JP2000281743A - 過冷却液晶性ポリウレタン - Google Patents

過冷却液晶性ポリウレタン

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JP2000281743A
JP2000281743A JP11090540A JP9054099A JP2000281743A JP 2000281743 A JP2000281743 A JP 2000281743A JP 11090540 A JP11090540 A JP 11090540A JP 9054099 A JP9054099 A JP 9054099A JP 2000281743 A JP2000281743 A JP 2000281743A
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Fumitaka Horii
文敬 堀井
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ASAI SHOKUSAN KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 サーモトロピックな液晶性を有し、特
定のモードの分子運動を広い周波数にわたって発現させ
ることにより、制振性、選択的気体透過性等の特定の機
能に優れたサーモトロピック液晶性ポリウレタンを提供
する。 【解決手段】 サーモトロピック液晶性ポリウレタン
を等方相からネマチック相を経て結晶化させて得られる
結晶ドメイン中にミクロ相分離した過冷却状態の液晶相
を含有し、少なくとも数平均分子量が10,000以上
である過冷却液晶性ポリウレタンとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サーモトロピック
液晶ポリウレタンに関する。
【0002】
【従来の技術】サーモトロピック液晶ポリマーは、きわ
めて優れた流動特性や耐熱性が他の樹脂にない特徴とな
り、電子・情報産業の分野で広く使用できることから、
近年制振特性などの高機能性を付与する試みが数多くな
されている。
【0003】サーモトロピック液晶ポリウレタンとして
は、特開昭56−152830号に3,3−ジメチル−
4,4−ビフェニルジイル ジイソシアナートとアルカ
ンジオール〔HO-(CH2)n -OH ,ただしn≧5〕の重付加
物が液晶性を有すると記載されている。また2,4−ト
リレンジイソシアナート等からなる液晶ポリウレタンの
例が高分子論文集,Vol.43, 5, p311-314(1986) や Mac
romolecules, 22,1467(1989)に記載されている。さら
に、特開平1−129017号には有機ヒドロキシ化合
物と少くとも2個のフェニレン基および少くとも1個の
エステル基を有するジイソシアナートとの重付加物が液
晶性を示すことが、また、特開平5−306319号に
2,5−トルエンジイソシアナートから得られるポリウ
レタン、特開平5−170860号に1,4−フェニレ
ンジイソシアナートから得られるポリウレタン、特開平
6−41263号に4,4−ビス(ヒドロキシメチル)
ビフェニルから得られるポリウレタン、特開平7−25
8369号にトランス−1,4−シクロヘキサンジイソ
シアナートから得られるポリウレタンが液晶性を有する
と記載されている。
【0004】しかしながら、これらのサーモトロピック
液晶ポリウレタンは、室温付近の使用温度ではいづれも
高い結晶化度を持つものであり、例えば、特開平5−1
70860号で明らかにされているように、結晶化度が
78%とかなり結晶性に富むとされ、液晶成分は出来る
限り結晶化して使用されるものである。また、特開昭5
6−152830号で開示されている3,3−ジメチル
−4,4−ビフェニルジイル ジイソシアナートとアル
カンジオール〔HO-(CH2)n -OH ,ただしn=8,10,
12〕の重付加物は、液晶相となる領域は180℃付近
(n=12)から240℃付近(n=8)となることが
確認されているものの、還元粘度の明記がなく、分子量
に関与する液晶の結晶化による構造規制及びその分子運
動については何ら言及されていない。
【0005】一般的に、ポリウレタンは、クッション或
いは断熱用の低密度フォーム分野、また塗料、接着剤、
繊維、合成皮革等の分野に多種多様な形で広く使用され
る重要なポリマーであるが、上記サーモトロピック液晶
ポリウレタンがこの何れの分野において好適に使用でき
るものであるか否かは明確ではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、サーモトロ
ピックな液晶性を有し、特定のモードの分子運動を広い
周波数にわたって発現させることにより、特に制振性や
選択気体透過性等の特定の機能に優れたサーモトロピッ
ク液晶ポリウレタンを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を達成する為、鋭意検討した結果、1,8−オクタンジ
オールあるいは1,10−デカンジオールあるいは1,
12−ドデカンジオールおよびメチル基を1個有する1
価のアルコールおよび3,3−ジメチル−4,4−ビフ
ェニルジイル ジイソシアナート等から得られ、数平均
分子量が少なくとも10,000以上であるポリウレタ
ン( 通常サーモトロピック液晶性ポリウレタン )を等方
相からネマチック相を経て結晶化させて得られる結晶ド
メイン中に、ミクロ相分離した過冷却状態の液晶相を含
有せしめることにより、特定のモードの分子運動を広い
周波数にわたって発現させうることを見出した。本発明
はかかる知見に基づいてなされるに到ったものである。
【0008】すなわち、本発明は以下の発明を提供する
ものである。 (1) サーモトロピック液晶性ポリウレタンを等方相
からネマチック相を経て結晶化させて得られる結晶ドメ
イン中にミクロ相分離した過冷却状態の液晶相を含有
し、少なくとも数平均分子量が10,000以上である
ことを特徴とする過冷却液晶性ポリウレタン。
【0009】(2) 数平均分子量が少なくとも15,
000以上であることを特徴とする (1) 記載のポリウ
レタン。
【0010】(3) 数平均分子量が少なくとも30,
000以上であることを特徴とする (1) 1記載のポリ
ウレタン。
【0011】(4) 過冷却状態の液晶相を5〜95モ
ル%含有する (1) 〜 (3) の何れかに記載のポリウレ
タン。
【0012】(5) サーモトロピック液晶性ポリウレ
タンが1,8−オクタンジオールあるいは1,10−デ
カンジオールあるいは1,12−ドデカンジオール、メ
チル基を1個有する1価のアルキルアルコール及び3,
3−ジメチル−4,4−ビフェニルジイル ジイソシア
ナートから得られる (1) 〜 (4) の何れかに記載のポ
リウレタン。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】本発明のポリウレタンは、例えば、1,8
−オクタンジオールあるいは1,10−デカンジオール
あるいは1,12−ドデカンジオールのジオール成分と
メチル基を1個有する1価のアルキルアルコールのモノ
オール成分と3,3−ジメチル−4,4−ビフェニルジ
イル ジイソシアナートのジイソシアナート成分とを
1:0.05:1.05から1:0.001:1.00
1のOH/NCO当量比に相当する割合で付加反応させ
ることにより得られるものを出発物質とする。
【0015】なお、本付加反応においては、メチル基を
1個有する1価のアルキルアルコールのモノオール成分
は生成されるポリウレタンの数平均分子量を、本発明で
規定する特定の範囲に調節するために使用される。
【0016】かかるメチル基を1個有する1価のアルコ
ールとしては、特に限定するものではないが、例えばメ
チルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコー
ル、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソ
ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、ter
t−ブチルアルコール、ペンチルアルコール、イソペン
チルアルコール、ネオペンチルアルコール、ヘキシルア
ルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコールな
どが使用できる。
【0017】また、上記付加反応は、通常反応温度10
0℃〜200℃程度、反応時間4時間〜15時間程度
で、乾燥された窒素ガス等の不活性ガス中で、アニソー
ル等の溶剤下において、あるいは無溶剤下での塊状にお
いて行われる。なお、付加反応には、通常使用されるジ
ブチルチンジラウレート等のウレタン化触媒を使用する
ことも可能である。
【0018】本発明においては、以上のポリウレタン(
サーモトロピック液晶性ポリウレタン )を等方相からネ
マチック相を経て結晶化させる。
【0019】ポリウレタンを等方相からネマチック相を
経て結晶化させる方法としては、特に限定するものでは
ないが、常圧において乾燥された窒素ガス等の不活性ガ
ス中で溶融せしめて等方状態にあるポリウレタンを、一
定の速度で冷却させる方法が適用できる。採用できる冷
却速度は特に限定されるものではないが、0.1℃/m
in〜50℃/min、好ましくは1℃/min〜10
℃/minの速度が工業的にも合理的な範囲である。
【0020】この際、等方相からネマチック相を偏光顕
微鏡観察により観察しながら冷却速度を調節することが
好ましい。
【0021】以上のごとくしてネマチック相を経て結晶
化させた結晶ドメイン中には、ミクロ相分離した過冷却
状態の液晶相が含有されている。含有液晶成分量の含有
量は5〜90モル%、好ましくは10〜80モル%、さ
らに好ましくは20〜70モル%程度である。この過冷
却状態の液晶相の含有量の測定は、固体高分解能13CNMR
法等により行うことが可能である。なお、本発明の過
冷却液晶性ポリウレタンは液晶相を分離してもよいが、
このまま含有された形で使用することも可能である。
【0022】すなわち、固体用飽和回復法により、13C
スピン−格子緩和過程をマジック角試料回転(MAS)
下、室温にて少なくとも200 秒にわたって測定し、メソ
ゲン(本発明においては、ジイソシアナート成分)およ
びスペーサー炭素(本発明においては、ジオール成分)
の共鳴線強度の時間変化を解析することにより、最もス
ピン−格子時間T1が短い成分の質量分率として決定する
ことが可能である。
【0023】また、液晶ポリウレタンは特定のモードの
分子運動を広い周波数にわたって発現させることができ
るが、その特定のモードの分子運動の広い周波数にわた
る発現は、−80〜200 ℃における固体13C NMR解析に
より確認できる。
【0024】すなわち、スペーサーメチレン炭素の13C
等方化学シフトに及ぼすγ- ゴーシュ効果を解析するこ
とにより、このメチレン連鎖はtt(xt)1xtt (l = 1,2,3)
で表わされる特異なコンホメーションをもつことを明ら
かにできるのである。ここで、t はトランス、x はトラ
ンスとゴーシュの間の高速遷移を表わす。この遷移の速
さについては、−80℃付近におけるtt(xt)l xtt ⇒ tt
(tt) l ttt 転移からこの温度付近では100Hz 程度、ま
13C T1の解析により室温以上では108Hz 以上であるこ
とを確認できる。なお、メソゲン部分の運動性について
は、13C T1および 13C 化学シフトの異方性により解析が
でき、スペーサー部分に比べてかなり運動性が拘束され
ていることが確認できる。
【0025】本発明における過冷却液晶性ポリウレンを
膜、シート、糸等の成形物にしたときの当該成形物の機
械的強度や剛性の点から、少なくとも数平均分子量は1
0,000、好ましくは15,000以上、さらに好ま
しくは30,000以上である。上限については特に限
界はないが通常300,000程度である。
【0026】本発明における数平均分子量は、測定対象
ポリマーを溶解した溶液の 1H-NMRスペクトルを測定
し末端基のメチル基を定量して求めることができる。
【0027】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に具体的に
説明する。
【0028】(実施例1) (1) 還流管を備えた200ml 三つ口丸底フラスコに、
1,8−オクタンジオール(OD) 2.8930g(0.01982mo
l)と3,3−ジメチル−4,4−ビフェニルジイルジイ
ソシアナート(TODI)5.2857g(0.02002 mol) およ
び、ヘキシルアルコール(HA)0.0418g(0.00041 mo
l) 、溶媒として無水アニソール100 mlを入れ、窒素気
流下、140℃で6時間反応を行った。反応後、生成物
にアニソール100ml を加えメタノール2000 ml 中へ投入
し沈殿物を得た。得られた沈殿物を、メタノールで充分
に洗浄した後、70℃で24時間減圧乾燥した。
【0029】(2) 得られたポリマー(PDBDM−
8)の構造は 1H-NMR、赤外スペクトルで解析した
結果、ODとTODIとHAとの反応生成物としての化
学構造を有することを認めた。又、溶液の 1H-NMR
スペクトルを測定による末端基定量法により、数平均分
子量は38,200であった。さらに熱的性質及び液晶性は
DSCおよび偏光顕微鏡によって調べた結果、昇温過程
におけるポリマーの融点(Tm ) と等方性流動相への転移
点( Ti) がそれぞれ230 ℃と238 ℃とにあることが判っ
た。なお、降温過程では、液晶化と結晶化に基づく発
熱ピークが208 ℃に計測された。
【0030】(3) 次に、PDBDM−8を240℃、
乾燥アルゴンガス中で溶融し、偏光顕微鏡で観察しつ
つ、1℃/minの速度で25℃まで冷却し過冷却液晶
成分を含むサンプルFR−PDBDM−8を得た。な
お、冷却過程で208 ℃付近でネマチック相が観察され
た。
【0031】FR−PDBDM−8サンプルをMAS試
料ロータに充填し、固体高分解能NMR装置により室
温で固体用飽和回復法を用いて、13C スピン−格子緩和
過程を測定した。得られた部分緩和スペクトルのOCH2
素の共鳴線のピーク強度(Mc)を時間に対してプロット
し、コンピュータによる最小二乗法によりT1の異なる3
成分に分離した。図1にこの結果を示す。これら3成分
のうちT1=0.55 sの成分が過冷却液晶成分に相当し、そ
のモル分率は0.62であった。同様な解析をフェニレン炭
素およびCO炭素に行った結果、図2に示すように、これ
らの場合はT1の異なる2成分の存在が確認され、T1=12
−24 sの成分を過冷却液晶成分とした。また、そのモル
分率は0.35程度であった。
【0032】一方この試料について1Hスピン−格子緩和
過程を解析することにより、図3に示すように、マクロ
に相分離した過冷却液晶成分が全体に対して約10%と含
まれていることを確認した。したがって、結晶ドメイン
中の過冷却液晶成分としては、スペーサー部分の約0.5
およびメソゲン部分の約0.25により構成されているとい
える。すなわち、結晶ドメイン中には約38モル%の過冷
却状態の液晶成分を含有することを確認した。なお、マ
クロに相分離した過冷却液晶成分は、結晶化のための冷
却速度を下げることにより消滅させることができること
を確認した。
【0033】(4) このサンプルについての特定のモー
ドの分子運動の広い周波数にわたる発現の確認は以下の
ようにして行った。
【0034】過冷却液晶成分の含有量のNMR測定と同
様の方法で、 90 °単一パルス系列を用い、パルス繰返
し時間を2秒に設定することにより、過冷却液晶成分の
13CNMR スペクトルを選択的に測定した。また、CPT1パ
ルス系列を用い、T1緩和のための遅延時間を100 秒に設
定し、結晶成分のみの13C NMRスペクトルを測定し
た。結晶成分のスペーサーメチレン鎖が平面ジグザグ構
造を有すること及びその場合の各メチレン炭素の化学シ
フト値を利用し、過冷却液晶成分のスペーサーメチレン
炭素の共鳴線の波形解析を行った。
【0035】その結果得られる各炭素の化学シフト値を
γ−ゴーシュ効果を考慮して検討した結果、過冷却液晶
成分のスペーサーメチレン鎖は、図4に示すようにttxt
xtt( m=8 )で表わされる特異なコンホメーションを
もつことを明らかにした。ここで、t はトランス、x は
トランスとゴーシュの間の高速遷移を表わす。遷移の周
波数については、−80℃付近でx がすべてt に転移する
ことから、この温度直上では100Hz 程度、室温以上では
13C T1が数100 ミリ秒であることより108Hz 以上である
ことを確認した。一方メソゲン部分の運動性について
は、MAS を行わないで同様な測定を行い、13C 化学シフ
トの異方性により検討し、メソゲン部分は過冷却液晶状
態では、液晶状態に比べてかなり運動性が拘束されてい
ることを確認した。
【0036】(実施例2) (1) 還流管を備えた200ml 三つ口丸底フラスコに、
1,10−デカンジオール(DD) 3.4409g( 0.01978
mol)と3,3−ジメチル−4,4−ビフェニルジイル
ジイソシアナート(TODI)5.2857g(0.02002mol) 及
び、ヘキシルアルコール(HA)0.0500g( 0.00049mo
l) 、溶媒として無水アニソール100 mlを入れ、窒素気
流下、140 ℃で6時間反応を行った。反応後、生成物に
アニソール100mlを加えメタノール2000 ml 中へ投入し
沈殿物を得た。得られた沈殿物を、メタノールで充分に
洗浄した後、70℃で24時間減圧乾燥した。
【0037】(2) 得られたポリマー(PDBDM−1
0)の構造は 1H-NMR、赤外スペクトルで解析した
結果、DDとTODIとHAとの反応生成物としての化
学構造を有することを認めた。又、溶液の1H- NMR
スペクトルの測定による末端基定量法により、数平均分
子量は36,200であった。さらに、熱的性質及び液晶性
はDSCおよび偏光顕微鏡によって調べた結果、昇温過
程におけるポリマーの融点( 以下、 Tm と略す) と等方
性流動相への転移点( 以下Tiと略す) がそれぞれ221 ℃
と229 ℃とにあることが判った。なお、降温過程で
は、液晶化と結晶化に基づく発熱ピークが205 ℃に計測
された。
【0038】(3) 次に、PDBDM−10を240
℃、乾燥アルゴンガス中で溶融し、偏光顕微鏡で観察し
つつ、1℃/minの速度で25℃まで冷却し過冷却成
分を含むサンプルFR−PDBDM−10を得た。冷却
過程で205 ℃付近でネマチック相が観察された。
【0039】FR−PDBDM−8の場合と同様、FR
−PDBDM−10についても固体高分解能13C NMR 法
により、13C および 1HのT1緩和過程を解析することに
より、結晶ドメイン中に約40モル%の過冷却状態の液晶
成分が含有されることを確認した。
【0040】(4) このサンプルについての特定のモー
ドの分子運動の広い周波数にわたる発現の確認は以下の
ようにして行った。
【0041】FR−PDBDM−8の場合と同様の固体
高分解能13C NMR スペクトルの波形解析および13C T1
の解析により、図4及び図5に示すように、FR−PD
BDM−10でも過冷却液晶成分のスペーサーメチレン
鎖はttxtxtxtt ( m=10 )で表わされる特異なコンホ
メーションをもつことが確認できた。またx における遷
移は−80℃付近で100Hz 程度であるが、室温以上では10
8 Hz以上であることが分かった。
【0042】またメソゲン部分についても、FR−PD
BDM−8と同様13C 化学シフトの異方性の解析によ
り、過冷却液晶状態では液晶状態に比べて分子運動性が
かなり拘束されていることを確認した。
【0043】(実施例3) (1) 還流管を備えた200ml 三つ口丸底フラスコに、
1,12−ドデカンジオール(DDD) 3.9552g(0.019
58mol)と3,3−ジメチル−4,4−ビフェニルジイル
ジイソシアナート(TODI)5.2857g( 0.02002mol)
および、ヘキシルアルコール(HA)0.08976g(0.00088
mol)、溶媒として無水アニソール100 mlを入れ、窒素
気流下、140℃で6時間反応を行った。反応後、生成
物にアニソール100ml を加えメタノール2000 ml 中へ投
入し沈殿物を得た。得られた沈殿物を、メタノールで充
分に洗浄した後、70℃で24時間減圧乾燥した。
【0044】(2) 得られたポリマー(PBDBDM−
12)の構造は 1H-NMR、赤外スペクトルで解析し
た結果、DDDとTODIとHAとの反応生成物として
の化学構造を有することを認めた。又、溶液の 1H-N
MRスペクトルを測定による末端基定量法により、数平
均分子量は22,500であった。さらに熱的性質及び液晶
性はDSCおよび偏光顕微鏡によって調べた結果、昇温
過程におけるポリマーの融点( Tm ) と等方性流動相へ
の転移点( Ti) がそれぞれ184 ℃と186 ℃とにあること
が判った。なお、降温過程では、液晶化と結晶化に基
づく発熱ピークが136 ℃に計測された。
【0045】(3) 次に、PBDBDM−12を240
℃、乾燥アルゴンガス中で溶融し、偏光顕微鏡で観察し
つつ、1℃/minの速度で25℃まで冷却し過冷却液
晶成分を含むサンプルFR−PBDBD−12を得た。
なお、冷却過程で136 ℃付近でネマチック相が観察され
た。
【0046】FR−PDBDM−8およびFR−PDB
DM−10の場合と同様、FR−PDBDM−12につ
いても固体高分解能13C NMR 法により、13C および 1
のT1緩和過程を解析することにより、結晶ドメイン中に
約40モル%の過冷却状態の液晶成分が含有されることを
確認した。
【0047】(4) このサンプルについての特定のモー
ドの分子運動の広い周波数にわたる発現の確認は以下の
ようにして行った。
【0048】FR−PDBDM−8およびFR−PDB
DM−10の場合と同様の固体高分解能13C NMR スペク
トルの波形解析および13C T1値の解析により、FR−P
DBDM−12でも図4に示すように、過冷却液晶成分
のスペーサーメチレン鎖はttxtxtxtxtt ( m=12 )で
表わされる特異なコンホメーションをもつことが確認で
きた。また、x における遷移は−80℃付近で100Hz 程度
であるが、室温以上では108 Hz以上であることが分かっ
た。メソゲン部分についてもFR−PDBDM−12と
同様13C 化学シフトの異方性の解析により、過冷却液晶
状態では液晶状態に比べて分子運動性がかなり拘束され
ていることを確認した。
【0049】
【発明の効果】本発明の過冷却液晶性ポリウレタンは、
サーモトロピックな液晶性を有し、特定のモードの分子
運動を広い周波数にわたって発現しうるので、制振性、
選択的気体透過性等の特定の機能に優れ、制振材料や気
体分離膜として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】PDBDM−8のOCH2炭素についての13C スピ
ン−格子緩和実験の結果を示すグラフ
【図2】PDBDM−8のCO炭素についての13C スピン
−格子緩和実験の結果を示すグラフ
【図3】PDBDM−8の1Hスピン−格子緩和実験の結
果を示すグラフ
【図4】過冷却液晶状態における長さの異なるスペーサ
のコンホメーションを示す図
【図5】過冷却液晶状態におけるメソゲンとスペーサの
構造モデルを示す図

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サーモトロピック液晶性ポリウレタンを
    等方相からネマチック相を経て結晶化させて得られる結
    晶ドメイン中にミクロ相分離した過冷却状態の液晶相を
    含有し、少なくとも数平均分子量が10,000以上で
    あることを特徴とする過冷却液晶性ポリウレタン。
  2. 【請求項2】 数平均分子量が少なくとも15,000
    以上であることを特徴とする請求項1記載のポリウレタ
    ン。
  3. 【請求項3】 数平均分子量が少なくとも30,000
    以上であることを特徴とする請求項1記載のポリウレタ
    ン。
  4. 【請求項4】 過冷却状態の液晶相を5〜95モル%含
    有する請求項1〜3の何れかに記載のポリウレタン。
  5. 【請求項5】 サーモトロピック液晶性ポリウレタンが
    1,8−オクタンジオールあるいは1,10−デカンジ
    オールあるいは1,12−ドデカンジオール、メチル基
    を1個有する1価のアルキルアルコール及び3,3−ジ
    メチル−4,4−ビフェニルジイル ジイソシアナート
    から得られる請求項1〜4の何れかに記載のポリウレタ
    ン。
JP11090540A 1999-03-31 1999-03-31 過冷却液晶性ポリウレタン Withdrawn JP2000281743A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2017002682A1 (ja) * 2015-07-01 2017-01-05 東洋ゴム工業株式会社 熱応答性液晶エラストマーを含む単繊維、フィラメント糸、繊維製品

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