JP2000277791A - 半導体受光装置及びその作製方法 - Google Patents

半導体受光装置及びその作製方法

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JP2000277791A
JP2000277791A JP11079350A JP7935099A JP2000277791A JP 2000277791 A JP2000277791 A JP 2000277791A JP 11079350 A JP11079350 A JP 11079350A JP 7935099 A JP7935099 A JP 7935099A JP 2000277791 A JP2000277791 A JP 2000277791A
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semiconductor light
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Hiroshi Ito
弘 伊藤
Tadao Ishibashi
忠夫 石橋
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低バイアス領域あるいは無バイアス状態におい
て従来よりも高出力が得られる高速で高効率な受光装置
を実現し、さらに、前記受光装置1個から複数の電気信
号を出力することを可能とすること。 【解決手段】半導体基板裏面から入射する信号光を、半
導体基板表面に形成された多面凹部よりなる光分割器
(例えばV字溝状光分割器)によって複数の信号光に分
割し、それぞれを別々の受光素子で受光して、それぞれ
の信号光を信号電流に変換する機能を備えたことを特徴
とする半導体受光装置を構成することによって課題を解
決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低バイアスもしく
は無バイアスで高出力が得られる高速で高効率な半導体
受光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フォトダイオードに代表される受光素子
は光信号を電気信号に変換するための素子であり、光通
信や光計測などの分野で幅広く使われている。従来のp
n接合を用いたフォトダイオードは、図15に示すよう
に、半導体基板61上に形成された光吸収層63を下部
電極層62及び上部電極層64で挾んだ構造を基本構造
として用いている。そして、各電極層に接して下部電極
65及び上部電極66が形成される。例えば、InP基
板上に形成され、下部電極層62としてn型InP層、
光吸収層63としてアンドープInGaAs層、上部電
極層64としてp型InP層を用いた受光素子がある。
この受光素子は、光通信で重要な1.55μm帯の波長
の光を受光するのに好適であり、様々な変形例を伴っ
て、広く用いられている。
【0003】なお、ここでは信号光(入射光67)を基
板裏面から基板面に垂直に入射させる裏面入射型受光素
子の例を示したが、基板の端面から信号光を入射させる
導波路型受光素子であっても良く、この場合にも上記の
層構成が基本構造として用いられている。ちなみに、裏
面入射型の利点は、上部電極66で反射された反射光6
8を有効に利用して効率を向上できることである。
【0004】受光素子を低バイアス、もしくは無バイア
スで用いる場合の負荷直線を図16に示す。なお、ここ
では、平均光入力パワー一定で変調度がほぼ100%の
高周波信号入力の場合について表示している。また、見
やすさのために電流と電圧の極性を通常の場合とは反転
(左右、上下をそれぞれ反転)して表示してある。電源
電圧を極力低減させ、素子の消費電力を低減させるため
には、図16に示すように負荷直線をダイオード特性の
立ち上がり電圧付近まで引くのが好適であることは、従
来から知られている。このダイオードの立ち上がり電圧
は、ダイオードを構成する材料に依存しており、図15
に示したInGaAsを吸収層とするダイオードの場
合、概ね+0.5V程度が限界であった。従って、より
大きな出力電圧振幅を必要とする応用では、バイアス電
圧を印加して負荷直線を高電圧側へシフトさせて出力を
確保する(図16参照)必要があり、消費電力の増大を
招いてしまうという問題点があった。一方、無バイアス
の要請がある場合は、出力電圧振幅をダイオード特性の
立ち上がり電圧までの範囲内にあるように妥協せざるを
得ないという問題点があった。なお、出力電流について
は、効率の増大、素子面積の増大、素子の並列接続など
の手法により、比較的容易に増大させることができる。
【0005】これに対し、太陽電池の技術分野では、各
セル(ダイオード)を直列接続し、順バイアス側の直流
出力電圧を増大させるという手法が従来から用いられて
いる。この考え方を本願発明の対象とする高速受光素子
に適用し、例えば、2つのダイオードを直列に接続した
場合についてこれを説明すると、図17のようになる。
2つのダイオードが同一特性を有するように形成されて
いれば、印加電圧は各々の受光素子に均等に分配される
ため、順バイアス側の動作マージンは、両者の立ち上が
り電圧の和、すなわち単一のダイオードの立ち上がり電
圧の倍の値まで拡張されることになる。従って、例えば
無バイアスの場合、出力電圧振幅を倍にすることができ
る。このような構成を具体的に実現するやり方として従
来用いられてきたのは、面積的に分割した受光素子に一
括して入射信号光を入射させる構造である。これは、太
陽電池のように、時間的変化の遅い信号(例えば太陽光
のような直流信号)を受光する場合には有効である。そ
れは、極力効率を高く保つために、受光面積に対し他の
構造物、例えば配線や素子間分離部の割合を小さくする
ことにより抵抗や容量の増大を招いて素子の動作速度が
低下しても、通常問題とならないからである(太陽電池
は直流動作である)。
【0006】一方、本願発明が対象としている技術分野
である光通信や光計測の分野では、極めて高速に変化す
る信号を扱うことが通常である。そのため、通常、抵抗
の増大及び容量の増大を抑制することを目的として、素
子面積を必要最小限に抑えたり、下部電極面積を増大さ
せるなどの最適設計がなされている。また、これに対応
させて、入射信号光は通常レンズで小さく絞られて受光
素子に入射させる構成が用いられている。このような構
成において、各々の素子部となる各メサ間に、電極を配
置したり素子間分離のための隙間を設ける必要があるた
め、入射光の一部が吸収層に到達せずに入射光を有効に
利用することができないという問題があった。特に信号
光を2分割する場合はこの問題が顕著となる。この点に
ついて、基板に対し裏面から垂直に信号光を入射する場
合を例に説明する。
【0007】通常、入射光は円形の断面を有しているの
で、素子全体は円形状に構成するのが好適である。そし
て、各々の受光素子の特性を同一とするためには、各素
子は面対称に形成する必要がある。従って、素子の平面
形状は、例えば図18に示すように、円形を2分割した
ような形状となる。また、素子抵抗を低減するためには
図18に示すようにメサ状素子部周辺を下部電極が取り
囲んでいる必要があり、かつ素子間分離を行うためには
図18に示すように素子間に溝を形成する必要がある。
さらに、対称性の要請から、この溝は入射光の中心、す
なわち光強度の最も強い位置に設ける必要がある。な
お、ここではその他の配線などは省略している。図18
下図に、入射信号光の、素子径方向の強度分布を合わせ
て示す。このような構成では、図18下図に示すよう
に、入射光の強度分布の断面積のうち、かなりの部分を
利用することができなくなってしまい、効率が著しく低
下してしまうという問題があった。
【0008】上記の問題は、予め信号光を受光素子とは
別の光分割器で分割しておけば避けることもできるが、
このような光分割器と受光素子を別々に作製して実装し
モジュール化する構成では、コストの上昇、歩留まりの
低下などは避けられない問題である。
【0009】図19は、別の従来例であって、基板上に
設けられた光導波路により入射信号光が分割され、別々
の受光素子へ独立に入射するように構成したものであ
る。この構成では、基板に対し横方向から信号光が入射
するようになっている。この構成に、前述の従来例の考
え方である受光素子の直列接続を適用することにより、
高速性を保ち、かつ光分割による効率の低下のない受光
装置を構成することができる。しかしながら、この場
合、基板に対し横方向から信号光を入射させる構成で
は、一般的に基板に対し垂直に信号光を入射させる場合
に比べ、入力光との結合損失が大きいことや、光導波路
を受光素子とは別に半導体基板上に作製する必要があ
り、効率の低下、素子製作コストの増大、素子歩留まり
の低下、などを招いてしまうという問題がある。また、
光入射端面に劈開面を用いるため、通常の半導体製造プ
ロセスなどとの整合性が悪く、量産性の観点で問題があ
り、他の素子とのモノリシック集積化の自由度も低いな
どの問題がある。さらに、劈開しないと素子特性の測定
ができないために、ウエハ状態での素子評価ができない
ことも問題となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上述
の従来技術における問題点を解消するものであって、低
バイアス領域あるいは無バイアス状態において従来より
も高出力が得られる高速で高効率な受光装置を実現する
簡便な構成を提供することにある。また、本発明の課題
は、単一の受光装置から複数の電気信号の出力を可能と
するなどの機能性の付与を可能とする構成を提供するこ
とにもある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明では、入射信号光を複数の信号光に分割する
多面凹部と、前記分割された信号光を独立に受光する複
数の裏面入射型半導体受光素子を備えた半導体受光装置
を構成する。ここに、「多面凹部」とは、少なくとも2
面の平面部分を有する凹部、例えばV字溝(断面がV字
状の溝)を意味し、「独立に受光する」とは、複数の信
号光を1つの受光素子で受光することはないことを意味
する。このような構成にすることにより、入射光を損失
無く分割し、各々を別々の受光素子に入射させるととも
に、各受光素子を直列に接続することにより、高速性を
損なうことなく簡便に順バイアス領域の動作マージンを
より高電圧側まで延長することができる。また、各々の
受光素子に入射した信号光を電気信号に変換して、独立
に取り出すように電極を形成することにより、入射光信
号に同期した複数の電気信号を独立に出力させたり、正
負両極性の信号を出力させたりすることもできる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、実施例について図面を参照
して説明する。
【0013】以下では主に受光素子の一例として、高速
性、高出力性に優れるUTC−PD(Uni-Traveling-Ca
rrier Photodiode)と呼ばれるフォトダイオード(特開
平9−275224号公報参照)を用いた。
【0014】(実施例1)図1は本発明の第1の実施例
を説明する図であり、1は半絶縁性のInPからなる半
導体基板、2はアンドープInGaAsP(組成:波長
1.3μm相当)からなる第1のエッチストップ層、3
はn型InPからなる第1の電極層、4はアンドープI
nPからなるキャリア走行層、5は信号光を吸収するp
型InGaAsからなる光吸収層(InPに格子整合す
る組成)、6はp型InGaAsP(組成:波長1.3
μm相当)からなる第2の電極層、7は下部電極、8は
上部電極、9は入射光を分割するためのV字溝状光分割
器、10は基板裏面に設けられた反射防止膜、11は入
射光(波長1.55μm)である。ここで、V字溝状光
分割器の左側受光素子を第1の受光素子12、右側受光
素子を第2の受光素子13と呼ぶことにする。第1の受
光素子12の構成は上記記述の第2の受光素子13の構
成と同じである。
【0015】なお、本発明の構成には直接関係しないた
め、ここではUTC−PDの層構成は簡略化して記述し
ており、素子間の配線も省略してある。
【0016】また、素子の平面形状は、吸収層に対し斜
めから入射する入射光との結合を考えると楕円に近い形
状が好ましいが、本実施例では、エッチング速度の結晶
方位依存性を考慮し、素子寸法の制御性に優れた8角形
状とした。この他にも楕円形や6角形、長方形など様々
な形状の素子を用いることもできる。
【0017】図1に示すように、本実施例では、メサ形
状の裏面入射型受光素子が2個、V字溝状光分割器を挾
んで形成されている。本実施例では第1の電極層をn
型、第2の電極層をp型としたが、第1の電極層をp
型、第2の電極層をn型としても良い。しかし、InP
あるいはInGaAsPの場合、正孔移動度よりも電子
移動度の方が大きいので、p型層よりもn型層の方が同
じ層厚で同じキャリア濃度の場合シート抵抗を低くでき
る。従って、第1の電極層をn型とする方が、素子薄層
化の観点で有利である。
【0018】V字溝状光分割器は左右対称に形成されて
おり、また第1及び第2の受光素子はV字溝状光分割器
の谷線に対し対称に、同一寸法に形成されている。さら
に、第1及び第2の受光素子は、図2の(a)もしくは
(b)に示すように、電気的に直列に接続され、バイア
ス印加状態、もしくは無バイアス状態で使用される。な
お、ここでは、素子を直流バイアスし、高周波成分のみ
を負荷に供給する目的で、容量及びインダクタがいわゆ
るバイアスティーを構成する形で接続されている。
【0019】次に、本発明の素子の動作について述べ
る。基板裏面から入射した信号光はV字溝状光分割器に
入射し、V字溝の斜面によって全反射されて左右対称に
分割され、それぞれ第1及び第2の受光素子へ入射す
る。分割された信号光は必ずV字溝のどちらかの斜面で
全反射するので、光分割による光の損失はない。ただ
し、本発明の構成では、V字溝状光分割器9で入射光1
1の全反射が起こるように、V字溝の斜面と基板とのな
す角(鋭角側)θ(図1に示すように、θは入射光のV
字溝斜面に対する入射角でもある)を決定しなければな
らない。また、光分割器の表面に表面保護などの目的で
膜を堆積する場合は、その屈折率についても考慮する必
要がある。本実施例で用いたInP基板の屈折率は3.
17(波長1.55μmの場合)であるため、表面が空
気あるいは封入ガスなど(いずれも屈折率はほぼ1)の
場合、θが45度以上では全て全反射条件を満たしてい
る(θが45度以下では信号光は受光素子へ届かな
い)。一方、保護膜を堆積する場合は、全反射条件を保
つためには屈折率の制約が生じる。例えばθを54.7
度と設定した場合、V字溝状光分割器の表面に堆積する
材料は、屈折2.59以下でなければならない。本実施
例では用いてはいないが、一般には表面保護膜を用いる
構成が好まれ、通常の半導体プロセスとの整合性の観点
から堆積膜としては、ポリイミド(屈折率1.5程
度)、保護膜の一種であるBCB(ビスベンゾシクロブ
テン)(屈折率1.5程度)、シリコン酸化膜(屈折率
1.5程度)、シリコン窒化膜(屈折率1.8〜2.2
程度)などが好適である。これらはいずれも、θが45
度以上で全反射条件を満たしている。堆積膜種は上記以
外であっても良く、また屈折率の制約は、θによって適
宜規定されるものであり、θを大きくすればこの制約は
緩和される。
【0020】分割された信号光は、それぞれ各々の受光
素子に入射するが、入射光のスポット領域をカバーする
ように予め受光素子の寸法、配置を設計しておくことに
より、入射光の全部を光吸収層へ導くことができる。ま
た、本発明の構成では、信号光は光吸収層に対し斜めに
入射するため、通常の垂直入射型に比べると、吸収層内
における信号光の伝搬長が長くなっており、効率が高く
なっている(特願平10−321913号参照)。第1
及び第2の受光素子は同一寸法に形成されており、従来
技術のところで述べたように、印加電圧は各々の受光素
子に均等に分配され、各々の受光素子は単一素子の動作
限界点まで独立に動作するため、全体としては倍の電圧
(概ね+1.0V)まで動作させることができる。この
特徴は、特に低バイアスもしくは無バイアスの応用の場
合に重要である。
【0021】本実施例のように、基板に垂直方向から信
号光を入力する面型素子は、本発明の特徴である、光分
割器をモノリシックに簡便に製作できるという利点に加
え、いくつかの点において構造的な利点を有している。
すなわち、入射光との結合効率が高いという特徴や、通
常の半導体製造プロセスとの整合性が良いので量産性に
富み、構造の類似性からも他の素子とのモノリシック集
積化の自由度も高いなどの特徴がある。また、ウエハ状
態での素子評価も容易である。
【0022】(実施例2)図3は本発明の第2の実施例
を説明する図であり、この実施例は前記第1の実施例で
示した構成の素子動作をさらに安定で高速なものとする
ためのものである。前記第1の実施例との違いは、各受
光素子に並列に抵抗が接続されていることである。
【0023】通常の半導体プロセスで作製した素子の均
一性は一般に非常に良好であるが、素子面積や膜厚など
にごく僅かの不均一が生じるのは避けられない。そし
て、実施例1における各々の受光素子の特性の間に僅か
の差があった場合、それらの電流電圧特性は例えば図4
に示すようになる。なお、図4はその差違を誇張して図
示している。
【0024】実施例1の両受光素子に入射光が入力する
と、各受光素子には電流が流れるが、両受光素子は直列
に接続されているため、電流連続の条件を満たすために
は各電流値は同じでなければならない。すなわち、電流
値の低い方(例えば受光素子1)で電流が律せられ、高
い電流を流す能力のある側の受光素子(例えば受光素子
2)は低い電流値(受光素子1と同じ値)になるように
自己整合的にバイアスが順バイアス側へと変化する(図
4)。この状況は、図4に示すように、光入力強度が変
化しても変わらない。この順バイアスされた状況では、
受光素子の空乏層厚が薄くなること、空乏層電界が低く
なること、キャリア注入による拡散容量が増大すること
などにより、受光素子2の動作速度は低下してしまい、
従って受光装置全体の動作速度も低くなってしまう。こ
の点を解決するため、本実施例では受光素子に並列に抵
抗を挿入する構成としている。並列に挿入する抵抗の抵
抗値は概ね負荷の抵抗値の10倍以上であれば、全体の
特性に顕著な悪影響を及ぼすことはない。例えば50Ω
線路に信号を出力する構成では、並列抵抗の値を500
Ω以上としておけば良い。このように並列抵抗を接続す
ると、素子の電流電圧特性は図5に示すようなものにな
る。すなわち、素子の立ち上がり電圧はほとんど変化し
ないのに対し、電流が飽和した領域では、印加電圧に対
して電流値が緩やかに増大する傾向を示す。このような
特性を持たせた場合、各受光素子のバイアス状態は図6
に示すようになる。この場合、飽和領域で電流が電圧に
対し有限の傾きを有しているので、素子特性に若干の差
があっても、図4に示した場合のように、片方の素子が
順バイアス領域に深く振られてしまうようなことはな
く、概ね同様の電圧にバイアスされる。従って、両方の
受光素子の動作速度を高く保つことができ、結果として
受光装置の動作速度を高く保つことができる。
【0025】本実施例では、飽和領域の電流電圧特性に
傾きを持たせる方法として受光素子に並列に抵抗を挿入
する場合について述べたが、他の方法であっても良い。
例えば、図7に示すように電界効果トランジスタ(FE
T)のソース電極とドレイン電極を受光素子に並列に接
続しても良い。FETの特性は、図8の(b)に示すよ
うに、低バイアス側では傾きを有し、高バイアス側では
電流が飽和する傾向にあるので、図6のように必要な低
バイアス側で片方の受光素子が順バイアス側に振られな
い役割を果たすと共に図8の(a)に示すように高バイ
アス側では電流が飽和し、余分な電流が流れないように
することで、全体の効率を高く保つことができる。ま
た、ゲート電圧でFETのチャネル抵抗を制御すること
により、最適な並列抵抗値を素子を製作した後に動的に
制御することもできる。
【0026】なお、上記実施例では、各受光素子に並列
に抵抗もしくは電界効果トランジスタを接続する場合に
ついて述べたが、いずれか一方の受光素子のみに並列に
抵抗もしくは電界効果トランジスタを接続しても、各々
の受光素子の電流電圧特性の傾きに差異を与えることが
できる。従って、入射光強度の分割比や各々の素子面積
などを適宜調整して装置に流れる電流値を決定すること
により両者をほぼ同じ所望の電圧にバイアスすることが
でき、片方の受光素子が順バイアス側へ大きく振り込ま
れてしまうのを避けることができるので、上記実施例と
同様の効果が得られる。
【0027】さらに、上記の抵抗もしくは電界効果トラ
ンジスタに代えて、電圧の増加に伴って電流が増加する
特性を有する複合素子、たとえば、バイポーラトランジ
スタと抵抗を直列接続したものなどを用いても、上記と
同様の効果が得られる。
【0028】(実施例3)図9は本発明の第3の実施例
を説明する図であり、この実施例が前記第1の実施例と
異なる点は、入射光を分割するための多面凹部が3角錐
状であり、受光素子を3つ備えている点である。このよ
うな多面凹部は、例えば(111)B基板を用いて化学
エッチングにより(111)A面を露出させることで形
成できることが知られている。この3つの受光素子を全
て直列に接続することにより、順バイアス側において従
来よりも出力電圧マージンを3倍にすることができる。
同様に、4角錐状の多面凹部、及び4つの受光素子を設
ける、というように、直列接続段数を大きくすることが
可能である。
【0029】(実施例4)図10は本発明の第4の実施
例を説明する図であり、この実施例の構成が前記第2の
実施例で示した構成と違う点は、各受光素子から異なる
符号の信号が独立に出力するように構成されていること
である。これは、例えば片方の受光素子のp電極側を出
力電極、n電極側を接地とした場合、もう一方の受光素
子のn電極側を出力電極、p電極側を接地とすれば良
い。ここで、電極のp、nの区別は、p型半導体層、n
型半導体層にそれぞれ接触した電極の区別を意味する。
このような構成とすることにより、符号が逆で位相のそ
ろった同一電圧の信号が出力される。この特徴は、高い
印加電圧を必要とする素子へ信号を供給するような構成
に好適である。例えば、受光素子への入力信号によって
半導体多重量子井戸光変調器を駆動する場合がある。光
変調器は2〜3Vの印加電圧を必要とするが一般的な高
速受光素子はこのような高い電圧を供給するのは困難で
あり、従って途中に電気増幅回路を必要とする。半導体
多重量子井戸光変調器を駆動するためには変調器内の空
乏層に電界を印加するのであるが、これは変調器の両電
極に逆符号の電位を与えることでも達成できる。従っ
て、本実施例の構成を用いると、従来に比べ実質的に倍
の電圧を変調器に印加することができるので、増幅回路
を用いることなく直接変調器を駆動することができるよ
うになる。
【0030】なお、実施例1及び実施例4で示した構成
以外にも、当然ながら、各受光素子を電気的に並列に接
続した構成も用いることができる。この並列接続の構成
では、斜め入射の従来型素子(単一領域)と同様の電流
電圧特性が得られるが、重要なのは、前記実施例1及び
実施例4で示した構成と同一プロセスで同時に同一ウェ
ハ上に作製することができる点である。すなわち、目的
に応じて複数回のプロセスを行うことなく複数種の受光
装置を同時に製造することができるのでコスト低減が可
能であり、かつこれらを組み合わせた高機能な受光装置
を構成することも可能である。また、本発明の構成では
受光領域がウェハ面内で分割されて離れているため、単
一領域の従来型素子と比べ、素子部で発生した熱をより
効果的に放散できるという利点もある。
【0031】(実施例5)図11は本発明の第5の実施
例を説明する図であり、この実施例が前記第4の実施例
と異なる点は、光分割器における分割比が1:1ではな
く、重み付けがされていることである。すなわち、主信
号を受光する受光素子と、主信号に同期してそれを制御
するための制御信号を受光する受光素子に任意の割合で
入力信号光を分割することができる。例えば、光通信で
用いられる中継器では、信号を受信し、増幅整形し、再
送する機能が必要であるが、その中に「同期」という機
能を持たせる必要がある。この同期は、通常、入力信号
光からクロックを抽出する方法で行われるが、特に信号
の周波数帯域が高い周波数領域にある場合、主信号の波
形に影響を与えずに電気的に信号を分割してクロック抽
出を行うのは困難となる。また、光信号の状態で信号を
分割する方法も考えられるが、従来の方法では受光素子
とは別に、あらかじめ光信号を分割する手段が必要とな
り、装置の複雑化、コスト上昇を招いてしまう。これに
対し、本実施例の構成では、例えば信号光の10%を制
御用の受光素子に入力させることにより、主信号光とは
独立に制御用の回路に主信号と同じ信号を供給すること
ができる。そしてこれは、主信号の波形には影響を与え
ることはない。一方、強度が必要な主信号光は、依然と
して90%の強度を保つので、通常の入射信号光として
十分な強度を保持している。
【0032】(実施例6)図12は本発明の第6の実施
例を説明する図であり、この実施例の構成が前記第3の
実施例で示した構成と異なる点は、同一符号の信号が独
立に出力するように構成されており、かつ片方の信号線
に遅延回路が設けられていることである。このような構
成とすることにより、同期した高速信号を独立に取り出
すことができるだけでなく、信号間の位相を任意の量だ
けずらすことができ、例えば極めて短い時間間隔の複数
の信号入力を必要とする素子もしくは回路などに、入力
信号を単一の素子で与えることができる。遅延回路とし
ては、公知の素子で構成しても良いし、単に各々の線路
長を変えることでも良い。また、別の外部信号で遅延量
を制御するように構成するのも好適である。
【0033】(実施例7)図13及び図14は本発明の
第7の実施例に関する説明図であって、図1に示したV
字溝状光分割器の作製方法を説明するための図である。
【0034】本実施例で用いたV字溝状光分割器の作製
方法としては、半導体の化学エッチング特性を利用する
ことができる。すなわち、化合物半導体基板として一般
的に用いられる(001)面あるいはこれと等価な面を
表面として有する基板をメサエッチングした場合、その
(-110)断面及び(110)断面(あるいはこれら
と等価な面の組み合わせでも良い)からみたエッチング
断面形状は、それぞれ図14の(a)及び図14の
(b)に示すように、前者がいわゆる「順メサ」形状と
なり、後者がいわゆる「逆メサ」形状となる。
【0035】より具体的には、通常市販されている基板
のOF(オリエンテーションフラット)に対して平行な
ストライプ状メサの側面は順メサとなり、90度異なる
方向の側面は逆メサとなる。これらのメサ斜面の基板表
面に対する角度(順メサの場合は鋭角側、逆メサの場合
は鈍角側)は、エッチング液によっても異なるが、適当
なエッチング液、エッチング条件を選択すれば、メサ側
面表面として(111)面あるいはこれと等価な面を露
出させ、一定の値とすることができる。これは、例えば
III−V族化合物半導体の場合、金属原子面(通常、A
面と称する)でエッチングが停止しやすい性質を有して
いるからである。
【0036】基板がInPの場合、この面はIn面とな
り、典型的には、臭素とメタノールの混合液、臭化水素
酸、塩酸と燐酸の混合液、硫酸と過酸化水素の混合液な
どを用いて露出させることができる(例えば、S. Adach
i, et al., J. Electrochem.Soc. Vol. 128, No.6, 198
1, pp.1342- 1349)。(111)A面あるいはこれと等
価な面でエッチングを止めた場合、(-110)断面あ
るいはこれと等価な面から見た基板表面と斜面とのなす
角度は約54.7度となる。
【0037】具体的には、まずInP基板上に形成され
た例えば50オングストローム程度以上のInGaAs
層やInGaAsP層などのInPに対してエッチング
の選択性のある層上にフォトレジストで開口部を有する
マスクを作製し、続いてクエン酸系のエッチング液でI
nGaAs層もしくはInGaAsP層を選択的にエッ
チングする。その後、InGaAs層もしくはInGa
AsP層をマスクとして、塩酸と燐酸の混合液を用いて
InPのみを選択的にエッチングし、(111)A面で
エッチングを自動的に停止させることにより、図13に
示したようなV字溝状光分割器を形成することができ
る。このようなエッチング方法を用いれば、InPのサ
イドエッチを防ぐことができるので、V字溝状光分割器
開口部長さ及び深さをより正確に制御することができ
る。また、本発明の手法では、化学的な性質によりV字
溝状光分割器の斜面への入射光の入射角θが自律的に決
定されるため、装置製作における再現性、均一性に非常
に優れた手法となる。
【0038】また、InP以外の基板、例えばGaA
s、GaP、Ge、Si基板でも適宜エッチング液を選
択することにより同様の工程が適用可能であり、同様の
効果が得られる。
【0039】なお、図2、3、7、10、12では、図
面が煩雑になるのを避けるために、各素子部をダイオー
ド記号などで表示した。
【0040】また、上述の各実施例では、受光素子とし
てフォトダイオードの一種であるUTC−PDを用い
た。UTC−PDの層構成は、本実施例で示したもの以
外にも、光吸収層とキャリア走行層との間に複数の層を
挿入し、伝導帯不連続を低減することによりキャリアブ
ロック現象を防止したり、キャリア走行層の一部を光吸
収層として用いるハイブリッド構造など、様々なバリエ
ーションが可能である。
【0041】また、フォトダイオードとしては、UTC
−PD以外にも高不純物濃度p型電極層、アンドープも
しくは低不純物濃度光吸収層、高不純物濃度n型電極層
の積層構造を基本とする通常のpinフォトダイオー
ド、超格子構造の光吸収層を用いたフォトダイオード、
アバランシェフォトダイオードなど、その他のフォトダ
イオードを用いることもできる。さらに、導波路構造や
反射膜を素子内に作り込むために、各層を必要に応じて
多層構造としても良い。また、フォトダイオード以外に
も、フォトトランジスタなどの他の受光素子を用いるこ
ともできる。
【0042】受光素子を構成する材料としては、上記実
施例ではInP基板に格子整合するInP/InGaA
s(P)系を用いたが、 InAl(Ga)As/In
GaAs、InAlAs/GaAsSbなどのInPに
格子整合する他の材料系、AlGaAs/(Al)Ga
As、InGaP/GaAsなどのGaAsに格子整合
する材料系、AlGaN/GaN/InGaNなどのG
aNに格子整合する半導体材料の組み合わせなどや、格
子不整合系材料など、通常の半導体材料の組み合わせを
用いることもできる。
【0043】基板としては、半絶縁性のものを用いた
が、導電性のものであっても良い。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、半導体
基板上に形成された、入射信号光を複数の信号光に分割
する多面凹部光分割器と、前記分割された信号光を独立
に受光する複数の裏面入射型半導体受光素子を備えた半
導体受光装置を構成する。このような構成により、入射
光を損失無く分割するとともに、各々の受光素子を直列
接続することにより、高速性を損なうことなく簡便に順
バイアス領域の動作マージンを増大させることができる
という効果が得られる。また、各受光素子に並列に抵抗
を接続することにより、各受光素子に同様に電圧を印加
せしめて高速動作を可能にするという効果が得られる。
さらに、独立に出力信号を出力させる構成により、逆符
号の複数の同期同出力信号や、複数の同符号同期同出力
信号、複数の同符号で遅延した同出力信号、複数の同符
号同期異出力信号など、所望の形態の様々な信号を独立
に出力することができる機能素子を提供することができ
るという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の受光装置の実施例を示す断面図であ
る。
【図2】本発明の受光装置の配線例を示す図である。
【図3】本発明の受光装置(抵抗並列型)の配線例を示
す図である。
【図4】本発明の受光素子の電流電圧特性を示す図であ
る。
【図5】本発明の受光装置(抵抗並列型)の動作の実施
例を示す図である。
【図6】本発明の受光装置(抵抗並列型)の動作の実施
例を示す図である。
【図7】本発明の受光装置(FET並列型)の配線例を
示す図である。
【図8】本発明の受光装置(FET並列型)の動作の実
施例とFETの基本特性とを示す図である。
【図9】本発明の受光装置(3分割型)の実施例を示す
上面図である。
【図10】本発明の受光装置(逆符号出力型)の配線例
を示す図である。
【図11】本発明の受光装置の実施例を示す断面図であ
る。
【図12】本発明の受光装置(位相差出力型)の配線例
を示す図である。
【図13】V字溝状光分割器の作製方法の実施例を示す
断面図である。
【図14】基板面方位と順メサ逆メサの関係を示す断面
図である。
【図15】従来の裏面入射型受光素子の断面図である。
【図16】従来の受光素子の動作を示す図である。
【図17】従来の受光素子(直列接続型)の動作を示す
図である。
【図18】従来の裏面入射型受光装置の上面図、及び入
射光強度の径方向分布を示す図である。
【図19】従来の側面入射型受光装置の上面図である。
【符号の説明】
1…半導体基板、2…エッチストップ層、3…第1の電
極層、4…キャリア走行層、5…光吸収層、6…第2の
電極層、7…下部電極、8…上部電極、9…V字溝状光
分割器、10…反射防止膜、11…入射光、12…第1
の受光素子部、13…第2の受光素子部、14…負荷、
15…第1の出力端子、16…第2の出力端子、17…
信号遅延回路、18…バイアス端子、18′…バイアス
端子、61…半導体基板、62…下部電極層、63…光
吸収層、64…上部電極層、65…下部電極、66…上
部電極、67…入射光、68…反射光

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体基板裏面から入射する信号光を複数
    の信号光に分割する光分割器と、前記複数の信号光を各
    々独立に受光する複数の半導体受光素子とを備えた半導
    体受光装置であって、前記光分割器が前記半導体基板表
    面に形成された多面凹部であり、前記半導体受光素子が
    前記半導体基板表面上に形成されていることを特徴とす
    る半導体受光装置。
  2. 【請求項2】前記複数の半導体受光素子を電気的に直列
    に接続したことを特徴とする請求項1記載の半導体受光
    装置。
  3. 【請求項3】少なくとも1つの前記半導体受光素子に並
    列に、電圧の増加に伴って電流が増加する特性を有する
    単一素子または複合素子を接続したことを特徴とする請
    求項2記載の半導体受光装置。
  4. 【請求項4】前記電圧の増加に伴って電流が増加する特
    性を有する単一素子が抵抗もしくは電界効果トランジス
    タであることを特徴とする請求項3記載の半導体受光装
    置。
  5. 【請求項5】2つの前記半導体受光素子それぞれに前記
    信号光に応じて流れる信号電流を互いに逆符号の2つの
    電気信号として出力させる構成としたことを特徴とする
    請求項1記載の半導体受光装置。
  6. 【請求項6】少なくとも1つの前記半導体受光素子に前
    記信号光に応じて流れる信号電流による電気信号を遅延
    させて出力する手段を付加したことを特徴とする請求項
    1記載の半導体受光装置。
  7. 【請求項7】請求項1記載の半導体受光装置の作製方法
    であって、半導体基板を異方性エッチングするエッチン
    グ液に対して耐性を有する半導体層をマスクとして前記
    半導体基板を異方性エッチングし、前記半導体基板の
    (111)面もしくはこれと等価な面でエッチングを停
    止させることにより該面を光反射面とするV字溝状光分
    割器を形成する工程を有することを特徴とする半導体受
    光装置の作製方法。
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JP2008282922A (ja) * 2007-05-09 2008-11-20 Hochiki Corp 光電変換装置

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