JP2000304671A - 摩耗損傷評価試験装置 - Google Patents

摩耗損傷評価試験装置

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JP2000304671A
JP2000304671A JP11108913A JP10891399A JP2000304671A JP 2000304671 A JP2000304671 A JP 2000304671A JP 11108913 A JP11108913 A JP 11108913A JP 10891399 A JP10891399 A JP 10891399A JP 2000304671 A JP2000304671 A JP 2000304671A
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rod
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JP11108913A
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Hiroshige Itou
洋茂 伊藤
Kazuhiro Saito
和宏 齊藤
Yoshifumi Ikeda
宜史 池田
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Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】多様な摩耗条件で生じる接触面の摩耗損傷を評
価することのできる摩耗損傷評価試験装置を得ること。 【解決手段】軸方向に往復動するロッド3Aと固定側の
ロッド3Bの対向面の斜面にU字状に湾曲させた試験片
保持治具2Aを固定する。これらの試験片保持治具2A
の対向側には、板厚の厚い試験片取付部2aを形成し、
これらの試験片取付部2aの対向面に対して形成した溝
に試験片1を挿入する。片側の試験片保持治具2Aの試
験片取付部2aの溝には、球状介在物7を中央部に挿入
し、試験片1の揺動を可能にして接触面の片当りを防
ぐ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機械を構成する各
部品間の接触部の摩耗を評価する摩耗損傷評価試験装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、回転電機では、構成部品の接触
面においてこの回転電機の回転で摩耗損傷を生ずる場合
がある。そのなかでも、ガスタービンは、燃料を燃焼さ
せて発生した高温ガスで発電機などを駆動するので、こ
の回転運動に伴って振動が発生するとともに、燃焼で発
生する燃焼振動が燃焼器に発生する。この燃焼振動は、
ガス圧の変化による数百ヘルツの高周波振動で、主に軸
方向に振動していると考えられている。
【0003】一般にガスタービンは、図6の断面図に示
すように、ガスタービンと同軸に設けられた圧縮機8に
よって圧縮された吐出空気を矢印Kで示すようにガスタ
ービンの燃焼器9に案内し、この燃焼器9に組み込まれ
たライナ10で燃料を燃焼し、この燃焼ガスを矢印Lで示
すようにトランジションピース11から静翼12を経て動翼
13に導き、ガスタービン13を駆動する。
【0004】燃焼器9のライナ10では、図7の拡大詳細
図に示すように、左端の円筒形状の端部の燃焼ノズル14
から燃料を噴射し、外周面に設けられた空気孔から導い
た空気15と混合して燃焼させ、この燃焼ガスをトランジ
ションピース11を介して、図6の静翼12から動翼13に導
く。燃焼器9は、このように燃焼ガスで短時間に加熱さ
れて生ずる熱変形を吸収するために、薄板からなる嵌合
構造がとられている。
【0005】例えば、図8の部分斜視図に示すトランジ
ションピース11との接合部には、スプリングシール16と
称する構造が採られている。このスプリングシール16
は、ライナ10の外周部に設けられた複数枚の板ばねであ
り、この部分にトランジションピース11が嵌合すること
により、一体化されている。
【0006】この板ばねの部分でライナ10に生じた熱ひ
ずみを吸収して、熱による破損を防いでいる。このた
め、燃焼で生ずる前述した燃焼振動もこの部分に集中す
るので、図8の符号16aで示す接触部で摩耗による損耗
又は減肉による破損やき裂などの損傷を生じるおそれが
ある。この接触部16aでは常に接触状態にあることか
ら、接触面に沿った摺動摩耗が主な損傷形態となる。
【0007】また、図9の拡大斜視図で示すライナスト
ッパ9aには、本体が軸方向に振動することによって、
フロースリーブ9bによる衝撃的なたたき現象を伴う摩
耗が、ストッパ9aとフロースリーブ9bの接触面9a
1,9b1に生ずる。
【0008】このように、燃焼器の構成部品は、嵌合状
態で結合しているので、摺動による摩耗とたたきによる
摩耗が混在する。ところで、摩耗現象に対する特性評価
のためには、対象となる一組の材料を用いた摩耗特性評
価試験が行われている。
【0009】この試験は、図10に示すように、回転する
円板とこの円板の平面側に対して符号Pで示すように押
し付けられるピン、及び、回転するリングとこのリング
に押し付けられるピン、並びに、回転するリングとこの
リングに押し付けられるリングの三種類の方法があり、
何れも回転する円板やリングなどにピンやリングなどを
一定の荷重で押し付けて、その接触面で生ずる摩耗損傷
を評価するものである。この方法による摩耗特性評価
は、従来実施された試験の大多数を占めており、このう
ち、ピンと円板、及びピンとリングの組み合せが多い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
評価試験では、軸受などのように連続的に接触して摩耗
損傷する場合には適切であるが、前述したような燃焼器
の燃焼振動による摩耗に対しては、合理的な評価とはな
らない。
【0011】従来の方法では、図11(a)に示すよう
に、接触する一組の材料の接触面が絶えず変化してお
り、常に片方向だけの接触力を生じているが、燃焼器な
どの摩耗では図11(b)に示すように、往復動による接
触力が繰り返し接触部分に生じており、接触面はほぼ一
定である。
【0012】また、図11(b)で示すたたき現象を伴う
摩耗では、接触面の面圧も時間とともに変化する。この
ため、図12に示すような一対の加振器を用いた摩耗特性
の評価試験も採用されている。
【0013】すなわち、図12において、略U字状の試験
容器19の上端の開口部には、蓋21が載置され、この蓋21
の下部に突き出た嵌合部が試験容器19の上端の嵌合部に
挿入され固定されている。
【0014】蓋21の下面の中央には、逆U字状の試験片
収納箱22が吊設され、この試験片収納箱22の内部には、
固定側試験片18Aが取付台18aを介して収納され、この
固定側試験片18Aの左上方に運動側試験片18Bが進退自
在に対置している。
【0015】一方、蓋21には、プッシュロッド20Aが右
側に約450 度に傾斜して貫設され、このプッシュロッド
20Aの先端は、試験片収納箱22の上部の右側斜面に当接
している。同じく、蓋21の左側にもプッシュロッド20B
が対称的に貫設され、このプッシュロッド20Bの先端に
は運動側試験片18Bが固定されている。
【0016】このうち、右側のプッシュロッド20Aの基
端は、第1の加振器17Aの出力軸に連結され、左側のプ
ッシュロッド20Bの基端は、第2の加振器20Bに連結さ
れている。
【0017】これらの第1の加振器17Aと第2の加振器
17Bは、制御器22で制御され、この制御器22の加振条件
は、データ処理器23に入力され、このデータ処理23の出
力信号は、図示しない記録装置に出力される。
【0018】このような摩耗評価試験機においては、ま
ず、第1の加振器17Aによって、摩耗面に沿った振動を
試験片に与えて、摺動摩耗を発生させるとともに、左側
の第2の加振器によって試験片の接触面の面圧を変え
て、たたき現象を再現しようとするものである。
【0019】この方法は、たたき現象を伴う摺動摩耗を
忠実に再現し、損傷の要因を分類して評価できるが、実
際の摩耗損傷の形態とは異なっている。すなわち、実際
の摩耗損傷は常に一定方向の運動により生ずるもので、
摺動摩耗は面圧の変化があるものの接触面の間が離れな
い場合で、たたき摩耗は運動により接触面の間が完全に
離れる場合である。
【0020】通常の摩耗は両者が同時に生じる場合で、
運動により接触面の間が離れ、接触した場合には、接触
面の間ですべりを生じて摺動するものである。したがっ
て、上記方法は実際の摩耗現象を完全に再現した評価に
はならない。
【0021】燃焼器のような嵌合構造物における摩耗損
傷を評価するには、前述したように、さまざまな摩耗条
件における損傷をできるだけ実際の環境に近い条件で評
価しなければならない。このためには、運動方向は実際
の運動状態に近い一方向の往復動とする必要がある。
【0022】また、接触する一組の材料の接触面圧は、
部材の剛性によって変わるので、一定の試験片の形状の
材料に対して異なった剛性を有する部材での評価を可能
とする必要がある。さらに、最も重要となる摩耗形態に
対しても、 a.接触面が離れない摺動条件の摩耗 b.接触面が分離し、接触した場合にはすべりを伴いな
がら摺動摩耗する混合モードの摩耗 c.接触面の相互が垂直に接触してほとんどすべりのな
いたたき摩耗の3点をカバーするものであることが必要
である。
【0023】さらに、最終的には、これらの条件での評
価の統一性を示すために、単一形状の試験片で実現する
必要がある。以上のすべての条件を満足する評価方法の
実現が技術的に重要な課題となっている。
【0024】本発明は、このような課題を解決するため
になされたもので、多様な摩耗条件で生じる摩耗損傷を
評価することのできる摩耗損傷評価試験装置を提供する
ことを目的とする。
【0025】すなわち、運動方向については、実際の運
動状態に近い一方向の往復動とし、接触する一組の材料
の接触面圧は多様な部材の剛性に対応可能で、接触面が
離れない摺動条件から、たたき摩耗と摺動摩耗の混合モ
ードの摩耗、さらにほとんどすべりのないたたき摩耗の
みの摩耗損傷のすべてを包含した評価方法を単一形状の
試験片で実施することのできる摩耗損傷評価試験装置を
提供することである。
【0026】
【課題を解決するための手段】請求項1に対応する発明
の摩耗損傷評価試験装置は、直線状に対置し少なくとも
片側が軸方向に往復動される一対のロッドと、これらの
ロッドの対置側に片側が固定され他側の取付部が相対置
する第1及び第2の試験片保持具と、片側の試験片保持
具の対置側に球状介在物を介して挿入される第1の試験
片と、他側の試験片保持具の対置側に挿入され片側のロ
ッドの往復振動により第1の試験片と接触する第2の試
験片とを備えたことを特徴とする。
【0027】このような手段によって、請求項1に対応
する発明では、ロッドの往復動によって、第1及び第2
の試験片の接触面を往復摺動させるとともに、球状介在
物によって、接触面の片当りを防ぐ。
【0028】請求項2に対応する発明の摩耗損傷評価試
験装置は、第1及び第2の試験片保持具を、取付部の取
付面をロッドの軸心線と傾斜させたU字状としたことを
特徴とする。請求項2に対応する発明では、U字状の湾
曲部の形状及び曲率や断面積を変えることで、第1,第
2の試験片の多様な接触条件に対応する。
【0029】請求項3に対応する発明の摩耗損傷評価試
験装置は、第1及び第2の試験片保持具をレーストラッ
ク状とし、取付部の取付面をロッドの平行方向としたこ
とを特徴とする。
【0030】請求項4に対応する発明の摩耗損傷評価試
験装置は、第1及び第2の試験片保持具を、面圧調整具
を備えた面圧保持具に貫挿したことを特徴とする。請求
項3及び請求項4に対応する発明では、面圧調整具を備
えた試験片保持具によって、ロッドの剛性の強化を不要
とする。
【0031】請求項5に対応する発明の摩耗損傷評価試
験装置は、第1及び第2の試験片保持具を環状とし、第
1及び第2の試験片保持具の取付部の取付面をロッドと
直交方向としたことを特徴とする。請求項5に対応する
発明では、環状部の曲率や断面積を変えることで、特に
すべりの少ないたたき摩耗を伴う多様な接触条件に対応
する。
【0032】請求項6に対応する発明の摩耗損傷評価試
験装置は、第1の試験片保持具の取付部に片側が固定さ
れ第2の試験片保持具の取付部に他側が固定されるクリ
ップゲージを設けたことを特徴とする。請求項6に対応
する発明では、第1の試験片と第2の試験片のすべりを
クリップゲージのひずみで測定する。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の摩耗損傷評価試験
装置の第1の実施の形態を図面を参照して説明する。図
1は、本発明の第1の実施の形態を示す図で、請求項1
及び請求項2並びに請求項6に対応する図である。この
実施形態では、試験片1を接触する一定の平面を有する
形状に製作する。試験片の試験面は接触面が一方向に偏
る、いわゆる片当りを防ぐために、運動方向は所定の長
さとするが、その直角方向は運動方向に比べて短くして
いる。
【0034】試験片1を保持してこの接触する試験片相
互の接触面圧やすべり量を決定する治具2Aは、中間部
に180 °の湾曲部26を形成したばね材で構成し、一定の
接触荷重に対して変形する割合を増やしている。
【0035】各試験片1は、各試験片保持治具2Aの先
端の試験片取付部2aの外面側に形成された溝に挿入さ
れ、このうち上側の試験片1は、複数のボルトで試験片
の背面側から固定する。
【0036】一方、下側の試験片1の背面の中央部に
は、球状の介在物7を溝に挿入し、ボルトはばね座金の
撓みを残して締め付けることで、試験片1の接触時の片
当りを防いでいる。
【0037】試験片保持治具2Aは、軸方向に駆動され
る駆動ロッド3Aの先端の斜面とこの駆動ロッド3Aの
軸心線に対置した固定ロッド3Bの先端に取り付けら
れ、駆動ロッド3Aの軸方向の往復動によって一組の試
験片を接触させて接触面を摩耗させる。
【0038】一対の試験片保持治具2Aの試験片取付部
2aの間には、計測器として試験片1の相対的すべり量
を計測するほぼΩ字状のクリップゲージ4が取り付けら
れ、ロッド3Aの基端には、複数のひずみゲージ5が取
り付けられる。
【0039】クリップゲージ4は、接触する試験片1の
間のすべり量を測るもので、試験片1の相互間で生じる
すべりをクリップゲージ4の取付け部の変位として検出
し、この変位で生じたクリップゲージ4の変形をこのク
リップゲージ4に取り付けたひずみゲージ4aで測定す
る。
【0040】このひずみゲージ4aの取付け位置は、す
べりで生じる変形を最も感知できる位置とし、また、す
べり方向と直角方向の変位に対しては、感度の低い位置
が望ましい。ロッド3Aに取り付けたひずみゲージ5
は、試験片1の接触による荷重を測る。
【0041】ひずみゲージ4aの検出信号線は、すべり
量測定器Bに接続され、ひずむゲージ5の検出信号線
は、面圧・摩擦力測定Cに接続されている。これらのす
べり量測定器Bと面圧摩擦力測定器Cの測定値は、摩耗
仕事量算出装置Dに入力されている。
【0042】次に、以上のように構成された本発明の作
用を説明する。この摩耗損傷評価試験装置では、試験片
1の相互の接触で各ロッド3A,3Bには運動方向の荷
重とその直角方向の荷重すなわち曲げ荷重が発生する。
【0043】試験片1の接触面圧は、ロッド3A,3B
の荷重の分力として試験片1の接触方向に作用する荷重
から求められるので、ロッド3Aに取り付けたひずみゲ
ージ5で運動方向の荷重と曲げ荷重を測定し、接触面圧
や摩擦力を測定することができる。さらに、摩耗に費や
される仕事量も、摩耗仕事量算出装置Dで摩擦力×すべ
り量の積分値として求めることができる。
【0044】一定の振れ幅に対して発生する荷重は、試
験片の保持治具2Aとロッド3の剛性で変化する。図2
のグラフで示すように、試験片保持治具2Aの湾曲部分
の曲率及び厚さと幅を変えることで、試験治具2Aの剛
性を図2で示す直線Gや折線Fのように変え、接触片の
接触面圧やすべり量も変えることができる。
【0045】また、試験片保持治具2Aと連結するロッ
ド3A,3Bの剛性も重要な因子で、ロッド3A,3B
の長さや直径で変えることができる。さらに、試験片保
持治具2Aのロッド3A,3Bの取付けはボルトなどに
より行うが、締結力を変えたり締結部分にばねなどを介
在させることにより、全体系の剛性を変えることができ
る。
【0046】本実施形態では、接触する試験片が完全に
離れるたたき現象を伴う摺動摩耗による摩耗損傷を評価
するものである。本実施形態では、試験片1を接触する
一定の平面を有する形状とすることで、摩耗損傷が生ず
る部分を特定して、常に一定の部分に対する評価が可能
となる。
【0047】従来の摩耗試験装置では、平面と曲面を接
触する摩耗評価もされていたが、この場合には、摩耗損
傷が進むと接触面積も増え、接触面圧なども変化して、
統一的な評価が困難となる。この平面と曲面を接触させ
ることで有利な点は、接触する部分が狭いので、片当り
が生じにくいことであるが、本実施形態では、この点を
考慮して運動方向と直角方向に対しては、試験片の幅を
狭くして、直交方向の接触部分の当りを均一化してい
る。
【0048】運動方向に対しては、試験片保持治具2A
の取付部2aに形成した試験片挿入用の溝の中央の断面
弧状の浅い溝に球状介在物7を挿入して、片当りを防い
でいる。
【0049】すなわち、この球状介在物7は、試験片1
の試験面の背面側の中央部に設けているので、もし接触
面の片側が接触すると、この試験片は球状介在物7を支
点としてばね座金の撓みで他側に傾いて、片当りを防
ぎ、均一に接触することができる。
【0050】このため、試験片1の取付け時に接触面の
間隙を等しくなるようにある程度調整すれば、摩耗損傷
が進行して接触面が局部的に変化しても、一様な接触を
自動的に得ることができる。
【0051】試験片1は、一定形状の平面を有する試験
片を用いることで、多様な摩耗条件に対する評価に対し
て、統一的な評価を行うことができる。試験片保持治具
2Aの剛性は接触面圧やすべり量に反映し、剛性を上げ
れば、高い面圧が得られるが、すべり量は少なくなる。
試験片保持治具2Aを取り付けるロッド3A,3Bの剛
性も上記同様に、試験条件に影響する。
【0052】ロッド3A,3Bの剛性はロッドの長さに
反比例し、直径の2乗に比例する。さらに試験片保持治
具2Aとロッド3A,3Bを連結するボルトの締結形態
も大きく影響する。例えば、締結部分にばねなどを介在
させることにより、治具全体の剛性を下げすべり量を増
やすことができる。
【0053】図3のグラフは、接触面圧/すべり量の関
係における治具の剛性の高さの関係を示す図である。ロ
ッド3A,3Bの運動で試験片が接触しはじめると、ロ
ッドの振れに対応して、試験片は滑りはじめて、同時に
接触面圧も増す。
【0054】ロッドの振れが反転すると、すべりはすぐ
に反転せず、まず接触面圧が急激に低下し、所定の接触
面圧になると滑りはじめる。面圧がほとんどなくなると
滑りもなくなり、接触面は完全に離れる。
【0055】すなわち、図3のヒステリシス線Hで示す
ように、治具の剛性が高い場合には、接触面圧は急上昇
し、ヒステリシス線Jのように剛性が低い場合には、面
圧は緩やかに上昇する。
【0056】これらの繰り返しで摩耗は進行し、試験片
保持治具の剛性が高い場合には、接触の際に面圧が高く
なり易いため、すべりの少ない摩耗条件を実現でき、逆
に剛性を低くすれば、すべり量の多い摩耗条件となる。
【0057】したがって、このように構成された摩耗損
傷評価試験装置によれば、燃焼器の嵌合部における摩耗
損傷の実際の条件を再現して評価することができる。ま
ず、運動方向は、実際の運動状態に近い一定方向の往復
動で行って評価することができる。
【0058】また、摩耗状態を表すすべり量や接触面圧
条件は、試験片保持治具2の剛性やロッドの試験片取付
面の角度を調整して接触片の接触角度を変えて、実際の
状態を再現することができる。
【0059】さらに、試験片保持治具2Aの取付面の角
度を選定することにより、同一の試験装置で異なった摩
耗形態の評価が可能である。通常の摩耗は、常に接触面
が摺動する条件で行われるが、実際の機器においては種
々の摩耗形態があり、本発明によれば、これらのすべて
の摩耗形態に対応した評価を一組の試験片の接触角度を
定めることができる。
【0060】すなわち、接触面が離れない摺動条件の摩
耗に対しては、接触面の接触角度を0°とし、接触面が
分離し接触した場合にすべりを伴いながら摺動摩耗する
混合モードの摩耗に対しては、ロッド3A,3Bの先端
の試験片保持治具2Aの取付面の角度を変えて接触角度
45°のような斜めに接触させ、さらに、接触面が垂直に
接触してほとんど滑りのないたたき摩耗に対しては、接
触角度を90°の垂直に選定することで、共通の試験装置
と試験片で統一的な評価ができる。
【0061】図4は、本発明の摩耗損傷評価試験装置の
第2の実施形態を示す図で、第1の実施形態で示した図
1に対応し、請求項3及び請求項4に対応する図であ
る。図4において、第1の実施形態で示した図1と大き
く異なるところは、試験片保持治具の形状で、接触面の
角度が0°の場合を示していることは図1と同一であ
る。
【0062】図4において、一対の試験片保持治具2B
は、略レーストラック状に形成され、この試験片保持治
具2Bは、図4の図示しない縦断面図では4本の柱2e
の両端が接続された面圧保持治具6に挿入されている。
【0063】このうち、各試験片保持治具2Bの対向側
の中央部には、内厚の試験片取付部2cが形成され、こ
の試験片取付部2cの中央の対向側に対して形成された
溝に試験片1が挿入され、図4では左側の溝の底の中央
部に球状介在物7が挿入されている。
【0064】試験片保持治具2Bは、外側の中央部の更
に外面側に対して、ボス2dが溶接で突設され、図4に
おいて左側のボス2dは、このボス2dに貫挿された図
示しないボルトで左側の試験保持治具2Bが挿入された
面圧保持治具6を支持している。
【0065】この面圧保持治具6の右端の中央部には、
細目ねじが形成された調整ボルトが右側から螺合され、
この調整ボルトの先端は、右側の試験片保持治具2Bの
右側中央部に突設されたボス2dの端面を押圧してい
る。
【0066】各試験片保持治具2Bは、図1で示した丸
棒のロッド3A,3Bに対応する角棒状のロッド3C,
3Dの先端の側面にボルトで固定され、各試験片保持治
具2Bの対向面は、試験片1が接触した状態で平行とな
っている。
【0067】この実施形態では、試験片の接触圧力は、
調整ボルトを回転させることで行うことで、その面圧は
面圧保持治具6に貼り付けたひずみゲージによって測定
する。
【0068】この場合には、試験片の接触圧力が高い場
合でも、ロッド3C,3Dの剛性を上げることなく対応
することができるだけでなく、高温環境や真空環境など
の特殊な環境条件の摩耗特性の評価にも適用することが
できる利点がある。
【0069】図5は、本発明の摩耗損傷評価試験装置の
第3の実施形態を示す図で、前述した実施形態で示した
図1及び図4に対応し、請求項5に対応する図である。
図5において、前述した実施形態で示した図1及び図4
と異なるところは、試験片保持治具の形状で、用途はた
たき摩耗条件の評価試験用である。
【0070】すなわち、各ロッド3E,3Fの先端にボ
ルトで固定される試験片保持治具2C1,2C2は、略
環状のこの試験片保持治具2C1,2C2の基端側の取
付部2fを介して各ロッド3E,3Fと同一軸心線上に
固定されている。
【0071】このうち、ロッド3Eに固定された試験片
保持治具2C1の先端には、試験片取付部2g1が形成
され、この試験片取付部2g1の更に先端に形成された
凹部には、底部の球状介在物7を介して試験片1が挿入
されている。
【0072】同様に、ロッド3Fに固定された試験片保
持治具2C2の先端にも試験片1が挿入されている。こ
のように構成された摩耗損傷評価試験装置においては、
たたき試験において、接触面のすべりを防ぐことがで
き、治具の剛性も上げることができるので、接触圧力の
高い摩耗損傷評価試験装置に適する利点がある。
【0073】さらに、第2の実施形態と同様に、試験片
保持治具2C1,2C2のいずれかを軸方向に圧縮又は
伸長させる面圧調整治具を追加することで、接触面の間
の接触圧力の微調整を容易に行うことができる。同じ
く、構成が簡単となるので、例えば、高温環境や真空環
境、特殊ガス環境などにおける摩耗特性の評価にも適用
することができる。
【0074】
【発明の効果】請求項1に対応する発明によれば、直線
状に対置し少なくとも片側が軸方向に往復動される一対
のロッドと、これらのロッドの対置側に片側が固定され
他側の取付部が相対置する第1及び第2の試験片保持具
と、片側の試験片保持具の対置側に球状介在物を介して
挿入される第1の試験片と、他側の試験片保持具の対置
側に挿入され片側のロッドの往復振動により第1の試験
片と接触する第2の試験片とを備えることで、ロッドの
往復動によって、第1及び第2の試験片の接触面を往復
摺動させるとともに、球状介在物によって、接触面の片
当りを防いだので、多様な摩耗条件で生じる接触面の摩
耗損傷を評価することのできる摩耗損傷評価試験装置を
得ることができる。
【0075】請求項2に対応する発明によれば、第1及
び第2の試験片保持具を、取付部の取付面をロッドの軸
心線と傾斜させたU字状とすることで、U字状の湾曲部
の形状及び曲率や断面積を変えることで、第1,第2の
試験片の多様な接触条件に対応可能としたので、多様な
摩耗条件で生じる接触面の摩耗損傷を評価することので
きる摩耗損傷評価試験装置を得ることができる。
【0076】請求項3に対応する発明によれば、第1及
び第2の試験片保持具をレーストラック状とし、取付部
の取付面をロッドの平行方向とすることで、特に請求項
4に対応する発明によれば、第1及び第2の試験片保持
具を、面圧調整具を備えた面圧保持具に貫挿すること
で、面圧調整具を備えた試験片保持具によって、ロッド
の剛性強化を不要としたので、多様な摩耗条件で生じる
接触面の摩耗損傷を評価することのできる摩耗損傷評価
試験装置を得ることができる。
【0077】請求項5に対応する発明によれば、第1及
び第2の試験片保持具を環状とし、第1及び第2の試験
片保持具の取付部の取付面をロッドを直交方向すること
で、環状部の曲率や断面積を変えることで、特にすべり
の少ないたたき摩耗を伴う多様な接触条件に対応可能と
したので、多様な摩耗条件で生じる接触面の摩耗損傷を
評価することのできる摩耗損傷評価試験装置を得ること
ができる。
【0078】請求項6に対応する発明によれば、第1の
試験片保持具の取付部に片側が固定され第2の試験片保
持具の取付部に他側が固定されるクリップゲージで第1
の試験片と第2の試験片のすべりを測定したので、多様
な摩耗条件で生じる接触面の摩耗損傷を評価することの
できる摩耗損傷評価試験装値を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の摩耗損傷評価試験装置の第1の実施形
態を示す図。
【図2】本発明の摩耗損傷評価試験装置の第1の実施形
態の作用を示すグラフ。
【図3】本発明の摩耗損傷評価試験装置の第1の実施形
態の図2と異なる作用を示すグラフ。
【図4】本発明の摩耗損傷評価試験装置の第2の実施形
態を示す図。
【図5】本発明の摩耗損傷評価試験装置の第3の実施形
態を示す図。
【図6】摺動摩耗やたたき摩耗が発生する従来のガスタ
ービンの一例を示す部分断面図。
【図7】図6のタービンの燃焼器の部分拡大詳細図。
【図8】図7のスプリングシールの部分拡大詳細図。
【図9】図7のライナストッパの摩耗損傷発生を説明す
る部分斜視図。
【図10】従来の摩耗損傷評価試験の一例を示す説明
図。
【図11】(a)は、従来の摩耗損傷評価試験方法の一
例を示す説明図、(b)は、タービンの燃焼器で発生す
るたたき摩耗と往復動摩耗を示す説明図。
【図12】図10と異なる従来の摩耗損傷評価試験の一例
を示す説明図。
【符号の説明】
1…試験片、2A,2B,2C1,2C2…試験片保持
治具、2a,2c,2g1,2g2…試験片取付部、2
b…湾曲部、2d…ボス、2e…柱、3A,3B,3
C,3D,3E,3F…ロッド、4…クリップゲージ、
4a,5…ひずみゲージ、6…面圧保持治具、7…球面
介在物、8…圧縮機、9…燃焼器、10…ライナ、11…ト
ランジッションピース、12…静翼、13…動翼、14…燃料
ノズル、16…スプリングシール。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 池田 宜史 三重県三重郡朝日町大字縄生2121 株式会 社東芝三重工場内 Fターム(参考) 2F069 AA24 AA60 BB08 GG01 GG06 GG18 GG20 GG62 HH30 JJ14 MM02 MM32 NN06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直線状に対置し少なくとも片側が軸方向
    に往復動される一対のロッドと、これらのロッドの前記
    対置側に片側が固定され他側の取付部が相対置する第1
    及び第2の試験片保持具と、片側の前記試験片保持具の
    前記対置側に球状介在物を介して挿入される第1の試験
    片と、他側の前記試験片保持具の前記対置側に挿入され
    前記片側のロッドの往復振動により前記第1の試験片と
    接触する第2の試験片とを備えた摩耗損傷評価試験装
    置。
  2. 【請求項2】 前記第1及び第2の試験片保持具を、前
    記取付部の取付面を前記ロッドの軸心線と傾斜させたU
    字状としたことを特徴とする請求項1記載の摩耗損傷評
    価試験装置。
  3. 【請求項3】 前記第1及び第2の試験片保持具をレー
    ストラック状とし、前記取付部の取付面を前記ロッドの
    平行方向としたことを特徴とする請求項1記載の摩耗損
    傷評価試験装置。
  4. 【請求項4】 前記第1及び第2の試験片保持具を、面
    圧調整具を備えた面圧保持具に貫挿したことを特徴とす
    る請求項3記載の摩耗損傷評価試験装置。
  5. 【請求項5】 前記第1及び第2の試験片保持具を環状
    とし、前記第1及び第2の試験片保持具の前記取付部の
    取付面を前記ロッドと直交方向としたことを特徴とする
    請求項1記載の摩耗損傷評価試験装置。
  6. 【請求項6】 前記第1の試験片保持具の前記取付部に
    片側が固定され前記第2の試験片保持具の前記取付部に
    他側が固定されるクリップゲージを設けたことを特徴と
    する請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の摩耗損傷
    評価試験装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010071774A (ja) * 2008-09-18 2010-04-02 National Univ Corp Shizuoka Univ 摩擦材の強度評価試験装置

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JP2010071774A (ja) * 2008-09-18 2010-04-02 National Univ Corp Shizuoka Univ 摩擦材の強度評価試験装置

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