JP2000288944A - 電解インプロセスドレッシング加工用砥石 - Google Patents

電解インプロセスドレッシング加工用砥石

Info

Publication number
JP2000288944A
JP2000288944A JP11094077A JP9407799A JP2000288944A JP 2000288944 A JP2000288944 A JP 2000288944A JP 11094077 A JP11094077 A JP 11094077A JP 9407799 A JP9407799 A JP 9407799A JP 2000288944 A JP2000288944 A JP 2000288944A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bond
iron
grindstone
electrolytic
grinding wheel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP11094077A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshiro Kasai
俊郎 河西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP11094077A priority Critical patent/JP2000288944A/ja
Publication of JP2000288944A publication Critical patent/JP2000288944A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Grinding-Machine Dressing And Accessory Apparatuses (AREA)
  • Polishing Bodies And Polishing Tools (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電解インプロセスドレッシング加工におい
て、高脆性材料に対しても加工表面の損傷を低減するこ
とができ、また、薄い脆性材料の割れなどを防止できる
新規の電解インプロセスドレッシング加工用砥石を提供
する。 【解決手段】 鉄系ボンドと銅系ボンドとを混合して用
いた砥石を用いることによって、材料の加工衝撃を抑え
つつ、しかも不動態膜の生成を促進して砥石の消耗を低
減することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電解インプロセスド
レッシング加工用砥石に係り、特に、水晶やガラスなど
の高脆性材料の研削加工に好適な砥石に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、電解インプロセスドレッシン
グ(Electrolytic In-process Dressing)加工と呼ばれる
研削加工方法が提案されている。この加工方法の原理の
詳細は理研シンポジウム「鏡面研削の最新動向」平成3
年3月5日開催)にて発表され、また、特開平1−18
8266号公報に開示されている。
【0003】上記公報にも記載されているように、電解
インプロセスドレッシング加工においては、導電性基材
(導電性結着材)中に砥粒を埋設してなる導電性の砥石
を用い、この砥石とワークとを接触させて研削加工を行
うが、この研削加工と同時並行して砥石に電解液を接触
させ、電界を印加することにより砥石から導電性基材を
溶出させて砥粒を露出させる、所謂、目立て(ドレッシ
ング)が行われることに特徴がある。
【0004】一般に導電性基材としてはメタルボンドと
呼ばれる金属材料が用いられ、導電性基材が電解作用に
よって溶出していく過程で導電性基材の表面に不動態被
膜が形成される場合がある。この不動態被膜は絶縁性で
あるため、不動態被膜が形成されると電解作用が徐々に
抑制されてそれ以上の導電性基材の溶出が減少する。す
ると、研削加工が進むに従って砥粒が摩耗し、やがて導
電性基材の表面上に形成された不動態被膜が研削によっ
て破壊される。不動態被膜が破壊されると再び電解作用
が促進され、導電性基材の溶出量が増大して砥石の表面
上に砥粒が突き出た状態となる。電解インプロセスドレ
ッシング加工では、多くの場合上記のような現象が繰り
返し発生するので、常時砥石の目立てが行われながら研
削加工を施すことができるため、砥石の目詰まりが発生
しにくく、粒度の細かな砥粒を用いた場合であっても加
工速度を向上することができるとともに、加工表面を良
好に保つことが可能になる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
電解インプロセスドレッシング加工によって硬質材料を
加工する場合においては、鋳鉄ファイバを基材とし、砥
粒としてのダイヤモンド砥粒と、結着助材としてのカー
ボニル鉄粉を混合して成型したCIFB−D(Cast Iron
Fiber Bonded - Diamond)砥石などが用いられる。この
ような鉄系ボンドを含む導電性砥石は、消耗が少なく、
ガラス、セラミックス、シリコン、超硬合金などの研削
に適している。しかしながら、この種の砥石の欠点とし
て、上記の硬質材料のうち特に脆性の高い材料を加工す
る場合には、加工衝撃によって材料表面にマイクロクラ
ックが生じ、また、このような材料を薄く加工する場合
には材料自体が破損してしまう場合もある。
【0006】そこで本発明は上記問題点を解決するもの
であり、その課題は、電解インプロセスドレッシング加
工において、高脆性材料に対しても加工表面の損傷を低
減することができ、また、薄い脆性材料の割れなどを防
止できる新規の電解インプロセスドレッシング加工用砥
石を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の電解インプロセスドレッシング加工用砥石
は、導電性基材中に砥粒と混合して結着させてなる電解
インプロセスドレッシング加工用砥石であって、前記導
電性基材として鉄系ボンドと銅系ボンドとを混合して用
いることを特徴とする。
【0008】この発明によれば、鉄系ボンドと銅系ボン
ドとを混合したメタルボンドを用いて砥石を構成してい
ることによって、ワークに対する加工衝撃を緩和するこ
とができるとともに、砥石の損耗を抑制することができ
るため、電解インプロセスドレッシング加工の利点であ
る加工品位と加工速度の両立を図ることができるととも
に、ワーク表面の損傷を低減し、薄いワークに対しても
安全確実に加工を施すことができるようになる。特に硬
質且つ高脆性の材料を加工する場合に、加工品位と加工
速度を両立させる上できわめて大きな効果を奏するもの
である。
【0009】ここで、鉄系ボンドとは、鉄若しくは鉄を
主体とする合金からなるメタルボンドのことを言い、鋳
鉄ボンドが含まれる。また、銅系ボンドとは、銅若しく
は銅を主体とする合金からなるメタルボンドを言い、ブ
ロンズボンドが含まれる。
【0010】上記発明において、前記導電性基材の体積
比を100とした場合、鉄系ボンドを5〜40、銅系ボ
ンドを60〜95含むことが好ましい。
【0011】この発明によれば、特に加工衝撃の低減と
砥石の損耗の抑制効果を高次元で両立させることができ
る。
【0012】上記各発明においては、砥粒のコンセント
レーション(集中度:JIS規格)を50〜200、そ
の中でも特に50〜100とすることが好ましい。砥粒
としては、特に硬質材料を加工する場合、ダイヤモン
ド、CBN(立方晶窒化ホウ素)、各種金属酸化物など
の硬質砥粒を用いることが望ましい。
【0013】なお、上記砥石を用いて加工を行う電解イ
ンプロセスドレッシング装置は、ワークと、該ワークに
接触するように構成され、導電性基材中に砥粒を埋設し
てなる砥石と、該砥石における前記ワークに接触してい
ない表面部位に所定間隔を以て対向する電極と、前記砥
石と前記電極との間に電圧を印加する電源と、前記砥石
と前記電極との間に電解液を供給する電解液供給手段
と、前記砥石と前記ワークとを相対的に移動させて前記
ワークを前記砥石によって加工可能に構成する駆動手段
とを備え、電解作用によって前記砥石から前記導電性基
材を溶出させて目立てを行いながら前記ワークの加工を
行うものである。
【0014】このとき、前記砥石に対向する前記電極の
表面に設けられた開口部から前記砥石と前記電極の対向
領域内に前記電解液を供給するように構成されているこ
とが好ましい。砥石と電極の対向間隔の正確な位置決め
に加えて、砥石に対向する電極の表面に形成された開口
部から電解液が供給されることにより、電解液がより円
滑に流通し、砥石表面に供給されるので、砥石の電解作
用をより均一且つスムーズに生じさせることができる。
【0015】この場合においてはさらに、前記電極の前
記表面には複数の前記開口部が分散した状態で形成され
ていることが望ましい。電極の表面に複数の開口部が分
散した状態で形成されていることによって、砥石と電極
との対向領域に亘り、さらに均一な電解作用を生じさせ
ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る電解インプロ
セスドレッシング加工用砥石の実施形態について詳細に
説明する。
【0017】[加工装置の構成例]まず最初に、以下に
記載する実施形態の砥石を用いる電解インプロセスドレ
ッシング加工装置の基本構成について説明する。図1は
装置構造を示す模式的な概略斜視図、図2は同装置の模
式的な概略断面図である。この装置において、円盤状の
砥石台2は回転軸2aを中心として回転可能に構成され
ている。砥石台2の一面にはリング状の砥石4が取り付
けられている。砥石4は後述するように砥粒を導電性材
料に埋設した導電性砥石である。砥石4の一部は回転台
6に平面的に重なるように配置され、回転台6は回転軸
6aを中心に回転可能に構成されている。回転台6の表
面上には保持治具10が取付固定されている。保持治具
10の表面上には水晶ウエハなどのワーク20が吸着保
持されている。このワーク20の表面は上記砥石4の表
面に接触し、後述するように研削加工を受けるようにな
っている。なお、砥石台2と回転台6の回転軸線は互い
に平行に構成されている。研削装置としては砥石4と保
持治具10とを接触させた状態で相対的に移動させれば
よいが、本実施形態のように平行な回転軸線をずらして
構成し、互いに回転移動経路が一部重なるように構成す
ることによって以下に説明する装置構成が可能となる。
【0018】リング状の砥石4のうち、回転台6に平面
的に重なっていない部分には円弧状に形成された電極8
が所定の間隔、すなわち、図2に示す電極間ギャップd
を以て対向している。この電極間ギャップdは、砥石4
の表面と、この表面に対向する電極8の表面との対向間
隔である。電極8は導電性材料、例えば金属からなる。
電極8は図2に示す電極取付部材7に固定されている。
【0019】砥石4と電極8との対向領域には、側方か
らクーラント供給ノズル9によって導電性を有する電解
液であって、クーラントの役割をも果たす電解クーラン
トECが供給されるようになっている。クーラント供給
ノズル9は図1に示すように電極8の延長方向に亘って
複数配置されていることが好ましい。また、電解クーラ
ントは基本的には砥石4と電極8との間に供給される電
解液であるが、同じクーラントを、砥石4と保持治具1
0上に固定されたワーク20との間の研削部にも供給す
ることが望ましい。もっとも、研削部には別のクーラン
ト(冷却機能のみを有するものなど)を供給してもよ
い。
【0020】図2に示すように、砥石台2の回転軸2a
の先端部には電気コンタクト性の良好な表面を備えた円
筒状の導電接続部2bが形成されている。電源14は、
この導電接続部2bに圧接された給電ブラシ15を介し
て正電位を付与し、また、上記電極8に負電位を付与す
るようになっている。電源14は直流パルス電源であ
る。
【0021】この装置では、回転軸2a及び回転軸6a
を回転駆動することによって保持治具10上に固定され
たワーク20が砥石4によって研削される。また、同時
に、砥石4は電源14から供給される電力に基づいて電
解クーラントECによって電解され、砥石4中のメタル
ボンドが溶解し、メタルボンド中に埋設されていた砥粒
が露出される。砥石4と電極8との間に電流が流れ、メ
タルボンドが溶解していくと砥粒が露出して所謂砥石の
目立てが行われた状態となるが、やがてメタルボンドの
表面に絶縁性の不動態被膜が形成され、電流量が急激に
低下するとともにメタルボンドの溶出も減少する。この
状態で研削が進行していき、ワーク20の研削により砥
粒が摩耗してくると、やがて不動態被膜も研削作用によ
って突き破られる。不動態被膜が破られると、再び電流
が流れてメタルボンドが電解液中に溶出し、再び砥粒が
砥石4の表面上に突き出てくる。このような作用を繰り
返すことによって、電解インプロセスドレッシング加工
においては、常に砥石の目立てが行われながら研削が進
行していくので、細かな粒度の砥粒を用いても目詰まり
が発生しにくく、効率的に研削を行うことができ、迅速
に、且つ、安定した状態で研削を行うことができる。
【0022】なお、図1の下に示すように、上記電極8
の代わりに、内部にクーラント収容部18bを備えると
ともに、砥石4に対向する表面18a上に複数の開口部
18cを設けた電極18を用いてもよい。ここで、開口
部18cはクーラント収容部18bに連通している。ま
た、複数の開口部18cは表面18aに分散した状態で
形成されている。電極18内のクーラント収容部18b
にはフレキシブル管19が導入され、このフレキシブル
管19から上記電解クーラントが供給されるようになっ
ている。したがって、電極18の開口部18cからは内
部から電解クーラントが砥石4と電極18との間の領域
に吹き出し、電解クーラントの循環を助けるようになっ
ているため、電解クーラントによる砥石4の表面の電解
作用をより均一に、確実に発生させることができる。
【0023】[実施形態]次に、本発明に係る電解イン
プロセスドレッシング加工用砥石の実施形態について説
明する。上述の砥石4としては、ダイヤモンド、CBN
(正方晶窒化ホウ素)、各種金属酸化物、セラミックス
などの砥粒をメタルボンド(金属結合材)などの導電性
結合材と混合して固めたもの、例えば、高温(1000
℃以上)で焼結させたものを用いることができる。砥粒
のコンセントレーション(集中度:JIS規格)は50
〜200程度であることが好ましく、特に、50〜10
0であることが望ましい。ただし、コンセントレーショ
ンの対象としては、本願においてはダイヤモンドやCB
Nなどの超砥粒に限定されない。砥粒の粒度は、用途に
応じて適宜に設定されるが、ダイヤモンドやCBNなど
の硬質砥粒を用いる際には、水晶ウエハなどのように鏡
面加工が要求される場合、#4000〜#10000程
度であることが好ましく、上記以外の比較的軟質の砥粒
を用いる場合には#2000〜#4000程度であるこ
とが好ましい。なお、#4000の平均粒径は約4μm
に相当する。
【0024】メタルボンドとしては、鋳鉄、ブロンズ、
ニッケル、コバルトなどを用いることが可能であるが、
本実施形態の場合、鉄系ボンドと銅系ボンドとを混合し
て用いることに特徴がある。
【0025】鉄系ボンドとしては、純鉄、鋳鉄、各種鋼
材などの純鉄若しくは鉄を主体とする各種合金、例えば
鉄とコバルトやニッケルなどの合金を含むものを用いる
ことができる。特に鋳鉄ボンドが好ましい。また、カー
ボニル鉄粉を加えることによって、焼結後の砥粒保持力
と砥石強度を高めることができる。
【0026】また、銅系ボンドとしては、銅及びその合
金を用いることができ、特にブロンズ(青銅Cu−S
n)を主体とするブロンズボンドが好ましい。ブロンズ
としてはリン、亜鉛などの他の元素との合金も存在す
る。
【0027】これらの金属ボンドの粒径は特に限定され
ないが、一般に砥粒よりも細かく、砥粒の粒径の0.0
1〜0.5程度の粒径であることが好ましい。この範囲
よりも粒径が小さくなると気孔率及び気孔径が小さくな
り過ぎ、この範囲よりも粒径が大きくなると砥石の剛性
が低下するからである。
【0028】本願発明者の検討により、従来の電解イン
プロセスドレッシング加工によって硬度の高い材料を加
工する場合に用いられていた鉄系ボンドを用いた場合、
不動態膜の生成が早いことから砥石の消耗が少ない一方
で、高脆性材に用いると加工衝撃によってマイクロクラ
ックなど加工面に損傷が発生し、加工品位が低下するこ
とが判明した。また、高脆性材を薄く加工する場合に
は、加工衝撃によって材料そのものが損傷する可能性も
ある。一方、銅系ボンド、特にブロンズボンドを用いた
場合には加工衝撃が少なく、高脆性材を効率的に研削す
ることができる(所謂、「切れる」状態が得られる)
が、その一方で不動態膜の生成速度が遅く、砥石の消耗
が激しいという欠点がある。砥石の消耗が激しいと、加
工中に砥石4と電極8との電極間ギャップが大きく変化
するため、砥石表面に対する電解作用が不安定になると
ともに、これを補償するために砥石或いはワークの送り
量を大きく取らなければならないため、ワークの厚さ精
度にばらつきが出たり、ワークの加工面の品位が低下し
たりする。
【0029】そこで、上記のように鉄系ボンドと銅系ボ
ンドとを混合して用いることによって試験を繰り返した
結果、このような砥石においては、加工衝撃を抑えつ
つ、しかも不動態膜の生成を促進して砥石の消耗を低減
することができることが判明したものである。
【0030】本実施形態の砥石4としては、例えば、鋳
鉄粉、カーボニル鉄粉、ブロンズ粉などを砥粒とともに
混合し、これを型内にて圧縮成形する。圧縮形成後、成
形体を不活性ガス中において1000〜1150℃の温
度で焼結する。また、粉体混合物を直接に圧縮しながら
加熱することによって焼結してもよい。
【0031】本実施形態の砥石4の組成としては、砥粒
を除いた導電性基材の体積比を100として、鉄系ボン
ドが5〜40、銅系ボンドが60〜95の範囲内である
ことが特に有効である。鉄系ボンドが上記範囲内に満た
ず、或いは、銅系ボンドが上記範囲を超える場合には、
砥石の消耗を充分に抑制することが難しくなり、また、
鉄系ボンドが上記範囲を超え、或いは、銅系ボンドが上
記範囲を下回る場合には、加工衝撃の緩和効果が得られ
にくい。上記の場合において、鉄系ボンドとしては、鋳
鉄のみとし、或いは鋳鉄を主体とすることが最も好まし
い。また、銅系ボンドとしては、ブロンズのみとし、或
いは、ブロンズを主体とすることが最も好ましい。
【0032】[実施例]上記実施形態の砥石を用いて上
記の電解インプロセスドレッシング加工装置によりワー
ク20の研削試験を行った。なお、ワーク20の加工を
行う前に、図2に示す電極間ギャップdの設定作業を行
った。ワーク20は、水晶の結晶塊を約260μmの厚
さにスライスし、32mm角のウエハを作成し、表裏面
に粗研磨を施して約200μm厚に形成した後に、上記
の保持治具10に吸着保持させ上記装置によって研削加
工を実施した。この保持治具10は、ワーク20に対す
る吸着面をセラミックスなどの多孔質素材からなる保持
部材の露出表面によって構成し、当該保持部材を保持治
具10の凹部に取付け、保持治具10の内部から保持部
材を介して排気することにより、その露出表面上にワー
ク20を吸着保持するように構成されている。この試験
に使用した砥石は、砥粒として#4000のダイヤモン
ド粒を用い、導電性ボンドのうち鋳鉄ボンドを約30v
ol%、ブロンズボンドを約70vol%の割合で混合
し、このメタルボンドによって砥粒のコンセントレーシ
ョンを約100として焼結形成したものである。
【0033】この結果、上記水晶ウエハを最終的に25
μmの厚さにまで薄肉化することができた。研削後の水
晶ウエハの表面は充分な鏡面となっていた。このような
薄い水晶ウエハの加工は、水晶振動子の従来の製造工程
において使用されているラッピング加工では全く不可能
なことであり、しかも、本実施形態による加工は本質的
に研削加工であるとともに、常時砥石のドレッシング作
用が生じているため、充分な加工速度を得ることができ
る。さらに、ラッピング加工によって生ずる可能性のあ
るウエハ割れなどを気にせず加工できるという利点もあ
る。また、従来のラッピング法による加工では複数段
階、例えば、粗加工、中間加工、仕上げ加工によって段
階的に研磨加工をしていかないと充分平坦で表面粗さの
低減された加工面が短時間のうちに得られなかったが、
本実施形態の装置によれば、単一段階にて充分に迅速
に、しかも充分に平坦且つ鏡面に近いウエハ表面を得る
ことができた。
【0034】本実施形態では、上記組成の砥石を用いる
ことによって、鉄系ボンドのみを用いた砥石に較べて加
工衝撃が低減されるので、上記の水晶ウエハなどの高脆
性材に対しても加工表面部の損傷を少なくすることがで
きた。また、上記のように極めて薄く加工しても、ウエ
ハ自体の割れの発生を完全になくすことができた。
【0035】また、上記実施例の砥石を用いて、その電
解作用について観察し、電源14に流れる電流と電源1
4の給電端子間の電圧の経時変化を測定した。その結果
を図3に示す。ここで、従来例としてのブロンズボンド
のみを用いて形成した砥石について同一の条件にて測定
した結果を比較して示す。従来例においては、電解電流
値の低下と電解電圧値の上昇は緩やかであり、時間が経
過しても電流値は充分には下がらない。これに対して、
実施例の砥石では20分余り経過すると急激に電流値が
低下し、電解作用が極めて弱くなっていることがわか
る。この特性は鉄系ボンドのみを用いた砥石とほとんど
変わらないものである。銅系ボンドに鉄系ボンドを混合
することによって、不動態膜の生成が促進され、鉄系ボ
ンドに較べても遜色のないドレッシングの繰り返し状態
が発生することがわかる。このような特性によって、本
実施例の砥石では、鉄系ボンドと同程度の砥石の消耗度
合を備えながら、加工衝撃が少ない研削加工が実現され
た。
【0036】尚、本発明の電解インプロセスドレッシン
グ加工用砥石は、上述の内容のみに限定されるものでは
なく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変
更を加え得ることは勿論である。
【0037】
【発明の効果】以上、説明したように本発明によれば、
鉄系ボンドと銅系ボンドとを混合したメタルボンドを用
いて砥石を構成していることによって、ワークに対する
加工衝撃を緩和することができるとともに、砥石の損耗
を抑制することができるため、電解インプロセスドレッ
シング加工の利点である加工品位と加工速度の両立を図
ることができるとともに、ワーク表面の損傷を低減し、
薄いワークに対しても安全確実に加工を施すことができ
るようになる。特に硬質且つ高脆性の材料を加工する場
合に、加工品位と加工速度を両立させる上できわめて大
きな効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電解インプロセスドレッシング加
工用砥石を用いる研削加工装置の基本構成を示す概略斜
視図である。
【図2】同研削加工装置の基本構成を示す概略構成断面
図である。
【図3】本発明に係る電解インプロセスドレッシング加
工用砥石の実施例と、従来のブロンズボンドのみを用い
た砥石とについてそれぞれ電解電流値及び電圧値の経時
変化を示すグラフである。
【符号の説明】
2 砥石台 4 砥石 6 回転台 7 電極取付部材 8,18 電極 9 クーラント供給ノズル 10 保持治具 18a 表面 18b クーラント収容部 18c 開口部 20 ワーク

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基材中に砥粒を混合して結着させ
    てなる電解インプロセスドレッシング加工用砥石であっ
    て、前記導電性基材として鉄系ボンドと銅系ボンドとを
    混合して用いることを特徴とする電解インプロセスドレ
    ッシング加工用砥石。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記導電性基材の体
    積比を100とした場合、鉄系ボンドを5〜40、銅系
    ボンドを60〜95含むことを特徴とする電解インプロ
    セスドレッシング加工用砥石。
JP11094077A 1999-03-31 1999-03-31 電解インプロセスドレッシング加工用砥石 Withdrawn JP2000288944A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11094077A JP2000288944A (ja) 1999-03-31 1999-03-31 電解インプロセスドレッシング加工用砥石

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11094077A JP2000288944A (ja) 1999-03-31 1999-03-31 電解インプロセスドレッシング加工用砥石

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000288944A true JP2000288944A (ja) 2000-10-17

Family

ID=14100438

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11094077A Withdrawn JP2000288944A (ja) 1999-03-31 1999-03-31 電解インプロセスドレッシング加工用砥石

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000288944A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003080443A (ja) * 2001-09-06 2003-03-18 Sanwa Kenma Kogyo Kk 研磨用砥石及び研磨工具

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003080443A (ja) * 2001-09-06 2003-03-18 Sanwa Kenma Kogyo Kk 研磨用砥石及び研磨工具

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100293863B1 (ko) 초지립공구와그제조방법
EP0576937B1 (en) Apparatus for mirror surface grinding
US6117001A (en) Electrolytic in-process dressing method, electrolytic in-process dressing apparatus and grindstone
JP4104199B2 (ja) 成形鏡面研削装置
JP3719780B2 (ja) 超砥粒砥石のツルーイング方法
JPH10175165A (ja) メタルボンド砥石を用いたセンタレス研削方法及びその装置
JP3530562B2 (ja) レンズ研削方法
JP2000288944A (ja) 電解インプロセスドレッシング加工用砥石
JPH08243927A (ja) 研削工具とその製造方法及び研削装置
JP3320194B2 (ja) 電解ドレッシング研削方法及び装置
JP3128164B2 (ja) メカノケミカル作用を生じる電解ドレッシング用砥石
JPH04105874A (ja) 研磨用砥石およびそれを用いた研磨方法
JPS61146467A (ja) 通電性砥石による切断研削加工法および切断研削加工装置
JPH01188266A (ja) 研削加工装置
JP3086670B2 (ja) 超砥粒砥石
JP3477260B2 (ja) 研削・研磨砥石及び該砥石による加工方法
JPS61197124A (ja) 電解放電加工装置および電解放電加工方法
JPH06254754A (ja) 鏡面研削装置及び方法
JPH11347931A (ja) 砥石成形用電極およびその成形方法、ならびに砥石の成形方法
Peng et al. Grinding and dressing tools for precision machines
JP3048461B2 (ja) サブミクロン砥粒を含む電解ドレッシング用砥石の製造方法
JP3078404B2 (ja) 電解ドレッシング研削方法
JPS614665A (ja) 通電性砥石による切断研削加工法
JPH08108364A (ja) 研削加工方法
JPS6150717A (ja) 電解放電砥石および電解放電加工方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20060606