JP2000285420A - 磁気ヘッドの製造方法 - Google Patents

磁気ヘッドの製造方法

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JP2000285420A
JP2000285420A JP11085879A JP8587999A JP2000285420A JP 2000285420 A JP2000285420 A JP 2000285420A JP 11085879 A JP11085879 A JP 11085879A JP 8587999 A JP8587999 A JP 8587999A JP 2000285420 A JP2000285420 A JP 2000285420A
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Japan
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grinding
magnetic head
chipping
manufacturing
solvent
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JP11085879A
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Jun Iwasaki
純 岩崎
Katsuya Sugai
勝弥 菅井
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Alps Alpine Co Ltd
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Alps Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 研削工程において用いる研削液により薄膜素
子の耐腐食性が低い材料を腐食させず、薄膜素子の磁気
特性が低下するのを防止できる磁気ヘッドの製造方法を
提供する。 【解決手段】 薄膜素子が設けられた磁気ヘッドを、砥
石1により研削する工程において、用いる研削液4の溶
媒をパラフィン系炭化水素とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ヘッドの製造
方法に係るものであり、特に磁気ヘッドの研削加工に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】以下に、従来のハードディスク装置など
に使用される磁気ヘッドの製造方法について説明する。
まず、アルミナ・チタンカーバイド(Al23・TiC)
等のセラミックス材からなる円板状のウェハ上に、複数
個の記録/再生用の薄膜素子を並列にパターン形成す
る。薄膜素子は、磁気抵抗効果(Magnetoresistive)素
子からなる再生用のMRヘッドと、コイルとコアとがパ
ターン形成されてなる記録用のインダクティブヘッドと
を有する。
【0003】次に、薄膜素子が多数並列されたウェハを
研削により切り出し、複数個の薄膜素子がまとめて加工
できる大きさにされたブロック状のヘッドブロックや、
角材状のヘッドバーを得る。そして、ヘッドブロック又
はヘッドバーは、磁気記録媒体に対向する浮上面やその
裏面を適宜研削・ラップ加工し、フォトリソグラフィや
イオンミリング等により浮上面を所望の形状に形成した
後、最終的に各薄膜素子ごとに研削により切り出してス
ライダと呼ばれる磁気ヘッドとする。
【0004】図4は、従来の磁気ヘッドの製造方法に係
る砥石の要部説明図であり、図5は、従来の磁気ヘッド
の製造方法に係る要部説明図である。従来の磁気ヘッド
の製造方法の研削工程において、ウェハ、ヘッドブロッ
ク及びヘッドバーを研削により切り出す際に用いられる
研削加工用の砥石1は、図4に示すように、単結晶ダイ
ヤモンド等の砥粒1aを金属等の結合材1bで結合し、
ごく薄い円板状に形成された薄刃の砥石であった。ま
た、従来の磁気ヘッドの製造方法において用いられる砥
粒1aの番手は、#800(平均粒径15μm;粒径1
0〜20μm)から#1000(平均粒径12μm;粒
径8〜16μm)程度であった。
【0005】従来の磁気ヘッドの製造方法の研削工程
は、図5に示すように、まず、研削対象物2(図5中で
はヘッドバー)を治具3に取り付ける。次に、砥石1を
高速で回転させながら、砥石1と研削対象物2が取り付
けられた治具3とを相対移動させて研削することで、砥
粒1aが刃先のように作用して研削対象物2を漸次削っ
ていく。この際、研削加工点における砥石1と研削対象
物2とを冷却する目的、及び研削加工点における砥石1
と研削対象物2との間の潤滑を保持する目的、並びに研
削対象物2が研削された際に発生する切粉を分散・排出
する目的等から、研削液4が研削加工点周辺に配設され
たノズル5から噴出されて供給される。従来の一般的な
研削液4は、添加剤として界面活性剤や潤滑剤、防錆剤
等が水に溶解された水溶液が用いられていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】近年、磁気記録媒体で
の記録密度の向上の要請に伴い、薄膜素子のMRヘッド
として用いられるMR素子として、GMR(Giant Magn
etoresistive;巨大磁気抵抗効果)素子が適用されつつ
ある。このGMR素子には、従来のMR素子には使用さ
れていなかった材料が必要とされ、耐腐食性が低いもの
の、他の特性が優れているために使用されているものも
ある。例えば、GMR素子の反強磁性層にFeMn、磁
性層にNiFe、非磁性層にCu(銅)等が用いられて
おり、それぞれ重要な役割を果たしている。
【0007】このようなGMR素子を適用した薄膜素子
を有するウェハ等の研削工程において、従来の水を溶媒
とした研削液4を使用すると、水分等によりFeMnや
Cu等が腐食されるため、GMR素子の磁気特性が低下
する恐れがある。
【0008】また、従来の研削液4中には、界面活性剤
や潤滑剤、防錆剤等の成分として含まれるCl(塩
素)、P(リン)及びS(硫黄)等がイオンとして存在
する。これらのイオンがCu等を腐食すると共に、研削
後も不純物としてGMR素子に残留すると、GMR素子
の磁気特性が低下する。そのため、研削工程において適
用する研削液として、GMR素子に用いられている耐腐
食性が低い材料を腐食させないものが求められている。
【0009】本発明は上記課題を解決し、研削工程にお
いて用いる研削液により薄膜素子の耐腐食性が低い材料
を腐食させず、薄膜素子の磁気特性が低下するのを防止
できる磁気ヘッドの製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の第1の解決手段として、本発明の磁気ヘッドの製造方
法は、薄膜素子が設けられた磁気ヘッドを砥石により研
削する工程で用いる研削液が、パラフィン系炭化水素を
溶媒とする構成とした。即ち、研削液の溶媒をパラフィ
ン系炭化水素とし、溶媒として水を用いない。また、研
削液の溶媒としてパラフィン系炭化水素を用いること
で、防錆剤が不要になると共に、潤滑性を有しているの
で特別な潤滑剤を必要としない。
【0011】また、第2の解決手段として、本発明の磁
気ヘッドの製造方法は、前記パラフィン系炭化水素は、
第3石油類及び第4石油類の少なくともいずれか一方に
属するものを用いる構成とした。これにより、他のパラ
フィン系炭化水素よりも取り扱いが容易となる。
【0012】また、第3の解決手段として、本発明の磁
気ヘッドの製造方法は、前記パラフィン系炭化水素は、
第4石油類に属するものを用いる構成とした。これによ
り第3石油類に属するパラフィン系炭化水素を用いるよ
りも、さらに取り扱いが容易となる。
【0013】また、第4の解決手段として、本発明の磁
気ヘッドの製造方法は、前記パラフィン系炭化水素に引
火点が100℃以上のエステル類を添加し、2%以上3
0%以下の範囲内で含有させる構成とした。これによ
り、研削加工点の温度が上昇しても引火することなく、
磁気ヘッドの基部であるアルミナ・チタンカーバイドに
対する研削液のぬれ性を増大する効果を維持することが
できる。
【0014】また、第5の解決手段として、本発明の磁
気ヘッドの製造方法は、前記砥石の砥粒の粒径が、4μ
m以上10μm以下である構成とした。これにより、研
削時の各砥粒による削り量が少なくなり、発生する摩擦
熱が原因となるチッピング・ブレイクアウェイを少なく
することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の磁気ヘッドの製
造方法の実施の形態について説明する。尚、本発明の磁
気ヘッドの製造方法における各部材が、従来の磁気ヘッ
ドの製造方法における各部材と同一であるものに関して
は、同一の番号を付し説明は省略する。図1は、本発明
の磁気ヘッドの製造方法に係る砥石の要部説明図であ
る。また、図2は本発明の磁気ヘッドの製造方法に係る
グラフ図であり、研削液に添加されるエステル類である
酢酸ベンジルの含有率とチッピングサイズとの関係を示
す図である。また、図3は、本発明の磁気ヘッドの製造
方法に係るグラフ図であり、砥粒である単結晶ダイヤモ
ンドの粒径とチッピングサイズ及び砥石寿命との関係を
示す図である。
【0016】以下に本発明の磁気ヘッドの製造方法につ
いて説明する。まず、従来の磁気ヘッドの製造方法と同
様に、アルミナ・チタンカーバイド(Al23・Ti
C)等のセラミックス材からなる円板状のウェハ上に、
複数個の記録/再生用の薄膜素子を並列にパターン形成
する。本発明の薄膜素子は、再生用のGMRヘッドと、
記録用のインダクティブヘッドとを有する。
【0017】次に、薄膜素子が多数並列されたウェハを
切り出し、複数個の薄膜素子がまとめて加工できる大き
さにされたブロック状のヘッドブロックや、角材状のヘ
ッドバーを得る。そして、ヘッドブロック又はヘッドバ
ーは、磁気記録媒体に対向する浮上面やその裏面を適宜
研削・ラップ加工し、フォトリソグラフィやイオンミリ
ング等により浮上面を所望の形状に形成した後、最終的
に各薄膜素子ごとに研削により切り出してスライダと呼
ばれる磁気ヘッドとする。
【0018】本発明の磁気ヘッドの製造方法の研削工程
において、ウェハ、ヘッドブロック及びヘッドバーを切
り出す際に用いられる研削加工用の砥石1は、図1に示
すように、単結晶ダイヤモンド等の砥粒1aを金属等の
結合材1bで結合し、ごく薄い円板状に形成された薄刃
の砥石である。また、各砥粒1aの間の結合材1bに
は、直径5μm〜20μm、体積効率5%〜25%で気
孔1cが設けられている。
【0019】本発明の磁気ヘッドの製造方法の研削工程
は、図5に示した従来の磁気ヘッドの製造方法と同様
に、まず、研削対象物2(図5中ではヘッドバー)を治
具3に取り付ける。次に、砥石1を高速で回転させなが
ら、砥石1と研削対象物2が取り付けられた治具3とを
相対移動させて研削することで、砥粒1aが刃先のよう
に作用して研削対象物2を漸次削っていく。この際、研
削加工点における砥石1と研削対象物2とを冷却する目
的、及び研削加工点における砥石1と研削対象物2との
間の潤滑を保持する目的、並びに研削対象物2が研削さ
れた際に発生する切粉を分散・排出する目的等から、研
削液4が研削加工点周辺に配設されたノズル5から噴出
されて供給される。
【0020】本発明の磁気ヘッドの製造方法に用いられ
る研削液4は、パラフィン系炭化水素を溶媒とする。パ
ラフィン系炭化水素とは、一般式Cn2n+2で表される
飽和鎖式炭化水素であり、温度が上昇する研削加工点に
おいて液体の状態を保持するパラフィン系炭化水素を用
いる。また、パラフィン系炭化水素は様々な分子量(組
成)のパラフィン系炭化水素が混合された状態のものを
用いても良い。
【0021】このように、研削液4に水を用いないこと
で、GMR素子に用いられているFeMnやCu等の耐
腐食性が低い材料を腐食する恐れが無くなる。
【0022】また、パラフィン系炭化水素には、できる
限り水分が混入されていないものを用いることで防錆剤
を添加する必要が無くなる。また、パラフィン系炭化水
素自体が潤滑性を有するので、特別な潤滑剤を添加する
必要もない。
【0023】ところで、磁気ヘッドの研削工程において
は、研削対象物2である磁気ヘッドの基部を構成するア
ルミナ・チタンカーバイドの一部が脱落したチッピング
・ブレイクアウェイと呼ばれる欠けが発生しやすくな
る。磁気ヘッドにチッピングが存在すると美観を損ねる
ばかりか、万一脱落(ブレイクアウェイ)した小片が付
着したままの磁気ヘッドがハードディスク装置などに搭
載された場合、使用時に小片が磁気記録媒体に落下する
と、磁気記録媒体及び記録された磁気信号が破壊される
恐れがある。そのため、研削工程において磁気ヘッドに
発生するチッピング・ブレイクアウェイをできる限り低
減する必要がある。
【0024】このチッピング・ブレイクアウェイが発生
する原因の一つとして、研削加工点における蓄熱が挙げ
られる。本発明においてはパラフィン系炭化水素を用い
るため、従来の水を溶媒とした研削液4を用いた場合よ
りも、研削加工点において砥粒1aと研削対象物2とが
ぶつかる際に発生する摩擦熱を冷却する効果が低くなる
ことがある。研削加工点において砥粒1aや研削対象物
2が十分に冷却されずに蓄熱されると、熱衝撃によりチ
ッピングが発生しやすくなる。
【0025】研削加工点において冷却されにくいことが
原因となるチッピング・ブレイクアウェイの発生を抑制
する手段として、砥石1に用いられている砥粒1aの番
手を上げ(平均粒径を小さくし)、即ち砥粒1aの粒径
を小さくして各砥粒における削り量を減少させることに
より、発生する摩擦熱を少なくして熱衝撃に基づくチッ
ピング・ブレイクアウェイの発生を抑制することができ
る。
【0026】また、研削加工点に発生した摩擦熱を良好
に冷却するため、磁気ヘッドの基部を構成するアルミナ
・チタンカーバイドにおける研削液4のぬれ性を上昇さ
せる手段が挙げられる。アルミナ・チタンカーバイドに
おける研削液4のぬれ性が上昇すると、摩擦熱を良好に
排出できるため、冷却効果が向上する。
【0027】アルミナ・チタンカーバイドにおける研削
液4のぬれ性を上昇するには、パラフィン系炭化水素に
界面活性剤を添加することで実現される。一般的には、
溶液中でイオン化せず、分子の状態で界面活性効果を発
揮するノニオン系界面活性剤(非イオン界面活性剤)を
用いることができるが、このノニオン系界面活性剤はG
MR素子を腐食する場合があるので、その代替物として
エステル類を用いることが可能である。これにより、C
uなどの耐腐食性が低い材料層をイオンにより腐食する
恐れが無くなる。このエステル類としては引火点が10
0℃以上のものを用いる。これは、たとえ研削加工を行
う室温において添加したエステル類に引火しなくとも、
研削加工点の温度は数百℃に達することもあるため、こ
の熱によってエステル類に引火するのを防ぐため、少な
くともより室温よりも十分に高い100℃以上とする。
引火点が100℃以上のものとしては、例えば、ギ酸ブ
チル、酢酸ベンジル、ステアリン酸ペンチル、ステアリ
ン酸ブチル、安息香酸ベンジル、アビエチン酸エチル等
が挙げられる。また、パラフィン系炭化水素に添加する
エステル類が、研削時の室温よりも十分低い融点(例え
ば0℃以下)を有し、また、十分高い沸点(例えば20
0℃以上)を有していることが必要である。
【0028】また、磁気ヘッドにチッピングが発生する
他の原因として、研削対象物2である磁気ヘッドの表面
に残留する、研削後のアルミナ・チタンカーバイドの切
粉が挙げられる。磁気ヘッドの表面に切粉が残留してい
ると、切粉が研削痕を拡大してしまい、チッピング・ブ
レイクアウェイが発生しやすくなる。残留している切粉
が大きく量が多いと、発生するチッピングのサイズ、量
ともに増大する。
【0029】磁気ヘッドの表面に切粉が残留することが
原因となるチッピング発生の抑制についても、前述のよ
うに溶媒となるパラフィン系炭化水素にエステル類を加
えて、研削液4のぬれ性を上昇することで実現される。
研削液4のぬれ性が上昇すると、研削加工点における砥
石1と研削対象物2との間の潤滑を保持することができ
ると共に、研削された切粉を研削対象物2の表面から良
好に分散・排出することができるため、チッピング・ブ
レイクアウェイが発生しにくくなる。
【0030】また、砥粒1aと砥粒1aとの間にある結
合材1bに気孔1cを設けておくことによって、表面に
露出した気孔1cが切粉の逃げ場となり、砥石1(砥粒
1aもしくは結合材1b)と切粉との間の摩擦、及び研
削対象物2との切粉との間の摩擦を防ぐことができ、全
体として摩擦熱の発生を抑制することができる。
【0031】尚、本発明の磁気ヘッドの製造方法は、研
削工程におけるウェハ、ヘッドブロック及びヘッドバー
を切り出す場合のみならず、研削対象物2に溝を設ける
溝入れ工程等にも適用できる。また、GMR素子に用い
られているFeMnやCuに限らず、水を溶媒とした研
削液を用いた場合に、腐食される恐れがある部分を有す
る磁気ヘッドの研削にも有効である。また、アルミナ・
チタンカーバイドに限らず、基部が他のセラミックスか
らなる磁気ヘッドにおいて適用しても有効である。
【0032】
【実施例】以下に、ヘッドバーの状態から研削して磁気
ヘッドを得る際の実施例を示す。尚、研削条件は砥石1
の主軸回転数が10000r.p.m.、切り込み深さが0.
55mm、研削対象物2であるアルミナ・チタンカーバイ
ドの送り速度が60mm/minとした。また、砥粒1aの番
手は#1500(平均粒径8μm;粒径5〜10μm)
とした。
【0033】(1.研削液の溶媒とチッピングの関係)
まず、研削液4に用いる溶媒とチッピングの関係を調べ
た。従来例としては、溶媒に水を使用し、界面活性剤、
潤滑剤、防錆剤及び消泡剤等を溶解した研削液4を用い
た。また、実施例としては、溶媒に引火点が比較的低い
第3石油類に属するパラフィン系炭化水素(以下「軽
質」とする)と、引火点が比較的高い第4石油類に属す
るパラフィン系炭化水素(以下「重質」とする)を使用
した。なお、第3石油類とは1気圧において引火点が7
0℃以上200℃未満の範囲に属するものであり、ま
た、第4石油類とは1気圧において引火点が200℃以
上のものである。尚、第1石油類及び第2石油類は第3
石油類よりもさらに引火点が低い。また、粘性は第1石
油類が最も低く、第2、第3、第4石油類となるに従っ
て高くなる。
【0034】また、ぬれ性を向上するために添加するエ
ステル類として、酢酸ベンジル(引火点102℃)を使
用した。そして、軽質のパラフィン系炭化水素に酢酸ベ
ンジルを無添加のもの(実施例1)、及び10%添加し
たもの(実施例2)、重質のパラフィン系炭化水素に酢
酸ベンジルを無添加のもの(実施例3)、及び10%添
加したもの(実施例4)をそれぞれ準備した。これらの
研削液4を磁気ヘッドの基部であるアルミナ・チタンカ
ーバイドの表面に滴下し、ぬれ性を評価した。また、各
研削液を研削加工点付近に大量に供給しながら、前記研
削条件で研削した後に、磁気ヘッドの基部であるアルミ
ナ・チタンカーバイドの部分において発生したチッピン
グサイズの平均及びチッピング量を測定した。そして、
研削後のGMR素子の腐食を判定した。以上の結果を表
1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】表1から明らかなように、従来例の水を溶
媒とした研削液を用いて研削を行った磁気ヘッドは、発
生したチッピングのサイズは他と比べて小さく、発生量
も少なかったが、得られた磁気ヘッドのGMR素子が腐
食されて、磁気特性が非常に低いものとなっていた。ま
た、GMR素子に腐食の原因となったイオンが残留して
いるため、磁気特性を低下させているものと思われる。
これらのイオンは、GMR素子と化学的に結合している
ので、洗浄によって取り去ることが難しい。
【0037】しかしながら、実施例1〜4のパラフィン
系炭化水素を溶媒とした研削液4により切り出して得ら
れた、磁気ヘッドの薄膜素子の非磁性層であるGMR素
子は腐食されておらず、磁気特性の劣化がほとんど見ら
れなかった。また、Cu部分や他の部分についても、イ
オンはほとんど残留していなかった。
【0038】また、研削により得られた磁気ヘッドに発
生したチッピングについては、実施例1及び実施例3に
示した酢酸ベンジルが無添加のものは、従来例の水を溶
媒とした研削液4と比べて、チッピングサイズが大きい
ものが多く発生した。これは、パラフィン系炭化水素を
溶媒に用いた研削液4は、水を溶媒とした研削液4に比
べて粘性が高く、切粉の分散・排出性が低下したためと
考えられる。
【0039】一方、ノニオン系界面活性剤を添加した実
施例2及び実施例4では、実施例1及び実施例3と比べ
て、チッピングサイズ及びチッピング量ともに減少し
た。特に、発生したチッピング量は、従来例の水を溶媒
とした研削液4と同程度であった。これは、パラフィン
系炭化水素に酢酸ベンジルを添加し、アルミナ・チタン
カーバイドにおけるぬれ性が上昇したことで、切粉の分
散・排出性が向上したためと考えられる。
【0040】また、実施例1及び2に用いた軽質のパラ
フィン系炭化水素は、実施例3及び4に用いた重質のパ
ラフィン系炭化水素よりも粘度が低いため、酢酸ベンジ
ルを加えない状態では、実施例1の軽質のパラフィン系
炭化水素の方が、実施例3の重質のパラフィン系炭化水
素よりも若干ぬれ性が良く、僅かではあるが研削後に発
生するチッピング量が少ない。即ち、溶媒単体ではチッ
ピングの発生を抑制する効果は、軽質のパラフィン系炭
化水素が重質のパラフィン系炭化水素よりも高いと言え
る。
【0041】一方、酢酸ベンジルを加えた場合には、実
施例2の軽質のパラフィン系炭化水素、及び実施例4の
重質のパラフィン系炭化水素のぬれ性は共に向上し、チ
ッピングの発生を抑制する効果は略同等となる。このこ
とから、ぬれ性を向上させる添加剤を用いれば、重質の
パラフィン系炭化水素を溶媒とした研削液4を用いて
も、軽質のパラフィン系炭化水素と同等のチッピングの
発生を抑制する効果が期待できる。尚、第3石油類のパ
ラフィン系炭化水素と第4石油類パラフィン系炭化水素
とを混合しても、同様の効果が期待できる。
【0042】また、上述の通り、第3石油類及び第4石
油類は室温で引火する虞が小さく、取り扱いやすい。中
でも、重質のパラフィン系炭化水素は第4石油類に属し
ているので、第3石油類の軽質のパラフィン系炭化水素
よりも引火点が高く、研削加工点の温度が上昇しても引
火する恐れが少ない。また、取り扱い時の安全性の面で
有利であり、貯蔵量(指定数量)等の面での法上の規制
が緩く、取り扱い上の面でも有利である。また、コスト
についても、重質のパラフィン系炭化水素は軽質のパラ
フィン系炭化水素よりも安価である。このように、研削
液4の溶媒として重質のパラフィン系炭化水素を適用す
ると、磁気ヘッドの製造におけるコストの面で有利とな
る。
【0043】(2.エステル類の含有率とチッピングの
関係)次に、重質のパラフィン系炭化水素(第4石油
類)に対する酢酸ベンジルの含有率を変え、研削後に発
生したチッピングサイズとの関係を調べた。酢酸ベンジ
ルの含有率は、溶媒に対して0%(無添加)、2%、5
%、10%、20%、30%、40%、50%とした。
【0044】図2からわかるように、重質のパラフィン
系炭化水素に酢酸ベンジルを加えた研削液4で研削した
場合、無添加の場合と比べてチッピングサイズが減少す
る。酢酸ベンジルを添加しない場合には、チッピングサ
イズは約40μmであるが、酢酸ベンジルを2%〜30
%程度添加すると約20μmにまで減少する。しかし、
酢酸ベンジルを30%以上添加しても、発生するチッピ
ングサイズを減少する効果は少なく、逆に増大する傾向
にある。
【0045】前述のように、エステル類である酢酸ベン
ジルも界面活性剤と同等の役割を果たし、アルミナ・チ
タンカーバイドにおける研削液4のぬれ性が向上してチ
ッピングの減少が望めるが、酢酸ベンジルを過剰に添加
すると、溶媒であり潤滑剤の役割も果たす重質のパラフ
ィン系炭化水素の全体を占める割合が減少するため、研
削後に発生するチッピングサイズが増大するものと考え
られる。また、酢酸ベンジルの含有率が10%以上30
%以下では、チッピングサイズに対する効果にはさほど
変化が無いため、添加する酢酸ベンジルの含有率の上限
は、コスト面から見ても10%で十分である。尚、その
他のエステル類についても同様の結果が得られており、
よって、エステル類の適切な含有率は、好ましくは溶媒
に対して2%以上30%以下であり、より好ましくは溶
媒に対して2%以上10%以下であると言える。
【0046】(3.砥粒の粒径とチッピングの関係)次
に、研削に用いる砥石1の砥粒1aの粒径を変化させ、
発生するチッピングサイズとの関係を調べた。砥石1に
用いる砥粒1aは単結晶ダイヤモンドであり、結合材1
bにより結合されている。砥粒1aの大きさは、番手で
#600(平均粒径25μm;粒径20〜30μm)、
#800(平均粒径15μm;粒径10〜20μm)、
#1000(平均粒径12μm;粒径8〜16μm)、
#1500(平均粒径8μm;粒径5〜10μm)、#
2000(平均粒径6μm;粒径4〜8μm)、#25
00(平均粒径5μm;粒径4〜6μm)、#3000
(平均粒径4μm;粒径2〜6μm)を用いた。また、
それぞれの番手において砥石寿命を求めた。本実施例に
おける砥石寿命は、研削により砥石が磨耗して、その板
厚が10μm以上減少したときの切削対象物2の加工長
とした。これは、砥石の板厚の変化が磁気ヘッドの寸法
に直接反映されるためであり、大きく板厚が減少した砥
石で研削したものは、実際の製品としての磁気ヘッドに
おいて寸法上の歩留まりが低下するためである。尚、用
いた研削液4は重質のパラフィン系炭化水素(第4石油
類)に10%の酢酸ベンジルを混合したものを用いた。
【0047】図3からわかるように、発生したチッピン
グサイズは、砥粒1aの番手が大きくなるにつれて、即
ち砥粒1aの粒径が小さくなるにつれて小さくなった。
これは、砥粒1aが小さいほど研削時に研削対象物2を
削り取る大きさが小さくなり、発生する摩擦熱を少なく
して熱衝撃に基づくチッピング・ブレイクアウェイの発
生を抑制することができる。
【0048】しかし、砥粒1aが小さくなると、図3か
らわかるように、発生するチッピングサイズ(図3中に
●で記載)も小さくなるものの、砥石寿命(図3中に○
で記載)が短くなる。これは、砥粒1aの粒径が小さく
なるとすぐに目つぶれを起こしやすくなり、研削不能に
陥ると逆にチッピングが発生しやすくなる。このよう
に、砥粒1aの粒径が小さすぎるものは実用的でなく、
実際の磁気ヘッドの製造工程においては砥石の目立てが
頻繁に必要となりコスト高となる。実際、砥粒1aの番
手が#2500(平均粒径5μm;粒径4〜6μm)と
#3000(平均粒径4μm;粒径2〜6μm)を比べ
ると、チッピングサイズは平均粒径の小さい#3000
の方が逆に大きくなっていることがわかる。
【0049】以上より、磁気ヘッドの基部におけるチッ
ピング・ブレイクアウェイを回避するには、砥粒1aの
番手が#1500から#2500程度のもの、即ち砥粒
1aの平均粒径が5〜8μm(粒径が4μm以上10μ
m以下)のものが用いられた砥石1で研削することが好
ましいといえる。
【0050】
【発明の効果】本発明の磁気ヘッドの製造方法によれ
ば、薄膜素子が設けられた磁気ヘッドを砥石により研削
する工程で用いる研削液が、パラフィン系炭化水素を溶
媒とすることにより、水やイオンに対して耐腐食性が低
い材料を有する薄膜素子を備えた磁気ヘッドの研削にお
いて、耐腐食性が低い材料を腐食させずに、磁気ヘッド
を良好に研削できる
【0051】また、本発明の磁気ヘッドの製造方法によ
れば、パラフィン系炭化水素は、第3石油類及び第4石
油類の少なくともいずれか一方に属するものを用いるこ
とにより、第1石油類や第2石油類のパラフィン系炭化
水素よりも引火点が高く、取り扱い時の安全性の面で有
利となる。
【0052】また、本発明の磁気ヘッドの製造方法によ
れば、パラフィン系炭化水素は、第4石油類に属するも
のを用いることにより、第3石油類に属するパラフィン
系炭化水素を用いるよりも、さらに取り扱いが容易とな
る。
【0053】また、本発明の磁気ヘッドの製造方法によ
れば、パラフィン系炭化水素に引火点が100℃以上の
エステル類を添加し、2%以上30%以下の範囲内で含
有させることにより、界面活性剤を用いることなく、ま
た、研削加工点の温度が上昇しても引火することなく、
研削液の磁気ヘッドの基部に対するぬれ性を向上するこ
とができ、研削された切粉の分散・排出性が向上し、発
生するチッピングサイズ及びチッピング量を低減するこ
とができる。
【0054】また、本発明の磁気ヘッドの製造方法によ
れば、砥石の砥粒の粒径が4μm以上10μm以下であ
ることにより、研削時に各砥粒が磁気ヘッドを削り取る
大きさが小さくなり、発生する摩擦熱を少なくして熱衝
撃に基づくチッピングの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気ヘッドの製造方法に係る砥石の要
部説明図である。
【図2】本発明の磁気ヘッドの製造方法に係るグラフ図
である。
【図3】本発明の磁気ヘッドの製造方法に係るグラフ図
である。
【図4】従来の磁気ヘッドの製造方法に係る砥石の要部
説明図である。
【図5】従来の磁気ヘッドの製造方法に係る要部説明図
である。
【符号の説明】
1 砥石 1a 砥粒 1b 結合材 1c 気孔 2 研削対象物 3 治具 4 研削液 5 ノズル

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薄膜素子が設けられた磁気ヘッドを砥石
    により研削する工程で用いる研削液が、パラフィン系炭
    化水素を溶媒とすることを特徴とする磁気ヘッドの製造
    方法。
  2. 【請求項2】 前記パラフィン系炭化水素は、第3石油
    類及び第4石油類の少なくともいずれか一方に属するも
    のを用いることを特徴とする請求項1に記載の磁気ヘッ
    ドの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記パラフィン系炭化水素は、第4石油
    類に属するものを用いることを特徴とする請求項2に記
    載の磁気ヘッドの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記パラフィン系炭化水素に引火点が1
    00℃以上のエステル類を添加し、2%以上30%以下
    の範囲内で含有させることを特徴とする請求項1、請求
    項2又は請求項3に記載の磁気ヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記砥石の砥粒の粒径が、4μm以上1
    0μm以下であることを特徴とする請求項1〜請求項4
    のいずれか一に記載の磁気ヘッドの製造方法。
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