JP2000300911A - 磁性微粒子の除去方法および磁性微粒子の除去装置 - Google Patents

磁性微粒子の除去方法および磁性微粒子の除去装置

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JP2000300911A
JP2000300911A JP11108225A JP10822599A JP2000300911A JP 2000300911 A JP2000300911 A JP 2000300911A JP 11108225 A JP11108225 A JP 11108225A JP 10822599 A JP10822599 A JP 10822599A JP 2000300911 A JP2000300911 A JP 2000300911A
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magnetic
magnetic fine
fluid
magnetizing
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Tatsuichi Kamo
辰一 加茂
Hiroyasu Shirakawa
博康 白川
Tsuyoshi Fujihashi
強志 藤橋
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Nok Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 流体中の磁性微粒子を効率良く除去可能な、
磁性微粒子の除去方法および磁性微粒子の除去装置を提
供する。 【解決手段】 研削機20を冷却するために用いられた
クーラント液は第1流路R0を流れ、この第1流路R0
を流れるクーラント液中に含まれた磁性微粒子M0は、
下流側に設けられたマグネット1によって磁化され、磁
気を帯びた磁性微粒子M1は、各々の磁力によって磁気
吸着されて、凝集した微粒子の見かけの粒径が所定以上
になったものから、順次、滞留槽2の底へと沈殿してい
く。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流体中の磁性微粒
子を除去する、磁性微粒子の除去方法および磁性微粒子
の除去装置に関するものであり、例えば、各種切削・研
削加工装置を冷却等するための流体を、冷却等の処理を
施した後の流体中に含まれる磁性微粒子を除去して、再
び利用させるために適用されるものである。
【0002】
【従来の技術】従来、流体中に含まれる磁性微粒子を除
去するために、磁石などの磁力を有するものに磁性微粒
子を磁気吸着させることによって、除去する方法がなさ
れていた。
【0003】図7を参照して、そのような除去方法によ
り磁性微粒子を除去するための除去装置の一例を説明す
る。
【0004】図7は従来技術に係る磁性微粒子の除去装
置の概略構成斜視図である。
【0005】図に示すように、従来技術に係る磁性微粒
子の除去装置(マグネットセパレータ)100は、概
略、流体105を滞留可能な滞留槽101と、除去した
磁性微粒子Mを溜めるための微粒子槽102と、マグネ
ットローラ103と、掻き取り板104と、から構成さ
れている。
【0006】以上のような構成により、まず、鉄粉など
の磁性微粒子Mを含んだ対象流体を図中矢印P0方向に
流す。
【0007】一方、その際に、マグネットローラ103
は流体の流れる方向とは逆らう方向、すなわち図中時計
回り方向に回転させた状態にしておく。
【0008】これにより、対象流体中の磁性微粒子M
は、マグネットローラ103の表面に磁気吸着によって
吸着される。
【0009】そして、マグネットローラ103の表面に
吸着された磁性微粒子Mは、掻き取り板104によって
掻き取られて、微粒子槽102の中に溜められる。
【0010】このようにして、対象流体中の磁性微粒子
Mが除去されていた。
【0011】そして、磁性微粒子Mが除去された流体
は、再び利用すべく、図中矢印P1方向に流出させてい
た。
【0012】なお、図中矢印P1方向への流出は、P0
方向への対象流体の流入中は、常時行っても良いし、滞
留槽101に所定量溜めた後に行うことも可能である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来技術の場合には、マグネットローラ103の
表面に吸着できる磁性粒子は、吸着され得る程の磁性を
有する比較的大きな粒子に限られてしまっていた。
【0014】従って、細かい微粒子を除去するのは困難
であり、除去精度が充分ではなかった。
【0015】このような除去精度の問題については、図
示の例に限らず、磁石などの磁力を有するものに磁性微
粒子を直接的に磁気吸着させる機構のものについては、
少なからず有する問題であった。
【0016】また、その他の除去方法として、フィルタ
ーにより除去する方法(例えば、バッグフィルタやカー
トリッジフィルタ)があったが、その場合に、微粒子を
回収できる程の孔径の小さなフィルターを用いた場合に
は、直ぐに目詰まりしてしまい、寿命が短いという問題
があった。
【0017】また、フィルターにより除去する方法にお
いて、微粒子をある程度凝集させて大きな固まりにして
から、ある程度目の粗いフィルターで回収する方法とし
て、従来、対象液に珪藻土を添加することで、微粒子を
凝集させていた。
【0018】しかしながら、そのような方法の場合に
は、珪藻土自体が産業廃棄物となるため、産業廃棄物の
減少の観点から、珪藻土を必要としない微粒子の回収方
法の開発が望まれている。
【0019】本発明は上記の従来技術の課題を解決する
ためになされたもので、その目的とするところは、流体
中の磁性微粒子を効率良く除去可能な、磁性微粒子の除
去方法および磁性微粒子の除去装置を提供することにあ
る。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の磁性微粒子の除去方法にあっては、流体中に
含まれる磁性微粒子を磁化させる磁化工程と、該磁化工
程によって磁気を帯びた各磁性微粒子を、互いの磁力に
よって磁気吸着により凝集させて、凝集させた粒子を沈
殿させる沈殿工程と、を有することを特徴とする。
【0021】従って、磁化工程により磁化された各磁性
微粒子どうしが互いに凝集して、沈殿工程によって沈殿
した粒子を回収するだけで良いので、簡単に磁性微粒子
を除去でき、また、直接磁性微粒子を吸着させる必要が
ないので、粒子が小さい場合でも効率的に回収できる。
【0022】前記磁化工程が、電磁コイルによる磁界に
よって磁化させる工程であるとよい。
【0023】したがって、電磁コイルに電流を流すこと
により形成する磁界によって、磁性微粒子を磁化でき
る。
【0024】また、前記沈殿工程により粒子を沈殿させ
た後の流体を、ろ過して排出するあるいはろ過して元に
戻す、ろ過工程を有すると良い。
【0025】これにより、一層除去精度が増す。
【0026】前記ろ過工程には、限外ろ過膜によりろ過
する限外ろ過工程が含まれ、該限外ろ過膜によりろ過さ
れた流体のみを元に戻すと共に、該限外ろ過膜によりろ
過されなかった流体は、再び前記磁化工程に供させると
よい。
【0027】これにより、ろ過されなかった流体を、再
び、磁化工程の後に沈殿工程へと送り込むことで、一層
除去精度が増す。
【0028】また、流体中に含まれる磁性微粒子を電磁
コイルによる磁界によって磁化させる磁化工程と、該磁
化工程によって磁気を帯びた各磁性微粒子を、互いの磁
力によって磁気吸着により凝集させて、凝集させた粒子
をろ過するろ過工程と、を有することを特徴とする。
【0029】従って、ろ過に用いる目を粗くできる。
【0030】上記目的を達成するために本発明の磁性微
粒子の除去装置にあっては、流路を流れる流体中に含ま
れる磁性微粒子を磁化させる磁化手段と、該磁化手段よ
りも下流側に配置される滞留槽であって、該磁化手段に
よって磁気を帯びた各磁性微粒子が、互いの磁力によっ
て磁気吸着により凝集して、凝集した粒子が沈殿される
滞留槽と、を備えることを特徴とする。
【0031】従って、磁化手段により磁化された各磁性
微粒子どうしが互いに凝集して、滞留槽に沈殿した粒子
を回収するだけで良いので、簡単に磁性微粒子を除去で
き、また、直接磁性微粒子を吸着させる必要がないの
で、粒子が小さい場合でも効率的に回収できる。
【0032】前記滞留槽内に滞留する流体の上澄み液を
吸引して、ろ過した後に排出するあるいはろ過した後に
前記滞留槽に戻す、ろ過手段を備えるとよい。
【0033】これにより、一層除去精度が増す。
【0034】前記ろ過手段には限外ろ過膜が含まれ、該
限外ろ過膜によりろ過した流体のみを前記滞留槽に戻す
と共に、前記限外ろ過膜によりろ過されなかった流体
は、前記磁化手段よりも上流側の流路内に戻すとよい。
【0035】これにより、ろ過されなかった流体を、再
び、磁化手段によって磁化させて、滞留槽へ沈殿させる
ことで、一層除去精度が増す。
【0036】また、前記ろ過手段には精密ろ過膜が含ま
れ、該精密ろ過膜によりろ過した流体のみを前記滞留槽
に戻すと共に、前記精密ろ過膜によりろ過されなかった
流体は、前記磁化手段よりも上流側の流路内に戻すこと
もできる。
【0037】これにより、ろ過されなかった流体を、再
び、磁化手段によって磁化させて、滞留槽へ沈殿させる
ことで、一層除去精度が増す。
【0038】前記磁化手段によって、磁界を形成すると
共に、前記磁界中に、前記流路の一部としてオリフィス
が設けられるとよい。
【0039】したがって、オリフィスを流れる流体中の
磁性微粒子は、全て磁界中を通るため、磁化される確実
性が高まり、かつ、オリフィスによって所定の流体圧力
をかけることで、磁性微粒子が堆積してしまうことを抑
制できる。
【0040】また、流路を流れる流体中に含まれる磁性
微粒子を磁界によって磁化させる電磁コイルと、該電磁
コイルによって磁気を帯びた各磁性微粒子が互いの磁力
によって磁気吸着により凝集した後に、凝集した粒子を
ろ過するフィルタと、を備えることを特徴とする。
【0041】従って、フィルタの目を粗くできる。
【0042】前記電磁コイルによって発生する磁界中
に、凝集した粒子を吸着させる磁性体を配置するとよ
い。
【0043】従って、凝集した粒子がフィルタに捕らえ
られる前に、磁性体に吸着させられるので、フィルタの
寿命が延びる。
【0044】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して、この発明
の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただ
し、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、
材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載が
ない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣
旨のものではない。
【0045】本発明の磁性微粒子の除去方法および磁性
微粒子の除去装置は、流体中の磁性微粒子を除去するこ
とが必要な各種の分野・装置に好適に利用することが可
能であるが、以下に示す実施の形態では、その一例とし
て、切削・研削加工装置を冷却するためのクーラント液
を、冷却処理を施した後のクーラント液中に含まれる磁
性微粒子を除去して、再び利用させるために適用される
場合について説明する。
【0046】(第1の実施の形態)図1を参照して、第
1の実施の形態に係る磁性微粒子の除去方法および磁性
微粒子の除去装置について説明する。
【0047】図1は、本発明の第1の実施の形態に係る
磁性微粒子の除去方法に基づく磁性微粒子の除去のしく
みを示す流れ図である。
【0048】図中、10は、本発明の第1の実施の形態
に係る磁性微粒子の除去装置(以下、単に除去装置と称
す。)の模式図である。
【0049】除去装置10は、概略、磁化手段としての
マグネット1と、滞留槽2と、から構成される。
【0050】また、図中、20は研削機であり、この研
削機20は超硬合金を研削するために用いられるもの
で、装置の使用中にクーラント液によって冷却する場合
には、冷却後のクーラント液には、磁性微粒子である研
削粉が混じっている。
【0051】そこで、クーラント液中から研削粉を除去
して、再び、クーラント液を再利用させる、あるいは図
には示さないが環境汚染防止等のために浄化した後に液
を排出させるために、本実施の形態に係る磁性微粒子の
除去方法および磁性微粒子の除去装置を適用する。
【0052】まず、図1に示すように、研削機20を冷
却するために用いられたクーラント液は第1流路R0を
流れる。
【0053】この第1流路R0を流れる流体(クーラン
ト液)中には、磁化されていない磁性微粒子(研削粉)
M0が含まれている。
【0054】そして、第1流路R0の下流には、マグネ
ット1が設けられており(マグネットは2000(Ga
uss)以上のものが好ましい)、このマグネット1に
より形成される磁界中を通過する磁性微粒子は磁化され
る(磁化工程)。
【0055】さらに、マグネット1よりも下流側には、
第2流路R1が設けられている。
【0056】この第2流路R1を流れる流体には、磁化
された磁性微粒子M1が含まれている。
【0057】そして、第2流路R1を流れる流体は、さ
らに下流に設けられた滞留槽2に至る。
【0058】なお、滞留槽2には、流体の流れを妨げる
ための邪魔板21,22が設けられている。
【0059】以上のような構成により、マグネット1に
より磁化されて磁気を帯びた磁性微粒子M1は、各々の
磁力によって磁気吸着されて凝集されることになる。
【0060】すなわち、磁性微粒子M1が磁化された直
後の第2流路R1で、凝集が始まり、滞留槽2の中で流
速が遅くなり、また、邪魔板21,22によって流れが
妨げられることによって、徐々に凝集が進行する。
【0061】そして、凝集した微粒子の見かけの粒径
(磁性微粒子の塊M2)が所定以上になったものから、
順次、滞留槽2の底へと沈殿していく(沈殿工程)。
【0062】このように、微細な粒子でも珪藻土などに
助剤を必要とすることなく、効率的に磁性微粒子を除去
することができ、清浄された流体(クーラント液)を、
ポンプ3によって吸引して、第3流路R2を介して、再
び研削機20に供給することができ、流体の消費量を削
減できる(なお、浄化後に排水する場合には、第3流路
R2ではなく外部に向けて流路が設けられる)。
【0063】ここで、具体的な例として、滞留槽2で約
5μm以上の微粒子の沈殿・回収を狙う場合について説
明する。
【0064】例えば、研削機20から排出されるクーラ
ント液の排出量を10(l/min)とし、マグネット
1の磁力(磁束密度)2500(Gauss),滞留槽
2の容積300l,磁性微粒子の比重13とする。
【0065】この場合に、まず、マグネット1を用いな
い場合には、図1中のポンプ3付近において、深さ20
0mm以上を見ることのできない程度の濁りであり、ま
た、浮遊物(以下、SS成分と称する。)の質量は15
0mg/lであった。
【0066】これに対し、本実施の形態の構成である、
マグネット1を適用した場合には、深さ400mm程度
まで見えるほど透明度が向上し、SS成分の質量は53
mg/lまで減少させることができた。
【0067】(第2の実施の形態)図2には、第2の実
施の形態が示されている。
【0068】本実施の形態においては、上述した第1の
実施の形態で示した構成に加えて、さらに沈殿工程を終
えた後の流体に対して、ろ過するろ過工程を行うための
装置を設けた構成について示されている。
【0069】その他の構成および作用については第1の
実施の形態と同一なので、同一の構成部分については同
一の符号を付して、その説明は省略する。
【0070】図2は、本発明の第2の実施の形態に係る
磁性微粒子の除去方法に基づく磁性微粒子の除去のしく
みを示す流れ図である。
【0071】図中、11は、本発明の第2の実施の形態
に係る磁性微粒子の除去装置(以下、単に除去装置と称
す。)の模式図である。
【0072】図に示すように、本実施の形態に係る除去
装置11は、上述した第1の実施の形態に係る除去装置
10の構成に、さらに、ろ過手段としてのろ過装置50
が設けられている。
【0073】ろ過装置50は、第1フィルタ51及び第
2フィルタ53と、限外ろ過膜(孔径0.01μm以
下、中空糸膜モジュールなど)又は精密ろ過膜(孔径
0.01〜0.1μm)を有する限外ろ過装置52また
は精密ろ過装置(不図示)と、流体の流れを形成するポ
ンプ54と、を備えている。
【0074】なお、除去対象粒子の粒径やその量によっ
ては、第1フィルタ、第2フィルタ、ろ過膜のいずれか
一つの構成でも成り立つが、本実施の形態では、全てを
備えた構成で説明する。
【0075】ろ過装置50内における流体の流れは、図
中矢印で示す方向である。
【0076】まず、上述した第1の実施の形態で説明し
たように、ろ過工程を終えた後の流体、すなわち、滞留
槽2の下流側の上澄み液を、第4流路R3を介してろ過
装置50内に流入させる。
【0077】すると、最初に、第1フィルタ51によっ
て、流体はろ過される。
【0078】その後、限外ろ過装置52又は精密ろ過装
置に導かれて、限外ろ過膜又は精密ろ過膜によってろ過
された流体(限外ろ過工程)のみが、第5流路R4を介
して元に戻される(ろ過工程)。
【0079】なお、図示の例では、このようにろ過した
流体を元に戻す構成を示したが、ろ過した流体を外部へ
排出するようにしても良い(環境問題に対応するため
に、利用した流体を排出(排水)するためである)。
【0080】このようにすることで、極めて精度良く磁
性微粒子を除去することができる。
【0081】なお、図に示すように、第6流路R5によ
って限外ろ過装置52又は精密ろ過装置を何度か循環さ
せて、効果的に限外ろ過工程又は精密ろ過工程が行われ
るようになっている。
【0082】また、限外ろ過装置52又は精密ろ過装置
によってろ過されずに、磁性微粒子の濃度が増した濃縮
液を第2フィルタ53によってろ過した後に、第7流路
R6を介して、第1流路R0に戻すように構成されてい
る。
【0083】従って、第1流路R0に戻された流体は、
再び、磁化工程及び沈殿工程へと供されることになる。
【0084】以上のように構成することによって、凝集
・沈殿がなされなかった磁性微粒子を再び、さらに磁化
および沈殿させることができるので、回収・除去効率を
高めて、除去精度を向上させることができる。
【0085】また、滞留槽2における磁性微粒子の濃度
を下げることができるので、ろ過装置50に流入させる
流体に含まれる磁性微粒子を低減できることから、通常
高価な限外ろ過膜又は精密ろ過膜の寿命延長を期待でき
る。
【0086】より具体的な例として、上記構成におい
て、例えば、第2流路R1の流量を28(l/mi
n),第3流路R2の流量を10(l/min),第7
流路R6の流量を18(l/min),第5流路R4の
流量を2(l/min)として、第5流路R4によって
元に戻す流体のSS成分の質量1mg/l以下となるよ
うにした場合に、ポンプ付近においては、深さ600m
m程度まで見えるほど透明度が向上し、SS成分の質量
は17mg/lまで減少させることができた。
【0087】なお、図示の例では、ろ過装置について、
限外ろ過装置又は精密ろ過装置以外に2つのフィルタを
設けた場合を示したが、このようなフィルタの個数や流
路の構成については特に限定されるものではなく、要
は、所定のろ過を行うことができれば、ある程度の効果
があり、特に、限外ろ過工程又は精密ろ過工程を行っ
て、ろ過されなかったものを再び磁化工程に供すること
のできる構成であれば、一層の効果が期待できるのであ
り、構成によっては(濃縮液の排出を最適化できれ
ば)、フィルタを含まない構成でも良い。
【0088】(その他)上述の各実施の形態における説
明では、滞留槽2の底に沈殿した、磁性微粒子が凝集し
た塊の回収・除去については、特に説明しなかったが、
その回収・除去方法あるいはそのための装置等について
は、特に限定されるものではない。
【0089】例えば、滞留槽2の底にバケットを置いて
おき、バケットに所定量の磁性微粒子の塊が溜まった後
に、上澄みを他の槽に移してから、磁性微粒子の塊を回
収・除去することができる。
【0090】また、滞留槽2の底を円錐形状や傾斜を備
えた形状としておき、ある程度磁性微粒子の塊が溜まっ
たら、ポンプやタンクの水頭圧によって抜き回収・除去
することもできる。
【0091】いずれにしても、磁性微粒子を凝集させて
塊を形成させることから簡単に回収・除去できる。
【0092】また、上述の各実施の形態における説明で
は、マグネット1の形状等について詳しく説明しなかっ
たが、要は、流体中に含まれる磁性微粒子を磁化できる
ものであれば限定されるものではないが、以下、いくつ
かの好適な例を説明する。
【0093】図3は本発明の実施の形態に係る磁化手段
の具体的な形状をいくつか示した概略構成図である。
【0094】まず、図3(A)に示す磁化手段1aは、
円柱形状のマグネットの場合を示している。
【0095】流体の流れ方向については、流体が磁界中
を通るようにすれば良く、図中矢印で示すように、円周
部側でも良いし、上・下面側でも良い。
【0096】図3(B)に示す磁化手段1bは、方形状
のマグネットの場合を示しており、直方体でも立方体で
も良く、流体の流れ方向も限定されない。
【0097】図3(C)に示す磁化手段1cは、円筒を
縦方向に2つ割りにした形状のマグネットの場合を示し
ており、内周部に流路が設けられる場合である。
【0098】図3(D)に示す磁化手段1dは、円筒形
状の筒の2ヶ所(軸方向の両端側にそれぞれ1ヶ所ず
つ)に孔を設けたマグネット(容器に磁石を埋め込んで
も良い)の場合を示しており、一方の孔から流体を流入
させて、筒内部で流体を周回させた後に、他方の孔から
流出させるものである。
【0099】以上、図3に示した各磁化手段は、形状等
の構成が比較的容易であることや、磁化手段の表面に磁
性微粒子が付着・堆積などした場合でも清掃等が容易で
あること、などの利点を有する。
【0100】図4はその他の磁化手段の具体的な形状を
いくつか示した概略構成図である。
【0101】図4では、流路の一部をオリフィスとし
て、オリフィスには確実に磁界が形成されるように構成
した各種例を示している。
【0102】図4(A)に示す磁化手段1eは、N極と
S極がそれぞれ対向するように各マグネットを配置した
場合の構成が示されており、すなわち、断面4角形の流
路の対向する辺が、それぞれN極とS極となり、断面4
角形内には確実に磁界が形成される構成となっている。
【0103】図4(B)に示す磁化手段1fは、N極と
S極がそれぞれ同方向となるように各マグネットを配置
した場合の構成が示されており、すなわち、断面4角形
の流路の対向する辺の同じ側の端部がそれぞれ同極とな
り、断面積の大きさを所定内に収めることで、断面4角
形の流路内には確実に磁界が形成される構成となってい
る。
【0104】図4(C)に示す磁化手段1gは、円筒形
状のマグネットで、かつ、両端側がそれぞれN極・S極
となるようにし、筒内を流路とした場合の構成が示され
ており、すなわち、筒内の断面円形状部分を流路とし、
断面積の大きさを所定内に収めることで、断面円形状の
流路内には確実に磁界が形成される構成となっている。
【0105】図4(D)に示す磁化手段1hは、上記
(C)に示す構成に加えて、筒内に同軸的に、円柱形状
のマグネットで、かつ、両端側がそれぞれN極・S極と
なるものを、円筒のマグネットの極とは異なる方向とな
るように配置した場合の構成が示されている。
【0106】すなわち、筒の内周と円柱の外周との間の
隙間で形成される、断面環状部分を流路とし、内周側の
極と外周側の極がそれぞれ異なるように構成することに
よって、断面環状の流路内には確実に磁界が形成される
構成となっている。
【0107】以上のように、図4に示す構成の場合に
は、流体中の磁性微粒子は磁界中を確実に通ることか
ら、磁化効率を向上させることができると共に、オリフ
ィスとしたことによって、流体に所定の圧力をかけるこ
とができ、磁性微粒子が流路中(マグネット表面等)に
堆積してしまうことを抑制できる。
【0108】(第3の実施の形態)図5には、第3の実
施の形態が示されている。
【0109】図5は本発明の第3の実施の形態に係る磁
性微粒子の除去装置の模式図である。
【0110】本実施の形態に係る磁性微粒子の除去装置
60は、概略、筒状のフィルタハウジング61と、この
ハウジング61内に配置されるフィルタ62と、ハウジ
ング61の外周に巻回される電磁コイル63と、から構
成されている。
【0111】ここで、コイル63に電源64から電流を
流すことによって、ハウジング61の内部に磁界を形成
することができるようになっている。
【0112】以上のような構成により、まず、ハウジン
グ61の入り口61aから流体を導入する(図中矢印S
0)。
【0113】この流体中には、磁化されていない磁性微
粒子(磁性粉)M'0が含まれている。
【0114】そして、この流体がハウジング61の内部
に侵入すると、上述したようにコイル63によって磁界
が形成されていることから、磁性微粒子が磁化されて、
上記第1の実施の形態や第2の実施の形態でも説明した
ように、磁性微粒子どうしが互いの磁力によって磁気吸
着されて凝集されることになる(磁性微粒子の塊M'
1)。
【0115】そして、この磁性微粒子の塊M'1がフィ
ルタ62に捕らえられることになり、ろ過された流体は
ハウジング61の出口61bから排出される(図中矢印
S1)。
【0116】従って、磁性微粒子の回収が容易になり、
また、フィルタの目(孔径)を、従来(直接磁性微粒子
を捕らえる場合)に比べて粗くできるため、フィルタの
寿命を永くできる。
【0117】また、電流の強弱によって磁界を調整で
き、磁性微粒子の磁化の強弱を調整できるので、磁性微
粒子の粒子径に対応することができ、回収効率を高める
ことができる。
【0118】さらに、電流を止めれば、磁界をなくせる
ので、メンテナンスも容易である。
【0119】(第4の実施の形態)図6には、第4の実
施の形態が示されている。
【0120】本実施の形態においては、上述した第3の
実施の形態で示した構成に加えて、電磁コイルによって
発生する磁界中に磁性体を設けた構成について示されて
いる。
【0121】その他の構成および作用については第3の
実施の形態と同一なので、同一の構成部分については、
その説明は省略する。
【0122】本実施の形態においては、上述した第3の
実施の形態の構成に加えて、ハウジングの蓋65の中心
に、ハウジング内部に延びる磁性体の棒66を設けた構
成としている。
【0123】このように構成することによって、コイル
に電流を流した際に発生する磁界中に、この磁性体の棒
66があるため、磁性体の棒66に磁力線が集中して磁
化するため、この磁力によって、磁性微粒子の塊M'1
を磁性体の棒66に磁気吸着させることができる。
【0124】従って、フィルタに磁性微粒子の塊M'1
が到達する前に、ある程度磁性微粒子を回収できるた
め、フィルタの負担が軽減でき、その寿命を延ばすこと
ができる。
【0125】なお、ハウジングの蓋65を外すだけで、
磁性体の棒66を抜き取ることができるので、メンテナ
ンスも簡単である。
【0126】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の磁性微粒
子の除去方法は、磁化工程により磁化された各磁性微粒
子どうしが互いに凝集して、沈殿工程によって沈殿した
粒子を回収するだけで良いので、簡単に磁性微粒子を除
去でき、また、直接磁性微粒子を吸着させる必要がない
ので、粒子が小さい場合でも効率的に回収除去できる。
【0127】これを達成するための磁性微粒子の除去装
置としては、磁化手段および滞留槽を備えることで可能
となる。
【0128】また、ろ過手段によるろ過工程を有するよ
うにすれば、一層除去精度が増す。
【0129】特に、ろ過工程に、限外ろ過膜又は精密ろ
過膜による限外ろ過工程又は精密ろ過工程を含めて、限
外ろ過膜又は精密ろ過膜によりろ過された流体のみを元
に戻すようにすることで、除去精度を向上させると共
に、ろ過されなかった流体を、再び磁化工程に供させる
ようにすれば、更に、磁性微粒子の回収・除去効率を向
上できる。
【0130】磁化手段によって形成された磁界中に、流
路の一部としてオリフィスを設けるようにすれば、オリ
フィスを流れる流体中の磁性微粒子は、全て磁界中を通
るため、磁化される確実性が高まり、かつ、オリフィス
によって所定の流体圧力をかけることで、磁性微粒子が
堆積してしまうことを抑制できる。
【0131】電磁コイルによって磁気を帯びた各磁性微
粒子が互いの磁力によって磁気吸着により凝集した後
に、凝集した粒子をろ過するするようにすれば、磁性微
粒子の回収が容易になり、また、フィルタの孔径を従来
に比べて粗くすることができる。
【0132】電磁コイルによって発生する磁界中に、凝
集した粒子を吸着させる磁性体を配置するようにすれ
ば、フィルタへの負担を減らすことができ、フィルタの
寿命が延びる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る磁性微粒子の
除去方法に基づく磁性微粒子の除去のしくみを示す流れ
図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る磁性微粒子の
除去方法に基づく磁性微粒子の除去のしくみを示す流れ
図である。
【図3】本発明の第1および第2の実施の形態に係る磁
化手段の概略構成図である。
【図4】本発明の第1および第2の実施の形態に係る磁
化手段の概略構成図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る磁性微粒子の
除去装置の模式図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係る磁性微粒子の
除去装置の模式図である。
【図7】従来技術に係る磁性微粒子の除去装置の概略構
成斜視図である。
【符号の説明】
1 マグネット 2 滞留槽 21,22 邪魔板 3 ポンプ 10 除去装置 11 除去装置 20 研削機 50 ろ過装置 51 第1フィルタ 52 限外ろ過装置 53 第2フィルタ 54 ポンプ 60 磁性微粒子の除去装置 61 ハウジング 61a 入り口 61b 出口 62 フィルタ 63 電磁コイル 64 電源 65 蓋 66 磁性体の棒 R0 第1流路 R1 第2流路 R2 第3流路 R3 第4流路 R4 第5流路 R5 第6流路 R6 第7流路 M0 (磁化されていない)磁性微粒子 M1 (磁化された)磁性微粒子 M2 磁性微粒子の塊
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B03C 1/28 B03C 1/28 1/30 1/30 Z B23Q 11/00 B23Q 11/00 U B24B 57/02 B24B 57/02 (72)発明者 藤橋 強志 神奈川県藤沢市辻堂新町4丁目3番1号 エヌオーケー株式会社内 Fターム(参考) 3C011 BB31 BB33 3C047 GG17 4D006 GA06 GA07 HA02 HA18 KA02 KA63 KA72 KB02 KB13 KB14 KE03P KE12P KE13P MA01 MA22 PA01 PB08 PB20 PC80

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】流体中に含まれる磁性微粒子を磁化させる
    磁化工程と、 該磁化工程によって磁気を帯びた各磁性微粒子を、互い
    の磁力によって磁気吸着により凝集させて、凝集させた
    粒子を沈殿させる沈殿工程と、を有することを特徴とす
    る磁性微粒子の除去方法。
  2. 【請求項2】前記磁化工程が、電磁コイルによる磁界に
    よって磁化させる工程であることを特徴とする請求項1
    に記載の磁性微粒子の除去方法。
  3. 【請求項3】前記沈殿工程により粒子を沈殿させた後の
    流体を、ろ過して排出するあるいはろ過して元に戻す、
    ろ過工程を有することを特徴とする請求項1または2に
    記載の磁性微粒子の除去方法。
  4. 【請求項4】前記ろ過工程には、限外ろ過膜によりろ過
    する限外ろ過工程が含まれ、該限外ろ過膜によりろ過さ
    れた流体のみを元に戻すと共に、 該限外ろ過膜によりろ過されなかった流体は、再び前記
    磁化工程に供させることを特徴とする請求項3に記載の
    磁性微粒子の除去方法。
  5. 【請求項5】流体中に含まれる磁性微粒子を電磁コイル
    による磁界によって磁化させる磁化工程と、 該磁化工程によって磁気を帯びた各磁性微粒子を、互い
    の磁力によって磁気吸着により凝集させて、凝集させた
    粒子をろ過するろ過工程と、を有することを特徴とする
    磁性微粒子の除去方法。
  6. 【請求項6】流路を流れる流体中に含まれる磁性微粒子
    を磁化させる磁化手段と、 該磁化手段よりも下流側に配置される滞留槽であって、
    該磁化手段によって磁気を帯びた各磁性微粒子が、互い
    の磁力によって磁気吸着により凝集して、凝集した粒子
    が沈殿される滞留槽と、を備えることを特徴とする磁性
    微粒子の除去装置。
  7. 【請求項7】前記滞留槽内に滞留する流体の上澄み液を
    吸引して、ろ過した後に排出するあるいはろ過した後に
    前記滞留槽に戻す、ろ過手段を備えることを特徴とする
    請求項6に記載の磁性微粒子の除去装置。
  8. 【請求項8】前記ろ過手段には限外ろ過膜が含まれ、該
    限外ろ過膜によりろ過した流体のみを前記滞留槽に戻す
    と共に、 前記限外ろ過膜によりろ過されなかった流体は、前記磁
    化手段よりも上流側の流路内に戻すことを特徴とする請
    求項7に記載の磁性微粒子の除去装置。
  9. 【請求項9】前記ろ過手段には精密ろ過膜が含まれ、該
    精密ろ過膜によりろ過した流体のみを前記滞留槽に戻す
    と共に、 前記精密ろ過膜によりろ過されなかった流体は、前記磁
    化手段よりも上流側の流路内に戻すことを特徴とする請
    求項7に記載の磁性微粒子の除去装置。
  10. 【請求項10】前記磁化手段によって、磁界を形成する
    と共に、 前記磁界中に、前記流路の一部としてオリフィスが設け
    られることを特徴とする請求項6〜9のいずれか一つに
    記載の磁性微粒子の除去装置。
  11. 【請求項11】流路を流れる流体中に含まれる磁性微粒
    子を磁界によって磁化させる電磁コイルと、 該電磁コイルによって磁気を帯びた各磁性微粒子が互い
    の磁力によって磁気吸着により凝集した後に、凝集した
    粒子をろ過するフィルタと、を備えることを特徴とする
    磁性微粒子の除去装置。
  12. 【請求項12】前記電磁コイルによって発生する磁界中
    に、凝集した粒子を吸着させる磁性体を配置することを
    特徴とする請求項11に記載の磁性微粒子の除去装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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