメトキサイド、カリウムエトキサイド、カ
リウム−t−ブトキサイドなどが挙げられるが、エステ
ル交換の副生物の生成を防止する観点からは、ナトリウ
ムメトキサイド、ナトリウム−n−プロポキサイド、カ
リウムメトキサイドが好ましい。最も好ましいのはナト
リウムメトキサイドである。アルカリ金属のアルコラー
トは粉末で用いても、アルコール溶液として使用しても
よい。アルコール溶液で用いる具体例としては、ナトリ
ウムメトキサイドのメタノール溶液、ナトリウム−n−
プロポキサイドのn−プロパノール溶液などを挙げるこ
とができる。
【0025】塩基性のイオン交換樹脂としては、ダイヤ
イオンPAシリーズ(三菱化学製)、アンバーライトI
RAシリーズ(オルガノ製)、チバレットMPシリーズ
(バイエル社製)などが例示される。
【0026】これらの塩基性触媒は単独で使用しても、
2種類以上を併用してもよい。触媒の使用量は、メチル
ジヒドロジャスモネートに対し、通常0.01〜10モ
ル%の割合で使用される。好ましくは0.02〜5モル
%であり、より好ましくは0.05〜2モル%である。
【0027】エステル交換反応においては、特に反応溶
媒を使用する必要はない。溶媒を使用する場合には、反
応を阻害しないものであれば特に制限はないが、炭化水
素系溶媒が好ましい。その具体例としては、ベンゼン、
トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;n−ヘキサ
ン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素が挙げられ
る。これらの溶媒は、単独で使用しても2種類以上を併
用してもよい。また、これらの溶媒の使用量は、メチル
ジヒドロジャスモネートとn−プロパノールの総重量に
対して、通常0〜1000重量%、好ましくは0〜50
0重量%、さらに好ましくは0〜300重量%である。
【0028】本発明の製造方法において、エステル交換
の反応温度は100℃以下であることが必須である。好
ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下であ
る。反応は常圧または減圧下で実施できるが、副生する
メタノールを系外に抜出しながら反応させるのがエステ
ル交換の促進に有利であることから、減圧下での反応が
推奨される。減圧度は、反応温度を100℃以下に保
ち、メタノールを効率よく系外に抜出せる減圧度であれ
ば、特に制限はない。また常圧下で反応を開始して、反
応途中で減圧してもよい。反応は不活性雰囲気下で行う
のが好ましいが、それに限定されない。エステル交換反
応は、上述のような条件下で、通常、30分〜20時間
で終了させることができる。
【0029】本発明の製造方法では、前記エステル交換
で得られる粗生成物を中和処理することなく、そのまま
蒸留することが必須である。ここで「中和処理」とは、
反応粗生成物中に含まれる塩基性触媒を任意の酸で中和
することをいう。従って、例えば、塩基性触媒としてイ
オン交換樹脂を用いた場合に、そのイオン交換樹脂をろ
別等で除去する操作は「中和処理」には含まれない。ま
た、粗生成物を水で洗浄する操作なども「中和処理」に
は含まれない。
【0030】反応粗生成物の蒸留は、工業的に通常用い
られる蒸留装置で実施される。本発明の製造方法では、
蒸留中に蒸留釜内の溶液を200℃以下に制御すること
が必須であり、好ましくは180℃以下である。この蒸
留の温度条件をさらに詳しく述べると、反応粗生成物を
単蒸留して過剰量用いたアルコールおよび目的生成物を
留出させ、塩基性触媒を蒸留釜内に残す蒸留において
は、単蒸留中は蒸留釜内の溶液を必ず200℃以下に制
御しなければならない。しかし、こうした単蒸留で得ら
れる塩基性触媒を含まない留出物を再度精留する場合
は、必ずしも蒸留釜内の溶液を200℃以下に制御する
必要はない。また、前記のような単蒸留をすることな
く、塩基性触媒を含んだ状態で反応粗生成物をそのまま
精留する場合は、蒸留釜内の溶液を200℃以下に制御
することが必須である。
【0031】粗生成物を蒸留するときの減圧度は、蒸留
釜内の被蒸留物の温度を200℃以下に制御でき、かつ
蒸留塔の塔頂から留出物を効率よく抜出せる減圧度であ
れば特に制限はない。通常、約1.5mmHg以下であ
り、好ましくは1.0mmHg以下、より好ましくは
0.5mmHg以下である。蒸留は窒素ガスなどの不活
性雰囲気下で実施することが好ましい。また蒸留釜内の
溶液を前記の所定温度に制御し、温度むらを生じさせな
いために攪拌機を装備した蒸留装置を使用することが推
奨される。
【0032】以上に述べたような製造方法により、純度
が99.5重量%以上であり、含有される不純物のいず
れもが0.1重量%未満であるジヒドロジャスモン酸エ
ステルが製造される。
【0033】メチルジヒドロジャスモネートとn−プロ
パノールとから本発明の方法で製造されるn−プロピル
ジヒドロジャスモネートは、農作物や種子に処理すると
優れた生長促進効果を示すとともに、動物に対しては安
全性が高い植物生長促進剤用の原体であり、本発明が特
に好ましく適用される。
【0034】以上説明したこの発明について、以下にそ
の好ましい実施の態様を要約する。 1.ジヒドロジャスモン酸エステルの純度は99.5重
量%以上であり、好ましくは99.7%以上、さらに好
ましくは99.8重量%以上である。 2.ジヒドロジャスモン酸エステルに含有される不純物
のいずれもが、0.1重量%未満であり、好ましくは
0.08重量%未満である。 3.エステル部の炭化水素基の炭素数は2〜5であり、
好ましくは3〜4である。 4.エステル部の炭化水素基は鎖状の飽和体である。 5.ジヒドロジャスモン酸エステルは、n−プロピルジ
ヒドロジャスモネートである。
【0035】6.エステル交換反応の原料であるメチル
ジヒドロジャスモネートの純度は99.5重量%以上で
あり、好ましくは99.7%以上、さらに好ましくは9
9.9重量%以上である。 7.エステル交換反応の原料であるメチルジヒドロジャ
スモネートに含有される不純物のいずれもが、0.1重
量%未満であり、好ましくは0.05重量%未満であ
る。 8.エステル交換反応において原料のモル比は、メチル
ジヒドロジャスモネート1モルに対して、アルコールが
通常1〜6モル、好ましくは2〜5モル、さらに好まし
くは3〜4モルである。
【0036】9.塩基性触媒はアルカリ金属の水酸化
物、炭酸塩、または炭酸水素塩である。 10.塩基性触媒はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸
塩、または炭酸水素塩である。 11.塩基性触媒はアルカリ金属のアルコラートであ
り、好ましくはナトリウムメトキサイドである。 12.塩基性触媒はメチルジヒドロジャスモネートに対
して、0.01〜10モル%、好ましくは0.02〜5
モル%、より好ましくは0.05〜2モル%の範囲で使
用する。
【0037】13.エステル交換反応は無溶媒で行う。 14.エステル交換反応は芳香族炭化水素、脂肪族炭化
水素の存在下で行う。 15.エステル交換の反応温度は必ず100℃以下であ
り、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下
である。 16.エステル交換反応終了後、反応粗生成物を中和反
応することなく、蒸留釜内の溶液の温度が200℃以
下、好ましくは180℃以下で減圧蒸留する。
【0038】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例によってその範囲を限
定されるものではない。なお、実施例中の%は、特にこ
とわりのない限りGC分析(内部標準法)で求めた重量
基準の百分率である。GC分析は、ヒューレットパッカ
ード社製HP6890、カラム:HP−1(メチルシロ
キサン担持、長さ30m、内径0.25mm、膜厚0.
25μm)、カラム温度:180℃、インジェクション
温度:230℃、キャリアーガス:ヘリウム(流量1m
l/分)、検出器:FID、サンプル量:0.1μl、
内部標準物質:n−デカンで行った。また、実施例中の
℃は、特にことわりのない限り反応液または被蒸留物自
体の温度である。
【0039】実施例1 攪拌機、クライゼン分留管、冷却管、留出留分受器、温
度計保護管、減圧ラインを装備した200mlのガラス
製の4つ口フラスコに、純度99.7%のメチルジヒド
ロジャスモネート67.8g(0.3モル)、n−プロ
パノール72.0g(0.83モル)およびナトリウム
メトキサイドの28%メタノール溶液1.1g(メチル
ジヒドロジャスモネートに対し2モル%)を仕込んだ。
反応系内の減圧度を350mmHgに設定して、油浴中
で85℃に加熱攪拌した。しばらくすると、反応の進行
により副生するメタノールが分留管から徐々に留出し
た。7時間経過後、サンプリング口から反応液の一部を
注射器で分取した。これをGC分析してメチルジヒドロ
ジャスモネートのピークがほぼ完全に消失したのをもっ
て、エステル交換反応が完了したことを確認した。
【0040】次に過剰量加えたn−プロパノールを減圧
度350mmHgから徐々に減圧度を変化させて最終的
には25mmHg、蒸留釜内温度95℃で分流管から留
出させた。n−プロパノールを回収後、減圧度1mmH
g、蒸留釜内温度180℃で目的とするn−プロピルジ
ヒドロジャスモネートの留分を単蒸留で留出させた。こ
の単蒸留で得られた粗生成物を精留装置に仕込み、減圧
度1mmHg、蒸留釜内の液温180℃で精留した。沸
点136℃/1mmHgの目的とするn−プロピルジヒ
ドロジャスモネートの留分52.3gを得た。
【0041】この精留留分を前記の条件でGC分析した
結果、保持時間約8.05分のトランス−n−プロピル
ジヒドロジャスモネートが88.03%、保持時間約
8.62分のシス−n−プロピルジヒドロジャスモネー
トが11.85%であり、トランス体とシス体を合計し
たn−プロピルジヒドロジャスモネートの純度は、9
9.88%であった。GCチャート上には不純物の小さ
なピークが6個認められたが、そのすべてが0.1%未
満であった。これらの不純物の中でもっとも大きなピー
クである保持時間約8.33分の不純物A(構造未知、
GC−MSの推定分子量:254)は0.07%であっ
た。また、2番目に大きなピークである保持時間約8.
12分の不純物B(構造未知、GC−MSの推定分子
量:254)は0.02%であった。
【0042】実施例2 実施例1に記載した反応装置と単蒸留装置を兼ねた実験
装置を、精密蒸留塔を備えた反応装置に変え、エステル
交換反応と精留を連続的に実施した以外は、実施例1と
同様にn−プロピルジヒドロジャスモネートの合成を行
った。精留して得た目的物のGC分析を実施例1と同様
に行った結果、トランス−n−プロピルジヒドロジャス
モネートが89.01%、シス−n−プロピルジヒドロ
ジャスモネートが10.81%であり、トランス体とシ
ス体を合計したn−プロピルジヒドロジャスモネートの
純度は99.82%であった。GCチャート上には不純
物の小さなピークが6個認められたが、そのすべてが
0.1%未満であった。これらの不純物の中でもっとも
大きなピークである不純物A(構造未知、GC−MSの
推定分子量:254)は0.07%であった。また、2
番目に大きなピークである不純物B(構造未知、GC−
MSの推定分子量:254)は0.06%であった。
【0043】比較例1 実施例1で用いた反応装置と単蒸留装置を兼ねた実験装
置を用いた。200ml4つ口フラスコに純度99.7
%のメチルジヒドロジャスモネート67.8g、n−プ
ロパノール72.0gおよびナトリウムメトキサイドの
28%メタノール溶液1.1g(メチルジヒドロジャス
モネートに対し2モル%)を仕込んだ。反応系内の減圧
度を常圧に設定して、油浴中で110℃に加熱攪拌し
た。しばらくすると、反応の進行により副生するメタノ
ールが分留管から徐々に流出した。7時間経過後、サン
プリング口から反応液の一部を注射器で分取した。これ
をGC分析してメチルジヒドロジャスモネートのピーク
がほぼ完全に消失したのをもって、エステル交換反応が
完了したこと確認した。
【0044】次に過剰量加えたn−プロパノールを常圧
下、蒸留釜内温度110℃で分流管から留出させた。n
−プロパノールを回収後、反応器中の残液を取り出し、
分液ロートを用いて2規定の希塩酸で中和洗浄した。有
機相を分取して、8%の重曹水でよく洗浄し、再度有機
相を分取した。得られた粗生成物を精密蒸留装置に仕込
み、減圧度2mmHg、蒸留釜内の液温220℃で精留
した。沸点157℃/2mmHgの目的とするn−プロ
ピルジヒドロジャスモネートの留分50.4gを得た。
【0045】精留後、目的物のGC分析を実施例1と同
様に行った結果、トランス−n−プロピルジヒドロジャ
スモネートが87.21%、シス−n−プロピルジヒド
ロジャスモネートが11.22%であり、トランス体と
シス体を合計したn−プロピルジヒドロジャスモネート
の純度は98.43%であった。GCチャート上には、
不純物の小さなピークが12個認められた。これらの不
純物の中でもっとも大きなピークである不純物B(構造
未知、GC−MSの推定分子量:254)は0.48%
であった。また、2番目に大きなピークである不純物A
(構造未知、GC−MSの推定分子量:254)は0.
39%であった。
【0046】比較例2 比較例1で得た精留後の生成物を、比較例1と同様の精
密蒸留装置で減圧度2mmHg、蒸留釜内温度230℃
で再度精留した。得られた留分をGC分析した結果、不
純物Aの含有量は0.35%、不純物Bの含有量は0.
43%であった。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、不純物の含有量が極め
て少ない高純度のジヒドロジャスモン酸エステルが得ら
れ、植物生長促進剤用の原体として使用する際に不純物
に起因する毒性を考慮する必要がないという効果を奏す
る。また、本発明の製造工程においては、廃水が全く発
生しないという効果もある。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 純度が99.5重量%以上の下記一般式
    (1)で表わされるジヒドロジャスモン酸エステルであ
    って、含有される不純物のいずれもが0.1重量%未満
    であるジヒドロジャスモン酸エステル。 【化1】 (一般式(1)のRは、炭素数2〜5の炭化水素基を示
    す。)
  2. 【請求項2】 メチルジヒドロジャスモネートと炭素数
    2〜5のアルコールを塩基性触媒の存在下にエステル交
    換させてジヒドロジャスモン酸エステルを製造する方法
    において、エステル交換反応を100℃以下で行い、か
    つ、得られる粗生成物を中和することなく200℃以下
    で蒸留することを特徴とする請求項1記載のジヒドロジ
    ャスモン酸エステルの製造方法。
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