JP2000308768A

JP2000308768A - バリカン用刃とこれを備えたバリカン装置。

Info

Publication number: JP2000308768A
Application number: JP11121030A
Authority: JP
Inventors: Yukio Mitsutake; 幸雄三竹
Original assignee: MITAKE SEISAKUSHO KK
Current assignee: MITAKE SEISAKUSHO KK
Priority date: 1999-04-28
Filing date: 1999-04-28
Publication date: 2000-11-07

Abstract

(57)【要約】【課題】植毛されたブラシの先端をバリカン装置を用い
てトリミングして揃える場合、バリカン刃の溝刃からブ
ラシが逃げ出して切断残しの問題を生じていた。【解決手段】バリカン刃１は、刃本体の側縁２に特異形
状の溝刃３を有する。溝刃３は、開口端４が切断される
毛などの線状材６を侵入可能な程度の間隙幅に形成さ
れ、また溝刃の上記開口端から溝奥にかけての部分に開
口端の間隙幅よりも幅広の広溝部５を有する。バリカン
装置は、このバリカン刃１を２枚対面するように重合
し、バリカン刃を溝刃の幅方向に摺動させるようにして
ある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、主として、ブラシ
基部に植え付けられた毛、繊維、ワイヤなどの線状材か
ら成る植毛素材の先端を刈り揃える（以下「トリミン
グ」という）ときに使用するバリカンの刃とそれを備え
たバリカン装置の改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】髪ブラシ、歯ブラシ、靴磨きブラシ、衣
服ブラシ、金属の錆を落とすワイヤブラシ、フロアに付
着した汚れを落とすブラシ、あるいは自動車等の車両を
洗浄するブラシといったブラシ装置は、木や合成樹脂材
などによって平板状、円盤状あるいはブロック状に形成
されたブラシ基部に、用途に応じて、ナイロン等の合成
樹脂製繊維、動物の毛、植物の繊維、金属製ワイヤ等の
適宜径の線状材を植毛して成る。そして、これらの植毛
素材は、植毛された時点では、図１５に見られるように
先端が不揃いになっており、最終的にバリカン装置によ
って均一に刈り揃えられる。

【０００３】ブラシ用のバリカン装置は、図１１と図１
２に示すように側縁にＶ字形状をした溝刃Ｂを連続的に
形成したバリカン刃Ａを用いる。バリカン刃Ａは、２枚
を対面した状態で図示しないホルダー部に固定される。
バリカン装置を駆動させると、一対のバリカン刃Ａ，Ａ
は、矢印に示すように互いに高速で相対往復動する。バ
リカン刃ＡのＶ溝刃内に植毛素材Ｃを入り込ませるよう
にバリカン装置を操作することで、植毛素材Ｃは、Ｖ溝
の溝刃Ｂによってトリミングされる。バリカン刃の他例
Ｄとしては、図１３に示すＵ字溝刃Ｅを持つものがある
が、その作用はＶ溝のものＢと同じである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来装
置にあっては、溝刃ＢがＶ状に大きく開いている構造の
ため、溝内に入り込んだ植毛素材Ｃが切断される際に溝
刃Ｂの開口端方向に逃げ易い。特に化学繊維や線径が細
く柔らかいものほどこの傾向が強い。この結果、図１４
に見られるような植毛素材Ｃの切断不良を生じる。これ
を修正すべく再度のトリミングを行うことは、製品寸法
精度の管理面上困難で、ひいては製品コストの上昇を招
く。Ｕ字溝刃Ｅの場合、上記した問題点を幾分緩和する
に過ぎない。

【０００５】本発明の目的は、植毛素材などを構成する
線状材の切断不良を生じることのない、バリカン刃とこ
れを備えたバリカン装置を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は上記した目的を
達成するために次の構成を備える。すなわち、本発明の
バリカン刃は、刃本体の側縁に特異な形状の溝刃が多数
形成されている。溝刃は、その開口端が切断される毛な
どの線状材を侵入可能な程度の間隙幅に形成されてお
り、また溝刃の上記開口端から溝奥にかけての部分に開
口端の間隙幅よりも幅広の広溝部を有する。

【０００７】溝刃は、具体的には、例えば半円弧よりも
大きな円弧状(半円を含まない)に形成され、円弧の両端
が溝刃の前記開口端を成す。あるいは、開口端から溝奥
にかけて溝幅を広げる方向に延びる斜面部を有する。い
ずれにしろ溝内に侵入した線状材は、２枚のバリカン刃
の溝刃が相対動する間、溝の狭くなった開口端から外方
に逃げ出しにくい。

【０００８】また、本発明に係るバリカン装置は、上記
したバリカン刃を２枚対面するように重合し、バリカン
刃を溝刃の幅方向に摺動させるようにしたものである。
２枚のバリカン刃は、少なくとも一方が上記した構造の
バリカン刃であれば良く、他方の刃には従来のＶ字状あ
るいはＵ字状の溝刃を用いることもできる。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明を図示した実施例に
基づいて詳述する。図１は、本発明の一実施例に係るブ
ラシ用の植毛素材を刈り揃えるバリカンの刃を示す平面
図、図２は、図１の刃の要部を示す拡大斜視図、図３
は、一対のバリカンの刃によって線状材をトリミングす
る状態を示す斜視図である。

【００１０】図中符号１は平面長方形状を成すバリカン
の刃で、焼き入れなど適宜熱処理を施して所定の硬度を
有するように形成される。刃上面の前側縁２は、前端に
向けて傾斜している。前側縁２には、溝刃３が所要の間
隔を置いて多数形成されている。各溝刃３は、平面視
で、半円よりも大きな円弧状に形成されており、バリカ
ン刃１の上面から下面にかけて厚み方向にすり鉢状を成
している。溝刃３の開口端４は、植毛素材６が入り込む
に必要な間隙を持つ。植毛素材６は、細径の繊維等を多
数本束ねられ、中間部の結束金具をブラシ基部に設けた
小孔に押込むことによって半折り状態で植え付けられ
る。バリカンの操作時にはこうした植毛素材６の単数本
あるいは複数本が、開口端４から溝刃３の溝内に入り込
む。溝刃３は、上記した平面形状をしているために、開
口端４から溝内に入るにつれて間隔が開口端４の間隙幅
よりも幅広になり、最大で円弧の直径に相当する広幅部
５を有する。溝内に入り込んだ植毛素材６は、広幅部５
に収まると、後述するように開口端４からは出にくくな
る。

【００１１】上記構成のバリカン刃１は、図３に示すよ
うに２枚をその底面同士が対面するととともに前側縁２
が揃うようにしてホルダに装着され、バリカン装置とな
る。

【００１２】トリミングにあたり、バリカン装置を駆動
させ、バリカン刃１を前進させる（図３の実線矢印方
向）と、ブラシの植毛素材６が開口端から溝刃内に入り
込む。一方、２枚のバリカン刃１は、図示しない駆動手
段によって一点鎖線矢印に示す横方向に互いに相反して
往復スライド運動をする（上下一方の刃を固定刃とし、
他方の刃を駆動刃としてスライドさせても良い）。溝刃
３の開口端４が溝内方の広幅部５よりも狭められている
ため、上下のバリカン刃１の溝刃３が横方向に相対動す
ると、溝の内部空間が閉じきらないうちに開口端４が閉
じる。例えば上下のバリカン刃の溝刃が一致している図
４(ａ)の状態で、溝刃内に侵入した植毛素材は、バリカ
ン刃が相対動して溝内空間が狭められると、図４(ｂ)に
見られるように開口端４がそれ以上に狭まっているた
め、溝刃３に沿って溝外に逃げ出すことができず、溝刃
３によって完全に切断される。図１１や図１３に示す従
来のバリカン刃は、溝空間が狭まって溝刃によって植毛
素材を切断するときに、開口端が狭まった溝空間と同じ
かそれ以上に開いているため、溝刃に沿って開口端から
押し出されることとなり、切断不良を生じる。

【００１３】溝刃３の平面形状を円弧状とした場合、そ
の全体形状は円弧状が半円よりも大きい範囲内にあるこ
とを条件として適宜に設定できる。また、溝刃の平面形
状は、円弧のみによって形成されるものではなく、一部
に直線を含む図５や図６に示すもの１３，２３や、全て
直線によって形成される図７や図８に示すもの３３，４
３、あるいは左右非対称に形成される図９や図１０に示
すもの５３，６３であっても良い。いずれの場合にも、
溝内に溝刃開口端の間隙幅よりも幅広の部分を有する。
あるいは溝の最大幅寸法よりも溝刃開口端の間隙幅が小
さく形成される。図５から図８の溝刃の場合、溝刃の両
側端に開口端から溝奥にかけて溝幅を広げる方向に延び
る左右の斜面部を持つ。また、図９と図１０の場合に
は、溝刃の一側端にこうした斜面部が形成されている。

【００１４】バリカン装置に装着される２枚のバリカン
刃は、必ずしも同じ形状の溝刃のものである必要はな
く、異なる形状の溝刃を持つバリカン刃を組み合せたも
のであっても良い。一方のバリカン刃は、公知の溝刃を
持つバリカン刃であっても良い。いずれにしろ、切断に
寄与する溝刃は、一対のバリカン刃が動作して開口端を
閉じられたときに溝内に空き空間が形成されるような、
開口端よりも幅広の部分を有する必要がある。なお、上
記した実施例のバリカン刃は、ブラシ用のものについて
説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、
毛や繊維など各種の線状材の先端を刈り揃えるバリカン
刃についても適用でき、このことは、バリカン装置につ
いても同様である。

【００１５】

【発明の効果】本発明のバリカン刃によれば、溝刃が、
開口端から溝奥にかけての部分に開口端間隙よりも広幅
の部分を有しているので、溝刃内に入り込んだ線状材を
広幅部に受け入れると、広幅部近傍の刃部分と線状材と
が接触する前に溝刃の開口端がほぼ閉じてしまい、線状
材を開口端から逃げ出させることなく確実に切断でき
る。また、本発明のバリカン装置によれば、上記バリカ
ン刃を用いているので、線状材をきれいに刈り揃えるこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係るバリカン刃の平面図。

【図２】図１の刃の要部を示す拡大斜視図。

【図３】図２の刃を２枚対面するように重ね合わせたバ
リカン装置の動作状態を示す説明図。

【図４】(ａ)図３の装置で植毛素材が溝刃内に入り込ん
だ状態を示す説明図。 (ｂ)図３の装置で、植毛素材が溝刃によって切断される
直前の状態を示す説明図。

【図５】刃溝の平面形状の他例を示す平面図。

【図６】刃溝の平面形状の他例を示す平面図。

【図７】刃溝の平面形状の他例を示す平面図。

【図８】刃溝の平面形状の他例を示す平面図。

【図９】刃溝の平面形状の他例を示す平面図。

【図１０】刃溝の平面形状の他例を示す平面図。

【図１１】従来のバリカン刃の一例を示す平面図。

【図１２】図１１のバリカン刃によるバリカン装置要部
の斜視図。

【図１３】従来のバリカン刃の他例を示す平面図。

【図１４】従来のバリカン刃による線状材の切断不良を
示す説明図。

【図１５】トリミング前のブラシを示す側面図。

【符号の説明】

１バリカン刃２前側縁３，１３，２３，４３，５３，６３溝刃４開口端５広幅部６植毛素材

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】刃本体の側縁に溝刃を多数形成し、これらの溝刃の開口端を、切断される毛などの線状材が
侵入可能な程度の間隙幅に形成する一方、溝刃の上記開
口端から溝奥にかけての部分に開口端の間隙幅よりも幅
広の広溝部を有する、ことを特徴とするバリカン用刃。
【請求項２】前記溝刃が、半円弧よりも大きな円弧状に
形成され、円弧の両端が溝刃の前記開口端を成す、請求項１記載のバリカン用刃。
【請求項３】前記溝刃が、前記開口端から溝奥にかけて
溝幅を拡げる方向に延びる斜面部を有している、請求項１記載のバリカン用刃。
【請求項４】請求項１記載のバリカン用刃を２枚対面す
るように重合し、溝刃の幅方向に摺動させる、ことを特徴とする、バリカン装置。
【請求項５】２枚の重合されるバリカン用刃の溝刃の形
状が異なる、請求項４記載のバリカン装置。
【請求項６】請求項１記載のバリカン用刃と、刃本体の
側縁にＵ字状をした溝刃を多数形成して成るバリカン用
刃とを、対面するように重合して成る、請求項４記載のバリカン装置。
【請求項７】請求項１記載のバリカン用刃と、刃本体の
側縁にＶ字形状をした溝刃を多数形成して成るバリカン
用刃とを、対面するように重合して成る、請求項４記載のバリカン装置。