JP2000273602A - 溶融金属めっき鋼板の製造装置および方法 - Google Patents

溶融金属めっき鋼板の製造装置および方法

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JP2000273602A
JP2000273602A JP11079822A JP7982299A JP2000273602A JP 2000273602 A JP2000273602 A JP 2000273602A JP 11079822 A JP11079822 A JP 11079822A JP 7982299 A JP7982299 A JP 7982299A JP 2000273602 A JP2000273602 A JP 2000273602A
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bath
steel sheet
pressure
hot
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Munehiro Ishioka
宗浩 石岡
Yasutaka Morikawa
容任 森川
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Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋼板を通過させる溶融金属浴からの溶融金属
の流下を操業上問題のないレベルで長時間に亘って防止
することができる溶融金属の製造装置を提供すること。 【解決手段】 めっき装置6は、めっき金属インゴット
を溶かす溶解浴16から溶融金属Lが供給される溶融金
属供給浴11と、鋼板1に付着した過剰の溶融金属を気
体により払拭するガスワイピング装置14と、供給浴1
1の下側に設けられ、供給浴11から流下する溶融金属
を受ける流下溶融金属受け浴12と、圧力調整手段7,
9,10とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融金属めっき鋼
板を連続的に製造する装置および方法に関し、特に溶融
亜鉛めっき鋼板(合金化鋼板を含む。以下同じ。)を製
造する空中ポットとして好適な溶融亜鉛めっき鋼板の製
造装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、亜鉛、アルミニウムや、その合
金などの溶融金属めっき鋼板は、従来、一般的に以下の
ように製造されている。すなわち、冷間圧延後の薄鋼板
に対し前処理工程で表面の洗浄を施し、無酸化性あるい
は還元性の雰囲気に保たれた焼鈍炉内において表面酸化
膜を除去し、焼鈍を行い、次いで冷却して溶融金属浴温
度とほぼ同程度まで冷却して溶融金属浴中に侵入させ
る。その後、鋼板を浴から引き上げ、鋼板表面に付着し
た過剰の溶融金属をガスワイパーで払拭している。
【0003】従来の溶融金属めっき鋼板の製造に用いら
れる装置の溶融金属浴周辺部分を図7に示す。鋼板31
は非酸化性雰囲気に保たれたスナウト34から溶融金属
浴32に引き込まれ、シンクロール33およびサポート
ロール35を経て鉛直方向に引き上げられ、ガスワイパ
ー36で過剰の溶融金属が払拭される。
【0004】しかしながら、このような従来型の装置で
は、浴中でドロス等の不純物が発生し、これらが浴中ロ
ールに付着して鋼板に押し疵を形成したり、鋼板に付着
して加工時に表面欠陥を引き起こす。このような欠陥を
防止するため、浴中ロールを取り出して手入れを行った
り、ドロスが浴中で浮遊しないように整流板を浴底部に
設置するなどの対応が施されている。さらに浴中ロール
には、溶融金属による溶損により回転不良等が発生し、
これによりめっき欠陥を引き起こす。これに対応して、
定期的に浴中ロールを交換したり、ロール表面にセラミ
ックス等を溶射する処理が施されている。
【0005】このように、従来の製造装置で溶融金属め
っき鋼板の製造を行うと、品質や操作性が悪くなる欠点
があった。
【0006】また、溶融金属浴は浴中機器を設置するた
めに極めて大きい。そのため数種の溶融金属めっき鋼板
を同一ラインで製造する場合、品種切り替え時の浴入れ
替えには多大の時間、費用、労力を必要としている。
【0007】このような問題点に対処するために、底部
に開口部のある浴に溶融金属を保持し、開口部下方から
鋼板を通過させてめっきを行う技術、いわゆる空中ポッ
トが開発されている。例えば、特開昭63−10914
8号公報には、循環による空中ポットが開示され、鋼板
導入部に静圧を印加することが記載されている。また、
特開昭63−303045号公報には、溶融金属を電磁
力により保持し、鋼板通過位置において気体を噴射する
空中ポットが開示されている。さらに、特開平1−13
9744号公報には、一対の回転ドラム間に溶融金属を
供給する方法が開示されている。さらにまた、特開平4
−36447号公報には、溶融金属めっき浴底部に鋼板
との間を0.05〜1mmに保持するシール板を設置し
た装置が、特開平9−53164号公報には、シール板
設置めっき浴下部に圧力室を設ける装置がそれぞれ開示
されている。
【0008】上記空中ポットで問題となるのは、溶融金
属をいかに保持して浴底部開口部から流下させないかと
いうことであり、これまでに開示された技術の多くもそ
の点に着目したものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
特開昭63−109148号公報や特開昭63−303
045号公報のように気体の圧力や電磁力により溶融金
属の流下を防止する技術は、浴面の高さや流下溶融金属
の複雑な流動状態等に応じて気体圧力や電磁力を制御す
る必要があり、これら従来技術ではその十分な制御方法
が得られていないだけでなく、制御範囲も限定されてい
る。また、気体を噴射して溶融金属の流下を防止する方
法では、溶融金属の飛散や気泡巻込みに起因しためっき
不良といった問題点もある。
【0010】さらに、特開平4−36447号公報や特
開平9−53164号公報に開示されているようなシー
ル板を設ける技術は、鋼板とシール板との間を0.05
〜1mmに保持する必要があるが、実際には鋼板がシー
ル板と接触し鋼板表面が疵つくといった問題点がある。
さらにまた、特開平1−139744号公報に開示され
た回転ドラム間に溶融金属を供給する方法は、鋼板と接
していないロール端部での流下が問題となる。
【0011】このように、上記従来技術はいずれも、溶
融金属の流下を操業上問題のないレベルで長時間に亘っ
て防止することが困難である。
【0012】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
であって、鋼板を通過させる溶融金属浴からの溶融金属
の流下を操業上問題のないレベルで長時間に亘って防止
することができる溶融金属めっき鋼板の製造装置および
方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、第1に、金属のインゴットを投入して溶
解を行う溶解浴から溶融金属が供給され鋼板を下から上
に向かって通過させる溶融金属供給浴と、溶融金属供給
浴を通過することにより溶融金属が表面に付着した鋼板
を上方に引き上げた際に、過剰の溶融金属を気体により
払拭する装置と、前記溶融金属供給浴の下側に設けら
れ、溶融金属供給浴から流下する溶融金属を受ける流下
溶融金属受け浴と前記溶融金属供給浴の上方側部分およ
び/または下方側部分の圧力を調整する圧力調整手段と
を具備することを特徴とする溶融金属めっき鋼板の製造
装置を提供する。
【0014】本発明は、第2に、第1発明において、前
記圧力調整手段は、前記溶融金属供給浴の上方側に設け
られその中の雰囲気圧力を調整可能な雰囲気圧力調整室
を有することを特徴とする溶融金属めっき鋼板の製造装
置を提供する。
【0015】本発明は、第3に、第1または第2発明に
おいて、前記圧力調整手段は、前記流下溶融金属受け浴
内の圧力を調整する圧力調整装置を具備することを特徴
とする溶融金属めっき鋼板の製造装置を提供する。
【0016】本発明は、第4に、第1ないし第3発明の
いずれかにおいて、前記流下溶融金属受け浴と前記溶解
浴とを連結する溶融金属流動経路を具備することを特徴
とする溶融金属めっき鋼板の製造装置を提供する。
【0017】本発明は、第5に、第1ないし第4発明の
いずれかにおいて、前記流下溶融金属受け浴下側の全部
または一部に、非酸化性の気体を供給して鋼板通過開口
部から該気体を吹き付ける装置を具備することを特徴と
する溶融金属めっき鋼板の製造装置を提供する。
【0018】本発明は、第6に、金属のインゴットを投
入して溶解を行う溶解浴から溶融金属が供給される溶融
金属供給浴の下から上に向かって鋼板を通過させて鋼板
に溶融めっきを施す溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法であ
って、鋼板を前記溶融金属供給浴の下から上に向かって
通過させる際に、前記溶融金属供給浴の上方側部分およ
び/または下方側部分の圧力を、溶融金属供給浴から溶
融金属が流下しないように調整することを特徴とする溶
融金属めっき鋼板の製造方法を提供する。
【0019】本発明は、第7に、金属のインゴットを投
入して溶解を行う溶解浴から溶融金属が供給される溶融
金属供給浴の下から上に向かって鋼板を通過させて鋼板
に溶融めっきを施す溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法であ
って、前記溶融金属供給浴の上方側部分の圧力を溶融金
属供給浴内の圧力よりも低く設定するおよび/または前
記溶融金属供給浴の下方側部分の圧力を溶融金属供給浴
内の圧力よりも高く設定することを特徴とする溶融金属
めっき鋼板の製造方法を提供する。
【0020】本発明においては、溶融金属供給浴の上方
側部分および/または下方側部分の圧力を調整する圧力
調整手段が設けられているので、溶融金属供給浴の上方
側部分もしくは下方側部分またはこれら両方の圧力を制
御して溶融金属供給浴から溶融金属が流下しないように
することができ、鋼板の厚さが変化した場合において
も、溶融金属の流下をほぼ完全に防止することができ
る。具体的には、溶融金属供給浴の上方側部分の圧力を
溶融金属供給浴内の圧力より低くして溶融金属に対する
吸い上げ力を作用させることにより、溶融金属供給浴か
ら溶融金属の流下を防止することができる。また、溶融
金属供給浴の下方側部分の圧力を溶融金属供給浴内の圧
力より高くして溶融金属に対する押し上げ力を作用させ
ることにより、溶融金属供給浴から溶融金属の流下を防
止することができる。さらに、これらの両方を作用させ
ることにより、溶融金属供給浴から溶融金属の流下を防
止する効果を一層高くすることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る溶
融金属めっき鋼板の製造装置(空中ポット)を含むめっ
き設備の概略断面図である。鋼板1は、焼鈍炉2内で焼
鈍、冷却された後、デフレクターロール3で鉛直方向に
搬送され、サポートロール4で形状矯正が行われ、その
後一対の押さえロール5を介してめっき装置(空中ポッ
ト)6に搬送される。一対の押さえロール5は、鋼板の
振動を抑え、パスラインを決めるために設けられてい
る。なお、上記押さえロール5およびサポートロール4
は必須なものではないが、鋼板振動の抑制の観点からは
押さえロール5を、また鋼板形状の観点からはサポート
ロール4を設置することが好ましい。
【0022】めっき装置6は、めっき金属インゴットを
溶かす溶解浴16から溶融金属Lが供給され、浴面高さ
の制御された溶融金属供給浴11と、供給浴11の上側
に設けられた雰囲気圧力調整室9と、雰囲気圧力調整室
9の雰囲気圧力を調整する雰囲気圧力調整装置10と、
雰囲気圧力調整室9の上方に設けられ、鋼板1に付着し
た過剰の溶融金属を気体により払拭するガスワイピング
14と、供給浴11の底部の鋼板通過開口部11aに設
けられたシール機構13と、供給浴11の下側に設けら
れた流下溶融金属受け浴12と、流下溶融金属受け浴1
2の圧力を調整する圧力調整装置7と、流下溶融金属受
け浴12とめっき金属インゴットを溶かす溶解浴16と
を連結する溶融金属経路19とを備えている。
【0023】溶解浴16からの溶融金属Lは、ポンプ等
の溶融金属移送装置17により供給経路18に供給され
る。一方、上記溶融金属流動経路18を流下溶融金属受
け浴12に流下した溶融金属Lが溶解浴16に戻され
る。
【0024】溶融金属供給浴11は、下側に設けられた
開口部11aを通ってその中を下から上へ通過する鋼板
1に溶融金属を供給するための浴であり、図示しない機
構により浴面の位置が制御されている。浴面高さの制御
方式は特に限定されるものではないが、例えば、後述す
る図5に示すようなオーバーフロー堰を設けるものが挙
げられる。
【0025】上記シール機構13は、シール方式が特に
限定されるものではなく、材料の濡れ特性を利用したも
の、または流下抵抗を増すような構造を有するものなど
あるが、いずれのものを用いてもよい。また、上記開口
部11aは鋼板との接触がないように数mm以上の開口
幅であることが好ましい。したがって、開口部11aか
ら溶融金属が流下することは避けられない。すなわち、
従来のシール技術では溶融金属の流下は避けられないこ
とから、流下した溶融金属を受け止めるために流下溶融
金属受け浴12を溶融金属供給浴11の下側に設けてい
る。なお、シール機構13は必須なものではないが、設
けたほうが好ましい。
【0026】流下金属受け浴12は、溶融金属供給浴1
1の下方に密接して設けられ、開口部11aから流下し
た溶融金属を受け止める機能を有しており、押さえロー
ル5側への溶融金属の流下が防止される。流下溶融金属
受け浴12の鋼板通過開口部12aは、受け浴12の下
側に押さえロール5を設置しているため、鋼板振動が小
さくなり、供給浴11の開口部11aよりも狭くするこ
とができる。したがって、流下したほとんどの溶融金属
は溶融金属受け浴12で受け止めることができる。この
溶融金属受け浴12は図示のように1個でもよいが、2
段以上設けることにより、上側の受け浴で流下を防止す
ることができなかった溶融金属を下側に設置した受け浴
で受け止めることができ、サポートロール4側への流下
を一層有効に防止することができる。
【0027】上記雰囲気圧力調整室9と、雰囲気圧力調
整室9の雰囲気圧力を調整する雰囲気圧力調整装置10
と、流下溶融金属受け浴12の圧力を調整する圧力調整
装置7とにより圧力調整手段を構成しており、これらに
よって溶融金属供給浴の11上方側部分および下方側部
分の圧力を調整するようになっている。
【0028】このように構成されるめっき設備において
は、焼鈍炉2内で焼鈍、冷却され、デフレクター3で鉛
直方向に搬送され鋼板1が、サポートロール4および押
さえロール5を介して、めっき装置(空中ポット)6に
搬送される。
【0029】めっき装置6においては、溶解浴16から
供給経路18を介して溶融金属Lが溶融金属供給浴11
に供給される。一方、鋼板1は流下溶融金属受け浴12
の底部の開口部12aを通って溶融金属供給浴11に供
給される。鋼板1が溶融金属供給浴11を下から上へ通
過する間にその表面に溶融金属が付着される。その後、
溶融金属供給浴11から引き上げられた鋼板1は、ガス
ワイピング装置14により過剰の溶融金属が払拭され
る。
【0030】この場合に、シール機構13により、開口
部11aからの流下する溶融金属をある程度少なくする
ことができ、また溶融金属受け浴12により流下した金
属を受けるので、鋼板1が比較的薄い場合にはサポート
ロール4側への溶融金属の流下を有効に防止することが
できるが、鋼板1が厚い場合等はこれだけでは不十分で
ある。
【0031】そこで、雰囲気圧力調整室9と、雰囲気圧
力調整室9の雰囲気圧力を調整する雰囲気圧力調整装置
10と、流下溶融金属受け浴12の圧力を調整する圧力
調整装置7とにより構成される圧力調整手段により溶融
金属供給浴11の上方側部分および下方側部分の圧力を
調整する。
【0032】具体的には、雰囲気圧力調整室9内の圧力
を雰囲気圧力調整装置10により大気圧より低く調整
し、流下溶融金属受け浴12内の圧力を圧力調整装置7
により大気圧より高く調整する。このように雰囲気圧力
調整室9内の圧力を大気圧より低くすることにより、大
気圧に保たれている溶融金属供給浴11内の溶融金属を
上方側に吸い上げようとする力が働き、また、流下溶融
金属受け浴12内の圧力を大気圧より高くすることによ
り、大気圧に保たれている溶融金属供給浴11内の溶融
金属を上方側に押し上げようとする力が働く。したがっ
て、開口部11aから流下しようとする溶融金属に対し
て溶融金属の上方側では重力に逆らって吸い上げようと
する力が働き、下方側では重力に逆らって押し上げよう
とする力が働くため、開口部11aからの溶融金属の流
下を極めて有効に防止することができ、結果的に溶融金
属受け浴12に流下する溶融金属の量を著しく減少させ
ることができる。したがって、鋼板1が厚い場合等でも
サポートロール4側への溶融金属の流下を極めて有効に
防止することができる。
【0033】この際に、雰囲気圧力調整室9内の圧力を
大気圧より低くするだけでも、大気圧に保たれている溶
融金属供給浴11内の溶融金属に対する吸い上げ力によ
り、溶融金属供給浴から溶融金属の流下を防止すること
ができる。また、流下溶融金属受け浴12内の圧力を大
気圧より高くするだけでも、大気圧に保たれている溶融
金属供給浴11内の溶融金属に対する押し上げ力によ
り、溶融金属供給浴から溶融金属の流下を防止すること
ができる。ただし、これらの場合には、上述の雰囲気圧
力調整室9内の圧力を大気圧より低くし、かつ流下溶融
金属受け浴12内の圧力を大気圧より高くする場合より
もその効果は多少効果は小さくなる。すなわち、雰囲気
圧力調整装置10または圧力調整装置7のいずれかを作
動させて、雰囲気圧力調整室9内の圧力を大気圧より低
くすることおよび流下溶融金属受け浴12内の圧力を大
気圧より高くすることのいずれかを行うことにより、こ
れら両方を作動させる場合よりも多少その効果は低くな
るものの、溶融金属供給浴11から溶融金属の流下を有
効に防止することができる。
【0034】このことを考慮すると、図2に示すよう
に、圧力調整装置7を設けずに雰囲気圧力調整室9およ
び雰囲気圧力調整装置10のみを設けて圧力調整手段を
構成しても、雰囲気圧力調整室9内の圧力を大気圧より
低くして、溶融金属供給浴11内の溶融金属に吸い上げ
ようとする力を作用させることにより、溶融金属供給浴
から溶融金属の流下を防止することができる。また、図
3に示すように、雰囲気圧力調整室9および雰囲気圧力
調整装置10を設けずに圧力調整装置7のみで圧力調整
手段を構成しても、流下溶融金属供給浴12内の圧力を
大気圧より高くして、溶融金属供給浴11内の溶融金属
に押し上げ力を作用させることにより、溶融金属供給浴
から溶融金属の流下を防止することができる。
【0035】なお、流下溶融金属受け浴12の溶融金属
が、めっき金属のインゴットを投入して溶解を行う溶解
浴16に流入可能なように溶融金属流動経路19で連結
してあるため、溶融金属供給浴から流下した溶融金属を
再度溶融金属供給浴11に供給することができ、経済的
である。
【0036】次に、本発明の第2の実施形態について説
明する。図4は本発明の第2の実施形態に係るめっき装
置を示す概略断面図である。この実施形態においては溶
融金属受け浴12の下側に設けられた気体噴射装置15
および溶融金属供給浴11の下側に設けられた溶融金属
吐出装置25を有している点が第1の実施形態とは異な
っている。
【0037】図4に示すように、気体噴射装置15は開
口部12aを通過する鋼板1に非酸化性の気体を吹き付
けるようになっている。気体噴射装置15への気体の供
給は配管22を介して行われる。
【0038】このように気体噴射装置15を設置するこ
とにより、流下溶融金属受け浴12で受け止める溶融金
属の量を増やすことができる。すなわち、流下溶融金属
受け浴12の下側に配置された気体噴射装置15から非
酸化性気体を溶融金属供給浴から流下している溶融金属
に吹き付けることにより、流下溶融金属受け浴12から
流下する溶融金属をなくす、あるいは少なくすることが
できる。
【0039】この気体の噴射に必要な流量は、従来の空
中ポットにおいて完全に流下防止を行うために必要な気
体流量よりも少なくてよく、さらに溶融金属供給浴11
の溶融金属に直接気体を噴き付けないため、従来問題で
あった気体を巻き込みも生じない。また、気体噴き付け
により溶融金属を飛散させても流下溶融金属受け浴12
が溶融金属供給浴11と密接して連結する構造であるた
め、溶融金属が系外に飛散することはなく、流下溶融金
属受け浴12内の雰囲気温度がめっき金属の融点以上に
保持されていれば飛散した溶融金属が流下溶融金属受け
浴12の壁面に固着するおそれはない。
【0040】噴射ガスとして非酸化性気体を使用するの
は、鋼板の酸化を防ぎ、めっき不良を起こさないためで
ある。また、鋼板の温度低下を防ぐ観点からは、浴温度
と同程度の高温気体を用いることが好ましい。非酸化性
気体としては特に限定されるものではないが、例えば脱
水した不活性ガスや焼鈍炉2内のガスを用いることがで
きる。
【0041】なお、複数の気体噴射装置を多段に設ける
ことにより、各段毎の流下防止のために必要な気体流量
を軽減することができ、流下溶融金属受け浴12からの
溶融金属の流下をより一層確実に防止することができ
る。
【0042】溶融金属吐出装置25は、鋼板移動方向に
向けて溶融金属を吐出して流下する溶融金属を少なくす
る機能を有しており、上述の実施形態のシール機構13
の代わりに設けられるものである。溶融金属吐出装置2
5へは供給経路18から溶融金属が供給される。溶融金
属吐出装置25は吐出された溶融金属の一部は流下溶融
金属受け浴12に流下するが、上方に移動している鋼板
の移動方向に沿うように吐出すようになっているため、
流下溶融金属受け浴12への溶融金属の流下を少なくす
ることができる。なお、溶融金属吐出装置25は設けた
ほうが好ましいが、必須なものではない。また、流下量
をさらに少なくするために、溶融金属の位置ヘッドが鋼
板通過開口部11aの位置よりも高くなるように溶融金
属吐出速度を高めることが好ましい。
【0043】次に、本発明の第3の実施形態について説
明する。図5は本発明の第3の実施形態に係る溶融金属
めっき鋼板の製造装置を含むめっき設備の概略断面図で
ある。この実施形態では、流下溶融金属受け浴12の内
部で鋼板通過開口部位置に鋼板1を挟み込むように設け
られた一対の回転ロール23と、回転ロール23の上の
溶融金属を掻き取るブレード24とを有している点、オ
ーバーフロー堰26を有している点が第2の実施形態と
異なっている。
【0044】流下金属受け浴12に設けられた一対の回
転ロール23は、そこに供給された溶融金属が流下金属
受け浴12の底部の鋼板通過開口部12aから下方へ流
下されることを防止する機能を有している。この回転ロ
ール23は、駆動型でもよいが、鋼板振動を抑制するこ
とができることからアイドリング型のほうが望ましい。
回転ロール23はともに鋼板接触部で下から上に回転す
るようになっている。なお、回転ロール23の表面に溶
融金属が固着しないように回転ロール23を加熱してめ
っき金属の融点以上にロール表面温度を保つことが望ま
しい。
【0045】回転ロール23は鋼板1の上方への移動に
伴って鋼板接触部で下から上に回転するため、回転ロー
ル23に供給された溶融金属はその上面で左右に分かれ
るように流れる。左右に分かれた溶融金属は、ブレード
24で掻き取られ、流下金属受け浴12内に流下する。
【0046】このように、回転ロール23で溶融金属を
左右に分け、その溶融金属をブレード24で掻き取るの
で、流下金属受け浴12から下方に流下することを一層
効果的に防止することができる。
【0047】また、溶融金属受け浴12の下方に押さえ
ロール5が設けられているため、溶融金属受け浴12の
下側の鋼板通過開口部12aをかなり狭くすることがで
きる。したがって、たとえ、回転ロール21の鋼板と接
していないロール端部からすり抜けた溶融金属が流下し
た場合でも、その全部またはほとんどの溶融金属を溶融
金属受け浴12で受け止めることができる。
【0048】なお、本発明は上記実施形態に限定される
ことなく種々変形可能である。例えば、上記実施形態で
は、雰囲気圧力調整装置10により溶融金属供給浴11
の上方側部分に配置している雰囲気圧力調整室9の圧力
を調整することおよび圧力調整装置7により溶融金属供
給浴11の下方側部分に配置している流下溶融金属受け
浴12の圧力を調整することについて示したが、これに
限らず、溶融金属供給浴11の上方側部分および/また
は下方側部分の圧力を調整できるものであればよい。
【0049】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。こ
こでは、図5に概略を示したような装置を用いて、低融
点金属(ウッドメタル、融点:70℃、大阪アサヒメタ
ル工場製U−アロイ70)のシール性を検証した。
【0050】鋼板1(幅200mm)をデフレクターロ
ール3、サポートロール4を介して押さえロール5(ロ
ール径50mm)からめっき装置(空中ポット)6に導
入した。流下溶融金属受け浴12における鋼板通過開口
部12aと鋼板1との間隔は2mmになるように調整し
た。受け浴12内には鋼板の移動によって回転するアイ
ドリング型の鋼製ロール(直径100mm)23を鋼板
1を挟み込むように一対配置した。この回転ロール23
にテフロン製のブレード24を押し当てて溶融金属を掻
き取るようにした。
【0051】受け浴12の上には5mm×250mmの
鋼板開口部11aを有する溶融金属供給浴11を上記受
け浴12と密接するように連結した。また、受け浴12
と溶解浴16とは内径50mmの配管19で連結し、受
け浴12に溜まったウッドメタルを溶解浴16に導くよ
うにした。溶融金属は、ポンプ17により周囲に電熱ヒ
ータを取り付けて溶融金属の温度を100℃に保った溶
解浴16から0.2m /minの割合で供給浴11に
移送した。この供給浴11は浴面高さを一定(50m
m)に保つオーバーフロー堰を設けた。
【0052】まず、雰囲気圧力調整装置10および圧力
調整装置7を作動させずに、鋼板1を40m/minか
ら160m/minの速度で上方に引き上げて受け浴1
2の鋼板通過開口部12aからのウッドメタルの流下状
況を観察した。その結果、どの条件においても鋼板と空
中ポットとの接触は認められず、通板性に問題はなかっ
た。また、各種の鋼板引き上げ速度と鋼板厚におけるウ
ッドメタルの押さえロール5側への流下状態を把握し
た。その結果を図6に示す。図6中、○印は流下が認め
られない状態を示し、△印は時々若干の流下した状態を
示し、×印は流下量は若干であるが連続的に認められた
状態を示す。
【0053】鋼板厚み1.0mm以下の場合には、どの
速度においても受け浴12の鋼板通過開口部12aから
ウッドメタルの流下は認められなかったが、鋼板厚みが
厚くなった場合には、鋼板1と回転ロール23が接して
いない回転ロール23端部からの流下が認められた。
【0054】次に、雰囲気圧力調整装置10を作動させ
て、雰囲気調整室9内のガスを吸引し、雰囲気調整室9
を−40mm水柱の負圧に保った。この場合、図6に示
す△印の状態において、ほぼ溶融金属の流下を防止する
ことができることが確認された。
【0055】次に、上述した雰囲気圧力調整室9の圧力
の制御に加え、流下溶融金属受け浴12のガス排出量を
圧力調整装置7を用いて650mm水柱に制御し、流下
溶融金属受け浴12の圧力を制御し、さらに気体噴射装
置15に設けられた2×250mmの噴射口から窒素ガ
スを流下溶融金属受け浴12に流入させた。この場合、
図6に示すように最もウッドメタルの流下が多かった鋼
板厚2.5mm、鋼板引上げ速度40m/minの場合
においても溶融金属供給浴11から溶融金属の流下を防
止することができた。以上の結果から、本発明の有効性
が確認された。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
鋼板を通過させる溶融金属浴からの溶融金属の流下を操
業上問題のないレベルで長時間に亘って防止することが
できる。したがって、浴中機器に起因した欠陥やドロス
欠陥などの解消、長時間安定操業の達成、さらに異種品
種との切替えが容易に行えるなど、いわゆる空中ポット
方式のめっき装置の長所を享受することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る溶融金属めっき鋼板
の製造装置を含むめっき設備を示す概略断面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る溶融金属供給浴の上
方側部分に圧力調整手段を具備するめっき設備を示す概
略断面図。
【図3】本発明の一実施形態に係る溶融金属供給浴の下
方側部分に圧力調整手段を具備するめっき設備を示す概
略断面図。
【図4】本発明の他の実施形態に係るめっき装置を示す
概略断面図。
【図5】本発明のさらに他の実施形態に係る溶融金属め
っき鋼板の製造装置を含むめっき設備を示す概略断面
図。
【図6】本発明の実施例の効果を説明するための図。
【図7】従来のめっき装置を示す概略断面図。
【符号の説明】
1……鋼板 2……焼鈍炉 3……デフレクターロール 4……サポートロール 5……押さえロール 6……溶融金属めっき鋼板の製造装置 7……圧力調整装置 9……雰囲気圧力調整室 10……雰囲気圧力調整装置 11……溶融金属供給浴 12……流下溶融金属受け浴 13……シール機構 14……ガスワイピング装置 15……気体噴射装置 16……溶解浴 17……溶融金属移送装置(ポンプ) 18……供給経路 19……溶融金属流動経路 22……配管 23……回転ロール 24……ブレード 25……溶融金属吐出装置

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属のインゴットを投入して溶解を行う
    溶解浴から溶融金属が供給され鋼板を下から上に向かっ
    て通過させる溶融金属供給浴と、 溶融金属供給浴を通過することにより溶融金属が表面に
    付着した鋼板を上方に引き上げた際に、過剰の溶融金属
    を気体により払拭する装置と、 前記溶融金属供給浴の下側に設けられ、溶融金属供給浴
    から流下する溶融金属を受ける流下溶融金属受け浴と前
    記溶融金属供給浴の上方側部分および/または下方側部
    分の圧力を調整する圧力調整手段とを具備することを特
    徴とする溶融金属めっき鋼板の製造装置。
  2. 【請求項2】 前記圧力調整手段は、前記溶融金属供給
    浴の上方側に設けられその中の雰囲気圧力を調整可能な
    雰囲気圧力調整室を有することを特徴とする請求項1に
    記載の溶融金属めっき鋼板の製造装置。
  3. 【請求項3】 前記圧力調整手段は、前記流下溶融金属
    受け浴内の圧力を調整する圧力調整装置を具備すること
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載の溶融金属
    めっき鋼板の製造装置。
  4. 【請求項4】 さらに、前記流下溶融金属受け浴と前記
    溶解浴とを連結する溶融金属流動経路を具備することを
    特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記
    載の溶融金属めっき鋼板の製造装置。
  5. 【請求項5】 さらに、前記流下溶融金属受け浴下側の
    全部または一部に、非酸化性の気体を供給して鋼板通過
    開口部から該気体を吹き付ける装置を具備することを特
    徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載
    の溶融金属めっき鋼板の製造装置。
  6. 【請求項6】 金属のインゴットを投入して溶解を行う
    溶解浴から溶融金属が供給される溶融金属供給浴の下か
    ら上に向かって鋼板を通過させて鋼板に溶融めっきを施
    す溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法であって、 鋼板を前記溶融金属供給浴の下から上に向かって通過さ
    せる際に、前記溶融金属供給浴の上方側部分および/ま
    たは下方側部分の圧力を、溶融金属供給浴から溶融金属
    が流下しないように調整することを特徴とする溶融金属
    めっき鋼板の製造方法。
  7. 【請求項7】 金属のインゴットを投入して溶解を行う
    溶解浴から溶融金属が供給される溶融金属供給浴の下か
    ら上に向かって鋼板を通過させて鋼板に溶融めっきを施
    す溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法であって、 前記溶融金属供給浴の上方側部分の圧力を溶融金属供給
    浴内の圧力よりも低く設定するおよび/または前記溶融
    金属供給浴の下方側部分の圧力を溶融金属供給浴内の圧
    力よりも高く設定することを特徴とする溶融金属めっき
    鋼板の製造方法。
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